ネットワンシステムズは3月14日、保守サービスとの連携で障害時の復旧時間を短縮可能にする、ネットワーク機器の設定情報やログ情報を自動管理するサービス「DIMS(Device Information Management Service)」を4月1日より販売開始すると発表した。主な販売対象は、大規模企業・官公庁・自治体を想定し、売り上げは3年間で4億円を目指しており、価格は月額10万円(税別)。新サービスは、機器設定情報とログ情報の自動的な保管とメールを介した機器情報の取得(特許出願中)の2つの機能で構成している。機器設定情報とログ情報の自動的な保管は、同社が貸与する専用の情報収集サーバがサービス対象のネットワーク機器の設定情報やログ情報を定期的にデータセンターにアップロードして自動保管し、専用のサービスポータルからユーザーが各情報をダウンロードして利用する機能。また、メールを介した機器情報の取得は問題発生時にユーザーから連絡を受け、保守サービスに基づいてネットワンシステムズの遠隔監視運用サービス担当者が、ユーザーのネットワーク環境に直接アクセスすることなくメールを介して該当機器の最新情報を安全・迅速に取得する機能となる。これによりユーザーは、自社内での機器設定情報・ログ情報の管理環境が不要となる。また、問題発生時に新サービスと同社の保守サービスを連携させることで、保管している機器設定情報・ログ情報と新たに取得する機器情報を組み合わせて原因解析に活用する。さらに、機器障害と判定した際には既存の設定情報を代替機に反映し、ユーザーの運用管理負荷軽減と同時に復旧時間を短縮するという。そのほか、メールを利用することで遠隔制御の記録が残ることから、ユーザーは安心してサービスを利用できるという。さらに、セキュリティ強化の観点から、メールのやり取りは、暗号化と電子署名を実施するS/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions)方式を採用するとともに、同社独自のセキュリティ対策を施すことで、盗聴・なりすまし・改ざんを防いでいる。新サービス販売開始時の対象機器は、米シスコシステムズ製のネットワーク機器群(ルータ・スイッチ・ファイアウォール・無線LANなど)。なお、ネットワンシステムズの保守サービス対象外の機器も管理機能の対象に含むことができる。今後、他社製のネットワーク機器やサーバ・ストレージなどにも対応する予定だ。
2016年03月14日ロームグループのラピスセミコンダクタ(ラピス)は3月1日、サブギガ帯域無線通信LSI「ML7345C」を発表した。ML7345Cは、ラピスの無線通信LSIを中国の無線規格で最高特性が出るよう周波数帯域と送信パワー、受信感度をカスタマイズしたもので、スマートメーターやホーム/ビル・セキュリティ、火災報知機・ガス警報器、クラウド農業など、長距離無線通信と低消費電力が必要とされるアプリケーションに適しているとする。中国国内で利用可能な周波数帯域433~510MHzと送信パワー100mW高出力に対応していほか、高周波増幅器を改良したことで、送信パワー変動が動作保証全温度範囲内で±1dB以下と、一般品比で3倍以上の高安定性を実現。これにより、無線ネットワークの簡素化、低コスト化、高信頼化に貢献する。さらに、短時間で受信起動を行う高速電波チェック機能とスリープ電流の大幅削減により、通信時間の大半を占める待ち受け動作において、同社従来品比で48%の平均電流を削減している。同製品は2015年12月より量産出荷を開始しており、今後、在中国パートナーとの協業によって同製品を搭載した無線モジュールの提供も予定している。
2016年03月01日エルテスは2月9日、ログデータの相関分析により内部不正の予兆を検知するサービス「インターナルリスク・インテリジェンス」を発表した。インターナルリスク・インテリジェンスは、企業内などで情報漏洩や贈収賄などに繋がる不審な行動などをログをパターン分析することにより検知するシステム。昨今、内部情報漏洩や経費の私的流出など、従業員によるさまざまな内部不正が問題になっているが、同社代表取締役である菅原基弘氏によると、日本における経済犯罪の原因の82%は組織内部に起因しているという。そこで、多くの企業が不正防止対策として、従業員研修やデバイス制御などの機能制限による抑制策をとっているが、従業員個人の意識に依存したり、必要なアクセスまでも制限するなど業務効率や生産性を低下させるといったデメリットが見受けられるという。同サービスは、企業ごとにリスク要因や不正行動につながる行動パターンを定義。複数の要因を相関分析することで、内部不正の抑制に繋げる。「自社の顧客情報を転職先の企業に流失させる」といった不正行動の場合、「転職サイトにアクセス」「休暇が増加」「顧客データをコピー」「ストレージサイトへアクセス」といった個々の行動を組み合わせトータルでリスクを評価する。データソースの収集は、分析対象となるログデータをエルテス側のサーバー(分析システム)に集約。これにより、膨大な時間や経費のコストがかかるシステム構築を削減することが可能となり、大きなコストをかけることが難しい中小企業にメリットをもたらすという。預かるデータの内容は、ファイルサーバーのログの場合、開いた「ファイル名」はエステル側から分かるが、「ファイルの中身」を見ることはできないように設計されているとのこと。集められたデータソースは、アナリストによる監視や分析が行われる。分析フローとして、どのデータソースからどのようなデータ(項目)が取得できるかを確認。その後、「顧客情報漏洩」「知的財産流用」「金銭の私的流用」「利益相反」など、どんなリスクの発見を重視するかを決定する。そして、「通常業務」「不審な行為」「社則による禁止事項」などをヒアリングし、そこからデータの種類(リスク高~低)や不正行為に繋がる行動パターンを定義づけを行うというもの。運用フェーズでは、データソースにトラブルはないか、データの形に変更はないかなど、安定した稼働ができるよう監視し、リスクイベントの確認、リスク評価の正当性の確認、分析結果をシステムのルール設定に反映するなど、安定稼働とリスク評価の精度をアナリストが担保する。将来的にはAI(人工知能)を活用することでアナリストの分析を補完し、分析精度のさらなる向上も考えているという。分析結果は、抽出したイベントにより企業側へリスクを通知する。危険度の高いイベントが発生した際には、電話やメールにて緊急通知を実施、その他のイベントについては週次で通知を行い、全体の統計結果や個別の行動の分析結果は月次で報告される。使用するデータソースは、PCやスマートフォンなどの操作ログ、社内システムやデータなどのアクセスログ、入退室記録、退勤記録、人事評価情報、私的なSNSなどのソーシャルメディア上での活動など。価格は50万円から。データサイズによって、価格は変動し、目安として、300人~500人規模(1日5GB使用)で月額100万円程度。月額制のほか、スポット利用も可能だが、導入環境と分析するログが揃っている必要がある。同社は「このシステムを導入しているということが、従業員の不正抑制や株主・取引相手へのアピールポイントになるのでは」とコメントしている。
