「劇団☆新感線」の人気公演を映画館で鑑賞する「ゲキ×シネ」の10周年記念作品第2弾『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』が公開となり、3月30日(日)に都内劇場で主演の古田新太、浦井健治、高橋由美子、麿赤兒が舞台挨拶に登壇した。「五右衛門ロック」シリーズの第3弾で空海の遺したと言われる宝を巡り大争奪戦が繰り広げられる。この日は、出演者のひとりである三浦春馬も出席予定だったが、高熱のために急遽、欠席となった。三浦さんからは「本日は体調不良のため劇場に伺えず、大変申し訳ございません。僕自身、映像化されるこの日を楽しみにしていました。久しぶりにお会い出来るキャストのみなさん、そしてゲキ×シネを待ち望んでいてくれた会場のみなさんと一緒に時間を過ごすことが出来ず、大変申し訳なく思います。新しく蘇った、ゲキ×シネ『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』を楽しんで頂けると嬉しいです」とのお詫びのメッセージが届けられた。古田さんはシリーズ3作目となったが「いつも通り」の自然体で臨んだと述懐。だが麿さん、そして村井國夫という両ベテランとの共演は「楽しみでした」と目を輝かせ、「喫煙所でいつも一緒でした。『肩が痛い。腰が痛い』と言ってました(笑)」と楽しそうにふり返る。三浦さん、そして蒼井優という若いキャスト陣についても「優も春馬も頑張り屋でギリギリまでお客さんを楽しませて、舞台袖に下がってハァハァ言ってました」とそのプロ根性を称賛していた。麿さんは古田さんを「世紀の詐欺師のような大物」と称賛しつつ、劇中で対峙し、にらみ合うシーンについては「ホントに腹が立ちました。背筋がズズっとするような感じでしたね」と述懐。舞台公演時以上のアップで見られる両雄のにらみ合いは大きな見どころと言えそうだ。本シリーズですっかり“バカ王子”のイメージが定着した浦井さんだが、この日も天然発言を連発。古田さん、高橋さん、橋本じゅんとの歌のシーンでは「毎回、立ち位置が違うって怒られました。立ってるんですけど…」と語り、高橋さんから「立ってない!」と怒られ、古田さんからも「健治とじゅんさんは困ったもので、怒っても『はいはい』というだけで何にも聞こえてない」と苦笑い。そんな指摘にも浦井さんは「幸せでした」とニコニコと笑みを振りまき、会場の笑いを誘っていた。最後に古田さんは「これからもくだらないものをいっぱい作っていきます。飽きるまでよろしく!」と呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。ゲキ×シネ『ZIPANGPUNK~五右衛門ロックIII』は公開中。(黒豆直樹(cinema名義))
2014年03月31日劇団☆新感線の看板役者・古田新太が五右衛門に扮した人気ロック時代劇シリーズの第3弾『ゲキ×シネ ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』の公開を記念して、3月30日(日)に新宿バルト9でキャストによる舞台あいさつが実施される。また当日は、イベントの模様が全国の映画館で生中継される。その他の写真“ゲキ×シネ”は、劇団☆新感線の公演を最新のデジタル機器を駆使して収録し、映画館の大スクリーンで上映するもの。ゲキ×シネ最新作『ZIPANG PUNK…』は、豪快で正義感あふれる天下の大泥棒・石川五右衛門が空海が隠したとされる黄金を巡って大騒動を巻き起こすアクションあり、歌あり、ダンスありのエンターテインメント作品。三浦春馬、蒼井優、浦井健治、高橋由美子、麿赤兒ら豪華キャストが顔を揃えている。新宿バルト9で行われる舞台あいさつには、古田、三浦、浦井、高橋、麿赤兒が登壇する予定。舞台あいさつ付き上映のチケットは3月11日(火)より一般発売される。なお本イベントの2回目(19:50の回)は、18歳以上の観客が参加できる。『ゲキ×シネ ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』3月29日(土)全国公開『ゲキ×シネ ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』舞台挨拶3月30日(日)会場:新宿バルト9 (東京都)15:00の回上映後/19:50の回上映前登壇者(予定):古田新太/三浦春馬/浦井健治/高橋由美子/麿赤兒/他料金:2200円(全席指定)『ゲキ×シネ ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』舞台挨拶中継劇場T・ジョイ大泉/品川プリンスシネマ/池袋HUMAXシネマ/MOVIX昭島/MOVIX亀有/シネマイクスピアリほか全国49館チケット発売:3月11日(火)10:00より
2014年03月03日井上芳雄、浦井健治、山崎育三郎の3人によるユニットStarS。この結成は、間違いなく2013年演劇界のトピックスのひとつだろう。もともと、それぞれが現在の日本ミュージカル界を牽引する人気俳優だが、彼らがひとつに集まったパワーは凄かった。5月に行った1stコンサートは即日完売。デビューCDはオリコンウィークリーランキング7位にランクイン。ミュージカル界の枠を超えて注目を集めた。さらに11月には、ミュージカル俳優の単独公演としては史上初の日本武道館公演が控える。3人に現在の心境を訊いた。StarS武道館公演 チケット情報はこちら井上は5月のコンサートを「僕たちの予想を超える盛り上がりでした。アイドルみたいなことをやって、最初は「引かれたらどうしよう」とおっかなびっくりだったのですが(笑)。