2020年に日本の教育が大きく変わると言われています。学習指導要領の改訂と大学入試改革が行われます。変わるとは知っていても具体的にどんな風に変わるのか、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。「うちの子はまだ小さいから早いな」と思う方もいるかもしれませんが、小学校の勉強がどう変わるのかを知って、早くから対策をすることは決して無駄にはなりません。まずは改革の概要をしっかり理解しましょう。1. 学習指導要領の大幅な改定学習指導要領とは、日本教育の大まかな指導目標です。都度見直されていますが、2020年には小・中・高校で全面的に見直されます。教科・科目面では、小学校3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で「英語」教科化、高校では「公共」「歴史総合」「地理総合」「理数探求」などが新設されます。さらに学びの特徴として以下のようなものが導入されます。(1) アクティブラーニングの導入アクティブラーニングとは「主体的・対話的で深い学び」を示し、教科ではなく授業方法です。正解を先生が教える一方的な授業ではなく、解き方を班ごとに話し合ったり個々に意見を出し合ったり、という双方向、対話的な学びのスタイルを取ります。(2) プログラミング教育の実施小学校でプログラミングが必修化されます。プログラミング言語や技術を学ぶというよりは「プログラミング的思考」を学びます。プログラミング的思考とは、何か問題があるとき解決するための最適な方法を考え、予測し、それをトライ&エラーで解決することです。今までの、知識を詰め込みいかに覚えるかという教育から、覚えたことをどう使っていくかに重点が置かれていきます。解決力や、持っている知識をどう使うかが問われるようになります。2. 英語改革年々進むグローバル化に向けて、英語教育についても改革が行われます。使える英語力を目指し、学習開始年齢の前倒し・4技能(聞く、話す、読む、書く)の取得を求めての改革となります。・小学校3・4年生週1コマ程度の「外国語活動」年間35コマの授業聞く・話すことの言語活動・小学校5・6年生週2コマ程度の「英語」年間70コマの授業成績(数値による評定)がつく活字体の読み書き語順への気付き・中学生・高校生英語の授業は英語で行うことを基本とする高校では「論理・表現」の科目新設(スピーチ、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッションなど)覚える単語数も、現状は中学で扱う英単語が1200程度ですが、小学校の間に600~700語学びます。現状の中学生レベルの半分以上を、小学校卒業までに学ぶということですね。そして英語についても、覚える授業から、コミュニケーションを重視とした内容に変わっていきます。より実践的な話す力が求められることになります。但し2020年に向けて既に任意で英語を取り入れる小学校も増えています。私の息子が通う小学校では、外国人講師を招いた外国語活動を隔週1回程度行っているようです。3. 大学入試も大きく変わる2020年の改革では、大学受験も大きく変わります。まだ幼稚園や小学校低学年だとピンとこないかもしれませんが、成長と共に関係してくる部分ですので今の内から理解しておきましょう。大きく変わるのはマークシート方式の「センター試験」が廃止となり、「大学入学共通テスト」に移行します。数学・国語で80~120字の記述があるなど、思考力・判断力・表現力も評価されます。英語についても、今までの「読む・書く」から「読む・書く・聞く・話す」を評価され、民間資格や検定試験も評価されます。活用できる資格・検定試験は「ケンブリッジ英語検定」「TOEFL」「TOEIC」「IELTS」「TEAP」「英検」「GTEC」で、高校3年生の4~12月に受検した2回までの結果が採用されます。今までの知識を詰め込む教育からどのように変わるのかお分かりいただけたでしょうか。ただ、思考・判断するためには当然知識が必要となります。知識があるのはあくまでスタートラインということになり、そこから考える・自分の意見を言う力が必要になってきます。それを試験やテストで発揮するためには、日頃からの勉強方法を少しずつ変えていく必要があるでしょう。大学受験を考えていない場合でも、こういった能力は将来社会で必ず必要となってきます。頭の柔らかい小学生の内から意識することで、無理なく少しずつ力がつくはずです。学校や塾の勉強も大切ですが、一番良いのは家庭でコミュニケーションを取っていくことです。是非会話の時間を多く持ち、子どもにたくさん質問を投げかけることを意識してみて下さい。教育改革に負けない地頭を作っていきましょう。
2018年12月21日「子どもの発達に合わせて、そのときにもっともふさわしい教育をする」ことが特徴の「シュタイナー教育」(インタビュー第1回参照)。実際の教育現場ではどのような授業がおこなわれているのでしょうか。東京賢治シュタイナー学校で1年生のクラス担任を務める鴻巣理香先生は、その特徴を「世界とのつながりをとおして学ぶこと」だと語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビュー・校内撮影のみ)記事冒頭画像:東京賢治シュタイナー学校 校内子どもには遊びでも明確な教育の意図がある――シュタイナー教育では1年生を「ならし期間」としているそうですが、一般の学校とどうちがうのでしょうか。鴻巣先生:当校には幼児部もありますが、学校にはいろいろな幼稚園、保育所から子どもたちが入学してきます。ですので、子どもたちの緊張がほどけて「仲間」になるまでには時間が必要です。そのため、最初に取り組むのは、「共同の生活の場」をつくること。一般の学校ではいきなり授業がはじまりますよね。でも、その前の段階が十分にできていないと、まだ幼児の延長上にある1年生は落ち着いて学べません。学びの特徴として、当校の1年生の席は円形になっていることが挙げられます。――それにはなにか大きな意味があるのでしょうか。鴻巣先生:これは「みんなが出会える場所」だということを意識したものです。入学当初の子どもたちが持っているのは「わたしと先生」という感覚。「わたしがみんなの一部」という感覚がまだないのです。だから、みんなが一斉に先生と話そうとする。そこで、「ひとりずつね」「誰かが話しているときは一緒に聞いてね」と話し、聴くことを練習していくなかで、子どもたちは「みんな」になっていくわけです。――いわゆる授業の内容はどんなものですか?鴻巣先生:いまお話した、円形に座ってお話をすることが1日のはじまり。そして、詩を唱えたり、歌を歌ったりします。これがもう授業なんです。椅子をしまって「ライゲン」(ストーリーを語りながら動物などを演じる教師を子どもが真似るリズム遊びのようなもの。※詳しくはインタビュー第2回参照)をすることもあります。お話をしながらいっぱい動くのですが、子どもたちにとっては遊びみたいなものでしょう。でも、教師としては、日本語のリズムで詩を一緒に唱えて覚えさせる、体の大きな動きやこまかい動きを練習させるといった、明確な意図があるものです。そして、これらの活動のなかには「共同でやること」、そして「自分自身が取り組み練習すること」が必ず含まれます。それが1年生にとっての学びなのです。「土台」ができあがれば学習速度が一気に上がる――一般的な授業とは大きく異なるようです。鴻巣先生:もちろん、国語や算数など、一般的な教科に該当する授業もあります。ただ、シュタイナー教育では、最初に学ぶための「土台」をつくることを重視します。先ほどお話したように、これらは子どもにとっては遊びみたいなものですから、親御さんに「今日は学校でなにしたの?」と聞かれると、子どもは「先生と遊んできた」と答える。ですから、親御さん、特にお父さんのなかには心配してしまう方もいますね。「この学校、大丈夫かな」って(笑)。ただ、わたしたちは、子どもがどんな時期なのかということに重きを置いて、人間の成長に合わせた無理のない学びにしているだけのことです。まわりから見ると、3年生まではすごくゆっくり学んでいるように見えるでしょう。ですが、きちんと土台ができあがると、4年生以降ではかなり早く学びが進むのです。――「エポック授業」というものが大きな特徴だと伺いました。鴻巣先生:これは、すべての学年の1時間目におこなわれる110分の授業です。110分というと長く感じると思いますが、1年生だったら最初の45分から1時間くらいは、先ほどお話したライゲンなどをして子どもたちは動いています。そして、30分くらい集中して勉強をする。そして最後の15分は教師の話を聴きます。勉強の内容は、一般の学校の国語、算数、理科、社会にあたる教科です。しかも、2週間から4週間ほどのスパンで、毎日、同じ教科の同じ内容を集中的に学びます。そして、その教科が終わったら、次の教科に集中する。前の教科で学んだことは、1回寝かせます。たとえるなら味噌のようなもので、寝かせて発酵させるわけです。――寝かせることにはどういう意味があるのでしょうか。鴻巣先生:寝かせているのですから、他の教科に取り組んでいるときには、学んだことが頭のなかに出てくることはありません。でも、しばらくたってふたを開けたときには熟成されている。しっかり潜在意識に刻まれ、強化された記憶のなかから「こうだった!」と取り出すことができるわけです。子どもの成長段階をしっかりと見つめる――貴校の授業で特に強く意識していることがあれば教えてください。鴻巣先生:一般の学校で学ぶ内容も、より生活に根差したものとしてとらえるということです。3年生の算数ではものの単位を習います。ただ、それを「紙の上」で終わらせることはありません。1kmを学ぶためには、1mのロープを10本つなげて10mのロープにして、それをみんなで持って実際に測ります。なぜなら、わたしたちのまわりには「世界と切り離されたもの」はなにひとつないからです。世界とのつながりをとおして学ぶことは、実際にそこにあるものの見方――「観点」を学ぶということ。だからこそ、授業でならったもの以外のものを見ても、学んだことをきちんと活かせるようになる。応用が効くと言ってもいいかもしれません。これは「紙の上」だけでの学びでは得られないものです。――一般の学校に通う子どもを持つ親御さんでも生かせる貴校の教育の考え方はありますか?鴻巣先生:まずは、いまお子さんがどういう時期にあるのか、しっかり見てあげてほしいですね。1年生は幼稚園児と比べると大きくなったように見えますが、さまざまな場面でまだ親の支えが必要な段階です。いまの子どもたちには、「できないことはいけないこと」という感覚があるように思いますが、できなくても平気なんですよ。失敗してもまたやってみたらいい。ただ、親が一緒にやってあげる必要があります。そして、もう支えがいらないのか、助けてほしいけど言えないだけなのか、そういうことをきちんと見抜いてあげてほしいと思います。■ 東京賢治シュタイナー学校■ 東京賢治シュタイナー学校幼児部たんぽぽこどもの園■ 東京賢治シュタイナー学校 インタビュー一覧第1回:「点数」で子どもを評価しない――力強い意志を育む「シュタイナー教育」の本質第2回:「模倣となりきり」で想像力が伸びる――感覚がフル稼働する「シュタイナー教育の1日」第3回:お片づけに“小人さん”が登場!?――「豊かなイメージ」が日々の子育てにも生きる第4回:1年生が「円形の席」で学ぶこと――シュタイナー教育が重視する「学びのベース」【プロフィール】東京賢治シュタイナー学校1994年、30年以上にわたり公教育に携わった鳥山敏子氏が公立学校を退職し、天地人のつながりのなかに生きようとした宮沢賢治の生き方を理想として長野・美麻に若者のための学びの場「賢治の学校」を立ち上げる。その後、ドイツのシュタイナー学校の見学をとおして「子どものための学校」こそ必要だとし、1997年に東京・立川に拠点を移して前身である「東京賢治の学校」を創設。1999年に幼児部、2005年には高等部を開設。2013年より現校名となる。鴻巣理香(こうのす・りか)東京賢治シュタイナー学校教師(1年生クラス担任)。「正直であるというところから人間は真の強さを生み出す」を信念とする。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月14日「シュタイナー教育」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ドイツで誕生した教育思想ですが、おそらく多くの人にとって耳慣れないものでしょう。日本でシュタイナー教育をおこなう東京賢治シュタイナー学校の取材をとおして見えてきたのは、一般常識や他人の意見でぶれることのない、力強い「意志」を育てる教育でした。同校幼児部教師・池田真紀先生(写真右)と、学校教師・鴻巣理香先生(写真左)にお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビュー撮影のみ)ドイツで生まれ日本の風土に合わせて発展――そもそも、「シュタイナー教育」とはどんなふうにはじまったものでしょうか。池田先生:もともとはオーストリアの哲学者であるルドルフ・シュタイナー氏がはじめた教育です。当時は第一次大戦のさなか。「健全な人間が育たないと健全な社会には変えられない」という、社会運動の一端としてはじめられたそうです。鴻巣先生:当時のドイツの普通教育は、いまの小学4年生くらいまで。その後は、上の学校に進むのか、あるいは社会に出て徒弟制度のなかで働くのか、その時点で決めないといけませんでした。その頃、シュタイナーの講演を聴いた大きなタバコ会社の社長が、彼に「学校をつくってほしい」と依頼しました。従業員のほとんどはごく短い期間の普通教育を受けただけだったということもあり、従業員たちが「子どもたちには彼らに合う場でしっかり学ばせてあげたい」と社長に要望したのだそうです。そうして、はじめてのシュタイナー学校が誕生しました。池田先生:その後、日本に伝わった当時は、ドイツでの手法をそのまま踏襲していたようです。でも、日本のなかでそれぞれの学校や幼稚園が試行錯誤しながら、その地域に合ったシュタイナー教育をおこなうようになっています。ただ、根本となる「人間」とはなにか、というとらえ方は、どこのシュタイナー教育も同じものです。子どもたちの年齢と成長に合った教育――その根本である、シュタイナー教育の特徴というとどんなものになるのでしょうか。池田先生:「子どもの年齢や発達にふさわしい教育を与える必要がある」という発想ですね。まだ合わないものを早くさせたり、逆に必要なことをさせなかったりということではなく、そのときそのとき、成長を続ける子どもに合ったカリキュラムを組んでいます。鴻巣先生:シュタイナー教育は1919年にはじまり、2019年に100周年を迎えます。でも、100年たったからといって、子どもが育っていくために必要なものは変わりません。子どもの年齢、成長に合ったものを手渡していくということが、シュタイナー教育のいちばんの特徴だと思います。当校の教師は、一般の公立校や私立校で教師をしていた者がほとんどですから、一般の学校とのちがいをよくわかっています。そのちがいとは、人間のとらえ方、発達に関する観点ですね。幼児期に体ができてはじめて勉強ができる――シュタイナー教育では、0〜7歳、7〜14歳、14〜21歳という7年単位で人間の成長をわけて考えているとのこと。実際に、7年が区切りになっていると感じますか?鴻巣先生:本来、人間の成長はひとつながりのものです。でも、学校制度のなかでここからは上の学年だというふうにわけざるを得ません。そういうなかで子どもたちをどう発展させるかというところは、学校であり教師が工夫するしかない。わたしたちの教育は、幼児だからここまで、1年生だからこれをやる、2年生だからこれをやると押し付けるものではありません。もちろん、各学年で取り組むべきカリキュラムはあります。それは、それぞれの「時期に合っている」もので、「彼らの成長を助ける」ものだということです。池田先生:7歳を例にすると、「歯が抜ける」ことが大きなサインとなります。乳歯が抜けるのはだいたい1年生の前後です。それが、シュタイナー教育では、「きちんと体ができた」「勉強ができるようになった」というサイン。0歳から7歳までのあいだは、勉強させるのではなく、きちんと体をつくってあげることが大きなテーマなのです。鴻巣先生:乳歯が抜けると、すでにその下には永久歯が準備されていますよね。ということは、体のなかでもっとも硬いものをつくっていた大きな力が余っているということ。その力を使って「覚える」ということが可能になる、とシュタイナー教育では考えているのです。一般の学校だと、1年生になるといきなり勉強に入ります。でも、まだ体ができあがっていない幼児の名残がある状態では、「覚える」ことがすごく難しいのだと私たちは見ています。シュタイナー教育が育む自分を信じる力――シュタイナー教育を受けた子ども、そうでない子どもで、その後にどんなちがいが出るものでしょうか。鴻巣先生:卒業生がよく口にするのは、「根拠のない自信がついた」ということ(笑)。それは、小さい時期を競争しないで育っているからだと思います。もちろん、高等部など上の学年に進めば切磋琢磨することも必要ですが、基本的には「この子は100点、この子は50点」というふうに点数で子どもを評価しません。そうすると、「これは自分がしっかりできる」「この子はこういうことが上手だから教えてもらおう」という考えが身について、なにかが「できないから責められる」という経験がないのです。それが「根拠のない自信」につながっているのではないでしょうか。――とはいえ、大学進学などを考えれば、競争も必要になってきます。鴻巣先生:当校の卒業生たちは、「点数」で進路を選びません。偏差値がいくつだからこの大学に行くというようなことはしないのです。「○○先生がいるから」「学びたいことを学べるから」と明確な志望理由を持っていますし、進学しない子にもきちんと理由がある。そして、「ちがう」と思ったら、また戻って自分がやるべきこと、やりたいことを探している。その「へこたれない力」は、本当にすごいと思いますね。もちろん、卒業後に夢を持ちながらもまだ中途半端な状態にある子もいます。若者ですから、そういう時期があって当然でしょう。ただ、そんな子も、「いまの仕事が一生の仕事ではないけど、学ぶところがあるからいまはこれをやる」というふうに、自分が立っている位置をきちんと理解しています。池田先生:当校の教師が、いろいろな生き方を認めていることも大きいかもしれません。普通だと、高校卒業の時点で進学先や就職先など送り出す先が決まっていないと、教師も心配しますよね。でも、当校の教師はいろいろな可能性を認めて待ってあげている。それで、「先生たちは自分をちゃんと受け止めてくれている」「ひとりじゃないんだ」「やっていける」と感じているのではないでしょうか。■ 東京賢治シュタイナー学校■ 東京賢治シュタイナー学校幼児部たんぽぽこどもの園■ 東京賢治シュタイナー学校 インタビュー一覧第1回:「点数」で子どもを評価しない――力強い意志を育む「シュタイナー教育」の本質第2回:「模倣となりきり」で想像力が伸びる――感覚がフル稼働する「シュタイナー教育の1日」(※近日公開)第3回:お片づけに“小人さん”が登場!?――「豊かなイメージ」が日々の子育てにも生きる(※近日公開)第4回:1年生が「円形の席」で学ぶこと――シュタイナー教育が重視する「学びのベース」(※近日公開)【プロフィール】東京賢治シュタイナー学校1994年、30年以上にわたり公教育に携わった鳥山敏子氏が公立学校を退職し、天地人のつながりのなかに生きようとした宮沢賢治の生き方を理想として長野・美麻に若者のための学びの場「賢治の学校」を立ち上げる。その後、ドイツのシュタイナー学校の見学をとおして「子どものための学校」こそ必要だとし、1997年に東京・立川に拠点を移して前身である「東京賢治の学校」を創設。1999年に幼児部、2005年には高等部を開設。2013年より現校名となる。池田真紀(いけだ・まき)(写真右)東京賢治シュタイナー学校幼児部教師(クラス担任)。「古くならないいまの時代に合ったシュタイナー教育」を目指す。鴻巣理香(こうのす・りか)(写真左)東京賢治シュタイナー学校教師(1年生クラス担任)。「正直であるというところから人間は真の強さを生み出す」を信念とする。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月08日日本が誇る世界的大企業・ソニー。その巨大企業は、じつは科学教育発展のための助成財団を運営しています。その助成財団「ソニー教育財団」は1959年から大本となる活動を開始し、現在ではその活動の幅を大きく広げています。公立校の教員が抱える問題の解決のため、また、2020年から小学校ではじまるプログラミング教育必修化のサポートのため、ソニー教育財団がおこなっている活動について、理事長・高野瀬一晃さんにお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)大小さまざまな規模の研修で教員のネットワークづくりを支援わたしが理事長を務めるソニー教育財団が小中学校の先生の助成をはじめたのは、1959年から。理科の先生から理科教育論文を募り、優秀な論文を執筆した先生に助成金やソニー製品を贈呈するという「ソニー小学校理科教育振興資金」です(インタビュー第1回参照)。すると、その活動が新たな展開を生みました。1963年、優秀な論文を執筆して受賞した先生が所属する学校が「ソニー理科教育振興資金受賞校連盟」というものを組織し、先生同士でネットワークをつくって互いに切磋琢磨していこうという動きが起きたのです。そこで、その先生たちの研修などに必要な費用をソニーが提供することにしました。「ソニー理科教育振興資金受賞校連盟」は、「ソニー科学教育研究会」(SSTA)と名称を変え、理科教育に関心のある先生ならだれでも参加できる会として、現在も活動を続けています。会員の先生の数は、いまでは約2000人。みなさん、理科教育に本当に熱心な先生たちです。SSTAの会員の多くは公立校の先生。じつは、公立校の先生たちはひとつの問題を抱えています。異動があっても市町村内の別の学校に行くだけということがほとんど。市町村外に異動することがあっても、都道府県内の異動にとどまります。すると、先生たちは他の都道府県の先生とのネットワークをほとんど持つことができないのです。しかも、教員独特のメンタリティーなのか、なにか授業で問題が起きたとしても、同じ市町村内の先生にはアドバイスを求めにくいらしい。おそらくは、互いにコンペティターだと認識しているのでしょう。