競技かるたを通じて“自分と戦う”ことを学ぶ『ちはやふる』
私は、競技かるたはわかりませんが、勝負に対する真摯な気持ちは理解できます。
真面目に練習に取り組んで試合に出るからこそ、負けて悔しいし、自分に言い訳ができないから成長するのだと思います。人生傾けるほど練習せずに、試合に負けて悔しいのとは、意味が違う。
そんなことも、『ちはやふる』ではちゃんと教えてくれるんです。
珍しい競技を取り上げたからでも、絵がかわいいからでも、太一がかっこいいからでもない。人として学ぶべきこと、幸せの形、そういうものが競技かるたというテーマにすべて集約されています。
『ちはやふる』は作品全体のクオリティがとっても高いと思います。夏休みの指定図書なんかにしてもいいんじゃないかと思うくらい。
声を上げるようなことはないけど、読んでいる最中ずーっとじわじわきて涙が止まりません。
ところで、競技かるたを取り上げたマンガって、他にもいくつかあるみたい。どれも同時期に作品になっているので、もしかしたら協会が宣伝活動に励んでいたのかもしれないですね。そんな大人の事情もちょっぴり気になります。
Text/和久井香菜子