サカイクがお届けする新着記事一覧 (7/34)
株式会社Amazing Sports Lab Japanは、2024年3月26日(火)~ 2024年4月6日(土)の期間にて関東3会場でバルサアカデミースプリングキャンプを開催いたします。今春の開催地は、千葉(3/26~28)、埼玉(3/30~4/2)、栃木(4/4~4/6)です。2007年より開催されているバルサアカデミーキャンプには、これまでに延べ1万人を超える子どもたちが参加しており、現在、欧州やJリーグでプロ選手として活躍する選手を多数輩出しています。長年バルサを支えてきたメッシやイニエスタも学んだバルサメソッドを集中的に学べるこのキャンプでは、現地バルサアカデミーで年間通して行われるトレーニングを短期間に凝縮して行います。また、日本代表の久保建英選手(レアル・ソシエダ所属)は2007年に日本で開催されたバルサアカデミーキャンプで MVP を獲得、スペインへ招待され、その後 FC バルセロナのカンテラに入団しました。さらに現在もイタリア・セリエ A で活躍中の日本代表招集歴のある鎌田大地選手も同キャンプでバルサメソッドを学んだ選手の一人です。■「ボールを支配し、鮮やかなパス回しでゴールを量産する」このスタイルに魅了されている子どもたちは少なくありません。今シーズンのトップチームはガヴィやアラウホをはじめとするカンテラ出身の選手が多く在籍し、バルサらしいサッカーで各種リーグ・トーナメントの優勝を目指しております。バルサだからこそ学べる高いインテンシティーの中での、「オフ・ザ・ボールの動き」や「状況判断能力」は、これから長いサッカー人生を歩んで いく選手にとって成長の指針となるでしょう。バルセロナから来日するコーチと日本のバルサアカデミーで指導する経験豊富な日本人コーチとの"最強タッグ"で、子どもたちの指導を行います!■バルサアカデミーキャンプの5つの特徴1)現地バルセロナで年間を通して行われている最先端のトレーニングをスペイン人コーチ が直接指導します。2)レベルチェック後にグループ分けをするため、選手のレベルにあったトレーニングを受けられます。3)1 グループの上限を 14 名とし、コーチから密度の濃い指導を受けることができます。4)MVPはスペイン・バルセロナに招待され、現地バルサアカデミーでのトレーニングに参加できます。5)優秀選手に選ばれた選手は、バルセロナで行われるエリートプログラムへの参加権を得られます。■MVPおよびエリートプログラムとは?MVPに選ばれた選手はバルセロナに無料で招待(渡航費など含め、個人負担なし)。現地のアカデミーに所属する選手たちとともに強度の高いトレーニングを行うことやチームの一員として公式戦に参加することができます。また各キャンプに参加していた選手が「FCバルセロナの価値観を実践できていたか」などの選考基準を満たしていた場合、エリートプログラムに選抜されます。(旅費は実費負担)ここで選ばれた選手たちは、国内のバルサアカデミー各校の生徒か ら選ばれた選手と共にスペイン遠征に参加します。ハイレベルな選手と一緒に、国内キャンプよりもさらに踏み込んだ内容を学ぶことで、これまで身に着けてきたバルサのプレーコンセプトをより深く理解することが可能な遠征プログラムです。FCバルセロナのホームゲームで使用されるカンプノウスタジアムで行われるトップチームの試合観戦やサグラダファミリアなどの市内観光などもプログラムの中に含まれており、サッカーの技術や戦術理解度をあげることのみではなくバルセロナの文化にも触れることができます。■募集対象対象:新小学1年生から新小学6年生まで (男女問わず)定員:84 名はじめてバルサアカデミーキャンプに参加される方は、チームもしくはスクールでサッカー経験が1年程度ある方に限ります。■会場および日程■千葉デイキャンプ≪3日間≫2024年3月26日 (火) ~ 3月28日 (木)会場:ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA(〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3丁目2-17)通いプラン 89,100円(税込)宿泊プラン 130,900円(税込)■埼玉デイキャンプ≪4日間≫2024年3月30日(土) ~ 4月2日(火)会場:レッズランド(〒338-0825 埼玉県さいたま市桜区下大久保 1771)通いプラン 116,640円(税込)宿泊プラン 159,000円(税込)■栃木デイキャンプ≪3日間≫2024年4月4日(木) ~ 4月6日(土)会場:リアンビレッジ矢板(〒329-2162 栃木県矢板市末広町49-2)通いプラン 99,000円(税込) 宿泊プラン140,800円(税込)■お問い合わせ・お申込みバルサアカデミーキャンプ事務局電話番号:03-6674-2707メールアドレス:info@campsjapan.barcaacademy.com担当:北田・倉原・重富(受付時間/平日11:00〜16:00土日祝休業)バルサアカデミーキャンプ公式ホームページ:※下記の画面が表示されて詳細に行けない方は、画像右上の×印(赤枠部分)を押してください。
2024年02月06日さまざまなツールがデジタル化されている今、子どもたちが使うサッカーノートにもアプリやデジタルツールが登場していて、どちらがいいのか考えてしまうこともあるかもしれません。サッカーノートにおけるデジタルと手書きのそれぞれのメリットについて、前回の続きを京都大学医学部附属病院精神科神経科の特定教授で人間健康科学の博士でもある大塚貞男先生に伺いました。知能研究の専門家として、そもそもサッカーノートを書くことの意義についてもコメントをいただいています。写真はサカイクキャンプでサカイクサッカーノートを書く選手たち<<前編:「書く」ことが認知能力を高める!小学生年代はサッカーノートを手書きした方が良い理由子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>■「書く」行為は理解力や文章作成能力、言語認知機能の発達に貢献している大塚先生は、読み書き能力が与える言語能力や認知能力の違いを共同研究。その研究によると、漢字が正確に書ける人ほど知識の習得文章作成力などさまざまな能力が高く、ひいては高次の言語認知機能の発達に貢献していることがわかっています。実際に、大塚先生たちの研究結果からは、読み書きなどの国語力だけでなく算数などの知識の習得も同じで、漢字が書ける人ほど算数の能力も高く、同様に、漢字が読める人ほど算数の能力は高いそうです。それをふまえると、サッカーノートも手書きが良さそう......、と思えるかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか。まずはサカイクサッカーノートを先生にみてもらいました。■しつもんが用意されているから書くことが苦手な小学生向けの難易度としても良いサカイクサッカーノートの特徴の1つは、"しつもんに答える"という形式で文章を書くことが苦手な子でも無理なく書けること。しつもんの答えを書く部分がフォームになっていて「空欄を埋めたくなる」という人が持つ本能も刺激されるなど、随所に工夫を凝らしています。それをご覧いただいた大塚先生からも高評価で、「書字力や語彙力、文章作成能力が発達途上の子どもでも書きやすいノートです。漠然とまっさらなノートに言葉を埋めるのは、書くことが苦手な子どもには苦痛になるだけ。小学生向けの難易度としてとても良い形ですね」とのことでした。そしてもう1つ、先生が「良い!」と評価してくれたのは、ノートというフォーマットでした。「日々のことを書き綴ったものが1冊のノートであることは、子どもたちがいつでもどこでも見返しやすく、また、空欄が埋まって自分だけの1冊になっていく様子から成果が見えやすいもの。モチベーションや自己肯定感につながりやすいはずです」と太鼓判を押してくれたほど。確かに、アプリやデジタルデバイスへでの記録に比べると紙媒体のほうが「書いた感」や「書いた量」がわかりやすいもの。今後デジタル化が進んだ時にもどうなるかはわかりませんが、少なくとも学校で鉛筆でノートをとっている今の小学生にもやはり、ノートに軍配が上がることでしょう。電池や電波がなくてもいつでも見返せますし、何を考えてそれをどう言語化したか、書くことをどれだけ頑張ったか、そういったことがわかりやすい"ノート"は優秀な媒体だと再確認できます。それを踏まえると、現段階では小中学生年代で「ノートに手書きする」ことに大きなメリットがあるとも言えます。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■手書きの訓練ツールとしてサッカーノートを活用してはただし「サッカーノートは紙媒体に手書きが絶対にいい」というわけではなく、デジタルにはデジタルの良さがあるのも事実です。たとえば写真や動画が記録しやすいですし、入力したデータは簡単には消えないので、子どもにありがちな「紛失」という悲しい事態も防げるはずです。実際、大塚先生も「とにかく手書き推奨」というわけではなく、たとえばスケジュールはデジタル管理派なのだとか。「カレンダーが予定をリマインドしてくれるスマホの機能に日々助けられています」と笑いながら教えてくれました。それも踏まえて先生が提案してくれたのは「書くための訓練をするためのツールとしてサッカーノートを活用する」という選択肢です。手で書くことで認知能力や文章作成能力が培われるのであれば、大好きなサッカーについて書くサッカーノートを手書きにすることで、楽しく無理なく書いてくれるはずだからです。■サッカーノートは後から読み返すので「きれいな文字を書こう」という意識にもつながる写真は少年サッカーのイメージ「サッカーノートは記録として残す側面もあるので、あとから読み返すことを思うと、自然ときれいな文字を書こうとしたり、難しい言葉なども使って、よく考えて文章を書いたりするかもしれません。それも子どもの能力を自然に引き出すことにつながりますよ」(大塚先生)夢中で書いているうちに、サッカーの上達だけでなく、学力につながる様々な能力も培えるという副次的効果も。サッカーノートは、サッカー好きな子どもたちを学力面で成長させてくれるツールとして活用できる1冊にもなるようです。デジタルと手書きのメリットはそれぞれ。どちらの利点も踏まえ、賢く使い分けたいところです。大塚貞男京都大学大学院医学研究科・医学部特定助教/博士(人間健康科学)公認心理師、臨床心理士。精神科病院や総合病院、公的機関などでの心理職としての勤務を経て、京都大学大学院にて人間健康科学の博士号を取得。その後、同大学にて教鞭をとりながら、漢字の手書きの意義についてなど数多くの研究を行っているサッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2024年02月06日先頃、日本代表(A代表)のロールモデルコーチとして参加することが発表された、中村憲剛さん。世代別代表のロールモデルコーチも務め、U-17ワールドカップを目指すチームにも帯同していました。プロになる前は、世代別代表とは無縁の"非エリート"だった中村憲剛さんは、エリート選手たちに、どんな言葉をかけていたのでしょうか?さらには「伸びる選手と伸びない選手の違い」についても、お話しいただきました。(取材・文鈴木智之)ここだけのノウハウが詰まったDVD【KENGO Academy】>>■日常を、基準を高めていこうU-16、U-17日本代表に、ロールモデルコーチとして帯同した中村憲剛さん。エリートたちを前に、こんな話をしたと言います。「この環境にいることは、みなさんの努力の賜物なので素晴らしいことです。だけど、いまここにいることが、将来を保証するものではないことも確かです。過去のデータを見ると、このチームからA代表に上り詰められるのは、1人か2人ぐらいしかいないよ」さらにこう続けます。 「そして10年後。16歳、17歳の時点で日本のトップにいるキミたちではない、見向きもされないような選手が、日の丸をつけたケースがあります。それが僕です。僕はキミたちの年齢の頃、世代別代表のような良い場所にはいられませんでした。でも、みんなが途中で断念したところを越えて、違うルートで駆け上がっていきました」中村憲剛さんは「みんなはいま、この場所にいられているのだから、そこにいることを自分から放棄するのはもったいない。右肩上がりで成長していけば、他の選手が追いつけないところに行ける」と言葉に力を込めます。「努力を怠ると、ウサギとカメのように、追い抜かれてしまうんです。それが嫌なら、自分の日常を、基準を高めていこう。日本代表という素晴らしい環境で、最高の時間を過ごしているにもかかわらず、自分のチームに帰ったらそれを忘れて、のんべんだらりと過ごしていると、二度と戻ってこられなくなる。そんなもったいないことはないよ」■伸びる選手と伸びない選手の違いこのような話を聞いた選手たちは、「目の色を変えて取り組むようになる」と言います。そのうえで、中村憲剛さんは「伸びる選手と伸びない選手」の違いを、次のように表現します。「伸びる選手は、素直で聞く耳を持っています。人のせいにせず、自分の足りないところを分析した上で、ちゃんと努力し続けられる人。それが伸びる選手だと思いますし、その反対が、伸び悩む選手なのかなと思っています」中村憲剛さんは現役引退後、指導者の道を進み、S級ライセンス取得の過程で、母校・中央大学で指導を行っています。また、現役時代から若手選手の相談に乗り、アドバイスをしてきました。「現役のときは、後輩たちにも伝えていましたけど、話を聞く子、聞こうとする子、アドバイスをもらいに来る子は、継続して努力ができるんです。一方で、こちらの言ったことに対して『ちょっとそれは』とか『俺はこう思ってるんで』など、意見を聞き入れない人は、成長するチャンスを逃しているのかなと思います」■成長するために大切なことプロとして18年間、第一線で活躍してきた、中村憲剛さん。サッカー選手として成長し続けるために、必要なキーワードを3つあげます。それが「素直さ」と「傾聴力」。そして、努力し続ける「継続力」です。「監督も人間なので、目を見て話を聞く人と、明後日の方向を見ながら聞く人の、どちらに伝えたくなるか。僕はいま指導者なので、指導者目線で見ると『話が頭に入っていないな』『真剣に聞く準備ができていないな』と感じることもあります」さらに、選手から指導者に立場が変わり、見えるものが変わってきたと話します。「育成年代の子たちは、本人はちゃんと聞いているつもりでも、それが態度に現れない子もいます。だから指導者である自分自身も、しっかり人を観ないといけないなと思います」■育成年代を指導する上での気づき育成年代の指導に力を注ぐ中で、2023年には東京・調布でKENGO Academyのジュニアクラスを新設。既存の中学生(神奈川県・川崎市)に加え、S級取得の過程では大学生を指導しており、各カテゴリーで「何を、どのように教えるか。その違いに直面している」と言います。「大学生になったときに、新たなサッカーの考え方を入れるのは、なかなか難しいので、ある程度、小学生の段階でサッカー観を提示したほうがいいのかなと思っていました。でも、そうすると効率が良すぎてしまって、子どもたちがそれしか判断しなくなるのではないか。その結果、彼らが本来持っている、クリエイティブさに欠けてしまうのではないかというのが、いま感じている課題です」中村憲剛さん自身、小中高大、プロと、様々な環境、指導者のもとでサッカーをすることで「30代後半から40歳ぐらいのときに、自分のサッカー観ができあがりました」と話します。「それは、たくさんの経験をした結果だと思うので、削ぎ落としたものを小学生や中学生にポーンと渡すのはどうなのかなって。正解のプレーを提示して、それをさせるのは、道を歩いていて、小石をどかす作業をしているようなものですよね」さらに、こう続けます。「小石につまづくことで、次はつまづかないようにしよう、どうすればいいんだろうと考えますよね。そこに対して大人が関わり、正しい方向に持って行きすぎると、エラーが起きなくなるんです。そうするとトライアンドエラーではなくなってしまうので、すごく難しいですし、指導者としてはジレンマだなって思います」■KENGO Academy DVDでサッカーを学ぼう中村憲剛さんは現場での指導に加え、KENGO Academy DVDを通じて、サッカーの考え方のベースを提示しています。現役生活を振り返り「たくさんの指導者のもとでプレーしてきた中で、それぞれの良いところを抽出して、自分のものにしていく作業を繰り返してきた」と話し、「相手をどう攻略するのか。その基礎の基礎となる部分の話をしている」と自信を持つDVD。サッカーに対する考え方を知ることで、サッカー理解が深まることでしょう。ぜひサッカーIQを高めるために、DVDを観て学び、レベルアップに役立ててみてはいかがでしょうか?前回の記事「相手を観て、プレーすることの大切さ」はこちら>>
2024年02月01日大会の格で苦情を言ってくる親たちに理解をお願いしたい。全員をだいたい同じ出場時間に調整していろんな試合を経験させているのに、県大会や全国につながるような試合を格上とみなし、練習試合は本気度が低くて成長にならないのではと言われる。保護者が練習試合でも成長を感じられるようになるには、選手または親にどんなアプローチが効果的?とのご相談をいただきました。 今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、悩めるお父さんコーチにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見られるCOACH UNITED ACADEMY>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<相手とのボールの奪い合い小学生のうちは競り合いを学ばせるかコンタクトプレーをしない方法を教えた方が良いのか教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。いつも連載を読んでいます。先日の記事で、「試合を経験して成長する、うまくなるといったプロセスは、練習試合でも公式戦でも同じ」「小学生の試合ではそんなに変わりはない」とおっしゃってくれて、助けられた気持ちになりました。【該当記事】スクールのみでチームに所属してない子、対外試合の経験が積めない弊害はあるのか教えて私が保護者コーチとして関わるチームは、子どもが多いチームなので1学年20人ほど所属しています。所属人数が少なくて苦労しているチームに比べると大変ありがたいのですが、レベル別にA、Bチームを作って練習試合を含め、試合経験をさせています。だいたい同じような出場時間になるように記録して調整しています。ですが、先日の記事にもあったように大会の格や規模について苦情を言ってくる親御さんが結構います。全日予選のような公式大会につながる試合や県リーグを格上とみなし、練習試合ではこちらも対戦相手も本気度が低いので成長につながらないのではないかと言うのです。そこでご相談です。練習試合でも成長を感じられるようになるには、選手自身の気づきや実感があると保護者も理解してくれるのではないかと思うのですが、このような場合は事前に課題を設けるのが良いでしょうか?(子どもがサッカーノートに書くし、コーチのフィードバックもあるので)小5~6年代だと、どのような方法がお薦めでしょうか。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。私が発信したことが何かの力になったのであれば、非常にうれしいことです。こちらから発信はするけれど、それについて読者の方から感想をいただくことは滅多にありません。伝えていただきありがとうございます。■わが子しか見ない傾向にあるので難しいが、チームとしての成長に目を向けてくれるよう説明が必要さて、本題です。保護者の方々が「練習試合ではこちらも対戦相手も本気度が低いので成長につながらない」とおっしゃっているとのこと。公式戦、練習試合にかかわらず、そもそも子どもの成長を読み取るのは簡単ではありません。特に、素人目でうまくなっているかどうかはわかりづらいでしょう。わかりやすいのはリフティングの数とか、挙げたゴールの数とか、どのくらい自主練をしたかなどがひとつの尺度になるのでしょうが、それは目に見える一部の事実にしかすぎません。特に、一人ひとりの保護者だから自分の子どもしか見ない傾向があるため、余計難しいかもしれません。本来ならば、チームとしての成長に目を向けてほしい。そのためには、指導者から保護者への説明や解説をするとよいでしょう。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■その年代でどうなってほしいのか説明をする例えば小学生であれば、数的優位を理解して実践できるようにしたいので2対1や3対2の練習をしていることを説明してください。「ドリブルよりも簡単に相手を抜き去ることができます。サッカーというスポーツがどのように成り立っているかを認知してもらうための練習です」そんな説明をすると、保護者はそこに注目し始めます。子どもに対して「最近パスが上手くなったね」とほめたり、認めてもらえるようなことにつながります。少しわかってくると「サッカーらしくなったね」といった感想も聞けるようになります。■その日の「狙い」を事前に説明する練習試合でも同じです。「今日の練習ゲームは、こんな狙いでやっています」と事前に説明します。直接保護者に言わなくても「明日の試合はこれを目標にやろう」と子どもたちに伝えます。事前に試合にはそういった成長するための狙いや目標を立てて臨んでいることを保護者に伝えておけば、子どもたちが自分の親に伝えます。■試合後、子どもたち全員と保護者とともに「良いところ探し」の機会を作るさらに試合後、子どもたちに「試合はどうでしたか?狙い通りにできましたか?」と尋ねて一人ひとり感想を言ってもらいましょう。それを、私のクラブでは保護者にも尋ねます。「今日の試合はどうでしたか?」すると、親御さんたちは「子どもが練習していることが出た」とか「全部成功はしないけれど、やろうとしていることが見えた」などと感想を言ってもらえます。なるべく良いところを探して言ってもらえる空気感があるとさらに良いでしょう。たとえ0対10で大敗したとしても「一回だけだけど、ワンツーできてたね」といいところ探しができます。■「弱気に見えるかもしれないけど、実際は......」と子どもたちの感情を保護者に解説する最後にコーチが保護者に向けて解説をしてあげてください。必ず伝えてほしいのは「子どもたちのの感覚」についてです。「見た目は負けて弱気になったように見えるかもしれないけれど、実際はその日の目標に向き合おうとしていましたよ」などです。実際にプレーする子どもの感情を知ってほしいからです。それを親御さん向けに毎回やります。そのうちに解説しなくても、あの場面でこういうことがありましたねと親のほうから話し始めます。■レベル別に分ける理由を説明しようまた、公式戦をAとBでレベル別にする理由も説明したほうがよいでしょう。同じくらいの力の子でチーム編成をするのは、誰もが活躍できる環境を用意すること。誰もが必要な人材だと保護者に知ってもらいましょう。混ぜてやってしまうと、相手が強い場合に「アイツがいなかったら」などと子どもは正直に言ってしまいがちです。力の差があり過ぎる不均衡な試合は、強い側、弱い側、その両者ともに上達につながりません。また、AとBを練習試合で時にバラバラにしてもいいと思います。ABを決めたら全部固定するのではなく、流動的に編成します。■保護者の意見、要望に全部賛同する必要はないが、気持ちを聞いてあげるのは大事まとめると、保護者との距離をもっと縮めることです。眺めていると、コーチの皆さんは保護者に意見されることを嫌がります。だからついつい遠のいてしまう。親御さんのほうもそれを察するので話しづらくなります。時に保護者から言われたことが「それはいいかも!」と思えるかもしれません。親が言ったことを全部賛同するわけではないけれど、気持ちを聞いてあげるのはとても大切です。■災害支援ボランティアはリスペクトされるのにスポーツのボランティアは......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)そもそも日本にはボランティア格差があると感じています。災害支援のボランティアはとてもリスペクトされますが、スポーツのボランティアはどうでしょうか。欧州だとその2つは同等です。自分たちの中でやりがいを感じ、自分たちが「わが町のサッカーを支えている」という自覚があります。どうか「コーチはボランティアだからそこまでやる必要はない」と考えず、保護者にご自分から歩み寄れるコーチになってください。それは必ずリスペクトにつながるはずです。池上正さんの指導を動画で見られるCOACH UNITED ACADEMY>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年01月29日将来の夢はプロサッカー選手と言う割に、親が声をかけないと自主練はしないし暇があるとテレビ、YouTube、ゲームの息子。プロ選手からの直接のアドバイスも響いてない。本人がプロになりたいなら出来るだけ支えるけど、モチベーション上げるのって親の役割なの?というご削談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<J下部で出場機会がない息子は13歳。