2016年02月12日カカクコムは2月3日、「食べログ」サービスで飲食店の業務支援事業を開始し、第一弾として予約台帳アプリ「ヨヤクノート」を提供すると発表した。食べログはメディア事業が中心で「飲食業界へのさらなる提供価値向上」を目的に、業務支援領域への事業拡大を決めたという。ヨヤクノートは、飲食店向け予約台帳アプリで、飲食店のスタッフが紙の予約台帳管理に費やしていた時間を短縮し、業務オペレーションの効率化とコスト削減を図るという。アプリは、タイムテーブルで空席を見つけやすくしており、配席調整も簡単に行える。クラウドサービスであることから、外出先や系列店からも予約台帳を閲覧でき、自店舗が満席でも系列店への誘導が容易になる。アプリと同時に、飲食店CRMソリューションを提供し、飲食店が予約登録を行う際に自動的に顧客情報を登録する「顧客台帳機能」を用意する。これにより、グルメサイトの販促で新規顧客獲得だけでなく、リピーター育成を行い、CRMソリューションとしての提供価値向上を目指す。食べログでは、すでにネット予約サービスを提供しており、ヨヤクノートは自動連携を行う。データベースが統一されたことで、ネット予約の運用管理や、ダブルブッキングのリスクからソリューションを導入できなかった飲食店の導入障壁が下がるとしている。予約管理サービスでは、競合にYahoo!予約 飲食店と提携している「トレタ」や、無料POSレジアプリ「Airレジ」を提供するリクルートライフスタイルの「Airリザーブ」などがある。
2016年02月03日インフォサイエンスは1月22日、統合ログ管理システムの最新版「Logstorage Ver.5」の販売を開始した。最新版はクラウドサービスやビッグデータ、IoTの利活用の進展により拡大するログ活用ニーズに対応するため、ログ分析サーバのスケーラビリティを向上。また、ログのレポーティングの並列処理による高速化を実現した。なお、約6年振りのメジャーバージョンアップとなる。Logstorageは、内部統制、情報漏えい対策、PCI DSS準拠、マイナンバーの利用監査、標的型攻撃対策など、主に企業内のITシステムの適切な利用のモニタリングを目的に導入されている。近年、クラウドサービスやビッグデータ、IoTの利活用の進展により、ログの収集対象の範囲が拡大するとともに、ログ分析に対するニーズも多様化し、企業内でログに触れるユーザーも増加し続けているという。これまで同システムは、ログの収集・保管においてスケーラビリティを持つ機能を提供していたが、昨今の全社的なログデータ活用の流れの中で、ログの分析やレポーティングをよりスピーディーかつスケーラブルに実現したいというニーズがあった。最新版ではログ分析サーバ(コンソールサーバ)の並列処理に対応し、レポーティングの高速化も実現した。最新版の主な強化点は、ログ分析サーバのスケーラビリティの向上やログ分析レポート出力の高速化を実現。また、Amazon Web Service、Microsoft Azureのほか、ログ分析サーバのクライアントブラウザとしてMicrosoft Edgeにも対応している。価格は税別で65万円~。
2016年01月22日ゾーホージャパンは1月19日、Active Directoryのログ監視および監査レポート作成に特化したソフトウェア「ManageEngine ADAudit Plus」の最新版を国内で販売開始したと発表した。最新版「ビルド4685」では、監査時に注目されやすい「Active Directoryに登録されている特権・高権限ユーザーの一覧や動向」を、より簡潔に参照できるようになったという。重要情報へのアクセスやシステムの操作が可能な特権・高権限ユーザーの情報を監査することで、外部からのアカウント乗っ取りや内部犯行による不審な兆候の有無を効率的に調査できるようになる。最新機能として、「ADAudit Plus」では、監査情報を元にしたカテゴリー別に、150以上のレポートを自動生成できる。ログオン/ログオフ、ユーザー、グループ、コンピューター、GPO、OU、ドメインポリシーの変更履歴をはじめ、PCI DSSやSOXなどの各種コンプライアンス要求に対応した監査レポートを作成するノウハウが、あらかじめ設定されている。上記に加え、最新版ではカスタムレポートの作成も可能となった。レポートの種類、カテゴリーを設定した後、表示するカラム、フィルター、表の種類などを指定し、Active Directoryのログを視覚的に見やすいグラフなどのレポートとして出力できるようになった。用途として、Active Directoryに登録されている特権ユーザーである「administrator」や「administratorsグループ」に含まれるユーザーなど高権限ユーザーの一覧や動向を簡潔に表示できるため、監査の効率が向上するという。なお、作成したレポートに対しては、定期的にメール配信するためのスケジュールの設定も可能。さらに最新版では、活動履歴をActive Directoryのドメインに登録されるユーザー名で検索することも可能となった。特定ユーザーの活動履歴を抽出することで、不審な兆候を示すユーザーの追及を、速やかに実行できるという。
2016年01月20日ディスカバリーズは1月4日、マイクロソフトが提供する「Office 365(O365)」の共同作業ソフトウェア「SharePoint Online」のログ分析・レポートサービスであるクラウドサービス「インテリレポート」を、SharePointアドインに対応しアプリ化したことを発表した。インテリレポートは、Office 365の標準機能では提供されていないSharePoint Onlineのアクセスログを収集・分析・レポート化するクラウドサービス。「誰が」どんな情報にアクセスしたかまでを把握できるため、ポータル運営では欠かせないPDCA(Plan、Do、Check、Action)のサイクルを回すことができる。これにより、エンドユーザーにとって付加価値の高い社内ポータルへと改善していくことが可能となるという。今回リリースする新バージョンでは、SharePointアドインモデルを採用して、効率よくSharePointサイトに設置できようになったほか、レポートの拡張性にも対応可能になった。また今回、SharePoint Onlineで検索されたキーワードをレポートする新機能を追加しており、社内でのキーワードトレンドから市場や顧客のニーズを把握することができるようになった。このアクセスログ管理と分析を支えるプラットフォームとして、Microsoft AzureやSQL Azure DatabaseなどのさまざまなAzureサービスと連動して、スケーラビリティの高いサービスを提供することを実現している。今回のバージョンアップのタイミングで期間限定のディスカウントキャンペーンを実施。2016年1月までに、3カ月以上12カ月未満の契約をした場合、10%の割引を適用する。なお初月1カ月間は、無料トライアル期間となる。
