がんは今や誰にとっても他人事とはいえない病気。国立がん研究センターが発表した「2016年がん統計予測」によると、2016年のがん罹患数予測は101万200例(男性57万6,100例、女性43万4,100例)で、昨年よりも約28,000例増加しているといいます。今回ご紹介する『がんは治療困難な特別な病気ではありません!』(真柄俊一著、イースト・プレス)の著者は「がんと食」「自然治癒力」を軸に置いたがん専門クリニックで多くの患者さんのがんを治すのに成功しています。そこで本書の中から、あまり知られていないがんに関するデータをご紹介します。■日本と欧米の「がん死亡率」には大きな差があるイギリス、フランス、アメリカ、日本の「がん死亡率」の推移を比較すると、1950年の時点では、日本人のがんでの死亡率は最も少なく、トップのイギリスの40%程度でした。その後各国ともに死亡率が上昇しますが、1990年頃を境に日本以外の3カ国はがん死亡率が軒並み下がり始めます。しかし日本だけはぐんぐん死亡率が上昇し、90年代半ばでアメリカを抜き、2000年代に入るとフランスを抜き、主要先進国の中でがん死亡率が1、2を争う国になってしまいました。もし他の3つの国のように日本も死亡率が下がっていたとしたら、10万人以上が亡くならずにすんだという計算になります。■アメリカではがん死亡率が20%も減少しているアメリカでは1970年代から国をあげてがんの対策を行ってきました。そのため、1990年を境にがん死亡率が年々減少しています。アメリカがん協会は2013年版の発表で、ピークとなった1991年から20%減少したと述べています。著者は、日本とアメリカではがん医療の違いがはっきりあるといいます。日本では臓器転移のあるがんの場合、治癒は困難で「がん放置療法こそが最善である」という風潮があります。しかし、アメリカの医療現場でそんな指導をする医師がいれば、医師免許が剥奪されてもおかしくありません。■肉の発がん性はタバコ並みに高いことが明らかに2015年10月、IARC(国際がん研究機関)が「肉にはアスベストやタバコ並みの発がん性がある」と発表しましたが、うやむやのうちにこの話題は消えてしまいました。しかし、WHO(世界保健機関)の傘下であるIRACが肉や肉加工品の発がん性をはっきり認めたということは極めて重要です。動物性食品の危険性に関する研究は進んでおり、イギリスの研究論文では「赤身肉の大量消費は体内のDNAにダメージを与え、がんの発生を引き起こす」と発表しているのです。■じつは移民労働者は高齢者ほど元気に生きているイギリス王立会議の医師トロウエル博士は、「先進国民は動物タンパク狂」だと指摘しています。肉食中心の食生活が現代病の原因だということです。同じように食生活と病気の発生について指摘している医師は大勢いるといいます。1972年にアメリカ人医師がハワイに赴任した際、ハワイの農園で働く日系人は高齢者ほど元気だということに気づきました。アメリカ本土では同じ年代の老人たちは心臓疾患やがん、リウマチなどの何かしらの病気を抱えているのが普通でした。しかし、ハワイの農園で働くアジア系の高齢者たちは病気とは無縁。90歳になっても元気に働いている人もいました。ところが、そんな移民の人たちも第2世代になるとやや不健康、第3世代以降では本土のアメリカ人と同様、肥満や糖尿病、心臓病などを抱えていました。さらに彼らの食生活について調査すると、上の世代では出身地で食べていた米と野菜を多く食べていたものの、子どもたちの世代になると食生活が欧米化していました。やがて食事を植物性食品から動物性食品に変えるととたんに病気になるとわかりました。実際、彼のもとを訪れた乳がん患者が動物性食品と油脂分をやめ、穀物は全粒粉、果物や野菜を多くとる食事に変えたところ、がんを克服し、トライアスロン選手になって30年経った今も活躍しているそうです。*本書では病院で治らないといわれたがんが「自然療法」によって完治した事例も掲載されています。がんには特効薬がなく、未だ解明されていないことも多いです。しかし、いつ誰がかかってもおかしくない病気だからこそ、最新の情報やデータをチェックしておきたいものです。(文/平野鞠) 【参考】※真柄俊一(2016)『がんは治療困難な特別な病気ではありません!』イースト・プレス※2016年のがん統計予測-国立研究開発法人国立がん研究センター
2016年10月11日俳優のベン・スティラー(50)が、2年前に前立腺がんと診断されていたことを明かした。医者に前立腺がんと診断された際、ベンはその予期せぬ診断にあっけに取られたという。4日にラジオ局シリウスXMの『ザ・ハワード・スターン・ショー』に出演したベンは「予期していなかったよ。そんなこと考えたこともなかったんだ」「まずはじめに一体何が起きるのかわからなかった。だからすごく怖かったね。全てが止まってしまったよ。だって将来何があるのかわからないから、映画に出演する計画も立てることができないからね」と当時の胸中を語った。ベンが前立腺がんの闘病生活について明かすことを決めた理由は、前立腺がん抗原検査を受けることへの意識を高めるためだという。妻クリスティン・テイラーとの間に娘エラ(14)、息子クイン(11)を持つベンは「前立腺がん抗原検査について話したかったんだ。このテストによって僕の人生は救われたと思うからね」「死亡する原因となるがんの中でこれは2番目なんだけど、完治することのできる可能性が高いがんの1つでもあるんだよ」と続ける。そんなベンは、『スクール・オブ・ロック』のマイク・ホワイトが脚本を手掛け、ブラッド・ピットの製作会社プランBがプロデュースを務める新作コメディ映画『ブラッズ・ステイタス』に出演することが決まっている。同作品の中でベンは、幸せな家庭を築き、素晴らしいキャリアを持ちながらも昔の同級生の生活に嫉妬心を抱く主役のブラッドを演じる。その一方でベンは、ダスティン・ホフマンとアダム・サンドラーと共演した『ザ・マイロウィッツ・ストーリーズ』の撮影が終了したばかりだ。(C)BANG Media International
2016年10月06日「anan」2005号5/25発売はEXILE/三代目J Soul Brothers岩田剛典さんが表紙の「肌と髪Q&A」特集。今週の表紙作成ストーリーを紹介します。がんちゃんと過ごす、一日。ついに!がんちゃんこと岩田剛典さんがanan表紙に出演します!実はEXILE TRIBEの方々で、ソロでananの表紙に出演いただくのは岩田さんが初めて。過去に三代目J Soul Brothers全員、今市隆二さん&登坂広臣さんの二人に出演いただいたのですが、初のソロでのご出演は、やはりこの人となりました。EXILEと三代目J Soul Brothersという二つのメガグループに所属していて、また俳優としても大活躍中。そんな超多忙の彼に無理をいって、日光がたくさん差し込む場所で撮影をさせていただきました。というのも、岩田さんといえばキラキラ輝く王子様キャラが有名ですが、まだ彼のキラキラ感を雑誌界は100%表現できていないのではないか、という問題意識がありました。木目のフローリング空間で、光がさんさんと差し込んで、岩田さんがソファに寝そべったり、コーヒーを飲んでいたり、スーツを着替えていたり…。そう、岩田さんの王子様感を表現するために、一緒に休日をすごしているようなイメージで岩田さんを撮影させていただきたい!との結論にいたったのです。結果、この表紙ですよ!もちろん、中面も表紙に負けず劣らず良いですよ。(HT)
2016年05月24日「三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE」兼「EXILE」のパフォーマーであり、俳優としても活躍中の岩田剛典。この度、撮り下ろしビジュアルとロングインタビューで彼の素顔に迫った「すがおのがんちゃん。」が、雑誌「ViVi」7月号のとじこみ付録に付いていることが分かった。岩田さんは、2010年より「三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE」として活動を開始。2014年には「EXILE」を兼任し、そのダンスパフォーマンスと爽やかな笑顔でファンを魅了してきた。さらに、ドラマ「ディア・シスター」「ワイルド・ヒーローズ」などに出演し、現在放送中の「HiGH&LOW~THE STORY OF S.W.O.R.D.~」ではシリーズを通して重要な役どころを熱演。6月には、NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」でブレイク中の高畑充希と共演した主演作『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』の公開を控えるなど、“表現者”として幅広い活躍を見せている。5月23日(月)発売の「ViVi」7月号(講談社)では、ダンスに演技にルックスに…とにかくすべてが完璧“Mr.パーフェクト”な岩田さんの素の部分「すがおのがんちゃん。」に迫るべく、写真家・梅佳代さんによる撮り下ろしが実現。本誌内のロングインタビューでは、事前にViViオフィシャルTwitterで募集した岩田さんへの質問に本人が回答。ファンからの質問に、丁寧に、そして終始笑顔で答え、また岩田さん自身の性格、好きなオカルト話、家族のことなどを語ったという。さらに、インタビュー時間切れで諦めていた心理テストに「これ聞かれてないけど大丈夫?」と岩田さん自ら答えるなどの撮影秘話も明らかに。撮影終了時には「今日の質問、楽しかったです!」と満足気な素顔を見せたという。その場にいた編集担当も思わずメロメロになったという岩田さんの人柄の良さに、読者もメロメロになること請け合いだ。そのほか本誌では、「ViVi33周年・国宝級イケメンからおめでとうメッセージいただきました!!」と題し、山崎賢人、窪田正孝、野村周平、中川大志、吉沢亮、「GENERATIONS」、井上裕介、SUHOらからのコメントを紹介。表紙を飾るのは、フジテレビ系火曜22時連続ドラマ「僕のヤバイ妻」主題歌が話題沸騰の安室奈美恵。「ViVi」読者へのメッセージも掲載されている。「ViVi」(講談社)7月号は5月23日(月)より発売。(text:cinemacafe.net)
