警察官(大塚明夫)、同僚の医者(水島)らが登場し、縦横無尽に入り乱れるセリフの応酬にみんなてんやわんやだ。
しかし、早口でもきちんと聞き取れるのは、さすが言葉を鍛えた声優だ。演出の野坂が「その言葉を立てて」と指示すると、敏感に反応し、すぐにワンフレーズだけ強調する。会話はテンポ良く、余分な間を作らない。声の表現だけでも、怒り、焦り、楽しみ、驚きなど多彩だ。アップテンポなシチュエーションコメディに、声優の「声で物語を表現する」という強みが活きる。さらにキレのいい動きで左右や舞台奥まで目まぐるしく動き回るので、勢いに巻き込まれているうちに何度も吹き出してしまう。声優の技術に裏打ちされた舞台は、こんなにもダイナミックなのか!
演出の野坂が演技を止めると、みんなほっとした笑顔に。
緊張の表情はほころび、共演者やスタッフと冗談を言ったりと、リラックスした心地良い空気が流れる。長年仕事を共にしてきた仲間たちとの、演じる興奮と楽しみを感じる現場だ。
とはいえ休む暇はない。シーンごとに丁寧に手順を整理する。大塚は「気持ちで演じると流れがグズグズになってしまう。段取りを決めておかないとね」と、各自で立つタイミング、回る方向、誰に向かってどの言葉を言うのかを明確に確認。