国内でも新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいる。これから接種を控えている人にとっての大きな関心事が副反応だ。その実態について、医師の体験談をもとに見てみようーー。政府の集計によると、6月17日の時点で、国内で新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を終えた人が2,000万人を突破。2回目を終えた人は約762万5,000人にのぼった。そこで今回、本誌では5人の現役医師に、自身の「ワクチン接種後の副反応の様子・経過」についてコメントを寄せてもらった。医師たちは自身の体にどのような異変を感じたのだろうか。【皮膚科・内科医 友利新先生】1回目接種後、腕に筋肉痛のような痛み。2回目は接種から12時間後の深夜2時半ごろ、ゾクゾクと悪寒が。関節痛とかぜのひきはじめのような症状だった。翌朝、だるさと倦怠感、37.4度の発熱、頭痛、腕の痛みで一日横になり休んだ。「コロナ最悪~」と気分も落ち込みがちになったが、熱は上がらず夕方には頭痛も治まる。その翌朝にはスッキリ回復。【内科医 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生】1回目接種後の深夜にせき、声のかすれがあった程度。2回目接種日の夜中3時(接種後12時間)に震えが止まらず、悪寒が走り目が覚める。たんがからむせきも出て、かぜや新型コロナウイルスの初期のような症状が。だが翌日朝にはケロリと治った。左肩の痛みが2~3日続き、背広を着るのに苦労。だるさは数週間続いたものの、仕事に支障が出るほどではなかった。■2回目は当日夜から37.4度の発熱…【内科医(池袋大谷クリニック院長)大谷義夫先生】1回目は接種した左腕が痛み、重たい感じで寝返りがうちづらい。痛みは翌日がピーク。ほか体調に変化なし。2回目は接種当日の夜から37.4度の発熱、頭が重い、体で何か反応しているような今まで体験したことのないような違和感があった。接種後36時間ほどで改善。それ以外はふだんどおりの生活を送れた。【医師・医療ジャーナリスト 森田豊先生】1回目接種の夜中、腕が腫れて熱くなり、筋肉痛のような痛みが。2回目は接種後15分で、体がホットフラッシュのようにポカポカしたが、ほかに症状はない。3時間後、腕に強い痛みが出て、肩より上に上がらなくなった。夜も眠りが浅くトイレの回数が増えた。翌朝はだるくて起き上がるのが大変だった。腕の痛みは2~3日ほど続いた。【内科医(さく病院)相馬渉先生】1回目の接種はチクリともせず、打った感触もなく逆に不安になった。翌日、打った右肩が少し痛くて腕を上げにくかったが、次の日には改善。2回目、接種後に少し痛みはあるが、予防接種や採血のほうが痛いくらいだったと思う。翌日の朝、肩の痛みを感じたが、午後にはピークを越えて徐々に楽になった。■代表的な副反応は、接種部分の痛み、倦怠感、頭痛…代表的な副反応は、接種部分の痛み、倦怠感、頭痛、発熱の4つ。看護師から「2回目の接種日の夜中3時ごろに気をつけたほうがいい」といわれたというのは小林先生。「接種直後はなにもなかったのですが、当日夜に悪寒が走り、目を覚ましました。時計を見ると計ったように夜中3時。接種からちょうど12時間後でした」(小林先生)厚生労働省の検討部会の資料を見てみると、接種部分の痛みや倦怠感・頭痛は多く見られる副反応のようだ。その影響はけっして小さなものではないにしろ、ワクチンを接種するメリットはそれを上回るものだと5人の先生方は話す。「私は、医療従事者として、また子をもつ母として、ワクチンを打つことで気が楽になり、とても安心できました」(友利先生)ワクチンの接種を決めた際には、そのメリット、同時に起こりうる副反応をきちんと理解することを心がけ、きちんとした準備のうえで臨むようにしたい。
2021年06月24日「福島県相馬市では、64歳以下のワクチン接種がすでに始まっています。7月中に16歳以上の2度目の接種が『おおよそ完了する』予定で進められているんです」こう話すのは、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師だ。テレビのコメンテーターとしてもおなじみの上さん。現役臨床医としても、相馬市の集団接種会場でワクチン接種に従事している。「電話がつながらない」などのトラブルの多い予約制ではなく、行政が地区ごとに日時を指定する独自方式を採用した相馬市では、5月31日時点で、65歳以上の85%が1回目の接種を終了した。6月1日からは64歳以下の接種も始まり、「相馬モデル」は全国で注目されている。全国各地で進むワクチン接種。「接種したら旅行に行きたい」「施設の母を見舞いたい」そんなふうな、期待を持っている人も多いはずだが……。「ワクチンを打ってもすぐに効果が得られるわけではありません。また、行為によってリスクは違いますから、いつからやっていいかは、それぞれ異なるのです」(上さん・以下同)それではワクチンを接種してから、何をどのタイミングでやっていいようになるのか。上さんに教えてもらった。新型コロナのワクチンは2回の接種で「望ましい効果が得られる」とされている。1回目の接種後、2週間ほどたってから効果が出始め、3週間(21日間)以上あけて2回目を接種。さらに、それから7日たつと、十分な免疫が得られる。よって、「マスクなしでの会話」は、2回目の接種から7日たつまでは控えたほうがいいという。「マスクをつけて家族以外の人と会ったり会食をしたりする場合も、ワクチンの接種状況が重要になります。自分か相手のどちらかが、接種によって十分な免疫を獲得している場合は、問題ないでしょう。そうでなければ、会わないのが望ましいです」双方が接種していない状態で会わないといけない場合は、会食は避け、できるだけソーシャルディスタンスに気をつける必要がある。では、レクリエーションは?「『映画観賞』は、館内でもほとんどしゃべりませんので、私は『1回目の接種の14日後から』で大丈夫だと考えています。東京五輪も含めた『スポーツ観戦』も『屋外』なら、ウイルスが希釈され、リスクが低いですから、同じ基準と考えていいでしょう」しかし同じスポーツ観戦でも、「屋内」の場合は「2回目の接種の7日後」までは控えたほうがいいという。「屋内の観戦は、密閉空間で歓声を上げてしまう可能性があるので、感染リスクが高まります。スポーツジムでの運動やカラオケなども同様。やはり、体が触れ合う行為も、2回目の接種の7日後まではやめたほうがいいですね。しかし、必要な医療行為をうけるのは、躊躇することはありません」もう1年半近く旅行をしていない人も多いと思うが。「家族での旅行は、いつも一緒に生活しているのであれば、基本的に問題ありません。しかし、団体ツアー旅行などは、十分な免疫を得るまではやめてください」■いつまで効果が続くかは研究中一方、まだ不明なことも多い。「ワクチンで得た免疫の効果がいつまで持続するのかは、まだ研究段階です。もしかしたら、免疫が弱まり、ふたたびワクチンの接種が必要になる可能性も。また、インフルエンザなど、ほかの病気の予防接種をいつから開始していいかも、一部で臨床試験が始まったばかりで、結論は出せません」ワクチンはコロナの感染リスクを大幅に下げてくれるが、接種後に自分が感染したり、人に感染させたりする可能性がゼロになるわけではない。「コロナが収束するまでは、自分がワクチンを接種した後でも、ソーシャルディスタンスの確保やマスク着用は続けたほうがいいでしょう」ワクチン接種後も感染対策を続けながら、少しずつ日常を取り戻していこう!