2016年05月23日「イケメンは地球を救う」これは私がスローガンにしている格言です。ほかの多くの女性も、間違いなく賛同してくれるでしょう。たとえ近くにその影を感じなくても、存在するだけで数多の女性の心を癒し、うるおし、高揚させてくれる。女性が日々を生きるための活力をあたえて、その力で地球をも救ってくれる存在だと。芸能界を闊歩するイケメン男性たちに、たとえ近づけなくとも、せめてその好みのタイプを知っておきたい!めちゃくちゃゼロに近い可能性でも、生きているかぎり自分にもチャンスがあると思いたい!そんな妄想を無限に広げながら、いつもお世話になっている「LOVEST銀座 by air」に向かうとスタイリスト・忠本 功さんが。「芸能人のヘアスタイルから、女性の好みのタイプを当てる…………当ててみましょう!」まままままままじっすか!?!?というわけで、超人気イケメン男性芸能人のヘアスタイルから読み解く「きっとこんな女性が好き(かもしれない)」という完全に妄想に近いインタビューをしてきました!稀代のセクシー番長!斎藤工さんが好きな女性!今もっともセクシーなイケメンと言っても過言ではない斎藤工さん。ドラマや雑誌の端々で、その色気を振りまき、数々の女性の心をうるおしていますよね。「斎藤工さんのヘアは、全体的にパーマがかかっていて前髪は目にかかるくらいの長さですね。長め前髪を選択する男性は自信家でナルシスト、鏡を見る頻度も自然と多くなる傾向にあります」なるほど!やはりこのような男性は同じようにセクシーな女性を求めるのでしょうか……?「いえ、僕はそうは思わなくて、経験上このようなタイプは、案外逆のキャラを求めて、さらっとサッパリしている女性を好きになるのではないでしょうか。ヘアも手の込んでいない、ストレートやショートタイプが好きそうです」意外にもセクシーキャラは、相手にセクシーさを求めないことが発覚しました!憧れのイケメンナンバーワン!西島秀俊さんが好きな女性は?いま人気急上昇中!第二の大沢たかおとも呼ばれる西島秀俊さん。男らしさのなかに見え隠れする、熱く宿った色気がなんともそそられます……。「西島さんは、短く手の込んでいないスタイルが多いですよね。まさに男っぽい性格がヘアスタイルにも滲み出ています。僕が思うに、西島さんのようなタイプの男性が求める女性は、自分を引き立ててくれる、三歩下がってついてくるようなしとやかな女性なのではないかと思います。髪色は落ち着いていて、グラマラスに巻きすぎない適度な巻き髪が似合う方だと思いますね」斎藤さんと同じく、意外にもツヤ系の女性が好みなんですね!もしかして、奥様もそんな方なのかも?ジャニーズのワイルドイケメン長瀬智也さんが好きそうな女性は?TOKIOのビジュアル担当でもある長瀬智也さん。一本芯の通った男らしさに、抱かれたいと思う女性も多いのではないでしょうか。「長瀬くんはヘアスタイル的には、ワイルドなショートスタイルが最近では多くなりましたよね。スタイリングも、ジェルを使ってツヤ系に仕上げるオールバックが定番。男っぽいイケイケワイルドスタイルです。長瀬くんのヘアは、今っぽいスタイルとも言えるので、好みの女性も旬をちゃんと取り入れたミディアムスタイル系の人なのではないでしょうか?割とミーハーで、連れていて恥ずかしくない女性を選びそうですね」連れて恥ずかしくない女……!長瀬くんの歴代の彼女は、確かに連れて恥ずかしくない女、ですね。永遠の恋人候補!福山雅治さんのお相手は・・・?”福山ロス”なんて言葉も生まれるほど、ご結婚の報道に落胆した女性も多い、大人気な福山雅治さん。あの甘いマスクと歌声に、落ちない女性はそうそういませんよね(私もその一人です)。「福山さんはスタイリッシュですけど、基本的にヘアスタイルを大きく変えたことはありませんよね。ヘアスタイルにおいてチャレンジはしない派。こういう男性は、あまり奇抜な女性は選びません。ザ・日本人女性的な黒髪の清楚系がお好みなのではないでしょうか」ああ、たしかに。お相手の女性はまさにそのようなイメージでした。うん、納得!人気急上昇中のシャイボーイ!窪田正孝さんの好きなタイプ赤丸急上昇中の若手俳優さんといえば窪田正孝さん。変幻自在の役柄と、普段のシャイっぷりのギャップにやられている人も多いはず(私もその一人です!)。「窪田くんは常に前髪が目を覆ってしまっていますよね。これは自分に自信がない人がやりがちなヘアスタイル。こういう方は、キレイに手入れされたかきあげ系のロングスタイルを持つ、キレイ系のお姉さんタイプの女性を、案外好きになる気がします」お姉さんタイプと聞いて俄然やる気がみなぎってきました!確かにグイグイ引っ張ってくれるような女性が合いそうですよね。年上キラーのイケメンダンサー!岩田剛典さんが好きそうな人は?若者に大人気の三代目J Soul Brothersのメンバー内で、ひときわ異彩を放つ爽やかイケメン岩田剛典さんこと、がんちゃん。笑顔がかわいくて時々見せるオラオラ顔がたまらない、という女性も多いはず。「がんちゃんは絵に描いたようなイケメンヘアーですね!前髪が束系にスタイリングされているスジ系男子。このヘアスタイルを選択する人は、美意識が高い人が多いですね。意外とシンプルで、カラーリングも派手ではない、ストンと下ろしたような保守的ヘアーの女性を好まれるかもしれません」ディアシスターの石原さとみちゃんのようなヘアスタイルが真っ先に思い浮かびました!役柄の上だけではなく、本当にタイプだったのかもしれませんね。というわけで、ここまで勝手にイケメン男性のヘアスタイルから好みの女性をプロファイリングしてきたわけですが、いかがでしたか?案外その通りかも……と納得してしまうことも多くありました。今回は芸能人の方々を題材にしましたが、似たような髪型の男性であれば、好みの女性の傾向も似ているはず。ぜひあなたの好きな男性の好みのタイプをチェックしてみてくださいね!最後に、これはあくまでも推測なので、信じるか信じないかはあなた次第ということをご了承いただければと思います。お遊び企画でも本気で考えてくださった忠本さんに感謝の拍手です!▼Instagramで、忠本さんのスタイルをチェック!Instagram(忠本 功)※忠本さんにヘアチェンジを頼みたい方はこちら※取材協力: LOVEST銀座 by airPhoto by GOTA
2016年04月16日「日本人の2人に1人ががんになる時代」といわれますが、このフレーズは、国立がん研究センターの「がん統計」がもとになっているのではないかと推測できます。■2人に1人は「がんになる」は間違いない実際の統計データ「がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2011年データに基づく)」を見てみても、生涯でがんに罹患する確率は“男性62%(2人に1人)、女性46%(2人に1人)”。そのため、2人に1人の確率でがんになるというのは間違いではないことがわかります。また、胃がんは男性が11%(9人に1人)、乳がんが9%(12人に1人)と書かれているので、男性は胃がんが、女性は乳がんが多いことも同時にわかります。もうここまでくれば、りっぱな国民病といってもいいのでしょう。こんな統計を見させられると、やっぱり「がんへの備えをしておかないと!」と考えてしまいますよね。それはきっと、「がんを患うとお金がかかる」というイメージがあるからではないでしょうか?だとすると、「やはり、がん保険に入ったほうがいいのか?」と考えることになるでしょう。■30~50歳で「がんになる確率」は低いしかし、どうなのでしょうか?別の統計データ「現在年齢別がん死亡リスク」を見ると、0歳の男性が、50年後の50歳までにがんになる確率は、なんと2%しかありません。一生涯では、女性にくらべて男性の方ががんになる確率が高いのですが、60歳までをくらべると、女性ががんになる確率が高いこともわかります。つまり、がんを患う確率は50歳以降一気にあがるのです。いいかえれば、おもに子育てをしている30歳から50歳の間にがんを患うケースは、確率的にはとてもまれなのです。「日本人の2人に1人ががんになる時代です。がん保険に入っては?」と勧誘されるのと、「お子さんが成人するまでにがんになる確率は2%程度です。それ以降のためにがん保険に入っては?」と勧誘されるのでは、ずいぶん印象が変わりませんか?数字は使う側に都合のいい部分だけが切り出されています。振り回されないで判断しましょう。(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝) 【参考】※最新がん統計-国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
