くらし情報『恋愛なんてただの思いこみ。それでも、孤独を救うにはちょうどいいのだろうか』

恋愛なんてただの思いこみ。それでも、孤独を救うにはちょうどいいのだろうか

2018年3月27日 12:00
 

恋愛なんて、ただの思い込みだ

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恋愛なんてただの思いこみ。それでも、孤独を救うにはちょうどいいのだろうか
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先日、ゴジラの映画館まで『シェイプ・オブ・ウォーター』を観に行った。もちろん一人で、仕事もいつもより早めに切り上げて、少し駆け足で向かい、席に着く。それから、酸味が強くてあまりおいしくないカフェラテを飲んで、ドキドキしながら見ていた。
エンディングを迎える頃には泣いていて、私はひどく傷ついていた。こんなにも孤独に寄り添いながら、人間の孤独も一種の錯覚であり、誰かがそばにいてくれるだけではどうしようもないことを映像と音と演技で、表現しているように思えたから。

簡単に説明すると、主人公の発話障害をもった女性が、人とはいえない半魚人のような存在に恋をする話だった。他の登場人物もアフリカ系の女性、ゲイの画家、そして博士を装うスパイのロシア人らが他者との関わり合いを持ちながら、でも決して誰かに寄り添うことも不用意に近づくこともせず、救いようのないような大きな孤独を各々持っているのだと思って、それがすごく切なくて、どうしようもなかった。

結局、自分の内側に出来てしまった孤独感は、人と関わるくらいのことでは取り去ることはできないし、錯覚でも勘違いでもいいから、自分で解決策を見つけて信じるしかないのかもしれない。主人公の女性は話すことのできない彼女自身と、自分と似た存在がどこにもいない孤独な半魚人とを重ねて、彼を救えるのは私しかいないと思い込んでしまう。「話せなくて可哀想」という先入観ではなく、ありのままの自分を受け止めてくれるのは、彼しかいないとも。

この映画は「恋愛映画」というジャンルに区分されているけれど、女性が一方的に勘違いをし、その勘違いが恋愛感情に昇華されていっただけで、半魚人の彼はほとんど自ら行動を起こすようなことをしていない。ただ、自分を助けてくれた人間に心を許し、そして相手が望むままにしただけだ。
一見、2人は結ばれてハッピーエンドを迎えたように思えるかもしれないが、私にはそうは見えなかった。ただ、彼女の一方通行な想いによって、勝手に救われた気持ちになっていたように見えて、辛かった。

「恋愛感情や人を好きになる気持ちは錯覚だ」という言葉があるけれど、この映画を観ると、本当にそうなんだと思う。恋愛なんて、ただの思い込みだ。恋に落ちてしまったという錯覚を、美しい音楽と映像でますます盛り上げてしまった。だから、あの映画は「恋愛映画」なんかじゃない。

孤独は心の中にずっと潜んでいる
そして、半魚人のような存在である彼を嫌い、殺そうとする悪役も登場してくる。その悪役は、軍人であり、地位も持っている。素敵な奥さんと子どもが2人いて、劇中ではとても高価な車を購入シーンだってある。皮肉だな、と思う。何もかも持っている人間が、孤独を抱えて圧倒的に何かが足りていない存在に気味の悪さを覚え、わざわざ迫害しようとするなんて。

私の周りには半魚人のような存在も、私を迫害しようとする人もいないけれど、人と接するくらいでは、どうすることもできない孤独感や悲しみを、ごくたまに感じることがある。それは、恋人がいないからでも一人で過ごす時間がずっと続いているからでもなくて、少しずつ私のなかで積み重なった層のようなものを誰かの力によって取り除くことはできないんじゃないか、と最近思うようになったからだ。
この種の孤独感のようなものは、人間関係や生活のなかで満たされ続けてきた人にはきっとわからない。絶対に理解の至らない部分なのだと思う。だから、奇妙にも、おかしな人間であるようにも見えてしまう。

この映画は賛否両論で、意見が分かれている。私にとっては、淡々としていて静かですごく好きな映画だった。それぞれの登場人物の持つ孤独に同調し、勝手に自分を重ね合わせて見ていたからだと思う。
人の持つどうしようもない孤独の正体、そしてその気持ちすらもどうしようもないことが描かれていて、エンドロールが終わり照明がつくときには、どうしようもなく駆け足で家に帰りたくなった。

人の寂しさや孤独は分かり合えない。支え合うことはできても、ずっと心のどこかに潜んでいて、死ぬまで付き合っていくものなのだろう、と思う。

Text/あたそ

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15年一緒に過ごした、愛犬の死。溢れる悲しみによぎったのは、疎遠になっていく母親の存在でした。

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