2016年01月05日VAIOは9日、NTTコミュニケーションズと協業し、PCのデータ通信に最適化したという通信プランを発表した。同日オープンする直販サイト「VAIOストア」での限定販売で、1年プラン、2年プラン、3年プランの3種類を用意し、LTE対応のデータ通信専用microSIMと合わせて提供する。価格は税別13,800円からのプリペイド式。同社が提供するプランは、1年プラン、2年プラン、3年プランの3種類。いずれも通信速度200kbpsで使い放題の「常時接続モード」、最大150Mbpsの通信が容量限定で行える「高速通信モード」を用意。これは、PCの利用法として、メールやメッセンジャーなどの手軽な通信は常時接続しておき、大量必要な時のみ高速通信する需要があると考えた結果という。各プランは、高速モードで使える容量が異なる。1年間利用できる「手間なし1年間プラン」では、200kbpsの常時接続モードに加え、最大150Mbpsの高速通信モードが32GB分利用でき、価格は税別13,800円。2年間利用できる「手間なし2年間プラン」では、常時接続モードに加え、高速通信モードが64GB分利用でき、価格は税別22,800円。3年間利用できる「手間なし3年間プラン」では、常時接続モードに加え、高速通信モードが128GB分利用でき、価格は税別32,800円。高速通信モードと常時接続モードを切り替えたり、残量確認が行えるPC向けの専用ユーティリティも用意する。料金はプリペイド式で、月額利用料などはない。「VAIOストア」では、通信プラン+SIMカードの単体販売のほか、同日発表した11.6型ノートPC「VAIO S11」との同時購入時も可能。VAIO S11同時購入時は、2,000円割り引かれた特別価格となり、1年プランが税別11,800円、2年プランが税別20,800円、3年プランが税別29,800円。
2015年12月09日日本通信は4日、「日本通信、ドコモ訴訟判決を受けて -訴訟継続を無意味にした総務省新方針-」と題する声明文を発表した。少々背景を知らないとわかりにくい面もあるため、かみ砕いて読み解いてみよう。○ドコモとの訴訟の結果を受けて日本通信は1996年からMVNO事業を行っている老舗で、現在は主にNTTドコモとの間でレイヤー2接続でのMVNO事業を行っているのは周知のとおりだ。しかし、ドコモ側から一方的な接続料の値上げを断行されたため、接続料算定式の合意の有無を巡って、2012年4月に東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起していた。この訴訟の判決がようやく先日(11月27日)出されたのだが、接続料算定式の合意があったことは認められたものの、この合意はドコモ側の接続約款における規定により変更可能という判決だった。日本通信ではこれを受けて、控訴するかどうかの対応を協議していたが、その結果が今回の声明文ということになる。○MVNOを巡る環境の変化に期待結論から言えば、控訴はされない。今でこそMVNO事業者は非常に多くなっているが、日本通信が事業を始めたころはMVNOという言葉すらほとんど知られておらず、MVNO事業そのものも、総務省が推進する携帯電話事業のオープン化という方針を受けて、ガイドライン、すなわち電気通信事業法の解釈というかたちで運用されてきた事実がある。これだけ普及してきてはいるが、案外頼りない基盤の上にある制度だったといえる。しかし、今年5月に公布された改正電気通信事業法や省令改正によって、MVNOが法的に認められた立場を持つことになる。また、日本通信との間で問題となっていた接続料算定式についても、接続約款の添付資料として、算出の根拠を説明した書類などと合わせて提出する義務が設けられることになった。これによってMVNO側が一方的に接続料を値上げされるといったことが起きなくなり、MVNO事業者の事業基盤の安定が図れることとなった。さらに11月27日には、MVNO事業者が望んでいたHLR/HSS(ホームロケーションレジスター/ホームサブスクライバーサーバー:電話番号や契約内容と携帯電話の現在位置、通信経路などを管理するデータベース)の接続も開放される方針となり、MVNO事業者にとってはこれまで要求してきたことの多くが解決する流れとなっている。ここにおよび、日本通信も控訴の必要がなくなったと判断したわけだ。MVNO事業者としては、HLR/HSS接続が可能になることで、独自の通話料金(定額制を含む)やローミングサービスを設定できることになる。これまでの「単に安い携帯回線」というだけの位置付けから、さらに高度なサービスが提供できることになり、特に技術力のある事業者にとっては大きく風向きが変わってきたと言える。日本通信としてはこうした背景も踏まえて、前述のような声明文を発表したのだろう。
2015年12月04日ロームは11月27日、同社の特定小電力無線通信モジュールが国際無線通信規格「Wi-SUN」の新たな規格「Wi-SUN Profile for Echonet Single-Hop HAN(Wi-SUN HAN)」の認証を取得したと発表した。「Wi-SUN HAN」は、Wi-SUNアライアンスが策定したHAN(Home Area Network)向けの無線規格で、スマートコミュニティ構築に欠かせないHEMSコントローラやエアコン、照明などのHEMS機器に適しているとされる。従来の「Wi-SUN Echonet Profile」規格がBルートと呼ばれるスマートメーターとHEMSコントローラをつなぐ1対1の通信に対し、「Wi-SUN HAN」ではHEMSコントローラと各家電製品をつなぐ1対多の通信が可能となる。同社は今回、新たに「Wi-SUN HAN」に対応したソフトウェアを開発し、「Wi-SUN HAN」の認証ならびにCTBU(Certified Test Bed Unit)認証を取得した。今後は、同ソフトウェアの提供を開始し、2016年1月に汎用無線通信モジュールとして量産・販売を開始する予定だ。
2015年11月27日情報通信研究機構(NICT)のワイヤレスネットワーク研究所は11月24日、インド工科大学ボンベイ校(IITB)と共同で、ネットに接続するための無線通信インフラをホワイトスペース技術に基づくLTEシステムの構築実証実験で実証を行ったと発表した。インド国ムンバイ(旧ボンベイ)近郊のネット通信が困難な地域で、集落内の家庭においてWeb検索や子供の教育ビデオ視聴を行った。今回の実験は、NICTが平成24年度から平成26年度の間に総務省から受託した「複数周波数帯の動的利用による周波数有効利用技術の研究開発」の成果を利用したもの。ケーブルなどの通信インフラは、世界のあらゆる場所で十分に展開されておらず、高速なネット接続が利用可能な地域は限られている現状がある。これによって情報の格差が生じ、教育や雇用の機会が不平等になるなどのデジタルディバイド問題が深刻になっている地域があるという。特にインドでは、集落を単位として居住地域が分散して町が形成されており、敷設が高額な光ケーブルをすべての家庭に届けることは現実的ではない。こうした状況からNICTは、インド国内において既にホワイトスペース実証実験の準備を進めていたIITBと共同研究契約を締結し、ホワイトスペースを用いて、家庭にネット接続の提供が可能になる実証実験を準備してきた。今回の実験は、10月7日~15日まで、ムンバイから北に50km離れた郊外Palghar(パラー)の集落において、NICTが開発したホワイトスペース用LTEシステムを利用して実施。ネット接続用の有線ネットワークは集落中心部の電波塔にのみ敷設されており、この電波塔にLTEシステムの基地局とそのアンテナを設置して、集落内の民家からホワイトスペースを利用してこの基地局を介してネットに接続した。今回の実験で、電波塔から半径約5kmの範囲の集落において、1チャネルあるいは2チャネルを同時に使って、下り最大8.2Mbpsと16.5Mbpsを計測した。また、民家においてルーターを介してWi-Fiに切り替えて、市販のPCやスマートフォン、テレビからネットに接続して、Web検索や教育ビデオが視聴可能になったほか、Palgharの集落だけでなく、大都市ムンバイ市内においても、車による時速60kmでの移動通信に併せて成功している。インド国内で、通信効率が良いLTEシステムを用いてホワイトスペース通信の実証を行ったケースは初だという。世界には有線ネットワークの敷設費用などの理由から通信インフラが整備されない地域が多い中で、テレビ帯のホワイトスペースは、地形や障害物に対する電波の伝わり方の特性などから障害物等の影響を受けにくく、都市郊外の広域通信にも適しているため、デジタルディバイド(情報格差)問題の解消に向けての利用が期待されている。