中学生はまだ自分で判断できない子どもだから親はどう導けばよいか問題<サッカーママからの相談>こんにちは。色々な悩み相談、いつも参考にさせてもらっています。ご相談したい内容は、「そもそもどうして親が子どものモチベーションを上げる必要があるのか?」ということです。息子は4年生(10歳)で、1年生の頃から近所のサッカーチームに所属しています。メンバーがあまりいないので、ほぼレギュラーで試合に出ており、勝ったり負けたり楽しそうです。練習も楽しそうに参加してますし、臨時のサッカースクールなども本人の希望で参加したりしています。ただ自主練はほとんどしません。親が声をかけてしぶしぶしています。将来の夢はプロサッカー選手らしいのですが、暇があればテレビ、YouTube、ゲームです。現役のプロサッカー選手とマンツーマンでパス練習をする機会があり、直接アドバイスを頂きましたが、全く響いていませんでした。プロになりたいのなら出来るだけの支援と応援をしたいとは思いますが、親がモチベーションを保たせる努力をすべきなのでしょうか?私としては、好きで好きで自主的に頑張れる子や、天才的な才能を持った子がプロになれるんじゃないかなと思っていて、我が子はイメージに当てはまりません。正直、この段階で自主練を嫌がっている様ではプロはムリだろうと思っています。ちなみにここのサイト(※編集部注:サカイク3分間トレーニングと思われる)に倣って、YouTubeのボールタッチ10分を習慣化させようと半年声掛け頑張りましたが、声をかけなくなったらやらなくなりました。やった日はカレンダーにシールを貼ったり、頑張った月はご褒美を用意したりしましたがダメでした。それでも本人がプロになりたいと言っている以上は、日ごろから親がモチベーションを高めるような声掛けや環境づくりをした方が良いのでしょうか?親の諦めが早すぎでしょうか?<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。メールに「いつも参考にさせてもらっています」とあるので、この連載を読んでいただいているようです。ありがとうございます。結論から申し上げると、親が子どものモチベーションアップに努める必要などありません。世間ではよく「やる気スイッチ」はどこにあるでしょうか?なんて言われますが、スイッチなどどこにもありませんし、あるとしてもそれを発動するのは本人です。少なくとも親ではありません。ひとつ言えるとしたら、日ごろから子どもが意欲的に取り組める環境を作ることです。そのためにも「やる気のメカニズム」を知っておきましょう。■やる気のメカニズムこの連載でも何度か書いたことですが、私たち人間のやる気をつかさどるのは左右の大脳半球の下側にある「線条体」という神経核です。一度机の上を片付けたら結構達成感があり、良い気分になった。この良い気分をつくっているのはドーパミンで、分泌するドーパミン神経の束は「報酬系」といわれます。この「片付けをする=良い気分」のマッチングが繰り返されると、その結びつきは強化されやる気が出るのです。例えばサッカーで、ある練習をしたら何かが上手くなる手応えを感じることがあります。それを息子さんが実感し「こうやって練習したら上手くなるに違いない」と思えば練習に対し意欲的になります。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■自分がやろうとしていないことを急かされても習慣化はしないところがこの線条体は、誰かに否定されたり、怒られたりすると、動きが鈍くなります。大人が圧迫すればするほど、子どものやる気は出ません。つまり脳が意欲的にならないからです。お母さんがYouTubeのボールタッチ10分を習慣化させようと半年声掛けしても習慣化しなかった、とあります。自分からやろうとしていないことを急かされても「あーあ、仕方ないなあ」と半ばげんなりしてボールを触っていれば、線条体は生き生き動かないのです。そこまで怒鳴ったりしなかったとしても同じです。であれば、息子さんが自ら「頑張ったら得をした」という経験をし、彼の脳が意欲的になるのを楽しみに待てばいいのです。そう考えると、子どもがサッカーを頑張るときはサッカーにはまった、つまり大好きになったときだと考えます。■「好き」はとても大事な出発点1万組超の双子を調査し、遺伝と環境の関係について調べている行動遺伝学者の安藤寿康(じゅこう)・慶応大名誉教授をインタビューした記事(『才能は生まれか育ちか遺伝、環境、努力、双子1万組を調査した答え』朝日デジタル=2024年1月8日)で、安藤教授はこう話しています。「『好き』に加えて『できる』の組み合わせが天才の条件とも言えますが、入り口は結局は『好き』ということです。『好き』だけど『不向き』の組み合わせだったとしても、一流にはなれなくとも良きサポーターになれ仕事でも趣味でも生かせる才能になるでしょう。『好き』はとても大事な出発点です」この言説は、私が何度か記事にしている「好きの破壊力」と類似しています。※例えば別サイトの記事ですが、webフラウの連載『スケートボード金・堀米雄斗、11歳から支えたコーチが語る「好き」を育てた親の姿』(子育てアップデート53好きの破壊力=2021年8月2日/外部サイトに飛びます)を読んでみてください。■子どもを「評価」するのではなく「観察」して待ってみよう私は同じサカイクで連載をされている池上正コーチと仕事を始めて17年ほどになります。最初のころは子どもが小学生だったので、ワンオペ育児だった私は池上さんに自分の子育てを相談したことがあります。「全然言うことを聞いてくれない」「思い通りにならない」「サッカーに興味があるのかないのかわからない」などと愚痴をこぼしました。そのとき、池上さんから「こうしたい、ああしたいじゃなくて、ああ、この子どうするのかな?と眺めていればいいんだよ」と言われたのです。目の前の子どもをこうしたい、ああしたいと思っていると、力ずくで動かしたくなる。そうではなく「この子、どうするのかな?」とちょっと観察してみる。その言葉を信じて、「宿題しなさい」「ゲームやめなさい」と腹が立っても、じっと観察したのです。私からじっと見られていることに気づいていないはずですが、息子は「よし、もういいや。お風呂入ろっと」とゲーム機をサッサと片付けて浴室に向かいました。よく「子育ては待つことが大切」などと言われますが、まさにそれでした。私はせっかちで待てないタイプなので「待つ」といった心持ちではなく、ただひたすら「こいつアホやな」とか「さあ、どうする?」と心の中でつぶやきながらわが子を眺めていただけ。この観察する時間がまさしく「待つ時間」になったわけです。お母さんも「この段階で自主練を嫌がっている様ではプロはムリ」などとわが子を評価するのではなく観察してはどうでしょうか。寄り添うことに注力するのです。■「好き」が発露するタイミングは人によって異なる(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そもそも子どもの成長や「好き」の発露が訪れる時期は、それぞれ異なります。7歳で出会う子がいれば、20歳で発見する子もいます。そういえば、先に紹介した記事で安藤教授はこうも言ってました。「個人の性格的な要素として、何事にも目的意識を立てた考えをする、つまり『努力ができる』ということにも50%ぐらいの遺伝率があります。努力ができるというのも才能の一つなのです」遺伝ですって。怖いですね(笑)。少し肩の力を抜いて、自分の子育てを眺めてみてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年01月24日強豪チームが幅とスペースを上手く使ってほとんどフィジカル的な競り合いをしないことに感心していたら、周囲からはコンタクトプレーを避けすぎるのも良くない、倒れるギリギリでパスをようなバランスを探るのも必要だと言われた。中学以降を考えるとコンタクトを避けるorバランスを身に付ける、どちらが良いのか教えて、というご質問をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、海外の育成情報も含め、悩めるお父さんコーチにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見られるCOACH UNITED ACADEMY>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<公式戦が始まるまでに「どんな時に何を見てプレーするか」を理解させたい、お団子サッカーから視野を広げる方法を教えて<お父さんコーチからの質問>池上さんはじめまして。自分自身、小学校からサッカーをはじめ、子どもができるまで社会人チームでも時々プレーしていたのですが、指導は初心者なので今色々と勉強している段階です。息子のチームに誘われて指導の手伝いをしていますが、基本的に見守り係のようなアシスタントの立場です。(上述したように、今指導について学んでいます)お聞きしたいことは、コンタクトプレーについてです。全国大会に出場したことがあるような県内トップレベルのチームなどと対戦すると、同年代でも幅とスペースの使い方がとても上手くて感心します。(監督のツテで試合できるだけで、うちのチームはそんなにレベル高くないです)身体の使い方も上手く、フィジカル的な競り合いをほとんどせずにボールを持っているのはすごいと思いますが、コーチの中にはコンタクトプレーを避けすぎるのも良くない、相手のマークがあってもどのぐらいまでボールを持っていられるか(倒れるギリギリでパスを出す)バランスを探る経験も必要だ、という意見もあります。フィジカルコンタクトを怖がる子たちもいるので、コンタクトしない方法を身に付けさせるのもありなのかな、と考えていたのですが、中学以降を考えるとコンタクトを避けるorバランスを身に付ける、どちらが良いのでしょうか。おすすめの練習法などもあれば教えてください。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。先日、ある講習会で中学2年生を指導しました。相手とコンタクトしなくてもできるプレーがあるよねと伝えました。相手が近づいてきたらボールを離すことです。中学生は3年生くらいからぐっとスピードが出てくるうえ、体も大きくなるのでプレーの強度が上がります。相手とぶつかる場面も出てくるのですが、ぶつかるのを耐えるのではなく上手く離れるスキルを身に付けることです。■小学校高学年の間はコンタクトしないプレーは何か、を身に付けさせる小学生の指導を見ていると「ボールを取りに行こう」と声掛けして追いかけてもらうのは良いのですが、追いかけられた側に対し「体を入れてキープしなさい」と命じることが多いようです。(基本として、相手よりも遠い方の足でボールを持つのですが)そこを「速くパスを出そう」と伝えてください。そうなると、ボールを持っている味方がすぐパスを出せるように、ボールを持たない選手のほうもどこに動いたらもらえるかを常に考える。そういったことを促してください。ご相談者様が担当する小学校高学年の間は、コンタクトしないプレーは何かを身に付けてもらいましょう。例えばワンツーパス。ミニゲームのなかで相手がコンタクトしにきたら、味方を使うことで裏が取れます。それができるようになれば、相手のプレスが速くても回避できる。そういったことが、彼らの将来に役に立つのです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■小柄だった羽生選手はオシム監督のアドバイスでプレーを変え日本代表に選ばれた私がジェフ時代に指導を学ばせていただいたオシムさんは、体の小さい羽生直剛選手にこう言いました。「おまえみたいな小さいやつが、180センチの相手ディフェンダーと闘って勝てると思うか?相手とぶつからないことを考えろ」それまで相手に体をぶつけられると懸命に耐えていた羽生選手は、そこからプレーを変えました。彼は走って相手をかわすことを考えたのです。それができたから国際舞台を戦う日本代表にも選ばれ、そこでも活躍できました。■日本人は二者択一の思考になりがち指導者衣装やサッカーの場面で変わることもあるそんなことを小学生のころから子どもが理解していれば、中学、高校と将来のサッカーキャリアに必ず役に立ちます。体が大きい選手はパワーがあるから体をぶつけろと言われると、そのプレーしか覚えません。逆に小さい選手はスピードがあるからとか言われ続けると、速さでしか勝負できなくなる。それでは、ボールを運ぶ技術や戦術眼が身につきません。大人になって、自分より強い相手や速い相手に出くわすと、そこからもう戦えなくなるのです。さまざま考えると、日本人は白か黒かと二者択一を迫る癖があるようです。ドリブルかパスか。ほめる指導か、怒る指導か。体をぶつけるのか、そうでないか。どれも指導対象やサッカー場面で変わっていくというのに。■日本代表MF遠藤航選手は、「球際が強い」のではなく「球際が上手い」体をぶつけるか、ぶつけないかの話はよく尋ねられるので、上述したように相手をかわす話をします。すると「じゃあ、遠藤航はどうなりますか?彼は球際が強いじゃないですか。彼みたいにしなくていいですか?」と質問されます。しかしながら、遠藤のプレーをよくよく見ると、インターセプト(パスカット)がすごく多いことがわかります。彼は球際が強いのではなく「球際が上手い」のです。さらにいえば、強いのではなく賢い。彼自身、自分が大きくないこと、外国人に比べて決して体が強くないことを知っています。彼のように相手とどう距離をとったらいいかを理解すれば賢くなる。その賢さは小学生のうちに養わなくてはいけません。■欧州の子どもたちは「ずっと続けるために」どんなサッカーをするか問われるそれらを養うには、育成する指導者たちの価値観を少し見直さなくてはいけないでしょう。例えば、日本では目の前の勝ち負けが何より優先されます。勝つためにどんなサッカーをするか。そこが大人によって追求されます。よって負けてしまうとやめてしまう傾向があります。小学生でも「もうサッカーはいいや。引退する」と言います。中学生も高校生も。多くは6・3・3の学校でサッカー環境が変わる日本では、サッカーをやめる機会がたくさんあります。ところが、欧州の子どもたちは「ずっとサッカーを続けるために、どんなサッカーしますか?」ということを問われます。欧州をルーツにするサッカー人には「騎士道」の思想があるので、スポーツマンシップが重んじられます。彼らの中に「なりふり構わず勝つ」というのは基本的に受け入れられません。ここで「基本的に」という言葉を足したのは、すべてがそうではないからです。プロリーグで降格争いとか、この試合に負けたら終わりといった場面ではロングボールも使います。国の威信をかけて勝負するW杯もそうです。よってW杯は勝利至上サッカーだから面白くないといった声も少なくありません。つまり、プロフェッショナルな部分があるのです。■欧州のプロリーグで10代デビューする選手は、戦術眼や考え方がすでに代表級もうひとつ言えば、欧州のプロリーグに10代でデビューする選手は、戦術眼やサッカーのとらえ方、考え方がすでに代表級です。あとは経験を積むだけという状態で、舞台に現れます。ところが、日本の10代はどうでしょうか。海外組と言われる日本の選手たちはよく「ここ(欧州)のサッカーに慣れてきた」と言います。話していること整理すると「欧州の素早い判断力を追求されるサッカーに慣れてきた」ということだと私はとらえています。日本のサッカーは展開がゆっくりで、海外は速いです。例えば、イタリアは昔から「カテナチオ」鍵をかけるという意味の、引いて守るカウンターを特色としていました。ところがそのサッカーは今では選手からもサポーターからも人気がありません。現代サッカーのトレンドであるハイプレスからのスピーディーな展開サッカーが好まれるのです。よく言われてきたハードワークも、もう言われなくなりました。古いサッカーは人気がありません。今、欧州や南米では、2人のコンビネーションで相手が想像しないことを仕掛けることが注目されています。ひとりのファンタジスタではやっていけないけれど、2人ならできる。そういう選手が必要だと考えられ始めました。■小学生からユース年代まで何を教えるかドイツやオランダなど諸外国の取り組み(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)では、小学生からユース年代まで何を教えるか。そこを私たち指導者は考えなくてはなりません。いくら判断が早くても、教え込まれたシステマティックなサッカーだと相手に抑えられてしまいます。よって、賢い子どもを育てなくてはなりません。各国とも子どものサッカーをどうするべきかを考え始めています。ドイツはゴール2つで3対3のフニーニョ、オランダはスローインなしの6対6。ドリブルインでもパスでも始められます。なぜなら、ストリートサッカーを取り戻そうとしているからです。自由でどんどんプレーできる環境が重要だとされています。例えばドイツの育成組織をみると、ドリブルに偏っているチームはありません。一方の日本はどうでしょうか。小学生は全日予選で勝つためのトレーニングに終始していないでしょうか。中学生は全中、高校は選手権。すべてその年代で勝つための練習であり試合です。そしてプロが出てくるクラブが偏っています。どこからでも出てくるわけじゃない。ところが、ドイツではおしなべて多くの町のチームから輩出されています。みんなブンデスリーガを目指しているから、ブンデスと同じサッカーを子どもにやらせる。それが奏功しているのだと思います。彼らの将来に役に立つ練習をし、そんな指導環境を目指してください。池上正さんの指導を動画で見られるCOACH UNITED ACADEMY>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年01月19日デジタルツールが当たり前になった現代の子どもたち。学校では1人1台タブレットが貸し出されるようになり、少しずつ手書きの機会が減っています。サッカーノートにも、デジタル化の波が押し寄せてくる日が近いかもしれません。そこで今回は、手書きvsデジタルにおいて、子どもに与える影響の違いを京都大学医学部附属病院精神科神経科の特定助教で人間健康科学の博士でもある大塚貞男先生に伺いました。(取材・文小林博子)写真はサカイクキャンプでサカイクサッカーノートを書く選手たち子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>■サッカーノートは手書きがいい?それともデジタル?サッカーノートを書くことは、思いや考えを言語化しながら整理し、課題を明確にするなどのメリットが多数あります。サッカーノートを導入しているチームは多く、日々の練習の記録や目的、改善案などを書くことには一定の意味があることはすでにご存知だという方が多いはずです。そんなサッカーノート、今の主流はまさに手書きの「ノート」ですが、タブレットやスマホで入力できるものや、スマホアプリも登場し始めているのが現状です。チームによってはそういったデジタルツールをすでに導入しているところもあるのでは?今後はどちらがいいのか悩ましいところですね。大塚先生は、「漢検」でおなじみの日本漢字能力検定協会の協力を得て、京都大学大学院にて読み書き能力の研究を行っています。お話を伺うと「手で書く」ことは認知・学習面の成長には影響すると思う、と語ってくれました。まずは気になるその理由について詳しく解説します。■書くことは脳の広い範囲を使うスマホやPCを日々扱っている私たち親世代も常々感じているであろうことの1つに、「漢字が書けなくなった」ということはありませんか。読むことは問題ないものの、いざ書こうとすると漢字が思い出せない......。きっと共感してくれる方は多いはずです。ほとんどの人にとっては、漢字を鉛筆で紙に書けるようになるには、手で書いて覚えなくてはなりません。また、「書かないと忘れてしまって書けなくなる」のも前述のように実体験から痛感できます。そんなことから、私たち日本人にとって漢字は「普段から書いているか(手書きしているか)」を測るバロメーターになり、大塚先生はそこに着目して研究をしています。脳で処理される「漢字能力」を分解すると1.読字(漢字を正しく読める)2.書字(漢字を正しく書ける)3.意味理解(漢字や熟語の意味が正しくわかる)の3つになり、それぞれ使う脳の部位が違うのだとか。1の「読む」を経て、3の「意味理解」をしながら2の「書く」までを行うことで、「読む」だけに比べて使う脳の部位が移っていきます。脳は筋肉と同じで使って鍛えるところ。インプットとアウトプットを経て使う部位が広範囲におよび、側頭葉から前頭葉へなど、部位をまたがって情報を伝達することが脳のトレーニングにもなるそう。文字の識別については、デジタルより手書き文字の識別の方が難しく、デジタルの同じフォントばかり見ていると、フォントが違うだけで同じ文字だと認識しにくくなるようです。そのため、色々なフォントを見たり使ったりすることが推奨されています。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■人は「運動を伴った方が物事を記憶しやすい」という性質も持つまた、手書きのメリットは「手と指を動かすこと」にもあると大塚先生は言います。それだけを聞くと「デジタルデバイスに入力する時も手と指を使うのでは?」と思いがちですが、入力は手書きに比べると筋肉をあまり使わずにできるもの。予測変換機能もあることで、記憶を呼び起こしたり考えたりする範囲も少なく「ラク」かつ時短であることは明確です。また、人は「運動を伴った方が物事を記憶しやすい」という性質も持っているため、手指を動かして書いた方が記憶に残りやすいという特徴もあります。■手書きしている→文章作成能力が高まる→言語による認知機能の発達に大塚先生たちの研究チームが以下の結果を示したのは、大学生(大学院生を含む)30名を対象にした研究です。その結果は、漢字を手書きで書けるほど、知識の習得量が多く、文章作成能力が高いというものでした。一方で、中高生719名のデータを解析した研究でも、漢字を手書きで書ける子どもほど、文章作成能力が高いことが示されました。つまり、書くことで「認知能力」が養われ、言葉を使ったコミュニケーション力が発達するというわけです。■デジタル入力にもメリットがある、双方を活用しよう写真は少年サッカーのイメージ手書きのさまざまなメリットをご紹介しましたが、大塚先生はデジタル入力を否定しているわけではありません。比較的短い時間で簡単に一定の言葉を綴ることができるのはデジタルのメリットですし、子どもたちが将来デジタルツールを使いこなすことはリテラシーとして必須事項。双方のメリットをそれぞれ活用することが好ましいようです。ここまでをふまえ、サッカー少年少女を育てる親御さんがやはり気になるのは、サッカーノートは手書きのほうがいいのか?ということだと思います。それについては次回の記事でご紹介します。大塚貞男京都大学大学院医学研究科・医学部特定助教/博士(人間健康科学)公認心理師、臨床心理士。精神科病院や総合病院、公的機関などでの心理職としての勤務を経て、京都大学大学院にて人間健康科学の博士号を取得。その後、同大学にて教鞭をとりながら、漢字の手書きの意義についてなど数多くの研究を行っているサッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2024年01月18日人として健全に生きていくために必要な「自己肯定感」。『子ども・若者白書』(平成26年版/内閣府)によると、日本の若者(13歳~29歳)で、自分自身に満足していると答えた人の割合は45.8%と、半分以下にとどまっています。先ごろ、『サッカーがもっと楽しくなる40のヒント ~なぜカメはウサギに勝てたのか~』を出版した、チームビルディングでおなじみの福富信也さんは「自分との約束を守り続けること。それこそが自分自身を大切にしている姿だ」と発信し、自己肯定感につながるヒントを述べています。今回、横浜市港北区で活動する大豆戸FCジュニアユースの選手に対し、福富さんが「チームビルディング~サッカーがもっと楽しくなる40のヒント」をテーマに、ディスカッション形式のセミナーを行いました。サッカーをもっと楽しむために、心身ともに健やかに成長していくために、知っておきたい「自己肯定感の高め方」についてのヒントをお伝えします。記事の最後で今回のセミナーで使ったシートを紹介しますので、チェックしてみてください。(取材・文鈴木智之)セミナー終了後、参加した選手たちと福富さんで記念写真<<前編:スタメンorベンチ、チームレベル他人との比較ではなく自分自身に矢印を向けることがサッカーの成長にもつながるサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■チームメイトとの雑談が大事な理由セミナー開催にあたり、選手たちは事前に本を読み、その上で大事だと思ったポイントとその理由、サッカーと日常生活のどんな場面で大事になるかを書き出してきました。(※使用したシートを記事の最後に紹介します)日々の自分の行動を振り返りながら、ダメな部分さえもチームメイトにさらけ出す。そして、チームメイトから率直なフィードバックやアドバイスを受ける。そんなグループディスカッションを行いました。悩みやダメなところを仲間に「自己開示」すること、それに対して仲間から率直な「フィードバック」を受けることはかなり勇気がいることです。そのときに心がけることとして「教えてくれてありがとうという気持ちを持ちましょう。