サカイクがお届けする新着記事一覧 (12/34)
ドリブルが上手くてたくさん点を取る子に、ヘッドコーチが個人プレーを制限し「パスを回せ」と指示。チャンスがあればドリブル突破からのシュートもありなのでは?小学生年代までは個性的でもいいと思うけど、個人技はどの年代で力を入れればいいのか教えて。というご質問。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、元日本代表監督イビチャ・オシムさんのエピソードなどを交えてアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<W杯、代表の躍進は喜ばしいが、日本がもっと強くなるために育成年代で必要な事は?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。街クラブで指導している者です。担当はU-12です。これまでも似たような質問があるかもしれませんが、個人技について相談です。チームにドリブルの上手い少年がいるのですが、ヘッドコーチの方針にて、個人プレーでなくパスを回して行けとの指導が強くなり、それまでドリブルでの得点を決めていたのに得点数が少なくなりました。私としては、パスサッカーもやりながらチャンスがあれば単独でのドリブルシュートも必要と感じています。パスサッカーだけにこだわるのは、まだ先でも良いと思います。小学生までは個性的でも良いと思いますが、いかがでしょうか?チームとしての動きと両方身に付けるのがいいのは分かっていますが、個人技はどの年代で力を入れればいいのでしょうか。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。小学生でドリブルが上手い子どもたちの多くは、中学、高校と進むうちにドリブルで抜けなくなってきます。対戦する側、つまり守る側の子どもたちが、ドリブルしてきたときの対応や抜かれそうな場合のカバーといった守備力がアップするからです。■ドリブルを「どう有効に使うか」を小学生から教える必要があるそのように簡単に突破できなくなることを見越して、ドリブルをどう有効に使うかを小学生のうちから教えてあげる必要があります。例えばこう話します。「君はドリブルが上手いから、相手をふたり引き付けられるね。そんなすごい力があるよ。だったら、ふたりきたなと思ったら、空いてる子にパスを出せばチームとしていいプレーになるよね」そういった理解を促したうえで、ミニゲームなど練習でそのような場面があったら、止めて説明してあげてもいいでしょう。中学や高校に上がった際、上述したような状況で味方を使えるとチームに良い影響を与えることを理解している。そんな子が増えてほしいと思います。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■メッシはドリブルが上手いが、味方へのパスも出せる皆さんご存知のように、アルゼンチン代表のリオネル・メッシはドリブルがすごく上手いです。しかし、かわすだけでなく、自分に引き付けてパスも出せます。世界のサッカーでは、かわしてクロスを上げられたり、相手ディフェンスがサポート来れない状況で一対一ができて、さらにパスを出せる選手しか通用しません。それができる選手たちは、ジュニアのころからいかに数的優位をつくって攻めるかを学び体得しています。したがって「小学生の間はドリブルを習得する」ではなく、パスもドリブルもどちらもあるよという理解をさせてほしいのです。サッカーはチームゲームであり、全員が協力してボールをゴールまで運ぶ。サッカーはそういうスポーツだと理解してもらってください。■ひとりで練習して取得する「クローズドスキル」はできるが、ゲーム形式ができない私は今、幼稚園から小、中、高校生と、5歳くらいから18歳まで育成の全カテゴリーを指導しています。すると、日本の高校生はドリブルやボールコントロールといったひとりで練習して取得する「クローズドスキル」は一通りできます。そんなに強豪クラブや強豪校ではない選手たちもみんな下手ではありません。ところが、ディフェンスをつけたりゲーム形式でサッカーをすると、容易にできないのです。例えば、ずっとトップスピードのままではシュートは打てないので、どこかのタイミングで体を緩めてボールを冷静にゴールに流し込む。そんなスキルが必要ですが、それがあまり上手ではありません。他者との関係性があるうえ守備につかれるわけなので、クローズドスキルだけでは成功しません。そう考えると、小学生の間にたくさんゲームをして、試合に使う技術を身に付けることが必要です。■「台無しだ。お前のせいで......」オシムさんが巻誠一郎選手を責めた理由例えば、オシムさんが監督だったころジェフ千葉にいた巻誠一郎選手はなかなか得点できず苦しんでいました。そこでオシムさんに「練習の後シュート練習をさせてほしい」と居残り練習を直訴しました。すると、オシムさんはこう言ったのです。「心配するな。シュートも全て俺の練習に入っているから」恐らく巻選手は、ひとりでドリブルで持ち込んでシュートを打つといった練習を考えていたのだと思います。しかし、守備のプレッシャーも何もなくそんな状況でシュートを打つ場面は、ほとんどありません。ヘディングが武器だった彼には特になかったと思います。それよりも、試合の流れやサッカーの成り立ちを理解して、攻守の切り替えを早くしたりすることが先決でした。当時、ある試合で巻選手が抜け出してシュートをミスしました。相手守備にひっかかって大きく跳ねたボールはそのまま相手からのカウンターにつながり、失点したのです。残り時間の少ないことを考えると、慎重にプレーする必要がありました。オシムさんは「台無しだ。おまえのせいで負けた」と巻選手を責めました。あっという間に逆襲されたその場面は、2018年W杯ロシア大会決勝トーナメント1回戦の日本対ベルギー戦のようでした。オシムさんはドリブルや細かい技に固執するのではなく、パス出して走ること、もっと言えばダイレクトパスにこだわりました。シンプルにプレーすること。無駄なことをしないこと。みんなが動かないといけないのだと説きました。■ドリブルを「チームのためにどう使うか」(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)今回のW杯でアルゼンチンはメッシ中心のチームにして優勝しましたね、という声もあります。しかし、彼らの勝利のすべてをうのみにしてはいけません。さらにいえば、育成年代ではそういった指導は避けなければならないと私は思います。上手い子がボールを持つと、いい場所にいる味方がパスをもらえないことが日本の少年サッカーには多いようです。周りが「パスして」と声を出しても、その子は延々とドリブルしています。それを大人も許してしまいます。そこで「ドリブルをやめなさい」と命じるのではなく、「君はドリブルで抜いた後、何をしますか?」と問いかけて考えてもらってください。「そのドリブルは、どうやったらチームのためになるのかな?」そんな質問です。引き付けてからフリーの仲間にパスをして、もう一度もらう。みんなのためにドリブルをどう使うか?そんな発想になればよいと思います。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年01月20日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「視野を確保できない、正しい判断ができない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中は、仲間の状況や相手の位置などを目で見て判断することが大事。 しかし、初心者は足元のボールを見てしまいがちで顔が下がったままプレーすることが多く、視野を確保するのはなかなか難しいもの。今回は、視野を確保してよく見れるようになること、その上でプレーの判断ができるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.目印を2種類2つずつ用意して、同じ種類を対角線に配置。まずは身体の向きやどちらの足でコントロールするかをゆっくりやってみる2.逆サイドも見れるように、ボールから遠い足を意識してコントロール3.身体の向きと顔を上げて視野を確保することにを意識しながら、対面でパス交換4.親はパスを出したら対角線に移動。子どもは受けたボールを足元でコントロールして、前にパスを出す。慣れたら親も子もパスを出した後、対角線の目印に移動5.ワンツーを意識。ダイレクトパスを使ってワンツーで対角線に移動6.視野の確保にプラスして判断を加える。親の動きに合わせて、コントロールした方が良いのか、ダイレクトでパスを出した方が良いのか、ドリブルをして相手を交わすのが良いのか判断をしてプレー【トレーニングのポイント】・身体の向きがわかったら、視野を確保するために顔を上げて逆サイドの状況を見ておくことが大事・ワンツーパスで相手を交わすイメージで行う・親が何も合図を出さず動きもゆっくりだったら、子どもは足元でコントロールしてからゆっくり前にパス・しっかり顔を上げて相手(親)と周りを見る・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2023年01月19日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「ロングキックを左右に蹴り分けできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、大きくサイドチェンジをする場面などで長いパスを出すことがあります。その時、味方の動きに合わせて右、左、真ん中と狙ったところに蹴る必要があります。しかし、初心者は味方の動き出しに合わせた咄嗟の蹴り分けが難しいもの。今回は、相手のスピードに合わせてロングキックの蹴り分けができるようになるトレーニングを紹介します。親は左右に動くだけ。難しい動きはありません。【やり方】1.子で少し離れて立ち、親の左右に目印を置く2.親が目印に合わせて走り、子どもは親の移動先にパスを出す3.慣れてきたら親の動き出しに合わせたパスを出す4.子どもは軽くドリブルをしながら蹴れるタイミングを見て親が動いた先に蹴る【トレーニングのポイント】・走っている相手のスピードに合わせてちょうどいい強さで蹴る・親が速いスピードで動いているときは速いボールを蹴る・ゆっくり動いているときはボールを足元に置いて丁寧にボールを蹴る・長い距離なので浮き球で蹴ってもOK・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2023年01月17日サッカーをする子を持つ保護者の皆さんが、子どものサッカーに望むことは何ですか?プロになってほしい、プロは意識してないけど上手くなってほしい、チームスポーツで協調性を身に付けてほしい、気の合う仲間との出会いがあって長く続くと良い、とにかく楽しんでほしい、など人によって様々な感情があると思います。昨秋、サカイクで行った読者アンケートできいた「親が子どものサッカーに望むこと」のランキングを紹介します。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「親が子どものサッカーに望むこと」のランキング楽しくプレーすること82.6%自主性・主体性を身につけること79.2%礼儀・マナーを身につけること67.4%努力・忍耐力を身につけること66.7%協調性を身につけること 59.0%運動能力の向上 46.2%論理的思考力(ロジカルシンキング)44.8%上手くなること 40.3%試合で結果を出すこと27.1%その他5.9%一番多かった回答は「楽しくプレーすること」。本人がやりたいと言ってチームやスクールに所属したご家庭も、親がスポーツをさせたくてサッカーを薦めたご家庭もあると思いますが、どんなきっかけで始めたにしろ、子どもにはサッカーを楽しんでほしいと望む保護者が多いですよね。好きで楽しいからこそ、もっとうまくなりたいという気持ちが生まれたり、頑張る原動力になるものです。親御さんとしても子どもが楽しんでいる笑顔を見るのは何よりの幸せですよね。「楽しむ」にもいろんな種類があり、仲間と笑顔で過ごすサッカーの時間を楽しんでほしいというだけでなく、真剣になって取り組むことで感じる楽しさも感じてほしいという願いもあるようです。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■サッカーは自分で考えるスポーツだから2位は「自主性・主体性を身につけること」でした。サッカーの試合では、自分で考えて動かなければなりません。また、練習や合宿の準備などもいつまでも親がやってあげては、自分のことを自分でできるようになりませんよね。サカイクではサッカーを通じた子どもの自立をサポートする情報を発信しているため、それに共感いただいている親御さんたちの、年齢なりに自立していってほしいという意見が反映されたようです。■忍耐力のない子が増えた?続いて「礼儀・マナーを身につけること」「努力・忍耐力を身につけること」が並びました。サッカーというチームスポーツを通じて、そこでの振る舞いや礼儀を身に付けてほしいという声は以前からありますが、昨年のアンケートでは63.0%だったので、やや増加している結果になりました。社会の変化や家族、親族や近所づきあいなども含めた関係性の変化もあって、礼儀やマナーを学ぶ機会も減っているのかもしれません。また、最近は心が壊れるまで辛いことに耐えなくていいという考えが浸透してきていることもあり、学校もスポーツも以前より休んだり辞めやすい状況になったりしていることもあり「忍耐力がつかない気がする」「忍耐力のない子が増えた」と心配をしている保護者は多いようです。サカイクにも、サッカー行きたくなさそうだけど、簡単に辞めさせたら辞め癖がつきそうで不安、嫌なことからすぐ逃げる子になるのではないかと心配。というご相談をいただくことがあります。昨今のスポーツ以外にも娯楽をはじめたくさんの選択肢がある中で、努力し続けることや耐え忍ぶこと、挫折・困難を乗り越える力をつけるのが難しくなったと実感している方が増えた結果といえそうです。■意外に支持が低かった「上手くなること」「上手くなること」を選択した回答は40.3%で、「楽しくプレーすること(82.6%)」の約半数という結果になりました。もちろん誰だって上手くなってほしいと思うもの。我が子に「下手でいてほしい」という親御さんはいないはずです。上手くなることで自信をつけたり、できなかったことができるようになると達成感を感じるので、そのような経験をさせることも含めてサッカーが上手くなってほしいと思うのは当然のことです。ただ、上手くても楽しんでなければ親御さんもつらいですよね。親にとって我が子に望むのはサッカーを心から楽しんでプレーすることの方が重要だと考える方が多いという結果になりました。■その他の内訳その他を選んだ方からは以下のようなコメントも寄せられました。・サッカーを好きでい続けてくれること・コミュニケーション能力を身に付けること・できなかったことを練習して達成した時の喜びを体験してほしい・生涯に渡る仲間を得ること・成功体験・失敗や挫折の経験を通じて、豊かな人間性を身につけてほしい最初は純粋に我が子が楽しんでいる姿を見るのが幸せだったはずなのに、学年が上がるにつれ熱が入り、保護者の方が勝利にこだわるようになり、出場機会のことで親同士がギスギスしたり、子どもたちもチームメイトを見下すようになったりして、サッカーが楽しくなくなる方も多いようです。周りを変えるのは難しいかもしれませんが、いま一度自分は子供のサッカーに何を望むのか、を見つめなおすことで親御さんの心も少し軽くなるかと思います。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2023年01月16日チームで一番下手で仲間に「辞めたら」と言われるけど、落ち込む割にメンタルが強く口も達者なので必要以上に言い返す息子。言い返すことで仲間からの風当たりが強くなり、サッカー以前の所でもめていることに思い悩む日々。親として何ができる?とのご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとに、今お母さんに必要なことをお伝えします。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<試合に呼ばれない息子にイライラして当たってしまいます問題<サッカーママからのご相談>いつも読ませて頂いて、勉強させてもらっています。ありがとうございます。小学3年生の息子のことで相談です。息子は5歳からクラブチームでサッカーをしています。素人の親からみても、息子はチームで一番下手だと思います。なので、仲間から「下手くそ」「もう辞めたら」など、言われるそうです(息子談) 親からすれは腸が煮えくり返り、一言言ってやらねば気がすまない!と思ってはいるのですが、そこは私も島沢さんの長年の読者ですので、今までの連載を読んで、どうするかは息子が決めるのだ。余計なことはしない!とスルーしてきました。ただ、息子は落ち込む割にメンタルが強く、しかも口も達者なので必要以上に言い返しているようなのです。「辞めれば?」と言われたのに対して「お前にそんなことを言われる筋合いはない。嫌ならお前が辞めろ」と言い放ち、「下手くそ」に対して「じゃあ、お前はそんなに上手いのか?どこが?」と返したと......。親からしてもちょっと言い過ぎだと思います。息子からしか聞いていないのでどこまで本当なのかはわかりませんが、息子が言い返すことで増々仲間の当たりが強くなってる様子です。 一番下手なヤツからこんな嫌な感じに言い返されたら、かなりイラッとしますよね......。チームメイトの気持ちもわかります。うーんしかし、サッカーとは違うところで揉めている気がして何だかな......。と思い悩む日々です。練習の度に息子は強く当たられるし、息子は息子で嫌なヤツだしで「必要なら母さんがコーチに相談することもできるけど!?(ていうか、言いたい!と思っています)」と意気込むも、「オレは大丈夫。何も言わなくていい。」とのことで、今のところ見守るしかありません。「言い返さない、という方法はないの?」と聞くと、「何?じゃ、オレは言われても我慢しないといけないの?」と返ってくる始末。本人には言いませんが、だって下手なのは本当なんだからそりゃ多少は言われるでしょう、と内心思っております。「言い方、伝え方の問題だよ」と説明するも聞かず、 口では私も敵わず 「ケンカするならコーチの前に行って言い合いを見てもらいなさい!気持ちのいいケンカをしなさい!」とよくわからないことを言ってしまいました。ここまでになると仲間との関係修復は難しいのでは、と思います。辞める?と息子に聞きましたが、辞めないとの返事でした。 息子はこのままでいいのでしょうか......。仲間とサッカーを楽しんでほしいのですが、それ以前の問題に悩んでいます。私に何かできることはありますか?<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。いつも読ませていただいて......とお礼まで書いてあって嬉しい限りです。息子さんが仲間からからかわれても「どうするかは息子が決めるのだ。余計なことはしない!」と決めて見守ってこられたと書かれています。立派です。さすが、わたくしめの読者!誇らしく思います。そして、そして、息子さんもとても立派!下手くそ、辞めろなどといじめられても負けていません。「お前にそんなことを言われる筋合いはない。嫌ならお前が辞めろ」と言い放つなんて、惚れ惚れします。もしも私がお母さんだったら、「息子よ、よく言った!その通り!」と褒めちぎります。■9歳ぐらいだと人の気持ちに配慮できない子もいる今の子ども社会で、いじめは大きな問題です。いじめる側が悪いのは当然ですが、息子さんの9歳くらいの年齢はまだ人の気持ちに配慮するといったことができない子どももいたりします。心身の発達や、家庭環境などによって子どものありようがまだまだバラバラな世代です。