児童精神科医として少年院に勤務、そこでの気づきとは今回は、困っている子どもたちを教育・医療・心理・福祉の観点で支援する「日本COG-TR学会」を主宰し、全国で支援者向けに研修を行っている児童精神科医・宮口幸治先生のコラムをまとめてご紹介します。宮口幸治先生は、2009年より児童精神科医として少年院に勤務したご経験から、認知能力の大切さに気づき、子どもたちが遊び感覚で認知機能を鍛えられるトレーニング『コグトレ』を考案。「勉強ができない」「黒板を写せない」「漢字が苦手」…そんな子どもの困りに向き合う先生の思いや保護者の方へのメッセージをご一読ください。発達障害の認知度が高まる今、宮口先生は保護者や支援者の方に見逃さないでほしいと思うポイントを2つ挙げています。それは、「知的障害の有無」と「認知機能の弱さ」です。特に「境界知能」に当てはまる子どもたちは、適切な支援を受けられていない可能性があるといいます。児童精神科医として10年以上、少年院に勤務し多くの子どもたちに出会ってきた宮口先生。今、「困っている」子どもたちの今後の人生が少しでも生きやすくなるように、「学力以前の力」を身に付ける必要性を強く感じたと言います。そのために必要な適切なサポートとはなんでしょうか。「ワーキングメモリ」という言葉をご存じでしょうか。宮口先生は、別名「心のメモ帳」といい、短い時間に心のなかで情報を保持し、同時に処理する能力のことを指すと解説します。このワーキングメモリには「見る」「聞く」の2種類があり、人は、聞いて覚えるよりも、見て覚えるほうが得意な人が多いものであると続けます。それでは、「聞く力」を身につけるトレーニングにはどのようなものがあるのでしょうか。「認知の力」とは、どのような力を指すのでしょうか。宮口先生は、学習はもちろん、相手の表情を読んだり、人の気持ちを想像したり、次に何をしたらいいのかを考えるには、すべて「認知の力」が土台になっていると言います。だからこそ、「数える」「覚える」「写す」「見つける」「想像する」力を伸ばす必要があり、「できないこと」をひたすらやらせるのではなく遊び感覚でできるトレーニング法を提唱しています。教育相談の場を通じて子どもの知能検査などを行った際、「見る・聞く」といった認知機能の弱さが見つかれば、それが学業不信につながっている可能性を保護者の方に説明してきた宮口先生は、「認知機能に弱さがあるのは、どうしたらいいですか?」という質問をよく受けてきたと言います。なかなかいいトレーニングを紹介できずにもどかしさを感じていた宮口先生が、生みだしたのは。
2022年10月31日毎月、月経痛が辛い…!ピルを婦人科で処方してもらうという選択肢を知りながら、なんとなくためらっていて日々をやりすごしている人もいるでしょう。ピルの基礎知識や婦人科受診の目安などを婦人科医にうかがいます。ピル認知率は約9割!でも服用経験ありの割合は…?ピルのオンライン診療プラットフォーム「ルナトモ」を運営するLunatomoが、2022年8月に全国18歳~39歳の855人の女性に対して、ピルの利用実態調査を実施したところ、全体の91.7%の女性がピルについて聞いたことがあると回答しました。ピルについて知っている女性に対して「ピルを生理トラブル軽減のために検討したことはありますか?」と聞いたところ、59.2%が一度でも検討したことがあると回答。そのうち「実際に服用している・したことがある」人は34.2%という結果になりました。ピルの服用を検討した理由の上位は「生理痛を軽減したいから(59.5%)」、「生理不順を改善したいから(33.0%)」、「PMSを軽減したいから(26.9%)」となり、避妊よりも体調不良からピルの服用を考える女性が多いことがわかりました。この調査結果からは、多くの女性はピルの存在を知っていて検討はするものの、なかなか婦人科受診にまで踏み切っていない実態がわかります。ピルについての知識や受診の目安がわからないことも、原因かもしれません。ピルってどんなもの?そこでルナトモの提携院であり、ピルの処方を行っている「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」院長で産婦人科医の岡田有香さんにピルについてお話をうかがいました。岡田さんピルは、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)という2種類の女性ホルモンを合わせてできた錠剤です。排卵を抑えてホルモンバランスを一定にすることで、月経痛の緩和や子宮内膜症予防のほか、さまざまな効果があるといわれています。ピルの服用により期待される効果避妊、経血量の減少、月経痛の緩和、月経不順やPMS(月経前症候群)の改善、子宮内膜症の発症予防、肌荒れ(大人ニキビなど)の軽減など。岡田さんピルは医師の処方せんが必要な「医療用医薬品」です。医師の診察を受け、医師や薬剤師から薬の説明を受けたうえで購入する必要があります。ピルを選択する目安とは?ーー先述したアンケートでは、ピルの検討理由で1番多かったのは「月経痛の軽減」でした。自分でできる月経痛への対処法としては、市販の痛み止めを服用したり、お腹を温めたり、ストレッチなどを行ったりする方法があるといわれています。ピルを婦人科で処方してもらう目安には、どんなことがあるのでしょうか。岡田さん月経中に痛み止めを1錠でも飲んだり、日常生活に支障をきたすほどの強い月経痛がある方は「月経困難症」という病気に当てはまります。月経困難症がある人の約70%は子宮内膜症になるといわれており、それを放置すると不妊のリスクが高まる恐れがあります。月経困難症を自覚する方は一度婦人科を受診してみてください。婦人科の待ち時間と予約への不満の対策ーーピルの処方をはじめ、月経痛改善のために婦人科を受診しても、「待ち時間が長い」「予約が取れない」などの不満があるのが実態です。Lunatomoの調査でピルを服用していると答えた女性のうち、77.7%が通院を通してピルを入手していると回答。そのうちの95.2%が病院に通ってピルを受け取ることに何らかの不便を感じた経験があると回答し、「待ち時間が長い(58.1%)」、「定期的な通院が面倒(55.1%)」という不便さを感じている人が多い結果となりました。こうした声を受けて、婦人科のなかには、待ち時間が長いことや予約の取りにくさに対して工夫をしているところもあります。例えば岡田さんが院長を務める「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」では、待ち時間を短縮するための工夫をいくつか行っているのだそうです。岡田さん24時間、WebサイトとLINEでの予約受付を行っているほか、問診などは事前にオンラインで行えるようしています。またクリニックでの受診時には、検査結果や会計が出たらLINEで連絡するという方式を取っており、待ち時間の合間に外出もできるようにしています。また待合室には仕事できるスペースを設置しており、必要に応じて利用いただけるようにしています。ーーピルを希望して婦人科を受診する際には、このような工夫をしている婦人科を探すのも良さそうですね。オンライン診療という選択肢もーー婦人科の待ち時間や予約の取りにくさなどの対策の一つに、オンライン診療の利用があります。ピルの処方はオンライン診療でも行われています。岡田さんにオンライン診療への取り組みについてうかがいました。岡田さん自分のカラダや健康について知り、向き合うことは女性にとってとても大切なことです。残念なことに、日本では婦人科受診そのものにハードルを感じる女性も少なくありませんが、欧米では産婦人科のかかりつけ医を持つことが一般的。日本でもそうなったらいいなと思っています。その点、オンライン診療は自宅や職場にいながら、忙しい時間の合間にも診療を受けられるのがメリットです。今後も女性が安心して月経痛やPMS、月経異常などの不調を婦人科医に相談し、適切に自身のメンテナンスできる機会を支援していきたいと思います。ーーちなみに、ピルの処方をオンライン診療で受ける場合の費用は現状、ほとんどが保険が適用されない自由診療といわれています。病院やオンライン診療サービスによっても異なりますので、費用面が気になる場合は、医師に相談しましょう。月経痛に悩んでいる人は、程度に応じてピルの利用を考えてみるのも良いのでは。またピルを処方してもらうのに必要な婦人科受診方法の選択肢も広がっています。ぜひ自分に合ったものを見つけて、改善していきましょう。Information教えてくれた人…岡田 有香(おかだ・ゆか)さんグレイス杉山クリニックSHIBUYA院長 産婦人科医日本産科婦人科学会専門医。2022年グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長に就任。生理の知識や妊活、卵子凍結についてInstagramでも発信中。(C)Vertigo3d/Getty Images文・椎原茜
2022年10月30日発達障害のある人への対応で重視したい2つのことこれまで私は児童精神科医として少年院に勤めながら、自治体の教育相談、学校コンサルテーションなども行ってきました。最近では「発達障害」への認知度が高まり、発達障害があることの生きづらさについても理解が深まりつつあります。今回は保護者や支援者の方が発達障害のある人に対応するときに、見逃さないでほしい2つのポイントについて、お話ししていきます。それは、「知的障害の有無」と「認知機能の弱さ」です。1つ目は、知的障害の有無です。社会生活を送る上での困りごとは、実は、知的な障害から生じるケースがほとんどです。逆にいえば、発達障害のある人でもIQ(知能指数)が高ければ、今の社会を生き抜いていく方法はあるでしょう。例えば、自閉傾向が強くても勉強ができたら、好きな分野での研究職に就くといった選択肢が考えられます。知的障害の認定基準は「IQ70未満」知的障害の認定基準は、都道府県によって多少の違いはありますが、おおむね「IQ70未満」です(一部では「IQ75未満」のところもあります)。さらに日常生活での援助が必要だと認められると「知的障害」と判断されます。そのうち、「IQ50~70」が「軽度知的障害」です。ただし、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のもので、それ以前には「IQ85未満」とされていた時期もあります。みなさん、「境界知能」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。IQ70と85の境となる「IQ70~84」が境界知能です。意外に思うかもしれませんが、境界知能は日本人の7人に1人が該当(IQ100を平均とした場合、境界知能には約14%が該当)します。勉強が苦手な子どもの中には、知的障害には該当しないものの、この境界知能に当たる子どもたちがいます。また、はっきりと発達障害と診断はされないものの、何かしらの課題を抱える「グレーゾーン」の子どもたちもいます。こうした子どもたちにも、本当はなんらかの支援があってしかるべきだと思うのですが、家庭や学校で見過ごされてしまうことが多々あります。むしろ、「軽度知的障害」と診断を受けていたほうが特別支援学級に在籍するなど、支援の手が届きやすくなります。でも、障害の診断はされていないのに、「授業についていけない」「周囲の子となじめない」という子どもの場合は、「本人のがんばりが足りない」「努力不足」「やる気がない」などととらえられてしまいがちです。先にお伝えしたように、境界知能とはIQ70~84です。IQ80あればIQ100の8割なので、同じ年齢の子と比べて8割程度の知能ということです。平均の8割あれば、そんなに心配する必要はないように思いますか?でも、考えてみてください。8割の知能ということは、10歳の子どもたちの中に8歳の子どもが混ざっているイメージです。小2の子どもが小4のクラスの授業についていくのは、しんどいことだと想像できるのではないでしょうか。認知機能の弱さが学習のつまずきにさらに、境界知能の子どもたちがしんどいのには、もう1つ理由があります。「認知機能」の弱さです。発達障害に対応するときに、重視してほしい2つ目のポイントです。認知機能とは、注意、記憶、言語理解、知覚、推論・判断といった「知的機能」を指します。見る、覚える、写すといった社会生活を営むのに必要な能力で、「学習の土台」でもあります。境界知能の子どもたちの多くは、この認知機能に弱さを抱えていることが多いといわれています(知的障害や発達障害のある子どもにも、その弱さは見られます)。例えば、「見る力」が弱いと文章を目で追いづらかったり読み飛ばしてしまったり、「覚える力」が弱いと九九や漢字を覚えられなかったり、「写す力」が弱いと板書が書き写せなかったり…学習面でのつまずきにつながります。このような認知機能の弱さを抱えながら、教科学習の知識を積み上げていくのは大変なことです。学年が上がるにつれて、学習内容は複雑になり、抽象度も増していきます。学習の土台がしっかりしていないところに、知識を積み上げても、子どもたちのつまずきが増すばかりです。子どものつまずきに気づき、手を貸してあげられる大人といえば、親御さんや学校の先生方です。とくに親御さんは、子どもが「自立」するまで、共に寄り添っていく存在です。いわば、子どもの「伴走者」です。子どもが自発的に何かをやり始めて、つまずきながらも、目的に近づいていく。それでもくじけそうになったときに、「大丈夫だよ。いつでも手伝うよ」と安心させるのが、伴走者の役割です。ポイントは、つかず離れずの距離感です。子どもにくっつきすぎて、やることを先回りして手伝ってばかりいると、自立を妨げかねません。一方で、親の子どもへの関心が薄かったり、困っているときに手伝えなかったりすると、子どもは不安になってしまいます。最後に、学習面でのつまずきを解消するには、学習の土台である認知機能をトレーニングすることが大切です。『コグトレ・パズル』は、親御さんに専門的な知識がなくても、パズルやゲーム感覚で楽しみながら、お子さんの認知機能の向上が期待できるトレーニングです。子どもの学習の「伴走者」として、保護者の方も一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。
2022年10月26日月経痛や月経不順などで悩んでいませんか?「この症状で婦人科に行ってもいいの?」と迷っている人もいるかもしれません。産婦人科専門医に月経のトラブルで婦人科に行くべき目安をうかがいました。この月経トラブル、婦人科に行くべき?月経痛が酷い、経血量が多い、月経期間が長い、月経がきちんと来ないなどで悩んでいませんか?気になる症状があるけれど、行くほどのレベルではないかもと、婦人科を受診するのをためらっているかもしれません。忙しさや婦人科の予約の取りにくさなどから、悩みを放置している人も多いのでは?でも万が一、重大な病気が隠れていたらと思うと不安ですよね。そこで今回は、産婦人科専門医の大島乃里子さんに、月経のよくあるトラブルについて「こうなったら婦人科に行くべき」という目安をうかがいました。ぜひ参考にしてください。知っておきたい婦人科受診のめやす1. 月経痛が酷い大島さん日常生活に支障のあるような痛みがある場合には、受診をおすすめします。時々、市販の痛み止めを使う程度で問題なければ経過をみてもよいのですが、毎周期、痛み止めを使用している方や、以前より月経痛が強くなっている場合には、特に注意が必要です。30代は子宮内膜症などの病気による月経痛が増えてくる時期なので、そのような方はぜひ受診してください。2.月経の量が多い大島さん昼用のナプキンが1時間もたない場合は、月経量が多いと考えられますので、受診をおすすめします。また月経血が塊になってゴロゴロ出てくるような場合にも受診しましょう。3.月経期間が長い大島さん月経が8日間以上続くようなら受診してください。月経期間は3〜7日間が正常の範囲です。4.月経がなかなか来ない大島さん妊娠の可能性があれば、市販の検査薬で検査をしてください。妊娠ではない場合、3か月間、月経が来ないときには受診してください。また、正常の月経周期は25〜38日の間なので、毎周期、この範囲を超えているようなら受診をおすすめします。月経トラブルで婦人科を受診したらどんな検査をするの?ーー月経トラブルがあって婦人科を受診した場合、どんな婦人科検査を受けるのでしょうか。不安になるのですが。大島さん婦人科ではすぐに検査を行うのではなく、症状について詳しくお話をうかがったうえで、その方に必要な検査を行います。受けるべき検査は症状によって異なりますが、血液検査では月経に関連するホルモンを調べることができますし、内診や経腟超音波検査では子宮や卵巣に腫瘍がないかをみることができます。婦人科外来を受診するほどの症状はないという方は、人間ドックで経腟超音波検査をオプションに加えるのも一案です。また20〜30代で将来、妊娠・出産を考えている方は、プレコンセプションケアとして検診を受けておくのもおすすめです。ーープレコンセプションケアとは、「コンセプション=妊娠」の「プレ=前」のケアという意味から、妊娠前のケアを指します。世界的に普及しつつある概念で、世界保健機関(WHO)の定義(※)では「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」とされています。プレコンセプションケアのレディースドックを受ける選択肢もーー大島さんが婦人科顧問を務める「クレアージュ東京 レディースドッククリニック」では、プレコンセプションケアのレディースドック「プレコンドック」がありますが、どんな検査をするのでしょうか?大島さんプレコンドックには、妊娠の妨げになる可能性がある婦人科疾患のチェック、卵子の残数 (卵巣予備能)を推定するAMH検査、感染症検査などが含まれます。今すぐの妊娠は考えていないという方は、プレコンドックで今の自分のからだの状態を確認し、健康増進のためにできることを知り、将来妊娠したいときにスムーズに妊娠するための準備をしていただくためにご活用いただけたらと思います。ーー毎月の月経で何らかのトラブルに悩まされており、不安がある人は、今回紹介された目安を元に判断しつつ、迷ったらひとまず婦人科を受診するのが安心と言えそうです。痛みを我慢するなどの無理はせず、改善を目指しましょう。Information教えてくれた人…大島 乃里子(おおしま・のりこ)さん「クレアージュ東京 レディースドッククリニック」婦人科顧問。日本産科婦人科学会専門医、医学博士。 婦人科腫瘍のほか女性医学の専門医・指導医でもあり、思春期から老年期までの女性の生涯におけるヘルスケアを担っている。(C)Milos Dimic/Getty Images文・椎原茜