言い方に気をつけて、前向きになれるような意見を言ってあげよう」と声をかけました。「チームスポーツにとって、自己開示とフィードバックはすごく大事です。そういうコミュニケーションが足りないチームはお互いを深く理解し合えません。良いチームはみんなで雑談レベルで自己開示とフィードバックをしていて、常に深いレベルで繋がっています。少しでもこの時間が、良い時間になればうれしいです」ディスカッションは大いに盛り上がり、福富さんが時間を延長するほど、活発な意見交換が行われていました。■自分自身を知ること、相手に知ってもらうために大事な4つのポイントディスカッションについて、福富さんは「ジョハリの窓」を参考に、4つのポイントを紹介します。それが「公開」「盲点」「秘密」「未知」という観点です。・自分も知っている、他人も気づいている。「公開」の部分。・自分は知らないけど、他人は気づいている。「盲点」の部分。・自分は知っているけど、他人は気づいていない。「秘密」の部分。・自分も知らない、他人も気づいていない。「未知」の部分。「『秘密』にしていることを仲間にさらけ出してみましょう。例えば、勇気をもって仲間に自分の弱みを伝えてしまうと気が楽になります。仲間からのサポートも受けやすくなります。そして、ディスカッションによって仲間からフィードバックやアドバイスをもらうと『盲点』が減って、新しい気づきや発見が生まれます。秘密にしていたことをさらけ出す(自己開示)、自分では気づかなかった盲点を指摘してもらう(フィードバック)。そうすると、『自分も知っている、他人も知っている』という『公開』の部分が増えていきます。チームメイトの深い部分までお互いに知っているのは大事なことです」サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■「自分との約束を守る」ことが「自己肯定感」につながるさらに、自己肯定感を高めるためのポイントを教えてくれました。それが「自分との約束を守ること」です。「皆さんは自分との約束を守っていますか?みんな、友達との約束は守ると思います。守らないと、友達に迷惑をかけてしまうからです。でも『今日からこれをやるぞ』など、自分と交わした約束を破る人はとても多いんです。誰にも迷惑がかからないからいいやと思っているかもしれないけど、自分に迷惑がかかっています」さらに、こう続けます。「約束を守らない人は嫌いですよね?それと同じで、自分との約束を破っていると、そんな自分のことをだんだん嫌いになっていくんです」自分との約束を守ることで、自分との信頼関係ができます。自分自身と良い関係性を築くことこそが「自己肯定感」につながっていくのだとも思います。■自分がコントロールできることにのみ意識を向ける福富さんは「スタメンや勝利、天気など、自分でどうにかできないものではなく、自分ができることに目を向けましょう」と言葉に力を込めます。「努力して、スタメンになる可能性を上げることまではできますが、最終的には監督が決めることであって君たちの仕事ではない。試合の勝ち負けについても同じ。どれだけいい試合をしても勝てない日はあります。それでモチベーションを上げたり下げたりするのはもったいない。限りあるエネルギーだから、自分がコントロールできることにのみをパワーを使いましょう」■チームメイトと話し合うことで今まで知らなかった自分の良いところに気づくことができたグループワークをする選手たちセミナー後、選手たちに話を聞くと、次のような感想が飛び出しました。「チームメイトと話し合って、自分のいいところや知らなかった自分に気づくことができました。これから自分がどうしていくのかを考えるきっかけになったので、すごく良かったです」「日常とサッカーがつながっていることを知りました。しっかり日常から変えていって、サッカーの試合でもいいプレーができたらなと思います。試合中、流れが悪いときに、ポジティブな声掛けをして、チームを助けていきたいです」「自分に必要なことを、深く考えることが大事だと気づくことができました。いままで、自分について深く考えたことはなかったのですが、自分と向き合うことが大事なのだと思いました」自分を知り、自分との約束を守ること。その結果、信頼できる自分になり、自信が生まれ、自己肯定感も高まっていきます。そうすると何事も積極的に、前向きに取り組むことができるようになるでしょう。大豆戸FCの選手たちは、今回のセミナーでたくさんの気づきを得たようでした。▼今回のセミナーで使ったシートはこちら行動目標が設定できるチームミーティング準備シートサッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2024年01月12日Jクラブの育成組織でキーパーとして所属しているが、試合には全く出してくれず、専門コーチもいない。出場時間ゼロに、いい加減私が憤慨している。13歳(中1)はまだまだ子どもで自分で判断できないから、親が導くべきだと思っている。どうしたらいい?というご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、お子さんが悩めるお母さんのために、これまでの取材で得た知見をもとに3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<社会人野球までやった父。中1サッカー息子に文句を言ってしまう自分を何とかしたい問題<サッカーママからの相談>すみません。子どもは13歳で中学生だし、周りに相談しても「中学生なんだから自分で色々する年代でしょう。親があれこれ世話する年代じゃない」と言われるのですが、普通の部活ならそうかもしれませんが、うちはプロになれる可能性があるJ下部所属なので、13歳はまだまだ子どもで自分で判断できないため親が導いてやらないと思ってご相談します。相談が長くてすみません。昨年春からJクラブのジュニアユースにキーパーとして所属している息子ですが、 試合出場0分、良い加減憤慨しています。(私が)育成年代に経験する機会を与えないのは、我が子をどう育成しようとしているのか全くチームの意図が見えません。昨年スカウトが来た時、もう一つのJクラブからもオファーを頂き、たくさん人参をぶら下げられた今のチームに入りました。もう一つのチームよりも地元では強い選手を集めたという背景も背中を押しました。しかし、実際入ってみたら我々保護者へ行ったこと何一つ実現しておらず、キーパーという専門職に教える人がいない環境です。練習も、中1の二人で何となく練習し、背が大きい方が毎回出場、我が子は完全無視。本当は意図があって失敗したプレーも勘違いされ、「ビビってんじゃねえ!」という一撃で本心が言えなく萎縮している我が子。今練習会場は毎回違うし、グラウンドは土だし、このまま後2年半このチームに在籍してて我が子の成長が期待できるのか非常に不安です。月1回程度来る本部のキーパーコーチに言わせると二人は互角だとの評価です。じゃあなぜ試合の経験させないのか分かりません。勝ちにこだわるから?練習でうまく行って明日ようやく試合出れるかもとワクワクして行ったのに、我が子だけ出さない。大差で勝ってても怪我しているフィールドの選手は出すけど、我が子だけ出さない。こんな屈辱ありますか?決して上手いとは思っていないけど 理由があって選ばれて、育てたいと思ってスカウトしたのではないのか?それなのにこの大事な育成年代に全く出場の機会を与えないのは、長男のJクラブでも絶対になかった。サッカー大好きで、本気でサッカー選手になりたいと小さい時から思い行動し、ヨーロッパで活躍するんだって具体的な夢も描いてるのに、この8ヶ月間、何をしてくれちゃってるの?そんな中近日海外遠征で6日も行くという。 こんな状況で試合に出すとは到底思えません。だんだん自身も喪失し、何のためにわざわざ高い金を払って海外に行かせるのか意図不明です。チームは育成年代に回すお金がないし、ネームバリューのあるチームだから下手なキーパーコーチは雇えない、と言います。 じゃあ我が子はどうなる?この8か月間、自信喪失し、自己効力感を下げてもらいに通わせてるだけじゃないか?と疑問です。親としてこのままこのチームに預けてていいのか非常に悩んでます。U-13の監督は昨年まで他県のユースの監督でした。ユースや大学年代になれば出れない選手がいても当たり前。それがプロになる厳しさであり、スタメンを勝ち取るために自己対峙し修正を重ねる精神力が培われていると思います。ですが13歳の子はどうでしょうか?そこまで人間ができているでしょうか?ワンオペでみてる監督は、元日本代表と言う経歴を持ち、現役時代のポジションはフィールドだそうです。自分の成果として勝利に執着する気持ちは分かります。だけど、我が子の成長には何の利益もない。ジュニアユースに入り明らかに楽しそうではない息子。本気で長男がお世話になったもう一つのJクラブへ相談しようと考えたりしてます。それかいっそのこと辞めてもいいのではとも。本部の下部には毎回キーパーコーチがいて同じ会費を払ってるのに、かたや指導者不在で人工芝ではなく、補助食も出ず、なんかこの選択は違うんじゃないかと感じてなりません。親としてどうしたら良いでしょうか?<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。いただいたメールを拝見すると「長男がお世話になったもう一つのJ下部」とあるので、兄弟そろってJリーグのジュニアユースでプレーしているようです。よってお母さんのなかで「こうしてほしい」「ああしてほしい」といったクラブ側への要求が高くなるのでしょう。お書きになった不満を、箇条書きにしてみました。・たくさん人参ぶら下げられたのに、入ってみたら試合に出られない。・常勤のキーパーコーチが不在。・大事な育成年代に全く出場の機会を与えない。・指導者不在で人工芝ではなく、補助食も出ず、なんかこの選択は違うんじゃないか。親心から生じる要求かもしれませんが、クラブの態度や方針を変えられるわけではありません。相手を変えるよりも、自分が変わるほうが現実的な方策です。■大事なのは子どもの気持ちお母さんの「お気持ち表明文」から子どもの本心が見えないそれに加え、そもそも肝心の息子さんは現在の自分の状況についてどう感じているのでしょうか?メールを読むと、ほぼ全文がお母さんの「お気持ち表明文」になっています。もしサッカーをしているのがお母さんであれば、私はここで「そうかァ、それは悔しいね。じゃあ、今の自分の状況をどうとらえようか?まずは何のためにサッカーをしているか考えてみようか?」と話せます。ところが、サッカーをしているのはお母さんではなく息子さんです。周りの方が「中学生なんだから自分で色々する年代でしょう。親があれこれ世話する年代じゃない」とおっしゃったと書かれていますが、その通りだと私は思います。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス①欧州での活躍を本気で夢見るアスリートが「親に導いてもらわないと動けない」とは考えないここでは三つほど私からお伝えさせてください。ひとつめ。上述したように、息子さんに今のピンチを乗り越えさせましょう。今のクラブを選んだのがお母さんだったとしても、最終的に了承して通っているのは彼自身です。このままこのクラブで控えのまま続けるのか、他のクラブに移籍するのかを自分で決めさせてください。本気でサッカー選手になりたいと小さい時から思い行動し、欧州で活躍する具体的な夢を描く人間であれば尚更です。そんな志を持ったアスリートが「僕はまだ子どもだからお母さんに導いてもらわないと動けません」とは考えていないと思います。少しばかり考えるのがゆっくりで、なかなか動けなかったとしても、立ち止まってステイするのも彼の人権です。親からすればぐずぐずしているように見えるかもしれませんが、そこは待ってあげましょう。■アドバイス②すでにスポーツ毒親になりかけているかも!?毒親に共通することとはふたつめ。これを機会に子育てをやり直しましょう。お母さんは私が『スポーツ毒親』(文藝春秋)というルポを執筆していることはご存知でしょうか。この本の文脈から言わせていただくと、現時点でお母さんはスポーツ毒親になりかけているようです。さまざまクラブへの不満が書かれていますが、もしかしたら息子さんが常に試合に出ていれば何の問題もなかったのではありませんか?例えば「試合出場0分、良い加減憤慨しています。(私が)」とありますね。お母さんは息子さんが試合に出られないことが屈辱的だと感じたり、試合に起用しない指導者に対して「大事なわが子に何してくれてんの?」と親心をむき出しにしています。私は憤慨している。私が悔しい。私が屈辱的。サッカーをしているのは息子さんなのに、主語が「私」なのです。子どもに起きたネガティブなことをつい自分と重ねてしまう。これは毒親の方々に共通するものです。実は、私が、私がと「正直な親心」をむき出しにすればするほど、息子さんのストレスはぐんぐん高まります。仮に息子の前では言ってなかったとしても、親の怒りや落胆は子に伝わるものです。そうすると「試合に出られない自分は親から愛されない、認めてもらえない存在だ」と子どもの自己肯定感は下がり、すこやかな成長の妨げになります。子の自己肯定感は「ありのままの自分」を親が受け入れてくれることが基盤になるのに、「補欠のままではダメ」というニュアンスで伝わってしまうリスクが大きいのです。試合に出られない息子さんに対し「それは悔しいね。出られるといいね」と"共感"することは大切です。そこに息子さんのサッカーへのこだわりが行き過ぎると、「私のほうが悔しい」と親の感情が子どもと"同化"してしまいます。それではなかなか良い方向には進めません。そのような親子を、これまでの取材や相談を受けるなかでたくさん見てきました。お母さんは「自信喪失し、自己効力感を下げてもらいに通わせているだけじゃないか?」とクラブに対し疑問を呈しています。しかし、指導者はストレートに言えば「たかが他人」です。親さえしっかり認めていれば、子どもは自尊感情を維持できます。他人の手で容易に潰されるものではありません。■アドバイス③お子さんの自己肯定感を育もう(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめ。子育てで最も重要なことは、わが子の自己肯定感を育むことです。そこで、次の三点に注力してみてください。①「試合に出ることがすべてではないよ」とか「君は十分頑張っているよ」と息子さんを励ましてください。②サッカーを楽しむことが第一だという価値観を伝え「楽しくないなら、試合に出られそうな他のクラブに移籍するのもありだよ」とほかの選択肢を提案してもいいかと思います③最終決定をするのは息子さんであり、その決定が道義的に問題なければぜひ尊重してください。私自身もかつては毒親でした。皆さんの揺れる気持ちや正直な親心が理解できるから、この連載を続けられています。道を間違えたら立ち止まって「どっちに行けばいいのかな?」と考えれば良いのです。子育てはいつからでもやり直せます。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年01月10日冬休みを取得されている方も多い時期ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。本日は、ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」で2023年8月から12月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かったチーム・トレーニング関連記事をランキングでご紹介します。子どもへの接し方をはじめ参考になることがたくさんありますので、記事配信当時に見逃した方も、いま一度ご覧ください。第3位借金して息子のサッカー支える妻に夫から離婚話が......サッカークラブお金かかる問題第3位は、子どものサッカーにかかるお金が家計を圧迫しており、親(子どもの祖父母)に借金してまで支えているけれど、夫にはそれを反対され離婚まで口にされている。というお悩みの記事でした。所属チームの活動内容によって子どものサッカーにかかるお金にはバラつきがあり、思いのほか出費が多く悩むご家庭もあると思います。まして、子どもが複数人いて他の子もスポーツや芸術などをしていると、人数分の出費がありますよね。子どものやりたいことを応援しサポートするのは素晴らしいですが、他のきょうだいとのバランスを考え、親御さんも無理のない範囲で支えてあげないと、きょうだい仲や親子関係が悪くなってしまう可能性も。サッカーをする子どもの子育ての先輩であり、スポーツと教育のジャーナリストである島沢優子さんが、親御さんの悩みに寄り添ったアドバイスを送っておりますので参考にしてください。記事を読む>>サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!第2位「子どもの試合はワールドカップではない」各地のグラウンドに設置されたドイツサッカー界で有名な標語の意味第2位は、サカイクキャンプの菊池健太コーチがこの夏行った池上正さんとのドイツ研修で見た、「子どもの試合はワールドカップではない」という看板とそれに込められた意味を伝えた記事でした。記事公開直後から読者の方より「ハッとさせられた」「改めて、そうだなと気づいた」などのお言葉をいただいていたこの記事は、多くの保護者に「子どものサッカーに熱くなりすぎている自分」に気づかせてくれた模様です。育成大国と言われるドイツの考え方、子どもにサッカーを楽しんでほしい保護者、指導者のみなさんはいま一度ご覧ください。記事を読む>>第1位医師が解説!サッカー少年少女の足が臭い理由と今日からできる足のにおい対策第1位は、保護者との編集会議から生まれた企画「子どもの足のにおい対策」でした。サッカーをする子を持つ保護者の大多数が悩んでいる「足のにおい」。保護者との編集会議の後、アンケートなどで皆さんが実践している対策を募集し、それが本当に効果があるのかどうかを医師に聞いて紹介しております。練習後や試合の後の子どもの足のにおいに悩むお父さんお母さん、今日から実践できることばかりですのでご覧ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。2023年もサカイクの記事をご覧いただき誠にありがとうございました。これからも親御さんご自身が考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2023年12月29日冬休みを取得されている方も多い時期ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。本日は、ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」で2023年8月から12月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かったチーム・トレーニング関連記事をランキングでご紹介します。子どもへの接し方をはじめ参考になることがたくさんありますので、記事配信当時に見逃した方も、いま一度ご覧ください。第3位初出場で準優勝、ソレッソセレクトが普段別のチーム所属の子たちによる「選抜チーム」を大舞台に送り出すために心がけたこと第3位は、現在開催中のJFA 第47回全日本U-12サッカー選手権大会でも決勝に勝ち上がる等、注目のソレッソ熊本の記事。今夏のワールドチャレンジでは初出場で準優勝。セレクションを実施しないクラブながら、今年U-12、15ともに夏の全国大会で準優勝と注目を集めるチームが、急造チームのメンバーを大舞台に送り出すときに心がけたことに関心が集まりました。大きな舞台で選手たちに緊張がある中、子どもたちが思い切りプレーするためにコーチたちはどのような心構えでいたのか、参考にしてください。記事を読む>>サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!第2位「止めて蹴る」ではなく「止めながら運ぶ」へ 止める蹴る運ぶのクオリティを高めるためにセレッソ大阪が取り組むこと第2位は、ワールドチャレンジで伺ったセレッソ大阪U-12が、海外チーム(バルサ)を見て感じた課題についての記事でした。「とめる、蹴る、運ぶ」といったスキルをどう身に付けさせるか、というのが日本の小学生年代の課題だと思っていたら、育成の名門バルセロナはそれを動きながら実践していたこと、日本の同年代でもそのような動きができるようにしないと......といったお話は、育成年代の現状を知りたい方や世界との差に興味がある方の注目を集めました。選手たち自身が対戦して感じたバルセロナの選手の違いも伺っているので、改めてご覧ください。記事を読む>>第1位レベル差があるから学年ミックスのグループ分けを検討するも、保護者から「劣等感を抱く」と反対が......。レベル差のあるチームの指導、どうすればいい?第1位は、学年ミックスでのレベル別チーム分けに対する指導者の悩み。1~7月のランキングでも技術差による学年ミックスに対しての悩みがランクインしており、指導者・保護者の皆さんにとって大変関心が高いことが分かりました。セレクションのないチームなどは、上手い子にもサッカー経験が浅い子にも、どちらにも「サッカーって楽しい」と思ってほしいという意図で学年ミックスでレベル別に分ける運営をして、保護者にも好評のチームもあります。最近は学校の授業などでも一部の教科でレベル分けクラスを実施しているところもあり、保護者の方にもだいぶ受け入れられてきているようですが、地域などによっては、まだまだ理解してもらうのが難しいケースもあるようです。チームとして全員が協働し、上手くなるためのやり方を池上さんが回答していますので、ご覧ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2023年12月28日サッカーや教育の現場でよく目にする「自己肯定感」。これは「自分は自分でいいんだ」など「自分で自分の存在を認めること」を言います。『子ども・若者白書』(平成26年版/内閣府)によると、日本の若者(13歳~29歳)で、自分自身に満足していると答えた人の割合は、アメリカ(86.0%)、イギリス(83.1%)、フランス(82.7%)、ドイツ(80.9%)、スウェーデン(74.4%)、韓国(71.5%)に対し、わずか45.8%にとどまりました。つまり日本の若者は、先進諸外国に比べて、自己肯定感が低いと言えます。先ごろ、『サッカーがもっと楽しくなる40のヒント ~なぜカメはウサギに勝てたのか~』を出版した、チームビルディングでおなじみの福富信也さんは「自分自身と交わした約束を守り続けることが自分を大切にすること」と発信し、それこそが自己肯定感につながると述べています。今回、横浜市港北区で活動する大豆戸FCジュニアユースの選手に対し、福富さんが「チームビルディング~サッカーがもっと楽しくなる40のヒント」をテーマに、ディスカッション形式のセミナーを行いました。その様子をレポートするとともに、自己肯定感を高めるためのポイントを紹介します。(取材・文鈴木智之)写真は少年サッカーのイメージ<<関連記事:「自己肯定感」とは何か?サッカー上達にどう関係するのか「サッカーがもっと楽しくなる40のヒント」の福富信也さん×大豆戸FC末本亮太さん対談サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■カメが逆転できたのはウサギと比較していなかったから大豆戸FCジュニアユースの選手たちは、福富さんの著書『サッカーがもっと楽しくなる40のヒント ~なぜカメはウサギに勝てたのか~』を読み、大事だと思った点と理由、どんな場面で大事になるか、サッカーや日常生活のどんな場面で必要かを書き出した上でディスカッションに臨みました。福富さんは著書を振り返り、「ウサギとカメの寓話がありますが、カメはウサギに勝つことを目指していたのでしょうか?ウサギと自分を比較するようなことはせず、自分のゴールだけを目指して歩みを進めました。もし比較していたら、初めから勝負になりませんよね」と話します。「一方のウサギはカメに勝つことだけを考えていました。そのため、勝てると思って油断して昼寝をした結果、カメに追い抜かれたわけです」福富さんはウサギの考え方について「他人との比較の中でしか、自分の存在価値を見い出せていなかったのではないか」と分析します。「カメは評価軸が他人(ウサギ)ではなく、自分の中にありました。自分が見据えたゴールを目指し、ウサギの存在に気を取られることなく自分のペースで進んで行った。結果的にウサギを追い抜く形でゴールにたどり着くことができたのです」■他人と比較して自分はダメだ、下手だと思わないここで福富さんは「他人と比較して、自分はダメだとか、下手だとか思わないことが大事」とメッセージを送ります。それこそが、自己肯定感を育むために、大切なことと言えます。「他人と比較したり、他人の望む人間になろうとしたりするのではなく、まずは自分がどうなりたいのかが大事。他人の評価ばかりを気にしていたら自分の人生ではなくなってしまいます。理想に向かって自分はこんなに変わってきた、将来はもっとこうなりたい、でOK。他人からの評価を無視していいとは言いませんが、自分の人生なのである程度は自分の軸を大切にしていいと思います」サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■スタメン、ベンチ、レベルの上下他人との比較ではなく、自分自身と向き合うことが大切サッカーや勉強など、学生時代は何か他人と比較されることが多いもの。