シュエ・ジェンファンがデザインするジェニー ファックス(JENNYFAX)が10月20日、渋谷ヒカリエ ヒカリエホール Aで2019年春夏コレクションを発表した。今回ショーのスタイリストには、ロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova)を迎えたことでも大きな話題となった。ロッタは、バレンシアガ(BALENCIAGA)や、ヴェトモン(VETEMENTS)のスタイリングなども手がけるトップスタイリスト。ジェニー ファックスの展示会を訪れ、ジェンファンへ「ショーのスタイリングをさせて欲しい」と直々に依頼したことが始まりだったという。母をテーマにした前回のコレクションを発展させ、ホラー映画に出てきそうなアメリカの田舎に住む人や街、お母さん、太った女性などをイメージしたという今シーズン。登場したのは当時のヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)など80年代のアバンギャルドを思い出させる、スーパーオーバーサイズや、ジャケットとドレス、コルセット、下着などを解体し、コラージュのように再構築したようなデザイン、ビッグシルエットで描くピエロスタイル。ワンピースなどは太った女性がサイズの合わない服を着たときのようにボタンを閉めてもへそが見える。オーバーサイズのワンピースなどの上に下着を無理やり着せたように見えるものなど、もはやパリコレクションでも見られない、悪ふざけのように見えるデザインや十字架の上に切り取られた4本の指を乗せたアクセサリーなども、ジェニー ファックスらしい。一方、テキスタイルや柄はアメリカの田舎の町やそこに住む人をイメージしたもの。力強いデザインやオーバーサイズと素朴で懐かしいテキスタイルや柄など、対比的なものが組み合わせられることで強さや怖さが強調される。アバンギャルドな文法で書く私小説。東京のファッション ウィークのフィナーレにぴったりな、デザイナーの思いや思い出とトレンドの80年代、ストリートファッションの首都とも言われる東京や原宿のキモカワなどをミックスしたような、強さや怖さと、カワイイが共存するコレクションだ。「ポイントは愛です」とシュェ ジェンファン。
2018年10月30日吉原秀明と大出由紀子によるハイク(HYKE)が10月18日、寺田倉庫で2019年春夏コレクションを発表した。テーマは設けず、服飾史や古着などから影響を受け、再構築し、デザインしているというハイク。今シーズンはアメリカやイギリス、フランスなどのミリタリークロージングからインスパイアされたコレクションを提案している。昨年は毎日ファッション大賞を受賞するなど、人気、注目とも更にアップしており、自社でのミニショー形式でのインスタレーションではなく、本格的なランウェーショーとなった今シーズン。その期待に応えるように、ハイクらしさはしっかりと守りながら、デザインを更に進化・発展させ、バリエーションを広げたコレクションを見せた。今シーズンのインスピレーションソースとなったのは、アメリカ海軍の40年代のサルベージパーカーや30年代のデッキパンツ、40年代のシャンブレーシャツやストライプ、アメリカ空軍のM-51フィールドジャケットやフィールドパンツなど30年代、40年代のアメリカのミリタリー。あるいは、40年代のイギリス軍のラップ・アラウンド・コートやフランス軍のモーターサイクルパンツなどの素材やディテールから着想したデザイン。ボレロやパイソン柄、ミリタリーにしわを寄せ、クラシックなクチュールテーストをプラスしたデザインなどは続けながら、アメリカ、イギリス、フランスまでインスピレーション源を広げることでアイテムが増えている。さらに、鮮やかなレッドやブルー、ストライプ、シュルレアリスムやアバンギャルドとも共通する前後を逆にしたようなデニム、トレンドであるアシメトリーなデザインなど、遠くから見てもわかるインパクトのある色や柄をプラスし、デザインのバリエーションを広げることで、変化を印象付けた。また、3シーズン目となるザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)とのコラボレーションも、アシメトリーなデザインやロゴマーク入りのシューズなどで新しさや時代性を強調。襟や丈など絶妙なバランスと空気感で、一目でハイクのデザインとわかるオリジナリティーと時代の空気やトレンドの共存するクレバーなコレクションを見せた。今回、初のメンズラインもローンチする。
2018年10月30日アイドルグループでんぱ組.incのメンバーである相沢梨紗がデザインするメミューズ(MEMUSE)が10月20日、渋谷ヒカリエ ヒカリエホール Bで2019年春夏コレクションを発表した。テーマはラッピング。ラミネート加工を施したシフォンやオーガンジーなど、女性を包み込むようなテキスタイルを使いながら、自分をラッピングしてプレゼントするのではなく、女性たちの個性やパワーをラッピングして閉じ込めることで、パワーがあふれるようなコレクションを提案している。ステージ中央に肌色の絨毯を敷き、コレクションスタート前から、身体のラインを強調したヌードカラーのボディーウエアを着た沢山のモデルたちを座らせた今シーズン。絨毯やモデルたちの放つ人間味な生々しさとメミューズのコレクションの二次元と三次元をジョイントするアニメやゲームのようなイメージを対比することで、服のファンタジックなムードを強調する。花やお菓子を包み込むようにモデルや服、ディテールを半透明の未来的な素材やエレガントな透ける素材でラッピングしたデザインや森の妖精のようなドレス、ネズミのような耳を付けたメタリックなコート。透ける素材から見える女性のエネルギーや肌のつややかさと、ファンタジー、ワクワク、ドキドキするような期待感が共存する。アニメや漫画のようでありながら、日本的なコレクション。日常やリアルがトレンドのひとつとなり、若手デザイナーが数回でショーを休止する中で、アイドルを続けながら3回目のショーを行った相沢。「作品を見るだけでなく、見た人の生き方を変えるようなコレクションにしたい」という相沢は「普段アイドルをやらせてもらっていて映像や写真でも伝わるものはたくさんありますが、生で見てもらうことで伝わるものは全然違う。インターネットで何でも見られる中で、生で伝わる空気感やルックごとに空気が変わる瞬間などを感じてもらいたいし、私も同じ場所にいたいから、ショーを続けているのかもしれません」と話した。
2018年10月29日ミュベール(MUVEIL)が、2019年春夏コレクションのルックを公開。今シーズンは、「動物の箱舟」と「ENDANGERED」という絶滅危惧種の動植物を撮影した写真集をイメージソースに制作。重いテーマでありながら、大地を想起させるアースカラーにスパンコールやチェック、ストライプ柄を合わせた華やかな色彩と、コットンを中心とした素材を使用したゆったりとしたシルエットのドレスやブラウスといったアイテムに、絶滅の危機に瀕した生き物を愛らしい刺繍やプリントで施し表現している。
2018年10月29日ウクライナ人のクセニア・マルチェンコ(Ksenia Marchenko)とロシア人グラフィックデザイナー、アントン・シュナイダー(Anton Schnaider)のデュオによるブランド・クセニア シュナイダー(Ksenia Schnaider)。キエフで行われたウクライナ・ファッション・ウィークを始め、すでに日本でも展開があるブランドが、「Amazon Fashion Week TOKYO 2019 S/S」期間中に東京で2019年春夏コレクションショーを行った。