2022年10月23日30年以上、発達障害のある子どもたちをみてきた精神科医の言葉今回は、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授を務める本田秀夫先生のコラムをまとめてご紹介します。これまで執筆いただいたコラムでは、発達が気になるお子さんの進路選びや、発達障害子育てのポイント、インクルーシブ教育の実現に向けた考えなど、保護者の方に向けた力強い言葉をつづっていただいています。30年以上の臨床経験がある本田先生の言葉は、私たちの心に深く届くものばかりです。ぜひ、この機会にまとめてご一読ください。障害のある子どもと障害のない子どもに別々の教育を行うのではなく、全員が共に学べるような形で教育を行うことを意味する、インクルーシブ教育。本田先生は、合理的な考え方であり、そのような環境設定をすることに対して全面的に同意しているものの、現在の学校教育にはまだ課題を感じると言います。共生社会をつくるために必要な姿勢とは…。本田先生は、発達に特性のあるお子さんの進路について話していると「通常学級で大勢の中に入ったほうが、いい刺激を受けるんじゃないですか」と言われることがあるそうです。この記事では、保護者の方に向けて通常学級に在籍することで受けるプラスとマイナスの刺激について解説いただいています。発達に特性のあるお子さんの就学や進路選びでは、通常学級、通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校など、さまざまな選択肢の中から検討されるかもしれません。特に、小学校入学前に受ける就学相談で「通級指導教室や特別支援学級が適当」という判断が出た場合に悩む保護者の方が多いと本田先生は言います。発達障害子育てで感じる、さまざまなお悩み。どのように対応すればいいのか迷われている保護者の方に向けて、子育てを考えるきっかけになるクイズを本田先生にご用意いただきました。ぜひ、お子さんをイメージしながら答えを選んでみてください。発達障害のあるお子さんには、さまざまな特性があります。本田先生は、「得意なこと」「苦手なこと」「好きなこと」「嫌いなこと」などを一般常識にあてはめないで、ありのままに理解していくことが大切だと言います。この記事では、発達障害のある子どもの育て方のポイントを解説いただいています。発達が気になるお子さんの子育てをする中で、「できないこと」に目が行きがちだと感じている保護者の方も多いかもしれません。本田先生は、「平均値に届く・届かない能力が必ず存在する」「苦手の克服を最優先課題にするのは、発達障害のある人たちにとってはしばしば逆効果となり、特訓すればするほど嫌いになってしまうことがある」と言います。発達障害の当事者やそのご家族の方から、「発達障害と個性はどう違うの?」と質問をよく受けてきた本田先生は、「発達障害の特性と個性の間に境界線はない」「発達障害の人が向き合う困難はマイノリティ問題と共通している」と考えているそうです。それはなぜでしょうか。本田先生は30年以上の臨床経験から、発達障害と診断された人たちのなかで、割合が大きいけれど十分に理解されず困っている人がいると感じているそうです。それは、発達障害が「重複」するタイプの人であり、発達障害のある人の悩みを理解し支援するためには、その人たちのことをぜひ知っておいてほしいと言います。
2022年10月21日ご自身や家族が精神疾患かな?と思ったらUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン診察はどのように行われるの?精神疾患とは、なんらかの脳の働きの変化により心理的な問題が生じ、感情や行動などに著しいかたよりがみられる状態のことです。もしご自身や家族が精神疾患の症状が出ていたら専門機関の受診をおすすめします。診察では、医師はまず患者本人およびその家族から、主訴(何に困っているのか)、現病歴(いつからどのような症状があり今に至っているのか)、既往歴(以前かかっていた病気のこと)、家族歴(家族の精神疾患、ないし同じ症状の人がいるか)、生活史、家庭環境や職場環境などを聞き出します。次に、集めた情報や診察室で観察される症状、さらには病院によっては検査結果などから、総合的に診断を決めていきます。おおむね以上のような流れで進みますが、医師により異なる手順をとる場合もあります。各診療科の特徴精神疾患をみる診療科は精神科や精神神経科、心療内科や神経内科など、かなり名称にばらつきがあります。精神科と心療内科の診察の対象となる病気は、現時点では明確な区別はありません。ただ、心療内科には「内科」とついていることからも分かるように「身体症状」に対する対症療法などの経験が豊富な医師が多いようです。精神科、精神神経科、神経科は、名前が異なりますが診ているのは精神科医です。精神症状なら精神科医の方が経験豊富ですが、医師の資質・経験の差が大きい場合もあるので、自身にあった医師を見つけることが重要です。心療内科は、心理的な問題が原因で、頭痛、倦怠感、不眠、胃潰瘍などの身体的な症状が出ている場合(いわゆる心身症)を対象としています。神経内科(脳神経内科)は、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を主な対象としています。認知症やてんかんなどは精神科だけでなく神経内科(脳神経内科)でも診ています。一般的には看板ごとに以上のような住み分けがされていますが、診療科名からどのような病気を対象としているのか確かめにくいこともあるので、あらかじめ電話やホームページで確認するとよいでしょう。どの科においても薬の「飲み心地」などについて話し合えるのが、「良医」であることの1つの指針となります。不安なことや、悩みがある場合、気軽に相談できる病院を選べるとよいでしょう。精神疾患の治療法精神疾患の治療法は、大きく分けて身体的治療と心理的治療の2つに分かれます。以下、それぞれについて紹介いたします。代表的なものが、薬物を用いた薬物療法です。他に、高照度光刺激療法、修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法(けいとうがいじきしげきほう)などの身体に物理的に働きかける療法もあります。身体療法とは対照的に、心理的な手段を用いて患者の心身に働きかけるもので、さまざまな理論・アプローチがあります。たとえば、認知に働きかけて気持ちを楽にする「認知行動療法」、精神分析を基本として、患者の問題や時間、場所などの条件にあわせて行う「精神分析的心理療法」、重要な他者との関係を見つめ、その対処法を見つけていく「対人関係療法」などが代表的です。医療機関で精神科医が行う面接や心理的治療を「精神療法」、心理士が行うセラピーを「心理療法」と呼ぶことが一般的です。まとめ精神疾患の経過は人によってさまざまです。今はネットなどでいろいろな情報を調べることは出来ますが、悲観的になりすぎないことが必要です。ご自身が精神的な不調に長らく苦しまれているのなら、少し勇気をだして一度医療機関を受診することをおすすめします。自分だけでは分からなかった解決策が見えてくるかもしれません。また、家族がこころの不調で悩んでいると、周りの人、とりわけご家族は責任感を感じてしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、精神疾患の原因は複合的なもので、決して一つではありません。たとえ家庭内に少し問題があったとしても、それだけが唯一の原因ではないのです。ご自身を責め過ぎず、疲れを感じた場合は休むことも必要です。一人で抱え込まないためにも、医療機関や福祉サービス、家族会などに救いの手を求めましょう。
2022年10月16日夫は単身赴任、小5娘からは性別への違和感を告げられ12歳のときにASDグレーゾーンと医師から言われた娘。性別の違和感や不登校、友達とのコミュニケーションが上手く取れないなどの課題もあります。娘の特性が気になりはじめたのは小5のころでした。誕生日にクラスメイトの女子からプレゼントを渡されたのですが、「プレゼント交換の意味が分からない」と突き返してしまい、友達に不快な思いをさせてしまいました。それからは友達との関係を「面倒くさい」と言って、自分から関係を切ってしまいました。その出来事をきっかけに、私は、娘は相手の気持ちが読み取れなかったり、空気が読めないといった特性があるのではないかと考えるようになりました。また、小6のころには「水着になりたくない」という理由からプールの授業を拒否しました。そのときに娘から「身体の性は女だと思うが、心は違うようだ」と打ち明けられました。Upload By ユーザー体験談これまでの育児の中で性同一性障害かもしれないと考えたことはなかったので、母としては娘は”身体の成長に心がついていってない”状態なのではないか、そして友達付き合いがうまくいかない理由に性への違和感があると考えるようになったのではないか、と思いました。※もちろん、これはあくまでも現在の私の意見なので今後の娘の意見は尊重はしたいと思っています。自分を曲げない。周囲に合わせるのが苦手。でも、本人なりに合わせようとする(過剰適応)。その結果、疲れてしまい何もかもが嫌になってしまう。こだわりが強く、聴覚、視覚、触覚、嗅覚過敏がある娘。さらに夫はその当時単身赴任中だったこともあり、相談する相手もいなく、私は娘にどう接するのが正解なのか分からなくなっていました。夫が単身赴任から帰ってきて小6になるころに、学校からは「娘さんは精神的にとても混乱している」と指摘され、精神科の受診を勧められていました。そんなとき、娘が8~11歳の間単身赴任をしていた夫が、自宅に帰ってきました。私は娘のことについて相談をしました。学校からの指摘もあり、私も精神科を受診をした方がよいと思っていたので、そのことを夫に話すと「いいんじゃない」と一言だけ…。夫があまりにも他人事のようなので、児童精神科のある病院をネットで探してほしいと頼んでみたり、当日同席して欲しいと伝えました。わが子の問題に父親として向き合ってもらいたい、情報を共有することでいつでも相談できるようにしておきたかったのです。児童精神科受診日、夫の行動に失望児童精神科受診当日、夫は待合室で居眠りしたり、院内をウロウロ歩き回ったりしていました。夫は買物や行事などでも一緒に行動せずウロウロと何処かに行ってしまうし、普段からいろいろなところで居眠りをするのですが、まさか娘の病院で?とショックを受けました。診察のときも話すのは母親の私だけ。夫は単身赴任だったからと子どもの事は分からないという態度でした。Upload By ユーザー体験談診察の結果、娘はASDグレーゾーンだと医師から言われました。そして娘は私達両親の前で「性別の違和感のため性転換したい。名前も変えたい」と医師に言いました。以前にも娘はそのようなことは言っていましたが…娘は本気なのだと思いました。医師に詳しく話を聞いたところ、実際に性転換を行うなら東京の専門医を紹介してもらう必要があるとのこと。娘はまだ小学生、決断するのは早すぎないだろうか。あとで後悔することにはならないだろうか。また、地方に住んでいて専門医の受診も簡単にはできないし、下の子のことや、費用のことまで…さまざまなことが頭の中で渦を巻き、胃が締め付けられるようでした。受診後、私は不安な気持ちでいっぱいでした。しかし夫は、病院をでるなり「焼肉でも食べて帰るか!」と何故かハイテンションでした。私はついに爆発。相談に乗ってくれない夫に「あなたは傍観者なの!子どもが心配じゃないの!」と切れてしまいました。Upload By ユーザー体験談怒った私を見た夫の反応は怒っている私をみた夫は急にぶっきらぼうな態度になりました。私の気持ちが理解できず戸惑ったり、面倒くさいと感じている様子で「子どもの問題をオレに振るな」「子どもの問題なのになぜ自分が責められなければならないのか」「病気だから仕方ないだろう。放っておくしかない」「病院にも連れて行ったし、やることはやった」「何かやらせようとするのは親(母親)のエゴだ」と言われました。その後、夫は食事やお風呂以外は自室にこもってしまいました。夫が自室にこもる状態は、最初の通院で言い争ってから5ヶ月ほど続きました。私は我慢ができなくなって、娘のこと、そして私の気持ちを伝えようと泣きながら話しました。その日は戸惑い、反応もなかった夫でしたが、次の日に「今まで言ったことは本心じゃない。うまく伝わらない。」とLINEが。夫なりに状況を変えたいのだと私は感じました。そこで、私は子どもの日々の生活について伝え、子どもの現状を共有するようにしました。しかし、やはり返ってくる反応はいつも同じ。「了解。引き続きよろしく」だけです。私の心には澱が溜まるだけでした。ある日、ASDグレーゾーンの娘への対応方法などを調べているときのことです。ASDのある大人の日常での様子について書かれた記事にたどり着き、読んでみると「もしかして夫もそうなのかもしれない」と気づきました。ネガティブな話になると突き放される、給与の詳細を教えてくれない、一方通行な話し方…記事に書いてあるさまざまな場面が夫の様子と重なったからです。Upload By ユーザー体験談夫のこと、子どものこと、現在も悩みは続き…行き渋りのある娘は登校へのプレッシャーがあるようで、精神的に不安定。親としては登校を強いることなく見守っています。とにかく話を聞いてあげることを意識的に行い、娘の心の安全基地になれるように努めています。そして夫は…現在も自室にこもりがちです。家族とのコミュニケーションが面倒のようで、エアコンの効いたリビングではなく暑かったり寒かったりする(電気代が勿体無いらしくエアコンをつけません)自室で一人で過ごしています。私も、家族で過ごすことが夫にとってストレスになるなら、夫が一人で過ごすことを受け入れようと思う…というか諦めるようになりました。娘と同様、夫に対しても、強いることはせず見守るようにしています。夫は娘の登校渋りや発達の問題には触れてこないので、私も話を振らないようになりました。しかし、私の中に溜まるイライラや不満、寂しさは消えないしなくなることはありません。子どもたちも私の状況を薄々感じているので、子どもたちへの悪影響が心配です。特にきょうだい児である下の娘(小3)はいろいろと我慢させがちなので、私と二人だけの時間を意識的に作り、アクティブリスニングをするようにしています。家族の問題を解く鍵になりそうな書籍を読んでみたり、心理学も学び始めました。また、自助会に参加してみたり、スクールカウンセラーを利用したり、SNSで同じ悩みを持つ方々と交流してみたり…。夫に相談できない分、学校や精神科の先生も含め助けてくれる外部との繋がりを大切にしています。今後どうなっていくのかはまだ分かりませんが、母として子どもたちを守り、どうにか乗り切っていければと思っています。イラスト/SAKURAエピソード参考/たろう(監修:井上先生)思春期になり子どもさんの発達や性に関する違和感、登校渋りと心配なことが続く中でパートナーである夫との間での理解や共有ができないのはとてもつらいと思います。その分、外部の専門機関や学校との連携を密にしたり気持ち的な悩みを共有できる仲間や友人を作ったり自分自身だけで問題を抱えないようしていくことが大切かと思います。そうした支えを持つことでパートナーの状態を理解しコミュニケーションの取り方を考えていく余裕が生まれるのではと思います。
