バレても不倫を続ける夫「…今日は帰って」キスをねだる不倫相手に放った言葉の真意は?
8話:怒涛の大ドンデン返し
「はじめまして」
会議室に呼び出された宗太の前に、30代半ばのすらっとした女性が現れた。
グレーのリクルートスーツに、髪をハーフアップにあげ耳元に小粒のパールをつけている。
(同期を紹介するにしても、こんなとこ呼び出さないしな)
斉藤が、いつもより優しい口調で言った。
斉藤「新任上司の山田さんだよ」
宗太「上司?」
自分と年があまり変わらないように見える上司に、しかも女性に、宗太の心が少し穏やかじゃなくなる。
斉藤「いや、実はね。わが社も女性の社会進出を考えることになって。山田さんは、まだお子さんが2歳と小さいのだが、この業界では業績が優秀で有名でね。他の会社から引き抜いて、来てもらったんだよ」
山田が謙遜するように首を横に振る。
山田「いえ、そんな…。木部さんですよね?」
宗太「はい」
山田「上司と言っても、私はここでは初心者ですので」
山田「年も近いですし、どうぞチームメイトとして一緒にお仕事していただければ」
宗太「……はい」
(子育てしながらとか、大丈夫なのかよ)
宗太の中で、育児と仕事の両立は会社に迷惑をかけるという認識がまだどこかにあった。