オールパートナーズが運営する相続ポータルサイト「オール相続」は21日、「もし5,000万円の財産を相続したらどうする?」と題したアンケート調査の結果を発表した。○現金の相続、使い方は「貯金」が半数以上同調査では、突然3,000万円の価値のある不動産と2,000万円の現金を家族や第三者から相続した場合の使い方について、アンケートを実施。2,000万円の現金を相続した場合については、「貯金する」が半数以上の59%で最も多く、次いで「投資する」が17%、「ローン返済」が13%、「わからない」が7%、「使う」が4%となった。一方、3,000万円の不動産を相続した場合については、「賃貸経営にする」が48%でトップ。以下、「売却する」が33%、「わからない」が11%、「自分が住む」が8%と続いた。不動産と預金、両方合わせての場合の最も多い回答は「不動産は賃貸経営、現金は貯金」、2位は「不動産は売却、現金は貯金」、3位は「不動産は賃貸経営、現金は投資」となった。同社は「賃貸経営で毎月定期的に収入を得つつ、貯金もある程度保有しておく」という使い方が、今回の回答者にとって「一番安定した理想の状態」のようだとしている。調査期間は2016年1月13~20日、調査方法はインターネット、有効回答は30~70代の個人100人。
2016年01月21日不動産・相続コンサルティングのプロサーチは4日、「相続」をテーマにした川柳の募集を開始した。募集期間は2016年3月31日まで。○相続にかかわる川柳を大募集同社は、「相続」を身近に感じてもらえるような企画やイベントを実行し、「相続」を誰もが自分事として考え、早い段階で相続対策に家族全員で取り組めるための「きっかけ」を世の中に提供していきたいと考えているという。そこで今回、「相続」を考える「きっかけ」作りのための第1弾の企画として、「相続」をテーマにした『相続川柳』を募集することを決定したとしている。同社は「相続と聞くと、まだまだ先の話と捉えて身近に感じてもらえない方が多い中で、川柳を使って楽しく相続や老後について考えていただく『きっかけ』を創造したい」と話している。「相続問題でよくありがちなシーン」「相続にまつわるちょっと笑えるエピソード」「財産に対する親の本音や子の本音」「実際にあった相続トラブル」など、「相続」にかかわる川柳を募集。応募は1人3点までで、未発表のもの限る。なお、応募作品の著作権・出版権は全て主催者(プロサーチ)に帰属する。入賞賞品は、最優秀賞がJTB旅行券5万円分(1人)、優秀賞が全国共通お食事券2万円分(5人)、佳作がビール共通券350ml缶×10缶分(10人)。応募は『相続川柳』募集サイトまで。
2016年01月04日総資産15億円を養母から相続したことで話題のお笑い芸人・前田けゑ(33)が10日、東京・渋谷で行われた映画『パリ3区の遺産相続人』(11月14日公開)の試写会に出席し、トークイベントで"15億円"のいきさつを語った。同作は、主人公・マティアスが父の死後に豪華なアパルトマンを相続し、そこでの暮らしの中で家族の知られざる歴史と対面していくヒューマンストーリー。前田は、2012年に亡くなった養母(80代)から総資産15億円を相続し、現在は不動産や飲食店を経営する傍ら、カスタネットを駆使したパフォーマンス活動などを行っている。まさに主人公の分身のような境遇。後に養母となる名古屋在住の資産家女性は、身寄りがなく「名字と墓を守る人」がいないことから、長年の友人関係だった祖母が相談を受け、4人兄弟の三男である前田に白羽の矢が立った。3度目の食事で養子になることを請われて承諾し、前田は実母に相談することもなくそのまま区役所で手続きを済ませたという。その後、週の半分は名古屋に行き、身の回りの世話だけでなく、話し相手になったりドライブをしたり。ちなみに、養母が資産家と知ったのは亡くなった後だった。"15億円"が独り歩きしているせいか、周囲からうらやましがられることも多いという前田。今では「しょうがない」と諦めているが、包み隠さず話している理由を「こういうお仕事なので義務というか、言わなきゃいけないと思いました。相続したらどんなことが起こるのかを世に伝えていきたい」と説明。「資産は現金ではありません」と念を押しながら、「相続する方に生前に伝えてあげてください」と呼びかけた。実際、前田にも5億円の相続税が発生したが、当時の貯金は10万円ほど。「この状況になると、土地か建物を売らないといけない。早く売らないと1日2万円の延滞税がかかります。いろいろな人に"5億円を作る方法"を聞いて、2~3年はそういう勉強をしていました」と振り返った。苦労はそれだけではない。前田が「初めて言います」と切り出して明かしたのは、前田よりも前に養子入りをしようとしていた人物の存在。2億円ほど使い込んでいたことが発覚したことから結果的に追い出されたが、後に養子になった前田の周囲では異変が起こり始める。車のサイドミラーを折られていることもあり、本人とは断定できないが前田は当時を思い出して苦笑いする。「相続してからいろんな人がいろんなことを言ってくるんです。お金をくれとか貸してくれとか」と周囲の変化に気づきながらも、芸人らしく笑い飛ばす前田。最近ではファンレターが届くこともあり、「分厚いファンレターなんですよ! うれしくて読むじゃないですか。でも……最後に口座番号が書いてありました。500万円貸してくださいと」とオチをつけて観客を笑わせていた。
2015年11月11日横浜銀行は26日、「相続定期預金プラン」の取扱いを開始した。○当初3か月間は特別金利年1.50%を適用相続定期預金プランは、相続により受け継がれた資産をもとに作成した定期預金に対して、当初3か月間、特別金利年1.50%を適用するもの。また、初回満期日までにNISA口座を新規に開設した場合は当初3か月間、特別金利年2.13%を適用するという。特別金利は、12月30日までに契約した場合のものを税引前金利で表示している。2016年1月以降の金利は、決まり次第都度、横浜銀行ホームページにて掲載する。横浜銀行によると「29日現在のスーパー定期と大口定期のそれぞれ3カ月物の店頭表示金利は年0.025%(税引後年0.01992125%)なので、相続定期預金プランの特別金利は破格の数字。これまで取引がなかった人でも、当行に口座を開設することで利用できる」としている。○相続定期預金の概要利用できる人/相続により資産を受け継ぎ、相続手続き完了日・相続財産受取日のいずれかの日から1年以内の個人の顧客(他の金融機関で相続手続きをされた人も対象)預入金額/50万円以上、相続により受け取った金額まで。1回あたり50万円以上であれば、分割して作成することもできる預入期間/3か月。満期後はスーパー定期または大口定期として自動継続される金利/基本プラン:年1.50%(税引後年1.1952750%)。NISA口座開設プラン:年2.13%(税引後年1.6972905%)。満期後の書き替えの際は、その時点での店頭表示金利を適用。必要書類/相続財産を証する書類(相続税の確定申告書等)横浜銀行は、今後も顧客に対する最高の金融サービスの提供を通じて、信頼される金融グループとして、活力ある未来の創造に貢献していくしとている。
2015年10月29日韓国で視聴率No.1を記録し、日本でも人気を博したドラマ「相続者たち」。今秋、この大ヒット青春ロマンスに出演したイ・ミンホ、パク・シネ、キム・ウビンという3人の人気スターが、それぞれ新たな一面を見せる新作映画が3作連続で公開され、ファンの間では密かな話題となっている。名門私立貴族学校「帝国高校」を舞台に、富裕層の高校生たちの苦難と成長、そしてロマンティックで熱い恋模様を描いた「相続者たち」は、本国で“相続シンドローム”という一大ブームを巻き起こし、2013年SBS演技大賞「最優秀演技賞」(イ・ミンホ)ほか8冠を獲得した大ヒットドラマ。同作で主演を務めたイ・ミンホの、待望の映画初主演作として『江南ブルース』が10月17日(土)より全国公開される。「花より男子~Boys Over Flower~」「シティーハンター in Seoul」「シンイ-信義-」など、数々のロマンティックな役どころで、世の女性たちを虜にしてきたイ・ミンホが、本作では一転、バイオレンスアクションに挑戦。人生の成功を夢見てヤクザの世界に入り、江南の土地開発を巡った利権争いに飛び込む若者を熱演する。また、「相続者たち」のヒロイン、パク・シネは、11月7日(土)公開のハン・ソッキュ×コ・ス競演の『尚衣院-サンイウォン-』で、朝鮮王朝の時代劇に初出演。朝鮮王室の衣装を手がける秘密の空間・尚衣院を舞台に、新旧デザイナーの美をかけた対決と王室を揺るがす運命の行方を描いた本作で、その美貌で天才仕立て師ゴンジンや王をも虜にする、王妃を好演している。さらに、「相続者たち」でイ・ミンホのライバル役を演じ、韓流次世代のエースとして高い人気を誇るキム・ウビンは、主演最新作『技術者たち』が11月28日(土)より公開される。本作は、金庫破りに人材調達、ハッカーと優れた技術を併せ持つ最強の犯罪チームが挑む、かつてない壮大な強奪計画をハリウッド映画を凌ぐスケールで描くエンターテインメント大作。犯罪チームのリーダーで、金庫破りのジヒョクを演じたキム・ウビンは、モデル出身なだけにその長身と鍛え上げられた身体を駆使した華麗なアクションシーンも披露。さらに彼は、同日公開の「2PM」ジュノ主演の最新映画『二十歳』でも、俳優としての才能を改めて開花させている。逃れられない運命の中でひたむきに愛を貫く、キラキラした甘く切ないラブストーリー「相続者たち」の世界から、それぞれがまったく別の世界で自らの運命を賭けたバトルを繰り広げる姿に、ファンはハラハラ、ドキドキすること間違いなし。ぜひ劇場で見比べてみて。『江南ブルース』は10月17日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開。『尚衣院 -サンイウォン-』は11月7日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開。『技術者たち』は11月28日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年09月24日いまはまだ「自分には関係ない」と思っていたとしても、いずれ降りかかってくる可能性を否定できないのが相続の問題。そこでご紹介したいのが、『相続でもめたくなければ○○しなさい!』(嵩原安三郎著、フォレスト出版)。相続問題・介護問題・労働問題などさまざまな問題に携わってきた弁護士が、“争族”を解決するための術をつづった書籍です。きょうはそのなかから、「基礎知識時が解決しない!? 相続問題の4つのタイムリミットとは?」をご紹介したいと思います。■相続問題は時が解決してくれない著者はよく、「相続問題って、いつまでに解決すればいいの?」と聞かれるのだそうですが、原則として、相続問題の解決には時間は関係ないのだそうです。たとえば亡くなった父親名義の土地を誰も使わず、誰の名義にも変えないまま30年が経ち、相続人のひとりであった母親も亡くなり、3人の子どもだけが残ったとします。この場合、残った土地は「3人の共有」。そしてこの3人の子どもがその子ども(父親から見ると孫たち)を残してみんな亡くなったとすると、その孫たちが土地を共有していることに。こうした「相続問題の世代またぎ」は決して少なくなく、つまり相続問題は時が解決してくれないということ。■相続問題の“4つのタイムリミット”(1)相続税納付のタイムリミットとはいえ、相続問題にはいくつかのタイムリミットもあるそうです。まず「相続税納付のタイムリミット」は、「被相続人(亡くなった方)死亡の翌日から10カ月。それまでに相続問題が解決していようがいまいが、いったん相続税を納めなければならず、間に合わなければ高率の延滞税や無申告加算税・重加算税などの大きな負担があるといいます。(2)相続放棄のタイムリミット次は、「相続放棄のタイムリミット。「相続放棄」とは、裁判所で行う「私は相続しない」という手続きのことで、これは「被相続人の死亡時から3カ月」と定められているのだとか。なお被相続人が亡くなったことを知らなかった場合は、「知ったときから3カ月以内」に手続きをすることが定められているそうです。(3)遺留分減殺請求のタイムリミットそれ以外に、「遺留分減殺請求のタイムリミット」も。これは、遺言で自分の相続分を減らされた人が、不服を申し立てる期間のこと。被相続人が亡くなったこと、そして自分の遺留分を侵害する遺言があることの両方を知ったときから1年以内に行う必要があるのです。(4)相続回復請求のタイムリミットまた、「相続回復請求のタイムリミット」というものも。「相続回復請求」とは、相続人でない者が相続して本来の相続人が相続できなくなってしまったとき、本来の相続人が遺産を取り戻すという手続き。これは自分の相続権が侵害されていることを知ったときから5年以内、相続開始から20年以内に行う必要があるのだそうです。*こうしたことを知らなければ、思わぬ損害をうけてしまうということ。そうならないためにも、本書で知識をつけておきたいものです。(文/印南敦史)【参考】※嵩原安三郎(2015)『相続でもめたくなければ○○しなさい!』フォレスト出版