2022年10月16日精神疾患とは?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン精神疾患とは、なんらかの脳の働きの変化により心理的な問題が生じ、感情や行動などに著しいかたよりがみられる状態のことです。この意味合いで、一般に「心の病」や「精神病」「精神障害」などと呼ばれるものを、より医学的に言い表すときに使われることが多い用語です。ですが、精神医学の領域においても「精神疾患」という言葉は、普遍的かつ確立された定義がありません。使われる場面や診断基準、医師によっても定義や概念にばらつきがあり、いまもなお見解の違いで議論が行われることもあります。精神疾患の症状は?精神疾患の症状にはさまざまな種類がありますが、そのほとんどは精神疾患でない一般の人でも経験するよくあるものです。ちょっとした気分の落ち込みや漠然とした不安感を経験したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?疾患であるかどうか医師の診断によって決まるのは、症状の組み合わせと症状の程度、そして症状が続いている期間です。また疾患名ごとにそれぞれの度合いや組み合わせは異なります。以下において、精神疾患の代表的な症状の一部を紹介します。症状それ自体は健康な人にも生じうるものであって、これがあるから精神疾患だ、ということではありません。あくまでも参考程度にとどめていただき、もし少しでも不安になった場合は専門機関に相談するようにしましょう。・抑うつ気分:憂鬱・むなしい・もの悲しいなどの気持ちになり、気力がでない状態。・幻覚:実際には刺激や対象が無いのに、それについて生じている知覚のこと。幻聴が代表的だが、幻視、体感幻覚などもあり、幻聴にもさまざまな種類がある。・妄想:根拠が無い非合理で訂正不能な思いこみ。本人は妄想とは認識しにくい。・離人:自分が自分であるという実感がしない、あるいは外界と自分との間に奇妙な隔たりを感じてしまう状態。・強迫:止めたい気持ちがありながらも、一方でそれをやらなければ気が済まないようにも感じ、同じ思考や行為を繰り返してしまうこと。精神疾患の原因は?遺伝との関係はあるの?原因の一つとして挙げられるのが「本人の特性と環境のミスマッチ」です。精神疾患の成り立ちを説明するモデルとして、ほとんどの精神疾患にあてはまるといわれているのが、ストレス脆弱(ぜいじゃく)性モデルです。すなわち「その人が元来もっている病気へのなりやすさ(脆弱性)と、病気の発症を促す要因(ストレス)の組み合わせにより、精神疾患は発症する」という仮説です。ここでいう脆弱性とは、遺伝などの先天的な要素と、どのような環境でどのように対応してきたかという後天的な要素により決まるといわれています。一方、ストレスには家庭や職場、学校における人間関係といった日常的なものだけでなく、戦争、災害、家族の死などがありますが、個人により何にどの程度ストレスを感じるかは異なります。思春期という、身体が急激に変化する時期は思春期であること自体がストレスの要因にもなりえます。同じストレスを受けた場合でも、精神疾患を発症する人としない人がいるのは、その人がもつストレスへの脆弱性が低いか高いかによると考えられます。・遺伝のしくみ遺伝には、親から病気の遺伝子を受け継ぐ場合と、親から正常な遺伝子を受け継ぎながら子どもの代で遺伝子に変異が起こる場合(突然変異)があり大きく3つに分かれます。・メンデルの遺伝法則に従って遺伝する単一の遺伝子の異常・複数の遺伝子が作用した上に環境要因も加わり発症する多因子遺伝・突然変異によるもの精神疾患のなかでも遺伝が関与するもののほとんどは、多因子遺伝によるものと考えられています。言い換えれば、特定の病気を引き起こす遺伝子というものはなく、誰もが持っている複数の遺伝子の組み合わせにより、脆弱性が左右されるということです。・遺伝だけが発症を左右するわけではない脆弱性(病気のなりやすさ)には遺伝も関係しますが、環境も大きな要因の一つです。精神疾患のなかでも遺伝の影響が強いとされる統合失調症でさえ、遺伝だけが発症の原因というわけではありません。実際、双生児を対象にして、「一方が統合失調症を発症した場合にもう一方が発症する確率」を調べた研究では、遺伝子が完全に一致する一卵性双生児でも48%、遺伝子が通常のきょうだいと同じ程度に異なる二卵性双生児の場合は17%という結果が出ています。この結果は、遺伝の影響だけが発症原因ではないことを意味すると同時に、その人を取り囲む環境が発症に関係する場合もあることを示しています。参考:6.社会と精神医学|日本医学会 100 周年記念シンポジウム原因探しは必ずしも解決につながらない自分の病気の原因を探し求めても、解決につながるとは限りません。仮に、遺伝や、親の育て方などの環境が関与していることが分かったとしても、そもそも一つないし少数の要因だけで病気が発症するわけではありません。目立つ要因があったとしても、必ずそれ以外にもいくつもの要因が病気の発症には関与しているものです。まして、その要因が今更変えられないものであるなら、そこにとらわれていても解決にはつながらないのです。過去ではなく未来に向かい、今何ができるのかを考えることが必要なのではないでしょうか。
2022年10月15日発達障害があるお子さんの保護者や支援者へのメッセージ集今回は、「こころとそだちのクリニックむすびめ」院長を務める精神科医の田中康雄先生のコラムをまとめてご紹介します。これまで執筆いただいたコラムでは、田中先生が考える精神科医の仕事の役割や、お子さんに発達障害の診断名をつけることより大事にしていること、思春期のお子さんとの関わりのポイント、登園・登校渋りへの対応など、幅広いテーマで保護者や支援者のみなさんへの思いを綴っていただいています。発達障害の特性があるお子さんとその家族、関係者と、つながり合い、支え合い、認め合うことを大切にした治療・支援を実践されている田中先生の言葉は力強く、そして温かい眼差しが感じられます。ぜひ、ご一読ください。日々、発達障害のあるお子さんと保護者の方の言葉や思いを受け止めている田中先生。保護者の方には、「よく、ここまでそだてましたね」「この子に上手に寄り添っていますね」「この子も安心していることでしょうね」「お疲れさまです。ちょっと休んでよいかと思います」…いくら言葉にしても足りないくらいであると言います。田中先生は、診察室で「子どもの発達の診立て」を行いながら、同時にわが子の育ちを心配する親や家族の思いも診立てていくと言います。それは、向き合っているのが「発達障害」ではなく、多彩な個性の持ち主である一人ひとりの子どもであり、家族であるからです。思春期のお子さんがSNSやオンラインゲームにはまったり、部屋にこもりがちになって口をきいてくれない…そんなお悩みのある保護者の方も多いかもしれません。田中先生は、思春期は親子の関係が、「上下の関係」から「水平の関係」に近くなると言います。発達が気になるお子さんについて、精神科に相談に行きたいけれど、様子がよく分からないから躊躇してしまうという声がよく聞かれます。この記事では、田中先生に、「そもそも精神科ではなにをしてくれるの?」という疑問に答えていただいています。発達の気になるお子さんが、「発達障害である」と診断されると、少なからずショックを受ける保護者の方も多いかもしれません。そのような場合、田中先生はどのように保護者の方に寄り添い、多職種の専門家の方との連携を大切にしているのでしょうか。長期休暇明けは、お子さんの心身に影響が出やすい時期であると言われています。田中先生のご経験から、お子さんが園や学校へ行きたくないときによくあるSOSの例や、保護者の方へのメッセージをお届けします。発達が気になるお子さんの保護者の方にとって大きな悩みの一つが、お子さんの将来のことかもしれません。「親が先に死にます。その後、誰がこの子を守ってくれるというのですか」という親の言葉を受け止め、孤立無縁な状態から抜け出してほしいと願う田中先生の言葉をお届けします。
2022年10月12日現在6歳になる息子が2歳のときのことです。息子は内服が極端に苦手で、いろいろと試しても克服できずにいました。ある日、生まれたときからお世話になっている小児科医にそのことを説明したのですが、まさかの返答。今までの努力や本当につらい状況を理解してもらえず、悲しくなってしまった体験談です。内服がとにかく苦手な息子味覚がとても敏感な息子。大人にはわからないような変化にも反応します。完熟を少し過ぎたバナナや加熱しすぎたお肉などは口にしません。好き嫌いが多いというより、苦手な味付けがあるようです。 一番大変なのは内服。粉を練って小さくしても、アイスに混ぜてもだめです。「うぇっ」となってしまい、ひどいときには吐いてしまいます。風邪で薬を処方されたときは何とか飲ませようと必死に努力しましたが、どれも失敗。風邪の症状に加えて内服の苦痛が強く、息子がかわいそうでした。 小児科医のひと言が……ある日発熱があり、かかりつけの小児科を受診。風邪とのことでした。「解熱剤は坐薬でいただけないでしょうか? 薬を飲むのがどうしても苦手で……吐いてしまうこともあるので」とお願いすると、「アイスに混ぜたりしていますか? 2歳で飲めないというのは問題ですよ。ちゃんと練習しないと。お母さんがしっかりしないと、もっと重い病気になったときにお子さんが苦労することになりますよ」と先生。 今までさまざまな努力をしてきたこと、どうしてもうまく飲めないことを説明しましたが、理解してもらえませんでした。 息子や私が悪い? できないものはできない結局、粉薬が処方されました。先生の言うことは理解できますが、薬が飲めないのは甘えだと言われたようで、とても悲しい気持ちになりました。風邪で熱があって食欲もないなか、どうしても薬を飲んでくれない息子に飲ませる大変さを少しでもわかってほしかったです。 泣いて嫌がる息子の口を無理やり開けて薬を入れても、「うぇっ」と出してしまいます。ひどいときには食べ物も吐いてしまい、むしろ体力を奪っているのではないかとすら思う状態。練習しろと言われてもその方法がわかりませんでした。ただ途方に暮れながら家路につきました。 その後も息子が4歳になるまで、内服はとにかく大変でした。効果的な方法が見つからず、風邪を引くたびにとてもつらい日々を過ごしました。何とか乗り越えられたのは、年に2回ほどしか風邪を引かなかったからです。4歳を過ぎると少しずつ飲めるようになり、6歳の今では問題なく飲めるようになりました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~5歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 監修/助産師 松田玲子著者:更田未央子6歳と2歳の子を持つ母。看護師・保健師・養護教諭1種・FP3級の免許を取得。現在、高校生を対象とした学習塾の講師をしながら、FP2級を目指す。育児・教育・医療・金融・不動産について執筆中。
2022年10月02日上原氏開発のドクターズコスメ2点付き11月20日(日)、NHKカルチャー青山教室が主催する講座『美容外科医 上原恵理の知っているようで知らない!本当の冬のスキンケア』が開催される。会場となるのは、東京都千代田区一ツ橋にある一橋大学一橋講堂。講師を務める上原恵理氏は、日本形成外科学会認定専門医、美容外科医、美容皮膚科医、美容医療評論家で、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などの出演でもおなじみである。受講料は4,510円(税込)で、参加者全員に上原氏開発のドクターズコスメから化粧水「Lov me Touch URUOI」と、乳液「Lov me Touch スキンバリアナノミルク」がプレゼントされることになっている。医療メソッドを交えながら冬のスキンケアを解説上原恵理氏はYouTubeチャンネル「えりりんチャンネル」にて、スキンケアなどの美容情報や、美容医療などの情報を発信しているが、NHKカルチャーでは、夏にもNHKカルチャーで講演会が開催されており、今回はさらに充実した内容となる。冬は乾燥などにより、肌トラブルが多発しやすいシーズンである。冬には冬ならではのスキンケアが必要であるが、正しいスキンケアとなると、なかなか自信を持てないものである。当日は知っているようで知らない本当の冬のスキンケアを解説。上原氏のサイン入りグッズの「お渡し&撮影会」に参加できるお楽しみ抽選会なども予定されている。日時: 11月20日(日) 14:30~16:00場所: 一橋講堂東京メトロ半蔵門線、都営三田線、都営新宿線神保町駅(A8・A9 出口)徒歩4分東京メトロ東西線 竹橋駅(1b 出口)徒歩4分(プレスリリースより引用)(画像はプレスリリースより)【参考】※NHK文化センター青山教室:【外部会場】美容外科医 上原恵理の知っているようで知らない!本当の冬のスキンケア - 好奇心の、その先へ NHKカルチャー
2022年09月29日「インクルーシブ教育システム」のよいところインクルーシブ教育とは、障害のある子どもと障害のない子どもに別々の教育を行うのではなく、全員が共に学べるような形で教育を行うことを意味しています。文部科学省では、障害のある子どもと障害のない子どもが共に学べる環境と、障害のある子どもが個別に学べる環境をどちらも整備し、すべての子どもがどちらの環境も活用できるようにしていこうと提唱しています。これは合理的な考え方で、そのような環境設定をすることに対して、私は全面的に同意しています。学校に多様な学習環境が用意されていて、子どもたちが自分の状態に合わせて環境を選べるようになれば、誰もが学びやすくなるでしょう。「一度しか言わないから」は多様性を否定する指導方法文部科学省はインクルーシブ教育システムの確立に向けてさまざまな取り組みを実施していますが、現在の学校教育にはまだ課題もあります。例えば、学校で先生が子どもたちに「いいですか、一度しか言わないからよく聞いてくださいね」と呼びかけることがあります。これは、インクルーシブ教育システムの定義にある「人間の多様性の尊重」を否定する指導方法です。このような指導では、「口頭の指示を一度で完全に理解できる」という子どもしか学習できません。それ以外の子どもは、学習する機会を失います。現在の学校教育にはまだ課題がある人間には、口頭の指示を理解するのが得意な子どももいれば、聞くことよりも視覚的な文字などの指示を理解するのが得意な子どももいます。それ以外の方法が得意な子どももいるでしょう。どのようなタイプの子どもも学習できるように指導方法を工夫するのが、先生の仕事であるはずです。指導が上手な先生は、口頭で一度指示するだけではなく、黒板に同じことを書いて示したり、指示を繰り返したり、手本を見せたりして、子どもたち全員が学習できるように工夫しています。そのようなちょっとした工夫で、学習環境を整えていくことは大切なことです。「学校の標準」をゆるやかにして、みんなが学びやすい環境をつくっていくのです。出典 : 「学校の標準」が狭すぎるのではないか?発達の特性がある子どもは学校生活において、何かと困りごとに直面しがちです。ほかの大多数の子どもよりも、困難が多いように感じます。それはなぜでしょうか。私はその要因の一つに「学校の標準が狭すぎること」があると考えています。いまの日本の学校には、子どもが「標準的にやるべきこと」が多すぎます。私は、いまの学校では子どものやるべきこと、守るべきことが多すぎて、「標準」が狭くなっているように感じます。その「標準」をこなせる子どもはよいのですが、発達の特性がある子どもは、すべての活動を「標準」に合わせるのは難しい場合もあります。ローカルルールは少ないほうがいい学校には多くの子どもたちが集まっています。集団で活動するためには、一人ひとりが一定のルールを守ることが欠かせません。ですからなんらかの「標準」は必要です。子どもたちが学校で集団行動のルールを学ぶことには、意味があると思います。しかし、ルールが細かくなりすぎると、それがいじめの温床になることもあります。例えば「校舎内の廊下は左側を歩きましょう」という決まりをつくることは、衝突を避け、人の流れをスムーズにするためには有効です。しかし、それを破ったら罰を与えるような厳しいルールにしてしまうと、ある子どもが右側を歩いたときに、ほかの子どもがそれを強く注意したり、先生に言いつけたりすることが出てきます。ルールから少しはずれただけで、非難するような風潮ができていくわけです。私は、学校内のローカルルールは、少なければ少ないほどよいと思っています。「学校の標準」に苦しむ子どもたち「学校で、みんなと同じようにできない」ということに悩み、登校できなくなった子どもたちを、私は大勢みてきました。私は「学校の標準」が狭いこと、大人たちが学校をきっちりとつくりすぎてしまったことが、一部の子どもたちを苦しめているのではないかと思っています。また、学校のように大勢で集まって活動する場所では、「一緒に遊ぶと楽しいよ」「全員一丸となってやれば、必ずうまくいく」というふうに、「みんなで一緒にやるのがいいこと」という価値観を強く押し出し、しかもそれを目標にしてしまうことがあります。出典 : 学校で「みんなで一緒に」を目標にしないグループをつくってお互いに協力し、それぞれの長所を生かして一人ではできないことをするというのは、よいことだと思います。しかし、そこで大事なのは「なんらかの成果を上げる」ということであって、「みんなで一緒に」「全員一丸となって」行動することではないはずです。集団に対して「みんなで一緒に」という目標を立てると、その集団に「標準」が生まれ、そこから外れることをよしとしない風潮ができていきます。学校のように、子どもたちが一人ひとりのびのびと学習していく場には、そぐわないものだと思います。学校を小さな「共生社会」にするために私は社会全体が、多種多様な人たちが共存できる「共生社会」になっていくことを願っています。学校も一つの小さな共生社会になっていってほしいと思います。ただし、私が共生社会としてイメージするのは、先ほど述べたような「みんなで一緒に」を目標とする社会ではありません。世の中には「みんなで仲良くできるように努力しよう」「立場が違っても分かり合える」と考える人もいますが、私は現代の社会をそんなに甘いものではないと思っています。「相性が最悪の人とも共存できる社会」に私が思う共生社会とは、「相性が最悪の人とも共存できる社会」です。そのくらいのことができないと、本当の意味での共生社会はつくれないと思います。人間誰しも、「この人とは合わないな」という相手がいます。見るのも嫌だという相手もいるわけです。共生社会をつくるためには、きれいごとではなく、そういう相手とどうやって共存できるかを考えていくことが必要です。自分とは違う人への恐怖心や攻撃心を認めたうえで、その人とも共存できる仕組みを、理性的な社会の枠組みとしてつくっていく。それが、共生社会をつくる道です。「理解しきれない相手もいる」という現実多くの場合、人は他人のことを理解しようとするとき、過去のさまざまな経験から相手の立場や考えなどを想像します。しかし、人のあり方は多様です。自分が「ふつう」だと考えていることが、相手にとっては「ふつう」ではないこともあります。だからこそ、人が分かり合うのは難しいわけです。「世の中には、自分には理解しきれない相手もいる」という現実をきちんと認識し、そういう相手がいることを認めたうえで、その人とどうやって共存するのかを考えること。それが共生社会をつくるということだと思います。「みんなで一緒」よりも「お互いにリスペクト」私は、共生社会をつくるために必要なのは「みんなで一緒に」ではなく、「お互いにリスペクト」という姿勢だと考えています。相手の考えをすべて理解できるわけではないけれど、認めてはいる。けっして無視をしない。そのような関係性をつくっていけば、どのような相手とも共存していけるのではないでしょうか。学校のように大勢が集まる場でも、発達障害のある子どものような少数派の論理を認め、けっして軽視しないこと。その姿勢が共生社会や真のインクルーシブ教育の実現へとつながっていくはずです。