そこを鑑みて、いじめられたとしても親のほうは「気にすることないよ」と励ましてあげればOKなわけで、この息子さんの場合は自分で跳ね返す力をもっているわけです。サッカーも続けているのであれば、今のところ彼に何の問題もありません。それなのに......。なぜ突然、母さんがコーチに相談するとか、言い返さない方法はないのか?などと「余計なことをしたいモード」になってしまったのでしょうか。その点について考えてみましょう。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■心配からの質問も、状況によっては「チームを辞めてほしい」と伝わる場合もそもそも息子さんの「オレは言われても我慢しないといけないの?」という反論は正しいと私は思います。言い返さない方法はないかというのは「言い返すな」という指示命令にも聞こえます。「下手なのは本当なんだからそりゃ多少は言われるでしょう、と内心思っている」は、息子さんに失礼ですね。本人には言いませんがと書かれていますが、子どもは鋭いイキモノです。お母さんがサッカーをしている自分をどう思っているのかはわかっているはずです。前述したように「下手なんだから言われて当然」と考えたり、いじめに抗っている息子さんに対し「言い方、伝え方の問題だ」と責めてみたり、自分は大丈夫だと息子さんは伝えているのにクラブを辞めるか?と尋ねています。本人が辞めたいと言っていない状況でそれを質問されると、子どものほうは「お母さんは僕に辞めてほしいと思っている」と伝わる場合もあります。■子どもより親の方が不安定になっているさらに言えば「一番下手なヤツからこんな嫌な感じに言い返されたら、かなりイラッとする。チームメイトの気持ちもわかる」のくだりは、お母さんの本音でしょうか?お母さんは、息子さんが自分より下手な子をいじめて、その子に言い返されたと言ってきたら「だよね。イラつくよねえ」と同意しますか?ご相談文でしか様子がわからないので私の見解がすべて正しいとは思いません。が、その前提で申し上げると、いじめられている息子さんよりも、むしろお母さんのほうが不安定になっているように受け取れます。弁の立つ息子さんは、懸命に抗いながらサッカーを続けています。ところが、お母さんのほうが仲間の暴言や扱いに耐えられないのではないですか?サッカーが下手な息子。文句を言われるわが子。文句を言われたら言い返す息子。そんな息子さんの姿を見たくないのではないでしょうか。それゆえに、息子さんに対しメールで毒を吐かれたのかなと勝手に解釈しました。■今親ができる3つのこと(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)最後に三つほどアドバイスします。「私に何かできることはありますか?」とありますが、この件についてお母さんは現段階で何もすることはありません。まずは、お母さんは手を引くことです。仲間とのあれこれについて根掘り葉掘り尋ねたりしないこと。コーチの前でケンカしろといったわけのわからない(お母さん自身もそう言ってますが)指示もやめましょう。二つめ。いじめに対し抗っているお子さんをもっと評価しましょう。息子さんに「負けずに言い返すなんてすごいね。お母さんにはできないわあ」くらい言ってあげてもいいように思います。サッカーで否定され続けているのに、家に帰っても親から「言い過ぎだ」などと否定されては、いくら抗う力のある子でも心が折れてしまうかもしれません。「君は何も悪くないよ。何かお母さんにできることがあれば言ってね。もしチームを替わりたくなったり、何かあれば言ってね」などと言っておくこと。あとは、サッカーの練習や試合から帰ってきたら「楽しかった?」と聞いてあげてください。三つめ。仲間とサッカーを楽しんでほしいと書かれていますが、息子さんがサッカーは楽しくないと言ったのでしょうか?できれば、一度「私のほうが息子にサッカーをやめてほしいのではないか」と自問自答してみましょう。まずはお母さんが「余計なことをしたいモード」から解放されることが先決です。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2023年01月16日認知して判断して状況によって動くという仲間がいて成り立つ「オープンスキル」でサッカーのゲーム(試合)は成り立っています。これまで池上正さんをはじめ、いろんな方がオープンスキルの重要性をお伝えしていますが、アンケートの回答で子どものサッカーの情報で求めているものとして「一人でできる自主練メニュー」(=クローズドスキル)を挙げる人が非常に多いのです。その理由は何なのでしょうか。以前サカイクでは、「一人でできる自主練メニュー」を求める理由についてツイッターでアンケートを実施いたしました。結果をご紹介いたします。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!・近所にサッカーをして遊べる友達がいない26.7%・止める、蹴るが出来ず周りとの連携プレー以前の問題23.3%・ミスをして友達に迷惑をかけるのが申し訳ないから3.3%・その他46.7%「近所にサッカーをして遊べる友達がいない」子どもたちのするスポーツも、都市部ではサッカー、野球、テニス、水泳、体操などをはじめ選択肢もたくさんあるので、近所にサッカーをする子がいないという環境もあるようです。それ以外にも、スポーツ以外にも習い事漬けになっていたり、親同士が知り合いでないご家庭の子とは遊ばせないなど、様々なトラブル回避などの理由から学校以外でお友達と遊ぶことが少ないという子も最近は少なくないようです。似たような理由で、お受験をして学区外の私立に行っているので近所の子とそれほど知り合いでないといった子も。自主練をするのはだいたい学校から帰ってからや、休日なのでお住いの地域や環境によって違いはあるものの、近所に気軽にサッカーができる子がいないとなると、どうしても一人でできる練習を求めてしまうのでしょう。「止める、蹴るが出来ず周りとの連携プレー以前の問題」「ミスをして友達に迷惑をかけるのが申し訳ないから」こちらは似たような理由ではありますが、そもそもの技術が周りより劣るのでオープンスキルどころではない。という考えや、ミスをして周りに責められて自信を無くすのも心配だから、ある程度技術が身についてからにしてほしいという親心のようです。また、学習ドリルのように「まずは基本から」という考えを持つ方も少なくないので、例えばキック一つをとっても、最初に足のどこで蹴るかの説明があって、そのあとボールに足を当てる練習に進み、それができたら対面でパス交換、といったふうに動き方の基礎から段階を踏んで進めるものと考える方もいて、かならずしも正確なキックの方法でなくても連係プレーはできることをイメージするのが難しいようです。また、最初に1人でできる基礎技術を身につけてから、複数人の連携にステップアップと認識している方が多い印象もあります。そういった前提もありつつ、お友達やチームメイトに迷惑をかけないように、との思いからまずは一人でできる練習メニューでスキルを身に付けてほしいという考える親御さんが多いようです。その他「その他」の意見で耳にするものには、「自宅周辺でできるから」といった空き時間に気軽にできるから、といったご意見や「自主練でリフティングの回数を増やしたい」と、一人で手軽にできる練習だと親としても楽というものが多数。最近ではチームに所属せずサッカースクールだけの子も増えてきており、そういったこの親御さんたちからは「チームに入ってないので連係プレーをすることがあまりない」「スクールで役立つキックやシュートを身に付けさせたい」という声を聞くこともあります。サッカーをする子たちの環境も多様になっておりますが、それぞれの事情で「一人でできる練習」を求めているようです。ボールの感覚をつかむこと、ボールを扱う楽しさを知るためにもクローズドスキルが全くいらないわけではありませんが、サッカーは1人ではなく複数人で協力し合うスポーツです。自主練で学んだことをコートの中で発揮し、仲間とサッカーを楽しんでほしいものですね。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2023年01月13日新年になり、心新たに目標を立てたくなる1月。子どもたちがサッカーで描く夢や目標は「上手くなりたい」という言葉で表現されがちですが、どうしたら上手くなれるかまで自分の言葉に落とし込むことが上達への近道です。真面目に頑張ることを評価してほしい、と思う親御さんは多いですが、課題を理解せず闇雲に頑張ってもサッカー上達にはつながりません。そこで、具体的な目標を立て、努力の仕方を正しい方向へ導く方法をサカイクサッカーノートの監修者・藤代圭一さんに教えていただきました。サカイクサッカーノートを使って、藤代さんの教えのもとに目標を立ててもらったので、みなさんもお子さんと一緒に実践してみてください。(構成・文:小林博子)強豪チームも導入!上手くなるために「正しい努力ができる」サッカーノート>>関連記事:「振り返り」ができるようになって上達を実感、強豪街クラブ・センアーノ神戸が導入したサッカーノート■目標を立てるなら「なりたい自分から逆算」するまずは、大前提として念頭に入れておいてほしいことが1つだけあります。目標の立て方には大きく分けて以下の2種類があり、サカイクサッカーノートでは逆算のアプローチを採用しています。1.できてないことができるようになるための目標2.理想のゴールから逆算してその過程として定める目標いつか叶えたい夢や目標のために「今年」するべきことを具体化する方法をこの記事でお伝えします。大切にしたいのは「正しい努力」のための目標をサポートすることです。今回お伝えする目標の立て方は、やみくもに練習するのではなく、自分の現在地を把握して課題を明確にし、その課題解決に向けてするべき努力にフォーカスする。そんな「正しい努力の方向」へ子どもを導くためのノウハウです。今回参加してくれたのは、シンキングサッカースクールに通う小学6年生のモトチカくん。中学生から所属するサッカーチームも決まっているそうです。普段からスクールで「サカイクサッカーノート」を使用していて、自分のプレーへの振り返りや、それをどうしたらさらに上達するかなどを考えて練習に臨む姿勢が身についていました。そんなモトチカくんが、藤代さんのマンツーマンでの指導を受け、たった1時間で漠然とした気持ちが具体的に言語化し、はっきりとした目標を立てることができました。■ステップ①2022年の自分に点数をつける最初に行うのは昨年の自分の振り返りです。100点満点でサッカー面、学習面、生活面の総合点を自分につけます。「なんとなくこれくらいかな」でOKです。モトチカくんの自己評価は「70点」とのこと。その理由を聞くと、「できなかったことが多い1年だった」と言います。具体的に聞いてみると、できたことは試合でのマークのつき方が上手くなった、コーナーキックでのプレー面での成長など。学習面・生活面でもいくつかの「できた」エピソードを披露してくれました。その後、「どうすれば75点になったと思う?」と、あと5点多い75点にするためにできるはずだったことも聞くと、具体的なエピソードをいくつも思い出しながら話してくれました。点数をつけることよりも、その点数にした理由を本人の言葉で語ってもらうことがここでは重要です。「たとえばどんなこと?」とより具体的に話せるように促してあげましょう。これは自分の現状把握と課題を自分の言葉で確認し、整理するステップです。ステップ①でやること・2022年の自分に点数をつける・その点数の理由を「できたこと」から聞く・あと5点多い点を取るためにできたことを具体的に聞く■ステップ②2023年のWishリストを箇条書きにする続いて、「なんでも叶うとしたら何を叶えたい?」と問いかけ、その答えを箇条書きで10~20個ほど書いてもらいます。どんな自分になりたいか、身につけたい力、会ってみたい人、行ってみたい場所などなんでもOK。制限時間は5分間。考えすぎず思いつくままに綴りましょう。その後、そのリストを叶えたい度合いで下記のように3段階で評価します。A:絶対叶えたいB:まあまあ叶えたいC:とりあえず書いたけど、叶わなくてもいいそして、Aをつけた中から「最も叶えたい1番のWish」を1つだけ選び「A-1」にします。モトチカくんは5分で14個書き、一番最初に力強く書いた「サッカーが上手くなりたい」にAの1番をつけました。ステップ②でやること・思いつくままにWishリストを箇条書きにする・書いたリストをABCの3段階に分ける・Aのうち最も叶えたいリストを1番にする■ステップ③最優先の目標を叶えた自分を言葉にして想像するモトチカくんがA-1にしたのは「サッカーが上手くなりたい」。どんなプレーが"上手い"と思う?こうなりたいという選手は誰?何歳でその選手のようになりたい?こんな質問をして、漠然とした「サッカーが上手い」を細分化していきます。モトチカくんの答えは「上手いとはドリブル・シュート・パスが正確で、ポジション取りが良いこと、そして紳士的なプレーをする人のことで、クリスティアーノ・ロナウドのような選手のこと。20歳でそうなりたい」でした。20歳でそうなった自分を想像して頭の中で映像化してもらうと、「最高!わくわくする」とのこと。このわくわく感も大切にしたいポイントです。ステップ③でやること・WishリストのA-1を細分化してより具体的にする・A-1が叶う年齢も決める・A-1が叶った自分を想像してわくわくする!(わくわくするかどうか?)■ステップ④理想の自分になるために、今年の終わりにどうなっていたいかを考える約10年後にクリスティアーノ・ロナウドのような選手になる......。これだけでは漠然としています。そこで、この目標を年間で刻み「今年は何をするか」に落とし込んでみます。2023年の年末にどうなっていたら、10年後のなりたい自分に近づいているかを考えます。サッカー面、学習面、生活面の3つに分け、今年の終わりにどうなっていたらモトチカくんにとって最高かを聞きました。まずは総合点を「74点」にする。1年で4点ずつあげていくと、10年後に100点に到達すると計算しました。そして、2023年の終わりになりたいことはこうなりました・サッカー:少しでも上手くなりたい・学習:自主的に取り組めるようになりたい・暮らし:少しでも頼られるようになりたいそのためには?例えばサッカー面では、「今年の終わりに上手くなったと思えるのはどんな状態か」「パスは、ドリブルは、上手くなるためには何をどうやって練習するか」まで聞き、モトチカくんの言葉で詳しくノートに記入してもらいました。モトチカくんにとって「2023年の終わりに上手い状態になっている」とは「上手いチームとの試合でも通用する実力を備え、Jリーグの下部組織チームからスカウトがくる」だそう。これを「○○な自分になる」という表現に置き換えて書き、より強い主体的な目標として心に刻みます。・サッカー:上手いチームに通用する自分になる・学習:自分から取り組める自分になる・暮らし:周りから頼られる自分になるそうやって完成した今年の目標がこちらです。ステップ④でやること・A-1(=最優先)の目標が叶う自分になるために今年の終わりにどうなっていたいかを考える・そのためにしたいこと、するべきことを1つ1つ細分化して言葉にする・それらをふまえ、目標を「-な自分になる」という表現に置き換える■何をどうやって、1年後に目標に近づくか具体的に落とし込む最初は「上手くなる」だけだったものが、「何をどうやって頑張って、1年後にどんな自分になっているか」まで落とし込まれました。向かう方向を明確に定めた目標が、モトチカくんをぐっと成長させてくれるに違いありません。「こんな自分になれていたら最高」という未来の自分が見えるのも、前向きな気持ちにさせてくれることでしょう。目標が完成したモトチカくんへの藤代さんからの最後のアドバイスは、この目標を今年1年間、何度も見返すということでした。ノートだったら付箋を貼っておくと良いそうです。「年始に立てた目標を年末まで覚えている人はたったの1割」なのだとか。目標は立てただけで終わらせず、意識し続けることが大切です。藤代さんの教えに従い頭を整理すること1時間弱、たったの4ステップで目標はここまで変わります。子どものサッカーだけでなく、親御さんの今年の目標設計にももちろん使えるノウハウ。親子でぜひ試してみてはいかがでしょうか。藤代圭一(ふじしろ・けいいち)メンタルコーチ教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力を育む『しつもんメンタルトレーニング』を考案。アムステルダムやシアトル、シンガポールなど世界各地の子どもたちにも実施。全国優勝チーム、日本代表チームなどさまざまなジャンルのメンタルコーチをつとめる。子どもや選手に「やらせる」のではなく「やりたくなる」動機付けを得意とし、全国各地の指導者のコーチとしても活躍。2023年からはオンラインのメンタルトレーニングスクールを開校。著書に「子どものやる気を引き出す7つの質問」「教えない指導」ほか多数。強豪チームも導入!上手くなるために「正しい努力ができる」サッカーノート>>
2023年01月12日お子さんたちは冬休みの時期です。親御さんたちも年末年始はお仕事がお休みの方も多いのでは。本日は、ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」で2022年8月から12月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった記事をランキングでご紹介します。今年は冬にワールドカップが開催され、日本が強豪国から勝利を挙げるなどサッカー熱が高まっているかと思います。このタイミングで、親子でサッカーについて話し合ったり、子どものサッカーへのかかわり方を見直すきっかけにしてください。第3位止める・蹴る・運ぶが目的になってはいけない。セレッソ大阪が足元の技術と同じぐらい重要視していること3位はこの夏開催された、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022で取材したセレッソ大阪U-12の記事でした。セレッソ大阪のアカデミーの育成についてのお話、サカイクの読者も関心が高いサッカーの「止める・蹴る・運ぶ」が目的になってはならない理由とは。「止める・蹴る・運ぶ」の技術に特化するのではなく、「サッカーをする」上で大事なこと、Jクラブのアカデミーの考えをご覧ください。記事を読む>>サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!第2位たくさん練習することを「頑張っている」と喜ぶ親や指導者がいるけど、正しいの? 練習しすぎの影響を教えて2位は「練習しすぎ」の弊害について池上正さんにお話を伺った連載記事でした。たくさん練習すると上手くなる、と思っている方は多いですよね。「リフティングが何百回もできるようになったんです」「サッカーが好きすぎて練習後も数時間自主練してます」のように、時間や回数で評価する価値観をお持ちの方はまだまだいますが、毎日たくさん練習することでオーバートレーニングになるなど、心身の成長に影響はないか気になっている方もいるのでは?この記事では練習しすぎの弊害とともに、筋力アップやスキル習得のために必要な事についてもお伝えしています。成長期のお子さんを育てる読者の皆さんに、ぜひ知っておいてほしいことですのでご一読ください。記事を読む>>第1位「子どもが人質」だからと暴力暴言指導を黙認する親たち 当事者として子どもを守る方法は?下半期1位は、「暴力暴言指導を黙認する親たち」に向けた、当事者として何ができるかをご紹介した記事でした。未だに暴力暴言指導がある、旧態依然とした指導の背景には指導者たちが受けてきた教育が......と言った記事は多いですが、この記事では子どもが理不尽な指導を受けているのを「子どもを人質に取られて何も言えない」と黙認してはいけない、と伝えているところが読者の皆さんに共感をいただいたようです。「ひどい目に合っているのを知っているのに、うちの親、子どもを守る行動してくれなかった」と、子どもの心に刻み込まれないよう、保護者の皆さんができることをご紹介しています。