2015年09月15日相続診断協会は3日、2011年12月から開始した「相続診断士」の資格試験について、2015年7月に合格者が2万人を突破したと発表した。○不動産・建設業での資格活用広がる同協会によると、2015年1月に相続税が改正され、各メディアでも報道が増えたこともあり、個人の興味関心に加え、各業界が相続について本格的に取り組み始めたため、各社の教育担当部署などが取得を推進しているケースが増加しているという。資格者の業種を見ると、2013年6月では金融・保険業が87%を占め、不動産・建設業はわずか5%だったが、2015年7月には不動産・建設業の割合は35%まで伸長。不動産・建設業に関しては、小規模宅地等の特例の活用による相続対策提案などを得意としていた企業に関しても、「相続に強い」ことをアピールするひとつの方法として、相続診断士が活用されているという。また、資格を取得することで、新人からベテランまで、特定の業界に限定されない相続に関する基本的な知識全般が身につくとともに、名刺に記載することなどにより、一般からも認識しやすい「知識の見える化」ができるとしている。相続診断士とは、特に相続に重要な「民法・相続税法」などの法律の正しい理解と、「正しい遺言書の書き方」「エンディングノートの普及と書き方の指導」といった周辺知識など、多岐にわたる知識の習得、研鑽を続け、相続に関する様々な問題を理解し、一般の人々への啓蒙活動を行うもの。
2015年08月05日スルガ銀行は8月3日、「遺言代用信託」の取扱いを開始した。「遺言代用信託」は、顧客が信託した財産をスルガ銀行が管理し、相続発生時、あらかじめ法定相続人の中から指定した特定の受取人へ、指定した方法により、財産を給付する信託商品としている。○「遺言代用信託」の概要対象:個人のみ。申込した時点で国内に居住し、原則として面談による申込・契約などが可能な人(ただし未成年の人、後見人など代理人を必要とする人を除く)。顧客(委託者)/推定相続人の中から受取人を指定できる人。受取人(受益者)/顧客の推定相続人にあたる人取扱店舗:全店(インターネット支店を除く)信託財産額:200万円以上1円単位、追加信託も可信託報酬・手数料:信託契約締結時に信託財産額の2%相当額(税別)の信託報酬を支払う。その他管理報酬、運用報酬、信託財産払出時の事務手数料等は無料信託財産の管理方法:拠出した信託財産は、受託者であるスルガ銀行名義の預金口座に預け入する方法によって管理する信託財産の給付:相続発生時、受取人からスルガ銀行への請求により財産を給付する
2015年08月04日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース12】前の妻を亡くして10年が経ちます。還暦を迎える今年、縁があって30歳年下の女性と再婚することになりました。私の亡き後、私の財産は、すべて新しい妻に残したいと思っています。前妻との間には、子供がいません。私の両親はすでに他界しており、私より2歳上の姉と2歳下の弟がいます。姉と弟は、比較的裕福な生活をしており、私の再婚を大変喜んでいましたので、特に私の相続で揉めるようなことはないと思いますが、何か準備をしておいた方が良いでしょうか?【診断結果】○何の準備もしないで亡くなった場合、奥様と姉と弟で遺産分割協議子供がいない場合の相続人は、配偶者と親又は兄弟姉妹となります。あなたのご両親はすでに他界されているようですので、新しい奥様と姉と弟になります。法定相続分は奥様が3/4、姉と弟が1/8です。あなたが、何の準備もしないで亡くなった場合、奥様と姉と弟で遺産分割協議をすることになります。10年後に亡くなったとすると、40歳の奥様と72歳の義姉と68歳の義弟が話し合いをする事になります。財産の中に、先祖代々受け継がれたものがあったりすると、先祖のお墓を継ぐ事になりそうな義弟が引き継ぎたいというかもしれません。あなたの亡き後、姉弟2人と年の離れた奥様が遺産分割の話し合いをして、関係がギクシャクするのはよくある事です。○「全ての財産を妻に相続させる」という遺言を残せば、すべて妻が受取ることが可能「全ての財産を妻に相続させる」という遺言を残せば、兄弟姉妹には遺留分がないので、すべての財産を妻が受取ることが出来ます。先祖代々受け継がれたものなど、特定の財産を姉や弟に指定し、「その他の財産はすべて妻に相続させる」と書く事も良いでしょう。あなたの亡き後、姉弟2人と年の離れた奥様が遺産分割の話し合いをするというのは、容易な事ではありません。○遺言を残し、遺産分割の話し合いをしなくても良い環境を遺言を残し、遺産分割の話し合いをしなくても良い環境を作っておきましょう。兄弟姉妹は遺留分がないので、すべての財産を妻に相続させるという遺言を残せば、話し合いは必要ないですが、家が近かったり、あなたが長男であって他の兄弟姉妹と奥様との関係が続くようでしたら、財産の10分の1程度を、兄弟姉妹に渡すような遺言にしておくと「妻が独り占めした」と言われず、良好な関係を築けたりします。生命保険を利用するのも良い方法だと思います。本ケースとは違いますが、相続で一番揉めるのは、前妻の子供と後妻(及び後妻の子供)の遺産分割のケースです。まともに話し合いが出来る方が少ないと思います。母親が違う相続人がいたり、父親が違う相続人がいる場合には、必ず遺言書を残し、遺産分割の話し合いをさせないようにしましょう。その際は、遺留分の減殺請求が起きないように遺留分に配慮しましょう。遺産分割の話し合いが無ければ揉める事はありません。究極の相続対策は、遺産分割の話し合いをさせない事。遺言は、大切な家族への最後の愛情表現です。12回にわたり、「人に聞けない相続の話」を連載させていただきまして、ありがとうございました。勤勉な日本人には、自分を犠牲にして仕事をされる方がたくさんいらっしゃいます。お金や名誉のためという部分もあるでしょうが、究極的には家族のために仕事をされていると思います。その様な方が、お亡くなりなり家族が揉めてしまうと、家族のために自分を犠牲にして働き築いた財産で、大切な家族が揉める事になり、その人の人生が台無しになってしまいます。その様な不幸を日本から無くすためには、想いの詰まった遺言を残す事がとても重要です。このコラムを通じ、皆様に少しでもこの想いが伝わっていれば幸いです。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年05月25日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース11】85歳を過ぎた母が相続対策のために自宅をアパート併用住宅に建て替えたいと言っています。費用は1億円ほどかかるそうです。相続人は、長女の私と妹の2人ですが、いずれも結婚し夫名義の家に住んでいます。確かに母の住んでいる家は、駅にも近く場所が良いので、相続税も掛かりそうですが、母が亡くなった後は、長女の私が借金を返済しなければいけなくなりそうで、何となく不安です。1億円の借金をしてまでの相続対策は必要でしょうか?【診断結果】○まずは、相続税の試算が必要相談者のお母さんは、相続税が心配でアパート併用住宅を検討されているようですので、まずは、相続税の試算が必要です。相続税が、対象となる方の財産の合計金額で計算する仕組みになっていますので、まずはどのような財産があるのか、「財産の棚卸し」をします。おおよその財産の内容が分かったら、相続に詳しい税理士に財産の相続税評価額と相続税額の計算をお願いして下さい。よく金融機関や不動産会社などが無料で試算を行う事がありますが、財産評価が間違っていたり、財産が漏れていたりして、相続税額が間違っていることが多いので、適正な費用を支払って計算してもらいましょう。間違った試算に基づく対策が、正しいはずもなく、結局、高くついたなんていう事は良くあります。○現金にしやすいもので、相続税が支払えるかどうか見極め相続税の計算が出来たら、財産の中の現預金、生命保険、上場有価証券など現金にしやすいもので、相続税が支払えるかどうかの見極めをします。本事例の場合、お母さんがご自宅のほかに現預金をたくさん持っていて、相続税が十分支払えるのであれば、1億円の借金をしてアパート併用住宅を建てる必要性は低いです。財産のほとんどが自宅で、しかもその評価が高く、相続税を支払える見込みがないたたない場合には、借金をしてアパートを建てる事は、良い相続税対策の一つと言えます。○相続税が払えないからすぐに借金してアパート併用住宅というのは少し気が早いそれでも、相続税が払えないからすぐに借金してアパート併用住宅というのは、少し気が早いです。本事案では、相続人となる姉妹二人はご主人の自宅にお住まいとの事ですので、お母さんが亡くなった後、お母さんのご自宅に住む可能性は低いと思われます。売却して相続税の納税資金を作るという選択肢もあります。お母さんが亡くなった後、この家と土地をどうして欲しいと思っているのか。先祖代々の土地でどうしても残したいと思っているのか、そうではないのかなどをお母さんと姉妹二人で、じっくり話し合う必要があります。○なぜ、1億円の借金をしてまで住み慣れた自宅を立て直したいと思ったのか?お母さんは、なぜ、1億円の借金をしてまで住み慣れた自宅を立て直したいと思ったのか?85歳という年齢を考えると、建て直している間に体の調子が悪くなり、住めないという事もありえます。本当に相続税だけの問題だったのか?もしかすると、人生の最後、2人のお子さんのどちらかと一緒に過ごしたいだけなのかもしれません。そのような心の底にある本当の気持ちを親子でじっくり話し合う事が、非常に大切です。この様な話し合いの末、どうしても残したいという結論になれば、借金してアパート併用住宅というのは、大変良い選択肢だと思います。相続人に相談せず相続税対策でアパートを建てたりマンションを買ったりした親が亡くなり、「現金で残してくれた方がありがたかった…」という話はよくある事です。相続税の最高税率は、6億円以上の場合で55%です。全てを取られるわけではありませんので、相続税だけを判断材料としないで受け取る側の相続人とよく話し合いをして、冷静に判断して下さい。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年05月18日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース10】義理の母親は20年ほど前から私たち夫婦と同居し、2人の孫とも一緒に暮らしていました。義理の父は10年前に亡くなっています。義理の母親は5年ほど前から、体の調子が思わしくなくなり、家事は義理の母親の長男である夫と、その妻である私にすべて任せていました。他家に嫁いだ長女(夫の実の妹)より親身になって、実の母親のように献身的に面倒をみたつもりです。その義理の母親も先日亡くなりました。私は何も相続することはできないのでしょうか?【診断結果】○母親の面倒は長男家族任せにした長女が「お義姉さんには関係ない」過去に実際にあった事例です。母親が死亡し、相続人は同居していた長男と他家に嫁いだ長女の2人。母親は、数年前から体調が悪くなり、加えて軽い痴呆も始まり、大変手間がかかる状態でしたが、長男とその妻が献身的に面倒を見ていました。他家に嫁いだ長女は、ほとんど実家に帰る事もなく、母親の面倒は長男家族任せにしていました。母親の葬儀が終わった翌日、長男と長女二人きりになった時、遺産分割の話になりました。そういう話になっているとは知らず、長男の妻がお茶とお茶菓子を持って、部屋に入りました。その時、「母の遺産分割の話は、お義姉さんには関係ないので、席をはずしてください」と長女が長男の妻に告げました。そして、長女の要求は、「自宅5,000万円は長男に渡すので、その他の財産は合計しても5,000万円に満たないはずだから、すべて自分がもらいたい」というものでした。痴呆になり始めた義母の面倒を長男の妻が見ていると、長女と間違えているのか、よく長女の名前を呼ぶこともありました。長男の妻はそんな時、長女になったつもりで義母の面倒を見ました。そんな事はまったく知らない義妹から言われた、「お義姉さんには関係がない」という言葉が、長男の妻はどうしても許せませんでした。長男の妻は、やるせない気持ちをどこにぶつけてよいかわからず、長男と言い争いになった事もありました。○裁判所で3年間、泥沼の争い長男の妻は弁護士と相談し、自分と夫が面倒を見た寄与分を主張しました。義妹も弁護士を雇い、その寄与分を否定し、さらに母親の財産を長男夫婦が浪費していたと主張しました。3年間、裁判所で泥沼の争いとなり、結局、義母の面倒を見た寄与分を考慮するという形で、自宅のほかに長男が500万円もらう事で遺産分割は終わりました。長男の妻は、義母が亡くなった悲しさに加え、身内で争う中であらぬ誹謗中傷を受け、心身ともに疲れはててしまいました。○相続人でない人に財産を渡すためには?義父や義母を親身になって面倒を見ている方は少なくありません。しかし、血がつながっていない以上、相続権はありません(※ただし、養子縁組をすると、実子と同じ相続権を持てます)。亡くなってしまうと、相続人から蚊帳の外に出されてしまう事も少なくありません。そんな時、感謝の言葉が残っていたり、少しでもよいのでお礼のお金を受け取ることが出来ると、本当に救われます。