2022年09月28日うつ病や身体醜形障害などのメンタルヘルスについてオープンに語ってきたリリ・ラインハートが、アメリカの精神科医ダニエル・エイメンと対談。「リバーデイル」最新シーズンの撮影中に経験した身体醜形障害について、詳しく語った。「ここ数か月間は、本当に大変でした。私の人生でかつてないほどの明らかな体重増化に対応しながら、撮影も行っていたので。『リバーデイル』を撮影している間に、体重が増える…つまり私の人生と体重変動が、エピソードごとにカメラに記録されてしまうということなんです」と説明。「大問題でした。この問題が脳のキャパ90%を占めていると感じたくらい。他のことはほぼ考えられなかった」とふり返る。リリの思考は全てが自分の身体がどう見えるかに結びついていて、体重や何を食べるべきか、どうしたら痩せられるのかといったことばかり考えていたという。「本当に打ちのめされましたし、ものすごくネガティブな思考にとらわれていましたね」。俳優という仕事柄、身体の変化というとても個人的なことでも、公に見せざるを得ないのがつらいところ。ありのままの自分を愛し、受け入れる「ボディポジティブ」を掲げているリリだが、「特に俳優としては難しいものです」「私自身ボディポジティブを学んでいる最中だから、これをファンや私をお手本としてくれる人たちに説くというのは、だましていたり自分にうそをついているような気分に時々なります」と吐露。「(ボディポジティブを)実現したいし、完全に信じたいです。でも、日々もがいているのも確かです」と率直に打ち明けた。(賀来比呂美)
2022年09月27日北海道・むかわ町穂別。道の南西部、苫小牧市や室蘭市と同じ胆振地方に属するむかわ町の北部にあり、人口2千300人ほどの地区だ。この山あいの集落の一角にある、打ちっぱなしのモダンな施設が、穂別診療所。同地区で唯一の医療機関で、地域の人はなにかあるとまず、ここに診察に訪れる。入院患者を受け入れることもでき、保有ベッド数は19床ある。中の処置室で、高齢の女性が診療用のベッドに横たわっていた。「痛いよね~」白衣にマスク、メガネをかけた女性医師が、この高齢の女性患者の耳に顔を近づけて、ささやくように話しかける。「はい」とやや遅れて患者が声を絞り出した。女性は近接するグループホームの入居者で、転倒して眉のあたりに少し裂傷を負ったため、同スタッフに連れてこられたという。CTスキャンで頭蓋内の出血などがないことを確認した後、医師は、患部ににじんだ血をぬぐい、ハサミを用いて慣れた手つきで、皮膚接合用のステリテープを使って処置した。胸に「中塚」と名札がある彼女は同診療所の副所長。「中塚尚子」は本名だが、世間では「精神科医・香山リカ(62)」のほうで通っている。■“有名文化人”が「中塚尚子」の本名で、過疎の町で僻地医療に取り組んで’80年代後期にマスコミに登場し、丸メガネとリボンの精神科医というユニークなキャラクターで話題となった。’08年からは立教大学現代心理学部教授として教壇に立ち、’09年に発売した『しがみつかない生き方「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』(幻冬舎)は48万部超のベストセラーに。情報ワイド『スッキリ!!』のコメンテーターを長年務め、『徹子の部屋』に出演したこともある。そのように世間の関心を集める“有名文化人”が、今年4月から本名で、北海道の過疎の町で総合診療を担っているのである。高齢化で地域の過疎化は進み、医師不足で診療に深刻な影響が生じている市区町村は多々ある。同診療所も不在だった副所長職の公募をかけていたところ、’21年6月に香山さんが応募したのだ。だがこれまでの精神科の専門性とは異なり、僻地の診療所では、虫刺されに打撲・外傷の救急搬送、ときに入院患者の臨終まで、あらゆる医療への対処が求められる。「8月のお盆明けは、新型コロナ第7波の発熱外来が大変でした。1日で30人もいらして、抗原検査で陽性が出なければPCR検査。医師もそのつどフルPPEという防護服に着替えました。裏口の検査場と、一般外来での診察の往復だけで、1日10回近くにもなったんです」慌ただしく日課をこなす香山さんに、その決断と転身の真意を語ってもらうために、北海道むかわ町穂別をたずねた。■中村哲さんが凶弾に倒れて。「私のような人間がのうのうと生きていていいのか」と「精神科医・香山リカ」として、多メディアでの活躍を続けてきた香山さんだったが、ここ10年、つらい経験に続けて見舞われた。両親との死別である。’10年に父が82歳で他界すると、母は小樽で独居を望んだという。「私は、母を東京に呼び寄せようと何回も説得したのですが、母は『絶対にいやだ。迷惑かけたくない』と。私と弟の自主的な生き方を尊重する両親でしたから」そして父が亡くなった2年ほどあとに、母の肺がん闘病が始まる。「私は月1、2度、小樽に帰って母の様子を見ていました。そこでも、母は『ひとりで頑張る』と」そんな最中の’17年、香山さんは立教大のサバティカル休暇で1年間、授業のない期間を得た。大学の同級生の依頼で、四国に講演に出向いたときのこと。「その彼が四国の山あいの診療所を父親から継いだことを知りました。学生時代は遊んでいるイメージでしたが、地域医療に根差しているのを見て感心したんです」また、北海道の空港で別の同級生に声を掛けられたこともあった。「彼は公衆衛生学の研究者でしたが、やめてオホーツク海のそばで地域医療をしていると聞かされました。1年間研修を積み、医療過疎地域で頑張っていると知り、ビックリしましたね」香山さんは、医者として、どれだけ医療分野に貢献できてきたのかと自問自答した。「ぜんぜん。せっかく医師免許を持っているのに、私はちっとも生かしていないじゃないかって」まず同級生に倣うように、専門外の知識や総合診療の修得のため、母校・東京医大病院で研修を。「血圧測定や聴診器で心音を聴くことから始め、ほとんどしていなかったことを、20代の若い先生に教わりながら、1年間、研修しました」しかし病床の母は、教授を辞めることに大反対だったそうだ。「母にとっては、立教大学は憧れでしたし、そこで教授職を得たことを誇りに思ってくれていました。私のキャリアに、母は満足していたんです」だから当初は医療貢献への転身時期を、定年後と想定していた。ところが、大きな出来事が立て続けに起きるのだ。「’19年7月、母が87歳で亡くなりました。晩年には『あなたのやりたいことをやるのがいちばんよ。楽しみなさい』と言っていたのが印象的でした……」その年末には、アフガニスタンで30年以上、医療、治水などの総合的な支援に尽力した中村哲さん(享年73)が凶弾に倒れるという悲報に衝撃を受けた。「医師の偉大な先輩として尊敬していました。こんな方が非業の死を遂げ、私のような人間が、のうのうと生きていていいのかと」■「一隅を照らす」――僻地医療こそ自分が手伝える場所と肝に銘じてそれまでの香山さんは、教授や執筆、講演など、医師以外の顔を多く持つことで「逃げ場にしていた」と自身で振り返っていた。「頑張りすぎない」ことで精神的なバランスが保てるという持説は、自ら実践してきたものだ。でも、香山さんは今回、自分の使命と真正面から向き合うことに決めた。それは、「医療が行き届かない場所で、医師としてのキャリアやスキルを生かすこと」だったのだ。’20年、60歳になる年の香山さんを妨げるものは何もなかった。まず海外赴任の道を描き、緊急医療のNGO「国境なき医師団」応募を考えたが、英語力や救急スキルなどのハードルが高く断念。次に発展途上国への医療ボランティア「ジャパンハート」参加を志願したが、コロナ禍で渡航フライトがキャンセルとなり頓挫してしまった。海外への道が閉ざされた後に、残ったのが「僻地医療」の医師への公募。それが’21年6月、むかわ町穂別診療所で空いていた、副所長職の求人だったのである。「ある講演会で中村さんは、国際貢献したいという学生に『いまいるところにあなたを必要としている人はいます』と『一隅を照らす』という言葉で答えられました。私は『深刻な医師不足に困っている僻地医療こそ、私が手伝える場所だ』と肝に銘じたんです」(取材・文:鈴木利宗)【後編】精神科医・香山リカさん 北海道で僻地医療に取り組む新たな生き方選んだ理由に続く
2022年09月25日【前編】精神科医・香山リカさん北海道で僻地医療を「自分をだますのはやめました」より続くマスコミで活躍している有名文化人は、母、そして尊敬する医師の死に直面。60代を迎え、新たな生き方を選んだ理由ーーメガネがトレードマーク。テレビや雑誌でも顔を見たことがある人が多いはずの女性が、いま僻地医療に取り組んでいる。生い茂る林のあいだを伝う車道はカーブが多い。あいにくの荒天のこの日は日中から薄暗く、ヘッドライトの常時点灯が必要だ。林の中からシカが顔を出して道路を横断しようと進んできた。2頭、3頭……計4頭も続く。シカを振り切って少し進むと、前方に今度は……2羽のカモ。「空港から車を走らせていると、時折、シカやタヌキ、キツネに出くわします。まだ『慣れた』っていうことはないですね」そう香山さんが言っていたのを、取材班も実体験として味わう。新千歳空港から車で、約60km。1時間ちょっとの林道を抜けると、眼前に平地が現れ、視界が開けた。北に夕張山地、東に日高山脈を望むこの、むかわ町穂別は、鵡川沿いに集落が形成され、炭鉱の最盛期には人口約1万人とにぎわったという。しかし高度成長期に炭鉱は衰退し、町から若い人材が札幌や本州に流出していった。65歳以上人口の割合を示す高齢化率の最新データでは、国全体でも約29%あるが、穂別は約44%と格段に高いのである。《ようこそ、むかわ町穂別へ》と、’03年に化石が発掘されたむかわ竜の看板が出迎え、区画は整備されて道路も舗装されている。だが人通りは、ほぼない。「穂別の人口は最盛期の約4分の1まで減ってしまっています。コンビニも、『セイコーマート』が1軒あるだけなんです」町唯一の医療機関、穂別診療所の西幸宏事務長(53)が話す。「昨年4月以後、職員の医師は所長一人、“ワンオペ状態”でした。もし、所長に体調不良やコロナ感染などがあれば、職員の医師がゼロになってしまいますので、副所長募集は急務だったんです」そこで求人登録すると、東京の女性医師から手が挙がった。「それが中塚尚子さんという医師でした。論文などを検索してみるとビックリで……。どう調べても、あの『香山リカ先生』なんです」■月~金は診療所の副所長、週末は東京へと慌ただしくも充実した日々一方、香山さんが応募の段階で心配していたのは、東京で続けなければいけない業務を、どこまで認めてもらえるかだった。「立教大学は定年まであと3年で途中退職し、非常勤講師になったので、残るゼミ生などへの指導はオンラインでも対応できます。でも精神科の診察は、長い患者さんなどを放ってやめるわけにはいきませんでしたから」同診療所の夏目寿彦所長(58)は、採用時のことをこう振り返る。「僕はむしろ、それまでの東京での業務を『継続してほしい』と思っていました。僕も週末には札幌(自宅)で休養しますし(両医師不在の土日は出張医が対応)、リフレッシュのために、東京の空気も吸ってほしかったんです」4月から始まった「副所長」の勤務は、月~金が診療所での診察。香山さんが説明する。「9時から所長と私で外来を診察し、午後は一人が外来対応、一人が介護施設や学校などの健診にまわります。狭い町の特徴を逆に生かし、地域包括ケアの一環としての医療を目指しているんです」週2度、朝7時半から地域医療の医師約300人のオンライン会議に出席。当直は週2回、金曜の夕刻には業務終了とともに、東京へ。東京では精神科の診察に雑務もこなして日曜夕刻に北海道に戻るという慌ただしいサイクルだ。■中村哲氏の死に衝撃を受けて。「僻地医療こそ私が手伝える場所」と肝に銘じて数年前、香山さんには大きな転機があった。「’19年7月、母が87歳で亡くなりました。晩年には『あなたのやりたいことをやるのがいちばんよ。楽しみなさい』と言っていたのが印象的でした……」その年末には、アフガニスタンで30年以上、医療、治水などの総合的な支援に尽力した中村哲さん(享年73)が凶弾に倒れるという悲報に衝撃を受けた。「医師の偉大な先輩として尊敬していました。こんな方が非業の死を遂げ、私のような人間が、のうのうと生きていていいのかと」「ある講演会で中村さんは、国際貢献したいという学生に『いまいるところにあなたを必要としている人はいます』と『一隅を照らす』という言葉で答えられました。私は『深刻な医師不足に困っている僻地医療こそ、私が手伝える場所だ』と肝に銘じたんです」《本日の担当医=中塚医師》入口にこう掲げられた診察室で、香山さんがカルテに入力しながら、女性患者の言葉に耳を傾けていた。「先日の人間ドックで、胃にすこし炎症があると言われまして」「う~ん、〇〇(薬名)の量が多いのかもしれないですね……めまいや立ちくらみはしないですか? 息切れもないですよね?」患者のほうをのぞき込み、細かく、ていねいに状況を聞き出す。「ひとつの考えとして一度、薬をやめてみましょうか。すこし様子をみてみましょうね……」■長いカウンセリングのキャリアが、僻地のお年寄りに寄り添う、ケアに役立って夏目所長は穂別での香山さんの診療ぶりをこう評する。「高齢者が多い穂別では『寄り添う治療』が大事です。中塚先生は精神科医の経験を生かし、患者さんが何に苦痛を感じて困っているのかを自然に聞き出している」香山さんの長いカウンセリングのキャリアは、僻地でのお年寄りのケアに役立っているのだ。そして彼女自身、穂別での人とのつながりを、楽しんでいる様子でもある。「東京との往復生活と聞いただけで、高齢の患者さんは『大変なところ、ありがとうございます』と言ってくれます。私は総合診療のキャリアはまだまだで、薬によっては調べ調べ、処方箋を書くんですが、なんにも文句を言わず、おだやかに待ってくださるんです。『地域医療に貢献するために』と穂別に来たのに、スタッフや住民の方に助けられてばかりです」目尻に皺を寄せ、はにかむように香山さんは言った。「いないよりはまし。そんな感覚もいいかな」。60代を迎えての挑戦は周りの人に支えられて「穂別には農家の方が多いので、野菜を持ってきてくれたり、塩蔵して冬越しする知恵を教えてくれたりもします。ここでは通販に頼ったりせず、住民の方がお互いにやりくりしたり、そんななかに私も入らせてもらっている気になってきますね」■町のシンボルとなったむかわ竜の全身復刻骨格が展示されている穂別博物館でほっと一息そんな香山さんがホッとできる空間が、穂別にはもうひとつある。いまや町のシンボルとなった、全長8mのむかわ竜(カムイサウルス・ジャポニクス)の全身復元骨格が展示されている穂別博物館である。「私はもともと、10代のころから考古学や生物学が大好きでした。’18年の胆振東部地震の被害で遅れている博物館の改修にも、ぜひ協力したいんですーー」50代の最後に母をみとり、「人生で一回くらいは、人の役に立ちたい」と一念発起しての“北帰行”のはずだった。それが「まだまだできないこと、知らないことがある」と気づかされ、診療所のスタッフや、町の人々に「理解され、助けられている」ことを思い知ったのだ。「まだ私自身は、穂別でぜんぜん役に立っている気はしないけれど、『いないよりはまし』。そんな感覚もいいかなと」午前診療を終えた香山さんは、白衣からスカイブルーのカーディガンに着替え、職員食堂へ。この昼の献立は、サバの塩焼きに、切干大根の炒め煮など。「昼食では、入院患者さんと同じメニューを毎日いただいています」こんなふうに週の大半を穂別で、本名「中塚尚子」で過ごし、週末は東京で精神科医としての診療や、「香山リカ」の業務をこなす。「いつ急患が入るかわからない」穂別では、お酒は飲めないという。だから、搭乗前の新千歳空港のラウンジでは、サッポロビールで、自分にささやかな「カンパイ!」。60歳を迎えての決意。香山さんの挑戦は周りの人々に支えられ、せわしなくも、ゆるりと進んでいる。(取材・文:鈴木利宗)