お客さんが楽しんでくれて、すごく幸せでした」と振り返る。そこで得た3人の絆もかけがえのないものになった。「舞台の共演では作れないような関係性が作れました。ふたりの姿を見て自分も頑張ろうと思えるし、常に“StarSの看板”も感じながらステージに立たなきゃと思います」(山崎)、「今まではなかなかミュージカル界で横の繋がりってなかったんですが、それをダイレクトに感じられました。それは今後の舞台にも生きてくると思います」(浦井)。もともとStarSは、3人が「ミュージカルの素晴らしさをもっと広めたい」という気持ちから始めたこと。その手応えは「僕は今『レ・ミゼラブル』の公演中なのですが、そこでも「StarSで知って、初めて舞台を観ました」という方もたくさんいらっしゃる」(山崎)と実感する一方で、「CDをリリースして、爆発的に売れて世間に広まったりしないかな、という期待もちょっとあったんですけど(笑)。そんなに簡単にはいかないですよね。でも逆に、ミュージカル、演劇のお客さんの力を感じました。気に入ったら何回も観に来てくれて、応援してくれる。そこが盛り上がっていれば、そこからまた、広がっていく」(井上)と、自分たちのホームグラウンドの温かさを改めて感じるきっかけにもなったようだ。武道館公演は、そんなファンへの感謝の気持ちでもあるという。「やっぱりこれだけ盛り上がったら一発大きなことやりたいね、だったら武道館しかない! と。でもそこには自分たちの力なんてほとんどなくて、応援してくださった皆さんと動いてくれているスタッフのおかげ。だから『ありがとう公演』というタイトルなんです」と井上。浦井は「僕らの経験がひとつのきっかけになって、今後ミュージカル界でも武道館でやる人が増えていったらいいですよね」とこちらも大局的な視線で意気込みを語った。どこまでもミュージカル愛に溢れるプリンスたちが新たな伝説を作る瞬間に、一緒に立ち会おう。『三大ミュージカルプリンスコンサート StarS ありがとう公演~みんなで行こう武道館~』は、11月11日(月)、日本武道館にて開催。チケットは9月7日(土)一般発売開始。チケットぴあでは8月26日(月)11:00まで先行抽選「プレリザーブ」を受付中。
2013年08月23日現在、東京・帝国劇場にて上演中のミュージカル『二都物語』で、7月26日、アフタートークショーが行われた。『二都物語』は、ともにミュージカル界のプリンスと呼ばれている井上芳雄、浦井健治という若手実力派スターふたりの共演も話題だが、このイベントには井上、浦井とともにユニット“StarS”を結成している山崎育三郎が司会としてゲスト出演。今年5月にはCDデビューを果たし、ミュージカル界の外からも注目を集めている“StarS”が集結ということで、この日のチケットは完売御礼。ファンの熱い視線が注がれる中、プリンスたちの爆笑のトークが繰り広げられた。トークショーでは、様々なエピソードを脱線気味に話す井上・浦井を、軌道修正しつつ話を進めていく山崎、という、コンサートなどでもお馴染みの3人の個性が炸裂。作品では井上と浦井は同じ女性を愛する役どころだが、井上が珍しくフラれる役だということで「でも、お客さまの共感がぎゅっと自分に集まってくるのを感じる。結ばれるふたりよりこっちの方がおいしい!」(井上)というような話から、稽古期間は毎日井上・浦井が一緒に帰っていたという仲良しエピソード、さらには「最後は(残される)僕たち家族はいたたまれないけれど、十字架を背負うんじゃなく希望を託されているんだ、と(演出の)鵜山さんからはアドバイスをもらいました」(浦井)という真面目な話まで、縦横無尽なトークが展開された。さらに、もちろんStarSの話題も。2011年の帝国劇場100周年を記念したテレビ番組で鼎談をしたことが、ユニット結成のきっかけになったというStarS。「今日ここで3人で立てたのは嬉しい!」(井上)という感慨深い発言も飛び出した。11月にはミュージカル俳優の単独公演としては史上初の日本武道館公演も控えている彼ら。「武道館ではミュージカルファンの皆さんも一緒に盛り上がっていただきたい。本当に感謝・感謝の公演にしたい」と山崎が話せば、井上が「“1日だけのお祭り”です。浦井君はお祭りを表現して、衣裳はふんどしですよね!」と笑いを取るなど、楽しそうに武道館公演の構想も話していた。「StarSを見て、『二都物語』に興味を持って観に来ましたという方も結構いらっしゃる。それは本当に嬉しいこと。相乗効果でお互い盛り上げあっていければ」と井上。『二都物語』は8月26日(月)まで、同劇場にて。チケットは発売中。また、“StarS”日本武道館公演は11月11日(月)に開催、こちらのチケットは9月7日(土)に一般発売を開始する。
2013年07月29日古田新太が天下の大泥棒・石川五右衛門に扮する劇団☆新感線の人気シリーズ最新作『SHINKANSEN☆RX「ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII」』が、12月19日に東京・東急シアターオーブにて開幕した。出演はほかに三浦春馬、蒼井優ら。劇団☆新感線 SHINKANSEN☆RX『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ』チケット情報もともとは「古田新太には石川五右衛門のヅラがよく似合う」という思い付きから始まったという今シリーズ。2008年、2010年公演に続いての第3弾だ。1作目では南の島、前作ではヨーロッパの小国を舞台に大冒険活劇を繰り広げた五右衛門だが、今回の舞台は初の日本。空海が開いた寺にある黄金目玉像という仏像を盗むも、それは金メッキのガラクタ。だが実はそれにこそ空海が残した莫大な埋蔵金の隠し場所が暗号として刻まれていた。