相続人でない人に財産を渡すためには、遺言書にその旨を記載する生命保険金の受取人に指定するのいずれかで、出来ます。相続人だけではなく、家族やお世話になったすべての方に感謝の言葉を残し、場合によってはお金も残す事で、本当の笑顔相続を実現することが出来ます。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年05月08日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース9】孫が私立の中学校に合格したので、お祝いに入学金やその後の教育費などを援助しようと思います。1,500万円まで非課税で渡せる制度が出来たと聞いたので、1,500万円渡してしまおうかと思っています。その話をしたら、孫の親である私の長女も大喜びしていましたので、私もワクワクしています。これできっと正月やお盆にも長女が孫を連れて遊びに来てくれます。何か問題はありますか?【診断結果】教育については将来にわたり多額の資金が必要であり、「一括贈与」のニーズも高いので、高齢者世代の保有する資産の若い世代への移転を促進することにより、子供の教育資金の早期確保を進め、多様で層の厚い人材育成に資するとともに、教育費の確保に苦心する子育て世代を支援し、経済活性化に寄与することを期待するものとして、『教育資金の一括贈与に係る非課税制度』が平成25年に創設されました。 制度の概要は次のとおりです。祖父母が、金融機関に子・孫名義の口座等を開設し、教育資金を一括で拠出した場合、子・孫ごとに1,500万円まで非課税教育資金等の使途は、金融機関が領収書等でチェックし、書類を保管孫等が30歳に達する日に口座等は終了となり、残金に対して贈与税が課税される平成25年9月末契約数は40,162件、信託財産設定額合計は2,607億円となっているそうです。ものすごい金額ですね。お孫さんのためにお金を出してあげようという優しい祖父母の方々が、たくさんいるんですね。○扶養義務者間で必要の都度支払われる教育資金は、贈与税は非課税この制度を使うメリットは、「お孫さんのために教育資金を無税で渡せる」と思っていらっしゃる方が多いのですが、実は、それはこの制度のメリットではありません。「え~?」という声が聞こえてきそうですが、そもそも、扶養義務者間(親子間等)で必要の都度支払われる教育資金は、贈与税は非課税です(相続税法第21条の3二)。従って、必要の都度、生活費や教育費をお孫さんやその父母であるお子さんに渡しても全く同じ効果が得られます。つまり、「教育資金の一括贈与」の制度は、使っても使わなくても、無税で同じ金額を贈与することが可能なのです。更に付け加えると、生活費や教育費は、金額がいくらでも合計1,500万円を超えても無税で贈与することが可能です。○教育資金の一括贈与の利用は、慎重に検討を先日、この制度を利用をした祖父の方からこんな声をお聞きしました。「1,500万円を渡した時は、子供も孫も大変喜んでくれた。お正月も夏休みも遊びに来てくれると言っていた。約束通り、お正月は1日泊って行ってくれたが、夏休みは受験やらなにやらで忙しいそうで、遊びに来てくれなかった。孫の喜ぶ顔を見たくて、この制度を利用し1500万円を贈与したのに…」「必要な時に必要な金額を贈与した方が、会える回数が多かったかもしれませんね」とお話ししたら、なんだか、とても淋しそうでした。うちはそんな薄情な孫ではないってお叱りが聞こえてきそうですが、実際にそういう淋しい想いをされている祖父母の方々がたくさんいらっしゃいます。1,500万円は金額が大きいので、渡す時は大変喜ばれますが、一度もらってしまうとだんだんありがたみが薄れるのでしょうか…必要な時に必要な金額を渡した方が、お孫さんと合える回数は増えそうですね。教育資金の一括贈与のご利用は、慎重に検討してください。この制度の一番利用価値があるケースは、余命宣告された様な方が、この制度を利用し、お孫さんに1,500万円の贈与を行うと、相続財産の金額から控除することが出来ますので、財産が多い方ですととても節税になります。「まだまだ10年以上生きる元気な方は、都度贈与」「ご病気で余命宣告されたような方は、一括贈与」と覚えておいてください。平成27年の税制改正で、「結婚・出産・育児」資金の贈与について新たに1000万円の非課税の制度が創設されました。こちらももともと非課税です。また、教育資金の一括贈与と違い、贈与者が亡くなった時に使っていない金額は、相続財産に加算されますので、節税にも使えそうにありません。いずれも高齢者の貯蓄を子や孫の世代に移転し、景気促進を狙った制度ですが、十分検討してご利用ください。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年04月27日「実は、本当は相続税がかかるのに、まだ、気がついていない人が多いのです」というさくら事務所の不動産コンサルタント田中 歩さんの言葉で幕を開けた本特集もいよいよ最終回。特集を通じて伝えたかったことをまとめてみた。■かつて相続税を払っていたのは100人に4~5人相続税の制度が変わったらしい。その情報を知っていても、自分とどう関連づけて考えればいいのかがわからない人も多いだろう。そんな時は人数で考えてみるとわかりやすい。 かつて(相続税の改正前)は、相続税を支払っていたのは、100人に4~5人だった。この人達は、本物の富裕層。おそらく「相続に対しての心構え」も普通の人たちと違っていて、財産を守るために、「対策を立てなければ」くらいの考えは普通に持っているだろう。事業を通じて知り合った税理士や、親の代からお世話になっている税理士などの付き合いもあって、対策をたてる手段も思いつく層なのだと思う。■都内に住む4人に1人が相続税を払うことに問題は、そうではない層だ。制度がかわって、都内に住む4人に1人が税金を支払うことになると言われている。これを100人で換算すると、その4分の1だから、25人。このうち、相続に対しての心構えがあるのは、先ほど言ったような、相続税の改正前から相続税を支払う対象だったであろう5人ほどで、残りの20人は、「知らないうちに相続税を払うことになっていた」という感じなのではないだろうか? ■とりわけ都内一軒家が危ない「知らないうちに相続税を払うことになっていた」層の筆頭が、都内に実家がある人たち。お金を持っているのなら、まだ「お金持ち」の自覚はあるかもしれない。けれども、生まれ育った実家は、ある意味、空気のような存在。そこが相続税を計算する時に、想定外の高評価をされることなど、思いつきもしないだろう。■普通に流れている情報だけを頼りにしない常日頃、ライターという、情報を発信する側の仕事をしていると、よく思う。世の中に普通に流れている情報だけでは、自分にとって本当に必要な情報をキャッチできない可能性もある、と。本特集が、今回の税改正によって、「本当は相続税がかかるのに、まだ気がついていない人」が、相続税についての心構えを見直すきっかけになると嬉しい。【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第1回 相続税、大丈夫? 本当は税金がかかるのに、それを知らない人たち ・ 第2回 すぐわかる! 相続税対策の4ステップ ・ 第3回 知っている人だけトクをする、相続税節税の基本 ・ 第4回 早わかり! 相続財産の評価額を小さくする「小規模宅地の特例」の概要 ・ 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ
2015年04月17日行政書士法人アミーズはこのほど、司法書士法人アミーズ横浜事務所、税理士法人アローズの相続専門の3社で協力し、「相続用の戸籍謄本」取り寄せパックのサービスを開始した。同サービスでは、実際の相続手続きに精通した専門家が対応。相続用戸籍謄本の収集・整理を一括でサポートすることにより、相続人の相続手続きにかかる手間を低減する。サービス内容は、相続人の調査・特定サービスをはじめ、故人の戸籍の履歴書作成、相続人ごとの法定相続分の計算表や相続関係説明図、家系図(故人の戸籍の情報を元に家系図を作成)の提供、不動産の相続の登記・相続の税務・相続手続きのEメール相談(3回まで無料)などとなる。申込人数は毎月20人。料金は、相続人が故人の配偶者・子ども(孫)・父母(祖父母)の家族の場合は、基本手数料2万9,980円(税別・定額制)+戸籍の所得費などの実費(目安:5,000~1万5,000円)。特典として、遺産に不動産を所有する人は、「不動産の登記情報」や「名寄せの所得」を手数料無料(実費は別途)で依頼することが可能。また、相続登記の名義変更をアミーズに任せる場合は、司法書士の手数料1万円分を減額できる。さらに「財産目録エクセルシート」を用意するほか、希望者に「エンディングノート」または「遺言ノート(540円相当)」のいずれかをプレゼントする。
2015年04月15日「知っている人だけトクをする、相続税節税の基本」 では、節税をするためには、法律の制度を知っている必要があることを知った。各種法律制度の中で、実家の相続税の節税に関係ありそうな、「小規模宅地の特例」について、さくら事務所の不動産コンサルタント田中 歩さんに、引き続き内容を伺った。■相続税対策になる?「小規模宅地の特例」って、何? 小規模宅地等の特例とは、相続した実家などについて、相続税の計算上、一定の要件のもと、相続財産の大幅な評価の減額が認められている制度のことを言う。実際に住んでいる家などに相続税をまともにかけると、自宅に住み続けることができなくなってしまうことに配慮された制度だ。■自宅用の敷地の場合は、相続税評価額が8割減できるでは、どれほどオトクな制度なのだろうか? 小規模宅地等の特例には、自宅の敷地に対するものと、事業用地に対するものがあるが、最も利用されているのは、実際に住んでいた家(実家)。こちらは、330平方mまでなら80%の評価減をしてもらえる。たとえば、実家の相続税評価額が8,000万円の場合。本来であれば、丸々8,000万円に税金がかかるが、小規模宅地の特例を適用できる場合は、8割減の1,600万円の評価となる。このように、都内など地価が高いエリアの土地ほど、小規模宅地の特例を受けるメリットは大きい。「もしかして、うちの実家、関係があるかも!?」と気づいたならば、相続が起きた時に慌てないためにも、小規模宅地の特例の要件は知っておきたい。■どんな場合に、小規模宅地の特例が使えるのか? 小規模宅地の特例を使うための要件、つまり、どんな場合に小規模宅地の特例が使えるか?については、「宅地の要件」と、「取得者の要件」がある。このどちらの要件も満たしていないと、制度を使うことはできない。「宅地の要件」とは、その土地が、どのような土地であるのか? という条件。「取得者の要件」とは、その土地を取得するのが、どのような人であるのか? という条件だ。次回「小規模宅地の特例を受けるための要件2つ」では、この2つの要件について、もう少し細かく見ていこう。【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第1回 相続税、大丈夫? 本当は税金がかかるのに、それを知らない人たち ・ 第2回 すぐわかる! 相続税対策の4ステップ ・ 第3回 知っている人だけトクをする、相続税節税の基本 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ ・ 第6回 都内に住む4人にひとりが相続税を払う時代 -->
2015年04月13日「すぐわかる! 相続税対策の4ステップ」 では、相続対策の流れを整理した。今回は資産の中で大きな割合を占めることが多い、家(実家)の相続対策に的を絞って引き続き、さくら事務所の不動産コンサルタント田中 歩さんに内容を伺った。■相続税対策の基本をおさらい前回も説明したが、相続税(納税額)は、以下の算式で計算する。相続税の納税額 = (相続財産 - 基礎控除額) × 税率相続対策というのは、上記の計算式で言うところの「相続財産」をいかに少なくするか? ということに尽きる。少なくする方法は、大きく分けて2つある相続税対策(1)減らす → 贈与で相続財産を減らす相続税対策(2)評価を落とす → 評価額を小さくする制度を活用する■相続税の対策法を知っているだけでトクをする! 上記のうち、不動産に関わるのは、主に(2)の話。つまり、不動産の評価額をいかに小さくするか、という話だ。「不動産の評価!? うわっ、面倒くさそう」と、思う人もいるだろう。何を隠そう、私も最初はそう思った。けれども、ここは踏ん張り時。不動産の評価を小さくする制度の存在を知っていることは、日常的なお金テク、たとえば「ポイントを貯める」とか、「節約をする」という類のものとは桁違いの大きな効果(節税効果)が期待できるからだ。「そんな話があるのね」と、名前だけを知っておくだけでも損はない。 ■財産の評価額を小さくするテク=小規模宅地の特例そんな制度の筆頭が、小規模宅地の特例だ。「相続税の計算をする時に、小規模宅地の特例という制度がある」ということが頭の片隅に入れば、本特集の大きな目的のひとつは果たせたとも言える。もっとも、小規模宅地の特例を使うためには一定の要件があり、相続が起きた時に慌てないように、あらかじめ、その要件を確認しておくに越したことはない。小規模宅地の特例について、詳しくは次回「早わかり!『小規模宅地の特例』の概要」で説明しよう。【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第1回 相続税、大丈夫? 本当は税金がかかるのに、それを知らない人たち ・ 第2回 すぐわかる! 相続税対策の4ステップ ・ 第4回 早わかり! 相続財産の評価額を小さくする「小規模宅地の特例」の概要 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ ・ 第6回 都内に住む4人にひとりが相続税を払う時代 -->