スタメン、ベンチだ、飛び級、選抜、チームレベルなど、比較しようと思えばきりがありません。「他人との比較の中でしか自分の存在価値を確認できないのは寂しいこと。チームの方針を尊重しながらもどうしたら自分の強みを発揮できるか模索し続けることが大事。それこそが、自分を大切にしている姿でしょう」■他人の評価に振り回されないサッカーが上手い、下手は、意外と曖昧なもの。見る人によって基準が変わり、監督が変われば、試合に出られる選手も変わります。それほど、評価は人に依存するものと言えます。「他者からの評価で自分自身を見失ったり、自己肯定感を下げたりすることがいかにもったいないことか。そこに気がついてほしいです。クラブを選ぶときも、『強いから』という理由だけでなく『自分に合っている』『ここでやりたい』と思えるようなクラブが見つけられるといいですよね」大豆戸FCは「一人ひとりが主役、いつでもどこでも誰とでも」をコンセプトに、自分が主体となり、サッカーに取り組むことを後押ししています。そのクラブを選んで来た彼らにとって、非常に響く話になったのではないでしょうか。「僕はJリーグの監督さんたちともたくさん付き合いがありますが、彼らはものすごいプレッシャーの中で仕事をしています。あれだけのプレッシャーの中で仕事をする上で、自分の軸やフィロソフィ(哲学)が、プレッシャーから守るシェルターになっています」■自己理解できていると目標達成が近づく大豆戸FC代表末本亮太さん「周りからあれこれ言われたとき、すべて取り入れようとして混乱する選手がいます。しかし、『自分はこういう選手になりたい』『自分の強み(弱み)はこれだ』と自己理解できていれば、周囲からのアドバイスを"必要に応じて"取り入れることができるはずです。まずは自分自身に対する深い理解が必要です。周囲からのアドバイスでそれがどんどん上書きされていくのはいいですが、自分の軸がないまま色々なアドバイスを取り入れたら混乱するのは当然です」「大豆戸の選手たちは、近い将来、社会に出ていきます。様々なプレッシャーやストレスがかかることもあると思いますが、そんな外的要因と上手に付き合えるといいですね。ストレスがかかったときに、すべてを受け止めようとしたら耐えきれずに折れてしまうでしょう。軸は持ちつつも柔軟な考え方でいなせる、まるで柳の木のようなしなやかさが必要だと思います」次回の記事では、自分の軸を持つために、自己肯定感を高めるためにできること。そして選手たちの声を紹介します。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年12月27日今はボールのある所にワーッと集まる団子サッカーの子どもたち。来年は公式戦が始まるから、どんな時に何を視野に入れてプレーの判断をするのか、を理解させたい。相手DFに阻まれたとき、味方にパスを通すには何が見えていればいいのか、など周囲を見れるようにするにはどうしたらいいか教えて。とのご相談をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、悩めるお父さんコーチにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<スクールのみでチームに所属してない子、対外試合の経験が積めない弊害はあるのか教えて<お父さんコーチからの質問>池上さんこんにちは。小3の息子が少年団に入団した際、チームのパパ友に誘われてボランティアコーチをしています。私自身は高1までサッカーをしていたものの、教える側のことは習ってこなかったので、JFAのD級取得のための勉強ぐらいしかできていません。勝利より楽しさを求めるチームなので、はっきり言って弱いし下手です。今回ご相談したいことは、視野を広げるためにどんな指導をすればいいのか。という事です。今はまだボールのある所にみんなが寄って行ってしまいがちですが、春からは4年生で市のリーグも始まるし、サッカーの形にしたいと思っています。どうしてもボールばかり見て、周囲の動きに気づけないことが多いのですが、どんな時に何を視野に入れてプレーの判断をするのか、を理解させたいです。例えばドリブルしてて相手DFに阻まれたとき、味方にパスを通すには何が見えていればいいのか、などを伝えたいです。ほかには、DFをしていると周りをよく見れるけど、シュートの時に視野が狭くなりGKによく止められる子が多いので、ゴール前でも広く周り(前?)をよく見ることを身に付けさせたいです。自分自身まだ指導を学び始めたばかりで、どう伝えたらいいのか、どんな言葉なら理解しやすいのかなど悩みます。幅広い年齢に指導してきた池上さんにアドバイスをいただきたいです。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。受け持っている3年生がボールに寄って行きがちなので、団子にならず「サッカーの形にしたい」と考えているのですね。低学年からでもダンゴにならない指導を含め、この連載でも視野の確保や広がって攻めることについてさまざまお伝えしています。最後のほうで紹介するので、ぜひチェックしてください。■意識するということは「見る」ということつい数日前のこと、あるところで小学4年生を指導した際にこんなことがありました。およそ100人の子どもたちを一度に見る状況で、午前中は5対5のゲーム形式で練習をしました。キーパーも入って、後ろからビルドアップすることに注目してやってもらいました。そして、午後からはまず5対2で鳥かごをしてもらいました。ボールは2つ。どのグループもミスが続出しました。ボールが2つあるので、同じ人にパスが重なったり、ボールがぶつかったりしました。「ボールは2つあるから、ボールを意識して。意識するということは"見る"ってことですよ」そんなアドバイスをしながら、各グループを回りました。始まってしばらくしたら、私は笛を吹きました。「次はボールを1個にしてください。ただし、パスはダイレクトで回してください」すると、子どもたちは「え~っ!」と大声で叫びます。それに構わず私は「あれれ?君たち、ダイレクトパスを知らないの?え~っ!」と驚いてみせます。子どもたちはびっくりしたり、苦笑いしながらボールをひとつ減らしてパスをダイレクトで回し始めました。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■ダイレクトのパス回し指導は止める蹴るを鍛えるためではなく、周りを見れるようにするためすると、どうでしょう。見ていたほかのコーチたちが「子どもたち、顔が上がっていますね」と目を丸くしていました。ダイレクトで回すという制約をつけられると、子どもたちは渡されたパスをすぐさま味方にパスしなくてはいけないため周りを見るようになります。結果、顔を上げるようになるのです。ダイレクトにうまく渡せなかったとしても、その瞬間周りを「見よう」とします。このことに気づいていない指導者は少なくありません。ダイレクトでパス回しをさせるというオーガナイズを、止める蹴るといった足元のスキルと思っているのです。私がここでパスをダイレクトで回させたのは、決してダイレクトパスの練習ではありません。選手に「周りを見ろ」と言うだけでは、見られるようにはなりません。見ざるを得ない状況をつくることが必要です。■その都度周囲の情報を認知していないと考えることもできない私がジェフにいたとき、オシムさんが監督の時代は、そんな練習がかなりの量を占めていました。頭の回転を速めるための練習です。オシムさんはそんな練習をしながら「速く考えろ!」と選手に声をかけていました。しかしながら、考えるための要素を認知していなければ、考えることもできません。要素とはその都度周囲がどうなっているかという「情報」です。ところが、少年サッカーを指導している多くの方が、上述した5対2でダイレクトパスを回す練習で選手がミスすると「まだしっかり蹴れないですね」とおっしゃいます。選手がミスするのは、ダイレクトだから、自分にボールが来たらどこにパスしようかなと考えていたということでもあります。足元の技術がないわけじゃない。そこをコーチは理解しなくてはいけません。このあたりはコーチがサッカーをきちんと学んでいるかどうかの差でもあります。ダイレクトパスの前にやったボール2つの5対2の段階で「ふたつのボールが重ならないようにするには、もうひとつのボールがどこに行くかで決まってくる」という頭の理解がないといけません。少年サッカーの現場を見ていると、子どもたちに「いつもそんなふうに考えていないとできないよね」と説得できるような練習が少なすぎるようです。したがって、オシム時代のジェフの選手たちは「試合(公式戦)のほうが楽だ」と口々に言ってました。オシムさんの練習のほうが制約が厳しいので、いろいろな情報を頭に入れなくてはいけない。つまり見なくてはいけないのでとても頭が疲れるのです。■低学年から「相手がどう動いてくるか」を考えさせることで判断する力を養う(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)サッカーは相手がどう動いてくるかわかりません。0点何秒かの世界で判断しなくてはいけません。小学生の低学年、もしくはもっと小さいときから「どっち?」と考えさせなくては視野を確保し判断できる力を養えないのです。例えば、この5対2の練習は、学年全部を混ぜてやってもよいでしょう。サッカーの認知力の高い高学年が「ここ、ほらパスできるよ」「こっちに動いて」と言ってくれたりすると、下の学年は少しずつ見る力がついてきます。例えばブラジルは子どもから大人まで一緒にやるストリートサッカーで、賢い子どもが生まれます。集団を縦割りにするなどするメソッド化ができたら、面白いと思っています。実際に、指導者になった私の教え子は、3年生と6年生を一緒に練習させたり、そこにコーチや高校生も混ぜたチームで練習させたりします。見ていると、小学生が非常に賢いです。ご相談者様の言う「サッカーの形」になっています。ひとりで勝手にドリブルしたりしません。3年生もちゃんと視野を確保でき、大人と遜色ないプレーをします。どうしたらかしこい選手を育てられるか?と考えると、大人と子どもが混じってサッカーをする「究極の縦割り」が効果的だと考えます。以下が冒頭でお伝えした、関連のアーカイブ記事です。ぜひ参考にしてみてください。サッカー初めての子たちに楽しく基礎を教えるメニューが知りたい攻守の切り替えをどう教える?身体の向き、その時何を見ればいいのか、子どもたちに理解させる方法を教えて味方がパスを受けやすくするための動きが分かってない子どもたちに、理解させる方法を教えて池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年12月22日内気でプレーでもチャレンジするように見えない息子に愚痴を言ってしまう。あまり言わない方が良いのは分かっているし、試合も見なければいいのに成長過程が見たくて毎週行ってしまう。親としてどうしたらいいのか。と悩むお父さんからのご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<借金して息子のサッカー支える妻に夫から離婚話が......サッカークラブお金かかる問題<サッカーママからの相談>息子は中1で「ジュニア」ではないのですが、相談させてください。現在クラブチームに所属しています。父親の私自身は野球をしてきました。少年野球→中学野球部→高校部活→大学野球→社会人野球とすべて野球で進路を決めてきました。息子は内気で、プレーを見ているとチャレンジしようとしないことや頭を使わずプレーしているようにしか見えなくて、少し愚痴を言ってしまいます。息子のサッカー人生なので極力言わないようにと心掛けてはいるのですが......。あまり言わないほうがいいのはわかりますが言ってしまうことがあります。見なければ楽なのですが、息子の成長過程をみたい親心で毎週見に行きます。こんな私に何かアドバイス頂ければ幸いです。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。父子の状況が、お父さんからからいただいた短いメール文でしか想像できないので、そのあたりはご理解くださいね。さて、「少し愚痴を言ってしまう」と書かれていますが、その程度であれば私にメールするまでは悩まないのではないかなと思いました。この表現を超えた文句や厳しい言葉を時折言ってしまうのかなと想像します。■自分のダメな部分を嘆きつつ、目の前の我が子と向き合うことが現代の子育てわかっているのにできないことってありますよね。お父さんも「あまり言わないほうがいいのはわかりますが言ってしまう」と書かれています。そうやって行きつ、戻りつする。この状態は、私も同じ悩みを抱えながら子育てを修正してきたので想像できます。とはいえ、そうやって己のダメさ加減を嘆きつつ、目の前の子どもと向き合う。それこそが現代の子育てだと思います。なぜ「現代の」と加えたかと言うと、今の親世代の多くは、親や教師、スポーツ現場のコーチからひっぱたいたり怒鳴りつけられたりして育っています。よって自分もそうしてしまう。自分では気づかないうちに、育てられたように育ててしまうのです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス①子育ての新しい情報を取り入れることひとつめ。新しい子育て観、子育てで本当は何が大事かといった価値観を、自分の中に取り込みましょう。そのためには新しい情報を入れることが必要です。いまこうやって私の記事を読んでいる。これも新たな情報ですね。そのうえで、子育てに役立つ本を手にとってみましょう。一番お勧めしたいのは『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』です。これはサカイクでも連載をお持ちの池上正さんの最初の書籍です。私がブックコーディネーターとして、企画構成を担当しました。例えば、1章のタイトルは「肯定する」「だからダメなんだよ!」抽象的な言葉で叱ってばかりいませんか?と、副題がついています。2章は「上達する」「悔しくないのか!」負け始めると怒っていませんか?例えば、8章の「余裕を持たせる」「勝ちたいという気持ちが足らなかった」敗戦を精神論で片付けていませんか?いかがでしょうか?お父さんと「少し」似ていませんか?他の章も「楽しませる」「気づかせる」「考えさせる」「自立させる」「問いかける」と、お父さんの子育てに足りない要素がたくさん出てきます。ぜひ手にとって読んでください。この本は、指導や子育て本としては類を見ないヒット書籍で目下8万部超。2008年刊行なのに今でも市場で動いている優等生です。ある通販サイトにあった本の感想には、こう書かれていました。「小学生の母です。試合を見ては我が子のプレイに、イライラしたり胃が痛くなったりする事が多く、親がしんどい気持ちで過ごしていました。極端な話し、やめさせた方が楽かも...とまで思っていました。この本を読んで違った方向からみれそうな気がします。まだ、怒ってしまいそうですが、何度も何度も読み返して改めたいと思っております」このお母さんが書いておられるように「何度も何度も読み返す」のが重要です。ほかにも「子どもとの接し方が変わる内容でした」というのもありました。また、お父さんは野球をやっていらしたということですが、スポーツジャーナリストである私の目から見ると野球は小中高の育成年代での指導のまずさもあって、競技人口を減らしていると感じています。お父さんにわかりやすいよう、上述した『サッカーで子どもを......』と似たような内容で野球を舞台にしたものをと思いましたが、保護者向けの良書はありませんでした。もちろんまだ出会えていないだけかもしれませんが。したがって、まずは池上さんのこの本を何度も読んでみてください。これは宣伝したいわけではありません。本当にお父さんを救うと思うからです。この本を出してすぐに少年野球のお父さんコーチの方から連絡をもらいました。電話で話したいというので差し上げると、泣きながら感謝の意を述べられたのです。お父さんは「この本が無かったら、確実に息子は野球をやめていました。僕は毎日のように息子に文句を言ってたので。この本で勉強し直します」とおっしゃいました。■アドバイス②指摘するほど子どもは意欲をなくすふたつめ。「いわないほうがいいのはなぜか」という理由をお父さんが腹落ちしなくては、ずっと言い続けてしまいます。息子さんが内気で「プレーを見ているとチャレンジしようとしない」「頭を使わずプレーしているようにしか見えない」と書かれています。しかし、それをお父さんが指摘すればするほど、息子さんは意欲をなくします。意欲がなければ絶対上手くなりません。人の意欲にかかわってくるのは、左右の大脳半球の下側にある「線条体」という神経核です。ところがこの線条体、誰かに否定されたり、怒られると動きが鈍くなります。つまり、お父さんが圧迫すればするほど、息子さんはやる気が出ません。脳が意欲的にならないからです。それとは逆に、褒めたり、認めたり、ミスを励ましたりすることで線条体は活発に動き出すことがわかっています。それなのに、多くの大人たちは子どもを発奮させようと「渇を入れる」と言ってガツンと怒ったりしますね。お父さんもやられたでしょう。ご自分はなにくそと思って頑張ったのでしょうが、そんな指導が合わずに伸びなかった子どもはたくさんいた。でも、「ダメな子だ」「根性がない」「内気だから」と否定され、伸びなかった子どものせいにされたのではないでしょうか。そこを理解してください。■アドバイス③あなた自身が変わる方法(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめ。変わるための積極策は、すごく簡単です。息子さんのお母さん、つまりパートナーがいらっしゃるのであれば、彼女に自分はこれからこうありたいから、違うと持ったら注意してくれと頼みましょう。彼女が同じ教育観で、お父さんと同じようにきつくあたるようならば、そこは一緒に学びを入れてください。加えて、パートナー以上にお父さんのやり方を知っているのは、当の息子さんです。息子さんに、これまでの子育てをまずは謝りましょう。そこからが新たなスタートです。池上さんの本にも「親は安全基地になって」とあります。理不尽でただ怖いお父さんよりも、心的安全性を与えられるあなたが息子さんに必要です。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2023年12月20日サッカーが好きでスクールに通っている子。親はチームに入れたいけど、子ども自身は「コーチたちの声がうるさいから」と入団を拒否。サッカーの技術は学べるけど対外試合のないスクールのみで良いのか、と悩む保護者にアドバイスしたいが、定期的に外部との試合ができない弊害はあるのか?とご相談をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、悩めるお父さんコーチにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<公式戦が終わって卒団まで6年生にどんな指導をすればい?中学以降の準備はどれだけしておけばいいか教えて<お父さんコーチからの質問>地域のチームで年小から小3までを見ています。生計を立てる活動ではないボランティアコーチであり、普段は仕事をしているため行けると行けない日があります。チームは勝利主義で学年に関わらずトップチームとそれ以外に分けています。ボールにたくさん触れたほうが良いので、レベル感で分けることは悪いことと思いませんが、トップ中心のチーム作りになっており、他の子達がその練習相手にされていることにいつも異を唱えています。自分が行ける日は、トップチーム以外の子達をあえて受け持ちます。そんな中、ある保護者から質問を受けました。前置きが長くなりましたが、以下が相談です。子どもはサッカーが好きで少し遠いスクールに通っている。ただ、親としては近所のチームで近所の子達と力を合わせる体験をして欲しいのでこのチームに入れたいが、子どもは「このチームの練習は自由にできず、コーチ達の声がうるさいから行きたくない」と。心苦しいですが、サッカーが嫌いになるのであれば、無理にチームに来る必要はないと伝えています。ただ、スクールは試合がないので試合経験を積ませるにはチームに入るしかないが、どうしたら良いか、ということに悩んでいました。私は試合だけ来たらどうか、とチームに提案してみましたが、他のコーチからは許可がでませんでした。サッカーを嫌いになるくらいなら、好きなところでやれば良いと思っていますが、定期的な対外試合ができない弊害はありますでしょうか。チーム指導の話と違うので、連載の趣旨とずれたらすみません。最近はスクールでしかサッカーしない子も増えてきているようですが、その子たちが中学以降に部活やクラブでサッカーをするときに戸惑わないよう、何か自分が協力できること(公園で一緒にサッカーをして遊ぶ際のコツとか)は無いかと思っての相談です。※勝利主義か子ども達が楽しいほうが伸びるかは我々コーチ陣の問題なので引き続きチームで話し合って行きたいと思います。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。さまざまなお悩みが書かれていてどれに答えればよいのか迷いますが、「チームの練習は自由にできず、コーチ達の声がうるさいから行きたくない」と話す子どもの件をお話しします。■「うるさく言われたくない」自分の気持ちを口に出せる子は多くなったうるさく言われたくない。自由にやりたい。そう感じて、言葉に出して言える子どもは多くなった実感はあります。指導や講習会を日本全国さまざまな場所で行っていますが、日本の子どもたちの様子が変わってきたなと感じています。例えばコーチが何か言っても、聞かない子増えてきています。私自身、南米やスペインなど欧州の子どもたちの姿も研修などで見てきましたが、彼らはコーチの言うことを聞いていません。言うことを聞いて試合に出してもらえるとしたら、練習ではやっているふうにします。基本的に自分で考えて、創造して、自由にプレーします。日本の子どもたちにもこのようにうるさく言われたくないという子どもが出てきています。そうわがままを言うなというような捉え方はしないで欲しいものです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■試合で成長するプロセスは小学生年代では公式戦も練習試合もそれほど変わりない次に、試合経験を積ませることについてです。私の知り合いのコーチは、民間のクラブチームで4年生をみています。地域のリーグ戦は1チームで参戦しているのですが、その学年は20人以上在籍するためどうしても試合に出られない子が出てくるそうです。ただし全員登録しているため、毎試合は出られないけど試合ごとに交代しながら出場させている。公式戦で出場時間が短ければ、練習試合で経験を積ませています。これに対し、親御さんから苦情が出ました。なぜ自分の子どもは公式戦ではなく、練習試合なのでしょうか、と。親たちは公式戦と練習試合の違いが気になると言うのです。当然ながら、練習試合よりも公式戦のほうが緊張感など多少異なる部分はあります。しかしながら、試合を経験して成長する、うまくなるといったプロセスは、練習試合でも公式戦でも同じです。言葉を選ばずに言ってしまえば、こと小学生の試合ではそんなに変わりはないと思います。そのコーチも、その週の公式戦に出られなくても、次の週に行う練習試合に出られれば同等の経験を積めますと伝えています。が、親御さんの感覚は違うようです。子どもはどんな試合でも勝ちたいものです。勝ちたい気持ちは育てなければいけないと私も思います。とはいえ、見守る大人たちは、試合を経験する意味を子どもたちとは違うところでとらえてほしいのです。負けて悔しがるのも、悔しくて泣いてしまうのもいい。しかし、親も含めて落胆し暗いムードのまま帰宅する。もしくは親のほうが子ども以上に悔しがって、子どものミスを責めたりするような状況になってはいけません。■その子が通いたいと思える別のチームを探してみたらいいもうひとつ「定期的な対外試合ができない弊害はないか?」という質問です。この「定期的」の尺度がもしかしたら皆さんは頻度が多すぎないでしょうか。私が主宰しているクラブでは、月に1回ないし2回しか対外試合をしません。日本の子どもは忙しいです。月2回で十分です。土日のどちらか半日で終わらせ、どちらかは休みにしています。そのやり方でも、子どもたちのスキルはどんどん上がっています。今では多くの指導者が「楽しいほうが伸びる」とおっしゃいます。そう考えるのなら、毎週試合をやらなくてもいい。練習も週2回で十分です。ご相談文にあるこの小学3年生は、別のチームを探してみたらいいと思います。そして、その子のように、コーチの声がうるさいからいやだとの理由でクラブを去るケースはこれからも出てくるかと思います。パワーハラスメントなどを多くの人々が理解する時代になりました。どちらかといえば、指導者ら「中の人」が敏感でなければいけないのに、保護者や選手など「外の人」のほうが鋭いのが現実のようです。ご相談者様のクラブは、一度コーチで話し合いする必要があるかと思います。どんな人がクラブを立ち上げたのかわかりませんが、立ち上げた人の思いが反映されているのかなど、一度検証が必要です。時代とともに変化しなくてはいけないことと、変えてはいけないことがあるはずです。そこを整理したほうがいいでしょう。そこで話し合って変化できないなら、仕方ありません。そのチームに合うように指導するか、別のチームで指導するか、コーチも選ばなくてはなりません。