そのお宝をめぐり女盗賊、盗賊目付、堺の悪徳商人、さらに天下人秀吉や、前作から五右衛門との因縁を引きずった南蛮人までも登場、怪しげな人々が入り乱れ、陰謀や復讐や恋が繰り広げられていく。とにかくこれぞ劇団☆新感線、と手を叩きたくなる、派手で粋で、血湧き肉躍る舞台。轟音で鳴るロック、フライングなど派手な演出、さらにおバカ要素もてんこもりで、思いっきり笑って楽しめる。ちゃらんぽらんのようで決めるところはバシっと決める古田の五右衛門はもはや鉄板。ユニークな“五右衛門ヅラ”すら次第にカッコ良く見えてくるから不思議だ。また探偵的ポジションである盗賊目付、明智心九郎役の三浦春馬が、新感線初参戦とは思えぬハマりっぷり。ルックス良し歌良しダンス良しで、さらにコメディセンスも抜群。“ウザ爽やか”とでも呼ぼうか、彼ならではのキャラクター造形で百戦錬磨の新感線メンバーと渡り合っても一歩も引かないインパクトで、舞台人としてのセンスの高さを見せ付けた。蒼井優も映像で見せる印象とは180度違う、おきゃんな娘を好演。女盗賊・猫の目お銀をぴょんぴょん元気に飛び跳ねながらキュートに演じる。また三浦演じる心九郎と双璧をなすうっとおしさをかもすシャルル王太子を、ミュージカル界のプリンス・浦井健治が前作に続きハジけた演技で楽しげに演じれば、悪役ポジションで村井國夫&麿赤兒のベテランコンビがビシっと舞台を締める……と、キャスト陣の豪華さも他に類をみないほど。まさにお祭りのような舞台になっている。新感線ではめずらしい、謎解き要素も加わった今回の作品。五右衛門らが挑む暗号解読に加え、男女の心の謎解きも物語の軸のひとつ。この部分を三浦と蒼井がしっかりと演じ、観劇後、熱狂の中にもほのかに爽やかな余韻を残させる。年末年始の忙しい間を縫っても観に行きたい、ジャパニーズ・エンターテインメントだ。公演は1月27日(日)まで同劇場にて。その後2月6日(水)から28日(木)まで大阪・オリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)でも上演される。チケットは発売中。
2012年12月25日『東のエデン』、『攻殻機動隊 S.A.C』シリーズの神山健治監督の最新作『009 RE:CYBORG』が間もなく公開される。石ノ森章太郎の未完の傑作を現代の観客に改めて提示する狙いはどこにあるのだろうか? 神山監督に話を聞いた。その他の画像石ノ森先生が『サイボーグ009』の連載を開始したのは1964年。世界が冷戦の脅威にさらされている中で、各国から集まった9人のサイボーグ戦士たちは悪に立ち向かった。しかし、人類を粛清しようとする創造主に立ち向かうべきかサイボーグ戦士が苦悩する『天使編』と、“神”と崇められた存在について描いた『神々との闘い編』は完結することなく、石ノ森先生はこの世を去った。神山監督は冷戦が終わり、正義が乱立し、国家の枠組みが溶解しようとしている2012年に、本作で石ノ森先生が残した“問い”を改めて観客に問いかけたい、と語る。「かつて石ノ森先生は“全人類の総意が悪を生み出すわけだから、人間がいくら頑張ったって悪が滅びることはないのだ”という結論を出してしまっている。でも、そうであるならば、人類と対決するのか? そもそも神とは何なのか?そういったことを描いて行く中でエンターテインメントとしての落としどころを喪失したのではないかと思うんです。だから僕なりにそこに挑戦してみようと」。映画の舞台は2013年。世界各地で起こる無差別テロ事件はみな“彼の声”と呼ばれる謎の指令に従って行われ、009こと島村ジョーの耳にも“彼の声”は届く。誰もがテロの実行犯になってしまう可能性がある中で、かつて世界を救ってきたサイボーグ戦士たちが集結する。「グローバル化していく中で“多国籍軍”のような009が必要とされなくなり、有史以来、最も個人主義が台頭している。だからこそまず“悪”ではなく“全人類の正義とは何か?”を考えたんです。それは現実に照らし合わせるとありえないこと。でも、人類が危機に瀕し、それを守ろうとする状況を描くことで、石ノ森先生が考え抜いて、棚上げした問題をみんなで改めて考え直そうということに立ち返ったわけです」。本作のために取材を受ける過程で「自分の中の正義のルールや道徳観が、石ノ森先生の描いてきたもので出来ていたことに気づいた」という神山監督。これまでの神山作品に共通するテイストやテーマをしっかりと引継ぎながら、その始まりとも言うべき石ノ森作品に挑んだ『009 RE:CYBORG』が、石ノ森先生のファン、神山監督のファンからどう受け止められるのか楽しみだ。『009 RE:CYBORG』10月27日(土)公開
2012年10月26日2009年秋、全三部9時間一挙上演の快挙を成し遂げた新国立劇場の『ヘンリー六世』。歴史上繰り返される復讐の連鎖、諍いの悲劇をダイナミックに舞台に立ち上げ、高く評価されたことは記憶に新しい。その続編が『リチャード三世』だ。新国立劇場は、前三部作の主要キャストが同じ役で継続出演する同作の上演を企画した。三部作の終幕、白薔薇ヨーク家と赤薔薇ランカスター家の熾烈な戦争はヨーク家が勝利し、ヨーク公の長男エドワードが即位。末弟グロスター公リチャードが王位を狙って劇中を疾駆し、やがて壮絶な最期を迎えるのが今作だ。9月某日、稽古場を取材した。新国立劇場『ヘンリー六世』チケット情報前回に続きリチャードを演じるのは岡本健一。背や足に生まれつきの障害を持つ、醜い容姿に対する劣等感から、権力を手に入れるべく謀略と殺人を繰り返すリチャード。その暴君ぶりを岡本は、役の裏にある衝動や揺れ、人間的な感情の移ろいで裏づけた緻密かつ大胆な演技で肉づけていく。