その問題を解決するため、わたしたちはSSTA会員の先生を対象とした3泊4日の全国特別研修会というものを開催しています。集まるのは全部で約100人の先生たち。そこで、たとえば北海道、青森、広島、福岡の先生がグループとなって授業の単元(学習活動の題材)開発をおこなってもらう。こうして、先生たちは「同じ釜の飯を食った」仲になる。全国に先生同士のネットワークができ、先生たちは互いにアドバイスを求めたり、アドバイスをしたりできるようになるわけです。また、全国特別研修会の他にも、全国を4つのブロックにわけておこなう「ブロック特別研修会」や都道府県単位の支部ごとの研修会も実施しています。これらにより、草の根運動ではないですが、学校現場の授業の質を上げることに貢献できていると自負しております。プログラミング教育のキモはプログラミング言語習得ではないこういった先生たちの研修のサポートの他に、ソニー教育財団では新たな試みをはじめています。わたしはもともとソニー株式会社では資材調達に携わってきました。ビジネスの現場に長く身を置いてきた立場からも、今後のソニー教育財団がどういうミッション、ビジョンを共有し、どこに向かって活動すべきかを考えています。ソニー創業者の井深大の考えも高く掲げながらも、未来志向が必要だと思うのです。その未来志向のなかではじめたのが、プログラミング教育のサポート。いま、日本のビジネスの現場にはソフトウェアエンジニアが圧倒的に不足しています。そのため、2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されるのですが、問題はそれを教える先生たちにそのスキルや指導経験がないということ。そういう先生たちを、なんとかサポートしなければなりません。たまたまではあるのですが、ソニーでは異なるグループ会社がそれぞれにプログラミング教材を開発しました。ひとつは「MESH(メッシュ)」というもの。これは、人感センサーや光センサーなど、さまざまなセンサーやスイッチ機能を持ったブロック形状の電子タグとアプリを組み合わせ、プログラミングすることでいろいろなアイデアをかたちにできるというものです。画像提供:ソニー教育財団もうひとつは、「KOOV®(クーブ)」。こちらは、子どもたちの大好きなカラフルなブロックと電子パーツで動物やロボットなどのかたちをつくり、そこにアプリからプログラムを転送することで、自分でつくった作品を動かすことができるというものです。(本記事冒頭画像もKOOV)画像提供:ソニー教育財団わたしたちは、これらをSSTAの先生たちに無償で貸し出し、プログラミング教育に役立ててもらっています。その授業はたとえばこんな内容です。教室にゴミが散らかっているという問題があるとしましょう。そこで、MESHをつかってみんながちゃんとゴミ箱にゴミを捨てるようにするための方法を子どもたちに考えてもらう。たとえば、ゴミ箱を開けると、ゴミ箱のなかの光センサーが反応して、あらかじめ録音していた「きちんとゴミを捨ててくれてありがとう」という音声が流れるようにするとか。MESHもKOOV®も直感的に使えるビジュアルプログラミングを採用しているので、プログラミングの専門的な知識がなくても問題ありません。重要なのは、「○○すれば△△が起きる」といった、プログラミングの基本的な考え方を身につけることです。プログラミング教育というとコンピューター言語を覚えるといったイメージをするかもしれませんが、その根本となる考え方、「論理的思考」を身につけることが、重要なプログラミング教育だと思うのです。■ ソニー教育財団理事長・高野瀬一晃さん インタビュー一覧第1回:ソニーが“子ども投資”を59年間も続ける深い理由第2回:世界のソニーが手がける「プログラミング教育サポート」第3回:卒業生400人、みんな理系じゃないから面白い。ソニーの凄すぎる自然教室の全貌(※近日公開)第4回:日本人教員がビックリするのも納得。豪州が取り組むSTEAM(スチーム)教育の凄さ(※近日公開)【プロフィール】高野瀬一晃(たかのせ・かずあき)1954年1月18日生まれ、東京都出身。早稲田大学教育学部卒業。1990年、ソニー株式会社入社。資材調達のエキスパートとして1993年からドイツ、ハンガリー、フランス、スウェーデンなどヨーロッパ各国に赴任。2005年に本社へ復帰し、DI事業本部、テレビ事業本部の資材部門部門長、調達本部本部長、調達担当役員(SVP)などを歴任し、2015年に定年退職。その後、公益財団法人ソニー教育財団理事長を務める。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年11月20日「レッジョ・エミリア教育」を知っていますか?優れた幼児教育として、世界中の保護者から注目を浴びています。その発祥となったイタリアの都市レッジョ・エミリアは1991年、米国の週刊誌『ニューズウィーク』により、幼児教育における国際的なロールモデルとして挙げられました。米Googleの社員が利用できる預かり保育にも、レッジョ・エミリア教育が取り入れられているそう。いったい、一般的な幼児教育と比べてどのような特徴があるのでしょうか?今回は、小さな子どもに関わる者ならぜひ知っておきたいレッジョ・エミリア教育について、簡単にご紹介します。レッジョ・エミリア教育の発祥レッジョ・エミリア教育の始まりは、第二次世界大戦の終戦直後でした。北イタリアの都市レッジョ・エミリアの近くにあるヴィッラ・チェッラ村の人々は、戦争で破壊された建物からレンガや石を集めたり、ドイツ軍が残した戦車を売り資金を集めたりして、学校を建てはじめたそう。地元の教員だったローリス・マラグッツィ(1920~1994)はそれを見て感動し、ローマで教育心理学を学びはじめます。1950年に学位を取得するとレッジョ・エミリアに戻り、学校の運営を手伝ったり新たな幼児教育施設を建てたりしたそうです。マラグッツィは市当局と協働し、1963年に公立としては初めての幼児教育施設をオープンさせました。その後も公立の施設は増え、レッジョ・エミリアの保育施設は18に、幼児教育施設は51にまでなったそう。これらの施設で行われている教育が、レッジョ・エミリア教育と総称されているのです。レッジョ・エミリア教育の理念レッジョ・エミリア教育における指導者的存在となったマラグッツィは自身の教育理論を本として残しておらず、レッジョ・エミリア教育に体系的なメソッドはありません。しかし、マラグッツィによる詩「100の言葉」は、レッジョ・エミリア教育の理念を象徴するものとして知られています。以下はその一部です。子どもは100の言葉を持っている(そしてもっともっと何百も)けれど99は奪われている学校と文化が頭と体を切り離す彼らは子どもにこう言うのだ手を使わずに考えなさい頭を使わずやりなさいよく聴きなさいしゃべってはいけません楽しまずに理解しなさい(引用元:St Joseph’s School|The Hundred Languages of Children)この詩のなかでは、従来の幼児教育が冷たいものとして非難されています。そして、その反対がレッジョ・エミリア教育だといえるでしょう。「100の言葉」は子どもが持つ無限の可能性の象徴です。そして、人にはそれぞれ異なる価値観や個性があることを意味しています。2010年代の「多様性社会」を先取りしたものといえるかもしれません。レッジョ・エミリア教育の実践では実際に、レッジョ・エミリア教育では何が行われているのでしょう?以下ではレッジョ・エミリア教育の特徴を紹介します。1.プロジェクトレッジョ・エミリア教育の大きな特徴は、「プロジェクト」と呼ばれる活動です。これは、長ければ1年にも及ぶ長期間、一つのテーマを掘り下げるというもの。テーマは子ども同士の話し合いによって決定され、工作や調べ活動が行われます。子どもたちが議論しやすいよう、プロジェクトは4~5人の小グループで行われることが多いそう。また、グループには保育士だけでなく、保護者や地域住民といった大人も加わって、話し合いや見守りをします。このプロジェクト活動において子どもが学べることは多くあります。幼児教育を専門とする冨貴田智子・准教授(愛知江南短期大学)が、幼稚園で1カ月に渡るプロジェクト活動を行ったところ、以下のように子どもたちの「自律性」および「協同性」の成長が見られたそうです。自律性:-子どもたちだけで設計図について話し合っていた。-自由遊びの時間にも自主的にプロジェクト活動を進めていた。協同性:-自分の意見を強く主張しつつも、他者の話に耳を傾けて考えを変えた。-他者を批判したら逆に批判されたことにより、新たな気づきを得た。2.ドキュメンテーション「ドキュメンテーション」も、レッジョ・エミリア教育を語るには欠かせないものです。子どもたちが活動する様子は、文字や写真・動画によって記録されます。そしてパネルとしてまとめられ、誰もが見られる場所に展示されます。子どもがそれを見て、自分たちの活動を振り返ることにより、次に活かすのが目的です。もちろん、保育士にとっても指導の参考資料となり、保護者や地域住民といった来園者に活動を紹介する有効な手段ともなります。幼児教育学を専門とする伊東久実教授(身延山大学)は2011年、レッジョ・エミリア教育を実践する米国の保育施設を視察したところ、ドキュメンテーションは以下のように作成されていたそうです。-造形美術の専門教師(アトリエリスタ)と保育士による、2~3人のグループが担当。-子どもが活動している様子を多数の写真に収め、録音する。-子どもが興味を示したことに関して、1枚もしくは数枚の写真をピックアップする。-活動の過程や子どもの考えが分かるような言葉を添える。-教室や廊下に掲示する。具体的に、ドキュメンテーションには以下のようなことが書かれていたそうです。子どもたちの行動や発言が細かく記録されているので、その場にいなかった人でも様子をありありと思い浮かべることができますね。エレーナは来てすぐにライトテープルの脇にいるフェリックスのもとに直行した。四角や三角などの異なる形を見ながら、エレーナは「丸のかたちはないの?」と尋ねてきた。しかし、丸の形がないと知ると、彼女は自分で丸を作り始めたのだ。彼女が三角形をつなぎ合わせれば円を作れる、という直感を持っていたことに私は驚いた。エレーナ:私は丸を作ったよ。今度は丸を分解していくの。フェリックス:僕は四角を集めてる。これってマグネットなんだ。マグネットがいっぱい!エレーナは、円を作るために組み合わせた三角形をひとつひとつ指さしながら言った。エレーナ:青、だいだい、緑、だいだい、だいだい、緑。フェリックス:これとこれは同じ色だ。(だいだい色の三角形を2つ指し示しながら)(後略)(太字による強調は編集部で施した)(引用元:身延山大学 リポジトリ|レッジョ・アプローチによるドキュメンテーションの実例検討 (長澤市郎先生退職記念号))伊東教授によると、この施設におけるドキュメンテーションは、以下の3つの観点に基づいて行われていたそう。1.子どもの思考を視覚化できるよう、効果的にレイアウトする。2.結果報告ではなく、子どもたちの探究活動の経過の記録である。3.子どもを「多大な可能性を持つ存在」としてとらえ、尊敬する。日本でも、子どもたちが工作や遠足をしている写真を掲示している保育園・幼稚園はありますが、あくまで「活動の簡単な紹介」にとどまっているのではないでしょうか。ドキュメンテーションのように、文字による詳しい説明はほぼ見られませんよね。子どもたちを尊敬し、彼らが何を行って何を考えているのかを客観的に分かりやすく表現するドキュメンテーションは、レッジョ・エミリア教育を体現しているものといえるでしょう。3.教育環境レッジョ・エミリア教育を取り入れている施設には、「アトリエリスタ」という美術専門の教師がいます。一つの園につき1人が配置され、プロジェクト活動やドキュメンテーションの作成に関わります。「ペダゴジスタ」という教育学専門家の存在も、レッジョ・エミリア教育における特徴のひとつです。ペダゴジスタは複数の施設を担当しており、週に1回程度訪問する日には、保育者とアトリエリスタとで徹底的に話し合うそう。教育に関してアドバイスをするほか、運営にも関わるそうです。レッジョ・エミリア教育においては、施設のデザインも重要です。レッジョ・エミリア教育の施設には、「ピアッツァ(広場)」と呼ばれる空間があります。イタリアの都市は広場を中心として展広がっており、そこは噴水や市場があって人々が集まるスペースとなっているのですが、レッジョ・エミリアの施設でも同様。たとえばレッジョ・エミリア市のある乳幼児センターでは、ピアッツァは建物の奥にあり、年齢の異なる子どもたちの教室に囲まれています。着替え遊びができるコーナーや「劇場」のコーナーがあるそうです。また、市内の別の施設のピアッツァは、やはり教室に取り囲まれています。着替え遊びのコーナーのほか、合わせ鏡で作られた空間に入って遊ぶ「万華鏡」という遊具もあります。さらに、レッジョ・エミリア教育を取り入れた保育園を日本で経営する、ナチュラルスマイルジャパン株式会社代表取締役の松本理寿輝氏によると、レッジョ・エミリア市の保育園では、閉園時間になると街の人々がワインやチーズを持った人々がピアッツァに集まって会話を楽しむそう。子どもも自然と加わるとのことです。街と保育施設が分断されず、住民と子どもが場所を共有しているのは理想的ですね。レッジョ・エミリアの保育施設にとっては、「アトリエ」も重要です。ここには芸術活動に必要な用具・材料が置かれ、ドキュメンテーションや子どもの作品が飾ってあります。「まるで実験室のよう」と表現する人も。保育施設全体で使われる大きなアトリエのほか、各教室に備わっている「ミニアトリエ」もあります。アトリエには、小石や葉っぱなどの自然物が丁寧に保管されており、子どもの興味・関心を刺激します。日本にレッジョ・エミリア教育の施設はある?さて、ここまで読んでみたら、レッジョ・エミリア教育を取り入れた施設に子どもを通わせてみたくなったかもしれませんね。日本には、レッジョ・エミリアの保育園や幼稚園はあるのでしょうか?実は、レッジョ・エミリア教育の考えを取り入れている施設は都内では珍しくありません。アトリエリスタやペダゴジスタといったプロフェッショナルの確保、ピアッツァの設計など、日本にそのまま輸入するには難しい点もありますが、レッジョ・エミリア教育の基本的な理念を実践している施設をご紹介しましょう。-代沢インターナショナルスクール(世田谷区、渋谷区)「レッジョ・エミリア・アプローチ」を全面に打ち出し、一人一人の個性を尊重することを重視しています。プロジェクト活動はもちろん、ドキュメンテーションも実施。写真・子どもの発言・先生のコメントから成る「ジャーナル」を作成し、保護者が子どもの学習活動を把握できるようにしているそう。また、スクールのコミュニティ形成のため、イベントや課外活動には保護者の積極的な参加を求めています。-まちの保育園(練馬区、港区、武蔵野市)・まちのこども園(渋谷区)上述したナチュラルスマイルジャパン株式会社の運営する、レッジョ・エミリア教育の考えを重視した施設です。アトリエの設置や、外部の人も見られるようなドキュメンテーションの掲示など、レッジョ・エミリア教育の方法論を積極的に実践しています。それだけではなく、施設を開放して保護者や地域住民向けのイベントを開いたり、カフェを併設したりなど、施設と地域コミュニティを一体化させようという姿勢は、まさにレッジョ・エミリア教育の思想を体現したものといえるでしょう。レッジョ・エミリア教育を家庭で取り入れるにはレッジョ・エミリア教育に興味があっても、近くに施設がなかったり、費用がネックになったりする場合もありますよね。そんなときには、レッジョ・エミリア教育のエッセンスを家庭生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?たとえば、プロジェクト活動。休日の過ごし方を、子どもと話し合って決めてみてはどうでしょう。展覧会やワークショップなどの情報が載った冊子やWebサイトを子どもに見せ、どれに参加したいか自分で考えさせるのです。なぜそれを選んだのか、どんな点に興味を持ったのかを説明してもらうのもよいですね。また、以前に出かけた場所の感想を聞いてみて、気に入ったようであれば同じような場所に行ってみると、子どもの興味・関心がさらに広がりそうです。ドキュメンテーションの作成にもチャレンジしてみてはどうでしょうか。ノートやスクラップブックに、子どもが活動しているときの写真を貼り、子どもが発した言葉をそのまま記録すればOK。このとき注意したいのが、ドキュメンテーションは「思い出のアルバム」とは異なるということ。カメラ目線でポーズを取った「記念写真」ではなく、子どもが作品の制作や読書に熱中しているときの写真を選びましょう。ドキュメンテーションはあくまで「探究活動の経過の記録」です。子ども本人や親が見返して「気づき」が得られるよう、客観的に編集することを意識してみましょう。そして家族がいつでも手に取れるよう、リビングなど共有スペースに置いてくださいね。レッジョ・エミリア教育を知る本「レッジョ・エミリア教育をもっと知りたい!」という方には、本を一冊読んでみることをおすすめします。まずは、『驚くべき学びの世界~レッジョ・エミリアの幼児教育~』(ACCESS、2011年)。レッジョ・エミリア市の協力により2011年にワタリウム美術館(渋谷区)で開催された、「驚くべき学びの世界展」の内容がたっぷり詰まっています。レッジョ・エミリア教育のなかで子どもたちの作り上げたアートの美しい写真をふんだんに収録。読者の感性に直接訴えかけてくるような紙面を見ると、それだけでも子どもに対する考え方が変わりそうです。ほかに日本語で読めるものとしては、イタリア語・イタリア文化を教えるダンテ・アリギエーリ協会を創設したアレッサンドラ・ミラーニ氏による『レッジョ・アプローチ 世界で最も注目される幼児教育』(文藝春秋、2017年)があります。日本のプレスクールにおいてどのようにレッジョ・エミリア教育を実践したか、という経験に基づいて書かれたので、日本人の親にとっても共感しやすいのではないでしょうか。電子書籍版もあるので、気になったらワンクリックですぐに読むことができます。***プロジェクト活動やドキュメンテーションからうかがえるように、レッジョ・エミリア教育では子どもを一人の人間として尊重し、自主性を重んじているのですね。「幼児教育にはこんなアプローチもあるんだ」と、新たな視点を与えてくれます。就学前のお子さんをお持ちなら、近くにレッジョ・エミリア教育の施設があるか、調べてみてはいかがでしょうか。(参考)StudyHacker|レッジョ教育Newsweek|The Best Schools In The WorldHowStuffWorks|Google Benefits and Day CareThe Atlantic|Reggio Emilia: From Postwar Italy to NYC’s Toniest PreschoolsReggio Children|Loris MalaguzziReggio Children|Reggio Emilia – City of a Hundred Languages和光大学|レッジョ・エミリア・アプローチとの対話St Joseph’s School|The Hundred Languages of ChildrenJWCPE Repository|レッジョ・エミリアの幼児教育と保育環境愛知江南短期大学|プロジェクト活動を通した子どもの自律性・協同性が育つ過程の検討StudyHackerこどもまなび☆ラボ|イタリアの革新的なアート教育「100人には100通りの考え方がある」個性を大切にするレッジョ・エミリア・アプローチ身延山大学 リポジトリ|レッジョ・アプローチによるドキュメンテーションの実例検討 (長澤市郎先生退職記念号)政策シンクタンクPHP総研|子どもたちがまち中の人と出会える環境を代沢インターナショナルスクールまちの保育園ワタリウム美術館|驚くべき学びの世界展