2021年06月20日株式会社オリエンタルランドは17日(木)、新型コロナウイルスワクチン職域接種の実施を発表した。対象は同社グループ従業員、約20,000人。同社はグループ従業員を対象に、政府方針に沿い新型コロナウイルスワクチン職域接種を実施する。今後、自治体とも連携のうえ、ワクチンや必要機材などが到着次第、速やかに接種開始できるよう準備を進めるという。開始日は、2021年7月5日(月)以降(ただし準備が整い次第)。場所は同社(千葉県浦安市)。対象者は同社グループ従業員で、接種人数は約20,000人を予定しているという。※取材時の状況に基づいて記事化しています。紹介したイベント、メニューなど、すべての掲載情報は、予告なく変更になる場合があります。(C) Disney(text:cinemacafe.net)
2021年06月17日「より安全安心な大会にするには海外の方と接触する大会関係者がワクチンを打って準備に取り組むことも、日本の組織委員会のおもてなしだ」6月9日の記者会見で、こう発言したのは東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)。NHKの報道によれば、日本の選手団や大会関係者には一般の枠とは別に、約2万人分の新型コロナウイルスワクチンがIOCから提供されているという。そんななか武藤敏郎事務総長(77)が8日、7万人を予定しているボランティアや国内メディアなどに向けて接種対象の拡大を検討していることを明かしたのだ。冒頭の橋本会長の発言は、ワクチンの接種対象を拡大する意義について述べたものだった。国内の五輪関係者を優先した接種は、海外の人々を迎え入れるための“おもてなし”。橋本会長の説明に、波紋が広がっている。■大多数の国民は後回し開幕まで、残すところ43日と迫ってきた東京五輪。国内の五輪関係者への接種拡大が検討される一方、大多数の国民には行き届いていない状況だ。五輪関係者向けのワクチンを用意するのはIOCだが、国内の接種状況を鑑みると公平さを欠くと指摘する声も。「大阪の大規模ワクチン接種センターでは64歳以下の受付を開始すると報じられましたが、多くの地域では65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人に優先接種している状況です。五輪会場施設のある東京23区でも64歳以下の接種が計画されていますが、7月以降に開始される区がほとんどだといいます。厚労省によると接種してから免疫ができるのは、2回目の接種から7日程度経ったころ。五輪開催までに間に合わず、後回しにされていることに疑問を感じている人も多いようです」(全国紙記者)13年9月、東京五輪招致の最終プレゼンテーションで滝川クリステル(43)が紹介した「おもてなし」。彼女のスピーチをきっかけに「おもてなし」は流行語となり、瞬く間に全世界に広がった。当時のスピーチで、「東京は皆様をユニークにお迎えします。日本語ではそれを『おもてなし』という一語で表現できます」と滝川は紹介。その意味を「見返りを求めないホスピタリティの精神、それは先祖代々受け継がれながら、日本の超現代的な文化にも深く根付いています」と説明し、「『おもてなし』という言葉は、なぜ日本人が互いに助け合い、お迎えするお客さまのことを大切にするかを示しています」と語っていた。本来、感染防止が目的であるワクチン接種だが、五輪関係者に“おもてなし接種”することは果たしてホスピタリティの精神と呼べるのだろうか。橋本会長の「おもてなし」発言には、批判の声が相次いでいる。《ドン引き。ワクチン接種はおもてなしをするためにするんじゃない、安全な社会を作るためにすることだ。ワクチン接種したからって感染しないわけじゃないし感染広げない訳でもないのに、何もかもがおかしい……》《ボランティア、国内メディアまでもが優先接種されるのですか。私はまだいつ打てるのかわからないのですが。そこまで言うのならば、オリンピックまでに希望者全員に摂取してほしい》《ワクチン接種が五輪のためと思っているらしい。この傲慢さは何だ?いい加減にして欲しい》
2021年06月10日2021年6月4日、日本が国内で製造したワクチンを台湾に無償提供した1件が、国内外で話題を呼んでいます。日本が台湾に『友好のワクチン寄付』台湾から「本当にありがとう!」の声同日、茂木敏充外務大臣は記者会見で、日本国内で製造した英アストラゼネカ製のワクチン約124万回分を台湾に無償提供することを発表しました。同日午後には、ワクチンが台湾北部の桃園国際空港に到着。ワクチンの寄付を受け、台北市内にある高層ビル『台北101』に感謝のコメントが表示されました。日本の温かいご支援のおかげで、今日の台北101は特に明るくて綺麗です。日本の皆様、本当にありがとうございます。この困難な時期を共に乗り越えられますように。 #台日友好 #台日の絆と感謝 #日本ありがとう @moteging @KishiNobuo pic.twitter.com/yh7mLoWRek — 柯文哲 Ko Wen-Je (@KP_Taipei) June 4, 2021 画像を投稿した柯文哲(か・ぶんてつ)台北市長は、日本語で「日本のみな様、本当にありがとうございます。困難な時期をともに乗り越えられますように」と感謝のコメントをつづっています。台北101のほか、同じく台北市内にあるホテル『圓山大飯店』でも、各部屋の明かりをつけ『カンシャ』の文字を表すなど、同様のライトアップが行われました。台湾国内の感謝のライトアップは日本でも話題になり「とても嬉しい」と喜びのコメントがネット上で続々と寄せられています。・どんな状況でも助け合えるっていう心が大事なんだよね。・台湾ありがとう!お互いに、頑張りましょう。・とても嬉しいライトアップ。これからも素敵な関係を続けたい。国をあげて感謝のコメントを出してくれることは、素直に嬉しく感じられるもの。これまでもお互いに支えあってきた日本と台湾の関係を、これからも大切にしていきたいと思わされます。そして、新型コロナウイルス感染症の事態が落ち着いた時には、台湾に実際に足を運びたいですね。[文・構成/grape編集部]
2021年06月05日2021年6月4日、日本は国内で製造したワクチンを台湾に無償提供しました。同年5月中旬から新規感染者数が急増し、ワクチンの迅速な確保が困難な状況だった台湾。これまで災害時に支援を行ってくれた台湾への恩返しも込めて、日本は国内で製造した英アストラゼネカ製のワクチン約124万回分を贈ることにしたのです。同日午後、輸送されたワクチンは台湾北部の桃園国際空港に到着。台湾の蔡英文(さい・えいぶん)総統は、Twitterに日本語字幕を付けた動画を投稿しました。言葉では言い尽くせないほど感謝しています。これからはワクチンの生産と接種を着実に進めていき、すべての台湾国民、そして世界の人々がパンデミックの恐怖から解放されるまで、我々は努力しなければなりません。頑張りましょう! pic.twitter.com/ub1LUFdnRm — 蔡英文 Tsai Ing-wen (@iingwen) June 4, 2021 皆様、朗報です!日本政府が提供するアストラゼネカ製ワクチン124万回分が台湾に到着しました。このために奔走してくれた双方の関係者に心より感謝します。皆さまのおかげで、わたしたちは、価値観の共有に基づき、お互いを信頼し助け合うという「台日友好」の真髄を改めて目にすることができました。@iingwenーより引用日本からの支援に感謝の意言葉を告げ、日本と台湾の友好の絆が強まったことをいい表した蔡英文総統。これまでも日本と台湾は、災害などで国が困難な状況に立たされた時、お互いに助け合ってきました。蔡英文総統の投稿には、台湾に住む人たちから「日本は大切な友人です。感謝します!」「事態が収束したら日本に遊びに行きたいです」といった、日本人に宛てたメッセージが寄せられています。ワクチンの寄付について、茂木敏充外務大臣は「台湾との重要なパートナーシップ、友情を踏まえた提供になる」とコメント。今後も、困った時は支え合えるような素敵な友人関係を築くことを、日本と台湾に住む多くの人が願っているでしょう。[文・構成/grape編集部]
2021年06月05日2021年6月現在も、世界中で流行している新型コロナウイルス感染症。徐々に世界各国でワクチンの接種が進んでいますが、ワクチンの確保に苦しむ国や地域も存在します。日本が台湾に『友好のワクチン寄付』同月4日、茂木敏充外務大臣は記者会見で、国内で製造したワクチンを台湾に無償提供することを発表しました。提供されるのは、日本国内で製造した英アストラゼネカ製のワクチン約124万回分。ワクチン確保に苦しむ台湾のため、支援することになったといいます。これまで、日本で大きな災害が起こるたびに義援金を送ってくれた台湾。2011年に発生した東日本大震災の際は、およそ250億円という大金の寄付に加え、災害救援物資の提供と緊急救援チームの派遣を行っています。産経ニュースによると、茂木外務大臣は今回の支援について「台湾との重要なパートナーシップ、友情を踏まえた提供になる」とコメントしたそうです。台湾では同年5月中旬から新規感染者数が急増し、ワクチンの迅速な確保が課題になっています。しかし茂木外務大臣によると、台湾ではワクチンの確保が非常に難しい状況とのこと。そういった情報を踏まえ、ワクチンを支援することになったそうです。心より日本の人々に感謝します。無事に日本からのワクチンが到着しました。桃園は台湾の空の玄関口だけでなく、コロナ禍を一緒にたたかう台日の窓口でもあることを誇りにおもいます!引き続き頑張りましょう! #台日友好 pic.twitter.com/Z1VeVfUi0d — 鄭文燦 Cheng Wen-Tsan (@ChengWenTsan) June 4, 2021 今回のニュースは台湾でも広まり、ネットでは多くの人から「日本のみなさん、ありがとう!」「日台友好、永遠なれ」など感謝する声が上がっています。これまで自然災害に襲われた時、お互いに支えあってきた日本と台湾。きっと日本が提供した友好のワクチンは、多くの人を救うことでしょう。[文・構成/grape編集部]