冒頭、自身が殺したヘンリー六世の皇太子妃・アン(森万紀)を王位への足がかりとして口説く場面では、憎悪に燃えるアンを、獲物を追い込む猟師の力強さと官能的な言葉でねじ伏せる。ふたりの兄エドワード(今井朋彦)とクラレンス(前田一世)を陥れるためちらつかせる偽りの思いやり。腹心バッキンガム(木下浩之)と策謀を巡らせ、その成否に一喜一憂する滑稽さ。母・ヨーク公爵夫人(倉野章子)から向けられる嫌悪に対する諦めと自嘲。目を引いたのは、ヘンリー六世の妃マーガレット(中嶋朋子)と対峙する場面だ。中嶋も三部作から同役を続投。戦を嫌う夫に代わり、息子エドワードと共に戦場に赴く烈女は敗北の後、今度は身ひとつで夫と子を奪われた怒りと哀しみ、呪いの言葉を吐き散らし、白薔薇一族の破滅を予言する。中嶋マーガレットの鬼気迫る呪詛を、岡本リチャードが僅か一言の“返し”で無効にする場面は思わず吹き出すおかしさ。場の空気を一変させる緻密な間合いは、俳優同士として信頼の厚いふたりだからこそ表現し得るものだろう。三部作の稽古時、「今まで演じられて来たリチャードとは全く別の表現を見つけた」と言った岡本の言葉が鮮やかに蘇える。舞台下にいても稽古中は、身体を傾け足を引きずるリチャードの姿勢を続けるその気迫の凄まじさ。さらに終幕、リチャードの暴走を止めるべくフランスから攻め入るリッチモンド伯ヘンリー、後のヘンリー七世を演じるのは前作のタイトルロール浦井健治。清々しい若武者ぶりで戦いを終結させ、ヘンリーからヘンリーへ、同じ名を持つ者に権力が再び渡るという繰り返す歴史の不思議、人間の愚かさ、それゆえの愛おしさを一身に背負った立ち姿には貫禄すら感じられた。人物すべてが活き活きと動き、せりふが粒立って届くのは作品と俳優を熟知した演出・鵜山仁の手腕によるもの。古典作品への先入感を払拭する、躍動感あふれるドラマはライヴで体感しなければ損としか言いようがない。公演は10月3日(水)から21日(日)まで、東京・新国立劇場にて上演。取材・文:尾上そら
2012年09月25日チャールズ・ディケンズの不朽の名作『二都物語』を基にしたミュージカルが、井上芳雄と浦井健治の出演で2013年夏に東京・帝国劇場にて上演される。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』などでも有名なイギリスの文豪チャールズ・ディケンズ。彼の書いた小説『二都物語』は、18世紀後半のフランス革命動乱期、ロンドンとパリの“二都”を舞台に、ひとりの女性をめぐるふたりの男性の悲劇的な恋と運命を描いたもの。この長編小説を原作に、脚本・作詞・作曲をジル・サントリエロが手がけミュージカル化した。2007年に米・フロリダで上演後、2008年にブロードウェイで公演が行われ、来夏、日本での初演が決定。なお、日本では宝塚歌劇団が過去『二都物語』を舞台化しているが、これとは別の作品となる。井上はシドニー・カートン役を、浦井はチャールズ・ダーネー役を演じる。演出は鵜山仁が担当する。公演は2013年7月18日(木)から8月26日(月)まで東京・帝国劇場にて上演。チケットは2013年春に発売予定。
2012年07月30日岡本健一が主演を務める舞台『リチャード三世』の制作発表会見が東京・新国立劇場で行われ、岡本と共演の中嶋朋子、浦井健治、演出の鵜山仁らが登壇した。『リチャード三世』チケット情報本作は、2009年秋に同劇場で上演された『ヘンリー六世』三部作という9時間に及ぶ大作の続編にあたる。岡本はその中でも同じリチャード三世を演じた。今回は主人公の立場で、自分の醜い容姿を呪いつつ、王位を手に入れるため様々な姦計をめぐらせ、言葉巧みに身内や家来までをも陥れていく悪に徹したリチャード王をどのように演じるのか、注目が集まる。会見で岡本は「コンプレックスを抱えた人が、なぜそこまで上に登りつめていくのかずっと疑問でしたが、3年前の『ヘンリー六世』の中で彼の生き様を演じると、父親の愛がものすごく強いことを感じました」と話し、「剣を言葉に代えて登りつめていきます。言葉によって人がどれだけ簡単に動かせられるか。けれども、人を騙したり、悪事を働いて上にいったところで、そういう国王は滅びるのも早いです」と役について説明。そのうえで「血筋を全部殺してでも王冠が被りたい」とリチャードの気持ちを代弁。「リチャードは死に向かっていく作品なので、どういう気持ちになるのか。この役を演じられることは光栄で、ワクワクしてます。命をかけて頑張りたい」と意気込みを語った。故ヘンリー六世の王妃・マーガレット役の中嶋は横で話す岡本の姿を見て、「いましゃべっていた健ちゃんはすでにリチャードですね」と楽しそうに話し、「(マーガレットは)歴史を引きずる役です。今回は、私自身も生き証人として舞台を見届けたい。もうちょっと軽やかに巧みに生きてみたい、そういう力をくれる作品にできたらなと思います」と抱負を語った。また、前回タイトルロールを務めた浦井は、リッチモンド伯ヘンリーに扮し、リチャードと一騎打ちの死闘を繰り広げる。浦井は「ヘンリー六世の面影を持った役として取り組みたい」とコメントした。『ヘンリー六世』と同じ劇場、同じスタッフ、そしてほぼ同じキャストで上演される『リチャード三世』。演出の鵜山は「観た事もない舞台を早くお目にかけたい」と意気込んだ。公演は10月3日(水)から21日(日)まで東京・新国立劇場中劇場にて上演。チケットは7月22日(日)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは7月20日(金)までインターネット先着先行(プリセール)を受付中。