■視野を広げるためにも若いうちは言われたことをその通りやってみることも大事ただ、ひとつ言えるのは、若いうちは他の目上のコーチから言われたことをその通りやってみることも大事です。所属したチームのコーチ陣がやろうとしていることに一度従ってみる。そのやり方で指導力をつけた結果、さらに深く考えれば「このやり方で正解かどうか」がわかってきます。勝つけれど、子どもたちがサッカーを続けないとか、うまいけれどチームプレーができる子が育っていないとかさまざまな事象が見えてくるはずです。■池上さん自身、子どもたちが楽しむことより園の要求を優先され「もう来なくていい」と......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)最後に、私の経験をお伝えしましょう。YMCAで指導員だったころ、保育園のスポーツ指導に通っていました。「気をつけの仕方を教えて」「ラジオ体操を美しくできるようにしてください」といった園長先生からの要望に応えました。ある意味、園長が望んだ指導をしたのです。その出来栄えに、園長は喜びました。ところが、子どもたちは窮屈そうに見えました。「教え込むようなそんな指導じゃないほうがいいですよね?こうもできますよ」と異なるやり方を提案しました。若い先生たちにみていただくと「こっちのほうがいい」「楽しそうですね!」と賛同を得ました。そこに運動会がやってきました。私はサーキットトレーニングのような鉄棒や跳び箱を子どもたちにやってもらいました。入場行進や退場行進といった園長先生が好むようなものを省き、園庭の真ん中に立つと「みんな、さあおいで!好きなものをやってごらん!」と声をかけました。子どもたちは喜びいさんで飛び出してきました。わーっと歓声をあげてやり始めました。年中さんでも逆上がりをしていました。みんなが楽しんでいて、若い先生たちは満足そうでした。ところが終了後、私は園長から呼ばれて「もう来なくていいです」と言われました。40年も前の出来事です。3歳児が入場行進で手が上がっていないと、その小さな手を叩かれる。そんな時代でした。先日も、ある自治体のスポーツ協会主催で「スポーツインテグリティ」をテーマに講演をしました。スポーツはどこから来たのか?スポーツとは何なのか。そこを大人が理解して変われなければ、子どもはスポーツで幸せになれない。私はそう思います。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年12月19日4人兄弟の3男、本気でサッカー選手を目指しておりチームでも重要な存在。しかし、チームの月謝や遠征、交通費などサッカーにかかるお金が家計を圧迫。実父に遠征費を借金したことも。夫には家計を圧迫するサッカーを辞めさせないなら将来は離婚と言われているが、どうしたらいい?というご相談。金額の多寡はあるにせよ、サッカーにかかるお金の悩みを抱えている家庭もあるのでは。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<プロへのルートのあるジュニアユースクラブを辞めたい息子、諦められない母問題<サッカーママからの相談>小学校3年息子はクラブチームでサッカーをしています。四人兄弟の三男なのですが、クラブチームにかかる月謝、遠征、交通費、ガソリン代金などが家計を圧迫しており、夫は今のチームで続けることを反対しています。夫には「辞めないなら将来は離婚」と言われます。遠征が続いたときには実家の父にもお金を借りました。夫には「家の金はサッカーに使うな」と言われ、私が出しています。それでも夫は反対しています。本人は本気でサッカー選手を目指しており、チームの中でも必要な存在で、サッカーと今のチームが好きなのですが、このような環境ではサッカーをやめさせるべきでしょうか?<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。4人兄弟と書かれているので4人の男の子を育てているのでしょうか。少子化の時代に頭が下がります。子育て支費の拡充は少しずつ進んでいますが、それでも家計は大変でしょう。私にこうやって相談してくださるのですから、とてもエネルギーのあるお母様だとお見受けしました。■サッカーが有望な3男以外にも好きな事を平等にさせているか冒頭で書いたようにお母さんはエネルギーがありそうです。それ自体はとても良いことですが、そういう方は何事にも無理をする傾向があります。かくいう私もそうだったといま子育てを振り返れば思うところがあります。もしかしたら親の自己満足ではなかったか?子どもの意志を尊重できていただろうか?と反省する材料は皆無ではありません。子どもの意志を尊重していますか?と問えば、お母さんは「息子も今のチームでやりたがっています」と答えるかもしれません。が、私がお母さんの家庭で注目しているのは、3男さん以外の3人の子どもたちです。彼ら全員に好きなことを平等にやらせてあげているでしょうか。将来、中学、高校、大学と進んでいくなかで、サポートできる家計は十分でしょうか。昨今、国では多子家庭の大学授業料の無償化等々検討されているようですが、そのあたりは鵜吞みにせず現実的に考えたほうがいいかもしれません。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス①他の兄弟にも目を配って以下、三つほどアドバイスさせてください。まずひとつめです。私としては、お母さんが3男君のサッカーにとらわれ過ぎていないか。縛られていないかが心配です。前述したように他の兄弟のことにも目を配り考えることが大事かと思います。■アドバイス②実父にお金を出してもらうことのリスクふたつめ。3男君の健やかな成長を一番に考え、お母さんが思考を転換しましょう。3男君は、お母さんが祖父にお金を借りて自分がプレーを続けていることは承知でしょうか。そのことをお父さんが反対していることをわかっているでしょうか。もしそれを知ってしまうと、とてもプレッシャーになって萎縮するか、逆に王様的というか横柄な性格にならないとも限りません。兄弟のなかで自分は特別な存在だという万能感みたいなものがわいてくるからです。いずれにしても、彼の成長において決して低くないリスクを伴います。個人的な意見になりますが、お父さんが義理の父にお金を借りてまで息子にサッカーをやらせることに反対する気持ちを、私はわからなくもありません。仮にお父さんが「おじいちゃんに払ってもらってラッキーじゃん。やれるところまでやってみれば」と賛成しているならわかります。しかし、そうではない。とすれば、自分の経済力のなさを妻の父に補ってもらっているようで傷ついているのかもしれません。息子のためにお金を借りられても、夫が誇りを失っているのだとすれば、すぐにやめたほうがいいでしょう。■夫婦が分かりあえないと家の中が殺伐とする他の兄弟も3男のサッカーで家庭が壊れたと感じることも一方、見る場所を移せば、お父さんの「離婚だ」はおかしいと感じます。お父さんの心理を推測すると「俺は借りない方が正しいと考えている。それでも借りるなら離婚だ」と言っているように映る。俺の考えに逆らうのなら離婚するから出ていけ、という論理です。とても横暴です。本来なら、3男君にサッカーを続けさせたいあなたの気持ちに耳を傾けながら、経済的なことや4兄弟のバランスを一緒に考えようといった話をお母さんにすべきです。ただ、ご相談文を読む限り、そこは期待できないようです。であれば、お母さんが考えを変えたほうがいい。このまま借金を続けながらサッカーを続けさせても、お父さんとお母さんが心から分かり合うことなく暮らし続ければケンカも絶えなくなります。家の中は殺伐とし、しかも常にお金の心配がつきまといます。ほかの兄弟が3男のサッカーが家族を壊したと感じるなど最悪のパターンになる前に、お母さんのほうが現実と向き合うのが得策でしょう。■アドバイス③子どもからサッカーを取り上げる必要はないが、今後は「やれる範囲」でのサポートを(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめ。さまざま考えると、3男君のためには「やれる範囲でサポートする」のがベストかと思います。相談文の最後に「このような環境ではサッカーをやめさせるべきでしょうか?」とありますが、息子さんから大好きなサッカーを取り上げる必要はありません。サッカーをするのはどのクラブでも続けられます。まずは彼に家庭の事情を話し、理解してもらうことから始めてください。その際は夫にも一緒にいてもらうこと。そのためにはまず夫婦で真剣に話し合ってください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『高学歴親という病』(講談社α新書)。
2023年12月13日サカイク初のゴールキーパー向けキャンプとして、リピーター続出なのが、澤村公康コーチによるゴールキーパーキャンプです。日本代表のシュミット・ダニエル選手の恩師として知られ、サンフレッチェ広島時代には、日本代表の大迫敬介選手を開花させたことでも有名な、澤村コーチによるゴールキーパーキャンプは、2023年12月に開催予定です。サカイクでは、澤村コーチによる「良いGKになるためのポイント」を紹介中。※全4テーマ①失点しないコーチング(味方への指示)②失点しないためのポジショニング③プレーの反応速度を上げる(ステップワーク、プレー予測など)④状況判断能力を上げる※今回はこちらラストとなる今回は④の「状況判断能力を上げる」についての解説です。判断力を上げるために、どのようなことを心がければいいのでしょうか?ゴールキーパーとしてレベルアップしたい小学生に知ってもらいたい内容です。ぜひ保護者の方は記事の内容をお子さんにもかみ砕いて紹介してください。(取材・文鈴木智之)GKキャンプで選手たちと談笑する澤村コーチシュミット・ダニエル選手、大迫敬介選手を育てたGKコーチによるGKキャンプを開催関連記事:GKの反応速度を上げるために大事なのは「人間観察」!?プレーの反応速度を上げるために必要な要素とは■ゴール前での1対1、シュートをキャッチかセーブか、失点しないための状況判断を身につける今回のテーマは「状況判断能力を上げる」です。ゴール前で相手選手と1対1になった時に、どう対応すればいいのか。飛んできたボールに対して、キャッチをするのかパンチングをするのかなど、プレー中に判断をくだす場面はたくさんあります。相手選手と1対1になると、経験の浅いゴールキーパーほど「やばい」「失点のピンチだ」と思ってしまうのではないでしょうか。とくに、ゴールキーパーを始めたばかりのジュニア選手であれば、なおさらです。しかし澤村コーチは「相手選手とゴール前で1対1になることは、ゴールキーパーからするとチャンスです」と笑顔を見せます。「そこで止めると目立つことができますし、相手のチャンスを防いだ後は、こちらのチームに流れが来ることが多いです。1対1はピンチに見えますが、ゴールキーパーのプレーで試合の流れを変えるチャンスなのです」■GKはフィールドの選手より1.5ぐらいアドバンテージがある、と語る理由さらに澤村コーチは「フィールドプレーヤーが1だとすると、ゴールキーパーは1.5ぐらいのアドバンテージがある」と言います。「フィールドプレーヤーは足しか使えませんが、ゴールキーパーは手と足を使うことができます。その時点で、どちらが有利かはおわかりですね。1対1ではなく、1対1.5とイメージしてもらうと、気分的にも楽になるのではないでしょうか」相手にシュートを打たせないように、じっくり守っていると、味方選手がゴール前に戻ってくることもあります。そうなった場合、相手1対こちら2.5とカウントすることができます。それを頭に入れておくと、1対1になったからといって「ピンチだ!」「やばい!」とむやみにボールにアタックに行くのではなく、相手にシュートを打たせないように、簡単には飛び込まない対応をしながら、味方が戻ってくる時間を作るといった選択肢も生まれることでしょう。「ゴールキーパーの役割は『シュートを止めること』だと思いがちですが、大事なのはゴールを守ることです。それならば、時間をかけて味方が戻ってくるのを待ち、連携してゴールを守る、もしくはボールを奪いに行けばいいわけです。その考えはゴールキーパーである前に、ひとりのフットボーラーとして知っておいてほしいです」■GKが主導権を握るために大事なこと前回の記事で「ゴールキーパーのプレーサイクル」を紹介しましたが、相手を観ることは、良い判断をするための第一歩です。澤村コーチは言います。「僕は、プレーの主導権はゴールキーパーが持つべきだと思っています。シュートを打たれるのではなく、打たせる。その気持ちが大切で、主導権を握るためには、相手選手の特徴を把握することもポイントになります」たとえば、相手FWは足が速いのか、遅いのか。小柄なのか、大柄なのか。テクニシャンなのか、そうでないのかによって、得意とするプレーは変わってきます。「相手FWが足が遅いタイプであれば、1対1の場面でゴールキーパーは飛び出さず、じっくり相手を引き込むことで、味方選手の戻る時間を作るという選択肢もあります。それは相手にドリブルをされているのではなく、ドリブルをさせている、つまりこちらが主導権を握っていることになります」試合終盤で相手が疲れているのであれば、相手にドリブルをさせて、疲労によってコントロールが乱れたり、スピードが出ないことを想定して対応するのもいいでしょう。「ゴールキーパーは、試合開始直後に相手の特徴をスカウティングすることが大事ですが、それも判断の精度を高めるためです。これはピッチ内だけでなく、日々の人間観察でも養うことのできる能力だと思います」■良いGKは自分の考えを言葉で伝えることができる澤村コーチは「ゴール前で堂々としているゴールキーパーは、見えているものが多い」と言葉に力を込めます。「なんで、いまそういうプレーを選択したの? と質問をすると、『なぜならば~』と答えを持っています。相手がここにいて、味方がここにいて、時間帯はどれぐらいでと、あらゆる要素を元に判断し、決断する力は、良いゴールキーパーになるために必要不可欠なものです」澤村コーチのゴールキーパーキャンプでは、ピッチ内外でのディスカッションを通じて「考えたことを、言葉にして伝える」ことにも力を入れています。「良いゴールキーパーになるためにはリーダーシップが必要で、それはピッチ内だけでなく、日常生活でも意識できることです。そして前向きな、ポジティブな気持ちを持って、ゴールキーパーというポジションを楽しんでほしいですね」■GKとしてのスキルが上がるキャンプを開催澤村コーチのゴールキーパーキャンプは、今月下旬に開催予定。この記事を読んで、少しでもピンと来たお子さん、保護者の方はぜひ参加してみてください。ゴールキーパーとしてだけでなく、人として成長するためのきっかけを得られるキャンプとして、大好評のゴールキーパーキャンプ。キーパー歴を問わず、サッカーが大好きで、もっとうまくなりたいという気持ちにあふれる選手たちの参加をお待ちしています。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>
2023年12月12日今大会注目、オールラウンドのストライカーだ。高校年代最高峰のリーグ戦・プレミアリーグWESTでは精巧なポストプレーや献身的な守備を見せつつ、ゴールを量産。その後、負傷で戦列を離れたものの、信じた仲間たちが選手権出場を勝ち取り、そして間に合った。静岡学園のエース、川崎F内定FW神田奏真の軌跡と胸中に迫った。(提供/エル・ゴラッソ特別編集 高校サッカー名鑑聞き手:安藤 隆人)11月末に復帰を果たした神田奏真選手写真:安藤 隆人サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「ありがとう」しかない。覚悟は決まった――まずは2年ぶりの選手権出場と川崎F内定おめでとうございます。「ありがとうございます。どちらも周りの人たちのおかげだと思っています」――静岡県予選は負傷離脱中で1試合も出場することができませんでした。どのような心境で見ていましたか?「とにかく仲間を信じる気持ちでした。(欠場せざるを得ない)悔しさが一番でしたが、最後の選手権はどうしても出たかったので、チームメートが勝利を重ねて出場権をつかみ取ってくれることを信じ、もう祈るような気持ちで見ていました」――仲間たちがやってくれましたね「選手権出場が決まったときはもう、『ありがとう』の言葉しか出てきませんでした。同時に、ピッチの上で(最後の)高校サッカーに本気で向き合っていく覚悟も決まりました」サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■万能型FWへの挑戦――神田選手はしなやかなポストプレーと足元でボールを収めてからのターン、シュートのうまさが魅力だと思います。理想とするストライカー像はあるのでしょうか?「僕は"なんでもできるFW"、"毎試合1点は必ず取るFW"になりたいと思っています。そのために、常にボールを受けることと、ゴールを狙えるポジションを取ることを意識しています。自分では"前線でのボールキープが得意で、周りを生かしつつ、周りからも生かされるストライカー"だと思っていますが、同時にやっぱり、常に自分がチームで一番点を取りたいと思っています。ボールを持ったら積極的に勝負を仕掛けたり、チームが苦しいときに僕一人でも点が取れたりする選手になりたいです」――ハイボールもグラウンダーのボールも前線であれだけ収めてくれると周りも助かると思います「クリアボールやGKからのボールも含め、僕が前線で収められれば、周りも前向きにプレーできますし、僕自身もマイボールにしてから仕掛けられるので、意識はしています。でも、もっとボールを積極的に受けて、常にゴールを狙えるポジションを取りたい。そのために、もっと体の使い方、相手の力を活用する意識を研ぎ澄ませたいという考えです。自分よりも大きな選手を背負えるようになりたいですし、動き出しで外せる選手にもなりたいので、自分にとって必要なプレーはどんどん身につけてきたいと思っています」――卒業後は川崎Fに加入することが決まっています。オファーをもらったときの心境はいかがでしたか?「素直にうれしかったですし、フロンターレさんからいただけるとは思っていなかったので驚きました。決めるにあたってはプレッシャーもありましたが、『ここでやりたい』と強く思えたので、覚悟は固まりました。ただもちろん、決まったからよかったではなく、これから先、あのハイレベルなメンバーの中でも飛び抜けた存在にならないといけないです」――プロ入り前最後の大舞台が選手権ですね。11月26日のプレミアリーグWEST第21節・磐田戦では、8月以来となる実戦復帰を果たしました「予定より1カ月くらい早かったですね。もともと"選手権に間に合えばいい"という話だったので。ケガしていた間は『若い人は治りが早い』と言われていたので、お医者さんの言葉を信じて、復帰したときに少しでもいいプレーができるように、筋トレをやりました。体重は増えていませんが、上半身の筋肉量は増えましたよ。(プレー初日は)まだ怖さもあったのですが、この素晴らしい仲間とサッカーができるのも残りわずかなので、まずは復帰できてうれしかったです。あとは何より、僕は"優勝を目指せる状況"にしてもらった立場です。競争を勝ち抜き、仲間が作ってくれたチャンスをモノにすることが僕の、FWとしての役割なので、1 本も無駄にしないようにしたいです」サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とはピッチを離れている間にとった行動、しなやかなターンとポストプレーに隠された秘密、「仲間に連れてきてもらった」選手権に挑むエースの覚悟......続きは『高校サッカー名鑑』で神田 奏真(かんだ・そうま)2005年12月29日生まれ、17歳。大阪府出身。178㎝/73kg。大阪東淀川FC→静岡学園高。川崎F加入内定。U-18日本代表
2023年12月09日サカイク初のゴールキーパー向けキャンプとして、リピーター続出なのが、澤村公康コーチによるゴールキーパーキャンプです。ゴールキーパーコーチとして、およそ30年に渡って活動する澤村コーチは、子どもからトップレベルのプロ選手まで、たくさんの選手を見てきました。教え子にはシュミット・ダニエル選手や大迫敬介選手など、日本を代表するゴールキーパーがいます。また「ゴーリースキーム」という活動を通じて、小学生から中学生、高校生、大学生と、あらゆるカテゴリーのゴールキーパーを指導しています。そんな澤村コーチがサカイクの読者に向けて、オンラインのお悩み相談会を行いました。参加してくれたのは、ゴールキーパーをする小学生のお子さんと保護者の方々。たくさんの質問が飛び出したお悩み相談会から、質疑応答をピックアップして紹介します。澤村コーチがメインコーチを務める「サカイク・ゴールキーパーキャンプ」に興味のある方、ゴールキーパーとしてレベルアップしたい、ゴールキーパーをする子どもの成長をサポートしたいと思う保護者の方々は、ぜひ参考にしてみてください!(文・構成鈴木智之)■24時間の過ごし方が大事Q:息子がゴールキーパーをしているのですが、フィールドプレーヤーとの相性によって、プレーにムラがあります。均一なプレーが続けられるようなマインドの持ち方やコーチングなど、普段から意識することがあれば、アドバイスをお願いします。A:ご質問いただいたお子さんの場合、考え方にムラがあるのか、心の持ち方にムラがあるのか。それによって変わってくるので、一概にお答えするのは難しいのですが、僕が選手に言っているのは「1日24時間の過ごし方や考え方がプレーに出る」ということです。良いプレーができたら調子に乗る、悪いプレーをすると落ち込んでしまう。そのようなマインドを持っていると、一緒にプレーするチームメイトもやりづらくなってしまいますよね。ゴールキーパーは攻守の要であり、リーダーでなければいけません。そのために、ピッチの中での立ち居振る舞いや味方とのコミュニケーションをどうすればいいのか。それを普段から考えながら、1日24時間の活動の中から、メンタルを安定させるような考え方をするように、トライしてもらえたらなと思います。ゴールキーパーにとっては、失点から学ぶことも大切です。ゴールキーパーの世界には「失点から学ぶ勇気」という言葉がありますが、僕はそれを大切にしています。ミスや失点など、次に同じような過ちを繰り返さないために、どうすればいいんだろうと考えることが楽しかったり、コーチにアドバイスを求めることが楽しかったり、連携ミスをしてしまった仲間と腹を割ってコミュニケーションとって、今度は成功させようねという仲間意識を持つことも、サッカーやゴールキーパーから学ぶ、大事なテーマだと思います。うまくいかなかったから駄目ではなく「うまくいくために、次に成功させるためにはどうしたらいいんだろう?」という考えを、選手自身も持っていただきたいと思いますし、保護者の皆様も、失敗の後、次に向かっていけるような、前向きなコミュニケーションをとってもらえたらと思います。■ゴール前で目印を意識しようQ:背が低くて、頭上を越されて失点してしまうことがあります。頭上を抜かれないためのポジショニングのコツを教えてください。A:ジュニア年代のゴールは高さが2メートル、横幅が5メートルです。そのサイズの中で、ゴールキーパーの選手たちは体を張って、チームのためにゴールを守っています。高さが2メートルなので、身長が低い選手の場合、ジャンプをしてもクロスバーに手が触れるか、触れられないかぐらいの感じだと思いますが、頭上を越されないために、ゴールにへばりついてしまうと、相手選手から見たときに、シュートを打ちやすくなってしまいます。 ゴールキーパーがゴールライン付近に立つと、横幅の5メートルがかなり広く見えるので、相手はシュートが打ちやすいのです。とはいえ、前に出過ぎると、横幅は狭められますが、相手からすると高さ(奥行き)が見やすくなってしまうので、ロングシュートを打たれる可能性が高まります。では、どうすればいいのでしょうか?まずは自分の身長や手の長さに合った、最適な立ち位置を知ることです。練習や試合で様々な経験をして「このタイミングでこのポジションをとっていると、ループシュートを打たれやすい」「このタイミングで下がっていると、左右に速いボールのシュートが来てしまう」など、シュート1本、1本から学んでもらえたらなと思います。ポジショニングのコツとしては、PKマークやゴールエリアの角、ペナルティエリアの角などを目印にしておくと、自分がどのあたりに立っているかがすぐにわかります。自分から見て、右側にシューターがいるのであれば、ニアポストを見て、ゴールの位置を確認することも大切です。ジュニア年代の場合、ボールばかり見ながらプレーした結果、ゴールの中心から大きく外れた位置に立っていることもあるので、自分で自分の位置を確認できるように、普段の練習から目印を意識していただけたらと思います。■まずはしっかり立つところからQ:ジャンプ力をつけたいのですが、どのようなトレーニングをすればいいでしょうか?A:小学生年代であれば、ジャンプトレーニングをするのは悪いことではないですが、他に目を向けるべきものがあると感じています。まずは「しっかり立つこと」です。猫背になっていたり、足のどちらかに体重がかかっていたりと、乱れた姿勢で立ってはいませんか?かかとを地面につけたまま、屈伸はできますか?股関節の柔軟性は保たれていますか?太ももの前と裏側、ふくらはぎに柔軟性はありますか?正しく立つことができて、正しく屈伸ができれば、日々のボールに飛びつくトレーニングのなかで、ジャンプ力はつきますし、フィジカルも高まっていくと、僕は思います。小学生年代は筋肉が発達する前段階なので、重いものを持ってジャンプするといった、プラスアルファのトレーニングは必要ないと思います。それよりも、体の動かし方や土台の部分に目を向けてみてはいかがでしょうか。私の大学時代、周りにはバスケットボールやバレーボールの選手がたくさんいました。みんな185cm以上あるような環境でしたが、彼らに共通していたのは、体が大きいにも関わらず、スムーズに、きれいに動くことができていたことです。ゴールキーパーも同じで、日常生活から背筋をしっかり伸ばして、みぞおちを斜め上に引き上げるようなイメージで、頭の上から糸で引っ張られるような立ち方、歩き方を意識してもらえると、良い姿勢になり、トレーニング効果も高まっていくのではないでしょうか。なにより、ゴールキーパーのトレーニングを楽しんでもらえたら、自然とジャンプ力も高まっていくと思います。■サカイク・ゴールキーパーキャンプ、参加者募集中!今回の記事で紹介したのは、お悩み相談会のほんの一部に過ぎません。ですが、澤村コーチが担当する「サカイク・ゴールキーパーキャンプ」に参加すると、お悩みや疑問、上達のアドバイスなどを、直接聞くことができます。それも、リピーターが続出し、参加満足度が非常に高い、澤村コーチのキャンプの特徴のひとつです。「ゴールキーパーとして、もっとレベルアップしたい!」「トップレベルのゴールキーパー指導を受けたい!」「子どものために、ゴールキーパーの知識をもっと知りたい!」など、たくさんのご要望にお応えする、サカイクゴールキーパーキャンプ。一度、澤村コーチの指導を受けに来てはいかがでしょうか?技術、戦術面に加えて、心の成長が期待できること、間違いありません!<PR>サカイクGKスペシャルキャンプ2023冬冬休みは大阪での開催!開催日:2023年12月27日(水)~12月29日(金)集合時間:12月27日(水)12:30解散時間:12月29日(金)12:30予定開催会場:J-GREEN堺(宿泊:DREAM CAMP)定員:20名対象:小学校4年生〜中学生3年生