2018年11月18日ウーマンエキサイトで連載中のちゅいママさんの記事 「日本の義務教育で本当に教えて欲しいことは? 夫婦で話し合ってみた」 で、日本の義務教育に関するアンケートを実施。「義務教育で今後重視してほしいと思うこと」「今の義務教育で見直した方がいい(減らしてもいい)と思うこと」について、さまざまな意見が集まりました。■“お金”にまつわる社会の仕組みを教えて!2020年度から小学校でのプログラミング教育、英語の必修化が始まります。パパやママは、子どもたちが自分たちの小学校のときとは違う教育を受けることに不安や期待を抱いているのではないでしょうか。ちゅいママさんとご主人も、これを機に「義務教育」について話し合ったそうです。おふたりがまず「義務教育で今後重視してほしいと思うこと」は、ずばり “お金” のこと。お金は貯金するだけでなく、「増やす」「活用する」方法もあるんだということを教えてほしいということで、それに共感するコメントや、税金や年金といった“お金”にまつわる社会の仕組みについて「教えてほしい」という意見が多数集まりました。社会の仕組みについて、しっかり学習すべきと思います。給料をもらうと、いくら、どこに、なぜ納税するのか。働き方、正社員と派遣社員、自営業の仕組み。年金や保険制度の意義、どんな場合にどのような社会保障があるのか教えてほしい。お金、税金、社会保険などなどの社会の基本的な仕組みを知らない人が多すぎる。確定申告(自分の税金の計算)くらい自分でできるようになるべき。FPの勉強内容を授業でやってほしい。政治についても、若い意見がより反映されやすいように選挙に行く姿勢を養ってほしい。性についても、生理が始まる頃から教えるのではなく、保育園、幼稚園から男女の違いを教えるべき。知ることが自分の身を守る事になると思うから。■多様性を認めないと、世界から遅れていくちゅいママさんご夫婦からは、「自分の意見を自分で考えて述べる」教育をしてほしいという意見も。これにも賛同の声が挙がり、 “ディスカッション” や “ディベート” を積極的に取り入れてほしいとのコメントが寄せられました。●ディスカッションと、働くことディスカッションは、自分の意見を持つこと、発信することの大切さ、さらには協調性や気配り、視野を広くもつ重要性を学べると思う。応用編でディベートも取り入れるとおもしろい。働き方について。まずは働くことの意味、働き方の選択肢、マイナーな職業についてなど小学生から取り入れてほしいです。マイナーでも生活を支えているお仕事も早くから知ってほしい。●性教育日本では、恥ずかしい事として隠してしまう傾向がある。でも、小さなときから性に関してオープンにして、きちんと知り理解する機会があれば、性の問題や不妊治療、望まない妊娠・中絶などで苦しむ人たちが今より少なくなるのでは? と思う。●人権・権利の大切さもっとかみ砕いて分かりやすく教えて欲しいです。いじめも、性犯罪も、暴力も、差別も、すべて相手の人権・権利を軽視・無視した結果起こるものだと思うので。相手を尊重することの大切さを具体的に伝えて欲しいです。●多様性を認める「みんなと同じが良い」という風潮、日本にはありますよね。多様性を認めないところに日本という国が他の国に遅れをとり、伸びていかない理由があると思います。その子らしさを認め、それを伸ばすような教育を。そして平均的に良いよりも、何か得意なこと、好きなことを見つけ伸ばすような教育が良いと思います。●インターネットリテラシー(インターネットを正しく使うための知識、能力のこと)子どもたちは生まれたときから当たり前のようにある世界。親が思ってるより子どもたちはネットの世界を自分たちでも使いこなすけど、それに伴うリスクなどは無知な子どもが多いと思います。だから学校でインターネットを使ったたくさんのメリットやそれにまつわる良くないことも教育していってほしいと思います。●交渉能力アクティブラーニング、生徒が能動的に学べるような授業を行うこと。●環境問題使い捨てが主流になりつつあるけど、その先を見据えて使い捨てているのか。もっと積極的に環境問題を取り上げて欲しい。そして、教育するべき問題だと思う。未来を生きるのは自分たちだから。親は未来の環境はどうにもしてあげられない。■「英語」「プログラミング」「道徳」は必要ない?一方、「今の義務教育で見直した方がいい(減らしてもいい)と思うこと」についてはどんな意見が集まったのでしょうか。「見直してほしい教科」としては、2020年に新たに導入されることになる「英語」「プログラミング」、そして本年度から新たに教科化となった「道徳」に関しての意見が集まりました。●道徳の授業・違う意見を考える人をあぶりだして、弾くことにしかならないと思う・自分の意見を出したら先生からおかしいと言われ認められなかった。道徳の授業は、大人の考えの押し付けだと思う。・核心を教えない、上っ面だけの道徳の時間。学校の先生ではなく、ちゃんと心のスペシャリストを呼んで教えさせてほしい。●英語・数年先には機械が簡単に翻訳して話してくれる。それより自国の文化や習慣、言葉遣いは必須であり、自国を紹介できないのに多国語を喋れるだけになっても意味はない。・漢字学習ですら覚えるの大変なのに、なぜ英語までさせるかわかりません。・ムダな日本語英語習わせなくてもいいと思う。そんなのでは身につかない。いまの時代、言葉が通じなくても機械が何とでもしてくれる。他にすべき事を伸ばすべき。・英語のゲームや歌などはお遊び過ぎてまったくもって時間のムダ。●プログラミング・プログラミングは、教育する側の体制が整っていないなら、時期尚早かと。そもそも学校の先生、プログラミングの授業できるんですか?・子どもが大人になったら全然違う言語や仕組みになっていそうなので、役に立たないのでは?・義務教育でしなくてよくないですか。選択肢を与えて各々やりたい子に興味ある分野を深く学ばせたらいい。・いま習っても、習わなくてもパソコンはいつかは使えるようになる。パソコンなどのハード面に投資するのももったいない。その費用と時間を貧困対策や教育格差解消に使って欲しい。●計算・解き方がわかれば電卓つかっていいと思う。筆算ができるようになるメリットって?・計算するだけの宿題は不要英語教育を必要ないと考える人の根底にあるのは、「正しい日本語を使えるようにすることの方が大切では?」という意見が多くあるように思えます。またAI化が今後ますます進むことを考えたときに、コンピューターが得意とする分野(計算、翻訳を含む英語)に力を入れたり、暗記させるよりは、自分の考えを言えるための力やその土台となる国語力を育む教育をしてほしいとするコメントを多くみかけました。意見がかなりわかれたのが、歴史。「必要ない」とする人、「日本の黒歴史も教えるべき」とする人、「世界の国からみた日本の歴史を教えてほしい」など、意見がかなりわかれました。■個性をつぶす日本の教育方針を見直してほしい学校の教科だけではなく、勉強や学校の在り方から日本的教育方法など、大きな視点での意見も集まりました。みんな同じ、みんな一緒を重視する教育をやめるべき。海外の飛び級制度のような、個人の能力に合わせて教育を受けれるようにしてほしい。多様性の受け入れにもつながる。個性が認められる社会を作るきっかけにもなり、いじめも減る。「先生に注意されるから」、「みんなそうだから」、「集団生活を学ぶ場だから」、「何でかわからないけど決まりだから」と、いまだに個性をつぶす教育が横行している点は、早急に見直した方が良い。通知表も、他人の評価ばかり気にする子になってしまうから自己評価表にするべき。学力テストでの学力の差別化、子どもの能力の数字化はやめてほしい。授業のほとんどがただのテスト勉強に。過去問題をただ単にたくさんやった子が点数取れるテストなど意味がない。宿題は、時間がない先生が採点に忙しいだけ。宿題よりもっと家族や友人や地域で育む時間など大切なことがある。失敗してもいいって教えて欲しい。子ども自身の人生や自分自身の歩み方についての勉強や学びが、本当に少ないなと思います。教科書どおりに学ぶのではなく、子ども自身が興味があることを伸ばしつつ、それに基づく勉強もしっかりすればいいのかなもしれないなと思いました。好きなことや、やりたいことを摘み取ってしまったら悲しいし、何より時間がもったいないなと思います。それなら、もっと遊ぼうよ!と思ってしまいますね(笑)小学校でも留年させてほしい。教育を受ける権利。理解してから進級してください。分数を理解してない大人、人生損してるよ!学校は、足並みを揃えすぎ。はみ出た子どもを気にしすぎ。学校側から管理しやすいというのはわかるけど、人は人、自分は自分です。ほかに、校則や服装、生活指導といったルールの見直しを訴える声や、「1クラスの生徒数を少人数にして手厚い対応ができるようにしてほしい」といった意見も出ました。日本の平等教育とは、「同じ内容を一斉に教える」という一斉教育が主流で、そこには「理解している」は含まれていないこともあります。しかし海外などで考える「平等」とは、「ここまでは理解させて上の学年に行く」というもの。日本ではほとんどない留年も、海外ではあるとされています。「本当の教育とはなにか?」親自身も今後ますます考えていかなければいけない時代なのかもしれませんね。■パパママが望む“義務教育”のあり方とはアンケート結果を見てみると、パパやママによって義務教育に“重視してほしい”点、そして“減らしてもいいと思う”点はさまざまでした。かつて自分が学校で学んだことがどれだけ“今”に役立っているか。逆にどんなことを学校で学びたかったか。そんな経験を踏まえてパパやママが望むのは、教科というよりも、生きる力…、“将来子どもが生き抜くための力”を養ってほしいと思っているように感じました。必修科目が増え、今後どうなるかわからない点もありますが、学校、先生、地域、そして家庭でうまく連携を取りながら、子どもたちの豊かな成長を促していければいいですね。Q.「義務教育で今後重視してほしいと思うこと」についてのご意見をお書きください。回答数:184Q.「今の義務教育で見直した方がいい(減らしてもいい)と思うこと」についてご意見があればお書きください。回答数:159アンケート集計期間:2018/9/21~9/25ちゅいママさん記事で使用したデータ: 「こんな教育をしてほしい! 親が望む義務教育でやってほしいこと【パパママの本音調査】 Vol.298」
2018年10月18日早めの幼児教育を!街に出かければ、幼児教育を専門にしている塾があるほどです。でも塾に行かせるほどでもないし、私たちは何をしたらいいのやら…と悩みますよね。誰かに相談するにも、ママ友もいないし、思い悩んでしまいがち。今回は、そんな0歳児から出来る教育方法をパピマミ編集部が紹介していきます。絵本の読み聞かせは0歳からの赤ちゃん教育絵本の読み聞かせって教育なの? と思われるかもしれません。しかし0歳の赤ちゃんでも、きちんとした教育のひとつになります。というのも、読み聞かせにはさまざまな効果があります。まず赤ちゃんにとってママの声や温もりを感じる精神的な発達を促します 。赤ちゃんにとってママの声は安心しますから、たくさん読んであげてください。絵本を持っていなくても、保健所の乳児健診のときに絵本を貰ったり、図書館でお子さんの月齢にあった絵本をレンタルできます。月数の浅い赤ちゃんは、内容を理解しづらいかもしれません。しかし、読み聞かせてあげることが何より大事なのです。子育て支援センターは大事な教育の場子育て支援センターは、赤ちゃんと何をしたらいいか分からないママたちの学校 でもあります。施設によって保健師さんや看護師さん、栄養士さんに相談できます。もちろん、ママの学びの場だけでなく、赤ちゃんの発達に繋がることがあります。他の赤ちゃんに触れると、観察力や感情の発達にも繋がります 。月数の早い赤ちゃんの行動を真似してみたり、たくさんの人たちに囲まれてみたり。我が子の成長を一緒に楽しみましょう。支援センターにあるおもちゃは、消毒されていたり安全な物ばかりなので子供たちもたくさんの物に触れられます。開催されているイベントの多くは、ママだけじゃなくパパも参加できるので近くの施設をチェックしてみてください。0歳の赤ちゃんだから出来るリトミックの教育法「リトミック教室」を知っていますか?リトミックとは、スイスで生まれた音楽の教育法 です。音楽に合わせて手遊びをしたり踊ったり、音を鳴らしてみたりと、家ではやりづらいことを行います。もちろん、お友達を作って一緒に楽しめますし、パパも参加できます。楽しみながら音楽に集中すれば、豊かな表現力が養われます。踊りにもメリットがあり、基礎体力やリズム感を身につけられます。また自分とは違う他人の表現力を感じられると、他人を受け入れる精神も身につき、友達も作りやすくなります。リトミック教室に通うと、大人になるにつれて必要な精神力と体力を養える のです。教室によって雰囲気ややり方も違うので、まずは近くの色々な教室を覗いてみましょう!0歳の赤ちゃんは家の中での生活が教育の場になっている赤ちゃんは、家の中の生活でも成長に繋がる経験 をたくさんしています。まだ新生児の赤ちゃんは、目が見えなくてもママやパパの声、ママのおっぱいの味、洋服の肌触りや沐浴の水の触り心地を理解しています。そのうち目がはっきり見えてくるようになると、いつも置いてある家具やおもちゃに興味を持ったり、思考力や感情にも変化 をもたらします。離乳食が始まると食べ物の存在や味覚を認識し、もっと赤ちゃんの世界が広がっていきます。ハイハイを始めて色んな場所に狙いを定めて移動することや狙ったものを手で掴むこともまた成長の過程では必要なこと。優しい目で見守るだけで、赤ちゃんは勝手に成長 していきます。まとめ赤ちゃんの教育は他にもたくさんあります。0歳から海外生活をすれば2カ国語を難なく話せます。0歳から出来ることは無限にあり、子どもの可能性が大きく広がります。0歳からの教育を重視するママもどんどん増えてきて、今では0歳から当たり前のように習い事をしています。ぜひ、考えてみてください。●文/パピマミ編集部
2018年10月16日いま、教育資金は「情報戦」です。たとえば、教育関係の公的な助成・補助金は、申請するからこそ、もらえるお金。申請しなければ、もらえません。また、いまや大学は、返さなくていい給付型の奨学金をこぞって増やしている時代です。これらを「知っている」のと「知らない」のでは、大違い! 充実してきた教育支援制度の情報を、教育資金に詳しいファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんにピックアップしてもらいました。【「教育費どうしようかな?」と思ったら】 第1話 “情報格差”で、子どもの進路に影響が出る!? 第2話 普通の進路でも、老後破産する!? その落とし穴とは 第3話 児童手当が大学資金に! “いつの間にか貯まる”教育資金ワザ ■低所得のひとり親家庭に給付するお金児童扶養手当死別や離婚などで母親または父親、父母がいない場合は祖父母などひとり親家庭で18歳未満の子どもを養育している人が、低所得の場合にもらうことのできる手当です。受け取れる額は、「養育している子どもの人数」と「親の収入(所得)」によって違い、とても複雑なので、詳細はお住まいの市区町村窓口に問い合わせをすることが大切です。申請をした後、1~3ヶ月程度の認定審査があり、認定日の月の翌月分から支給が開始されます。■幼稚園の月謝、入園費の補助私立幼稚園就園奨励費補助金私立幼稚園に通う場合は、ぜひ「私立幼稚園就園奨励費補助金」の活用を!国が自治体に依頼している補助金制度で、満3歳児から5歳児(年長)までの月謝と入園費を対象に受けることができます。きょうだいの人数、年齢、親の収入(住民税の額)、そして住んでいる自治体などで補助金の額は異なります。なお、千葉県野田市のように公立幼稚園に通う世帯にも助成しているところもあります。一方で市区町村によっては制度がない場合や国の基準よりも厳しく設定しているところなど助成額も異なるため、まずは自治体に問い合わせをしましょう。■高校の授業料の無償化高等学校等就学支援金(国の制度)家庭の所得に応じて、高等学校の授業料が支給されるシステムです。現金で直接、生徒や保護者が受け取れるというものではなく、学校設置者(学校法人など)が生徒本人に代わって受け取り、授業料と相殺されます。申請書類は、入学時は4月に、継続して支給を受ける届け出手続き関係は6月~7月頃に高校から配布されます。ただし、モデル世帯(給与所得のみの夫婦・16歳以上の高校生一人・中学生一人の4人世帯の例)で言えば、年収約910万円以上になると就学支援金は受けられません。■返さなくていい奨学金!?今回の取材で、筆者が一番驚いたのは、「返さなくていい奨学金」が増えていること。そのなかでも、最近の一大トレンドとなっているのは、「予約型」の奨学金です。これはおもに地方からの受験生が対象で、受験前に申し込み、合格したら支給をされる奨学金のことです。申し込みは、前年度の秋のことが多く、それゆえ「予約型」。つまり、現役生の場合は、この情報を「知っていて」、高校3年生のときに応募しておかなければなりません。現在、多くの大学は、予約型の奨学金を設けています。●早稲田大学「めざせ! 都の西北奨学金(予約型)」半期(春学期)の授業料が免除。●慶應義塾大学「学問のすゝめ奨学金(予約型)」地方の新入生500人に年額60万円~90万円を卒業まで支給します。国立大学でも、たくさんの奨学金給付があります。たとえば、一橋大学の「一橋大学学業優秀学生奨学金制度」では、前年度にとくに優秀な成績を収めた学部生12名以上に月8万円(年96万円)を毎月送金します。支給は1年間限定ですが、親の年収制限を設けるなど家計の経済状況は加味されません。奨学金といえども、返済義務があるものは、大学を卒業した途端、数百万円もの借金を背負うもの。返さなくていい奨学金を上手に活用することで、親の家計への負担を減らし、子どもの進学に役立てることができます。そんな時代がやってきたのは、喜ばしいこと。みなさんに制度を知ってもらい、活用して欲しいです。いかがでしたか? いつの時代も、「わが子にできるだけのことをしてあげたい」というのは、当然の親心。けれども、先行き不透明ないま、教育資金作りに不安を感じる人も多いことでしょう。この連載が、教育資金の「情報格差」を解消し、前向きな教育資金作りの第1歩を踏み出すキッカケになるとうれしいです。■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月29日前回、ごく普通の家庭が「知らぬ間に陥りがちな2つの落とし穴」についてファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに教えていただきました。【「教育費どうしようかな?」と思ったら】 第1話 “情報格差”で、子どもの進路に影響が出る!? 第2話 普通の進路でも、老後破産する!? その落とし穴とは 第3話 児童手当が大学資金に! “いつの間にか貯まる”教育資金ワザ 第4話 「もらえる」教育費がトレンド! 充実の教育支援制度を活用するには -->落とし穴に落ちないためには、教育資金は、あらかじめ資金計画を立て、長い時間をかけてコツコツと計画的に準備する必要があります。今回は、具体的な教育資金づくりについてお話しを伺います。■児童手当が大学資金となる「教育資金づくりで大切なことは、子供が小さいころからコツコツと積み立てることです」(竹下さん)。そのための軍資金として心強いのが「児童手当」です。児童手当から受け取れる額は、次の表のとおりで、0歳から15歳までの総額は、198万円(※)にもなります。まさに、「ちりも積もれば山となる」ですね!大学進学に合わせて備えておきたい額は、国公立・自宅通いケースの学費総額をもとに200~300万円が一つの目安と言われていますが、児童手当を積み立てるだけで、この最低ラインは賄える計算となります。※児童手当の0~15歳までの総額198万円=15,000円×12ヶ月×3年+1万円×12ヶ月×12年:第1子、第2子の場合の例。一人あたり。▼児童手当の対象年齢と支給額■児童手当は、さかのぼってはもらえない!児童手当で覚えておいて欲しい注意点は、「申請が遅くなった際、その分をさかのぼってはもらえない」ということです。子どもが生まれた場合は、出生届が受理されて初めて、児童手当の申請を市区町村の役所が受理する流れになっています。ですから妊娠中に必要な書類などを役所の窓口やホームページなどで確認し、出産後は速やかに申請することが大切です。出産直後のママが動くことが厳しい場合も多いので、申請手続きの流れをパパと一緒に、シミュレーションしておくと良いですね。 ■「学資保険」はなぜおすすめなのか教育資金づくりの「はじめの一歩」は、児童手当を軍資金に、家計とは切り分けて積立てを始めることです。その手段として、おすすめしたいのが「学資保険(子ども保険)」です。「マイナス金利の影響もあり、最近お得度が下がり気味ではありますが、根強い人気が続いています。理由はおもに3つあります」(竹下さん)。▼学資保険の魅力3つ魅力その1確実に教育資金を準備できる安心感がある学資保険は、親の死亡時には以後の保険料支払いが免除になった上で満期金がうけとれる“保険ならでは”のしくみがあるプランが人気です魅力その2税制優遇がある満期などで受け取るお金は一時所得扱いになるので、増えて得した額が50万円を超えなければ実質的に非課税です。預貯金で積立した場合、得した額の約20%は税金として源泉徴収されます魅力その3子供のお金として色づけができる家計が苦しくなったり、住宅ローン返済が滞りそうになった時でも、学資保険は「取り崩しにくい心理が働く」と言われています出典: 「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本 より一部抜粋筆者としては、学資保険は保険商品ならではの「強制力」が大きな魅力だと感じています。有無を言わさず(←ここ、とても大事です)、自動的に指定口座から保険料が振り替えられているので、最初から「そのお金が無いこと」で生活する習慣がつきます。ですから、「いつの間にか貯まっている感」があるのです。■学資保険を選びときにチェックすることどの学資保険を選ぶか? というときに最初にチェックしたいのは、「返礼率」です。返礼率とは、支払った保険料に対して、受け取れる保険金の割合を示す率。たとえば、返礼率105%だったら、保険料を100万円支払えば、合計で105万円受け取れるということになります。ちなみに、これだけおすすめしておきながら、筆者の学資保険デビューは、長男を出産した1年後(汗)。初めての出産後、慣れない育児で手一杯になってしまい、教育費のことまで頭が回りませんでした。いまは、妊娠中から入ることができる学資保険も増えているので、プレママ時代に、学資保険のリサーチ&契約しておくのもアリだと思います。学資保険の注意点としては、途中で解約すると、ほぼ間違いなく損をする点。その時点の解約返戻金(解約することで戻ってくるお金)は、それまで支払った保険料より少なくなるのが通常です。確実に満期まで続けられるよう家計に無理のない保険料での利用が無難です。■「低解約返戻金型終身保険」vs「学資保険」最近は、保険ショップで「学資保保険に入りたいのですけれど」と相談すると、低解約返戻金型終身保険をすすめられることが多くなっています。低解約返戻金型終身保険とは、一生涯を保障する生命保険である「終身保険」の一種です。この終身保険を、適当な時期に解約して、解約返戻金を教育資金にあてるという使い方をします。この保険について、メリットとデメリットを整理しておきましょう。▼「低解約返戻金型終身保険」のメリット①教育資金として現金化できるタイミングを選べる「学資保険」が満期日(18歳の誕生日など)まで現金化できないのに対して、この保険であれば、保険料払込期間を経過していれば、いつ解約しても、ほぼ損をしません。たとえば、AO入試や推薦入試で合格すると、高校3年生の秋には入学金を支払う必要があり、お金の工面に困ることも考えられます。②親にもしものことがあった場合の死亡保障が大きい「親の死亡保障確保の点から言えば、同じ保険料の学資保険に入るよりも、死亡保障額が大きいので、費用対効果が高いです」(竹下さん)▼「低解約返戻金型終身保険」のデメリット保険料払込期間中に解約するとペナルティが大きい保険料払込期間とは、保険契約者が保険料を支払う義務がある期間で、保険契約を結ぶ時の条件として定められています。最初に取り決めをするので、あとから保険を見直すとペナルティが大きく、少ししか解約返戻金を受け取ることができません。「低解約返戻金型終身保険の利用は、家計に無理のない保険料水準が大前提で、しくみをしっかり理解できる保険中級者なら、視野にいれて検討するのも一策です」(竹下さん)■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月28日こんにちは、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。ここでは私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口から“多様性”について考えていこうと思っています。今回は、私の価値観と取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”、対談方式の連載「kakeru」の第4弾です。