2016年04月14日質問:家族で「がん」になった人はいないので「がん保険」に加入しなくても良いのでは?「がん」発症の要因の約70%は生活習慣に起因するものといわれています。ご家族で「がん」になった方がいらっしゃらなくても、一定の割合でリスクがあると考えるべきですので、がん保険への加入をおすすめします。遺伝的要素は50%程度さまざまな研究が進むなかで、がんを誘発する遺伝子の存在が明らかにされてきました。これがいわゆる「がん家系」という言葉を生み出した一因ではないかと思います。実際、「大腸がん」や「乳がん」の発症例のなかに、遺伝的要素が認められるものがあるようです。国立がん研究センターがん情報サービスのサイトに掲載されている「人のがんにかかわる要因」によると、ハーバード大学のがん予防センターの推計で、喫煙、食事、運動、飲酒という代表的な生活習慣要因が68%を占めるようです。また、全部のがんのうち「遺伝するがん」は5%以下といわれ、「大腸がん」「乳がん」「前立腺がん」など遺伝素因の強いこれらのがんでも、たとえ遺伝子が100%一致している人がいたとしても、同じがんになる確率は10%~20%にすぎないとまとめています(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)。したがって、ご家族のなかに複数のがん経験者がいらっしゃる場合、ご本人もがん発症への注意が必要といえますが、ご家族のなかに発症者がいらっしゃらない場合でも、安心できるとはいえないでしょう。「喫煙」の有無や食生活など、生活習慣の要因が上位を占める「喫煙」と「がん」との因果関係が深いということが指摘されてからずいぶんたちました。若くして喫煙を始めた場合や喫煙年数が長く、喫煙本数が多いほど「がん」のリスクを高めるといわれています。日本においては「喫煙」に続く因子として「肝炎ウイルス(B型、C型)」や「ピロリ菌」、「ヒト・パピローマ・ウイルス」などの「感染性因子」、そして「飲酒」が続きます。他にも「塩分摂取」や「過体重・肥満(BMI25以上)」などが指摘されています(出典:国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」ホームページ )。まだ十分な研究結果が揃っていないとはいえ、今現在「喫煙」や「飲酒」や「食生活」など、身近な生活習慣が遺伝的要素より高い確率で「がん」につながるため、日々の生活習慣を見直すことで「がん予防」が可能であるといえるでしょう。日本人の3人に1人が「がん」で死亡、2人に1人が「がん」を経験する時代。突然の告知に対応できますか?厚生労働省の資料によると、日本人の2人に1人は「がん」を経験するといわれています。早期発見や医療技術の進歩で「治せるがん」が増えているといわれますが、治すためには適切な治療が必要です。がんが発見されたら初期段階のうちに治療を開始することで、治癒の確率をあげるといわれていますが、がんの治療には多大な費用がかかる場合があります。そんなときに役立つのが「がん保険」ではないでしょうか。ご自身の生活習慣を振り返るとともに、がん保険などの保障内容が十分か、見直してみてはいかがでしょうか。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年04月05日EXILEの想い・信念を受け継ぐダンス&ヴォーカルグループ「三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE 」。今月12日に誕生日を迎えたばかりの登坂広臣さんに、もう一人のボーカル今市隆二さんの印象を伺いました。***――登坂さんから見た、今市さんはどんな方ですか?登坂:真面目ですね。まっすぐで、アツくて、素直な男。音楽や歌に対して正面から向き合って、自分のことを追い込みながら常に入念にコンディションを整えているところとか。そういうストイックで実直な部分は、今も昔も変わらないなと思います。――ボーカルとしてグループのフロントに立つお二人ですが、例えば新曲のレコーディングのときはどのようにコミュニケーションをとっているのですか?登坂:他のツインボーカルがどういうふうにしているかはわからないですけど、僕らは事前に打ち合わせも特にしないんです。相手の歌い方やニュアンスを聞いていれば、それを自然と一方が受け取ることができる。たとえ言葉はなくてもお互いに感じ合いながら表現できるっていうのが、僕らの形です。だからこそ、グループとして同じ方向を見ながら一曲をつくりあげていることも強く意識していて。――最近は各メンバーの個性もより際立ってきている印象です。登坂:そうですね。昔はリーダーに任せる部分が大きかったことも、今では7人がバランスよく分担できているというか。「これはこの人に任せよう」とか「これは俺がやるべきだな」っていうことが自然とメンバー内で共有できているのが、三代目JSBならではの空気感かもしれない。――ではこの場を使って、それぞれのメンバーに伝えたいことを教えてください登坂:メンバー全員に?そうですね…NAOTOさんは、とにかく器用でダンスも芝居もライブの構成もできる多彩な方。このあいだ、メンバーで飲みに行ったときに「俺はこうなりたい」という目標をアツく語ってもらったので、その理想像にNAOTOさんが近づいていただけたら、より三代目JSBが生きてくるだろうなと思っています。(小林)直己さんは、芝居のときはすごくビシッとしているイメージなんですけど、実はめちゃくちゃ明るくて面白い!今年はみんなでイジりにイジり倒して、“チャーミングNAOKI”をより前面にアピールさせてもらいたいと思います(笑)。そして健二郎くん。ラジオのパーソナリティをやっていたり、お芝居も素晴らしいので、そういう器用な面をもっと極めていってほしいなと。ELLYに関しては、もうプロデューサー言ってもいいんじゃないかな。クリエイティブな才能はもちろん、プライベートでも一緒にいると本当に気楽でいられるので、そのままのELLYでいてほしいなと思います。がんちゃん(岩田剛典さん)は…これからも王子様キャラでよろしく(笑)。最初は嫌だったと思うんですけど、もう本人も腹をくくっているみたいなので。引き続き、甘いスマイルでお願いします。◇とさか・ひろおみ1987年3月12日生まれ。東京都出身。A型。三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE ボーカル担当。俳優としても活躍し、『ホットロード』で日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。◇ジャケット¥386,000Tシャツ¥50,000パンツ¥59,000シューズ¥125,000コンチョブレスレット¥52,000(以上LANVIN/LANVIN JAPAN TEL:03・4500・6172)その他は本人私物※『anan』2016年3月30日号より。写真・矢吹健巳(W)スタイリスト・Shinichi Mikawaインタビュー、文・瀬尾麻美菅野綾子
2016年03月23日慶應義塾大学、日本医療研究開発機構(AMED)、科学技術振興機構(JST)は3月22日、乳がん、卵巣がん、肝がん、肺がん、膵臓がんなどの難治性がんを含む多くの悪性腫瘍で高発現している膜結合性ヘムタンパク質「PGRMC1」の構造を解明したと発表した。これにより、がん細胞が増殖を活性化する仕組みと、抗がん剤に対する耐性を獲得するメカニズムが明らかになった。同成果は、慶應義塾大学 医学部 医化学教室 加部泰明講師、末松誠教授(研究当時、現:AMED理事長)らの研究グループによるもので、3月18日付けの英科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。今回の研究では、X線結晶構造解析を行うことにより、PGRMC1がタンパク質中のチロシン残基を介した珍しい様式でヘムと配位することがわかった。この配位したヘムはタンパク質表面上に突出した構造を取っており、PGRMC1は分子中のアミノ酸残基をほとんど介さずに突出したヘム同士が重なり合った特異なヘム重合体構造を形成している。PGRMC1はヘムのない状態ではアポ体としてモノマー構造で存在するが、今回の生化学的な解析から、ヘムと結合することにより二量体化することが明らかになった。このようなタンパク質中のヘムを介した重合化が見い出されたのは、真核生物では初めてだという。また、生体内ガス分子である一酸化炭素(CO)は、がん細胞が抗がん剤や放射線治療、低酸素などにさらされると増加することが知られているが、同研究グループは今回、このCOがPGRMC1上のヘムに結合すると、ヘム同士の重合が解離してPGRMC1の機能が消失することを見出した。さらに解析を進めた結果、PGRMC1はヘムにより重合化し、がん増殖に関わる上皮成長因子の受容体(EGFR)と会合して、これによるがん増殖シグナルを増強することが明らかになった。重合化したPGRMC1は薬物代謝酵素であるシトクロムP450とも会合し、抗がん剤の分解活性を増強して、がん細胞の薬剤耐性を促進することもわかった。以上の結果からPGRMC1は、がん細胞内のヘム濃度に応答し重合化することによって活性化し、がん細胞の増殖促進や抗がん剤耐性獲得に関与するという、ダイナミックな構造変換によって機能していることが明らかになったといえる。同研究グループは、PGRMC1に結合してその機能を阻害する化合物が見つかれば、新たな抗がん剤の開発につながる可能性があると説明している。
2016年03月22日北海道大学病院(北大病院)は3月2日、「がん遺伝子診断部」を開設したと発表した。同部署は、がん患者のがん遺伝子情報を解析し、患者個々人に最も適した抗がん剤の情報を提供する専門部署で、同部署にて「がん遺伝子診断外来」が開始される。開始時期は4月1日を予定。同外来では、自由診療で、研究ではなく医療サービスとして網羅的ながん遺伝子検査を行う。同院によると、独自の院内がん遺伝子解析システムを利用することで、高い検査精度を担保しつつ、検査結果が得られるまでの期間が2週間にまで短縮されるところが特徴であるとしている。最終的な治療については、遺伝子解析担当医、主治医、腫瘍内科医などからなる専門チームがカンファレンスにて決定し、患者が納得したうえで行うという。
2016年03月03日国立がん研究センター(国がん)は2月15日、がん患者の免疫状態(ADCC活性)を測定する新手法を開発したと発表した。同成果は、同先端医療開発センター臨床薬理トランスレーショナルリサーチ分野の濱田哲暢 分野長の研究グループと、同中央病院先端医療科の北野滋久 医員の研究グループの共同研究によるもの。英科学誌「Scientific Reports」に1月27日付けで掲載された。抗体薬には、がん細胞の表面に発現する標的分子に結合し抗腫瘍効果を示す直接的な作用のほか、患者自身の免疫細胞を介して抗腫瘍効果を発揮する作用がある。そのため、標的分子の発現量だけでなく、患者自身の免疫状態、特に抗体薬ががん周囲に呼び寄せた免疫細胞を活性化するADCC活性をどの程度誘導できるかが治療効果に大きく影響すると考えられている。現在、抗体薬の投与においては標的抗原の発現量や遺伝子変異を確認することで治療効果の予測が行われているが、従来のADCC活性測定法は測定結果が不安定のため患者の免疫状態を把握することは困難だった。同研究グループが開発した測定方法では、あらかじめ標的がん細胞に緑色色素を取り込ませて、標的がん細胞(緑色色素を取り込ませたもの)と免疫細胞(緑色色素取り込みなし)を区別できるようにする。さらに、生きている細胞と死滅した細胞を区別できる色素で標識し、フローサイトメーターという装置を用いて測定することで、がん細胞と免疫細胞をそれぞれ別々に、生きている細胞と死んだ細胞に細胞一個単位で区別することができるようになった。同手法は、従来の測定法と比べて1/100以下の低濃度の抗体でADCC活性が測定可能だという。また、従来の測定法では血液検体をいったん凍結保存してしまうと測定結果のバラツキが大きくなり、不安定で再現性が乏しくなってしまっていたが、新しい測定法では凍結検体を用いても1カ月以上にわたり再現性をもってADCC活性が測定することができた。新しい測定法は、従来の測定法よりも高感度にADCC活性を検出できることから、個々の患者の免疫状態をより詳細に把握することで、抗体薬の治療効果予測に役立つことが期待されるほか、凍結保存した検体でもADCC活性を安定して測定できるため、他施設で採取した血液検体をいったん凍結した後、国立がん研究センターに輸送し、後日、測定することが可能となる。また、新規薬剤開発の面からも多施設共同臨床試験が可能となるため、効果の期待できる患者の選別や開発を進めるか中止するかの判断などに役立ち、抗体薬の効率的な開発につながることが期待される。