2023年12月07日サカイク初のゴールキーパー向けキャンプとして、リピーター続出なのが、澤村公康コーチによるゴールキーパーキャンプです。日本代表のシュミット・ダニエル選手の恩師として知られ、サンフレッチェ広島時代には、日本代表の大迫敬介選手を開花させたことでも有名な、澤村コーチによるゴールキーパーキャンプは、2023年12月に開催予定です。サカイクでは、澤村コーチによる「良いGKになるためのポイント」を紹介中。※全4テーマ①失点しないコーチング(味方への指示)②失点しないためのポジショニング③プレーの反応速度を上げる(ステップワーク、プレー予測など)※今回はこちら④状況判断能力を上げる今回は③の「プレーの反応速度を上げる」についての解説です。ゴールキーパーとしてレベルアップしたい小学生に知ってもらいたい内容です。ぜひ保護者の方は記事の内容をお子さんにもかみ砕いて紹介してください。(取材・文鈴木智之)GKキャンプで選手たちに指導する澤村コーチシュミット・ダニエル選手、大迫敬介選手を育てたGKコーチによるGKキャンプを開催関連記事:GKのポジショニングで失点は防げる!「相手にシュートを打たせないGKのポジショニング」とは■小学生からの要望にも多いGKにとっての「反応速度を上げる」、GKの反応速度とは要するに何か?第3回目のテーマは「プレーの反応速度を上げる」です。サカイクでゴールキーパーをする子どもたちにアンケートをとったところ、「反応がもっと速くなりたい」「速く動けるようになりたい」という声が寄せられました。ゴールキーパーにとって「反応速度」とは、どのようなものでしょうか?澤村コーチは「反射神経ですね」と答えます。「周りの動きに対して、自分がどう動くのか。反射なので、考えて動くのではなく、考える前に動く能力だと思います」■日常の過ごし方でGKとしての反応速度も上がる理由大切なのは日頃の訓練であり、日常の過ごし方です。澤村コーチは言います。「サッカーは陸上競技と違って、ヨーイドンのスタートではありません。なので、いかに良いプレーをするために、予測することができるか。それが大切なポイントになります」澤村コーチは「ゴールキーパーのプレーサイクル」を用い、次のように説明します。「反応速度を上げるためには、まずは周囲を観察すること。観ることから始まり、状況を把握することで、予測が生まれます。予測があることで判断しやすくなり、決断→プレーの実行。そしてまた観るに戻るという、ゴールキーパーのプレーサイクルがあります。それをサッカー以外の時間でもやれるようになると、予測力がつき、物事に対しての反応速度も上がっていくと思います」常に周囲を観て、この人は何を考えているのか、何をしようとしているのかについて、思いを巡らせること。これはサッカーから離れていてもできることです。「それはゴールキーパーにとって、すごく大事なことです。相手選手が何をしようとしているのかがわかれば、そうさせないようにすればいい。反対に、仲間はこのプレーをやりたがっているから、あそにボールを出してあげようといったように、攻撃面でも同じように考えることができます」■反応速度を高めるには、人間の基本「正しく立てる」「正しく歩ける」が大事澤村コーチはフィジカル的な側面からも「サッカー以外の時間の過ごし方が大事」と声を大にして言います。「反応速度を高めたいのであれば、まず正しく立てるかどうか。そして正しく歩けるか、正しく座れるか。姿勢と体の動かし方に尽きると思います。子どもたちを観ていても、姿勢が悪い子が多いです」澤村コーチはそれを「カッコ悪いゴールキーパーが多い」と表現します。「グラウンドに来るとき、ユニフォームを着たとき、ゴールマウスに立っているとき。カッコ悪いゴールキーパーが多いです。その子たちをサッカーのトレーニングで成長させるのは当然ですが、ご家庭や学校でも、背筋を伸ばす、正しく座るといったことに、目を向けてほしいと思います」■足指が使えないと踏ん張りが効かず反応が遅くなる立ち方、歩き方、姿勢はサッカーをする上で重要なポイントであり、根底にあるのが「足の指」です。「子どもたちの足の指を見ると、指が動かない、使えない。だから踏ん張りが効かず、反応も遅くなる。みんな良いスパイクを履いて、良いソックスを履いていますが、指が使えない子は多いです」■反応速度を上げるには受け身じゃダメ、気持ちの持ち方で相手に重圧を与えることもできるゴールキーパーの反応速度と一言で言っても、マインドから日々の姿勢、立ち方や足の指の使い方まで、様々なポイントがあります。それらに目を向けて、ゴール前では堂々とした気持ち、立ち姿でいたいもの。それが相手選手へプレッシャーをかけることにもつながります。「反応速度を上げるには、受け身ではなく、前向き、積極的な思考も重要です。シュートを打たれるのではなく、シュートを打たれたとしても、最後の砦である自分(GK)がいるのだから大丈夫。『シュートを打たれたらどうしよう』という気持ちでいると、表情や態度に出てしまいます。そうならないために練習や日常生活から、積極的で前向きな思考を持って、何事にも取り組むようにしてもらえたらと思います」■良いGKになるためのマインドも伝えるキャンプ澤村コーチが指導をするサカイクのゴールキーパーキャンプでは、技術や戦術に加えて、良いゴールキーパになるためのマインドの部分も重視しています。それが「2泊3日の短期間で、うちの子が変わった」と保護者が驚くような成果につながっています。まだ澤村コーチの指導を体験したことのない若きゴールキーパーは、サカイクのキャンプに参加してみてください。いままでにない視点から指導を受けることができ、お子さんだけでなく、保護者にとっても有意義な時間になること間違いなしです。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>
2023年12月01日プロへのルートもあるクラブなのに、ジュニアユースをやめたいと言われた。小学生時代はバリバリ活躍してたのに中学以降出場時間も減り、頑張っても評価されないのが理由と言う。親としては今つらくても数年後素晴らしい未来があるのではと期待するし、プロへのルートがあるので居続けた方が良いと思うけど、どうしたらいい?と悩むお母さんからのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、今できる4つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<古い価値観の夫にけなされる息子を助けたい問題<サッカーママからの相談>息子は中学生なので、サカイクの本来の対象からは外れていると思いますが迷ったので相談を送らせていただきました。先日、中学1年生の息子に今所属しているクラブをやめたいと言われました。今のクラブには小学4年生から所属し、今年ジュニアユースに上がりました。保育園から小学3年生までは地元のスポ少に所属していましたが、このクラブに行った理由は、息子に「プロサッカー選手になるにはどうすればいいの」と聞かれた事がきっかけです。やめたい理由を聞くと、「いくらやっても監督、コーチに評価されない」とのことでした。ちなみに小学年代はバリバリ活躍していました。私も普段の練習を毎日見てるわけではないのですが、週末の試合を観に行くと出場時間が他の子たちに比べて極端に短いようでした。ただ、カテゴリが上がってまだ半年程ですのでやめるには、もったいないような気がしています。オフの日も走ったり自主トレをしている息子を見ると一年、二年後には状況はかわり素晴らしい未来があるのではないかと思ってしまいますし、プロへの道もあるクラブなので、夢を叶えるためにはここにいた方が良いのかなとも思います。一方で息子の今の苦しい、悔しい気持ちは痛いほどわかります。このまま辞めさせるべきでしょうか?何かアドバイスありましたらよろしくお願いいたします。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。対象と外れているなんて、まったくそんなことはありません。小学生のサッカーママやパパたちは、お母さんの悩みを共有することで、中学生になったらどんなことがあるのかがわかります。勇気を出してメールしてくださり、ありがとうございます。さて、息子さんは所属するクラブを辞めたいと言う。でも、お母さんはプロにルートがある(と言われている)このクラブにいるほうが夢を叶えられると考えている。母と子の気持ちはすれ違うばかりのようです。私の息子も都内で強豪と言われるジュニアユースクラブに所属していましたが、10年ちょっと前のことであり、現在のクラブ事情に詳しいわけではありません。息子さんの置かれた現状も、メール文だけの理解です。したがって、あくまでもひとつの参考として受け止めてください。■アドバイス①無理に引き留めると親子関係の悪化、自己肯定感の低下を招く恐れがあるお伝えしたいことは四つあります。ひとつめ。息子さんがどこでサッカーをするかは、お母さんが決めることではありません。あくまでも、息子さんが自分で考えて決めることです。彼のほうから「どう思う?」と尋ねられれば、意見を述べてもいいでしょう。しかし、メールの文面からすると、お母さんは息子さんの進路をご自分が決めなくてはいけないと感じているのではありませんか?それで、とても慎重になってしまい、私の意見を聞きたかった。そんなところではないでしょうか。子ども自身に決めてもらったほうがいい理由は、お母さんが無理に引き留めてこのクラブでサッカーをさせたところで、最後まで試合に出られず、練習も楽しくなく、暗黒の3年間を過ごしたとしたら、うまくいかなかったことを恐らくお母さんのせいにするでしょう。例えば「僕はほかのクラブでやりたかった。サッカーを楽しみたかった。試合に出られないのに上手くなるわけないだろう」と言われるかもしれません。うまくいかないことを親のせいにしてしまうのです。加えてサッカーでも高校や大学の進路でも、お母さんは自分の意思を尊重してくれない、何を言っても聞く耳を持ってくれない人だと意見を言うことを諦めてしまうかもしれません。さらに言えば、意思を尊重されないことは、彼の自己肯定感を一気にダウンさせます。一番近くにいて自分を一番知っている人から信用されない、信頼されない。心配されてばかりで自己決定させてもらえない「ダメな僕」という受け止めになるのです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス②中高生は自己肯定感を重ねて自己を完成させる時期、自分で判断させるのが大事子ども時代、特に中高生の思春期は、自己肯定感をきちんと重ねて自己を完成させる時期です。何があっても自分は大丈夫。自分で考えて、自分で判断する。失敗したらやり直せばいい。トライすることが何より重要です。そのためには、親は「成果よりもプロセスを見る」ことが大切です。したがって、子どもの「今サッカーが楽しいか、楽しくないか」という感情を大切に扱ってあげてください。これが2つめです。息子さんは試合に出られないことが辛い。楽しくないのです。お母さんはもったいないと思われているようですが、現実的に試合に出られそうなのか、そうではないかは、息子さん自身が一番身にしみてわかっていることでしょう。お母さんから「もったいないじゃない」と言われて(言っているかどうかはわかりませんが)、息子さんは「サッカーしてるのはお母さんじゃないだろ?」と憤りを抱いているかもしれません。■アドバイス③プロ選手たちの親が、子どもが小中学生の頃に思っていた事3つめ。お母さんは、息子さんは何のためにサッカーをしているとお考えですか?そこをあらためて考えてみましょう。サッカーのみならず、スポーツはプロになるためだけにやるわけではありません。ご存知かと思いますが、プロになるのは非常に狭き門です。一説によると、大学まで続けたとしても、卒業後にプロになれる確率はわずか1%。高校生の時点ではさらに激しい競争率になります。プロになった選手の親御さんに話を聞くと、多くが子どもが小中学生の時点では「プロになって欲しい」と強く思っていたわけではありません。ただただ目の前の子どもが自分から楽しくサッカーをしていた。一所懸命に取り組んでいる、頑張っている。だから応援し支え続けてきたと皆さんおっしゃいます。そばで「プロになるぞ!」と言う子を笑顔で見守っている。親の目標ありきではないのです。■アドバイス④子どもを思うなら今大事にしてほしい事(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そして4つめ。ジュニアユースクラブのありように詳しいわけではありませんが、わずか13歳や15歳でプロになるルートがあるとは思えません。スーパーな子であれば、どこにいても必ず選抜チームなどにかかるので、関係者の耳に入るはずです。誰かのコネクションやコーチ同士の関係云々でプロになれるほど甘い世界ではないと私は思います。私に相談メールを書いてくださるくらいなので、お母さんのお子さんへの愛情はとても深いと思います。であれば、自由にしてあげましょう。尊重してあげましょう。愛すればこそ、手を放してあげてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『高学歴親という病』(講談社α新書)。
2023年11月29日今冬も箱根と大阪で開催される、サカイクサッカーキャンプは現在申し込み受付中です。参加を迷っている方の参考になるべく、2022年冬と今夏のキャンプに参加した石川メグル君とお母さんにインタビュー。参加の動機やどんな成長実感があったかなどをお話いただきました。キャンプを通して長所をぐっと伸ばしたメグル君のエピソードをご覧ください。(取材・文:小林博子)サカイクキャンプでトレーニングに励むメグルくん<<関連記事:親が遠出してでも「どうしても行かせたかった」キャンプの「体験しないとわからない」魅力とは愛知県に住む小学6年生のメグル君は、地域で活動するクラブチームに所属し、ポジションはセンターバックです。サカイクサッカーキャンプへの参加はこの夏で2回目でした。初参加は2022年冬の大阪会場と、ちょうど1年前。当時のことをまずは振り返ってもらいました。■親が参加を促した理由は「サッカー以外も学べる合宿だから」メグル君がサカイクサッカーキャンプを知ったのは、かねてからサカイクの理念に共感してくれていたお母さんの勧めだったそう。ライフスキル講習など、サッカー以外の学びも多そうなところが魅力だったと話します。そしてもう1つ参加を促した理由は、新型コロナウイルスの影響でチームの合宿を経験しないまま最高学年を迎えることになりそう......という事情もありました。「息子のサッカー生活は、2年生からコロナ禍に突入。学年が上がっても宿泊のある遠征や合宿はなかったので、できれば小学生のうちに1回は経験させてあげたいと思っていたんです。キャンプはチームの合宿と違って周りは知らない子ばかりという心配はありましたが、大好きなサッカーを通して知り合う子たちとならきっと大丈夫なはず。3日間親元を離れて生活することで、今まで存分には体験できなかった社会との関わりに触れ、人生経験をたくさんしてきて欲しいと思いました」(メグル君のお母さん)なお、合宿中の感染対策をきめ細やかにしていることも決め手の1つであったよう。「まだ感染が不安視されていた昨年の冬でも安心して送り出せました」と話してくれました。■他のポジションを経験したことによって「言われる側」の気持ちがわかったメグル君が参加を決意した理由は主に2つありました。まず1つは、ポジション柄試合中にチームに声がけをする場面が多いメグル君が自身の課題を解決するため。「チームでは声を出している方だったけれど、どういう言葉で伝えたらいいのかわからなかった。それを学びたかった」と言います。そんな明確な目標を1つ定めて臨んだ、2022年冬の初めてのサカイクサッカーキャンプ。メグル君は、練習やライフスキル講習を経て、前向きな声がけの必要性を身を持って実感する瞬間があったそうです。「ライフスキルを学んで、前向きな言葉を選んだり、伝え方に気をつけることの大切さを知りました。あと、キャンプ中の試合ではセンターバック以外のポジションをいろいろしたので、声をかけられたり指示されるポジションの大変さや気持ちも経験できました。そんなことを言われても......と思われるような一方的な言葉はよくないってわかりました」ちなみに、もう1つの参加の理由は「チームメイト以外の子どもたちとサッカーができて楽しそう」でした。多くの子どもたちが口にする純粋な動機です。まずは大好きなサッカーを楽しみたい、合宿に行ってみたいという気持ちも大切にしてあげたいところですね。■チームではコーチからも頼られる存在に成長メグル君がキャンプで身につけた声がけの変化は、すぐにチームでも効果を発揮。試合を見てすぐに、お母さんはその変化に気づいたそうです。「声がけの内容や言い方が明らかにポジティブなものになりました。それまでは強い口調で言って、雰囲気がかえって悪くなってしまったり、口喧嘩になってしまう場面もあって観ている私がハラハラすることもあったのですが、一切なくなったんです」と合宿後の試合を振り返ります。今では、失点後にコーチや監督から「メグ!いい声をかけて盛り上げて!」とメグル君の声がけを頼りにされるまでになったそう!キャンプ担当の柏瀬コーチはこう話します。「キャンプでは子どもたちの長所を伸ばすことも意識しています。メグル君は初対面の仲間や低学年の小さな子どもたちに積極的に話しかけたり、2回目のキャンプでは経験者として頼られたりと、リーダー性にもともと優れたお子さんでした。キャンプでの学びや経験をきっかけに長所をさらに伸ばすことができたのはコーチとしても嬉しい限りです。そんな長所は、サッカーだけでなく様々な場面で彼の強みになるに違いありません」■感謝の心がしっかり芽生えたライフスキルの学びの効果はどうだったのでしょうか。メグル君に5つのうちどれが心に残ったかを聞いたところ、「感謝の心」と即答。<5つのライフスキル>考える力リーダーシップ感謝の心チャレンジコミュニケーション「今まで僕がサッカーをするために母ちゃんがやってくれていたことは普通だと思ってたけれど、そうじゃなかった」と知ることができ、道具が揃っているのも当たり前のことじゃなく、家族やコーチに感謝しなくちゃダメだと思ったと言います。ご自宅でメグル君がご両親に感謝の言葉をかけることはあまりないそうですが、感謝してくれるようになったことは、接する時の態度から感じられるようになったとお母さん。親からではなく、第3者から伝えられることで、難しい年頃にさしかかっている子どもでも素直に受け入れられたのではと分析しています。時代の変化やコロナ禍もあり、今は「他者を感じること」が昔より難しくなっていると柏瀬コーチは考えています。サッカーを通じて、チームメイトや家族、指導者など関わってくれる"他者"への気づきや優しさを育むことができるのも、サッカーの醍醐味ではないでしょうか。■2回目の参加は本人も家族も熱望!サカイクキャンプで仲間と喜び合うメグルくん初参加を経て大きく成長したメグル君が2回目に参加したのは今年の夏。リピートの理由は、本人が「また行きたい」と強く希望したことが第一ですが、小学2年生の弟のノゾム君を兄と共に参加させてあげたいという家族の思いもあったそうです。幼いことと、性格的に親と離れて3日間過ごすのはまだ心配なノゾム君でしたが、頼れるお兄ちゃんのメグルとだったら安心して行かせられると考えました。そうでなくても、2回目には2回目の参加メリットがたくさん。メグル君は「2回目は、1回目に注意されたことに気をつけながら生活したり、学んだことを復習できた」と話してくれました。経験者として、よりリーダーシップを発揮できるシーンも多数あったことも、彼の自信につながったはずです。■参加を迷う子へのアドバイス「絶対楽しいから参加して!ごはんも美味しい」最後に、参加検討中の親子に二人からメッセージをいただきました。「迷うなら参加した方がいい!ダメなら2回目は行かなきゃいいだけ。でもきっと2回目も行きたくなるはずだけど。仲間が全国にたくさんできるし、一緒に食べるごはんはとっても美味しいよ。サッカーだけじゃなくて、生活面での振り返りの時間もたくさんあって、パワーアップして帰れるよ」(メグル君)「ぜひどうぞとお勧めしたいです。家庭や所属チームではできない経験や学びがたくさんあり、成長期にまたとない経験をさせてあげられます。メグルは6年生なので次回と次々回がラストチャンス。どちらかには3回目としてまた参加させてあげたいと思うほどです」(お母さん)インタビューにはっきりと受け答えをするメグル君。声がけやリーダーシップについての言葉や様子からは、自己肯定感の高さが伺えました。自信を持って語れる姿は「頼もしい」の一言。中学生になってもチームを率いる素敵なサッカープレイヤーになるに違いありません。他ではなかなかできない経験が3日間に濃縮されたサカイクサッカーキャンプ。この冬、我が子にプレゼントしませんか?自分で考えて行動する力がつくサカイクサッカーキャンプとは>>