2021年06月04日英オックスフォード大学が運営する「Our World in Data」によると、米国では29日までに、対象者の40%が2回の新型コロナウイルスワクチンの接種を終えたという。集団免役を獲得しつつある米国内で、様々な変化が起こっている。ハンドメイドマーケットの老舗「Etsy」では、「Not a Republican, just vaccinated(共和党員じゃありません、ワクチンを打っただけ)」とプリントされたTシャツやピンズが飛ぶように売れている。既にワクチンを2回受けて公の場でマスクを外せるようになった人が、共和党支持者に多い反マスク主義者ではないとアピールするために買い求めているようだ。逆に、テネシー州ナッシュヴィルの帽子店では「Not Vaccinated(ワクチンは打っていません)」と書かれた黄色いバッジを5ドルで売り出し顰蹙を買っている。バッジはあろうことか六芒星を象っており、ナチス支配下のユダヤ人が着用を義務づけられた星に瓜二つだ。店員がTwitterで「素敵なバッジができました!」と誇らしげな着用画像を投稿するや、「何を考えてるんだ?最悪すぎる。胸が悪くなる。反ユダヤ的。鈍感すぎる。不快そのもの」などと批判が殺到し、店はTwitterアカウントを削除してしまった。地元在住のジャーナリスト、クリス・デイヴィスのツイートによると、実店舗にも「ナッシュヴィルにナチスはいらない」と抗議の垂れ幕が設置されたようだ。また、FOX NEWSによると、カリフォルニアでは変わった罰金システムを導入したカフェが登場。エントランスに掲げられたポスターには「マスクをしている人は代金に5ドル上乗せします。ワクチンを打ったと自慢する人も同様」と書かれている。このカフェの店主は一貫した反マスク主義者で、カリフォルニア州のマスク着用ルールに違反し続け、1万ドルの罰金を科された人物だ。一度は店を閉めたが、米CDCが「ワクチンを接種した人はほとんどの屋内環境においてマスクを着ける必要はない」と発表したことから、営業を再開。罰金の5ドルは慈善事業に寄付するという。このようにワクチンの接種が進むと、各方面に様々な影響が出るものだ。ちなみに「Our World in Data」によると、日本の接種完了率は2.4%だという。
2021年05月31日新型コロナは変異株の猛威がおさまらず、「早くワクチンを」との声が日に日に大きくなっている。だが、1回目のワクチン接種を終えた高齢者は約166万人(’21年5月20日・首相官邸)。対象者約3,600万人の4.6%にすぎない。焦りと不安がうずまくなか、コロナ関連の詐欺が手を変え品を変え横行している。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■まずは「家族に相談する」と言い保留に最近増えてきたのは、「予約代行詐欺」です。ワクチン接種の予約は電話がつながりづらく、高齢者にとってネット予約はむずかしい。そんな高齢者宅に市職員などをかたって詐欺師が「予約を代行します」と持ち掛けます。詐欺師の狙いは代行料金の搾取のほか、個人情報の収集もあります。口座情報は注意しても、住所・氏名などは比較的簡単に教えてしまう高齢者もいますが、そうして集めた個人情報は“カモリスト”としてほかの詐欺グループに売れら、2次被害にあう危険性が高まります。ご注意ください。いっぽうで、自治体や地域の自治会などが中心となって、若い学生たちがワクチン接種の予約を無料でサポートする動きが広まっています。こうしたニュースを見た高齢者が、詐欺師からの誘いを善意のサポートと勘違いすることもあるでしょう。どんな申し出でも、ひとりで即決しないことが大切です。いったんは「家族に相談する」と言って、保留にしましょう。それでも「予約枠がなくなる」などと不安をあおり決断を急かす場合は、詐欺と考えてよいでしょう。また、2〜4月には「お金を払えば、ワクチン接種の優先順位を上げる」など、優先接種に関する詐欺が多く見られました。なかには「国境なき医師団を支援する会」などと実在の組織と似た団体名を告げるケースもあるようです。兵庫県神河町の山名宗悟町長(62)が高齢者接種の開始日に接種したことや、愛知県西尾市がスギ薬局の会長夫妻を優先接種させようとしたことなどが問題になっていますが、「お金を払えば優先接種できる」は詐欺以外のなにものでもありません。不安が募るのはわかりますが、ワクチン接種はもうすぐです。というのも、欧米でのワクチン接種が山場を越えたため、今後は日本への供給量が増えるはず。感染対策を徹底して、待ちましょう。ほかにも「余ったワクチンがある」といった誘いや、「給付金が出る」など、詐欺師は混乱に乗じて、特に高齢者を狙っています。不審な電話などがあったらすぐに、消費者ホットライン(188)、または「新型コロナワクチン詐欺消費者ホットライン」(0120-797-188)に相談してください。新型コロナの感染拡大で、高齢の親御さんとしばらく会っていない方が多いと思います。ふだんよりまめに連絡を取って、詐欺などへの注意も伝えてください。
2021年05月28日「3月中旬に、知り合いの医療関係者から連絡をもらったのです。『ワクチンの優先接種枠が余っているので、よかったら受けませんか?』と。当時は、ようやく日本で医療従事者への接種が本格的に始まったばかり。“自分が受けてもいいものか”と、悩みました。しかし、仕事で日々、不特定の人々と接することも多く、感染への不安も高まっていましたので、申し出を受けることにしたのです」そう語るのは、東京都在住の50代男性・Aさん。現時点で新型コロナウイルス・ワクチンの優先接種対象となっているのは、医療従事者と65歳以上の高齢者に限られている。日本経済新聞社の調査によれば5月25日時点で、65歳以上の高齢者でも、少なくとも1回接種できた人は8.2%にすぎない。そんななかでAさんは医療従事者でもなく、基礎疾患も持たないのに、コネにより5月上旬にすでに2回の接種を完了したという。「埼玉県ふじみ野市の高畑博市長(59)ら首長たち、スギホールディングス顧問夫妻、オービック会長夫妻……、未遂も含めて全国で“コネ接種”の発覚が頻発しています。その共通点は、彼らが病院もしくは自治体に強力なコネを持っているということです」(医療ジャーナリスト)すでに接種券を持ちながらも、予約に四苦八苦し、順番を待ちわびる高齢者も多いなか、なぜ“横入り”がまかり通っているのか。感染症を専門とする「のぞみクリニック」の筋野恵介院長はこう解説する。「ファイザーのワクチンは1瓶で5人接種できます。しかし生理食塩水で希釈した後は、6時間以内に使い切らなければいけません。たとえば15人分のワクチンがあったとしても、その日に受けられる医療従事者が14人しか集まらないということもあります。そこで“廃棄するくらいなら誰かまわりの人にでも打ってもらったほうがいいのでは”という声が上がったこともあったそうです」もちろん貴重なワクチンを無駄にするべきではないだろう。しかし東京都内のある病院の院長の証言を聞くと、首をかしげざるをえない。「余った分は、よく病院に来てくれる患者さんに回してあげたいと思うのも人情なんです。誰を優先するか?という問題もあったのですが、結局、いつもお歳暮を送ってくれている方から順番に連絡しました」特に医療従事者枠による接種に関しては病院による裁量が大きく、チェック機能も働いていないという。■経験者語る杜撰な管理体制「最後まで本人確認はなく…」冒頭の50代男性・Aさんが目撃したのもそうした現実だった。「申し込みは非常に簡単でひょうしぬけするほどでした。連絡をくれた医療関係者に、まず名前・生年月日・住所を伝え、その数日後に接種希望日を聞かれたのです」1回目の接種は4月中旬。まずは医療関係者が勤めている病院で接種券付き予診票を受け取ったという。「事前に伝えた名前などが印字してあり、《新型コロナワクチンの接種は初めて受けますか》《最近1カ月以内に熱が出たり、病気にかかったりしましたか》といった質問事項にチェックを入れ、署名するぐらいです。その後、接種会場の大病院に向かいました」Aさんは大混雑を予想し、指定された時刻より1時間も早く到着したというが……。「受付には誰も並んでおらず、すぐに予診票を提出できました」厚生労働省のHPにある『医療従事者等への接種について』の項目には《接種を受ける日には、「接種券付き予診票」と「本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など)」を必ずお持ちになってください》と、記載されている。だが、「氏名や住所を確認されるだろうと予想していたのですが、何もありませんでした。偽名で予診票を作っても大丈夫なのではないかと思ったほどです。接種前に2人の医師が予診票をもとに簡単な確認をしてきましたが、それも一瞬で済みました。注射、副反応がないかどうかの待機時間15分、2回目の日程の確認……、全部で20分もかかっていなかったです。経験して驚いたのは、本人確認が最後までなかったことです。自分で言うのもなんですが、私は医療従事者には見えないと思うのですが……。あの杜撰なチェック態勢であれば、私のように資格のない人間が行っても絶対にバレないでしょう」またワクチン接種に詳しい医師はこう嘆息する。「医療従事者枠を誰に使うかは、病院の裁量に任されており、かなりザルなシステムになっています。接種を申請するために必要なのは『何人希望』ということだけ。後で予診票はコピーして提出しますから、何か問題が生じた場合、調査をすることはできます。しかし大病院ですと職員が数百人、数千人という規模。申請した全員分をチェックすることは現実的に不可能でしょう。そのため、まだ実習中の学生を“医療従事者”として申請しているケースもありますし、職員の家族や知人を枠に入れている病院もあるのです。ある団体の関係者からは、『上層部はみんなコネ接種をやっている』と、聞きました」いまからチェックを厳しくすることで、接種計画が遅れてしまうのも本末転倒だろう。しかし昨年からワクチン接種が決まっていたにもかかわらず、不備だらけのルールにより、“コネを持つ者ばかりが得をしている”現状には暗澹たる気持ちにならざるをえない。
