0歳の赤ちゃんに読み聞かせをするべきかどうか、ためらっている人は多いのではないでしょうか。0歳児に読み聞かせをするメリットや実践する際のポイントを知り、読み聞かせの必要性を考えるヒントにしましょう。おすすめの絵本の選び方も紹介します!0歳の赤ちゃんにも読み聞かせは必要?0歳の赤ちゃんというと、字が読めないのはもちろんのこと、多くの場合言葉や絵の意味も理解できませんよね。しかし、たとえ絵本の内容そのものは理解できなかったとしても、0歳児に絵本を読み聞かせるのは決して無意味なことではありません。まずは、0歳の赤ちゃんに絵本を読み聞かせることで期待できるメリットから確認していきましょう!見るより聞くことがポイント0歳の赤ちゃんの場合、読み聞かせは『見る』よりも『聞く』ことがポイントです。生まれて間もない0歳児は、絵本に描かれた絵や言葉の意味を理解できません。絵本そのものを見て楽しむというよりは、読み聞かせをしてくれる人の『声』を聞くことがメインになります。この時期の赤ちゃんは、まるで音楽を聞くかのように読み聞かせの声の『大きさ』『抑揚』『高さ』『速さ』を楽しんでいます。無理に絵本の内容を理解させようとするのではなく、子守歌を歌うようなスタンスで赤ちゃんと一緒に楽しめるとよいですね!親子の時間を大切にできる0歳の赤ちゃんへの読み聞かせには、『親子の時間を大切にできる』というメリットもあります。言葉や文字の意味を理解できない0歳の赤ちゃんにとって、読み聞かせは『お話を読んでもらう時間』ではありません。『好きな人の声や体温を感じながら、触れ合いを楽しむ時間』なのです。乳児から幼児にかけての時期に親との親密な関係を築いていた人は、思春期以降の共感性や社会性が高い傾向にあるといわれています。読み聞かせを通じ、親子の絆を深めていけるとよいですね!読み聞かせ方のポイント赤ちゃんに読み聞かせをする際は、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的なポイントを3つ紹介します!赤ちゃんの反応を見ながら読む赤ちゃんに読み聞かせをするにあたり、まず意識したいのが『赤ちゃんの反応を見ながら読む』という点です。0歳の赤ちゃんは、そもそも絵本がどのような物なのかを知りません。当然ながら、『前から読む』『1ページずつ順番にめくる』といった基本的なルールも理解していないのです。そんな赤ちゃんに、「お話を最初から最後までしっかり聞かせてあげよう」と考えても、残念ながらなかなかうまくいかないでしょう。正しい読み方にこだわらず、赤ちゃんが笑ったり、声をあげたりしたポイントに注目しながら「○○だね」「きれいだね」など声をかけてみましょう。たとえ順番がバラバラでも、最後まで読み切れなくても、赤ちゃんのペースに合わせてあげることが大切ですよ!読むときの姿勢も意識して赤ちゃんに絵本の読み聞かせをするときは、赤ちゃんと触れ合える『姿勢』も意識するとよいでしょう。先述の通り、赤ちゃんにとって読み聞かせは『好きな人の声や体温を感じながら、触れ合いを楽しむ時間』です。より濃密な触れ合いを体感できるよう、『ねんね』の赤ちゃんなら隣で横になって、『お座り』の赤ちゃんなら膝に乗せるなど、赤ちゃんの月齢に合わせて密着できる姿勢を選ぶのがおすすめです。絵本を読み聞かせながら、同時に守られている安心感を赤ちゃんに与えてあげられるとよいですね!絵本をおもちゃにしても焦らない『絵本をおもちゃにしても焦らない』というのも、0歳の赤ちゃんに絵本を読み聞かせる際のポイントです。好奇心旺盛な赤ちゃんは、興味を引かれた物があると何でも手を出したくなるものです。それが絵本の場合、読み手にお構いなしにページをめくろうとしたり、破ってしまったりといったこともあるでしょう。親としてはつい止めたくなりますが、ここで焦る必要はありません。知らない物に興味を抱き、触れたいと感じるのは赤ちゃんの成長に必要な過程です。ある程度の汚れや破損は仕方ないと割り切って、赤ちゃんの好奇心に付き合ってあげられるとよいですね!夢中になれる絵本の選び方では、赤ちゃんが興味を持つ絵本はどのように選べばよいのでしょうか。特に覚えておきたい選び方のコツをチェックしていきましょう!カラフルな色使いとはっきりしたデザイン赤ちゃんに読み聞かせる絵本を選ぶなら、『カラフルな色使い』『はっきりしたデザイン』を重視するとよいでしょう。生まれた直後の赤ちゃんの視力は、一般的に0.01~0.02程度といわれています。その後、生後6カ月で0.1程度、1歳でようやく0.2程度になるのです。そんな赤ちゃんの視力を考慮すると、絵本はやはり目に留まりやすいカラフルなデザインが必要です。たくさんの絵本の中でも、一際目立つタイプの物を選ぶようにすると赤ちゃんにも興味を持ってもらいやすくなるでしょう。商品名: しましまぐるぐる (いっしょにあそぼ) 0~2歳児向け 絵本価格: ¥950(税込) しましまぐるぐる (いっしょにあそぼ) 詳細はこちら 音が出る物、言葉のリズム『音が出る物』『言葉のリズム』など、耳に入る刺激に注目するのも赤ちゃんへの絵本選びのポイントです。『聞く』ことを重視する時期の赤ちゃんは、音が鳴る仕掛けがされている絵本や、文章に擬音語が多く使われている絵本を好む傾向にあります。物語の内容というよりも、音の楽しさや口に出したときの文章のリズムを重視するのがおすすめですよ!商品名: 脳科学からうまれた あなぽこえほん (音のでる知育絵本)価格: ¥1,674(税込) 脳科学からうまれた あなぽこえほん 詳細はこちら 布絵本など安全な物を0歳の赤ちゃんに絵本を選ぶなら、『安全性』についても忘れずにチェックしておきましょう。この時期の赤ちゃんが絵本の読み聞かせをされる際に見られがちな行動として、『舐める』『破る』『落とす』があります。これらの行動は、絵本の材質によっては重大な事故を招いてしまいかねないものです。万が一の事態を考慮して、布製の絵本など、安心して遊べる絵本を用意してあげましょう。商品名: エリック・カール はらぺこあおむし どこでもソフトブック価格: ¥2,160(税込) はらぺこあおむし どこでもソフトブック 詳細はこちら ママもカラフルな絵本の世界を楽しんで「言葉も知らない赤ちゃんに読み聞かせをしても…」そう考える人は多いでしょうが、だからといって、決して早すぎるということはありません。たとえ言葉や文字の意味が分からなかったとしても、大好きなママ・パパの体温と声に包まれる読み聞かせは、赤ちゃんにとってとても楽しい時間です。無理に物語を理解させようとするのではなく、親子の触れ合いの一種として気軽に日常に取り入れましょう。デザインや音・リズムなど、赤ちゃんが興味を持ちやすいポイントもチェックして、カラフルな絵本の世界を親子一緒に楽しめるとよいですね!
2019年09月19日おとな向け映画ガイドオススメはこの3作品と新文芸坐の鈴木英夫監督特集。ぴあ編集部 坂口英明19/9/16(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は21本。とても多い週です。全国100スクリーン以上で拡大上映される『アド・アストラ』『HELLO WORLD』『アナベル 死霊博物館』の3本と、ミニシアターや一部シネコンなどで上映される18本です。この中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『アド・アストラ』やっぱり、こういう映画は、映画館の大画面で観ると最高です。ブラッド・ピット主演・製作のSF大作です。『スター・ウォーズ』を始めとしたスペースオペラや、ホラーの味付けをしたものとは異なり、科学的なリサーチを徹底し、リアリティを重視した作品です。とはいえ、エンタテインメントとして、面白いストーリー、わくわくする展開、ちょっと考えさせられる内容もほしい。そういう期待にも充分答えてくれます。近未来。地球上で大規模火災や事故が頻発。海王星周辺から発信される電流が原因とわかります。この時代は、月はもちろん、太陽系で人間の移動があたりまえになっているのですが、海王星はさすがに遠く、謎めいています。地球を滅ぼしかねない怪電流に、16年前に消息をたった探査船の船長が生存し、関係をしているかも、という極秘情報があり、「アメリカ宇宙軍」の命令で、その船長の実の息子で現役の宇宙飛行士が、父を探しに宇宙に飛び立ちます。英雄であり崇拝もしていたが実は家族には冷たかった父。果たして生きているのか、そして本当に邪悪な存在になってしまったのか……そんなストーリー。主演がブラピ、父親役はトミー・リー・ジョーンズです。どのくらいの未来なのかはわかりません。映画のディテールで想像するしかありません。それを考えるのも楽しいことです。宇宙服は逆に懐古的で、月旅行ロケットには客室乗務員がいますし、着いた月のターミナルは安っぽい地球の普通の空港のようです。いろいろツッコミどころもないわけではありませんが、そのあたりも面白いんです。プレス用資料でちらっと触れられていますが、『地獄の黙示録』を私も連想しました。エンドタイトルもあの映画と関係ありそうで……。親しい人と観終わって、あれこれ話したくなる映画です。『葬式の名人』このところ絶好調の前田敦子さん主演作です。大阪の茨木市がスポンサーになって作られた映画。当地で青春時代を過ごした川端康成の、初期小説に想を得ています。高校卒業から10年、突然届いた同級生の訃報で級友たちが集まります。葬儀場のトラブルでもめている間、思い出話の勢いで、野球部のピッチャーだった故人を偲び、母校まで棺を担いでいくことになります。話はもりあがり、お通夜はこちらで行うことになるのですが……。その高校が川端の母校でもある茨木高校です。前田さんの役どころは、同校の卒業生で、シングルマザー。同級生役で高良健吾も出演しています。話のなかにインサートされる青春時代のエピソード、謎のできごと、謎の登場人物、明かされる新事実など。ミステリアスで楽しめる一夜の青春ファンタジー映画です。ゲストスターが多彩です。まず、伝説の女優・有馬稲子、謎の役どころです。他に、僧侶役で栗塚旭、やくざの親分役で中島貞夫監督と京都時代劇の斬られ役者の福本清三がカメオ出演するなど、映画ファンにはうれしいキャスティングもいろいろ。びっくりしたのは上方落語の人気者、桂雀々。伊丹十三監督の『お葬式』で、江戸家猫八が演じた葬儀屋を完コピしています。映画評論家でもある樋口尚文監督の遊び、というか伊丹監督へのオマージュが粋です。『アルツハイマーと僕 〜グレン・キャンベル 音楽の奇跡〜』この作品、マジに感動します。アルツハイマーを患ったカントリー歌手グレン・キャンベルの、最後のコンサートツアーを収めたドキュメンタリーです。キャンベルは60〜70年代に活躍、『ジェントル・オン・マイ・マインド』『恋はフェニックス』『ラインストーン・カウボーイ』などの大ヒット曲を持つ、アメリカを代表する歌手のひとりです。2011年にアルツハイマー病であると発表、その病をおして、2年間で151回ものコンサートで全米を回ります。愛妻と、3人の子供を含むバックバンドとのツアーです。いつもにこやかに笑っています。もう子供の名前も思い出せない。いま、どこにいるのか、も実はあいまい。でもすごいですね。「ハロー!ニューヨーク!」とか、ご当地の地名もいれてコンサートのMCも立派にこなしていきます。体にメロディーが染み込んでいるのでしょう。かつてザ・ビーチボーイズの奏者として参加したこともある、ギターのストロークは確かです。一度、歌が止まったシーンがあります。歌詞を映し出すプロンプターが故障してしまうとお手上げです。歌詞は覚えていないのです。「2回歌いたいんなら歌って」「間違ったって全然かまわない」、温かいファンたちは、もう観られるのは最後、と覚悟しています。どこも満員の盛況です。ツアーの途中、2012年2月にはグラミー賞の特別功労賞生涯業績賞を受賞します。歌い終わり、スタンディングオベーションのあと、ポール・マッカートニーが興奮の面持ちで声をかけます。他にもブルース・スプリングスティーン、シェリル・クロウ、ジ・エッジ(U2)、チャド・スミス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)など多くのミュージシャンが賛辞をよせています。2012年11月、ツアーを終え、最後のレコーディングに臨みます。バックは、あの伝説のスタジオ・ミュージシャングループ、レッキング・クルーです。映画はここまで。グレン・キャンベルはそれから5年後、17年8月8日に亡くなります。享年81歳。なんという人生!特集上映、映画祭では。「精緻と克明 鈴木英夫の手腕」池袋・新文芸坐(9/20〜30)「精緻と克明 鈴木英夫の手腕」池袋・新文芸坐(9/20〜30)鈴木英夫監督は、現役を退いてだいぶ経ってから評価された映画監督です。三軒茶屋の西友(元ams)のなかに、かつてスタジオamsというスペースがあって、「1994年にここで、鈴木英夫特集を組んだのが、現在の鈴木英夫評価のきっかけでしょう」(川本三郎共著『日本映画 隠れた名作』)。ここに通った映画好きが、鈴木英夫を広めていったのです。その後も作品は、特集上映などでよくかかるようになりました。私も名画座で『非情都市』などを観て、すごい監督がいるなと思ったものです。今回は久しぶりの監督特集。代表作『その場所に女ありて』や、丹波哲郎主演で、戦後の人気ストリッパー、ジプシー・ローズが出演している『殺人容疑者』など、10本が上映されます。ぴあアプリの人気企画、水先案内では、居酒屋評論家の太田和彦さんが「待ってました!の鈴木英夫特集はすべて観る価値あり」と書いています。これは通わねば。
2019年09月16日おとな向け映画ガイドオススメはこの3作品と名画座の小沢昭一特集。ぴあ編集部 坂口英明19/9/9(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は15本。全国200スクリーン規模で拡大上映される『 記憶にございません!』『人間失格 太宰治と3人の女たち』『僕のワンダフル・ジャーニー』の3本と、ミニシアターや一部シネコンなどで上映される12本です。この中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『サウナのあるところ』フィンランド人はサウナがお好きです。何しろ「サウナ」という言葉はフィンランド語。人口550万人の国なのに約300万個あるというから驚きます。これは、サウナとフィンランドの男たちについてのドキュメンタリーです。ある調査で、フィンランド人が自分を表す形容詞を8つ選ぶとしたら、という問いに、誠実、恥ずかしがり屋、時間を守る、率直、正直、控えめ、ゆっくり、信頼できる、を選んだといいます。この映画にでてくるフィンランド人もみな、そんな雰囲気のひとばかりです。まるで、アキ・カウリスマキ監督作品の登場人物みたいです。フィンランドのさまざまな世代の男たちに、その人生を、彼らのお気に入りのサウナで語ってもらったら……というのが監督の発想です。サウナに入り、熱したサウナストーンに水をかけ、蒸気を発生させ、白樺の小枝を重ねたヴィヒタで体を叩き、ビールを飲む。木のベンチに腰をかけ、汗のでるのにまかせます。やがて、ひとりがゆっくりと口を開きます。自分の過去、死んだ仲間、家族、パートナーのこと……。横に座った友人たちはじっと聞きいり、ときどき、思い出したように相槌をうちます。でてくるサウナもつい笑ってしまうほどさまざまな種類があります。トレーラーハウスや廃車の自動車、電話ボックスを改造したものまで。クリスマスにはサンタのおじさんもサウナに勢揃いです。フィンランドでは1年以上ロングランするヒットとなった、2010年の映画です。こういう、少したそがれた感じの、やさしい映画も時にはよいと思います。こんなに多くの無防備な「おちんちん」がでてくる映画は初めてです。どこか哀愁を感じる風情すらあります。『ある船頭の話』オダギリジョーの初長編監督作品です。役者として、日本はもちろん、東アジアの巨匠たちとの現場も多いだけに、どんな作品になるのか、楽しみにしていました。予想外の題材に驚かされましたが、「便利なものが増えていく一方で、消えていく美しいものや大切な何か」というテーマで10年前に執筆したという彼のオリジナル脚本。役者、撮影、音楽などにもこれまでの人脈が活かされ、オダギリジョーの集大成のような作品です。やられました。明治から大正にかけて、日本のどこか、山あいの村(撮影は新潟の阿賀野川沿い)。川の渡しで船頭をする老人の物語です。まず、映像が素晴らしい。ゆったりとした時間が流れ、一艘の船だけが川面を静かに渡っていきます。まるで中国の山水画の世界です。撮影はクリストファー・ドイル。香港の巨匠、ウォン・カーウァイとのコンビで知られる世界トップクラスの腕です。近くに橋が作られ、船頭の仕事はまもなくなくなります。時代に抗うわけでなく、ひとり自分の仕事を淡々と続ける老船頭を演じるのは柄本明。渡し船に乗る村人や通りすがりの人々との言葉少ない会話で、映画が進みます。橋爪功、浅野忠信、村上虹郎、蒼井優、草笛光子……猟師父子を演じたの細野晴臣と永瀬正敏。いくつものエピソードが綴られます。これらの登場人物たちの姿もまた、懐かしく、日本の大切な原風景のようです。『プライベート・ウォー』2012年に他界した戦場ジャーナリスト、メリー・コルヴィンの半生を描いた映画です。ぴあアプリの連載「池上彰の 映画で世界がわかる!」で、池上さんは「(彼女のことを知ったのは)優秀な外国人記者に与えられる“英国プレス賞”の授賞式に黒い眼帯をして登場してからです。戦場取材で左目を失いながらも戦場取材を続ける彼女。これほどまでにジャーナリスト魂に溢れる記者がいることに驚嘆しました」といっています。トレードマークになった眼帯はスリランカ内戦を取材中にロケット弾に被弾し、左目の視力を失ってからつけ出したものです。事故後は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩むことにもなります。それでも戦場あるところに飛びこんでいくアイパッチの勇猛果敢なジャーナリストという姿は実に迫力があります。演じているのはロザムンド・パイク。『ゴーン・ガール』の妻役が印象的でした。映画は、2002年シリアで、孤立したホムス地区に乗り込んだメリーまでを描いています。政府軍の砲弾に倒れる前に送った最後の記事は「ここは、砲弾と銃撃戦の音がこだまする冷気と飢えの街だ。人々のくちびるは、こう問いかけている。“私たちは世界から見捨てられてしまったのか?”」というものでした。特集上映、映画祭では。「生誕90年記念 昭和の怪優 小沢昭一のすゝめ」神保町シアター(9/7-10/4)「生誕90年記念 昭和の怪優 小沢昭一のすゝめ」神保町シアター(9/7-10/4)チラシの大きな写真は『「エロ事師たち」より 人類学入門』、ブルーフィルムの制作から売春斡旋まで、エロならなんでも商売にする「エロ事師」を描いた今村昌平監督作品。この作品のような怪しげな人物、胡散臭い、情けない、そんな人間臭い役が小沢昭一さんのおはこでした。この特集では、大学8年生の主人公が親の反対を押し切って子連れの女性と結婚する『お父ちゃんは大学生』や、競輪場で説教をしながら予想を売る怪僧を演じた『競輪上人行状記』など、珍しい主演作も多く上映します。中でも、この機会にぜひ観たいのは『「経営学入門」より ネオン太平記』。小沢さんは大阪の大衆キャバレーの支配人役なのですが、他の出演者がすごい。西村晃、三國連太郎、北村和夫、そして着物姿でゲイボーイを演じているのが渥美清、加藤武も小指をたてた「オネエ役」。まさに昭和の怪優勢揃いです。
