サッカーを楽しみ、サッカーが上手くなる。そのために必要なのは、技術練習だけではありません。自分で考えてプレーする力や、仲間との協力、感謝など人間的な面での成長も大事です。そのため、サカイクキャンプではサッカーに大事な「5つのスキル」を子どもたちに教えています。どれも日常で身に付けられる力ですが、家庭でそれを教えるのが意外に難しいという声も。昨秋、サカイクで行った読者アンケートできいた「サッカーで大事な5つのスキル、家庭で身に付けるのが難しいと感じるのは?」の回答をランキングで紹介します。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「5つのスキル、家庭で身に付けるのが難しいと感じるのは?」のランキングリーダーシップ 49.3%考える力 25.3%チャレンジ 12.8%感謝の心 7.6%コミュニケーション4.9%一番多かったのは「リーダーシップ」で全体の約半数という結果に。ついで「考える力」が25%と、約4分の1の保護者が思考力を家で身に付けるのが難しいと感じているという結果になりました。それぞれの回答理由の一部を以下にご紹介します。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■5位:コミュニケーション(4.9%)「外部との関わりあいの中で身に付ける要素が大きい」「コミュニケーションは一種類ではなく多様性があるので家だけでは限界がある」「家族とのコミュニケーションと他人とのコミュニケーションは根本的に異なるため」「考え方が異なる相手とどのようにコミュニケーションを取るかは、家庭だけでは学べない」家庭内での親子のコミュニケーションと、外の世界でのコミュニケーションは違うので難しいと感じている保護者が多いようです。上記以外だと、「コミュニケーションについて家で言葉にして伝える機会が少ないため」など、あえて意識して伝えたりしていないから、という声がありました。■4位:感謝の心(7.6%)「親が言葉にして言えていない」「身近にいると感謝などの気持ちが伝えづらい」「大人が環境を整えすぎてしまう」「自分も子どもの頃から感謝の心は大事と言われていたが、いろんなことが『当たり前』だったので、正直よくわかってなかった。なので、子どもに伝えるのも難しいと感じている」「家族間ではなんだか軽い感じになってしまい、感謝の気持ちがどんなものかを理解させにくい気がする」など、親御さん自身が家庭で感謝を表現できていない、という声や親自身も周りへの感謝を表面的にしか理解していなかったので、いざ子どもに教えるとなると難しさを感じているということでした。ほかには「周りにしてもらって当たり前だと思ってる」という声も。兄弟姉妹の末っ子だったり、祖父母が可愛がってくれたりすると色々してもらうことが多く、それが当たり前なので感謝の心を家庭で教えるのが難しいと感じている、という回答も見られました。■3位:チャレンジ(12.8%)「ミスを恐れがちな性格なため」「失敗を恐れている為」「上手くできないと消極的になってしまう」「親の声かけで挑戦しようと意欲を出させてあげられない」「親子で継続的に時間を設ける事が難しい」チャレンジしてミスすることを怖がる、失敗を恐れるという回答が多く、親が思っていても子どもの性格によるため難しいと感じている保護者が多いことが伺えました。日々の仕事や家事育児に忙しく、何かにチャレンジするための機会や時間を設けるのが難しいと考えている保護者もいるようです。■2位:考える力(25.3%)「つい、あれしろこれしろと言ってしまう」「どうしても言われた事をするという思考から抜け出せない」「我慢出来ずに答えを言ってしまう」「甘えて考える前にすぐに親を頼ってしまう」「思わず先走りしたり、答えを言ってしまう。待つ余裕が持てない」子どもに考える力をつけたいと思って接しているのに、家だと甘えが出て「早く答えを教えて」となりがちだったり、親御さん自身が待てずに答えを言ってしまうといった葛藤が伺える回答が多くありました。中には「思考を深める会話が家庭内で足りない」など、家庭内での会話の質についてのコメントもありました。■1位:リーダーシップ(49.3%)「グループや仲間の中にいてこそ養われる能力だから」「親がいると、子どもはついつい親に頼りがちになってしまう」「リーダーシップを取るより人について行く状況が多い」「家庭の中では甘えが出てしまうため」「親が先導してしまう」など、家庭以外の環境の中で身に付けるスキルであるという回答や、家庭ではどうしても親があれこれ指示を出す場面も多いという理由が多く挙げられました。それ以外で多かったのは「親自身にそのスキルがない」「リーダーシップについてどう指導したらいいかわからない」という回答。保護者自身が自分にリーダーシップがないと感じているため、家庭で教えるのが難しいスキルだと感じていることが分かりました。いかがでしたでしょうか。サッカーというチームスポーツでも、自分で考えてプレーするだけでなくチームメイトとの意思疎通やチームワークを大事にして周りに感謝するなど、「リーダーシップ」「考える力」「チャレンジ」「感謝の心」「コミュニケーション」の5つのスキルは、良い選手になるためにも大事なスキルです。いずれも「スキル」なので後天的に身に付けることが可能なものです。今後もサカイクではご家庭でも身に付けさせるためのヒントを発信していきます。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年02月21日関西屈指の育成クラブとして知られ、カタールW杯で大活躍した堂安律選手の出身クラブとしても有名な、西宮サッカースクール。個の成長にアプローチする指導方針のもと、たくさんの子どもたちが力をつけ、上の年代でもサッカーを楽しんでいます。西宮サッカースクールの3年生は、昨年夏に開催された『ジュニアサッカーワールドチャレンジ』がきっかけとなり、『サカイクサッカーノート』を導入してくれました。そこで今回は3年生の監督をつとめる大禮剛さんと子どもたちに、サッカーノートの使い方と効果をうかがいました。(取材・文鈴木智之)西宮サッカースクール3年生の選手たちと大禮監督(後列右)写真提供:西宮サッカースクールサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■これまでは指導した内容が頭の中に残っていなかった西宮サッカースクールの3年生は、2年生のときからサッカーノートを導入しているそうで、大禮剛監督は「うちのクラブは練習試合をたくさんするのですが、試合をして終わりという感じで、子どもたちの頭の中に残っていないと感じることがありました」と話します。そこで「考える力をつけるために、サッカーノートが良いのではないか」と考え、子どもたちにノートを書いてもらうようにしたそうです。「サッカーノートを始めた頃は、私が書く項目を考えていました。将来の夢や1年間の目標、日々の目標を書くところがあり、毎回の試合後に、今日の試合で『できたこと』『できなかったこと』『その理由』『どうしたらできるようになるか』の4つを書いて、提出してもらっていました」書き始めた頃は、小学2年生ということもあり、「支離滅裂な文章も多かったですが、書き続けることで、少しずつ内容も変わってきました」と言います。■ノートを見れば言われたことをどれだけ理解しているかわかるサッカーノートの活用は、指導者側にもメリットがあるようです。大禮監督は次のように話します。「コーチが言ったことを、どれだけ理解しているかが、ノートを見ることでわかります。この子は、心と頭では理解はしているけど、プレーで表現することはまだできていないんだなど、コーチが気がつくようになりました」2022年10月には、サカイクサッカーノートを導入。質問に沿って答えていく形式のノートなので「子どもたちは書きやすくなったのか、書く量が増えて、提出するスピードも早くなりました」と笑顔を見せます。「以前は私が考えた項目に答えてもらう形で書いていたのですが、サカイクさんのノートにしたことで、内容がさらに細分化されて、具体的な回答が増えてきました。それはこのフォーマットというかノートのおかげだと思います。子どもたちの頭の中が、整理されてきていると感じることが増えました」サッカーが上手くなる仕掛けがあるサッカーノートの秘密とは■子どもたち自身も自分の成長を感じている子どもたち自身も自分の成長を感じているDF 福島誠哉くん好きな選手:ガレス・ベイル得意なプレー:パスとドリブルで切れ込んでシュート「サカイクサッカーノートは、詳しく書けるので、頭の中に入ってきやすいです。目標とか、前回は何ができなかったとか、試合のときに思い出します。最近は『絶対に相手にボールを触らせない』『ロングパスのボールを味方に届ける』などを書きました。書くときは、試合でどんなプレーがあるかを考えながら書いています。試合の後は、できなかったことについて書いています。できなかったことが、できるようになりたいからです」FW/MF清野羽雲くん好きな選手:エムバペ得意なプレー:ドリブルで駆け引きをして、サイドを突破してクロスを入れること「サカイクサッカーノートは、質問があるので書きやすいです。うまくいかなかったことやどうすればよくなるとか、考えるための質問があるのが良いと思います。ノートに書いたことを、プレーに活かしています。最近は、周りを見て相手の位置を確認することや、パススピードを意識することなどを書いています。ノートを試合前に読んで、目標を確認して試合に入ることで、良いプレーができるようになった気がします」MF グロス大河モリスくん好きな選手:クリスティアーノ・ロナウド得意なプレー:ボールを奪って、味方にパスをつなぐこと「サカイクサッカーノートは細かく書けるので良いと思います。試合前と試合後に書いているのですが、前の試合で自分はどこがよくなくて、次にできるようにしたいことを書いています。ノートを書くことで、試合中に意識するようになりました。前の試合でうまくできたプレーをもう一回しようとしたり、似たようなプレーをしようという気持ちになります。監督がノートにコメントを書いてくれるので、自分が思ったことと監督が思ったことの両方を、試合に活かしていきたいです」GK 大禮篤矢くん好きな選手:オリバー・カーン、オチョア得意なプレー:シュートを止めること「ノートには失点場面や自分が止めたところを書いています。いままでのノートとは違って、細かくていねいに書くようになりましたし、あそこができなかったから、ここを頑張ろうと思ったり、自分で自分の評価をできるようになりました。また、質問に沿って考えられるので、表現も変わってきたと思います」みなさん、3年生とは思えないほど、しっかりと答えてくれました。これも普段から、自分のプレーについて考えることを習慣化しているからかもしれません。▼以前のノート▼サカイクサッカーノート■続けると続けないでは成長に雲泥の差が出る大禮監督は「この子たちが卒業するまで、ノートを書くことは続けていきたい」と話します。「ノートを書くことで考える力がつきますし、記憶にも残りやすいですよね。試合前に目標を書いて、試合に臨むことで、入り方も変わってきました。頭で考えたことを、プレーで表現することができるようにもなってきたので、ノートは続けていきたいです。これを卒業までの3年間、続けると続けないのとでは、成長に雲泥の差が出ると思います」ノートを書くことで「考える力、整理する力がついてきた」と話す大禮監督。サッカーだけでなく、勉強や日常生活にも影響を及ぼしてくれることでしょう。ノートを成長に活かす彼らの今後の成長、そして活躍に期待大です。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2023年02月14日「自分で考えるサッカーを子どもたちに」をテーマに、「シンキングサッカースクール」や「サカイクキャンプ」などを通じて子どもたちの成長をお手伝いするサカイクが、サッカーを頑張る子どもをどうサポートすればいいかお伝えする保護者セミナーを開催します。(オンライン開催)サッカーをする子どもを伸ばしたいけど家庭でどんなことができるの?、主体性を大事にして挑戦を見守るけど「放置している」とみられるのが悩み......。今の時代の子育てを知りたい、情報をアップデートしたい。という保護者の皆さんを対象にしたセミナーです。――――――――――――――――――――――――・主体性が大事なのはわかるけど、放置との境目は?さじ加減が分からない・自分で自分のことをやるチーム理念に共感しているけど、試合会場で熱い親たちを目の当たりにすると新年が揺らぐ。親としてどうすればいい?・自分で考えてプレーしてほしいけど、考える力が足りない。家庭でも考える力を身につけさせる方法が知りたい・失敗を恐れずチャレンジしてほしいけど、なかなかうまくいかない。どう声掛けすればいい?・つい、子どものサッカーに口出しすぎてしまう・子どもをどの程度サポートすればいいのか、過保護・過干渉にならないさじ加減が分からない・サッカーにおける親と子の接し方が分からない――――――――――――――――――――――――といった悩みをお持ちの方に、家でどんなふうに子どもに接すればいいか、どう見守ればいいかをお話します。きっと皆さんの悩みを解決するヒントがあるはずです。事前に皆さんからいただいたご質問にお答えする時間を設けますので、サッカーでの子育ての悩みをご入力ください。質問タイムでは、みなさんと一緒に考える機会も用意します。ぜひこの機会にご参加ください。<開催概要>日時2月26日(日)19:00~20:20形式オンライン(無料)定員50名参加費 無料※後日オンライン(Zoom)のURLをお送りいたします※事前質問の回答は20:00までに行います。セミナー中にチャットでお送りいただいた質問には、20:00~20:20にできる限りお答えしますので、質問を投稿していなくても20:00以降も聞きたい方は引き続きご参加いただければ幸いです。※セミナーのテーマに沿っていないご質問にはお答えいたしかねますのでご了承ください。>>>お申込はこちら※お申込はLINEアプリを使用してのお申込みとなります。下記の画面が表示されて応募フォームに行けない方は、画像右上の×印(赤枠部分)を押してください。■お申し込み方法LINE予約にてお申し込みを承っております。サカイクLINEアカウントのフォローをお願いいたします。※既にお友だちとなっていただいている方でフォームに入れない場合は、スタンプをLINEに投稿していただくとフォームに入れるようになります。講師プロフィール菊池健太(きくちけんた)サカイクキャンプヘッドコーチ。約20年にわたり未就学児から小学生まで指導。私生活では4児の父。4人ともサッカーをしており、サッカー選手を育てる保護者でもある。<資格>日本サッカー協会C級JFA公認キッズリーダーキッズコーディネーショントレーナー佐倉市立井野中学校サッカー部外部指導員<経歴>VERDY花巻ユース 日本クラブユース選手権出場(全国大会)中央学院大学 千葉県選手権 優勝千葉県1部リーグ 優勝■お問い合わせ先サカイクイベント事務局info@sakaiku.jp営業時間:平日10:00~18:00
2023年02月10日「そうじゃない」「左のスペースへ出せ」など指示命令ばかりのベテラン指導者の声掛けを受けている子どもたちから笑顔が消えた。まだU-8だしサッカーが嫌いにならないよう、改善してほしいけど何かアイデアはない?と悩むコーチからご相談。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、ベテランコーチとの対立リスクを避け、少しずつ改善するための方法を伝授します。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<主要メンバー病欠により苦肉の策で「勝つための作戦」を授けたが、そのやり方は間違いか。指導者としての選択を教えて<お父さんコーチからの質問>「そうじゃない」「ちがーーう」「もっと前」「左のスペースへ出せ」等の指示命令コーチングをされる定年を迎えたコーチ歴が長い指導者がいます。試合や練習時のミニゲーム中にこのような声かけをされた子どもたち(U-8)からは笑顔がなくなり、楽しくサッカーができていません。半年ほど前に、このような声かけではなく子ども達が良い判断でプレーしようとしたときにそれをまずは認めてあげて肯定してあげるような声かけをお願いしたのですが改善されず困っています。この年代に期待して張り切っているようですが保護者さんからの反応も良くなく。一部の子は聞く耳持たず「また何か言ってるわ」程度で受け流す事ができるのですが、全員がそうではないのでフォローが大変です。そのコーチの方がいないときは笑顔でサッカーをおもいっきり楽しんでいるので少し安心なのですが、このまま改善されないとサッカーが嫌いになってしまわないかと心配です。何か改善方法のアイデアはないでしょうか。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。過度な指示命令は、子どもが自分で考える機会を奪ってしまうことになりかねません。ご相談者様が指摘されているように、子どもたちが委縮してしまい楽しくサッカーができなくなるのは避けたいものです。では、どうすればいいのでしょうか。■新しい学びを得た指導者たちが未来を変えていく可能性がある私がかかわっている地域のサッカー協会では、子どもたちを指導する人たちを対象にした独自のライセンス制度を設けています。そこで私はスクールマスターとして講習会を行っています。参加者は中堅から若いコーチが多いようです。彼らは変化が非常に早く、それぞれの学びたい気持ちが伝わってきます。今まではこうしていたけれど、実はそれは間違っていたのだとすぐに認めることができます。良い傾向だと思います。一方で、ベテランの人たちはこのライセンス制度にはあまり興味を示さないようです。制度運用を進める人たちにとって悩ましいところでもあるのですが、そのような変化を好まない人たちと、新しい学びを獲得した若い人たちがつながってくれると新しい未来が開けそうです。若い人たちが少しずつ働きかけてくれれば、今後5年くらいの期間の間に変化できる可能性は大いにあると考えています。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■リスク回避のためにもお伺いを立てるような言い方で少しずつ働きかけようご相談者様も、ぜひ少しずつ働きかける感覚でこの問題に向き合っていただけるといいなと思います。基本的には、このベテランの指導者と話し合う必要はあるでしょう。ただし、議論が決裂するなどすれば、もしかしたら自分がチームをやめなくてはいけないことにもなりかねません。残念ながら日本は、意見が違う者同士がすぐに対立してしまう傾向があります。特に、ベテランの方が「若いくせに」とはじき出されてしまう文化があります。もしご相談者様が「このクラブから出てもいい」と思うなら、きちんと方法論を話し合えばいいと思いますが、そうでないのなら、そういったリスクを回避するためにこのベテランコーチに対し少しずつ働きかけてください。例えば、ここはこうじゃないでしょうか?とお伺いを立てるような姿勢で聞いてみます。あくまでも「こういうやり方もありますね」という言い方です。■「○○のところはやれてるよ」など、子どもたちを肯定する言葉をかけるほかにも、このコーチが「そうじゃないだろう」とか「こうしろ」といった否定や指示命令的な声をかけているときに、ご相談者様たちが「いいぞ。うまくいってるぞ」とか「大丈夫だよ」「○○のところはちゃんとやれてるよ」などと言ってあげると、子どもたちは自分たちは肯定されていると感じます。また、「そうじゃないだろう」という否定は抽象的な声なので、私ならそんなときに「今、何見てた?」とか、例えば「左のスペースは見えてる?」と問いかけます。もしくはプレー後などに子どもに説明してあげましょう。いまこうなっていたけど、なぜだかわかる?そんなうに対話して「これはどう?」「どう思う?」と子どもに決定権をもたせましょう。ずっと指示されていると子どもは考えなくなるので、考える力を耕す役目を担ってあげてください。■支持を分解して伝えると同時に、他の選択肢があることも示すコーチが指示していることの意味を恐らく子どもたちはあまり理解していません。したがって、そこを分解して伝えるのと同時に、それがわかったうえでほかにも選択肢があることを伝えてください。