2021年05月27日延長される緊急事態宣言、迫る東京オリンピック・パラリンピック、そんななかでも遅々として進まないワクチン接種。日本では感染者数が増加しているが、世界を見渡すと、先進国は着実にコロナ禍を乗り越えつつあるようだ。【イギリス】「猛威を振るった変異株をも克服へ」接種回数(人口100人あたり):75.46回ピーク時の今年1月には1日6万人以上が新規に感染していたが、ワクチン接種が進むにつれ減少が続き、現在では2,000人ほどに。医療資格のないボランティアに研修を施してまで接種したという決死の対応に、はっきりと効果が表れた。【アメリカ】「バイデン新政権でスピードアップ!」接種回数(人口100人あたり):74.62回7月4日の独立記念日までに、大人の70%が少なくとも1回のワクチン接種を済ませるという目標を発表したバイデン大統領。ワクチン接種が進んだのも同時期ではあるが、政権交代後のアメリカの新規感染者数減少スピードは目覚ましい。【イスラエル】「世界に先行したワクチン実験が大成功」接種回数(人口100人あたり):121.11回米ファイザー社に新型コロナウイルスワクチンの実験データを提供したことで、世界最速で接種が進んだ。すでに人口の半数以上が2回の接種を完了し、マスクなしでの散歩やパブでの歓談を楽しむ光景が広がる。【中国】「経済は爆上がりだが、感染者数には疑問も!?」接種回数(人口100人あたり):20.12回今年1~3月期のGDPが前年比で18.3%増え、5月の連休中のホテル予約数はウイルス流行前比でも40%以上増加するなど、活発な経済活動が戻る中国。最初にコロナ禍に見舞われた武漢では音楽フェスも開催された。【インド】「二重変異株がもたらす悪夢の日々」接種回数(人口100人あたり):11.59回人口に比して感染者数が少なかったインドだが、ここにきて状況は激変。今や世界最悪のパンデミックの現場となってしまった。インドを苦しめる新たな二重変異株にはやや効果が下がるともいわれているが、それでもワクチン接種こそ喫緊の課題だろう。【韓国】「ITを用いた感染の抑え込みにも限界が」接種回数(人口100人あたり):7.58回社会的距離規制や追跡システムなどで感染者数の増加を抑えるが、ワクチン接種では遅れている韓国。一方、接種を条件にしたグアムツアーの登場や、先月中旬からはワクチン接種証明スマホアプリが導入されるなど、前向きな取り組みも多い。【日本】「菅首相は何をやってる?」接種回数(人口100人あたり):3.03回五輪を意識するばかりか半端な政策が続き、国民感情は悪化の一途。観光、飲食業界が期待したGW特需も3回目の緊急事態宣言で泡と消え、繁華街では閉店も目立つ。菅総理が急ぐワクチンの大規模接種会場設置もこれから。五輪開催までに高齢者の接種を終えるのも難しそうだ。■本誌が見た!埼玉イオンでのワクチン接種会場医療従事者への先行接種が始まった2月中旬から遅れること2カ月、65歳以上の高齢者を対象とした新型コロナウイルスのワクチン供給がついに全国でスタート。菅首相は1日100万回の接種を目標にすると表明したが、3,600万人もの高齢者への接種が完了するのは東京オリンピックよりも後、お盆期間までかかるともいわれている。そうした中、本誌では商業施設のワクチン接種会場ということで注目が集まった埼玉県のイオンモール春日部を取材した。会場に入ると、受付け後にスタッフが医師のもとまで誘導、そこで問診を受けてから、看護師によってワクチンを打たれる。会場の規模は想像より小さく、受付や待機場所のほか、問診と接種のスペースが各2カ所ずつのみ。1日の定員が60人かつ事前予約制だから混雑がないのもうなずけるが、これでは焼け石に水ではないかと思ってしまう。ここにきてようやく東京に続き大阪でも大規模接種会場が決まったが、高齢者のワクチン接種が始まった途端に予約のための電話回線がパンク、市役所で予約できるという誤情報で行列が発生してしまうなど、想像以上にその前途は多難だ。京都大学の山中伸弥教授も「終息に向かわせようとすると、7,000万、8,000万人は接種を完了させないと、目に見えた効果はないと思う」と朝日新聞の取材で回答している。そんななか河野大臣は職場や学校でのワクチン接種、「ワクチン接種証明書」導入を検討する考えを示したが、集団免疫を獲得して、“日常風景”を取り戻せる日はいつになるのか――。※ワクチン接種回数、1日あたりの新規感染者数は5月7日現在までの最新データ。英国運営サイト「アワー・ワールド・イン・データ」より「女性自身」2021年5月25日号 掲載
2021年05月17日新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいる国では、観光客向けにワクチンを提供するツアーが次々と発表されている。そんな中、ルーマニアでまるでテーマパークのようなサービスが開始されることがわかった。BBCによると今月から毎週末、作家ブラム・ストーカーに『ドラキュラ』のインスピレーションを与えたとされるトランシルヴァニア地方の「ブラン城」で、ファイザー社のワクチンが無料で接種できるという。ルーマニア政府は9月までに少なくとも1,000万人への接種完了を目指すとしている。しかし、スロヴァキアのシンクタンクGlobesecの調査によると、全国民約1,941万人のうち約半数が接種を希望していないという。ブラン城を接種会場とすることで、国内からの観光客も呼び込みつつ、接種率を少しでも上げようという狙いがあるようだ。予約は不要で、城内にある中世の拷問器具の展示なども無料で公開されるという。スタッフもドラキュラの牙を模したステッカーを身に着けたり、ドラキュラを彷彿とさせる看板があちこちに置かれたりなど、様々な工夫が随所に見られる。
2021年05月10日ヘンリー王子とメーガン妃が、「新型コロナウイルスワクチンをすべての人に」と呼びかけるキャンペーンコンサート「Vax Live: The Concert to Reunite the World」に出席することが明らかになった。英王室や世界の王室ファンを震撼させたオプラ・ウィンフリーとのインタビュー番組放送後の“お出まし”となり、話題性もたっぷりだ。同コンサートは極度な貧困の撲滅を訴える国際団体「グローバル・シチズン」が主催。5月8日に開催され、セレーナ・ゴメスが司会を務める。パフォーマンスを行うのはジェニファー・ロペス、エディ・ヴェダー、「フー・ファイターズ」ら。スペシャルゲストとしてベン・アフレック、ショーン・ペン、オリヴィア・マンらが出席する。ヘンリー王子&メーガン妃の役割はというと、「新型コロナワクチンへの公正・平等なアクセス」を確実にするための取り組み「Covid-19 Vaccines Global Access」(COVAX)への寄付を呼びかけることだという。2人は「この1年間で、世界は痛み、喪失、葛藤を一緒に経験しました。いまこそ私たちは、一緒に立ち直り、癒すべきなのです。だれも置いてきぼりにはできません」とコメント。だれもが平等に新型コロナワクチンの接種を受けることの大切さを説いている。(Hiromi Kaku)
2021年04月28日「厚生労働省によると、ワクチン接種期間は来年の2月末までを予定しています。最初は、医療従事者から接種を開始。そこから高齢者や基礎疾患を有する方など、リスクの高い人へと優先的に打っていく見込みです。実際、4月から高齢者へのワクチン接種がスタートしました。しかし現状では数が限られているため、申し込みについては“早い者勝ち”になってしまっているのが実情です」(行政関係者)4月12日から始まった、65歳以上の高齢者に向けた新型コロナウイルスのワクチン接種。しかし、多くの自治体で予約申し込みが殺到しているという。「ワクチン接種には、まず各自治体から届けられる『接種券』というものが必要になります。これを受け取った後、電話やインターネットなどで予約。接種会場で予診票への記入や医師からの問診があり、安全確認をしてからようやくワクチン接種という流れになっています。しかしこのうち、ほとんどの人が “予約”の段階でつまずいてしまっているのです。たとえば東京都八王子市では市内に住む高齢者の約1%分しかワクチンが供給されなかったため、受付け開始直後から電話がつながりにくい状態となりました。ネットでの予約も、わずか20分で終了。問い合わせのため、市役所の窓口まで訪れる市民が後を絶たなかったといいます。また程度の差こそありますが、多くの自治体が似たような混乱状態に陥っていたそうです」(前出・行政関係者)激しい“争奪戦”になっているワクチン接種。プラチナチケットを入手するような困難さだが、いったいどうすれば受けられるのか。成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんは、予約枠を取るための“5つの工夫”を語る。