様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を取材し、Be inspired!で「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。今回は「みせる」です。2018年1月からこれまでに7回、カワイイモンスターカフェで開催された“生き様ナイト”と題したバーレスクショー。そこで小人バーレスクとしてパフォーマンスをするちびもえこさん。前例のない小人バーレスクとして、人前で“見せる”そして“魅せる”ことをなぜやろうと思ったのか。これまでの経験や考えを本人にうかがいながら、彼女の魅力について紹介したいと思います。スタイリストを目指して上京ちびもえこ:中学の頃からスタイリストになりたいと思っていて、高校はファッションコースのある学校を選びました。おしゃれに興味を持ち始めた頃、自分の丈に合った服がなかったり着たい服が着られないという現実を痛感し、この悔しさをどうやって昇華しようか考えたときに、世の中にある素敵な服や自分が着たいと思う服を自分以外の人に着せようと思ったのがきっかけです。そして18歳でバンタンデザイン研究所のスタイリスト科に入学しました。徳永:専門学校に進むことを選んだのはやはり、ファッションが好きだったからですか?ちびもえこ:好きでもあったけど中学のときに痛感した現実に対して見返したいという気持ちが強いかもしれません。ファッションも好きですが反発精神の方が強かったので職業にしたいと思いました。本当に好きなものに関しては受け身でいたいタイプですね。徳永:そうでしたか。スタイリストは裏方のお仕事ですよね。今みたいに人前へ出るようになったのはいつ頃からですか?ちびもえこ:2016年の夏ごろには本格的にスタイリストを目指していたけど、もしなることができなかったらどうしようと考えていました。 そのころ、今まで知ろうとしなかった、私と同じ境遇の方はどういうお仕事に就いているのだろうと想像を巡らすようになったんです。ネットで検索するとモデルやイラストレーターとして活躍されている後藤仁美さんのお名前が上がってきて、彼女が色々情報を発信していらしたので、そこで初めて同じ境遇の方について知りました。そこからNHKのバリコレ(バリアフリーコレクション)という身体障がい者をモデルとしたファッションショーがあることを知り、とりあえずやってみようと思い応募しました。それにモデルとして受かって表に出たのが一番最初です。その経験から小人をモデルとしたファッションショーをやっている海外のデザイナーさんからオファーがきたりしましたが、特に専門学校在学中はそれ以上表に立つことはなかったですね。徳永:なるほど、小人モデルという要素だけではなく、自分の身体と向き合ってできたパフォーマンスとが合わさって魅せれるようになったから今のもえこさんがあるということですね。レスリー・キーさんの撮影がなかったら今のもえこさんはなかったということですか?ちびもえこ:そうですね。バーレスクは考えたことなかったですね。今を思えば自分の身体と向き合ったきっかけでもあります。これまで向き合ってこなかったので。バーレスクのイベントは私が出演する前からカワイイモンスターカフェであって、「そこに出ないか」とお誘いを受けて2018年1月から出演しています。オファーを受けたときはさすがに全部脱がないだろうと思っていましたが、結果脱ぎましたね(笑)「小人バーレスク」という新たな表現徳永:8月10日に行われた「生き様ナイト」で、7回目のバーレスクショーになりましたね。僕は最初に見させてもらったときにとても衝撃を受けました。小人バーレスクを見たことがなかったのもありますが、もえこさんの脱ぎっぷり、バーレスクらしい妖艶な雰囲気を醸し出していたことがとても新鮮に見えました。ご自身としてはいかがですか?ちびもえこ:初めの頃はとにかく勉強でした。バーレスクの存在は知っていたけれど、これまで見たことがなく右も左もわからなかったし共演させていただくKUMI(くみ)さんとIG(あいじ)さんはプロのポールダンサーの方なので緊張もしました。KUMIさんから振り付けを一から教えていただいたり、衣装なども全てコスチュームデザイナーの方にお借りしたり、メイクも教えてもらったり、本当に周りの方のお力をお借りして立たせていただきました。また小人バーレスクを見にきてくださるお客さまの反応もわからなかったので、本番は教わったことを全力でやりきるのに徹していたんです。そうやって初回から3回目まではいわゆるバーレスクの王道の衣装だったり演出をやらせてもらいましたが、お客さまの反応も少しずつわかってきたところで私なりの表現ってなんだろうと考えるようになりました。その頃、もともと単独イベントではなかったこのイベントが単独イベントとして開催させていただけるようになり「生き様ナイト」として始まったのです。私の生き様とは、と考えるようにもなりましたし、そのタイミングで共演者のIGさんが「海外のテレビでバーレスクは少しの笑いが必要と言っていた」とおっしゃっていたんです。さらにその言葉を踏まえた上で、その頃バーレスク界の大先輩の方が定期的に開催しているイベントに呼んでもらって初めて自分の身内がいない空間でパフォーマンスする機会をいただき、リアルなお客さんの反応も感じました。そしてその時初めて生でプロのバーレスクダンサーさんのパフォーマンスを見させていただいたんです。本当に感動しました。何よりもお客さんが楽しそうでみんなが笑顔の空間でした。そんな様々な出来事が重なり価値観が変わり、自分のパフォーマンスでも取り入れようと思って、自分の身体を見て皆さんに笑ってもらえるような演出をしたこともありました。徳永:表舞台に立つことで誰かに影響を与えることが増えてきたと思います。今だからこそ聞きたいのですが、世間や同じ境遇の方に伝えたいことはありますか?ちびもえこ:小人に対する固定観念を覆したいですね。この身体で生まれたことをかわいそうと思われがちだと普段から感じています。私がバーレスクとして脱ぐことでこの身体を見て欲しいというよりは、この身体でしかできない表現があると思っていて。“かわいそう”ではなく“羨ましい”と感じてくれたらおもしろい世の中になりそうですよね。なので同じ境遇の方だけじゃなくて世間一般に向けて発信したいと思っています。徳永:今回私の意見だけでなく、パフォーマンスを見ていた観客や関係者の方にもえこさんについてコメントをいただきましたのでご紹介いたします。もえこさんの固定観念を覆したい気持ちが伝わっているようです。・もえちゃんの素晴らしいところは小人で生まれてきたことですね。それと彼女はすごくポジティブでいつもパワーをもらっています。・ショーに登場しただけで他にはないものをもうお持ちです。私はいわゆる一般の体型をしているから身体一つで魅せれるかと言われればできないので、もえちゃんの存在はずるいなと、もちろんいい意味で武器だなと思いますね。・回数を重ねていくことに色気が出てきて素敵です。友達を連れてきたことがあるのですが、もえちゃんの方がよっぽどバーレスクだと言っていました。もえちゃんの良さは初めてバーレスクを見る方でも楽しめると思います。・もえちゃんは「なんでこの身体なんだろう」じゃなくて「むしろこの身体を選んで生まれてきたのよ!」って気持ちで踊ってます。見た目は最初だけであとは中身なので今後ともよろしくね!Keita Tokunaga(徳永 啓太)Blog|Instagram脳性麻痺により電動アシスト車椅子を使用。主に日本のファッションブランドについて執筆。2017年にダイバーシティという言葉をきっかけに日本の多様性について実態はどのようになっているのか、多様な価値観とは何なのか自分の経験をふまえ執筆活動を開始。
2018年08月29日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「リカレント教育」です。人生100年時代を乗り切るための職業訓練的な学習。政府は人生100年時代構想会議のなかで、リカレント教育の充実を検討しています。「リカレント教育」とは、社会人が生涯にわたって再教育を受けることができ、就学と就労を交互に行える教育システムのこと。「recurrent」は、反復・循環の意で、1960年代にスウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンが提唱しました。欧州では、仕事を始めてからも新たに学習する必要があれば、長期にわたり正規の学生として学校に再入学することを推奨しています。スウェーデンやフランスなどでは給料保証もされ、フルタイムの就学と就労を繰り返せるのです。アメリカにはコミュニティ・カレッジという公立の2年制大学があり、何歳になっても専門的な学びを得ることができます。そもそも、大学や大学院にいろいろな年齢層の人が一緒に学んでいる環境があるんですね。ところが、日本の場合は終身雇用、年功序列のシステムが確立されていたため、在職中に数年間会社を休んで大学に通うというのはなかなかできませんでした。しかし、いまは会社が定年まで存続できるかわかりませんし、寿命は延び、人生100年時代に入りました。少子化により、労働者人口も減っています。そこで、国はリカレント教育の拡充を提唱し始めたのです。一つの会社、一つの仕事に固執せず、時代の変化に合わせて新たな知識やスキルを身につけ、バージョンアップを目指す。職業訓練的な学習ですね。そうやって働く場を自分で開拓していく必要がますます出てくるでしょう。日本の伝統的なリカレント教育は放送大学。文部科学省が設置した通信制の大学です。一般の大学でも、今後は社会人の受け入れを増やそうとしています。ほかにも、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会と連携して、NTTドコモグループの会社が提供している「gacco」というオンラインサービスは、大学教授陣の講義を無料で受けられ、登録者は43万人を超えています。時間や経済的な制約があっても、学ぼうと思えば機会はあります。仕事をどう広げたいか、何を身につける必要があるのか、その見極めが一番大切なのかもしれません。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。※『anan』2018年8月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年07月30日こんにちは、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。ここでは私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口から“多様性”について考えていこうと思っています。そして、私の価値観と取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”、対談方式の連載「kakeru」第3弾です。様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を取材し、Be inspired!で「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。今回のテーマは「りかい」です。インタビューをしたのは、発達に障害がある方や自閉症の方を支援している笹本智哉(ささもと ともや)氏。彼は個人活動でSOCIAL WORKEEERZ (ソーシャルワーカーズ)というダンスチームを運営し、福祉施設を訪問してパフォーマンスしたり、自閉症啓発イベントなどに参加したりしています。徳永啓太(左)笹本智哉さん(右)▶徳永啓太のインタビュー記事はこちら今回私は6月9日に東海道新幹線内で起きた殺傷事件で「犯人は発達障害」と報道されて物議を醸した件について、彼に発達障害の当事者をサポートする者としての見解をうかがいたくインタビューをお願いしました。この機会に発達障害とはどのようなものなのか、正しい知識を理解し我々がどのように付き合っていけばいいのか、そして当事者が社会とつながるにはどうすればいいかを笹本氏の専門知識を交えながら、多くの方に「りかい」してもらいたいと思います。当事者と一緒に行動し、その場でサポートする仕事笹本:今回は、発達障害や自閉症の方について読者の方に理解してもらいたいと思い取材をお受けいたしました。東海道新幹線での殺傷事件の報道からは発達障害に対するメディアの偏見がみられたので、正しい知識を持ってほしいという思いがあります。事件を起こした容疑者を擁護するものでは決してありません。また今回被害に遭われた方、そしてそのご家族の方には大変心が痛い事件となってしまったことに対し、お悔やみ申し上げます。このような事件が再び起こらないことを心より願っております。徳永:このようなトピックでのインタビューとなりましたが、お受けくださり誠にありがとうございます。それでは笹本さんのされているお仕事の内容からうかがってもよろしいでしょうか。笹本:私は児童発達支援管理責任者という資格を持っていて、未就学(小学校の就学年齢に満たない児童)の発達障害児へ向けた「療育(りょういく)」の仕事をしてます。療育というのは、発達障害のある児童が日常生活で身に付けづらいコミュニケーションや運動機能、身辺自立*1に必要なスキルや学習を身につけるための支援(セラピー)です。例えば、絵の描き方・文字の書き方、「助けて」や「トイレに行きたい」などのサインの発し方、自分が何がしたいかという要求をうまく伝えるためのスキルを身に付けるのをサポートします。児童が集団で行動できるようなスキルを身につけ、友達と遊んだりする際のコミュニケーションがとれるよう、当事者と一緒に行動しその場でサポートしたり教えたりするのも支援の一つです。また児童発達支援管理責任者は、専門医から発達障害や自閉症と診断された児童やご家族、相談支援専門員、行政と一緒に考え、それぞれにあった支援の計画をたてる。それを親御さんと共有し、ご家庭でも実施してもらうよう促すことや、行政とのやりとりに必要な書類作成や発達障害の当事者が通う施設の運営・管理などをしています。(*1)洗面、着替え、歯磨き、食事、排泄などの身の回りの基本的な動作徳永:では発達障害や自閉症の方は、具体的に困ったときにどのような行動をとってしまうのでしょうか?笹本:わかりやすい例で言うとイレギュラーなことに対応できないということでしょうか。 例えば電車に興味がある子が運行時間を何時何分まで記憶していて、それが天候などの影響で時間が変わっただけでどうすればいいかわからずパニックになってしまうケース。 周囲の人の声や音をすべて拾ってしまい環境に適応できずパニックになってしまうケース。思ったことや見えたものを何でも口に出してしまうケースもあります。またそれとは反対に自分の要求をうまく言葉にできずストレスを抱え込んでしまう方もおられます。「発達障害、自閉症=犯罪を犯す」は根本的に誤った認識徳永:彼らの行動にはそれぞれ理由があるわけですね。知っていればなぜそのような行動をとっているのか理解できますが、知らないまま当事者を見かけると「変わった人」や「異常な人」ととらえてしまう。これが認識の差だと感じます。そこで今回取り上げたいのは「東海道新幹線で起きた殺傷事件にみるメディアのあり方」です。一部メディアが「犯人は発達障害」と報道し物議を醸しました。 メディア側も軽率な行動だったと謝罪をしていますが、こういった報道が流れるということは根本的に誤った認識をしている方がいるからだと思いました。当事者と接する仕事をしていて今回の報道をどうとらえていますか? 笹本:非常に安直だと思いますし、憤りを覚えます。少なくとも私が見てきたなかで発達に障害があるからといって殺人を犯すというのはありえません。以前は児童に限らず成人の方もサポートしていましたが、考えにくいです。そもそも前提として計画的に殺人を犯すという発想は私たちもしませんよね、それに発達に障害がある方は自ら計画的に何かをする行為が苦手な傾向にあるからです。もちろん私が知らないだけでなかには犯罪に興味を持ってしまう方もいるかもしれません。そのような偏った思想を持つ人は一般と同じで少数だと考えます。なので発達に障害があるからといって犯罪を犯すというイメージに直結するのはとても偏ったとらえ方で残念に思います。社会の「人間」に対する許容範囲が狭いことが生きづらさを生み出している笹本:「同じでなければいけない」という風潮は一般社会だけでなく、ヘルパーや就労支援など発達に障害がある方を支援をする現場でも感じることがあり、とても疑問に思っています。 例えば食事中は絶対に背筋をピンと伸ばさないといけないとか、日常生活の場でシャツは絶対ズボンの中にいれなきゃいけないとか。音楽イベントに来てるのに歌ったり踊ったりしたらヘルパーに注意されるとか。作業所で休み時間でも同僚に手を振ったら怒られるとか。当事者がちょっとでも要求を人に伝えたら怒るとか相手しないとか。そういった場面を目にしたことがあります。一般の方でも細かいことをすべてやれてるわけではないですし。それを当事者へ必要以上に求めている姿を見かけるととても残念な気持ちになります。私は当事者の主体性を引き出して生活をよりよくすることが支援だと思っているのですが、当事者を厳しく指導しているのは取り巻く関係者が恥をかきたくないからだと個人的に思っています。それは本当の意味で当事者支援にはならないのではないでしょうか。今回は大変難しい問題について答えてくれた笹本氏に感謝いたします。事件が起こった後に発達に障害がある方について取り上げるというのは不本意ではありますが、今回を機に発達に障害がある方や自閉症の方の正しい知識を持ってほしいという思いでおります。そんなインタビューのなかでも“社会が求める人間の能力の高さや人間像の理想が高い”という話題、そして“スタンプの版のように同じでなければ”というワードが印象的でした。私も「健常者」や「障害者」という言葉があるように、平均的なことができない人を分けたり、少し変わった考え方を持っている人に対して偏見を持つ傾向がある気がしていたからです。これでもっと社会が寛容になって、お互い認め合う余白ができればという課題が見つかり、連載のタイトルにも入っているワード「多様性」の根本を考える機会になったと思います。また最後に笹本氏がおっしゃっていた、もっと気軽に相談してほしいという点。日本は精神的に弱い方を受け入れようとしない風潮があり、そして当事者もカウンセリングを受けることに抵抗があると感じます。社会が多様性を認めようと動いているのであれば、こういったところも変えていく必要があるのではないでしょうか。最後に東海道新幹線での殺傷事件からメディアのあり方に疑問を持ったのでこの企画を提案いたしました。メディアや偏見についての異議申し立てであり、事件の容疑者を擁護するものでは決してありませんし、彼は完全に誤った行動をとったと思っております。私からも今回被害にあわれた方、そしてご家族の方にお悔やみ申し上げます。このような事件が起こらないことを心より願っております。Tomoya Sasamoto(笹本 智哉)Photo via SOCIAL WORKEEERZKeita Tokunaga(徳永 啓太)Blog|Instagram脳性麻痺により電動アシスト車椅子を使用。主に日本のファッションブランドについて執筆。2017年にダイバーシティという言葉をきっかけに日本の多様性について実態はどのようになっているのか、多様な価値観とは何なのか自分の経験をふまえ執筆活動を開始。