「君たちならどうする?」「ほかにどんな方法がある?」「どうしたいと思った?」そんなふうに問いかけ続けていると、「いまこうだったから、コーチに言われたところにはパスできなかった」などと自分の主張を言えるようになるかもしれません。そんなふうに言えたり、考えられる子どもをぜひ育ててください。■教員を目指す大学生でさえ、自分で考える経験が少ない(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)私は、将来教員を目指す学生が通う大学で講義をしています。授業で「運動部の顧問になったときにどんな目標を立てますか?」とか、「教員になったときにどんな生徒に育ってほしいですか?」といったタイトルでレポートを書いてもらったことがあります。すると、学生たちは「持ち込み可能ですか?」と尋ねてきます。つまり、書籍などを参考にしていいかというのです。私はこう答えました。「OKだよ。何でも持ち込んでいいよ。ただ、そこを見ても答えは載ってないよ。なぜなら、レポートには自分の考えを書かなきゃいけないからね」すると、学生たちは「えーっ!めっちゃ大変!」と慌てていました。自分の考えを述べる。構築するという経験をあまりしていないようです。このことはスポーツ指導の現場にも大いに問題があると私は思います。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年02月10日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「中距離のパスを狙って蹴ることができない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中は、チャンスを生かすため長短のパスを味方に送る場面がたくさんあります。しかし、初心者は中・長距離のパスを狙って蹴ったり、コントロールするのが難しいもの。弱いパスだと相手にインターセプトされてしまうので、ある程度の強さで蹴る必要がありますが、その匙加減も最初はわかりません。今回は、範囲を決めた中で蹴ったりボールを受けたりすることで、中距離のパスをしっかり狙って蹴れる、受けれるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.目印を4つずつ用意し少し離れた距離に四角を2つ作り、親、子はそれぞれ四角の中に入る2.どちらがスタートでもよいので、相手の四角内にパスを出す3.自分のところに来たボールは四角の中でコントロールする4.ボールコントロールの際に、四角の外に出したら相手に得点が入る、パスが5本成功したら得点が入る、など遊びの要素を入れながら行う【トレーニングのポイント】・目印で作った四角の中で蹴ること、受けることを意識する・強いボールを蹴るためには、しっかりボールと相手を見て足を早く振る・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2023年02月09日強豪クラブに移籍したばかりで1か月離脱のケガ。休んでいる間、周りに差をつけられるのではと不安になっている息子にどう声をかければいい?とのご相談をいただきました。大人にしてみればたった1か月ですが、子どもにとって1か月も休むのは不安になるもの。みなさんはケガをしたお子さんをどのようにサポートしていますか。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、お子さんに寄り添うために必要なマインドセット(心得)をお伝えします。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<息子がキーパーをやりたくないと言うので移籍も考えてます問題<サッカーママからのご相談>いつも記事拝見させていただきまして、大変勉強になります。ありがとうございます。 相談お願いします。3年生(9歳)の息子がいます。1年生からサッカーを始め、初めは練習に行くだけでしたが最近自主的に練習をしたり、ランニングしたりサッカーを上手くなりたいと自分で思うようになってきて、口出しはしないように親として応援だけしていました。ただこのタイミングで足をケガしてしまい1か月弱の期間を運動を禁止と言われました。 本人は何も言いませんが、元気が無くなり落ち込んでいるようで見ていてとても辛いです。将来サッカー選手になりたいと言っているので、親としてはしっかりとした栄養ある美味しい食事、睡眠時間の確保などできる限りサポートしていますがサッカーに関しては教えることも出来ず......。ケガで1か月練習も出来なくなった息子にどう声を掛ければよいでしょうか?去年年末から強豪クラブに移籍したばかりで周りに負けないように頑張っていましたが、本人は差をつけられるのでは無いかと不安になっているように思います。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。強豪クラブに移籍したばかりなのに一か月離脱するのは残念ですね。このようなケースで親としてもっとも大事なことは、「過度に心配しない」ことです。息子さんはがっかりして落ち込んでいるかもしれませんが、彼のサッカーキャリアはまだ始まったばかりです。これからいくらでもサッカーは楽しめます。まずはこんなけがや離脱は大したことではないのだと励ましてください。そのようにして息子さんと寄り添うために必要なマインドセット(心得)を伝えさせてください。■子ども以上に親が悲観してないか。1か月の離脱はいくらでも巻き返せるご相談文を拝見して、お母さんがかわいいわが子がサッカー選手になりたいと言って頑張っているのを応援したい気持ちは、よくわかります。が、まだ9歳です。サッカー選手しか道がないような育て方はよくありません。私は幾人ものプロアスリートのお母さんやお父さんにお会いしましたが、大成した選手の親御さんほどわが子の小学生時代を例えばこう振り返ります。「小学生のときは楽しんでやってくれればいいと思っていた」「まさかこんなことになるとは思わなかった」「サッカーのことはわからないので、ほぼほぼタッチしていません。いつの間にかプロになっていた、という感じ」皆さんそろって放任主義の子育てをされていました。一方、お母さんは息子さんのサッカーに少々入れ込み過ぎているなと感じました。冒頭に書いたように、これからずっとサッカーを続けてプロになり30歳まで続けたとしてもまだ20年以上あります。プロにならず高校生くらいまでやったとしても10年近くあります。強豪クラブに移籍してきたばかりとはいえ、ひと月サッカーができなかったことが理由で6年生まで試合に出られなくなる、とは考えられません。いくらでも巻き返せます。と、私が書いたようなことを、できればお母さん自身がご自分で考えて伝えられるといいかと思います。ところが、お母さんは息子さん以上にショックを受けてしまっている状態のようです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■子どもがつらいとき親も一緒に落ち込むことは、のちの人間形成に影響が出ることもこの連載で幾度となくお伝えしたように、親は子どもの気持ちに「つらいねえ」「悲しいね」と共感してもいいけれど、「私もつらい」「私も悲しい」と同化してしまってはいけません。親が同じように落ち込んだり心配したりすると、自分の一番近くにいて自分を一番理解しているお母さんからこんなに心配されている「ダメな僕(私)」というふうに、自己肯定感がダウンします。自己肯定感は、子ども時代のエンジンです。何があっても「自分は大丈夫」「今の自分でOKなんだ」という自尊感情がすべての行動と成長の機動力になります。この自己肯定感をどうアップさせるかを考えましょう。自分に何かうまくいかないことがあるとお母さんがすぐに落ち込むので、大事なお母さんを悲しませないようトライしません。うまくいかないことも隠しておかないと大変なので、いいところしか見せない。「自分は大丈夫」と思えないからです。そのような歪んだ人間形成につながります。そこで、子どもに何かうまくいかないことがあったときは、そのピンチを「この子はどうやって(成長という)チャンスに変えるのかな?」と眺めるくらいの余裕をもつことをおすすめします。このことを、私は小児科医で脳科学者の成田奈緒子先生から学びました。先ごろ『高学歴親という病』(講談社α新書)という本を一緒に作りました。親の溺愛が干渉や矛盾した子育てに変わり、そのことが子どもに良くない影響を及ぼすことや、そうならないための処方箋も紹介しています。■今少し差をつけられても大したことではない。子どもの「サッカー」ではなく「人生」を見てふたつめは、自分のなかの子どもへの心配を信頼に変えること。私自身、お母さんと同じようにいつも息子を心配している親でした。忘れ物がないかな。学校でけんかしていないかな。担任の先生に任せていて大丈夫だろうか。漢字は覚えられているかな。サッカーで嫌な思いはしていないだろうか。そんなふうに、些末なことを心配していました。が、成田先生や様々な専門家や書物から自己肯定感の大切さを学んで、自分の子育ての軸が持てたように思えます。カラ元気でもいいから「うちの子は大丈夫」と思い込むことから始めてください。「本人は差をつけられるのでは無いかと不安になっているように思います」とありますが、差がつくのではと不安なのは実はお母さんのほうかもしれません。差をつけられたところで大したことではありません。「息子のサッカー」ではなく「息子の人生」を見つめましょう。■親はサッカーでなく生活のサポートをすることが大事(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)また、ご相談文に「栄養ある美味しい食事、睡眠時間の確保などできる限りサポートしていますがサッカーに関しては教えることも出来ず......」と書かれていますが、親がサッカーを教える必要はありません。20そのためにコーチがいますし、ましてやケガのためお休みしている最中です。何もすることはないし、逆に何もしないほうがいい。美味しいご飯を食べさせて、早寝早起きさせているお母さんは、すでに合格点ですよ。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『高学歴親という病』(講談社α新書)。
2023年02月08日変則的なバウンドが脳と神経を刺激する、サッカー上達につながるボール。サカイクが開発・販売する「テクダマ」です。2号球の大きさながら4号球の重さが持つボールで、独自のバランス設定により、不規則なバウンドや回転をするのが特徴です。様々な大会でタイトルを獲得し、関西屈指の強豪として知られる兵庫県神戸市の「センアーノ神戸」では、選手が自主練などで活用しているので、使ってみた感想を選手たちに聞きました。記事の最後で実際に使っている動画を紹介しております。ぜひ参考にしてみてください。(取材・文:森田将義コメント動画:浅尾心佑)テクダマを数か月使ってみた感想をセンアーノ神戸の選手たちに聞きました頭も技術も鍛えるボールTEKUDAMA(テクダマ)の詳細はこちら>>関連記事:高校年代の選手も翻弄?サッカーが上手くなる魔法のボール!?昌平高校サッカー部が「TEKUDAMA(テクダマ)」を使ってみた■数十センチのズレに対応する力がつく、反応をよくするのに格好のボールテクダマでトレーニングすることで、試合の中での数十センチの動きに差が出てくると語ってくれた田代コーチ6年生を担当する田代浩樹コーチにテクダマの感想を聞いてみたところ、「選手が使う前に僕が使ってみたのですが、上手く行かない。デモンストレーションも上手くできなくて赤っ恥をかきました(笑)」と最初は大人でも上手く扱えなかったことを明かしてくれました。そのうえでテクダマを「ボールの回転やバウンドが不規則なので、小学生に向いています。イレギュラーなボールに対する反応は慣れておいた方が良い」と評価してくれています。センアーノの選手は、ドリブルやリフティングといった個人練習や、2人組での対面パスなどでテクダマを使用しているそうです。最初は不思議なバウンドをするテクダマに驚いた様子を見せながら、蹴り始めると楽しむ選手が多いと言います。「テクダマを使うと反応が変わると思います。サッカーはほんの数十センチの動きが大事。相手よりも速く反応して先にボールに触ったり、こぼれ球に反応するので、ほんの数十センチで勝ち負けが変わります」(田代コーチ)▼センアーノ神戸選手達のコメントはこちら!■いろんな方向にボールが飛んでいくので頭を使いながらプレーする実際に使用している選手にも話を聞いてみました。一人目はベルギー代表のケヴィン・デ・ブライネ選手に憧れる池澤崇斗くん(いけざわ しゅうと・6年生)です。「テクダマは自主練で使っています。ドリブルとかリフティングで使っています。重心が色んな所にあってブレるので、リフティングをする時は考えながらやっています。使ったことでパス精度が良くなった気がします。みんなでゲームをする時にテクダマを使うと上手くなれそう。いろんな方向にボールが飛んでいくので、頭を使いながらプレーするようになると思います」■跳ね返る場所がわからないから、瞬発力や反射神経を鍛えるのに良い2人目は「スルーパスが得意。シャビ・エルナンデスやチアゴ・アルカンタラ、モドリッチが好きです」と話す石田大翔くん(いしだはると・6年生)です。「センアーノの練習に加えて、自主練も週に2回ぐらいしています。テクダマは壁あてで使っています。跳ね返る場所が分からないので、瞬発力や反射神経を鍛えるのに良い。あとは友だちとの遊びでサッカーテニスをやっています。跳ねる場所が分からないので、みんなで楽しく遊んでいます。僕は結構使っているから慣れているけど、他の子は使ったことがない。大抵は僕が勝つので"ズルい"とか、"このボール面白い!"みたいな反応が多いです(笑)。相手が自分の目の前でボール触った時、軌道が変わった時もテクダマを使ったことによって反応できるようになりました。リフティングが結構難しいので、頑張ってできるようになってきました。重心が真ん中にないから、すぐ反応できるよう蹴った後はすぐ動けるように準備しています」■イレギュラーな回転がかかったボールにもすぐ対応ができるようになった最後は「プロになるために、強いチームでやりたいと思って、センアーノに来ました」と話す磯野蓮くん(いその れん・6年生)です。「上手くなるためにコーンドリブルやリフティングを頑張っています。テクダマでリフティングをする際に軸がズレる。普通では行かないところに飛んで、反射神経が鍛えられます。普通なら真上に行くのに、斜め前とかに行って、最初は動くのが難しかった。ボールを蹴ってから、次に蹴るためにボールを見たり、準備をするようにしています。変な回転がかかったボールにすぐ対応できるようになりました。試合ではたまに変な回転をするボールが来る時があるので、早く動けるための準備をするのに良い。友だちとはリフティングパスで使いました」半年間テクダマを使用する選手の反応はいずれも上々。今後もすくすく成長するセンアーノの選手たちに欠かせないボールになりそうです。▼センアーノ神戸の選手たちがテクダマを使っている様子はこちら頭も技術も鍛えるボールTEKUDAMA(テクダマ)の詳細はこちら>>
2023年02月07日日本サッカー協会(JFA)が全国の保育園・幼稚園を対象にボールとミニゴールを無料贈呈する取り組みにおいて、2022年は計2,438の園に、JFAキッズアンバサダーのストライカーポケモン「エースバーン」がデザインされた幼児向けサッカーボール10球とミニサッカーゴール2台(据置型:モルテン社製、折畳型:アルファギア社製から選択)を贈呈しました。(※一部1月にお届け)贈呈された「アルファゴール」はこちら>>■2023年は、さらに約2,500園へお届け折畳型には、サカイクも推奨する「アルファゴール(2m×1mサイズ)」が採用。これは、子どもたちが日常的に楽しく身体を動かす中で丈夫な身体や豊かな心を育んでもらうことを目的に2022年9月に開始したもので、新規・既存の巡回指導先を対象としています。2023年も、継続してさらに約2,500園へお届けする予定です。「巡回指導」とは幼稚園や保育園、小学校などの場に、JFAや都道府県サッカー協会が巡回して、サッカーを楽しむ時間を提供するものです。JFAの巡回指導は2003年に始まり、現在は年間で約5,000の保育園・幼稚園・小学校で行われ、約50万人の子どもたちにスポーツの楽しさを伝えています。■生涯にわたってスポーツやサッカーに親しむ人を増やすスポーツの楽しさに出合い、生涯にわたってスポーツやサッカーに親しむ人を増やしていくため、日本サッカー協会は今後も未就学児・小学生年代を対象にした施策を展開し、その活動を拡大していく方針です。また同時に、子どもたちが年齢や成長に合った指導が受けられるよう指導者の養成を推し進めるとともに、キッズ巡回指導やキッズフェスティバルの活性化、スモールサイドゲームの推進、校庭の芝生化、JFAセーフガーディングポリシーの周知徹底を図るなど、子どもたちが安全に、安心して、サッカー/フットサルに打ち込める環境を広げていきます。新規巡回指導のご希望は、各都道府県サッカー協会で受け付けています。以下よりお申し込みください。贈呈された「アルファゴール」はこちら>>●贈呈品・ボール10球幼児向けサッカーボール軽量3号球(モルテン社製)・ミニゴール2台据置型(モルテン社製)あるいは折畳型(アルファギア社製)から選択●贈呈先2022年の贈呈先はこちら>>●申込み新規巡回指導のご希望は各都道府県サッカー協会で受け付けています>>(JFA問合せ窓口050-2018‐1990)写真:(C)JFA