2019年09月09日おとな向け映画ガイド今週のオススメは、この3作品。「ぴあフィルムフェスティバル」へもぜひ。ぴあ編集部 坂口英明19/9/2(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は22本。とても多い週です。全国200スクリーン規模で拡大上映される『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』と、ミニシアターや一部シネコンなどで上映される21本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『ラスト・ムービースター』かつてクリント・イーストウッドと人気を二分したアクションスター、バート・レイノルズを覚えていますか? 1978年から82年にかけて、マネーメイキング・スターのトップでした。昨年8月にこの世を去ったレイノルズが、2017年、生涯最後に出演した作品。これがなんとも素敵な、泣かせる映画です。主人公は、いまや忘れられた、伝説のスター。孤独な老人です。その彼に「国際ナッシュビル映画祭」という地方映画祭から、特別功労賞を贈りたいという招待状が届きます。つい誘いにのって、ナッシュビルまででかけます。ところが、この映画祭、映画オタクのマニアたちが企画した超マイナーな手作り催事で……。自虐ネタとしか思えないストーリー。よくこういう役を頼み、そして受けたなと、製作者にもレイノルズにも驚嘆します。劇中、『トランザム7000』や『脱出』の映像も引用されますし、雑誌『コスモポリタン』で発表されて話題になった男性ヌードも使われます。役名こそ、ヴィック・エドワーズですが、レイノルズそのものです。しみじみとした映画、素晴らしいオマージュ。こんな遺作は初めて観ました。『SHADOW/影武者』マット・デイモンが万里の長城で、CGで作られた無数の怪物と戦う、『グレートウォール』を観たときは、ああ、チャン・イーモウは終わったな、と正直思いました。が、この作品はどうでしょう。見事な復活、といっていいと思います。数あるフィルモグラフィーのなかでは、『HERO』『LOVERS』の系譜。戦国時代を舞台にした武侠アクションです。時は『三国志』の頃。ある小国の都督(軍司令官)とその影武者による、隣国に奪われた領地の奪還作戦がテーマ。病に伏した都督が、影武者を使って国政を操り、隣国との開戦に挑みます。都督と影武者はダン・チャオの一人二役です。ずっと降り続く雨。頻出する陰と陽のシンボル、白と黒の太極図。カラーなのですが、色味を極力おさえた水墨画の世界は、ちょっとやりすぎなくらいで、これこそチャン・イーモウです。つまりはそれらが、テーマである影武者の暗喩。影武者を描くために用意した見事な舞台装置です。戦いは刀と弓矢が中心ですが、やはり「けれん」が売りの監督、雨傘のような新兵器を登場させます。生地の部分が刃という雨傘を持った部隊が、くるくる回して、敵の剣をかわしながら倒していきます。極力VFXを避け、セットやアクション、衣装などほとんどが手作りで製作されたといいます。『帰れない二人』チャン・イーモウが旧世代の代表とすれば、現代の中国の巨匠はジャ・ジャンクー。国内で商業的に大成功しているわけではありませんが、世界の映画祭では常に注目の的です。ジャ・ジャンクーの映画のヒロインはいつも、チャオ・タオが演じています。もちろんこの作品も彼女が主演。役名もチャオです。そのチャオとやくざ者の恋人ビンの、17年におよぶ愛の物語と、21世紀の中国を重ね合わせたジャ・ジャンクーらしい叙事詩のような映画です。チャオ・タオはインタビューで「人生で初めて銃を撃ちました。銃の音が鳴り響くのを聞きながら、チャオの青春は終わったのだと自分に言い聞かせていました」。このシーン、とても印象に残ります。特集上映、映画祭では。「第41回ぴあフィルムフェスティバル」国立映画アーカイブ(9/7〜21)「第41回ぴあフィルムフェスティバル」国立映画アーカイブ(9/7〜21)今年のPFFはもりだくさんです。その中から「招待作品部門」をご紹介しましょう。上映作品は長短編をあわせて40本。7つのプログラムに分かれています。いずれも凝った内容なのでご期待ください。まず、特別先行上映されるのは、劇場版『ガンダム GのレコンギスタⅠ』。あの富野由悠季総監督がトークゲストです。「凄すぎる人たち」というプログラムの「カッコいい女編」では、在宅医療の終末治療に取り組むチームを描いた『おみおくり〜Sending Off〜』、ベイルートが舞台の映画をテーマにした『昔々ベイルートで』、マフィアを撮り続ける女性写真家を追う『シューティング・マフィア』など、凄い女性たちの映画を上映。「諦めない男編」では、フリードキンの『恐怖の報酬』、不条理な恐怖を描く『変態村』、小林正樹の『東京裁判』、セルジオ・コルブッチの『殺しが静かにやって来る』など、異色作ばかりです。デビュー作を集めた「巨匠たちのファーストステップPart4」というプログラムでは、ヤン・イクチュン『息もできない』、ジャ・ジャンクー『一瞬の夢』、ヴィスコンティ『郵便配達は二度ベルを鳴らす』、ルイ・マル『死刑台のエレベーター」、バリー・ジェンキンス『メランコリーの妙薬』、ジャック・ドゥミ『ローラ』、ライアン・クーグラー『フルートベール駅で』、レオス・カラックス『ボーイ・ミーツ・ガール』。巨匠のデビュー作、新旧様々なかなかのチョイスです。ブラック映画とブラック音楽にこだわった「ブラック&ブラック」というプログラムもあります。『私はあなたのニグロではない』や、ピーター・バラカンさんがトークゲストの『真夏の夜のジャズ』、DJ YANATAKEのトークがつく『DOPE/ドープ!!』を上映。他に。PFFスペシャル講座では、今年も原恵一監督、橋口亮輔監督の対談「天才・木下惠介は知っている」と『日本の悲劇』の上映。「カンヌ映画祭批評家週間って何?」では、批評家週間出品の『典座』と短編コンペ作品を上映。フランス在住のプロデューサーで、6月に急逝した吉武美知子さんの追悼企画もあり、黒沢清監督が登壇し『ダゲレオタイプの女』を、諏訪敦彦監督と『ライオンは今夜死ぬ』、堀越謙三プロデューサーと『TOKYO!』といったゆかりの作品を上映し、ゆかりの人が故人を偲びます。
2019年09月02日おとな向け週末映画ガイド今週オススメしたい映画は、この4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/8/30(金)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は14本。全国で拡大上映される『引っ越し大名!』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説』と、ミニシアターなどで上映の11本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 』ぴあ(アプリ版)の名物企画「水先案内」で、エンタメ目利きのプロ、過去最多の11人が推している映画。鬼才クエンティン・タランティーノの新作です。皆さん絶賛の理由は3つ。まず、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピッドという超ビッグな俳優の初共演。ディカプリオはやや人気にかげりのあるTVのアクションスター、ブラピは彼と仲のいいスタントマンという役どころ。つぎに、1969年8月のハリウッド、という時代と場所の面白さ。スティーブ・マックイーンやブルース・リーなどの当時のスター、映画スタジオ、映画館、街の風景の細かいところまで再現していて、これが映画ファンにとっては、たまりません。そして、シャロン・テート事件の描かれ方。私もこの結末には驚きました。これら全てを、映画オタクのタランティーノがいかに凝って作り上げたか、が最大の魅力です。上映時間が2時間41分と相変わらず長いのですが、あれもこれも好き放題入れたせいで。逆にそれが高評価の理由にもなっています。『やっぱり契約破棄していいですか!?』やっぱりイギリスはブラック・ユーモアが冴える国です。ノルマに追われる殺し屋なんて、かつて「どうも雑用が多くて、いけねえ」とつぶやいた、われらが宍戸錠さん以来のおかしさです。現代のロンドン。この映画に登場する殺し屋は、英国暗殺組合のベテラン会員なのですが、課せられたノルマの達成が困難になってきた今日このごろ。未達だと「卒業」せざるをえません。そこで考えついたのが、自殺の名所に行き、自殺志願者に声をかけ、その手伝いとして殺人契約を結び、目標を達成しようというアイデア。夜のチェルシー橋で、身投げをしようとする若者を見つけ、やっと契約にこぎつけます。若者は小説家志望だが人生に絶望、実に7回も自殺に失敗していたのです。にもかかわらず、この殺し屋と契約を交わしたとたん、運命が開けてきて、タイトルのようなことになってしまい……。クールな殺し屋なんだけれど、定年間際のサラリーマン家庭のような日常、組合活動とか、研修も受けなきゃいけないし、雑用も多い。そのへんのギャップと、老いと若きの人生を賭けたドタバタがなんとも楽しいコメディです。『ガーンジー島の読書会の秘密』第2次世界大戦中、イギリス海峡に浮かぶガーンジー島は、イギリスで唯一、ドイツの占領下にありました。家畜を没収され、外出にも制限が加えられたこの島で、住民は、密かに読書会を開いていたのです。戦後、この読書会の存在を知ったロンドンの作家が、彼らを取材し、『タイムズ』に記事を書こうと、島へ渡るのですが……。戦争中にこの島で何がおきたのか? それを探る作家を演じるのはディズニー『シンデレラ』の主演、リリー・ジェームズ。彼女を探偵にしたロマンティック・ミステリーです。アメリカ人の裕福な恋人がいる彼女、読書会をめぐるいくつかの人間ドラマに接し、魅力的な人たちに出会うことで、気持ちに微妙な変化が出始めます。そして思わぬ展開が。当時のファッションや、時代背景の描写、緑豊かな島ののどかな暮らしなど、アンティーク感も楽しめます。イギリスではおなじみの「フッシャーマンズセーター」、その元祖ともいえる「ガンジーセーター」はこの島から生まれたそうです。『おしえて!ドクター・ルース』日本では知名度の低い人物ですが、アメリカにおいてはニューヨーク・タイムズに誕生日を祝う記事が載るほどの有名人。こういう人がいるんだ、と感動し、元気になれます。アメリカのメディアで活躍する、セックス・セラピスト、ドクター・ルースを描いたドキュメンタリーです。90歳でエネルギッシュに世界を駆け回る彼女。話題になったのは1980年代のラジオ出演から。ニューヨークの独立局で始まった日曜深夜のトーク番組が、密かな人気を博しました。誰もが知りたいけれど、話すのをためらう、性の悩み。ルースおばさんが、ストレート、かつリアルな言葉でわかりやすく解決してくれたのです。ついに84年には全国ネットのテレビ番組に進出。140センチと小柄で、実に愛嬌のあるひょうきんな顔。テレビで人気になるのもうなずけます。実はドイツ生まれのユダヤ人。波乱万丈とはこのこと。ホロコーストで家族を失い、イスラエルからアメリカへ流浪の人生を送ったつらい過去があります。パレスチナ時代に一時ついた仕事にも、驚きます。詳しくは、是非、映画館で。特集上映では。「獅子文六 ハイカラ日和」(ラピュタ阿佐ヶ谷) 9/1〜11/30「獅子文六 ハイカラ日和」(ラピュタ阿佐ヶ谷) 9/1〜11/30本屋さんの文庫本コーナーで、最近見かける小説家、獅子文六。戦後まもない頃のベストセラー作家で、作品はユーモア小説とよばれています。これがなぜかいま受けて、シリーズ累計25万部突破、だそうです。そういう人気作家ですから、当時絶頂期だった映画界も目をつけ、映画化された作品も多いのです。そんな獅子文六原作の、1950年代から60年代初頭に発表された14本が上映されます。株屋の「ギューちゃん」を加東大介が演じた『大番』シリーズ4作。松竹・渋谷実監督の不思議なタイトル『てんやわんや』『やっさもっさ』と『自由学校』。チラシに使われた『特急にっぽん』は川島雄三監督作品で、原作のタイトルは『七時間半』。東京ー大阪を7時間半で結んだ特急こだまの食堂車を舞台にしたコメディです。*編集部からご愛読いただいている「おとな向け週末映画ガイド」は9月から「おとな向け映画ガイド」として、掲載を毎週月曜日に変更させていただきます。次回掲載は、9月2日(月)です。よろしくお願いいたします。
2019年08月30日おとな向け週末映画ガイド今週オススメしたい映画は、『ロケットマン』『火口のふたり』など4作品と市川雷蔵映画祭。ぴあ編集部 坂口英明19/8/23(金)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は15本。全国で拡大上映される『ロケットマン』『二ノ国』『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』と、ミニシアターなどで上映の12本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『ロケットマン』ロックのレジェンド、エルトン・ジョンの半生を描いた映画です。彼自身がプロデュースしているのに、普通触れたくない想い出まで、容赦なく取り上げられていて、美化もされていません。まずそれに好感が持てます。さらに、この映画が単なる「伝記映画」でなく、ミュージカル仕立てで、ぶっとんだ作りになっていること。ぶっとんだ人生が、エルトン自身の歌22曲で綴られるのです。エルトンは、常に突飛なスタイルでライブに登場していました。そうか、あの格好のときは、そんなことが背景にあったのか、と精神状態や健康状態がすべてよくわかります。1975年のLA、トルバドールのアメリカデビューなど、ライブシーンも見ものです。声はエルトンで口パク、ではなく、実際に歌ってのけたタロン・エジャトンが素晴らしいです。アニメ映画『SING/シング』のゴリラ君の声で、エルトン・ジョンの『I’m still standing」を歌っていたのが、彼です。『火口のふたり』セックスがテーマの映画、です。近ごろ珍しく真っ向勝負、といった感じで、すがすがしいとすら思えます。登場人物は、男と女、ほとんどふたりです。いとこ、直子の結婚話で秋田の郷里に帰った30がらみのフリーター、賢治。かつて直子とは恋人同士。結婚式の5日前、誘ったのは直子の方でした。青春の日々に戻りたかったのでしょう。一晩だけ、のはずだったのですが…。賢治を演じるのは柄本佑。やや無感動にみえますが、決して投げやりでも捨て鉢でもない、でも、どんどん深みにはまっていく役どころ。『愛のコリーダ』の藤竜也のようです。さらに魅力的なのは、その賢治を無意識のうちに翻弄していく直子役の瀧内公美。はっとする美しい裸体です。ふたりには悲壮感も、罪悪感もありません。世界がどうなろうと知ったこっちゃないという潔さで、最後のそれに、夢中になっていきます。監督はロマンポルノの名作『赫い髪の女』の脚本を手がけた荒井晴彦。青春ラブストーリーの傑作です。R18+ですが。『ディリリとパリの時間旅行』フランスのアニメ作品です。ニューカレドニアからやって来たチャーミングな少女ディリリが、ベル・エポックのパリで、少女誘拐団をめぐる事件に巻き込まれ、街中を駆け回るという冒険物語です。特筆すべき魅力が3つあります。まず、パリの風景が素敵です。石畳を馬車が行き来し、まだ出始めの自動車もちらほら、空には飛行船が飛ぶ。1900年のこの街の名所が次から次へとでてきます。凱旋門、エッフェル塔、オペラ座、コンコルド広場、いくつもの美術館…。ロマンチックな風景は写真を加工して描かれています。つぎに、ディリリが遭遇する、この時代のパリの著名人たちの豪華なこと。アートの世界だけでも、ルノワール、ドガ、ロートレック、ピカソ、モジリアニ、モネ…。ロダンは重要な役で出演です。彼らもセリフをしゃべるキャスト。その人数は100を超えます。探すだけでもとても楽しめます。最後に、ディリリが、実に上品なレディであること。出会う人たちへの敬いと礼儀を忘れず、優雅に振る舞う少女の姿がとても印象的です。『ジョアン・ジルベルトを探して』『イパネマの娘』で知られる、”ボサノヴァの神様”ジョアン・ジルベルトをめぐるドキュメンタリーです。この映画の公開が決まったあと、7月6日にジルベルトの訃報が伝えられ、予期せぬ追悼上映になりました。世の中と関係を絶ち、謎の隠遁生活を送る芸術家に、なんとか接触を試みるというのは、小説家のサリンジャーが有名ですが、ジルベルトも2008年、リオ・デ・ジャネイロのライブ出演を最後に、公の世界から姿を消しています。この映画は、ジルベルトに接触を試み、結局実現できずに世を去ったドイツ人作家マーク・フィッシャーの著書をもとに、フランスのドキュメンタリストが、意思を継ぎ再チャレンジする一部始終です。彼の近況を探る中で、『サマー・サンバ』のマルコス・ヴァーリなど、様々なミュージシャンにもインタビューをしていき、ジョアン・ジルベルトとはどういう存在であったか、そしてボサノヴァがいかに魅力的な音楽であるかも語られます。電話で出前をうけるが実際に会ったことはないというレストンのシェフ、口の固い床屋、インタビュー中にジルベルト本人から電話がかかってきても、紹介すらしてくれない実の妹など、ミステリーのような登場人物や展開があり、さて、どうなるか…。なかなか面白い結末です。特集上映では。「没後五〇年特別企画 市川雷蔵祭」(角川シネマ有楽町) 8/23〜9/26「没後五〇年特別企画 市川雷蔵祭」ここ数年、連続上映されている大映の回顧企画、今回は市川雷蔵作品40本です。注目は、森一生監督、雷蔵の代表作のひとつ『薄桜記』が初の4Kデジタル修復版で上映されること。赤穂浪士にからめた剣士の悲劇。中山安兵衛役で勝新太郎が共演しています。他に『旅はお色気』を含む21本が新規デジタル化作品です。
