すぐアウトプット、すぐ評価されたい。現代人の「思いついたらすぐ言っちゃう病」
そして、それがたくさん「いいね!」されるなりリツイートされるなりして、すぐに実現しちゃう。もしくは、あまり反応がなくて、「あ……もしかして、ドーバー海峡がキツい話、つまんない?」と思って、その時点で諦めちゃう。これって、どちらもすごくもったいないと思うんです。
前者のように、話が早くていいという考えもあるかもしれない。だけど、「自分の中で期が熟すのを待つ」「技術がそこまで到達するのを待つ」ということを、現代の私たちはなかなかできなくなっていると感じるんです。「思いついたことすぐ言っちゃう病」です。すぐにアウトプットしたい、すぐに評価されたい。そしてそれこそが最善であるという風潮ができています。
だけど、出来上がった『ダンケルク』を観ると、ノーラン監督があまりスマホを使わない人で良かった、25年前にTwitterがなくてよかったと、きっと多くの人が思うはず。
『ダンケルク』は、ノーラン監督が今の技術で、今のタイミングで製作したからこその作品であると、私は思ったんです。
たった一人で「温め続ける」思いがあってもいい
まわりの人から褒められたい、承認されたいという思いは誰もが持っているし、もちろんノーラン監督だって例外ではないでしょう。