子どもを守るために大人は何ができるか。今現在悩んでいる方だけでなく、お子さんをサポートしたいすべての親御さんにご覧いただきたい内容です。記事を読む>>【次点】上位3つに続いたのはこれらの記事でした。こちらも冬休みの間に改めてご覧ください。堂安律を輩出した関西の育成クラブ・西宮サッカースクールが「低学年のうちはパスを使わない試合もさせる」ワケTOP3に次いで見られたのは、ワールドチャレンジでの西宮サッカースクールへのインタビュー記事でした。関西有数の育成クラブとして知られ、堂安律選手を始めとするプロ選手を輩出しているクラブが低学年のうちはパスを使わない試合もする狙いは何なのか、伺いました。記事全文を読む>>息子を試合に出さない理由を、親がコーチに聞いてもよろしいか問題こちらの記事も惜しくもTOP3には入りませんでしたが、たくさんの方に閲覧いただきました。試合出場の条件にリフティングの回数を出したから、練習してチームで一番できるようになったのに、出場機会が減っている。子どもは5年生なんだけど、試合に出さない理由を親が問いただしても良いものか。というご相談へのアドバイスです。疑問や不満を持っているけど「試合に出るために何が必要なのか」指導者に質問できないお子さん、結構いるのでは?親が出る幕なのか、子どもに行動させる方がいいのか、記事をご覧になって考えてみてください。記事全文を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年12月28日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「タイミングが読めずインターセプトできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、相手のパスをカットして攻撃に繋げるインターセプトができると、相手を1人置き去りにできるので数的優位になり、チャンスが生まれます。しかし、初心者はどのタイミングでパスカットに行けばいいか、タイミングを判断するのが難しいもの。今回は、相手のキックを予測してインターセプトができるようになるトレーニングを紹介します。親はボールを手で転がしてOK。ボールを蹴れなくても大丈夫です。【やり方】1.子どもの前に目印を置き、親子で対面して立つ2.親がボールを持ち、目印に向かってボールを蹴る(※投げても転がしてもOK)3.子どもはボールが目印に当たる前にボールをカットし、親に返す【トレーニングのポイント】・どのぐらいの強さのパスなのかを予測する・強く蹴ろうとしているのにインターセプトを狙い前に出ていくと、頭上を越されるなど対応されるので相手のキックの振りをよく見る・インターセプトした後のプレーを意識しながらボールを狙う・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年12月27日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「浮き球のコントロール、浮き球を蹴れない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、味方からロングパスが飛んでくることがあります。縦に早い展開をするときや、大きくサイドチェンジをする際に有効な手段です。しかし、ロングパスは遠くに飛ばすために強く蹴るので勢いがあり、高さもある浮き球なので、初心者のうちは飛んでくるボールへの恐怖心もあり、どうコントロールすればいいかわからないもの。今回は、試合の中で使われるロングボールを落ち着いて上手にコントロールして次のプレーに繋げられるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.親子で対面して立ち、親がスローインのボールを投げる。子どもは足でコントロールして親にボールを返す2.最初は相手選手が背中側にいる状態でのスローイン。ボールを受ける子どもは背中で(イメージの)相手選手をブロックしながら足元でコントロールして親に返す3.逆サイドにボールを展開するコントロール。身体を開いてスローインのボールを受け、逆サイドをむいてから親にボールを返す4.前にスペースがある状態でのスローイン。前方に走ってボールをコントロールし、親にボールを返す。次のプレーでボールを前に運ぶイメージで行う慣れてきたらノーバウンドのボールでもやってみるなど難易度を上げる【トレーニングのポイント】・どんなボールが飛んでくるのかよく見て足を合わせる・背中に相手選手がいる場合は、身体で相手をブロックする・逆サイドに展開する場合は、身体を開いてボールを受ける・前方スペースへのボールは、自分の体と一緒にボールを持ち運ぶイメージで行う・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年12月26日この秋、島根県雲南市の大東ふれあい運動場陸上競技場にて「昌子源カップ」という少年サッカー大会が開催されました。この大会は、島根県雲南市で活動する大東ジュニアフットボールクラブ(以下、大東JFC)が主催している大会で、クラブの代表を務める横山武志さんとガンバ大阪(※開催当時)の昌子源選手の父親で、長年サッカー指導にかかわってきた昌子力さんが島根県出身で旧知の仲ということもあり、地域の子どもたちのためになる大会にしたいと4年前から「昌子源」選手の名を冠して開催しています。子どもたちが主体の大会でどんな光景が見られたかをお届けします。子どもの主体性を育てたいと思っているチームや保護者の皆さんは参考にしてみてください。昌子源カップ出場チーム全員で記念撮影(写真提供:大東JFC)サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■ベンチに監督、コーチが入らない大会には大東JFCのほか島根県内や近隣の鳥取県、広島県などから全8チームが参加。4チームずつのリーグ戦ののち、上位決定戦が行われるレギュレーションで行われました。大東JFCの横山代表は、以前よりサカイクの理念に共感してくれており、チームでの指導においても子どもたちの人間性を高めることを重視しています。今年6月にはサカイクのイベント「池上カップ」も開催するなど、子どもを成長させることのみならず、保護者、指導者も学ぶ機会も作っています。4回目となる今年の昌子源カップでは、池上カップのフォーマットを踏襲し、指導者が選手と同じベンチに入らず、対戦相手の指導者とともに本部ベンチで声を出さず見守る方法を採用。この大会では指導者たちは選手と離れ、本部ベンチで昌子力さんと一緒に試合を見ていた(写真提供:大東JFC)そのようなやり方は初めてという指導者も多かったですが、「あの選手上手ですね」「普段どんな指導しているんですか」など指導者同士で交流をしていました本部ベンチで監督たちと言葉を交わしながら試合を見ていた昌子力さんも、「こういう形式の試合は初めて体験したけど、大人がいなければいないで子どもたちも何とかするものだし、良いね」と評価していました。指導者の中には、「子どもたちとの距離感が分かった」と口にした方もいたそうで、離れてみることでの気づきもあったようです。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■時間管理や作戦決めも自分たちで行うベンチからはポジティブな応援の声がたくさん聞かれた(写真提供:大東JFC)選手たちの方も、ベンチに大人がいないことで、普段とは勝手が違います。いつもは監督やコーチがメンバーを決めて送り出していたチームも、この大会では自分たちでしなければならないのです。いくつかの学年が混在しているチームもありましたが、多くの場合は上級生が主体的に声をかけ、自分たちでメンバーや戦い方を決めたり、試合の残り時間なども管理するなど話し合いをしながら試合に臨んでいました。監督やコーチは反対側のベンチで声を出さず見守っているだけなので、ピッチの中のチームメイトへの声掛けも選手たちが積極的に行います。外から見たプレーのアドバイスだけでなく、「いいよ、いいよ!」「ここから1点取り返そう」「まだまだいけるよ」など、ポジティブな声掛けが響き渡っていました。試合の後は、両チームが対面してお互いのチームの良かったことを伝えあう時間も設けられました。そこでもやはり、「〇〇の時のプレーが良かったと思います」「応援が積極的でよかったです」など、相手チームの良さを積極的に発言する姿が見られました。大会終了後は表彰式が行われ、順位の表彰のほかにポジティブな応援したチームを選出したサカイク賞が贈られました。チーム表彰だけでなく個人の優秀選手も選出。昌子力さんが選出した各チームの優秀選手が発表では、副賞としてガンバ大阪(※開催当時)の昌子源選手のグッズが贈られ、子どもたちは憧れの選手のサイン入りグッズに目を輝かせていました。■大人が離れることで、子どもは自分で動くきっかけをつかむ練習でも試合でも、大人が先導して行動を促すことが多いと思いますが、それではいつまでたっても自分たちで考えて動く力が身につかないものです。困っているときやアドバイスを求められたらサポートするのは当然として、少しづつでも子どもたち自身で話し合って動く機会を作ることで、思考し行動する経験を積み重ねることができるもの。大人がかかわりすぎないことで、子どもたちは自分で動き出す。参加チームの皆さんもそれを感じた1日になったようでした。みなさんのチームでも参考にしてみてください。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年12月26日ドイツ代表、スペイン代表を破るなど日本中を熱くW杯日本代表。クロアチア代表とのPK戦で惜しくもベスト8には進めなかったものの、世界と戦える姿を見せてくれました。しかし、今回も突破できなかったベスト8の壁。日本サッカーがさらに強くなるために、私たちは今回のW杯から何を学べばいいのか、育成年代でどんなことが必要なのかを池上正さんに伺いました。池上さんの提言をもとに、みなさんのチームでも話し合ってみてください。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>カタールで行われたワールドカップでドイツ、スペインに勝利した日本代表(C)新井賢一<<攻守の切り替えをどう教える?身体の向き、その時何を見ればいいのか、子どもたちに理解させる方法を教えて<サカイク編集部からの質問>今年最後の連載は、編集部からの質問になります。サッカーをしているすべてのお子さんがプロを目指しているわけではありませんが、日本のトップがどんなサッカーをしているのかを知ることは一つの学びになると思います。先日幕を閉じたW杯では、日本代表は初戦でドイツに、グループリーグ最終戦でスペインに勝利するなど着実に力をつけているように見えました。一方で、他国の戦いを見て日本に足りないものを感じたサッカー関係者もいると思います。池上さんがW杯を通じて感じた、日本が強豪国になるための課題、そのためには子どもの頃からどんなことを身に付けたらいいのか、という事をお聞かせいただけませんでしょうか。<池上さんからのアドバイス>今回は編集部からの質問です。ありがとうございます。4年に一度こうやって世界のサッカーを一気に観られ、そこで私たちの国の代表が戦ってくれることは本当に幸せなことです。ただ、毎回感じるのは、代表の強化には育成方法の進化発展が必要だということです。日本サッカー協会や識者も同じように育成に触れますが、明確な改革や対策が提示されていないようです。■DF冨安健洋が語った「8強の壁」奇しくも、8強の壁は何かと問われた冨安健洋選手が「日本人の育った環境だったり、サッカー以外のところもそうですけど、そこの本当の根のところなのかもしれない」と育成について言及しています(「日本人の育った環境、本当の根かも」 出典元:サッカーダイジェストWeb2022年12月6日配信)。皆さんは、日本の子どもたちや、彼らを育てる大人たちに何が足らないと思われますか?その点をぜひみんなで議論できるといいなと思います。以下、議論の材料にしていただけそうな提言を四つさせてください。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「習ってないからできない」ではなく、幼少期から自ら考え、学ぶ習慣を以前ある国立大学の教員養成を行う学生や大学院生らと野外料理に興じた日の出来事が思い出されます。ある学生が、薪(まき)の上に新聞紙を置いて、そこに火をつけていました。しかし、火は上に上がるので薪は燃えません。あれ?こうかな?いや、こうすれば点くかな?と何か工夫すればよいのですが、ずっと同じことを繰り返していました。その日の活動が終わってからの振り返りの会をしている時に、私が「今の大学生も危ないね」とみんなの前でそういうと、ある大学院生が「何が危ないのですか?」と聞き返してきたのです。そこで私が、「どうしたら薪に火がつけられるか色々試してみれば良いのに、それができないのが危ないということかな」と答えたのです。そうすると大学院生が「いや、僕はそう思いません」と言いました。「彼は(薪の燃やし方を)習っていないから、できないんです」彼らにとって何かを「学ぶ」ということは、大人や教師から「習う」ことなのです。しかし、それではいけません。自ら考える。自ら学ぶ。子ども時代からそのような習慣をつけなくてはいけない。それがひとつめの提言です。■子どもたちが自分のやりたいことを表現できる環境を作ることしたがって、まずはコミュニケーションのあり方から変えてください。これが二つめです。子ども各々がやりたいことがあって、表現できるようなコミュニケーションをすべきです。戦術的な取り決め、きまりごとを一方的ではなく、選手同士で考えてつくり出していく経験をさせてください。その経験を積まなくては、選手だけの力でピッチ上で細かい調整や変化をもたらすことができません。この点は、コスタリカ戦を観ていて特に感じました。そこを修正するためには、育成に携わる私たちが、子どもが監督やコーチに何でも言える環境整備に努めましょう。間違っていたら怒られるとか、恥ずかしいとか感じなくていい空気感や対等な関係をつくらなくてはいけません。例えば私は、練習が終わった後に「今日の練習はどうでしたか?」と子どもたちに尋ねます。こちらが気になることを言った子には「それってどういうこと?」と聞き返します。そこで対話が生まれ「コーチに自分の考えを言っていいんだ」という信頼と安心が生まれます。子どもに「物事を批判的に捉え判断する」クリティカルシンキング(批判的思考)を植え付けることも重要です。指導者が言ったことに「それってどういうこと?」と言える子を増やしてください。反抗している、生意気などととらえてはいけません。批判ではなく、確認をして納得しなくては前に進めないことに大人も気づく必要があります。オランダでのコーチ留学の経験があるサッカー指導者によると、同国でライセンスを取得するための指導実践で、インストラクターが言ったことに対し「僕はこう思う」ときちんと主張しディスカッションができるコーチがいたとします。すると、そのコーチに対しインストラクターは「この人、OKです」と合格点を与えるそうです。ところが、そのサッカー指導者がオランダから日本に帰って来て「ディスカッションしましょう」とコーチたちに話しかけても、誰も発言しないそうです。これは現場の選手の傾向と同じです。皆さん何も考えていないわけではありません。これは子どもも同じです。自分の発言が他の人に何と思われるかを非常に気にするのでしょう。■斬新なトレーニングができる指導者が少年サッカーのカテゴリーに来なくてはいけない三つめ。若い指導者がもっと海外に出る必要があると思います。オシムさんも同じことをおっしゃっていました。海外で教育を受けてくる、もしくは教育を見てくることが重要だと説いていました。例えばスペインで指導を学んでいる人が帰国時に、九州産業大学の練習を見て「(他の日本人指導者と)全く違う練習ですごく興味深かった」と話していました。同大学を率いるのは、オーストリアのプロリーグで監督経験がありスロベニア代表に帯同した経験も持つ濵吉正則監督です。そんなふうに斬新なトレーニングができる指導者が、少年サッカーのカテゴリーに来なくてはいけないと思っています。オシムさんやクラマーさんが、私の師匠である祖母井秀隆さん(仏グルノーブルGMなどを歴任)に「おまえは(日本の)子どものことをやれ」と言われたと聞きます。名伯楽たちは日本が重点的に取り組まなくてはいけないところを知っていたのです。■進化するサッカーの理解を深めるため、学び、議論し続けなければならない試合後勝利を喜びお互いをたたえあう選手たち(C)新井賢一四つめは、進化するサッカーの理解を深めることです。『競争闘争理論サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか?』(ソル・メディア)の著者でもある、鎌倉インターナショナルFCの河内一馬監督は、こう説きます。「相手が邪魔しに来るのを、チームでどう攻略するか?がサッカー。それなのに、いまだに一対一で勝負できるか、とか、個の力といった話に終始している。ひとりが抜けたとしても、その次のプレーを他の選手が考えなくてはならないし、そこを理解しておかなくてはいけません。すでに世界が日本の技術を認めています。足元の技術はあるけれど、サッカーが上手くできていません。数的優位を使っていません。オシムさんがよくジェフの選手に向かって「おまえたちはサッカーをしていない」と話していました。オシムさん的な表現で言うとすれば「エレガントなサッカー」です。みんながワルツを踊っているように、コレクティブに連動して攻撃する。クロアチアなどがそうでした。中盤からワンツーを使ってどんどん進んでいく。相手を崩していく。そういう感覚が日本にはありません。ぜひ議論してください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年12月23日2005年に12人しかいなかった興國高校の監督に就任し、今では日本代表のFW古橋亨梧選手(セルティック/スコットランド)を筆頭に、毎年のようにプロサッカー選手を育てているのが内野智章監督です。選手を成長へと導く技術と戦術の指導と共に注目されるのが、他の指導者とは違う独自の考え方で、サッカーだけでなく、子育てに役立つヒントがたくさんあります。今回は、指導者向けの月刊誌「サッカークリニック」での連載をまとめた内野監督の著書「根っこがなければきれいな花は育たない」から一部を抜粋し、選手を育てるための考え方と取り組みを紹介していきます。(構成・文・写真森田将義)昨年のプロ入団会見(C)森田将義サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■海外を知り、意識して日々を過ごす野洲高校を全国高校サッカー選手権大会の優勝に導いた山本佳司先生は「レスリングに励む高校生は(オリンピックの)金メダルを目標にトレーニングしているけど、サッカーは選手権優勝を目指してトレーニングをしている」と言ったことがあります。レスリングの選手として活躍した山本先生だから感じられた部分もあるのでしょうが、オリンピックでのメダル獲得が最終目標になる競技であれば、「世界の舞台で勝つには何をすべきか」を考えながら日々を過ごすことになりますし、実際のオリンピックで活躍できるのでしょう。自然と目線も上がり、人格が磨かれていく気がします。ドラマ化されたことで「ドラゴン桜」という漫画が注目を集めました。至極簡単に言えば、学力の低い生徒が奮起して東京大学を目指す物語です。近年は海外の大学へ進学する話も耳にするようになりましたが、学業面で優れた生徒が目指すのは、東大、というのが一般的でしょう。東大を目指すのが悪いことではありませんが、日本が島国でなかったならば、ドラゴン桜の目標大学はハーバードやオックスフォードだったかもしれません。りどっしり構えて見守っているから、子どもたちも伸び伸び自由にサッカーを楽しみ、挑戦しながら少しずつ自立していく。そんな環境を大人たちが作っていることを伺うことができました。