2022年09月25日脳の使い方次第でいくらでも、幸せを引き寄せることができる。そのヒントを精神科医・和田秀樹さんが提言!毎日少しずつ新しいチャレンジを。そうすれば脳の若さは保たれます。「頭が良い=学歴が高い、仕事ができる」と多くの人が勘違いしています。たしかに勉強法を工夫したり試験対策をして、偏差値の高い大学に入学したり、大企業に就職するのは素晴らしいことですが、ただそれだけで満足している人は、頭を良く見せるための肩書を得ただけにすぎず、頭が良いことにはなりません。私は東大出身ですが、今62歳なので卒業したのは約40年前になります。当時は学力的には頭が良かったのかもしれませんが、だからといってそれが今の私の頭の良さの保証にはまったくならないですよね。私自身、頭の良さとは、能力ではなく態度であると考えていて、心がけ次第で誰でもいくらでも身につけられるものだと思っています。頭が良くなりたいという思いや、いろいろなことを試してみようという態度が、ユニークな人間を作っていくんです。学歴や知能テストの点数が高くなくても、他の人が思いつかないようなアイデアをポンと生み出して、人の役に立つことができたりする。しかし自分はバカだからと卑下して生きていたら、何も生み出すことはできない。つまり、現在進行形でどれだけ勉強しているか、そしてどんな生き方をしているか、体験や経験の積み重ねで、頭の良し悪しは大きく変わってくるんです。“これからは女性の時代”とよくいわれるようになり、女性の経営者や管理職を増やす企業が多くなりました。しかし頭数だけ揃えたり、男性の代わりの女性ではなく、女性ならではの感性や発想を生かせないとまったく意味がないんです。たとえば消費の主役は女性ですし、「こういうものを作ったら売れる」というアイデアをたくさん持っていると思うんです。そういった柔軟な発想ができることこそが、本当の頭の良さです。いろいろなことに興味や関心を持ち続けていれば、仕事に限らず、長い人生の中で頭の良さを開花できるチャンスは巡ってくると思います。しかしやっかいなことに年齢を重ねると脳は老化していきます。それも物忘れがひどくなったり、頭の回転が鈍くなったりするより先に、思考や創造性を担う「前頭葉」の機能が衰えていくんです。前頭葉が萎縮すると、意欲がなくなったり、新しいことへの対応能力が落ちて、同じことを繰り返す「前例踏襲型」になっていきます。なじみの店にしか行かなくなったり、同じ著者の本しか読まなくなったりするのがいい例。チャレンジ精神がなくなるわけだから、どんどんつまらない人間になっていく。頭を使わなくなったり、体を動かさなくなったり、「若くいたい」とさえ思わなくなってしまうから、早く老けるわけです。だから前頭葉を使い続けていれば、脳の若さは保たれ、人生を楽しく生きていくことができる。前頭葉を鍛えるといっても、そんな大げさなことはしなくてもいい。毎日違う店でランチを食べたり、スーパーで見つけた新しい食材を使って料理してみたり、普段取り入れていないファッションを試してみたり…。人生は実験だと思っていろいろなことに挑戦してみれば、脳はそれに対して反応を起こし、自ずと前頭葉が鍛えられるんです。そういう意味では実行力が大事です。試してみるという経験ができたことが脳にとって大事になってくる。頭が良くなりたいという思いをずっと持ち続けて、毎日の生活のなかにちょっとずつ実験を取り入れてみてください。いくつになっても、周りから「面白い人だ」と思われるような人間でいられれば、それが人生の幸せにもつながると思います。わだ・ひでき「和田秀樹 こころと体のクリニック」院長。30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『80歳の壁』(幻冬舎)など専門の老年精神医学のほか、教育問題や人材開発の分野でも多数の著書を執筆。※『anan』2022年9月28日号より。イラスト・MASAMI取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2022年09月21日玉森裕太主演「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」に濱津隆之、堀未央奈、YUが出演することが分かった。本作は、玉森さん演じる研修医・諏訪野良太が毎話、異なった科を舞台に、そこで出会った患者の心に秘めた秘密と嘘を“カルテ”から見破るハートウォーミングミステリー。今回発表されたのは、諏訪野らの同期6人のうち、未発表となっていた3人。『カメラを止めるな!』の濱津さんが、40歳・子持ち、一度社会人を経験し医師を志した牧村康雄。「サレタガワのブルー」『ホットギミック ガールミーツボーイ』の堀さんが、地方の総合病院の院長令嬢で、仕事にも婚活にも全力な橘麻友。台湾で活動する俳優・ミュージシャンのYUが、意識高めのエリート・谷川聖人を演じ、日本のドラマ初出演。諏訪野、みどり(池田エライザ)、裕也(矢本悠馬)、そして今回発表された牧村、橘、谷川の6人は、医大時代からの同期。彼らが集まると、長年の付き合いだからこそ言えるぶっちゃけトークも飛び出す。それぞれに少しクセのある個性的な研修医たちが、どのように成長していくのか、注目だ。<新キャストコメント>・濱津隆之初めての医療ドラマ。若者達に混じっての一人おじさん研修医。色々と専門的で難しい場面も沢山やって来そうですが、一人おじさん、楽しんでやっていけたらと思います。・堀未央奈私が演じる研修医の橘麻友は、恋にも仕事にも貪欲な女の子です。ストーリーはもちろん、同期研修医たちとの賑やかなやり取りにも是非注目していただきたいです。・YU日本でお芝居することは、目標にしていたことの一つなので、素直に嬉しいのと、とてもワクワクしています。今回頂いた役どころが、高学歴で意識高め系。人にツンとした印象を与えるけど、どこか人間味があります。僕に通じる部分もあるので、色々な視点から役のイメージを膨らませています。些細な言葉から見える人間性など大事に演じたいと思います。初めての撮影現場に不安はありますが、スタッフ、キャストの皆様のお力をかりながら、楽しんで撮影に挑みたいと思います。「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」は10月期、土曜日22時~日本テレビにて放送予定。(cinemacafe.net)
2022年09月07日こんにちは。3児の母で小児科医の保田典子です。今回は、小児科医的しつけ、イヤイヤ・グズグズ対応のNG行為について。NG行為と言いつつ、私自身もよくやってしまいます。反省も込めてお伝えしたいと思います。NG1:ぐずったら「とりあえず泣き止むもの」をすぐ与えてしまう子どもがクリニックで泣いてしまったら、とりあえずスマホの動画を見せてしまう、とりあえずお菓子をあげてしまう、という親御さんがよくいらっしゃいます。子どものイヤイヤ・グズグズに対して、スマホやお菓子に関わらずすぐ何か与えてしまったり、子どもの言いなりになってしまうのは、あまりしない方がいいでしょう。 子どもはそもそも泣くものです子どもはよく泣くものですし、よくグズグズします。特にクリニックは、お子さんにとって嫌なこともいっぱいしますし、予防接種などの注射は痛いので、機嫌が悪くなったり泣いてしまう子も多いですが、別にいいんです。 子どもが学びエスカレートする可能性も子どもは賢く、すぐ学びます。「こうやったら親はすぐに言うことを聞いてくれる」と学んだら、どんどん態度がエスカレートしていくことがあります。スマホやお菓子を与える「使いどき」を親御さんがきちんと決めて、生活の主導権を握れるようにすると、後々のしつけにも良い影響があります。 スマホは「ここぞというときにだけ」与えるようにするたとえば、電車や役所など、公共の場所で子どもがグズって本当に大変! というときに、「スマホは電車に乗るときのスペシャルね♡」という感じで、ここぞというときにだけ「とりあえず泣き止むもの」を使うようにすると、より効果的だと思います(とはいえ、親がスマホをずっと見ていてお子さんは無視は、もっと避けた方がいいかなと思います)。 NG2:イヤイヤ・グズグズしている子どもへ感情的に怒る子どもがイヤイヤ・グズグズしているときに、「だから何がしたいの!」「〇〇しちゃダメでしょ!」「しょうがないでしょ!」と怒ってしまう親御さんを、よく見かけます。突然しょうもないことでイヤイヤし始めると、ため息が出ちゃいますよね。 とはいえ、このように子どもと同じ土俵に立ってしまっては何も解決しないですし、火に油を注ぐことになってしまいます。親が感情的に怒ることで、子どもはさらに泣き叫び、親は困り果てる……ということになります。 親がイライラしなくていいように対処しておく子どものグズグズは本当にどうしようもありません。なので、突然イヤイヤが始まっても慌てなくていいように、事前に対処しておいたり、時間に余裕を持ったスケジュールで行動ができると良いですね。 例えば、電車の中でかんしゃくを起こしてしまっても、時間に余裕があれば次の駅で降りることができます。時間ギリギリだと「下車すると間に合わないのに!」とますますイライラしてしまうかもしれませんね。また、ぐずりやすい時間を外して移動したり、子どもが眠くなりやすい時間に移動をすれば、外でイヤイヤの対応をしなくて済むかもしれません。子どもがグズグズしやすいポイントを把握したうえで、グズグズしないスケジューリングをすることも大事ですよ。 ぐずったら共感して抱きしめてみてぐずったときの良い対処としては、「〇〇したかったんだね」と共感して、ギュッと抱きしめてあげましょう。そのあとは落ち着くまでそうっとしてあげるか、トントンしてあげましょう。これは、公共の場所でも、子どもが泣いても大丈夫な場所でも同じです。 イヤイヤ・グズグズに対応している親御さんへ赤ちゃんや子どものイヤイヤ・グズグズは「こんなことで!?」とか「なんでここで!」という連続だと思います。周りの目が気になったり、迷惑をかけていると落ち込んだりすることもたくさんあると思います。子どもがぐずっても、慌てて「イヤイヤを止めないと!」って思わなくていいんですよ。子どものイヤイヤに付き合うのはすごく疲れてしまいますが、親の毅然とした態度が今後の親子関係に深く関わってきます。イヤイヤしたら、慌てずに「共感して」「ギュッとして」あとはあらかじめ決めたルールであやすようにしてもらうといいでしょう。そうすると、今よりもっと上手くお子さんのイヤイヤと付き合えるかもしれません。監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2022年09月05日悩ましい…学校・学級選び親御さんと学校・学級の選び方について話をしていると、「通常学級にするか、通級指導教室や特別支援学級にするかを迷っています」と言われることがよくあります。小学校入学前に受ける就学相談で「通級指導教室や特別支援学級が適当」という判断が出た場合に、決断に悩む人が非常に多いのです。判断は難しいのですが、私は基本的に、発達障害・知的障害のあるお子さんは、特別支援学校・特別支援学級・通級指導教室といった「特別な場」を利用したほうがよいと思っています。学校・学級選びについては、「一人ひとりの教育的ニーズ」によって、次のように大きく4タイプに分けられます。1.特別支援学校障害のある子どもを対象として、学習面・生活面の困難の解消を目指した教育が実施されている学校。一般の学校とは別に設置されていて、多くは小学部から高等部まであります(一部、幼稚部も設置されています)。一般の学校とは教育課程が異なり、生活面の学習が充実しています。2.特別支援学級(支援級)一般の小・中学校の中に設置されている学級。一般的に「支援級」とも呼ばれます。特別支援学校と同様に、障害のある子に対して学習面・生活面の教育が行われています。特別支援学級では、在籍している子どもが通常学級の授業に交流という形で参加することもあります。3.通級指導教室(通級)一般の小学校や中学校、高校の中に設置されている教室。一般的に「通級」とも呼ばれます。通級指導教室は、通常学級に在籍している子どもが一定時間利用する教室です。子どもは普段は通常学級で授業を受け、週に数時間程度、通級指導教室に通います。通級では学習面・生活面のさまざまな課題の中で、本人が個別の指導を必要としている部分の教育が実施されます。4.通常学級(通常級、一般級)一般の学校に設置されている通常の学級です。一般的に「通常級」「一般級」などとも呼ばれます。通常学級でも、子どもの障害に配慮した支援が行われています。ただし、通常学級は子どもの人数が多いため、特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室などの少人数教育に比べると、支援は少なくなりがちです。「小1の4月」から支援を受けるのがいいと思う理由通級指導教室でも特別支援学級、特別支援学校、いずれかの形で、個別の支援を受けられるようにしておくことをおすすめします。なぜなら、支援の選択肢を増やしておくことが、子どもにとって「保険」になるからです。こうした場を利用しないという判断をする場合は、通常学級の中でどのような合理的配慮がしてもらえるかを確かめておきましょう。親御さんや学校の先生の中には、「最初は特別な配慮をせずに通常学級に通ってみて、支援が足りないと感じたら、通級指導教室や特別支援学級を検討すればよいのでは」と考える人もいます。そのように対応することもできるのですが、私はおすすめしていません。理由は2つあります。1.子どもの自己肯定感を損なう可能性があるまず一つは、子どもに一度失敗させてから環境を調整する方法では、「子どもの自己肯定感を損なう」ということがあります。あとから検討するのでは遅いということです。発達障害のある子どもの中には記憶力が強く、つらい体験を鮮明に覚えてしまう子どももいます。そういう子どもにとっては、小1のときの挫折がトラウマ体験のようになってしまうこともあります。子どもにわざわざトラウマ体験を植えつけるようなことは、避けたほうがよいと考えます。2.特別な場の調整は簡単ではないそしてもう一つの理由は、「特別な場の調整は簡単ではない」ということです。通常学級に通わせてから、やはり難しいと判断した場合、年度の途中で特別な場の利用を検討することになります。しかし学校側は、年度始めにスタッフの配置を決めています(通級指導教室には「児童13人に先生1人」、特別支援学級には「児童8人に先生1人」など)。いまは各地の学校が人員不足に悩んでいることもあり、子どもに対して先生の人数がギリギリというケースも多いです。そのため、先生の人数が足りなくて、すぐには支援を受けられないという場合もあるのです。早く支援を受けた子どもは「その後」の社会適応がよい傾向にある発達障害や知的障害の専門家の間では、何十年も前から「教育的な支援を受けた人のほうが、社会に出たときの適応がよい」と言われています。子どもたちを見ると、小学校から特別支援学校や特別支援学級に通って支援を受けていた子どもは、身のまわりのことなどを行う生活スキルが高いことが多いです。着替え、片づけ、掃除、家事などを自分なりのやり方で、一人でできたりします。これは、特別な場での教育によって、その子どもに合った方法で身辺自立が身につくように学べているからでしょう。それに対して、小・中学校ともに通常学級だけで過ごしてきた子どもには、生活スキルが十分に身についていない子どもが多い印象があります。勉強はある程度してきているけれど、生活に即した知識やスキルが十分ではないという場合が多いのです。また、メンタルヘルスが損なわれていて、自己肯定感が低いという子どもも見られます。子どものその後をどう考えるかという二択特別支援教育を受けるかどうかという二択は、子どものその後をどう考えるかという二択でもあると、私は思っています。きつい言い方になってしまいますが、それは次のような二択です。1.小学校で特別扱いせず、たくさんの友達の中に入っていい思い出をつくらせたいと親が願い、その代わりに、子どもはその後の人生で生活する力をうまく身につけられず、つらい思いをする可能性がある。2.小学校で特別な教育の場を確保し、将来、社会人として地域でしっかり生活できるようにしていく。子どもの学校生活の「その後」を見越して、社会に出ていくための土台づくりができる環境を選ぶのか。それとも、とにかく学校生活を標準的に送っていけるようにするのか。そのどちらを選ぶのが、子どもの長い人生にとってよい選択になるのかを、考えてほしいと思います。