2023年11月27日11月中に公式戦が全部終了した6年生。3月の卒団までチーム練習や対外試合、ちょっとした大会はあるが、これからの時期どんな練習をさせればいい?と悩むお父さんコーチ。ほとんどの子が中学以降もサッカーを続けるから、11人制に移行して困らないような指導をしたらいいの?というご相談をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、悩めるお父さんコーチにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<技術指導どころじゃない、おとなしく話を聞けない低学年・未就学児に説明不要で楽しめる練習メニューを教えて<お父さんコーチからの質問>池上さんこんにちは。6年生の指導を担当している保護者コーチです。一応街クラブという形ですが、周辺地域の2、3校の子たちが所属しているスポ少のような感じです。この時期は全小予選なども終わり、6年生が出場できる公式戦はすべて終了しています。相談は、これから3月までどのようなことを教えれば良いか、です。公式戦は終了しましたが、3月の卒団までに懇意にしているチームが主催する大会に出場したり、練習試合はやっていくことになっています。6年生はほとんどの子が中学でもサッカー部に入るか、クラブチーム所属でサッカーを続ける予定なのですが、3月までに中学以降のサッカーに対応できるような準備をしたいと思っています。座学でもグラウンドでのトレーニングでもなんでもいいので、何かおすすめの練習方法があれば教えてください。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。ご相談者様のみならず、少年サッカーコーチのみなさんは、公式戦ありきで指導されているようです。また、中学生は高校受験、高校生は大学受験を控えているという名目で、早ければ最高学年の春に「もう現役引退です」と言う選手がいます。これと同じように、小学6年生も引退気分なのでしょうか。そこが少し残念です。■中学のサッカーに対応する準備は小学1年生から始まっている公式戦がなくても彼らのキャリアは続きます。したがって、それまでやってきたことを続ければいいだけです。それまで取り組んできた技術の向上や戦術理解、視野の確保、応用力など、より向上できるよう練習すればいいと思います。いただいた内容に「3月までに中学以降のサッカーに対応できるような準備をしたい」と書かれていますが、中学で対応する準備は小学1年生から始まっています。それを継続すればいいだけです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■必ずしも11人で大きなゴールを使った練習が必要なわけではない6年生の指導者から「中学では8人が11人になるので慣れておかないといけませんか?」「ゴールが大きくなるから慣れさせないとですよね?」という質問をよくいただきます。とはいえ、11人で大きなゴールでやる必要があるかと言えばそうではありません。8人制の試合で、8人がしっかりつながっている。チームとして動ける。そんなふうになっているのなら、問題はありません。中学生になって入ったチームでは、それぞれがそれまでとは違うサッカーを経験することになるでしょう。その際、どう対応したらいいのかを自分で考えトライできる。そういう子に育てておけば良いかと思います。■「じゃあ、誰がディフェンスするの?」と考えるのは中学になってからでいい小学生の間はみんなで守って、みんなで攻めることが重要です。例えば、ディフェンスの子がボランチとワンツーでゴール前に上がっていく。それがいけないことだと誰も思っていない。そんな状態でいいと私は思います。みんなが上がっていくと、途中でボールを奪われてカウンターを受けたときに困ります。そこで初めて「じゃあ、誰がディフェンスするの?」と考えればいいのです。そういったことは中学生で学べばいいのです。そうではなく6年生で中学以降のサッカー、良く言われる「大人のサッカー」をやらせてしまうと、チャンスなのに攻撃参加できない子どもになります。チームがピンチなのに、ただ見ているだけで守備に参加できません。つまりは、しっかりパスをつなぐ。スペースに飛び込んでチャンスをつくる。そんなサッカーを小学生の間にやっておくことです。そうでなければ、中学以降の成長が望めません。■欧州では7歳から17歳まで年齢別で育成指針を提示している欧州では、育成指針を7歳から17歳までの年齢別で、やれるようにしておくべきことが書いてあります。ところが日本はそこが繋がっていません。高校サッカーを見ても、ボールをつなぐチームもあれば、パワープレーを身上とするチームもあり、バラバラです。でも、高校生だからそれでいいとされています。高校生は育成なので、どんなサッカーを目指すかを定めるべきです。「サッカーしてないぞ」オシムさんがよくおっしゃっていた言葉です。それはコミュニケーションがとれておらず、それぞれが自分勝手にプレーしていることを指摘していました。選手がサッカーはこういうものだと認知する、共通認識を持つことが必要です。そこを追求していってほしい。それなのに、大人も子どもも大会が無くなったらすることがないと感じているようです。■7歳から判断を伴うトレーニングをすれば、14歳では「サッカーを知っている」子に(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)私のスクールの話をしましょう。私のスクールは2年生がすごく多いです。しかも元気で、練習があまり好きではありません。先日、ミニゲームの合間に20分練習をしました。2人組をつくってドッジボールみたいなコートに、3つの2人組、つまり計6人が入ります。1組はディフェンスになります。中央のライン付近でしか動けない決まりです。そこで二つの2人組がパス交換をします。2年生でも理解できます。取られないよう、うまくパスを通さなくてはいけません。24人いるので4コート作れば同時に行えます。遊びのメニューはネット上でもたくさん見つけられます。私の著書にも載っているので検索してみてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年11月24日サカイク初のゴールキーパー向けキャンプとして、リピーター続出なのが、澤村公康コーチによるゴールキーパーキャンプです。技術、戦術はもちろんのこと、「良いゴールキーパーになるための心構え」や「ゴールキーパーをするお子さんをお持ちの、保護者に向けたアドバイス」など、ゴールキーパーとして成長するためのヒントをたくさんもらえるキャンプです。日本代表のシュミット・ダニエル選手の恩師として知られ、サンフレッチェ広島時代には、日本代表の大迫敬介選手を開花させたことでも有名な、澤村コーチによるゴールキーパーキャンプは、2023年12月に開催予定です。サカイクでは前回より、澤村コーチによる「良いGKになるためのポイント」を紹介中。※全4テーマ①失点しないコーチング(味方への指示)②失点しないためのポジショニング※今回はこちら③プレーの反応速度を上げる(ステップワーク、プレー予測など)④状況判断能力を上げる今回は②の「失点しないためのポジショニング」について、解説していただきました。ゴールキーパーとしてレベルアップしたい小学生に知ってもらいたい内容です。ぜひ保護者の方は記事の内容をお子さんにもかみ砕いて紹介してください。(取材・文鈴木智之)GKキャンプで選手たちに指導する澤村コーチシュミット・ダニエル選手、大迫敬介選手を育てたGKコーチによるGKキャンプを開催関連記事:良いGKに必要な「失点しないコーチング」を身につけるコツ味方を上手く動かす声かけ・指示とは■GKのポジショニングによって「シュート打っても止められそう」と思わすことができる第2回目は「失点しないためのポジショニング」です。ゴールキーパーの位置によって、相手選手は「シュートが打てそう」「打っても止められそうなので、やめておこう」など判断を変えるほど、大きな影響があります。それほど、ゴールキーパーのポジショニングは大切なのです。澤村コーチはポジショニングについて「セオリーとして、ボールとゴールの中心を結んだ、線上に立つ」と話します。ただしこれは『立つ位置』について限定したもので、試合中ゴールキーパーは常に、スターティングポジションをとり続けることが求められます。「ゴールキーパーがプレーを始める位置のことを『スターティングポジション』と言います。適切な位置に立っていれば、相手選手はシュートを打ちづらいと感じることでしょう」■スターティングポジションをとるときに大事なのは3つ「立ち位置、開始姿勢、体の向き」スターティングポジションをとるときに、重要なことが3つあります。それが立ち位置、開始姿勢、体の向きです。「立ち位置は、ボールとゴールの中心を結んだ線上です。さらに、頭上を越されたときに届く位置、左右どちらのボールにも反応できる位置です。頭上に関しては、身長によって個人差があるので、練習のときから意識して、自分に合った立ち位置を探してみましょう」「開始姿勢」とは、プレーを始めるときの姿勢のことです。「相手が近くにいる場合は、足下のボールに対応しやすいように、肩幅より足を開き、腰を落とします。肩を少し下げ、指先を下に向けて、足下のボールに触りやすい姿勢をとります」さらに、こう続けます。「ボールとの距離がそれほど近くない『中距離』であれば、様々なボールに備えて、やや前傾姿勢のまま、両手は腰のあたりで構え、足幅を肩幅より広めにとることで、動きやすい体勢を作ります」最後に、ボールとの距離が遠いときは「前に跳び出すことも考え、両手を軽く下げて、前後左右、どの位置にも動けるようにすることが大事」と教えてくれました。そして「体の向き」ですが、シュートストップの際は「ボールに対して正対すること」がポイントになるそうです。「そのため、相手の様子を観察しながら、こまめにステップを踏み、常に正対できるポジションをとり続けましょう」以上が、シュートストップにおける技術的なポイントです。■技術だけでなく、大事なことは試合中の「人間観察」このスキルは日常生活でも身につけられる加えて澤村コーチは「大切なことは、試合中の人間観察です」と、言葉に力を込めます。「ボールを持っている選手が何を考えているのか、何をしようとしているのか。それをイメージして、ポジションをとることが大切です。そのためには、サッカーのプレー中だけでなく、日常生活においても、人間観察はすごく大事だと思います」ボールを持っている選手が、シュートを狙っているのか、スルーパスを出そうとしているのか。視線や体の向きなどから察知し、どのようなボールが飛んできてもいいように、常にアンテナを張っておくこと。それが良いゴールキーパーになるための第一歩です。「学校やサッカーの行き帰りで、周囲を観察したり、電車に乗ったときには周囲の人を見たり、友達や先生、コーチは何を言おうとしているのかを観察するのも、ゴールキーパーに必要な能力を高めるために、日々の生活でできることです」■サッカーの技術、戦術はもちろん自分で考えて動けるようになる力がつくキャンプを開催澤村コーチが担当するサカイクのゴールキーパーキャンプでは、サッカーの技術・戦術はもちろんのこと、ゴールキーパーというポジションを、人間的な成長につなげる取り組みを行っています。サカイクの理念は「自分で考えるサッカーを子どもたちに」ですが、2泊3日のキャンプの中で、子どもたちに考えさせるよう働きかけることで、ピッチ内外で必要な力を養っていきます。サカイクのゴールキーパーキャンプは、経験豊富な澤村コーチに直接指導を受けられる絶好の機会です。もっと良いキーパーになりたい。サッカーを楽しみたい、好きになりたいと思うお子さんは、ぜひ参加してみてください。きっと、たくさんの刺激を受けられるはずです。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>
2023年11月21日学生時代ずっとサッカーをしていて、JFA(日本サッカー協会)のライセンスも取得して指導の勉強はして挑んだが、いざ現場に出ると状況が全然違った!というコーチ。低学年や未就学児はそもそもおとなしく話を聞いてくれない。技術指導どころじゃない......。と悩む指導者は、実は多いのでは?ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、海外の育成や、いつからどんな練習をすればいいかをアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<動きながらボールを受けてパス、海外選手のように流れるようなプレーを身に付けるには、どんな指導が必要なのか教えて<お父さんコーチからの質問>はじめまして。田舎の少年団で教えています。担当はU-8です学区に1校しかなく、保育園から中学までメンバーが変わらないような地域です。専任の指導者がいるクラブチームなどは車で2時間以上の距離にある都市部にしかありません。そんな感じなので、小学校の少年団ですが未就学児の兄弟も参加することもあります。私自身大学までサッカーをしており指導ライセンスも取得しておりますが、現場に出ると技術の指導以前の問題で、まずおとなしく話を聞いてくれません。身体を動かして遊ぶのは好きなので、遊びを取り入れながらサッカーの要素を学んでいけばいいかと思っていますが、指導歴が浅いのでバリエーションが少ないのです。ミニゴール(※)は2台あります。低学年&一部未就学児に、あまり長い説明が要らず楽しめるような方法があれば教えていただきたく思っています。※編注:E-3ショップで販売、JFA100周年記念として全国の保育園幼稚園に配布している本格的なミニゴール。Jクラブもトレーニングに使用<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。基本的に、スポーツはその語源通り「遊び」です。その理解をまずはしていただけたらと思います。■スポーツは「遊び」、では「サッカーを象徴する遊び」とは?スポーツが遊びであれば、サッカーを象徴する遊びは何でしょうか。そう、試合ですね。うまく試合をやらせてあげると、当然ながら子どもは楽しくなります。私のスクールでは、1回の練習は90分。そのなかで50~60分は試合に費やします。保育園や幼稚園の小さい子や、小学生でもまだサッカーに興味がない子は、ほかのところに興味を示しがちです。トンボが飛べばトンボを追いかけるし、友達同士で遊び始めたりします。そうなるのは当然です。子どもなのですから。おとなしくしてくれないとこぼす大人たちも、子ども時代は同じ姿だったはずです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■サッカーにのめり込んでない子たちにもボールが集まるようなルールにしてみてでは、どうするか。小学生と幼稚園生が一緒にやっていると、どうしても学年や月齢が上の子どもがボールを持ちがちです。ドリブルしたり、シュートしたり。そういう子どもたちだけで盛り上がってしまうので、下の子どもたちは楽しくありません。ですので「今はサッカーをする時間だよ」と言い聞かせたりせずに、有効なルールに変えてあげてください。例えば「幼稚園の子にパスを出さないと、シュートが決まっても得点になりません」というルールを作ります。得点までのプロセスで幼稚園児がさわったらゴールにするというものです。もしくは、小さい子たち、学年が下の子が入れると10点にします。小さい子が貢献できるよう、ゴルフのハンディのような要素を入れてみてください。このように、サッカーはボールへのかかわりが増えると、一気に楽しくなります。サッカーにまだのめり込んでない子どもたちにも同じように、彼らにボールが集まるようなルールをつくることをお勧めします。■上手い子たちが注目される場面もつくるこのとき気をつけなくてはいけないのは、少しサッカーがみんなよりもできる子の扱いです。飽きてしまうと、ルールを無視してひとりでドリブルしてシュートを決めて喜ぶ、といった子どももいます。そんなときは「点にならないのにどうして楽しいの?」と尋ねます。「今のルールは幼稚園生にパスをしなくてはいけないルールだね。それはファウル(反則)がダメなのと一緒だよ。君がやっているのはずっとファウルしているのと同じじゃないかな」そういう話をします。また、自分勝手にシュートを打った後に「今のどう?得点になるの?」と質問してみます。すると「だって面白くないもん」と返ってくることがあります。そこで「じゃあさ、どうしてこのルールがあるかわかる?」と問いかけます。全員が楽しむことの大切さを味わってもらうことが重要です。その子たちにとってはハードルが低くなり過ぎて楽しくなくなることもあります。よって、小さい子のためのルールを入れた試合はずっと続けるのではなく、みんなが楽しくなり始めたらまたルールを変えてください。そうすると、出来る子たちが注目される場面が出てきます。行きつ、戻りつでいいのです。それぞれの子どもたちが楽しめる機会を創出しながら、月日が経つと「いつの間にかみんな上手くなったね」とか「みんなで普通に試合できるようになったね」と言えるようになります。■サッカーの要素を「止める・蹴る」に限定しないこと講習会などに出かけると、そこで出会うのは初めて指導する子どもばかりです。初めましての関係なので、その子たちの様子みながらどうオーガナイズすればいいかを考える。どんなメニューが合うかな?どうルールを変えてあげればいいかな?と観察しながら考えます。しかし、ご自分のチームであれば普段から見ているから子どもの特徴がわかるはずです。練習の途中で遊ぶこともあるけれど、こんな遊びを入れるとまた熱中し始める。さまざま試せばうまくいったオーガナイズの引き出しは増えていきます。前述したルール変更同様、試合をする人数を減らして小さいコートでやるのもいいでしょう。環境をさまざま調整します。もうひとつ大事なのは、指導者がサッカーの要素を「止める・蹴る」に限定しないことです。サッカーで遊びたい子どもたちは、そんな練習に興味はありません。楽しくなさそうな話です。よって「楽しくないこともやらないとうまくならないよ」などと言わずに、勝ち負けがあるようなサッカー遊びをどんどん提供しましょう。■池上さんが実際に2年生対象に行っている練習メニュー(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)私のスクールの話をしましょう。私のスクールは2年生がすごく多いです。しかも元気で、練習があまり好きではありません。先日、ミニゲームの合間に20分練習をしました。2人組をつくってドッジボールみたいなコートに、3つの2人組、つまり計6人が入ります。1組はディフェンスになります。中央のライン付近でしか動けない決まりです。そこで二つの2人組がパス交換をします。2年生でも理解できます。取られないよう、うまくパスを通さなくてはいけません。24人いるので4コート作れば同時に行えます。遊びのメニューはネット上でもたくさん見つけられます。私の著書にも載っているので検索してみてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年11月17日古い価値観の夫がセレクションに落ちた息子に「才能がない」「運動神経が悪いから落ちて当たり前」と言う。普段から「良いところは褒めて」と伝えても「良いところはない!」と言い放つ。子どもにとって成長を阻害していると思うが何が正解か分からない。夫を変えるのは容易でないが、自分にできることを教えて。と悩むお母さんからのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、今できる4つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<マルチスポーツの息子。サッカー一本に絞るべきか悩む問題<サッカーママからの相談>先日小6の息子が、小学生からやっているサッカーのクラブチームのジュニアセレクションに落ちました。今のポジションになって一年未満なので、ギリギリの挑戦ではありましたが、本人的には自信があったそうで不合格と知った時は号泣でした。同じチームから数人合格したので一緒に通いたかったそうです。私は「セレクションに合格したらゴールではなく、そこからがスタートなんだよ」と伝えていますが、主人は息子に「才能がない。運動神経が悪いんだから当たり前」と言います。私にも「そんなに簡単なものじゃないんだから慰めるとかしなくていい」と言いますが、私は慰めるよりも本人の気持ちを聞いて少しでも前向きになってもらえたらいいなと思っています。息子は主人に貶(けな)される事が多く、自信がなくなってしまっているのもよくないと思い「良いところは褒めてあげて」と伝えてはいるのですが、「良いところはない!」と昔ながらの厳しさで息子に接します。私と主人の子どもに対する向き合い方が違うせいで、子どもの成長を妨げてしまっているのではないかと思い相談しました。何が正解かわからないです。主人を変えるのは簡単な事ではないので、私の方でできること、気づかせることがあればと思います。アドバイスお願いいたします。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。メールの内容を読み、大きなショックを受けました。息子さんに向かって放つ暴言や態度は、度が過ぎます。息子さんが12歳ということは、お父さんは恐らく30代から40代でしょうか。■アドバイス①あなたの夫の言葉は暴言であり言葉を用いた虐待お母さんへのアドバイスは四つあります。まず「間違った子育てをやめよう。一緒に学び直そう」と夫に伝えましょう。お母さんご自身の教育観や子育ては間違っていません。「何が正解かわからない」とありますが、正解はだれにもわかりません。いろいろなやり方があります。ただひとつ言えるのは「正しくない子育て」は間違いなくあるということです。「才能がない。運動神経が悪いんだから(不合格は)当たり前」「慰めなくていい」「良いところはない!」夫が息子さんに向かって繰り出す言葉は、どれも暴言であり、言葉を用いた虐待です。私に言わせれば、あまりに支離滅裂すぎます。子どもの気持ちを理解せず、否定する言葉ばかり吐く親御さんは、子どもが中学生、高校生と成長して力をつけるようになると、家庭内暴力に発展する可能性は高いです。悪くすればお父さんに刃を向けたり、逆に自分自身の命を絶とうとする最悪の状態につながることもあります。まさかと思うかもしれませんが、数々の事件の原因を紐解いていくと子ども時代に親に否定され続けた過去があるケースは少なくありません。今年3月に佐賀県内で起きた事件では、父親が息子に対し「人間として下の下」などと非難し、建築士という目標も「なれるわけないだろ」と否定していたそうです。犯行に及んだ息子は公判で「心が、もうどうしようもない状態で壊れそうになった」と明かしています。私が大袈裟に脅しているように感じるかもしれませんが、このようなことが絶対起こり得ないとは言えない時代なのです。私たち親世代の多くは、自分たちもそうやって圧迫され、親や教師に否定されることで「なにくそ」と這い上がらせるという子育てをされてきました。同じ価値観、やり方だったので、特に疑うこともなく、それを受け入れてきたわけです。しかし、それは完全に間違った子育てです。正しくないことは、脳科学や心理学で明らかにされています。夫とともに、本屋さんの子育てや教育のコーナーに行って、どれか一冊でよいので手にとってみてください。過渡期に置かれている私たちは、新たに学び直すしかありません。逆に言えば、きちんと学び直した人たちが子どもを幸せにできるのかもしれません。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス②あなた自身も意識改革を!良いところはないとけなすのは厳しさではないふたつめ。お母さん自身も認識を改めてください。お母さんは、夫が「良いところはない!」と否定する態度を、「昔ながらの厳しさで息子に接します」と書かれています。良いところはない!などとけなすのは、厳しさではありません。自分の息子が不甲斐なく見え、そのことが耐えられず単に息子に当たっているだけではないでしょうか。よって感情的になります。暴言やパワハラを繰り返す親御さんや指導者のほとんどが、このタイプです。当然ながら、そうするのが正義だと信じ込んでいることも否めません。お母さんが「良いところは褒めてあげて」と夫に注文しているように、子どもの成長には自己肯定感がとても重要です。何があっても「自分は大丈夫」という自信。「自分は今のままでいい」「ありのままでいい」と思える自尊感情があってこそ、自分で考えてさまざまなことに積極的にトライできるのです。そこを理解してもらわないことには前に進めません。■アドバイス③子どもに「お父さんも悪気はない」などと言わない事三つめ。お母さんがさまざま努力するには時間もかかります。早々変われないでしょう。それなので、夫が暴君の間は、彼を息子さんになるべく近づけないよう工夫してください。距離をとることです。守るのはお母さんしかいません。そして「お父さんも悪気はない」などと言わず、息子さんのつらい気持ちに向き合ってください。何があってもお母さんはあなたの味方だ。楽しくサッカーをして、楽しい学校生活を送って欲しいのだと伝えましょう。■アドバイス④あなた自身が夫と対等になって(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)四つめは、夫のこころの傷を癒してあげることを考えましょう。年齢的に物心ついたときは平成だったはずですが、上述したようにお父さん自身は昭和の価値観で育てられたのかもしれません。(どうしてそんな暴言を吐いて平気なんだろう)(なぜ変われないのか)と思ってしまいますが、彼自身もストレスフルでつらい子ども時代を過ごしたのかも知れません。前出の佐賀の事件、被害者の父親は息子の写真をスマホの待ち受けにし、車の中には息子が小さいときに書いた手紙を入れていたそうです。純粋な愛情はあった。ただ、伝え方が間違えていたと言えるでしょう。ぜひ本音で対等に夫と話し合いましょう。そのためにも「主人」と書いたりせずに、あなた自身が夫と対等になることです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『高学歴親という病』(講談社α新書)。