2015年11月25日ヴァリューズは11月19日、一般ネットユーザーの行動ログとデモグラフィック(属性)情報を用いたマーケティング分析サービスである「VALUES eMark+」の集客分析機能を強化し、「【eMark+】Site Analyzer」として提供開始した。価格は、1アカウントにつき初期費用が10万円(税別)、月額利用料が10万円(同)。VALUES eMark+は、市場・顧客(Customer)/自社(Company)/Competitor(競合他社)の3C分析を1つのデータソースから実現できるという、インターネット行動ログ分析サービス。約20万人規模の行動ログ・モニター会員による消費者パネルを保有し、インターネット上の行動データから各種サイトへのアクセス状況を分析できるとしている。新サービスは、自社サイトの集客改善に活用できるツールとして集客施策の分析を簡単かつスピーディに実現できるよう、Webサービスとして提供するもの。併せて、無償で利用可能な機能も拡張したとのこと。自社や競合などサイトを指定して集客構造を容易に比較できる流入元分析ツールとしており、各種デジタル広告経由やリスティング、SEO(自然検索)での集客状況といった異なる流入元を、一括で把握できるという。なお、「ユーザー数推移」「基本指標」「ユーザー属性」は無料で試用可能。競合サイト(特定ディレクトリの指定も可能)の訪問者数の推移を確認したり、セッション数・PV数・直帰率・平均滞在時間などのサイト基本指標を自社と競合で比較したりできるとのこと。性別・年代・エリア・職業など、サイト訪問者の属性構成も把握できるとしている。
2015年11月20日キーエンスはこのほど、FA(ファクトリーオートメーション)の通信とネットワークについて基礎から学べる情報サイト「接続.com」を公開した。 IoTに注目が集まっている昨今、製造業の現場では、生産性、品質向上を目指すため、ネットワークによる集中監視、データ収集のニーズが高まっている。しかし、FAの通信やネットワークは種類が多く、選定や設定など導入にノウハウが必要とされるため、検討が思うように進まない場合がある。「接続.com」はこうしたニーズに応えるべく開設されたウェブサイトで、通信やネットワークについて初心者でもわかるような解説が加えられている。また、代表的なネットワークの種類や具体的な接続例をわかりやすく解説しており、ラインの自動化、設備の設計などに関わる人にとって有益な内容がまとめられている。具体的な内容としては、「フィールドネットワークの基礎知識の解説」「27種類のフィールドネットワークの解説」「センサー機器などの具体的な接続例」などがあり、同サイトの内容をまとめたPDF資料も無料で提供されている。同社は、今後も、ネットワークの紹介や接続事例などを追加していく予定としている。
2015年11月11日ブラザー工業は9日、通信カラオケの技術を応用した発話訓練システム「スピーチマイスター」を発表した。通信カラオケ「JOYSOUND」の採点機能を応用した発話訓練システム。「音声解析技術」や「採点技術」、「モチベーション維持手法」などを応用しており、スピーチ(発話)が上達するトレーニングが可能となっている。スピーチ練習では、熟練者からの直接指導や、外部の講師に指導してもらうのが一般的だが、本システムでは手本となるスピーチと練習者のスピーチを比較して採点を実行。指導者がいなくても自分の成長度合いを確認しつつ、練習を重ねられる。練習時は、練習者の発話をリアルタイムでグラフ化。練習が終了してから数秒で得点を表示する。このグラフでは、抑揚、音量、速度、滑舌、間の取り方という5項目を、手本データと比較可能。修正すべきポイントを可視化、把握できる。手本データの作成にも対応し、熟練者のスピーチを録音して真似ることで、録音データを手本とした練習が行える。ソフトウェアはWindows 7対応の専用アプリケーション。手本データや練習の履歴はクラウドサーバー上に保管され、管理者はアカウントの付与や手本データの登録などが行える。
2015年11月09日茨城県非公認のゆるキャラ「ねば~る君」が10月28日(水)、東京・港区のワーナー・ブラザース映画試写室を訪問し、話題のファンタジー超大作『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』を鑑賞。「感動したねば~。ネバーランドに行きたいねば~」とアピールした。ねば~る君は納豆を世界中のみんなに好きになってもらうために、この世に生まれた納豆の妖精。「ゆるキャラさん(の活動時間)は30分が限界と言われているねばだけど、今日はしっかり2時間、映画を楽しんだねば~。テンポもいいし、迫力もめっちゃあったねば~」と映画を満喫したが、「同じ妖精でも、映画にねば~る君みたいなの全然出てこなかったねば~」と不満をもらす場面もあった。それでも「皆さん!大人から子どもまで、ドキドキワクワクネバネバで、めちゃ感動するからぜひ見てねば~」とねばっこくアピールを続け、「ねば~る君も、あと710回見るねば~。納豆(なっとう=710)だけに」と笑いを誘っていた。『ハリー・ポッター』シリーズのワーナー・ブラザースが、永遠の少年ピーターパンの出生に秘められた愛と冒険を描いた本作。ねば~る君は「次回作があれば、主役で出たいねば~。世界観は崩れるかもしれないけど、ぜひ挑戦してほしいねば~。舞台は茨城でもいいねばよ~」と現場のワーナー社員に猛アピール!ハロウィンを間近に控え、頭にピーターパンの帽子をかぶるなど“主役奪取”を虎視眈々と狙っていた。『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』は10月31日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~ 2015年10月31日より全国にて公開(C) 2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
