「数時間になるのですが、見学だけでも」と頼みましたが、さすがにできなかった」と真顔で振り返る。これまで吉村は映画「モリのいる場所」や連続ドラマ「スモーキング」などで強い印象を残してきた。しかし役作りのために舞台の現場にまでリサーチしたことはなかったそうだ。初舞台に対する気合いの入りようが伺える。これを知った豊原は「嬉しいですね。俺も頑張ります」と笑顔を見せた。
吉村が演じるのは、秘密を持ち、危うさのある青年・近杉。自らの妄想におびえるという役どころだが「やっちゃいけないことをやりたくなる衝動、わかります」と共感をつかんでいる。
当て書きのため、稽古を重ねていくうちに役が変化し、吉村にしかできない舞台になるだろうことも楽しみだ。
ほかの出演者は、舞台俳優として長年独特の存在感を放ってきた岡部たかし。映画『あゝ、荒野』で印象的なヒロインを演じた木下あかり。ナイロン100℃の小園茉奈。豊原は「負担はそれなりにあるだろうけれど、大丈夫でしょう」と信頼を見せる。取材の最後に豊原は、吉村について「異質感のある俳優で、一歩先へ行こうともがいている印象がいいなと思っていた。実際に会うと、役者に、芝居に、真剣に向き合ってる人だと言う印象。