2018年07月11日初めまして、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口と、取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”対談方式の連載「kakeru」の第2弾です。ここでは様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を毎月取材し、「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。徳永 啓太▶徳永啓太のインタビュー記事はこちら今回のテーマは「ちがい」です。インタビューをしたのはプロダクトブランド「MUKU」を運営する松田文登(ふみと)さん、崇弥(たかや)さんの双子の兄弟。知的障がいのあるアーティストが描くアート作品をプロダクトに落とし込むことをコンセプトに、傘やネクタイと身近なものを老舗の職人とのコラボレーションにより展開し、社会と繋がることモットーにしている。今あるものとはちがう視点から、ちがう価値観を届けたいという彼ら。プロダクトや福祉、アートと様々な方面で活動する中で見えてきたこととは何か、そしてその「ちがい」にブランドとしてどうアプローチしているのかを探っていきます。左から文登さん、崇弥さんアートを超えるプロダクトを目指して徳永:まずはMUKUを始めるきっかけなどをお伺いしてもよろしいでしょうか?松田崇弥(以下、崇弥):知的障がいのある方のアート作品に興味を持ったきっかけは双子の上に自閉症の兄がいまして、 幼少期は週末など母親に連れられて福祉施設に通っている方たちとキャンプに行ったりした経験から、 小学校の卒業論文に「養護学校の先生になりたい」と書くぐらい福祉関係の仕事に興味がありました 。今は広告の仕事をしていますが、ある日母親から岩手県にある「るんびにい美術館*1」を紹介され 、主に知的障がいのある方のアートを展示している美術館があることを知りました。そこに展示してある作品のクオリティーの高さに驚き、これはちゃんとプロダクトに落とし込めば世の中に提供できると思いました。 このときの衝撃を双子で話し合い、MUKUをスタートすることに決めたのです。(*1)知的な障がい、精神的な障がいなどのあるアーティストの作品を多く展示する岩手県・花巻市にある美術館。館内のアトリエではアーティストたちが作品の制作を行っている徳永:MUKUの活動でお互いの役割分担はありますか?松田文登(以下、文登):僕が営業や施設の方とのお話をさせてもらっていて、 崇弥が企画や広告などを担当しています。 先ほど崇弥から知的障がいのある方のアート作品の活動についての話がありましたが、僕は日本の縫製工場が失われつつある現状を知り、職人仕事を盛り上げていきたいという気持ちがあるため、「知的障がいのある方のアート」と「職人仕事を盛り上げる」という二つを掲げてやっていきたいと思っています。徳永:MUKUとしてのブランドのこだわりを教えてください。文登:僕らは「アートを超えるプロダクトを作りたい」といつも話していて、 まずはじめに値段が高くなっても構わないので、最高品質のものを作ること、そして日本製品にすることを決めました。価格が上がるという面もありますが、「知的障がいのある方の中からアートを通じてヒーローを生み出す」ことをやりたいと思っていて、そのためには品質は徹底的にこだわりたいと思っています。現在お願いしている職人さんは山形に自社工房を構える創業明治38年の「銀座田屋」というネクタイを専門にしているところです。細い絹糸を使用していて、高密度かつ多色の織りが出来ることで、アート作品の細やかな表現が再現できプリントよりも上品な仕上がりが実現しています。また傘は日本橋にある洋傘一筋87年の小宮商店というところにお願いしています。蓋を開けてみるとどちらも自社以外の製品を作るのはMUKUとが初めてということで、職人さんは「技術をより多くの人に知ってもらう機会になった」と喜んでくださいました。Artwork by SASAKI SANAEアート作品では白色になっているものを、ネクタイでは銀色で表現することで高級感が出る仕上がりになっている徳永:絵のセレクトやアーティストとの契約はどのように行なっていますか?崇弥:MUKUには双子を合わせてメンバーが5人いるんですが、みんなで話し合って決めています。 我々のところに美術館や親御さんから直接情報をいただき、そこから素敵な作品を我々で選びご連絡させていただいて、契約を結ばせてもらっています。 また僕らは売上分ではなく、工場へ発注した段階でデザイン使用料として商品価格の一部をアーティストさんに渡す仕組みにしています。なので今後も製造した分に比例してアーティストさんへ貢献できます。徳永:なるほど!アーティストにしっかり使用料が渡る仕組みになっているわけですね。他にも知的障がいのある方のアートでプロダクト作りをしている企業はありますが、品質へのこだわりと若者に受け入れられやすいようなプロモーションをしていて、これまでにないものだと感じました。徳永:個人的にこういった施設に通っている方のアート作品を世の中に広める活動について思うことがあって、アーティストと紹介する前に“知的障がい”という言葉を説明に使うことが、ありかなしかという問題です。どんな人であれ、いいものはいいと判断したいのですが、僕は“知的障がい”という言葉をみると良くも悪くも偏った見方をしてしまうなと正直思っていまして、その言葉だけで物事に対する価値観が変わってしまうこともあるかなと思っています。崇弥:この活動を始めて約1年半になりますが、最初は“知的障がい”という言葉を使わなくていいんじゃないかと話をしていました。一方でその言葉を使わなくなると、ブランドとしてのアイデンティティがなくなっていることに気がつきました。 色々話し合い悩んだ末、最終的には“知的障がい”という言葉を使うことにしました。 文登:ある日るんびにい美術館のアートディレクターをされている板垣さんと話をする機会があり、 “知的障がい”という言葉をつけるかつけないかついて悩んでいたことを打ち明けました、板垣さんからは「出すも出さないも、最終的に出た答えでいいのでは」というご意見をいただきました。しかし正直なところ、まだすっきりとした答えが出ていないと思っています。理想は、MUKUの情報を知らずにアーティストの作品を見てかっこいいと思ってくださった方が、後から知的障がいのある方の作品だと知るというサイクルに持っていけたらいいなと思っています。 崇弥:この件に関しては、常に僕たちも考えていてそのサイクルができたら一番嬉しいのですが、今の段階だとその導線を作るのは難しいとも感じています。 例えばトークショーに呼ばれる機会も増えてきたのですが、知的障がいのある方と一緒に活動していることの話について聞かれることが多く、作品にあまり触れられてないなと感じる時があります。僕らは世の中によく思われたいからやっているわけではなくて、彼らのアートの価値が正しくつけられるように持っていきたくて活動していると思っているので、世間が期待していることと僕らの考え方に差があり、それに違和感を覚えています。 徳永:最近知的障がいのある方のアート作品が注目される機会が多くあると思いますが、「知的障がいのある方=アーティスト」というわけではないと思います。もちろん中にはとても優れた才能を持っている方もおられますが、そういった方ばかりではないですよね。そうした方の作品をすくい取るというか、プロダクトに落とし込む受け皿のような活動をデザインを通じてできたらいいなと前々から思っていて、MUKUさんは今後そういった活動の役割として重要な位置になると思いました。崇弥:そうですね。僕たちが使用許可も含めて交渉できるアーティストの作品は現在1000作ほどですが、 毎年MUKUとして世の中に発表できているのは10数作という現状があり、とてももったいなさを感じています。今後はいろんな企業や行政、クリエイターと彼らの作品をプロダクトに落とし込めないか企画、提案をしていきたいなと思っています。インタビューの中でも少し触れていますが、そもそもアーティストであることに“障がい”のあるなしは関係ないはずなのに、“知的障がいのある方のアート作品”と言葉で括って取材することは野暮だと思っていました。それは「いいものはいい」と判断したいのに、知的障がいという言葉を使った説明が私の判断を鈍らせているためでもあります。また福祉関連に関わることは、色々な方が色々な解釈をされる分野でもあり、とてもセンシティブな問題がつきまとうと思っていて、どのような話題にするか正直迷いました。しかしお話しすることが決まったとき、私が疑問に思っている事柄についてどのように考えているのか、あえて深く掘り下げてみようと考え質問を投げかけました。それに対してMUKUのお二人は知的障がいという言葉の扱い方から、福祉事業でしっかりビジネスを試みていることまで難しい問題に快く答えてくれました。特に「売って儲けることでアーティストへ貢献したい」と筋の通ったお答えにはとても感心いたしました。何事にも継続が必要で、そのためには資金が必要です。なのでビジネスをすることは、とてもまっとうな考えだと思います。MUKUさんのように、アートとプロダクトを通じて価値観を整理するような活動を今後とも期待したいです。MUKUWebsite|Facebook|Twitter|Instagram“ちがう視界から、ちがう世界を描き出す”をテーマに、強烈なアイデンティティをもつアーティストが描くアート作品をプロダクトに落とし込み、社会に提案するブランド。クリエイティビティを徹底的にブランディングすることで、社会に新しい価値の提案を目指す。2016年六本木アートナイト、国立新美術館の展示会、伊藤忠青山アートスクエアの企画展、代官山蔦屋書店のフェアへの参加、100個のプロジェクトがうごめく実験区100BANCHへの参画など、福祉の枠を越えた精力的な活動を行う。▶︎これまでの徳永啓太の「kakeru」・#001 乳がんを患ってから起業。病気にかかると行動に制限をかける人が多いなか、“新しい肩書き”を手にした女性▶︎オススメ記事・障害者という“レッテル”はやめよう。アートキュレーターが語る「言葉に左右されない審美眼」の重要性・使わなくなった毛皮製品を仕立て直す男が、いくら“社会にいいこと”でも「押し付けでは意味がない」と考える理由Portrait photos by Anne Yano (Website|Instagram)Other images via MUKUText by Keita TokunagaーBe inspired!
2018年05月08日最近ではほとんどの学校で実施している性教育ですが、親子間での教育はまだまだされていない家庭も。今の親世代が子どものときには、家庭内でなんとなくタブーとされていた性教育。今、親となって子どもにどう伝えたらいいのか悩む人もいるようです。Q.子どもの性教育、いつから始めますか?1.未就学児 4.1%2.小学校低学年 6.7%3.小学校高学年 43.2%4.中学生 23.6%5.高校生 4.1%6.その他 7.2%7.家庭ではしない 11.2%小学校高学年が43.2%ともっとも多い意見となりました。女の子は初潮のタイミングがきっかけになることが多いようです。一方、家庭ではしないという人も11.2%いるという結果になりました。■聞かれたら親としてはっきり伝えたい子どもに聞かれたら包み隠さず話すべきと考える人が多いようです。学校での性教育がきっかけで、家で聞かれることもあるようですが、恥ずかしいことと思わずに誠実に答えていきたいと考えているようです。「現在小1ですが、先日学校で性教育の授業がありました。男女の体の違いなどの話で、まだ性教育と言えるほどではないかもしれませんが、子どもに質問されたら話せる範囲で答えていくつもりです」(北海道 30代女性)「聞かれたらその都度、当たり前に話しています。母が産婦人科に務めていたので、私も小さなころから隠すことなく伝えてもらいました。男の子は女の子を大切にするため、女の子は自分の身を守るために教えています。家庭で教えなければ、学校では足りませんし、誤った知識が先に入ると困るのはかわいそう。親の責任だと思っています」(東京都 40代女性)「我が家では『結婚しなくても赤ちゃんは生まれる?』などの子どもからの質問には、隠さず本当のことを教えています。普段から性に対して恥ずかしいことではないと思われていれば、親にも相談してくれてます」(愛媛県 30代女性)「体の変化がある時期には、はっきり伝えなければいけないと思う。親のつとめとして。聞かれたらそのままのことは、今も伝えるようにしています。自然なことであって、いけないことではないけど、自分の体は自分で守れるようにしてあげたいです」(北海道 30代女性)■自分が性教育を受けていないだけに悩む現在のパパママ世代は学校ではもちろんですが、家で親とそういった話をしたことがある人は少数派。だからこそ、自分の子どもにはどう伝えたらいいか悩んでいる人もいました。「どこまで教えるべきなのか悩みます。私の世代の性教育は避妊、避妊、避妊と、とにかく避妊についてが多かったですが、不妊についてはなにも教わっていません。不妊が増えているこの時代、妊娠適齢期と不妊についても学ぶべきだと思います」(東京都 20代女性)「私自身、6年生のときに結婚しただけでは子どもができないと初めて知り、両親がそういう行為をしたという事実があまりにもショックで大泣きした記憶があります。子どもにはどう教えるか悩むところです」(茨城県 40代女性)「家庭で教わった覚えがないので、どうしたら良いのかわかりません」(新潟県 30代女性)「小4、小3、0歳のママです。正直、性教育はいつから始めたらいいのか悩んでいます。3人目を妊娠してから、長男に『どうやったら赤ちゃんができるの?』と聞かれて、なんて答えていいか迷いながら、神様が運んでくれると言いました」(奈良県 30代女性)「どのタイミングで、どう話してよいかわかりません」(神奈川県 40代女性)■小さなときから年齢に応じた伝え方が大切 性教育はいつから始めるというよりも、年齢やその子の成長に合わせて説明していくというのが理想的なのかもしれません。性教育というと抵抗があるかもしれませんが、命の話としてしっかりと伝えられるといいですね。「『おなかの中に赤ちゃんのベッドがあるんだよ』と月経のことを教えたのは、息子が4歳くらいのときでした。一緒にお風呂で出血を見るわけですから、堂々と教えたかった。そのころ、『赤ちゃんはどこから生まれてくるの?』という質問にもちゃんと答えました。『すごいことなんだよ、こんな狭いところから生まれてくる赤ちゃんは命がけなんだよ、あなたは本当に頑張って生まれてきてくれた宝物だよ』って。男女間の性についてもいずれ愛を持って話したいと思います」(鳥取県 40代女性)Q.子どもの性教育、いつから始めますか?アンケート回答数:4498件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2018年04月13日まずは母語を完璧に。自分の意見を話す訓練も大事ですね。グローバル化が進むなか、2020年度より、英語教育(外国語活動)の開始を小学校3、4年生に早め、5、6年生からは英語が正式な教科となることが決まりました。現在、文部科学省では指導計画を考案中です。僕自身、英語習得に苦労したので、英語教育のスタートが早くなるのは、とてもいいことではないかと思います。早期英語教育の話が出ると、「母語の教育をおろそかにしてはいけない」という反論がよく上ります。母語はとても重要です。必ずしも日本語でなくても構いませんが、複雑な気持ちを表現できる言語を何か一つ、徹底的にきちんと身につけるのは、生きていく上で必要なことです。言葉は人に気持ちを伝えるだけでなく、自分の思考を深める助けにもなるからなんですね。母語も新しく学ぶ言語も未熟な状態を「ダブルリミテッド」または「セミリンガル」といいます。それだと“アイデンティティ・クライシス”に陥りやすく、モヤッとした気持ちを伝えられないと不安が募り、暴力的になったり、引きこもりになることもあります。勘違いされやすいのは、その言語環境にいれば子供は勝手に言葉を話せるようになるだろう、ということ。しかし、思考を深めるくらいの言語を習得するには専門的な教育が必要です。日本語であれば、国語の授業や小論文ですね。これにより言葉の表裏を知り、表現が鍛えられます。ですから、早期英語教育を始めるにあたっては、母語教育が重要なんですね。ダブルリミテッドは避けなければいけません。海外で日本人が苦労するのは、言葉以前に、自分の意見を話すということではないでしょうか。英語力があっても、意見がなければコミュニケーションにはなりません。文科省では、討論や発表を通じ、自ら問題を見つけ解決できる学習を、英語だけでなく各教科で導入していこうと計画しています。日本人以外の非英語圏の人たちは、多少文法が間違っていたり、発音が訛っていても、たくましく自分の意見を英語で伝えようとします。日本人が英語が苦手な理由は、「間違ったら笑われる」という不要な羞恥心が邪魔をしているのかもしれませんね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年3月28日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年03月25日初めまして、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。ここでは私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口から”多様性”について考えていこうと思っています。そして、私の価値観と取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”、対談方式の連載「kakeru」をスタートします。様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を毎月取材し、Be inspired!で「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。徳永 啓太今回は「はじめる」をテーマに活躍されている方の背景や、なぜ始めたのか熱い想いを伺ってみたいと思います。インタビューしたのは2017年に起業をした中島 ナオさん。彼女は学芸大で美術教育・デザインを学び、会社員として働いていましたが、2014年に乳がんを患っていることが発覚。がんの治療を行いながらも環境を変えるため学芸大大学院に進みます。再び学び、デザイン教育の研究を進めていた際、身体と向き合う事で生まれたヘッドウェア「N HEAD WEAR」を開発。その鮮やかで他にはないデザインによりメディアから注目を浴びます。現に私もそのヘッドウェアが彼女を知るきっかけになりました。その後、彼女が起業し、新しいことを”はじめる”決意をした理由とは。左:徳永 啓太右:中島 ナオさん▶徳永啓太日本の「多様性」に疑問符をつける。“健常者であることが良しとされる国”を車椅子で生きていて感じること“暗い”や“辛い”というがん患者のイメージを払拭する女性インタビューするまで考えることの無かった「がん」について自分の事のように情報を集めてみることからはじめました。そこで感じたことは、日頃から将来起こりうる病や怪我、事故などに関心を持ち、意識しながら生活をしていないという事でした。例えば、風邪を引かないとその予防策について調べないし、怪我をしないとその症状について関心を持ちません。予想をしていないからこそ、その分自分に大きな病にかかったとき「まさか自分が」と大きなショックを受けます。 特に「がん」はその一つ。重い症状と今のメディアの影響により、がん患者と聞くと“暗い”や“辛い”というイメージを持ってしまいます。実際私もそうでした、彼女に会うまでは。N HEAD WEARを被る中島 ナオさん中島ナオ(以下、ナオ):これ自分で作ったんです。いまあるアイテムに被り続けたいものがなくて。そしたら見知らぬおば様に”いいわね、素敵ね”って声をかけて頂いて嬉しくて。 今回、私は中島さんの病について知りたいと思いがんの質問ばかり用意していたが、それは不毛なことであるという事に後々気付かされます。そしてこちらからお願いしたインタビューにもかかわらず、最初に質問したのは彼女からでした。積極的で明るい姿勢に、また私の凝り固まったイメージを更新してくれました。彼女は私が持っていたイメージを払拭するかのように明るくキラキラしていました。 ナオ:徳永さんは車椅子に乗っていますが、身体的に病が進行するってことはありますか? 徳永 啓太(以下、徳永):私は脳性麻痺という障害名で体が動きにくく、力が弱かったり細かい動作ができなかったりしますが進行性ではないです。強いていうなら老化でしょうか。それは一般の方と同じだと思います。沢山ある情報のなかで見えてくる「白」か「黒」ナオ:私がブログで発信を始めたのは、がんになっても大丈夫と言える社会を実現させたいと思ったからです。それは医学的にも社会的にも今は実現できてないと思います。それを変えたくて。というのもまだまだがんになったら生活の中で手放すことの方が多い、職業だったり私生活などでも諦めている人が多いと感じるからです。私がやっていきたいことは”白”と”黒”と二極化された情報だけでなく、その間グレーの中で生活する上でもっと希望が持てる情報を届けたいと思ってます。そういった考えに至るまでは個人的にSNSで顔を出すことすら好まないタイプでした。▶ナオさんがグレーについて綴ったブログ『輝くグレーの世界もあるんだよ!』はこちら。 徳永:SNSで顔を出さない人だったなんて想像つきませんでした。変わった転機はあるのでしょうか。 ナオ:1年半前(2016年)に転移してステージ4(がんが他の臓器に転移し手術が難しい状態)になり状況が変わったことですね。治療とずっと向き合っていかないといけない状況です。この先どこまで続くかわからない、現状を変えるしかないと、丁度この時期に具体的な行動を始めていきました。リアルと向き合ってできるデザイン「N HEAD WEAR 」徳永:がんになってからデザイナーになって、そして起業したんですよね。 ナオ:そうです!以前、会社員としてデザインの仕事をしていた時期もありますが、その後は教育関係の仕事をしていましたし、具体的にデザイナーとして歩み始めたのは病気になってからです。というのもやはり希望を感じるものを作りたくて、確かに無理していくことはないけれども、何かを失っても、諦めなくてもすむ側面はあると思っています。だからあえていっぱい始めてみようと思って。始めた事はヘッドウェア以外にもいっぱいあります。 徳永:実は今日インタビュアーとして、ナオさんから普通聞きづらいような事を聞くのが私の役目だと思っていました。でもそうではなくで、生活の事情を踏まえたうえで解決できるデザインを提供したいんだなと思いました。私でいうと例えば車椅子で生活する上で排泄の事情や、街中で困る情報を提供する事で読んだ方が関心を持ったり共感してもらったりする事で広めていく。それに価値があると思っているんですが、ナオさんは別の角度から発信していきたいんだなと感じました。 ナオ:ヘッドウェアもそうですが、問題に対して今あるものと違う路線で形にしていきたいですね。以前は洋服でさえ買うのをためらった時期もありました。それはこの先どうなるかわからないからいつまで着られるかわからないんです。そう言った背景を持つ私がこれからもいろんな事を始めて発信する事で、同じ境遇の方が希望を持ってくれたらいいなと思ってます。ヘッドウェアも私が一点一点作るというよりは他の企業や専門性を持つデザイナーさんと繋がって発信できたら広がるんじゃないかと思っていますし、その他構想している事を形にするべく起業する事にしました。自分で作っていくのに限界がある事も理由としてありますが、私はやりたいことを、いろんな方と一緒に叶えていきたいと思っていて、社会と接点を持つことが大きな希望につながるとも考えています。 徳永:ナオさんの場合やれる事って沢山あるって事ですよね。ヘッドウェアはその一つであって職業に縛られているわけではないからいろんな分野で活躍できることが強みですね。 ナオ:活躍していきたいですね!ガンになった時、何者でもなかったからこそ、行動し続けられているのかもしれません。起業し、関わってくださる方が増えてきている今、大きな可能性を感じています。中島ナオ氏も参加する徳田祐司個展『Another Eye』開催期間:2018年3月2日~28日場所:CLEAR EDITION & GALLERY企業ブランディング、商品企画、広告コミュニケーションなど、広範囲のプロジェクトを手掛け、国内外60以上のデザインアワードを受賞してきた徳田祐司の個展が2018年3月2日(金)より、六本木CLEAR EDITION & GALLERYで開催される。徳田は自身が代表を務めるデザインエージェンシー株式会社canariaのビジョンのひとつに「Design makes a Positive Way.」を掲げているが、今回の個展『Another Eye』にも同様の想いが込められている。詳しくはこちら。▶︎オススメ記事・「政府の対応を待っていたら、みんな死んじゃう」。“ときに危険を伴う呼吸の二面性”を芸術で発信する女性・54杯目:「セックスのこと、教えて」。担当医も教えてくれない、病気や障害を持つ人の“性教育”を話す場を作る若者 #ChronicSex|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会All photos by Keisuke MitsumotoText by Keita TokunagaーBe inspired!