2016年02月16日2013年11月に鼻に皮膚がんの一種“基底細胞がん”ができ、手術で取り除いたことを公にしていたヒュー・ジャックマン。それから鼻3回、肩1回のがん除去術を受けたことを「People」誌に明かしていたが、今月9日(現地時間)、鼻にがんが再発し、5度目の手術を受けたことをSNSでファンに報告した。大きな絆創膏を鼻に貼った画像をインスタグラムとツイッターに投稿し、「日焼け止めを塗らないとこうなっちゃうっていう見本だよ。お願いだから日焼け止めを使ってね!」とファンに日焼け止めの使用を呼びかけている。また、ヒューは呼びかけるだけでなく、小さい子どもでも積極的に日焼け止めを塗るよう、容器に『スパイダーマン』や『アナと雪の女王』がペイントされた日焼け止め「Pure Sun Defence」の販売にも携わっており、日常での紫外線ケアの重要性を訴えている。日本形成外科学会のHPによると、基底細胞がんは皮膚がんの中で最も頻度が高いものの、悪性度は低く転移は稀とのこと。誘発因子として紫外線が挙げられるという。始めは撮影中にできたちょっとした傷だと思っていた鼻のできものが、まさかのがんでとてもショックを受けたというヒュー。彼が勧める予防策は、日焼け止めを塗るという決して難しくないことなので、私たちでもすぐに始められそうだ。(Hiromi Kaku)
2016年02月09日国立がん研究センター(国立がん研)は2月4日、朝食摂取回数が少ないと脳出血のリスクが高くなることが明らかになったと発表した。同成果は、国立がん研究センター がん予防・検診研究センターと大阪大学の研究チームによるもので、米科学誌「Stroke」2016年47巻に掲載された。これまでに、朝食を欠食すると肥満、高血圧、脂質異常症、および糖尿病のリスクが上がることが多くの研究で示されてきたが、脳卒中および虚血性心疾患のリスクを上げるのかという点に関してはほとんど研究されていなかった。そこで同研究チームは、朝食欠食と脳卒中および虚血性心疾患との関係を検討するため、1995年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、1998年に、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所管内に在住していた45~74歳の男女のうち、循環器疾患およびがんの既往がなく、アンケートの朝食に関する項目に回答した8万2772人(男性:3万8676人、女性:4万4096人)に対して調査を行った。同調査では、週に0~2回、週に3~4回、週に5~6回および毎日という4つの群に分けて、その後の脳卒中および虚血性心疾患発症との関連を分析。2010年まで追跡した結果、3772人の脳卒中発症と870人の虚血性心疾患発症が確認された。朝食を毎日摂取する群と比較して、朝食を週に0~2回摂取する群の発症リスクは、脳卒中と虚血性心疾患を合わせた循環器疾患で14%、脳卒中全体で18%、脳出血で36%高くなっていたという。同研究チームは、脳出血の最も重要なリスク因子は高血圧だが、朝食を欠食することで朝の血圧が上昇し、毎日朝食を摂取する人に比べて脳出血のリスクが高くなっていた可能性が考えられるとしている。
2016年02月05日国立がん研究センター(国がん)は1月20日、食道がんの前がん病変だと考えられているバレット食道での幹細胞の存在を明らかにしたと発表した。これまでがんの前がん病変において組織を維持する働きを持つ幹細胞の存在は明らかになっていなかった。同成果は国がん研究所分子細胞治療研究分野の山本雄介 主任研究員によるもので、1月19日に米科学誌「Nature Communications」に掲載された。バレット食道とは、食道と胃上部の接合部に発生する粘膜組織の変化で、主に逆流性食道炎などによる炎症が原因で発生する。これまで統計的な解析や病理学的な知見により、バレット食道が食道がんへ進行していくことは知られていたが、実際の細胞がどのように遺伝子異常を蓄積し、悪性度の高い細胞へ進展していくかはわかっていなかった。今回の研究では、さまざまな進行状態の12症例のバレット食道から内視鏡で生検組織を採取し、新しく開発した培養手法を用いて、幹細胞を単離・培養することに成功。培養したバレット食道由来の幹細胞と正常食道由来の幹細胞にがん遺伝子を導入し、強制的にがん化させたところ、バレット食道由来の幹細胞は食道腺がん様の腫瘍を形成したのに対し、正常食道由来の幹細胞は食道扁平上皮がんに類似した腫瘍を形成した。これにより、バレット食道は食道腺がんの前がん病変であることが確認され、前がん病変においても幹細胞が存在し、病変を維持している可能性が示された。また、ゲノム変異解析を行った結果、より進行したバレット食道においてより多くの変異が認められた一方で、25%の症例においてゲノム変異が認められなかったことから、バレット食道の発症に遺伝子変異は必須ではなく、その後進展していく過程でゲノム変異が蓄積し、より悪性度の高い腫瘍へとなっていくと考えられるという。今回の成果をベースに、さらに前がん病変の性状明らかにすることで、前がん病変の早期検出による早期診断や、前がん病変の幹細胞の除去など新たな治療の開発につながることが期待される。
2016年01月20日国立がん研究センターは1月20日、「全国がん(成人病)センター協議会」(全がん協)の協力を得て、加盟施設での診断治療症例に関する部位別10年相対生存率を集計したと発表。その結果を全がん協のホームページ上にて公開したと明らかにした。同センターによると、国内においてこれほどの規模でがんの10年相対生存率が公表されるのは初めて。がんの生存率は治療による効果を表す指標で、がん診療評価などにおいて重要な要素となる。一方で、信頼できる生存率を算出するには、精度の高い予後調査の実施などの課題があった。同センターの研究開発費に基づく研究班は、1999年診断症例より部位別施設別5年生存率を公開。さらに2012年からは、グラフを描画する生存率解析システム「KapWeb」を公開するなどしていた。今回、部位別施設別5年相対生存率については、2004年から2007年に診断治療を行った14万7,354症例を集計。10年相対生存率については、1999年から2002年に診断治療を行った3万5,287症例を集計した。個々の数値をみていくと、全部位全臨床病期の5年相対生存率は68.8%で、1997年の62.0%から徐々に改善している傾向にあるという。同センターは「化学療法、放射線治療や早期発見技術の進歩が貢献していると考えられます」としている。生存率が高いのは「前立腺(100%)」「乳(92.9%)」「甲状腺(91.6%)」など。一方、「胆のう胆道(28.9%)」「膵(9.1%)」は3割以下にとどまっている。今回が初集計となる全部位全臨床病期の10年相対生存率は、58.2%だった。同じデータベースの5年相対生存率は63.1%となっており、5年間で4.9%の減少がみられる。10年生存率において高い生存率をみせた部位は、「甲状腺(90.9%)」「前立腺(84.4%)」「子宮体(83.1%)」など。逆に「食道(29.7%)」「胆のう胆道(19.7%)」「肝(15.3%)」「膵(4.9%)」などは低い数値となっていた。国内において死亡者数が多い部位に関しては、「胃(69.0%)」「大腸(69.8%)」「気管・肺(33.2%)」「乳(80.4%)」という結果が出ている。なお、研究班は今回の結果をKapWebに反映させて公開。「がんの種類」「病期」「治療法」などの条件設定で検索でき、5年もしくは10年までの生存率年次推移をグラフで見られるようにしている。
