ゆるくつながる「第三の居場所」を確保しよう東京大学教授・玄田有史さんインタビュー(前編)
それを共依存だといって親子を批判してもしょうがないでしょう。
“ウィーク・タイズ(弱い絆)”を持つ人が成功する――現代人が、強くて緊密な友達関係に疲れてきているということに、もう少し別の社会学的背景はありますか?
玄田:日本では震災の後、“絆”って言葉が流行しましたよね。でも社会学では、“絆”には2種類あると言われているんです。
ひとつは“ストロング・タイズ(=強い絆)”。これは、一緒に暮らしている家族や、同棲しているカップル、毎日連絡を取り合う親友といった、常に緊密につながっている関係のことです。“ストロング・タイズ”には、理由や損得といった理屈を抜きに、丸ごと自分の存在を受けとめてくれるような安心感がある。
もうひとつは、“ウィーク・タイズ(=弱い絆)”。いつも会うわけじゃないけど、たまに会うと「おー、元気だった?」ってすぐに意気投合できるような関係のことです。
自分と全然違うところに住んで、まるっきり別の生活をしていて、まったく異なる経験をしている。そういう人って、たまに会ったときに思いもよらない発見や気付きをもたらしてくれたりすることがある。
――友達と呼べるほどじゃないけど、ゆるくつながっている関係ってことですね。