「市村さんから電話があったんです。“こういう話があるんだけどやらない?”って森さんから言われたと。実は前からいつかやりたいと思っていた作品だったこともあって、その場ですぐにやりたいと返事しました。それに、最初の勘として、市村さんとなら面白い関係になるなと思ったの」と草笛は言う。
ただ、面白くなりそうだからこそ、草笛には心配なこともあるようだ。「台本を読んだらふたりのやりとりがあまりにも面白くて、しかも相手が市村さんだから、漫才になってしまったらどうしようと思ってるんです(笑)。謹厳なデイジーとして常に凛としていなきゃいけないのに」。それに応えて市村は、「大丈夫。
森さんが漫才にはしないだろうし、僕は草笛さんのデイジーの台詞を聞いて、デイジーの生き方を見て、それに反応していくだけですから」ときっぱり。草笛も、「喜劇的な面白さもありつつ、深いものを腹に入れて演じないとこの作品の良さは出ないですものね。最後には人の心をズンと打たなきゃいけない」と引き締まる。年齢とキャリアを重ねてきたふたりだから表現できる人間ドラマとなるはずだ。「草笛さんとこの作品ができることが幸せ。長く俳優をやってきてよかったなと思います」