2018年10月27日オニツカタイガー × アンドレア ポンピリオ(Onitsuka Tiger × ANDREA POMPILIO)の2019年春夏コレクションが、2018年10月22日(月)に、早稲田大学大隈記念講堂で発表された。様々な要素が交錯するストリートシーズンコンセプトは“SUMER OF LOVE”。様々な民族が住むこの世界で、ボーダーレス、ジェンダーレスに様々な要素がミックス&クラッシュを経て混ざり合っていく。着想源は、様々な要素が交錯する日常のストリート=街頭。自由で多彩な愛の形が混在していることを、素材やプリントを組み合わせることで表現した。スポーティ&ヘルシーまた、オニツカタイガーにとって欠かせない“スポーツ”も重要な要素。バレーボールやバスケットボールなど、色々なスポーツからインスパイアされたウェアを揃えた。ショーが行われた会場である大学の講堂は、清く若い世代が育つ場所であり活動する場所。場所からも影響を受け、より一層アクティブでヘルシー、かつ品のあるコレクションを展開した。劇場のような空間の中で、暗転とともにモデルが登場。ステージ上には大きなミラーが設置されており、正面とは異なる角度からもルックを見ることができるようになっていた。意外性のあるスタイリング浮遊感のあるブラックのチュールスカートは、クラシカルな雰囲気を演出する。トップスにはスウェットや、マニッシュなブラウスを組み合わせ、意外性のあるコーディネートを見せた。オーセンティックな白のブラウスには、ダイナミックにロゴをプリント。端正な仕立てと、ロゴのポップさが絶妙なバランス感で調和する。アイキャッチなカラーやきらびやかなウェアも散見された。ブラックやブルーのスパンコールで全面を飾ったジャージのセットアップは、華やかながらも気品のある佇まいが印象的。深みのある色彩と、洗練されたシルエットが上品な雰囲気を創出する。はっきりとしたイエローのトレイルスーツもまた、スタイリッシュな存在感を放っていた。“服”にすることで、素材感や色彩そのものが持つイメージとは異なる空気感を生み出し、新たな表現へと昇華させているのが見て取れる。若々しくフレッシュなオーバーシルエットプリントシャツやストライプのポロシャツ、ロゴパーカーなど、ゆったりとしたドロップショルダーのシルエットのウェアはストリート感を強める。グラフィカルプリントを施した、オーバーサイズの半袖シャツにショート丈のパンツを組み合わせたルックは、活動的なイメージを表現。若々しくフレッシュなエネルギーを提示する。“境目”のないファッション男女のルックは終始連動し、パーカーやシャツなど、男女同様のアイテムも登場した。オニツカタイガーのロゴを大胆にあしらった、ピンクやグレー、ホワイト、ブラックのシンプルなパーカーは、男性モデルと女性モデルが同時に登場。“ユニセックス”や“ジェンダーレス”という言葉が頭に浮かぶよりも先に、境目のないファッションの自由さを感じさせた。
2018年10月25日ジェニー ファックス(Jenny Fax)の2019年春夏コレクションが、2018年10月20日(土)、渋谷・ヒカリエにて発表された。スタイリングを担当したのはロッタ・ヴァルコヴァショーのスタイリングを担当したのは、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「ヴェトモン(Vetements)」を手がけるスタイリスト、ロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova)。2018年3月に行われたジェニー ファックスの展示会に訪れた彼女がコレクションを気に入り、今回のコラボレーションが実現したという。テーマは、アメリカの田舎に住む太った女の子今回のショーのテーマは、「アメリカの田舎に住む太った女の子」。「お母さん」をテーマにした先シーズンを引き継ぐ形で、コレクションを展開させた。レトロな世界観や立体的でユニークなシルエットはそのままに、大人の女性の変化を描いた前回に代わり、少女のどこか夢見心地で温かい空気感を表現した。80年代のビッグシルエットに遊びを加えてパワーショルダーやビッグシルエットで表現された80年代の世界観は、前回よりも更に複雑で大胆にパワーアップしている。トップスは片方の肩だけ盛り上がり、もう片方の肩にはジャケットをぶら下げるように着用し、動きのある遊び心たっぷりのシルエットに仕上げられている。序盤に登場したのは、肩口を極端に強調した、まるでピエロの衣装のようなスーツだ。チェック柄や花柄が、幼い少女の世界を作り出す。どこか懐かしくレトロなテキスタイルは、アメリカの田舎の少女たちの洋服を参考にしたそう。まるでベルトのように肩から引っ掛けた大きなパンツや、開いたボタンから覗くおヘソが、太った女の子のイメージを表現している。
2018年10月23日メミューズ(MEMUSE)の2018-19年春夏コレクションが2018年10月20日(土)、渋谷・ヒカリエにて発表された。現役アイドル・でんぱ組.incのメンバーであり相沢梨紗が手がけるメニューズの今シーズンは、肌色の下着のような服を纏った女性たちが何人も地面に座り、不思議な空気感が流れる会場で行われた。”ラッピング”のように女性を包み込む洋服今シーズンのテーマは「ラッピング」。花やプレゼントなどで大切なものを包むように、女性を包み込むような洋服を提案した。オーガンジーやシフォンなど、様々な生地にラミネート加工をした素材を使用し、まるでラッピングするようにふわりと空気を含んだボリューミーなシルエットを作り上げている。ラミネート加工した素材でスリーブやスカートをボリューミーに膨らませたドレスは、まさに身体が包装されているよう。透き通る素材から、中に重ねたフリルのドレスが覗く。スカートやトップス、ジャケットまで、すべてラミネートされた素材で表現したルックも登場した。ツルリと軽やかな素材感と、ブラックのミニスカートやトップスのエッジーな雰囲気が、コントラストを生んでいる。「どこかの星に住むお姫様」をイメージ2次元と3次元の接点をブランドのコンセプトに掲げるメミューズ。今シーズンは、”どこかの星のお姫様”をイメージしたと語る相沢の言葉の通り、登場するルックはどれも幻想的でそれぞれが独自の世界観を持っている。ネイビーのドレスは、立体的に広がるスカートやたくさんのリボンが、まるで中世の貴族のドレスを彷彿とさせる。セーラー服を変形させたようなチュールのドレスも登場した。丸い耳がついたコートは、魔法少女の相棒である動物のキャラクターをイメージしているそうだ。
2018年10月23日ショーヘイ(SHOHEI)の2019年春夏コレクションが、2018年10月20日(土)に渋谷・ヒカリエで発表された。オーストリアのクリエイティブディレクターLisa Pek と山本昌平が手がける「ショーヘイ」。木の枝や真紅の花が飾られた和モダンを彷彿とさせる会場では、黒のドレスを身にまとった裸足の女性がエレキギターを演奏し、ショーが幕を開けた。”スポーツウェア”をモードに昇華コレクションは、高機能なパフォーマンスファブリックを得意とするショーヘイならではの、スポーティなルックが登場。スウェットやアウトドアジャケットなど、機能的な素材を採用したアクティブなウェアが、大胆なカッティングやアシンメトリックなシルエットによって、モードなスタイルに昇華されている。アウトドアジャケットをドレスのように着こなしたコーディネートが登場。袖の部分に切り込みを施し、腰元を同じ素材で絞り、ワンピースのようなスタイルに仕上げた。スウェット素材も自由自在に変形している。グレーのパーカーは、袖口がドレッシーに広がり、ゴアテックスのような機能的な素材で作られたタイトスカートと合わせられている。フォーマルな要素をミックスしてスタイリッシュにスポーティな要素に、カッターシャツやスーツなど、フォーマルな要素がミックスすることで、スタイリッシュでクリーンな空気感に仕上げている。ブルーのストライプ柄のシャツを変形させたようなキャミソールは、ストラップや背中のディテールにゴムが用いり、まるでスポーツウェアのようなアレンジが加えられた。カンペールのシューズとコラボレーションまた、今シーズンのコレクションは、カンペール(CAMPER)のシューズとコラボレーションしている。ランウェイでモデルが着用したのは、タイヤメーカー・ミシュラン製のアウトソールを使用した「ローリング」や、アウトドアブーツ「エリックス」などだ。靴のカラーが、トップスやジャケットの袖に取り入れられたオレンジなどの蛍光色と、シンクロし、ミニマムでスポーティなムードと共鳴している。