2022年09月04日2022年8月18日現在、Twitterでブームになっている、『#小児科はいいぞ』というハッシュタグ。同ハッシュタグを付けて公開された、小児科にまつわるエピソードに、温かな気持ちにさせられます。キュンとする子供の『ひと言』小児科医の森戸やすみ(@jasminjoy)さんは、初診をした子供のほほ笑ましいエピソードをTwitterに投稿。診察が終わった後、付き添っていた子供の母親が「最後に先生になんていうの?」とお礼の言葉をうながしたそうです。すると、その子供はじっと森戸さんの顔を見つめた後、こんなひと言を発しました。「また、あそぼうね」※写真はイメージ #小児科はいいぞ 初診した子、お母さんに「最後に(先生に)なんて言うの?」と促され私の顔をじっと見て「また、あそぼぅね」今日、私は遊んでいたのか?と思いながらニッコリ「そうね」こんなに患者さんに楽しい気持ちにさせてもらえる診療科があるだろうか?— 森戸やすみ⠒̫⃝♡* 小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK (@jasminjoy) August 16, 2022 「私は遊んでいたのか」と心の中でツッコミつつも、「そうね」と笑って答えたという、森戸さん。きっと子供にとって、その日の診察が『怖い』と感じず楽しい気持ちで受けられたからなのかもしれません。なんともかわいらしい『お別れの挨拶』に、投稿にはさまざまな声が寄せられました。・尊い…!なんか涙が出てしまいました。・かわいすぎる!小児科ならではの『ご褒美』ですね。・なんていい話。先生、子供さんに遊んでもらっていたのですね。日々、小さな命と向き合う小児科医という職業。大変なことも多い反面、子供たちに癒される、素敵な出来事もたくさんあるのでしょうね。[文・構成/grape編集部]
2022年08月18日VRコンテンツ制作サービスを専門とする株式会社ココロワークスは精神科医・公認心理師の宗未来医師(東京歯科大学准教授)と協力し、メタバース(VR空間)における新感覚のメンタルケア・プログラム「メタバース(VR空間)でバーチャルドクターと学ぶ、“おうちdeストレスマネジメント”」を開発し、初回令和4年9月1日からスタートする無料体験キャンペーンの参加者を募集しています。自宅にいながらアバターで参加できるメンタルケア・プログラム1. メタバースと呼ばれる仮想現実(VR=バーチャル・リアリティ)空間で、パソコンやスマートフォン、タブレットなどを用いて、自宅でリラックスしながら参加できる2. 直感的に理解できるような視覚化が駆使されたレクチャーと、独自開発のアプリなどを通じて、誰も教えてくれない「正しいこころの使い方」について学べる3. 大勢が一堂に会し、活発なライブチャットによる質疑応答やオンラインサロン上でのインタラクティブなコミュニケーションを通じて、理解が深められる4. アバター(匿名)で参加ができるため、赤の他人である参加者同士との不思議な連帯感に勇気づけられながらも、わずらわしい人間関係の気遣いからは解放5. 効果は厳密な医科学的検証試験を通じて証明済み (図参照)6. 開発者は日本精神神経学会学術総会の優秀発表賞を3度にわたり受賞し、日本うつ病学会治療ガイドライン心理社会セクションの責任者を担う現役の精神科専門医現在の我が国のメンタルヘルスの実情は、2018年に心理専門家の国家資格化こそ実現したものの、制度が追いついておらず、未だにお薬が中心の精神医療が主流のままであり、カウンセリングなどの心理的支援が必要な方にリーズナブルに提供される状況にはありません。一方で、ストレスへの正しい対処法を身に付け、うつ病や不安障害といった心の不調からの回復はもちろん、その発症・再発を未然に防ぐためのメンタル対策へのニーズはますます高まっています。そこで株式会社ココロワークスは、「正しいこころの使い方」というテーマで、多くの方に心理的なアプローチに触れていただく機会を提供することで、日本国民の「こころのリテラシー」の向上を意図し、「メタバース(VR空間)でバーチャルドクターと学ぶ、“おうちdeストレスマネジメント”」というメンタルケア・プログラムを期間限定で無料提供いたします(初回は令和4年9月1日からスタート)。“おうちdeストレスマネジメント”は認知行動療法、対人関係療法、家族療法といったエビデンスに裏づけられた心理セラピー的なアプローチのコンセプトがわかりやすく集約された内容が提供されます。毎週木曜日、19時45分から20時25分までの40分間、解説(30分)と質疑応答(10分)から構成されたプログラムに参加していただけます。1話完結型の全6回シリーズです。本プログラムは治療行為ではありませんが、現在のこころの問題に行き詰まっている方、薬だけの治療や受けているカウンセリングなどに疑問を感じている方のいずれであっても、次につながる何かしらのヒントを得る機会となることを目指しています。【「メタバース(VR空間)でバーチャルドクターと学ぶ、“おうちdeストレスマネジメント”」無料体験キャンペーン、参加者募集の要項】■対象・定員100人(毎回先着順)以下に当てはまる成人・日本語が理解でき、うつや不安、苛々といった感情コントロールの問題を抱えて困っている。・パソコン(WindowsもしくはiOS)やスマートフォン、タブレット、VRゴーグルなどでインターネットが使用できる。・現在、メンタルヘルスの問題のために通院中の方は、安全に参加が可能であると主治医からの承諾を事前に得られていれば可能。・正しいこころの使い方を積極的に学び、自分自身と向き合いたいという自発的動機の高い方*重度の自閉症圏といった発達の問題を抱える方、幻覚・妄想や躁状態が活発な方、認知機能の低下された方、自分や他人を傷つけたいという行動がコントロールできない方、強い解離症状を抱える方、は当プログラムに参加して効果を得るのは難しい可能性が高いでしょう。■参加費キャンペーン期間中は無料■プログラム実施期間初回令和4年9月1日~毎週木曜19時45分~(40分間)■詳細/参加申し込み先URL: の下方にある『【無料】ベーシックコースお申込み 』のアイコンからお申し込みください。(画像はプレスリリースより)【参考】※公式サイト
2022年08月17日第24回日本劇作家協会新人戯曲賞一次通過の加藤真史演劇復帰作病院を舞台に生と死について問う演劇/微熱少年vol.3「小医癒病」中医癒人大医癒世 が2022年10月22日 (土) ~2022年10月23日 (日)に太田市学習文化センター視聴覚ホール(群馬県太田市飯塚町1549-2 太田市学習文化センター)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて8月26日(金)10:00より発売開始予定です。カンフェティにて8月26日(金)10:00よりチケット発売開始予定 公式ホームページ 第24回日本劇作家協会新人戯曲賞一次通過の加藤真史演劇復帰作ついに上演!群馬県北部の臨床研修病院、そこに集う研修医や医学生、そして病院スタッフたちの一日の出来事を丹念にスケッチした現代口語演劇の秀作。――この物語の主役は舞台に登場しない。群馬県発の高水準な演劇制作。群馬県の演劇は地理的に東京に近く、また演劇専門の公共劇場がないことなどもあり、ここ20年程の演劇界の変化に対応できず、近年は低調でした。そんな状況に危機感を持つ群馬のオールスターキャストともいえるメンバー有志が集い、高水準なオリジナル作品の制作に挑みます。公演についてコロナ禍において医療人の努力は自身のあらゆる生活を制約下に置きながら未だ先の見えない日々を過ごしています。その根本原理は何なのかを問う3部作の第1作が本作です。「生きるとは何なのか」「死ぬとは何なのか」悩みながら答えの出ないといに挑む研修医たちの一日にフォーカスします。本作は1990年代に東京の小劇場シーンで活動していた加藤真史が、2016年に群馬県邑楽町に来訪した平田オリザ氏と「再会」したことが契機で演劇活動を再開し、邑楽町民劇団立ち上げに携わる中で、新たな挑戦として取り組んだ初の長編現代口語戯曲でした。「ちゃんと書けたのか確かめたい」という想いで第24回日本劇作家協会新人戯曲賞に応募し、一次通過しました。しかし、登場人物が幅広い年齢層で20名と多いなどの理由で上演せずにいたところ、加藤が平田オリザ氏の私塾である無隣館の4期演出部として学ばせていただいた折、氏から「戯曲は書き始めたら最後まで書け、書き上げたら上演しろ」とアドバイスを受けた事に背中を押され、自身のソロユニットとして立ち上げた演劇/微熱少年での上演をリライトの上、決めたものです。出演者は、邑楽町民劇団からの加藤作常連である栗原一美をはじめ、お笑いコンビ「山マウンテン」(浅井企画所属)として活躍した元お笑い芸人の新井聖二、平成期の群馬の演劇界をリードしてきた中村ひろみ、高校演劇部顧問として幾多の賞に輝いた経歴を持つ荒井正人、元ふるさときゃらばん下座バンドの滝川いくた、ニナガワスタジオ出身で舞台のみならず映像作品でも活躍する加藤亮佑らのベテランが、松竹エンターテインメント所属で「相棒」にも出演した若手期待のホープ村山朋果らの群馬を拠点に演劇活動をしていこうと志す若手出演者と化学反応を起こそうとしています。栗原一美、新井聖二、中村ひろみ、荒井正人、滝川いくた、加藤亮佑村山朋果、入内島優奈、山﨑香、久保田雅彦演劇/微熱少年とは劇作家:加藤真史のソロユニットとして2019年に始動。群馬県南東部を拠点に加藤真史による作・演出作品の上演および演劇ワークショップの活動を展開。日常のスケッチから世界を透かし見る作品世界を精緻に構築する試みを続ける。立川談四楼、大竹直(青年団)ら出演の『縁側アロハ』(2021年)、群馬県立館林美術館初の演劇公演となった『料理昇降機/the dumb waiter』(2022年)など。Twitter(@engekibinetsu) YouTube 加藤真史公演概要演劇/微熱少年vol.3「小医癒病」中医癒人大医癒世公演期間:2022年10月22日 (土) ~2022年10月23日 (日)会場:太田市学習文化センター視聴覚ホール(群馬県太田市飯塚町1549-2太田市学習文化センター)■出演者新井聖二 / 成澤陽子 / 入内島優奈 / 村山朋果 / 赤井那帆 / 武藤真大 / 木田恭平 / 佐藤壮成 / 山崎香 / みずだけ豆太 / 川原崎晴紀 / 東雲楽 / 栗原一美 / 加藤亮佑 / 久保田雅彦 / 滝川いくた / 根岸佐千子 / 荒井正人 / 中村ひろみ■スタッフ作・演出・音楽音響:加藤真史舞台美術:濱崎賢二(六尺堂・青年団)テーマソング:入内島詩織医事監修:鈴木諭(利根中央病院総合診療科科長)制作:演劇/微熱少年微熱少年、加藤総合研究所制作補:新井由美、武井道子、嶋村友希後援:群馬県、群馬県教育委員会、群馬県教育文化事業団、太田市、太田市教育委員会、エフエム太郎主催:演劇/微熱少年■公演スケジュール10月22日(土) 14:00/18:0010月23日(日) 13:00/17:00※開場は、開演の30分前■チケット料金一般:3,000円U-22・学生:1,000円(全席自由・税込)※その他、身体の不自由な方・経済的に困難な状況にある方は無料【主催者にお問い合わせください】 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年08月17日VRコンテンツ制作サービスを専門とする株式会社ココロワークス(本社:大阪市北区、代表取締役:小松 英司)は精神科医・公認心理師の宗未来医師(東京歯科大学准教授)と協力し、メタバース(VR空間)における新感覚のメンタルケア・プログラム「メタバース(VR空間)でバーチャルドクターと学ぶ、“おうちdeストレスマネジメント”」を開発し、初回令和4年9月1日からスタートする無料体験キャンペーンの参加者を募集しています。「おうちdeストレスマネジメントプログラム」の効果検証試験結果【ポイント】1. メタバースと呼ばれる仮想現実(VR=バーチャル・リアリティ)空間で、パソコンやスマートフォン、タブレットなどを用いて、自宅でリラックスしながら参加できる2. 直感的に理解できるような視覚化が駆使されたレクチャーと、独自開発のアプリなどを通じて、誰も教えてくれない「正しいこころの使い方」について学べる3. 大勢が一堂に会し、活発なライブチャットによる質疑応答やオンラインサロン上でのインタラクティブなコミュニケーションを通じて、理解が深められる4. アバター(匿名)で参加ができるため、赤の他人である参加者同士との不思議な連帯感に勇気づけられながらも、わずらわしい人間関係の気遣いからは解放5. 効果は厳密な医科学的検証試験を通じて証明済み (図参照)6. 開発者は日本精神神経学会学術総会の優秀発表賞を3度にわたり受賞し、日本うつ病学会治療ガイドライン心理社会セクションの責任者を担う現役の精神科専門医現在の我が国のメンタルヘルスの実情は、2018年に心理専門家の国家資格化こそ実現したものの、制度が追いついておらず、未だにお薬が中心の精神医療が主流のままであり、カウンセリングなどの心理的支援が必要な方にリーズナブルに提供される状況にはありません。一方で、ストレスへの正しい対処法を身に付け、うつ病や不安障害といった心の不調からの回復はもちろん、その発症・再発を未然に防ぐためのメンタル対策へのニーズはますます高まっています。そこで株式会社ココロワークスは、「正しいこころの使い方」というテーマで、多くの方に心理的なアプローチに触れていただく機会を提供することで、日本国民の「こころのリテラシー」の向上を意図し、「メタバース(VR空間)でバーチャルドクターと学ぶ、“おうちdeストレスマネジメント”」というメンタルケア・プログラムを期間限定で無料提供いたします(初回は令和4年9月1日からスタート)。■本プログラムの目的未だ心理的サービスの公的供給体制が遅れており、必要とされる方に充分に心理的支援が提供されていないという現状に対して、メタバースというVR(仮想現実)空間を活用することによって一度に多くの参加者に対して、エビデンスに基づいた心理教育プログラムを提供することで、最先端のメンタルケアを広く国内に普及させ微力ながらも我が国のメンタルリテラシーの底上げの一助となることを意図して本プログラムは企画されました。■プログラムの内容“おうちdeストレスマネジメント”は認知行動療法、対人関係療法、家族療法といったエビデンスに裏づけられた心理セラピー的なアプローチのコンセプトがわかりやすく集約された内容が提供されます。毎週木曜日、19時45分から20時25分までの40分間、解説(30分)と質疑応答(10分)から構成されたプログラムに参加していただけます。1話完結型の全6回シリーズで、以下のような特徴があります。(1) 自宅で参加メタバースと呼ばれるVR空間において、オンラインで参加するため、わざわざ“通う”必要がなく、パソコンやスマートフォン、タブレット、VRゴーグルを使って、誰でもどこからでも気軽に参加できます。(2) 見える化豊富な臨床経験に基づいて熟成されたコンテンツの直感的理解を目指して視覚化が駆使されたレクチャーと、“こころの見える化”を目指して独自開発されたアプリなどを通じて、誰も教えてくれない「正しいこころの使い方」について学ぶことができます。(3) 双方向エビデンスに基づいた心理医学の専門家である精神科医、宗医師がバーチャル・キャラクターとして登場し、ライブ中継で解説します。解説後には、アバターとして参加する方々と宗医師のライブチャットによる質疑応答や、オンラインサロンでの参加者同士のインタラクティブなコミュニケーションを通じて、より一層、理解が深められます。(4) 大人数が参加一度に100名以上の参加が可能なため、多くの方に参加の機会が提供されます。多数の参加者が集うことで、「自分だけがつらいのではない」という安心感や連帯感が得られます。(5) 匿名匿名なので恥ずかしさを感じることなく、質問したり、ディスカッションに参加することができます。メタバースでは、ウェビナー講義のような一方通行の無器質さからは解放される一方で、リアルでの対面グループセラピーでストレスとなりがちなプライバシーの問題や、参加者同士でのわずらわしい人間関係のトラブルからも守られます。(6) 「正しいこころの使い方」の理解本プログラムの最大の強みはメタバースといった技術的な新規性ではなく、あくまでも経験豊かな現役の精神科医の指導により、本質的な「正しいこころの使い方」についての理解が深められることです。正しく体を使えている人は、実は100人に1人程度しかいないとも言われます。赤ん坊の時には、誰に習わずとも自分の体をしなやかに使う事ができても、大人になると誰もが自分の体をうまく使えなくなってしまいがちです。成長過程で自分の癖や誤った体の使い方で自己流を繰り返すうちに、使えない(使い方を忘れてしまった)筋・骨が増えてしまうからだとされています。間違って体を使い続けることは、けがや病気の元ですから、正しい使い方を思い出し、整えることが必要になります。