これらは一般的に、チケットなどを予約するためのテクニックとして使われているという。■「最初の1回目でつながるかどうかが勝負」「まずは、【電話回線の違いを利用すること】です。スマホと自宅の固定電話では使用している回線が違うので、混み合っているのは片方だけという場合があります。だからスマホと固定電話を併用し、ご家族にも協力してもらいながらいっしょに電話したほうがよいと思います。また、【ネットで予約すること】も視野に入れておきたいポイントです。高齢者にはネットに不慣れな方もまだまだ多いので、電話よりは混み合わない可能性もありますからね。事前にお子さんやお孫さんなどに準備をお願いして、予約画面まで操作してもらっておきましょう。そして、【電話をするタイミング】も重要です。自治体の電話回線は受付け開始直後からフル稼働し、予約枠はすぐに埋まってしまうはず。つまり、最初の1回目でつながるかどうかが勝負になってきます。だからそこに滑り込めるよう、開始時間の数秒前に電話をかけるようにしましょう。ただし早すぎるとかからないので、タイミングが重要です」また、高橋さんは“電話の発信タイミングを操作する工夫”も伝授してくれた。「あまり知られていませんが、【電話番号の末尾に#をつけると、電話機が間を置かずにすぐ発信してくれる】という機能があります。通常は入力された番号をほんの少し待っているのですが、#を押すと“この番号でOK”と認識してくれるのです。要するに、発信のスタートボタンみたいな役目をしてくれるということですね。1秒を争う状況なので、知っておくと便利かもしれません。あとは、【スマホのリダイヤル機能を使うこと】。意外と使い方がわからなかったりするので、ご家族に教えてもらっておくとよいでしょう。もしくは事前に番号を登録しておくのもおすすめです」「女性自身」2021年4月27日号 掲載
2021年04月15日4月12日から、65歳以上へのワクチン接種が日本でもスタート。でも、副反応の報道を見て接種をためらう人も多いという……。そこで、私たちの不安をワクチン先進国・米国ですでに接種を受けた医師にぶつけてみたーー。「ワクチン接種を受けた人はマスクを外して会えるようになりました。また、レストランの入場制限も緩和され始めています。ワクチンに守られているという安堵感が町中にあふれ、患者さんにも1年ぶりの笑顔が戻ってきました」そう語るのは、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の内科医・山田悠史先生。4月中旬に『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答!新型コロナワクチンQ&A100』(日経メディカル開発)を発売予定だ。山田先生はすでにワクチンを接種したという。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えると期待されるワクチン。米国では3月25日までに1億2,000万回以上の接種がなされ、65歳以上の66%以上で1回目の接種が完了している。「現状では新型コロナの特効薬はありません。個人の感染や重症化を防ぐだけでなく、集団免疫を獲得して、コロナ禍以前の日常を取り戻すためにも、ワクチン接種の役割はとても大きいのです」日本でも、4月中旬から高齢者へのワクチン接種が始まるが〈副反応が出た〉などのニュースに不安を抱く人も。そこで、ワクチンの正しい情報を発信し続けている山田先生にワクチンに関するさまざまな疑問をぶつけてみた。【Q1】食物アレルギーがありますが、接種しても大丈夫?接種可能です。接種を避けたほうがいいのは、過去にワクチンに含まれる「ポリエチレングリコール」に対して重いアレルギーを起こしたことがある人です。また、1回目のワクチン接種でアナフィラキシー反応を起こした場合も、2回目の接種ができなくなります。【Q2】現在確認されている副反応にはどのようなものがありますか?接種後、すぐにみられる副反応にはアナフィラキシー反応と、注射への緊張や痛みから、立ちくらみを起こしたり気を失ったりしてしまう血管迷走神経反射があります。また、接種後数日以内に現れるものとして、接種部の痛みや腫れ、倦怠感、頭痛、発熱、下痢があるとされています。私の場合は、翌日に筋肉痛がでましたが、仕事は通常どおり行いました。私の周りでも、発熱や、強い痛みが出た人がいます。彼らも解熱剤や痛み止めを使って、すぐによくなっていました。また、あまり知られていないのですが、接種した腕の脇の下のリンパ節が痛みとともに腫れることがあります。多くの場合、1週間程度でおさまるのですが、ワクチン接種後に乳がん検診をすると誤って「がん」を疑われる可能性も。乳がん検診は接種前か、接種してから4〜6週間あけたほうが混乱を避けられるでしょう。まれに接種してから1週間以上たって、接種した箇所が赤く腫れる「遅発性局所反応」が起こることも報告されています。こちらも、自然に治癒することが知られています。【Q3】接種前後に気をつけることはありますか?接種後発熱することもあるので、接種翌日は仕事を休めるようにしておくなど予定を調整しておくといいでしょう。また、鎮痛薬を飲んでから接種を受けると理論上ワクチンの効果が下がる可能性があります。そのため、副作用の予防などの意味で不必要に痛み止めを飲むのは避けましょう。もちろん、持病で飲まれているような方は飲み続ける必要がありますが、あくまで必要がない場合には、飲まないほうがいいと考えます。また、接種後に痛みや熱が出てしまった際に、飲むのは構いません。このように持病があったり、薬を服用していたりなどで接種に不安のある人は、事前にかかりつけ医に相談しておくこと。接種会場で聞けばいいと思っている人もいますが、会場の医師は、あなたの状態をよく知る医師ではないので、適切な回答を与えてくれるとは限りません。接種後は、過去に重いアレルギー反応を起こしたことがある人は30分、そうでない人でも最低15分間待機することが推奨されています。また、接種当日の過度の飲酒や筋トレなどの激しい運動は、血行を促進して痛みや腫れを悪化させる可能性があるので避けたほうがよいでしょう。コロナワクチンの接種にあたって、不安や疑問を感じた場合、山田先生が中心となって立ち上げたLINEアプリ「コロワくんの相談室」もぜひ活用してほしい。日常を取り戻すため、正しい知識をもち、万全の状態でワクチンを接種しよう!「女性自身」2021年4月13日号 掲載
2021年04月01日「ワクチン接種を受けた人はマスクを外して会えるようになりました。また、レストランの入場制限も緩和され始めています。ワクチンに守られているという安堵感が町中にあふれ、患者さんにも1年ぶりの笑顔が戻ってきました」そう語るのは、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の内科医・山田悠史先生。4月中旬に『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答!新型コロナワクチンQ&A100』(日経メディカル開発)を発売予定だ。山田先生はすでにワクチンを接種したという。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えると期待されるワクチン。米国では3月25日までに1億2,000万回以上の接種がなされ、65歳以上の66%以上で1回目の接種が完了している。「現状では新型コロナの特効薬はありません。個人の感染や重症化を防ぐだけでなく、集団免疫を獲得して、コロナ禍以前の日常を取り戻すためにも、ワクチン接種の役割はとても大きいのです」日本でも、4月中旬から高齢者へのワクチン接種が始まるが〈副反応が出た〉などのニュースに不安を抱く人も。そこで、ワクチンの正しい情報を発信し続けている山田先生にワクチンに関するさまざまな疑問をぶつけてみた。【Q1】アナフィラキシーなど副反応が多いように感じ、心配ですどんな薬にも作用と副作用があるように、ワクチンにも有効性と副反応があります。なかでも重大な副反応は唇や舌が腫れたり、呼吸が苦しくなったりするアナフィラキシー反応です。日本では医療従事者を対象に、3月11日時点で18万1,184回の接種が行われており、うちアナフィラキシー反応が37例(女性35例)報告されています。割合で言えば100万人あたり204件。米国の4.7件、英国の18.6件に比べ高いのではないかとの報道もあります。しかし、国内の接種数はまだまだ少ないです。報告の基準が他国と異なっており、過剰に報告されている可能性もあるので、数字を単純比較することはできません。また、なかでも重い副反応である「アナフィラキシーショック」に至っている例は1例のみ。運悪く発症された37例の方は皆回復されています。さらにこれまでのワクチンによるアナフィラキシー反応のほとんどが、接種後5〜30分以内に起きています。打ってから15分以上接種会場で待機することになっているので、万が一発症した場合もすぐに処置を受けられます。【Q2】接種後、くも膜下出血で亡くなったという報道がありましたが……現在、透明性の高い状況でワクチンの接種が進められています。そのためワクチン接種との因果関係が明らかではない症状(有害事象)も含めて情報が公開されています。関連性を100%否定することはできません。しかし、世界中で3億回以上のワクチン接種がされているなか、ワクチン接種のタイミングで偶然病気を発症してしまうこともある、と理解しておく必要があります。【Q3】新しいタイプのワクチンですが、どういうものですか?