2016年9月9日 15:20
藤原竜也&山本裕典 共演舞台『鱈々』稽古初日をレポート
戯曲は冒頭から真面目で几帳面なジャーン=藤原竜也と、やや投げやりで粗暴なキーム=山本裕典、ふたりのやりとりが延々と続き、稽古場はあっという間にふたりが暮らす薄暗い倉庫、その息苦しいような雰囲気へと塗り替えられていく。同じ仕事、意味も理由もあいまいな作業を繰り返す日々にうんざりし、イラつくキームを穏やかに誠実になだめるジャーン。初回とは思えぬほど藤原&山本のコンビネーションが良く、時に周囲に笑いも巻き起こしながら、会話はどんどんテンポアップしていく。
場が変わって中村ゆり演じるミス・ダーリンが登場。男たちとは別の角度から、自身の人生をなんとか変えようと足掻くダーリンを、中村は繊細にしなやかに表現する。彼女の父親でトラック運転手役の木場勝己は、その登場から倉庫にそれまであった、退屈な平穏をぶち破る衝撃。圧倒的な声量と迫力が、場の空気を震わせる。
閉塞した劇中の状況とは裏腹に、本読みはスピーディに進み、一度の休憩を挟んだものの100分程度でラストまで駆け抜けた。
「面白いホンだよね。平凡な日常を描いているようで実は、人物や倉庫から出し入れされる大量の箱の存在など、非常に象徴的かつ寓話的で、観る者に多くを想像させる。