2018年10月23日アール エー ビー ディー(RABD)の2019年春夏コレクションが、2018年10月19日(金)に渋谷・ヒカリエで発表された。テーマは、「SHINJUKUSTYLE」東京コレクションに初参戦となるアール エー ビー ディーは、「ストリートでありながらモード、モードでありながらストリート」をコンセプトに、2017年に設立されたブランド。デビューコレクションとなるテーマは、「SHINJUKUSTYLE」だ。激しいノイズ&フラッシュの演出でスタート心地よいとは決して言えない、激しいノイズ、そして眼が眩むほどの照明のフラッシュと共に、ショーはスタートした。会場は、夜中まで若者で賑わう都会のクラブを表現しているのだろうか。大爆音のサウンドと、激しいフラッシュはショーが始まっても止まる気配はない。白×黒のカラーパレットランウェイに現れたモデル達が纏うのは、会場のフラッシュを現すかのような、白と黒に分かれたピース。強烈な照明演出にようやく眼が慣れてきた頃、その様々な表情を持ち合わせたスタイリングに気付かされていく。パンツは、ストリート間溢れるオーバーサイズが主流。裾を引きずるほど分量をゆったりと取ったパンツには、かっちりとしたレザージャケットを組み合わせて、ハードな印象をプラスする。レザージャケットは1つ1つ異なるデザインで作られていて、大胆に襟を裏返しにしたものや、首周りをすっぽり覆うような構築的なフォルムのものなど、その立体的なシルエットが目に留まる。連続の中に潜む“フェイク”眼を凝らしていると、見えてくるのは素材使いの面白さ。例えば、ハードなレザージャケットが続く中で、突然類似したシルエットのPVCジャケットが現れたりする。そんな“フェイク”からは、デザイナーの皮肉ともいえるような遊び心が感じられる。ハードな服の中で揺らめくベルトまた印象的だったのは、床まで届きそうなほどの長いベルト。モデルが歩く度に、ゆらゆらと揺らめき、自由なシルエットを描いていく。ハードな服の中で、その存在は際立っていて、観る者に余韻を残していた。
2018年10月22日ミューラル(MURRAL)は、2019年春夏コレクションを2018年10月19日(金)に、東京・代官山で発表した。“毒”と“ヘルシー”の両立しばしば毒っぽいと評されるミューラルだが、自分達は本当に毒を題材にした服を作りたいのか?という疑問から、毒と対極にあるヘルシーを組み合わせた“毒ヘルシー”をコンセプトに、新たなブランドのクリエーションを追求したとデザイナーの村松祐輔と関口愛弓は話す。クリエーションチームの勤務体制も整え、気持ちを一新して臨んだ今回のコレクションは、毒っぽさを残しつつも、使用されている素材やフォルムを見てみると軽やかな印象だ。発表された会場も、真っ白な床や壁によってクリーンな空間を演出。既存のイメージに縛られず解き放たれた、オープンなマインドが投影されていた。レースの絵画的表現上から下へと流れていくような、絵画の構図を取り入れたレースは、スペクタクルな華やかさを描く。複雑な造形を織り成す唐草と小花、大胆かつ妖艶に咲いた花の模様、スカラップと、ある種建築のように組み立てられている。ブルー・ブラックをベースに、見る者を惹きつける魅惑的な表情を見せる。クリムト《接吻》を象徴する金箔クリエーションのテーマには、クリムトの《接吻》を選択。絵画に用いられた艶やかなゴールドカラーを象徴するかのように、金箔を用いたアイテムも散見された。レースのトップスの上に重ねた金箔のキャミソールドレスは、シワ感とドレープ感が神秘的な空気を放つ。同じく緊迫で仕立てられたアシンメトリーのスカートは、布の流れに沿って様々な方向に光を反射し、立体感のある輝きを放つ。透明感・輝き・色彩また、シアーな素材や透明感のあるオーガンザなども散見された。首にストラップを施し、ストールを巻いているかのように見えるブラウスは、光を反射し表情豊かに輝く。透け感のあるレース素材で仕立てたパンツには、半透明のジャケットをスタイリング。ポケットに色鮮やかな花を入れ、ファブリックを通して色彩を見せることで、淡く刹那的な空気感を漂わせていた。
2018年10月22日リロト(liroto)の2019年春夏コレクションが、2018年10月19日(金)に北青山・Palm maison Tokyoで発表された。小さなフロアをショー会場に選んで昨シーズン、ファーストコレクションを発表したことが記憶に新しいリロト。ランウェイの上で朗読を繰り広げるなど、その斬新な演出で、デビュー戦をしっかりと人々の脳裏に焼き付けた。今季デザイナーの富塚尚樹が発表の場に選んだのは、北青山に位置する小さなフロア。会場にぎゅうぎゅうに押し込まれた群衆の中で、“今回は一体どんなショーを観れるのだろう”と、期待に胸を膨らます。やがて会場のライトの消灯の合図と共に、ショーがスタートした。そう、それはとてもシンプルな方法で。ピュアな少女が持つ毒々しさ観客席と観客席の間に作られた手作りのランウェイに、モデルたちが現れた。会場に響くのは、富塚のお気に入りのアーティスト・カネコアヤノの弾き語り。柔らかな歌声で歌詞にのせるのは、少女のようなピュアな感情と、時に毒っぽいスパイス。その詩的で独特な世界観が、富塚の思い描くクリエーションと重なり合ったという。甘さ×辛さをクリエーションで表現ファーストルックから続くのは、そんな世界観を体現したかのようなドレス群。フリルをたっぷりとあしらっているけれど、背中に大胆なカッティングが入っているピースや、バレリーナのようなチュールが付いた前身頃に、チェック柄のオーガンザを差し込んで、パンキッシュに仕上げているピースなど。甘さ×辛さが入り混じった空気感を纏っている。カラーパレットで二面性を描くカラーパレットでも、その二面性を表現した世界観が再現された。小さなリボンと花のモチーフをたっぷり散りばめた、純白のカットソーは、少女のようなピュアな印象。しかしその次に現れたのは、ブラック×赤をミックスした同デザインのピースで、その色彩が変わるだけで、毒々しさに満ちたピースへと姿を変えているのが分かる。リロトの持つ世界観今季のショーについて、“特にテーマは設けてない”と話す富塚。2回目となるコレクションの発表の場では、何か特別な演出で人々を魅了するのではなく、じっくりと洋服を鑑賞できるような方法を選びたかったという。あっと驚くような瞬間こそはなかったものの、“リロトワールド”をたっぷりと味わえたコレクション。観客たちは満足した表情で会場を後にした。
2018年10月22日ザ ダラス(THE Dallas)は、2019年春夏コレクションを、2018年10月19日(金)に渋谷・マスタードホテルにて、プレゼンテーション形式で発表した。ホテルに3人の“私”の部屋が登場「I am」=“私は私”をテーマにコレクションを展開したザ ダラスは、マスタードホテルの中に3種類の部屋を用意。“スイートな女の子”をイメージしたフェミニンでロマンティックなイメージの部屋、“キャリアウーマン”をイメージした、勤勉な女性の部屋、そして“恐竜”の部屋。「私が着たい服を着る」という意思によって選び取られたファッションの世界を、それぞれの部屋に投影した。“スイートな女の子”の部屋“スイートな女の子”の部屋には、アンティークのぬいぐるみやお菓子を飾り柔らかな雰囲気を演出。ラックにかけられているレースをあしらったドレスは生成りの生地と組み合わせて仕立てられており、クラシカルなムードを放つ。総レースのセットアップも、エアリーで柔らかな印象だ。マスタードカラーのセットアップは、背中の大きく開いたブラウスのデザインが印象的。袖にはたっぷりとギャザーを寄せ、襟に金属のパーツをあしらうことでヴィンテージ感を強めている。部屋の中には、存在感のあるアクセサリーがオブジェのように展示されていた。ミニマルなデザインや透明感のある素材、金属質の素材を組み合わせて作られたアクセサリーは、芸術作品のような仕上がりだ。プラスチックを植物のようなフォルムに形作ったイヤリングは、未来的で構築的な美しさを見せる。“キャリアウーマン”の部屋“キャリアウーマン”をイメージした部屋には、たくさんの書籍が机の上に開いて置いてあり、勉強好きな“彼女”の日常を連想させた。