2016年01月20日国立がん研究センター(国がん)はこのほど、全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)の加盟施設での診断治療症例について、部位別10年相対生存率を全がん協のWebサイト上で公開した。○乳がんは長期間のケアが必要生存率には実測生存率と相対生存率があり、実測生存率ではがん以外の死因も含まれる。一方、がん患者について計測した実測生存率を、対象者と同じ性別・年齢・診断分布をもつ日本人の期待生存率で割ったものを相対生存率と呼ぶ。相対生存率は、がん以外で死亡する可能性に影響する要因(性別・年齢など)が異なる集団で生存率を比較することができ、世界と生存率を比較する場合でも用いられる。今回発表された部位別10年相対生存率は、1999年から2002年に診断治療を行った16施設3万5287症例を対象としたもの。全部位を対象とした10年生存率は58.2%だった。部位別がんでは胃がんが69%、大腸がんが69.8%、乳がんが80.4%、肺がんが33.2%、肝臓がんが15.3%となった。同センターは2004年から2007年に診断治療を行った14万7354症例を対象とした5年相対生存率も集計。こちらでは全部位が68.8%、胃がんが73.1%、大腸がんが75.9%、乳がんが92.9%、肺がんが43.9%、肝臓がんが34.8%となった。なお、今回発表した10年相対生存率と5年相対生存率は対象となるデータが異なるため、一概に比較することはできないとしているほか、公表されたデータは新しくて2007年のものであり、治療技術の向上により現在はもっと改善していると考えられるという。また、5年相対生存率では施設別のデータも全がん協のホームページ上で公表した。施設別のデータでは、同じ部位でも対象期間や早期がんと末期がん患者の比率などが施設ごとに異なる点に注意してほしいとする。国がんはこれまで、部位別5年相対生存率は発表しているが、10年相対生存率は初集計となる。10年相対生存率について国がんの堀田知光 理事長は「5年は治療効果を判定する1つのポイントとなる。10年はそのがんがどのような経過を辿るか、どこまでフォローすれば良いかが分かるデータとなる」と説明。10年相対生存率により、例えば胃がんでは5年を過ぎると相対生存率は横ばいになるため5年が治療効果を計る大きな目安となるが、乳がんなどでは第I期に治療を開始した場合でも5年を過ぎても相対生存率が下がり続けるため、より長期間の経過を見る必要があることがわかる。○治療法選択の助けに今回の集計結果は国がんなどが開発した生存率解析システム「KapWeb」にも反映されている。KapWebはがんの種類、病期、性別、年齢、初回治療などの条件を組み合わせて相対生存率を見ることができるシステムで、2012年10月より一般公開されている。今回、10年相対生存率のほか、新規診断症例、治療法の選択項目が追加され、より詳細な条件設定が可能となった。千葉県がんセンターがん予防センターの三上春夫氏は「どの治療法を選んだら生存率が高くなるかを知ることができる。治療法選択の判断の目安になる」と説明し、治療に同システムを活用するよう呼びかけている。
2016年01月20日東京都墨田区は2015年12月、同区内では初となるがん教育のモデル授業「がんのことをもっと知ろう」を、墨田区立業平小学校の6年生を対象に実施した。保健学習の一環として行われたこの授業に用いた教材は、がん教育を検討する過程で区や教育委員会らが共同して作成したもので、このようなケースは全国的にみても珍しいという。教員やがん患者、区、教育委員会が一丸となってモデル授業を実施した目的は何なのか。墨田区 保健計画課の松本静さんに伺ったので、2回にわたって紹介する。○モデル授業のきっかけモデル授業のそもそものきっかけは、2012年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」にがん教育の推進が盛り込まれたことだった。それとは別に、2013年における墨田区のがんの死亡率は、男性が23区中7位で女性が同1位と、がんの死亡率が高いという素地もあった。これらの現状を受けて、区は2014年に「墨田区がん対策基本方針」を新たに策定。「がんによる死亡者数を減らす」などの基本目標を達成させるため、4つの個別目標を設定した。その中の一つに「がんに関する正しい知識を持つための健康教育・普及啓発活動の推進」も盛り込んだ。複数の目標を達成させるため、区長の付属機関として「がん対策推進会議」を設置。その下部組織として「がん教育部会」を設け、子どもたちへのがん教育の在り方を検討していった。教育部会ではがんの有識者やがん患者、教育関係者らが一堂に会し、何度も検討を重ねて教材作りを進めていった。「がん教育部会にはがんに詳しい日本女子体育大学の助友裕子先生をお招きして、先生からいただいた資料をベースに、墨田区に見合った教材を作成していきました」。○話し合いやクイズでがんの知識を深めるそして迎えた2015年12月3日、業平小学校でモデル授業が実施された。多くの子どもたちはがんにまだ接したことがないため、「予防」という観点を子どもたちとがんをつなげる"架け橋"として、理解を進めてもらうように工夫したという。「授業は、がん予防につながる生活習慣やがんの死亡率が高いこと、今は2人に1人ががんになる時代だということなど、できるだけがんを科学的に理解してもらうよう進めていきました」。「がん予防をするために大切なこと」というテーマで複数グループに分かれて話し合いをしたり、授業で学んだことをクイズ形式で復習したりして、がんについて正しい知識を深めていった。○がん経験者の話で命や家族の大切さを知る授業内容は「机上」だけにとどまらなかった。同11日には、乳がんを患った経験があるがん教育部会の委員が、自身の体験談を子どもたちの前で告白。子どもたちにがんについて語るのは初めての経験だったそうだが、「命の大切さについて、きちんと子どもたちへとメッセージを送ってもらえました」。授業後に実施した子どもたちへのアンケートでも、「家族を大切にしたい」「家族と一緒にいることが大事」などの回答が目立ったそうだ。紙の教材だけではなく、実際のがん体験談という「生きた教材」に触れることによって、子どもたちはがん検診の大切さやがんの治療、緩和ケアまで踏み込んで学べた。「がん患者の話を聞いて命の大切さを知り、がんに対する偏見を緩和・減少してもらえば」と願っていた松本さんも、体験談授業に手ごたえを感じているようだ。ただ、業平小学校での授業は、墨田区が掲げる目標の序章でしかない。次回は、モデル授業の今後の展開について紹介する。※写真と本文は関係ありません
2016年01月19日今月10日に1年半ものがんとの闘病の末に69歳で亡くなったロック歌手デヴィッド・ボウイさんは、死の数週間前にはがん克服に前向きな姿勢を見せていたという。デヴィッドさんの友人であり映画や舞台プロデューサーのロバート・フォックスは、前月デヴィッドに会った際には、長生きするために希望をかけて実験的な新薬を試す準備をし、前向きに治療をしている様子がみられたことをザ・タイムズ紙に明かした。「デヴィッドは具合が悪かったみたいだけど、それについて悩んではいなかったよ。かなり実験的だけど、何人かで成功例がみられた新たな治療を始めようとしているところだったね」「新たなよりよい治療法がまた出てくるという希望と共にそれで命を延ばすことができると前向きだったよ」そんな中、デヴィッドさんは肝臓がんで命を落としたと、舞台『ラザルス』でデヴィッドさんと仕事をしていたイヴォ・ヴァン・ホーヴェ監督が発言。「1年はこのことを知っているよ。僕らの舞台『ラザルス』でのコラボが始まって、ある時に病気のためにいつもいることができないと伝えてきたよ。僕に、がん、肝臓がんを患っているって言っていたよ」「出演者はこのことを最後まで知らなくて、『ブラックスター』を一緒にレコーディングしたミュージシャンたちさえも知らなかったよ。この2つのプロジェクトを時間内に終わらせるために、病気が勝ってしまわないように、デヴィッドはできるすべてのことをしていたよ」と語っていた。(C)BANG Media International
2016年01月14日国立がん研究センターは1月13日、これまでがん化との関連が解明されていなかった「IER5遺伝子」が、がん細胞の増殖に関与していることを発見したと明らかにした。IER5遺伝子は腎がんや大腸がん、膵(すい)がんなど複数のがんで発現上昇することも示された。これにより、IER5を分子標的として阻害することで、がんを抑制できる可能性が示唆されたという。同研究成果は、国立がん研究センター研究所希少がん研究分野の大木理恵子主任研究員の研究グループが行ったもので、英科学誌・ネイチャー系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。正常細胞では、「HSF1(Heat Shock Factor 1)」と呼ばれる転写活性化因子(DNA上の特定の塩基配列に結合し、他の遺伝子の発現を強めるタンパク質)の活性が低く保たれている。HSF1は熱ストレスなどにより活性化し、「ヒートショックプロテイン(Heat shock protein: 熱ストレスなどによって構造が壊れた他のタンパク質を修復するタンパク質)」を誘導することによって、ストレスから回復することがこれまでにわかっている。近年はがんの発生や悪性化にHSF1が関わっていることが報告されていたが、そのメカニズムは明らかとなっていなかった。同研究では、「IER5遺伝子」と呼ばれる遺伝子が腎がんや大腸がんなどのがんで発現上昇し、HSF1と結合してHSF1を活性化、後にヒートショックプロテインを誘導し、ストレスを回避することでがん細胞の増殖に寄与することが示された。また、IER5の発現を抑制するとがん細胞の増殖が抑制されること、さらにはHSF1と結合できないIER5はHSF1を活性化できないことも示された。これらの事実から、IER5とHSF1の結合を阻害する化合物の探索によって、がん治療薬の開発につながることが示唆された。同センターは、「現在、ヒートショックプロテイン阻害剤をがん治療薬にする開発が進んでいますが、本研究成果を応用した、その上流にあるIER5を阻害する化合物の開発により、より効果の高いがん治療薬の創出につながることが期待されます」とコメント。そのうえで、今後は「動物モデルを使った研究により、IER5ががんの浸潤転移にどのように関わるかを明らかにする」予定としている。
