認知症は、不明確な物事ばかりの世界にいる状態!? 発病時に陥る不安
風邪やインフルエンザは、それぞれの体験を通してどんな病気かわかります。
ところが認知症は頭で理解していても、本当のところは発症した人しかわからない病です。
そんなよくわからない病について、実際に発症した方の意見を紹介してみたいと思います。
■ すべてのことが不明確でぼやっとした感じ
認知症医療の第一人者で精神科医の長谷川和夫氏は昨年、自身が認知症を発症していると明かしました。
長谷川氏は1974年に認知症診断の物差しとなる「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表し、今日まで多くの医療現場で使われています。
氏の場合は、それほどひどい症状でなく、正常な状態と認知症とを行ったり来たりするという比較的軽度な認知症です。
そんな氏が語ったのは、認知症って実はこういうことだった、という自分なりの体験でした。氏が痛切に感じているのは、確かさが欠如するということでした。
freeangle / PIXTA(ピクスタ)
今がいつなのか、今どこにいるのか、目の前の人が誰なのか――。
そうしたすべてのことが不明確ではっきりしないということです。
■ 不明確なことは何度も確かめたくなる
病気のようで病気でないような、単なる物忘れと思われがちな初期の認知症のころは、同じ行為を何度も繰り返すことがあります。