2015年04月10日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース8】5年前、母が無くなりました。相続人は、父と私と妹。母は、相続税評価で約5,000万円のアパートと現預金約3,000万円を所有していました。父の強い意向で、「母の財産はすべて妹が相続し」、父が亡くなった時には、「父の財産(約1億円)を全て私が相続する」という約束をして、母の財産はすべて妹が相続しました。当時妹は、「父が亡くなった時は、私は放棄するから」と言っていました。最近、妹の子供が大学に入学するという事で、父に300万円ほど教育資金の援助を求め、父もそれに応じたようです。妹と父のやり取りを見ていると、父が亡くなった時、本当に約束どおり父の財産をすべて相続することが出来るのか不安になってきました。何か良い方法はないでしょうか?【診断結果】お父さんが亡くなった時に、妹さんが法定相続分の権利を主張すると、残念ながら2分の1の財産しか相続することが出来ません。それでは約束が違うではないかと納得できない気持ちはわかりますが、「お母さんの相続」と「お父さんの相続」は、法律上は別のものです。お母さんの相続の法定相続分は、お父さん1/2、兄1/4、妹1/4。遺産分割において、お父さん1/2、兄1/4の法定相続分の財産をもらわず、妹がすべての財産を相続したとしても、もらわなかった兄1/4の法定相続分がお父さんの相続の時に繰り越されるわけではありません。お父さんが亡くなった場合の法定相続分は、兄1/2、妹1/2です。お母さんが亡くなった時の約束通り、妹が相続放棄をするか、すべての財産を兄が取得することで遺産分割協議が調えば良いのですが、妹が1/2の権利を主張すると、1/2の財産は妹に渡さなければなりません。理不尽に思えますが、民法がその様に定めています。妹さんもお母さんの相続の時は、「お父さんの相続は、放棄する」と思っていらっしゃったかもしれませんが、それから何年も経ち、経済状況も変わったりすると、良く起こるトラブルです。○お父さんの生前に「お父さんの相続を放棄する」と口約束していたとしても法律的な効力はない「相続の放棄」は、被相続人の生前に行うことはできず、また、「家庭裁判所に申述」しなければいけないので、お父さんの生前に「お父さんの相続を放棄する」と口約束していたとしても法律的な効力はありません(民法第938条)。それでは、どうすれば妹に約束を必ず守らせることが出来るでしょうか?お父さんの財産を確実にすべて兄のものにするためには、お父さんに「すべての財産を兄に相続させる。」旨の遺言書の作成してもらう妹に、「遺留分の放棄」をしてもらう今からでも遅くないので、この2点を調えましょう。○「遺留分の放棄」は、相続開始前でも裁判所の許可があればする事ができる「相続の放棄は、被相続人の生前に行う事はできません」が、「遺留分の放棄は、相続開始前でも裁判所の許可があればする事ができます」(民法第1043条)。「すべての財産を兄に相続させる。」というお父さんの遺言書だけでも、大丈夫な気がしますが、妹が遺留分の減殺請求をすると、遺留分(法定相続分の1/2)は、妹に渡さなければいけません。従って、「遺言書」と「遺留分放棄」をセットで行う事が重要です。お母さんの相続の際、この2つを同時進行しながら、遺産分割協議書にサインをしていれば、心配は少なくなったと思います。ただし、お父さんが生前に、財産を費消してしまう妹に財産を贈与してしまう生命保険に加入し受取人を妹に指定してしまう等が行われると、実質的にもらえる財産が少なくなってしまう可能性もあるので、やはり、現実的にはお母さんの相続の際、法定相続分を主張しておいた方が良かったという事もあります。相続はいつ起こるかわかりませんし、時間が経過し経済状況や家族の心境も変化するので、本当に難しいものです。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年04月10日「相続税、大丈夫? 本当は相続税がかかるのに、それを知らない人たち」 では、実は相続税がかかるのに、相続税対策を何もしてない人が、ごく普通にいることを知った。では、今からできる相続税対策には、どんなことがあるのだろうか? ■相続税対策は、ステップを踏むことが大切相続税対策というと、多くの人が「生前贈与が」とか「遺言書が」と、気になることから始めようとする。でも相続税対策に何が必要なのかを知るためのはじめの1歩とは、しっかりと手順を確認することなのだ。そのためにも、まずは流れを整理してみよう。<相続税対策のステップ1> 財産リストを作成する相続対策のステップは、財産リストの作成から。でも、親にいきなり「財産について教えて欲しい」と切り出すのは厳しい。市販されているエンディングノートなどを使って、親に財産項目をピックアップしてもらうだけでも整理の方向性は見えてくる。この時、娘世代がやるべきポイントとしては、実家がある土地の評価額を調べること。通常は資産の中で、土地の占める割合が大きいので、揉め事の要因になりやすいからだ。一軒家の土地の評価額を調べる方法は、 国税庁のWebサイト に説明がある。「土地評価額」といった言葉を聞くと、難解なイメージがあるかもしれないが、実家の敷地面積さえわかれば、5分程度でできる簡単な計算だ。マンションの場合は、土地全体の評価額のうち、登記簿謄本で確認できる持分相当が評価額となる。<相続税対策のステップ2> 財産の分け方を考える財産の把握ができたら、どう引き継いでいくかを家族で話し合う。そのために知っておきたい基礎的なルールは2つある。1つ目は、誰が相続人になれるのか? 民法で定められている相続人は、配偶者と血族関係者(子、父母、兄弟姉妹の順番)だ。2つ目は、遺産に対する相続人の権利の割合である「法定相続分」を知っておくこと。そうはいっても、法定相続分より優先されるのが、遺言書であることは知っておきたい。つまり、財産の分け方を考えるということは、家族全員が納得できる遺言書を作ることが最終目標なのだ。そのために、家族で法律の基礎的なルールを理解した上で、話し合いを持つことが、もっとも重要だ。<相続税対策のステップ3> 相続税を確認する財産の分け方を考えたら、次に確認しておきたいのが、「相続税がかかるかどうか?」だ。相続税は、課税ライン(相続税の基礎控除額)を超える財産を持っている場合にかかる。その時に注意が必要なのは、基礎控除額の計算。今回の税法改正が実質的な「増税」だと言われているのは、基礎控除(相続財産から引き算できる額)がこれまでの4割減になっている点にある。相続税を計算する基本的な数式は、ザックリいうと下記の通り相続税の納税額 = (相続財産 - 基礎控除額)× 税率この基礎控除額が、平成26年12月31日までは基礎控除 = 5,000万円 + 1,0000万円 ×相続人の数だったのが、平成27年1月1日からは基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 相続人の数と変更になった。ここは大きなポイントなので、ぜひとも頭に入れておきたい。<相続税対策のステップ4> 相続税対策を考える相続税がかかりそうだな、と思ったら、対策を考えておいたほうがよい。なぜなら、知っているだけでトクをする節税対策というものもあるからだ。次回からは、資産の中で占める割合が大きい不動産についての節税対策に的を絞って、レクチャーしていこう。「不動産についての節税対策を知りたい」と思った人は、次回「知っている人だけトクをする、相続税節税の基本」へ【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第1回 相続税、大丈夫? 本当は税金がかかるのに、それを知らない人たち ・ 第3回 知っている人だけトクをする、相続税節税の基本 ・ 第4回 早わかり! 相続財産の評価額を小さくする「小規模宅地の特例」の概要 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ ・ 第6回 都内に住む4人にひとりが相続税を払う時代 -->
2015年04月08日相続税法が改正されたことは何となく知っていても、自分とは無関係だと思っていませんか? 「実は、本当は相続税がかかるのに、まだ気がついていない人が多いのです」と教えてくれたのは、さくら事務所の不動産コンサルタントの田中 歩さん。詳しく内容を伺った。■23区内に一定の敷地のある人は相続税がかかるとりわけ東京23区内に、戸建ての実家がある人は要注意だ。都内でなくても、神奈川や地方の大都市エリアも、注意しておくにこしたことはない。 何が危険なのかというと、実家の価値が思っている以上に高いこと。普通の家庭の場合、資産の中で大きな割合を占める自宅(実家)の価値を知っておくことは、相続税を考える際に、とても大切だ。ちなみに相続税を計算する時は、土地の価値は時価(実際に売買される金額)とは別の「相続税評価額」という数字を使う。■東京23区の相続税、増税危険エリア・ランキングたとえば、いわゆる下町といわれる台東区エリアでも、敷地が150平方mあれば土地評価額は、およそ8,300万円。杉並区でも、5,200万円。これに対して、基礎控除額を差し引いた課税遺産(税金がかかる遺産)の表を作成してもらった。多くの場合、資産は不動産だけではなく、貯金、株や保険といった金融資産もあるだろうから、実際の課税遺産はもっと多くなる。また、今回は、相続人が3人(配偶者、子2人)で試算しているが、これより相続人が少ない時も課税遺産は多くなる。もうお判りだろう。相続税評価額 > 基礎控除後の課税遺産となっているので、上記の表にある土地はすべて、相続税の課税対象となるのだ。「23区内に一定の敷地がある人は、ほとんど『相続税がかかる』と考えないわけにはいかないのです」と、田中さん。ちなみにマンションの場合は、土地全体の相続税評価額のうち、登記簿謄本や登記識別で確認できる持分相当が評価額となる。■相続税は「たぶん大丈夫!」が一番危ないそうは言っても、「うちはたぶん、相続税の課税対象外だから大丈夫」と思いたくなるのが人情。でも、相続税は思った以上に怖い税金だ。なぜなら、法律で「相続税は相続開始から10ケ月以内に現金で一括納付」ということが決められているから。支払えない場合は、利息のような高い延滞税がかかる。税務署から「相続についてのお尋ね(相続税がかかりそうだと思われる人に税務署が送る書類)」が届いて、初めて自分が税金を支払わなければならないことを知る人もいるらしい。「えっ!? うち、大丈夫!?」と思った人は、次回「相続税対策の4ステップ」で、正しい対策法を学ぼう。【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第2回 すぐわかる! 相続税対策の4ステップ ・ 第3回 知っている人だけトクをする、相続税節税の基本 ・ 第4回 早わかり! 相続財産の評価額を小さくする「小規模宅地の特例」の概要 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ ・ 第6回 都内に住む4人にひとりが相続税を払う時代 -->
