人間国宝で歌舞伎俳優の坂田藤十郎が5月30日、都内で会見を行い、今夏上演される近松座30周年記念『松竹大歌舞伎近松座公演』への意気込みを語った。『松竹大歌舞伎近松座公演』チケット情報昨年、東日本大震災の影響でやむなく中止となったが、今年は震災の影響のあった岩手や福島も回り、改めて開催されることになった。会見で藤十郎は「昨年は震災が起こり、巡業に伺うことができませんでした。今年、また同じメンバーでやらないと言ってもらえたのでぜひ伺いたい。震災に遭われた方に少しでもわれわれの歌舞伎を見てもらい、喜んでいただきたい」と語った。上方を代表する近松門左衛門の作品の上演を目的に、近松座を立ち上げてから今年で30年。当初は自主公演のような形ではじめたという。「江戸歌舞伎と上方歌舞伎、この両方が隆盛にならないといけないと思い、はじめました。上方の役者を先祖に持つ私としては、近松の作品だけを取り上げて、とにかく上方歌舞伎を一生懸命やるんだという気持ちで取り組みました」と当時を振り返る。出演は、藤十郎のほか、中村翫雀、中村扇雀、中村亀鶴、中村壱太郎、中村虎之介と一門の役者が揃う。「30年前の第一回公演『心中天網島』の時は血縁(の役者)は誰も出ていなかったけれど、今回は上方歌舞伎の血の流れている役者が大勢出ていることに、深いものを感じます」と感慨もひとしおの様子。「平成24年度(社)全国公立文化施設協会主催・中央コース『松竹大歌舞伎近松座公演』は6月30日(土)から7月31日(火)まで東京、兵庫ほか各地を回る。また、演目は30周年を記念し、『お目見得御挨拶』『夕霧名残の正月』『曽根崎心中』を上演する。
2012年06月01日歌舞伎俳優の市川染五郎が東京・新橋演舞場『五月花形歌舞伎』で『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』の源為朝を初役で演じる。祖父・初代松本白鸚、父・松本幸四郎も演じた役に挑む染五郎が現在の心境を語った。市川染五郎関連のチケット情報1969年に初演された本作は、曲亭馬琴原作の伝奇物語をもとに三島由紀夫が書いた創作歌舞伎。三島は小説以外にも『地獄変』や『鰯売恋曳網(いわしうりこいのひきあみ)』などの歌舞伎を創り、一連の作品は“三島歌舞伎”と呼ばれている。初演時は演出も三島が買って出るなど渾身の力を注ぎ、壮大な物語を幻想的でロマン溢れる歌舞伎に仕立て上げた。物語は忠誠を貫く英雄、源為朝の活躍を描いたもの。「上の巻」「中の巻」「下の巻」からなり、伊豆、四国、九州、琉球(現在の沖縄)と様々な地で繰り広げられるスケールの大きな芝居で、上演時間は休憩を入れて5時間近い。染五郎は「祖父が三島さんと創り上げた作品で、細部にわたってこだわりがあります。SF的でどこか古怪な感じもします。三島さんを筆頭に、(創作した)一座の熱を感じますね。そういうものを全て再現できれば」と意欲を語る。脚本も初演時のものを変えずに上演するそうだ。「あえて変えないでと思っているのは、この作品に対する取り組み方のひとつのテーマだと思っています。もしも変えるのであれば、初演時と同じ苦労をすべきじゃないかと。練り上げたものを通らないと変えることは出来ないです」。見どころについては「スペクタクルというよりはパンクですかね。絵に描いたようなヒーローの活躍や、役者がどれだけ輝いているか」を楽しんでと話す。今月は同じ新橋演舞場で『仮名手本忠臣蔵』の大役、大星由良之助役にも挑んでいる。「これが出来なきゃ意味が無い、高麗屋としてもとても大事な役です」。梨園の名家に生まれ、年齢とともに重責を担っていく立場になった今、歌舞伎俳優としての決意が垣間見えた。今後やってみたいことについては意外な答え。「究極は自分が書いたものを人に演じてもらって、自分は客席で観たいです」。来年は40歳を迎える。「ちょうど新しい歌舞伎座が完成する年なので、ハッキリとした目標が定められます。今年一年、来年に照準を合わせて頑張ります」。公演は新橋演舞場にて、5月1日(火)から25日(金)まで夜の部で上演する。チケットは発売中。