2019年08月23日おとな向け週末映画ガイド今週オススメしたい映画は、この4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/8/16(金)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は13本。全国270スクリーンで拡大上映される『ダンスウィズミー』、100スクリーンで上映される『イソップの思うツボ』と、ミニシアターなどで上映の11本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『鉄道運転士の花束』ブラックな味わいもありますが、浮世ばなれした雰囲気が魅力の、実に心温まるセルビア映画の傑作です。のっけから鉄道の轢死事故で始まります。6人のロマ(ジプシー)の楽団が犠牲者。車ごと跳ね飛ばされます。鉄道運転士は60がらみのベテラン、イリヤ。この映画の主人公です。祖父の代からこの仕事を継いで、住まいは鉄道の官舎。中庭で白い花を大切に栽培し、小さなわんちゃんが同居人。隣に運転士仲間が廃列車を改造して暮らしています。すぐ横を、深夜までバルカン半島を横切る遠距離列車が通過し、鉄道から離れることのない質素な生活です。携帯がでてきますので、時代は現代と思われますが、20世紀後半、といわれても不自然ではありません。鉄道員仲間が集まると、俺は何人殺した、と人身事故の話題ばかり。その恐怖を克服して初めて一人前とか、世間の人が聞いたらヒンシュクものの会話が飛び交います。しかしそれは、笑い飛ばさないとやってはいられないほど、トラウマになっているからです。実はイリヤも、美しい自慢の妻を若い時に列車事故で亡くしています。大事に育てている花は、犠牲者たちへの弔いの花束用でもあるのです。ある日、鉄道自殺をしようとしたみなしごの少年シーマを、すんでのところで救ったイリヤは、実の息子のように育ててゆきます。やがてその息子も鉄道運転士をめざすのですが……。「線路は幸せを運んでくる……ごくたまに」。イリヤが心を許す女友だちの、この言葉がとても印象的でした。人生悪いことばかりではない、そんな作品です。イリヤ役は、バルカンを代表する名優ラザル・リストフスキー。この作品のプロデューサーも兼ねています。監督はベテランの、ミロシュ・ラドヴィッチ。同じバルカン半島出身の監督、エミール・クストリッツァの『オン・ザ・ミルキー・ロード』や、北欧フィンランドのアキ・カウリスマキのテイストも感じられます。『永遠に僕のもの』1970年代初頭のアルゼンチンを震撼させた、連続強盗殺人犯がモデルの物語です。彼は17歳。「黒い天使」とよばれ、まるでマリリン・モンローのような美少年だったそうです。盗みも人を殺すことも、悪事とはみじんも思わず犯罪を重ねていく、そんな若くて、クールで魅惑的な悪党の、ピカレスクロマンです。ひとりで、他人の家に忍び込み、ごくごく自然にレコードをかけ、踊って、軽く盗みもする。最初はほんの遊び心から。やがてクラスメートに同じ肌合いの少年をみつけ、ワル仲間に。この相棒の家族の稼業が泥棒で、不敵なツラをしたオヤジたちと犯行を繰り返しますが、仲間が気後れするくらい、彼の犯行はどんどん大胆、かつど派手になっていきます。主人公と相棒のちょっとした同性愛的な関係描写は、制作にあたったスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル、監督のルイス・オルテガのテイストでしょうか。そのあたりの味付けもなかなか。『朝日のあたる家』や、カンツォーネ『夢みる想い』など、音楽の使われ方も面白く、印象的です。本国アルゼンチンでは2018年最大のヒットとなった作品です。『アートのお値段』アートの世界を、「で、それおいくら?」という金銭感覚中心に描いたドキュメンタリーです。主戦場はサザビーズのNYでのオークション。その準備から競売当日の表裏を追いかけるだけでなく、コレクター、業者、批評家など多くの人々の、アートビジネスに関する証言を加えて構成されています。興味深いのは、現代を代表するアーティストたちの制作現場にもカメラが向けられていること。100人のスタッフをかかえ、大規模な工房で制作をするジェフ・クーンズ、抽象画家ラリー・プーンズの風変わりな日常、価格高騰に直面するナイジェリア生まれのアーティスト、ジデカ・アクーニーリ・クロスビーなど。もちろん美術品の数々も紹介されます。いくらで買って、いくらで売れた、不動産よりも大胆に価格が変わるアート売買で、自分の目利きぶりを自慢するコレクター。「値段は知っていても価値は知らない」と冷やかされますが、1970年代に比べ、100倍のコレクターがいて、1000倍のアーティストが作品を作っている。「まさにいまがバブルだ」といいます。『ダンスウィズミー』突然歌いだしたり、踊りだしたりするの変だと思いませんか?この設定なら必然性があり、ミュージカル・シーンも嘘っぽくない、というのが矢口史靖監督のコンセプト。そうわりきったら、どんな場所でもミュージカルの舞台に。さあ、これで固いこといわず、楽しみましょう。ヒロインの静香(三吉彩花)はたまたま行った遊園地で、老催眠術師に、音楽が聞こえてくると歌いだし、踊ってしまうという術をかけられます。その翌日、会社のプレゼンに音楽が使われていたものですから、オフィスはまるで『ラ・ラ・ランド』のような群舞のシーンに。夜の先輩とのデートはシャンデリアにぶらさがるハリウッド・ミュージカルと化してしまい……。困ったヒロインは、謎の催眠術師を探して日本全国を駆け回ります。旅の途中でも『狙いうち』『夢の中へ』『年下の男の子』『タイムマシンにおねがい』など、懐かしいナンバーが続々登場します。懐かしいといえば、老催眠術師役として出演の宝田明さん。85歳の和製ミュージカルのレジェンドが、歌って踊る大活躍。「ザッツ・エンタテインメント!」です。
2019年08月16日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『カーライル ニューヨークが恋したホテル』『カーマイン・ストリート・ギター』『シークレット・スーパースター』。特集上映では「にっぽんのアツい男たち2」に注目!ぴあ編集部 坂口英明19/8/2(金)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は11本。全国300スクリーン規模で拡大上映される『ライオン・キング』『ONE PIECE STAMPEDE』と、ミニシアターなどで上映される9本です。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『カーライル ニューヨークが恋したホテル』ケネディ大統領一家や、イギリスのロイヤルファミリー、ハリウッドセレブが愛してやまない、ニューヨークを代表するホテル。それが「ザ・カーライル」です。インテリア、エクステリア、レストラン、ロビーに飾られた絵画、そしてエンタテインメント、どれをとっても超一流ですが、絢爛豪華ではなく、すべてが洗練されていて、ひとことでいうとエレガント。でも、なによりもこのホテルが愛される理由は、働いている人の魅力、ホスピタリティなんです。これは、そんなホテルマンや常連たちの話を交えたドキュメンタリーです。インタビュアーの興味本位な質問に「それは話せない」「答えられない」と、矜持にあふれたホテルマンたち。しかし許容範囲内で話すエピソードですら魅力的です。ケネディとマリリン・モンローのデートの謎?、ダイアナ妃とスティーブ・ジョブズとマイケル・ジャクソンがエレベーターに乗り合わせたときに何が起こったか?いま彼らの間でいちばんの人気者はジョージ・クルーニーです。それはなぜ?このホテルと最も相性の悪そうな現大統領が来たときの話題もかなり笑えます。ウディ・アレンは、『ハンナとその姉妹』でこのホテルのピアノラウンジを使っています。このラウンジは70年代、ボビー・ショートという芸達者なピアノ弾きの牙城でした。いまもさまざまな心揺さぶるエンターテイナーが出演しています。アレンがここでクラリネットを演奏することも。噂には聞いていましたが、なるほどこれはニューヨークならではのホテル。観ているだけでお洒落な気分になります。『カーマイン・ストリート・ギター』こちらもニューヨークが舞台のドキュメンタリー。グリニッジ・ヴィレッジ、カーマイン・ストリートに実在する、ハンドメイドのエレキギター専門店。その1週間を描いています。店の主人は白髪の物静かな職人リック・ケリー。ニューヨークの古い建造物の廃材をボディに使ってギターを作り続けているのです。街の古い建物で工事があるのを聞きつけると、ケリーが出かけていって、古材を貰い受けます。映画では、1854年創業、NYで一番古いというバー、マクソリーズから出た古材を入手し、ギターにする過程が描かれます。完成品をスマホで撮り、「ハッシュタグ=エールが染み込んでいます」と書いてインスタに上げるのは、若い見習いシンディの仕事です。ちょっと色っぽいチャーミングな女性です。ルー・リードやボブ・ディランなどのミュージシャンも愛用しています。この店のギターのファンで主人を慕う愛好家が毎日立ち寄り、店のギターを手にして演奏したり、雑談をしたり、まるで小さなライブハウスのよう。パティ・スミス・バンドのレニー・ケイ、ウィルコのネルス・クライン、ビル・フリゼール、チャーリー・セクストン、映画監督のジム・ジャームッシュも顔を出します。みんな店のギターを手にして、試しに一曲弾いてみます。終わって、主人とかわす満足そうな笑顔が素敵なんです。『シークレット・スーパースター』インド映画『きっと、うまくいく』をご覧になった皆さんへ。あの主演、アーミル・カーンの映画です。この前の『ダンガル きっと、つよくなる』では、女子レスリングのスパルタ親父を演じていましたが、今回は製作と脇役にまわっています。主役はミュージシャンでの成功を夢見る14歳の少女インシア。父親が暴君で、母へのDVなど日常茶飯事ですから、そんなことを言い出したらどんなことになるかわかりません。で、考え出したのはYouTubeデビュー。イスラムのヴェール、ブルカで顔を覆い、自作自演でアップするとなんとこれが大人気に。メディアは「シークレット・スーパースター」と書きたてます。アーミル・カーンはやや人気に陰りがみえている大物歌手でプロデューサーの役。何度も離婚を繰り返す色男です。でもそれが、彼女を発掘するきっかけとなり、見事売出しに成功、終盤に向けてインド映画らしい、ドラマチックな悲喜劇が展開されます。ムキムキでド派手なプロデューサーと清純な少女歌手のアンバランスさが、また面白いんです。インドの離婚や家庭事情などシリアスな面もみせつつ、全体としては、肩の凝らない痛快エンタテインメントになっています。インドの映画興行史上で『ダンガル…』『バーフバリ 王の凱旋』に続いて第3位の大ヒット作です。特集上映では。「にっぽんのアツい男たち〜無鉄砲野郎の美学」(神保町シアター)8/10〜9/6「にっぽんのアツい男たち〜無鉄砲野郎の美学」(神保町シアター)8/10〜9/6チラシには「アナーキーで無鉄砲、かっこよくて優しい、アツすぎる男たちのドラマチックな映画をお送りします。」とあります。確かに。男騒ぎのする16本、なかなかのチョイスです。先ごろあいついで他界したおふたり、萩原健一と内田裕也の作品も入っています。ショーケン主演では、神代辰巳監督の『アフリカの光』『青春の蹉跌』、市川崑監督『股旅』、五社英雄監督『226』。内田主演作は崔洋一監督の『十階のモスキート』が。アウトローたちがはじける菅原文太『仁義なき戦い』、北野武『ソナチネ』、松田優作『蘇える金狼』、渡瀬恒彦『狂った野獣』、渡哲也『青春の裁き』などなど。60〜70年代の閉塞感をぶっこわすエネルギーにあふれた映画ばかりです。
2019年08月09日絵本は何冊も揃えるとお金がかかったり、読まなくなってしまったりする本もあります。「子どもに絵本をたくさん読んであげたい」と思っていたときに、ダイソーの絵本を知りました。赤ちゃん向けに作られているので、サイズや質感も良く、絵もかわいい物ばかり。今回はそんなダイソーの赤ちゃん絵本をご紹介します。 ダイソーの赤ちゃん絵本とはダイソーは絵本の種類が豊富で、なかでも赤ちゃん向けに作られている物があります。私は子どもが生後6カ月のころに『わんわんにゃんにゃん』を購入しましたが、赤や黄色などカラフルなページを何度も見ていて、1冊100円なのにこれはいいな! と思いました。 0歳からでもママと一緒に読めるようにと、シンプルな絵柄と文字で見開き5ページほどの構成です。赤ちゃんが目を引くように、カラフルな色使いでとてもかわいらしく、わんわんやぶーぶーなど赤ちゃんが興味を示しやすい絵を使った内容になっています。 サイズや質感も赤ちゃん向け サイズは大人の手のひらほどで、角は丸く作られています。絵本としては小さめのサイズなので、おでかけの際には持ち運びも便利です。表紙だけでなく中のページもすべて厚紙でできており、濡れても拭けば大丈夫なくらいしっかりとしています。 本が小さいので、赤ちゃんが自分で持ち運びしたりページをめくったりでき、子どもが歩けるようになったわが家では、自分で絵本を選んで持ってくることができています。 種類が豊富で内容も充実しているダイソーの赤ちゃん絵本は全部で8種類あります。赤ちゃんが言葉を発しやすい“わんわん”、あいさつの“こんにちは”、野菜や果物が載っている絵本もあり、言葉や色や形を学習することもできます。わが家の子どもがわんわんやぶーぶーといった、言葉を発するきっかけになったのもダイソーの絵本です。 最初は絵を見ているだけだったのが指差しするようになり、言葉を発するようになりました。動物が眠るという内容の絵本もあり、寝かしつけの睡眠導入アイテムとしても使っています。このように、1冊100円なのに内容もクオリティが高く、子育てにとても役立っています。 子どもに読む絵本の購入に迷っていたときにダイソーの絵本を知り、実際に購入するとサイズや質感も良くクオリティが高くてびっくりしました。カラフルなページで子どももとても興味を示したので、続いてどんどん購入し、現在は全部で5冊持っています。今では1歳8カ月になった子どもが、自分で「絵本を読んでほしい」と持ってくるようになりました。100円の絵本なのに子育てに大活躍! と感じています。 著者:西口くるみ1歳児の男の子ママ。息子や夫と美味しいものを食べることが好き。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。 ※本記事の内容は公開時に確認した情報のため、商品によっては変更となっている場合があります。
2019年08月06日こんにちは、もつです!私は絵本が大好きで、子どもたちにも良く読み聞かせているんですが、今回は我が家で人気だったおススメ絵本を紹介します。目次 1 0歳6ヶ月1.1 ちっちゃなおさかなちゃんシリーズ1.2 はらぺこあおむし1.3 あおいよるのゆめ2 3 1歳3.1 きんぎょがにげた3.2 いないないばあ3.3 がたんごとん4 2歳4.1 いないないばあ4.2 だいすきぎゅっぎゅ5 3歳5.1 はらぺこあおむし5.2 たからもののあなた0歳6ヶ月●ちっちゃなおさかなちゃんシリーズ●はらぺこあおむし●あおいよるのゆめハードタイプの絵本がおススメです舐めたり荒く扱っても大丈夫なのも安心なポイント。色とりどりで仕掛けがある絵本は無心で触り続けたり大喜びでした!1歳●きんぎょがにげた●いないないばあ●がたんごとん単調で、同じ言葉が何度も出てくる絵本がお気に入りでした!きんぎょがにげた は、初めはただ聞いているだけだったのがだんだんときんぎょをみつけられるようになるので感動します!2歳●いないないばあこの絵本を読んで、いないないばあ、としゃべれるように! まだしゃべれる言葉も少ない頃だったので読んでよかったなぁと思ったのを覚えています。●だいすきぎゅっぎゅ絵本に合わせてぎゅっぎゅとしたら喜びました!甘えたい時や、ぎゅっとして欲しい時にこの本を持ってきたりしてました。本を読みながらスキンシップもとれて私も大好きな絵本です。3歳●はらぺこあおむしこの絵本の歌があって、その歌がお気に入りのようで子守唄として歌っていました。するとある日、自分でこの絵本を開いて、歌に合わせて自分で読めるようになっていて驚きました…!内容も、曜日や数字がわかるようになっていて登園生活が始まるにあたり、平日の概念を説明するのにとても役に立ちました。●たからもののあなた幼稚園に通う女の子のお話なんですが、幼稚園に行く主人公を自分に重ねて見ていました。いっちゃんもママがいいけど幼稚園頑張るの…なんて聞けた日には、小さいながら頑張っているんだな…と心にグッときました。いかがでしたか? 数ある絵本の中で数点お勧めをピックアップしてみました!ご参考になればうれしいです!●ライター/もつ