日本で接種されているファイザー社製のワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンという新しいタイプ。わかりやすくいうとコロナウイルスの一部の情報だけを体内に届けて抗体を作らせます。もちろん、ワクチンを打ったせいで感染するということはありえません。4万人以上が参加した臨床試験では、90%以上の発症予防効果が認められています。約60万人に接種したイスラエルのデータでは、ワクチンを打った人の発症予防だけでなく、重症化や感染を防ぐ効果も報告されているのです。短期間で実用化されたことを危惧する声も聞かれますが、安全性や有効性を確かめる臨床試験はほかのあらゆる新薬と同様のステップを踏んでいます。通常、新しいワクチンの開発では臨床試験の被験者を集めるのに膨大な時間がかかります。しかし、世界的なコロナ危機により、被験者をすぐに集めることができたことも、スピーディな実用化ができた要因です。【Q4】変異株にも効果はありますか?ファイザー社製のワクチンは複数の研究で変異ウイルスにも一定の効果があることが示唆されています。さらに、変異ウイルスに対応したワクチンの開発もすでに始まっています。コロナワクチンの接種にあたって、不安や疑問を感じた場合、山田先生が中心となって立ち上げたLINEアプリ「コロワくんの相談室」もぜひ活用してほしい。日常を取り戻すため、正しい知識をもち、万全の状態でワクチンを接種しよう!「女性自身」2021年4月13日号 掲載
2021年04月01日3月22日、米クリスピークリームドーナツは、「新型コロナウイルスのワクチン接種カードを提示した人にオリジナル・グレーズド・ドーナツを無料で提供する」とホームページ上で発表し、話題となった。しかし、このキャンペーンは諸手を挙げての歓迎はされず、逆に非難を呼ぶ格好となってしまっている。オリジナル・グレーズドは、揚げたドーナツに砂糖のグレーズをまとわせた同社の看板商品。ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でもダイエット中のミランダが誘惑に負け、ジムで知り合った男性と半分ずつ食べながら「グレーズドを発明した人は天才よね」と話すシーンがある。1つ219kcalで、ダイエットの味方とはとても言えない。現在、アメリカでは肥満の人が急増しており、「肥満は新型コロナウイルス感染症が重症化する危険因子だ」とも言われている。CDC(米疾病予防管理センター)によると、米国人の42.4%が肥満だという。SNSでは、「クリスピークリームの施策が肥満の増加を助長する」との指摘が相次いだ。コメディアンのスティーヴン・コルベアは3月23日、「クリスピークリームは『ワクチンを接種した人に無料でドーナツを提供する』らしい。これは予防接種を受けたのに、まだ死にたいと思っている人にとっては朗報だ」と皮肉たっぷりにツイート。予想外の批判を受け、クリスピークリームのマイク・タッタースフィールドCEOはYahoo!Financeでこう反論した。「当社は甘いものを提供する会社です。ドーナツショップに行きたくない人は行かなくてもよいのですよ。私は医療機関にたくさんのドーナツを差し入れています。とても感謝されますよ。人は常にちょっとした甘いお菓子の休息を求めているものなのですから」クリスピークリームはドーナツの無料提供を続行すると明言。さらに、今後数週間はワクチンセンターで働く医療従事者やボランティアにドーナツの差し入れを行い、同社の全従業員に対し、ワクチン接種のために最大4時間の有給休暇を与えるともYahoo!Financeで発言している。
2021年03月29日お笑いタレントの志村けんさんが新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)による肺炎で亡くなってから、2021年3月29日で1年が経ちます。多くの人にショックと悲しみを与えた訃報。また、改めてコロナウイルスの恐ろしさを知ったニュースだったでしょう。70歳で生涯に幕を閉じた志村さん。ネット上では「いまだに信じられない」「フラっとテレビに出てきてくれそうな気がする」などの声が上がっています。志村けんさんへのメッセージを受け付け志村さんの出身地である東京都東村山市では、2020年5月に、志村さんへのメッセージをウェブサイト上で募集し、遺族へと届けていました。また、同年8月には東村山市の存在を全国の方に知らしめた恩人などとして、志村さんを名誉市民に選定。2021年3月で志村さんの一周忌を迎えるにあたり、東村山市は、再びウェブサイト上でメッセージの受付を開始しました。コロナウイルスの感染防止のためにも、来訪や献花、供物は遠慮するよう呼び掛けています。多くの皆さんの志村さんへの尽きることのないお気持ちに何らかの形でお応えできればと市のホームページで皆さんの「お気持ち」を再び3月31日(水曜)までお受けし、ご遺族にお届けさせていただきます。緊急事態宣言につきましては昨日をもって解除されましたが今後の再拡大が危惧されているところです。市といたしましては、引き続き感染拡大への警戒を怠らずに市政運営を続けております。皆様におかれましては、新型コロナウイルス感染症再拡大防止、駅・グリーンバス利用者等通行者の交通安全確保等の観点から、「志村けんの木」付近への来訪、献花・供物等につきましては何卒ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。東村山市ーより引用メッセージは、東村山市のウェブサイトで2021年3月31日まで受け付けているとのこと。寄せられたメッセージが、遺族を通して志村さんへと届くといいですね。[文・構成/grape編集部]
2021年03月28日医療従事者への先行接種がスタートした新型コロナウイルスワクチン。効果への期待と同時に、副反応を懸念する声もあるが、専門家の女性たちはどう見ているのだろう。緊急アンケートを実施した――。米国・ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンは、2月12日の第1便、2月21日の第2便に続き、3月1日に第3便の到着が予定されている。「感染者数の拡大はピーク時よりは抑えられているものの、まだまだ予断を許さない状況が続いています。新型コロナウイルスの特効薬がない状況で、期待されているのがワクチンです」(医療関係者)世界では欧米諸国を皮切りにすでにワクチン接種が始まっており、国内でも2月17日からワクチンの接種が開始された。第1弾のワクチンは安全性調査に参加する医療従事者に先行接種を行い、次いで診療に関わる医療従事者、65歳以上の高齢者……と進めるのが政府の方針で、一般の人へのワクチン供給は夏以降になるとみられている。日本で承認の申請がなされているワクチンは2種類。米国のファイザー社のほか、英国アストラゼネカ社が2月に厚生労働省に申請を提出している。ワクチンに関する最大の関心事がその安全性、副反応だ。今回のワクチンでは、アナフィラキシー(急性アレルギー反応)が主な副反応として挙げられているが、そのほかにも倦怠感や発熱、体の痛みなどが報告されている。欧米で行われているワクチン接種のデータには、ファイザー社製のワクチンで接種後に起こったアナフィラキシーは100万回に5件、アストラゼネカ社製では10万回に1~2件という統計がある。副反応の7割は接種後15分以内に起こるという報告があるため、副反応に対する態勢を整えておけば、深刻な事態を防ぐことができると考えられている。ワクチンについては、予防のために一刻も早く受けたいという肯定派と、年齢や抱えている疾患などの理由からしばらくは様子を見たいという慎重派の人とがいる。実際に現場での診察に当たっている医師はどう考えているのだろう。今回本誌では、女医の先生方に《新型コロナウイルスワクチンを接種しますか?》というアンケートを実施した。日々接している医療現場の状況から寄せられた声は、とても貴重なものばかりだ。さっそく結果についてみていこう。回答を寄せてくれた23人のうち、《接種する》と答えた医師が20人、《見送る》が3人となった。《接種する》といった肯定派のコメントでもっとも目立ったのは、《医療従事者という立場にいるから》という意見だった。《多くの患者さんに接種することを考慮すると、自分がワクチンを接種して抗体を持ち、患者さんへの感染源にならないようにすることは、医者として必要なこと》(中山晴美先生、麻酔科・ペインクリニック)《複数の高齢者施設と関わりがあり、自分が感染して施設に持ち込むことは避けねばならない》(岩井裕子先生、外科・消化器外科)《現時点ではこのウイルスに対してワクチン以外に有効な治療薬はなく、この仕事をする限り、打たないという選択肢はない》(渡邊千寿子先生、耳鼻咽喉科)このように、医療現場で感染を広げないためにワクチンを接種するといった意見が多く見られた。■ビッグデータの協力になるためにも受けるまずは自分が見本となって、打つ姿勢を見せたいというコメントも複数寄せられた。《ワクチンを打つことで感染しづらくなるのと、症状がひどくならない可能性が上がるのでメリットのほうが大きいと考えているが、医療従事者としてまず先に打つことが、一般の方への安心にもつながると考えている》(廣瀬能華先生、美容皮膚科)《現段階ではほかに手段がなく、医療従事者としてまず自分が接種してから患者にすすめるべきだと考えている》(おおたわ史絵先生、総合内科専門医)個人的な視点だけでなく、社会的観点による意見も散見された。