これからの社会は「弱い繋がり」で生きやすくなる/ジャーナリスト・佐々木俊尚さん(前編)
SNSも一切やらずに山の中で一人で暮らしているならば正真正銘のおひとりさまですが、そうではないですから。
――それは……その通りですね。
佐々木:自分の行動をSNSで誰かに見せるなどといった、おひとりさまにも“おひとりさまならではの共同体感覚”というものはあります。
新しい共同体の形とは、「会社」とか「夫婦」などの既存の共同体ではなく、別のゆるい繋がり方があってもいい、というオルタナティブな選択肢のことなんです。
必ずしも「強い共同体」じゃなくていい
――なるほど。共同体、集団、コミュニティというと、助け合いや絆といったポジティブな面と同時に、気遣いやしがらみなどの面倒なマイナス面がどうしても思い浮かぶのですが、そういうのではなく……?
佐々木:そうです。人類の歴史上、共同体がなかったことはなく、必ずしも息苦しいものではありません。
「ストロング・タイズ(強い繋がり)」と「ウィーク・タイズ(弱い繋がり)」という言葉があるのですが、これからの社会では「弱い繋がり」が重要になってきます。
――「弱い繋がり」?
佐々木:「強い繋がり」は例えば家族や会社、「弱い繋がり」は年に何回かご飯を食べたり、趣味の集まりで一緒になったりといったゆるやかな関係性のこと。