これは心でも同じことが言えます。いつしか赤ん坊の時のように自由に心が使えなくなり、自分にとって最も大切なことを感じる力が失われ、しわ寄せでどうでもいいことばかりに敏感になりとらわれが強まり(いわゆるHSPやノイローゼ)、挙句の果てに疲れ果ててしまえば“うつ”を生じてしまいます。ですから、心でも正しい使い方を学び、整え直すことは必要なのです。本プログラムは治療行為ではありませんが、現在のこころの問題に行き詰まっている方、薬だけの治療や受けているカウンセリングなどに疑問を感じている方のいずれであっても、次につながる何かしらのヒントを得る機会となることを目指しています。■本プログラムに向いている方・現在の精神科・心療内科での薬中心の治療だけでは物足りない・なぜ心理的なアプローチで精神疾患が良くなるのかを知りたい・カウンセリングに通うのは億劫・高額・敷居が高いなどの理由で抵抗がある・様々なセミナーやカウンセリングを体験しても効果が感じられない、長続きしない・自分や周囲の心理状態に何が起きているのかを、言語化できるようになることでより深く理解し、今後に役立てたい・その他諸事情でメンタルケア・サービスが利用できない(「海外赴任中に遠隔参加で効果を実感した」「新型コロナ感染での療養中に心身のバランスを崩された方が利用して大変役立った」というユーザーの声もこれまで届いています)・マインドフルネスや座禅などの瞑想に参加しても、深呼吸によるリラックスや場の雰囲気による癒やしは体験できていても、毎回、眠気に襲われたり、雑念がしつこく湧き上がり、ストレス・フリーの覚醒状態であるゾーン体感には程遠いなど、本当の瞑想の効果をずっと感じられず、それがなぜか知りたく、できればそこまで感じられるようになりたい(瞑想の習得には、“正しいこころの使い方”ができることが前提とされており、不健康な方ほどいつまでも習得できないという落とし穴があります。逆に、自力でそこまで到達できる方には本プログラムは不要です)■これまでに実証されている効果メタバース内で提供されるストレスマネジメント・プログラムは、宗医師が在職していた慶應義塾大学病院精神・神経科において精神疾患患者さん向けの入院・外来治療プログラムとして開発され提供されていた内容を、一般向けに改変・発展させたものです。本プログラムの抗うつ効果については、2021年に全国の会社員60名に対して週1回×1時間/回が全6セッションにわたって実施された厳密な医科学的検証試験(無作為化比較試験)で証明されており、その結果は第117回日本精神神経学会学術総会(2021年)にて学会報告がなされています(図参照)。■開発者の紹介開発を務める宗医師は、英ロンドン大学で認知行動療法、米ピッツバーグ大学で対人関係療法、英バーミンガム大学で家族療法を学び指導者資格も有している医科学的根拠に基づいた心理セラピーの専門家。2005年からうつ病治療の臨床現場にICTを取り入れる研究活動に着手しており、我が国で初めて、会社員に対する完全自習型eラーニングプログラム実施後のうつ改善効果を示し、世界行動療法認知療法会議(WCBCT)で発表(2007年)。2017年には経済産業省の支援により1,200人に対して行ったAI(人工知能)によるインタラクティブ機能付き完全自習型eラーニング(インターネット認知行動療法)の抗うつ効果検証、その後「アロマセラピーによる高齢者の認知機能改善効果検証(2020年)」、「米コロンビア大学との共同研究による摂食障害リスク因子調査(2021年)」と3度にわたって栄誉ある日本精神神経学会学術総会優秀発表賞を受賞。2022年日本うつ病学会による双極性障害治療ガイドラインでは、心理社会セクションにおける責任執筆者も担い、我が国の臨床精神科医として最前線を駆け抜けている。■世界発の先進的な取り組みと私たちのミッション厳密な検証試験で効果の証明されたメタバースを活用してのインタラクティブなライブ解説中継によるメンタルケア・プログラムは、日本はもちろん、諸外国でもまだ例のない先進的な取り組みです。「メタバース(VR空間)でバーチャルドクターと学ぶ、“おうちdeストレスマネジメント”」の普及が、現在は大都市に集中しがちで誰もが安価で手軽には受けられない最先端の心理セラピーの一端を、大勢の人々がどこでもリーズナブルに体験可能となり、そのベネフィットを日本中の誰もが共有できるような社会の実現を目指すことを私たちはミッションとしています。【「メタバース(VR空間)でバーチャルドクターと学ぶ、“おうちdeストレスマネジメント”」無料体験キャンペーン、参加者募集の要項】■対象・定員100人(毎回先着順)以下に当てはまる成人・日本語が理解でき、うつや不安、苛々といった感情コントロールの問題を抱えて困っている。・パソコン(WindowsもしくはiOS)やスマートフォン、タブレット、VRゴーグルなどでインターネットが使用できる。・現在、メンタルヘルスの問題のために通院中の方は、安全に参加が可能であると主治医からの承諾を事前に得られていれば可能。・正しいこころの使い方を積極的に学び、自分自身と向き合いたいという自発的動機の高い方*重度の自閉症圏といった発達の問題を抱える方、幻覚・妄想や躁状態が活発な方、認知機能の低下された方、自分や他人を傷つけたいという行動がコントロールできない方、強い解離症状を抱える方、は当プログラムに参加して効果を得るのは難しい可能性が高いでしょう。■参加費キャンペーン期間中は無料■プログラム実施期間初回令和4年9月1日~ 毎週木曜19時45分~(40分間)■詳細/参加申し込み先URL: URLの下方にある『【無料】ベーシックコースお申込み 』のアイコンからお申し込みください。初回のプログラム開始前に、URL内のインストラクションに従い、「申し込み」や「アプリのダウンロード」などのセッティングは各自で済ませておいてください(直前での問い合わせには対応しかねる場合がありますので、ご留意ください)。二次元バーコード■本試験に関する問い合わせ上記、URLウェブサイト内の問い合わせをご利用ください。【用語の解説】*認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)とは、考え方や行動に働きかけてストレスの感じ方を軽減したり、メンタルヘルスにおけるうつ病等におけるつらい症状を改善させる精神療法(心理療法)の一種。「認知」とは、ものの受け取り方や考え方という意味。*メタバースとは、仮想空間自体やそこでコミュニケーションが行われるサービス全般を指す言葉。現実世界の自分を仮想空間のアバターに託し、VRのヘッドセット等を利用して(利用しない場合も)バーチャルオフィスやリモート会議、チャット、ゲームなどが行われる。*バーチャル・リアリティ(仮想現実=VR:Virtual Reality)とは、コンピュータの作り出す仮想の空間を現実であるかのように知覚させる技術。【宗未来(そうみらい)略歴】東京歯科大学精神科准教授(精神科医師・公認心理師)医学博士・英国理学修士(疫学)・英国MBA防衛医科大学校精神科学講座助教、ロンドン大学キングスカレッジ精神医学研究所心理医学部客員研究員(留学中IAPT:英国認知行動療法家育成コースに日本人として初参加)、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室助教を経て、現職日本精神神経学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医。日本うつ病学会双極性障害委員会委員。日本認知療法・認知行動療法学会理事、ISIPT(国際対人関係療法学会)認定スーパーバイザー。英国NHSメリデン版家族療法公認スーパーバイザー&トレーナー2017、2020、2021年の日本精神神経学会学術総会優秀発表賞受賞【株式会社ココロワークスとは】Webサイト、アプリ、映像等のコンテンツ制作サービスを提供。近年ではVRにも力を入れており、VRによるロールプレイング研修プログラムや、医療機器として認証されたVR歩行リハビリプログラムの開発を行っている。「ココロ あわせる テクノロジー」をメインコンセプトとして、テクノロジーを感性とデザインで味付けして、人の心に伝わるサービスの開発を目指す。本社 : 〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3番1号グランフロント大阪 ナレッジキャピタル8F代表者 : 代表取締役 小松 英司創業 : 2000年12月事業内容: コンテンツ制作(Webサイト、アプリ、映像、VRプログラム等)URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年08月16日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、子どもが「痛い」と言ったときの対応についてご紹介します。単語が増えてくる1歳半以降になると、子どもは「いたい」と言うようになります。うちの子も点滴をしたあとに真似をして「いたかった!」と言う動画が残っています。 子どもが「痛い」と言い出したら何か大きな病気ではないかと心配になりますし、何度も言われると「本当なの?」と思ったりしますよね。子どもの「痛い」への対応について、お話ししたいと思います。 1~3歳の子の「痛い」は「痛い」だけじゃない「痛い」は親にとってかなりインパクトのあるワードで、子どもが言うと親の気持ちが一気に子どもに向く言葉です。そして、「痛い」というのはどんな感じが「痛い」なのか、子どもにはまだよくわからないことがよくあります。 つまり、「痛み」はよくわからないけれど、親の注目は一気に集められるんだ、ということが、この時期の子どもの感覚としてできます。そのため、「痛み」も「かゆみ」も「不快」も、すべて「痛い」と表現することもあります。 親がけがをしたときや注射したときは「痛いね」と言ったり、皮膚が赤くなっているときは「かゆそうだね」と言ったり、嘔吐してしまったときは「気持ち悪いね」と言ったりすることで、適切な表現方法を学んでいくのです。逆に、痛みがあるときでも、「いや」など違う言葉で表現することもあります。 緊急性があるのはどんなとき?子どもの怪我以外で痛みがでる場所といえば、頭、おなか、おしり、頻度は低いですが胸などです。頭痛は2歳ごろから起きることがあると言われています。 急激に発症してうずくまってしまうくらいの痛みのとき、嘔吐や発熱など他の症状もあるとき、血便などがあるとき、意識がおかしいとき、けいれんがあるときなどはすぐ受診しましょう。そこまでの痛みではないけれど、慢性的に痛みを訴えるときも一度受診をした方がいいかもしれません。 本当に痛いの?よくわからないときは?「痛い痛い」という割には元気に飛び回って遊んでいる、「痛い」と言うので受診し特に異常ないと診断されたが、やっぱりよく痛みを訴えるときなど、対処に困りますよね。 「うーん、これは痛くないんじゃ……?」と疑問に思ったとしても、「痛くないでしょ!」などと真っ向から否定せず、まずは「そっか、痛いんだね」と共感して、どこが痛いのかやさしく聞いてあげてみてください。ママやパパがゆっくり聞いてあげることで安心します。 そして、「いたいいたいの飛んでけ」のように、痛みを訴えている場所をやさしくなでてあげると、さらに安心するでしょう。 その上で、かゆそうな場合は「これ、かゆそうだね、冷やしてみようか」「〇〇っぽいね」と伝えてあげることで「そっか、これってかゆいんだ」と、「痛い」以外の表現力を学ぶ良い機会になります。上記に記載した緊急性がない場合は、まったく別のことで気を紛らわしてしまう、という対処法もあります。それもまずは「そう、痛い痛いだね」など一度共感してから、お子さんの好きなことなどを促してみて気を逸らすと良いでしょう。 痛みは積極的に治していいものです!これは大人もそうですが、痛みをがまんする必要はまったくありません。お子さんの訴える痛みが本当に頭痛や腹痛でありそうであれば、「頭痛ならしばらくすれば良くなるかも」と様子を見る必要はないのです。痛みが何回もある、しばらく続くなどあれば、受診して痛み止めや治療薬など適切な対処をしてもらいましょう。鎮痛薬はがまんせず使って大丈夫です。使う頻度が多いようであればまた受診して相談するなど、痛みに人生を左右されない生活を目指しましょう。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2022年08月16日奇声で周囲の人を驚かせてしまうほぺろう。どうしたらいいですか?わが家の息子ほぺろうは特別支援学校の一年生。最近になってようやく発語が出ましたが、今は拙い単語程度。コミュニケーションとして言葉を使うという認識はまだまだで、好き勝手に声を出しています。Upload By ぼさ子ぼさ子(以降ーー): ほぺろうは暇さえあればゴチョゴチョと宇宙語を呟いていたり、覚えたての単語だったり、会話ではない何かを常に発声しています。その声がとにかく大きくて…。外出先でも突然大声を出したりするので周囲の人をビックリさせてしまうことがあって困っています。三木先生:そうですねぇ…。通常だと、内言語って自分の頭の中で処理して発する言葉を取捨選択していくものなんですけど、自閉スペクトラム症のあるお子さんは内面と外面の境目があいまいなことが多くて頭の中の言葉がだだ漏れになってしまいがちなんですよね。呼びかけで収まるのであれば問題ないかなと思うんですけど、ほぺろう君は対応してくれそうですか?ーー全然です。「シーッだよ」「黙ってようね」と言ってもほぺろうは理解していないように見えます。奇声は抑えてほしい。でも本人が理解していない場合は?ーー絵カードなどで視覚的に音量の訓練をするという話も聞いたことはあるのですが、絵カードでの説明を理解するのもほぺろうにはまだ難しそうで…。三木先生:シーンが理解できないとボリュームの使い分けも分からないかなと思います。なので本人にコントロールしてもらうのが難しいとなると、「防音対策する」または「発声しても大丈夫な場所を選ぶ」ということを大人が外部的に働きかけるといいと思います。自宅ではどんな風に過ごしているんですか?ーーもう自宅では喋りたいまま自由に喋らせています。他人様に迷惑をかけなければ発声する分には構わないといった感じで。三木先生:「この場所ではダメだよ」っていう理解もまだ難しいですかね?ーー場所で使い分けることも ボリューム調整することもまだ難しいです。三木先生:人前で口を塞ぐなどはやっぱり現実的には無理なので、周囲が気になるというのであれば、可能な限りで今は「場所を選ぶ」という方法がいいのかも知れませんね。Upload By ぼさ子理解が難しいほぺろう。今できることはありますか?三木先生:ボリューム調整の訓練ができそうであれば、絵カードで視覚的に教えてみたり、そういった練習用のアプリがあるので活用してみるという方法もありますね。ただ、ボリューム調整の練習ができたとしても状況に応じて使い分けできるかはまた別問題ではありますが…。アプリ|こえキャッチUpload By ぼさ子今の時点でほぺろう君に「調整してね」というオーダーが難しいのであれば、「ほかの方法で喋ることから気をそらす」「独語じゃないことをさせる」のもいいかもしれません。例えば、おやつを与えてモグモグしてる間は喋らない、動画やゲームを見ている間は喋らないとか。ーー確かに!ほぺろうは遊びに夢中だったりおやつを食べていたり絵本を読んでいる間は喋ってないです。三木先生:なので直近の対応としては、必要に応じて「大人が別の刺激で気をそらす」のが有効だと思います。Upload By ぼさ子今すぐは無理でも、将来的に改善できますか?ーー今はコントロールが難しくても、成長すると改善していくという見込みはありますか?三木先生:もちろん個人差はありますが、どんなお子さんでも成長はしますので大きくなるにつれ改善する可能性はあります。僕が診ている重度の知的障害があるお子さんも、完全にTPOをわきまえるのは難しくても外からのオーダーは入りやすくなっていますね。そうやって聞き入れてくれることで周りに迷惑をかけることは減っていると感じます。でも最終的には「枠組みをつくってあげる」ことが大事かなと。ABA的な感じで。やっぱり本人の損得の経験で動機づけするのが一番身につくんじゃないかと思います。ーーなるほど動機づけ…。そう言われると、私は「ほぺろうは理解していないからできない」と思ってたんですけど、もしかしたら「理解はしているけどやりたくない」という可能性もあるかなって気がしてきました。三木先生:納得して聞き入れてくれるかは、損得の経験を積み重ねていくことで行動をコントロールできるようになっていきます。経験から蓄積した理解を高めていき物事を判断する「行動学習」をしていくと、ある程度統制できていくと思います。状況による音量の使い分けはシーンの理解ができていればいるほどやりやすいです。気をつけなければいけないのは、「声を発するのは良くない」というインプットになってしまわないようにということですね。本当は声を出したいのに制限されてしまうとほぺろう君はしんどいと思うんです。なので、そこはもうちょっと理解が進んでからアプローチする方がいいかな。Upload By ぼさ子感想三木先生のお話を聞いているうちに、ほぺろうに対する私の根底の要求は「奇声をコントロールしたい」というより「TPO(状況)を理解してほしい」なんだと気づきました。「奇声」という悩みでしたが、社会性を鍛えることで全ての解決に繋がっていくんだろうなと。今のほぺろうは階段が100段あるうちの1段目くらいの状態ですが、少しずつ経験値を積み上げてTPOに合った行動をとれるようになってくれたら嬉しいです。また、締めくくりに三木先生が仰った「そもそも“声を発するのは良くない”と思われるのは望ましくない」という言葉にハッとさせられ、発語を促すために奇声は逆に抑えつけない方がいいかもと考えを改めました。外出先ではどうしても公共のTPOが求められるので、"今は"必要に応じて大人が外部的に働きかける方法を取り、ほぺろうの今後の成長に期待したいです。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子