2018年03月08日子どもの学校選びで、様々な学校を調べているママも多いと思いますが、「教育モデル校」という言葉が出てくることはありませんか?そうした学校に通わせることで、先進教育に触れる機会を増やせるため人気は高いようですが、そもそもモデル校ってどうやって選ばれるの?教育ジャーナリストの中曽根陽子さんに聞きました。モデル校のテーマは多岐にわたるまず、モデル校はどれくらいあるのかを聞こうとしたところ、「ひと口にモデル校といっても、たくさんあるので数はわかりません。各教育委員会にお問い合わせください」と中曽根さん。「たくさんある」とは、どういうこと?「例えば、最近では、英語学習・プログラミング教育・道徳教育などテーマはたくさんあります」(中曽根さん、以下同)実際、「平成29年度東京都教育委員会研究指定校一覧」を見てみると、かなりの数が…。中曽根さんの言う通り、そのテーマは様々で、「安全教育推進校」「人権尊重教育推進校」「日本の伝統・文化の良さを発信する能力・態度の育成事業」など、学習以外のことでもモデル校が指定されているようです。モデル校を指定する目的・基準は?何を目的としてモデル校を指定するのか、というのも気になるところ。これに関して、中曽根さんは、「文科省がその時そのときに力をいれようとしているテーマを推進するために、モデル校を作り施策の実現をはかるため」と話します。先ほどの「平成29年度東京都教育委員会研究指定校一覧」にも記載されているので、一部紹介します。【日本の伝統・文化の良さを発信する能力・態度の育成事業】「2020東京オリンピック・パラリンピック教育における伝統・文化に関する取組について、地域の専門的な知識や技能を有する外部人材の活用を通して、児童・生徒の専門性を高めるとともに、外国人と積極的に関わり、意見交換する機会等を設定し、日本の良さを発信する能力や態度を育成する」【安全教育推進校】「学習指導要領及び都教育委員会教育目標等に基づき、学校において、幼児・児童・生徒に危険を予測し回避する能力と、他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育成するため、効果的な安全教育を実践的に研究し、その効果を普及することをねらいとして、安全教育推進校を指定する」このように、テーマごとによって、目的も異なるのです。また、もうひとつ気になるのは、誰がどうやってモデル校を決めるのか。中曽根さんいわく、「明確な基準が開示されているわけではありませんが、各学校、特に学校長が手をあげて、学校の実状や地域のバランスなどを鑑みて、教育委員会が決定することが多いと思います」とのこと。また、「場合によっては、教育委員会から学校側に打診されることもあると思います」とも。都道府県や市町村ごとに、モデル校一覧をまとめていることもあります。自分の子どもが通う学校は何かのモデル校になっているか、もしくは力を入れて学んでもらいたいことのモデル校はどこかなど、事前に確認してみてはいかがでしょうか?(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月22日子どもへの英語教育に関心が高まるなか、学校以外にも「子どもの英語教育」に関心を寄せている親は少なくないだろう。そこで、実際に子に英語教育を始めている人は何歳ごろから、どんな学習を選択しているのか?ママテナの独自インターネット調査で「英語教育の実施状況や、2020年の英語教育義務化に関する本音」を探った(調査期間:2018年1月19日〜1月23日、有効回答数:172人)。●約8割の親は、学校以外での英語教育の必要性を実感まず子どもがいる親を対象に「英語教育についての現状」を質問したところ、次のような結果となった。1位現在子どもの英語教育を行っている……51.8%2位現在は行っていないが、将来的には英語教育を行いたい……27.4%3位子どもの英語を行う予定はない……20.7%「現在子どもの英語教育を行っている」親がかなり多く、さらに「現在は行っていないが、将来的には英語教育を行いたい」と考えている親も含めると、実に約8割は学校以外の英語教育が必要だと考えているようだ。英語教育を行っている人、行いたいと思っている人にその理由を尋ねると、一番多いのは「将来、英語が必要な時代になり、少しでも働くうえで選択肢が増えればと思って習いはじめました」(30代後半)「将来英語は話せて当たり前な世のなかになると思うので」(30代後半)など、国際化社会への対応を視野に入れた理由だった。一方で「小学校から英語が必修となるため、早くから英語に慣らせたかった」(30代前半)といった、2020年よりスタートする小学生の英語教育義務化を見据えた回答も目立った。小学校3年生より英語教育がスタートし、5、6年には教科として成績もつくようになるという。また意外に多かったのは「本人が興味を持ったから」(40代前半)など、子ども自身が英語教育に興味を持ったケース。すでに英会話スクールに通う友だちがいたり、英語のアニメに触れたりする機会があると、自ら英語に興味を持つことも多いようだ。●すでに始めている人の半数は、3歳以下からスタート!では、子どもに英語教育を行っている親は、どういった学習方法を選んでいるのか?同調査では「将来的には英語教育を行いたい」親も含め、その内容について調査。結果は次の通りだ。1位英会話スクール、英語教室などに通う……69.4%(将来的に行いたい66.7%)2位英語の教材やラジオなどで家庭学習させる……36.5%(将来的に行いたい37.8%)3位ネイティブスピーカーや英語が得意な人と関わりを持たせる14.1%(将来的に行いたい26.7%)4位外国で暮らす、留学……3.5%(将来的に行いたい13.3%)圧倒的に人気なのは「英会話スクール、英語教室に通う」。ほか英語の家庭学習も根強い人気だった。さらに子どもに英語教育を行っている親と、将来的には英語教育を行いたい親を対象に、英語教育を始めた(始めたい)年齢についても調査。その結果は後述の通りだが、こちらは始めた年齢と始めたい年齢で、大きく結果が異なっている。・英語教育を始めた年齢1位0歳から3歳……52.9%2位4歳から6歳……29.4%3位10歳以上……11.8%4位7歳から9歳……5.9%・英語教育を始めたい年齢1位10歳以上……31.1%2位4歳から6歳……24.4%2位7歳から9歳……24.4%4位0歳から3歳……8.8%すでに始めている人たちの半数以上は0歳から3歳からスタート。52.9%のうち、言葉がほぼ話せない0歳から1歳で始めている人も、21.2%いた。これから始めたい人たちで一番多いのは「10歳以上」。どうやら英語教育は赤ちゃんの頃から始めている層と、小学校高学年以上に始める層で大きく分かれているようだ。●小学校の英語教育義務化は賛成も、授業内容に不安さらに2020年から始まる小学校の英語義務教育化についての率直な感想を尋ねた。「良いことだと思う。教室に通わなくても学校の授業で同等の教育ができたらとてもありがたいことだと思う」(30代前半)といった期待を持つ意見もあるが、かなり目立ったのは「英語の早期教育はいいと思うが、学校、教師によってレベルや内容に偏りが起こりそうで心配」(30代前半)、「良いと思う、ただ今までのような文法重視の英語教育はやめて欲しい」(30代前半)といった、早期英語教育は必要としながらも、教育内容に不安を覚える意見だった。今回の調査結果で実感したのは、学校の英語教育に期待が持てない親がとにかく多いこと。だからこそ英会話スクールや家庭学習などの英語教育への関心も高く、高い実施率となっている。そんな親たちの期待や子どもたちの努力が果たして、将来的な英語力向上に実を結ぶのか?できれば親子の想いや努力が、報われる結果となってほしい。(取材・文:高山惠編集:ノオト)
2018年02月18日いよいよ我が家のおっとり長男も春から小学生です。同じく新1年生のお母さんたち、入学準備は着々と進んでいますか?我が家では年内に届いたランドセルに腕を通した長男の案外しっかりした背中に、ついこの間まであんなにぷくぷくで、ハイハイしていたあの子が…と早くも目頭が熱くなっちゃいました。小学校ではどんな生活が待っているのか、親子で期待に胸を膨らませつつ、でも最近ある情報を小耳に挟んでからちょっと不安なことがあります。それは、「2020年から、大規模の教育改革」があるということ。学校教育や大学入試も変わるとのことで、小学校でも英語が教科になるそうです。 英語の教育改革では、現在5・6年生で行われている「外国語活動」が3・4年生で実施され、5・6年生では、英語が教科となって成績がつくようになるとのこと。(一部の学校では、2018年度から先行実施される学校もあるそうです)英語が苦手すぎて、必修外国語に英語が無いという理由で進学先を日本史学科に選んだほどのコンプレックスがあるワタシ(恥)…。今でも外国の方を前にすると、急に寡黙な微笑みの精と化します。夫は反対に英語が得意な人ですが、本人いわく相当な努力の賜物だそうなので、小学校からの英語教育に子どもがちゃんとついていけるのか…今から心配になってしまいます。そんな中タイミングよく! ウーマンエキサイトさんからのお声がけで、教育のプロにお話を伺う機会をもらいました。英語教育について、気になっていたギモンをいろいろぶつけてみました!!小5から英語に「成績がつく」とは?tomekko:英語が教科になるってどういうことですか? これまでと何が違うのでしょうか。加藤さん:英語に慣れることから英語力の基礎を身につけることに目標がレベルアップし、身についたかどうかのテストがあるということです。実はすでに2011年度から、5・6年生に対しては「外国語活動」という教科ではないかたちで、週1回英語教育は行われています。教科書がなく、「英語に慣れ親しむ」という目的で、ゲーム・あいさつなどを行う簡単なもので、調査結果では、そのレベルに満足していない保護者も少なからずいらっしゃるようです。また、評価は評定(数値などの段階であらわされるもの)がつかない形で行われており、「積極的であったかどうか」などの意欲や態度を中心に記述される形で行われています。しかし2020年度からは、現在行われている「外国語活動」は3・4年生で実施となり、5・6年生は「教科」で週2程度行われ、「評定がつく」ようになります。どんな内容の授業を受けるの?tomekko:では5・6年生の授業はどのような内容になるのでしょうか?加藤さん:まずは「聞く・話す」が中心なことは変わりませんが「相手に通じるか」という点が重要となります。これまでは歌などでリピートするだけでよかった英語を、質問されたらその意味を理解して(聞く)、ちゃんとこたえることができる(話す)ようになるための授業です。しかし、突然できるようにはならないので、よく使いそうな状況と登場人物などを設定し、ロールプレイングする中で会話を聞いて真似をします。そして、日本語を学んだのと同じように、まずは耳から入ってきた言葉の意味を理解することからはじまります。例えば「ワッチュワネーム(what's your name)?」という音が、名前を聞いているということを理解して、自分でも使ってみます。そして、読んだり書いたりするときに初めて「ワッチュワネーム(what's your name)?」が3つの単語でできていて、単語の間にスペースを開けて書くことに気づく、という順番です。「読む・書く」のスキルについては、例文を声に出して読んだり、英語をみてそのまま書き写したりする程度。あくまでも読み書きは英語の文字に慣れ親しむことを大切にします。また、「聞く・話す」スキルは、ペーパーテストではわからないので面接形式や、外国人講師とのやりとりをみて、評定をつけるようになります。小学生では、「読む・書く」スキルよりも、まずは「聞く・話す」ことを重視して評価します。tomekko:文法は中学校で習うのでしょうか? 自分は文法が苦手で英語が嫌いになりかけたので…心配です。加藤さん:はい。文法理解などを始めるのは中学生からです。今までは中学生からいきなり「聞く・読む・話す・書く」の4技能をやっていますが、実はこれはかなり難しいことなんです。つまずく人が多いのは、これが原因です。たとえば、日本語を習得するときは、「聞く・話す」は6歳ぐらいまでゆっくりと身につけますよね。個人差はありますが、2歳までは特に「聞く」のみ。2歳ごろからやっとおしゃべりを始めて、「読む・書く」を習うのは小学1年生からですよね。英語は、中1から突然4技能をやり始めるからつまずく人が多かったんです。これは良くないと、現行の指導要領では、まずは小学生のうちに「聞く・話す」、次に「読む・書く」もはじめておく、など段階をつけることになりました。実は英語が母国語ではないアジアの国では、ほとんどの国が小3からやっていて、やはり、「聞く・話す」→「読む・書く」の段階的な英語学習を行っています。tomekko:え…そうなんですか! それなら小学校の早い段階で始めなくて良いのでしょうか?加藤さん:これは私の考えですが、まず、学校教育の最初の段階で日本語(母語)を学ぶ、思考能力などの基本的な部分をまず母語でしっかりさせることのほうが優先です。母語の基礎をしっかりすることが、他教科や外国語を学ぶ上でも必須だからです。ただし全く英語をやらない方がいいということではありませんよ! 年齢が若いというのは、言語学習が成功しやすいとも言われています。家庭で、親が子どもにできることって?tomekko:そうなんですね…! では具体的に、親が子どもにしてあげられることはありますか?加藤さん:一番大事なことは、英語を使いたい! というコミュニケーションへの意欲を高めることです。それは、義務感で「やりなさい」といっても全然ダメです。親も興味を持って、一緒に楽しむ気持ちでやりましょう。声がけも「ママも苦手だったからやらないと困るわよ」ではなく「お母さんも一緒にやってみようかな~♪」というのが大切です。乳児や幼児は、親が好きなものは興味を持つんです。例えば、外国の文化に興味を持って欲しければ、テレビで流れてきたニュースをママやパパが話題にすることなどは子どもにとてもいい影響です。と言っても難しいニュースについて話す必要はなく「○○で大きなサッカー大会があるよ。どこにあるのかな?」「日本語とは違う言葉を話しているね」などでもいいと思います。DVDなど、子どもが興味を持ったアニメなどを英語音声にしてみるのもいいですね。【1】日本語音声で見て【2】英語音声に変えて字幕で見る。意味がわかっていて英語が聞こえてくるから、学習効果も高くなります。tomekko:「聞く・読む・話す・書く」どれを先に取り組むのがいいんでしょうか?加藤さん:順番としては、まず聞く機会を増やすことです。わからなくても、なんとなく聞き続けるという能力は子どものほうが高いんです。その次に「話す」になるのですが、話す相手に興味を持って質問してみようという気持ちも必要になります。日本人に多いのは、質問されたら応えられるけれど質問ができない人です。これは、パーティで初対面の人とスモールトークが苦手な人が多いというのにもつながっていそうです。これからは、多様な人と関わっていく力、オープンな心も必須になってくると思います。また、小5・6以降になると「わからないことは恥ずかしい・失敗は嫌」という思いがどんどん高まっていきます。小さい頃から、間違えてもいいから英語を話すという体験をさせてあげるといいと思います。こういったことも、年齢が若い方が学習しやすいという理由です。tomekko:なるほど! やっぱり「聞く」「話す」が大事なんですね。英語の教材やスクールを選ぶときに大切なことはありますか?加藤さん:英語を使いたいという意欲を育てることを前提に、効果的な学習方法を選ぶというのが大切です。何が効果的なのかは、お子さまの性格にもよるのですが、タイミングと学習環境、そして先生(指導者)選びが大事です。例えば、シャイなお子さまは最初は子どもが大勢いる英語教室よりも安心できる家庭での学習教材がいいかもしれません。ただ、「シャイだから連れて行かない」など親が子どものポテンシャルを閉じる必要はありません。初めてでも意外とやれることもあるものです。特に幼児は体調や機嫌で変わってくることもありますので。長い目でみてあげましょうね。自宅で楽しく「使える英語」を学ぶには?おっとりした長男には、家庭学習が合ってるかもしれない…。自宅で学べて、しかも先生と話す機会もある教材なんてあるの…? と思ったら、それがかなうのがベネッセさんの「進研ゼミ 小学講座」とのこと。 気になったことを責任者の豊泉さんに聞いてみました!tomekko:どんなレッスン内容なのでしょうか?豊泉さん:「進研ゼミ 小学講座」は、小学生での学びでとても大切な「自分で考えられる力」を身につけられるよう、お子さまが夢中で考え抜く楽しさやわかるおもしろさを体験・実感できる家庭学習教材です。2018年度4月号からの英語学習は、英語4技能を身につけられる内容にパワーアップします!バランスよく4技能に取り組める毎月のレッスンに加え、4技能が本当に身についているか診断できるアセスメントが受けられるようになるんです。技能別の力を細かく診断し、個別アドバイスをお届けするので、お子さまの力にあわせて英語力をしっかり身につけていくことができます。もちろん、お子さまが楽しく学べる工夫をしており、ゲーム形式や物語形式でネイティブスピーカーの音声で短いフレーズに何度も触れられたり、外国人とやりとりをする擬似体験などもできるようになっています。もっと英語に触れたい、英語力を伸ばしたい方には、有料オプションの「Challenge English」もおすすめしています。パソコンやオリジナルタブレットで4技能を学ぶデジタルレッスンと、月1回外国人講師との「オンライン会話レッスン」もできる講座なんですよ。tomekko:小学生が学ぶことを重視した教材、というのがいいですね!豊泉さん:ゲーム感覚のロールプレイや、クイズ形式など、英語力を確認できる仕組みを取り入れ、お子さま自らがやりたくなるような仕掛けをたくさん作ってあります。そして、周りを気にせず、間違いを恐れず、どんどん英語を使ってもらうためには、リラックスできるご自宅で、毎日英語に楽しく触れられれることもポイントだと考えています。「英語が楽しくなった」「自信がついた」といううれしいお声をたくさんいただいています!tomekko:それは、良さそうです!! 自宅学習だと送り迎えもいらないし、何よりおっとり長男が無理なく続けられそうなのが魅力的です。今までと違い、英語力もより大事になってくる今の子どもたち。母もいろいろ情報を仕入れて、子どもにあった学習法を見つけてサポートしていきたいと思います! 自宅で外国人講師との会話レッスンを受けられる!「Challenge English」をWEBで体験してみよう 「進研ゼミ 小学講座」も追加料金なしで英語学習ができるように!>> PR:株式会社ベネッセコーポレーション
2018年01月18日「第11回 LITALICO 教育実践フォーラム 2017」開催!Upload By LITALICOニュース2017年11月18日(土)の13:30より、大阪・梅田の「AP 大阪梅田茶屋町」(D+E+F+Gルーム)にて、発達障害に対する学校教育での合理的配慮をテーマとしたイベント、「教育実践フォーラム」が開催されます。登壇者は、発達障害児への教育支援研究の第一人者である大阪医科大学LDセンター顧問 竹田契一先生、障害児のICT活用等の研究を進める関西学院大学教育学部教授 丹羽登先生、障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究する鳥取大学大学院の井上雅彦教授ほか、小中学校・高校の教員、児童・生徒の保護者の方々。「障害のない社会をつくる」をビジョンに、児童発達支援事業や就労支援事業などを展開する株式会社LITALICOが主催し、教育を取り巻く課題と実践、未来の展望を考える「教育実践フォーラム」。2012年の初回企画から数えて、今回で11回目の開催となります。11回目のテーマは「合理的配慮」。どんな人々も個性を尊重され、過ごしやすい世の中になれば理想ですが、特定の個性や心身の症状を持っている人にとって生きづらい状況がまだまだ残っているのが現状です。たとえ障害のある方であっても、一人ひとりの困りごとや状況に応じた適切な配慮を受けることで、自分の力をより発揮しやすくなり、日常生活や社会生活を営むことが出来るようになる、という考えのもと進められているのが、「合理的配慮」です。今回は、専門家・現場の教員・保護者それぞれの立場から合理的配慮のあり方について考えていきます。第11回教育実践フォーラム専門家と保護者、それぞれの立場から語る教育現場の合理的配慮2016年4月に施行された「障害者差別解消法」(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)により、公立学校の教育現場でも合理的配慮が義務化されました。発達障害のある子どもにとって、学校生活における困りごととして、授業やテスト、成績評価、行事、さらには食事や排泄、友だちとの関わりなど、さまざまな場面が想定されます。フォーラムの基調講演では、発達障害に対する教育現場での合理的配慮に関して、発達障害児への教育支援研究の第一人者として長年ご活躍される竹田契一先生のお話を伺います。講師:大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生Upload By LITALICOニュース竹田契一大阪医科大学LDセンター顧問、大阪教育大学名誉教授、一般財団法人特別支援教育士資格認定協会理事長。専門は発達障害児(LD・ADHD・高機能広汎性発達障害)への教育的支援など。主な著書は「高機能広汎性発達障害の教育的支援」(明治図書)他、多数。基調講演のあとは、障害児のICT活用について研究を重ねられている丹羽先生からお話を伺います。社会の情報化が急速に展開している中、授業の双方向性を高め、児童生徒の主体性・意欲・関心や知識・理解を高める効果があるとして、学校教育におけるICT活用が注目されています。指導内容や指導方法を変更・調整することが合理的配慮の1つとして求められていますが、お子さんによっては、タブレット端末等のICTの活用が効果的なことがあり、積極的な活用が望まれています。丹羽先生の講演では、教育現場での合理的配慮の手段としてのICT活用について考えていきます。講師:関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生Upload By LITALICOニュース丹羽登特別支援学級や特別支援学校の教員として重度障害児教育に携わる傍ら障害児のICT活用等の研究活動を進める。文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官を経て、関西学院大学教育学部教授。病弱教育や障害児のICT活用に関する著書・論文多数。最後に、専門家・保護者等それぞれの立場から教育現場の合理的配慮の実際と課題について語るパネルディスカッションです。コーディネーター: 鳥取大学大学院教授井上雅彦Upload By LITALICOニュース井上雅彦鳥取大学大学院 教授/LITALICO研究所所長(アドバイザー)応用行動分析学を理論的基盤として障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究。ペアレントトレーニングシステムなどの支援プログラムの開発をはじめ、著書も多数。合理的配慮の導入を円滑にするためには、学校や本人・保護者が合理的配慮実現のための流れやしくみを共通理解し、コミュニケーションを密にすることが鍵となります。現場の教員の方々をパネリストに招き、保護者の方々にコメンテーターをしていただきながら、今現場で必要とされることについて考えていきたいと思います。第11回教育実践フォーラム詳細開催日時:11月18日(土) 13:30~18:45(受付開始 13:00)(教材等自由閲覧時間18:45~19:45)定員:240名参加費:無料(事前申込制)対象:小学校~高等学校、幼稚園、保育施設の職員、スクールカウンセラーなど子どもの教育や医療・福祉・行政機関など子どもの支援に関わられている方会場:AP 大阪梅田茶屋町 D+E+F+Gルーム(大阪府大阪市北区茶屋町1-27ABC-MART梅田ビル8F)アクセス:JR「大阪駅」御堂筋北口より徒歩約3分阪急電車「梅田駅」2F中央改札口より徒歩約1分地下鉄御堂筋線「梅田駅」北改札より徒歩約3分地下鉄谷町線「東梅田駅」北東改札・北西改札より徒歩約5分阪神電車「梅田駅」東改札口より徒歩約5分お申込み締切:2017年11月17日(金)13:00お問い合わせ:03-5704-7361(地域教育相談室 岡野)※お申込みは下部ボタンのお申込みフォームよりお願いいたします。主催:株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)12:00~発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(50分)13:00~受付開始13:30~開会挨拶(30分)株式会社LITALICO執行役員 野口晃菜14:00~基調講演(60分)【講師】大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生15:00~質疑応答&休憩(15分)15:15~講演(60分)【講師】関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生16:15~質疑応答&休憩(10分)16:25~パネルディスカッション(120分)【コーディネーター】井上雅彦先生【パネリスト】小中学校・高校の教員など数名【コメンテーター】丹羽登先生、児童・生徒の保護者さま18:25~質疑応答、インフォメーション、閉会挨拶(20分)18:45~パネル展示・教材自由閲覧・発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(60分)19:45終了学校や幼稚園、保育園の先生やカウンセラーの方々、子どもの発達が気になる保護者様はじめ、学校教育における「合理的配慮」に関心のある方々はどなたでもご参加いただけます。たくさんの方のご来場をお待ちしております!