2015年04月06日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース7】20年前、長男に孫が生まれました。初孫という事もあり、嬉しくなって近くの銀行で孫の名前の口座を作り100万円を入金しました。以来、毎年、孫の誕生日のお祝いを贈る頃、100万円の入金を続けました。この度、孫が20歳になったので、2,000万円貯まった預金通帳を孫に渡そうと思います。贈与税の非課税枠は、1年間に110万円と聞いているので、毎年100万円ずつ預金していましたから問題ないと思いますが、このまま渡して大丈夫でしょうか?【診断結果】そのまま渡すと695万円の贈与税が、課せられてしまいます。(2,000万円-110万円)×50%-250万円=695万円贈与は、自己の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方がそれに受諾することによって成り立つ片務・諾成・無償の契約です(民法549条)。つまり、毎年、通帳へ入金する時、(1)お孫さん(親権者である父母)にあげるよと言い、(2)お孫さん(親権者である父母)がありがとう! と言い、かつ、実際にお金を渡す事で成立します。20年間100万円をお孫さん名義の口座に入金していましたが、通帳をずっと持っていましたので、お孫さんに贈与したことにはなっていません。ご相談者様名義の預金通帳からお孫さん名義の預金通帳にお金を移動しただけです。通帳も印鑑もカードもご相談者様が持っていれば、いつでも預金を引き出す事も出来ますので、この預金はご相談者様のものです。これを名義預金と言います。最近は、架空名義を使った振込詐欺などもあり、本人確認が厳しくなって他人名義の預金通帳や貯金通帳は作るのが難しくなっていますが、以前は容易に作る事も出来ました。○本事案では、通帳を渡した時点での贈与に本事案では、通帳を渡した時点での贈与になります。2,000万円の贈与です。無税で渡せると思っていたのに、695万円も税金がかかると知ったら、ビックリしてしまいますね。この様なご相談を時々お受けしますが、ご相談者様の贈与の気持ちを確実にするためには、通帳は最初の入金後にお孫さん(未成年者の場合には、親権者である父母)に渡してしまい、毎年、送金する事が重要です。ごくまれに、「そんな事黙っていれば、あるいは20年前に渡したことにすれば、税務署にばれないでしょ…」とおっしゃる方もいますが、例えば、ご相談者様は名古屋にお住まいで、お孫さんが東京に住んでいる場合、毎年の入金がご相談者様の家の近くの銀行で入金されていたりすると、すぐにばれてしまいますので、注意をして下さい。○贈与の"あげたつもり"は、思わぬところで贈与税がかかり大変危険「贈与の"あげたつもり"は、思わぬところで贈与税がかかり大変危険です!」今からでも、毎年100万円ずつとか200万円ずつ引き出して実際に贈与しましょう。平成27年から直系尊属(祖父母や父母など)から、一定の年齢の者(贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます)への贈与については、税率が下がりました。500万円の贈与をした場合の贈与税は、平成26年までは53万円だったものが、平成27年からは48.5万円です。2,000万円の贈与は、20歳になった翌年であれば、695万円が585.5万円と100万円ほど安くなっています。また2,000万円を4年に分けて贈与すると、48.5万円×4年=194万円です。贈与税は、累進税率の適用がきついので、金額が大きくなると税金がビックリするほど高くなります。しかし、少し工夫をすると、695万円が194万円と約400万円も安くなりますので、上手く賢く年数や人数を分けて暦年贈与を利用してください。○相続税対策としても、暦年贈与は一番手軽でかつ効果相続税対策としても、暦年贈与は一番手軽でかつ大変効果があります。まず、相続税額を計算し、ご自分の財産に対する相続税の税率を計算してください。例えば、財産が3億円で、法定相続人が子供2人の場合、相続税は6,920万円です。つまり、6,920万円÷3億円=23%。何もしなければ、亡くなった時の財産に23%で相続税がかかります。生前に500万円ずつ2人のお孫さんに5年間贈与すると、48.5万円×2人×5年=485万円の贈与税がかかります。その後亡くなると、500万円×2人×5年=5,000万円の財産が減っていますので、3億円の財産は2.5億円に減っており、相続税は4,920万円です。何もしなかった場合との差額は、6,920万円-485万円(贈与税)-4,920万円(相続税)=1,515万円となります。暦年贈与を上手に利用すると、1,515万円も簡単に節税することが出来ます。財産が2億円以上あると思われる方は、暦年贈与を上手に利用して、節税を考えてみて下さい。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年04月01日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース6】平成26年3月、数年前から患っていた病気が原因で母が亡くなりました。享年75歳、仲の良い息子2人が揉めるはずもないし、相続税も関係なさそうだしと「遺言書」などは特に残していませんでした。長男「自宅は自分が取得し、現預金を次男が取得するしかないだろう」。次男「母親の財産は、法定相続分である2分の1ずつきっちり分けたい」。母親の財産は、長男家族と同居していた東京の自宅5,000万円と現預金1,000万円の合計6,000万円。両者の主張は妥協点を見いだせず、母親が亡くなって、すでに半年が経過していました。次男の要求を満たすためには、自宅を2分の1の共有にし、1,000万円を500万円ずつ分けるしかないのでしょうか。【診断結果】相続がもっとも"争族"になりやすいのは、遺産が「自宅と現預金少し、相続人複数」というケースです。遺産の大部分が自宅の場合、相続人間で平等に遺産を分けられないので、揉めてしまいます。本事案では、長男が妻と2人の子供と一緒に母親と同居し、数年前から少し体が不自由になった母親を長男家族が親身になって世話をしていました。10年ほど前にガンで父親が亡くなってからは、長男が家の大黒柱として家計を支え、古くなった家のリフォーム費用なども支払っていました。母親の生活も長男がすべて面倒を見ていましたので、長男としては、自宅以外のその他の現預金などは次男に譲っても良いが、自宅は自分が引き継ぐのが当然であると考えていました。一方、次男は、大学卒業後、大阪で就職・結婚し2人の子供と暮らしていましたが、勤務していた会社がリーマンショックの後遺症から立ち直れず、年収も下がり、妻もパートに出るようになっていました。長男から提案があった分割案は、自宅5,000万円を長男、現預金1,000万円を次男が取得することになっており、次男には不利な遺産分割案でした。長男が母親の面倒を看ていたこともわかっているので、長男と揉めたくはないという気持ちもありながら、5,000万円対1,000万円は、何も言わず印鑑を押すには金額の差が大きすぎる気がしていました。長男と仲違いしたいわけではないので、率直に勤務する会社の状況を長男に伝え、法定相続分をもらいたい意向を伝えました。長男も次男の状況に理解を示したものの、自宅を2分の1に分ける事も出来ず、かといって長男から2,000万円の不足分を支払うあてもなく、着地点が見えず膠着状態が続いていました。○「代償分割」とは?この様な状況の場合、「代償分割」という方法があります。長男が、自宅をもらう代わりに、次男に長男の財産を渡すという方法です。実際に、次のような会話をしました。小川 : 「弟さんの希望は、何でしょうか? 2分の1の財産をもらう事ですか? 自宅の2分の1の持分をもらって、希望はかなえられますか?」次男 : 「年収が下がって、かなり家族に負担をかけているのを少しでも家族を楽にさせたい。長男家族が母親の面倒をずっと見てくれていたので、事を荒立てたくもない」。小川 : 「それなら自宅の2分の1の持分をもらっても、自宅を売却でもしない限り、弟さんの希望はかないませんね。現預金1,000万円を分け2分の1の500万円を受け取る事も希望に逆行します。2分の1の持分をもらい自宅を売却すると、20%の税金が引かれるので、弟さんの手元に残るのは、2,500万円の80%=2,000万円。500万円の現預金と合わせて手元に残るのは、2,500万円です。しかもいつ売れるかわからないし、兄弟が育った家が無くなり、住むところを無くしたお兄さん家族から恨まれてしまうかもしれません。自宅はお兄さんに渡し、その代り、現預金1,000万円とお兄さんから代償金として、1,500万円受け取ってはいかがでしょう?」長男 : 「1,500万円の現金は、とても用意できません」。小川 : 「1,500万円は、一括じゃなくても良いのです。100万円ずつ15年で渡してはいかがでしょう?」長男 : 「それなら支払えます」。結局、長男は、5,000万円の自宅を相続する代わりに、100万円×15年次男に支払う。次男は、現預金1,000万円相続し、100万円×15年受け取る。という条件で遺産分割がまとまりました。長男の相続した金額は、5,000万円-1,500万円=3,500万円次男の相続した金額は、1,000万円+1,500万円=2,500万円受け取った金額は、1,000万円の差がありますが、長男も次男も大変満足し、これからも仲良く助け合って生きていく約束をしました。自宅が遺産の大部分を占める場合には、分けられないために"争族"に発展することも多いのですが、兄弟がお互いの立場を理解し、譲り合いの気持ちで遺産分割の交渉をすることが出来たので、大切な財産と家族を守ることが出来ます。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年03月27日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース5】「すべての財産を長男に相続させる」。49日法要が終わり、生前父が親しくしていた弁護士が預かっていた自筆証書遺言を読みあげました。兄は無言でうなずき、弟は無言でその場を立ち去りました。父親の生前、兄は地元に残り父親が経営していた事業を手伝い、弟は東京に出てサラリーマンをしていましたが、数年前に父親とちょっとした口論があってから何年も実家に顔を見せていませんでした。後日、弟は弁護士に相談し、遺留分減殺請求の訴訟を提起しました。小さい頃は仲の良かった兄弟ですが、相続の境に互いに口を利くことはなくなり、遺留分減殺請求の裁判が決着するまでに3年の年月がかかりました。【診断結果】遺言を書くと有効又は書かなければいけないのは、次のようなケースです。法定相続人以外の人に財産を渡したい法定相続分とは異なる割合で、財産を渡したい特定の財産を特定の人に渡したい(1)の典型は、内縁関係の方に財産を渡したい場合です。内縁関係の方は法定相続権を持たないため、遺言がないと財産を承継することは出来ませんので、法的な婚姻関係に無い方に財産を残したい場合には、遺言は必須です。その他、親身になって介護をしてくれた長男の奥様などがいる場合には、遺言で感謝の言葉とともに少しでも良いので財産を渡す事をお勧めしています。(2) 不動産や未上場会社の株式などが多い場合、法定相続分で均等に財産を分ける事は極めて困難です。相続人である当事者間の話し合いで決めるようとすると、均等に分けられないので、争いになってしまいます。平等に分けられない場合には、親が指定した方が子供は納得するものです。(3) (2)と同様、不動産は収益性が高いものやそうでないものもあり、利回りや換金性の高い財産は、誰もが欲しがり、活用が難しい田舎の不動産などは、誰もが敬遠します。相続人である当事者間で話し合いで、決着をつけることは非常に難しいものです。やはり、財産を誰に何をもらって欲しいかの親の意思表示があった方が子供は納得します。「先祖代々の土地は、近所付き合いやお墓の管理も含めて長男に相続させる。東京のマンションは、次男に相続させる。その他の財産は、2分の1ずつ相続させる」といった感じです。財産を均等に分けられなくても、親が誰が何を引き継ぐかを決め、その理由も残す事によって、無用な争いが減ります。○遺言を書く際に注意すべき事とは?遺言書の最大のメリットは、「相続人間で話し合いをしなくて済む」事です。「話し合いをしない」事が、「争いの防止」になります。この様な観点で考えると、遺言を書く際には、次の3点に注意が必要です。すべての財産を明記する包括遺贈は避ける遺留分に配慮する(1)すべての財産を明記する相続人 : 長男・次男遺産 : 自宅5,000万円現預金5,000万円この様なケースで父親が「自宅は長男に相続させる」いう遺言を残すと、現預金5,000万円の分割についての話し合いをしなければなりません。その際、長男は、「遺言にある自宅5,000万円と現預金の2分の1の2,500万をもらえるはず」と主張し、次男は、「長男は、自宅5,000万円で法定相続分の2分の1に達しているので、現預金5,000万円は自分がもらえるはず」という主張をします。5,000万円の現預金についての父親の真意が分からず、兄弟が争ってしまい、何のための遺言だったかわからなくなってしまう事があります。(2)包括遺贈は避ける包括遺贈とは、「長男に2分の1、次男と3男に4分の1ずつを相続させる」という書き方ですが、結局何をもらうか話し合わなければならないので、揉めてしまう事がしばしばです。現預金や上場有価証券など、分割が容易な財産なら良いですが、不動産や未上場会社の株式には避けるべき遺言です。(3)遺留分に配慮する「長男に全財産を相続させる」という遺言は、ほぼ100%遺留分の争いになります。結局、他の相続人と遺留分について話し合いをしなければならなくなり、最も訴訟になりやすい遺言です。遺留分に配慮した内容に変更するか、親の財産がどうしても分け難く、遺留分を満たすことが出来ない場合には、長男の財産から遺留分を渡すように指示することも良い方法です。「全財産を相続させる」という遺言は、相続人が、配偶者と遺留分のない兄弟姉妹の場合には有効ですが、遺留分がある相続人がいる場合には、避けるべき遺言です。○遺言は、大切な家族に想いを伝える最後の手紙遺言は、大切な家族に想いを伝える最後の手紙です。しかし、書き方を間違えると、遺言によって、大切な家族が争い壊れてしまう事もありますので、相続に詳しい専門家と相談しながら、作成してください。また、亡くなってから親の本当の想いを知っても子供は寂しいだけです。遺言を書いたら、生きているうちに、大切なお子さんたちに想いと一緒に遺言の内容を伝えて下さい。