2023年02月06日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「試合の状況に関わらず足元にばかりボールを止めてしまう」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中は、相手がボールを奪いに来る状況、仲間の位置など様々な要因から、次のプレーにスムーズに移れる角度でコントロールする場面が出てきます。しかし、初心者は意図的に角度をつけてコントロールするのが難しいもの。今回は、状況によって意図的に角度をつけたボールコントロールができるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.目印を2種類2つずつ用意して、同じ種類を親子それぞれの前に配置し、対面して立つ2.。親が子どもにパスを出し、子どもは目の前の目印の外側から親の目印の間を通して返す3.身体の向きと顔を上げて視野を確保することにを意識しながら、対面でパス交換4.コントロールしながら相手を見る。親はパスを出したら移動をし、子どもは親の位置にパスを返す5.動きに慣れたら親は相手役となりボールを奪いに行くなど、試合の動きに近づける【トレーニングのポイント】・次のプレーを想定して角度をつける・コントロールしながら相手を見る・しっかり顔を上げて相手(親)と周りを見る・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2023年01月31日主要メンバーが病欠でいつものオーダーが組めなくなった試合で、他の子たちで対応するために「勝つための作戦」を授けたが、結果は思ったようにいかず。コーチも親も勝ちたい気持ちが大きくなっていて、その時はそれが最善策だと思ったが、終わってみると気持ちの整理がつかない。負けてもいいから子どもたちの判断にゆだねた作戦の方がよかった?と悩むコーチからのご相談。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、育成年代の指導者に子どもを伸ばすためのやり方を伝授します。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ドリブルが上手い子に個人プレー制限で得点減少、小学生年代までは個性的でもいいのでは?どんな指導が良いか教えて<お父さんコーチからの質問>池上さん初めまして。いつも記事を拝見させていただいております。私は最近コーチをやり始めたものです。指導年齢はU-10です。私自身はサッカーは小・中学校でやっていました。息子が所属しているスポーツ少年団を応援したいと思いコーチに参加しました。チームには、すでにコーチは数人いるので皆の意見をすり合わせながらやっています。最近の出来事で、自分の中で整理できずにいるので質問させていただきたいです。とある大会のベスト8の試合で、前半は圧倒的に攻められてましたが、後半にMFの上手い子をCBにしました。CBに入った子は、前線がよく見える子で、前線に走った子に当てるパスが上手くいき、また、キーパーからの大きなパントで逆転して勝利し、初めてベスト4進出を果たしました。ベスト4の試合はコーチも親御さんも皆勝ちたい気持ちが大きくなってました。しかし、試合当日コロナでキーパー含む主要な3人が出れなくなり、いつものオーダーが組めなくなったのです。そこで、一番古いコーチが勝つための作戦を子ども達に授けました。それは、例のCBに入った子に、とにかく前線と裏に大きくキックさせる、またキーパーに前めにポジションさせ、とにかく前線に蹴り込む作戦です。その時は、私もこの状況ではそういう作戦なら可能性あるなと思い、他のコーチも同意していました。そして試合が始まると子供達は、コーチの指示どおり忠実に前線メンバーは前に走り、CBはとにかく前に縦にボールを送りました。しかし結果は、いつものメンバーがいなかったこともありますが惨敗して4位で終わりました。試合後ある人が「いつものチームじゃなかったね」と言っていたのと、あるSBの子が「パスを要求しても全然くれなかった」と言ってました。それで私は、勝つ為に前線に蹴る作戦を子ども達に授けたのは間違いだったのではないかと思いはじめました。負けてもいいから皆の判断に委ねた柔軟な作戦をコーチングするべきだったと。結果論になりますが、コーチ同士の間でも意見が割れています。今後、このような時に、小学生のコーチとしてはどのようにあるべきなのでしょうか。またコーチの意見が割れてしまうことのご経験はお有りでしょうか。ご助言いただけると大変励みになります。よろしくお願い申し上げます。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。先日、私が運営し指導もしているチームの試合を、教育関係の専門誌の記者さんが取材に来られました。■自分たちで決めて実行し、振り返る経験が大事私のチームは試合ごとに各自のポジションは変わるし、もっと言えば誰がどこをやるのかを子どもたちだけで決めています。そのためか勝てない試合が多くなります。記者さんが「ポジションを(適材適所に)変えると、負けないで済むのではないですか?」と質問されたので、「そうかもしれませんね」と答えました。それはわかってはいるけれどあえてやらないこと、子どもたちがさまざまなポジションを経験する必要がある旨を話しました。さらに、そのポジションであなたはどれだけプレーできましたか?と子どもたちにリフレクション(振り返り)してもらいます。そういった「自分たちで判断する経験」が重要だからです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■子どもたちに任せて4位で終わっていれば、まったく違うものを得られたはずご相談者様のチームも、まずは「どうする?」「どんなポジションがいい?」と子どもたちに問いかけたほうが良かったと思います。その際に「コーチが決めて」と子どもが言ったのなら、「じゃあ、コーチの意見を言うね。コーチはこう思うよ」と話し、もう一回「最終的にどうしますか?」と尋ねます。あるいは、前半が終わったら、ハーフタイムでもう一度「後半はどうしますか?」と聞きます。そんなふうに子どもたちに任せることが大事です。子どもたちが納得したオーダーで、戦術も納得したうえで戦うことです。プレーするのは子どもなのですから。先日、W杯後に日本サッカー協会が開催したカンファレンスに参加してきましたが、そこでも「プレーヤーズセンタード」(選手を中心軸にする)という話が出ました。「勝たせてあげたい」というのは、よくある大人の思いになります。勝たせたいから「これでいくよ」と大人の考えを言ってしまい指示命令してしまいます。そうなると、子どもはコーチの言う通りに動くしかありません。それをやってご相談者様のチームは4位になりました。しかし、子どもたちに任せて4位で終わっていれば、まったく違うものを子どもたちは得られたはずです。■「自分がどうしたいか」から「どうすればチームが上手くいくか」の視点に持っていく大人は、子どもたちがいかに心地よくプレーできるかを考えなくてはなりません。勝つためにいつもと違うポジションで、違うサッカーをすることが楽しいことなのかどうか。子どもだからこそ、楽しいこと、自分たちでやれることを考える必要があります。ただ、ポジションを変えることは悪いことではありません。みんながいろんな経験をするんだよと、日々コーチは伝えるべきです。シュートが上手い子はフォワードをやりたいと言うでしょう。そんなときは「世界のサッカーを観てごらん。フォワードだって守備をするよ。小学生の時にいろいろなポジションをやることは君のためになるよ」と伝えましょう。ポジションや先発メンバーを子どもたちで決めさせるとなると「僕はここをやりたい」などと自己中心的な子どもが出てきます。が、そこで大人がコントロールしないこと。「じゃあ、ここはコーチが決めるね」と急がないことです。自己主張が強かったり、いつまでも言い続けたとしたら、外から指導者が「自分たちでどうやったらうまくいくか考えてごらん」と言ってください。「自分がどうしたいか」にとらわれていた子どもたちが「どうすればチームはうまくいくか」という視点に変わるはずです。■自分が決めたことを実行する経験を繰り返すことが大切指導者もトライ&エラーで成長そうやって折り合いをつけることを学んでいきます。何でも最初からうまくスムーズにいくように大人が決めていては、子どもの学びを阻害していることになります。例えば、コーチは3バックがいいかなと思っているとき、選手たちは「5バックがいい」答えを出したとしましょう。その際コーチは上手くいかないだろうなと思っても、彼らの判断を尊重しましょう。自分たちで決めたことを経験してもらえばいいのです。例えば、途中0対2でリードされたとしたら「どうする?5バックのまま、まだ守る?」と問いかける。もしくは試合が終わったら、全員にどうだったか感想を話してもらいます。負けたり、自分たちで決めたことがうまくいかなかったりといった経験を、何度も繰り返すことが大切です。ご相談者様は「子どもの判断に委ねるか否か?」を尋ねられていますが、試合後「もう少し子どもに任せればよかったです」と振り返る人が私の周りには多いです。逆に子どもに任せて負けたとしても、皆さん「任せてよかった。子どもたち自身が自分たちの課題に気づいたので」と納得した表情を見せてくれます。指導者も子どもたち同様、トライ&エラーを繰り返して成長するのだと感じます。■セレクションをしない方が強くなったチームの例(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)また、福岡に「春日イーグルス」というクラブがあります。私を講演や講習会に招いてくださいます。ここは、ジュニアユース(中学生)のチームでセレクションをする年としない年があります。そうやって、選手をふるいにかけて選んだら強くなるのかを見ているのです。ある程度の年月が経過して、セレクションしない年のほうが強くなる傾向があったそうです。強くなる理由は、小学生の内部昇格組が多くなるからです。セレクションすれば上手い子が外から集まって強くなりそうですが、実は違いました。中学でもイーグルスでやりたいと仲良しの子どもたちが集まるので、協力し合ったり切磋琢磨するようです。モチベーションが違ってくるのかもしれません。長い目でどちらがいいかみてきたそうです。大人が子どもの可能性をどう見るかという視点は重要だと納得させられました。クラブも、トライ&エラーを繰り返すことで進化するのです。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年01月27日チーム事情で上の学年に駆り出されてキーパーやらされているけど、本人は「キーパーは絶対やりたくない」と言う。春からは同学年のチームでもキーパーになりそう。人見知りだから今のチームで続けたいけどキーパーは嫌という息子。親も楽しかったサッカーが嫌なサッカーになってほしくない。どうしたらいい?とのご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとに、お子さんをサポートするために必要なことをお伝えします。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<下手くそと言われ「おまえはそんなに上手いのか?」と返す弁が立つ息子に困ってます問題<サッカーママからのご相談>小4(9歳)の息子が所属しているのはそんなに強くないチームですが、その中ではセンターバックのポジションでチームの中では一番走り回って頼りになる存在です。ですが、来年度のチームは学年が上がり5、6年チームになるのですがキーパーがいないのでうちの子がかり出されてキーパーをやらされています。本人は絶対キーパーはやりたくないと言います。フィールドを走り回るサッカーが大好きでキーパーは全然面白くないと言います。でもコーチが怖くていえないと言っています。このままでは学年上がったらキーパーにさせられそうです。でも親が口出すのは憚られそうで移籍も視野に入れております。本人は人見知りで出来ればこのチームで続けたいけどキーパーは嫌なのです。どうしたらいいのかわかりません。楽しいサッカーを嫌なサッカーにさせたくありません。アドバイスお願いします。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。まず、ゴールキーパーというポジションについてお伝えしておきます。例えば日本では、子どもがサッカーを始めたら、ボール、トレーニングシューズ(トレシュー)やスパイク、そしてどこかの欧州クラブか代表のユニフォームを練習着として買ってあげる親御さんが多いです。一方ドイツでは、ボール、スパイク、キーパーグローブを購入すると聞いたことがあります。ドイツでカーンやノイヤーなど世界的なゴールキーパーが生まれていることからも、キーパーが人気のポジションであることがわかるかと思います。■欧州ではキーパーは人気ポジションなのに、日本ではネガティブなイメージを持たれているドイツや欧州ではゴールキーパーの役割がいかに大きいものかを、指導者、保護者ともに理解しています。そこが、サッカーがプロ化されてまだ30年の日本と、100年以上の歴史を持つクラブがひしめく欧州との大きな違いだと考えられます。さらにいえば、サッカーは小柄ですばしっこい子どもがやるスポーツという先入観もあって、身長が高かったり体の大きな子どもはバスケットボールや野球を選択します。そんな要素も相まって、キーパーというポジションが過小評価されているのかもしれません。このようにキーパーというポジションへの価値が乏しい一部の指導者は、試合に勝つために「大きくて動ける子ども」にずっとキーパーをやらせたり、消去法のように「フィールドではあまり動けないからキーパーでもやらせるか」という考え方になりがちです。本来なら小学生のうちにさまざまなポジションを経験してもらって、サッカーがどんなスポーツなのかをしっかり理解してもらうことが必要なのに、どうしても試合に勝つことが何より優先されてしまうのです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■他の子もキーパーをやりたくないかもしれない、その場合の解決策をコーチに提案してみるそのような風土で息子さんも育っているわけなので「キーパーをやりたくない」という感覚を抱くのは仕方のないことでしょう。ただ、息子さんに「自分も嫌なんだから他の子たちも嫌かもしれない」という視点はないでしょうか。そこはお母さんが「君が嫌なら他の子も嫌なんじゃないかな?」と考える糸口を与えてもよいかと思います。だったら、どうすればいいかな?そんな問いかけをしてみてください。そこが第一段階です。おのずと「試合ごとに交替してキーパーをやる」という答えが出てくるかもしれません。もしもそういった結論に達したのであれば、息子さんと一緒にコーチと話してみてください。ここが第二段階です。キーパーは全員で交替でやれないか。小学生のうちはさまざまなポジションを経験させてほしい旨を伝えるのです。本来なら息子さんに任せて自分で言えるといいのですが、コーチが怖くて言えないということなのでお母さんが付き添ってはいかがしょうか。メールの文章だけなので、どんなクラブでどんな方針で指導なのかはうかがい知れません。ただ「親が口出すのは憚られる」とあるので、お母さんにとって自由に意見を言えるようなクラブではないのでしょう。コーチに言うのが難しいというのなら、とりあえず第一段階までやってみて、しばらくは息子さんに任せてみてはいかがでしょうか。■このチームにいたいけどキーパーは嫌、は子どもの問題親が転ばぬ先の杖を用意せず、見守ってご相談文に「どうしたらいいのかわかりません」と書かれていますが、本人が「もう嫌だ。このチームでやりたくない。僕は他のチームを探す!」と立ち上がるまで何もしなくていいと思います。「人見知りで出来ればこのチームで続けたいけどキーパーは嫌」これは息子さんの問題です。また「楽しいサッカーを嫌なサッカーにさせたくありません」とありますが、嫌なサッカーだからどうするか?を決めるのも息子さんです。今のお母さんの心情を察すると、転ばぬ先の杖を用意しようと一所懸命に見えます。「チームの中で一番走り回って頼りになる存在」なのに「キーパーをやらされるなんて悔しい」。そんな負の感情が、お母さんの中にあるかと思います。もちろんそう感じるのは当然です。かわいいわが子ですから自然なことです。私もかつてはサッカー少年と少女の母親だったのでよくわかります。とはいえ一番良いのは、息子さんが自分で「キーパーは交替でやりたい」と仲間やコーチに提案できることです。お母さんが「人見知りだからそんなことできない」と信頼できなければ、息子さんはそこから一歩踏み出すことができません。ゆっくりでよいので、背中を押してあげられたらと思います。■移籍を考えるタイミングは、我が子がそうしたいと言ってきたとき(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)それでも、所属されているクラブが交替でキーパーをやってみんなが試合に出られるよう工夫してくれない。もしくは息子さんが別のクラブでやりたいと自分から言ってきたら、そこで移籍を考えればいいことだと思います。ただし、移籍したとて、次もキーパーをやってと言われるかもしれません。お母さんにとって大事なことは、周りの環境に振り回されず自分を持った子どもに育てることです。息子さんが自分の意思を他者に伝えることができ、なおかつチームのことを考えられる人間になる。そのためにどうしたらよいかを、一緒に考えてあげられるお母さんでいてほしいと私は思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2023年01月25日ドリブルが上手くてたくさん点を取る子に、ヘッドコーチが個人プレーを制限し「パスを回せ」と指示。チャンスがあればドリブル突破からのシュートもありなのでは?小学生年代までは個性的でもいいと思うけど、個人技はどの年代で力を入れればいいのか教えて。というご質問。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、元日本代表監督イビチャ・オシムさんのエピソードなどを交えてアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<W杯、代表の躍進は喜ばしいが、日本がもっと強くなるために育成年代で必要な事は?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。街クラブで指導している者です。担当はU-12です。これまでも似たような質問があるかもしれませんが、個人技について相談です。チームにドリブルの上手い少年がいるのですが、ヘッドコーチの方針にて、個人プレーでなくパスを回して行けとの指導が強くなり、それまでドリブルでの得点を決めていたのに得点数が少なくなりました。私としては、パスサッカーもやりながらチャンスがあれば単独でのドリブルシュートも必要と感じています。パスサッカーだけにこだわるのは、まだ先でも良いと思います。小学生までは個性的でも良いと思いますが、いかがでしょうか?チームとしての動きと両方身に付けるのがいいのは分かっていますが、個人技はどの年代で力を入れればいいのでしょうか。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。小学生でドリブルが上手い子どもたちの多くは、中学、高校と進むうちにドリブルで抜けなくなってきます。対戦する側、つまり守る側の子どもたちが、ドリブルしてきたときの対応や抜かれそうな場合のカバーといった守備力がアップするからです。■ドリブルを「どう有効に使うか」を小学生から教える必要があるそのように簡単に突破できなくなることを見越して、ドリブルをどう有効に使うかを小学生のうちから教えてあげる必要があります。例えばこう話します。「君はドリブルが上手いから、相手をふたり引き付けられるね。そんなすごい力があるよ。だったら、ふたりきたなと思ったら、空いてる子にパスを出せばチームとしていいプレーになるよね」そういった理解を促したうえで、ミニゲームなど練習でそのような場面があったら、止めて説明してあげてもいいでしょう。中学や高校に上がった際、上述したような状況で味方を使えるとチームに良い影響を与えることを理解している。そんな子が増えてほしいと思います。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■メッシはドリブルが上手いが、味方へのパスも出せる皆さんご存知のように、アルゼンチン代表のリオネル・メッシはドリブルがすごく上手いです。しかし、かわすだけでなく、自分に引き付けてパスも出せます。世界のサッカーでは、かわしてクロスを上げられたり、相手ディフェンスがサポート来れない状況で一対一ができて、さらにパスを出せる選手しか通用しません。それができる選手たちは、ジュニアのころからいかに数的優位をつくって攻めるかを学び体得しています。したがって「小学生の間はドリブルを習得する」ではなく、パスもドリブルもどちらもあるよという理解をさせてほしいのです。サッカーはチームゲームであり、全員が協力してボールをゴールまで運ぶ。サッカーはそういうスポーツだと理解してもらってください。■ひとりで練習して取得する「クローズドスキル」はできるが、ゲーム形式ができない私は今、幼稚園から小、中、高校生と、5歳くらいから18歳まで育成の全カテゴリーを指導しています。すると、日本の高校生はドリブルやボールコントロールといったひとりで練習して取得する「クローズドスキル」は一通りできます。そんなに強豪クラブや強豪校ではない選手たちもみんな下手ではありません。ところが、ディフェンスをつけたりゲーム形式でサッカーをすると、容易にできないのです。例えば、ずっとトップスピードのままではシュートは打てないので、どこかのタイミングで体を緩めてボールを冷静にゴールに流し込む。そんなスキルが必要ですが、それがあまり上手ではありません。他者との関係性があるうえ守備につかれるわけなので、クローズドスキルだけでは成功しません。そう考えると、小学生の間にたくさんゲームをして、試合に使う技術を身に付けることが必要です。■「台無しだ。お前のせいで......」オシムさんが巻誠一郎選手を責めた理由例えば、オシムさんが監督だったころジェフ千葉にいた巻誠一郎選手はなかなか得点できず苦しんでいました。そこでオシムさんに「練習の後シュート練習をさせてほしい」と居残り練習を直訴しました。すると、オシムさんはこう言ったのです。「心配するな。シュートも全て俺の練習に入っているから」恐らく巻選手は、ひとりでドリブルで持ち込んでシュートを打つといった練習を考えていたのだと思います。しかし、守備のプレッシャーも何もなくそんな状況でシュートを打つ場面は、ほとんどありません。ヘディングが武器だった彼には特になかったと思います。