ベッドにはブラックのセットアップに身を包んだモデルが横たわっていた。クールで知的な雰囲気の漂うジャンプスーツは、マニッシュながらもエレガント。ニュートラルで、凛とした佇まいを見せる。“恐竜”の部屋“恐竜”の部屋に足を踏み入れると、そこには恐竜が。迫力いっぱいの人形がお出迎えしてくれる。室内には、映画『ジュラシック・パーク』とコラボレーションしたドレスをまとったモデルが座っている。恐竜をデフォルメし、グラフィカルに並べたプリントは、スモーキーな色彩で表現。わずかにオールドな感じを漂わせ、上品さも感じさせた。また、恐竜の卵ををイメージした、透明のパーツを連ねたイヤリングも登場。カラフルかつ澄み渡った卵が光を通し、きらきらと清らかな輝きを見せる。コラボレーションアイテムはその他、プリントTシャツやパンツを展開する。着方によって多彩な表情を生み出す服それぞれの部屋の外にも、着方によって、クールな表情にも愛らしくも変化する振り幅を持ったアイテムを揃えた。薔薇を壁画のタイルのように描いたプリントのブラウスやパンツ、バックにタックを取り、ユニークなディテールをあしらったイエロー&ブルーのストライプシャツやスカートなど、セットアップではもちろん、多彩な組み合わせを楽しめるようなウェアを提示した。
2018年10月22日メアグラーティア(meagratia)の2019年春夏コレクションが、2018年10月19日(金)に渋谷・ヒカリエで発表された。テーマは「incomplete」東京コレクション初参加となるメアグラーティア。花の不完全な美しさに着目したいうデザイナーの関根隆文は、天井を埋め尽くすほどの、無数のドライフラワーを会場に吊り下げた。コレクションテーマは、「incomplete」。花で溢れたコレクション蕾が膨らみ、満開となり、やがて花びらを落として土へと戻っていく。“完成形”はないけれど、あるがままの美しい花々に魅了された関根は、そんな花の魅力を様々な形でクリエーションへ落とし込んだ。シャツを彩るのは、瑞々しいブルーやピンクの小花を散りばめたテキスタイル。モデルの顔には、洋服から浮き出てきたかのようなリアルフラワーがペイントされている。また会場に吊るされている花と同じように、ドライフラワーのモチーフをフロントに配したスウェットも登場した。植物の生命を育むアースカラーコレクションを彩るのは、淡いカーキーやブラウンといったアースカラーや、時折差し込まれるみずみずしいブルー。それらのカラーパレットは、花の土台を作り上げる土や森林、水を連想させる。ジャケットやTシャツは、まるで着古したようなやわらかな質感で、端正な顔立ちのモデルでさえも、親近感を覚える自然体の様子に映してくれる。“不完全”なシルエット印象的だったのは、シャツやアウターの裾に取り付けられた、切れ端のようなテキスタイル。裾からぶら下がるようにして取り付けられたこの生地は、ボタン付きで取り外しも可能。右側だけぶら下げていたり、ほぼ落ちそうになっていたり、そのアレンジは様々だ。前から見るときっちりとしたシルエットのジャケットでさえも、バックスタイルでは予測のできない“不完全”なシルエットを描き、観る者に余韻を残していた。レザーシューズで温かみをプラスフットウェアには、リベルタス(LIBERTAS)のレザーシューズを採用。クラフト感のある一足は、温かみのある雰囲気を足もとに添えていた。
2018年10月22日ヴィヴィアンノ スー(VIVIANO SUE)の2019年春夏コレクションが、2018年10月19日(金)に発表された。テーマは"驟雨"シーズンテーマは「Ondée」。フランス語で、急に降りだすにわか雨の意味を持つ"驟雨(しゅうう)"をインスピレーションの源に、突発的に振り出した雨が、周囲一帯にもたらす変化を表現していく。会場に一歩足を踏み入れると、降って止み、止んでは降りを繰り返す雨の音が鳴り響いていた。ランウェイに登場したモデルの髪やメイクは、雨に濡れてしまったかのようにウェッティーだ。装飾やパターンでにわか雨を表現樹木に雨水が滴り、土が崩れ、そこから石が覗く...そんなにわか雨がもたらす自然の表情を洋服に落とし込むために多用されたのは、ふんだんな装飾、そして多様なパターン。ジャケットに四角形の布を何枚も重ねたり、トレンチコートにフリルを複雑に配置したり。ジャケットの肩や裾から垂らした、床につくほど長いベルトも、降り注いだ雨が樹木や地面をつたって流れていく様子を示しているかのようだ。雨に打たれ、崩れ落ちた土から覗く岩肌は、ベージュカラーのロングコートに差し込んだ、シャイニーな輝きのスパンコールに姿を変えている。雨水を連想させる模様は、天から地に降り注ぐ雨の様子をイメージしたストライプ、縦横無尽に入り乱れる雨風のようなチェック柄。また、大理石と水の組み合わせをイメージしたというオリジナルプリントも、軽やかな素材のドレスに起用されている。雨に負けない素材雨風に負けない素材も印象的に使われていて、一貫して足元を彩っていたPVCのブーツは、その象徴といえるだろう。シンプルなショートブーツや、レースアップブーツ、スニーカーなどが、モデルたちの足元を水しぶきから守っているかのようだった。ショーのラストを飾ったのは、ボリューミーなドレス群。チュールのフリルを幾重にも重ね、複雑に手繰り寄せたこれらのドレスは、贅沢な装飾で驟雨を表現した今季のシンボルのように、ショーの幕引きを惜しむ観客たちを魅了していた。
2018年10月22日ナード ユニット(NERD UNIT)は、2019年春夏コレクションを2018年10月19日(金)に発表した。ソーシャルメディアに支配された社会への反発今シーズンのテーマは、SNSやインターネットに支配されている若者達に向けた“Mindf*cked Generation”。SNSやインターネットは、今や必要不可欠なほど生活に浸透しているツールであるが、その一方で社会的に孤立したり、落ち込んだりする人もどんどん増え、人と人との本質的なコミュニケーションが損なわれている。ソーシャルネットワークに支配されていくことへの反発を、服で表現した。リップモチーフや旧式パソコンのグラフィック目に留まるのは、コラージュされたグラフィック。歯を見せたリップモチーフは、顔の見えないネットワーク上で交わされる言葉の象徴だろうか。旧式の箱型デスクトップパソコンや、コンピューターの警告表示とともに、散りばめられているのは「不正常世代」の文字。ソーシャルネットワークに覆われた、不健全で闇を抱える社会を揶揄するようなグラフィックは、オーバーシルエットのブルゾン全面にプリントされ、存在感を放っている。その他、アナログなパソコンや、脳みそのイラストなどを、スウェットのバックプリントに採用。テーマの“Mindf*cked Generation”は、デジタルなフォントで様々なウェアに投影されている。落書きのような軽快さで、社会の矛盾に対する主張を表示していく。アイキャッチなカラーリングネオンイエローやオレンジ、鮮やかなブルーなど、アイキャッチなカラーリングは、スタイリングのアクセントとして大胆に用いられた。ネオンイエローのTシャツや、ブラックのカットソーに組み合わせられたオレンジのパンツは、その鮮やかさでスクリーン上の、若者達の虚像やイメージを浮き彫りにするようだ。スポーティー&ラフアイテムは、スポーティーなイメージのトレイルスーツやジャケット、リブパンツなどが散見された。タイトなシルエットのタンクトップなどは、アクティブさを表現している。また、スウェットパーカーやアウターはラフなオーバーサイズがメイン。ドロップショルダーのブルゾンは背中と両袖の後ろ側でギャザーと共に切り替えられ、ボリューム感とともにユニークなフォルムに仕立てられている。反骨精神の象徴また、メタリックやラインストーンでロゴを形作るなど、不良っぽさを感じさせるディテールも見て取れた。ボアの襟をあしらったレザージャケットや、カモフラージュのように見えるペイントなど、力強いウェアの表現、また、モデル達の顔に施されたフェイスプリントは、反骨精神を象徴的に表現していた。