2019年08月05日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『グッド・ヴァイブレーションズ』『トム・オブ・フィンランド』『あなたの名前を呼べたなら』『風をつかまえた少年』。特集上映では「京マチ子追悼映画祭」に注目!ぴあ編集部 坂口英明19/8/2(金)イラストレーション:高松啓二今週公開の作品は15本。このうち、全国300スクリーン規模で拡大上映されるのは『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の2本、あとはミニシアターなど小規模での公開とライブビューイングです。その中から、おとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。世界は矛盾と理不尽なことで満ち満ちているけれど、あながち捨てたもんじゃないな、と思える4本です。『グッド・ヴァイブレーションズ』右か左か、バーで政治論争をしていた頃はよかったが、プロテスタントかカトリックか、の争いとなり、やがて店から客が消え、銃弾飛び交う内戦が始まった。そんな北アイルランドの1970年代が舞台です。「戦争の前は、街のホールでストーンズを観た。ディランもジミヘンもフーもアニマルズもキンクスも観た。ベルファストに来たアーティストは全部観た。だけど、いつしか誰も来なくなった」と嘆くひとりの音楽好きが、こんな時こそと思い立ち、テロの標的となってしまった"爆弾横町”と呼ばれる荒れ果てた街の一角に、「グッド・ヴァイブレーションズ」という名のレコード店を開きました。彼はそれがきっかけで地元のパンクバンドにのめり込み、北のパンクのゴッドファーザーとロンドンの雑誌にとりあげられるまでになります。バンドのテレビ出演、戦火の中のツアー敢行、損得は二の次で駆け抜けるのです。そういう実話の映画化です。アイルランド紛争が解決したのはそれから20年くらい後の1998年。その間、主人公のテリーさんは決して大成功を収めませんし、バンドも大スターにはなりません。お店も何度も開閉を繰り返します。でもいいじゃないか、この元気。逆境の中でも夢を追う主人公の、愛すべきキャラと簡単にはメゲない持続する志が素晴らしい映画です。ピーター・バラカンさんがぴあアプリ版の連載で、この映画のことを書いています。ピーターさんいわく、彼は「今もまだ店を細々とやっているんじゃないかな」。『トム・オブ・フィンランド』ハードゲイを描いて、世界で有名になったフィンランドのイラストレーター、トウコ・ラークソネンの半生。あのヴィレッジ・ピープルのようなコスチュームの男たち、どこかで見たことのある絵です。第2次大戦後のフィンランド、同性愛は法律で固く禁じられていました。ラークソネンは、戦争から復員したあと、CMのイラストを描く本業のかたわら、深夜、鍵をかけた自室で、密かにそんな絵を描き続けます。やがて、それがアンダーグラウンドの世界に出回り、アメリカにまで輸出されることに。アメリカの雑誌編集者がつけた名前が「トム・オブ・フィンランド」。彼はゲイの世界のアイコンになるのです。フィンランドで同性愛が合法化されたのは1971年。ムーミンについで、2014年にフィンランド郵便が「トム・オブ・フィンランド」の記念切手を発行しました。しかもこの切手、同国郵便史上最高の売上を記録したそうです。ムーミンで有名な国は、いまやLGBTに理解のある国でもあるのです。ラークソネン没後23年のことでした。『あなたの名前を呼べたなら』インド映画です。ただ少し趣がちがって、歌や踊りのエンタテインメントではありません。上映時間も99分と短い。テーマは、主人とメイドの恋、というインドでは現代でも考えにくいタブーにふれたものです。舞台はムンバイ。新婚家庭のメイドに雇われた農村出身の未亡人ラトナが主人公です。雇い主は建築会社の御曹司アシュヴィン。アメリカ帰りのぼんぼんです。新婚のはずが、結婚直前に破談、一人暮らしとなってしまいます。彼の食事を始め、身の回りのケアは住み込みのメイド、ラトナの仕事となります。こうなると、ふたりが接近しても不自然でないのですが、インドではこれは絶対にありえないことなのだそうです。結婚4カ月で夫に死別したあとも、村の風習により婚家に縛られ、自由が利かない暮らし。そこから逃げ出し、都会でメイドをしながら、ファッションデザイナーになる夢にチャレンジしているラトナ。そのひたむきな姿に、アシュヴィンは次第にひかれていき……。原題は『Sir』、ご主人さまと訳されます。日本語タイトルとあわせてみると、ラトナの心の叫びを汲み取ったなんとも見事な題名です。『風をつかまえた少年』これも実話を基にした映画。イギリスとマラウイの合作です。マラウイはアフリカ南部の小さな内陸国。2001年、この国を洪水とそれに続いて干ばつが襲います。零細な農業を営む主人公ウィリアム少年の家族も、その日の食事に困る生活で、入ったばかりの中学校の学費が払えません。しかし、退学させられてもなお、学びたい一心で、図書室に潜り込み理科の勉強を続けます。彼が熱中したのは発電の仕組み。今の貧困を変えられるのではないかと感じたからです。そして、父の唯一の移動手段である自転車を分解して利用すれば、風力発電でポンプをまわし、井戸の水を田畑に導くことができると思いつきます。それを奇想天外としか思えなかった父も、家族の説得と彼の情熱に動かされ、子供を信じ、自転車を手放す決意をし……。主人公のモデルになった少年は、その後奨学金を得て大学へ進み、アメリカに留学、現在は本国に戻って活躍しています。『TIME』誌の「世界を変える30人」に選ばれたことも。ぴあアプリ版の連載「池上彰の映画で世界がわかる」で池上さんがこの映画をとりあげ、「人はなぜ勉強をする必要があるのか。その答えがある」と紹介しています。特集上映では。「京マチ子追悼映画祭」(YEBISU GARDEN CINEMA)8/2〜15)「京マチ子追悼映画祭」(YEBISU GARDEN CINEMA)8/2〜15昭和の名女優、京マチ子さんの追悼特集上映です。今春、大規模な京マチ子映画祭が開かれ、彼女にスポットライトが当たっていました。そこに入ってきた訃報です。5月12日のことです。映画ファンにとっては衝撃でした。今回は「追悼」の2文字を新たに加え、代表作11本が上映されます。京マチ子は「国際グランプリ女優」とよばれました。戦後まもなく、1950年製作の『羅生門』がヴェネチア映画祭金獅子賞と米アカデミー賞名誉賞を受賞。以降『雨月物語』でヴェネチア映画祭銀獅子賞、『地獄門』でカンヌ映画祭グランプリと米アカデミー賞名誉賞、出演作が相次いで国際映画祭で賞を受けます。今回は、黒澤明監督『羅生門』、溝口健二『雨月物語』『赤線地帯』、小津安二郎『浮草』が4Kデジタル復元版、衣笠貞之助『地獄門』がデジタル復元版での上映。他に、春の回顧作品には入っていなかった市川崑監督の『穴』が上映されます。それにしてもすごい監督陣。すべて日本映画史に残る作品です。この機会に大スクリーンでどうぞ。
2019年08月02日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『アルキメデスの大戦』『隣の影』『北の果ての小さな村で』『パラダイス・ネクスト』。ぴあ編集部 坂口英明19/7/26(金)イラストレーション:高松啓二今週公開の作品は20本。うち全国300スクリーン規模で上映されるのは4本。大ヒット作の続編『ペット2』、東映の『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』、そして東宝の戦争映画大作『アルキメデスの大戦』。あとはミニシアターなど小規模での公開です。その中からおとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『アルキメデスの大戦』黒煙を上げて沈んでいく戦艦大和の映像と、海軍幹部を演じるこれまでにない役者の顔ぶれを予告編で観て、期待していました。が、直球の戦争映画大作ではなく、それ以上に面白いエンタテインメントです。1933年、これからの戦いは飛行機と空母が中心になると確信する山本五十六海軍少将は、軍中枢が進める巨大戦艦建造計画に反対し、それがいかに国家予算の無駄使いかを立証しようと考える。そこで抜擢されたのが菅田将暉演じる天才数学者。計画決定の会議までに、対抗勢力の妨害をくぐり、それを証明できるか、というタイムリミット付きのサスペンスです。山本五十六役は舘ひろし。おお、ついにこういう役をやるようになったか、という感じです。菅田の敵、戦艦大和設計の中心人物は田中泯扮する造船中将、戦艦派の頭目は橋爪功、反対派は國村隼、他に小林克也、笑福亭鶴瓶、小日向文世、主人公の部下役で柄本佑、なかなか新鮮な顔ぶれです。もちろんどう反対しようと歴史は歴史。戦艦大和は建造され、危惧したように大した活躍もせずに撃沈されます。これまでに観た中でもリアルで壮絶な最後です。『隣の影』このところ、北欧映画が静かなブーム。そのどれもが結構面白いのです。全体的に静かで、独特の空気感があります。別の時間が流れている感じ。それと着想がいい。これはアイスランドの作品。2017年のアイスランド・アカデミー賞で、作品賞を受賞しています。ロケ地は特定していませんが、たぶんレイキャビク。出てくる人々の暮らしぶり、インテリアなど、どことなくおしゃれです。大きな木を挟んだ左右対称のテラスハウスで、世代の違うお隣同士が諍いを起こしてしまいます。日光浴をするのに木で陰ができる、ペットの排泄物が気になる、そんな些細なことが始まりで、罵り合いからどんどんエスカレートしていきます。夜のない、白夜の国の悪夢です。誰にでも起こりうる狂気を巧みに描く大人向けのサスペンス、またはホラーか。真夏の映画館で、じわじわとアイスランドの冷気を感じて下さい。『北の果ての小さな村で』これも北欧。アイスランドより、さらに北に位置するグリーンランドが舞台の映画です。地球儀をみると、ドイツ、フランス、スペインを合わせたくらいの巨大な島。いろんな歴史的経緯があり、長くデンマークの支配下におかれています。例えば、教育はデンマーク語で。学校の先生はデンマーク政府が雇い、グリーンランドに派遣します。この映画の主人公もそういう教師のひとり。人口80人の寒村にある、小さな海辺の学校に赴任します。演じているのは、デンマーク人の青年ご本人。実は彼の経験をもとにした映画なんです。ドキュメンタリーとドラマを合わせたドキュラマというスタイルです。オーロラ、大雪原、北極クマ、犬そり…イヌイットの人たちと暮らすなかで、彼がどんな風に変わっていったか。こんな生き方もあるのだな、世界は広いなあ、と子どものような純な気持ちになること必至。グリーンランドの大自然も一見の価値あり、です。『パラダイス・ネクスト』がらっと変わって、ねっとりとしたアジアの空気感。日本映画なんですが、全編台湾ロケ。東南アジアだろうと、南米だろうと、どんな土地でも現地に溶け込んで、ふてぶてしく生きていけそうな面構えの豊川悦司、てんで情けなく誰かに頼らないと生きていけそうもない妻夫木聡、このヤクザな二人と旅の途中で出会った台湾女性ニッキー・シエの逃避行の映画です。ごった煮的な、いかにもアジアな町なかのシーン、深夜や早朝に繰り広げられるアクションなど、エキゾチックで、日本映画としては異色です。中国語の赤い大文字タイトルとか、映像も、どことなくウォン・カーウァイの若い頃の作品を彷彿とさせます。特集上映では。「名脚本家から名監督へ」(シネマヴェーラ渋谷)7/27〜8/30「名脚本家から名監督へ」(シネマヴェーラ渋谷)7/27〜8/30シネマヴェーラ渋谷で人気の外国映画1930〜50年代の旧作特集。今回は、名脚本家であり名監督とも評価された、プレストン・スタージェス、ビリー・ワイルダー、ジョセフ・L・マンキウィッツ、エルンスト・ルビッチなどの35作品を上映します。例えば、ビリー・ワイルダーでは、フランス時代の監督(共同)作『ろくでなし』、脚本家時代の『青髭八人目の妻』『ミッドナイト』『ニノチカ』『教授と美女』、ハリウッドでの監督作『熱砂の秘密』『深夜の告白』『失われた週末』『異国の出来事』『サンセット大通り』『地獄の英雄』『第十七捕虜収容所』と、これだけでもボリューム感のある特集。この機会に全踏破したくなるラインナップです。■関連作品・公演『アルキメデスの大戦』7/26日(金)〜TOHOシネマズ日比谷ほか公開『隣の影』7/27(土)〜ユーロスペースほか公開『北の果ての小さな村で』7/27(土)〜シネスイッチ銀座ほか公開『パラダイス・ネクスト』7/27(土)〜新宿武蔵野館ほか公開「名脚本家から名監督へ」7/27(土) 〜 8/30(金) シネマヴェーラ渋谷
2019年07月26日東京都現代美術館では、こどももおとなも楽しめる「遊び」がテーマの展覧会「あそびのじかん」を、7月20日から10月20日まで開催中。開発好明《受験の壁》(2016年再制作)Photo: 開発好明今年の夏休みに開催される本展は「遊び」がテーマ。「遊んでないで○○しなさい!」と、遊びの時間を「勉強」や「仕事」や「お手伝い」に邪魔されるように、遊びは日常生活の対極にあり、不真面目で非生産的なものだというイメージをもたれてしまうことがある。一方で、日常の決まりごとが通用しない遊びは従来の考えやルールを外れて新しい価値や法則を発見するきっかけにもなる。会場では、6組の作家による、こどももおとなも楽しめる作品を紹介。巨大な作品の中に入り込んだり、的を狙ってみたり、工作をするといった、遊びやゲームの要素を持った、体験型作品が展示空間に広がる。来場者の遊んだ痕跡がそのまま作品になる企画も行われる。写真撮影が可能なため、写真映え抜群な広い空間をいっぱいに使ったインスタレーションなど、みんなで一緒に記念撮影も楽しめる。TOLTA《ポジティブな呪いのつみき》2016年 「Gallery Voltaire」展 展示風景Photo:池田美都 ©SPIRAL/Wacoal Art Center思わずクスリと笑ってしまうパフォーマンスから、時間を忘れて熱中するワークショップまでアーティストによる多彩なイベントも開催。関連イベントは館内の様々な場所で行われるので、新しくなった美術館をより楽しみたい人にもオススメだ。「ハンドルにアソビを持たせる」という表現があるように、遊びは余裕や緩みという意味を持つ。車のハンドルはきっちりしているばかりだと快適には走らない。私たちもそれと同じで、「みんなと同じでなくちゃ」、「失敗してはいけない」と、自分を束縛してしまっては息苦しくなってしまう。本展では遊び心に満ちた作品たちが、そんな束縛をユーモラスにほどいていく。そこで生まれる好奇心やいたずら心、何か違ったことをしてみようと思う気持ち、それらは創造力の源泉であり、激しい変化の時代を生きるためのヒントになるだろう。「なんだろう?なんでだろう?」と思ったら、そこがアートの面白さのはじまり。夏休みや芸術の秋に、ぜひ親子で“遊び”に訪れてみて。【展覧会情報】あそびのじかん会期:7月20日〜10月20日会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F、3F(B室)住所:東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)時間:10:00〜18:00(7月26日、8月2、9、16、23、30日の金曜日は21:00まで開館)休館日:月曜日(8月12日、9月16、23日、10月14日は開館)、8月13日、9月17、24日、10月15日料金:一般1,200円(960円)、大学生・専門学校生・65歳以上850円(680円)、中高生600円(480円)※小学生以下無料、( )内は20名以上の団体料金
