小粋なまでのロマンスを南仏でいかが?〈マジック・イン・ムーンライト〉【洒脱なレディ論】
20年代の時点ですでにバカンス地だった南仏は、当時フィッツ・ジェラルドが別荘で−––近年レオナルド・ディカプリオ主演で映像化されたことも記憶に新しい−––〈華麗なるギャッツビー〉を執筆していたことも特筆しておきたい。ウディ・アレンのことだから、1から10まで計算の上だとしても驚くことはありません。だって、わたしたちは仕組まれているかもしれないこれらのマリアージュに “魔法とトリック” の狭間へと身を委ねるだけでよいのですから。あいにく、恋愛は往々にして予定調和とは無縁なもの。目の敵にされていたはずなのに、憎まれ口ばかりたたいていたはずなのに、そんな相手にある日突然惹かれているなんてことも日常茶飯事。幾らそんなはずじゃないと自問自答してみたところで、恋には落ちていってしまうのは世の常そして、人の常。Magic in the moonlight−––月下のマジックにて、ウディ・アレンの分身かの如き諧謔もてあそぶ登場人物たちと、スタッフの織りなす “美しさ” に、肩の力をぬいて委ねてみては?たとえいまこの瞬間に恋をしてなくても、もしかしたらある日突然憎き “あの人” へ「落ちる」魔法にかかるためかもしれないんだから。