毎年のようにプロサッカー選手を輩出する興国高校の内野智章監督(C)森田将義サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■島国という地理的要因が『日本一』から逆算する思考を後押ししている話は学業面に限ったものではありません。いろいろな分野で同じことが言えると感じています。地理的な要因が、「『日本一』から逆算する思考」を後押ししている面もあると思うのです。日本の外には多種多様な人々がいますし、さまざまな考え方が存在します。「異文化との接触=いろいろな経験」でもあります。そうした経験は人を成長させるでしょう。古橋亨梧のように日本人差別に直結するかもしれません。また、興國のスペイン遠征では日本人を差別するジェスチャーを受けたこともあります。もっとも、子どもたちは「それが差別的な意味を持つ」という」ことさえ理解できないようでした。■ただ海外を知ればいいわけではないそもそもサッカー界では、国際経験の重要性は以前から指摘されていることでもあります。圧倒的な身体能力の差やアウェーゲームの難しさは体験して初めてわかるものです。それを知った上で「勝つためにどうすべきかを考える」のと知らずに過ごすので、大きな差が生まれるでしょう。海外をただ知ればいいわけではありません。中田英寿さんはさまざまな国々を渡り歩いたことで日本の良さに気づいたそうです。海外を知ることで日本を好きになり、日本人の良さを再認識するケースもあります。つまり、日本人のストロングポイントを再認識し、長所を長所として確信した上で武器にするためにも海外を意識することは重要なのです。子供たちに世界を意識してほしいというのであれば、接する時間の長い教師の側も世界を意識する必要があると思います。教師も世界に飛び出し、いろいろな経験を持つべきでしょう。しかし現状では、大学を出てすぐに教師になる人がほとんどであるため、学生時代に経験したことを生徒たちに還元するのが精いっぱいです。見識を深めるためにも、大学での教職課程の中に半年から1年間の留学を必須にしたり、それに近い経験を求めたりするのもいいのではないかと考えています。■親が遠征費を柄ってくれているのに、その価値をわかっていない選手がいるもちろん、日本を飛び出していろいろな経験を積むことは簡単ではありません。時間的な問題もありますし、金銭的な負担も大きいからです。ただそ、人間性を磨くのには学生時代のアルバイトを含め、いろいろな方法があるとも考えています。國高校のサッカー部では、人間教育のために毎年3月に就労体験を行なっています。高校のOBである、「アート引越センター」の寺田寿男会長と交流させてもらう中で生まれた取り組みです。保護者の方が働いて得た給与から遠征費を支払ってくれているにもかかわらず、忘れ物をしたり、遠征先で寝坊したりして、試合に出られない選手がいます。また、スパイクやウェアを大事にできない選手が増えているのも気がかりな点です。僕は、高校を卒業し、社会人になってからもサッカーを続けてほしいと考えています。自分でお金を稼ぐようになってからも続けてほしいと思うからこそ、親に払ってもらった遠征費や買ってもらった用具の価値を理解してほしいのです。そのため、お金を稼ぐ意味を高校生のうちに理解してほしいのです。自分で稼いだお金は大切に使うでしょう。■学生のうちに実社会に触れるのは、異なる世界へ旅立つ準備になる寺田会長はお金を稼ぐことの意味を知ってほしいと考えているため、ボランティアなどではなく、「絶対にアルバイト代を払う」と言ってくれています。ただ、きつい体験をして終わるだけでは就労体験とは言えないと考えてくれているのです。就労体験は3日以上できるようにし、まとめて預かってもらうのではなく、各選手の家の近所にある営業所に行けるようにしてもらっています。すると、少人数で働くことになったり、5人ほどで働くことになったりします。さらに軽作業で終わる生徒もいれば、重労働になる生徒もいます。また、アルバイトでやって来た生徒に対する扱いも営業所の方々によって異なったりもします。アルバイト代は同じであっても、同じ労働、同じ扱いとは限りません。小学校や中学校、そして高校で過ごしている平等な世界とは異なるのが実社会です。そうした現実に少しでも触れるのは「異なる世界」へ飛び立つ準備にもなるでしょう。■遠征費を自分で稼いで価値を知る(C)森田将義就労体験で稼いだお金は、春休みの遠征費にあてるよう選手には伝えています。自分が慣れない仕事で得たアルバイト代が遠征になっていると思えば、トレーニングでボールを蹴ること、あるいは1試合の価値を身に染みて感じることができます。試合で不甲斐ないプレーに終始したとしても、不貞腐れるのではなく、今までとは違うことを考える契機にしてくれるかもしれません。何日も働かなければ手に入らないスパイクを買ってもらっていたと思えば、より大切に扱うようになるでしょう。言うまでもなく、「お金、お金」となってほしいわけではありません。自分で稼いだお金で好きなことができる価値を考える機会を得てほしいのです。また、オフザピッチの経験を通じて大人の世界を垣間見ることは教育として有意義だと考えていますし、いろいろな経験はオンザピッチでの振る舞いも良くしてくれると思うから実施しているのです。※この記事は「根っこがなければきれいな花は育たない」(ベースボール・マガジン社)より抜粋したものです。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年12月22日以前は上の学年の試合に出ていたが、部員が増えたら呼ばれなくなった。コーチには「頭が悪い」と言われたけど、悔しがっている様子もない息子に親の自分がイライラ。チームが強くなるには他の子たちも上手くなる必要があるのは分かっているけど、息子が追い越されると悔しくてしょうがない。これからもこんな気持ちが続くのに、子どもをどう見守ればいい?とのご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、男女のサッカー選手を育てた先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<クラブで理不尽に扱われた長男をやめさせる際に次男も一緒に退団。後悔してます問題<サッカーママからのご相談>はじめまして、こんにちは。息子は4歳からサッカークラブに所属し、今年で4年目の小2(8歳)です。最初は同い年がいなくて1人上級生に混じって練習し、試合に出ていましたが、1年生の頃同い年の部員が4、5名増えました。そのうちの一人が頭がよくコーチの指導をよく理解し動ける子で、息子はコーチから頭がわるいと言われてしまいました。今、上級生の練習や試合にはその子を指定し、息子は呼んでくれない雰囲気があります。息子の技術的には全然劣っていません。息子はあまり悔しがってる様子ではないですが私はかなり悔しく、この気持ちを自宅での自主練習に励むよう息子にぶつけてしまいました......。私のイライラの気持ちをどう納めたらいいのか、他の親御さんはどうしているのか気になります。チームが強くなるためには、息子だけでなく他の子どもたちも上手くならないといけない事を願う反面、息子が追い越されると悔しくてしょうがないです。こんな気持ちはこれからどんどん増えていくと思います。どんな風に息子を見守ればいいか教えてください。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。「悔しい」「イライラする」と、ご自分の気持ちを率直に語ってくださり有難いです。お母さんは、辛い目に遭っているわが子を前に傷ついているのです。辛いですね。そんなお母さんと似た気持ちで試合に出られないわが子を見守っている親御さんは、この日本にたくさんいるかと思います。■子どもがレギュラーか補欠か、など競争に一喜一憂する親が多いサッカーだけでなく、ミニバスケットボール、バレーボール、少年野球。本来は「スポーツって楽しい!」とスポーツの楽しさを味わうだけで良いジュニア期に、日本のスポーツは勝利や強くなること、他者との競争に負けないことを強いています。そんなことを踏まえて、お母さんには、まずはこの連載の42回目にあたる『土日も連休も丸つぶれなのに...わが子が試合に出られないと親が報われないぜ問題』を読んでいただければと思います。そこに、私の体験が描かれています。息子が小学1年生のころ、2年生の試合に連れて行かれた際、何試合もあるのにまったく出られなかったことがありました。一緒に参加した1年生の子は試合に出ていたため、息子が不憫なのと、ベンチにいる姿を見ているのが私自身非常に辛かった。そのときは気づかなかったけれど、私のこころは傷ついていました。そして、試合に出ていた同じ1年生のお母さんと一緒に観ていたのですが、最後の試合の前半で私は先に帰ってしまいました。帰り道に泣きながら休日出勤の夫に電話しました。すると夫から「それだと、○○(息子の名前)が、終わった後、ママは僕が出られないから先に帰っちゃったんだ、ってがっかりするんじゃない?」と言われました。親として、こころから反省しました。自分の感情ではなく、子どもの気持ちを優先して考えるべきでした。欧米は一部の競技で早期教育が問題になってはいますが、日本のようにほとんどの子どもが巻き込まれる状況にありません。対する日本は、小学生の子どもにスポーツをさせている多くの親御さんが、子どもがレギュラーか補欠かといった競争にさらされる姿に一喜一憂しています。かつての私もそうでした。そしてお母さんも同じ状況ではないでしょうか。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス①「今のあなたでは満足してない」と子どもを否定する言動をとらないでは、どうすればいいのか。かつて毒親だった私から、三つアドバイスさせてください。自分がなぜイライラするのか?そこを分析して自分を見つめ直しましょう。それがひとつめです。例えば、子どもが試合に出られず腹が立つ。頭がよくコーチの指導をよく理解し動ける子のほうが試合に呼ばれて悔しい。その怒りを息子さんにぶつけてしまうのは正解でしょうか? 心のなかにあるこんな毒を息子さんに吐き出すお母さんは正しいでしょうか?私は「いいお母さん」の物差しは人それぞれ違っていいと思いますが、正しいか否かの正解はあると考えます。試合に出られないからと言って子どもに自主練習を押し付けたりするのは、正解ではありません。イライラして怒るのもいけません。それらすべての行動が、息子さんに向かって「今のあなたではお母さんは満足しない」と否定することになります。私自身がそうだったから余計わかるのです。試合に出られない子どもに「残念だったね」「悔しいね」と共感しても、(試合に出られないのはあなたが頑張ってないからだよ。お母さんは悔しいんだよ)と胸の中で言ってしまえば、それは子どもの気持ちと同化しているのと同じ。共感しても、同化してはいけません。■アドバイス②ジュニア期は楽しむことが大事、自己肯定感を高めることそしてふたつめ。もし自分が正しいと言えないなと感じたのであれば、違う自分を探しましょう。まずは自分を整えるのです。自分を整えるときのキーワードは「今の私は子どもを成長させられる親か?」という問いかけです。息子さんはあまり悔しがっている様子はない、と書かれています。それならば、ほうっておけばいいのです。冒頭でお伝えしたように、ジュニア期で最も重要なのはそのスポーツを楽しんで好きになるかどうか。その一点に尽きます。「サッカー、好きなんだね」「今日は楽しかった?」そんな声掛けだけで十分です。あとは早寝早起きをさせて、朝ごはんを食べさせ、遠征や試合の日はお弁当を作ってあげて「楽しんでおいで」と送り出せばいいのです。それだけで十分、子どもは成長します。なぜなら「僕はお母さんから心配されていない。信頼されている」と安心する。自己肯定感が高まるからです。■アドバイス③自分が育てられた教育や子育てを踏襲していいのか、新たな学びが必要(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめ。子育て受難の時代です。私たちが受けた教育や子育てが、子どもを成長させるものかどうかを検証する必要があります。今までは、レギュラーか補欠かといった競争に子どもをさらし勝ち抜かせていく。子どもを圧迫して発奮させる。それがひとつの教育とされていました。しかし、自分もそういうふうに育てられたからと、同じ子育てを踏襲してはいけません。新たな学びを入れる必要があります。以下に三冊の本を紹介します。参考にしてみてください。①『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(庄子寛之著/青春出版社)公立小学校の現役教師が書いた本。「子どもを伸ばす親には、待ち上手という共通項があった」と話しています。副題の「イライラしない親は子どものどこを見ているのか」でもわかるように、イライラせずに子どもを見守るコツが書かれています。お母さんの疑問に答えてくれる本だと思います。②『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(島沢優子著/文藝春秋)拙書です。子どもにスポーツをさせている親の実態と、毒親にならないためにどうすればよいのかを書いています。③『高学歴親という病』(成田奈緒子著/講談社+α新書) ※2023年1月20日発売私に、子どもに共感してもいいけれど、同化してはいけないと教えてくれた小児脳科学者の本です。高学歴親と標榜されていますが、日本の学歴偏重社会で歪みがちな子育てを考え直せる本です。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年12月21日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「浮き球のコントロール、浮き球を蹴れない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、味方からロングパスが飛んでくることがあります。縦に早い展開をするときや、大きくサイドチェンジをする際に有効な手段です。しかし、ロングパスは遠くに飛ばすために強く蹴るので勢いがあり、高さもある浮き球なので、初心者のうちは飛んでくるボールへの恐怖心もあり、どうコントロールすればいいかわからないもの。今回は、試合の中で使われるロングボールを落ち着いて上手にコントロールして次のプレーに繋げられるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.親子で対面して立ち、サッカーテニスの要領でボールをバウンドさせ、相手の近くにパス2.親子で得点を競うなど勝負形式にして、相手の陣地のどこに蹴るか駆け引きをする。駆け引きをすることで想像と違う方向にボールが来たりするので、それに反応する力がつく【トレーニングのポイント】・ボールに合わせて移動し、しっかりと体の正面で捉える・浮き球を蹴るときも、ボールに体を合わせて蹴る・蹴れる状況を作ってから、しっかり狙ったところにボールを蹴る・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年12月20日3、4年生に攻守の切り替えを教えるときのポイントは?身体の向きや、ボールを奪った後(奪われた後)何を見ればいいのか、どのぐらいの距離感で守備をすればいいのか。この年代で理解しておくべきこと、そして理解させるための方法を教えて。とのご相談をいただきました。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、元日本代表監督イビチャ・オシムさんのトレーニングなど具体的な練習方法をアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ドリブル=一人で突っ込む、独りよがりと認識する保護者が多い。ドリブルもスキルを高めるのはダメなのか。いいメニューがあれば教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。子どもたちが所属するスポ少でボランティアコーチをしています。今教えているのは3、4年生の学年ミックスチームです。2学年ごと、レベルごとに2チーム構成にしているためです。強くも弱くもない、よくあるチームレベルでみんな楽しくサッカーしています。ご相談したいのは、攻守の切り替えで何に注意すべきか、身体の向きはどうすればいいかなどをどう理解させればいいのか。ということです。ボールを奪うチャンスとはどんな時なのか、どのぐらいの距離感を持って守備していればいいのか、奪った後は何を見ればいい(何が視野に入るようにすればいい)か、などこの年代で理解しておくべきことを教えてください。よろしくお願いいたします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。言葉で伝えてしまうと、結果的に教え込むことにもなってしまうので気をつけたいものです。■日本の子どもは教えられた通りのやり方だけをする例えば、ある場面でボールを受けるときの体の向きを伝えるとします。「ここではこっち向きで」などと皆さん教えると思いますが、それは子どもひとり一人の特性に合っているかどうかはわかりません。しかも、大人が教えてしまうと、日本の子どもはその通りにやりがちです。そこで「ああ、でも、僕はこっちのほうがターンしやすいんですけど」といった本人が実際に感じたことを指導者に伝え、そこを尊重しながら一緒に考えられると良いのですが、なかなかそういったやり取りは起きません。従って、子どもにすぐに答えを言うのではなく、それができるような練習をすることが肝要です。そもそも、そんな練習を考え出すのが指導者の一番の役割です。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■プレーの選択肢を増やすことで、自然と適切な向きで受けられるようになる体の向きで言うと、私が今やっているのは、ゴールラインにゴールがある状態で、タッチラインの真ん中、つまりセンターライン際の左右にもゴールをそれぞれ置きます。ダイヤモンド型にゴールが4つある状態です。そこでミニゲームをしてもらいます。互いに相手ゴール以外にタッチライン上にある左右のゴールにも入れていいことにします。要するに、ともに3つのゴールへ攻撃できるわけです。例えば、左サイドでゴールラインにあるゴールに向かってボールを受けようとしています。ところが、右タッチラインのゴール前にはディフェンスが誰もおらず、スペースがある。その近くにフリーの味方もいる。であれば、ボールをもらったときにどこを向いたほうがいいのか?を考えなくてはいけません。そのようにプレーの選択肢が増えれば、自然に適切な向きで受けられるようになりますし、チャンスを察知するために視野も広くなります。そのように練習をオーガナイズしておけば、子どもたちは見るところが多くなります。早く見つけ出せればゴールに直結するので攻守の切り替えが早くなります。そういったトレーニングを遊び感覚でやればいいと私は考えます。コーチがプレーの流れを止めて体の向きはこうだよと説明しなくても、遊びの中で体得できます。そうやってゲームを楽しませてください。■視野を広げ、良い位置にいる味方を見つけるトレーニングもうひとつは、オシムさんのトレーニングにもあるメニューです。普通にゴールは2つにして5対5をします。2つ決まりがあります。1.どちらのゴールにシュートしてもよい。2.ただし、シュートにいくためには、センターサークルにいるフリーマンに一度預けなくてはいけない。フリーマンに預けた瞬間に、どちらのゴールに攻めるのかを5人が意思統一を図らなくてはなりません。その際、フリーマンはどこで誰が最もアタックに適した位置にいるのかを見極めなくてはなりません。よって、フリーマンをキーパーにしておくと、キーパーの攻撃的センスが育ちますし、中盤の選手にやってもらうと360度視野を広げるのに役立ちます。中学生や高校生にはよく行う練習ですが、小学生にやってもらうときはハーフコートにするなど、グリッドを小さくするといいでしょう。