きっと家族の絆が、深く強くなります。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年03月16日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース4】長男 : 「父さんが亡くなった後、弟や妹たちと遺産相続で揉めたくないし、相続税が払えなくても困るから、父さんの財産をわかるようにしておいていただけますか?」父 : 「縁起でもない事言うんじゃないよ。俺はまだまだ死なないし、財産を狙っているのか?」「自分の父親にどうやって、相続の準備をさせたら良いか? 相続の話をすると不機嫌になって怒り出すんですよ」【診断結果】この様な相談を良く受けます。前回のコラムに書いた相続が揉める原因「財産を平等に分けられない」に次いで、相続が揉める2番目の原因は、「家督相続」と「平等相続」のギャップだと思います。明治31年の民法相続編は、江戸時代の武家相続を範型として、「家督相続」を規定していました。「家督相続」は「戸主」の交替と観念されましたが、現実には戸主に属する一切の財産の承継を意味していました。家督相続の相続順位は第5順位まで規定され、第1順位の家督相続人としては、被相続人の家族たる直系卑属があげられ、この直系卑属のうちでは、親等の遠い者より近い者を、女子より男子を、非嫡出子より嫡出子を、年少者より年長者を優先することになっていました。これは、多くの場合、「長男の単独相続」を意味しました。明治民法の「長男単独相続」は、社会的基盤として「家」制度の維持・存続をはかるものであったと言われています。○新憲法において「家督相続制度」は終焉昭和22年5月3日に施行された新憲法において、「個人の尊厳と両性の本質的平等」が尊重され、武家時代から続いた「家督相続制度」は終焉を迎えました。昭和23年1月1日施行された新民法においては、配偶者は常に相続人となり、第1順位直系卑属、第2順位直系尊属、第3順位兄弟姉妹とされました。そして、同一順位の相続人が数人いる場合には、その相続分は相等しいものとされました。昭和22年以前の相続においては、単独で全財産を承継した「家督相続人」か、ほとんど財産をもらえなかった「その他の人」という事になります。新民法が施行された昭和23年生まれの方は、今年67歳になりますので、80歳を超える方は、旧民法相続の経験の可能性がある方と言えます。○昭和10年前後の生まれで「家督相続世代」と「平等相続世代」との境界また今年80歳を迎える昭和10年生まれの方は、民法が改正された昭和23年までに小学校教育(尋常小学校又は国民学校初等科)を終えていますので、昭和10年前後の生まれで「家督相続世代」と「平等相続世代」との境界があります。私の父は平成10年に亡くなっていますが、昭和3年生まれの「家督相続世代」の大変厳しくも優しい父でした。母はいつも父を立て、家では絶対的な権限を持つ「家督相続制度」における「戸主」そのものでした。「戸主」である父の考えが、我が家の判断基準で、他の家族の多種多様な意見は採用されない場合が多かったですが、それでもあまり不満は無かった気がします。それは、「戸主」である父が、絶対的な権限を持っていましたが、家族に対する責任と深い愛情をしっかり持っていたからだと思います。一方、昭和23年「個人の尊厳と両性の本質的平等」を尊重する新民法が施行されてから、絶対的権限を持つ「戸主」はいなくなり、すべての家族を平等に尊重する「平等家族制度」となりました。「民法第900条第4項 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」とされ、兄弟姉妹は平等に親の財産を相続する権利が与えられました。「介護が必要になった親と同居をして親身に世話をした子供」も「たまにしか実家に帰って来なかった子供」も平等に財産を相続する権利があります。親の面倒を看た貢献を「寄与分」として、財産を多く取得できる制度もありますが、金額的にはそれほど多く評価されません。○寄与分や配偶者の財産形成を相続時にもっと配慮するなどの民法改正が検討先日、寄与分や配偶者の財産形成を相続時にもっと配慮するなどの民法改正を検討している事が法務大臣より発表されたところです。現在、相続対策が必要な80歳以上の方は、「家督相続世代」で、家を継ぐ「戸主」がすべての財産を取得する事が「家」を守る事であり、財産を分割することは「家」を弱くする事であり、悪い事であると教育を受けた世代です。幼いころから、「戸主」がすべての財産を引き継ぐ事が「善」で、分割をすることは「悪」であると教えられ育っているので、自分の相続においても「分割」を前提に準備をしようとはなかなかなりません。○「家督相続」と「平等相続」のギャップが、"争族"の2つ目の大きな原因冒頭の相続の話をすると不機嫌になるお父さんは、このような心情だと思います。一方、財産を引き継ぐ60歳より若い方は「平等相続世代」です。平等にもらうのが当然であり、「家督相続は古き悪しき風習」と考える世代です。ここに、生前に相続の準備をしない「家督相続世代」の親が亡くなり、「平等相続世代」の子供が平等の権利を主張し、遺産を巡って争いになるという構図があります。「家督相続」と「平等相続」のギャップが、"争族"の2つ目の大きな原因です。「家督相続世代」は、「会社」や「家」を守るため、財産を分割しすぎない為の「遺志を残す」。「平等相続世代」は、自分たちの権利のみを主張せず、「果たす責任に見合った権利を主張する」。これらにより、「家督相続」と「平等相続」のギャップが埋まり、無用な"争族"を減らすことが出来ます。(参照:『基本法コンメンタール相続』(日本評論社))(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年03月03日連載コラム『人に聞けない相続の話』では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース3】弟 : 「兄ちゃんは大学も行って、ずいぶんお金かかったよね。俺は高校出てすぐ親父のお店手伝うようになったから、兄ちゃんとはお金のかかり方が全然違うよ」兄 : 「何言ってんだよ。お前は、高校時代、頭悪いのに勉強もしないで遊んでばっかりいて、浪人してでも大学行けばよかったじゃないか。俺は一生懸命勉強して、なるべく親に負担がかからないように、国立大学に行ったんだぞ」弟 : 「姉ちゃんは、結婚の時、ずいぶんお金出してもらったよね。それに昔からよく親父にブランドもの買ってもらってたし」姉 : 「何言ってるのよ。お父さんは私が可愛いから、『何が欲しい?』って聞くから、親孝行のつもりでもらってあげてたのよ」【診断結果】父親が亡くなり、まだ葬儀が終わっていないのに始まった遺産を巡る争い。一般社団法人相続診断協会が落語家の「桂ひな太郎」師匠と共同で作った「笑顔相続落語」の一節です。相続が揉めてしまう一番の原因は、「財産を平等に分けられない」からです。相続財産の50%超を占める土地や建物などの不動産は、分割する事は困難ですし、共有にすると後々にいろいろな問題が発生します。また、親が経営していた会社の株式は、兄弟姉妹3人いるから株式を3分割すれば良いかというと、そのような分割をすると社長となった長男は3分の1の議決権しかなく、残り2人が結託すると社長を解任される可能性もあり、やり辛くて仕方無い状態になります。遺産の大部分が、現預金などの金融資産であれば、平等に分ける事も可能ですが、現実的には、"遺産はほぼ、平等に分けられません"。また、親が亡くなった時の財産を平等に分ければ争いが起きないかというと、そうでもありません。冒頭の兄弟姉妹の争いのように、大学に行った行かない、留学したしない、結婚費用を出したもらった、マンションの頭金を出してもらったなど、生前に親が子供に使ったお金は、平等ではありません。亡くなった時の財産を均等に分けられたとしても、生前に親が子供たちに使ったお金を巡って、より複雑な議論が始まります。○すべての相続人が納得する"平等"という状況は極めて希少各人の"平等"だと思う概念が同じではないので、"平等"に分けると言っても、すべての相続人が納得する"平等"という状況は極めて希少です。民法では、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻、養子縁組、若しくは生計の資本として贈与を受けた財産が「特別受益」といい、遺産の総額に贈与を加えたものを遺産とみなし、特別受益を受けた者については、相続分から贈与の価額を控除した残額を相続分とする法定相続分の調整規定があり、法律上の平等は規定されていますが、「結婚式の費用」は特別受益の対象にならないが、「嫁入り道具」は特別受益の対象になるなど、一般人が理解し納得出来る内容ではありません。では、"平等"とは、どういう状況なのでしょうか?その子供が生まれてから親が死ぬまでにその子供のために使ったお金その子供が生まれてから親が死ぬまでにその子供に贈与したお金や物親が亡くなった時に相続で受け取ったお金と物1+2+3が、兄弟姉妹で同じ金額になれば、究極の平等です。子供が生まれてから、家計簿をつければ可能です…。実際の裁判でも、これに近い論点で1円まで遺産の奪い合いをしています。なぜ子供たちが平等に財産を要求するかというと、『民法第900条第4項 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。』となっているからに他なりません。民法第900条第4項が、兄弟姉妹に均等の相続権を保障しているため、同じ金額をもらわないと損と感じてしまうのです。『兄弟姉妹の相続分は相等しい。』という民法を信じ、同じ金額をもらえると考える。しかし、現実には平等には分けられない。結果、争いになる。という構図があります。○争っている兄弟姉妹の心情は、「親から受け取る財産が平等=親の愛情が平等」この時、争っている兄弟姉妹の心情は、「親から受け取る財産が平等=親の愛情が平等」です。「親から受け取る財産が少ない=親の愛情が少ない」という心情ですので、引くに引けない争いです。「兄弟姉妹の遺産"争族"は、親の愛情の奪い合い」です。親の愛情をお金で測っているわけですから、きっちり平等に分けるか、1円でも多く他の兄弟姉妹よりも多くもらいたいと争います。実際に、どうしてここまで拘るのかと思うような争いをしている兄弟姉妹がありますが、「自分の方が親から愛されていたはず」という想いが、争いを泥沼化させています。○揉めない相続の秘訣は、『親の愛情を受け取る財産の多寡で判断させない事』一方、遺産分割が不平等でも、揉めない兄弟姉妹もたくさんいます。それは、親の愛情がしっかり伝わっている兄弟姉妹です。「親の愛情」というものは、子供に使った金額や残した財産の大小ではありません。「親の愛情」が伝わっていれば、受け取る財産の多寡で愛情を確認する必要がないので、金額に不平等があっても、役割の違いや関わり方の違いと納得し争う必要がありません。揉めない相続の秘訣は、『親の愛情を受け取る財産の多寡で判断させない事』です。子供たちに親の愛情が平等である事を生前にしっかり伝え、また遺言やエンディングノートに想いを残し伝える事が、大切な家族を守る秘訣です。子供たちが納得できる真の"平等"とは、「受け取る財産が平等」ではなく、『親の愛情が平等』という状況です。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年02月23日連載コラム『人に聞けない相続の話』では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース2】相続のセミナーを受けたAさん(50歳)は、エンディングノートに想いを残す重要性を知り、早速エンディングノートを購入し、記入し始めました。自宅の書斎でエンディングノートを記入していると、妻(46歳)がコーヒーを持って入って来ました。妻 : 「あなた、お仕事?」夫 : 「実は、相続のセミナーに参加してきたんだけど、エンディングノートに想いを残すと良いって聞いたんで、早速買ってみたんだよ」妻 : 「えっ? あなたどこか具合でも悪いの? エンディングノートって亡くなる前に書くものでしょ? どうしたの?」と焦って聞き返してきました。夫 : 「いや、違うんだよ…」妻 : 「どこも悪くないのに、どうして死ぬ準備なんかするのよ?」と今度は、泣きそうになって私に問い返してきました。【診断結果】一般の方にとって、『遺書』『遺言書』は、いずれも「亡くなるための準備の文書」なのかも知れません。そして、エンディングノートは、年配の方の「老いや死への準備」という印象が強いと思います。Aさんの奥さんは、ご主人が「エンディングノート」を記入しているのを見て「死」を連想し、狼狽されたのだと思います。辞書を引くと、『遺書』は、(1)死後のために書き残す文書や手紙、(2)自殺者が死に際して書き残した文書。『遺言書』は、(1)死後のために書き残す文書や手紙、(2)死後の財産の処置について書き残す文書や手紙、とあります。死後のために書き残す文書や手紙という広義の意味では、『遺書』と『遺言書』は、同じです。一般的な理解としては、『遺書』は、「自殺者が死に際して書き残した文書」。