それよりも、試合の流れやサッカーの成り立ちを理解して、攻守の切り替えを早くしたりすることが先決でした。当時、ある試合で巻選手が抜け出してシュートをミスしました。相手守備にひっかかって大きく跳ねたボールはそのまま相手からのカウンターにつながり、失点したのです。残り時間の少ないことを考えると、慎重にプレーする必要がありました。オシムさんは「台無しだ。おまえのせいで負けた」と巻選手を責めました。あっという間に逆襲されたその場面は、2018年W杯ロシア大会決勝トーナメント1回戦の日本対ベルギー戦のようでした。オシムさんはドリブルや細かい技に固執するのではなく、パス出して走ること、もっと言えばダイレクトパスにこだわりました。シンプルにプレーすること。無駄なことをしないこと。みんなが動かないといけないのだと説きました。■ドリブルを「チームのためにどう使うか」(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)今回のW杯でアルゼンチンはメッシ中心のチームにして優勝しましたね、という声もあります。しかし、彼らの勝利のすべてをうのみにしてはいけません。さらにいえば、育成年代ではそういった指導は避けなければならないと私は思います。上手い子がボールを持つと、いい場所にいる味方がパスをもらえないことが日本の少年サッカーには多いようです。周りが「パスして」と声を出しても、その子は延々とドリブルしています。それを大人も許してしまいます。そこで「ドリブルをやめなさい」と命じるのではなく、「君はドリブルで抜いた後、何をしますか?」と問いかけて考えてもらってください。「そのドリブルは、どうやったらチームのためになるのかな?」そんな質問です。引き付けてからフリーの仲間にパスをして、もう一度もらう。みんなのためにドリブルをどう使うか?そんな発想になればよいと思います。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年01月20日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「視野を確保できない、正しい判断ができない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中は、仲間の状況や相手の位置などを目で見て判断することが大事。 しかし、初心者は足元のボールを見てしまいがちで顔が下がったままプレーすることが多く、視野を確保するのはなかなか難しいもの。今回は、視野を確保してよく見れるようになること、その上でプレーの判断ができるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.目印を2種類2つずつ用意して、同じ種類を対角線に配置。まずは身体の向きやどちらの足でコントロールするかをゆっくりやってみる2.逆サイドも見れるように、ボールから遠い足を意識してコントロール3.身体の向きと顔を上げて視野を確保することにを意識しながら、対面でパス交換4.親はパスを出したら対角線に移動。子どもは受けたボールを足元でコントロールして、前にパスを出す。慣れたら親も子もパスを出した後、対角線の目印に移動5.ワンツーを意識。ダイレクトパスを使ってワンツーで対角線に移動6.視野の確保にプラスして判断を加える。親の動きに合わせて、コントロールした方が良いのか、ダイレクトでパスを出した方が良いのか、ドリブルをして相手を交わすのが良いのか判断をしてプレー【トレーニングのポイント】・身体の向きがわかったら、視野を確保するために顔を上げて逆サイドの状況を見ておくことが大事・ワンツーパスで相手を交わすイメージで行う・親が何も合図を出さず動きもゆっくりだったら、子どもは足元でコントロールしてからゆっくり前にパス・しっかり顔を上げて相手(親)と周りを見る・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2023年01月19日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「ロングキックを左右に蹴り分けできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、大きくサイドチェンジをする場面などで長いパスを出すことがあります。その時、味方の動きに合わせて右、左、真ん中と狙ったところに蹴る必要があります。しかし、初心者は味方の動き出しに合わせた咄嗟の蹴り分けが難しいもの。今回は、相手のスピードに合わせてロングキックの蹴り分けができるようになるトレーニングを紹介します。親は左右に動くだけ。難しい動きはありません。【やり方】1.子で少し離れて立ち、親の左右に目印を置く2.親が目印に合わせて走り、子どもは親の移動先にパスを出す3.慣れてきたら親の動き出しに合わせたパスを出す4.子どもは軽くドリブルをしながら蹴れるタイミングを見て親が動いた先に蹴る【トレーニングのポイント】・走っている相手のスピードに合わせてちょうどいい強さで蹴る・親が速いスピードで動いているときは速いボールを蹴る・ゆっくり動いているときはボールを足元に置いて丁寧にボールを蹴る・長い距離なので浮き球で蹴ってもOK・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2023年01月17日サッカーをする子を持つ保護者の皆さんが、子どものサッカーに望むことは何ですか?プロになってほしい、プロは意識してないけど上手くなってほしい、チームスポーツで協調性を身に付けてほしい、気の合う仲間との出会いがあって長く続くと良い、とにかく楽しんでほしい、など人によって様々な感情があると思います。昨秋、サカイクで行った読者アンケートできいた「親が子どものサッカーに望むこと」のランキングを紹介します。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「親が子どものサッカーに望むこと」のランキング楽しくプレーすること82.6%自主性・主体性を身につけること79.2%礼儀・マナーを身につけること67.4%努力・忍耐力を身につけること66.7%協調性を身につけること 59.0%運動能力の向上 46.2%論理的思考力(ロジカルシンキング)44.8%上手くなること 40.3%試合で結果を出すこと27.1%その他5.9%一番多かった回答は「楽しくプレーすること」。本人がやりたいと言ってチームやスクールに所属したご家庭も、親がスポーツをさせたくてサッカーを薦めたご家庭もあると思いますが、どんなきっかけで始めたにしろ、子どもにはサッカーを楽しんでほしいと望む保護者が多いですよね。好きで楽しいからこそ、もっとうまくなりたいという気持ちが生まれたり、頑張る原動力になるものです。親御さんとしても子どもが楽しんでいる笑顔を見るのは何よりの幸せですよね。「楽しむ」にもいろんな種類があり、仲間と笑顔で過ごすサッカーの時間を楽しんでほしいというだけでなく、真剣になって取り組むことで感じる楽しさも感じてほしいという願いもあるようです。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■サッカーは自分で考えるスポーツだから2位は「自主性・主体性を身につけること」でした。サッカーの試合では、自分で考えて動かなければなりません。また、練習や合宿の準備などもいつまでも親がやってあげては、自分のことを自分でできるようになりませんよね。サカイクではサッカーを通じた子どもの自立をサポートする情報を発信しているため、それに共感いただいている親御さんたちの、年齢なりに自立していってほしいという意見が反映されたようです。■忍耐力のない子が増えた?続いて「礼儀・マナーを身につけること」「努力・忍耐力を身につけること」が並びました。サッカーというチームスポーツを通じて、そこでの振る舞いや礼儀を身に付けてほしいという声は以前からありますが、昨年のアンケートでは63.0%だったので、やや増加している結果になりました。社会の変化や家族、親族や近所づきあいなども含めた関係性の変化もあって、礼儀やマナーを学ぶ機会も減っているのかもしれません。また、最近は心が壊れるまで辛いことに耐えなくていいという考えが浸透してきていることもあり、学校もスポーツも以前より休んだり辞めやすい状況になったりしていることもあり「忍耐力がつかない気がする」「忍耐力のない子が増えた」と心配をしている保護者は多いようです。サカイクにも、サッカー行きたくなさそうだけど、簡単に辞めさせたら辞め癖がつきそうで不安、嫌なことからすぐ逃げる子になるのではないかと心配。というご相談をいただくことがあります。昨今のスポーツ以外にも娯楽をはじめたくさんの選択肢がある中で、努力し続けることや耐え忍ぶこと、挫折・困難を乗り越える力をつけるのが難しくなったと実感している方が増えた結果といえそうです。■意外に支持が低かった「上手くなること」「上手くなること」を選択した回答は40.3%で、「楽しくプレーすること(82.6%)」の約半数という結果になりました。もちろん誰だって上手くなってほしいと思うもの。我が子に「下手でいてほしい」という親御さんはいないはずです。上手くなることで自信をつけたり、できなかったことができるようになると達成感を感じるので、そのような経験をさせることも含めてサッカーが上手くなってほしいと思うのは当然のことです。ただ、上手くても楽しんでなければ親御さんもつらいですよね。親にとって我が子に望むのはサッカーを心から楽しんでプレーすることの方が重要だと考える方が多いという結果になりました。■その他の内訳その他を選んだ方からは以下のようなコメントも寄せられました。・サッカーを好きでい続けてくれること・コミュニケーション能力を身に付けること・できなかったことを練習して達成した時の喜びを体験してほしい・生涯に渡る仲間を得ること・成功体験・失敗や挫折の経験を通じて、豊かな人間性を身につけてほしい最初は純粋に我が子が楽しんでいる姿を見るのが幸せだったはずなのに、学年が上がるにつれ熱が入り、保護者の方が勝利にこだわるようになり、出場機会のことで親同士がギスギスしたり、子どもたちもチームメイトを見下すようになったりして、サッカーが楽しくなくなる方も多いようです。周りを変えるのは難しいかもしれませんが、いま一度自分は子供のサッカーに何を望むのか、を見つめなおすことで親御さんの心も少し軽くなるかと思います。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2023年01月16日チームで一番下手で仲間に「辞めたら」と言われるけど、落ち込む割にメンタルが強く口も達者なので必要以上に言い返す息子。言い返すことで仲間からの風当たりが強くなり、サッカー以前の所でもめていることに思い悩む日々。親として何ができる?とのご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとに、今お母さんに必要なことをお伝えします。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<試合に呼ばれない息子にイライラして当たってしまいます問題<サッカーママからのご相談>いつも読ませて頂いて、勉強させてもらっています。ありがとうございます。小学3年生の息子のことで相談です。息子は5歳からクラブチームでサッカーをしています。素人の親からみても、息子はチームで一番下手だと思います。なので、仲間から「下手くそ」「もう辞めたら」など、言われるそうです(息子談) 親からすれは腸が煮えくり返り、一言言ってやらねば気がすまない!と思ってはいるのですが、そこは私も島沢さんの長年の読者ですので、今までの連載を読んで、どうするかは息子が決めるのだ。余計なことはしない!とスルーしてきました。ただ、息子は落ち込む割にメンタルが強く、しかも口も達者なので必要以上に言い返しているようなのです。「辞めれば?」と言われたのに対して「お前にそんなことを言われる筋合いはない。嫌ならお前が辞めろ」と言い放ち、「下手くそ」に対して「じゃあ、お前はそんなに上手いのか?どこが?」と返したと......。親からしてもちょっと言い過ぎだと思います。息子からしか聞いていないのでどこまで本当なのかはわかりませんが、息子が言い返すことで増々仲間の当たりが強くなってる様子です。 一番下手なヤツからこんな嫌な感じに言い返されたら、かなりイラッとしますよね......。チームメイトの気持ちもわかります。うーんしかし、サッカーとは違うところで揉めている気がして何だかな......。と思い悩む日々です。練習の度に息子は強く当たられるし、息子は息子で嫌なヤツだしで「必要なら母さんがコーチに相談することもできるけど!?(ていうか、言いたい!と思っています)」と意気込むも、「オレは大丈夫。何も言わなくていい。」とのことで、今のところ見守るしかありません。「言い返さない、という方法はないの?」と聞くと、「何?じゃ、オレは言われても我慢しないといけないの?」と返ってくる始末。本人には言いませんが、だって下手なのは本当なんだからそりゃ多少は言われるでしょう、と内心思っております。「言い方、伝え方の問題だよ」と説明するも聞かず、 口では私も敵わず 「ケンカするならコーチの前に行って言い合いを見てもらいなさい!気持ちのいいケンカをしなさい!」とよくわからないことを言ってしまいました。ここまでになると仲間との関係修復は難しいのでは、と思います。辞める?と息子に聞きましたが、辞めないとの返事でした。 息子はこのままでいいのでしょうか......。仲間とサッカーを楽しんでほしいのですが、それ以前の問題に悩んでいます。私に何かできることはありますか?<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。いつも読ませていただいて......とお礼まで書いてあって嬉しい限りです。息子さんが仲間からからかわれても「どうするかは息子が決めるのだ。余計なことはしない!」と決めて見守ってこられたと書かれています。立派です。さすが、わたくしめの読者!誇らしく思います。そして、そして、息子さんもとても立派!下手くそ、辞めろなどといじめられても負けていません。「お前にそんなことを言われる筋合いはない。嫌ならお前が辞めろ」と言い放つなんて、惚れ惚れします。もしも私がお母さんだったら、「息子よ、よく言った!その通り!」と褒めちぎります。■9歳ぐらいだと人の気持ちに配慮できない子もいる今の子ども社会で、いじめは大きな問題です。いじめる側が悪いのは当然ですが、息子さんの9歳くらいの年齢はまだ人の気持ちに配慮するといったことができない子どももいたりします。心身の発達や、家庭環境などによって子どものありようがまだまだバラバラな世代です。そこを鑑みて、いじめられたとしても親のほうは「気にすることないよ」と励ましてあげればOKなわけで、この息子さんの場合は自分で跳ね返す力をもっているわけです。サッカーも続けているのであれば、今のところ彼に何の問題もありません。それなのに......。なぜ突然、母さんがコーチに相談するとか、言い返さない方法はないのか?などと「余計なことをしたいモード」になってしまったのでしょうか。その点について考えてみましょう。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■心配からの質問も、状況によっては「チームを辞めてほしい」と伝わる場合もそもそも息子さんの「オレは言われても我慢しないといけないの?」という反論は正しいと私は思います。言い返さない方法はないかというのは「言い返すな」という指示命令にも聞こえます。「下手なのは本当なんだからそりゃ多少は言われるでしょう、と内心思っている」は、息子さんに失礼ですね。本人には言いませんがと書かれていますが、子どもは鋭いイキモノです。お母さんがサッカーをしている自分をどう思っているのかはわかっているはずです。前述したように「下手なんだから言われて当然」と考えたり、いじめに抗っている息子さんに対し「言い方、伝え方の問題だ」と責めてみたり、自分は大丈夫だと息子さんは伝えているのにクラブを辞めるか?と尋ねています。本人が辞めたいと言っていない状況でそれを質問されると、子どものほうは「お母さんは僕に辞めてほしいと思っている」と伝わる場合もあります。■子どもより親の方が不安定になっているさらに言えば「一番下手なヤツからこんな嫌な感じに言い返されたら、かなりイラッとする。チームメイトの気持ちもわかる」のくだりは、お母さんの本音でしょうか?お母さんは、息子さんが自分より下手な子をいじめて、その子に言い返されたと言ってきたら「だよね。イラつくよねえ」と同意しますか?ご相談文でしか様子がわからないので私の見解がすべて正しいとは思いません。が、その前提で申し上げると、いじめられている息子さんよりも、むしろお母さんのほうが不安定になっているように受け取れます。弁の立つ息子さんは、懸命に抗いながらサッカーを続けています。ところが、お母さんのほうが仲間の暴言や扱いに耐えられないのではないですか?サッカーが下手な息子。文句を言われるわが子。文句を言われたら言い返す息子。そんな息子さんの姿を見たくないのではないでしょうか。それゆえに、息子さんに対しメールで毒を吐かれたのかなと勝手に解釈しました。■今親ができる3つのこと(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)最後に三つほどアドバイスします。「私に何かできることはありますか?」とありますが、この件についてお母さんは現段階で何もすることはありません。まずは、お母さんは手を引くことです。仲間とのあれこれについて根掘り葉掘り尋ねたりしないこと。コーチの前でケンカしろといったわけのわからない(お母さん自身もそう言ってますが)指示もやめましょう。二つめ。いじめに対し抗っているお子さんをもっと評価しましょう。息子さんに「負けずに言い返すなんてすごいね。お母さんにはできないわあ」くらい言ってあげてもいいように思います。サッカーで否定され続けているのに、家に帰っても親から「言い過ぎだ」などと否定されては、いくら抗う力のある子でも心が折れてしまうかもしれません。「君は何も悪くないよ。何かお母さんにできることがあれば言ってね。もしチームを替わりたくなったり、何かあれば言ってね」などと言っておくこと。あとは、サッカーの練習や試合から帰ってきたら「楽しかった?」と聞いてあげてください。三つめ。仲間とサッカーを楽しんでほしいと書かれていますが、息子さんがサッカーは楽しくないと言ったのでしょうか?できれば、一度「私のほうが息子にサッカーをやめてほしいのではないか」と自問自答してみましょう。まずはお母さんが「余計なことをしたいモード」から解放されることが先決です。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2023年01月16日認知して判断して状況によって動くという仲間がいて成り立つ「オープンスキル」でサッカーのゲーム(試合)は成り立っています。これまで池上正さんをはじめ、いろんな方がオープンスキルの重要性をお伝えしていますが、アンケートの回答で子どものサッカーの情報で求めているものとして「一人でできる自主練メニュー」(=クローズドスキル)を挙げる人が非常に多いのです。その理由は何なのでしょうか。以前サカイクでは、「一人でできる自主練メニュー」を求める理由についてツイッターでアンケートを実施いたしました。結果をご紹介いたします。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!・近所にサッカーをして遊べる友達がいない26.7%・止める、蹴るが出来ず周りとの連携プレー以前の問題23.3%・ミスをして友達に迷惑をかけるのが申し訳ないから3.3%・その他46.7%「近所にサッカーをして遊べる友達がいない」子どもたちのするスポーツも、都市部ではサッカー、野球、テニス、水泳、体操などをはじめ選択肢もたくさんあるので、近所にサッカーをする子がいないという環境もあるようです。それ以外にも、スポーツ以外にも習い事漬けになっていたり、親同士が知り合いでないご家庭の子とは遊ばせないなど、様々なトラブル回避などの理由から学校以外でお友達と遊ぶことが少ないという子も最近は少なくないようです。