■切り替えについて言いすぎると、子どもたちが攻撃をしなくなる場合もある前述した二つのトレーニングは守備から攻撃への切り替えだけでなく、守備への切り替えも速くなります。こうやって練習で体得させれば、選手は自発的に攻守の切り替えをするようになります。コーチが「切り替えろ」と喉をからして命じるよりもずっと効果的です。コーチの皆さんは攻守の切り替えを素早くしたほうがいいことは理解しています。ではそのために練習でどうするかを考え、自分で試行錯誤することも大事なことです。しかし、皆さん早く答えが欲しいようです。そこは子どもと同じなのかなと感じます。さらに、ひとつ気をつけなくてはいけないのが、あまりに切り替えについて言い過ぎると、子どもたちが攻撃しなくなる場合もあります。守備のことを考え、攻撃に迫力が無くなったりします。そうならないよう、チャンスと思ったら全員で攻撃に出る。守備に戻るときも全員で戻る。そこにこだわったトレーニングを行いましょう。■シュートしたら終わり、ではなくボールを奪われた後の動きを設定した練習をしよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)また、小学生のトレーニングを見ていると、攻撃だけで終わってしまうものが多く見られます。例えば、4対4で攻撃してシュートしたら終わり。ボールを相手に奪われたら終わり、というものです。そうではなく「ボールを取り返したら、ここにパスしたら終わりだよ」「ハーフラインを過ぎたら終わりだよ」というように、ボールを奪ったら次のことがある。攻める側も、ボールを奪われても、次の場面で取り返すこともできる。そのような設定で行ってください。欧州各国では、ジュニア年代はゲームの中でいろいろなことを学びます。特に強調されるのは、ゲームを楽しむことです。遊びの中でボールを奪ったり、仲間とトライアングルをつくったり、楽しみながらサッカーをやらせています。小学世年代ではゲームの中でいろんなことにチャレンジさせます。そして、中学生年代から理屈を学んでいくのです。日本は早くから言葉で伝え過ぎていないでしょうか。そんなことを考えながら、練習をオーガナイズしてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年12月16日2016年度の全日本U-12サッカー選手権大会で日本一に輝くなど、数多くの大会でタイトルを獲得するのが、兵庫県神戸市のセンアーノ神戸です。テクニックの高さ、戦術眼と共に目を惹くのは、自らの考えをハッキリ話せる選手の多さ。選手同士でメンバーを決める話し合いをするのは、試合で見慣れた光景です。自ら考えられる選手になるために、センアーノでは以前からサッカーノートを活用していましたが、この春からは3年以上の選手でサカイクサッカーノートを活用し始めました。6月には使用して1か月での変化を伺いましたが、2回目の今回は使い始めて半年経って感じる変化や成長について聞きました。(取材・文:森田将義写真:浅尾心佑)サカイクサッカーノートを書き始めてどんな変化、成長を感じるかセンアーノ神戸の5、6年生に伺いました子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>関連記事:「振り返り」ができるようになって上達を実感、強豪街クラブ・センアーノ神戸が導入したサッカーノート■良かったこと、悪かったことを見返しやすいから上手くなれる1人目は「将来はチャンピオンズリーグで活躍したい」と話す天野陽真くん(あまのはるま・5年生)。前回の取材にも回答してくれた選手で、使用後半年たって更なる変化はあったか聞きました。―――サッカーノートはいつから書いていますか?センアーノに入って、4年生ぐらいから書いています。これまでは良かったところ、悪かったところ、コーチに言われたことを書いていました。サカイクサッカーノートは落ち着くとか首を振るなどプレーの目標を書くスペースがたくさんある。試合前に書いてあることを見返しています。試合後にも見て、次に活かしています。―――見返して良かったと思う時は?コーチに言われたことができるようになった時に見返して良かったと思います。コーチは(サカイクサッカーノートに)ビルドアップの動きや悪かった所を書いたら、修正するためのコメントを書いてくれます。――使い始めてからの変化は?考える力が身に付きました。試合中は落ちる動きをしたり、幅をとろうと考えながらプレーしています。■以前のノートとの違い以前のノートは「良かったところ」「改善点」「目標」などを自由な形式で記載していました。サカイクサッカーノートは、試合前に「目標」「何ができていたら最高か」を書き、右ページで振り返りを行う仕様です。ほかにも体重や今日の気分を書く欄もあるので、選手のコンディション管理にも役立っています。■ノートを見返しながら練習してたら、首を振って周りを見る習慣がついた2人目は「将来はバルセロナに行って、世界中の強いチームと戦いたいです」と話す大谷飛翔くん(おおたに つばさ・5年生)―――サカイクサッカーノートの良さは?ノートに今日、何があったのかを書くところや自分の評価を書くところがあるのが良いです。人に評価を付けられたら分かるけど、自分で自分の評価を付ける項目は難しいと感じています。その日あったこと、できていたこと、できなかったことをしっかり書けるのは、とても良いです。―――書いていて良かったと思う瞬間は?サッカーノートにメモしておいて、次の試合や練習の時に見返して、意識しながらプレーしたことで、うまくいったことはあります。この半年で判断が速くなりました。あまり周りが見えていないと昔から言われていて、すぐボールを奪われていましたが、それをノートに書いて見返すうちに首を振るのは習慣づけられました。■自己評価、練習前の目標が書けるのが他との違い3人目は「将来、サッカー選手になれたら、ゴールに繋がるパスを出して、色んな人に注目される選手になりたい」と口にする赤城花奈さん(あかぎはな・6年生)です。―――サッカーノートは何歳から付けていますか?サッカーノートを知ったのは、センアーノに入ってから。小4の時からです。最初はシュートを打てるところでパスを出すなど自分の反省や悪いところ、良かったところを書いています。―――サカイクサッカーノートには色んな書く項目がありますどんなプレーをしたいかが書けて、終わった後に見返すことができるのが良いです。サカイクサッカーノートの反省でシュートが打てなかったと書いた時は、(練習で意識し)次の試合でシュートを決められました。―――採点はどんなことを書いていますか?自分がシュートを決めたり、パスを出せた時は9点とか、良かった時は10点をあげています。周りが見れないプレーをした時は採点を下げています。―――他のサッカーノートとの違いは?他のサッカーノートは(試合や練習を)やる前に書くところがなかったけど、サカイクサッカーノートはサッカー専門で、自分のやりたいプレーとかを書けるのが良いです。使い始めてから、ボールをもらう前に、1回周りを見ることができるようになりました。■自己評価ができることで、練習への意識も変わる最後は「プロサッカー選手として世界の強豪クラブに入って、お世話になった人に恩返しがしたいです」と話す畑山凛虎くん(はたやま にこ・6年生)――サカイクサッカーノートの良さは?練習や試合前に前回の振り返りができる。始める前に「どんなことができれば最高」という部分を書いて、終わった後に自己評価ができるのが良いと思います。この時はダメだったなと振り返りながら、自己評価を付けています。――書いてよかった時は?サカイクサッカーノートを書いた次に、こんなことを書いたから意識しようと思う。振り返りのおかげで上手く行っているなと思えます。――他のサッカーノートとの違いは?前に使っていたサッカーノートとは違って、自己評価ができるのでとても書きやすくなりました。自分が悪い時はもっとやらないと駄目だなと分かるのが良い。これからも使って行きたいです。■「選手たちの学ぶ姿勢が変わった」コーチたちもその成長を実感サカイクサッカーノートを使う姿を間近で見ているコーチたちも、変化を感じています。6年生を担当する田代浩樹コーチはこのように話してくれました。「自分のイメージを言葉にしてインプットにして、アウトプットに変えるのに良いと思います。質問に答えるという形式が子どもたちにとっては書きやすいのでしょうね。普段、トレーニング中に動きを止めて選手に問いかけることがあるのですが、すぐに答えられない子もいます。選手に聞いたら、『質問したら答えられる』と言っていました。誰かを指名して『何か喋ってください』と言われると、黙ってしまう子が多いんですよね。そう考えると問いかけに答える練習にもなるサカイクサッカーノートは大事だなと思います」そして「小学生年代で考えることがプレーに変換できなくても、中学や高校など大人になった時に活きたら良い」と続けます。3、4年生を担当する前泊璃音コーチは、「一番は学ぶ姿勢が変わりました。最初はあやふやな部分があったのですが、選手としての進行方向がはっきりしてきました」と選手たちの成長を口にします。3、4年生は練習をする度にサカイクサッカーノートを書き、提出する選手が多いのが特徴だそうで、ノートを返却する際には、みんなでノートを見返してミーティングすることもあるそうです。「良かったところ、ダメだったところを共有し合って、チームとして団結力を高めていけている。もう二冊目を使っている子もいるので、(これからも)ガンガン使って行きたいと思います」言葉の通り、選手の成長だけでなく、アイデア次第ではチーム力アップにも使えるのが特徴で、今後はチームとして導入するケースも増えていきそうです。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>
2022年12月14日空中戦の強さ、裏への抜け出し、シュートレンジの広さ、どん欲にゴールへ向かう姿勢――。どれをとっても「高校No.1ストライカー」にふさわしい力がある。卒業後、ブンデスリーガ1部・ボルシアMGへ加入する福田師王は、いかにしてその才能を磨いてきたのか。決してスター街道を走ってきたわけではない。挫折を繰り返しながら一歩ずつ前進してきたからこそ、いまがある。今大会最も注目を集める男がこれまでの歩みと最後の選手権にかける想いを明かしてくれた。(提供/エル・ゴラッソ特別編集 高校サッカー名鑑聞き手:松尾 祐希)福田師王選手(右)サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■"本気でサッカーをしたい"と思って――サッカーを始めたのはいつごろですか?「記憶があいまいな部分もあるんですけど、4歳か5歳ぐらいからたまにボールを蹴ったり、年に何回か幼児サッカーの試合に出させてもらったりしていました。本格的にサッカーを始めたのは、確か小学校1年生のときですね。3つ上の兄がサッカーを始めた影響もあって、自分も同じチームに入りました。でも、そのチームは辞めたんです。チームがなくなってしまったのも理由の一つなんですが、いろいろなスポーツをやってみたい思いがあって、ほかの(サッカー)チームにも移らなかったんですよ。なので、いろんな遊びをしていましたね。野球とかキックベースとか。もともと球技が好きで、体を動かして遊びたいタイプ。とにかく外で遊ぶのが好きだったので、木登りをしたり、田舎なので猿を捕まえにいったり。いつも夜遅くまで自然と触れ合いながら遊んでいた感じでした」――どのようなきっかけでサッカーに戻ったのでしょうか?「少年団の監督と仲がよくて、誘われたことがきっかけで、小学校2年生のときに近所の少年団に入ってプレーしました。その後、4年生からはまた違うチームに入らせてもらいました」――チームを変えたのはどうしてですか?「1歳上の世代で後に神村学園でチームメートになる3人の先輩がそのチームでプレーしていたんです。その人たちがうまくて、憧れました。(小学校3年次に参加した鹿児島の)鹿屋地区トレセンの際に先輩たちに誘ってもらって、"真剣に本気でサッカーをしたい"と思ってチームを変えました」サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■DFとして評価されていた4種時代――当時はどのポジションでプレーしていたのでしょうか?「3年生のころはトップ下をやっていました。[2-3-2]の真ん中。でも、4年生でCBとSBにコンバートされて、そこからはずっと後ろのほうですね」――後ろのポジションをやることに抵抗はなかったのでしょうか?「特にこだわりはなかったですね。とにかく勝ちたいだけ。勝てるのであれば、どのポジションでもいいと思っていました」――いまのプレースタイルを考えると、"守備の選手"というイメージがつかないですね。「いまみたいに体が強いわけじゃなくて、背もめちゃくちゃ小さかったんです。線も細かったし。小6で140cmぐらいしかなくて、本当にガリガリでした。でも、プレースタイルは粘り強い感じ。1対1の守備が得意で、小学校6年生で九州トレセンまでいきました。ナショナル(トレセン)で落ちましたけど、DFとして評価をしてもらっていましたね」――神村学園中時代から一緒にプレーし、抜群の連係を築いている大迫塁選手と出会ったのもそのころだと思います。「小学校4年生のときの県トレセンで出会ったんですけど、仲よくなったのは中学に入ってからです。当時は喋るぐらいで、会ったら話すぐらいの感じだったんですよね」サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■憧れた神村で見いだされた攻撃の才――次の進路を考え始める時期になります。神村学園にいくきっかけはなんだったのでしょうか?「小学4年生のときに神村学園の試合を初めて見て憧れたのがきっかけです。それはいまでも覚えています。神村学園のサッカーはドリブルやパスが主体で、ヒールパスとかもやっていて。『かっこいいな』って思ったんです。そこから実際にいきたいと思ったのは、小学校6年生の夏ぐらいです。練習会に呼んでもらって、実際に参加してそこで決めました」――入学してみてどうでした?「レベルが全然違いましたね。巧いし、強いし、速いし......とにかくすごかったです(笑)。九州トレセンに選ばれた経験もありましたが、全然違いましたね」――小学校時代はDF。中学校ではどうなったのでしょうか?「中等部の監督にコンバートしてもらって、入学してすぐにFWになりました。ただ、なんでポジションが変わったかはいまも分からないんですよ(笑)」――FWでプレーした心境はどうでした?「すごく楽しくやれていました。最初は1年生チームにいて、2年生でトップチームに上がりました。ただ、その時期に成長期がきて。140cmぐらいで中学に入学して、3 年生の春までに170cmまで伸びました。自分でもめちゃくちゃびっくりしました。でも、オスグッドになってしまって練習ができなかった。身長が伸びたので、体が使いやすくなって、足も速くなったんですけどね」――そこで一気に伸びたんですね。練習だけでも大変だったと思います。「そうですね。ケガが多く、2年生の頭から1年ぐらいは、まともに練習することができませんでした。ケガもあった中で、県トレセンはSBとして選ばれていましたが、"ボーダーラインの選手"でした」――焦りはなかったんですか?「なかったですね。そもそも2年生の時点で『プロになろう』なんて思ってもみなかったので」――大迫選手は2年生の時点で主力として活躍していました。悔しさはなかったですか?「それもなかったですね。そのころから塁はすごかったし、届かない存在で。『追いつこう』なんて考えたことはありませんでした」FWとしての転機、初の年代別代表と選手権で変わった意識、そして最後の選手権にかける思い......続きは『高校サッカー名鑑』で福田 師王(ふくだ・しおう)2004年4月8日生まれ、18歳。鹿児島県出身。178㎝/70kg。神村学園中→神村学園高。ボルシアMG内定U-19日本代表
2022年12月13日12月に入り、クリスマスプレゼントを準備し始めているご家庭も多いのではないでしょうか。毎年プレゼントを何にしようか悩む親御さんも少なくないですよね。今年は、サッカーに夢中なお子さんに自主練の効果を高める新しいサッカーグッズをプレゼントしてみてはいかがでしょうか。そこで今回は、サカイク読者アンケートから回答が多かった「子どもが取り組んでいる自主練メニュー」のランキングからE-3ショップで購入できるアイテムをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。ただいま最大50%OFFの感謝セール開催中です!一部商品がとってもお得になっておりますのでぜひご覧ください。この記事で紹介した商品はこちら最大50%OFFセール開催中!>>【子どもが取り組んでいる自主練メニューTOP10】1位:リフティング66.1%2位:ドリブル56.3%3位:映像を見て学ぶ53.0%4位:ストレッチ50.8%5位:体幹トレ43.7%6位:アジリティ36.1%7位:対面パス(止める・蹴る)34.4%その他で多かった意見:シュート練習アンケートでは、お子さんの学年は4年生、5年生が一番多く、約40%が5年以上サッカーをしているという回答でした。そんなサッカー大好きな子どもたちが、チームの練習以外で取り組んいる自主練で一番多かったのがリフティング。2位はドリブルでした。どちらもサッカーの基礎なので、今のうちにしっかり身に付けておきたいということでしょう。リフティングの回数を求めるチームがあったり、ボールを扱う技術を身に付ける基礎練習として認識されていることも人気の理由のようです。一人でできるので、だれかを誘う必要がないこともポイントかもしれません。そんな、ボール扱いの基礎を身に付けるのに絶好のアイテムがこちら。自主練1位:リフティング、ドリブルの上達に「テクダマ」サッカー上達専用ボール「テクダマ」。サッカーが上手くなるためには、技術、戦術の理解とともに、ボールを自在にコントロールするスキルを身に着けること。グラウンドではイレギュラーなバウンドをしたり、バランスを崩しながらもボールをコントロールする場面もたくさんあります。そういった時に必要な「調整力」。これこそが本当にうまい選手が身に着けているもの。脳からの指令伝達を身体が実行できる力が大事なのです。そういった神経経路が鍛えられる仕組みのテクダマなら、普段の練習の中で使っているだけで自然と調整力を習得できるのです。このボールを使うことで、イレギュラーバウンドや数十センチのズレに対する対応などに慣れ、試合で使えるボールコントロールが身につくので、ボールコントロールが未熟なサッカー初心者にもおすすめです。テクダマの詳細、購入はこちら>>自主練3位:映像を見て学ぶ「KENGOアカデミー」次にアンケートの回答で多かったのが、映像を見て学ぶこと。無料のネット動画を見ているという回答も多かったです。サカイクでは元Jリーガーで高いサッカー脳を武器に戦ってきた中村憲剛さんが、試合中に周りを見るスキル、「いつ、何を、どのように見たらいいか」をわかりやすく伝授するDVDを販売しております。お子さんのサッカー脳を高めたい方は、このプレゼントを選んではどうでしょうか。サッカーは、ボールを使った技術だけでなく、戦術や動き方・ポジショニングなど頭で理解する部分も大事になります。中村憲剛さんが映像で解説してくれるDVD「KENGOアカデミー」でサッカー脳を高めるサポートをしてあげませんか。中盤、ボランチを任されているけど、どう動けばいいかわからない。「いつ、何を、どのように見たらいいか」がわかってないお子さんに、中村憲剛さんが解説。動き方、判断するタイミングなどサッカーに必要な知識を身に着けることができます。12/21(月)19時までの購入で、サッカー上達につながるサカイクサッカーノートと中村憲剛のメッセージ入りポストカードをプレゼントKENGOアカデミーの詳細、購入はこちら>>自主練4位:股関節のストレッチに「フレックスクッション」最近では、身体を上手く使うこと、強い筋肉だけでなくしなやかな柔軟性を身に付けることが重要だと気づき始めている保護者の方も多いようです。自宅でストレッチに取り組んでいるお子様も多いようですね。でも、身体が硬くてうまくストレッチができない、継続できないなんて悩みも多いようです。