2012年04月18日大阪松竹座「二月花形歌舞伎」の製作発表が1月17日都内で行われ、出演者の市川染五郎、片岡愛之助、中村獅童が出席した。「二月花形歌舞伎」の公演情報次代の歌舞伎を担う人気花形役者による、古典の名作から新作歌舞伎まで、多彩な演目を揃える今回の舞台。3人は口々に本公演にかける意気込みを熱く語った。染五郎「今回の公演は四演目ございますが、全てに愛之助さん、獅童さんと共に出演いたします。昼の部はほぼ新作、夜の部は古典の名作、上演が途絶えていた作品と、かなりアグレッシブな作品の気がいたします。アグレッシブなエネルギーに乗っかりまして、それをパワーアップさせて、舞台上で暴れることが出来ればと思っています。『大當り伏見の富くじ』は、十年以上前からこの作品がやりたいと思っておりまして、それがやっと実現することにすごく興奮を覚えております。“歌舞伎でやったことのないことをやる、やったことのあるものはあえてやらない”ということを目標に徹底した喜劇を作りたいと思っています。2月は話題の舞台が多いですけれども、どこよりも目立つ公演を目指したいと思います」愛之助「一つ目の『慶安の狼』では野中小弥太というお役ですけども、獅童さん演じる丸橋忠弥とその時代を生き抜いていく二人の青春群像劇で、熱く演じたいと思います。『富くじ』では、傳七という侠客を、かっこよく演じたいと思います。そして夜の部の『すし屋』の権太は浅草で勤めさせて頂いて二度目でございますが、二度目というのは怖いものでございまして、うちの伯父の仁左衛門に手取り足取り教わりました。初心に返って勤めたいと思います。そして『研辰』は、初役の九市郎でございます。二月は染五郎さんが仰ったように、話題の舞台がたくさん開いておりますので負けないように、また外の寒さにも負けないように熱い舞台を繰り広げたいと思いますので、どうぞ千秋楽までよろしくお願いいたします」獅童「昼の部はまず、新国劇の作品であった丸橋忠弥を勤めさせて頂きます。『富くじ』は黒住平馬という役を勤めますが、どうやら禿げてる人で、カツラをかぶっている人という…途中でかつらがとれたり、とんでもない芝居になりそうです(笑)。大阪ですので、笑いにも厳しいですし、関西の芝居ですので、気をひきしめて劇場の皆様に楽しんでいただける芝居になれば、と思っています。『すし屋』では梶原平三をやらせて頂きますが、これは三度目でございます。『研辰』も皆で色々と相談しながら、野田版とは違った魅力の作品になればなと思います。こういった普段やらない演目ですとか、歴史上に残るといった公演で大役を勤めさせて頂くのは嬉しいことで、ゼロから作り上げていくということは大変な反面、喜びもありますし、わくわくする気持ちもあります。エネルギーと熱意と情熱とで、良い芝居を作りたいと思います」同世代の3人とあって、終始笑顔の絶えない会見。カメラマンの求めに応じ、照れながらもポーズを決め互いにツッコみあう様子に、3人の息の合った姿が垣間見えた。公演は2月2日(木)から26日(日)まで。
2012年01月20日歌舞伎俳優の市川海老蔵が、「七月大歌舞伎」にて舞台復帰することが松竹より発表され、主演映画の三池崇史監督作『一命』が10月公開予定であることも明らかになった。昨年12月以降、舞台出演を見合わせてきた海老蔵さん。父親の市川團十郎は、先日、5月に上演される「團菊祭五月大歌舞伎」の会見に尾上菊五郎と共に出席した際、海老蔵さんの復帰について「まだ白紙だが、みなさんと模索したい」と語っていたが、7月の新橋演舞場での公演での復帰が正式に決まった。映画『一命』は、『十三人の刺客』の三池監督による初の3D時代劇で、滝口康彦の「異聞浪人記」が原作。1962年には映画『切腹』として仲代達矢を主演に迎え映画化された。貧しくも、愛する人と共に、武家社会にひとり立ち向かった侍の生き様を描く本作。また、海老蔵さんにとっては2006年の『出口のない海』以来となる映画主演。鬼才・三池崇史とのコラボレーションで、どのように“飛び出す”のか注目だ。『一命』は2011年10月公開。© Natsuki Sakai/AFLO■関連作品:十三人の刺客 2010年9月25日より全国東宝系にて公開© 2010「十三人の刺客」製作委員会一命 2011年10月、公開■関連記事:第3回映画館大賞は『告白』!本屋大賞を受賞した原作に続き映画化作品も快挙第5回アジア・フィルム・アワード開催。登壇者から日本の被災者にお見舞いのコメント毎日映画コンクール授賞式稲垣吾郎、極悪人役にSMAPメンバー「地が出てるね」毎日映画コンクールタキシードの稲垣吾郎に大歓声!三池監督は銀色ジャケットで登場日本アカデミー賞優秀作品を一挙上映!好きな作品を観られる鑑賞券を5組10名様プレゼント
2011年04月11日