2015年10月29日三菱電機は10月19日、トルコの国営衛星通信会社 Turksatから2011年3月に受注した通信衛星「Turksat-4B」の打ち上げに成功したと発表した。同衛星はカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から10月17日午前5時40分に打ち上げられ、同日午後2時53分にロケットからの分離に成功。今後、地表から約3万6000km上空の静止軌道まで自律で移動する。なお、Turksatへの引き渡しは静止軌道上での性能確認実験を終える12月以降を予定している。「Turksat-4B」は、同社製の標準衛星バス「DS2000」を使用した9機目の人工衛星。重量は約4.9トンで、設計寿命は15年以上とされている。今回の打ち上げにより、2014年2月に打ち上げた通信衛星「Turksat-4A」との2機体制が確立することとなる。DS2000を使用した人工衛星は現在全て順調に運用されており、2017年までにさらに7機の打ち上げが予定されている。
2015年10月19日共同通信社は10月13日、インティメート・マージャーと新たな広告メニューの開発で協力し、同日より新サービスの販売を開始したと発表した。同サービスは、共同通信社の運営する情報サイトにて、企業の製品やサービスを紹介するタイアップコンテンツを作成・掲載。その後、インティメート・マージャーが提供する約4億件のオーディエンスデータの中から、コンテンツを読んでもらいたいターゲットユーザーを性別や年令、年収、職業、趣味・嗜好、エリア、Web閲覧サイトなどの項目から選定し、同ターゲットにコンテンツを読んだ上でアンケートに回答するようメールで依頼する。同アンケートの結果やコンテンツのPV数などは、レポートとして提供される。共同通信社によると、新広告サービスは、同社のコンテンツ編集力とインティメート・マージャーの持つ膨大なオーディエンスデータを組み合わせ、広告コンテンツと読んでもらいたい読者のマッチングを最適化させた、新しい形のメディアタイアップになるという。
2015年10月14日情報通信研究機構(NICT)は9月28日、プロドローン及びサンエストレーディングと共同で、ドローンの飛行制御通信の安全性を強化する技術を開発したと発表した。ドローンの遠隔制御に使われる無線通信は、傍受や干渉、妨害の影響を受けやすく、通信の乗っ取りや情報漏えいなどが懸念されている。しかし、現状、標準的な暗号化すら行われていないケースが多く、ドローンの制御通信における情報セキュリティ対策は十分ではないという。NICTらは、真性乱数を共通の暗号鍵としてドローンと地上局間で安全に共有。制御通信をパケットごとに暗号化することで、制御の乗っ取りや情報漏えいを完全に防御した。さらに、複数の暗号鍵をドローンに搭載し、対となる暗号鍵を複数の地上局に量子鍵配送ネットワークで配送することにより、複数の地上局間で安全に飛行制御を引き継ぎながら、ドローンを広域で飛行誘導するセキュア制御通信技術を開発した。実証実験についても成功している。同技術を利用した、乱数生成器を地上局に導入してユーザ・機器認証を経て暗号鍵をドローンに供給し、地上局間では手渡しで鍵配送を行う飛行誘導システムは、2年後の商品化を目指すという。
2015年09月30日ルネサス エレクトロニクスは9月29日、車載情報システム向けSoCプラットフォーム「R-Car」の新シリーズとして、車車間・路車間通信(V2X:Vehicle-to-Everything)向け車載無線通信SoC「R-Car W2R」を開発したと発表した。同製品は、欧州ならびに北米地域のITS向け通信規格であるIEEE 802.11pに準拠した5.9GHz帯域の車車間通信(V2V:Vehicle-to-Vehicle)および路車間通信(V2I:Vehicle-to-Infrastructure)向けSoCで、独自のRFシステム設計技術により、LSIから発生する信号ノイズとなる送信帯域外雑音を-65dBm以下に抑えることに成功。これにより、混線の少ない高品質な信号の送信がさまざまな道路状態において可能となり、例えば周波数が近い欧州版ETCへの干渉を最小限に抑え、共存が可能になるとする。また、独自のアナログ回路の小型化設計技術と、デジタル回路から発生する雑音がアナログ回路へ与える影響を高精度に解析できるアナログデジタル混載設計技術により、RFから物理層、データリンク層までの通信機能を10mm角の176ピン Plastic FPBGAに1チップ化している。さらに、既存のR-Carプラットフォーム「R-Car E2」と組み合わせたV2Xスタータキットも用意。パートナー各社の提供するソフトウェア群と組み合わせることにより、短期間での実証試験環境を構築することが可能だ。なお、同製品は10月1日よりサンプル価格は3000円(税別)でサンプル出荷を開始予定。量産は2016年12月より開始する予定で、2018年12月に月産5万個の出荷を計画している。
2015年09月29日情報通信研究機構(NICT)は9月28日、プロドローンおよびサンエストレーディングと共同で、ドローンの飛行制御通信の安全性を強化する技術を開発したと発表した。ドローンは、その特徴から、さまざまな産業分野での活用が期待されているが、無線により遠隔制御されるため、妨害の影響を受けやすく、通信の乗っ取りや情報漏えいなども懸念されている。そうしたこともあり、ドローンの活用は無線通信で制御できる範囲となる目視圏内が中心であり、広範な安全な飛行には、さまざまな課題が残されていた。今回、研究グループは、ドローンの制御における乗っ取りや情報漏えいを完全に防御することができるセキュアな制御通信技術を開発した。具体的には、2.4GHz帯を用いたシリアル通信の制御信号を、パケットごとに異なる真性乱数を用いて暗号化(ワンタイムパッド暗号化)することで、膨大な計算を必要とせずに、計算遅延のないセキュアな制御通信を低速処理な小型かつ安価なデバイスで実現したという。また、複数の暗号鍵(真性乱数)をドローンに搭載し、対となる暗号鍵(真性乱数)を、複数の地上局に何らかの手段で配送することで、複数の地上局間で安全に飛行制御を引き継ぎしながら、ドローンを広域でセキュアに飛行誘導することが可能だという。実際に、2つの飛行エリアA、B間で安全に制御通信を引き継ぐことが可能な第一世代システムの実証実験に成功したほか、NICTが管理運営する量子鍵配送(QKD)ネットワーク「東京QKDネットワーク」で配送された暗号鍵を2つの地上局に供給し、飛行制御を引き継ぐ第二世代システムも実証実験に成功したとしている。なお、研究グループでは、地上での暗号鍵の配送に信頼できる宅配サービスなどを利用し、通信を使わずに供給する第一世代システムを2年以内に商品化する予定としている、また、第二世代システムの研究開発を継続して行っていくとするほか、従来の電波による方式に加え、レーザー光を使った大容量かつ安全なデータ通信ネットワークを実現するための研究開発にも取り組んでいく予定としている。
2015年09月28日ラネクシーは9月9日、同社が開発したクライアント操作ログ管理ソフトの最新版として「MylogStar 3 Release4.2(マイログスター 3 リリース4.2)」を発表した。同社の提携代理店経由で9月11日から受注を開始し、9月16日に出荷開始する。新バージョンでは、マイナンバー対策におけるセキュリティ強化を検討する際、対策が必要な環境にピンポイントで導入可能というスタンドアロン製品(MylogStar 3 Desktop、MylogStar FileServer)において、データベースのセットアップ・ウィザードを追加することで、導入工数を大幅に削減可能になったという。これにより、小規模環境における操作ログ管理のスモール・スタートをサポートする。また、大規模環境での操作ログ管理に適するというネットワーク(サーバー/クライアントシステム)製品では、Citrix XenApp 7.6及びXenDesktop 7.6への対応やSQL Server 2014上での動作にも対応、幅広い導入環境での運用をサポート可能にしたとのことだ。この他、「APIフック除外アプリケーションリスト」と「通信監視アプリケーションリスト」をポリシー追加し、Microsoft Exchange Server 2010上での動作をサポートした。