そこでオススメがドリブラーの生命線、股関節の可動域を広げる話題のストレッチツール「フレックスクッション」。身体が固いのはケガにもつながりやすいので、柔軟性はできれば小学生年代から注意したいもの。ストレッチで可動域を広げることでパフォーマンスアップにも繋がります。ですが、正しい姿勢で行わないとストレッチの効果も得られません。このクッションを使えば座るだけで正しい姿勢で効果的に体を伸ばすことができます。日本やヨーロッパの強豪25チームに採用され、練習や試合後のコンディショニングに取り入れられている「フレックスクッション」でコンディショニングのサポートを。毎年のようにプロを生み出すことで知られる興国高校(大阪)のほか、RIP ACE SOCCER CLUB(大阪)、センアーノ神戸(兵庫)などでも導入いただき、効果を感じています。イースリーショップ限定オリジナルストレッチ動画付きフレックスクッションの詳細、購入はこちら>>自主練5位:体幹にスイッチを入れる「メトリクスフォーム」自主練第5位はいまや定番の体幹トレーニング。いまJリーグの育成組織も導入し1分乗るだけで「体幹」にスイッチが入る魔法のマットが話題だということをご存じですか?それが「メトリクスフォーム」です。乗って1分程度のエクササイズをやるだけで、ぶつかっても崩れない正しい姿勢にスイッチが入ります。1回のトレーニングで2~3時間効果が持続しますので、試合やトレーニング前に行うと非常に効果的。身体の土台・軸の安定、コンタクトプレー強化、姿勢の安定、怪我防止などいい影響を与えるので、お子さんの姿勢が気になる方、当たり負けしない体の強さが欲しい方は、ぜひお求めください。「タニラダー」の開発者でもある谷真一郎コーチも太鼓判。指導しているヴァンフォーレ甲府アカデミーも全面導入しています。ほかにも、強豪チームであるJACPA東京FC U-12(東京)、昌平高校の下部組織であるFC LAVIDA(埼玉)でも採用しております。エクササイズ動画が視聴できるQRコード同封なので、普段トレーニングをしなくてやり方が分からない親御さんも安心です。動画を見ながらお子さんに教えてあげられます。メトリクスフォームの詳細、購入はこちら>>この記事で紹介した商品はこちら最大50%OFFセール開催中!>>自主練6位:アジリティを向上させる「タニラダー&スピードアップインソール」つづいて第6位は「アジリティ」速く走りたい、もっとスピードを上げたいという子どもたちは多いようです。そこでオススメなのが、Jクラブでも導入しているたった4マスのラダーと、Jクラブのフィジカルコーチが監修した「1歩目が早くなる」サッカー用インソールです。正しい姿勢でケガ予防にも。週1の練習で早くなる!サッカー選手2万人以上が実践したスピードアップトレーニングの決定版「タニラダー」で、お子さんの走るスピードを高めてあげませんか。足が遅いのには理由があります。速く走るための「正しい姿勢」「正しい身体の動かし方」を身につけるタニラダーは速さを習得するための要素がギュッと詰まったトレーニングアイテム。長すぎるラダーは足元を見てしまったり、終盤姿勢が崩れたりして正しい「速さ」が身につかない。たった4マスだからこそ速さに必要な要素が身に付きやすいのがタニラダー最大のポイント。足のアーチを支えて1歩目が速くなるサッカーのためのインソール「タニラダースピードアップインソール」もセットで試してみませんか。いつものスパイクのままでスピードがアップするサッカー用インソールです。速くなりたい子だけでなく、姿勢の悪さから切り返しでふらついたり、ヒザや足裏に痛みがある子にもおすすめです。タニラダーベーシックの詳細、購入はこちら>>タニラダースピードアップインソールの詳細、購入はこちら>>自主練7位:対面パス(止める・蹴る)が一人でできる「リバウンドボード」さて、どんどんいきましょう。第7位は「止める」「蹴る」です。兄弟や近所の友達と気軽にサッカーできればパスを出す、パスを受けるといった「止める」「蹴る」が練習できますが、道具を使えば一人でも練習できるトレーニングアイテムがあります。止める・蹴るだけでなくシュートなど自宅で実践的な練習を行うのにお薦めの商品はこちら。一人でもトラップやパス、ワンツーのトレーニングができる壁打ち練習アイテム「リバウンドボード」。複数人で練習するほうが試合に近い状況なのはわかっているけど、近所の友達はサッカーしないし、兄弟姉妹も自主練に付き合えない、など様々な事情で一人で練習できるアイテムが欲しい、という親御さんは多いもの。このリバウンドボードを使えば、パスを出してパスを受ける練習ができます。ひとりでも2人で行うプレーの練習が可能になるリバウンドボードで実戦的な動きを身につけることができます。簡単に持ち運べ、上下を逆に設置すれば初心者・低学年が苦手な「浮き球」を返してくれるので恐怖心克服とトラップの練習にも。住宅事情により自宅の壁にボールを打たれるのはちょっと困る、という親御さんたちにもおすすめしたい商品です。リバウンドボードの使い方例、購入はこちら>>自主練番外編:自宅でシュート練習「アルファゴール」アンケートのその他の意見で多かったのがシュート練習です。Jリーグ44チームが導入するゴール感覚を研ぎ澄ますミニゴール「アルファゴール」は自宅でのシュート練習にもぴったり!日本サッカーの長年の課題「シュート力」。少年サッカーの練習では簡易的なゴールを使うこともありますが、素材によってはシュートの跳ね返りが返ってこないのでセカンドボールを拾う意識などが身につきづらいという側面があります。軽くて安全なアルミ製でできたこのアルファゴールは、思いっきりシュートしてもボールがしっかりリバウンドするので、シューター以外の選手もゴールを意識してトレーニングすることができます。簡単に組み立てられてしまう時もコンパクト。ベガルタ仙台のトップチームが採用しシュート練習などに使われています。また、川崎フロンターレやモンテディオ山形などのスクールにも導入。全国の少年チームや学校施設でも導入され、リアリティのある練習ができると好評をいただいております。サイズもバリエーションがあるので、クリスマスプレゼントだけでなく卒団記念の贈り物などにもピッタリです。アルファゴールのサイズ各種詳細、購入はこちら>>この記事で紹介した商品はこちら最大50%OFFセール開催中!>>
2022年12月09日全選手の名前が書かれているはずの冊子に長男の名前だけない、練習の紅白戦でも一人だけ出場できないなど理不尽な扱いを受け退団。チームの中心で仲間に慕われ、退団は嫌だという次男も一緒に辞めさせたが、「みんなとまた会える?」と聞かれると何も言えなくて......。いない子扱いの長男への対応が限界だったけど、次男はチームに残すべきだった?とのご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、男女のサッカー選手を育てた先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<仲間に見下される息子の自己肯定感が心配です問題<サッカーママからのご相談>小学4年生と2年生のサッカーママです。先日2年間お世話になったクラブチームを退団しました。 理由は長男への接し方が悪く カップ戦で配られる全チームの選手の名前が書かれてる冊子で長男の名前だけなかったり、練習の紅白戦で息子だけ試合をさせて貰えないことがあったためです。そういう事があっても仲間と頑張りたいと決め頑張ってきましたが、とうとう長男からチームを抜けたいと言われ移籍を決めました。チームを抜けた今、長男は次のステージへの思いでイキイキしてるのですが、問題は次男です。長男とは違い運動神経が良く、サッカーに関してとてもセンスがあり2年生の中で中心人物で3年生の試合でも存在感を見せてました。なので慕ってくれる仲間も多かったです。長男が退団するので次男も退団という形になったのですが、嫌だという次男を説得できないまま退団になってしまったので、とても後悔しています。次男から「またみんなと会える?」と聞かれ、なんと答えていいのか分からず......。次男と仲間との写真を見返しては、次男だけでもチームに残すべきだったのか。と考えるだけでも涙が出てきます。ですが監督の長男への扱いを見ていると私ももう限界でした。私はどうするべきだったのでしょうか?<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。選手名簿に長男さんの名前だけがない。彼だけが紅白戦をさせてもらえない。これらが真実であれば、人の道を外れているとしか思えない所業です。なぜ長男さんがこんな目に遭わなければいけなかったのでしょうか。親として、非常につらい時間だったかと思います。そして、次男君も一緒にやめさせたわけですね。すでに終わったことではありますが、兄弟2人のこころのケアも含め今後について三つアドバイスさせてください。■どちらかを退団・移籍させる場合は、きょうだい間で話し合わせるお母さんのご家庭のように、兄弟、兄妹など「きょうだい」で一緒にサッカーをするケースは多いです。同じ時期に同じクラブや少年団というように、一緒にやってくれるほうがそれぞれ違うところに所属するよりはサポートする親も楽です。従って、このように「兄が理不尽な扱いを受けていて辛いので、弟も一緒に退団させたいのですがどう思いますか?」といった相談を受けることは多いです。そうした場合、私は必ず「きょうだいで話し合わせましょう」と伝えます。お母さんもそうしてほしかったです。指導者の理不尽な扱いに傷ついている上の子の意見や感情と、何も問題なくサッカーをしている下の子のそれらは当然異なります。例えばこの相談のように男の兄弟の場合、「辛いから僕はやめたい」という兄に対し、「いや、僕は楽しいからこのチームに残る」と弟が言うこともあれば、兄と一緒にチームを替える道を選ぶ子もいます。兄と一緒に退団を選ぶ子は、自分はやめたくないけれど兄のことを考えて渋々の場合もあれば、特に悩むことなく「お兄ちゃんと一緒のクラブがいい」とすんなり決めることもあります。兄のほうも「僕と一緒に他のチームに行こうよ」と弟を誘う場合もあれば「おまえは好きにしろよ。お母さんたちがいいんだったら別々でいいし」と言うこともあります。弟が渋々のようであれば、保護者は「あなたは好きにしてもいいんだよ。決めるのはあなただよ」と伝えてもらうよう話します。最終的に弟の「内心」がどうであれ、彼が下した決断を親は尊重することが大事ではないでしょうか。子どもが親と違う人格を持ち、違う人生を生きるように、兄弟も兄と弟は個別の人格です。そこは分けて考えてあげたほうがよかったかもしれません。ただし、家庭の中で、送迎の手間なども考えて、兄弟違うクラブに行かれるとサポートできないといった理由があるのであれば、そのことを前もってふたりに伝えたうえで話し合ってもらえればいいと思います。それがひとつめのアドバイスです。次に何か似たようなシチュエーションがあれば、ぜひそうしてほしいと思います。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「親は何もしてくれなかった」「守ってくれなかった」という思う子も2つめは、もう少し冷静になれたらよかったかもしれないと思います。お母さんは「監督の長男への扱いを見ていると私ももう限界だった」と書かれています。ここで少し疑問なのが、チーム側に「息子になぜそのような扱いをするのですか?」と理由を尋ねたり、「ひとりだけそのようにされると非常に傷つきます。もっと考えてほしい」と要望したかどうかです。指導者からの暴言やパワーハラスメントに苦しんだ人の取材もしてきましたが、彼らのなかに「あのとき親は何もしてくれなかった」と述懐する人は少なくありません。どんなに時間が経とうが「守ってくれなかった」という思いは消えないのです。お母さんの場合、チームを替わる手助けをしているので長男さんが上述したような葛藤を抱えることはないかと思いますが、お母さんが抗議したり、彼らの悔しさ、辛さを代弁する姿を見せたほうが良かったかもしれません(見せたのならOKです)。■兄弟のサッカーに対し、親の熱量に差がないか三つめは、兄弟に対し同じまなざしでみることです。お母さんは次男君について「長男とは違い運動神経が良く、サッカーに関してとてもセンスがあり2年生の中で中心人物で3年生の試合でも存在感を見せてました。なので慕ってくれる仲間も多かったです」と非常に記述が多かったです。それに対し、長男君については何も語られていないのが少し気になりました。次男君への配慮を私に尋ねる相談だったのでそうなったのだと理解しますが、ことサッカーに関してお母さんの熱量に差があると兄弟の関係がぎくしゃくしないとも限らないので気をつけたほうがいいかもしれません。■「兄はこうだけど弟はこうだね」と自分の物差しで評価していないか振り返ろう(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)私も兄と妹の二人兄妹を育てました。性別こそ異なりますが、2人ともサッカーをしました。ともに違うジュニアユースクラブに進み、兄は高校からサッカーは楽しむ部活動に切り替え、妹は高校では別のユースクラブに入団しプロ選手として少しだけプレーしました。私たち夫婦はサッカーに関する扱いをなるべく同じにする、他のことも含め長男の自尊感情を育てていくことに気を使いました。それでも長男から「妹には甘い」とよく指摘されました。親はきょうだいを「兄はこうだけど弟はこうだね」などと自分の物差しで評価しがちです。自分では分け隔てなく育てているようでも、子どもには違うように見えていることもあります。そのあたり、良かったら一度振り返ってみてください。わが家の兄妹は仲がいいかどうかはわかりませんが、楽しくW杯を観ているし、共通の話題は海外サッカーのことです。きょうだいは親と同じくらい影響し合う存在です。兄弟が楽しくサッカーをしながらすくすくと育つことを祈っています。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年12月07日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「ロングボールのコントロールが上手にできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、味方からロングパスが飛んでくることがあります。縦に早い展開をするときや、大きくサイドチェンジをする際に有効な手段です。しかし、ロングパスは遠くに飛ばすために強く蹴るので勢いがあり、高さもある浮き球なので、初心者のうちは飛んでくるボールへの恐怖心もあり、どうコントロールすればいいかわからないもの。今回は、試合の中で使われるロングボールを落ち着いて上手にコントロールして次のプレーに繋げられるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.親子で距離を取って立ち、親は子どもに向かって浮き球のボールを蹴る2.子どもはボールの正面に入り手でボールをキャッチする3.浮き球を腿や胸など身体のどこかでコントロールしてからキャッチする3.手でキャッチすることに慣れたら、浮き球を腿や胸など身体のどこかでコントロールしてから足元でコントロールして親にパスを返す※親は蹴るのが難しければボールを投げてもOK【トレーニングのポイント】・ボールを身体の正面でとらえることが大事・最初は手でキャッチしてOK、まずは距離感をつかんだり浮き球に慣れる・身体で勢いを吸収することで、足元でコントロールしやすくなる・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年12月06日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「バウンド(弾んだ)ボールの処理が上手くできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、浮き球のパスが来たり、相手のリフレクション(相手にボールが当たり、軌道が変わること)により、バウンドしたボールを素早く足元でコントロールして収め、次のプレーに移らなければならない場面があります。 早くボールを押さえることで、パス、ドリブル、シュートなど次のプレーのスピードも上がります。しかし、初心者のうちは弾んだボールの処理が中々難しいもの。 今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、バウンドしたボールの処理が上手くできるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.親がボールを持ち対面して数メートル離れて立つ2.距離をキープしながら歩き、子どもの足元に弾んだボールを投げる。子どもはバウンドしたボールをコントロールし、親に返す3.親が手を叩いたら、バウンドしたボールを押さえた後、素早くドリブルに移る。叩かなかったらパスで返す4.高く弾むボールを押さえる。親が手を叩いたらドリブルで運び、叩かなかったらパスで返すなど難易度を上げる【トレーニングのポイント】・ボールを素早く押さえることで、ドリブルもパスもシュートもできる状態にする・高いボールに早く寄せすぎると頭上を越してしまうので、まずはボールの近くに行く・バウンドした瞬間に足をかぶせてコントロールする・最初は低いボールから動きに慣れる・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年12月02日4年に一度のワールドカップが開催中です。みなさんご覧になっていますか。今回は、サカイクで過去に行った今大会の日本代表メンバー及び関係者のインタビュー記事をご紹介します。代表まで上り詰めた選手たちの少年時代、保護者の接し方、親御さんがどんな声を掛けていたかなどをご覧になってください。サッカーを頑張るお子さんをどう見守るかの参考にもなるはずです。遠藤航決してエリートではなかった日本代表遠藤航が明かす、大きな夢や目標をかなえるために必要な「考え方」キャプテンは試合で引っ張ればいいだけじゃない、日本代表遠藤航が中学部活で身につけたキャプテンシーの基礎ブンデス・デュエル王を育てた「答えを言わない」ポリシー。「あれやれ、これやれ」と指図しない理由......遠藤航・父の教育①ブンデス・デュエル王を育てた「過去と他人を気にするな」の名言。先のビジョンを見据えて逆算できる選手に...遠藤航・父の教育②本当に大切なものだから悔いのないように自分で決める、日本代表遠藤航がクラブチームではなく中学サッカー部を選んだ理由久保建英『バルサに入る!』親は息子の夢をかなえるサポート役でありたい『バルサに入る!』夢をかなえるために、日常生活で気をつけていた事とは?『バルサに入る!』夢をかなえるために、集めた情報や勉強した事とは?『バルサに入る!』夢をかなえるために、少しでも上手くいけば褒める吉田麻也吉田麻也が語る、海外でプレーするために「サッカー以上に大事なこと」長友佑都長友選手の名言に学ぶ! 夢を公言して才能を花開かせる力伊東純也日本代表のスピードスター、伊東純也が速くなれたのは「負けず嫌い」と「地元の地形」のおかげ!?小中高と選抜歴ゼロ、全国とも無縁だった伊東純也がスカウトの目に留まったワケ権田修一『あいつだけには絶対に負けたくない』という気持ちで、練習に取り組んでいた。とにかく「試合に出たい」という気持ちが、誰よりも強かった森保一監督自分のできることに集中する‐森保一【File.1】自分のできることに集中する‐森保一【File.2】田中碧中村憲剛さんが20歳の田中碧選手に伝えたメッセージ谷口彰悟部活だけでなく勉強、挨拶、掃除、片付けも頑張ることで、人間としても大きく成長/多くのJリーガーを生んだ公立高校の指導哲学柴崎岳「両親は自分の取り組みや考え方を尊重してくれた」日本代表柴崎岳選手が振り返る両親のかかわり方プロになれるのはほんの一握り。だからこそ学生時代に身につけておくべきこと柴崎岳選手インタビュー川島永嗣3人の子どものパパ・川島永嗣選手が、保護者代表として『気になる子供の歯並び』と『インビザライン矯正』に迫る!