《ワクチン接種することで集団免疫を獲得しないと新型コロナウイルスの蔓延は終わらない》(竹内聡美先生、呼吸器内科)《新型コロナウイルスによって社会活動が制限されている現在、しない理由がない》(濱木珠恵先生、内科・血液内科)《未知のワクチンだが、副作用が出るなら(自分が打って)その情報を公開する義務がある》(前出・渡邊先生)《ビッグデータの協力になる》(井上留美子先生、整形外科)肯定派のスタンスで、副反応について触れられたコメントを見ていくと、次のような意見が。《ワクチンによる死亡はなく、新型コロナウイルスの死亡率が多い》(本田まりこ先生、皮膚科)《すでに海外で報告されている副反応、アナフィラキシーショックの確率は小さく、治療可能だと考える。接種しないリスクのほうが大きい》(山口トキコ先生、肛門科)《有効性が高いデータが出ているし、副反応も許容範囲》(板根みち子先生、循環器内科)このように、接種に対する前向きな意見が多いが、今回のワクチンで議論になる理由の一つに、製法がある。新型コロナウイルスワクチンは、これまでにない遺伝子を使った方法で作られたワクチンなのだ。世界ですでに接種されているファイザー社製とモデルナ社製のワクチンはmRNAワクチン、アストラゼネカ社のワクチンはウイルスベクターワクチンと呼ばれる“遺伝子ワクチン”だ。総合内科専門医のおおたわ史絵先生は次のように説明する。「従来のワクチンは、ウイルスの抗原の一部分に近いものを弱毒化させて体内に入れる『弱毒性ワクチン』や『不活化ワクチン』ですが、今回のコロナワクチンは、ウイルスに対する抗体を作るための核酸を体内に入れ、それが体内でDNAやRNA遺伝子を複製させるというまったく新しい作り方をとっています。そのため、長期的な副反応などが未知数という側面があるのも事実です。新しいものに対して不安を抱くのは、人間として当然のことでしょう」医療法人康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾の日比野佐和子先生も、人々が不安になることを理解しつつ、ワクチン研究が“現在進行形”であることを強調する。「これまでのワクチン開発とは異なり、史上最大規模の財政的・人的資源の投入がごく短期間で行われているのが今回のワクチン開発の特徴です。つまり、副反応を含めたワクチンのデータもものすごい勢いで蓄積されていますから、さまざまなことが見えてくるスピードも別格なのです」ただし、海外でもワクチンの接種が始まったのは、ほんの1~2カ月前のこと。まだまだ未知である副反応に対する不安は、先生たちの反応からもうかがえる。《コロナ感染が流行しているなか、乳がん発生も減少せず続いている。医療者として、がん治療をきちんと行うためにも、ワクチンの短長期的な影響について不安がないとはいえないが、打つ》(土井卓子先生、乳腺専門医)《短期間で開発され、長期的なリスクについては不明なワクチン接種にまったく不安がないわけではないが、幸い自分には特に強いアレルギーがない(ため打つ)》(亀井倫子先生、ペインクリニック内科)一方、ワクチン接種を《見送る》と答えた慎重派の先生たちからは次のような意見があった。《新型コロナはインフルエンザよりもはるかに死亡率、罹患率が低い疾患。しかもほとんどの人が感染しても無症状。国民全員がワクチンを受ける必要性があるのか疑問》(小林有希先生、内科)《ワクチンを打つことによるベネフィット(利益)とリスク(不利益)を天秤にかけて十分に検討する必要がある》(正木稔子先生、耳鼻咽喉科専門医)《従来のワクチンの製法とは異なる遺伝子型ワクチンで、副反応がわかっていないという段階で使用を開始するのは危険。ワクチンを打つ前に必ず副反応を調べる必要がある》(星子尚美先生、内科)いずれも、今回のワクチンが異例の状況下で、短期間で開発されたことに対する懸念だ。■詳細な情報提供が十分にできないと悩む医師も「医師がワクチンに関して基本知識として知っているのは、生ワクチンと不活化ワクチンで、新型コロナウイルスのワクチンはどちらにも属していません。そのため、詳細な情報提供が十分にされていないのが現状です。何かが起こる可能性や、何が起こるのか、その程度や割合など、何も知らされていない状態で接種するのには同意できません」(正木先生)通常、ワクチンの開発には長い年月がかかる。しかし、新型コロナウイルスのワクチンは、その過程がわずか1年足らず、異例のスピードで認可されている。「『ワクチンファクトブック』(米国研究製薬工業協会が発行しているワクチンの手引書)によると、ワクチンは治験を含め、開発に10年程度かかるものです。特に治験は安全性の確認作業で、通常、最も時間がかかる部分ですが、新型コロナウイルスのワクチンは、発見から1年たたずに治験まで済んでいるといいます。mRNAワクチン、DNAワクチンは人類に初めて使用するものなのに、この程度の治験で実施に踏み切ってよいのでしょうか」(正木先生)検証期間については、次のような意見も寄せられた。《これは、人類初の“遺伝子組み換えワクチン”で、通常なら数年~10年以上及ぶべき検証期間を省いた、安全性のまったく確認されていないワクチン。飛びつかなければならないほどの切迫性はまったくない》(前出・小林先生)医療現場の専門家ですら、肯定的な意見と慎重な意見が出るコロナワクチン。親や子ども、また持病のある家族がワクチンを打つか打たないか、家庭内で意見が分かれることもあるだろう。そうした不安の声に、前出のおおたわ先生は次のようにアドバイスする。「中高年になると、糖尿病や高血圧など生活習慣病を抱える方が増えます。これはすなわち、新型コロナウイルスにかかったときの重症化のリスクが上がるということです。それも加味したうえで、ご自分がワクチンを接種するかどうかをよく考えていただきたいと思います」かかりつけの医師に相談する人もいるだろうが、“100%効果的で安全だ”と断言することはどんな医師にもできないとおおたわ先生は話す。未知のウイルスとの戦いが一日も早く落ち着き、日常が戻ってくることを願うばかりだ。「女性自身」2021年3月2日号 掲載
2021年03月01日「高齢者はたとえばインフルエンザワクチンを接種しても、予防効果が一般的な成人と比べて低いといわれています。理由は、加齢とともに免疫細胞が弱まっているから。そのため、抗体を作る力が落ちてしまっているのです。新型コロナのワクチンでも同じです。免疫細胞が弱ったままだと、ウイルスに対抗する強い抗体を作ることができません。しっかりとワクチンの効果を出すためにも、今から免疫力を高めておくことが重要といえるでしょう」こう語るのは国産ワクチン開発の第一人者でもある、大阪大学大学院の森下竜一寄付講座教授だ。2月17日から国内でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。まずは医療従事者から接種が始まり、4月からは65歳以上の高齢者が対象となる。そんななか、森下教授は「ワクチンの効果を高めるためにも、高齢な方々は特に今のうちから免疫力を高めておくべき」だと訴えたいという。そもそも、免疫力とは何なのか。教授はこう解説する。「簡単に言うと、体内にある免疫細胞たちの力です。免疫には自然免疫と獲得免疫があります。自然免疫には、NK細胞などと呼ばれるものがあります。ウイルスが侵入するとすぐ食べにきてくれる、警察のような存在です。いっぽうで獲得免疫には、ヘルパーT細胞などがあります。こちらは一度体内に入ってきたウイルスを覚え、抗体を作って攻撃してくれます。しかし先ほど申し上げたとおり、体を守ってくれる免疫細胞たちは年齢とともに弱まっていきます。そうして、体の免疫力も落ちてしまうんです」■免疫力は40歳でピーク時の半分ほどに実は、免疫力のピークは18歳前後。働き盛りの40歳でも、免疫力はピーク時の半分ほどになっているというのだ。厚労省が発表した昨年7月時点での新型コロナウイルスによる年齢別死亡率を見ても、60代から急激に高くなっている。ワクチンの効果を高めるためにも、重要な免疫力。それを高めるカギは、「ミトコンドリアを活性化させること」だという。森下教授が続ける。「ミトコンドリアとはいわば、細胞の中にあるエンジン。細胞を動かす原動力です。ヒトは、およそ37兆個の細胞でできています。その細胞に必要なエネルギーの90%以上を、ミトコンドリアが作り出しています。さらに、免疫反応全体のバランスをとる司令塔でもあります。ですからミトコンドリアを活性化させると、細胞が元気になります。そして免疫力アップにつながるというわけです」では、ミトコンドリアを活性化させるにはどうすればいいのだろうか。教授は7つのポイントを語ってくれた。「まず1つ目は、運動をすることです。体を動かすことで、細胞が活性化されます。ただ、やりすぎは禁物。細胞を活性化させるためには、適度な運動であることが重要です。軽いジョギングや20分程度の散歩、家でできる簡単なエクササイズなどで十分です。2つ目は、十分な睡眠をとること。7~8時間くらいが理想です。そして3つ目は、体を温めること。細胞を活性化させる体温は、36度前後といわれています。ただ筋肉量が落ちると体温も下がるので、高齢者は低くなりがち。なのでたとえば湯船につかったり白湯を飲んだりしていると、基礎体温が上がります。毎朝検温する習慣もつけましょう」■笑うことは、非常にいいことさらに、食事の重要性についてもこう指摘する。「4つ目は、食生活の見直しです。体を作るのは、なんといっても食事。できるだけ、バランスのよい食事を心がけるようにしましょう。栄養面はもちろん、食べすぎないようにも注意してください。そして5つ目は、コエンザイムQ10を取ること。ミトコンドリアが細胞のエンジンなら、コエンザイムQ10は細胞のエンジンオイル。ミトコンドリアの機能をスムーズにしてくれます。イワシや豚肉や牛肉、ブロッコリーやオリーブ油などに多く含まれています。ただ食事から摂取できる量は限られているので、サプリメントを取り入れてもよいでしょう」また意外にも、精神面の影響が大きいようだ。