2019年07月25日「14ひきのシリーズ」(童心社)でおなじみの、人気絵本作家のいわむらかずおさん。いわむらさんが、子どもたちに「絵本」と「自然」を同時に楽しんでもらいたいという想いで開設した「いわむらかずお絵本の丘美術館」を知っていますか?栃木県那須郡那珂川町の雄大な自然の中に佇む美術館で、その周辺には作品の舞台となる里山の自然が楽しめるフィールドが広がっています。その名も「えほんの丘」。今回は、えほんの丘に込めた想いを、美術館館長・絵本作家のいわむらかずおさんにうかがいました。自然の中で暮らす生きものたちを描く私は1970年に絵本作家として仕事を始めました。その5年後の1975年に、東京を引き払うことにしたんです。「14ひきのシリーズ」のような、自然の中で暮らす生きものたちが主人公の絵本を作ろうという発想が生まれたんですね。そのためには、作者である私自身も、主人公たちと同じように家族と自然の中で生活しながら、描いていこうと考えたんです。そこで栃木県の益子町に移り住み、雑木林の中に家を建てて、家族と暮らしながら創作をしてきました。作品を見ればわかるように、周りの自然をよく見ながら描いていく、そういう仕事をしてきたわけなんですね。「絵本・自然・こども」がテーマの美術館ここで創作を始めた当初は、雑木林で子どもたちが遊んでいる姿がよく見られました。でも、1980年代後半から1990年代にかけて、自然の中から子どもの姿がだんだん消えていったんです。子どもたちが自然体験から離れていくことが心配になり、家族と話をしているうちに、自然の中に美術館を作ろう、と考えるようになりました。街ではなくて、自然の中にある美術館。キーワードは「絵本・自然・こども」。そんな、広いフィールドや農場のある絵本美術館を作ることにしたわけです。1993年に計画を立て始め、5年の準備期間を経て、1998年に「いわむらかずお絵本の丘美術館」が開館しました。絵本作家として、今までは栃木県益子町の住まいの周りをイメージしながら描いてきましたけれども、今度はそのフィールドを北に40kmくらい広げて、美術館の周りの自然を舞台にしながら、さらに創作を続けようと考えたわけです。「えほんの丘」のフィールドから生まれた作品たち読み物が主体となる『ゆうひの丘のなかま』(理論社)のシリーズは、物語の舞台が、えほんの丘のフィールドの中に具体的にあるんです。例えば、うさぎと野ネズミが会って話した場所はあの坂を登った上だよ、というのが、全部あるんですね。『ふうとはな』(童心社)も、美術館周辺で野うさぎの赤ちゃんと出会ったことがきっかけで、イメージが広がったシリーズです。「14ひきのシリーズ」(童心社)に出てくるとっくんのトラックをモチーフに描いている『とっくんトラック』(ひさかたチャイルド)も、えほんの丘で生まれた作品ですね。こんなふうに、えほんの丘をフィールドとして、そこから生まれてきた絵本はたくさんあります。えほんの丘は、遊具もなく、草はらと雑木林と農場が広がっているだけの場所。そこに興味がわかない人には、おもしろくもなんともないかもしれません。でも、私の作品と一緒に周りの自然を歩くことで、伝わるものがあるんじゃないでしょうか。自然に絵本の世界を重ねることでイメージが広がる作品の舞台となる場所を訪れ、作品に描かれていることを体験することで、絵本の世界がふくらむでしょう。フィールドの自然に、物語が重なってくることで、イメージが広がりますね。すごくふくよかな、奥行きのある自然に感じられるはずです。『14ひきのとんぼいけ』(童心社)の舞台となったとんぼ池も、ただのため池があるわけではないんです。もちろん、ただのため池が存在するだけでも価値はあるんですけれども(笑)。ため池に絵本のお話を重ねることで、作品の主人公であるねずみの子どもたちが、いかだで漕ぎ出していった様子が、ありありとイメージできるようになるんですね。フィールドの自然と絵本を味わう「朗読とおはなし会」美術館では、毎月2回「朗読とおはなし会」を行なっています。おはなし会では、季節の自然の中での植物の営みや生きものたちの様子について話をしています。その日の午前中、えほんの丘を自分で歩いて、いろんなものを見つけてくるんです。例えば、今の時期は外をちょっと回っただけでも10種類以上の木の実が見つかりますから、それを少し取ってきて、ひとつひとつ見せるだけで、おもしろい話ができます。その後、木の実が出てくる絵本を読むんです。カエルの卵を見せたあと、それが登場する『14ひきのぴくにっく』(童心社)を読んだこともありますね。こんなふうに、まずフィールドの話をして、それとつながるような作品を読む、ということを主にやっています。その季節のフィールドの話をすれば、何かの絵本とつながりますからね。そうすると、絵本と自然が結びつくでしょ。絵本の舞台になった場所があり、絵本が生まれた背景を作者の肉声で聞くことができる。読み手と聞き手の間に、特別な関係が生まれてくる。それは価値のあることだと思います。自分で言うのは変だけれども、今なら作者が生きていて、来てくだされば会えますからね(笑)。たくさんの生きものと出会う体験をしてほしい「14ひきのシリーズ」は1983年から描き始めたから、もう35年になります。35年もたつと、描きはじめた頃に読んでくれた子どもたちの多くは、お母さん、お父さんになっているんです。最近は美術館を訪れる人たちの中にもそういう読者がたくさんいて、作者としては本当に嬉しいことです。子どもを連れてきたお母さんが「小さいときに大好きだったんです」と言って、ところどころ破れ、カバーもなくなった、ボロボロの絵本を大事に持ってきて見せてくれることもあって。子どもが主たる読者である、絵本ならではのことですよね。こんな田舎に、たくさんの方々が来てくださること自体が、すごいことなんです。本当に読者の方たちに支えられて、ここまでこれました。そんな読者の皆さんに、せめて少しはお返しができたら、という思いで、活動を続けています。子どもたちには、もっともっと、自然体験をしてほしいですね。フィールドの自然の中で、たくさんの生きものたちと出会ってほしい。そう願っています。【プロフィール】いわむら かずお1939年東京生まれ。東京芸術大学工芸科卒。主な作品に『14ひきのあさごはん』(絵本にっぽん賞)など「14ひき」シリーズ、エリック・カールとの合作絵本『どこへいくの?To See My Friend!』(童心社)、『ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ』(偕成社/サンケイ児童出版文化賞)、『かんがえるカエルくん』(福音館書店/講談社出版文化賞絵本賞)、「トガリ山のぼうけん」シリーズ、「ゆうひの丘のなかま」シリーズ(理論社)などがある。98年栃木県馬頭町(現・那珂川町)に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開館、絵本・自然・こどもをテーマに活動を続けている。
2019年07月25日世界中で1,500万部を超えるロングセラー絵本「14ひきのシリーズ」(童心社)を知っていますか?緑豊かな里山で暮らす、野ねずみの家族の幸せな日常が描かれた全12冊の絵本です。誕生35周年を迎え、世代を超えて愛され続ける本シリーズを、一度は手に取ったことのある方も多いのではないでしょうか。その作者であるいわむらかずおさんの作品には、大自然を舞台にした物語がたくさん!今回は人気絵本作家のいわむらかずおさんに、自然が丁寧に描かれたいわむらさんの絵本の楽しみ方と、親子の読み聞かせの意義についてお話をうかがいました。絵本が自然体験の入り口になるように絵本が自然体験の入り口になっているといいな、と思うんです。自然の体験というのは、自ら進んでやる行動の中で、いろんな発見が生まれてくるものですね。草むらや雑木林をゆっくり歩いたり、池の水をすくってみたりすることで、自分でいろいろなことに気づきます。絵本「14ひきのシリーズ」でやっていることも、じつは同じ。ページをめくれば、はじっこにいる小さなアリやクモが目にとまる。草の陰にてんとう虫が見える。こんなふうに、絵を見ていると、いろいろな発見があるでしょう。それは実際に自然の中を歩いて、さまざまな生きものたちに出会ったり、何か新しいものを見つけたりするのと、同じことですよね。自然の中で「自ら発見する」経験がとても大事だと思っているので、それができるように、自然の様子を細かく描いているんです。もちろん、あくまでも疑似体験だけれども、それでも絵本が自然体験に興味を持つきっかけになるといいですよね。絵の細部にまで目を向けて、発見してほしい『14ひきのひっこし』と『14ひきのあさごはん』(童心社)には、「……はだれ?」「……はなに?」という問いかけを入れています。絵の細部にまで目を向けて、発見することを楽しんでほしい、という思いを伝えるためにわざと、そういう問いかけをしているんです。じつは絵本を作っているとき、「こんなのないほうがいいんじゃないか」という意見もあったんです。でも、この本の意図がよく伝わるように、最初の何冊かには入れたほうがいいと思って、私の意思で入れました。問いかけがあると、お子さんは一生懸命探して答えますよね。それも含めて楽しんで読んでもらえたら嬉しいですね。じっくり、ゆったり。絵本には読者の意思が働く余地がある絵本を読み聞かせるとき、お母さんがページをめくろうとすると、「まだダメ!」「もっと見る!」と、子どもが主張することがありますね。このように、絵本には、読者の意思が働く余地があるんです。テレビのような映像だと、なかなかそうはいきませんね。生放送の番組を「ちょっと止めて」なんて、難しいでしょう。今のメディアは、流す側の意思で、一方的にすーっと流れてきます。それを受け取る側はただ、流れていくのをぼんやりと見ることしかできません。でも絵本はそれと違って、機械的に進むものではないですよね。受け取る側が主体的に味わうことができるんです。ページをめくる手を止めて、何かをじっくり探したり、お母さんとの会話をゆったり楽しんだりする。子どもが自分の意思で読み進めていく。とても大事なことだと思います。読み聞かせは、読み手と聞き手の強い人間関係を生む読み聞かせは、読み手になる大人と、聞き手になる子どもとの間に、強い人間関係を生むと思うんです。例えば、子どものときに、お母さんなり、お父さんなりに絵本を読んでもらう。そして、大人になったときに、昔お母さんに何度も読んでもらったな、と思い出す。その絵本を手にしたら、たとえお母さんはもうそこにいなかったとしても、お母さんの声が聞こえてくる。あるいは、お母さんの膝の上に乗って読み聞かせをしてもらう。すると、お母さんの体温が伝わってくる。その絵本と一緒に、お母さんの温もりにふわっと包まれる感覚を覚えていて、ずっと後になっても、ふとあの温かさを思い出す。そんなこともありますね。これは、すごく大事なことだと思うんです。もちろん、読んでもらう子どもにとって大きな影響を与えるだけでなく、読む側の大人にとっても宝物のような時間になるでしょう。読み聞かせには、そういう両者の強い関係を生む力があるんですね。【プロフィール】いわむら かずお1939年東京生まれ。東京芸術大学工芸科卒。主な作品に『14ひきのあさごはん』(絵本にっぽん賞)など「14ひき」シリーズ、エリック・カールとの合作絵本『どこへいくの?To See My Friend!』(童心社)、『ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ』(偕成社/サンケイ児童出版文化賞)、『かんがえるカエルくん』(福音館書店/講談社出版文化賞絵本賞)、「トガリ山のぼうけん」シリーズ、「ゆうひの丘のなかま」シリーズ(理論社)などがある。98年栃木県馬頭町(現・那珂川町)に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開館、絵本・自然・こどもをテーマに活動を続けている。
2019年07月23日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『アポロ11完全版』『天気の子』『工作』『存在のない子供たち』。ぴあ編集部 坂口英明19/7/19(金)イラストレーション:高松啓二今週公開の作品は17本。全国350スクリーン規模で上映の新海誠監督新作アニメ『天気の子』と、250スクリーンの『東京喰種 トーキョーグール【S】』、そしてこれらに続く135スクリーンの『チャイルド・プレイ』、以上3本がいわゆる拡大ロードショー。あとはミニシアターなど小規模での公開です。その中からおとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『アポロ11 完全版』いまから50年前の7月20日、人類が初めて月に降り立った、あのアポロ11号のミッションを収めたドキュメンタリーです。信じられないことですが、NASAによって70ミリの高精細フィルムで撮影された未公開映像や、管制センターと宇宙飛行士たちとの交信記録など11,000時間を越える音声データが残っていて、それが今回「発掘」されました。映像は4Kリマスター処理され、現代に蘇り、これが驚くほどにドラマチックなのです。打ち上げの日、ロケットに乗り込む宇宙飛行士たち、見守る管制センター内部の様子、打ち上げ見物で宇宙基地のあるフロリダのビーチに集まった100万人の観衆を歓声とともに高精細のカメラでとらえます。50年前のアメリカ人の姿、形です。センターにつめるスタッフの大半はワイシャツに細身のタイ、女性とアフリカ系の人の姿はほんのわずかです。そして、当たり前ですが、パソコンがない。ぼけたモニター画面と、膨大なスイッチ、ダイヤル式の電話など。いまみると恐ろしくローテクです。そして始まる9日間の旅の記録。探査船の月面着陸時、「鷲は舞い降りた」と交信し、アームストロング船長が「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な躍進だ」と月に足を踏み入れる。いちいちカッコいいんです。夢を信じた時代です。こういう映画こそ大きなスクリーンの映画館で是非!『天気の子』雨の多いこの7月にお似合いの映画です。公開初日、東京の朝は気持ち雨模様でしたが、9時からの上映が終わって外に出ると、青空さえ顔をのぞかせ、これは天気の子の神通力かと思いました。家出をして東京に出てきた16歳の少年が、天気を晴れにする超能力を持った少女と出会い、「世界を変える」というファンタジー。新海誠さんの作品は、背景や風景が実写の街よりもフォトジェニックで、詩情があり、ロマンティックにすら感じるのですが、それがこの映画のテーマにぴったりです。実景のなかに映り込む、商品名やビルボード、ネオンの実名も、アニメなら普通消しますが、逆にかなり精彩に描き込んでいて、とても効果的です。東京のあちこちが登場します。田端なんて聖地巡礼、流行りそうですね。平泉成さんや倍賞千恵子さんなど、安定感ある声の出演にも親しみを感じます。シニアの方まで充分楽しめる映画です。『工作 黒金星と呼ばれた男』韓国のポリティカルサスペンス映画は絶好調です。この作品も実話に基づく、ブラック・ヴィーナス(黒金星)というコード名でよばれたスパイの物語。舞台は1990年代初頭。主人公は、核開発の疑惑を探るため、なんと北朝鮮まで潜入し、当時の金正日総書記接見までやってのける「韓国のスパイ史上最も成功した対北工作員」です。黒金星がいかにして、北の信頼を勝ち取っていくか。その大胆不敵な行動も見ものですが、彼の所属する国家安全企画部についてもていねいに描かれます。かつてKCIAとよばれた、金大中拉致事件の実行犯とされる組織。金大中が大統領選の有力候補となり、もし政権交代にでもなったらその組織があぶない、そんな背景がスリリングです。ぴあの連載「池上彰の 映画で世界がわかる!」で、この映画をとりあげた池上さんは、例えば平壌の空港に降り立つシーンなど「過去に2回、北朝鮮を取材したことのある私から見ても、このあたりの描写はリアルです」と書かれています。そのリアルさに裏打ちされた、サスペンスの傑作です。『存在のない子供たち』現代のレバノン。12歳の少年が「どうしてこんな世の中に、僕を産んだのか」と両親を法廷で訴える、というショッキングな出だし。なぜ、彼はそういう行動に出たのか。貧民窟に生まれ、親が出生届をださなかったので、誕生日もわからないし、学校へも行っていない。まさに社会に「存在をしていない」子供なのです。演じているゼイン・アル=ラフィーアという子役の目に吸い寄せられます。目力があります。利発な少年で、生活力もある。こんな環境の中ですら、粗暴で、言葉もきたないのですが、弱い存在へのまなざし、彼らを必死で守ろうとするやさしさに胸をうたれます。フィクションなのですが、この少年の未来をみてみたい、そんな気持ちになりました。悪党かもしれないし、社会の役にたっているかもしれない、でも、ひとかどの人物になっていると思います。厳しい現実を突きつけられますが、一筋の希望の光を感じる、そんな映画です。特集上映では。「洒落たタッチと円熟の演出 職人監督降旗康男」(新文芸坐)7/22〜30「洒落たタッチと円熟の演出 職人監督降旗康男」(新文芸坐)7/22~30池袋の新文芸坐では、5月に他界した降旗康男監督の追悼回顧上映が行われます。東映出身、プログラム・ピクチャーで鍛えた「職人監督」です。高倉健出演の作品が多く、東映での代表作は健さん主演の『新網走番外地』シリーズ。フリーになってからも、『あなたへ』(2012年)まで、ふたりの共作は続きます。今回上映する14本も半分以上が高倉健主演作。『新網走番外地』は入っていませんが、最初にコンビを組んだ『地獄の掟に明日はない』(1966年)や、任侠ものというよりは文芸映画のテイスト『冬の華』(1978年)、『駅 STATION』(1981年)など6本や、監督デビュー作、緑魔子主演の『非行少女ヨーコ』(1966年)も上映されます。
