と言うぐらい書き直した。「当時、お客さんを号泣させるような脚本にしようと書いたんです。ただ、物語をドラマチックな展開で見せるのではなく、人との関わり合いや想い、そこにある人情の機微をクローズアップする作品は、舞台より映画に向いているのではと思っていて。でも今回、舞台用にリライトしたことで、俳優さんたちの演技次第で随分変わってくる、すごく芝居っぽい作品になりました。俳優さんたちに生き生きと演じてもらって、生で観ると、とても心地よく、味わい深い作品になるのではと思っています。初演より、ひとつステップアップしたかな」。
出演は、星野真里、初舞台の鈴木紗理奈、9年ぶりの舞台となる川原亜矢子、永島敏行ら。映画と舞台は違ったキャスティングで楽しめる。
「『あいあい傘』は、ひとりも悪人が出てこない作品で心に響く優しい物語です。関西では、映画を先に見てから舞台を観てほしい。でないと上映が終わっちゃうかもしれないから(笑)。同じ物語だけど、まったく同じじゃないんです。映画で「あれ?」と思ったことの答えが舞台で用意されていたり、舞台にない部分が映画では描かれていたり。両方観る楽しみ方もあると思う。舞台のほうは演劇が初めてという人にもすごく楽しめるんじゃないかな」。