似たような理由で、お受験をして学区外の私立に行っているので近所の子とそれほど知り合いでないといった子も。自主練をするのはだいたい学校から帰ってからや、休日なのでお住いの地域や環境によって違いはあるものの、近所に気軽にサッカーができる子がいないとなると、どうしても一人でできる練習を求めてしまうのでしょう。「止める、蹴るが出来ず周りとの連携プレー以前の問題」「ミスをして友達に迷惑をかけるのが申し訳ないから」こちらは似たような理由ではありますが、そもそもの技術が周りより劣るのでオープンスキルどころではない。という考えや、ミスをして周りに責められて自信を無くすのも心配だから、ある程度技術が身についてからにしてほしいという親心のようです。また、学習ドリルのように「まずは基本から」という考えを持つ方も少なくないので、例えばキック一つをとっても、最初に足のどこで蹴るかの説明があって、そのあとボールに足を当てる練習に進み、それができたら対面でパス交換、といったふうに動き方の基礎から段階を踏んで進めるものと考える方もいて、かならずしも正確なキックの方法でなくても連係プレーはできることをイメージするのが難しいようです。また、最初に1人でできる基礎技術を身につけてから、複数人の連携にステップアップと認識している方が多い印象もあります。そういった前提もありつつ、お友達やチームメイトに迷惑をかけないように、との思いからまずは一人でできる練習メニューでスキルを身に付けてほしいという考える親御さんが多いようです。その他「その他」の意見で耳にするものには、「自宅周辺でできるから」といった空き時間に気軽にできるから、といったご意見や「自主練でリフティングの回数を増やしたい」と、一人で手軽にできる練習だと親としても楽というものが多数。最近ではチームに所属せずサッカースクールだけの子も増えてきており、そういったこの親御さんたちからは「チームに入ってないので連係プレーをすることがあまりない」「スクールで役立つキックやシュートを身に付けさせたい」という声を聞くこともあります。サッカーをする子たちの環境も多様になっておりますが、それぞれの事情で「一人でできる練習」を求めているようです。ボールの感覚をつかむこと、ボールを扱う楽しさを知るためにもクローズドスキルが全くいらないわけではありませんが、サッカーは1人ではなく複数人で協力し合うスポーツです。自主練で学んだことをコートの中で発揮し、仲間とサッカーを楽しんでほしいものですね。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2023年01月13日新年になり、心新たに目標を立てたくなる1月。子どもたちがサッカーで描く夢や目標は「上手くなりたい」という言葉で表現されがちですが、どうしたら上手くなれるかまで自分の言葉に落とし込むことが上達への近道です。真面目に頑張ることを評価してほしい、と思う親御さんは多いですが、課題を理解せず闇雲に頑張ってもサッカー上達にはつながりません。そこで、具体的な目標を立て、努力の仕方を正しい方向へ導く方法をサカイクサッカーノートの監修者・藤代圭一さんに教えていただきました。サカイクサッカーノートを使って、藤代さんの教えのもとに目標を立ててもらったので、みなさんもお子さんと一緒に実践してみてください。(構成・文:小林博子)強豪チームも導入!上手くなるために「正しい努力ができる」サッカーノート>>関連記事:「振り返り」ができるようになって上達を実感、強豪街クラブ・センアーノ神戸が導入したサッカーノート■目標を立てるなら「なりたい自分から逆算」するまずは、大前提として念頭に入れておいてほしいことが1つだけあります。目標の立て方には大きく分けて以下の2種類があり、サカイクサッカーノートでは逆算のアプローチを採用しています。1.できてないことができるようになるための目標2.理想のゴールから逆算してその過程として定める目標いつか叶えたい夢や目標のために「今年」するべきことを具体化する方法をこの記事でお伝えします。大切にしたいのは「正しい努力」のための目標をサポートすることです。今回お伝えする目標の立て方は、やみくもに練習するのではなく、自分の現在地を把握して課題を明確にし、その課題解決に向けてするべき努力にフォーカスする。そんな「正しい努力の方向」へ子どもを導くためのノウハウです。今回参加してくれたのは、シンキングサッカースクールに通う小学6年生のモトチカくん。中学生から所属するサッカーチームも決まっているそうです。普段からスクールで「サカイクサッカーノート」を使用していて、自分のプレーへの振り返りや、それをどうしたらさらに上達するかなどを考えて練習に臨む姿勢が身についていました。そんなモトチカくんが、藤代さんのマンツーマンでの指導を受け、たった1時間で漠然とした気持ちが具体的に言語化し、はっきりとした目標を立てることができました。■ステップ①2022年の自分に点数をつける最初に行うのは昨年の自分の振り返りです。100点満点でサッカー面、学習面、生活面の総合点を自分につけます。「なんとなくこれくらいかな」でOKです。モトチカくんの自己評価は「70点」とのこと。その理由を聞くと、「できなかったことが多い1年だった」と言います。具体的に聞いてみると、できたことは試合でのマークのつき方が上手くなった、コーナーキックでのプレー面での成長など。学習面・生活面でもいくつかの「できた」エピソードを披露してくれました。その後、「どうすれば75点になったと思う?」と、あと5点多い75点にするためにできるはずだったことも聞くと、具体的なエピソードをいくつも思い出しながら話してくれました。点数をつけることよりも、その点数にした理由を本人の言葉で語ってもらうことがここでは重要です。「たとえばどんなこと?」とより具体的に話せるように促してあげましょう。これは自分の現状把握と課題を自分の言葉で確認し、整理するステップです。ステップ①でやること・2022年の自分に点数をつける・その点数の理由を「できたこと」から聞く・あと5点多い点を取るためにできたことを具体的に聞く■ステップ②2023年のWishリストを箇条書きにする続いて、「なんでも叶うとしたら何を叶えたい?」と問いかけ、その答えを箇条書きで10~20個ほど書いてもらいます。どんな自分になりたいか、身につけたい力、会ってみたい人、行ってみたい場所などなんでもOK。制限時間は5分間。考えすぎず思いつくままに綴りましょう。その後、そのリストを叶えたい度合いで下記のように3段階で評価します。A:絶対叶えたいB:まあまあ叶えたいC:とりあえず書いたけど、叶わなくてもいいそして、Aをつけた中から「最も叶えたい1番のWish」を1つだけ選び「A-1」にします。モトチカくんは5分で14個書き、一番最初に力強く書いた「サッカーが上手くなりたい」にAの1番をつけました。ステップ②でやること・思いつくままにWishリストを箇条書きにする・書いたリストをABCの3段階に分ける・Aのうち最も叶えたいリストを1番にする■ステップ③最優先の目標を叶えた自分を言葉にして想像するモトチカくんがA-1にしたのは「サッカーが上手くなりたい」。どんなプレーが"上手い"と思う?こうなりたいという選手は誰?何歳でその選手のようになりたい?こんな質問をして、漠然とした「サッカーが上手い」を細分化していきます。モトチカくんの答えは「上手いとはドリブル・シュート・パスが正確で、ポジション取りが良いこと、そして紳士的なプレーをする人のことで、クリスティアーノ・ロナウドのような選手のこと。20歳でそうなりたい」でした。20歳でそうなった自分を想像して頭の中で映像化してもらうと、「最高!わくわくする」とのこと。このわくわく感も大切にしたいポイントです。ステップ③でやること・WishリストのA-1を細分化してより具体的にする・A-1が叶う年齢も決める・A-1が叶った自分を想像してわくわくする!(わくわくするかどうか?)■ステップ④理想の自分になるために、今年の終わりにどうなっていたいかを考える約10年後にクリスティアーノ・ロナウドのような選手になる......。これだけでは漠然としています。そこで、この目標を年間で刻み「今年は何をするか」に落とし込んでみます。2023年の年末にどうなっていたら、10年後のなりたい自分に近づいているかを考えます。サッカー面、学習面、生活面の3つに分け、今年の終わりにどうなっていたらモトチカくんにとって最高かを聞きました。まずは総合点を「74点」にする。1年で4点ずつあげていくと、10年後に100点に到達すると計算しました。そして、2023年の終わりになりたいことはこうなりました・サッカー:少しでも上手くなりたい・学習:自主的に取り組めるようになりたい・暮らし:少しでも頼られるようになりたいそのためには?例えばサッカー面では、「今年の終わりに上手くなったと思えるのはどんな状態か」「パスは、ドリブルは、上手くなるためには何をどうやって練習するか」まで聞き、モトチカくんの言葉で詳しくノートに記入してもらいました。モトチカくんにとって「2023年の終わりに上手い状態になっている」とは「上手いチームとの試合でも通用する実力を備え、Jリーグの下部組織チームからスカウトがくる」だそう。これを「○○な自分になる」という表現に置き換えて書き、より強い主体的な目標として心に刻みます。・サッカー:上手いチームに通用する自分になる・学習:自分から取り組める自分になる・暮らし:周りから頼られる自分になるそうやって完成した今年の目標がこちらです。ステップ④でやること・A-1(=最優先)の目標が叶う自分になるために今年の終わりにどうなっていたいかを考える・そのためにしたいこと、するべきことを1つ1つ細分化して言葉にする・それらをふまえ、目標を「-な自分になる」という表現に置き換える■何をどうやって、1年後に目標に近づくか具体的に落とし込む最初は「上手くなる」だけだったものが、「何をどうやって頑張って、1年後にどんな自分になっているか」まで落とし込まれました。向かう方向を明確に定めた目標が、モトチカくんをぐっと成長させてくれるに違いありません。「こんな自分になれていたら最高」という未来の自分が見えるのも、前向きな気持ちにさせてくれることでしょう。目標が完成したモトチカくんへの藤代さんからの最後のアドバイスは、この目標を今年1年間、何度も見返すということでした。ノートだったら付箋を貼っておくと良いそうです。「年始に立てた目標を年末まで覚えている人はたったの1割」なのだとか。目標は立てただけで終わらせず、意識し続けることが大切です。藤代さんの教えに従い頭を整理すること1時間弱、たったの4ステップで目標はここまで変わります。子どものサッカーだけでなく、親御さんの今年の目標設計にももちろん使えるノウハウ。親子でぜひ試してみてはいかがでしょうか。藤代圭一(ふじしろ・けいいち)メンタルコーチ教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力を育む『しつもんメンタルトレーニング』を考案。アムステルダムやシアトル、シンガポールなど世界各地の子どもたちにも実施。全国優勝チーム、日本代表チームなどさまざまなジャンルのメンタルコーチをつとめる。子どもや選手に「やらせる」のではなく「やりたくなる」動機付けを得意とし、全国各地の指導者のコーチとしても活躍。2023年からはオンラインのメンタルトレーニングスクールを開校。著書に「子どものやる気を引き出す7つの質問」「教えない指導」ほか多数。強豪チームも導入!上手くなるために「正しい努力ができる」サッカーノート>>
2023年01月12日お子さんたちは冬休みの時期です。親御さんたちも年末年始はお仕事がお休みの方も多いのでは。本日は、ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」で2022年8月から12月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった記事をランキングでご紹介します。今年は冬にワールドカップが開催され、日本が強豪国から勝利を挙げるなどサッカー熱が高まっているかと思います。このタイミングで、親子でサッカーについて話し合ったり、子どものサッカーへのかかわり方を見直すきっかけにしてください。第3位止める・蹴る・運ぶが目的になってはいけない。セレッソ大阪が足元の技術と同じぐらい重要視していること3位はこの夏開催された、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022で取材したセレッソ大阪U-12の記事でした。セレッソ大阪のアカデミーの育成についてのお話、サカイクの読者も関心が高いサッカーの「止める・蹴る・運ぶ」が目的になってはならない理由とは。「止める・蹴る・運ぶ」の技術に特化するのではなく、「サッカーをする」上で大事なこと、Jクラブのアカデミーの考えをご覧ください。記事を読む>>サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!第2位たくさん練習することを「頑張っている」と喜ぶ親や指導者がいるけど、正しいの? 練習しすぎの影響を教えて2位は「練習しすぎ」の弊害について池上正さんにお話を伺った連載記事でした。たくさん練習すると上手くなる、と思っている方は多いですよね。「リフティングが何百回もできるようになったんです」「サッカーが好きすぎて練習後も数時間自主練してます」のように、時間や回数で評価する価値観をお持ちの方はまだまだいますが、毎日たくさん練習することでオーバートレーニングになるなど、心身の成長に影響はないか気になっている方もいるのでは?この記事では練習しすぎの弊害とともに、筋力アップやスキル習得のために必要な事についてもお伝えしています。成長期のお子さんを育てる読者の皆さんに、ぜひ知っておいてほしいことですのでご一読ください。記事を読む>>第1位「子どもが人質」だからと暴力暴言指導を黙認する親たち 当事者として子どもを守る方法は?下半期1位は、「暴力暴言指導を黙認する親たち」に向けた、当事者として何ができるかをご紹介した記事でした。未だに暴力暴言指導がある、旧態依然とした指導の背景には指導者たちが受けてきた教育が......と言った記事は多いですが、この記事では子どもが理不尽な指導を受けているのを「子どもを人質に取られて何も言えない」と黙認してはいけない、と伝えているところが読者の皆さんに共感をいただいたようです。「ひどい目に合っているのを知っているのに、うちの親、子どもを守る行動してくれなかった」と、子どもの心に刻み込まれないよう、保護者の皆さんができることをご紹介しています。子どもを守るために大人は何ができるか。今現在悩んでいる方だけでなく、お子さんをサポートしたいすべての親御さんにご覧いただきたい内容です。記事を読む>>【次点】上位3つに続いたのはこれらの記事でした。こちらも冬休みの間に改めてご覧ください。堂安律を輩出した関西の育成クラブ・西宮サッカースクールが「低学年のうちはパスを使わない試合もさせる」ワケTOP3に次いで見られたのは、ワールドチャレンジでの西宮サッカースクールへのインタビュー記事でした。関西有数の育成クラブとして知られ、堂安律選手を始めとするプロ選手を輩出しているクラブが低学年のうちはパスを使わない試合もする狙いは何なのか、伺いました。記事全文を読む>>息子を試合に出さない理由を、親がコーチに聞いてもよろしいか問題こちらの記事も惜しくもTOP3には入りませんでしたが、たくさんの方に閲覧いただきました。試合出場の条件にリフティングの回数を出したから、練習してチームで一番できるようになったのに、出場機会が減っている。子どもは5年生なんだけど、試合に出さない理由を親が問いただしても良いものか。というご相談へのアドバイスです。疑問や不満を持っているけど「試合に出るために何が必要なのか」指導者に質問できないお子さん、結構いるのでは?親が出る幕なのか、子どもに行動させる方がいいのか、記事をご覧になって考えてみてください。記事全文を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年12月28日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「タイミングが読めずインターセプトできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、相手のパスをカットして攻撃に繋げるインターセプトができると、相手を1人置き去りにできるので数的優位になり、チャンスが生まれます。しかし、初心者はどのタイミングでパスカットに行けばいいか、タイミングを判断するのが難しいもの。今回は、相手のキックを予測してインターセプトができるようになるトレーニングを紹介します。親はボールを手で転がしてOK。ボールを蹴れなくても大丈夫です。【やり方】1.子どもの前に目印を置き、親子で対面して立つ2.親がボールを持ち、目印に向かってボールを蹴る(※投げても転がしてもOK)3.子どもはボールが目印に当たる前にボールをカットし、親に返す【トレーニングのポイント】・どのぐらいの強さのパスなのかを予測する・強く蹴ろうとしているのにインターセプトを狙い前に出ていくと、頭上を越されるなど対応されるので相手のキックの振りをよく見る・インターセプトした後のプレーを意識しながらボールを狙う・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年12月27日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「浮き球のコントロール、浮き球を蹴れない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、味方からロングパスが飛んでくることがあります。縦に早い展開をするときや、大きくサイドチェンジをする際に有効な手段です。しかし、ロングパスは遠くに飛ばすために強く蹴るので勢いがあり、高さもある浮き球なので、初心者のうちは飛んでくるボールへの恐怖心もあり、どうコントロールすればいいかわからないもの。今回は、試合の中で使われるロングボールを落ち着いて上手にコントロールして次のプレーに繋げられるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.親子で対面して立ち、親がスローインのボールを投げる。子どもは足でコントロールして親にボールを返す2.最初は相手選手が背中側にいる状態でのスローイン。ボールを受ける子どもは背中で(イメージの)相手選手をブロックしながら足元でコントロールして親に返す3.逆サイドにボールを展開するコントロール。身体を開いてスローインのボールを受け、逆サイドをむいてから親にボールを返す4.前にスペースがある状態でのスローイン。前方に走ってボールをコントロールし、親にボールを返す。次のプレーでボールを前に運ぶイメージで行う慣れてきたらノーバウンドのボールでもやってみるなど難易度を上げる【トレーニングのポイント】・どんなボールが飛んでくるのかよく見て足を合わせる・背中に相手選手がいる場合は、身体で相手をブロックする・逆サイドに展開する場合は、身体を開いてボールを受ける・前方スペースへのボールは、自分の体と一緒にボールを持ち運ぶイメージで行う・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年12月26日この秋、島根県雲南市の大東ふれあい運動場陸上競技場にて「昌子源カップ」という少年サッカー大会が開催されました。この大会は、島根県雲南市で活動する大東ジュニアフットボールクラブ(以下、大東JFC)が主催している大会で、クラブの代表を務める横山武志さんとガンバ大阪(※開催当時)の昌子源選手の父親で、長年サッカー指導にかかわってきた昌子力さんが島根県出身で旧知の仲ということもあり、地域の子どもたちのためになる大会にしたいと4年前から「昌子源」選手の名を冠して開催しています。子どもたちが主体の大会でどんな光景が見られたかをお届けします。子どもの主体性を育てたいと思っているチームや保護者の皆さんは参考にしてみてください。