2023年11月15日兵庫県神戸市の強豪街クラブ、センアーノ神戸は2022年春、使用するサッカーノートを市販のノートからサカイクサッカーノートに切り替え、サッカー面だけでなく生活面でも選手と指導者間のコミュニケーションの円滑化に成功しています。これまで使用開始後1カ月、半年という2回お話を伺ってきましたが、1年経過したタイミングで、さらにどんな変化や成長が感じられたかを6年生の選手たちと担当コーチにお聞きしました。(取材・文:貞永晃二写真:浅尾心祐)サカイクサッカーノートを1年間使ってみてどんな変化、成長を感じるかセンアーノ神戸の4年生に伺いました子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>関連記事:書き続けたら「シュートを落ち着いて蹴れるようになった」センアーノ神戸6年生がサッカー上達を実感したサッカーノートの使い方■最初は難しかったけど、慣れると簡単に書けるようになった川﨑真くん(かわさきしん・4年生)―――サッカーノートを使うのはサカイクノートが初めてですか?1年生でセンアーノに入ってから普通のノートを使っていました。サカイクノートは3年生の初めぐらいからです。最初はちょっと分からなかったけど、今は簡単に書けます。難しかったのは(叶えたいことに近づくために今日できることを書く欄の)オンザピッチ、オフザピッチのところが難しかったです。でも今はもう慣れて15分くらいで書けます。―――最初に目標を書くところには、例えばどんなものを書きましたか?相手に抜かれた時に食らいつくとか、声を出すとか、です。そのためにどんな工夫をするかも思い浮かぶので書きやすいです。――今のサッカーノートを書いてみて良かったなと感じる点は?僕は試合前と試合後にサカイクノートを書いていて、試合前には例えば守備は最後まで粘るなどの目標を立て、その目標を達成するにはどうしたら良いかを書いています。試合にはその目標を意識して臨んでいます。試合後は目標を達成できたかどうかを書き、できなかったらなぜできなかったか振り返っています。どうすれば良くなるかを書いておいたら、うまくいったところが、次の試合のときに活かせます。――抜かれても食らいつくという目標を立てた時はどうでしたか?食らいつくのは結構できました。工夫は相手に抜かれてもすぐ追いかけると書きました。――ノートに書かれたコーチのコメントを読んでどんな感想を持ちましたか?コーチや監督から、怖がらずにプレーする、ミスしたら嫌やなと思いながらじゃなくて、ミスを怖がらずにプレーするようにというアドバイスをもらって、次はそうしてみようと思いました。サッカーノートを書くことは僕のサッカーの成長に役立っています。――試合後の自己採点はどんなつけ方ですか?目標は高いので、採点は厳しめにつけて、もっと上手くなろうと思っています。▼センアーノ神戸選手達のコメントはこちら!■書くことで直感ではなく考えてプレーできるようになった木村孝太くん(きむらこうた・4年生)―――サカイクサッカーノートを書き始めたのは?去年の冬ぐらい3年生の冬です。最初ちょっとつまずくところがあったけど、普通に書けました。10分くらいで書いています。難しかったのは「もっと探求したいこと」です。―――サカイクノートを書き続けてきて、よかったなと感じる点はありますか?「どのプレーが記憶に残っていますか?」という項目で、自分の記憶の中以外のプレーとかも、思い出すことが勉強になるので、いいところだと思います。―――目標ができるようになったとか、こういう部分が改善できたっていうことで、思い出せるようなことありますか?周りを見て、状況を確認するというのを目標にしました。前はなかなか見れなかった。でも、今は、前よりも意識して見れるようになっています。―――ノートが返ってきてコーチのコメントを読んで何か感じましたか?僕ができていることやできていないことをはっきり書いてくれてるから、そのことを次回の試合とか練習に活かそうと思って読んでいます。覚えているのは、怖がらずにプレーをするとか、もっと勇気を持ってプレーしようって書いてありました。相手が来てパスコースとかシュートコースが消されてボールを奪われることを恐れずにパスを出そうということです。―――サカイクノートを書いてきて、見直したときどう感じましたか?たまに見直します。書き始めた頃はプレーも直感でやってたけど、今はしっかり考えるようになって、サッカーでも考えてプレーできています。■ノートに書いた目標を試合で実践できた。前よりクロスや縦パスが上手くなったと実感荒木皇俄くん(あらきおうが・4年生)―――サカイクノートはいつから使い始めましたか?去年の7月ぐらいです。サッカーノートは初めてでしたが、簡単でした。でもどうすればうまくいくかの「工夫」のところは難しかった。でも今は慣れました。15分くらいで書いています。―――サッカーノートに目標を書いて、試合でできたと思い出せることがありますか?最近では、縦パスを(タッチラインを出ないように)カーブさせて出すという目標です。右サイドバックで、普通に縦に出すとインターセプトされるけど、曲げたら相手の届かないところへ出せて、最後は足元に届くからです。―――ノートが返ってきてコメントを読んで、感じたことを教えてください。適当に出すパスは良くないと書かれていました。あと、逆サイドのスペースへ出したロングボールが良かったと書かれたのは全然気づかなかったことでした。―――書き始めて1年ぐらい経って、自分は変わったなと思いますか?最初の頃よりはクロスとか縦パスとか上手くできていると思います。■ノートに書いたことを試合中のプレーに活かせるようになった取材場所に同席した他の選手たちも答えてくれましたので、その声を紹介します。―――サカイクノートを使ってから、良くなったと思うことは?・サカイクサッカーノートを使ってから、目標がはっきりした。・サカイクノートを使って、うまくいかなかったところとかを読み返して、次はうまくいかなかったところを意識しようとするようになった。・サカイクノートを書き始めてから、試合が終わった後に書いて、その次の日にまた振り返って、次の試合に活かせるようになった。・目標は一番最初に書くから頭に残って、試合中にも思い出して次のプレーに活かせるようになった。■ノートを通じて個人個人に課題や改善方法をアドバイスできるサカイクサッカーノートを使う姿を間近で見ているコーチたちも、変化を感じています。4年生担当の高橋和久(たかはしかずひさ)コーチに、約1年ノートを使ってみての選手の変化、成長などを伺いました。―――サカイクノートを1年使ってみてどんな変化、成長がありましたか?この学年を見始めたのは4月からなのですが、最初から「課題にちゃんと向き合いなさい」と話はしています。試合中や練習中にも課題、アドバイスなどを伝えるんですけど、それ以外のところとか、試合が始まったらずっと全員に個別のアドバイスを伝え続けるわけにいかないので。個々に対してはサカイクサッカーノートを通じて課題を伝えてあげて、改善の方法も伝えられるので、プレーがかなり大きく変わる子が増えてきたかなと思います。使用開始から1年以上経過して、選手もコーチも確実に成長を感じているようです。何となく頭の中で考えるだけでは、試合や練習に夢中になると忘れてしまうこともノートに書いておけば、目標も課題も明確になるのでどうしたらできたのか、どうしてできなかったのかを振り返り考えることも習慣になっているよう。目標を立て、振り返りを行うことで課題が明確になり、サッカーの成長にも寄与しているサッカーノートの活用法を、みなさんのチームでも参考にしてみてください。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>
2023年11月14日サカイク初のゴールキーパー向けキャンプとして、リピーター続出なのが、澤村公康コーチによるゴールキーパーキャンプです。技術、戦術はもちろんのこと、「良いゴールキーパーになるための心構え」や「ゴールキーパーをするお子さんをお持ちの、保護者に向けたアドバイス」など、ゴールキーパーとして成長するためのヒントをたくさんもらえるキャンプです。日本代表のシュミット・ダニエル選手の恩師として知られ、サンフレッチェ広島時代には、日本代表の大迫敬介選手を開花させたことでも有名な、澤村コーチによるゴールキーパーキャンプは、2023年12月に開催予定です。そこで今回から4回に分けて、澤村コーチに、①失点しないコーチング(味方への指示)※今回はこちら②失点しないためのポジショニング③プレーの反応速度を上げる(ステップワーク、プレー予測など)④状況判断能力を上げるをテーマに、ポイントを教えてもらいました。ゴールキーパーとしてレベルアップしたい小学生に知ってもらいたい内容です。ぜひ保護者の方は記事の内容をお子さんにもかみ砕いて紹介してください。(取材・文鈴木智之)GKキャンプで選手たちに指導する澤村コーチシュミット・ダニエル選手、大迫敬介選手を育てたGKコーチによるGKキャンプを開催関連記事:「ノートを見返すことで周りを見る習慣がついた」センアーノ神戸の選手に聞いたサッカーが上手くなるサッカーノートの使い方■相手にシュートを打たせないGK第1回目は「失点しないコーチング(味方への指示)」です。ゴールキーパーのもっとも大切な仕事は、ゴールを守ることです。相手にシュートを打たせなければ、失点する可能性は限りなく低くなります。澤村さんは「コーチング(指示出し)」の重要性を強く認識しており、これまでの指導経験をもとに、こう話します。「僕はこれまで、育成年代からトッププロまで、38人の監督と仕事をしてきました。その中で38人全員から言われたのが、『味方とコミュニケーションをとって、相手にシュートを打たせないキーパーにしてほしい』ということでした」■味方へのコーチング(指示だし)は「大きく、はっきり、わかりやすく」。「打たせるな」より「寄せろ」が良い理由澤村コーチはコーチング(指示出し)のポイントを、次のように説明します。「大きく、はっきり、わかりやすく。味方に指示を出すときは、この3つを意識しましょう。たとえば、シュートを打たせたくない場面で、味方に対して『打たせるな!』という指示を出しているキーパーを見かけます。はたして、これは良い指示でしょうか?」そう疑問を呈し、次のように続けます。「相手にシュートを打たせないために、味方は何をすればいいのでしょうか? 『打たせるな!』だと、指示が聞こえたとしても、具体的な行動は人によってそれぞれです。それならば、ボールを持っている選手に対して『寄せろ!』という指示の方がわかりやすいです」寄せろ! という指示を聞いた選手は、相手との距離を詰めるようになります。結果としてシュートを打たれたとしても、足に当たる可能性が高くなりますし、シュートコースを塞がれていることを察知したシューターは、シュートではなくパスを選択するかもしれません。「『寄せろ!』は語尾の母音が『お』なので、声を発しやすく、体に力がみなぎりやすいです。このように、ゴールキーパーが発する言葉ひとつで、味方も、自分もプレーがしやすくなることを、キーパーを始めたばかりの子たちに理解してもらいたいと思っています」■DFラインを上げて欲しい時は「下がるな」ではなく......また試合中、ゴールの近くでボールを持たれたくないので、ディフェンスラインを上げてほしい場面があります。「そのとき、ディフェンスの選手に『下がるな!』と声をかけているキーパーをよく見かけます。『下がるな!』は『下がる』という動詞に『な』を加えて、否定する言葉です。試合の緊迫した状態で『下がる』と『下がるな』を聞き分けるのは難しいですし、最後まで聞かないと、『下がる』なのか『下がるな』なのかがわかりません」では、ここで問題です。ディフェンスラインを下げさせたくないときに、どのような指示を出せばいいでしょうか?「僕は『止まれ!』を推奨しています。人間は止まれと言われると、その場にとどまろうとします。結果、ディフェンスラインをずるずる下げることはなくなります。『止まれ!』は短くて発しやすく、言われた方もどうすればいいかが瞬時に理解できますよね。大きく、短く、わかりやすく。これがコーチング(指示出し)のポイントです」■わかりやすいコーチングは、親との会話など日常生活で意識することができるわかりやすいコーチングは、サッカーの場面だけでなく、日常生活からも意識することができます。「たとえば、親御さんと話をするときや、監督・コーチ、学校の先生から質問をされたときなど、わかりやすく、はっきりと大きな声で簡潔に話すように心がけると、試合のとっさの場面でも出せるようになってきます。大事なのは、日々の積み重ねです」澤村コーチのゴールキーパーキャンプでは、ピッチ内でのトレーニングはもとより、日常生活やピッチを離れたときに、仲間同士でどのようなコミュニケーションをとるか、あるいは親子でのコミュニケーションなど、ゴールキーパーとして成長するために、多角的なアプローチをしています。「お子さんもそうですが、見学に来てくれている保護者の方も、とても満足してくれています。それはすごく嬉しいことですし、キャンプで学んだことを家に持ち帰って、家庭や日々の活動で意識していってほしいと思っています」■GKとしてもっとレベルアップしたい子におすすめのゴールキーパーキャンプを開催リピーター多数、参加満足度も高評価の澤村コーチによる、ゴールキーパーキャンプ。「ゴールキーパーとしてもっとレベルアップしたい」「将来はプロになりたい」と思う子は参加してみてください。多数のプロを指導し、本物を知る澤村コーチから学べることはたくさんあるはずです。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>
2023年11月10日兵庫県神戸市の強豪街クラブ、センアーノ神戸は2022年春、使用するサッカーノートを市販のノートからサカイクサッカーノートに切り替え、サッカー面だけでなく生活面でも選手と指導者間のコミュニケーションの円滑化に成功しています。これまで使用開始後1カ月、半年という2回お話を伺ってきましたが、1年経過したタイミングで、さらにどんな変化や成長が感じられたかを6年生の選手たちと担当コーチにお聞きしました。(取材・文:貞永晃二写真:浅尾心祐)サカイクサッカーノートを1年間使ってみてどんな変化、成長を感じるかセンアーノ神戸の6年生に伺いました子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>関連記事:「ノートを見返すことで周りを見る習慣がついた」センアーノ神戸の選手に聞いたサッカーが上手くなるサッカーノートの使い方■「シュートは落ち着いて蹴る」とノートに書き続けた天野陽真くん(あまのはるま・6年生)初回から取材にも回答してくれた選手で、1年使ってみての成長を語ってくれました。―――サカイクサッカーノートを使った最初と今ではどれくらい成長したと思いますか?サカイクのノートを使い始める前より、シュートの打ち方やフリーキックの壁の枚数など、理解できるようになりました。―――試合や練習で気づいた、自分のいいところ、反省点などをサカイクノートに書けていますか?また、書くのが難しいと思ったことはありますか?書けています。難しいと思ったことは、あまりないです。――サカイクノートを書いて良かったなと思うところはどこですか?以前はゴール前でのシュートを最後まで落ち着いて決められなかったんですけど、「落ち着いて蹴る」っていうのを忘れないように書き続けて、意識し続けたので、今はゴール前で落ち着いてシュートを決められるようになりました。――立てた目標でできるようになったことはありますか?あります。体の向きや、(ポジションの)落ち方、ビルドアップの立て直しとか、です。――コーチに質問できなかったことを、ノートで意見を伝えたり、質問したりしたことはありますか?たくさんあります。フリーキックの蹴る位置、コーナーキックの蹴り方、オフザボールの動き方などです。――サカイクサッカーノートを書きだしてから、自分の成長具合はどのぐらいですか?80ぐらい変わりました。そう思うのは、前のサッカーノートは小さくて、探究の項目とかは無かったんですけど、サカイクサッカーノートは探求や良かったところなどを書くスペースがいっぱいあって、すごくいいです。――サッカーノートを見直すことはありますか?それがプレーの改善につながったことはありますか?試合の前日や試合の日の朝などに見直します。サイドの仕掛け方やパスを出す位置が改善できました。――1年間サッカーノートを書いてきて、もう少しこういうことを書けたらいいなと思うことはありますか?悪かったところをもっと書きたいです。理由は、自分の悪かったところをもっと見つけて、それを活かして頑張りたいからです。――ノートをチームメイトや親に見せたことはありますか?チームメイトにはないですけど、親にはあります。コーチのコメントをしっかり見て、それを次の試合で頑張って、みたいなことを言われました。▼センアーノ神戸選手達のコメントはこちら!■コーチのアドバイスをしっかり意識してプレーできるようになった大谷飛翔くん(おおたにつばさ・6年生)―――サカイクノートを使ってみて、どのくらい成長したと思いますか?成長したところは、サッカーノートに書いて、コーチからアドバイスをもらったことを(試合で)しっかり意識してできるようになったことです。―――最初はサッカーノートを書くのは難しかったですか?最初はどんな内容を書いたらいいか、正直あんまり分かってなかったけど、使っていたらだんだん分かってくるようになってきました。―――どういう項目が書きにくかったですか?「探究」のところにどういうことを書いたらいいのか分からなかったので、そこは苦戦しました。―――ノートは試合の日、練習の日どちらで書いていますか?試合の日を基本的に書いています。―――サッカーノートに忘れずに書いていることはありますか?自分の成長したところをしっかり毎日書くようにしています。■ノートに書くことで、コーチへの質問がしやすくなったファンハースト尚哉(ふぁんはーすと なおや・6年生)―――最初、どういう項目が書きにくかったですか?「探求」に何を書いたらいいか分からなかったけど、今はもう慣れました。―――サカイクサッカーノートに書いている、練習や試合で気づいた自分のいいところ、課題は何ですか?課題は、ちょっと慌ててしまうところや、あとはパスの精度がまだまだだなと思うところです。―――サカイクサッカーノートを書いてみて、良かったなと思うところ、成長したなと思うところは?試合中に意識してプレーするようになったところです。前よりかなり意識できるようになったと思います。―――サカイクサッカーノートを書き始めて、立てた目標ができるようになったところはありますか? あります。ゴール前での落ち着きです。―――コーチがノートに書いたコメントを読んでどう感じますか?ああ、ここ駄目だったなとか、自分の課題が多くなる感じがします。―――サッカーノートにコーチへの質問を書いたことはありますか? はい。練習の前後に個人個人が細かく質問する時間を取るのはかなり難しいので、ノートだと聞きやすいという感じがします。―――サカイクサッカーノートを使ってみて、自分の成長具合はどれくらいだと思いますか?80点ぐらいです。課題は意識しているんですけど、たまに忘れてしまうことがあるからです。―――サッカーノートを見直すことはありますか?それがプレーの改善につながったことはありますか?はい。自分が今日は駄目だったなというときどう改善したらいいかなと思ってノートを見ます。―――サッカーノートを書いてきて、もう少しこういうことを書けたらいいなと思うことはありますか?コーチがどう思っているかとか、コーチがやりたいサッカーとかが書いてあったら、もっと何か頑張れるかなと思います。―――ノートをチームメイトや親に見せたことはありますか?お母さんには見せたことがあって、もっとここを頑張ろう、みたいに言われました。■選手たちの意欲、やる気の変化を感じるサカイクサッカーノートを使う姿を間近で見ているコーチたちも、変化を感じています。6年生担当の前泊璃音(まえどまりりお)コーチにも伺いました。―――この1年サッカーノートを使ってみて、選手にどんな変化、成長がありましたか?1年前と比べて、やっぱり学ぶ姿勢っていうのが第一に変わってきて、サッカーへの意欲、姿勢もやる気が出て、真剣に取り組んでくれています。―――プレー面での成長はありましたか?はい。例えば(選手が)分からないこと、技術とかをサッカーノートに書いてくるので、それに対して回答をしています。例えばこうしたらいいよというアドバイスもサッカーノートを通じて行っていて、やっぱりプレー面でもだいぶ戦術も変わってきていますし、すごく役に立っています。自分の意見を言語化することができる6年生は、サカイクサッカーノートが選手とコーチとのコミュニケーションツールとして機能しているようです。普段の練習時間だけではコーチと1対1の対面で話す時間をとるのが難しいため、サッカーノートを通じて質問し、コーチはじっくり考えて様々なアドバイスを書いてあげられるので、疑問や悩みの解消にも役立っていることがわかりました。選手の本音、今考えていることを知ることで指導のアプローチも変わります。コミュニケーションを深め、サッカーの理解を高める。選手の成長にとってサカイクサッカーノートは大変重要な役割を果たしています。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>
2023年11月09日サッカー大国として知られるドイツ。ワールドカップ優勝4回、ブンデスリーガも隆盛を誇っています。最近の対戦では日本代表が2勝していますが、歴史と実績のあるドイツサッカーから学び、参考にできることはたくさんあります。2023年8月、サカイクキャンプ、シンキングサッカースクールでチーフコーチを務める菊池健太コーチが、ドイツのグラスルーツ年代を視察に行ってきました。ドイツでは子どもたちのサッカーに「フニーニョ」が導入されていますが、その有効性について、菊池コーチに話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)フニーニョをする子どもたちとピッチのそばで見守る保護者達<<視察レポート②:「子どもの試合はワールドカップではない」各地のグラウンドに設置されたドイツサッカー界で有名な標語の意味サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■ドイツサッカー協会主導で導入している「フニーニョ」とはドイツの育成年代で導入されている「フニーニョ」。英語のFun(楽しむ)とスペイン語の「子ども」(Niño)をあわせた言葉で、「3対3の4ゴールゲーム」を指します。菊池コーチによると、「ドイツは協会主導でフニーニョが導入されている」そうで、各クラブには、フニーニョ用のミニゴールが常備されているようです。赤い丸で囲ったミニゴールを使ってフニーニョを行う「コートはフルピッチを4分割して作るので、大人用のグラウンドで4面作ることができます。3対3なのでボールに関わる回数、シュートの場面も多いです。ゴールが2つあるので、コーチが指示しなくても『人が少ない、空いている方へ行こう』と考えることができるのも、フニーニョの良いところです」フニーニョ関連記事:サッカー強国ドイツが導入を決めた3vs3のミニゲーム「フニーニョ」とは■U-6でも結果は協会のホームページに掲載、更新しないと罰金も菊池コーチが視察したのはU-6の試合で、フニーニョの結果は協会のホームページに掲載されるそうです。「ホームページにスコアまでは載せないそうですが、コーチが投稿して更新しないと、罰金があるそうです。それも厳格なドイツらしいですよね」シュート意識を高めるのにぴったりな2m×1mのアルファゴールはこちら>>■原則的にはロングシュートは禁止フニーニョでは「シュートゾーン」が設けられていて、ロングシュートは原則なしになっていますが「試合によってはアレンジしていて、ロングシュートを打っている子もいました」とのこと。「ロングシュートが決まったら、コーチも『ナイスゴール!』と褒めていて、そのあたりの運用は柔軟にしている印象を受けました」■2対1を作りやすく、局面を打開する練習になるコートは25m~30mのサイズで、菊池コーチは「パスやドリブルが無理なくできる、絶妙なサイズ感」と評していました。「1チーム3人なので、ボールを持っている人に対して、他の2人がサポートする形が自然とできます。基礎である三角形も作りやすいですし、相手にマンツーマンでつかれたときに、どこかで2対1を作ることで、局面を打開する練習になります」■サカイクキャンプやシンキングサッカースクールでも変則的なフニーニョを導入菊池コーチがメインコーチを務める、サカイクキャンプやシンキングサッカースクールでは、変則的なフニーニョを導入しているそうで「コーンを3つ立てて3ゴールにしてて、真ん中のコーンに当てたら2点というルールでやっています。ゲーム形式なので、子どもたちも楽しそうにやるんですよね」と笑顔を見せます。■人数の少ないチームでも簡単に取り入れやすいトレーニングといえる昨今の少年団には、所属選手の人数が少ないクラブもありますが、フニーニョであれば6人からできるトレーニングなので、導入しやすいのもメリットです。「ドイツでは小さなゴールを使っていましたが、ゴールがなければコーンでもいいと思います。学校の校庭の限られたスペースやフットサルコートでもできるので、取り入れやすい練習だと思います」■スペースや味方を見つけやすい、指導者にとっては褒めるポイントが増えるのも良いところ菊池コーチはフニーニョについて「シュートチャンスが多いので、指導者からすると、褒めるポイントが増えるのも良いところ」と話します。「ナイスシュート! ナイスチャレンジ! と声をかけやすいので、子どもたちのモチベーションアップにもつながります。ゴールが2つなので、シュートチャンスが多く、ゴールを決める喜びを感じやすいのもいいですよね」低学年の場合、上手な子がドリブルで突き進み、シュートを打つ場面がよくありますが、フニーニョはゴールが2つあるので、スペースや味方が見つけやすいのもポイントのひとつ。「ドリブルで相手を引き付けておいて、空いているスペースにいる選手にパスを出すとか、『なんのためのドリブルなのか』を、考えなくても自然とできるような設定です」■低年齢から「どうやって相手を崩すか」を理解できるドイツでU-6のフニーニョを視察した菊池コーチ。印象的だったのが「みんなが楽しんでいたこと」と語ります。「日本の場合、ボールを持ったら離さずに、1人でゴリゴリ行くような子もいるのですが、そのような子はほとんどいませんでした。もちろんチャンスにはドリブルで仕掛けますが、ただドリブルしていくような選手は少ないように見えました。どうやって相手を崩していくかを、この年代から考えてやっているんだなという印象です」ルールや設定によって、低学年で身につけておきたいサッカーの原理原則を体感できるフニーニョ。ミニゴールがなければコーンでも代用できるので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?きっと新たな発見や気づきが得られることでしょう!サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年11月06日