2017年10月06日「シュタイナー教育」をご存知ですか?お子さんに少しでもいい環境を与えたいと願い、さまざまな教育論を調べたことがあるママなら、一度はその名を目にしたことがあるかもしれませんね。シュタイナー教育とは、オーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーが20世紀始めに提唱した教育方法です。7歳までの子どもたちは夢の中にいるようなものだとして、音楽や絵画など感性に訴えるアプローチで接することを掲げています。音楽のリズムに合わせて動く「オイリュトミー」というダンス、「にじみ絵」と呼ばれる独特の水彩画法が特徴です。今回は、都内のシュタイナー系幼稚園で働くG先生(50代女性/幼稚園教諭)から、自宅でできる「ゆるシュタイナー教育法」を聞いてきました。●(1)刺激は「子どもが欲してから与える」シュタイナー教育と聞いて最初に思い浮かぶのが「テレビを見せない」ということ。音や光の出るオモチャ、テレビゲームなんてもってのほか。遊ぶ道具は、石、木、布、羊毛といった自然素材だけなんですよね。でも、子育てママならそのハードルの高さはわかるはず。どうしたらいいのでしょうか?『子どもが求めてくる前に、親が先回りして強い刺激を与えてしまうことを避けてみてください 。テレビは、子どもが積極的に見たがっていないなら、あえて見せる必要はありません。プラスチック製のおもちゃも同じ。最初に与える遊び道具は、自然素材のもので十分です。でも、よそで見かけたり、他の子が持っていたりして、お子さん自身が興味を持ったなら、少しずつ与えてもいいと思いますよ』そうはいっても、家事をやっているあいだに子どもがテレビを見ていると助かるんですよね。夕方の幼児番組、「ほら!もうすぐ○○が始まるよ!ママ忙しいから、観てて〜!」なんて率先して付けちゃってましたが……それすらNGなんでしょうか?『そのあたりは、ママの裁量でいいと思いますよ。無理をしてまでノーテレビ育児にこだわり続けることはありません。ただ、7歳までは体のリズムを作る時期です。生活リズムをテレビに支配されないようにするのが大切ですね。大人がテレビなしの生活をしてみせるのも、時には必要です』なるほど。ということは、大人が観たい番組があるときは、録画をして子どもが寝たあとに楽しむのがよさそうですね。●(2)生活リズムづくりは「ゆるやかに」がコツシュタイナーの教えでは、毎日の生活リズムを作ることも重要視されています。決まった生活リズムを繰り返していくことが、子どもたちの心の調和と安定につながると考えられているからです。『家庭でも、ぜひ規則正しい生活を送っていきたいですね。まずは一日のスケジュールを組んであげましょう。ある程度大きなお子さんなら、親子で相談しながらスケジュール決めをするといいでしょう』でも先生、子どもってこっちの希望通りに動いてくれませんよね。うちの子はいつもノロノロしていて、スケジュールなんか決めても絶対守れません。守れないことでカリカリしてしまう自分も目に見えてますが、どうしたらいいですか?『細かく時間を定めてしまうと後がつらいので、最初は起きる時刻・寝る時刻・食事の時間帯をゆるく決めるくらいでOKです。「○時」ときっかり決めるより、30分程度の幅がある「時間帯」でスケジューリングしていく のがおすすめですよ。また、スケジュールを守れなかったときにお互いを罰しないことも重要です。お子さんの様子や発達段階を見極めながら、無理のないスケジューリングに組み直していきましょうね』●(3)子どもに「遊びを教えない」勇気を!シュタイナー教育で忘れてはいけないのが、オイリュトミーやにじみ絵などの独特な遊び方。これらは子どもたちの感性を伸ばすためのアプローチ法ですが、家庭で取り入れるにはどうしたらいいでしょうか。『子どもの遊び方に自由を与えてあげましょう 。最近のママたちを見ていると、やり方が決まっているオモチャを与え、子どもが考える間もなく「ほら、これはこうやって遊ぶのよ」と教えてしまっている方が多いんですよね。中には「その遊び方は間違ってる」とお子さんを叱っている姿も。これでは、子どもたちの感性は育ちようがありません。何に興味を持ち、それをどうするかはお子さんに全て任せてあげましょう。口出ししないことは、ママたちにはちょっと勇気がいるかもしれません。でも、グッとこらえて見守っていると、子どもの思わぬ発想にこちらが驚かされることもよくありますよ』つまり、オイリュトミーなど有名な方法論を知って、その形だけをなぞっても意味がないということですね。そういった各方法論の裏側にある理念をよく理解し、無理のない形で実践していくことこそが重要なのでしょう。----------いかがでしたか?今回G先生に伺った「ゆるシュタイナー教育法」は、特別で特殊な子育て方法ではありませんでした。むしろ、わが国の昔ながらの子育てに通じるところが多くあったように感じます。生活に無理のない範囲で取り入れていくと、子どもたちの豊かな成長と自立を促すことができるのではないでしょうか。●文/パピマミ編集部●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年06月30日小学校教育に新たな波がおとずれます。2020年より英語学習を前倒しする「早期化」と、5年生からの英語教育が成績のつく科目としての「教科化」がスタートすることになりました。英語が必要な時代が来ているとはいえ、この2点について親たちはどう考えているのでしょうか?Q.小学校の英語教育「早期化」「教科化」、どう思う?1.賛成 72.6%2.反対 7.2%3.わからない・どちらともいえない 20.2%小学校の英語教育「早期化」「教科化」に賛成という声が72.6%と大多数という結果になりました。グローバル社会で活躍する人材を育成するためには英語は必須と考える親が多くいるようです。■日常会話くらいは英語で話せる人に日本にもどんどん外国人が来るようになりますし、これから大人になるまでに海外に行くこともあると思います。そんなときにも日常会話くらいは英語で話せるようになってほしいというのが親の希望。そのための教育なのであれば賛成という声が多数です。「世界的に必要なこと。他国は母国語と英語、両方教えるのが普通」(東京都 40代女性)「日本語的英語ではなく、英会話力を伸ばしてほしいと思っています。聞き取った英語を素直に口に出せるようになったら最高だと思います」(佐賀県 40代女性)「英語に早くから親しむという点ではいいと思います。ネイティブの先生と英会話を経験する授業なら、導入としてはいいかもしれませんね」(千葉県 50代女性)■日本人なのだから英語よりもまずは国語反対派の多数の意見は、英語教育の前に日本語教育を学ぶべきというもの。美しい日本語や漢字などをしっかり学んでから英語を学んでも遅くはないという声や、学校の教員の英語レベルが気になるという声もありました。「単純に教科が増えるとすれば、他の教科がおろそかになる。PCやタブレットを使うために漢字の読み書きができない子が増えている。英語に力を入れるまえにもっとやらなければいけない課題がある」(静岡県 40代男性)「それ以前に日本人として正しい日本語を身につけさせることの方が重要なのではないかと思うのは私だけでしょうか?」(神奈川県 50代女性)■英語の早期教育のメリットとは音や発音は小さいうちにやったほうが効率的であることはすでにわかっています。苦手意識を持つまえに、自然と英語に触れて、話すことで英語力がついていくのが理想的。それが果たして小学校教育でできるのかが問題のようです。「英語教育は早ければ早いほど、国語と同じように自然に覚えられる利点があります。しかし、小学校教員の英語力には課題があるのが現状。映像やタブレット端末などを使用して、小学生のうちに日常会話には困らないようになってほしいです」(神奈川県 40代女性)Q.小学校の英語教育「早期化」「教科化」、どう思う?アンケート回答数:6408件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2017年06月06日「子育てに取り入れるといいらしい」と耳にすることもあるモンテッソーリ教育が気になっているという方も多いのではないでしょうか。モンテッソーリとは、教具を使った「お仕事」(遊びの時間)や個別活動による自主性を重んじた教育活動が特徴の教育法のことです。保育所や幼稚園で取り入れられることもある“モンテッソーリ”がどんな教育方法なのか、家庭でも実践できるのか、など詳しくご紹介します。モンテッソーリとは? そもそもモンテッソーリとは、マリア・モンテッソーリ(1870〜1952年)というイタリア人女性医師が開発した教育方法のことです。「モンテッソーリメソッド」「モンテッソーリ教育」などさまざまな呼ばれ方をしますが、どれもマリア・モンテッソーリが提唱した教育方法のことを指しています。マリア・モンテッソーリは、女性医師として子どもと触れ合うなかで、ある物事に関して吸収力が大きくなる期間があることに気が付き、それを“敏感期”と呼んで注目し始めました。1907年にイタリアに「子どもの家」という保育施設を作り、子どもが本来もっている能力を適切な援助で引き出していくモンテッソーリ教育法を生み出しました。この教育法は、「子どもの発見」と呼ばれ、現在でもその考えを継承した教育を行う幼稚園や保育施設、学校は世界中に存在し高い評価を得ています。モンテッソーリ教育の目的 モンテッソーリ教育の主な目的は、子どもの自立にあります。モンテッソーリの教育法によって引き出していく自発的に行動できる力や考え学び続ける力などは自立によってかなえられるとされているためです。「子どもは自分で成長し発達する力をもって生まれてくる」ことがモンテッソーリの教育法の基本でもあります。そのため大人は“子どものサポート役として“援助”するだけで、子どもの自発的活動を妨げてはいけない”存在だとされています。これをマリア・モンテッソーリは「生命の援助」と呼び、いまでも大切な理念として根付いているのです。どんな方法で行うの? “ひとりでできるようになる”ために、環境を整えることと少しの援助を行うことが大人である親や先生には求められており、“子どもを見守る”ことが重要だとされているのがモンテッソーリの教育法です。自発的に活動できるよう、自由にやりたいことができるよう準備をすることが、“環境を整えること”です。その準備は、ただ教具と呼ばれるおもちゃなどを用意しておくだけでなく、成長過程に合わせた物を置くことや「やってみたいな」と思わせる物でなければなりません。大人は、あくまでその成長を援助する“人的環境要因”ではありますが、適切なサポートを行えるよう常に意識して子どもを見守っている必要があります。つまり、自由になんでも好きなようにさせるのではなく、そのとき個々人に必要だと思われる物を適切な時期に“自分で”選び取れるよう援助するのがモンテッソーリの教育方法なのです。モンテッソーリの特徴 モンテッソーリの教育法には、大きく分けて3つの特徴があります。モンテッソーリの特徴1.個別活動モンテッソーリといえば“個別活動”が大きな特徴です。集団で行動するためには、”だれか”に合わせて動かなければなりませんが、一人ひとり興味やそのとき必要としていることは異なります。そのためモンテッソーリの教育法では、個別活動を基本としています。個別活動が基本ではありますが、子ども同士が一緒に遊ぶことを禁じてはいるわけではありません。子どもたちが一緒に遊びたいという気持ちをもっていれば、それがその子どもたちの活動になります。大切なのは、“子どもが自主的に活動しているか”にあるため、「個別活動ばかりで友だちと遊ばせてもらえないのでは」という心配はいらないでしょう。モンテッソーリの特徴2.自発性を重んじる個別活動の前提でもありますが、モンテッソーリの教育法は“子どもの自発性を重んじる”ものです。自発的に「これがしたい」と考え行動できるようになることもモンテッソーリの目的のひとつであるため、大人(先生)は自発性を妨げないよう、環境を整えています。また、遊びのことを“お仕事”と呼んでいることも大きな特徴として覚えておきましょう。モンテッソーリの特徴3.集団生活をするときには縦割りが基本幼稚園や保育所、学校でモンテッソーリの教育法を取り入れるときには、“縦割り”でクラス編成を行います。これは、社会性や協調性を身につけるために、大体3歳程度の年齢幅でクラスをまとめているのも特徴のひとつです。幼稚園では3・4・5歳児が混ぜられた異年齢クラスになり、保育所では0・1・2歳児と3〜5歳児の2段階でクラス編成されるケースが多く見られます。モンテッソーリの教育法5分野って? モンテッソーリの教育法は、5つの分野にわけられています。それぞれに適した教具があり、発達に沿った教具のレベルも分けられていますが、“大人が考えたカリキュラムの順番通りに進めていく”のではなく個々人に合わせて活動していきます。モンテッソーリの教育法1.運動運動=身体を動かす体育、ではなく、日常生活を営むうえで必要な動きを身につける分野が運動です。“思った通りに身体を動かして、自分のことは自分でできるようになる”ことを目的としています。大人の真似をしたがる主に2〜3歳頃を運動の敏感期と呼び、自立心や独立心といった基本となる心を養う時期として、適切な環境や援助を行っていきます。モンテッソーリの教育法2.感覚モンテッソーリの教育法では、2〜4歳頃を“感覚の敏感期”と呼び、他者との比較から自我の芽生えを援助する時期と考えています。生活のなかで自然と“持ち物の比較”などから自分と他者との違いを感じ始めたら、比較をテーマとした感覚教具を用意し、“同じ・違う”といった仲間分けなどを理解できるように援助していきます。モンテッソーリの教育法3.言語子どもが言語を習得するときには、“物には名前がある”ことを認識し、“性質を表す言葉”があることに気づき、“物をつなげて考えられる”ようになるという段階を踏むというのがモンテッソーリ教育法の考え方です。言語習得の流れの援助を行うために、適切な時期に絵や文字のカード(教具)を使って、話す・読む・書く力を身に着けていくのが言語分野です。モンテッソーリの教育法4.算数量=具体的な物、を理解することから始まり、徐々に“抽象的・論理的”な物の考え方ができるように導いていくのが算数分野で、そのための教具は細かな段階に分けられています。あくまで難しい計算ができるようになるのは結果であり、まずは考え方を身につけていくことを、モンテッソーリの教育法では大切にしています。モンテッソーリの教育法5.文化他の4分野の集大成ともいえるのが“文化”です。基礎的な力が身についたところで、歴史・地理・音楽などから、“文化を学び吸収する力”をつけていく分野となっています。モンテッソーリの“教具”モンテッソーリの教育法では、“教具”と呼ばれる道具が使われています。モンテッソーリ教育のおもちゃと言われることもありますが、正式には教具です。時期や子どもの成長に合わせて選んだものを“環境”のひとつとして置き、子ども自身が自主的に手に取るようにしなければなりません。本来“教具”は、おもちゃでも教育のためのアイテムでもないという扱いなのですが、感覚的には、おもちゃと教育グッズの中間に位置しているような存在と考えていてもいいでしょう。大切なのは、その“教具”を使うことを目的とするのではなく、“子どもが自発的に教具を使って遊び(=お仕事をする)、成長や発達のサポートになっている”ことにあります。その点をしっかりと押さえたうえで、教具を取り入れるようにしましょう。モンテッソーリ教育には資格が必要? モンテッソーリの教育法を行うための資格やモンテッソーリ教育が受けられる場所をご紹介します。モンテッソーリ教育の資格厳密には、モンテッソーリ教育を行うために必要な資格はありません。民間資格がいくつかあり、就職時に“○○資格の取得”が求められる可能性はありますが、保育士や幼稚園・小学校の教諭免許とは異なり、“絶対になくてはいけない”というものではないのです。ただし、モンテッソーリの教育法は、通常の“保育・教育”の勉強だけではなく専門的に学んだほうがよい部分もあるため、モンテッソーリ教育を行うプロになりたいと思ったときには、民間資格を取得するのがおすすめです。民間資格が受けられる機関日本で初めてモンテッソーリ教育の教師養成校を設立した公益財団法人才能開発教育研究財団/日本モンテッソーリ教育綜合研究所の「モンテッソーリ教育教師養成通信教育講座卒業資格」 モンテッソーリ教育 教師養成通信教育講座 | 公益財団法人 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 国際モンテッソーリ協会公認の一般社団法人モンテッソーリ教育研究会で認定される「ディプロマ資格」 モンテッソーリ教育研究会 モンテッソーリ教育を受けられる場所日本では、モンテッソーリの教育法を取り入れている保育所・幼稚園・学校に通うことで、モンテッソーリ教育を受けることができます。保育所や幼稚園は、各地域にモンテッソーリ教育を取り入れているところがあり、近隣で探すと見つかることが多いですが、小学校になると数が少なくなるため、小学校でもモンテッソーリの教育法を受けさせたいと考えている方は、事前にしっかり調べておくことをおすすめします。小学生になると、アフタースクールや習い事として、モンテッソーリに触れるパターンもあるので、学校が見つからないときにはそちらも検討してみましょう。家庭でモンテッソーリ教育を行うコツ家庭でもモンテッソーリ教育を行うことはできます。その際は、“手を出しすぎない”ことを意識するのがコツです。モンテッソーリのもっとも大きな特徴が“自発性・自立”です。ついつい家庭だと、見守りきれずに手や口を出したくなってしまいますが、大人は援助をするのみ、“見守る”ことを常に意識して過ごすようにしましょう。また、モンテッソーリの教具は“おもちゃ”として販売されています。一度にすべてをそろえるのは大変なので、気になったものだけを取り入れてみるのもおすすめです。特に感覚教具や算数の教具は、モンテッソーリならではな特徴を感じられるものも多いため、最初の一歩として購入する物にピッタリです。「買ったのだからやって!」ではなく、家のなかに置いておき子どもが自然と手に取れるようにして、モンテッソーリの教育法の基本を押さえたうえで取り入れるようにしましょう。<参考> モンテッソーリ教育研究会 公益財団法人 才能開発教育研究財団 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ学芸大学子どもの家オフィシャルサイト Mirai Kindergarten モンテッソーリ教育
2017年01月12日芸能ジャーナリストの松本佳子氏が16日、フジテレビ系情報番組『バイキング』(毎週月~金11:55~13:45)に生出演し、年内で解散するアイドルグループ・SMAPの冠番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系 毎週月曜22:00~22:54)の最終回の収録について言及した。MCの坂上忍が、今月26日に放送される『SMAP×SMAP』の最終回について「収録は終わったの?」と質問すると、松本氏は「歌の部分は終わったと聞いている。かなり感動的だったということなんですよね」と返答。「メンバーも、これが5人で歌うのが最後だと思ったら、こみ上げてくるものがあったようです」と語った。また、大みそかの紅白歌合戦にSMAPが出演する可能性について、「現状では0%と言われていますが、私は出るのではないかとみています」と予想。「紅白は国民的なお祭りの番組ですし、今後5人がソロになってやっていくにしても、芸能界でやっていく以上、ファンを大事にするという思いも込めて、歌わなくても5人並ぶ可能性はまだあるのでは」との見方を示し、「NHKさんも前日までスタンバイしているという体制をとっているようなので」と加えた。