2012年07月18日蜷川幸雄演出による〈彩の国シェイクスピア・シリーズ〉の第25弾として、ロマンス劇『シンベリン』が上演される。シェイクスピアの作品群でも異彩を放つ本作は、多面的な登場人物と入り組んだプロット、波乱万丈のストーリーが見どころ。阿部寛、大竹しのぶ、窪塚洋介、勝村政信、浦井健治、瑳川哲朗、吉田鋼太郎、鳳蘭ら、そうそうたる顔ぶれが全力で息を吹き込む本作。4月2日(月)に彩の国さいたま芸術劇場にて開幕する日本公演に続き、5月にはロンドンオリンピックの前夜祭である『ワールド・シェイクスピア・フェスティバル』に招かれている。開幕を目前に控えた稽古場は、熱気であふれていた。『シンベリン』公演情報物語はブリテン王シンベリン(吉田)が、ひとり娘イノジェン(大竹)と幼なじみのポステュマス(阿部)の結婚に激怒するところから始まる。ローマに渡ったポステュマスは現地で知り合ったヤーキモー(窪塚)と語り合ううち、妻の貞節について財産を賭けることに。早速ブリテンに渡りイノジェンを誘惑するヤーキモーだったが、イノジェンは当然その誘いをはねのける。その夜、イノジェンの寝室に忍び込み、ポステュマスが贈った腕輪を盗んで帰国したヤーキモー。不義の証しとして彼から腕輪を示されたポステュマスは、全てを失った悲しみにイノジェンへの復讐を誓う。一方、夫のいるローマへ男装して向かうイノジェンの前に、ギデリアス(浦井)とアーヴィレイガス(川口覚)兄弟が現れて……。稽古場に入ると、まず浴衣やガウン姿で稽古を待つキャストたちが目についた。稽古場いっぱいに広がる楽屋鏡や化粧道具の数々は、実際に舞台で使われる物だそう。その横でスタッフやキャストに声を掛けつつ歩き回る蜷川と、和やかに応える彼らの様子は、まるで大衆演劇の一座のよう。剥き身の関係性が熱を放つそんな空気感は、稽古に入るとますます高くなった。静かにたたずむポステュマスの阿部が次第に激昂してゆく姿や、無垢な王女イノジェンに扮した大竹の、刻々と移り変わる横顔。そして誘惑者ヤーキモーを演じる窪塚の細い体躯からにじみ出る、不思議な存在感。そのどれもが生々しく、湿り気をもった体温として伝わってくるようだ。さらにシンベリンと先妻の息子クロートン(勝村)とのコミカルなやりとりや、ひそかに奸計をめぐらす王妃(鳳)の場面など、このキャスト陣ならではの自在な表現力に稽古場の全員が引き込まれるひと幕も。まさに最後まで目が離せない、極上のエンタテインメント。そのエネルギーを全身で浴びられるであろう本番を、楽しみに待ちたい。埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールにて4月2日(月)から21日(土)まで。その後、福岡・北九州芸術劇場 大ホール、大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、ロンドンのバービカン・シアターにて上演される。取材・文:佐藤さくら
2012年03月29日俳優として活躍する傍ら、ミュージシャンとしてもキャリアを重ねる古川雄大。多数の映画出演と並行して、舞台経験もミュージカル『ファントム』『深説・八犬伝~村雨恋奇譚~』他と豊富だ。その彼が初めて出演したミュージカルは『テニスの王子様』。それまでもダンサーとしての舞台出演はあったが、「テニミュがほぼデビュー。(この人気作への出演は)恵まれたデビューでした」と語る。その彼が今年、ウィーン初演から20年目を迎える『エリザベート』の皇太子ルドルフ役に挑む。“大ヒットミュージカル”という共通点はあるとはいえ、今度は歴史あるグランドミュージカル。「プレッシャーは、あります。プレッシャーだらけです」。そう語る横顔は、整った顔立ちにクールな雰囲気と、すでに“孤高の王子様”の趣きだ。『エリザベート』チケット情報はこちら作品は、落日のオーストリア・ハプスブルク家の皇后エリザベートが窮屈な宮廷生活の中、葛藤しながらも自由を求めて生きていく物語。今回の公演期間中に、上演回数1000回を迎えるほどの人気作だ。古川も、以前から『エリザベート』という作品の存在はもちろん知っていた。「作品のパワーが強い、という印象です。時代の最先端で、社会に囚われず生きた女性。そこに登場人物が巻き込まれていく。ナンバーも素晴らしくて、魅力がいっぱいです」。その彼が演じるのは、主人公エリザベートの息子、ルドルフ。皇太子でありながら父である皇帝と政治的に対立し、革命運動に身を投じ、破れていく。その崇高さと悲劇性でとても人気の高いキャラクターだ。日本初演では井上芳雄がこの役でデビューし、ほかにも浦井健治、伊礼彼方らこの役を演じた俳優たちはその後日本ミュージカル界の重要な位置を占めている。いわば“ミュージカル・スターの登竜門”。だが、その注目度、人気と相反し、ルドルフの出演時間は20分弱と意外にも短い。「出番は短いんですが、その中にドラマが凝縮されていて、それをきちんと伝えなければいけない。難しいです。でもルドルフって強い男だと思うんですよ。心も強いですし、行動力もあるし。自分とは……追い込まれて追い込まれて、それでも歩く一歩が似ています。僕も、もがきながら進むんです」。言葉を選びながら、真摯に語る。控えめだがきちんと前を見据える視線は、確かに自らの信じる道を進んだルドルフに似合っている。「言葉で着飾っても、自分は全然、未熟なんです。だから、今回はすべてにおいて挑戦です。プレッシャーはもちろんありますが、プレッシャーを受けられる立場に自分がいることを幸せに思わなくちゃいけないですし、プレッシャーに強くなりたい」。そう話す古川に好きなナンバーを訊いた。「全部好きなんですが…『僕はママの鏡だから』が好き、かな。母であるエリザベートとの関係性がわかるし、悲しいけれど、優しさがある曲だと思うので」。そのセレクトにも古川らしさが見てとれた。公演は5月9日(水)から6月27日(水)まで東京・帝国劇場にて。チケットは発売中。その後福岡、愛知、大阪でも上演される。なおルドルフ役は古川のほか、大野拓朗、平方元基のトリプルキャスト。