2018年10月22日まとふ(matohu)が10月16日、表参道ヒルズ 本館 B3F スペース オーで2019年春夏コレクションを発表した。シーズンコンセプトは「手のひらの旅・一 小さき衣」。これまでのようなランウェーショーではなく、プレゼンテーション形式での発表となった今シーズン。プレゼンテーションはこれまでとは逆、冒頭にデザイナーの堀畑裕之と関口真希子が登場。「今回は新しい見せ方のプレゼンテーション、新しいシリーズ『手のひらの旅』の出発点になります。手でものを作ること、手仕事の力が輝いて見えます」など、プレゼンテーションやテーマへの思いを説明することから始まった。続いて、デザイナー2人が今年の夏、青森県津軽への旅の記録映像を上映し、津軽の自然や祭、風土から、そこで生まれたブナコ、こぎん刺しを伝える研究所、七里長浜までを紹介。その後、デザイナー自身が狙いやポイントを説明しながら3人のモデルが登場。肩と腰に刺し子を使ったコートや胸と襟裏に刺し子を配したジャケットなど、刺し子を現代的に解釈し、軽くスポーティーに仕上げたデザインや、弘前の気候から生まれたこぎん刺しへのオマージュを洗練させたレースのように表現したジャケットなどを発表した。また、刺し子がどのように使われているのかや、ディテールなどを見て、触れることができるように、モデルが着用した3体に加えて、ボディに着せた20体のコレクションや「ブナコ」を使った作品なども展示した。日本の美意識が通底する新しい服の創造をコンセプトに2005年にブランドを設立。スタートから5年間10回は日本の歴史からインスパイアされた慶長の美シリーズを、2010年からは新しいテーマ日本の眼シリーズをスタートし、日本の美意識とは何かを問いかけるコレクションを続けてきたまとふ。堀畑は「ファッションショーをやめるわけではないが、時代が変わった中で、イメージが消費されるだけではないものにしたかった。日本の美意識をテーマにしてきたが、これからの5年間の『手のひらの旅』シリーズは守破離で言えば、離れ、新しいものを生み出す離の部分。服にとらわれず、いろいろなチャレンジをしていきたい」。関口は「これが終わりではない。手のひらの美は世界中にあるので、世界の土地土地に根付いた手仕事などもやっていきたい」と話している。2020年1月には表参道のスパイラルで「日本の眼」コレクションの展覧会を開催することも決定した。
2018年10月22日ウィーウィル(WEWILL)は、2019年春夏コレクションを、2018年10月18日(木)に表参道ヒルズ・スペースオーで発表した。「ある画家の一生」をイメージ今シーズンイメージしたのは、「ある画家の一生」。“自分がもし画家だったら?”という想定のもと、ベーシックな紳士服を丁寧に仕立て、画家の道具を収納するためのディテールをプラスしている。キャンバスを持ち運ぶトートバッグには“The bag contains will”というメッセージを刻印。また、ポケットにデッサン人形を入れたり、首から絵筆を提げたりと、絵とともに人生を歩んでいく人の日常に寄り添うスタイリングが展開された。絵の具のような白のジャケットカラーパレットは、淡く落ち着きのあるホワイトやベージュ、アイボリーにシックなブラック。絵の具のペーストのような厚みを感じさせる白で彩られたワークジャケットは、全体的にゆったりとしたシルエットが印象的。大き目のポケットや、バサリと羽織ることのできるラフな表情が、リラックスしたムードを描き出す。組み合わせた、真っ白な色味のクリーンなシャツやパンツは、清涼感を演出した。丁寧な仕立てと素材の表情素材をできるだけ加工せず、またしっかりとした仕立てで服を作りたい、というデザイナー・福薗英貴の言葉通り、ストレートな表現や、まっさらな素材の表情を感じ取れるピースが散見された。オーバーサイズに仕立てられたテーラードジャケットは、素材由来のシワ感やドレープ感によって、ライトな空気感をまとっている。親しみやすい軽快さを持ちながらも、上品さを失わないのは端正な仕立てがあってこそのものだ。体型を問わずきれいに見える造形袖が余る程のゆるやかなニットや、裾にかけて波打つデニムパンツ、ギャザーを寄せ、たっぷりと生地を使うことで、身体に沿って流れるようなシルエットを描く生成りのロングシャツなど、ゆとりを持たせた造形によって、体型を問わず美しく着ることのできるフォルムを目指した。袖を通すことによって生まれる服の凹凸や曲線は、着る人それぞれのパーソナルな表現になる。ユニークな佇まいのトレンチコート肩幅や襟を大きくとったトレンチコートも、独特の佇まいを見せた。クロップドパンツと合わせ、ボトムスを軽くして上に重心をキープすることで、品のあるマニッシュさを漂わせている。また、燕尾服をベースにしたホワイトのセットアップも登場。ジャケットの襟や、パンツのサイドラインに挿し色としてブラックを用いることで、アクティブなイメージをプラスしている。
2018年10月21日ヒロコ コシノ(HIROKO KOSHINO)の2019年春夏コレクションが、2018年10月18日(木)、東京・恵比寿ガーデンプレイス内「ザ・ガーデンホール」にて発表された。テーマは「変幻自在」今シーズンのテーマは「変幻自在」。表と裏、平面と立体、といった相反する属性のものを同居・調和させ、全く新しい世界へと誘う。異柄を組み合わせたシャツスタイルロングシャツにショートパンツを合わせたシンプルなスタイルだが、シャツ前面は同柄を縦・横と異なる位置に、背面には異なるシャツをボタンで合わせた。ボタン部分を開けて右腕を出した状態が、まるで半袖シャツを着ているようにも見えるユニークなルックだ。ジャケットをアシンメトリーなトップスにオレンジとホワイトのストライプが鮮やかなセットアップ。ジャケットは、袖をデコルテ部分で結び、肩出しアシンメトリーなトップスへと変貌を遂げた。ジャケットを結んだことで生じるトップスのストライプ柄の"歪み"が、ルックをよりポップで印象深いものにした。"創造の空間"へと誘うセットアップ今までは服の構造で立体的に"変幻自在"を表現したものを紹介したが、本ルックは平面的、つまり柄でもって創造性の高さを表した。深海のようにも、宇宙のようにも見える空間には、魚や目玉を持つリップマークが描かれている。また、ボトムス部分は黒のシフォンレースをベールのように覆い、シュールリアリスティックな柄に夢想的な雰囲気を纏わせた。軽やかな風を吹き込むリゾートスタイル最後に紹介する山水画柄のロングドレスは、"荘厳な風景を描いた山水画"とはかけ離れた、リゾートスタイルに相応しいキッチュなタッチに。これには「閉塞した時代に軽やかな風を吹き込みたい」というコシノヒロコの想いが込められている。"違和感"という言葉に「違いを"和"にする感性」という新しい解釈を与え、新しい始まりには異なる"何か"が必要だというコシノヒロコ。本コレクションにて、後者の"違和感"が「ヒロコ コシノ」というブランドに新しい風をもたらしたのかもしれない。
2018年10月21日トクコ・プルミエヴォル(TOKUKO 1er Vol)の2019年春夏コレクションが、2018年10月18日(木)に東京・渋谷ヒカリエにて発表された。太陽の国“ウルグアイ”に恋して毎シーズン、旅先や世界各国の民族衣装などからインスピレーションを得て、テーマを設定するトクコ・プルミエヴォル。今季デザイナーの前田徳子が選んだのは「ウルグアイ」だ。前田徳子が訪れたのは、まさに街中がお祭りムードで賑わうカーニバルの季節。陽気なムードと、ウルグアイに溢れる美しい自然を、クリエーションの上で表現した。“カーニバル”プリント×水玉模様で楽し気にリズミカルな音楽と共に、ファーストルックから出迎えてくれたのは、“カーニバル”をイメージした楽し気なプリント。ダンスやお洒落を楽しむ人々を描いたユニークなテキスタイルは、カーニバルで使用される伝統衣装をはじめ、シルエットの異なるドレス郡にポップな彩りを与える。また、ふんわりと膨らむスリーブや、ドレスを彩るフリルには、時折ポップな水玉模様も登場していて、お祭りのハッピーな雰囲気を助長する。街並みで見かけた風景もドレスにウルグアイの首都・モンテビテオで見かけたというストリートアートの世界も、ドレスのプリントとなって蘇る。黒のキャンバスに、赤やイエロー、オレンジなど鮮やかなカラーパレットで描かれたアートは、街で感じた空気感を鮮烈に表現しているかのようだ。森が誘う自然豊かな世界ゆるやかな音楽と共に、やがて舞台は都会から、自然溢れる森の中へと移動していく。テキスタイルを彩るのは、昆虫のモチーフや優雅な花模様。また、生地の上をうねるように駆け巡るブルーの幾何学模様のピースや、水色のシフォンが自由に揺らめくドレスからは、豊かな自然に命を与える清流を連想させる。ラストを飾る“ガウチョスタイル”ショーの終盤に近づくと、再び陽気な音楽が会場に響き渡る。続々と登場するモデルたちが纏うのは、ウルグアイの伝統衣装“ガウチョ”を取り入れたドレスだ。花模様や、みずみずしいグリーンに彩られた楽し気な“ガウチョドレス”は、フィナーレに向けて会場の雰囲気を盛り上げていく。そしてラストに現れたのは、眩しいほどのイエローを差し込んだガウチョスタイル。モデルはやがて、会場の天井から吊るされたウルグアイの国旗のモチーフ“太陽”の下へと移動する。太陽の色とドレスの色合いは驚くほど一致していて、それはまるでウルグアイの太陽が、ピースとなって現れたかのような神々しさを放っていた。
