ゆるくつながる「第三の居場所」を確保しよう東京大学教授・玄田有史さんインタビュー(前編)
みんな、すごく家族を大事にするでしょう。クリスマス・イブもホテルの予約は空いていて、混雑するのは夕方のデパ地下。そこでお惣菜を買って、家で家族と食べるのが、楽しいとか。
――それはいいことなのでしょうか。
玄田:イエス・アンド・ノーでしょう。かつてのように、父親が家庭を一切かえりみずに仕事に専念する時代というのは行き過ぎだったと思うけど、かといって、友達よりも家族を選ぶほど親子の仲が良すぎてべったり、というのもそれはそれでどうかと僕は思ってしまうけど。
去年、NHKの『あさイチ』で“SNEP(孤立無業者)”がテーマとして取り上げられたときも、シングルマザーや親の介護など、家族の問題を丸抱えしてしまって孤立無業化していく人の問題が取り上げられていました。――若年無業者、孤立無業者の人たちの背景には、家族との癒着や共依存のような関係がある、と。
玄田:そういう人もいるでしょうね。でも、それは少子化の宿命でもあります。子どもの数が少なくなれば、それだけ親は子どものことを手厚く育てたいと思う。
企業も行政も、困ったときの生活を保障してくれないとなると、自分のことを守ってくれるのは家族しかいなくなる。