100%の力があるのに「99%でいい」と妥協してはダメな理由
という信念は、この時期に培われたもの。
そして経営トップになってからは、「本来会社組織は逆三角形であるべきで、つまりトップや管理職が現場の社員のために尽くさなければならない」と考えるようになったのだといいます。
だから、「休暇中は絶対に邪魔をしないように」と秘書にだけ行き先を告げて長期休暇を取るような、ヨーロッパの企業トップや管理職には疑問を抱いているようです。
そんなこともあり自身は、誰かがミスをした場合や、現場レベルでは解決できないトラブルに見舞われた場合は、いつでもどこでも駆けつけるのだそうです。
いつでも、どこにでも、そして必ず駆けつけるという覚悟は、「仕事=生活」「仕事=人生」と考えていることにもつながっているといいますが、それこそまさに、101%以上の力を日常的に発揮してきた結果であるといえるのではないでしょうか。*
本書からは、著者の仕事に対する強い信念を実感することができます。それでいて押しつけがましさのようなものを感じさせないのは、「謙虚さ」が根底にあるから。
読んでみれば、“忘れかけていた大切なこと”を思い出すことができるかもしれません。
(文/作家、書評家・印南敦史)