2012年03月28日ABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが音楽を手がけたミュージカル『CHESS』。これがコンサート版として日本初上陸する舞台『CHESS in Concert』が1月26日に開幕した。同日、東京・青山劇場にて公開舞台稽古が行われ、出演する安蘭けい、石井一孝、浦井健治、中川晃教が取材にも応じた。ABBAのミュージカルといえば映画化もされた『マンマ・ミーア!』がよく知られるところだが、『CHESS』はその大ヒットより前、1986年にロンドンで初演された作品。『エビータ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』のティム・ライスが原案・作詞を手がけ、ABBA解散の2年後、ベニーとビョルンが初めて手がけた伝説のミュージカルだ。劇中歌が全米3位、全英1位にチャートインするなど優れた楽曲に彩られ、熱狂的なファンも多く生み出した。物語はチェスの世界大会を題材に、東西の冷戦という背景を背負った登場人物たちのドラマを綴っていくもの。待望の日本上演となる今回は、コンサート版と銘打つものの、チェス盤を模したステージにモノトーンの衣裳を身に着けた出演者たちが、登場人物の心理をも丁寧に演じていく。荻田浩一演出のもと、繊細で緊張感あるステージが誕生した。チェスの世界チャンピオン、アメリカ出身のフレディは中川晃教。中川の得意とする天才肌の役どころを、高低自在の歌唱力を武器に水を得た魚のように生き生きと演じる。その恋人であり彼のセコンドを務めるフローレンスは元宝塚の安蘭けい。ハンガリー出身ながらアメリカで暮らし、そして後に恋人のライバルと恋に落ちる複雑な役どころを情熱的に、また理知的に演じた。フレディの対戦相手であるソビエト連邦のアナトリーは石井一孝。国家を背負って試合に挑む姿、さらには亡命後の葛藤まで、短縮されたコンサート版の中でも明確に見せていく。様々な背景に翻弄される出場者たちを公正にジャッジする審判・アービターを、超越した存在感で妖しげに魅せたのは浦井健治。4人とも歌唱力は抜群で、美しいハーモニーで音楽の魅力も存分にアピールした。舞台稽古後に行われた会見では、「素晴らしい音楽に囲まれて毎日幸せです。みなさん本当に上手く、舞台袖で自分の出番を忘れるくらいうっとりしています」(安蘭)、「ABBAの書いたミュージカルということで、さぞかしポップでノリノリな音楽の作品と思ったら、とんでもなく難しい役が来ちゃいました(笑)。でもハーモニーが綺麗でさすがABBAだなという音楽です」(石井)、「コンサートではなくミュージカルといっても過言ではないくらいのしっかりした作品になっています」(浦井)、「とっても壮大だしとってもストーリーを感じる音楽です。こんなに素敵な夢のコラボレーション、絶対見逃しちゃまずいです!」(中川)とそれぞれ語り、皆、この作品にほれ込んでいる様子だった。公演は1月29日(日)まで同所にて。2月10日(金)から12日(日)には大阪・梅田芸術劇場 メインホールでも開催される。
2012年01月27日山口祐一郎が主演するミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』が11月27日東京・帝国劇場にて開幕した。前日の26日には、山口のほか知念里奈、高橋愛、浦井健治、山崎育三郎、石川禅ら出演者たちが初日を目前にした心境を語った。『ダンス オブ ヴァンパイア』チケット情報はこちら作品はロマン・ポランスキー監督映画『吸血鬼』を原作にしたウィーン生まれのミュージカル。日本でも2006年、2009年と公演を重ね、今回が三演目となる人気作だ。内容は、山口祐一郎が演じるヴァンパイアのクロロック伯爵と、石川禅扮するヴァンパイア研究をするアブロンシウス教授の対決を軸に、個性豊かな登場人物が騒動を起こしていくコメディタッチの物語。爆笑シーンの連続に激しいダンス、ジム・スタインマンによるロックなサウンドと客席の熱気もヒートアップする作品なだけに、出演者たちの意気込みも相当なもので、山口は開口一番「全員で舞台で爆発しようと思っています!」と挨拶。またこの作品の魅力を改めて問われると「演じていて楽しいというのは怒られちゃうんですけど、自分がやっていて楽しい。それに出演者が毎回、自分の持っている持ち味やエネルギーを作品にぶつけてくる。だからこそ皆さんに愛されているのかな」と答えていた。クロロック伯爵が狙う乙女・サラ役に、前回に引き続き出演する知念里奈に加え、高橋愛が初参加するのも話題。お風呂のシーンもあるが「モーニング娘。だったら出来ないことなので……。卒業して“モーニング・コード”がなくなったとたんにコレかあ!って感じです(苦笑)。稽古中は緊張しなかったんですが、いざ舞台に立つと、どうしようって緊張感もあります」と話す。ポロリを期待していいかという報道陣の質問に対しては「ないです絶対!」と即答。すると先輩の知念が「ポロリがないように、一生懸命わたしはああした方がいい、こうした方がいい、と言ってるんですが……(アドバイスを)やめておいた方がいいですかね?」と言い、笑いを誘っていた。公演12月24日(土)まで同所にて。1月7日(土)から12日(木)には大阪・梅田芸術劇場 メインホールでも上演される。チケットはともに発売中。