2022年08月13日独自開発のポリペプチド成分・APT-200ジュネスグローバル合同会社は、「ジュネスルミネス」ブランドから、ジュネス独自の成分APT-200を配合したフェイシャルパック「ジュネスルミネス リフティングマスク」を2022年8月1日より販売している。APT-200は、カリフォルニア州ロサンゼルスで開業している皮膚科医、美容外科医のDr. ネイサン ニューマンが開発した美容成分で、たんぱく質の要素であるアミノ酸で構成されるポリペプチド成分だ。肌にうるおいを与え、ハリ、ツヤなどエイジングケアにフォーカスしている。植物由来成分、ビタミン配合で肌にやさしい今回発売されたフェイシャルマスクは、ハリ・ツヤを与えるAPT-200のほか、保湿成分であるきゅうりやチコリの根に含まれるオリゴ糖、南アメリカ原産の植物であるタラなどの植物由来成分、肌のコンディションを整える3種のビタミンを配合している。週に1~2回の使用で、なめらかで若々しい肌に導いてくれる。肌にやさしく継続しやすいのも特徴だ。「ジュネスルミネス」は、パラベン、硫酸塩、ハイドロキノン、そのほか肌に刺激となる化学物質は一切使用しておらず、オイリー肌、乾燥肌、敏感肌、ニキビ肌など、様々な悩みに対応しているスキンケアブランドとなっている。(画像はプレスリリースより)【参考】※ジュネスグローバル合同会社の公式ホームページ
2022年08月08日10月期の月9ドラマは、吉沢亮主演のメディカル・ヒューマンドラマ「PICU 小児集中治療室」(仮)を放送。連ドラ初となる子どものICUを舞台にした、「監察医 朝顔」のスタッフが贈る医療ドラマとなっている。PICU(=Pediatric Intensive Care Unit)は、小児専門の集中治療室。高度かつ集中した治療が必要とされる、およそ15歳以下の子どもを対象にした、いわば“子どものためのICU”。小児集中治療を専門とする医師や看護師が各専門分野の医療スタッフと連携し、搬送のタイムリミットと闘いながら、重篤な子どもの尊い命を救うために、命懸けで治療にあたっている。ドラマは、北海道が舞台。人々を魅了してやまない美しい大地である一方、広大すぎるがゆえに搬送までに長い時間を要することも少なくない。物語は、「大規模なPICUの運営は極めて困難」と言われてきた北海道で、駆け出しの小児科医が先輩医師と共に、どんな子どもでも受け入れられるPICUを作るため、そして、1秒でも早くPICUに搬送できる医療用ジェット機の運用を可能にするために奔走する姿を描く。大河ドラマ以来の連ドラ主演作となる吉沢さんが演じるのは、北海道で生まれ育った27歳の小児科医・志子田武四郎。女手一つで育ててくれた母・南と二人暮らしをしており、実家から通える病院であれば何科でも良いと考え、小児科医になったという経緯が。ある日、勤務先の病院に新設されたPICUに異動することになり、そこでPICU医の植野元と出会い、武四郎の小児科医人生を大きく変えていくことになる。吉沢さんは「命とどう向き合うか。人の死から何を学ぶのか。そんなシンプルでありとても深い、普遍的なテーマになんの小細工もなく真っ正面から向き合う作品になると思います。人の命を救うのは神様でもスーパーマンでもない。救う側の人間としての未熟さ、葛藤などを丁寧に描ければ」とコメント。月9ドラマ初出演にして初主演、自身初の医師役と、初尽くしとなる今作について「個人的に子供の頃から、“野球と言えばイチロー”、“ドラマと言えば月9”ってくらいお馴染(なじ)み感があるものだと勝手に思ってましたので、その主演をやらせて頂けるっていうのはもう。ありがとうございます。よろしくお願いします」と思いを明かしている。完全オリジナル脚本となる本作を手掛けるのは、「アライブ がん専門医のカルテ」で第9回市川森一脚本賞を受賞した倉光泰子。演出は「監察医 朝顔」シリーズの平野眞が務める。「PICU 小児集中治療室」(仮)は10月、毎週月曜日21時~フジテレビにて放送予定。(cinemacafe.net)
2022年07月27日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。授乳、おむつ替え、抱っこに寝かしつけ……赤ちゃんのお世話はやることがたくさん! 「育児を楽しむ余裕なんてない」「いつもお世話や家事に追われている」と感じたら、頑張りすぎているのかもしれません。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。今回は母乳育児編です! 育児を完璧にこなすことよりママが笑顔でいられることが大事 こんにちは。さくらんぼこどもクリニックの三日市です。「育児でラクをする」というと、抵抗を持たれるお母さんもいるかもしれません。しかし、ママたちに余裕がなくなってイライラすると、赤ちゃんも不安になって泣いたりグズったりと、悪循環になってしまいます。家事や育児を完璧にこなすことよりも、お母さんが常に笑顔でいられるためにはどうすれば良いかを大事にしてください。 とはいえ、赤ちゃんのお世話をする以上、守るべきボーダーラインはあります。 第一は衛生面です。決して神経質になる必要はありませんが、やはり清潔を保つことは大事です。 もう1つは安全面です。赤ちゃんの手の届く範囲に危険な物を置いていないか、足がかりになるようなものを置いていないか、などです。衛生面や安全面に気を配るためにも、適度に息抜きをして疲れすぎないことが大切なのです。 ここが大変①:授乳の回数が多くてつらい! 3カ月以降なら「泣いたら授乳」は見直してみて生後3カ月を過ぎると、一度に飲む量も増えて授乳回数が減ってきます。もし生後3カ月以降で「泣いたらすぐ授乳」を続けているのであれば、そろそろ見直してみましょう。おっぱいを吸って泣き止むのは、おなかが空いている場合のほかに、赤ちゃんの原始反射の1つであり、物が口に入ると吸う「吸啜(きゅうてつ)反射」による場合もあります。 吸っている間は泣き止むので、「おっぱいが欲しかったから泣いていたんだ」とママが錯覚しているのかもしれません。おむつの濡れ具合やお部屋の温度を確認したり、抱っこやおもちゃであやすなどほかの方法を試してみましょう。 5カ月になると間隔が空くから自然とラクに!また、ちょこちょこ飲むというのは、大人にしてみると常に食べているのと同じこと。そうすると空腹感がなくなり、まとまった量を飲めなくなってしまいます。次に飲むまでの時間をきちんと空けてあげることが、赤ちゃんの生活リズムを整えるためにも大切です。生後5カ月以降になり離乳食が始まると間隔も空いてくるはずなので、焦らずに取り組みましょう。 夜は起こしてまで授乳しなくてOK夜の授乳は、赤ちゃんが寝ていたら起こしてまでおこなう必要はありません。寝ている間は、赤ちゃんにとって成長するホルモンが分泌されている大切な時間。体重の増えが悪くてしっかり飲ませてくださいとお医者さんに言われない限りは、ゆっくり寝かせてあげましょう。 ここが大変②:授乳をすると体のあちこちが痛い…たくさん密着すると授乳体勢がラクに授乳の際の抱き方を工夫してみましょう。横抱きやフットボール抱き、添い乳などさまざまな授乳の体勢がありますが、いずれもポイントは、赤ちゃんと体を密着させるように意識することです。授乳の時間は赤ちゃんの様子が気になって体が離れがちになります。皮膚と皮膚が触れ合う面積が増えるほど、赤ちゃんは温もりを感じて安心するし、お母さん自身の体勢も安定してラクになります。 神経質にならず腕全体で赤ちゃんを包み込んでみてまた、特に赤ちゃんの首がすわっていない間は、首を守ろうとしてご自身の腕や手首を痛める方が多いですが、基本的にそこまで神経質になる必要はありません。手首や腕の一部でなんとかしようとせず、腕全体で包み込むようにしましょう。 ここが大変③:母乳のために毎日栄養バランスの良い食事は無理!総菜パンやレトルト食品などに頼って自炊にこだわらず、大変なときは惣菜パンやお弁当、レトルト食品に頼りましょう。極端に偏食をする人でなければ、そこまで過敏にならなくても大丈夫です。タンパク質がとれる冷奴や納豆、野菜がとれる具だくさんのスープなど、不足している栄養分を手軽に補える一品を常備・作り置きしておけば献立がラクになります。サプリは過剰摂取による健康被害が出ているケースもあり、医師としては基本的におすすめしません。栄養は食事から補給するようにしましょう。 また、栄養のほかに大切なのは水分です。母乳の約90%は水分でできており、水分が不足すると母乳の量などにも影響します。1日に2L以上を目安に、しっかり飲むように心がけてくださいね。 まとめ月齢が低いころは頻回授乳で大変な日が続きますが、生後5カ月ごろから離乳食が始まるとだんだんと授乳の回数も減り、1歳を過ぎれば卒乳へと向けて負担も減ってきます。特に母乳育児の場合はお母さんの負担が多くなりますが、ほかの家事をお父さんや家族に協力してもらうなど、少しでもラクになる方法を探してみてくださいね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2022年07月20日友達0人からの、療育のはじまりUpload By taeko4歳になったふーは、2ヶ所の療育に通所しています。ひとつは自治体の療育(個別)に月1回。もうひとつは、長男のミミと同じ民間の放課後等デイサービスの未就学児クラス(個別)に週1回通っています。ふーは少し言葉のキャッチボールが苦手なところもあって、友達0人からの療育スタートです。今日は、そんな療育が始まったときのお話をしたいと思います。医師の質問を受けているときに、ある違和感が…。自治体の療育の初回に、まず精神科医の診察をしてもらうことになりました。それは、5ヶ月後に大きな病院内の小児精神科を予約していて、そこへの紹介状を書いてもらうためでした。少し緊張気味に、初めての環境で、初めての医師に質問を受けるふー。医師:保育園でよく遊ぶのは何くん?何ちゃん?ふー:えっと、誰にしようかな…医師:保育園では何をして遊ぶのが楽しい?ふー:……楽しいことしてるとき…などなど。20分くらいの間に先生から投げかけられる質問に、ふーは頑張って答えていました。でも途中のある質問のときに、医師の質問と答えがかみ合わなくなってしまいました…!Upload By taeko「家で誰と住んでいるか」という質問に対して、「あのね、ボク誰かと有楽町行ったんだよ」と答えていたんです。先生も「そうなんだねー」と受け止めてくれましたが、これは一体どういう意味だろう?診察室に何とも言えない空気が流れました。それでも私もよく頭の中で連想ゲームをしてしまうのでわかったのですが…。質問の「お家」と「誰か」という部分から「祖母」のことを連想して、それとは別で前の質問の「楽しい?」からイメージを膨らませて、電車で行った楽しかった場所を答えていたようです。先生の質問に対してすぐに答えるのではなく、連想してふーが好きなことを言ってしまい、会話が成立しませんでした。身近な人だったら汲み取ることはできますが、初対面の先生は「答えてもらえない」「話を変えられてしまった」と思ってしまったはずです。Upload By taeko自分の伝えたいことを、ちゃんと伝えていくために質問の時間が終わると、ふーは好きなおもちゃを選んで補助していただいた方と遊んで待ってもらい、私は精神科医の先生と話をすることになりました。さっきの噛み合わない会話のこともありドキドキしながらも、まずはズバリ診断名を聞いてみました。でも、ひとまず今は、診断名がつく感じでは無いようでした。ただ、ふーが言葉のキャッチボールが少し苦手なことに変わりはないわけで…。コミュニケーションの中で、同年代の子と初めて話すときなど、相手の言葉を受け止めずに自分の好きなことだけを話しても相手に伝わりません。このままでは、意図を汲み取ってくれる人がいない場面では、伝えたいことが伝わらなくなってしまいます。今は良いかもしれないけれど、特にいつか社会に出たときに、きっと困ってしまうから。療育を続け、保育園とも連携しながら1年後の就学相談に向けて、ふーには今何が必要なのかということを見守っていくことになりました。Upload By taekoそして、療育の開始とともに、私も少し変わろうと思ったんです。今まで保育園でお迎えをするときは、先生に「元気です」と言われるだけでしたが、もっと園でのふーの様子を教えてほしいとお願いすることにしました。これからふーが、自分の力で伝えたいことをちゃんと伝えていくことができるように。そして、ふーのことを理解してくれる、友達が増えていってくれるように。そのために必要な成長を、親である私が見逃さないように。だから、私も先生に積極的に話しかけていくように、決めました。そんな、療育のはじまりのときのお話です。執筆/taeko(監修:井上先生より)コミュニケーションに困難さがある子どもにとって、園で体験した出来事を思い出しながらおうちの方に説明したりお話しすることはとても難しいことだと思います。お母さんがされているように、保育園のお迎えのときに、ふーくんがその日に遊んでいたことや、ふーくんの身の回りに起きた出来事をちょっとでも聞いておくと、ふーくんのおうちでのコミュニケーションがしやすくなるのではないかなと思います。話をしてくれることがまず大事なので、最初はたとえそれが正確な表現や事実でなくても、共感的に聞いてあげたり褒めてあげたりすること、そして少しヒントをあげてお話しできたらさらにほめること、そんなやり取り自体を親御さんが楽しめることが大切ですね。
2022年07月04日3児のママ小児科医で、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、ママたちが気になることを聞ける人気企画。今回は、離乳食を始める前の赤ちゃんに麦茶を飲ませたほうがいいかどうか悩むママたちの悩みについて、解説してもらいました。こんにちは、小児科医の保田典子です。最近よく外来で乳児のママに「子どもが麦茶を飲まないんです」と相談されることが増えてきました。 暑くなってきたし、脱水になりやすいから麦茶を飲ませなきゃ!と思ってしまいますが、実は麦茶は飲ませなくて大丈夫です。今回は赤ちゃんの麦茶事情について解説します。 赤ちゃんに麦茶は、必要ありません市販の赤ちゃん用麦茶には、よく「生後1カ月から」と書いてあります。なので、1カ月健診が終わったころから麦茶をあげるのは間違いではありません。 ですが、医学的には「いつから」というのは決まっていません。それは、離乳食を始める前の赤ちゃんは、母乳か育児用ミルク以外の水分は基本的に必要ないとされているからです。白湯も同様で、離乳食前の赤ちゃんには必要ありません。なので、正しくは「生後1カ月から可能だけど、通常生後5〜6カ月から飲むことを考慮」します。生後5〜6カ月でも、離乳食と母乳か育児用ミルクだけで大丈夫なので、基本的に麦茶を飲ませなくてはいけない時期というのはありません。 夏の水分補給はどうする? 夏でも、赤ちゃんは母乳か育児用ミルクだけで大丈夫です。乳児であれば、3〜5時間おきには水分(母乳か育児用ミルク)を摂取しているので、過酷な環境にいるわけでもないときにはいつもの母乳か育児用ミルクで大丈夫です。 汗が増えるので、多少おしっこが濃いように感じても、“欲しがるときに母乳か育児用ミルク”が摂取できていれば他の水分はいりません。私の場合、家にいるときは母乳か育児用ミルクだけにしていて、外に遊びに行くときに麦茶を準備していました。水分を欲しがるたびにおっぱいや育児用ミルクの準備をするのが面倒だったからです(基本めんどくさがりなので)。 もちろん、赤ちゃんは「のど渇いた」とは言ってくれないので、こまめにあげてみて、「飲まなければいいや」という感じでした。もちろん、外出中でも授乳のほうが適切だなと思うタイミングでは授乳にしていました。 幼児は水か麦茶で水分摂取を!幼児になると母乳や育児用ミルクよりも食事からの栄養摂取がメインになり、母乳や育児用ミルク以外にも水分摂取をする必要が高くなります。水分摂取にはジュースやイオン飲料は使用しないほうがいいので、自然とお水や麦茶、牛乳などを飲むことになります。牛乳も飲み過ぎは注意なので、水や麦茶をメインに水分摂取を考えていただけるといいと思います。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2022年07月01日