2015年09月10日仮想移動体通信事業者(MVNO)の日本通信は9月3日、スマートフォンやタブレット向けのIDS(Intrusion Detection System、侵入検知システム)としては世界初となる「モバイルIDS」を提供すると発表した。都内で行われた記者向けの発表会の模様をお伝えする。同社の代表取締役会長である三田聖二氏は、日本は電波オークションを実施しなかったことで、モバイルインフラの面では世界のリーダーシップを取っていると評価。そこで日本通信では、そのモバイルインフラを使って何をするかという点に長年取り組んできたとのこと。MVNOの市場開拓を先導してきたイメージが強い同社だが、真の役割は「無線通信で情報を安心安全に届けること」にあると、三田氏は話している。これまで日本通信では、無線通信の専用線接続を提供するなど、無線部分のセキュリティに関しては力を入れて取り組んできた。だがそれを利用するデバイスに関しては、まだ取り組みが進んでいなかったとのこと。そこで同社が今回新たに打ち出したのが、企業向けとしては以前より導入が進んでいたIDSを、モバイルの分野にも導入することである。続いて代表取締役社長の福田 尚久氏は、モバイルIDSを実現するに至った経緯を語った。日本通信は2001年、DDIポケット(現在はソフトバンク)のPHS回線を用いたMVNOとして事業を展開し、翌2002年にはM2M(機械間通信)用のデータ通信サービスを提供している。だが、M2Mのサービスを提供してから半年程経過した頃、そのPHS回線がDos攻撃やDDoS攻撃に遭うようになったとのこと。M2M用の機械に重要なデータがある訳ではないが、回線が細いため攻撃を受けることで通信自体が利用できなくなるなどの問題が発生したのだそうだ。そうした経験から日本通信では、無線通信のセキュリティを担保するための取り組みを積極化。通信の部分に関しては、無線専用線の実現によってその問題を解決したが、セキュリティを高めるにはデバイス側の対応も必要になる。そこでモバイルに適したセキュリティ技術を持つ会社を探し、2006年に米国のArxceo社を買収。同社の技術を基に10年間研究を進め、完成したのがモバイルIDSになるそうだ。企業のネットワークと、モバイルのネットワークとの大きな違いは利用のされ方にあると、福田氏は話す。企業ではP2Pや動画の視聴を制限するなど、ポリシーを作ることで均質的な運用がしやすい。だが、モバイルは使われ方が企業や個人によって異なり、多様性があることから特定の機能を一律に制限することは難しい。そうしたモバイルの多様性を保ちながら、IDSの導入を実現するにはどうすべきか、研究を進めた結果、たどり着いたのが「Situation Awareness」、つまり現状を認識することであったと、福田氏は説明している。例えば、町の中で火災が1件起きた場合、それは“火事”と認識される。だが同じ所で数か所の火災が発生した場合、放火の可能性などが疑われる。1つの事象として捉えるか、コミュニティ全体の動向として捉えるかによって認識が変化することから、個別の事象とコミュニティ全体の動向を組み合わせて現状認識することにより、多様な使われ方がなされるモバイルでの検出精度を高めているのだそうだ。今回提供されるモバイルIDSでは、アクセスの状況によって3段階の警告レベルに分類し、検知レポートを出力するとのこと。具体的には、プロトコルのアクセス異常などを知らせる「Warning」、悪意のあるアクセスだが、偵察のみで攻撃はしていない「Severe」、そして悪意ある攻撃を実施する「Attacks」になる。現在モバイルIDSは、法人などの協力を得て3500台が試験運用されているとのことだが、それらの8月31日午前9時から24時間の結果を見ると、モバイル回線で16万件以上、Wi-Fiでは923万件を超えるWarningが発生していたとのこと。モバイル向けに、非常に多くの攻撃がなされていることが分かる。ちなみにモバイルIDSは、端末側に搭載されるクライアント・エンジンと、サーバー側に搭載されるエンジンの2つから成り立っている。だがスマートフォンの場合、OSが制御するデバイスドライバーの段階で通信を把握する必用があるため、アプリケーションレベルで提供するのは難しいという。そのためモバイルIDSは、同社が提供している「VAIO Phone」のファームウェアに組み込む形での提供になるとのこと。もっともモバイルIDSが備えているのは、あくまで侵入を検知する機能のみであることから、不正侵入を防御する企業向けのトータルソリューションも9月18日より提供開始するほか、第3四半期を目途に、防御機能も備えた「モバイルIDPS for VAIO Phone」を提供するとしている。福田氏は今回の発表において、日本通信がメーカーとなってVAIO Phoneを提供したのは「アプリとしては提供でないモバイルIDSを実現するため」と明かしている。Android向けにクライアントエンジンを導入するには、グーグルの認証を獲得し、ファームウェアに特設組み込む必要があった。そこであえて日本通信自身がメーカーとなり、法人からも安心が得やすい日本メーカーであるVAIOのブランドライセンスを受ける形で、VAIO Phoneを提供するに至ったのだそうだ。ちなみにモバイルIDSはスマートフォンだけでなく、Wi-Fiルーターなどにも高いニーズがあるそうで、日本通信では今後スマートフォン以外のハードに対する取り組みも進めていくとのこと。だが、必ずしも自社でスマートフォン開発していくとは限らず、今後は他のメーカーにモバイルIDSをライセンス提供することを主体とし、モバイルIDSの普及を進めていきたいとしている。なおコンシューマー向けに関しては、法人向けより多様な行動をするため一層のデータ分析が必要になるとのこと。そこで日本通信では、既にVAIO Phoneを持っているユーザー、そして9月3日以降に新規契約した20000台のVAIO Phoneユーザーに対してモバイルIDPSを無償提供する「コミュニティ開発プログラム」を提供。そこから得た情報を基にデータ解析を進めていくことで、精度を高めていく考えのようだ。最後に福田氏は、「自分のひ孫くらいの頃には、セキュリティの問題によってインターネット自体が過去の物になってしまうリスクが出てきている」と、インターネットのセキュリティ問題に警鐘を鳴らす。そうした歴史が実現してしまわないよう、日本通信ではモバイルIDSをさまざまなメーカーにライセンスしたり、MVNOに無償でライセンスするなどして、広く利用しセキュリティ対策を進めていきたいとしている。