つまり、死を間近に感じている方が記入するものです。一方、『遺言書』は、「死後の財産の処置について書き残す文書や手紙」。例えば、「全財産を長男に相続させる」などです。『遺書』は、「死」までの時間が間近。『遺言書』は、「死」までの時間が、十分にある。死までの時間軸が違うと考えていただけると分かりやすいと思います。○『遺言書』と『エンディングノート』の違いは?そして、『遺言書』と『エンディングノート』の違いは、『遺言書』は、「死後の財産の処置について、法的な効力を備えられるもの」、『エンディングノート』とは、「法的な効力は有しないが、死後の財産の処置だけではなく、葬儀の方法、生きている間の延命治療や介護の方法、その他家族への想いやお世話になった方への感謝など多岐にわたって自由に記入することができるもの」です。『遺言書』と『エンディングノート』は、「まだすぐには、死なない人が書くもの」とも言えます。『遺言書』は、15歳以上で意思能力があればだれでも作成する事が出来ます。○『遺言書』の種類は?『遺言書』の種類は大きく、普通方式と特別方式があります。普通方式(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言(3)秘密証書遺言特別方式(4)危急時遺言(5)難船危急時遺言(6)隔絶地遺言(7)船舶隔絶地遺言特別方式の(4)危急時遺言は、やしきたかじんさんが、亡くなる4日前に弁護士3人の立ち合い下で作成し話題になりましたが、特別方式の遺言は死期が差し迫っている場合などのやむを得ない状況で行う事が認められている特別な遺言の方式であるため、遺言者が普通の方式で遺言を行う事ができるようになってから6カ月間生存した場合には、遺言の効力はなくなります。○一般的には、普通方式の(1)自筆証書遺言、または(2)公正証書遺言、を作成従って、一般的には、普通方式の(1)自筆証書遺言、または、(2)公正証書遺言、を作成します。(1)自筆証書遺言本人が、全文、日付、氏名を自筆で書き、印を押します。家庭裁判所での検認の手続きが必要。一番手軽に作成できますが、紛失や変造の可能性があり、また、本人が書いたかどうかで争いになる事もあります。(2)公正証書遺言本人が口述し、公証人が作成します。原本が公証役場で保存されるので、紛失や変造の恐れがありません。手間は掛かりますが、一番安心です。『遺言書』には、どの様な事でも書くことが出来ますが、法的に効力があるのは、次のとおりです。(1)身分に関する事子供の認知後見人及び後見監督人の指定(2)相続に関する事相続人の廃除及び廃除を取り消し相続分の指定遺産の分割方法の指定遺産の分割の禁止相続人間の担保責任の指定遺言執行者の指定遺留分の減殺方法の指定(3)財産の処分に関する事財産の遺贈財団法人を設立する為の寄付行為財産を信託法上の信託に出すこと以上、遺言によって法的に効力のある3つの事は、生前であれば当然に本人の意思で行う事が出来る事でもあり、内容によっては、相続人にとって納得しがたいこともあります。従って、法的には効力がありませんが、付言事項により遺言の説明を書くことは非常に重要です。○不動産は売却して良いか悪いかが書いてあるとトラブルを避ける事につながる残された家族への想い、お世話になった方への感謝の気持ちなどが書かれている遺言書は、大切な家族を亡くした喪失感を和らげてくれます。また、自分の親が亡くなって、知らない「子供の認知」が書かれた遺言が出てきたら、家族は戸惑うばかりです、やはり、お詫びの言葉や説明は必要でしょう。相続財産の分割は、法定相続分どおり平等に分ける事は、不可能になるケースが多いのです。財産を引き継いで欲しい理由が書いてあると、不平等な分割であっても納得しやすくなります。不動産については、処分を巡ってもめることがありますので、売却して良いか悪いかが書いてあると後々のトラブルを避ける事につながります。『遺言書』は、ある相続人に法定相続分より多く財産を引き継いで欲しい時、法定相続人ではない人に財産を渡したい時に確実に想いを達成する事が出来ます。従って、十分時間をかけ大切な家族が揉めないような付言事項を書き添える事をお勧めします。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年02月16日連載コラム『人に聞けない相続の話』では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース1】母親は、東京で長男家族と同居していました。もう一人の相続人となる次男は、大阪の会社に勤務し、家族とともに大阪に住んでいます。母親が亡くなる1週間前にお見舞いに来ましたが、その前に母親の顔を見せたのは2年以上も前の事でした。母親は、亡くなる1年ほど前から足が不自由になり、一人ではトイレに行くのも難しい状況でしたが、長男の妻の献身的な介護もあって、非常に安らかな最期を迎える事が出来ました。亡くなった母親の財産は、長男と同居していた先祖代々の家(5,000万円)と預金(1,000万円)でした。平成27年から相続税法の基礎控除が下がり、相続人2人の場合の基礎控除は4,200万円に下がりましたが、母親と同居していた長男が家を引き継げば、小規模宅地の評価減の特例が使えるため相続税も0円となるので、「我が家には相続は関係ない」と長男は思っていました。次男から「法定相続分である3,000万円をもらいたい」と言われるまでは…【診断結果】相続の話になった際、「うちには大した財産はないから相続は関係ない」とおっしゃる方が、たくさんいらっしゃいます。そういう方は、ほとんど「相続税がかからないから」関係ないと思っています。確かに、「財産の金額が相続税に基礎控除を下回る場合には、相続税は関係ありません。しかし、「相続は、相続税を支払う事だけ」ではありません。財産が基礎控除以下の方も、遺産分割をしなければいけません。実際には、"大した財産がない"場合のほうが、揉めています。遺産分割事件の数は年々増える傾向にあり、平成25年度は1万2,263件に上ります。その内訳を見ると5,000万円以下の財産の方が4分の3を占めています。つまり、遺産分割調停の4分の3は、昨年までであれば、財産が相続税の基礎控除以下の方「大した財産がない」場合なのです。家1軒、現預金がわずかという財産の方が、分けられない遺産を巡って、骨肉の争いをしています。なぜ、相続が"争族"になってしまうかというと、平等に分けられない家督相続と平等相続のギャップ近くに相続について相談する相手がいないの3つが大きな原因として挙げられます。○(1)平等に分けられない相続財産の1/2を占めるのが不動産で、分けられない財産の典型です。冒頭のケースで、自宅を売却して財産を1/2に分ける事が出来ない為、弟の申し出もあり、母親と長男家族が住んでいた自宅を、「長男と次男の共有」にしたとします。10年後に弟が先に亡くなると、長男の家の家主として、次男の妻や甥姪が登場し、やがて家賃を請求されるようになったり、持分の買取りを要求されるようになったりします。母親の死後10年も経ってから、元々兄弟が生まれ育った家を巡って、長男は悩み、最悪は売却をしなければいけない事も起こりえます。未上場会社の株式もまた、会社の支配権をめぐって争いが起きやすいので、平等に分けづらい財産です。全てが金融財産でもない限り、法定相続分どおり平等に分ける事は不可能に近いのです。また、親が亡くなった時の財産を平等に分ければ、相続人すべてが納得するかというと、「大学へ行った。留学した。高校しか出ていない。マンションの頭金を出してもらった。結婚式の費用を出してもらった」など生前に親が子供に使った金額も平等ではないので、相続の際、そのような不満が爆発することも良くあります。兄弟姉妹の争族は、親の愛情を巡ってのケンカ、自分の方が愛されていたと思いたいケンカです。「相続でもらう財産の多寡で、親の愛情を確認する争い」になってしまうと、他の兄弟姉妹よりも「財産が少ない=親の愛情が少ない」という構図になり、お互い後に引けなくなってしまいます。○(2)家督相続と平等相続にギャップ現在、相続を検討しなければいけない70歳以上の方は、戦前民法の家督相続で財産を引き継がれた家長の方、あるいは家長ではなく財産をあまり引き継がなかった方です。その世代の方々は、本能的に「家長となるものが財産を引き継げば良い」と思っていらっしゃいます。日本は戦争に負け、昭和22年に民法が、平等相続に改正されました。渡す側は、家督相続。もらう側は、平等相続。渡す側の70歳以上の方は、あまり多くを語らない世代なので、自分の死後の財産について子供たちに話していません。そのような状況で、親が亡くなると、一生懸命親の面倒を見た子供も何年も家によりついていない子供も同じ割合の相続権を主張しますので、やはり揉めてしまいます。○(3)近くに相続について相談する人がいない相続は、親の財産を明らかにし、誰が引き継ぐかという非常にプライベートな問題ですので、気軽に誰にでも相談出来る問題ではありません。また、税理士・弁護士・司法書士などの専門家に相談すればよい事はわかっていても、どの専門家が親切に答えてくれるのかわからなかったり、相談料が不安だったりで、実際に専門家に相談に訪れる方は少ないのが現実です。この大きく3つの事が原因で、実際に対策が進まないのが相続です。結果、何も対策されないまま相続が始まり、争族になり家族が壊れてしまう事が少なくありません。しかし、戦後の日本を支えた私たち両親の世代の方々は、何のために自分を犠牲にして24時間365日働いていたのでしょうか?お金のため・名誉のため、もちろんあったと思います。しかし、究極的には「家族のため」に働いていたと思います。家族のために自分を犠牲にして働いて築いた財産を巡って、自分の家族が壊れてしまったら、その人の人生は台無しになってしまいます。そんな不幸を減らすためには、どんな準備をしていけばよいで良いでしょうか?相続が円満で終わるケースは、「家やお墓を守る役割がある子供は、引き継ぐ財産も責任も大きい。家やお墓を守る責任がない子供は、引き継ぐ財産は少ない。それは役割が違うから仕方のない事。しかし、親の愛情は、兄弟姉妹すべてに平等。親の愛情をしっかり受け継ぎ、兄弟姉妹仲良く助け合って暮らして欲しい」そんな親の愛情が、しっかり伝わっている家族です。相続を"争族"にしないため一番大切な事は、「家族に愛情を伝える事」です。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年02月12日大和ネクスト銀行および大和証券は2月2日、相続発生時に金利を優遇するサービス「相続定期預金 紬~つむぎ~」の取扱いを開始した。○「相続定期預金 紬~つむぎ~」のサービス内容具体的内容ダイワのツインアカウントとは、大和証券の総合取引口座と大和ネクスト銀行の預金口座の両方を開設し、両口座の連携により、投資の待機資金を普通預金で自動運用し、効率的に資産を管理することができるサービス。必要書類相続人と確認できる書類:戸籍(除籍)謄本の写し、遺言書(公正証書遺言または自筆証書遺言で検認済のもの)の写しなど相続により引き継いだことが確認できる書類:金融機関に提出した依頼書の写し、被相続人名義の解約済通帳と計算書、遺産分割協議書の写し、遺言書(公正証書遺言または自筆証書遺言で検認済のもの)の写し等取扱窓口「ダイワ・コンサルティング」コース、「ダイワ・ダイレクト」コースいずれの顧客も、大和証券取引店(本・支店)にて申込む。コンタクトセンター、インターネットでは、同サービスは利用できない
