刑事事件弁護士でもある経験を盛り込んだ小説で世界的ベストセラー作家となった彼の初戯曲が今回の作品だ。実は橋爪は2016年に朗読劇ですでにこの戯曲と向き合っている。「このときは毎回有罪になりました。なんとか無罪にならないかと読み方を変えたりしたんですけど、結果は同じだった。今回は自分では全体を加減できないので、よりどういう反応があるのか楽しみです。役者は忘れがちになるんですけど、芝居はお客さんのもの。この芝居はとくに、お客さんにいろんなものを持って返ってもらうことになると思いますよ」(橋爪)。
橋爪から「被告人が爽やかな青年だと結果も変わるかもしれない(笑)」とプレッシャーを与えられた(!)のは、松下洸平だ。
森も「空軍少佐の国のためにやったという純粋な思いがまず繊細に伝わらなければならない」と語る芝居の核となる役を前に、何を思うのか。「僕は役者としても人間としてもまだまだ勉強中で、お芝居から社会を学ぶことも多いんですが、この作品もまさにそう。僕たちは法のなかでどう生きてるのかとか、演じるドイツ軍人にとっての国とは何なのかとか、しっかり勉強して、みなさんの背中を追いかけながら臨みたいと思っています」