2022年12月01日チームメイトはレギュラー争いのライバル、普段仲良くても上達につながるような情報は教えない、自分の子が出し抜かれるとイラっとする......。最近はそういった声を聞くこともあります。チーム、地域にもよりますがよそのお子さんと気軽に会話したり、関わること自体が減っているかと思います。核家族が増えたことや、ご近所づきあいを含む人間関係が希薄になったこともあり、地域や社会で子どもを育てることが少なくなった、と言われて久しいですがみなさんの周りはどうですか。我が子がかわいいのは当然だけど、子どものサッカーチームの子も同じぐらいかわいい。と言える親御さん、どのぐらいいるでしょうか。今回は、そんな「地域で子どもを育てる」が残っているチームをご紹介します。写真は少年サッカーのイメージですサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■自分の子と同じぐらい、他の子もかわいい「うちのチーム、弱いんです。なかなか勝てないから、点を取ったとき喜び方がわからなくてぎこちないんですよ」「周りもハイタッチが上手くできなかったり(笑)。でもそれがかわいくて。みんなかわいい」「子どもたちも勝ちたいし、親も勝って喜ぶ姿が見たい。でもなかなか勝てないんです(笑)」「自分の子と同じぐらい、他の子もかわいいんです。だから、卒団して親が子どものサッカーにかかわらなくなるのが寂しくて」そう語ってくれたのは、島根県で活動している大東JFCの保護者の方々。編集部が話を聞いている間、周りで賑やかな声を上げる子どもたち(ほかの親の子)にも、「○○(名前)うるさい、今編集部の方と話しているでしょ~」と気軽に注意したり、ボディタッチなどじゃれ合う場面もありました。送迎や試合の当番でよその子と接することはあるけど、学校のことやプライベートな話など、気軽に話すことはないというチームも多いかと思いますが、子どもたちにとっても学校、家庭以外での大人との関りがあることは、大事なことです。他の価値観を知るきっかけになったり、視野が広がることもあります。また、親には理解されないことも、他の親に話したら共感してもらえたり、認めてもらえた時にはホッとすることもあるはずです。大東JFCさんでは、親たちもチームの理念や活動内容に賛同していることもあり、良い関係性が築けていることもあるのでしょう。我が子のチームメイトに気軽に話しかけたり、子どもの方も畏まらず返答するなど、自然なコミュニケーションがたくさんあるようです。大人たちがゆったりどっしり構えて見守っているから、子どもたちも伸び伸び自由にサッカーを楽しみ、挑戦しながら少しずつ自立していく。そんな環境を大人たちが作っていることを伺うことができました。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■「大丈夫、みんな変われる」大東JFCさんがサカイクの理念に賛同してくださり、子どもの主体性を育み自立を見守る姿勢になったのはじつは数年前からだそうです。サッカーの上達も大事だけど、サッカーを通じて人間的に成長することが社会で生きるために必要な事だと頭の片隅で感じていたチームの代表、横山武志さんの決断で今のスタンスになりました。小学生の保護者世代は、自分が学生の時に厳しい指導を受けた方も多く、最初の頃は保護者にも戸惑いがあったそうです。大東JFCさんでは、保護者会などを通してどうして主体性を大事にするチーム方針にしたのかとともに「親としてどうあってほしいか」「子どもを支えるために親はどうすればいいか」を伝えるなど、子どもをサポートするために保護者の皆さんにも情報をアップデートしていただく機会を設けているそうです。そのなかで、サカイクの連載でもおなじみの池上正さんの書籍を紹介したりサカイクの記事なども共有いただいているそうで、保護者の方々も「池上さんの本を読んで、自分たちも考えが変わっていった」そうです。なかには「サカイク10か条は、迷ったときに立ち返れるので時々見返しています。会社の同僚にも教えました」と教えてくださった保護者の方も。そのような活動を通じて、かつては「帰りの車で反省会」「悪いプレーが目に付いたら、ダメ出ししていた」保護者の方々が、今では「親は応援して見守るだけ」に代わっていったそう。親のスタンスが変わったことで、子どもたちも自分で考えてプレーするようになったのを実感しているとのことで、今では新しく入ってきた学年の保護者がかつての自分たちのような言動をしていると「子どもが委縮するから、親は見守るのがいいよ」とアドバイスを送ったりすることもあるそうです。ある保護者の方はこう教えてくれました。「今は勝ちを求める他の学年の親も、みんな、そのうち変われる。私たちも変わった。大丈夫、みんな変われるんです」今回ご紹介したのは、子どもにサッカーを思い切り楽しんでほしいという共通の思いを持ち実践している、良い取り組みを行っているチームの一例です。「地域で育てる」は、良いことだと思うけど難しい......。と感じる方も多いかもしれませんが、お子さんを良い環境に置きたいと思うなら大人は何ができるのかをチームで考える一つの例として参考にしてみてはいかがでしょうか。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年11月30日近年、チームとしての成績だけでなく、選手育成でも目覚ましい実績を残すのが奈良県にある「YF NARATESORO」。以前はサッカーノートを書いていましたが、最近は止めていたそうです。ですが、この秋からサッカーノートを再開。その理由と、現在導入しているノートで子どもたちのサッカーがどう変わったのか、コーチと選手たち自身にお話を伺いました。(取材・文・写真:森田将義)YF NARATESOROの練習風景写真:森田将義サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■選手自らが考えて行動する選手になるため、サッカーノートを活用以前は選手にサッカーノートを書いて、提出するようにしていたYFNARATESOROですが、繰り返すうちに書くことがマンネリ化し、ここ数年は書いてもらうのを止めていたそうです。しかし、今年に入ってからは考える習慣を身に付けさせるため、3、4年生の選手でサッカーノートの活用を再開しました。その理由について、大西晃平コーチはこう話します。「ここ2、3年で感じることなのですが、今までの子たちと違って、自分で考えて行動している子が少なく、自分のプレーを振り返ることができない。今の子はサッカーの練習が終われば、ゲームをするのが凄く気になっていた部分でした。解決するために何かできないかと思い、週1回月曜日だけでも、サッカーノートを書いて提出するようお願いしました」。■この秋出会ったサッカーノートを始めたら、子どもたちの練習に取り組む姿勢が変わった当初は市販のノートに練習や試合であったことを書いて貰っていましたが、書く内容は様々。提出して貰ったノートに目を通すと、自分でちゃんと考えてノートを書いている子がいれば、お父さんかお母さんに書きなさいと言われて何となく「今日はシュートが入った」とあったことを適当に書いているだけの子もいたと言います。また、多くの選手が白紙のノートには何を書いて良いか分からないのが、悩みでもありました。そうした時に出会ったのが、サカイクサッカーノートです。練習前は「前回の学びや発見は何かありましたか?」、「(練習・試合が)終わったときに、どうなっていたら最高ですか?」、練習後は「上手くいったことは何ですか?」といった質問に答えて、振り返りができるのが特徴です。大西コーチは、「書き続けることによって、子どもたちの練習に取り組む姿勢が変わった。練習を見ると『この子はこういうことを意識しているな』と感じるようになりました。ノートを書く時に今日はどうだったかなと振り返って考える時間が増えたことで、サッカーだけでなく、家の中で何をしなければいけないか気付けるようになった」と選手たちの変化を口にします。サッカーが上手くなる仕掛けがあるサッカーノートの秘密とは■しつもん形式だから書きやすい。振り返りによって、今の課題を見つけられる。サカイクサッカーノートは選手からも好評です。「項目が分かりやすいから書きやすい。振り返りをすることによって、チャレンジの回数が増えました。今日の練習では、後ろから前にボールを運ぶことをチャレンジしようと思います」と話すのは、川村凪くん(4年生)。「ノートを書くようになってから、考える時間が増えました。今は前回のプレーを練習前に確認しています。最近は相手を抜くためにどうすれば良いか意識しています」。そう続けるのは、滝川優馬くん(4年生)です。他にも、こんな声が挙がっていました。「前のサッカーノートより、今のサッカーになってからの方が詳しく書けている。今までは良かったこと、良くなかったことだけを書いていたけど、最近は試合や練習で相手に引っ掛かるので、なんで引っ掛かっているのか理由を書きました」(冬木碧くん、3年生)。「サカイクサッカーノートは質問になっているので、書きやすい。自分ができなかったことを読み返して、課題を見つけています。練習が始まる前に見直して、プレーでするようにしています」(長岡遥己くん、3年生)。■選手の考えが深く知れるから、指導者の声掛けが変わるコーチたちも選手の考えが分かり、声掛けが変わったそう写真:森田将義これまでは選手によって書く量や内容がバラバラでしたが、サカイクサッカーノートを活用し始めてから全員がしっかり一日の取り組みを振り返り、一面にたくさん書いています。中には書き切れなかった内容を元々使っていたサッカーノートに書く選手もいるほどです。「今までのサッカーノートはシュートが入った、入らなかった。ドリブルを仕掛けて相手に引っ掛かって獲られてしまったといった現象を書くだけで終わっていた。でも、今はどうすれば良いか、明日どんなことにチャレンジしようかという所まで明確になり、成長スピードが上がったと感じました」(大西コーチ)。サカイクサッカーノートの恩恵を得ているのは、選手だけではありません。コーチも、選手が何を考え、何を意識しているのか明確になったため、ミスをしても課題に取り組んでいると分かれば評価し、前向きな声掛けができるようになったと言います。そうした適切な声掛けができれば、選手のやる気が高まりますし、サッカーがより楽しくなるでしょう。また、目標を記入する欄があるのも特徴で、大西コーチは「選手が書きやすくなったおかげで、子どもたちの考えが色々と知れて良かった」と口にします。サカイクサッカーノートを活用し始めて。まだ1か月ほどですが、「意図したプレーが増えたり、何を考えているのかが分かるプレーが増えてきた」と大西コーチは話します。自主性が少なく、コーチに言われたことだけをやっていた選手のメンタル面にも変化が生まれてきました。今まではグラウンドに着くと携帯電話でゲームをしている選手が多く見られましたが、今は着くなりピッチに出てボールを触る選手が増えました。また、練習で使う道具が準備できておらず、コーチが声掛けをしてから、動き出す選手が目立ちましたが、今は自分たちが「今日はこれ必要だ」と気付いたり、「何がいりますか?」と聞いてくると言います。サカイクサッカーノートを上手く活用できれば、考える力が身に付き、プレー以外でも大きく成長できます。みなさんもこれを機に活用してはいかがでしょうか?サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年11月29日11月は厚生労働省が定める児童虐待防止推進月間ということ、ご存じでしたか。今回は、子どもたちを理不尽な暴力暴言指導から守るために大人は何ができるかを提案できればと思います。子どもが所属するチームで、指導者が子どもを叩いたり、暴言を吐いたりしたとき、保護者の皆さんはどうしていますか。叩かれたのが自分の子じゃないから、トレセンや中学以降に行きたいチームへの入団を妨害されるのが怖くて抗議できないから、卒業まで耐えた......。など、黙認している保護者の方もいますよね。暴力暴言指導を受けたとき、我が子が受けていなくてもチームのほかの子が受けているのを知ったとき、保護者は黙って我慢するしかないのでしょうか。スポーツと教育のジャーナリストであり、スポーツ暴力・パワハラ相談窓口相談の相談役を務める島沢優子さんに聞いてみました。(文・島沢優子)写真は少年サッカーのイメージです<<関連記事:サッカーでの育児の悩みに島沢さんが答えるサカイク連載「蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~」サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■読者からの暴力暴言指導の悩み「指導者の暴力や暴言があり、移籍を考えています。試合で負けると「お前のせいだ」などと言って顔を叩くことがあります。叩くのは一人だけでなく、ほかのコーチが別の子を叩くのを見たこともあります。叩くだけでなく、試合中も「なんで○○しないんだよ!」のように怒声を浴びせ、子どもたちは委縮しています。一部の保護者が抗議をしたところ、叩いたことは謝ったのですが、その後練習の際子どもたちに「親たちがいちいち干渉してこないよう黙らせろ」と言ったそうです。このままチームに居続けるのも子どもにいい影響はないとわかっているのですが、S級ライセンスを持っていてトレセン担当でもあるので、親が抗議することで子どもへの報復(トレセンや強豪校への進学の妨害、干されるなど)が心配です。子どもを人質に取られているようで、親としても身動きが取れない状態です。本人は友達と一緒にプレーできる今のチームにいたいと言いますが、ひっそりと移籍させた方がいいのでしょうか」■多くの保護者が報復を恐れ、暴力暴言指導を黙認しているこれがS級ライセンス保持者のすることでしょうか。暴力をふるい、保護者からの抗議があると「親を黙らせろ」と子どもに八つ当たりする。いや、これって事実なの?と疑いたくなります。ところが、私の連載への質問箱に以上のような投稿が複数あります。プライバシー保護のため、編集部のほうで共通要素をまとめたものとしましたが、投稿者への確認もしており、事実であることは間違いないようです。多くは、相談者が書いているように指導者側からの報復を恐れ、子どもをそのまま所属させている。皆さんがこの記事を読んでいる今この時間、このようなコーチのもとで子どもたちがうつむいたままサッカーをしています。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■順天堂大学で起きた元日本代表による暴言指導、J1ではサガン鳥栖監督がライセンス降格そのことは、昨今の報道をみても明らかです。「1年のクソ坊主。お前みたいなのがいた(出身)クラブからはもう選手獲らないからな!」「人間のクズ」このような暴言が継続されたとして、順天堂大学サッカー部の堀池巧監督が指導現場から外されました。つい先月、10月のことです。耐えかねた選手らがハラスメント行為を文書にまとめ大学側に提出したのです。堀池監督と言えば、20日に開幕したW杯で指揮を執る日本代表・森保一監督や三浦知良選手らとともに1994年アメリカW杯を目指した「ドーハ組」のひとり。13年には、日本サッカー協会(JFA)が公認する最高位の指導者資格で、Jリーグで監督を務めるために必要な「公認S級コーチ資格」を取得しています。にもかかわらず、怒りを態度で表すことも頻繁にあったうえ、2016年8月の総理大臣杯のトーナメントでより戦いやすい組に入るため予選の試合で「負けろ」と指示を出していたことが、当時在籍した選手複数人の証言によって報じられています。このような「敗退行為指示」が認められた場合、Jリーグでは「サッカーに限らずスポーツに対する信頼や高潔性の維持に疑義を生じさせてしまった責任」と見られ、クラブライセンス剥奪などの厳罰があります。堀池監督が指導していたのは大学ですが、大きな問題に発展する可能性は小さくないでしょう。ほかにも、J1サガン鳥栖でパワハラ行為が認定された金明輝前監督は今年3月、S級からA級に降格させられています。S級からの降格は初めての処分でした。同日、J2東京ヴェルディでパワハラが認められた永井秀樹前監督はS級資格の1年停止になりました。復帰までに研修や社会奉仕活動が求められるものの「処分が甘いのではないか」という声はあちらこちらから聞こえてきます。■今春には高校の強豪サッカー部での暴力動画も大学生やプロだけでなく、高校生も暴力や理不尽な扱いに苦しんでいます。今年5月、暴力動画を発端に、被害届を出した生徒が中学浪人させられていたことも判明した秀岳館高校サッカー部の騒動。9月には、木更津総合高校サッカー部の3年生が顧問のパワハラによって大量退部していたと報道されました。学校側は一部を認め調査すると発表しました。日本サッカー協会は他団体とともに2013年4月、暴力根絶宣言をしました。ちょうど10年前、2012年12月23日に大阪市立高校のバスケットボール部員が顧問の暴力や暴言を苦に自死したことなどがきっかけです。指導環境の修復に乗り出して10年目になるというのに、日本最高位の指導者資格を保持するコーチが、子どもたちに暴力をふるう、しかも何ら反省しないという実態があるのです。なぜ、修正できないのでしょうか。それは、修正できない人を、周囲の人たちが「他人事」と放置しているからだと考えます。上述した事件のひとつが報じられた際、複数の指導者が私にメッセージをくださいました。「いつかやると思った」「ブラックな指導をしていることは知っていた」そこで「何故やめろよと言わなかったのですか?」と尋ねると、「仲がいいだけに言いづらい」「(自分との)関係が悪くなるから」と注意するのを控えていました。数年前に高校サッカー部で暴力が発覚した指導者は、何のお咎めもなくそのまま小中学生のクラブを設立。海外でプレーした実績などが保護者に評価され、クラブは大きくなりました。が、指導者本人のマインドは何も変わっていないため、今度はスタッフへのハラスメントが原因で代表の座を追われたのです。■当事者たちが声を挙げなければ、被害はなくならない記事冒頭にお伝えした、S級コーチが暴力をふるうチームにわが子を預け続ける親御さんと恐らく同じでしょう。問題が起きても、多くの保護者が「子どもは人質なので声をあげられない」とうつむきます。チームメートの親全員が同じ価値観ではないことも要因です。親御さんにクラブへ被害を訴えるよう勧めた際「ここ(クラブ)にわが子がいるわけでもないのに、私の気持ちがわかりますか?息子も私も仲間外れになるかもしれないのに」と言われました。こんなことは一度や二度ではないので、他人が口で言うほど簡単でないことは私も重々承知しています。それでも、競技団体や社会に知ってもらわなければ被害はなくなりません。もっといえば、声をあげなければ「間違ったことでもまかり通る」ことを子どもに学習させる可能性もあります。■親たちが相談できる窓口はいくつかあるしたがって、JFA傘下の各都道府県や市区町村のサッカー協会へぜひ相談してください。それには公的機関なので実名で訴えることが前提です。暴力や暴言があった日時、相手、そのシチュエーションなど細かく文書化しておくこと、そしてそのことをともに伝えてくれる証人が必要です。公益財団法人日本サッカー協会にも「暴力等根絶相談窓口」はありますが、【利用対象者】が「トップアスリートとその関係者」のため、それ以外の小中高校生は対象外かもしれません。上述したように、各都道府県や市区町村の相談窓口をまずは利用しましょう。同じ問題を解決するために米国で設立された「セーフスポーツセンター」では匿名でも相談に応じますが、残念ながら日本ではどの競技団体もそこまでのマンパワーは割かれていないので、弁護士や有志のスポーツ人からなる民間の相談窓口も候補に入れてください。例えば『日本スポーツマンシップコーチング普及コミュニティ』が設けている「スポーツにおける暴力・パワハラの相談窓口」です。こちらは匿名でも相談を受け付けます。私もアドバイザーとして相談員を務めています。日本スポーツマンシップコーチング普及コミュニティ「スポーツにおける暴力・パワハラの相談窓口」サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年11月28日個人技、ドリブルを伸ばすチーム方針。闇雲にドリブル突破させるのではなく、パスのタイミングなども学ばせているけど、保護者から「パスや戦術理解を高める練習をしてほしい」と要望が。ドリブルを磨くのはそんなにダメなこと?ドリブルスキルを高めながらパスや仲間との連携を高めるトレーニングがあったら教えて。とのご相談をいただきました。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、イニエスタ選手を例に「ドリブルの意義」を理解し効果的に使うためのアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<「伸ばしたいなら離れなさい」わかっているけど現場指導が難しい。いい距離で離れる「さじ加減」を教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。子どもが所属しているチームで教えています。指導対象はU-12です。私自身もサッカー経験者ですが、技術だけでなく接し方など、自分の頃とは色々変わっていることを学びながら指導にかかわっています。今回お伺いしたいのは、個人技、要はドリブルについてです。うちのチームでは、個人技を伸ばすことを大事にしています。ドリブルも、ただ闇雲に突破を仕掛けるのではなく、ボールを運ぶときに大事なスキルだと教えており、緩急をつけたり、どんな時にパスを選択すればいいのかも学ばせています。ですが、最近はTVやネットで情報を得る保護者も多く、ドリブル=悪(※連携せずに独りよがりで突っ込む)のように思っている方も多く、チームの代表あてに「パスや戦術理解を高める指導をしてほしい」という要求が来ることもあるようです。