留学帰りの大野拓朗、『プロデューサーズ』初日は「初通しでした」
ら資産家の老婦人から色仕掛けで小切手をかき集める。
小賢しくもどこか憎めないマックスを、井上はユーモアたっぷりに演じる。二幕で会計上の不正が警察に見つかり投獄された彼が、これまでの計画を回想すべく歌とダンスで一人“高速”ダイジェストを繰り広げるパフォーマンスは見どころだ。ひたすらボケ倒す登場人物をすべて受け止める、ウィットに富んだツッコミにも注目したい。
大野は、周りの“濃い”キャラクターに翻弄されるレオを表情巧みに造形。特に、英語の話せない女優志望ウーラ(木下晴香)のセクシーな魅力に抗えず、悩殺される様は前方席であってもオペラグラス持参でチェックされたし。コミカルな一面以外にも、伸びやかな高音が甘く優しく響く歌声はプリンス然としており、スマートかつ無邪気なレオ像を印象づけた。
この日のカーテンコールは、カンパニーの中で唯一初日を迎えた大野を祝福するムードに突入。
MCと化した井上からコメントを求められると、ゲネプロの機会がなく「初めて通しました!」と明かす大野に観客から大きな声援と拍手が送られた。約1年半ぶりという舞台出演、留学を経てパワーアップした彼の雄姿を見届けに劇場へ足を運んでみては。