写真家・小林キユウの森をめぐる冒険【目指せトーベ・ヤンソン!】
そもそも、なぜ森が欲しかったのか……。
それはひとことで言ってしまうと、もう一つの場所が欲しかったからだと思う。
いま風に言えば、住居の2拠点化ということになるかもしれないけれど、僕としてはそこまで大げさなことではないと思っている。
■ フリーのカメラマンになったものの…
きっかけは20年前。その時、僕は30歳でフリーのカメラマンになったばかりだった。
チータン / PIXTA(ピクスタ)
8年間勤めた新聞社時代は休日が極端に少ない職場で、そもそもお盆や正月休みという発想するない職場だったので、僕は長期の旅行に飢えていた。
フリーになったのはいいけど、基本超ヒマだった(笑)。そんな時、取材で知り合った友人から、誘いを受けた。
友人は数年前からロシア語を習っていて、同国東端カムチャッカ半島のペトロパブロフスキーという都市に留学中だった。
現地の大学で日本語も教えながら、自身もさらなるロシア語上達を目指していた。
大学側からアパートの一室をあてがわれていたが、本人は日常会話の上達のために一般の家庭にホームステイしていた。
「使ってないアパートが一部屋あります。ただいま無料で貸出中です」