2015年02月04日前回 に続き、よくある節税対策例についてご紹介していきます。今回は、不動産を利用した節税方法です。相続税増税を前に、ハウスメーカーや一括借り上げサービス業者の営業が加熱気味ですが、不動産投資による相続税対策は、方法を誤ってしまうと借金ばかりが残ってしまう悲惨な結末になりかねません。不動産による相続税対策例とその注意点について、お話していきましょう。■高層マンション購入による節税高齢になると、階段の昇り降りやちょっとした段差がつらくなってきます。そこで、戸建て住宅をリフォームするのではなく、駅近で利便性の高いタワーマンションをあらたに購入して、セカンドライフの住処とするシニアも増えています。マンションの相続税評価額は、土地の敷地持分と建物持分のそれぞれを評価していく仕組みです。タワーマンションは立体空間を活かした建築物なので、相続税評価額のうち、土地代の割合が少なくて済みます。さらに、建物の固定資産評価額は、面積のみを基準に計算されるので、1階でも最上階でも同じ評価額となるのです。美しい夜景や見晴らしの良い眺望は、評価額には一切考慮されません。そこで、人気のある地域のタワーマンションの高層階の部屋を購入しておくと、マンション自体の資産価値は下がりにくいので、売却価格と相続財産評価額に大きな差が生まれ、相続税対策になります。マンション特有の相続財産評価方法を活用した節税対策方法です。■不動産経営による節税アパートやマンションなど賃貸経営による節税対策は、相続財産額の大きな富裕層向けの対策といえるでしょう。賃貸物件にすることで、借地権や借家権が発生し、所有者が自由に土地と建物を処分しにくくなる分、相続税評価額が下がることを利用した節税方法です。相続税増税を前に、あちこちで似たようなマンションが増えていくのを目にしますが、営業マンの話を鵜呑みにして安易に手を出すと、節税額以上の財産を失うことになってしまうかもしれません。同じようなアパートを近くに建てられてしまうと、どうしても新築や駅近物件が有利になってしまい空室リスクが上がってしまいますし、現在のような低金利がずっと続く保証などないからです。営業マンが最初に見せる資料は、あくまでも現在の金利や空室率を条件にした見通しにすぎません。30年一括借り上げサービス(サブリース)についても、30年間の家賃を保証してもらえるサービスではありません。30年間借りてもらえるだけの契約です。家賃保証はされません。アパート経営による相続税対策は、親子で新規事業を立ち上げるという意識と覚悟が必要になります。分厚い契約書にもすべて目を通し、20年先までの長期的なプランを立ててみましょう。家賃収入・空室率・金利・リフォーム費用の楽観的な数値から悲観的数値まで、いくつものパターンのキャッシュフロー表を作成し、納得のいく結果にならないのであれば、ほかの節税対策を検討すべきです。不動産による節税対策は、空室リスク、金利変動リスク、入居者トラブルリスク、法的リスク、流動性リスクなど、数々のリスクをうまくコントロールできれば、相続税だけでなく所得税など税金の優遇制度も多く、収益まで手に入れることのできる、ほどほどのリスクとリターンのある投資方法ともいえます。リスクを下げる最良の方法は、人任せにせず、自分でしっかり考えることです。相続税に強い税理士やファイナンシャルプランナーなど、第三者の専門家に相談しながら、綿密な相続税対策プランを練りましょう。※この記事は2015年1月時点の法令に基づいて書いています。【連載:相続税の基本を学ぶ】・ (1)相続税の対象となる財産とは ・ (2)相続税の計算方法 ・ (3)相続税対策で人気の「教育資金等一括贈与」とは ・ (4)節税対策の注意点・その1
2015年01月28日2015年1月の相続から相続税法の改正が施行され、これまでより相続税の課税対象になる人が増えると見込まれています。この機会に相続税対策として、子どもや孫に生前贈与をして、相続税の課税対象財産を減らしておこうと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、生前贈与をするにあたってのよくある勘違いや、気をつけたい事例などをみて、効果的な生前贈与の方法を学んでいきましょう。そもそも、贈与とは?贈与とは、どのようなことを指すのか確認しておきましょう。まず、贈与者(財産をあげる人)が「あげます」と意思表示し、受贈者(財産をもらう人)が「もらいます」とそれを受ける。そして、贈与契約を取り交わし、贈与者が受贈者に財産を渡すことによって贈与が成立します。契約といっても、必ずしも契約書を交わす必要はありません。口頭でも贈与は可能です。ただ、契約書がないと、贈与者が亡くなって相続が発生したときに、税務署から贈与ではなく相続財産とみなされるケースもあるので、税務調査などを考慮するのであれば、贈与契約書を作成しておくべきでしょう。名義預金にならないように贈与するその年の1月1日から12月31日までの1年間(暦年)にもらったお金は、110万円までは贈与税がかからないことをご存じですか?これを、「暦年贈与」といいます。贈与をすることで相続財産を少なくすることができ、相続税対策になります(ただし、被相続人から法定相続人への生前贈与に関しては、相続発生前3年以内に受けていた贈与が、相続財産として相続税の対象になります)。この制度を利用して、長期にわたって親や祖父母の口座から子どもや孫の口座に毎年110万円を移動して、相続税対策をしている方もいらっしゃるのではないかと思います。しかし、これを暦年贈与として認めてもらうには、基本的には受贈者が自由にこのお金を使えることが必須です。なぜなら、「銀行の窓口に行くのも、通帳や印鑑を持っているのも贈与者」という場合は贈与ではなく、贈与者の「名義預金」(受贈者の名前を借りているだけの預金)とみなされてしまうからです。未成年者の通帳を、親が管理している場合の注意点名義預金とみなされた場合、その通帳に入っているお金は、相続財産として相続税の課税対象となります。きちんと贈与財産と認められるように、受贈者である子どもや孫が自分で窓口へ行き入金した上、通帳と印鑑を管理し、いつでも引き出せるようにしておきましょう。子どもが未成年の場合は、保護者である親などが通帳や印鑑を管理していれば問題ありません。しかし、親が管理している間に、親が子ども名義の口座から「生活費に一時借りる」など、一度でも出金してしまうと、その後元通りに戻しても名義預金とみなされ、贈与財産と認められなくなる場合があるので気をつけてください。子どもや孫が未成年の時から贈与を受けている場合、20歳になったら忘れずに通帳と印鑑を渡して、以後の贈与金は受贈者である子どもや孫が自分で入金するようにしましょう。面倒だからなどと子どもが銀行へ行かず、そのまま親が管理している場合には名義預金とみなされます。過去からの分を含めて贈与と認められないことがあるので、気をつけたいところです。あわせて、婚姻等で子どもの名前が変わったら、すぐに名義変更しておくことも重要です。旧姓のまま置いていると、「実際に使用していないのでは?」と考えられて、名義預金とみなされる可能性があるからです。生命保険料を贈与する場合の注意点「契約者=子、被保険者=親、保険金受取人=子」の生命保険に加入して、子どもに保険料を贈与するのも生前贈与対策の一つです。「若いうちから子どもに大金を持たせるのは、子どもに良い影響を与えないかも」などと考えて、実際にまとまったお金(保険金)を手にするのは親の相続時(亡くなったとき)となる、この方法を採用している人は少なくありません。親が子に保険料を贈与する場合、子が保険料を支払っている形にする必要があります。例えば、保険契約上は「契約者=子、被保険者=親、受取人=子」でも、親の預金口座から保険料を支払っていると、親が実質の契約者(保険料の負担者)とみなされてしまいます。親の口座から子の口座に保険料相当額を振り込むなど、贈与の証拠が残る形にして、子ども名義の口座から子ども自身が保険料を支払う形をとっておきましょう。保険契約者を親から子に変更する場合の注意点保険料を生前贈与するために、すでに契約している生命保険の契約者を子に変更することがあります。このとき、「保険契約を子にプレゼントする形になるので、贈与税の対象になるのでしょうか?」という質問をされる方がいらっしゃいますが、契約者の変更では贈与税が課税されることはありません。親に万一のことがあって、子どもに死亡保険金が支払われたときに、親が保険料を負担していた分に相当する保険金は相続税の対象に、子どもが保険料を支払っていた期間分は一時所得として、分けて計算されます。このように、保険の契約者を変えた場合は、贈与税の課税対象となるわけではないことを覚えておきましょう。贈与を考える際に必ず実行しておきたいことこれまでみてきたとおり、相続税対策として生前贈与を活用する方法はいろいろありますが、総合的にみて、必ずやっておきたいことがあります。それは、贈与があったことを裏付ける証拠を残しておくことです。贈与の際、渡す側と受け取る側の双方にその意思があったという贈与の事実を証明するために、贈与のたびに贈与契約書を作成しておきましょう。また、「連年贈与」にならないよう注意する必要もあります。例えば、毎年100万円を10年間贈与したとします。1年間の贈与は基礎控除である110万円の範囲内ですので、贈与税の対象になりません。ただ、「もともと毎年100万円を10年間贈与するという契約だった」とみなされると、1,000万円を贈与したものとして贈与税が課税されてしまいます。これが連年贈与です。そうならないように、毎年、贈与の都度取り決めをして、贈与契約書を作成することが重要になります。さらに、毎年同じ日に同じ金額で贈与するのは極力避けましょう。税務署から連年贈与とみなされるおそれがあります。贈与のタイミングや金額は、毎年変えておくのが理想的です。長い年月をかけて、相続税対策としての生前贈与をしてきたのに、実際の相続時に税務署に認めてもらえなかったということが無いよう、しっかりとした知識を持って進めていきたいですね。不安な方は、贈与の事実を税務署にきちんと説明できるように、専門家と相談しながら準備を進めるといいかもしれません。2014年12月、自民党税制調査会は来年度の税制改正で、親や祖父母が子や孫に将来の結婚や出産、育児関連の資金を贈る場合に贈与税がかからなくなる制度を、4年間の時限措置として新設を目指す方針を打ち出しました。この制度は、親や祖父母が金融機関に作った専用口座にお金を入れておけば、子や孫一人につき一定額(上限1,000万円を予定)まで贈与税がかからなくなるというものです。高齢者から若い人へ、資産が動くことが期待できるこの税制改正。今後の行方に注目していきたいですね!コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年01月27日2015年1月1日の相続税増税前に押さえておきたい相続税の基本シリーズ4回目は、よくある節税対策例についてご紹介します。© NOBU - Fotolia.com相続税への節税対策は数多くありますが、対策によって向いている人といない人がいます。保有資産の額や種類、割合によって、最適な相続税対策の方法が異なるからです。たとえば、相続財産に占める割合のうち、現金の多い方と不動産の多い方とでは、取るべき相続対策が違ってきます。各家庭に合った相続税対策を検討できるよう、参考になりそうな例を挙げてみました。■暦年贈与を利用した節税暦年贈与とは、「贈与税の暦年課税制度の贈与」のことで、1月1日から12月31日までの間(暦年)に贈与を受けた金額が110万円以下の場合、贈与税の申告が不要な制度です。もっとも簡単でリスクも低い節税方法ですが、節税にはある程度の年数が必要です。ただし、相続時から3年前までの贈与分は、みなし相続財産として相続税の計算に入れられてしまうので、要注意です。もう1つ注意すべきは、渡す側と受け取る側の両方が、「贈与である」という認識を持っている必要があるという点です。良かれと思って勝手に受け取り先名義の口座を作り、受け取る側に知らせずにその口座へ振込を続けたとしても「名義貸し」とされてしまい、贈与とは認められません。銀行口座の管理は、贈与される側がしっかり行うようにしましょう。ちなみに、毎年111万円の贈与をし、あえて贈与税を支払って贈与の証拠を残していくのも多くの方が取られる方法の1つです。暦年贈与を利用した節税対策は、双方が元気なうちに始めておきましょう。■贈与税の特例を利用した節税マイホームの購入やリフォームを検討中なら、「住宅取得等資金の贈与税の非課税枠」を利用する方法もあります。平成26(2014)年12月末までは、一般住宅500万円、省エネ・耐震住宅1,000万円までが非課税になります。この方法を利用するには、受贈者と建物、それぞれに条件があり、どちらも満たす必要があります。<非課税の特例の対象となる受贈者の要件>1.直系尊属からの贈与であること2.贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること3.贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること4.贈与する側とされる側のどちらかが日本国内に住所を持っていること続いて、対象となる建物の条件です。<購入の場合>1.住宅の登記簿上の床面積50平方m以上240平方m以下、かつ床面積の2分の1以上が居住の為に利用されること2.贈与の翌年3月15日までに増改築を完了し、少なくとも年末までに居住すること3.購入する家屋が中古の場合は、耐震基準に適合することが証明されること<増改築の場合>1.住宅の登記簿上の床面積50平方m以上240平方m以下、かつ床面積の2分の1以上が居住の為に利用されること2.増改築の工事に要した費用の額が100万円以上であること3.贈与の翌年3月15日までに増改築を完了し、少なくとも年末までに居住すること4.確認済証、検査済証、増改築等工事証明書により証明されたていること平成27年度税制改正にて、この非課税枠を3,000万円までに大幅拡大する要望が出されています。3,000万円まで非課税になれば、消費税が10%になる前の住宅の駆け込み需要の起爆剤にもなるかもしれません。 相続税の基本(3) でご紹介した「教育資金等一括贈与の非課税制度」を利用する方法もあります。まとめて大きな額を贈与できるチャンスになりますので、親に甘えられる時に甘えておくことが、結果として相続税対策に繋がることもあるでしょう。そのほか、結婚式費用を親に負担してもらうことや、結婚や出産などのご祝儀には、社会通念上、妥当とされる範囲であれば、贈与税はかかりません。実は、お祝いごとも相続税節税のチャンスだと覚えておきましょう。※この記事は2015年1月時点の法令に基づいて書いています。【連載:相続税の基本を学ぶ】・ (1)相続税の対象となる財産とは ・ (2)相続税の計算方法 ・ (3)相続税対策で人気の「教育資金等一括贈与」とは ・ (5)節税対策の注意点・その2
2015年01月21日