写真家・小林キユウの森をめぐる冒険【あぁ、まさかの倒木!】
初めて見る人だったが、近くにある別荘の住人らしかった。
「この間の台風、風すごかったからねぇ。このへんもあちこちで倒れたよ」と教えてくれた。
「倒れそうな木って事前に外観で判断できるんですか?」と僕は聞いてみた。
「いやいや、それは分からないよ、だから困るんだよね」と言う。
でも、広葉樹が倒れるのは珍しいね、と言う。
「この辺では松とかモミとか針葉樹がよく倒れるね、針葉樹は根が浅いから」と教えてくれた。
見回すと、隣地に針葉樹の高木が結構あるではないか。
もし、あれが倒れてきたら、この距離ならキャンピングトレーラーまで届くな、という木が何本もある。
「まぁ、とりあえず悪天候の日はここに泊まるの止めとこうかな」とぼんやり思った。
都会暮らしでは考えもしないことだが、これも森暮らしについて回ることなのだと理解した。
そもそも木々に囲まれているから、森なんだし、この森感はやっぱり捨てがたいな、と思った。