2015年09月04日シマンテックは8月5日、「過去ログ解析による不審通信・不審ファイル痕跡調査サービス」の提供を開始したと発表した。参考価格は50万円。シマンテックは、直近に確認されているマルウェア被害において、新たな検出手法の確立や、脆弱性パッチの適用期間までの間に検知をすり抜けてしまっている可能性があり、多くの企業組織では感染やリスクのある通信が過去発生していたかどうかを自社で把握することが非常に困難になっているのが現状だという。追跡調査サービスは、現在多発しているマルウェア感染被害の原因をプロシキの過去ログ解析などによって特定するといもの。企業ユーザーが導入することで、過去一定期間のセキュリティリスクや感染の痕跡を短期間で明らかになると説明している。具体的には、過去の通信ログと脅威レベルの判断が可能なシマンテックのインテリジェンスを突き合わせて、過去不審な通信が発生していたかどうかの有無とそれに紐づくリスクレベルを判断する。また、不審なファイルが端末に存在しているかどうかファイルスキャンを実行するオプション機能も搭載。調査対象となる通信の過去ログをシマンテックで受け取り次第、脅威分析チームが解析を行い、セキュリティリスクを可視化した調査結果を7営業日以内に提供するとしている。
2015年08月06日アットマークテクノは7月29日、次世代無線通信規格「Wi-SUN」でスマートメーターと通信可能なHEMS(一般家庭向けのエネルギー管理システム)機器向けプラットフォーム「Armadillo-Box WS1(アルマジロボックス ダブリュエスワン)」を発表した。「開発セット」と「量産品」の2種類を提供し、開発セットの価格は3万円(税別)、発売は8月5日。2016年に実施予定の電力自由化を控え、新しいHEMS機器やサービスの実現に向けて、多くの企業が動き出している。特に、従来の電力会社を介さずスマートメーターから直接データを取得するルートである「Bルート」は、電力会社の制約を受けずリアルタイムにデータを取得可能であり、新しいサービスでの利用が期待されているという。新製品は、USB・LAN・Wi-SUNの各モジュールを搭載する省電力のボックス型組み込みコンピュータ。ユーザーが開発したアプリケーションを書き込むと、HEMS機器を実現できる。同社は、HEMSによる新サービスを検討している新電力会社やインターネット・プロバイダ、SIベンダーなどを主なターゲットとして、Bルートに対応したHEMS機器のプラットフォームとしての利用を想定している。同製品は、Wi-SUNでスマートメーターと通信可能であり、また小型サイズのため、場所を選ばず手軽に設置できることが特長。配電盤にCTセンサーを接続する従来型とは異なるスマートメーターとの連携型のため、開発や設置にかかる費用の大幅削減も期待できるという。OSとしてLinuxを採用し、カーネルやデバイス・ドライバなどの基本ソフトウェアはオープン・ソースで提供。また、試作から量産製造まで対応可能なOracle Javaライセンス(JREライセンス)を標準バンドルするため、自由なアプリケーション開発が可能としている。例えば、使用電力量が異常に増えた際に警告メールを送信する機能などの実装が可能で、さらに、クラウド・アプリケーションを開発して連携することで、遠隔からスマートフォン経由で見守り・監視を行うサービスなど各種用途にも応用できる。なお同製品は、ユビキタスが提供するプロトコル・スタックである「Ubiquitous ECHONET Lite」に対応、Wi-SUN Profile for ECHONET Lite(TTC JJ-300.10 A方式)準拠の各社製スマートメーターとの接続が可能。ユビキタスが提供するSDKで開発すると、Armadillo-Box WS1と各社のスマートメーターとの間に加えて、家電や太陽光発電システムなどのECHONET Lite対応機器の間の通信も実現するとしている。なお、Armadillo-Box WS1開発セットの購入者には、同製品で動作するUbiquitous ECHONET Liteのサンプル・アプリケーションをユビキタスから無償提供する。量産向けの「Armadillo-Box WS1量産品」は2015年10月に発売予定であり、100台単価で2万円以下の販売価格を想定している。
2015年07月30日米エンバカデロ・テクノロジーズは7月28日(現地時間)、開発者向けログ取得ツール「CodeSite」およびWindows UIコンポーネント製品「Konopka Signature VCL Controls」の販売開始を発表した。CodeSiteは、Delphi、C++BuilderのVCLおよびFireMonkeyアプリケーション、.NETアプリケーション向けのログ取得システム。CodeSiteを用いることで、ローカルおよびリモートで実行されているコード内部の実行状況をリアルタイムに確認でき、問題箇所を素早く把握できるようになる。CodeSiteのロギングクラスを用いれば、開発者は、コードを実行しているときの情報を収集し、ライブディスプレイまたはログファイルに送信できる。いずれの形態でも、ローカル実行とリモート実行が可能。Embarcadero RAD StudioやMicrosoft Visual Studioといった最新の統合開発環境との連携をサポートしている。Konopka Signature VCL Controlsでは、Windowsアプリケーション向けに、最新のUIを素早く設計できる。200以上のWindows UIコントロールは、より直感的でビジュアル的にも美しくなるように設計されており、DelphiおよびC++Builder開発者は、すべてのWindowsアプリケーションのUX構築をシンプルで最先端のものに実現できる。VCLスタイルをフルサポートしており、容易に最新のWindows 10アプリケーションの外観に変更できる。UI設計時には、100以上のカスタムプロパティエディタにより作業を単純化し、より短時間でUIの構築が可能になる。CodeSiteおよびKonopka Signature VCL Controlsの製品ライセンスを購入する際には、年間メンテナンス(アップデートサブスクリプション)を併せて購入する必要がある。無料のWindows 10 VCLスタイルは、RAD Studio XE8登録ユーザー向けダウンロードページから無料で入手可能。
2015年07月29日Nearbyは、Bluetooth、Wi-Fi、それにデバイス側のスピーカーとマイクを利用した不可聴音を組み合わせ、近接通信を確立する。Proximity APIとNearby Messagesで構成され、iOSとAndroidの両モバイル端末で、近くにいる人とのやりとりが容易に実現するという。最新の「Google Play services 7.8」にはNearby Message APIが含まれており、iOSとAndroid開発者はこれを利用してアプリを開発できるとしている。AndroidはGingerbread(Android 2.3)以上に対応する。Nearbyの利用にGoogle Accountは不要で、最初の呼び出し時に許可を求めるダイアログが表示されるとのことだ。Nearbyの事例として、音楽DJアプリ「Edijing」はDJが近くにいる人にトラックリストを配信できる機能を、タスク管理の「Trello」は近くにいる人と簡単にタスクを共有できる機能を、そしてポッドキャスト「Pocket Casts」は近くにいる人とポッドキャスト情報を共有できる機能を開発しているという。Googleはすでに「Chromecast」のGuest Mode、「Google Play Games」のNearby Players機能、「Google Tone」などの製品にNearby技術を組み込んでいるという。Googleは同日、Nearbyの土台となる独自開発のBluetooth Low Energy(BLE)ビーコン仕様「Eddystone」も発表している。米AppleのiBeacon対抗とも位置付けられており、Googleはこれをオープンソースとして公開、普及を広めていく狙いだ。