パスや戦術もないがしろにしているわけでないのですが、個人技、ドリブルスキルを高める指導はそんなにダメでしょうか。パスのタイミングを理解したり、仲間と連携するためのおすすめのトレーニングがあれば教えてください。よろしくお願いいたします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。パスや戦術理解を高める指導をしてほしいことは、私も以前から訴えていることです。仲間と「連携せずに独りよがりで突っ込む」小学生が多いのも事実です。保護者の方がそのような要望を口にされるのは悪いことではないと思います。■単なる技術ではなく、ドリブルの意義への理解を高めようそれはさておき、コーチングはどんなツールで勉強されているのでしょうか。トレーニングメニューにこだわっている人は、YouTubeが多いようです。が、映像でドリブルを見せるものは、やはり足元のテクニックのほうに偏りがちです。ビジュアルとして見せやすいからかもしれません。しかし、そのような足技と呼ばれる技術を高めるのではなく「ドリブルの意義への理解」を高めるトレーニングをしてほしいと思います。なぜなら、サッカーは「対戦相手をみんなでどう攻略するか?」を追求するチームスポーツです。目の前にいる相手をひとりでドリブルで攻略するのは、チームスポーツではありません。味方の誰を使って、ゴールに進むのか。そのアイデアや動きをまずは教えてください。その後に「今ここにドリブルしたらどうなったかな?」「数的優位にするには、どの方向にボールを運ぶ?」といった問いかけを入れて理解してもらいます。そこを経て、子どもが「ここでこんなフェイントができたらもっと攻められたのに」「ここでドリブルで切り返せたらよかったのに」といったことを理解したうえでスキルを磨く。そんな順番で育ててほしいのです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス①イニエスタ選手を参考にしてみようでは、具体的にどうするか。三つのポイントで考えてみましょう。ひとつめ。ドリブルの技術習得については、最低限ターンができれば問題はないと私は考えます。ひとつの例として、イニエスタ選手(ヴィッセル神戸/元スペイン代表)のプレーに注目してみましょう。彼はたくさんフェイントをして、目の前の相手をガンガン抜いているわけではありません。囲まれて抜け出すとき、とてもいいコースにボールを運びます。ボールを相手に取られないよう、くるっとターンしたり、相手をドリブルで引き付けておいて方向転換します。そしてそのあとは、間違いなく効果的なパスを出しています。■アドバイス②カギはボールを離すタイミング!ドリブルの「使い方」を教えようイニエスタ選手のように、いい選手はドリブルをうまく使っています。したがって、子どもにもドリブルの「使い方」を教えてほしい。これが二つめです。試合の際ベンチから「ボールを運べ」という声は聞こえてきます。ところが、実際に子どもたちはボールを離すタイミングが非常に遅いようです。これはプロも同じで、日本のプレーヤーは全般的にボールを離すのが遅いのです。日本の選手は相手に近寄り過ぎます。逆に言えば、相手に近寄られてからパスを出すため、もらった側がリターンパスをできなくなります。もう2、3メートルほど、相手が近寄ってこない間にパスを出せば、その次にダイレクトでリターンパスをもらいやすくなります。つまり、早く判断するので、そのぶん相手を翻弄できるためパスコースが増えます。それなのに、近寄り過ぎるため、たくさんあったパスコースは次の瞬間消えています。攻撃に効果的なワンツーパスができません。■アドバイス③思考の順番を変える抜けないからパスではなく、効果的なパスを出すためのドリブルを三つめ。子どもに思考の順番を変えてもらいましょう。まずボールを持った瞬間に考えることは、誰にパスを出すといいかを考えるのです。その次に前にスペースがあればドリブルで前進する。ドリブルをしながら次のことを考えるのですが、ここでも誰にパスを出すかを考えながら進むことです。前に相手選手が来たら、誰を使ってその相手をかわすかを考えるのです。このような順番で思考することを教えてあげてください。日本の子どもたちが相手に近づいてからパスを出すのは、まずは相手を抜こうとして、結局抜けないから出す、というパターンが多いです。それは思考の順番が違います。効果的なパスを出すために、相手をどうかわすか?そのあと、誰と誰に出す選択がある。そのように、あらかじめいくつかの選択肢をもちながらドリブルするのです。そんな順番で考えられれば、攻撃の形をつくることができるでしょう。それなのに、練習で1対1ばかりやってないでしょうか。試合でドリブルが上手い選手に「勝負!勝負!」とドリブル突破するよう声掛けをしていないでしょうか。突破するためにドリブルの技術を磨くわけではありません。チームで相手をどう攻略するか。そこを指導者がまず理解することが大切です。■パスのタイミングや仲間との連携を高めるためにおすすのトレーニング(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)パスのタイミングを理解したり、仲間と連携するためのおすすめのトレーニングは数的優位が起きやすいメニューです。2対1、3対2などです。オシムさんも「日本人はなるべく早いうちに数的優位のトレーニングをやったほうがいい」と指摘していました。20年近く前の話です。日本のサッカーが何をなすべきかという未来を見越していたのでしょう。私もメニューを解説した書籍を複数出していますが、ドイツ在住の中野吉之助さん、オランダに渡った倉本和昌さんなど、育成の本質をつけるコーチングデベロッパーたちが出てきています。彼らの著書やブログなどで学ぶこともできます。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年11月25日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「ファーストタッチが思い通りにできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、自分の所に来たボールを最初にコントロールする「ファーストタッチ」は、相手を交わすときにも、前方にいる味方にパスをするときにも大事になります。しかし、初心者のうちはその判断が難しいもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、ファーストタッチが上手にできるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】<前方にスペースがあるとき>1.目印を2つ置き対面して立ち、親は動かず、子どもだけ2つの目印をぐるぐる回る2.子どもが親の背中を回ったら足元にボールを出す3.子どもは前方にコントロールして目印に向かい、親にパスを返す4.効き足と逆の足で挑戦する<相手がボールを取りに来た場面を想定>1.目印を2つ置き対面して立ち、親は動かず、子どもだけ2つの目印をぐるぐる回る2.親は子どもに向かってボールを転がしたら、追いかける3.子どもはボールを取られる前に左右どちらかに交わす4.相手との距離を見て取りに来るギリギリの所をファーストタッチで大きくずらすなど、試合の場面を想定して動く【トレーニングのポイント】・前にスペースがあるので、ボールをもらったら前に運ぶことを意識。・効き足と逆の足でも挑戦してみる・ボールが来てから動き出すのではなく、ボールを迎えに行きながら動きの中でファーストタッチを行う・足元に止めると相手に引っかかってしまうので、大きく左右に交わすことを意識・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年11月21日わたしたちの体は食べたものからできています。ですから、何をどのように食べるのかがとても大切。食事は満腹になればよいのではなく、偏りなくバランスのとれたもので、必要な栄養をきちんと摂れるものでなければなりません。ですが、前回の記事でもお伝えしたように、朝昼晩と食べたものだけで、きちんとした体を作ることが難しくなっているのが現状です。特に激しい運動をしているスポーツ少年に不足しがちなのが「ビタミン」と「ミネラル」。では、その不足した栄養素をどのように補えばよいのか、栄養学や食育の専門家で、ご自身もサッカーキッズを育てた経験を持つ柳生百々子さんに話をうかがいました。疲れやケガから子どもを守る方法とは?LINEで配信中!詳しい情報はこちら>>■「疲れやすい」の原因は活性酸素にあり!わたしたち人間は、息をするだけで取り込んだ酸素のうち2~3%が活性酸素に変化してしまうということをご存知ですか?柳生さんは言います。「わたしたちの体の中には、60兆個以上もの数の細胞があります。体の中にあるすべての細胞に栄養と酸素を血液が運んでいます。細胞に行きついた栄養を酸素で爆発させ、燃やすことでエネルギーが作られているのです。この時に使った酸素の約2%が活性酸素になるといわれています。もちろん活性酸素も細菌やウイルスを攻撃する働きをしてくれるのですが、増えすぎた悪玉活性酸素は私たちの細胞を攻撃して酸化させ、サビさせてしまうのです」普通に生活していて2~3%ですから、激しく動くスポーツをしている子どもたちはもっとたくさんの空気を吸います。それだけ多くの活性酸素が作られているということです。「本来、子どもは活性酸素を除去するための酵素が体内で作られると言われていますが、"疲れやすい""疲れが抜けない"子どもが増えているのが気になります。"子どもなら大丈夫"ではないかもしれません。活性酸素というと老化や病気との関係が深いというのはご存知だと思いますが、最近では"疲れ"の原因だということもわかってきました」実際に、サカイクでも読者の親御さんにアンケートをとったところ、92%の方が「子どもの疲労を感じている」と回答しています。■疲労回復にはビタミン&ミネラルが不可欠一生懸命にプレーをしているとき、子どもたちの体内ではすごい勢いで酸素を使ってエネルギーが作られています。エネルギーが作られているときには、たくさんのビタミンやミネラルが必要となり、これらが不足すると疲れやすくなります。活性酸素を除去する酵素を作るためにもビタミン・ミネラルが必要ですが、活性酸素で傷ついた細胞を修復するためにもビタミンとミネラルが必要なのです。「ですから、この栄養素がつねに体の中に潤沢にあるのが理想的なのです」ビタミン&ミネラルが必要なのは、成長期の子どもたちだけではありません。お母さん、お父さんにももちろん必要な栄養素。「活性酸素を除去する酵素は、20歳をピークに年齢とともに低下して、35歳を過ぎたころから急激に低下し始めるということです。シミ、シワ、たるみなどの肌トラブルや二日酔いの予防、回復、さらにはスムーズにダイエットを成功させるためにも、ビタミンとミネラルは親御さんにも不可欠な栄養素です」■食事でカバーしにくいビタミンB群の摂取が大事「人間のからだをつくっている栄養素は大きく分けて、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、そして水分の6つ。子どもたちの体は、一年中365日24時間、眠っているときも、勉強しているときも、スポーツをしているときも、どんなときも栄養素たちによってつくり続けられています。すべての栄養素が相互作用で協力し合いながら、休みなく働いています。最近はプロテインを摂取する子どもも増えていますが、たんぱく質だけでは丈夫で大きな身体を作ることはできません。ビタミンとミネラルがバランスよく働いて真価を発揮します。また、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルは、骨の形成、筋肉や神経の機能の維持、疲労物質の代謝など、疲労回復に対するさまざまな役割を持ちます。しかし、ビタミンなしではミネラルも働けないのです。栄養素が正しく働き、効果を発揮するには密接なチームワークが必要です。また、エネルギーを作り出すためにビタミンとミネラルが重要という話をしましたが、炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素をエネルギーに変換するために欠かせないのがビタミンB群です。特に、ビタミンB群は水に溶けやすい栄養素のため、身体にためておくことができません。そのため、常に食事で補給していく必要があります」■サプリメントで補うことも一つの方法しかし、柳生さんはそのような完璧な食事ができている家庭は少ないと言います。柳生さんはサッカーを頑張るわが子のために栄養学を勉強し、子どもたちが口にするものすべてに気を遣っていたそうです。当時はまだ耳馴染みのなかったマクロビオティックや自然野菜、子どものお弁当を作ればそのお弁当と同じ食材で自分も昼食を摂り、さらには水にまで気を遣って料理をしていたそうです。「その経験があるからこそ思うのですが」と柳生さんは続けます。「毎日の食事がお母さんの負担になっても良くありませんよね。『子どものため子どものため』と頑張りすぎて返って子どもにプレシャーをかけてしまうかもしれませんし。もちろん自分が好きで楽しみながらできるのならいいと思うのですが、ご飯は楽しく食べるのが一番ですから」そこでサプリメントを活用するのも一つの方法だと話します。「基本は毎日の食事や生活のリズムにあります。そこで得られる栄養をさらに吸収しやすく、効率よく使えるようにお手伝いをするのがサプリメントに含まれている栄養素です。これらは、普段の食事ではなかなか摂取しづらいものだったり、不足しがちなものです。これを補ってあげることで、愛情を込めて作ったご飯がさらに効率よくエネルギー源になっていくのです。先ほどお話ししたビタミンB群など不足しがちなビタミン、ミネラルを補うためにサプリメントを活用することは、とても効果的だと思います」基本はお母さんたちが作る食事ですが、栄養のことばかり気にしていては、毎日の献立を考えるのは大変です。子どもが元気にプレーできるよう上手にサプリメントを取り入れて、お母さんの肩の荷を少し軽くすることも一つの選択肢かもしれませんね。疲れやケガから子どもを守る方法とは?LINEで配信中!詳しい情報はこちら>>監修:柳生百々子食育インストラクター・健康管理士一般指導員。自身もサッカーキッズを育てた経験を持つ。二人の子どもを育てる中で食育に目覚め、健康管理士の資格を取得。文部科学省が推進する「早寝早起き朝ごはん」の活動にも参加。小学校や中学校などで生徒向け・保護者向けの食育勉強会を多数行ってきた。【連載】子どもの疲れやケガを防ぎパフォーマンスを高める食事とは?●いまさら聞けない「子どもにとってバランスのよい食事とは?」飽食時代の栄養不足に注意!●ハードな運動をしている子どもに推奨される「とにかく量を食べなさい」の弊害とは?●野菜の栄養が減ってきている!?食事量だけでは補えないスポーツ少年に必要な「ビタミンとミネラル」●「うちの子、なんだか疲れやすい」それはビタミンとミネラルの不足が原因かも!?
2022年11月18日チームメイトに見下されている息子。お世辞にもうまいとは言えないし、その年代なら意地悪されたり何か言われるのは当然とは思っているが、問題は息子自身がその扱いを受け入れていること。努力して見返そうというタイプでもないし、嫌なら辞めればいいのにサッカーに行くという。このままだと自己肯定感が下がりそうで心配、というご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、サッカーママとしても先輩の島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<自信がなくいつも指示待ちの息子に積極的になってほしい問題<サッカーママからのご相談>9歳の息子のことで相談です。息子は年長から今までクラブチームでサッカーをしていますが、お世辞にも上手いとは言えません。当然、仲間からもどこか下に見られていますし、意地悪もされたり、言われたりもしますが、年齢的にもそんな面があって当たり前だとは思っています。問題は息子がそんな扱いを受けることを当然、と受け入れてしまっていることです。結果、仲間が怖くて萎縮し、会話の中にも入っていくことができずにいます。残念ながら、努力して見返してやるというタイプでもありません。親としては、そんな思いをしてまでやることか?辞めれば?と思っていますが、本人が行く、と言うので好きにさせています。いつでも辞めていいことも伝えていますが、辞める気配なしです。しかし、このままだと本人の自己肯定感が下がっていくのではと心配です。どのように気持ちを持っていけばいいのでしょうか?<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。本来なら、息子さんがチームメイトから見下されたり、意地悪されればこころを痛め、それを放置しているコーチやその子たちの親に文句のひとつも言いたくなります。そこを「年齢的にもそんな面があって当たり前」と理解されているところは、とても良いと思います。しかしながら、お母さん自身に悔しさや悲しさ、もしくは下に見られることを当然と受け止めている息子さんを情けないととらえる感情も少なからずあるのではないでしょうか。相談文の最後に「どのように気持ちをもっていけばよいか」と尋ねられています。これは息子さんの気持ちを指していると思いますが、ここはお母さんの気持ちの持ちようも含めて2つアドバイスさせてください。■親は、子どもが気持ちを吐き出す相手になってあげるひとつめ。まずは、お子さんの気持ちに寄り添いましょう。「親としては、そんな思いをしてまでやることか?辞めれば?と思っています」「いつでも辞めていいことも伝えています」そのように書かれているように、今のところお母さんは自分の考えを伝えているだけのようです。つまり「親発信」です。そうではなく「子ども発信」をさせるよう努めてください。何よりも、息子さんの気持ちを聴くことです。お母さんから「お友達にはどんなことを言われたのかな?」「どんな気持ちだったの?辛くない?」「クラブを辞めないのはどうして?」と聞いてあげてください。息子さんがさまざまな嫌なことを吐き出せる機会を設けることです。お母さんが吐き出す相手になってあげてください。そのためには、息子さんが弱音を吐きたくなる安全基地にお母さんがなること。それが二つめです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■親が悲しい気持ちで見ていることは子どもに伝わる。ありのまま受容してあげてご相談文を拝見すると「努力して見返すタイプではない」「問題は息子がそんな扱いを受けることを当然と受け入れてしまっていること」などと、息子さんを低く評価する言葉が見受けられます。いずれもやや否定的なニュアンスです。そうなってしまうお母さんの歯がゆい気持ちはとてもよくわかります。私も、同じような経験をしました。息子が小学2年生くらいのとき3年生の試合に呼ばれて参加したのですが、3試合あって一度も出場させてもらえませんでした。一緒に呼ばれた同学年の子どもは出場させてもらって活躍しているというのに、わが息子は地面に座ったまま指で何か描いて試合も観ていません。息子はガツガツしておらず、息子さんに似たタイプの子どもでした。私は息子の姿を見るのに耐えきれず、試合を見届けずに家路につきました。途中で勤務先にいる夫に泣きながら電話したのを憶えています。すると、夫はこう言いました。「そりゃ、悔しかったね。でも、ママが先に帰っちゃったら、○○(息子の名前)がガッカリするんじゃない?試合に出られなくて一番悔しいのはアイツだろ?」温かい声でした。そんなこともあって、私は少しずつですが、息子の気持ちに寄り添えるようになりました。これと同じように、実は息子さんが一番辛く、悔しいのです。過去の私のようにそこに目を向けず、息子さんの姿を悲しい気持ちで見ていると、それはそのまま息子さんに伝わります。そうなると、子どもは「今の僕ではダメなんだ」と感じ、自己肯定感が下がります。そうならないためには、お母さんがありのままの彼を受容することです。上述した「安全基地」になってください。何かが上手くいかなくても、ダメな自分でも、すべてを受け入れてくれる。家ではそんな存在になること。そうすれば、息子さんは安心して外に出ていろいろなことにトライできます。少しくらい嫌なことがあっても、大好きなサッカーを続けられるはずです。■周囲の対応より、親が我が子を見下さないことが大事(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)以前、小学生のいじめと不登校の問題を取材したことがあります。その際お話を聞いたお母さんの娘さんは、クラス全員から無視されるなど壮絶ないじめを受けていたにかかわらず学校に通い続けたそうです。お母さんが「無理に行かなくていいんだよ?」と声をかけたら、娘さんはこう返しました。「私は大丈夫だよ。百個の『大きらい』より、一個の『大好き』が勝つから」そのお母さんは、娘さんが小さいときから毎日のように「ママはあなたが大好きだよ」と伝え続けていたのです。お母さんはサッカークラブの仲間から見下されることで自己肯定感が下がることを心配していますが、お母さんさえ息子さんを認めていれば彼は動じないはずです。お母さんが彼を見下さず「今の君が大好きだよ」というポジティブなメッセージを発信し続ければ、きっと違う姿を見せるようになるでしょう。親が子どものこころをコントロールする方法はありません。子育てのやり方ではなく、お母さんの「あり方」を見つめ直していただけたらと思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年11月16日