2016年01月14日国立がん研究センター(国がん)は1月12日、同センターの中央病院にがん診療に網羅的な遺伝子診断に基づく診療の本格導入を目指し、「遺伝子診療部門」を開設したと発表した。これまでも同病院では、遺伝的にがんになりやすい人に向けたゲノム診療である「個別化予防」を遺伝相談外来で行ってきたが、もう一方のゲノム診療である個々のがん患者の遺伝子異常に基づいた「個別化治療」については、検査の品質管理、遺伝子解析情報の臨床的意義付け、患者への伝達方法、情報の取り扱いなどさまざまな課題が残されており、本格的な日常診療への導入には至っていなかった。そこで同病院は2013年より、個々の患者の治療選択における網羅的遺伝子検査の有用性を検証する目的の研究「TOP-GEARプロジェクト」を進めてきており、2015年末には十分な精度管理が担保された網羅的遺伝子検査室を院内に設置するに至り、個別化治療としてのゲノム診療を開始するための体制が整ったことから、今回の開設に至ったとする。同センター中央病院の荒井保明 院長は、「飛行機の進歩は1903年より始まったが、当初は冒険、挑戦という位置づけであった。しかし、数十年を経て、人々が自由に活用し、好きなようにどこでも行きたいところに行くために利用することができるようになった。遺伝子の研究も、長年にわたって進められてきたが、いまだに手軽に自由に診療の現場で活用できるまでには至っていない。今回の取り組みは、すぐに民間で活用できる段階に至ったというわけではないが、がん診断の際に、遺伝的な可能性が生じた場合、がんを専攻してきた医者であっても、現状はその内容を完全に理解できるのは極一部であり、その専門性を診療レベルに翻訳してくれるプロが間に入ることで、遺伝子に関する情報を整理して提供するという仕組みができるようになった。今回の部門開設によって、これからの日本のがん診療の新たな1ページが開かれたことを感じてもらいたい」と語り、ゲノム診療を日常診療に導入する第一歩が始まったことを強調した。具体的には、国がんが中心となって開発した約100遺伝子の異常を1回で網羅的に調べることが可能な検査キット「NCCオンコパネル」を用いて、2015年11月に中央病院内に開設した「SCI-Lab」にて検査を行うことで、実際の診療で活用可能なレベルの速度を実現する。とはいえ、リソースには限りがあるため、すぐに同病院のすべての患者に実施というわけにはいかないともするほか、遺伝子異常に効果がある阻害薬の多くが認証に至っておらず、保険適用ができないこともあり、対象はまずは、治験や臨床試験に参加する患者から、という形になるという。ただし、同センターでは、医師主導治験をセンター外の病院でも実施して、幅広い連携を進め、最終的には薬事承認まで持っていきたいとしており、ゲノム診療に基づく保険適用の実現を目指すとしている。なお同部門は、中央病院のほか、研究所などの各部門におけるゲノム診療や研究に関わるメンバーで構成されており、専門家チームによる最終診断、解析結果レポートの作成、診療コンサルテーション、遺伝相談外来併診など、中央病院の全診療科のサポートする形で運営されるという。
2016年01月13日先日声帯に腫瘍が発見されたことでがんの検査中だと噂されていたジャネット・ジャクソンが6日、ツイッターを更新し、「アンブレイカブル・ワールド・ツアー」延期の理由ががんの危険性によるものではないとコメントした。ジャネットはツイッターに投稿したビデオで、「私の口からきいたことだけを信じることを忘れないで。噂は真実じゃないわ。私はがんじゃない。私は今回復中よ」と説明。「お医者さんたちはヨーロッパでのコンサートを予定通り行うことを承認してくれているし、約束通り延期された公演については日程を組み直すわ。みんなからの祈りと愛情に感謝しているわ」と話した。ツアー延期の発表の際、ジャネットはオフィシャルサイトで「ねぇみんな・・・幸せなホリデーをね!今日私の医師団から手術がすぐに必要だと言われたことをみんなにお伝えしなくちゃいけないわ」「それで春まで『アンブレイカブル・ツアー』を延期しなくてはならなくなったことをみんなにお伝えするのはとても心が痛いんだけどね」「このつらい時期に私と家族、そして私たちの会社のすべての人たちのために祈ってください...これ以上はコメントを出さないわ」とメッセージを投稿していた。(C)BANG Media International
2016年01月08日国立がん研究センター(国がん)は1月8日、全国がん登録および院内がん登録を推進する「がん登録センター」を開設したと発表した。全国がん登録とは、日本でがんと診断されたすべての人のデータを、国で1つにまとめて集計・分析・管理する仕組みで、1月1日よりスタートしている。全国どこで診断を受けても、がんと診断された時点のがん情報が病院などから都道府県に届出され、国のデータベースで一元管理されるようになる。全ての病院などに届出義務が課せられ、都道府県をまたがった受診や転居による重複や漏れも伏せぐことができるため、今まで集計できていなかった正確な全国のがん罹患数を把握し、収集したデータを用いることで国や都道府県で効果的ながん対策の立案につながると考えられている。一方、院内がん登録ではがん診療連携拠点をはじめとする約1000病院で約90項目にわたる詳細な情報を収集し、より正確で詳細な施設別のデータが比較できるようになっている。全国がん登録で国・地域の状況がもれなく把握された結果が、がん対策に活かされ、院内がん登録で得られる病院ごとの状況が比較されて病院のがん診療が向上していくことが期待される。国がんが新設した「がん登録センター」では、全国がん登録において都道府県に提供されるがん情報を一元的に集約し、都道府県と国のがん対策の基盤として用いられるようにデータベースを整備、データの提供・分析を行う。また、院内がん登録についても、データの収集・分析と提供、院内がん登録実施医療機関の支援について機能強化を図る。いずれのがん登録も情報の収集には人材の育成と収集のルールや手順の標準化が不可欠であり、標準化作業においても国がんならびに同センターがリーダーシップを発揮し標準化事業を推進していくとしている。
2016年01月08日日本人の死因1位である「悪性新生物(がん)」(厚生労働省・2014年人口動態統計より)。近年、診断や治療の進歩により、がんは治せる病気になってきたともいわれている。しかしながら、発見されたときに既にがんが進行していれば、やはり治癒が見込めないケースが多いことも事実だ。がんを完治するために大事なことは、何より早期発見。そして、手術などでの一次治療を行った後、がんの再発を防ぐことである。そこで今回は、がんの再発予防治療について、瀬田クリニックグループ 統括院長の後藤重則医師に伺った。○抗がん剤による再発予防治療手術や放射線治療は、患部を局所的に治療するもの。それに対して、手術後の再発予防や、がんが進行転移して局所治療で対処できない場合の全身治療として行われるのが、抗がん剤による化学療法だ。抗がん剤にはさまざまな種類あるが、がんの部位ごとに効果が確認されているものがガイドラインで定められており、さらに患者さんの個々の状況に応じて、有効だと思われる抗がん剤を医師の判断によって決定する。なお抗がん剤の治療費は、その種類や使用量(患者の体格に基づく)によって変わってくる。早期がんで転移などが見られない場合、基本的には手術での治療が第一選択肢となる。ただ、手術でがんを取りきったように見えても、それはあくまで肉眼や検査で分かる範囲のことで、目に見えない、検査で検出できないような微小ながん細胞が既に体の他の箇所へ転移してしまっている場合もあり、こうしたがん細胞が後々再発のもととなるのだ。そこで、この見えない微小ながん細胞を排除して再発を予防する目的で、手術後に抗がん剤治療を行うことがある。抗がん剤は、がん細胞を殺傷したり、がんのサイズを小さくしたりすることができる治療法だ。一方で、多くの人にとって不安な点は、その副作用だろう。副作用には個人差があり、使用する薬剤によっても異なるが、髪が抜ける、全身の倦怠(けんたい)感やしびれ、吐き気・嘔吐(おうと)などの症状が起こる場合があるとされている。それらの副作用によって日常生活に支障が出ることを懸念する人もいるはずだ。○抗がん剤の効果や副作用は予測可能か?では、抗がん剤の効果や副作用は治療前から予測できるのだろうか。「抗がん剤を投与することで、投与しない場合に比べて再発率が下がることが研究により証明されている場合、そうした治療が行われます。ただ、そのメリットを享受できるのは何割かの方であって、全員というわけではありません」と後藤医師。「というのは、抗がん剤治療を受けたから再発が防げたという場合もありますが、受けても再発する方もいらっしゃいます。また、もともと受けなくても再発しない方もいるため、そのような方々は副作用のある治療を受けたメリットはありません。患者さんごとに効果を事前に予測することは、なかなか難しいと思います」。また、副作用についても言及し、「どういう副作用がどの程度起きるかは個人差が大きく、投与してみないとわかりません。ただ、副作用を抑える薬なども良くなってきています」と話した。○免疫細胞治療の再発予防効果再発を防ぐという観点では、放射線治療や化学療法といった標準治療とともに、免疫細胞治療を行うことも選択肢の一つとなる。免疫細胞治療とは、患者の体内にあるがんと闘う免疫細胞を取り出して体外で培養し、体内に戻してがん細胞を攻撃するという治療法。自分自身の細胞を使うため、大きな副作用が出ないことが特徴だ。後藤医師は、国内でもっとも早くからこの免疫細胞治療を行っている医師の一人で、豊富な症例経験を有している。「16年前に瀬田クリニックを開院して免疫細胞治療を始めたときは、全ての治療をやり尽くして、他に手だてのない末期の患者さんがほとんどでした。しかし最近では、手術後の再発予防を目的に治療を受ける患者さんは増えています。体に負担をかけずに、微小ながん細胞を駆逐する再発予防治療として、免疫細胞治療は期待できると思います」。さらに、がんの再発リスクについて次のように語った。「抗がん剤にしろ、免疫細胞治療にしろ、治療によって再発を防げるかどうかは、患者さんのがんの状況によります。再発リスクが少ない方は治療をしなくても再発しない可能性は高いですし、もともと再発リスクが高い方は治療をせずに防ぐのは難しいでしょう。信頼できる医師のもと、がんの性質やデータ、ライフスタイルなどにあわせて、最善の治療法を検討してほしいと思います」。がん治療では、いかに情報を集め、信頼できる医師を見つけ、納得のいく治療法を選ぶかが重要だ。しかし実際には、がんを宣告されてから治療法を選択するまで、時間がないことも多い。がんを誰にでもかかる可能性のある病気として捉え、一人ひとりがそのリスクと向き合ってみてはいかがだろうか。※画像と本文は関係ありません○記事監修: 後藤重則(ごとう・しげのり)瀬田クリニックグループ統括院長1981年新潟大学医学部卒業1985年県立がんセンター新潟病院1989年新潟大学医学部助手、同年医学博士号取得1991年帝京大学生物工学研究センター講師、帝京大学医学部講師1995年医療法人社団弘生会霞ヶ関ビル診療所1999年瀬田クリニック(現・瀬田クリニック東京)、2001年より同院長2008年東京医科大学内科学兼任講師2009年より医療法人社団滉志会理事長