2016年12月16日こんにちは。子育て研究所代表の佐藤理香です。教育業界では、これまでの教科的な教育を超えて、プログラミング教育や表現力を高める教育など、数々の新しい取り組みが始められています。最近では、幼児段階での取り組みも多くみられるようになりました。今回は“感性教育”についてお伝えしたいと思います。●感性教育とは?“感性教育”とは、明確な定義はありませんが、子どもの感性を育む教育のことです。“感性を育てる”とは、ものの感じ方を育てる ことです。感性そのものに正解や間違いはありません。『Nikon』が行った「こどもの感性教育に関する調査」では、興味深いことがわかりました。約9割以上のママが「感性教育は重要である」と考えている一方で、7割以上が「感性がどのように伸びるかを知らない」と回答しているのです。これは、感性が可視化できないために、教育方法が難しく、成長実感を得にくい ことと関連しています。特に、幼児は言語の力(話し言葉、書き言葉)がまだ乏しく、感じたことを絵や創作物で表現できるほど巧緻性(器用さ)が発達していません。そのため、子どもが瞬発的に感じたこと、直感で感じたことを表現するのが難しいのです。教育の分野では、感性の重要性が指摘されるものの、伸ばし方は課題のひとつになっています。●感性の伸ばし方子どもの感性を伸ばすためにおススメの方法を3つご紹介します。●(1)五感で季節を感じる五感とは、視覚、触覚、味覚、聴覚、嗅覚です。これは経験したことに起因するため、一気に育てようと思ってもなかなか難しい感覚です。日々の生活の中でも、ちょっとしたことで感性は育ちます。四季折々に、自宅の周囲でも景色が変わります。「夏に緑だった葉っぱが今は黄色だね。この後、どんな色になるかな?」「あんなに暑かったのに、今は寒くてほっぺが赤くなるね」など、親が感じたことを子どもに声掛けしてみましょう。子どもも素直にいろいろと感じてくれますよ。●(2)生き物や植物を育てる生死を教えることは難しく、子ども自身が参加してみて初めて気づくことも多いです。おススメなのが、生き物や植物を育てること。マンションなどの住宅事情もありますので、必ずしも大きな生き物でなくてもいいのです。例えば公園で見つけたダンゴ虫を飼ってみる、ヒヤシンスを育ててみるなど、ちょっとした工夫で子どもの感性を伸ばすことができます。筆者の例として、金魚すくいでとった金魚を飼っていました。子どもは図鑑で調べ、一生懸命に世話をしていましたが、ほどなく死んでしまいました。もちろん大泣きで、お別れの言葉まで述べて、お墓を作り埋めました。悲しい現実ではありますが、命と対峙する というかけがえのない経験と感性を育めたと思います。●(3)一緒に食事を作る子どもが2歳くらいになると、ちぎる、割く、こねるなどの作業ができるようになります。徐々に包丁などの道具も使えるようになるので、親子で一緒に食事を作るのも効果的です。食材の色や形、切り口、感触に味、調理したときに変わっていく形や色。味の変化はまるで実験だと思います。合わせて、食材の生産などにも触れれば、子どもは一段上のものの感じ方を身につけると思います。----------幼児の感性を可視化するのは難しいとお伝えしました。最後に、筆者がやっている方法のひとつをご紹介します。筆者は子どもにお古のカメラを持たせて、好きなように撮影させています。子ども自身が撮影を通して、発見や感動を写真として記録できます。カメラを近づけたり離したりと好きなように操って、あちこち動き回り、新たな発見を促すこともできます。カメラは、子どもが五感で感じた好奇心や感動の瞬間を表出させる一つの手だて として有効です。親としても、子どもが感じている視点を写真として確認でき、アドバイスをしたり、認めたりして感性の成長に繋がります。何よりも、このようなコミュニケーションが、子どもの社会性を育み、感性の成長を後押しするのかもしれませんね。【参考リンク】・ニコンイメージングジャパン、「こどもの教育に関する意識調査」を発表 こどもの育て方について「感性」を重視する母親は73.5% | 株式会社ニコンイメージングジャパン()●ライター/佐藤理香(株)●モデル/藤本順子(風悟くん)、ココア
2016年11月24日●連載の目次は こちら から●「小学校受験って、どうなの?」特集も今回は最終回。早期英才教育は有効なの? という素朴な疑問を、幼児教育研究所柊会(ひいらぎかい)代表の浅木真里さんにぶつけてみた。■早期英才教育は有効なのか?「お友だちが文字を書けるようになった」「英語教室に通い始めた」そんな話を聞くと、「うちも何かしなきゃ!」と気持ちは急く。育脳やバイリンガル、早期英才教育といった言葉にも、無関心ではいられない。そこで、「早期英才教育は有効なの?」という素朴な疑問を、浅木さんにぶつけてみた。「私の回答としましては、『子どもへの接し方が好ましいものであれば有効。好ましくなければ、やらないほうが良い』ということです。お子さまが嫌々やるのであれば、早期教育は百害あって一利なしだと考えています」難関私立中学受験指導をしていた(1本目にリンク貼る)という経歴から、小学校受験が苦い経験となり、学業でつまづいてしまった生徒を数多く見てきたからこその思いなのだろう。■焦らないほうが、良い結果が出ている今回の取材を通じて、浅木さんがとても強調していたことは、「どうか、お母さま方、焦らないで欲しい」ということ。この記事を書いている私は息子の中学受験を体験したことがあるが、受験準備中は、「志望校に合格しないと、この子は(私は)、その先、どうなってしまうのだろう?」という気持ちになりがち。それが「合格しなければ!」となり、準備が思うように進まないと、「何かしなければ!」という、やみくもな焦燥感に繋がり、子どもをせっついてしまう。「すんなり合格を手にするお子さまなど、1人もいません。志望校に合格した先輩を見て、『志望校に合格して、うらやましい』と思われるかもしれませんが、そんな方でも必ず、苦しい時期を過ごされています。『焦らないで欲しい』と申し上げても、焦ってしまうお気持ちは、現場にいればよくわかります。けれども、私の経験から鑑みても、焦らないほうが、良い結果が出ていることが多いのです」(浅井さん)小学校受験は、対策期間は平均して1年~2年。親や指導者に怒られないために努力することで、何とか志望校には合格をする。けれども、そういった子どもたちのその後の学校生活は、苦しいものになりがちだそう。 ■大切なのは心の安定と自己肯定感「すべての学年のお子さまを見てきて、真に思うことは、大切なのは心の安定と自己肯定感です」(浅木さん)親の焦燥感から、嫌がっているにも関わらずに無理に課題をこなすことを強いられ、、何とか合格を手にしても、子どもの心には大きな傷が残る。不合格だったらなおさらだ。それが、子どもが自己肯定感を持てない原因になってしまうこともよくあることだという。思春期に入っても自己肯定感が不足し、心が安定していない子どもは、成績が上がるまでに本当に時間がかかる。また学年が上がるほど、親も焦りを感じてしまい、子どもの心が満たされ自主的に努力するようになるまで待つことができないし、親子関係の立て直しも難しくなる。「そうならないために、幼少期に健全な親子関係を育んで欲しい、そのためにお子さまに接するお母さまのサポートにも力をいれております」(浅木さん)■子どもの人生を長い目で考えてみて欲しい「つい子どもを叱り過ぎてしまうママに伝えたいこと」(リンク貼る)でも記事にしたが、現代は子育ての負荷がママに集中してしまい、追いつめられた気分になりやすい。だからこそ、私たちは「そういう時代に子育てをしている」ということを、きちんと意識する必要がある。小学校受験をするとなると、ママ、あるいはパパたちは、「私が頑張らなければ!」とより一層、自分を追い込んでしまうこともあるだろう。私自身、「中学受験ママ」をやっているが、悲しいかな、すぐにテンパってしまう。最近、そんなときは浅木さんが取材で話してくれたことを思い出すようにしている。「小学校受験で花開く子もいれば、中学校受験や高校受験で花開く子もいます。子どものモチベーションを含めた適切なサポートができるよう、どうか子どもの人生を長い目で考えてみてあげてください。そして、焦ってしまうということは、それだけ真剣にお子様のことを考えていること。立派に母親業をこなしている自分をまずは認めてあげてください」受験は、親子にとってひとつの試練。でも、それを乗り越えた先には大輪の花が咲くと信じて、ゆったりと構えていられる親でありたいものだ。今回取材を受けてくださった浅木真里さんの著書『 名門小学校受験 合格する「家族力」 (浅木真理・著/エール出版社)』●浅木真里1981年、東京都生まれ。関西学院大学総合政策学部卒業。灘、ラ・サールなどの難関中学、医学部受験指導を行う学習塾の設立に携わる。名古屋在住時より、慶応幼稚舎、早実、雙葉、暁星小学校などの難関校への圧倒的な指導力の高さから指導依頼が絶えず、東京で小学受験指導を行う。その後、幼少期の母子関係の重要性を痛感し、幼児教育研究所柊会を文京区に設立。
2016年07月27日投資教育先進国といわれるアメリカでは、子どものころからお金について学ぶ機会が多いのをご存じでしょうか。 幼稚園から高校までの義務教育でお金にまつわることを学習するのはあたりまえ。お金にシビアなアメリカならではの、子どものマネー教育について紹介します。■ローン大国アメリカアメリカ人はお金にシビアだといわれます。それはクレジットカード、ローン大国であることが影響しています。健康保険や医療費もほかの国と比べてかなり高額。個人がしっかりファイナンシャルプランを身につけていないと簡単に破産してしまう社会です。厳しい社会のなかで財産を得て資本主義社会のなかで勝ち残っていくために、投資に関する知識を深める人も多いのです。そんななか、幼稚園から子どもの年齢に応じてお金に関する教育が行われています。親からお金を増やすための株式投資などの知識を得るケースもめずらしくありません。■日本でマネー教育をしない理由一方、日本では、子どもがお金の話をするのはあまりよくないという風潮があります。株式投資はリスクのあることだと敬遠する人も多く、なかなか学ぶ機会がないのが現状です。考えられる理由としては、貯金文化が定着していることがあげられます。堅実にコツコツためる、まじめな日本人の気質ともいえるでしょう。■おこづかい制のメリットみなさんは子どもにお金を管理させていますか? 将来の金銭感覚を養っておくためにも、早めにお金に関する知識を身につけることが大事です。さまざまな考え方があるものの、たとえば、定期的におこづかいをあげることで、子どもは自分のお金を管理し、計画的に使うことを学べます。おこづかい制にするか悩んでいる方は検討してみてください。また、お手伝いの報酬としてお金をあげるのも方法のひとつです。自分の労働によってお金を得ることができ、何もしなければお金を得られないという仕組みを学べます。お金を計画的に使う感覚は、将来役に立ちます。子どもが大きくなったら、家庭の予算立てに参加させてみるといいかもしれません。
2016年07月16日子どもを授かると、親としていちばん最初に考えるのが「教育費の準備」ですよね。できる範囲で希望の教育を受けさせてあげたい。親ならば誰もが思います。そこで最初に検討されるのは「学資保険」ではないでしょうか?学資保険は、いろいろある生命保険のなかでは、比較的好印象な保険ではないかと思います。しかし、この学資保険、本当に教育費の準備になるのでしょうか?なぜ日本人が学資保険に対して好印象なのかといえば、学資保険が積立代わりだと思っているからでしょう。■学資保険でいくら戻ってくるのか計算すべしその昔、郵便局で学資保険に入ると、満期の時に倍ぐらいになって戻ってきた時代がありました。インフレ率等を考えてきても相当な戻り率です(そのぶん住宅ローン金利も高かったので、差し引きしてどれくらい恩恵を受けている人がいるかは微妙ですが)。そのイメージがついてはなれないのか、「学資保険は得だ」と思ってしまうようです。しかし実は、ご相談に見える方の実の70%以上は、得にならない学資保険に入っているといったら、みなさん驚かれるのではないでしょうか。もしすでに学資保険に加入しているのであれば、一度計算してみてください。「いくら払って」「いくらの満期で戻ってくるのか」を。210万円払って、200万円の満期なんてケースは結構あります。なかには、払った以上に戻ってこないことをわかった上で加入している人もいるかもしれません。そんな人は決まって、「保険がついているから仕方がない」なんていい方をします。たしかに、学資保険・こども保険という名称の保険のなかに、育英年金などの保険機能がついているものもあります。学資保険払込中に契約者(ほとんどのケースで父親)が死亡した場合に遺族に教育費の援助ということで育英年金が支払われるという内容です。内容の話を聞くと、とってもいいような気がします。しかし、よーく考えてください。なぜなら、教育費等必要な保障額は、ご主人の生命保険できっちり計算してリスクヘッジさせてあるはずです。■200万円もらえる学資保険じゃないとダメつまり、わざわざ学資保険でプラスしてその部分にお金を払う必要はないはずなのです。その他に、子どもの医療保険がついていることを理由にあげられる方が多いのですが、それもいかがなものでしょうか?乳幼児医療制度が整っている今、ある一定の年齢まで、医療費は無料です。自治体によって違いますが、長いところですと中学校卒業するまで、医療費無料なんていう自治体もあるほどです。そのなかで、どれだけの保険料をそこに払うのが適当なのか、考える必要がありそうです。学資保険は、純粋の貯蓄であるべきではないかと思います。180万円ぐらいの払い込みで200万円の満期がもらえる。最低でもこれくらいでないと、月々積立預金をしたほうがマシなことになってしまうのではないでしょうか?現段階で、払ったより戻ってくる金額が少ない学資保険に入っている方は、がっかりしてしまったかもしれません。でも、あきらめずに、計算することをお勧めします。現在加入中の学資保険を解約すると、いくら損をするのか。そのことについて計算するのです。ほとんどのケースで保険の途中解約は損が出ます。しかし、いまやめた損のほうが、満期まで払い続けたときの損にくらべて少ない場合は、思い切って解約をすることをお勧めします。その上で、貯蓄性の高い学資保険に入りなおして損が少しでも埋まるのであれば、入りなおしを検討してみてもいいのかもしれません。(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝)
2016年07月05日小中学校での教育内容が、いわゆる“ゆとり教育”として行われたのが2002〜2010年度。この教育を受けた世代を広く“ゆとり世代”と呼びますが、いろいろな面で批判の対象とされることが多いのはみなさんもご存知の通りです。学力だけにとどまらず、「ゆとりだから……」という言葉で人間性まで否定されかねないこの問題。今回はパピマミ読者の皆さんに「ゆとり教育で問題だったと思うこと」 についてアンケートを実施しましたので、その結果を発表したいと思います。同時に行った『ゆとり教育で評価できたところは?』というアンケートでは、「デメリットしかなかった」という回答が半数近くを占めたようですが、いったい何が問題と感じられているのでしょうか。●ゆとり教育で問題だったと思うことは?・1位:学力の低下……23%(23人)・2位:競争意識の低下……19%(19人)・3位:コミュニケーション能力の低下……16%(16人)・4位:とくに問題はなかったと思う……13%(13人)・5位:自主性の低下……11%(11人)・同率6位:精神年齢の低下……10%(10人)・同率6位:協調性の低下……10%(10人)※有効回答者数:102人/集計期間:2016年6月20日〜2016年6月21日(パピマミ調べ)●「学力の低下」がトップという結果に『ゆとり教育中に行われた学習調査では、日本の順位が下がってましたよね。勉強なんてやったぶんだけ伸びるんだから、学習時間が減ればそういう結果になるのは当然のことでしょう』(40代パパ)『思考力を鍛えるための学習を増やすといっても、それらしい成果があったとは思えませんね。大学受験なんかも結局は暗記勝負じゃないですか。遠回りしただけのように思えます』(30代ママ)最も問題だったと感じられているのは、やはり学習面。OECDが行っている生徒の学習到達度調査では、ゆとり教育中の日本の点数低下が顕著となり、教育の見直しに着手するきっかけともなりました。知識を暗記する詰め込み型の教育から脱却するためのゆとり教育で、“総合的な学習”などの思考力を付けるための教育が推進されたものの、目に見える結果が出たとは言いづらい でしょう。脱ゆとり教育を果たした現在の教科書は、当時より4割ほど分厚くなっていると言われています。●次いで「競争意識の低下」がランクイン『運動会の徒競走で、手をつないでゴールすることがあるなんて本当なんですかね?いくらみんな平等にって言ったって、さすがにそれはやりすぎだと思いますよ』(40代パパ)『何でもかんでも優劣をつければいいってもんじゃないけど、競い合うことを良しとしない環境では、育たなくなるものもあるのかもしれませんね』(20代ママ)実際にゆとり教育を受けた20代の人たちからも、競争意識の低下を招いたことに対する批判が聞かれました。人と競い合うからこそ生まれる、「悔しい!」や「勝ちたい!」という強い気持ちは、ゆとり教育の中では育ちにくいと言えるかもしれません。さらに、競争意識がないことから「覇気がない」と思われる ことも多いようですが、決して不真面目というわけではなく、自分のやるべきことを黙々とこなすことができる特徴を持ちます。●コミュニケーション能力にまで影響『話題が合わないっていうだけじゃなく、人と交流することを避けているような印象があります。四六時中スマホを見て、人と会話する楽しさを知らないんじゃないかと思いますね』(40代ママ)『ゆとりってのは、勉強だけじゃなくて会話もできなくなっちゃったのかね。毎年新入社員が入ってくるけど、声は小さいし何言ってるのかわからない。会社の飲み会を断るやつなんて見たのは、最近になってからだよ』(50代パパ)新入社員と上司が噛み合わない“ゆとりエピソード”を聞くことは、珍しいものではなくなりました。プロセスを重視する教育を受けてきたことから、頑張ったことよりも結果が求められる仕事の場 では認められづらいこともあるようです。この他、怒られ慣れていなかったり、積極性に乏しかったりすることで、対人関係が苦手だと感じさせてしまうこともあります。仕事よりもプライベートを優先させ、会社の人間とは距離を保とう とするのもゆとり世代の特徴と言えます。----------いかがでしたか?実際に、ゆとり世代と言われる人たちの上の世代からすると、信じられないような価値観を持った若者に遭遇することもあるかもしれません。しかし、それは柔軟な思考によって生まれた新たな考え方というだけで、批判されることなのかは疑問でもあります。お互いの違いを認め合い、それぞれの良さを高め合っていくような関係を築くことが最適と言えるのではないでしょうか。【参考リンク】・【アンケート結果(1位〜6位)】ゆとり教育で問題だったと思うことは?()●文/パピマミ編集部
2016年06月26日こんにちは、ライターの渦マキです。近年、耳にするようになったフィンランドの教育“フィンランド・メソッド” 。どのような内容なのか、そして日本の教育現場においてフィンランドを見習うことはできるのかを考えてみたいと思います。●2000年に入って注目されはじめたフィンランドの教育2000年に入って、『OECD(経済協力開発機構)』の学習到達度調査『PISA』でフィンランドが上位に入ったことを機に、“フィンランド・メソッド”と呼ばれるようになり、フィンランドは教育先進国 として注目されるようになりました。しかしながら、実際のところフィンランドにおいては、“フィンランド・メソッド”という教育法は存在しません。『PISA』の結果に衝撃を受けた教育関係者たちがそのように呼び始めただけのようです。●フィンランド教育で注目すべき点●(1)国をあげての教育制度の改革「今、不況の中で一番投資が必要なものは子どもの教育である」という意見の教育大臣指揮のもと、教育改革が始められました。そこには企業への投資よりも、これから成長して行く子どもたちへの投資が最も有効だ という理念があります。授業料が小学校から大学まで無料だそうです。●(2)学校の順位付けがない(学校間のレベルの差がない)フィンランドの基礎学校は、6年間の初等教育と3年間の中等教育の9年一貫制 。卒業後は全員が進学資格をもっています。卒業後は、入学試験などは行わずに後期中等教育(高校か職業専門校)に進むことができます。基礎学校での評価で学校が決められます。また、学校に格差がない ので、子どもたちは大抵は地元の学校に通います。さらに、地域の格差ができにくい環境作りがされています。成績が本意ではなかった場合、10年生として無料で教育を受けることができます。●(3)教師の質が高い日本のように大学の教育学部を卒業し、教育職員検定に合格した者が教師になれるといったものではありません。大学で専門教科を学び、その後教師用のトレーニングを受け、特定の修士号を取得しなければ教師にはなれません。教師になったら、教材や授業のカリキュラムを独自に作るということも全て任され、教科書も教師が選ぶという徹底ぶりです。教師への全幅の信頼がなければ、こうした権利は与えられないのではないでしょうか。●(4)学習に遅れが生じる子どもは授業の前後で補習を行う教え合ったり、話し合ったりすることで子どもたちに協調性を育ませる。クラスの学習についていけない子どもに関しては、授業が始まる前後に補習で補います。教師の采配でフレキシブルにクラスを能力によってグループ分けして授業をすすめていきます。たとえば読み書きが苦手な子どもたちを教師だけではなく、それを得意とする子どもたちにも協力してもらって同じレベルに伸ばしていきます。クラスも少人数制です。子どもたちの協調性も培います。●日本でフィンランド式教育法は有効か日本でフィンランドの教育体制を見習い、同じように変えて行くことはできるのでしょうか?フィンランドの教育では、学習は大切なもの。しかし、その前に人間としての成長が最も大切なことだと社会全体が認識しています。それには子どもに十分な“遊び時間” を与えることが重要だと考えられています。日本における学歴社会では、学校での勉強時間の他にも塾などで子どもの自由時間は減って行くことになります。「いい大学を出て、いい会社に入社する」といった学歴信仰が子どもにとって本当に幸せなのかをよく考え直してみる時期なのかもしれません。現在の日本の社会を考えてみると、フィンランドのような教育体制を目指すことは今は難しいかもしれませんね。日本も国をあげて子どもの教育に投資していかなければ、将来国家全体に関わってくるという認識が求められます。【参考文献】・『フィンランドの教育力ーなぜ、PISAで学力世界一になったのか』リッカ・パッカラ(著)●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年06月16日