2018年10月21日鈴木えみが手掛けるブランド「ラウタシー(Lautashi)」の2019年春夏コレクションが、2018年10月18日(木)に南青山・UNTITLEDにて発表された。鈴木えみ×落合陽一×KAITO SAKUMA a.k.a.BATICインスタレーション形式を選んだ、東京コレクションのデビュー戦。発表の場には、2人のトップアーティストを召喚して、街角に佇む一日の風景を光と音の芸術で再現する。光の演出には、メディアでの活躍も目立つ落合陽一、音楽には、映画音楽やCM楽曲で数々の賞を受賞しているKAITO SAKUMA a.k.a.BATICが担当。テーマは、「光のタイムマシン」だ。暗闇の会場を照らし出したのは、街角で見つけたネオンや車のヘッドライトをぼかしたという眩い光。そこには、街の雑踏の中に紛れ込んでいるような重低音が響いていて、その音の強弱に共鳴して光も動きを変えていく。日常の中で見過ごしている光と音。その中で佇むモデルが纏う服こそが、リアルに満ちた姿である。光によって映しだされる多彩なシルエットワンピースや、カジュアルなTシャツ、セットアップなど、会場に並べられたピースは、様々な要素を孕んでいるものの、日常で着やすいベーシックなアイテムが多い。そこにオリジナリティを加えているのは、光の演出によって様々な表情を魅せてくれる多彩なシルエットだ。ギャザーを連ねたスカートや、アシンメトリーなフリルを重ねたワンピースは、モデルが動いていないにも関わらず、光の演出によってその立体的なフォルムが強調されている。異なる質感で魅せるテキスタイルの表情また素材によって、映り方が全く異なるピースも存在する。ひと際目を惹いたのは、星座のモチーフを散りばめたテキスタイル。白のポリエステルドレスは、光の動きによって、滑らかな光沢を帯び、ドレッシーな雰囲気に。一方厚地のネイビースカートは、光を吸収して、ダークな印象すらも感じさせる。「日常着としてのファッション」「リアルな日常の中にある洋服をより近くで見てほしかった」と語る鈴木えみ。今回の発表の場を通して、日常に溢れた光も、洋服の表情を作り上げる存在であることに気付かされる。ブランドのコンセプト「日常着としてのファッション」を、リアルな方法で体現したコレクションであった。
2018年10月21日HYKE(ハイク)の2019年春夏コレクションが、2018年10月18日(木)に発表された。インスタレーション形式から、本格的なランウェイショーへと発表の場を移行したHYKE。ファッションショーの舞台となったのは東京・寺田倉庫、コンクリートに覆われた無機質な会場だ。裁縫工場など洋服を作る現場で採取したという音を使ったショーミュージックも相まって、ランウェイはインダストリアルなムードに包まれた。アメリカ、イギリス、フランスの軍服を再構築シーズンテーマを設けず、何かしらのスタイルや古着などをインスピレーション源に新作コレクションを築き上げているHYKE。今季は前シーズンに引き続き"ミリタリー クロージング(MILITARY CLOTHING)"をキーワードとしながら、アメリカ、イギリス、フランス...と複数の国々の軍服を再構築したピースを展開していく。ファーストルックを飾ったのは、アメリカ海軍のデッキパーカ"サルベージパーカ"をアレンジしたプルオーバー。特徴的な大きいポケットを斜めに傾けて配置したり、袖口をベルトで結んだようなディテールを施したりすることで、モダンな印象に仕上げている。ストライプ柄のシャンブレーシャツは、パフスリーブとアシンメトリーな裾を採用したエレガントなドレスへと姿を変えた。ウエストをマークするロープ風のベルトが、海兵のユニフォームとしての面影も感じさせる。ミリタリークロージングを再構築したアイテムが、トップスやアウターだけでなく、ボトムスにも散見されたことは、今季の特徴の1つかもしれない。ランウェイでは、アメリカ陸軍のフィールドパンツをベースとしたボリューミーなシルエットのカーゴパンツや、イギリス陸軍のグルカショーツをモデルにしたハーフパンツ、フランス陸軍のモーターサイクルパンツをアレンジしウエストや裾にベルトディテールを配したロングボトムなどが展開された。コレクションを彩るのは、カーキやベージュといったアースカラーをベースに、ホワイト、ブラックなど。また、HYKEとしてはめずらしい鮮烈なレッドもポイントカラーに起用し、アイコニックなパイソン柄ドレスやシューズなどを染め上げていた。シアーなピースでフェミニティをプラススタイリングで特筆すべきは、こういったアーミーなピースに、シアーな素材を差し込むことでフェミニティを加えている点。デッキパーカには透け感のあるプリーツスカートを合わせたり、フライトジャケットから軽やかなワンピースを覗かせたりすることで、柔らかな女性らしい印象をプラスしている。ザ・ノース・フェイスとのコラボ第3弾また、2018年春夏、秋冬に次ぐ3シーズン目となる、ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)とのコラボレーションコレクションも披露。ランウェイに現れたのはブランドロゴをフロントにあしらったポンチョ風ロングコートや、ブロックカラーを取り入れたトップス、プリーツスカートなど。アウトドアウェアとしての機能性や、ザ・ノース・フェイスのヘリテージを感じさせるデザインはそのままに、HYKEらしいモダンな解釈を加えたピースが揃った。また、控えめにロゴを配したキャップやソックス風スニーカーなど、過去のタッグでは見られない新しいアイテムの登場も予感させた。
2018年10月21日アクオド バイ チャヌ(ACUOD by CHANU)が、2019年春夏コレクションを2019年10月17日(水)に、東京・表参道ヒルズで発表した。ランウェイには、俳優や歌手として活躍する城田優が登場。テーマは、“フォーエバースリル”今季のテーマは、“フォーエバースリル(forever thrilled)”。数年ぶりに、母国の韓国に帰郷したデザイナー・李燦雨は、慣れ親しんだ土地や人々に触れることで、童心に返ったようなワクワク感を覚えたという。目まぐるしい日々の中で、気づかないうちに忘れていく子供時代のワクワク。大人になってからも、その気持ちを忘れないでほしいという気持ちを、クリエーションへと落とし込んだ。おもちゃの夜会がスタート「きらきら星」のオルゴール音と共に、会場に現れたのは5人のダンサー。心臓の鼓動のような激しいビートを時折織り交ぜながら、そのリズムに合わせてブリキのような機械的なダンスが繰り広げられる。そしてその隣には、ブランドの衣装をまとった「レゴ」のオブジェが登場。どうやらこのショー会場では“おもちゃの夜会”が始まるようだ。大好きなおもちゃから着想を得たパターンダンサーと入れ替わるようにして、頭にレゴのヘッドピースを飾った“ぜんまい仕掛け”のモデルたちが現れた。今季のコレクションを彩るのは、子供の頃に遊んだ大好きなオモチャが着想源という、グラフィカルなプリント。