2019年07月19日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『さらば愛しきアウトロー』。ぴあ編集部 坂口英明19/7/12(金)イラストレーション:高松啓二今週ロードショー公開の作品は17本。全国300スクリーン規模での拡大上映は、『トイストーリー4』と『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』のアニメーション2本。あとはミニシアターなど小規模での公開です。その中からおとなの映画ファン向けの作品をご紹介します。今週のオススメ『さらば愛しきアウトロー』ロバート・レッドフォードの俳優引退作品です。レッドフォードは今年82歳。イーストウッドが89歳で、相変わらず元気に主役を演じているし、まだまだいけるのではと思うのですが。そこがイケメンスターの難しいところ。確かに近年のレッドフォードには、顔に多少老いを感じていました。でも今回は、その老いがとてもよく生かされている感じです。銀行強盗でありながら、生涯誰も傷つけず、逆に襲われた銀行マンには「彼は紳士だった。微笑んでいた。」といわれるノーブルなギャング。強盗、逮捕、脱獄、強盗を繰り返した懲りない男を楽しそうに演じています。初期の『逃亡地帯』『明日に向って撃て!』や、70年代の『ホットロック』『スティング』、90年代の『スニーカーズ』など、様々な代表作を思い出します。監督のデヴィッド・ロウリーの前作は、なんとも静かなホラー映画『ア・ゴースト・ストーリー』でした。レッドフォードが主催するサンダンス映画祭において『セインツ〜約束の果て』でグランプリを取った監督というのが彼とのつながり。プロデューサーでもあるレッドフォードのご指名でしょう。全編、このレジェンドへの敬意に満ち満ちていて、気持ちがよいです。ぴあ水先案内では4人(春日太一/高崎俊夫/高松啓二/野村正昭)の皆さんがオススメです。『シンク・オア・スイム イチかバチが俺たちの夢』中年のオジさんたちがアーティスティック(シンクロナイズド)スイミングの世界大会に挑戦する、というフランスのコメディ。男性のシンクロといえば妻夫木聡君の『ウォーターボーイズ』を思い出しますし、オジさんチャレンジものでは『ドッジボール』とか『フル・モンティ』など、いろいろ連想します。つまりネタとしてはそんなに珍しくはありませんが、結構楽しめます。生活に困ったり、精神的に落ち込んでいたりした中年男たちが、最初はシロウトでまるでダメなのですが、やる気というか、やらざるを得ない理由があって、次第に様になり、もちろんトラブルにもあいながら、チームメートの友情や本人の努力もあり、成功を掴みます。映画の設定からそんな展開予想は想像がつきます。それを決して裏切らないところが嬉しいんです。しかも面白い、笑える、ちょっと泣かせる、まるで寅さんのような映画です。フランスのアカデミー賞ともいえるセザール賞で10部門にノミネートされるも、受賞は助演男優賞のみ。それも結構目立たない役の人です。そんなところも好感が持てます。おとなが気軽に楽しめる映画として、オススメです。ぴあ水先案内では佐藤久理子さんもとりあげています。『トイ・ストーリー4』ウッディたちを託され、新しい持ち主になった女の子ボニーとトイたちの物語。いつもながらおとなが観ても十分楽しめますし、セリフの奥深さなど侮れません。羊飼い人形のおもちゃボー・ピープが19年ぶり、『トイ・ストーリー2』以来の再登場。日本語版では戸田恵子さんが前作に続いて声の出演です。ピクサーアニメ初期短編に出演し,トイストーリーの元になった「あの」キャラクターも顔を出します。いろいろな世代の映画ファンにオススメ。ぴあ水先案内では、3人(相田冬二/伊藤さとり/渡辺祥子)のみなさんがセレクトしています。『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』ナチスが月の裏側に逃亡し、力を蓄え、地球を襲うという7年前に作られたトンデモ映画『アイアン・スカイ』の続編です。インパクトは前回ほどではありませんが、前作の世界的ヒットで、クラウドファンディングにも成功し、資金が潤沢になったんでしょうね、特撮など全般的にスケールアップしています。2018年にナチスとの戦いには勝ったものの、核戦争で自滅した地球。その30年後という設定です。ポスターなどでネタバレしてますので、書きますが、ヒトラーが恐竜に乗って登場するというのを始め、世界の政治家などを茶化しまくります。iPhoneや、スティーブ・ジョブズのような存在も重要な悪玉として登場します。どうやらフィンランド人監督ティモ・ブオレンソラのノキア愛がでた感じです。『スター・ウォーズ』愛、もあちこちに。かなりクセが強く、全ての人にオススメとはいいませんが、私は好きです。前作がネットの配信サービスであがっています。この新作を観たあとで、そちらも再見しました。今観ても強烈です。ぴあ水先案内では高松啓二さんがオススメです。上記4作品以外で、ぴあ水先案内人のオススメは (敬称略)『ブロードウェイ版 ロミオとジュリエット』(12日〜)渡辺祥子オーランド・ブルームがブロードウェイデビューを飾ったブロードウェイのステージを、映画館で上映。『ハッパGOGO大統領極秘司令』(13日〜)水上賢治マリファナを合法化したウルグアイの大統領が考えた秘策とは。『ANIARA アニアーラ』(13日〜)春錵かつら「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2019」で上映特集上映で気になったのは。「常田富士男 じっちゃに逢える日」ポレポレ東中野7/13〜192018年に他界した常田さんの回顧上映です。今村昌平監督の『楢山節考』『黒い雨』『うなぎ』と、河瀬直美監督の『2つ目の窓』の4本が連続上映されます。7/13には長男倉崎青児さん他のトークイベントと短編『輪廻』の上映、7/16には小室等の六文銭などによる、「別役実『スパイものがたり』を歌うコンサート」が予定されています。『スパイ…』は別役が常田富士男主演で書いたミュージカル。名曲『雨が空から降れば』はここから生まれたといいます。常田さんといえば、「まんが日本昔ばなし」で有名ですが、映画でも貴重なバイプレーヤーでした。
2019年07月12日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『ゴールデン・リバー』と『Girl/ガール』。野村芳太郎監督回顧、伊藤雄之助&西村晃の名脇役対決などの特集上映も好企画が並びました。ぴあ編集部 坂口英明19/7/5(金)伊藤さとり(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=93a38c60-dfa2-48cd-af06-83c2857e4101)真魚八重子(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=3565dab2-1ca9-4d27-b5bf-0792183f25a7)高松啓二(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=17c89031-2956-4e72-b8a8-45553e3c6697)春日太一(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=564cc792-5c0d-4e1d-9a06-ffd654b8f928)『ゴールデン・リバー』は昨年のヴェネチア映画祭の銀獅子賞(監督賞)を受賞していますが、ベルギー映画の『Girl/ガール』は、今年のカンヌ映画祭カメラドール(新人監督賞)受賞とこちらも評価の高い作品です。15歳の主人公ララはトランスジェンダーで、バレリーナを目指しています。この映画はもちろん、その少女の物語なのですが、映画で重要な役どころは父親。少女を取り巻く医療スタッフなど、ベルギーは日本では考えられないほど、理解のある環境ではあるのですが、やはりいじめや、差別はある。その中で「女性になることを急ぐ必要はない。パパだって時間をかけて男になった。焦っちゃダメだ」と暖かく見守る父、そんな家族の映画でもあります。この作品も、渡辺祥子、伊藤さとり、水上賢治、杉本穂高の4人の水先案内人の方々がオススメです。この映画の水先案内渡辺祥子(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=dbc05f7b-0538-4572-80f7-00b4eed0a036)伊藤さとり(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=ba11039c-a3f7-4258-969b-a9a3d2762c37)水上賢治(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=ced68815-35ad-4bf2-af22-977f8986b98b)杉本穂高(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=3520c557-722b-4539-9ff1-f689c079b04b)今週は名画座の特集上映に注目すべき企画が3つもあります。「生誕100年記念 映画監督 野村芳太郎」(神保町シアター)7/6〜19 植草信和(dpia-app://pilotDetail?pilotageId=2dc649d8-0919-4888-9dce-b2976a9a7a55)「名脇役列伝IV 伊藤雄之助生誕百年記念 怪優対決 伊藤雄之助vs西村晃」(シネマヴェーラ渋谷) 7/6〜26お人好しか、はたまた曲者か、馬面の怪優伊藤雄之助と、のちに水戸黄門に変身したが、映画では気が弱そうで実は悪人とか、暗躍する敵役が多いこれまた怪優の西村晃という名脇役二人に注目した特集。伊藤雄之助は『現代インチキ物語 騙し屋』の詐欺師や、『にっぽん泥棒物語』などの刑事役、『一等女房と三等亭主』では風采のあがらないサラリーマン…、どの映画も実は強い印象を残す脇役だ。西村晃は『ある脅迫』『散歩する霊柩車』のこれぞ小心者、『北陸代理戦争』で雪の中に首だけだして埋められ、リンチされる伝説のシーンも見ものです。「キネマ旬報創刊100年記念 キネ旬ベストワンからたどる昭和・戦後映画史」(新文芸坐)7/7〜17キャプションの内容を記載映画雑誌『キネマ旬報』が今年、創刊100年を迎えるのを記念した特集。この雑誌の看板企画であるキネ旬ベストテンの、ベストワン作品を集めて、昭和・戦後日本映画史を振り返ろうという企画です。小津安二郎『晩春』『麦秋』の2本立てから、山田洋次『幸福の黄色いハンカチ』と深作欣二『蒲田行進曲』までの20本。組み合わせも興味深い、いかにも新・文芸坐らしいプログラムです。映画の上映ではありませんが、映画ファンにとって見逃せない展覧会が始まりました。「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」(東京国立近代美術館) 7/2〜10/6よくこんな資料が残っていたと驚きます。台本、絵コンテ、セル画、演出メモなど。デビュー作『太陽の王子 ホルスの大冒険』では、登場人物の出番とドラマの「テンションチャート」を組み合わせたグラフや、制作の遅延を恐れた会社とのやりとり、いわば「一筆を入れた」書類まで。入り口近くに「ぼくらのかぐや姫」企画ノート、という企画書が展示されています。東映動画時代、内田吐夢監督でかぐや姫を映画化する話があり、自分なりのプランをまとめたもの。遺作『かぐや姫の物語』とループで繋がる高畑勲の原点というわけです。高畑さんは自分で絵を描く訳ではない、アニメの演出のプロです。作品に込めた思いをスタッフに伝えるために使われた様々な表現物で、高畑さんの世界をうかがえるまたとない展覧会です。『アルプスの少女ハイジ』のコーナーでは、ハイジの住む家と大自然のジオラマも設置されています。背景美術用に描かれた風景画の素晴らしさも見もの。関係したスタッフのコメントも入った音声ガイドは借りた方が良いです。
2019年07月05日わが家の2歳になる男児は絵本が大好きで、お話がとってもじょうずだとよく褒められます。おそらくこんな風に育ってくれたのは、出産祝いにたくさんの絵本をプレゼントしてくれた友人たちのおかげです。今回は「誰かの出産祝いには、同じように絵本をプレゼントしよう」と思った私の体験談をご紹介します。 友人たちがくれたたくさんの絵本大学時代は国語教育に関する学部に所属していたので、私は本が大好きな友人に恵まれていました。そのためか、友人からの出産祝いのほとんどが絵本でした。とてもうれしかったのですが、「絵本はまだまだ先かな」と思っていたので友人たちのチョイスにちょっとびっくり。 なかには長いうえに内容が難しい絵本もあり、友人たちはまだ結婚も出産もしていなかったので、正直なところ赤ちゃんのことよくわかっていないのだなと失礼なことを思っていました。 最初は虚しかった読み聞かせも…赤ちゃんにとって絵本の読み聞かせは良いものだと聞いていたので、生後1週間ほどから毎日絵本を読み聞かせすることにしました。しかし、最初のうちは赤ちゃんからの反応は薄く、虚しい気持ちに……。 でも、あるときから絵本の読み聞かせが楽しくなりました。機関車の絵本を読んでいるときに、赤ちゃんを膝の上に乗せて「ガタンゴトン」のリズムに合わせて膝を揺らしたら、赤ちゃんが今までにないくらい楽しそうに笑ったのです。 それから赤ちゃんは毎日絵本を求めるようになり、さらにたくさんの絵本を読むようになりました。 絵本のおかげでお話が大好きに今、わが子は2歳なのですが、相変わらず絵本が大好きです。友人からもらった長くて難しい内容の絵本も飽きずに最後まで聞いています。そして、そのような難しい絵本も読んでいるからか、わが子はとてもお話がじょうず。たとえば、「家にみかんがないから、スーパーに買いに行こう」という長い文もスラスラと話せます。 友人たちが絵本をプレゼントしてくれなかったら、きっとこんなにじょうずに話せるようになっていなかったでしょう。本当に絵本をくれた友人たちには一生頭が上がりません。 出産祝いといえばタオルやお洋服もうれしいですが、赤ちゃんの成長を考えると、成長したころに喜ぶ絵本も良いなと今では思っています。私も誰かの出産祝いには絵本をたくさん贈ってあげたいと感じられた体験でした。著者:鏡 環2歳の息子の母。現在第二子妊娠中。元高校教員。うつ病と闘いながら夫と二人三脚で育児に励む。
2019年07月03日「子どもに英語で絵本を読んであげたいけど、私が英語がわからなくて…」、「どんな本を選んだらいいですか?」私は2歳~小学生が通う英語教室を主宰していますが、教室に通う子どもの保護者から、子ども向けの英語の絵本についての相談をよく受けます。確かに幼児期の絵本選び、それが英語ともなると親の英語力も問われるため、悩みますよね。そんなパパやママに私の教室で大人気の「笑える!楽しい!飽きない!」と3拍子そろった絵本を紹介します。その絵本の名前は…Brand New Readers(ブランド・ニュー・リーダーズ、以下、BNR)シリーズです。1冊8ページのショートストーリーが、10冊で1セットになってボックスに入っています。息子は2歳の時にお友達からBNRシリーズのブルーセットをプレゼントされました。カラフルなイラストがひとめで気に入り、ボックスを引っ張り出してきては、私に「よんでー」とリクエストしていました。ストーリーが単純明快!BRNシリーズのすべての絵本は、とにかくカラフルでキャラクターがかわいく、そして、ストーリーが単純明快。最後に必ずくすっと笑えるオチがあり、そのオチがイラストと読み手の声のトーンだけでも理解できるので、英語がわからない子どもでも楽しめます。2歳児クラスや3歳~4歳児クラス、4歳~6歳児クラスの子どもはレッスン中すぐに飽きてしまうことも多いもの。でも、この絵本を取り出すと、さっと集まってきて、絵本の前の場所取りがはじまります。実は未就学児のクラスだけでなく、小学生低学年クラスの子どもたちもこの絵本が大好き。オチが楽しいのか、みんな同じリアクションでケタケタ笑いながら、楽しんでくれています。シンプルなセンテンスが繰り返される文章は1ページに1文のみのシンプルな構成。同じ単語が繰り返し使われることも多く、リズミカルで韻(いん)をふんでいるものもあり、耳にすっと入ってくるのもポイントです。難しい単語が使われることもないので、英語に自信がないパパやママも気負うことなく、子どもに読み聞かせをすることができます。読み聞かせからひとり読みまで長く使える!単純なストーリーを毎日1冊ずつ、繰り返し読み聞かせていると、子どもたちはあっという間に文章を覚えてしまいます。そして、アルファベットやフォニックスがわかるようになると、自分で文章を読めるようになります。息子の例を挙げると、毎日読み聞かせていたこともあり、小学校1年生の終わりごろには、ほとんどのストーリーを自分で読めるようになりました。小学校4年生になる今でも、たまに引っ張り出してきては、懐かしそうにページをめくっています。ちなみにセットには読み終えたらシールを貼ることができるポスターと10冊分のシール、10冊すべてを読み終えたときの修了書、自分でも絵本を書くことができる真っ白の冊子が入っていて、子どものやる気を応援する仕組みも。息子が約8年間、この絵本シリーズに親しんできているように、幼児期から長く使えるのも魅力です。失敗から学ぶ英語の絵本を選ぶ2つのポイントわが家には私の趣味で選んだたくさんの英語の絵本がありますが、どんなにステキな絵本でもストーリーが長いと、英語初心者の子どものアンテナには引っかかりません。英語の絵本を選ぶ第1のポイントはストーリーが短く、イラストが多めでとにかくわかりやすいこと。第2のポイントは子どもの「好き」に関連した絵本を選ぶこと。その点でもBRNシリーズは1ボックスに10冊入っているので、子どもに「これ!」と思わせるタイトルが必ず見つかるはずです。教室に子どもを通わせる保護者からは「英語好きの主人がはまって読み聞かせしている」「子どもにリクエストされて全シリーズ購入してしまった」なんて話も。大人も子どもも最後にくすっと笑えるBRNシリーズ、おすすめです。<参考商品><文・写真:ライター稲井華子>
