愛が詰まった直球のセリフが沁みる、ベッド&メイキングスの新作
だがそれこそ人間の愛しさであり、バカバカしさであり、たまらない面白さなのだ。
そんな人間くささ全開の登場人物たちが発するセリフは、どれも驚くほど直球で、観客の心にズドン!と突き刺さるものばかり。その陰に福原の恥じらいを感じつつも、“愛”をテーマにしたこの作品には、これら直球のセリフがしっくりとなじむ。また本作は、野外劇や円形舞台など、過去公演のような演劇的な仕掛けは用意されていない。以前福原が「現代口語演劇の前夜にあったような、いわゆる演劇っぽい会話劇になりそう」と語っていたように、あくまで会話の積み重ねによって紡がれるドラマ。そういった点で、これまでのベッド&メイキングスとは少し異なった趣も感じられる。
だが笑いどころも多く、しっかりエンタテインメントとして成立しているのは、メンバーの富岡を筆頭に、安藤や町田、吉本など、ベッド&メイキングス経験済みの巧者たちによる働きが大きい。旗揚げ公演『墓場、女子高生』(2012年)にも参加していた面々で、役者陣に対する福原の信頼の強さは、劇団の、そして作品自体の成熟へとしっかりと結びついているようだ。
そんななかでも石橋、島田といった初参加組も確かな印象を残しており、この劇団のこれからがより一層楽しみになる一作だった。