ゆるくつながる「第三の居場所」を確保しよう東京大学教授・玄田有史さんインタビュー(前編)
確かに、引きこもりのように全然友達がいないかというとそういうわけではなくて、スマホやSNSを通した人とのつながり自体は増えているでしょうね。
ただ、出会いの喜び、別れの悲しみのような“メリハリ”が、かなりなくなっている気がします。なんとなくフェードインするように友達になったり、なんとなくフェードアウトするように疎遠になっていったり。
きっと、コミュニケーション偏重の風潮に、みんながくたびれてきたんじゃないでしょうか。若い人たちが、「無理して人付き合いしなくてもいいや」と考えるようになっているなら、僕はそれもありだろうとは思いますが。
――つまり、“孤立を強いられている”というよりは、“孤立したくてしている”という側面もあるんですかね。
玄田:そこまで言い切ることはできないと思いますけど。ただ、みんなが「友達さえいればなんとかなる」というふうには、思わなくなってきていることはあるんでしょうね。
あと、もうひとつの側面として、友達みたいな親子が増えていることも一因にあるんじゃないでしょうか。
――どういうことでしょうか?
玄田:今、友達といるよりも家族と一緒にいたほうが心を許せるし、ラクみたいな若い人が増えているっていうじゃないですか。