2019年06月26日恋愛観や結婚観、ジェンダー観が大きく変化する現代の感覚に合った恋のお話を。そんなコンセプトの〈恋の絵本〉シリーズが創刊。これがはじめての絵本制作となる著者のお二人、辻村深月さんと桜庭一樹さんにお話をうかがいました。辻村:最初お話をいただいた時、「私でいいのかな」と思ったんです。小説を書く才能と絵本や児童書を書く才能はまったく別物だと思ったので。ただ、同じ出版社から出ている、宮部みゆきさんや恩田陸さんの〈怪談えほん〉シリーズが大好きだったので、憧れはありました。桜庭:私は一回絵本を作ってみたかったんです。長いお話が一冊に入っている絵本が好きだったし、『GOSICK』というシリーズを挿絵付きで書いていた時、文と絵があってはじめて作品が完成する感覚があって、それは素晴らしい体験だったので、またやってみたかった。辻村:恋というテーマについては、自分が子どもの頃に抱いていた違和感と向き合うことになりました。桜庭:辻村さんの『すきって いわなきゃ だめ?』は、小学生のお話ですよね。違和感というのは?辻村:小学生の頃、女の子が集まると必ず恋の話になりませんでした?好きな人がいなくても誰が好きか言わなきゃいけない空気があって、言うと「協力する」とか言われて。桜庭:分かるー。辻村:いたとしても公にしたいわけじゃないし、つきあうことだけがゴールじゃなくてもいいのに、という気がしていて。当時言語化できなかったその気持ちを絵本にしました。桜庭:読んで、最後のところでびっくりした!さすがミステリ作家。辻村:嬉しい(笑)。「どんな恋でも大事にしていい」と分かっていても、人はいろんな思い込みの中で生きているから、最後まで読んだ時により広いところに届くようにと考えました。桜庭さんの『すきなひと』は、街角でもう一人の自分と出会うところから始まって、すごく大きなお話になっていくのがすごい。桜庭:生きることへの思いや、一人で過ごす時間、神様みたいなものへの思いも“恋”だなという気持ちがありました。きっかけは、体調が悪くて休んでいる時にLINEカメラでお絵描きをしていて…(笑)。辻村:えっ?(笑)桜庭:スタンプだと、人物がみんな同じ顔になるので「自分と自分がすれ違う」というイメージが浮かんで、「あ、絵本の話、このシーンから始められる」と気づいてラストまで一気に考えました。辻村:すごいなと思ったのは、「あさがきて」「よるになって」という文章で、絵ではとてつもない時間が流れているところ。桜庭:誰に絵を頼むか編集者たちと相談していた時、嶽まいこさんの絵を見て、この人は不思議な絵を描ける!とピンときて。今は、嶽さんに絵を描いてもらってゴールできたという爽快感があります。辻村:私は、自分の書いた感覚を的確に描ける人は今日マチ子さんしか考えられなくて。実際、心象風景が天気で表されていたり、いろんな奥行きがあったり、ランドセルの色に至るまでその子を正確に分かって描いていて、震えるほど感動しました。桜庭:水たまりに相手の子の顔が映る絵だけで、視点人物がうつむいているって伝わるところとかも巧い。辻村:思ったのは、2冊とも「同調圧力に従うことはないんだよ」っていう話だなと思って。桜庭:ああ、確かに。辻村:どちらも恋は自分の中で耕していい、その豊かな時間は自分だけのものだって言っている感じがして、それがすごく嬉しい。桜庭:うん。大人は「子どもには難しいのでは」と言うかもしれないけれど、自分が子どもの頃って、ちゃんと分かって読んでいましたよね。辻村:そう。子どもは、作り手が子どもを軽んじているかどうか分かる。桜庭:だから、私も子どもを信じて作りました。辻村:この2冊も、それぞれの心に何かが残るものになってくれたら嬉しい。このシリーズから今後どんな絵本が出てくるのかも楽しみです。さくらば・かずき(左)1999年に『AD2015 隔離都市ロンリネス・ガーディアン』でデビュー。’07年『赤朽葉家の伝説』で推協賞、’08年『私の男』で直木賞受賞。近著に『小説という毒を浴びる』。つじむら・みづき(右)2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞しデビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞、’18年『かがみの孤城』で本屋大賞受賞。近著に『傲慢と善良』。『恋の絵本(1)すきなひと』(左)桜庭一樹(作)、嶽まいこ(絵)、瀧井朝世(編)薄暗い街角で、もう一人の自分とすれ違った「わたし」。その子を追いかけ、捜して体験する夢のような時間とは。悠久の時と、深遠なテーマが濃縮された一冊。岩崎書店1500円『恋の絵本(2)すきって いわなきゃ だめ?』(右)辻村深月(作)、今日マチ子(絵)、瀧井朝世(編)学校で告白が流行中。「すきなひといないの?」って聞かれて、本当はこうくんが好きだけど、でも…。同調圧力を背景に、誰かに惹かれる思いを繊細に描く。岩崎書店1500円※『anan』2019年6月19日号より。写真・小笠原真紀中島慶子(本)取材、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年06月14日こんにちは、ユキミです。3歳の息子ユキタと、息子に日々振り回されている母の日常をお送りしています。皆さんは我が子へ絵本の読み聞かせってしていますか?読み聞かせっていっても、大体いつ頃から始めればいいの?なんて疑問も多いことかと思います。ちなみに我が家、息子がとにかく…・寝ない・抱っこしていないと(肌が触れていないと)泣く・床に置けないの3拍子だったので、昼夜問わずとにかく抱っこしかすることがありませんでした…。抱っこで部屋中をウロウロ。息子との生活も段々日常になってきた産後2か月頃 部屋の徘徊にもほとほと飽きがきたなぁ…ふと思い立って絵本を読んでみました。息子に初めて読んだ本は松谷みよ子さんの「いないいないばあ」 以外にもジッと絵を見つめて好反応。息子の反応が嬉しかった&抱っこ以外に仕事ができた私は、この時期からとにかく絵本を読みまくりました。ノンタンシリーズや、14匹シリーズなどなど 私自身も絵本が大好きだったので、自分が小さい頃読んでいた絵本をちょくちょく本屋さんに行って買い集める日々。息子に読んでいると、幼い頃に口ずさん台詞や大好きだった場面、私も懐かしい気持ちになりとても楽しかったです。しかし、そんな親子の楽しい絵本ライフも息子が1歳前になった時、ある問題が…!!息子が絵本を…かじる!!そして、やぶく…!!や、やめてぇぇぇぇぇ!!! と絵本を救出するも、もちろん本人に悪いことをしている自覚は全くなく…。息子に何度も 「本はかじらない」 「本はやぶかない」 と言い聞かせるも、全く効果なし…。絵本を修復する我が家のセロテープの消費量だけうなぎ上りでした。この頃はとにかく何でも口に入れていましたし、まだ手指の力のコントロールが上手くなかったことを覚えています…。(離乳食のパンとか握りつぶされてました)そこで!これなら多少口に入れてもなんとか形は保たれてるし、紙が分厚いのでやぶくこともない。それに子供が紙で手を切ってしまう心配もなし!1歳前後は 「紙が分厚い」 ことを優先に、図鑑やちょっとした仕掛け絵本などを選んで読んでいました。そしてこの頃から時々自分で本を出して読む(主に図鑑)という習慣が見られるようになりました!そして3歳現在今はまだ、ほとんどの絵本を私が選んで買うことが多いのですが、いつか息子が自分で選んだ本を母に進めてくれる日が来るのかなぁ。そんな日を楽しみに今日も親子で絵本を読みます♡●ライター/ユキミ(イラストライター)
2019年05月31日読み聞かせは子育てに必須…でしょうか?「絵本の読み聞かせをしましょう」「親子で絵本を開く習慣をつけましょう」など、“絵本の読み聞かせは、子育てに必須”といろんな場面で聞きますね。私は絵本専門士。絵本を多くの人に楽しんでもらいたい、絵本のよさを知ってもらいたい、そんな思いでいつも絵本を紹介しています。でも、子育て中のママ・パパの中には、「毎日の読み聞かせが大変」という人もいるのでは?そこで、今日は「絵本の読み聞かせ、しなくていいよ!」という観点で話をすすめていきたいと思います。親子で絵本を開く時間も大切ですが、絵本は単なるツールでしかありません「絵本」は単なるツール!「親子で絵本を開く時間が大切ですよ」、というその真意は、「親子で一緒に過ごす時間が大事だよ」ということだと私は思っています。そう、絵本があれば手っ取り早く、親子で共通の空間・時間ができる、そのための近道だということ。つまり、ほかに手段があれば、絵本の読み聞かせにこだわる必要はない、ということです。「絵本」じゃないツールを探してみて!私が、絵本専門士という資格を取り、絵本のよさをみなさんに伝えたい、知ってほしいと思ったのは、自分の子育ての中で親子の時間を作るのに、「絵本」が便利だったからです。だから私は「絵本、いいよ!」と言いますが、別のママにとっては、それが「ブロック」かもしれないし、「お絵描き」かもしれません。ぜひ、自分の得意なこと・好きなことの中から、子どもと一緒に楽しめることを見つけてください。でも、絵本を読んで安心したい…という気持ちもでも、世の中的に「子育てに絵本は必須」という雰囲気の中で、子どもに絵本を読んでいないことが、ちょっと不安になってしまうママもいるかもしれませんね。絵本を読むのは苦手、好きじゃない…、でも絵本を読んであげたい。もしくは、「絵本がいいよ」と言われるから読みたいけれど、そもそも子どもが絵本好きじゃないし…。そんな時には、しかけ絵本や歌う絵本、ふれあい絵本はいかがでしょう?「しあわせならてをたたこう」作:デビッド・A・カーター、訳:きたむらまさお大日本絵画【概要】だれもが知っている「しあわせならてをたたこう」の歌にあわせて、手をたたいたり、しっぽを動かしたり、というしかけが登場。【おすすめポイント】絵本のしかけと歌で、思わず踊り出しそうになるお子さんもいるかも。一緒に歌って、楽しく親子の時間を紡ぎだせるのではないでしょうか。「くっついた」作・絵: 三浦 太郎こぐま社【概要】「くっついた」という呼び声とともに、きんぎょさんが、ぞうさんが、おさるさんが、いろいろな方法でくっつきます。そして、最後は、誰とくっつくのかな?【おすすめポイント】最後はぜひ親子で「くっついた」をしてみてくださいね。ママと子だけでなく、パパも一緒に「くっついた!」絵本というよりも、ふれあい遊びと言った方がいいのかもと思える内容です。絵本には見向きもしない、という子どもでも、親子での絵本を通したふれあい遊びならきっと楽しんでくれますよ。気持ちをラクに、ツールとして活用してみて!今はとても絵本人気が高く、子育てにはなくてはならない、読まねばならない、そんなふうに思ってしまっているママも、絵本は子育ての中で、便利に使えるツールだと思えば、ちょっとは気がラクになるのでは?絵本を読んでもいいし、読まなくてもいいし、使いたい人は存分に便利に使ったらいいと思います。そして絵本以外にもいろんなツールがあるので、自分にぴったりのものを見つけてくださいね。<文・写真:フリーランス記者鳥山由紀>
2019年04月09日以前から、子どもの絵本の整理は悩みの種でした。リビングダイニングに絵本用の本棚を作ったのですが、それは子どもが自ら絵本を手に取れるようにしたかったからです。子どもが成長するにつれて、自分で絵本を選び片付けてくれるようになったのはいいのですが、同時に収納の悩みも発生しました。そこで、イケアのマガジンファイル「FLUNS(フルンス)」を使って解決することにしました。その方法をご紹介いたします。■ 理想は子どもでも出し入れしやすい絵本棚以前は、とある収納名人がオススメしていた「ボックス型のファイルボックス」に絵本を立てていました。しかし、すぐに我が家には合わないとわかります。なぜかというと、絵本を一度上に引っ張り上げて取り出さないといけないんですね。しかも両手を使わないとダメ。子どもには絵本ってまだ重いのです。そうすると、複数冊絵本を持ち出したい時なんかモタモタしちゃうんですよね。ということで、ボックス型のファイルボックスは諦めて、ただただ並べることにしました。スッキリしていい感じです。でも、これだと皆さんも経験済みだと思いますが、ぐちゃーと雪崩が起きてしまいます。雪崩が起きると、子どもの力では絵本を起こして立てることが難しく、上にどんどん重ねていくようになるんです。こうなると、あとは悪循環しかありません。子どもでも大人でも同じですが、上に絵本が積み重なると下に立ててある絵本は選ばなくなります。いつもいつも同じ絵本を持ってくるようになりました。これではいかん!ということで「雪崩を起こさない」かつ「取り出しやすい」絵本棚収納を考えました。■ イケアの「FLUNS(フルンス)」が使いやすいブックエンドに早変わり!家にあるもので何か作れないかと探してみると、イケアのマガジンファイル「FLUNS(フルンス)」が何パックが余っているのを見つけました。「FLUNS(フルンス)」は4ピース1セットになっていて、はっきりとした価格は覚えていませんが、とても安かったのだけは覚えています。今だとセールだそうで149円で売られていますよ(1月27日まで)。さて、このまま使うとなると横長の絵本が入りません。手前に立ち上がりがあってつっかえるので、絵本を上に引き上げないと取り出せない=両手で取り出さないといけない。ということで、フロント部分をハサミでチョキチョキ取り除きました。紙製だからできることですよね。こうすることで、手前にも引き出しやすく、雪崩防止にもなりました。横長の本もちゃんと収まりますよ。今回、筆者はイケアの「FLUNS(フルンス)」を使ったので、だいたい500円以内で作れました。この「FLUNS(フルンス)」はハサミで簡単に加工できるので、他にも冷蔵庫や冷凍庫の収納にも使っています。紙製なので汚れたり、くたびれたりしても普通ゴミとして処分できるのもいいところ。簡単に、お安く絵本収納できて満足してます!
2019年01月15日絵本作家のたなかしん氏作絵本で化粧品や美容目的の医薬部外品などに含まれる成分や、正しいスキンケアを理解しようという新刊『お姫様の美肌図鑑』が株式会社じほうより発売された。A5変型判で価格は1,728円(税込)である。同社は医薬品専門書を手がけており、これまで一般向けの「じほう図鑑」として『王様のくすり図鑑』『王子様のくすり図鑑』『皇帝の漢方薬図鑑』(いずれも木村美紀氏著)を発売。今回発売された新刊は絵本作家のたなかしん氏の作で、高橋典子氏がプロデュース、皮膚科専門医のまのえいこ氏が監修している。45種類の美肌成分を妖精のキャラクターにコラーゲン、ヒアルロン酸、トラネキサム酸など、女性なら見慣れた成分ではあるが、これらの成分がどのような目的で配合され、どのような働きがあるのかを説明できる人は少ない。絵本『お姫様の美肌図鑑』では、美に悩む「おひめさま」がフクロウの導きにより美肌成分を学んでいく。同書の前半は荒れ果てた夜の森が舞台で、アルブチン、アミノカプロン酸、アスタキサンチン、セラミドなど、45種類の美肌成分を妖精のキャラクターとして紹介。フクロウが妖精を呼び出すことで、それまで荒れ果てていた森が美しさを取り戻していく。また、後半は「Dr.マノメディカルクリニック」と「ミューズスキンクリニック」の院長を務めるまのえいこ氏が監修。皮膚の構造やトラブルのメカニズム、化粧品、医薬部外品、医薬品の違いなどが解説され、正しいスキンケアの基本を学ぶことができるようになっている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※お姫様の美肌図鑑 - 株式会社 じほう
2018年12月04日気持ちのいい秋風が吹くころになってきました。ベビーが知らない世界を広げるためにも、読書の秋に絵本を一緒に読んであげませんか?我が家にある30冊程の絵本は、子どもが取れるように表紙の見える絵本棚にすべて入れています。そんな絵本の中から月齢別1〜2歳におすすめの絵本を、絵本を読んだ時の息子の反応とともにご紹介します。10ヶ月~1歳、好きな本を本棚からとれるように歩き始めるようになると、本を読んでほしいアピールをするようになります。絵本用の本棚を置いてあげると絵本が身近になるし、お片付けの練習にもなります。この時期に、絵本の表紙が見える本棚をリビングに設置しました。そうすると好きな本を自分で取ってバスケットに入れたり、自分で絵本をめくって単語を言いながら絵を指差したりするようになりました。この時期は、自分で絵本を楽しめるようになるので仕掛け絵本を中心に買い足しました。いろいろな形の穴のあいたページをめくると、隠れていた動物が次々と現れる「どうぶついろいろかくれんぼ」。鳴き声など音でも表現されていて子どもが楽しく読め、言葉も覚えやすくなっています。茶色一色のページをめくるとゴリラが現れるのが、息子には大ヒット!めくる瞬間に『ゴリラが出てきた!』と言っていたら、ゴリラという単語を覚えました。動物のおしりやしっぽから動物のあてっこ遊びができる「どうぶつだあれかな」は、ライオンの子どもがいろいろな動物と出会う絵がとてもやさしく、ママも癒される絵本です。1歳~1歳半は、楽器や写真付きの絵本を指先が器用になり、言葉もはっきり話すようになるこの頃。楽器に親しんでほしいこともあり、1歳を過ぎてからはピアノの鍵盤が付いている絵本を買い足しました。ピアノとしての音も出るし、10曲ほどの自動演奏もついています。どの鍵盤を押しても音楽になる簡単モードでは、料理を作っている横で一人で遊んでくれます。また、動物が好きなのでどうぶつ図鑑も与えました。動物の写真横のボタンを押すと英語と日本語で動物名と鳴き声が出ます。エサも載っていて、息子はバナナやユーカリの葉など全く教えていないのに、ボタンを押しているうちに英語発音で言えるようになりました(笑)1歳半~2歳は、知育雑誌でも遊べるように2~3語を続けて表現できるようになって、理解度も深まるこの時期。書店でシールを貼ったり、数をかぞえたりと遊びながら学べるようになっている1~3歳対象の知育雑誌を発見したので、買ってみることに。この頃になるとパン屋さんごっこや電車ごっこをしたり、同じ車でもバスや救急車などの違いがわかるようになるので、1冊でいろいろ遊べる雑誌は外出先でも大活躍です。さらに、トイレトレーニングを始める時期なので、まずは絵本で予習。日本語では「みんなのうんち」で人気のある絵本の英語版「Everybody Poos」が役立ちますよ!歌をうたうようになる頃なので、マイク付の絵本があるとカラオケごっこをして遊ぶようになります。自分の声がマイクを通して聞こえるのが楽しいようで、曲に合わせて自慢げに歌っています。アンパンマンの歌以外にも8曲入っていて、今はお誕生日で何度も聞いた『ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー』をよく歌っています。童話なども読んであげていると、お椀に乗ったいっすんぼうしを見て『パパ、プップー』など指をさして説明してくれるようになります。小さいころに絵本を読んであげて、読書好きに!0歳だった時の絵本も2歳のいま抑揚まで真似をして読んでいるように話していたりと、大人が思っている以上に子どもはよく覚えています。絵本に出てきた動物の名前もいつのまにか覚えていて、ある日急に『ぞうさん』『きりんさん』と指さしてしゃべり出しました。小さいころから本に親しんでいると読書好きになると言います。お気に入りの絵本を見つけて読書の秋を堪能しましょう!息子が気に入っている絵本の一部はこんなもの・布絵本:スキップホップの布絵本・音が出る絵本:スマホえほん、ピアノ絵本、マイク付うたえほん・言葉の絵本:いないいないばあ、のりものいろいろかくれんぼ、いろのえほん・童話の絵本:そんごくう、ももたろう、いっすんぼうし、・お仕事の絵本:バルバルさん、くまくまパン・英語の絵本:えいごどうよううたのえほん、どうぶつ図鑑、I am a Bunny、Nursery Rhymes、Brown Bear, Brown Bear、Everybody Poos