2015年12月25日今や2人に1人ががんになるといわれる時代。がん治療では、信頼できる医師のもと最善の治療法を選択することになる。日本のがん治療では、手術や放射線治療、化学療法といった標準治療が一般的だが、自分の細胞でがんを治療する方法もあることをご存じだろうか。今回は、"がんの最先端治療"といわれる免疫細胞治療について、瀬田クリニックグループ 統括院長の後藤重則医師にお聞きした。○がん細胞は細胞分裂のコピーミスで起こる!人間の体は毎日、新しい細胞が生まれるとともに古くなったものが死滅している。入れ替わる細胞の数は1日に約8,000億個。新しい細胞は生まれつき持っている細胞情報(DNA)をコピーして作られるが、細胞分裂の過程でコピーミスが起こると異常細胞ができてしまう。その異常細胞の1つが「がん細胞」だ。がん細胞は健康な人の体内でも1日に数千個発生しているといわれているが、免疫細胞の働きによって排除されている。「免疫力を高めてがんを防ぐ」などといわれるのは、こういった理由からだ。では、日頃からどんなことに気をつけて生活をすれば、免疫力を高められるのだろうか。「免疫力を高めるためには、栄養バランスの整った食事、運動や睡眠など規則正しい生活を意識することが大切です。喫煙やストレスは免疫力を下げ、がんのリスクを高めるので注意しましょう」と後藤医師。○がんの最先端治療「免疫細胞治療」とはがんの標準治療は、手術、化学療法、放射線治療の3つが代表的だ。患者のがん細胞の性質や進行度、再発リスクなどによって、医師は適切な治療法を提案する。一方、患者の体内にある免疫細胞を体外で強化したうえで再び体に戻し、がん細胞を攻撃するのが「免疫細胞治療」。つまり、"自分の細胞でがんを治す"という治療法だ。自分の細胞を使うため大きな副作用がないことがメリットの1つで、QOL(生活の質)を下げない全身的な治療法として注目されている。後藤医師が統括院長を務める瀬田クリニックグループは、1999年に国内初のがん免疫細胞治療専門医療機関として東京に開院。現在は全国4カ所(東京・神奈川・大阪・福岡)で展開するとともに、同クリニックと同様の免疫細胞治療が受診できる連携医療機関も全国で44カ所存在する(2015年12月時点)。免疫細胞治療は現在のところ、その多くは自由診療として行われている。○免疫細胞治療の種類免疫細胞治療では、一部(HIV抗体陽性の人、臓器・同種骨髄移植を受けた人など)を除くほぼすべてのがん種が治療対象になる。また、早期から再発・転移を伴う状況まで病期にも関わらず治療可能だが、外来通院での治療になるため、無理なく通院できる程度の健康状態が必要としている。瀬田クリニックで行っている免疫細胞治療は次の5つだ(瀬田クリニックホームページより)。■樹状細胞ワクチン療法樹状細胞は、がん細胞を直接攻撃するT細胞にがんの目印(がん抗原)を伝え、攻撃の指示を与える免疫細胞。樹状細胞ワクチン療法では、樹状細胞に体外でがん抗原を取り込ませてから(教育してから)体内へ戻し、T細胞にがんを攻撃するよう指示させる。■アルファ・ベータT細胞療法がんに対する攻撃力が最も強い細胞のひとつであるT細胞を全般的に活性化し、増殖させてから体内へ戻す治療法。T細胞の多くが「アルファ・ベータT細胞」という種類のため、この名前がついている。がん細胞の目印が分からないとき、がん細胞が目印を隠している場合に、早期がんから進行したケースまで幅広く適用。また、免疫の働きにブレーキがかかっている患者のブレーキを外す働きもあり、化学療法や放射線治療の効果が増すことも期待されている。■ガンマ・デルタT細胞療法がん細胞を攻撃する力を持つ免疫細胞(リンパ球)のうち「ガンマ・デルタT細胞」を用いた治療法。ガンマ・デルタT細胞には、細菌やウイルスなどに感染した細胞やがん化をはじめた細胞の変化を素早く感知して攻撃をしかけるといった特徴がある。抗体医薬を使っている場合や、骨腫瘍・骨転移などの治療にゾレドロン酸を使っている場合、併用することで相乗効果を期待できる。■NK細胞療法NK(ナチュラルキラー)細胞は、末梢血中のリンパ球の10~20%を占め、極めて強い細胞殺傷能力を持った細胞の一種。体の中を常時パトロールし、がん細胞やウイルス感染細胞などの異常な細胞をいち早く発見して攻撃する役割を持つ。NK細胞療法では、患者のNK細胞を体外に取り出し、高度に安全管理された環境下で大幅に増殖・活性化して体内に投与する(治療開始前の患者の免疫状態等により、NK細胞の増殖度合いは異なる)。■CTL療法T細胞を活性化・増殖させる際に、患者のがん細胞を使ってT細胞を増殖させ、そのがんのみを攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)を増やしてから、体内に戻す治療法。腹水や胸水などから、患者のがん細胞が入手できる場合に治療が可能。○標準治療と併用が可能これらの免疫細胞治療は、標準治療と併用できる点も重要だ。例えば、手術、放射線治療、抗がん剤などはがん細胞を大きく減らしたり、腫瘍を小さくしたりすることが可能だが、再発のもととなる隠れたがん細胞が残る可能性もある。一方、免疫細胞治療は、サイズの大きながんを縮小させる力は弱いものの、こうした隠れたがん細胞を探し出して攻撃する力を持っており、標準治療と併用することで再発リスクを下げたり、他の標準治療の効果を底上げしたりすることが期待できる。新しい治療法であるため、現状では高齢者よりも、インターネットなどで自ら情報を探すことに長(た)けている若い人に認知される傾向があるとのこと。「若い患者さんは、ご自分でいろいろと調べてから来院されます。また、ご高齢の患者さんの場合、お子さんやお孫さんが調べて連れて来られるケースも多いですね」。なお瀬田クリニックでは、次のような場合に免疫細胞治療を提案している。1. 手術などを行ったが再発の心配があり、体に負担をかけずそのリスクを下げたい場合2. 放射線治療や抗がん剤と併用して、プラスαの効果が期待できそうな場合3. いろいろな治療を試したが、標準的な治療方法が他にないと言われた場合「免疫細胞治療は、体への負担が少ないので、例えば仕事や趣味、食事など、これまでどおりの生活をしながらがんの治療が行えます。多くの人がさまざまながんの治療法があることを知って、ご自分のライフスタイルに合った治療法を選べるとよいですね」。以前と比べて「がんは治る病気」といわれることも多くなったが、やはり自分や家族、友人ががんを患った場合、まず感じるのは恐怖だろう。事前に治療法について知っておけば、いざ治療が必要になったときも、信頼できる医師や病院、治療法を見つける手がかりになる。健康に気をつけてがんを防げることが一番だが、もしものときに備えて、がん治療に関する知識を持っておくとよいだろう。※画像と本文は関係ありません○記事監修: 後藤重則(ごとう・しげのり)瀬田クリニックグループ統括院長1981年新潟大学医学部卒業1985年県立がんセンター新潟病院1989年新潟大学医学部助手、同年医学博士号取得1991年帝京大学生物工学研究センター講師、帝京大学医学部講師1995年医療法人社団弘生会霞ヶ関ビル診療所1999年瀬田クリニック(現・瀬田クリニック東京)、2001年より同院長2008年東京医科大学内科学兼任講師2009年より医療法人社団滉志会理事長
2015年12月24日九州大学と日本医療研究開発機構は12月22日、肝内胆管がんや混合型肝がんの原因遺伝子を特定し、今年ノーベル賞を受賞した抗寄生虫薬イベルメクチンが肝内胆管がんの治療薬となりうることを発見したと発表した。同成果は、九州大学 生体防御医学研究所 西尾美希 助教、鈴木聡 教授ら、および九州大学病院別府病院 三森功士 博士、産業技術総合研究所 新家一男 博士らの研究グループによるもので、12月21日付けの米科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(米国科学アカデミー紀要)」オンライン版に掲載された。同研究グループは2012年に、「MOB1」ががん抑制遺伝子として作用することを証明するとともに、このシグナルが皮膚がんの原因となることを示している。今回、MOB1をマウスの肝臓で欠損させることで、肝がんの中でも特に肝内胆管がんや混合型肝がんを発症すること、これらがんの発症には、このシグナルの下流で転写共役因子「YAP1」や細胞増殖の調節に関わる分泌タンパク質「TGFβ2/3」が増加することが重要であることを見出した。また、YAP1を標的とする抗がん剤を天然物ライブラリから探索し、抗寄生虫薬「イベルメクチン」や「ミルベマイシン」が実際に肝内胆管がんの治療に有効であることを、MOB1欠損マウスやヒト肝内胆管がん細胞移植マウスを用いて個体レベルで証明した。同研究グループによると、YAP1を標的とする薬剤として、イベルメクチンなどの既存の天然物だけでなく、新規天然物や新規低分子化合物も見出しつつあり、今後肝内胆管がんや混合型肝がんに奏功する治療薬を単離できる可能性が高いとしている。
