2023年3月7日 10:00
大震災・大津波からの避難 その時どう生徒を守り抜いたのか~全員無事避難することができた浪江町立請戸小学校~
足に装具を入れている女の子もいたのですが、その子は列の最後尾に付いて逃げる形になりました。早歩きに近いスピードで逃げていたのですが、どうしても体力的についていけない子どもはずるずると後ろに落ちてくるので、列がとても長くなってしまいました。一番後ろには我々教員がいましたが、教員だけでは対応できないくらいに長い列の中で、高学年の子ども達が自分達の判断で低学年をうまく挟んでくれて、全員で一緒に逃げることができたのでした。
――避難場所の大平山はよく行く場所だったのでしょうか
実際に訓練で登ったことはありませんでしたし、子ども達も普段遊びに入るような場所ではありませんでした。この時もどこから山に入れば良いのか、山の入口は知りませんでした。ところが、野球のトレーニングで入ったことがあった男子児童が入口を知っていて、その子に付いて山に登っていくことができたのです。
もしその子がいなかったら、迷わずに山に登ることはできなかったと思います。また、山を登っている途中は後ろを振り返っても、木が生い茂っている山道でしたので、町の様子が見えなかったのも良かったと思います。
もし町が津波で水没し、家や車が流されている様子を子ども達が見てしまっていたら、きっとパニックになっていたと思います。