2018年11月08日子どもへの絵本の読み聞かせ、していますか?「小さいころに比べて、読む本の数が減ってしまった」というママもいるかもしれませんね。しかし数をこなすことよりも、子どもと絵本を一緒に分かち合う「いっしょ読み」の姿勢が大切なのだそうです。絵本との付き合い方を、「いっしょ読み」の視点から探っていきましょう。お話を聞いたのは:秋田喜代美さん東京大学大学院教育学研究科教授。教育心理学・発達心理学専攻。発達心理の観点から、子どもと絵本の関わりについてさまざまな研究を行っている。『絵本で子育て』(岩崎書店、共著)など、著書多数。「いっしょ読み」とは絵本の本来の役割を表した言葉「子どもに絵本を読んでも、最後まで集中して聞いてくれない」「途中で『これなぁに?』と質問されると、話が脱線してしまう」。ママたちからはこうした悩みをよく聞きます。「読み聞かせ」という言葉のイメージから、「しっかり読んで聞かせなきゃ」と思うのでしょう。でも、本来絵本の役割は「聞かせる」ことではなく、絵や言葉、世界観を「一緒に分かち合う」ことにあります。図書館司書など読み聞かせに携わる人の中には「絵本を読むとき、ママの視線の7割は子どもの表情に注いでほしい。話を追うのは残りの3割でいい」と言う人もいます。幼児期はどうしても「やめなさい」という禁止の言葉と、「やりなさい」という要請の言葉が多くなりがち。でも絵本を読む時は、「◯◯ちゃんも、この絵本に出てくるくまさんみたいにブランコが大好きだよね」と話したり、笑い合ったり、うなずき合ったりする時間が自然と増えます。親子で同じものに目線を向けて楽しめるという役割に注目し、本来の絵本との向き合い方を表現したのが「いっしょ読み」という言葉なのです。あんふぁん読者アンケートからQ.お子さんは絵本をどのように読んでいますか?(複数回答)Q.読み聞かせをしているかたにお聞きします。どのくらいの頻度で読み聞かせをしていますか?アンケート実施期間:2018年7月4日~8月8日、有効回答数1228人「いっしょ読み」の体験が子どもの一生を支えてくれる読者アンケートでは8割以上の人が「親が読み聞かせをしている」と答えていますね。たいへん素晴らしい回答率です。一方、少し気になるのは、年齢が上がるにつれて一緒に絵本を読む頻度が減っていること。幼児が一人で読むと、字を追うのに集中してお話の世界を想像する余裕がなくなります。小学校低学年くらいまでは親と読む時間を大切にしましょう。幼児期から中学生の時期までの間に「忘れられない絵本」との出合いがある人は、大人になっても読書好きだという調査もあります。いっしょ読みの体験は、その子の一生を支えるのです。もう一つ大切にしてほしいのは、最後まで通して読むことにこだわり過ぎないこと。「子どもが絵に気を取られて話に集中してくれない」という悩みをよく聞きますが、そもそも「絵に言葉がついている」のが絵本。小説の挿絵とは違います。子どもの興味が絵に向かっているなら、その世界を丁寧に味わって。学びに向かう力も「いっしょ読み」の中で育まれる絵本を通して育まれる、代表的な力を紹介しましょう。■01.語彙力同じ「ピンク」でも、「薄桃色」「桜色」など多様な表現に出合うことで、物に対しての認識も深まります。■02.想像力挑戦や葛藤、友達とのけんかや仲直りのシーンを通じて、相手の気持ちを想像できます。■03.体験を秩序立てて語る力過去の出来事やその時の自分の気持ちの語り方は、絵本を通して自然と身に付きます。ただし、これらの力を身に付けさせようとして無理強いしたのでは意味がありません。まずは絵本の時間を楽しいものにすること。親子が安心して寄り添う空間の中で、学びの力も育まれていくのです。「いっしょ読み」に大切な3カ条1. 子どもの表情を見るのが7割、話を追うのが3割2. 小学校低学年まではいっしょ読みをする3. 最後まで通して読むことよりも子どもの興味を大切にするうまくいかない!こんなときどうする?絵本のいっしょ読みQ&Aあんふぁん読者に「読み聞かせで悩んでいること」をアンケートで聞いたところ、ママたちの愛情と、熱意のほどが感じられる回答が集まりました。その中でも、特に多かったお悩みに秋田さんが答えます。Q.子どもに読み聞かせるとき抑揚をつけるのが苦手です。登場人物の個性が出るように声色で特徴を出したり、臨場感を出したりしたいけど、どうもニガテ…。(北海道・年長ママ)A.あまりオーバーだと逆効果の場合もありますママ自身は淡々と読んでいるつもりでも、自然と抑揚はついているもの。たとえ淡々とした語り口でも想像力を広げられる力が子どもにとっては大切ですし、オーバーに抑揚をつけ過ぎると想像の世界を邪魔してしまう場合も。抑揚を気にするよりも、お子さんの表情を見てからページをめくることや、言葉のリズムをかみしめながら読むことを大切にしてほしいと思います。Q.きょうだいで好みの本や読むスピードが合いません。お兄ちゃんのレベルに合わせると妹が飽きて邪魔が入り、妹に合わせるとお兄ちゃんが退屈してしまいます。(千葉県・年中ママ)A.上の子には読む係のお手伝いをさせても1日おきに交代でもいいので、どちらかの好みに偏るのではなく、それぞれに合った絵本を読んでください。下の子に読んであげるときは、上の子に読んでもらってもいいですね。「さすがお兄ちゃん、すごいねぇ」と労いの一言も忘れずに。パパにお願いできるなら分担して読んでもらいましょう。子どもと遊ぶのが苦手というパパにこそ、絵本は「読むだけ」なのでおすすめです。Q.そもそも絵本に興味がなく途中で集中が切れてしまいます。4歳ごろまでは絵本が大好きだったのに、最近はまるで興味なし。どうすればまた興味を持ってもらえる?(大阪府・年長ママ)A.焦らなくて大丈夫。そのうち絵本に興味が出ますもしかするとママの選ぶ本とお子さんの好きな本が違うのかもしれないので、試しに図書館でお子さんに絵本を選ばせてみてもいいですね。絵本そのものに興味がない子もいますが、焦らなくて大丈夫。例えば虫の好きなお子さんなら、飼い方や生態について知りたいと思えば自然と絵本を手に取るでしょう。好きな遊びに打ち込むことが、絵本とのいい出合いができる近道です。Q.何回も同じ話を読まされます。違う話に変えた方がいい?1冊につき3回は繰り返し読んでいます。親としてはいろいろなジャンルの本に触れてほしいのですが…。(東京都・年少ママ)A.読んでもらった数だけ物語との出合いがあります同じ話でも子どもは毎回違うところに興味を向けているので、できればその気持ちを大事にしてほしいですね。ママの方が「もう勘弁して!」というときは、パパやおじいちゃん、おばあちゃんに読み手をお願いしてはどうでしょうか。パパはアクションを付けながら読む、おじいちゃんはゆっくりしたテンポで読むなど、読み手の数だけバリエーションが増えるのも絵本の魅力です。お友達への「おすすめ体験」も子どもにとっての宝物に私の知っているある園では、ひとりずつ自分の好きな本を家から持ってくるという取り組みをしています。読み聞かせの時間、先生が「今日は◯◯くんがおすすめしてくれた絵本を読みます」と言って、みんなの前で読んでくれるのです。自分の本が読み上げられた子はとてもうれしそう。自分の好きな絵本の世界をお友達と分かち合うという経験は、子どもたちの体験をさらに豊かにしてくれると思います。読者おすすめの絵本も紹介年齢別 絵本選びのコツどんな絵本を選べば良いかは、読書経験やその子の興味にも左右されますが、基本的な年齢別の絵本選びのコツを秋田さんに聞きました。読者から挙がった「わが子が大好きな絵本」も参考にしてくださいね。年少【繰り返しが多い】 【あまり長くない】 【生活習慣がテーマ】物語の先を予測できるようになるので、同じ展開が繰り返される話がおすすめ。また、食事や着替えなどの身近なテーマの話も楽しめます。読者の人気No1: しろくまちゃんのほっとけーき(こぐま社)ホットケーキを作る12工程がイラストに。「ぷつぷつ」「ふくふく」など言葉のリズムも楽しめます。ほかにもこんな本が人気!●くれよんのくろくん(童心社)●ねられん ねられん かぼちゃのこ(福音館書店)●だるまさんが(ブロンズ新社)●ねずみくんのチョッキ(ポプラ社)年中【起承転結がある】 【ファンタジーもの】 【昔話】文字に興味を持つ子も増える年齢。起承転結のある長めの話も楽しめます。物語があまり好きではない子は、科学がテーマの絵本や図鑑を選んでみて。読者の人気No1:ぜったいに おしちゃダメ?(サンクチュアリ出版)絶対に押しちゃダメなボタン。つい誘惑に負けて押してみると…?何度でも繰り返し読みたくなる絵本です。ほかにもこんな本が人気!●はじめてのおつかい(福音館書店)●はらぺこあおむし(偕成社)●バムとケロシリーズ(文溪堂)●パンダ銭湯(絵本館)年長【シリーズもの】 【少し字が多い話】 【科学的なテーマ】シリーズものや、複数の話が収録された昔話がおすすめ。ただし、あまり字が多い本を選び過ぎず、絵本の世界をたっぷり楽しんでください。読者の人気No1:おしりたんてい(ポプラ社)子どもの心をぐっとつかむ、おしりたんていのビジュアル。物語があまり好きではない子でも、きっと最後まで読み終えるはず。ほかにもこんな本が人気!●100かいだてのいえ(偕成社)●かいけつゾロリシリーズ(ポプラ社)●ノラネコぐんだんシリーズ(白泉社)●ミッケ!シリーズ(小学館)illustrationSHIBATA Keiko
2018年11月08日過ごしやすい季節になってきました。読書の秋です!ベビーと一緒に絵本を楽しんでみませんか。私が本好きなこともあり、我が家には布絵本、音の出る絵本、図鑑、日本の有名な絵本、英語の絵本、童話…などなど、2歳の息子のための絵本が30冊程あります。そんな絵本の中から月齢別、0歳におすすめ絵本を、絵本を読んだ時の息子の反応とともにご紹介します。0ヶ月~3ヶ月は、カラフルな布絵本をまだぼんやりとしか見えない新生児期。ぼんやりとしか見えなくてもわかりやすいように、カラフルなもの選ぶと反応がいいです!また、この時期は布絵本がおすすめです。布絵本とは、紙ではなく布でできた絵本。紙の本と違って文章を読んであげるのではなく、音が鳴る仕掛けがあったり、動物が描いてあったり、歯固めが付いていたりと低月齢からいろいろ遊べるようになっています。握るとカシャカシャと音がしたり、目で楽しむだけでなく、五感で楽しむ絵本です。我が家では、寝返りをうつかうたないかの頃、ページをめくるときに「つぎはー」と言いながらめくるとニコニコしていました。すごくお気に入りで、遠くにあっても手を伸ばして一生懸命に取ろうともがいていました。そして、1歳を過ぎても遊んでいて、自分で「つぎぃはぁ~」とつぶやきながらめくっています!4ヶ月~6ヶ月は、動物や擬音が出てくる絵本で大喜びまだ、視力より聴力がいいと言われているこの時期。擬音が豊富なもの、そして顔に反応するので動物などお顔が出てくる絵本がおすすめです。出産祝いにいただいた、動物がいないいないばあをする「いないいないばあ」は、ロングセラーの人気絵本。いないいないばあというフレーズが何度も繰り返し出てきます。パパがよく読んであげていました。楽しませるポイントは、声の抑揚をつけてギリギリまで次のページを隠しながら読むことだそうです。息子は、いないいない『ばあ!』で動物のお顔が出てくるページで大笑い。ライオンやひつじが来る床屋さんが髪を切る『チョキチョキチョキ』という音がある「バルバルさん」は我が家の息子の愛読書です。いつもおひざの上で読んであげていました。いまではライオンが出てきたら『ライ~』と言ってきたり、犬の挿し絵があると『ワンワン』と言うようになり絵本から多くの言葉を覚えています。英語の絵本では、ヒッコリーディッコリードックなどのマザーグースの歌やきらきら星が載っている「Nursery Rhymes」はCDが付いているので、CDをかけながらボコボコがあったり、糸が縫い付けられていたりと手触りで絵本を楽しめるようになっています。7ヶ月~9ヶ月は、歌が流れる絵本が大ヒットお座りできるになると、本を持ったりいじったりするようになるので押すと音が出るような絵本に興味を持ちます。我が家では、音が出るおもちゃと本が一体になった絵本を購入。歌詞が本になっていて、ボタンを押すと英語とカラオケで10曲以上の歌が流れるので、ベビーが好きな音楽を簡単に聞くことができます。自分で押すことで音が鳴るというのも面白いようで、抱え込んで遊びます。また、この頃はママの持ち物に興味が出てくる時期。ちょっと置き忘れたスマホを、勝手にいじっていたりしませんか?息子は私たちのスマホをすぐ取ってしまうようになったので、スマホのおもちゃを取り出せる絵本をあげました!これもお気に入りで、1年以上遊んでいます。親子で楽しめる絵本で秋を楽しみましょう音が出る、感触が違う、繰り返し同じ文章が出てくる、違う動物が同じ行動をするというように、子どもが好きな絵本には特徴があります。子どもの反応を見ながら成長に合わせて絵本を増やしてあげると、絵本に興味を持ち続けてくれます。初めは反応がなくても、どこかに行ってしまっても、読んであげていれば覚えていてくれます。読書の秋に親子で絵本を読んでみませんか?
2018年11月07日キアヌ・リーブスとウィノナ・ライダーが、個性が強すぎて恋愛も人生もうまくいかない男女を演じた『おとなの恋は、まわり道』。この度、ウィノナ演じる“ヘリクツ女”リンジーを襲うハプニングを収めた映像が到着した。過去の大失恋が原因で運命の恋を信じられなくなってしまったウィノナ演じるリンジーは、「自分の寛大さを示す」「気持ちにけじめをつける」という理由で元婚約者の結婚式に参加することを決意。空港で、同じ式に向かう“ヘンクツ男”フランク(キアヌ・リーブス)と出会う。しかし、皮肉屋同士お互いの第一印象は最悪。飛行機への搭乗列、飛行機内、迎えの車内と、ひたすらに口論を繰り広げながら宿泊先のホテルへと共に移動していくことに。今回公開されたのは、そんな2人がホテルに到着した直後の映像。飛行機の座席に続き、ホテルの部屋までも隣同士だった2人だが、ただ隣同士なだけではなく、なんと部屋までもドア1枚で繋がっていたのだ。映像では、フランクがパンツとシャツ、靴下というラフすぎる格好で、立ったままテレビに文句を言っているシーンから始まる。すると、突如リンジーが現れる!リンジーの部屋とフランクの部屋がドアで繋がっていたと知ると、リンジーは「クロゼットのドアかと…」と、入ってきた彼女自身も驚いた様子だ。ところが、ヘンクツ男のフランクは、女性の部屋と繋がっていたからといって、まるで動じない。それどころか、あまりの出来事に固まるリンジーに「僕に何か期待してる?」とデリカシーのない上から目線な一言まで。リンジーは一瞬絶句したのち「いいえ。ほら、ドアに鍵がついてる。ロックすべきよね」と、すぐに皮肉が飛びだすヘリクツ女にしては珍しく普通の言葉を残し、何事もなかったかのようにフランクの部屋と繋がる扉を閉じる…。常に強気なリンジーにしては意外にも、草食系らしいうぶな対応。そんなヘリクツ女が運命の恋を信じたい“肉食系”へと転身し、ヘンクツ男との間を隔たる扉を開く時はくるのか?リンジーを演じるウィノナは10月29日に47歳の誕生日を迎え、その美しさは衰えないどころか、歳を重ねるごとにより一層磨きがかかっている。口を開けば毒舌が止まらない“ヘリクツ女”リンジーは、いまのウィノナだからこそ演じられたハマり役。そんな魅力たっぷりの彼女の姿はぜひ劇場で確認してみて。『おとなの恋は、まわり道』は12月7日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:おとなの恋は、まわり道 2018年12月7日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開
2018年10月29日キアヌ・リーブスとウィノナ・ライダーが、個性が強すぎて恋愛も人生もうまくいかない男女を演じる『おとなの恋は、まわり道』。この度、キアヌ演じるヘンクツ男とウィノナ扮するヘリクツ女が空港で口論を繰り広げる本編映像が解禁された。『マトリックス』シリーズのキアヌと『シザーハンズ』のウィノナが、約10年ぶり4度目の共演となる本作。キアヌが演じるフランクは花婿の異父兄、ウィノナが扮するリンジーは花婿の元婚約者という役柄で、互いにうんざりした気持ちでリゾート婚に参加した皮肉な男女を熱演。今回解禁された本編映像は、初対面の2人が交わす“毒舌バトル”の皮切りとなるシーン。軽い会話を交わした後、フランクが飛行機の搭乗列の最前に並んでいたリンジーの一歩前へ踏み出す。すると、それまでは穏やかだったリンジーが激怒。割り込みは容赦しないとばかりに、「なんのつもり?一歩前に出た」と食ってかかる。しかしフランクは、ひるむことなく、「いいや」の一言でリンジーの主張を一蹴。リンジーは「とぼけないで」と応酬するも、フランクは素知らぬ顔だ。しかし、ここから“ヘリクツ女”リンジーが本領発揮。身振り手振りを駆使してフランクの行動をあげつらい始める。愛想よく話しかけたとみせかけて、割り込んで前に出たと言うと、「15秒前あなたは後ろにいた、忘れてると思うの?」とチクリ。「まさか」の一言で話を切り上げようとするフランクに、「ほら、また前に出た。それってまるで武術みたい」と追い打ちをかける。フランクもとうとう業を煮やし、「時間を気にしながらゲートへ来て楽しい会話を試みた。しかし君が冷淡だったから、それを避けるために前へ出た」と言い訳。なおも食い下がるリンジーは「前じゃなくて後ろに行けば?」と言い返す。するとフランクは「そしてまた追い越せと?」と、大人とは思えないトドメの一言を返すのだが…この後も、リゾート婚に参加したヘンクツ男とヘリクツ女の毒舌バトルが更にヒートアップしていくことに。4度目の共演ともあって、テンポよく舌戦を繰り広げる2人の演技はまずこちらから確認してみて。『おとなの恋は、まわり道』は12月7日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:おとなの恋は、まわり道 2018年12月7日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開
2018年10月19日