カラヤンの愛した音楽祭。ゆかりのサントリーホールで
このオーケストラが伝統的な響きを維持しているのは現代では貴重。丸みのある、暗くて、同時に明るい音。攻撃的に前に出すぎることがない音は、オペラでは特に重要だ」
オーケストラ・コンサート2公演では、ベートーヴェンのピアノ協奏曲のソリストに予定されていたイェフィム・ブロンフマンが病気降板のため、キット・アームストロングが代演する。ティーレマンが「第二のブレンデルと呼べる才能」と認める新鋭ピアニストだ。
プログラム全体に特別な彩りを添えるのが、創始者カラヤンの長女で女優のイザベル・カラヤンが出演する一人芝居『ショスタコーヴィチを見舞う死の乙女』だ。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番を中心に、音楽と、彼の同時代人たちのテキストを組み合わせた舞台作品(字幕付き)。生前のカラヤンはイザベルに、「もし自分が作曲できるとしたら、ショスタコーヴィチのように作曲したいんだ」と話していたそう。彼女は「こうして『イースター音楽祭』と書いたIDカードを下げてここにいるだけでうれしい。
日本が大好きだった父もきっと誇りに思ったはず。父がホールのどこかにいるのを感じながら舞台に上がります」と感慨深げだった。
互いに「相性ぴったり」