消防車や機関車をイメージしたその模様は、イエローやレッドに彩られていて、プレイフルな雰囲気を纏っている。しかし大人のカッコ良さも忘れたくはないから、時折ハードなブラックをアクセントに差し込んでいる。ジップに遊び心を添えてブランドを象徴するディテールのジップは、より自由な精神で洋服の上を駆け巡る。ソフトな質感のフーディーコートや、ジャケットのスリーブに張り巡らされたジップは、開放することで、予測のつかない自由なシルエットを演出する。バックスタイルにも仕掛けがバックスタイルの装飾にも、ワクワクの詰まった仕掛けが施されている。李燦雨の干支にちなんで登場した“龍”は、きらきらと立体的なスパンコールをあしらって、躍動感溢れる仕上がりに。日本のカラクリ玩具をイメージしたというモチーフには、実際に板のような骨組みが入っていて、モデルが歩く度にぱたぱたと揺れ動いていた。ショーのラストには、モデルのぜんまいがきれてしまうという演出も。そろそろおもちゃたちは、元にいた世界に戻らなければいけないようだ。オルゴールの音ともにランウェイを後にするモデル達。会場に残された観客は、まるで子供のように目をキラキラとさせて、盛大な拍手を送っていた。
2018年10月21日コトハヨコザワ(kotohayokozawa)が、2018年10月17日(水)に、2019年春夏コレクションを渋谷ヒカリエで発表した。日常に溢れる愛用品に目を向けて今シーズン、デザイナーの横澤琴葉が着目したのは、身の回りある“日用品”。普段は気に留めないものでも、周りを改めて見渡すと、なくてはならない大切な“モノ”で溢れている。ショーの中では、横澤琴葉がお気に入りとする日用品をかき集めて、クリエイションに反映。何気ない日常風景を映したパネルラックと共に、ランウェイの上で披露された。“お気に入り”を集めたオリジナルテキスタイル何度も洗濯したTシャツや、昔から使っている食器、バケーション先に必須なサングラス…。挙げればキリのない日常の愛用品は、テキスタイルとなって姿を現した。すっきりとしたシルエットのワンピースやブラウス、プリーツを施したセットアップなど、実用的でベーシックなアイテムにプレイフルな彩りを添えている。洗濯ばさみやポケットティッシュがアクセサリーに!洋服の“アクセント”と呼んでいいのかは定かではないが、間違いなくスパイスをきかせているのは、日用品の現物だ。胸元に留めた洗濯ばさみや、ネックレスのように首からぶら下げたポケットティッシュ、ダメージジーンズの隙間から顔を覗かせる新聞紙など。その自由で斬新なアイディアに、思わずにやりと笑ってしまう。会場には、楽し気な空気が流れる。お気に入りの洋服もドッキングアトリエで埋もれていた過去のサンプルも、ランウェイの上で蘇った。片方に仮縫いをしたままのテキスタイルを、もう片方に切りっぱなしのデニムを配したパンツからは、“お気に入りの生地を組み合わせてしまおう!”というデザイナーの遊び心が感じられる。何か新しいものを加えるのでなく、周りにある大切なものに今一度目を向けること。型に捕らわれない自由で楽しいファッションが生まれる瞬間は、何気ない日常に潜んでいるのかもしれない。
2018年10月21日アキラナカ(AKIRA NAKA)の2019年春夏コレクションのルックが公開された。今季は、コート・ダジュール (Côte d’Azur)をテーマに、南仏のリラックスしたムードを表現。今までのコレクションにはなかった、さまざまなカラーパレットを使用したコットンシルクやリネンレーヨンなどのリラックス感のある天然素材のテキスタイルに、モダンなカッティングを加え新しいデイウェアを提案。ウィークエンドや旅先などのリラックスしたシーンでも特別さを演出してくれるコレクションとなっている。また、2019年春夏シーズンよりシューズラインも展開が開始される。こだわり抜いた素材を、解剖学や人間工学に基づいて作った木型を使用し、熟練した職人の手によって作られたシューズは、上質でありながら快適さも併せ持つ一足となっている。
2018年10月21日クリスチャンダダ(CHRISTIAN DADA)の2019年春夏コレクションが、2018年10月17日(水)東京・DOUGENZAKA PARKINGにて、ベッドフォード(BED J.W. FORD)との合同発表ショーで発表された。テーマは“RE:ACTION”今季フランス・パリで2019年春夏コレクションを発表したクリスチャンダダは、“スピンオフ”として「Amazon Fashion Week TOKYO 2019 S/S」の為だけに制作した新作を披露。テーマは“RE:ACTION”だ。会場に選ばれたのは、鉄板できた無機質な駐車場。眩いほどのスポットライトが照らし出されると、螺旋を描く細長い主通路はたちまちランウェイへと変貌し、モデルたちが登場した。古着の再構築というアイディアデザイナーの森川マサノリが今回フォーカスを当てたのは、シャツ。古着の再構築という発想から作り出されたピースは、従来のものを一度解体して、オリジナリティ溢れる一着へと仕上げている。例えばクラシカルな白シャツは、後ろを振り返るとぱっくりと肌を露出させた大胆なカッティングが加えられている。またスリーブを翻したようなデザインのシャツワンピースも登場した。プレイフルなレイヤードスタイルひと際目を惹いたのは、シャツを取り入れたレイヤードスタイル。セットアップのストライプシャツには、前身頃を繰り抜いた“ベスト型”のシャツを合わせていたり、落ち着いたネイビーのシャツには、途中からストライプ柄に切り替わった黒地のシャツを重ねていたりする。共通項のあるピースでも、柄や質感の異なるものが身を寄せ合うことで、プレイフルな印象を届けてくれる。グラフィックをあしらってシャツを彩るのは、ブランドが得意とするグラフィック。ダークで退廃的なデザインは、古着を意識したどこか朧げなホワイトカラーと共鳴していた。
2018年10月21日ミューズ(MUZE)の2019年春夏コレクションが2018年10月17日(水)に東京・渋谷ヒカリエにて発表された。前シーズンから引き続き、今季もまたパラドックストーキョー(PARADOX TOKYO)と合同でランウェイを披露した。パラドックス トーキョーからバトンを受けミューズがスタート今季は、日本体育大学の伝統的な「エッサッサ」の応援を受けて、ショーをスタート。その熱気は、最後まで変わらず、パラドックス トーキョーの後に登場したミューズにも、力強い応援がこだましていた。サッポロラガービール、通称“赤星”とコラボミューズのランウェイには、コラボレーションが豊作だ。それを最初に主張したのがファーストルックに登場した、サッポロラガービールとのコラボレーションによるストリードムード満点のセットアップ。開襟シャツの中にはカッターシャツを合わせていて、さらにはネクタイをピシッとしめている。中盤に登場したベルトのようにして巻いたスカーフは、クラシックなチェック柄のジャケットとクロップド丈のタンクトップでセット。そこには新旧が往来していて、意外性のある組み合わせからは違和感を感じざるを得ない。でも、そこには大切な思いが込められている。サッポロラガービールは、赤星の愛称で親しまれてきた、日本で最も歴史のあるビールブランド。今季は、テーマをフューチャークラシックと掲げていて、古きよきもの伝統的に繋げていこうという考えの元スタートしている。だからこそ、日本で最も歴史のある“赤星”を採用したのだ。また、海外のものを日本らしく、という想いも今季の重要なポイントで、そのために“赤星”の懐かしいパッケージたちはすべてスカーフ柄のように再考されている。米カジュアルブランド「トロイ」とのコラボもそのテーマを踏襲しているのは、もうひとつのコラボレーションでも同じ。それがトロイ(TOROY)。トロイは、パイプマークのワンポイントブームを巻き起こし一世を風靡したアメリカンカジュアルブランド。今シーズンはそれを、大胆にトップスにあしらったり、ブルゾンのバックスタイルに配したりして、どこかレトロな雰囲気を纏わせた。それを現代的にしたのは、ディテールやカラーパレットで、特にトロイのパイプマークを配したブルゾンは、ビビッドパープルとオレンジのビビッドカラーでプレイフルかつアクティブに表現した。