黒柳徹子と麻実れいがコメディで魅せる、熱い女の友情物語
でも蓋を開けてみたらやっぱり大変でした(笑)。ほぼふたり芝居と言ってもいいくらいの台詞の応酬で…。その作品に再々度挑戦する徹子さんは強靭です。素晴らしいという意味で“怪物さん”ですね」
稽古場では、ガイドをクビになったレティスの部屋をロッテが訪問するシーンの稽古が行われていた。仕事を奪った“敵”の思わぬ訪問に、レティスは無愛想に応対する。毅然と現れたかと思えば猫の存在に怯えてひと騒ぎする、快活な麻実ロッテ。それに対し、一本調子の返答で不満をあらわにする黒柳レティス。両者の明暗のギャップが可笑しく、稽古場から失笑がこぼれる。
実はロッテはレティスに新たな職を紹介するためにやってきたことが判明すると、黒柳の表情と口調が鮮やかに変化していった。友情の杯を交わすまでの愉快なやりとりについて黒柳は次々にアイデアを出し、すぐさま動いてみせる。手にしているのは使い込まれてクタクタになった台本だ。演出の故・高橋昌也による指示がすべて書き込まれた、初演時から使用し続けているものだそうだ。「徹子さんはとにかく知的で、可愛くて繊細。このレティスという役にピッタリです。私は役を作るといっても、いつも結果的に自分に近づけてしまうんですが、今回はさらに自分の感覚のままに発散してみようかなと思っています」