2015年12月22日広末涼子が、がんでこの世を去った安武千恵さんに扮し、5歳の娘・はなちゃん、夫・信吾の家族との日々をつづったブログを基にしたエッセイを映画化した『はなちゃんのみそ汁』。先週12月19日(土)に、舞台となった福岡にて本作の初日舞台挨拶が行われ、主題歌を担当した一青窈が第一子の出産後初めてイベントに登場、主題歌「満点星」を生披露した。関連書籍やTVドラマ化、教科書への採用など社会現象を巻き起こした、ある家族の日常が満を持して映画化された本作。結婚、妊娠、出産と人生の転機をがんと闘い、食を大切に生きてきた主人公・千恵を演じるのは、自身も3児の母である広末さん。明るくひたむきに支える夫・信吾を滝藤賢一。はなは、演技経験ゼロの新星・赤松えみなちゃんが初々しく演じている。この日、先行公開の初日を迎えた福岡では、広末さん、滝藤さん、一青さんと阿久根知昭監督が舞台挨拶に登壇。鑑賞を終えたばかりで感動冷めやらぬ中、一青さんによる主題歌「満点星」にのせて広末さんらが登場すると、家族連れなどで満席状態の会場からは割れんばかりの拍手が沸き起こった。まず、広末さんは「家族や命の温かさを感じさせてもらえる映画になったのではないかな、と思っています。初日を迎えて、皆さんの温かい笑顔を見ることができて、本当に幸せです。この映画に関われてよかったな、と思います」と初日の喜びを口にする。また、滝藤さんは「安武信吾を演じました、滝藤賢一、ばい。福岡の皆さんと迎えられたことがとってもうれしい、ばい」と博多弁風にあいさつ、客席からは爆笑が起こった。さらに、広末さん演じる千恵の姉役で出演し、出産後これが初イベントとなった一青さんは、「この映画に携わっていた間中、妊娠、そしていま、出産したあとで、私にとってはものすごい人生の大きな変換期をこの映画と過ごすことができました。それを見てくださったことがすごく私の中でうれしい」とコメントした。本作について、広末さんは「本当にどのシーンも大切なエピソードがいっぱい詰まっていて」と前置きし、「急に涙を誘われたり、また笑わされたり、そしたらまた次ちょっと切なくされたり。それがすごく日常的というか、淡々とした日常の中の小さな大切なことを教えてくれるから、すべてのエピソードが愛しくて大切です」と噛みしめるように思いを語る。思い入れのあるロケ地は、実際の安武さんが勤務する西日本新聞社だという滝藤さんは、「僕のファーストシーンで、広末さんと芝居するのも初めてだったので思い入れがありますね。実際の場所でやれるって気持ちが違いますよね」とふり返った。すると、なんと一青さんがサプライズで「満点星」を初めて生披露!本作のために書き下ろしたという主題歌を丁寧に歌い上げて会場中を魅了し、映画の余韻も相まってか、涙を拭う人の姿も見られた。隣で聞いていた広末さんも口ずさみ、体を揺らしながら聴き入っていたが、曲が終わると「滝藤さんが汗を拭いているのか涙を拭いているのか分からなくて」とツッコミが。滝藤さんは「もちろん涙です。生で聴けると思わなかったんで、鳥肌が立ってきました」と、また笑いを誘った。歌い終えた一青さんは、「生まれてくれてありがとうという気持ちを毎日実感しながら、自分の音楽と対峙しているんです。それが実際歌詞に書けて、これから歌い続けていけることが自分にとってもすごくうれしいです」とその思いを明かし、阿久根監督も「この曲を作っていただいて映画の魅力がさらに増したと思います。ありがとうございます」とコメントした。さらに広末さんは、「この映画の力というか、もしつらいことがあったり困難があっても、きっと打ち勝てると思わされる力強い歌声」と大絶賛を送り、続けて「この映画もみなさんの勇気につながったらうれしいなと改めて感じさせられました」と語り、舞台挨拶は温かな感動に包まれ、終了した。『はなちゃんのみそ汁』はテアトル新宿&福岡県内にて先行公開中、2016年1月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年12月21日アイリックコーポレーションが運営する保険クリニックはこのほど、20~60歳の働く女性を対象に「女性のがん」について調査を実施し、結果を発表した。同調査は11月10日~13日にかけて行い、500人から有効回答を得た。がんは怖いと思うか聞いたところ、97.4%が「怖い」と回答した。女性がかかる「がん」として怖いと思うものは何か尋ねたところ、1位は「乳がん」、2位は「子宮頸がん」、3位は「卵巣がん」という結果になった。「乳がん・子宮がん・卵巣がん」が怖いと思う理由を聞いたところ、一番多かった回答は「がんは全て怖い」だった。2位は「女性特有のがんだから」、3位は「最近話題になっているから」となっている。怖いと思うがん5位だった「大腸がん」が怖い理由としては、「女性がかかる割合が高い」「便秘の人が多いから」が上位に挙げられた。子宮頸がん、乳がんの検診を受けているか尋ねたところ、「不定期に受けている」(31.4%)が最も多く、次いで「定期的に受けている」(28.6%)が続いた。「受けたことがない」は25.4%となっている。各年代別の受診率を見ると年代ごとに受診率が高くなるが、30歳代でも約3人に1人が受けていないのが現実のようだ。身近に「がん」にかかった人がいるか聞くと、68.4%が「いる」と回答した。その内訳を見ると、「父、義父 」が42.1%と最も多い。次いで「母、義母」(24.3%)、「友人、知人」(14.9%)となった。自分は「がん」にかかると思うか尋ねると、60.0%が「わからない」と回答した。「思う」は28.4%で、「思わない」(11.6%)の約3倍いる事がわかった。「思う」と答えた人に、がんを経験した人が身近にいるか聞くと、80.3%が「身近にいる」と答えた。
2015年12月10日国立がん研究センター(国立がん研)は12月9日、肺小細胞がんや悪性リンパ腫などさまざまながんで不活性化変異がみられるCBP遺伝子について、p300遺伝子と相互に補い合い機能する関係があり、両方の遺伝子が機能しなくなるとがん細胞が死滅する「合成致死」の関係にあることを発見し、そのメカニズムを解明したと発表した。同成果は、同研究センター研究所 ゲノム生物学研究分野 河野隆志 分野長、荻原秀明 研究員と、第一三共との研究グループによるもので、11月24日付けの米科学誌「Cancer Discovery」オンライン版に掲載された。同研究グループは、CBPタンパク質とp300タンパク質の両方がなくなると、細胞の生存に必要なMYCタンパク質の発現がなくなってしまい、細胞死に至ることを突き止めた。CBPタンパク質とp300タンパク質は、染色体を構成するヒストンタンパク質をアセチル化する酵素であり、アセチル化は、がん細胞を含めたすべての細胞が生きていくために必要な反応となっている。そこで同研究グループらは、p300タンパク質の機能を阻害する薬剤を用いることで、CBP変異がん細胞を効率よく細胞死に導くことができると考えた。つまり、p300タンパク質の機能を阻害する薬剤が抗がん剤の候補であるとしている。今回の治療法の提案は、CBP遺伝子とp300遺伝子が、その両方が失われると細胞は生きていけないという「合成致死」の関係に基づいたもの。同分野ではこれまでも、肺腺がんに対して別の染色体制御遺伝子であるBRG1/SMARCA4について、合成致死に基づく治療法を見出し、抗がん剤の開発を進めている。
2015年12月09日塩野義製薬はこのほど、がん患者や家族を対象にした「STOP! がんのつらさ」キャンペーンを開始した。同時に、患者・家族・医療従事者のコミュニケーションを活性化させるアプリ「つたえるアプリ」もリリースした。同キャンペーンでは、より多くの患者や家族に「がんのつらさを周囲に伝える大切さ」を知ってもらうために、YouTubeなどで啓発活動を行っていく。同時に、どんな時にでもがまんしてしまう「がまん侍」をキャラクターにしたサイトも公開。「がんのつらさとは」「つらさを伝える」「がんの痛みをとる治療」などのコンテンツや、海外クリエイターによるコンテスト受賞作品を閲覧できる。また、がん治療中の身体とこころに起こるつらさについて、患者が正しい知識を学び、医療従事者に適切につたえることをサポートするためのコミュニケーションツールアプリもリリースした。聖隷三方原病院の森田達也副院長が監修を務めている。アプリでは、毎日の「痛み」「だるさ」「眠気」などの症状の記録や「気になることのメモ」を登録でき、記録した症状とメモは、スマートフォン内でグラフや表で表示できる。グラフなどは印刷も可能なため、印刷したデータを診察時にもっていくことで医師に症状を伝えやすくなるという。アプリの価格は無料。
2015年12月08日アカデミストは11月26日、同社が運営する学術系クラウドファンディングサイト「academist」にて、がん予防薬開発のためのプロジェクト「正常細胞ががん細胞を駆逐するメカニズムを解明したい!」を開始したと発表した。同プロジェクトは、北海道大学 遺伝子病制御研究所 藤田恭之 教授によるもので、2016年2月26日までにacademist内プロジェクトの過去最高金額となる500万円を集めることを目標とする。藤田教授は、見かけ上は正常で現在では病理診断の対象外となっている「がんの超初期段階」において、正常細胞が隣接するがん細胞の存在を認識し、それらを駆逐していることをこれまでの研究で明らかにしてきた。しかし、このがん排除機構にどのような分子が関わっているのかということについてはまだ解明されていない。そこで同プロジェクトの研究では、さまざまなスクリーニング(ふるい分け)という手法を用いて、正常細胞とがん細胞の境界でどのような分子が細胞間の認識機構やがん細胞の排除に関係しているのかを明らかにすることを目指す。これにより、がん研究のブラックボックスであった、がんの超初期段階で何が起こっているのかという謎に迫ることが期待できる。さらに、それらの分子の機能を制御する薬剤を開発することで、正常細胞ががん細胞を排除するメカニズムを活性化する、あるいはがん細胞が正常細胞からの排除を免れるメカニズムを不活性化するという、がんを取り巻く細胞の社会性を利用した、世界初となるがん予防薬の開発を目指すという。クラウドファンディングで集めた研究費は、細胞を培養するための試薬費・各種スクリーニングにかかる費用や同定したタンパク質に対する抗体の作成費用として使われる予定。支援者への見返りとして「オリジナル画像、学会講演資料(3000円)」や「オリジナル白衣、研究室特製Tシャツ、オリジナル画像、学会講演資料(3万円)」などといったコースが用意されている(価格はすべて税抜)。藤田教授は今回のクラウドファンディングのチャレンジについて「欧米では、国からの研究費のほかに一般の方のドネーション(寄付)が大きな比重を占めている。残念ながら我が国には、サイエンスに興味を持ってドネーションするという文化がないが、その理由としてどんな研究をしているのかということが国民に伝わっていないからというのがあるかもしれない。今回のプロジェクトで、一般の方々と“がんを撲滅したい”という夢を共有して前進していければ」としている。
2015年11月26日