2015年07月15日オレガは7月8日、Windows上で共有フォルダのアクセス記録を管理するファイル・サーバ・ログ管理ソフトウェア「VVAULT AUDIT」(ブイボルトオーディット)について、製品Webサイトでダウンロード提供を開始した。価格は、Basic版は無料、上位のProfessional版は年額5万円(税別)。新製品は、マイナンバー制度の施行により特定個人情報の保存先として多くの利用が想定される企業のファイル・サーバに対して、正しいアクセス権で運用管理しているか、特定個人情報を記載されたファイルが確実に削除しているか、また不正に持ち込まれた機器によるアクセスが無いかなどのアクセス履歴を保存し、必要に応じてユーザー操作のトレースや不正アクセスの監視を実現するもの。Windows監査ログを利用したファイルアクセス履歴の記録、専用ログ・サーバも商用データベースも不要、ログ情報を圧縮して検索と長期保存に対応、NTFSドライブ/VVAULT仮想ドライブに両対応、低価格といった特長を持つ。対応するサーバOSは、Windows Server 2008 R2/2012/R2およびWindows Storage Server 2008 R2/2012/2012 R2。通常のWindows共有フォルダに加えて、ストレージ仮想化ソフト「VVAULT」の仮想ドライブに対してもログ管理が可能であり、VVAUL」のユーザー・サポート・サイトやライセンス認証システムの流用により、従来製品に比べて大幅なコストダウンを達成したという。ログ管理期間が2週間までの制限がある「VVAULT AUDIT Basic」は無料で利用可能。またログ管理期間を無制限すると共に、長期保存用のデータ・アーカイブ機能とソフトウェア・サポートが付属する上位バージョンの「VVAULT AUDIT Professional」は年額5万円(税別)。また、NASやクラウド・サービスへの組込用に、オープン価格の「VVAULT AUDIT Professional OEM」も提供する。同社は今後、MACアドレスを利用したクライアント端末の厳密な判別機能、アクセス権違反などのアクティブなセキュリティ検知機能、時系列データとの比較による異常判定機能などについて開発を進めると共に、ハードウェア・ベンダーやクラウド・ベンダーとも提携関係を構築し、2015年度中に1,000ライセンスの提供を計画しているとのこと。
2015年07月10日東芝は6月18日、盗聴が理論上不可能な量子暗号通信システムにより、ゲノム解析データの通信を行う実証試験を8月31日から開始すると発表した。実データを用いた量子暗号通信システムの実証試験は、国内初となる。量子暗号通信は、光子の量子力学的な性質を利用する通信手段。通常の光通信では、大量の光子を使い1ビットのデータを送信しているため、いくつかの光子を盗まれても、盗聴に気づくことができない。量子暗号通信では、光子1個に1ビットのデータを載せて送るため、盗聴があると光子の状態が変化し、確実に盗聴を検知することが可能となる。盗聴されていないことが保証された暗号鍵を、次々に更新しながら暗号化することにより、通信データの盗聴は理論上不可能とされている。実証実験では、東芝ライフサイエンス解析センターにおいて、日本人ゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ」で解析したゲノム解析データを、量子暗号通信システムにより暗号化し、7km先の東北大学 東北メディカル・メガバンク機構まで送信する。実証期間は、2017年8月までの2年間で、長期間の運用における通信速度の安定性や天候、温度や光ファイバーの状態など環境条件の影響度などを検証する。
2015年06月18日STMicroelectronicsは、ソフトウェアを含むBluetooth Low Energy(BLE)対応無線通信ICを使用した音声送信ソリューションを開発したと発表した。同ソリューションで提供される新たなBlueVoiceソフトウェアには、 同社の32ビットマイコンである「STM32」や低消費電力ネットワークプロセッサ「BlueNRG」、MEMSマイクロフォンを活用したシステムにおいて、 BLEによる音声伝送に必要なドライバとライブラリがすべて用意されており、スタック可能な開発ボードと組み合わせることで、プロトタイプを簡単に制作することができるという。また、BlueVoiceを搭載したこの開発プラットフォームは、 MEMSマイクとモーション・センサを使用した音声・ジェスチャ制御機能の実装に最適化されており、 より直感的で自然なユーザー・インタフェースを実現することができるとする。さらに、STM32CubeプラットフォームをベースとしたosxBlueVoiceミドルウェアおよび「BlueVoiceLink Software Development Kit(SDK)」は、同社のMEMSデジタルマイクを用いた開発をサポートするopen.AUDIOライセンス・プログラムに含まれているほか、評価・開発用のBlueVoiceLink SDKは、同社Webサイトより無償ダウンロードが可能で、配布パッケージに含まれるライセンス・ウィザード・ツールを使用することで、 簡単にアクティベーションすることができるという。
2015年06月12日ADLINK Technologyは6月9日、極端な環境と屋外通信/ネットワーク・アプリケーション向けに設計された高性能モバイル・エッジ・コンピューティング(MEC)プラットフォーム「ETOS-1000」を発表した。同プラットフォームは、デュアルIntel Xeon E5-2400 v2ファミリプロセッサを採用しているため、通信機器メーカー(TEM)やアプリケーション・プロバイダはネットワークのエッジでデータ・センター・クラスのパフォーマンスを実現することが可能となる。また、データは携帯電話加入者に隣接するラジオ・アクセス・ネットワーク(RAN)環境のエッジで処理されるため、バックホール費用の削減ならびにインフラ効率の改善も可能になるという。さらに、340mm×440mm×44mmのサイズ(重量10kg)で、耐衝撃・振動性、-40℃~+55℃の動作時温度、IP65の防水・防塵規格などを備えており、屋外などの極端な環境にも対応することが可能だという。なおI/Oとしては、10/100/1000BASE-T×2、10G SFP+×2、オンボードブータブルSATAフラッシュ(32GB。オプションで256GBまで拡張可能)、2.5インチドライブベイ×2、USB 2.0×2、COMポート×1となっている。
2015年06月09日