2011年11月28日山口祐一郎が主演するミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』の製作発表が11月8日、都内にて行われ、山口のほか知念里奈、高橋愛、浦井健治、山崎育三郎、石川禅、演出の山田和也が登壇した。開場100周年を迎えている帝国劇場で、この作品が記念の年の掉尾を飾ることになる。「ダンス オブ ヴァンパイア」チケット情報はこちら『ダンス オブ ヴァンパイア』はロマン・ポランスキー監督映画『吸血鬼』を原作に、『エリザベート』などの人気作を手がけるミヒャエル・クンツェが脚本を担当したウィーン発のミュージカル。ヴァンパイアのクロロック伯爵とヴァンパイアを研究するアブロンシウス教授との対決を軸に、ユニークな登場人物が巻き起こす騒動を時にスリリングに、時にコミカルに綴るもの。2006年の日本初演時には客席が総立ちになり、千秋楽には当日券を求める観客が1200人以上列を作ったほどの人気作だ。2009年の再演を経て、今回が三演目となる。初演からクロロック伯爵を演じているのは山口祐一郎。山口は「みなさんに少しでも元気になっていただけるなら何でもしますと(演出の)山田さんにお話したんですが、『山口さんに何でもしますと言われても僕は……』と言われてしまいました(笑)。またお風呂のシーンもあることですし、高橋さんと知念さんにはぜひ頑張っていただいて、みなさんにエネルギーをお伝えすることができれば」とユニークな挨拶を。山口から話を振られた知念里奈と高橋愛は宿屋の娘・サラ役をダブルキャストで演じる。風呂好きのヒロインでセクシーな入浴シーンもあるが、今回作品に初参加する高橋はそのシーンについて「最初ちょっと驚いたんですが、(前回も出演している)知念さんに裏技を訊いて、色々やっています。頑張ります!」と心強いコメント。知念も「愛ちゃんのサラはすごくキュートで可愛らしい。こんな風にやることもできるんだなと思うところもあり、私も新たなサラを模索していければ」と話していた。また、モーニング娘。を卒業してこれが初仕事となる高橋は「卒業してひとりで歩かなきゃいけない時にこういう作品にめぐりあえて嬉しい。それに、やっぱりひとりじゃない。キャストやスタッフの皆さんとひとつのものを作るというのは変わっていない」とソロとしての第一歩についての心境を語っていた。公演は11月27日(日)から12月24日(土)に東京・帝国劇場、1月7日(土)から12日(木)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演。チケットは東京公演分は発売中、大阪公演分は11月13日(日)に一般発売開始。
2011年11月09日『東のエデン』や『攻殻機動隊 S.A.C』シリーズの神山健治監督が4日に都内で新作発表会見を行い、2012年秋公開に向けて石ノ森章太郎の傑作漫画を基にした新作『009 RE:CYBORG』を製作中であることを発表した。その他の写真当日は、一般の観客が会場に入場したほか、全国の劇場で生中継、さらにはネット回線を通じた生中継で20万人以上のファンが見守る中で会見が行われた。当日はまず約4分半のフッテージ映像が上映され、「まるで断頭台にあがる気分」と緊張の面持ちで登壇した神山監督から新作のタイトルが明かされた。本作は今から約1年前に着手し、昨年9月に神山監督による脚本が完成。Production I.Gと株式会社三次元の共同製作で、完全3Dで製作が進んでいる。本作の特徴について神山監督は「最初から3Dを前提としてキャラクターをつくり、セル画のルック(見た目)のままでフル3Dでアニメーションを作っています。未知の体験になっているのでトライ&エラーを繰り返している」と述べ、物語については「原作は70年代の冷戦時代を背景にしていましたが、今回は201X年の現代。009は(国籍の違うメンバーが集う)小さな国連軍のようでしたが、国際情勢にも変化がある中で、“攻殻”で扱ったポリティカルなテーマも描きつつ、009ならではの題材を描きたい」とコメント。フッテージ映像では、仲間であるはずの005と009の戦闘シーンも登場したが「あの場面は00同士が闘っているようにも見えますね」とヒントだけを残した。本作が目指すのは、“日本の伝統的なアニメの強み・美学”を踏襲しながら、完全3DCGのアニメーションをつくりあげること。三次元の鈴木氏は「製作の手法はピクサーなどのCGアニメと同じですが、あえてコマを抜いたり、質感を抜いたりすることで、セルアニメに見えるように作っている」と説明。公開されたフッテージでもカメラワークやキャラクターはCGでなければ表現できない内容でありながら、爆発の炎や水、ジェット噴射などはあえて手描きアニメのテイストを残すなど全カットに美学的なこだわりが見られ、石井朋彦プロデューサーは本作のアニメーション表現が「日本が3Dで唯一勝てる道」だと宣言し、これまでの神山作品を多く手がけてきた美術監督の竹田悠介氏は「009は幼少の頃の“原点”と言える作品。これを最新技術で映像化できることに興奮している」と語った。絵コンテの作業も進んでおり、公開は来年秋を予定。最後に神山監督が「1年後にみなさまの期待にそえる作品を持って帰ってきたい」と意気込みを語ると、客席からは大きな拍手があがった。なお、本会見で披露されたフッテージ映像は公式サイトで99時間限定で公開中。『009 RE:CYBORG』2012年秋公開