昌子源カップ出場チーム全員で記念撮影(写真提供:大東JFC)サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■ベンチに監督、コーチが入らない大会には大東JFCのほか島根県内や近隣の鳥取県、広島県などから全8チームが参加。4チームずつのリーグ戦ののち、上位決定戦が行われるレギュレーションで行われました。大東JFCの横山代表は、以前よりサカイクの理念に共感してくれており、チームでの指導においても子どもたちの人間性を高めることを重視しています。今年6月にはサカイクのイベント「池上カップ」も開催するなど、子どもを成長させることのみならず、保護者、指導者も学ぶ機会も作っています。4回目となる今年の昌子源カップでは、池上カップのフォーマットを踏襲し、指導者が選手と同じベンチに入らず、対戦相手の指導者とともに本部ベンチで声を出さず見守る方法を採用。この大会では指導者たちは選手と離れ、本部ベンチで昌子力さんと一緒に試合を見ていた(写真提供:大東JFC)そのようなやり方は初めてという指導者も多かったですが、「あの選手上手ですね」「普段どんな指導しているんですか」など指導者同士で交流をしていました本部ベンチで監督たちと言葉を交わしながら試合を見ていた昌子力さんも、「こういう形式の試合は初めて体験したけど、大人がいなければいないで子どもたちも何とかするものだし、良いね」と評価していました。指導者の中には、「子どもたちとの距離感が分かった」と口にした方もいたそうで、離れてみることでの気づきもあったようです。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■時間管理や作戦決めも自分たちで行うベンチからはポジティブな応援の声がたくさん聞かれた(写真提供:大東JFC)選手たちの方も、ベンチに大人がいないことで、普段とは勝手が違います。いつもは監督やコーチがメンバーを決めて送り出していたチームも、この大会では自分たちでしなければならないのです。いくつかの学年が混在しているチームもありましたが、多くの場合は上級生が主体的に声をかけ、自分たちでメンバーや戦い方を決めたり、試合の残り時間なども管理するなど話し合いをしながら試合に臨んでいました。監督やコーチは反対側のベンチで声を出さず見守っているだけなので、ピッチの中のチームメイトへの声掛けも選手たちが積極的に行います。外から見たプレーのアドバイスだけでなく、「いいよ、いいよ!」「ここから1点取り返そう」「まだまだいけるよ」など、ポジティブな声掛けが響き渡っていました。試合の後は、両チームが対面してお互いのチームの良かったことを伝えあう時間も設けられました。そこでもやはり、「〇〇の時のプレーが良かったと思います」「応援が積極的でよかったです」など、相手チームの良さを積極的に発言する姿が見られました。大会終了後は表彰式が行われ、順位の表彰のほかにポジティブな応援したチームを選出したサカイク賞が贈られました。チーム表彰だけでなく個人の優秀選手も選出。昌子力さんが選出した各チームの優秀選手が発表では、副賞としてガンバ大阪(※開催当時)の昌子源選手のグッズが贈られ、子どもたちは憧れの選手のサイン入りグッズに目を輝かせていました。■大人が離れることで、子どもは自分で動くきっかけをつかむ練習でも試合でも、大人が先導して行動を促すことが多いと思いますが、それではいつまでたっても自分たちで考えて動く力が身につかないものです。困っているときやアドバイスを求められたらサポートするのは当然として、少しづつでも子どもたち自身で話し合って動く機会を作ることで、思考し行動する経験を積み重ねることができるもの。大人がかかわりすぎないことで、子どもたちは自分で動き出す。参加チームの皆さんもそれを感じた1日になったようでした。みなさんのチームでも参考にしてみてください。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年12月26日ドイツ代表、スペイン代表を破るなど日本中を熱くW杯日本代表。クロアチア代表とのPK戦で惜しくもベスト8には進めなかったものの、世界と戦える姿を見せてくれました。しかし、今回も突破できなかったベスト8の壁。日本サッカーがさらに強くなるために、私たちは今回のW杯から何を学べばいいのか、育成年代でどんなことが必要なのかを池上正さんに伺いました。池上さんの提言をもとに、みなさんのチームでも話し合ってみてください。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>カタールで行われたワールドカップでドイツ、スペインに勝利した日本代表(C)新井賢一<<攻守の切り替えをどう教える?身体の向き、その時何を見ればいいのか、子どもたちに理解させる方法を教えて<サカイク編集部からの質問>今年最後の連載は、編集部からの質問になります。サッカーをしているすべてのお子さんがプロを目指しているわけではありませんが、日本のトップがどんなサッカーをしているのかを知ることは一つの学びになると思います。先日幕を閉じたW杯では、日本代表は初戦でドイツに、グループリーグ最終戦でスペインに勝利するなど着実に力をつけているように見えました。一方で、他国の戦いを見て日本に足りないものを感じたサッカー関係者もいると思います。池上さんがW杯を通じて感じた、日本が強豪国になるための課題、そのためには子どもの頃からどんなことを身に付けたらいいのか、という事をお聞かせいただけませんでしょうか。<池上さんからのアドバイス>今回は編集部からの質問です。ありがとうございます。4年に一度こうやって世界のサッカーを一気に観られ、そこで私たちの国の代表が戦ってくれることは本当に幸せなことです。ただ、毎回感じるのは、代表の強化には育成方法の進化発展が必要だということです。日本サッカー協会や識者も同じように育成に触れますが、明確な改革や対策が提示されていないようです。■DF冨安健洋が語った「8強の壁」奇しくも、8強の壁は何かと問われた冨安健洋選手が「日本人の育った環境だったり、サッカー以外のところもそうですけど、そこの本当の根のところなのかもしれない」と育成について言及しています(「日本人の育った環境、本当の根かも」 出典元:サッカーダイジェストWeb2022年12月6日配信)。皆さんは、日本の子どもたちや、彼らを育てる大人たちに何が足らないと思われますか?その点をぜひみんなで議論できるといいなと思います。以下、議論の材料にしていただけそうな提言を四つさせてください。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「習ってないからできない」ではなく、幼少期から自ら考え、学ぶ習慣を以前ある国立大学の教員養成を行う学生や大学院生らと野外料理に興じた日の出来事が思い出されます。ある学生が、薪(まき)の上に新聞紙を置いて、そこに火をつけていました。しかし、火は上に上がるので薪は燃えません。あれ?こうかな?いや、こうすれば点くかな?と何か工夫すればよいのですが、ずっと同じことを繰り返していました。その日の活動が終わってからの振り返りの会をしている時に、私が「今の大学生も危ないね」とみんなの前でそういうと、ある大学院生が「何が危ないのですか?」と聞き返してきたのです。そこで私が、「どうしたら薪に火がつけられるか色々試してみれば良いのに、それができないのが危ないということかな」と答えたのです。そうすると大学院生が「いや、僕はそう思いません」と言いました。「彼は(薪の燃やし方を)習っていないから、できないんです」彼らにとって何かを「学ぶ」ということは、大人や教師から「習う」ことなのです。しかし、それではいけません。自ら考える。自ら学ぶ。子ども時代からそのような習慣をつけなくてはいけない。それがひとつめの提言です。■子どもたちが自分のやりたいことを表現できる環境を作ることしたがって、まずはコミュニケーションのあり方から変えてください。これが二つめです。子ども各々がやりたいことがあって、表現できるようなコミュニケーションをすべきです。戦術的な取り決め、きまりごとを一方的ではなく、選手同士で考えてつくり出していく経験をさせてください。その経験を積まなくては、選手だけの力でピッチ上で細かい調整や変化をもたらすことができません。この点は、コスタリカ戦を観ていて特に感じました。そこを修正するためには、育成に携わる私たちが、子どもが監督やコーチに何でも言える環境整備に努めましょう。間違っていたら怒られるとか、恥ずかしいとか感じなくていい空気感や対等な関係をつくらなくてはいけません。例えば私は、練習が終わった後に「今日の練習はどうでしたか?」と子どもたちに尋ねます。こちらが気になることを言った子には「それってどういうこと?」と聞き返します。そこで対話が生まれ「コーチに自分の考えを言っていいんだ」という信頼と安心が生まれます。子どもに「物事を批判的に捉え判断する」クリティカルシンキング(批判的思考)を植え付けることも重要です。指導者が言ったことに「それってどういうこと?」と言える子を増やしてください。反抗している、生意気などととらえてはいけません。批判ではなく、確認をして納得しなくては前に進めないことに大人も気づく必要があります。オランダでのコーチ留学の経験があるサッカー指導者によると、同国でライセンスを取得するための指導実践で、インストラクターが言ったことに対し「僕はこう思う」ときちんと主張しディスカッションができるコーチがいたとします。すると、そのコーチに対しインストラクターは「この人、OKです」と合格点を与えるそうです。ところが、そのサッカー指導者がオランダから日本に帰って来て「ディスカッションしましょう」とコーチたちに話しかけても、誰も発言しないそうです。これは現場の選手の傾向と同じです。皆さん何も考えていないわけではありません。これは子どもも同じです。自分の発言が他の人に何と思われるかを非常に気にするのでしょう。■斬新なトレーニングができる指導者が少年サッカーのカテゴリーに来なくてはいけない三つめ。若い指導者がもっと海外に出る必要があると思います。オシムさんも同じことをおっしゃっていました。海外で教育を受けてくる、もしくは教育を見てくることが重要だと説いていました。例えばスペインで指導を学んでいる人が帰国時に、九州産業大学の練習を見て「(他の日本人指導者と)全く違う練習ですごく興味深かった」と話していました。同大学を率いるのは、オーストリアのプロリーグで監督経験がありスロベニア代表に帯同した経験も持つ濵吉正則監督です。そんなふうに斬新なトレーニングができる指導者が、少年サッカーのカテゴリーに来なくてはいけないと思っています。オシムさんやクラマーさんが、私の師匠である祖母井秀隆さん(仏グルノーブルGMなどを歴任)に「おまえは(日本の)子どものことをやれ」と言われたと聞きます。名伯楽たちは日本が重点的に取り組まなくてはいけないところを知っていたのです。■進化するサッカーの理解を深めるため、学び、議論し続けなければならない試合後勝利を喜びお互いをたたえあう選手たち(C)新井賢一四つめは、進化するサッカーの理解を深めることです。『競争闘争理論サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか?』(ソル・メディア)の著者でもある、鎌倉インターナショナルFCの河内一馬監督は、こう説きます。「相手が邪魔しに来るのを、チームでどう攻略するか?がサッカー。それなのに、いまだに一対一で勝負できるか、とか、個の力といった話に終始している。ひとりが抜けたとしても、その次のプレーを他の選手が考えなくてはならないし、そこを理解しておかなくてはいけません。すでに世界が日本の技術を認めています。足元の技術はあるけれど、サッカーが上手くできていません。数的優位を使っていません。オシムさんがよくジェフの選手に向かって「おまえたちはサッカーをしていない」と話していました。オシムさん的な表現で言うとすれば「エレガントなサッカー」です。みんながワルツを踊っているように、コレクティブに連動して攻撃する。クロアチアなどがそうでした。中盤からワンツーを使ってどんどん進んでいく。相手を崩していく。そういう感覚が日本にはありません。ぜひ議論してください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年12月23日2005年に12人しかいなかった興國高校の監督に就任し、今では日本代表のFW古橋亨梧選手(セルティック/スコットランド)を筆頭に、毎年のようにプロサッカー選手を育てているのが内野智章監督です。選手を成長へと導く技術と戦術の指導と共に注目されるのが、他の指導者とは違う独自の考え方で、サッカーだけでなく、子育てに役立つヒントがたくさんあります。今回は、指導者向けの月刊誌「サッカークリニック」での連載をまとめた内野監督の著書「根っこがなければきれいな花は育たない」から一部を抜粋し、選手を育てるための考え方と取り組みを紹介していきます。(構成・文・写真森田将義)昨年のプロ入団会見(C)森田将義サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■海外を知り、意識して日々を過ごす野洲高校を全国高校サッカー選手権大会の優勝に導いた山本佳司先生は「レスリングに励む高校生は(オリンピックの)金メダルを目標にトレーニングしているけど、サッカーは選手権優勝を目指してトレーニングをしている」と言ったことがあります。レスリングの選手として活躍した山本先生だから感じられた部分もあるのでしょうが、オリンピックでのメダル獲得が最終目標になる競技であれば、「世界の舞台で勝つには何をすべきか」を考えながら日々を過ごすことになりますし、実際のオリンピックで活躍できるのでしょう。自然と目線も上がり、人格が磨かれていく気がします。ドラマ化されたことで「ドラゴン桜」という漫画が注目を集めました。至極簡単に言えば、学力の低い生徒が奮起して東京大学を目指す物語です。近年は海外の大学へ進学する話も耳にするようになりましたが、学業面で優れた生徒が目指すのは、東大、というのが一般的でしょう。東大を目指すのが悪いことではありませんが、日本が島国でなかったならば、ドラゴン桜の目標大学はハーバードやオックスフォードだったかもしれません。りどっしり構えて見守っているから、子どもたちも伸び伸び自由にサッカーを楽しみ、挑戦しながら少しずつ自立していく。そんな環境を大人たちが作っていることを伺うことができました。毎年のようにプロサッカー選手を輩出する興国高校の内野智章監督(C)森田将義サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■島国という地理的要因が『日本一』から逆算する思考を後押ししている話は学業面に限ったものではありません。いろいろな分野で同じことが言えると感じています。地理的な要因が、「『日本一』から逆算する思考」を後押ししている面もあると思うのです。日本の外には多種多様な人々がいますし、さまざまな考え方が存在します。「異文化との接触=いろいろな経験」でもあります。そうした経験は人を成長させるでしょう。古橋亨梧のように日本人差別に直結するかもしれません。また、興國のスペイン遠征では日本人を差別するジェスチャーを受けたこともあります。もっとも、子どもたちは「それが差別的な意味を持つ」という」ことさえ理解できないようでした。■ただ海外を知ればいいわけではないそもそもサッカー界では、国際経験の重要性は以前から指摘されていることでもあります。圧倒的な身体能力の差やアウェーゲームの難しさは体験して初めてわかるものです。それを知った上で「勝つためにどうすべきかを考える」のと知らずに過ごすので、大きな差が生まれるでしょう。海外をただ知ればいいわけではありません。中田英寿さんはさまざまな国々を渡り歩いたことで日本の良さに気づいたそうです。海外を知ることで日本を好きになり、日本人の良さを再認識するケースもあります。つまり、日本人のストロングポイントを再認識し、長所を長所として確信した上で武器にするためにも海外を意識することは重要なのです。子供たちに世界を意識してほしいというのであれば、接する時間の長い教師の側も世界を意識する必要があると思います。教師も世界に飛び出し、いろいろな経験を持つべきでしょう。しかし現状では、大学を出てすぐに教師になる人がほとんどであるため、学生時代に経験したことを生徒たちに還元するのが精いっぱいです。見識を深めるためにも、大学での教職課程の中に半年から1年間の留学を必須にしたり、それに近い経験を求めたりするのもいいのではないかと考えています。■親が遠征費を柄ってくれているのに、その価値をわかっていない選手がいるもちろん、日本を飛び出していろいろな経験を積むことは簡単ではありません。時間的な問題もありますし、金銭的な負担も大きいからです。ただそ、人間性を磨くのには学生時代のアルバイトを含め、いろいろな方法があるとも考えています。國高校のサッカー部では、人間教育のために毎年3月に就労体験を行なっています。高校のOBである、「アート引越センター」の寺田寿男会長と交流させてもらう中で生まれた取り組みです。保護者の方が働いて得た給与から遠征費を支払ってくれているにもかかわらず、忘れ物をしたり、遠征先で寝坊したりして、試合に出られない選手がいます。また、スパイクやウェアを大事にできない選手が増えているのも気がかりな点です。僕は、高校を卒業し、社会人になってからもサッカーを続けてほしいと考えています。自分でお金を稼ぐようになってからも続けてほしいと思うからこそ、親に払ってもらった遠征費や買ってもらった用具の価値を理解してほしいのです。そのため、お金を稼ぐ意味を高校生のうちに理解してほしいのです。自分で稼いだお金は大切に使うでしょう。■学生のうちに実社会に触れるのは、異なる世界へ旅立つ準備になる寺田会長はお金を稼ぐことの意味を知ってほしいと考えているため、ボランティアなどではなく、「絶対にアルバイト代を払う」と言ってくれています。ただ、きつい体験をして終わるだけでは就労体験とは言えないと考えてくれているのです。就労体験は3日以上できるようにし、まとめて預かってもらうのではなく、各選手の家の近所にある営業所に行けるようにしてもらっています。すると、少人数で働くことになったり、5人ほどで働くことになったりします。さらに軽作業で終わる生徒もいれば、重労働になる生徒もいます。また、アルバイトでやって来た生徒に対する扱いも営業所の方々によって異なったりもします。アルバイト代は同じであっても、同じ労働、同じ扱いとは限りません。小学校や中学校、そして高校で過ごしている平等な世界とは異なるのが実社会です。そうした現実に少しでも触れるのは「異なる世界」へ飛び立つ準備にもなるでしょう。■遠征費を自分で稼いで価値を知る(C)森田将義就労体験で稼いだお金は、春休みの遠征費にあてるよう選手には伝えています。自分が慣れない仕事で得たアルバイト代が遠征になっていると思えば、トレーニングでボールを蹴ること、あるいは1試合の価値を身に染みて感じることができます。試合で不甲斐ないプレーに終始したとしても、不貞腐れるのではなく、今までとは違うことを考える契機にしてくれるかもしれません。何日も働かなければ手に入らないスパイクを買ってもらっていたと思えば、より大切に扱うようになるでしょう。言うまでもなく、「お金、お金」となってほしいわけではありません。自分で稼いだお金で好きなことができる価値を考える機会を得てほしいのです。また、オフザピッチの経験を通じて大人の世界を垣間見ることは教育として有意義だと考えていますし、いろいろな経験はオンザピッチでの振る舞いも良くしてくれると思うから実施しているのです。※この記事は「根っこがなければきれいな花は育たない」(ベースボール・マガジン社)より抜粋したものです。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年12月22日以前は上の学年の試合に出ていたが、部員が増えたら呼ばれなくなった。コーチには「頭が悪い」と言われたけど、悔しがっている様子もない息子に親の自分がイライラ。チームが強くなるには他の子たちも上手くなる必要があるのは分かっているけど、息子が追い越されると悔しくてしょうがない。これからもこんな気持ちが続くのに、子どもをどう見守ればいい?