これからの社会は「弱い繋がり」で生きやすくなる/ジャーナリスト・佐々木俊尚さん(前編)
具体的にこの「弱い繋がり」のどんな共同体が主流になっていくのかはまだ模索中の段階ですが、ここ10年~20年はインターネットのテクノロジーのおかげで、距離や時間のハードルを越えて人と繋がるのが可能になってきました。
こうしたテクノロジーを活用しながら、「無縁の共同体」、つまり血の繋がりもなく、夫婦でもなく、同じ会社でもない人たちが寄り添って生きるのがおそらく普通になっていくのではないかと思います。
――とはいえ、「夫婦」という共同体そのものがなくなることはない、ですよね?
佐々木:でも、夫婦のあり方が変わっていくと思います。今までの夫婦は「強い繋がり」でしたが、これからは「弱い繋がり」の夫婦がもっと増えていいと思います。実際、そのほうが夫婦はうまくいくんですよ。
――えっ、そうなんですか?
佐々木:夫婦に共通の友人が少ないほうが、夫婦の持続性がある、とアメリカの調査でわかっています。だから、お互いの友人を紹介し合うなど、あまり夫婦ぐるみの付き合いはしないほうがいい。
お互いのプライバシーを侵害せず、夫婦間を「弱い繋がり」の共同体にしておくのは、長く続けるひとつの方法なのです。
――ただ、お互いに相手を干渉しないスタイルは、苦手な人もいそうです。