2011年10月05日「劇団☆新感線」の人気公演をスクリーンで甦らせたゲキ×シネ『薔薇とサムライ』が6月25日(土)に公開を迎え、古田新太と天海祐希の主演コンビが東京・新宿の新宿バルト9で行われた舞台挨拶に登壇した。海を渡り、イスパニアで海賊の用心棒となった石川五右衛門とその“盟友”の女海賊で王家の血を引くアンヌの活躍を描く。舞台公演をふり返り古田さんは「楽しかったですよ、僕は天海さんのファンなんで、近くで見られて嬉しかったです」とニンマリしつつ「あとは浦井(健治)さえいなければ…」となぜか浦井さんをライバル視?新感線の公演への出演は2度目となる天海さんは「素晴らしかったです。受け入れ態勢も万全で、私は自分のことだけしっかりやれば良いようにしてくださって」と感謝の弁。ゲキ×シネに関しても天海さんが「大騒ぎしながらみんなで見てました」と言えば、古田さんも「普段、自分の出ているシーンを前から見ることはできないので、自分に歓声を上げてました!」とご満悦だった。この日のイベントの様子は全国の劇場に生中継されており、2人が全国のファンから寄せられた質問に回答。「注目の役者は?」という質問に、古田さんは迷うことなく「浦井健治」とここでも“浦井プッシュ”。「かなりテンション高くて、奴は舞台上で自分が何してるのか分からなくなってましたから」と答え、天海さんも「みんなで『落ちつけ!』って言ってましたからね」とうなづいた。また、女海賊、そして女王として強いリーダーシップを発揮している天海さんに対して「理想のリーダー像は?」という質問も。天海さんが言葉を選びつつ「愛情を持って統率できる人ですね」と答えると、すかさず古田さんが「“あの人”には愛情が感じられないということで…」と、日本の政界をチクリと風刺するかのような横槍。天海さんが慌てて「私は何も言ってないですよ!」とストップをかけ、報道陣に対し「ペンを走らせてる場合じゃないですから!」と制止する一幕も。劇中さながらの2人のコミカルなやり取りに会場は笑いに包まれた。作品に関しては「絶対に楽しんでいただけると確信してます。熱さも疲れも日々の不満も吹っ飛ばして楽しんでいただければ」とアピール。さらに「新感線」に対しても「体力がなくならないうちに早いうちにまた呼んでほしい」とラブコールを送っていた。『薔薇とサムライ』は新宿バルト9ほか全国にて公開中。■関連作品:薔薇とサムライ 2011年6月25日より新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて公開© 2011, VILLAGE INC.■関連記事:古田新太×天海祐希インタビューコスプレ御免!“両想い”の2人が踊り狂う古田新太、天海祐希の絶賛に下ネタ&パパラッチネタで応戦!頼りになる“アネゴ女優”ランキングアンジーをおさえての1位は“BOSS”天海祐希!古田新太らキャスト登壇予定『薔薇とサムライ』完成披露試写会に10組20名様ご招待シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第14回)頼りになる“アネゴ”女優は?
2011年06月27日世界中で熱狂的な支持を集める、神山健治監督の大人気シリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の3作目となる長編アニメを、監督自らの指揮のもと完全3D化させた劇場版『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』。現在大ヒット公開中の本作が、このほどデザイナー・橋本淳とタッグを組み、神山氏との夢の“匠”コラボレーションが実現した。本作の舞台は西暦2034年、情報ネットワークとサイボーグ技術の発達により、人々の意志が電脳で繋がれた未来。複雑化する“電脳犯罪”を食い止めるべく結成された独立部隊「公安9課」、通称“攻殻機動隊”による謎の追究が描かれる。アニメ「東のエデン」(フジテレビ)の大ヒットも記憶に新しい神山監督だが、その名を一躍知らしめたのが、この「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズ(原作・士郎正宗)。国内ビデオグラムは販売累計230万本を突破するほどの人気ぶりで、オリジナル版の発表から4年を経た今回の映画化では全編3D化に加え、新作作画のオープニングで幕を開けるとあって公開前から大きな注目を集めていた。そして公開からわずか20日間で、興行収入1億円を突破、5月7日(土)からスクリーン数を3倍に拡大公開することが決定している。この公開を記念して、今回メンズブランド「junhashimoto」を手がける橋本淳氏と神山氏が手を組み誕生させたのは、本作に登場する架空のハッカー「笑い男」をモチーフにしたカレッジリング。実は、元々「junhashimoto」を愛用していたという神山氏。「東のエデン」では、同ブランドのデザインを模倣した洋服を主人公に着させるという逸話もあるほどだが、今回の映画化を機に、遂に橋本氏との初タッグが実現したわけだ。「攻殻機動隊」ファン垂涎のカレッジリングは、「junhashimoto」の店舗ならびに公式オンラインショップにて発売中。数量限定なので、気になる方はお早めにチェック!『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』は新宿バルト9ほか全国にて公開中。「笑い男」カレッジリング価格:21,000円(税込)※全サイズ共通詳細:■関連作品:攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D 2011年3月26日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011 士郎正宗・Production I.G / 講談社・攻殻機動隊製作委員会東のエデン劇場版IThe King of Eden 2009年11月28日よりテアトル新宿、テアトルダイヤほか全国にて順次公開東のエデン劇場版IIParadise Lost 2010年3月13日よりテアトル新宿、テアトルダイヤほか全国にて順次公開■関連記事:『東のエデン』ポスター完成!TV版エンディングのあのグループによる主題歌も決定
2011年04月22日