とのご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、男女のサッカー選手を育てた先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<クラブで理不尽に扱われた長男をやめさせる際に次男も一緒に退団。後悔してます問題<サッカーママからのご相談>はじめまして、こんにちは。息子は4歳からサッカークラブに所属し、今年で4年目の小2(8歳)です。最初は同い年がいなくて1人上級生に混じって練習し、試合に出ていましたが、1年生の頃同い年の部員が4、5名増えました。そのうちの一人が頭がよくコーチの指導をよく理解し動ける子で、息子はコーチから頭がわるいと言われてしまいました。今、上級生の練習や試合にはその子を指定し、息子は呼んでくれない雰囲気があります。息子の技術的には全然劣っていません。息子はあまり悔しがってる様子ではないですが私はかなり悔しく、この気持ちを自宅での自主練習に励むよう息子にぶつけてしまいました......。私のイライラの気持ちをどう納めたらいいのか、他の親御さんはどうしているのか気になります。チームが強くなるためには、息子だけでなく他の子どもたちも上手くならないといけない事を願う反面、息子が追い越されると悔しくてしょうがないです。こんな気持ちはこれからどんどん増えていくと思います。どんな風に息子を見守ればいいか教えてください。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。「悔しい」「イライラする」と、ご自分の気持ちを率直に語ってくださり有難いです。お母さんは、辛い目に遭っているわが子を前に傷ついているのです。辛いですね。そんなお母さんと似た気持ちで試合に出られないわが子を見守っている親御さんは、この日本にたくさんいるかと思います。■子どもがレギュラーか補欠か、など競争に一喜一憂する親が多いサッカーだけでなく、ミニバスケットボール、バレーボール、少年野球。本来は「スポーツって楽しい!」とスポーツの楽しさを味わうだけで良いジュニア期に、日本のスポーツは勝利や強くなること、他者との競争に負けないことを強いています。そんなことを踏まえて、お母さんには、まずはこの連載の42回目にあたる『土日も連休も丸つぶれなのに...わが子が試合に出られないと親が報われないぜ問題』を読んでいただければと思います。そこに、私の体験が描かれています。息子が小学1年生のころ、2年生の試合に連れて行かれた際、何試合もあるのにまったく出られなかったことがありました。一緒に参加した1年生の子は試合に出ていたため、息子が不憫なのと、ベンチにいる姿を見ているのが私自身非常に辛かった。そのときは気づかなかったけれど、私のこころは傷ついていました。そして、試合に出ていた同じ1年生のお母さんと一緒に観ていたのですが、最後の試合の前半で私は先に帰ってしまいました。帰り道に泣きながら休日出勤の夫に電話しました。すると夫から「それだと、○○(息子の名前)が、終わった後、ママは僕が出られないから先に帰っちゃったんだ、ってがっかりするんじゃない?」と言われました。親として、こころから反省しました。自分の感情ではなく、子どもの気持ちを優先して考えるべきでした。欧米は一部の競技で早期教育が問題になってはいますが、日本のようにほとんどの子どもが巻き込まれる状況にありません。対する日本は、小学生の子どもにスポーツをさせている多くの親御さんが、子どもがレギュラーか補欠かといった競争にさらされる姿に一喜一憂しています。かつての私もそうでした。そしてお母さんも同じ状況ではないでしょうか。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス①「今のあなたでは満足してない」と子どもを否定する言動をとらないでは、どうすればいいのか。かつて毒親だった私から、三つアドバイスさせてください。自分がなぜイライラするのか?そこを分析して自分を見つめ直しましょう。それがひとつめです。例えば、子どもが試合に出られず腹が立つ。頭がよくコーチの指導をよく理解し動ける子のほうが試合に呼ばれて悔しい。その怒りを息子さんにぶつけてしまうのは正解でしょうか? 心のなかにあるこんな毒を息子さんに吐き出すお母さんは正しいでしょうか?私は「いいお母さん」の物差しは人それぞれ違っていいと思いますが、正しいか否かの正解はあると考えます。試合に出られないからと言って子どもに自主練習を押し付けたりするのは、正解ではありません。イライラして怒るのもいけません。それらすべての行動が、息子さんに向かって「今のあなたではお母さんは満足しない」と否定することになります。私自身がそうだったから余計わかるのです。試合に出られない子どもに「残念だったね」「悔しいね」と共感しても、(試合に出られないのはあなたが頑張ってないからだよ。お母さんは悔しいんだよ)と胸の中で言ってしまえば、それは子どもの気持ちと同化しているのと同じ。共感しても、同化してはいけません。■アドバイス②ジュニア期は楽しむことが大事、自己肯定感を高めることそしてふたつめ。もし自分が正しいと言えないなと感じたのであれば、違う自分を探しましょう。まずは自分を整えるのです。自分を整えるときのキーワードは「今の私は子どもを成長させられる親か?」という問いかけです。息子さんはあまり悔しがっている様子はない、と書かれています。それならば、ほうっておけばいいのです。冒頭でお伝えしたように、ジュニア期で最も重要なのはそのスポーツを楽しんで好きになるかどうか。その一点に尽きます。「サッカー、好きなんだね」「今日は楽しかった?」そんな声掛けだけで十分です。あとは早寝早起きをさせて、朝ごはんを食べさせ、遠征や試合の日はお弁当を作ってあげて「楽しんでおいで」と送り出せばいいのです。それだけで十分、子どもは成長します。なぜなら「僕はお母さんから心配されていない。信頼されている」と安心する。自己肯定感が高まるからです。■アドバイス③自分が育てられた教育や子育てを踏襲していいのか、新たな学びが必要(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめ。子育て受難の時代です。私たちが受けた教育や子育てが、子どもを成長させるものかどうかを検証する必要があります。今までは、レギュラーか補欠かといった競争に子どもをさらし勝ち抜かせていく。子どもを圧迫して発奮させる。それがひとつの教育とされていました。しかし、自分もそういうふうに育てられたからと、同じ子育てを踏襲してはいけません。新たな学びを入れる必要があります。以下に三冊の本を紹介します。参考にしてみてください。①『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(庄子寛之著/青春出版社)公立小学校の現役教師が書いた本。「子どもを伸ばす親には、待ち上手という共通項があった」と話しています。副題の「イライラしない親は子どものどこを見ているのか」でもわかるように、イライラせずに子どもを見守るコツが書かれています。お母さんの疑問に答えてくれる本だと思います。②『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(島沢優子著/文藝春秋)拙書です。子どもにスポーツをさせている親の実態と、毒親にならないためにどうすればよいのかを書いています。③『高学歴親という病』(成田奈緒子著/講談社+α新書) ※2023年1月20日発売私に、子どもに共感してもいいけれど、同化してはいけないと教えてくれた小児脳科学者の本です。高学歴親と標榜されていますが、日本の学歴偏重社会で歪みがちな子育てを考え直せる本です。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年12月21日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「浮き球のコントロール、浮き球を蹴れない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、味方からロングパスが飛んでくることがあります。縦に早い展開をするときや、大きくサイドチェンジをする際に有効な手段です。しかし、ロングパスは遠くに飛ばすために強く蹴るので勢いがあり、高さもある浮き球なので、初心者のうちは飛んでくるボールへの恐怖心もあり、どうコントロールすればいいかわからないもの。今回は、試合の中で使われるロングボールを落ち着いて上手にコントロールして次のプレーに繋げられるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.親子で対面して立ち、サッカーテニスの要領でボールをバウンドさせ、相手の近くにパス2.親子で得点を競うなど勝負形式にして、相手の陣地のどこに蹴るか駆け引きをする。駆け引きをすることで想像と違う方向にボールが来たりするので、それに反応する力がつく【トレーニングのポイント】・ボールに合わせて移動し、しっかりと体の正面で捉える・浮き球を蹴るときも、ボールに体を合わせて蹴る・蹴れる状況を作ってから、しっかり狙ったところにボールを蹴る・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年12月20日3、4年生に攻守の切り替えを教えるときのポイントは?身体の向きや、ボールを奪った後(奪われた後)何を見ればいいのか、どのぐらいの距離感で守備をすればいいのか。この年代で理解しておくべきこと、そして理解させるための方法を教えて。とのご相談をいただきました。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、元日本代表監督イビチャ・オシムさんのトレーニングなど具体的な練習方法をアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ドリブル=一人で突っ込む、独りよがりと認識する保護者が多い。ドリブルもスキルを高めるのはダメなのか。いいメニューがあれば教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。子どもたちが所属するスポ少でボランティアコーチをしています。今教えているのは3、4年生の学年ミックスチームです。2学年ごと、レベルごとに2チーム構成にしているためです。強くも弱くもない、よくあるチームレベルでみんな楽しくサッカーしています。ご相談したいのは、攻守の切り替えで何に注意すべきか、身体の向きはどうすればいいかなどをどう理解させればいいのか。ということです。ボールを奪うチャンスとはどんな時なのか、どのぐらいの距離感を持って守備していればいいのか、奪った後は何を見ればいい(何が視野に入るようにすればいい)か、などこの年代で理解しておくべきことを教えてください。よろしくお願いいたします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。言葉で伝えてしまうと、結果的に教え込むことにもなってしまうので気をつけたいものです。■日本の子どもは教えられた通りのやり方だけをする例えば、ある場面でボールを受けるときの体の向きを伝えるとします。「ここではこっち向きで」などと皆さん教えると思いますが、それは子どもひとり一人の特性に合っているかどうかはわかりません。しかも、大人が教えてしまうと、日本の子どもはその通りにやりがちです。そこで「ああ、でも、僕はこっちのほうがターンしやすいんですけど」といった本人が実際に感じたことを指導者に伝え、そこを尊重しながら一緒に考えられると良いのですが、なかなかそういったやり取りは起きません。従って、子どもにすぐに答えを言うのではなく、それができるような練習をすることが肝要です。そもそも、そんな練習を考え出すのが指導者の一番の役割です。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■プレーの選択肢を増やすことで、自然と適切な向きで受けられるようになる体の向きで言うと、私が今やっているのは、ゴールラインにゴールがある状態で、タッチラインの真ん中、つまりセンターライン際の左右にもゴールをそれぞれ置きます。ダイヤモンド型にゴールが4つある状態です。そこでミニゲームをしてもらいます。互いに相手ゴール以外にタッチライン上にある左右のゴールにも入れていいことにします。要するに、ともに3つのゴールへ攻撃できるわけです。例えば、左サイドでゴールラインにあるゴールに向かってボールを受けようとしています。ところが、右タッチラインのゴール前にはディフェンスが誰もおらず、スペースがある。その近くにフリーの味方もいる。であれば、ボールをもらったときにどこを向いたほうがいいのか?を考えなくてはいけません。そのようにプレーの選択肢が増えれば、自然に適切な向きで受けられるようになりますし、チャンスを察知するために視野も広くなります。そのように練習をオーガナイズしておけば、子どもたちは見るところが多くなります。早く見つけ出せればゴールに直結するので攻守の切り替えが早くなります。そういったトレーニングを遊び感覚でやればいいと私は考えます。コーチがプレーの流れを止めて体の向きはこうだよと説明しなくても、遊びの中で体得できます。そうやってゲームを楽しませてください。■視野を広げ、良い位置にいる味方を見つけるトレーニングもうひとつは、オシムさんのトレーニングにもあるメニューです。普通にゴールは2つにして5対5をします。2つ決まりがあります。1.どちらのゴールにシュートしてもよい。2.ただし、シュートにいくためには、センターサークルにいるフリーマンに一度預けなくてはいけない。フリーマンに預けた瞬間に、どちらのゴールに攻めるのかを5人が意思統一を図らなくてはなりません。その際、フリーマンはどこで誰が最もアタックに適した位置にいるのかを見極めなくてはなりません。よって、フリーマンをキーパーにしておくと、キーパーの攻撃的センスが育ちますし、中盤の選手にやってもらうと360度視野を広げるのに役立ちます。中学生や高校生にはよく行う練習ですが、小学生にやってもらうときはハーフコートにするなど、グリッドを小さくするといいでしょう。■切り替えについて言いすぎると、子どもたちが攻撃をしなくなる場合もある前述した二つのトレーニングは守備から攻撃への切り替えだけでなく、守備への切り替えも速くなります。こうやって練習で体得させれば、選手は自発的に攻守の切り替えをするようになります。コーチが「切り替えろ」と喉をからして命じるよりもずっと効果的です。コーチの皆さんは攻守の切り替えを素早くしたほうがいいことは理解しています。ではそのために練習でどうするかを考え、自分で試行錯誤することも大事なことです。しかし、皆さん早く答えが欲しいようです。そこは子どもと同じなのかなと感じます。さらに、ひとつ気をつけなくてはいけないのが、あまりに切り替えについて言い過ぎると、子どもたちが攻撃しなくなる場合もあります。守備のことを考え、攻撃に迫力が無くなったりします。そうならないよう、チャンスと思ったら全員で攻撃に出る。守備に戻るときも全員で戻る。そこにこだわったトレーニングを行いましょう。■シュートしたら終わり、ではなくボールを奪われた後の動きを設定した練習をしよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)また、小学生のトレーニングを見ていると、攻撃だけで終わってしまうものが多く見られます。例えば、4対4で攻撃してシュートしたら終わり。ボールを相手に奪われたら終わり、というものです。そうではなく「ボールを取り返したら、ここにパスしたら終わりだよ」「ハーフラインを過ぎたら終わりだよ」というように、ボールを奪ったら次のことがある。攻める側も、ボールを奪われても、次の場面で取り返すこともできる。そのような設定で行ってください。欧州各国では、ジュニア年代はゲームの中でいろいろなことを学びます。特に強調されるのは、ゲームを楽しむことです。遊びの中でボールを奪ったり、仲間とトライアングルをつくったり、楽しみながらサッカーをやらせています。小学世年代ではゲームの中でいろんなことにチャレンジさせます。そして、中学生年代から理屈を学んでいくのです。日本は早くから言葉で伝え過ぎていないでしょうか。そんなことを考えながら、練習をオーガナイズしてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年12月16日2016年度の全日本U-12サッカー選手権大会で日本一に輝くなど、数多くの大会でタイトルを獲得するのが、兵庫県神戸市のセンアーノ神戸です。テクニックの高さ、戦術眼と共に目を惹くのは、自らの考えをハッキリ話せる選手の多さ。選手同士でメンバーを決める話し合いをするのは、試合で見慣れた光景です。自ら考えられる選手になるために、センアーノでは以前からサッカーノートを活用していましたが、この春からは3年以上の選手でサカイクサッカーノートを活用し始めました。6月には使用して1か月での変化を伺いましたが、2回目の今回は使い始めて半年経って感じる変化や成長について聞きました。(取材・文:森田将義写真:浅尾心佑)サカイクサッカーノートを書き始めてどんな変化、成長を感じるかセンアーノ神戸の5、6年生に伺いました子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>関連記事:「振り返り」ができるようになって上達を実感、強豪街クラブ・センアーノ神戸が導入したサッカーノート■良かったこと、悪かったことを見返しやすいから上手くなれる1人目は「将来はチャンピオンズリーグで活躍したい」と話す天野陽真くん(あまのはるま・5年生)。前回の取材にも回答してくれた選手で、使用後半年たって更なる変化はあったか聞きました。―――サッカーノートはいつから書いていますか?センアーノに入って、4年生ぐらいから書いています。これまでは良かったところ、悪かったところ、コーチに言われたことを書いていました。サカイクサッカーノートは落ち着くとか首を振るなどプレーの目標を書くスペースがたくさんある。試合前に書いてあることを見返しています。試合後にも見て、次に活かしています。―――見返して良かったと思う時は?コーチに言われたことができるようになった時に見返して良かったと思います。コーチは(サカイクサッカーノートに)ビルドアップの動きや悪かった所を書いたら、修正するためのコメントを書いてくれます。――使い始めてからの変化は?考える力が身に付きました。試合中は落ちる動きをしたり、幅をとろうと考えながらプレーしています。■以前のノートとの違い以前のノートは「良かったところ」「改善点」「目標」などを自由な形式で記載していました。サカイクサッカーノートは、試合前に「目標」「何ができていたら最高か」を書き、右ページで振り返りを行う仕様です。ほかにも体重や今日の気分を書く欄もあるので、選手のコンディション管理にも役立っています。■ノートを見返しながら練習してたら、首を振って周りを見る習慣がついた2人目は「将来はバルセロナに行って、世界中の強いチームと戦いたいです」と話す大谷飛翔くん(おおたに つばさ・5年生)―――サカイクサッカーノートの良さは?ノートに今日、何があったのかを書くところや自分の評価を書くところがあるのが良いです。人に評価を付けられたら分かるけど、自分で自分の評価を付ける項目は難しいと感じています。その日あったこと、できていたこと、できなかったことをしっかり書けるのは、とても良いです。―――書いていて良かったと思う瞬間は?サッカーノートにメモしておいて、次の試合や練習の時に見返して、意識しながらプレーしたことで、うまくいったことはあります。この半年で判断が速くなりました。あまり周りが見えていないと昔から言われていて、すぐボールを奪われていましたが、それをノートに書いて見返すうちに首を振るのは習慣づけられました。■自己評価、練習前の目標が書けるのが他との違い3人目は「将来、サッカー選手になれたら、ゴールに繋がるパスを出して、色んな人に注目される選手になりたい」と口にする赤城花奈さん(あかぎはな・6年生)です。―――サッカーノートは何歳から付けていますか?サッカーノートを知ったのは、センアーノに入ってから。小4の時からです。最初はシュートを打てるところでパスを出すなど自分の反省や悪いところ、良かったところを書いています。