サッポロラガービールとトロイに共通するのは“昔から愛されているもの”という点だけでなく、これを世に広めた開拓者であるということもそうだ。ここには、デザイナーの柴原寛と石田正敏が今後、自分自身も開拓者として歩めれば、という願いをも込めているという。コラボレーションが盛大だからこそコンセプトは明確にそのほかにも豊田通商とタッグを組み、透湿防水性のある独自素材「ゼラノッツ」を採用したトレンチコートやレインバッグなども提案。また、雪駄やタビなどの日本らしいものを登場させることで、海外のものを日本らしく取り繕う今季のムードを絶やさなかった。象徴的なコラボレーションが多数登場するなかでも、今季のテーマはひと目で分かるほど明確だった。テリー伊藤がモデルとして登場コラボレーションだけが豪華なわけじゃない。今季はランウェイを歩いたモデルたちも個性に溢れていた。パラドック トーキョーでは日本体育大学の学生が登場したのに対し、ミューズはとびきりのサプライズゲストを呼んだ。特に観客からも驚きの声が上がったのがテリー伊藤。彼を選んだ理由について、「古き良きものを今に、というテーマを象徴するには、これまで変わらず多方面で活躍し、今後もエンターテインメント界を開拓していくであろうテリー伊藤さんが適任だった」とデザイナーの2人は語った。なお、そのほか木村俊作も同じくランウェイに登場している。
2018年10月20日パラドックス トーキョー(PARADOX TOKYO)の2019年春夏コレクションが2018年10月17日(水)に東京・渋谷ヒカリエにて発表された。前シーズンから引き続き、ミューズ(MUZE)と合同でショーを行った。パラドックス トーキョーのブランドコンセプトは、“アクティブ・モード”。本来は、スポーツという枠組みを超えて、アクティブな気持ちになれる服を目指す同ブランドが、今季は思い切りスポーツへと舵をきった。日本体育大学の伝統「エッサッサ」からショーはスタートショーのスタートは、日本体育大学の伝統的な「エッサッサ」。今では、日本体育大学の独特の応援スタイルとなった「エッサッサ」ではあるが、その始まりは大正10年代、日本体育大学の前身である体操学校でうねったスポーツの波が誘因となって誕生したものだ。今回は、2つのブランドのショーの成功を祈願して、スタートに力強いパフォーマンスを見せた。“アクティブ・モード”はスポーツに帰来するランウェイで魅せた服もまた、スポーツを紐解くようなスタイルの連続。イエローやグリーンなどアクティブ感のある蛍光カラーが先頭を走った。素材はメッシュで軽やかに演出。メンズのレザーベストはスウィムウエアのような質感でハリがあるし、ウィメンズのトップスはブラトップも多い。前にジッパーを配して開くことでベルボトム調にみせたトラックパンツは、パーカーと合わせてストリート感も抱合している。ミリタリーな要素も感じられて、頭には蚊帳のようなマスクをかぶっている人もいるし、さらにマウンテンルックも登場していて、大きなバックパックを背負っている人も印象的だった。しかしいずれも“アクティブ”という点では共通しており、ブランドの根底はそのままであることが感じられた。さらに、スポーツのムードは足元にも及んでいて、レースアップシューズやローファーなどクラシックなシューズ群は、アッパーを切り取ってオープントゥにすることで、スポーティなアイテムへと転換している。モデルには現役K-1選手の武尊(タケル)も登場モデルには、K-1選手の武尊(タケル)、車いすバスケットボールプレイヤーの堀江航、そして望月あもんと三井すみれという日本体育大学バーベルクラブ所属の2人も登場した。ファッションとスポーツという相いれないものが交わった瞬間でもあった今季、パラドックス トーキョーの“アクティブ・モード”はさらに既成概念を越えたようだ。
2018年10月20日クセニア シュナイダー(Ksenia Schnaider)は、2019年春夏コレクションを2018年10月17日(水)、東京・渋谷ヒカリエにて発表した。ウクライナのリゾートからインスパイア着想源となったのは、ウクライナのリゾート。しっかりとドレスアップ、メイクアップしてビーチに臨むための、都会的なウェアを構築した。ソ連崩壊後の新たな時代と、伝統的な古来の考え方を織り交ぜ、キッチュながらも実用的なウェアに仕立てている。多彩なデニムの表現ここ2年間、クセニア・シュナイダーが着目しているというデニムのウェアをメインに、オープンな雰囲気のピースをランウェイに揃えた。トーンの異なるデニムを繋ぎ合わせ、しなやかなワイドパンツに仕立てたり、ライトな色彩のデニムでアクティブなショートパンツを作ったりと、バリエーションは様々だ。デニム地でレオパード柄を作ったトップスや、スパンコールできらびやかに装飾したデニムパンツも登場。表現の幅広さを見せた。ダイナミック&ミニマルなフォルム目に留まったのは、ダイナミックかつミニマルなフォルム。スリットを大胆に入れたワイドパンツは、端正なパターンメイキングにより、優雅な動きを見せる。また、Aラインのノースリーブワンピースや、ビスチェドレスは無駄をそぎ落としたシンプルなシルエットだからこそ感じられる美しさを提示した。膝と水平に切り込みを入れ、膝から下をタイトに仕立てたパンツは一見するとデニムパンツをレイヤードしているかのように見える。奔放で多彩なパターンメイキングからは、遊び心が感じられるようだ。ハワイアンプリントの再構築グラフィックデザインを担当する、アントン・シュナイダーがクラシカルなハワイアンプリントを再構築したグラフィックは、シャツワンピースやアクティブなスカート、スパンコールをあしらったプルオーバーに落とし込まれた。古典的な柄に文字を入れたり、レタッチすることにより、モダンな空気感をプラス。夕焼けの海を背景に、パルムツリーのシルエットを配したオーセンティックな柄が、リラックスしたムードを描き出す。
2018年10月20日ミントデザインズ(mintdesigns)の2019年春夏コレクションが、2018年10月17日(水)に発表された。現代的で都会的な博物館を表現シーズンテーマは「Natural History Project」。今季のクリエーションは、デザイナーの勝井北斗が博物館を訪れた時に感じた、モダンで都会的なムードにインスピレーションを得ている。動物や植物、昆虫たちにまつわる様々な展示。それらは自然のものであるはずなのに、どこか人工的で近未来的な要素さえ感じさせた。自然史学、博物学といった意味を持つ言葉をタイトルに掲げ、その時に感じ取った現代的な博物館の様子を表現していくプロジェクトが始まった。「動物」「植物」「昆虫」にカテゴライズ洋服作りは、「動物」「植物」「昆虫」の3つのカテゴリーに分類して進められた。動物に属するのは、たっぷりと生地を使ったレオパード柄のワンピースやロングスカートなど。幻想的な植物モチーフが配されたエアリーな羽織りや、写実的な葉が描かれたモノトーンのスカートは、「植物」にカテゴライズされる。「昆虫」に分類されるのは蝶やクワガタの刺繍を施したスカートなど。ネットのような素材を採用することで、虫取り網に捕らえられた昆虫の様子を、ユーモラスに表現している。レイヤードで現代性を表現こういった博物館の要素を落とし込んだピースに、現代性や都会性を加えるために多用されたのは、重ねるというアプローチ。蝶が舞うトップスに、ポリエステルを溶かして光沢感を与えた人工的なトップスをレイヤードしたり、アニマル柄のワンピースに、近未来的な箔プリントを施したシアーワンピースを重ねたり。有機的なピースに、人工的、未来的な要素を組み合わせることで、モダンなムードを演出している。ショー演出は標本をイメージファッションショーにも、博物館を感じる仕掛けが施されていて、ランウェイに設置されたキューブ型のインスタレーションもそのうちの1つ。モデルたちは大きな物体の周囲を練り歩くように進み、その箱の中に吸い込まれるようにして入ったかと思うと、ぴったりと静止する。その様はまるで、フレームに収められた標本のようだった。
2018年10月20日