―――サカイクサッカーノートには色んな書く項目がありますどんなプレーをしたいかが書けて、終わった後に見返すことができるのが良いです。サカイクサッカーノートの反省でシュートが打てなかったと書いた時は、(練習で意識し)次の試合でシュートを決められました。―――採点はどんなことを書いていますか?自分がシュートを決めたり、パスを出せた時は9点とか、良かった時は10点をあげています。周りが見れないプレーをした時は採点を下げています。―――他のサッカーノートとの違いは?他のサッカーノートは(試合や練習を)やる前に書くところがなかったけど、サカイクサッカーノートはサッカー専門で、自分のやりたいプレーとかを書けるのが良いです。使い始めてから、ボールをもらう前に、1回周りを見ることができるようになりました。■自己評価ができることで、練習への意識も変わる最後は「プロサッカー選手として世界の強豪クラブに入って、お世話になった人に恩返しがしたいです」と話す畑山凛虎くん(はたやま にこ・6年生)――サカイクサッカーノートの良さは?練習や試合前に前回の振り返りができる。始める前に「どんなことができれば最高」という部分を書いて、終わった後に自己評価ができるのが良いと思います。この時はダメだったなと振り返りながら、自己評価を付けています。――書いてよかった時は?サカイクサッカーノートを書いた次に、こんなことを書いたから意識しようと思う。振り返りのおかげで上手く行っているなと思えます。――他のサッカーノートとの違いは?前に使っていたサッカーノートとは違って、自己評価ができるのでとても書きやすくなりました。自分が悪い時はもっとやらないと駄目だなと分かるのが良い。これからも使って行きたいです。■「選手たちの学ぶ姿勢が変わった」コーチたちもその成長を実感サカイクサッカーノートを使う姿を間近で見ているコーチたちも、変化を感じています。6年生を担当する田代浩樹コーチはこのように話してくれました。「自分のイメージを言葉にしてインプットにして、アウトプットに変えるのに良いと思います。質問に答えるという形式が子どもたちにとっては書きやすいのでしょうね。普段、トレーニング中に動きを止めて選手に問いかけることがあるのですが、すぐに答えられない子もいます。選手に聞いたら、『質問したら答えられる』と言っていました。誰かを指名して『何か喋ってください』と言われると、黙ってしまう子が多いんですよね。そう考えると問いかけに答える練習にもなるサカイクサッカーノートは大事だなと思います」そして「小学生年代で考えることがプレーに変換できなくても、中学や高校など大人になった時に活きたら良い」と続けます。3、4年生を担当する前泊璃音コーチは、「一番は学ぶ姿勢が変わりました。最初はあやふやな部分があったのですが、選手としての進行方向がはっきりしてきました」と選手たちの成長を口にします。3、4年生は練習をする度にサカイクサッカーノートを書き、提出する選手が多いのが特徴だそうで、ノートを返却する際には、みんなでノートを見返してミーティングすることもあるそうです。「良かったところ、ダメだったところを共有し合って、チームとして団結力を高めていけている。もう二冊目を使っている子もいるので、(これからも)ガンガン使って行きたいと思います」言葉の通り、選手の成長だけでなく、アイデア次第ではチーム力アップにも使えるのが特徴で、今後はチームとして導入するケースも増えていきそうです。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>
2022年12月14日空中戦の強さ、裏への抜け出し、シュートレンジの広さ、どん欲にゴールへ向かう姿勢――。どれをとっても「高校No.1ストライカー」にふさわしい力がある。卒業後、ブンデスリーガ1部・ボルシアMGへ加入する福田師王は、いかにしてその才能を磨いてきたのか。決してスター街道を走ってきたわけではない。挫折を繰り返しながら一歩ずつ前進してきたからこそ、いまがある。今大会最も注目を集める男がこれまでの歩みと最後の選手権にかける想いを明かしてくれた。(提供/エル・ゴラッソ特別編集 高校サッカー名鑑聞き手:松尾 祐希)福田師王選手(右)サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■"本気でサッカーをしたい"と思って――サッカーを始めたのはいつごろですか?「記憶があいまいな部分もあるんですけど、4歳か5歳ぐらいからたまにボールを蹴ったり、年に何回か幼児サッカーの試合に出させてもらったりしていました。本格的にサッカーを始めたのは、確か小学校1年生のときですね。3つ上の兄がサッカーを始めた影響もあって、自分も同じチームに入りました。でも、そのチームは辞めたんです。チームがなくなってしまったのも理由の一つなんですが、いろいろなスポーツをやってみたい思いがあって、ほかの(サッカー)チームにも移らなかったんですよ。なので、いろんな遊びをしていましたね。野球とかキックベースとか。もともと球技が好きで、体を動かして遊びたいタイプ。とにかく外で遊ぶのが好きだったので、木登りをしたり、田舎なので猿を捕まえにいったり。いつも夜遅くまで自然と触れ合いながら遊んでいた感じでした」――どのようなきっかけでサッカーに戻ったのでしょうか?「少年団の監督と仲がよくて、誘われたことがきっかけで、小学校2年生のときに近所の少年団に入ってプレーしました。その後、4年生からはまた違うチームに入らせてもらいました」――チームを変えたのはどうしてですか?「1歳上の世代で後に神村学園でチームメートになる3人の先輩がそのチームでプレーしていたんです。その人たちがうまくて、憧れました。(小学校3年次に参加した鹿児島の)鹿屋地区トレセンの際に先輩たちに誘ってもらって、"真剣に本気でサッカーをしたい"と思ってチームを変えました」サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■DFとして評価されていた4種時代――当時はどのポジションでプレーしていたのでしょうか?「3年生のころはトップ下をやっていました。[2-3-2]の真ん中。でも、4年生でCBとSBにコンバートされて、そこからはずっと後ろのほうですね」――後ろのポジションをやることに抵抗はなかったのでしょうか?「特にこだわりはなかったですね。とにかく勝ちたいだけ。勝てるのであれば、どのポジションでもいいと思っていました」――いまのプレースタイルを考えると、"守備の選手"というイメージがつかないですね。「いまみたいに体が強いわけじゃなくて、背もめちゃくちゃ小さかったんです。線も細かったし。小6で140cmぐらいしかなくて、本当にガリガリでした。でも、プレースタイルは粘り強い感じ。1対1の守備が得意で、小学校6年生で九州トレセンまでいきました。ナショナル(トレセン)で落ちましたけど、DFとして評価をしてもらっていましたね」――神村学園中時代から一緒にプレーし、抜群の連係を築いている大迫塁選手と出会ったのもそのころだと思います。「小学校4年生のときの県トレセンで出会ったんですけど、仲よくなったのは中学に入ってからです。当時は喋るぐらいで、会ったら話すぐらいの感じだったんですよね」サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■憧れた神村で見いだされた攻撃の才――次の進路を考え始める時期になります。神村学園にいくきっかけはなんだったのでしょうか?「小学4年生のときに神村学園の試合を初めて見て憧れたのがきっかけです。それはいまでも覚えています。神村学園のサッカーはドリブルやパスが主体で、ヒールパスとかもやっていて。『かっこいいな』って思ったんです。そこから実際にいきたいと思ったのは、小学校6年生の夏ぐらいです。練習会に呼んでもらって、実際に参加してそこで決めました」――入学してみてどうでした?「レベルが全然違いましたね。巧いし、強いし、速いし......とにかくすごかったです(笑)。九州トレセンに選ばれた経験もありましたが、全然違いましたね」――小学校時代はDF。中学校ではどうなったのでしょうか?「中等部の監督にコンバートしてもらって、入学してすぐにFWになりました。ただ、なんでポジションが変わったかはいまも分からないんですよ(笑)」――FWでプレーした心境はどうでした?「すごく楽しくやれていました。最初は1年生チームにいて、2年生でトップチームに上がりました。ただ、その時期に成長期がきて。140cmぐらいで中学に入学して、3 年生の春までに170cmまで伸びました。自分でもめちゃくちゃびっくりしました。でも、オスグッドになってしまって練習ができなかった。身長が伸びたので、体が使いやすくなって、足も速くなったんですけどね」――そこで一気に伸びたんですね。練習だけでも大変だったと思います。「そうですね。ケガが多く、2年生の頭から1年ぐらいは、まともに練習することができませんでした。ケガもあった中で、県トレセンはSBとして選ばれていましたが、"ボーダーラインの選手"でした」――焦りはなかったんですか?「なかったですね。そもそも2年生の時点で『プロになろう』なんて思ってもみなかったので」――大迫選手は2年生の時点で主力として活躍していました。悔しさはなかったですか?「それもなかったですね。そのころから塁はすごかったし、届かない存在で。『追いつこう』なんて考えたことはありませんでした」FWとしての転機、初の年代別代表と選手権で変わった意識、そして最後の選手権にかける思い......続きは『高校サッカー名鑑』で福田 師王(ふくだ・しおう)2004年4月8日生まれ、18歳。鹿児島県出身。178㎝/70kg。神村学園中→神村学園高。ボルシアMG内定U-19日本代表
2022年12月13日12月に入り、クリスマスプレゼントを準備し始めているご家庭も多いのではないでしょうか。毎年プレゼントを何にしようか悩む親御さんも少なくないですよね。今年は、サッカーに夢中なお子さんに自主練の効果を高める新しいサッカーグッズをプレゼントしてみてはいかがでしょうか。そこで今回は、サカイク読者アンケートから回答が多かった「子どもが取り組んでいる自主練メニュー」のランキングからE-3ショップで購入できるアイテムをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。ただいま最大50%OFFの感謝セール開催中です!一部商品がとってもお得になっておりますのでぜひご覧ください。この記事で紹介した商品はこちら最大50%OFFセール開催中!>>【子どもが取り組んでいる自主練メニューTOP10】1位:リフティング66.1%2位:ドリブル56.3%3位:映像を見て学ぶ53.0%4位:ストレッチ50.8%5位:体幹トレ43.7%6位:アジリティ36.1%7位:対面パス(止める・蹴る)34.4%その他で多かった意見:シュート練習アンケートでは、お子さんの学年は4年生、5年生が一番多く、約40%が5年以上サッカーをしているという回答でした。そんなサッカー大好きな子どもたちが、チームの練習以外で取り組んいる自主練で一番多かったのがリフティング。2位はドリブルでした。どちらもサッカーの基礎なので、今のうちにしっかり身に付けておきたいということでしょう。リフティングの回数を求めるチームがあったり、ボールを扱う技術を身に付ける基礎練習として認識されていることも人気の理由のようです。一人でできるので、だれかを誘う必要がないこともポイントかもしれません。そんな、ボール扱いの基礎を身に付けるのに絶好のアイテムがこちら。自主練1位:リフティング、ドリブルの上達に「テクダマ」サッカー上達専用ボール「テクダマ」。サッカーが上手くなるためには、技術、戦術の理解とともに、ボールを自在にコントロールするスキルを身に着けること。グラウンドではイレギュラーなバウンドをしたり、バランスを崩しながらもボールをコントロールする場面もたくさんあります。そういった時に必要な「調整力」。これこそが本当にうまい選手が身に着けているもの。脳からの指令伝達を身体が実行できる力が大事なのです。そういった神経経路が鍛えられる仕組みのテクダマなら、普段の練習の中で使っているだけで自然と調整力を習得できるのです。このボールを使うことで、イレギュラーバウンドや数十センチのズレに対する対応などに慣れ、試合で使えるボールコントロールが身につくので、ボールコントロールが未熟なサッカー初心者にもおすすめです。テクダマの詳細、購入はこちら>>自主練3位:映像を見て学ぶ「KENGOアカデミー」次にアンケートの回答で多かったのが、映像を見て学ぶこと。無料のネット動画を見ているという回答も多かったです。サカイクでは元Jリーガーで高いサッカー脳を武器に戦ってきた中村憲剛さんが、試合中に周りを見るスキル、「いつ、何を、どのように見たらいいか」をわかりやすく伝授するDVDを販売しております。お子さんのサッカー脳を高めたい方は、このプレゼントを選んではどうでしょうか。サッカーは、ボールを使った技術だけでなく、戦術や動き方・ポジショニングなど頭で理解する部分も大事になります。中村憲剛さんが映像で解説してくれるDVD「KENGOアカデミー」でサッカー脳を高めるサポートをしてあげませんか。中盤、ボランチを任されているけど、どう動けばいいかわからない。「いつ、何を、どのように見たらいいか」がわかってないお子さんに、中村憲剛さんが解説。動き方、判断するタイミングなどサッカーに必要な知識を身に着けることができます。12/21(月)19時までの購入で、サッカー上達につながるサカイクサッカーノートと中村憲剛のメッセージ入りポストカードをプレゼントKENGOアカデミーの詳細、購入はこちら>>自主練4位:股関節のストレッチに「フレックスクッション」最近では、身体を上手く使うこと、強い筋肉だけでなくしなやかな柔軟性を身に付けることが重要だと気づき始めている保護者の方も多いようです。自宅でストレッチに取り組んでいるお子様も多いようですね。でも、身体が硬くてうまくストレッチができない、継続できないなんて悩みも多いようです。そこでオススメがドリブラーの生命線、股関節の可動域を広げる話題のストレッチツール「フレックスクッション」。身体が固いのはケガにもつながりやすいので、柔軟性はできれば小学生年代から注意したいもの。ストレッチで可動域を広げることでパフォーマンスアップにも繋がります。ですが、正しい姿勢で行わないとストレッチの効果も得られません。このクッションを使えば座るだけで正しい姿勢で効果的に体を伸ばすことができます。日本やヨーロッパの強豪25チームに採用され、練習や試合後のコンディショニングに取り入れられている「フレックスクッション」でコンディショニングのサポートを。毎年のようにプロを生み出すことで知られる興国高校(大阪)のほか、RIP ACE SOCCER CLUB(大阪)、センアーノ神戸(兵庫)などでも導入いただき、効果を感じています。イースリーショップ限定オリジナルストレッチ動画付きフレックスクッションの詳細、購入はこちら>>自主練5位:体幹にスイッチを入れる「メトリクスフォーム」自主練第5位はいまや定番の体幹トレーニング。いまJリーグの育成組織も導入し1分乗るだけで「体幹」にスイッチが入る魔法のマットが話題だということをご存じですか?それが「メトリクスフォーム」です。乗って1分程度のエクササイズをやるだけで、ぶつかっても崩れない正しい姿勢にスイッチが入ります。1回のトレーニングで2~3時間効果が持続しますので、試合やトレーニング前に行うと非常に効果的。身体の土台・軸の安定、コンタクトプレー強化、姿勢の安定、怪我防止などいい影響を与えるので、お子さんの姿勢が気になる方、当たり負けしない体の強さが欲しい方は、ぜひお求めください。「タニラダー」の開発者でもある谷真一郎コーチも太鼓判。指導しているヴァンフォーレ甲府アカデミーも全面導入しています。ほかにも、強豪チームであるJACPA東京FC U-12(東京)、昌平高校の下部組織であるFC LAVIDA(埼玉)でも採用しております。エクササイズ動画が視聴できるQRコード同封なので、普段トレーニングをしなくてやり方が分からない親御さんも安心です。動画を見ながらお子さんに教えてあげられます。メトリクスフォームの詳細、購入はこちら>>この記事で紹介した商品はこちら最大50%OFFセール開催中!>>自主練6位:アジリティを向上させる「タニラダー&スピードアップインソール」つづいて第6位は「アジリティ」速く走りたい、もっとスピードを上げたいという子どもたちは多いようです。そこでオススメなのが、Jクラブでも導入しているたった4マスのラダーと、Jクラブのフィジカルコーチが監修した「1歩目が早くなる」サッカー用インソールです。正しい姿勢でケガ予防にも。週1の練習で早くなる!サッカー選手2万人以上が実践したスピードアップトレーニングの決定版「タニラダー」で、お子さんの走るスピードを高めてあげませんか。足が遅いのには理由があります。速く走るための「正しい姿勢」「正しい身体の動かし方」を身につけるタニラダーは速さを習得するための要素がギュッと詰まったトレーニングアイテム。長すぎるラダーは足元を見てしまったり、終盤姿勢が崩れたりして正しい「速さ」が身につかない。たった4マスだからこそ速さに必要な要素が身に付きやすいのがタニラダー最大のポイント。足のアーチを支えて1歩目が速くなるサッカーのためのインソール「タニラダースピードアップインソール」もセットで試してみませんか。いつものスパイクのままでスピードがアップするサッカー用インソールです。速くなりたい子だけでなく、姿勢の悪さから切り返しでふらついたり、ヒザや足裏に痛みがある子にもおすすめです。タニラダーベーシックの詳細、購入はこちら>>タニラダースピードアップインソールの詳細、購入はこちら>>自主練7位:対面パス(止める・蹴る)が一人でできる「リバウンドボード」さて、どんどんいきましょう。第7位は「止める」「蹴る」です。兄弟や近所の友達と気軽にサッカーできればパスを出す、パスを受けるといった「止める」「蹴る」が練習できますが、道具を使えば一人でも練習できるトレーニングアイテムがあります。止める・蹴るだけでなくシュートなど自宅で実践的な練習を行うのにお薦めの商品はこちら。一人でもトラップやパス、ワンツーのトレーニングができる壁打ち練習アイテム「リバウンドボード」。複数人で練習するほうが試合に近い状況なのはわかっているけど、近所の友達はサッカーしないし、兄弟姉妹も自主練に付き合えない、など様々な事情で一人で練習できるアイテムが欲しい、という親御さんは多いもの。このリバウンドボードを使えば、パスを出してパスを受ける練習ができます。ひとりでも2人で行うプレーの練習が可能になるリバウンドボードで実戦的な動きを身につけることができます。簡単に持ち運べ、上下を逆に設置すれば初心者・低学年が苦手な「浮き球」を返してくれるので恐怖心克服とトラップの練習にも。住宅事情により自宅の壁にボールを打たれるのはちょっと困る、という親御さんたちにもおすすめしたい商品です。リバウンドボードの使い方例、購入はこちら>>自主練番外編:自宅でシュート練習「アルファゴール」アンケートのその他の意見で多かったのがシュート練習です。Jリーグ44チームが導入するゴール感覚を研ぎ澄ますミニゴール「アルファゴール」は自宅でのシュート練習にもぴったり!日本サッカーの長年の課題「シュート力」。少年サッカーの練習では簡易的なゴールを使うこともありますが、素材によってはシュートの跳ね返りが返ってこないのでセカンドボールを拾う意識などが身につきづらいという側面があります。軽くて安全なアルミ製でできたこのアルファゴールは、思いっきりシュートしてもボールがしっかりリバウンドするので、シューター以外の選手もゴールを意識してトレーニングすることができます。簡単に組み立てられてしまう時もコンパクト。ベガルタ仙台のトップチームが採用しシュート練習などに使われています。また、川崎フロンターレやモンテディオ山形などのスクールにも導入。全国の少年チームや学校施設でも導入され、リアリティのある練習ができると好評をいただいております。サイズもバリエーションがあるので、クリスマスプレゼントだけでなく卒団記念の贈り物などにもピッタリです。アルファゴールのサイズ各種詳細、購入はこちら>>この記事で紹介した商品はこちら最大50%OFFセール開催中!>>
2022年12月09日