森下教授は次のように明かす。「6つ目は、笑うことです。細菌に感染した細胞を死滅させる、NK細胞というものがあります。それが笑うことで活性化され、免疫力アップにつながるという報告があるのです。また、セロトニンという心の安定を保つホルモンも分泌されます。だから笑うことは、非常にいいことなんです。そして最後の7つ目は、ストレスをためないことです。慢性的なストレスは体や心の疲労につながり、不眠を引き起こします。そうした悪循環に陥り、どんどん免疫力が落ちてしまうのです。最近は“コロナうつ”も増えているといいますからね。ワクチンの効果を高める意味でも、精神的に安定できる生活を心がけましょう」■接種の直前に頑張っても難しいちなみに、免疫力は季節の変わり目に低下しやすいという。「冬より夏場のほうが、要注意といわれています。夏バテで体力も落ち込みがちですからね。ワクチン接種の時期とかぶる方は、いっそう気をつけてください」そして最後に、森下教授はこう結ぶ。「高齢者は新型コロナウイルスにかかった場合のリスクも高いので、順番がきたらワクチンを打ったほうがいいと思います。ただし免疫力を高めておかないと十分な効果が出ない可能性もあると、理解しておくべきです。ワクチンを接種する直前に頑張ったところで、すぐに免疫力をアップさせるのは難しい。だから接種前の今こそ、体作りを始めましょう」いざ接種するときに慌てないためにも、早めの準備が重要といえそうだ。「女性自身」2021年3月9日号 掲載
2021年02月23日「できる限り2月下旬の(医療従事者を対象とした)接種開始を目指して準備したい」1月22日の会見で、新型コロナウイルスのワクチンについて語った河野太郎“ワクチン担当相”。日本で真っ先に接種が始まるのは、米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したワクチンだが、1月中旬には、世界の医療関係者が注目した報道があった。「ノルウェーで両社のワクチンを接種した約4万2千人のうち33人が、発熱や吐き気などの副反応を示し、接種後数日以内に亡くなったと報じられました。大半は80歳以上の高齢者だったそうです」(医療ジャーナリスト)ファイザー株式会社の広報担当者は、本誌の取材に対し、次のような見解を示した。《(亡くなった方の)ご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様にお見舞いを申し上げます。ノルウェー当局は老人ホームの入居者等に対するワクチンの接種を優先していますが、その多くは非常に高齢で基礎疾患を有しており、中には終末期の方もいます。ノルウェー医薬品局は、医学的にリスクの高い人に対する本剤の接種と死亡の関連性は完全には否定できないものの、ワクチン接種との直接的な因果関係を示すエビデンスは得られていないと表明しています。今回の件を受けて、ノルウェー保健局は重度のフレイル患者(例えば、Clinical Frailty Scale 8以上)、および終末期患者に対するワクチン接種のガイダンスを改訂し、ワクチン接種によって得られるベネフィットとリスクを慎重に評価するよう求めています。》■「追跡調査の期間が足りない」と指摘する専門家もこの件について、日本の専門家はどう見ているのだろうか。大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之さんは、「ノルウェーは日本と同じように高齢者が多い国ですし、その状況は今後も注視すべきだと思います。しかし、いっぽうで“ワクチン接種は危険なのではないか”というイメージだけが独り歩きしてしまうことを心配しています。ファイザーや米国のモデルナが開発したのは“mRNAワクチン”という種類のものです。ファイザーのワクチンは有効性が95%、モデルナは約94%と、非常に優秀です」だが軽重はともかくとして、あらゆるワクチンに“副反応”はつきものだという。「基本的には打った部分が腫れる、接種後に発熱する、関節痛のような痛みが生じる、といった症状です」(『ワクチン診療入門』の著書もある、ナビタスクリニック川崎の医師・谷本哲也さん)新潟大学名誉教授の岡田正彦さんはこう語る。「mRNAワクチンには、たんぱく質などを安定化させるポリエチレングリコール(PEG)が使用されていることが判明しています。“PEGによるアレルギー反応は不明”という論文もあり、その点について私は懸念を抱いています」PEGについて、前出の宮坂さんは、「薬品や化粧品などにも添加されている物質ですが、調査によればPEGによりアレルギー反応を引き起こされる人も多いのです。だから医師仲間の間では、『ワクチン接種後に、PEGによるアナフィラキシー(アレルギーの原因物質が体内に入ることによって、一つの臓器にとどまらず複数の臓器に強い症状が現れる過剰反応)が発生する可能性もあるのでは』という話はしていました。しかし幸い、アナフィラキシーに関して言えば、注射後の15?30分で反応が出ますので、医療機関の付近にいれば救命措置をとることもできます」“ワクチン反対派ではない”という岡田さんだが、接種後すぐに判明する副反応よりも、将来の不安を感じているという。「特に英国のアストラゼネカが開発したウイルスベクターワクチンで、すでに日本で治験が始まっています。人工合成したDNA遺伝子そのものを、無毒化したアデノウイルス(風邪のウイルスの一種)に組み込んで注射します。いままで人類が経験したことのない新型ワクチンですので、本来であれば、発がん性の有無などを確認するために、5年以上は追跡調査すべきだったと思います。長期的な安全が証明されていないわけですから、私自身は打つことを考えていません」『AERA』(1月25日号)には医療関係者1726人への調査結果も掲載されている。『ワクチンを接種しますか』という設問に対しては、「する」が31.4%、「種類による」が27.3%、「しない」が11.8%、「わからない」が29.5%と、意見も割れているようだ。■「若い人も高齢者も副反応は同じ」今回取材した専門家たちに、“接種を控えるべき条件”について聞いてみた。「ワクチン接種によりコロナ感染を防ぐというメリットと、接種による副反応というデメリットのバランスを、個別に判断していくことが必要となります。その際に、一つの尺度となるのが、“病気の重篤度”です。たとえば、高齢で、認知症のために寝たきりのような状態の方であれば、ワクチンの副反応が出たときに、体に致命的な影響が及ぶ可能性もあるでしょう。また心臓が弱っている方の場合、ワクチン接種で高熱を発することで、さらに心臓への負担がかかり、亡くなってしまうというケースもあるかもしれません」(谷本さん)現在は、医療従事者についで、高齢者が優先的に接種できるという方針が示されている。1月25日に厚生労働省は、65歳以上の高齢者への接種券を3月中旬以降に発送するといったスケジュールを明らかにした。だが、岡田さんは違和感を覚えているという。「ワクチンを製造している会社の論文を読むと、若い人も高齢者も副反応は同じ、とありますが、たとえばインフルエンザワクチンも私の経験では高齢者のほうが副反応は強いです」また、深刻なアレルギーを持つ人も注意が必要だという。「イギリスでは医薬品や食品、あるいはワクチンに対して重大なアレルギー反応が現れたことのある人には接種しないように呼びかけています」(宮坂さん)「アナフィラキシーを起こしたことがある方は避けたほうがいいと考えています」(谷本さん)最後に宮坂さんは、こんなアドバイスをしてくれた。「一般の人に接種の順番が回ってくるまで、あと数カ月は必要になるでしょう。その間に、世界のワクチンに関するデータは積み上がっていきます。そのデータを見て、自分は打つべきかどうか最終的に判断してはどうでしょうか」自分や家族の身を守るために、感染状況だけではなく、ワクチンの影響にまつわるニュースも注視していく必要があるのだ。「女性自身」2021年2月9日号 掲載
2021年01月29日2020年12月21日、落語家の林家こん平さんが誤嚥性肺炎で亡くなったことが分かりました。サンケイスポーツによると、林家さんは同月17日に誤嚥性肺炎で亡くなり、19日に家族葬を済ませたとのこと。演芸バラエティ番組『笑点』(日本テレビ系)に出演し、一発ギャグが人気を呼んだ林家さん。2004年からは多発性硬化症を患い、闘病をしていたといいます。新潟県の米どころ出身のこん平さんは中学卒業後、故林家三平師匠の東京・根岸の自宅に押しかけ入門。日本テレビ系「笑点」に出演して人気者となり、「1、2、3、チャラーン」のギャグで一世を風靡(ふうび)した。2004年ごろから難病の多発性硬化症を患いリハビリを続けてきた。こん平さんは、中学卒業後、芸で身をたてようと米1俵を担いで上京。ラジオで聞いて好きになった三平のもとに押しかけた。「笑点」に出演しボケ役を務めたことをきっかけに、「こん平」の名は世に広まり、一躍人気者になった。サンケイスポーツーより引用ネット上では、訃報にお悔みの声が相次ぎました。・笑点のオレンジ担当といえば、私の中で、こん平師匠です。ご冥福をお祈りします。・長い間お疲れ様でした。もう「チャラーン」が聞けないと思うとさびしいです。・笑っているお姿しか浮かばないな。ただただ、悲しいです。・天国でも、5代目圓楽師匠や歌丸師匠と大喜利をしてほしいな。お茶の間にたくさんの笑いを届けてくれた林家さん。あの明るい笑顔を、多くの人がずっと忘れないでしょう。ご冥福をお祈り申し上げます。[文・構成/grape編集部]
2020年12月21日ウーマンエキサイトの皆さま、こんにちは! 前回 、娘たちのインフルエンザワクチンの2回目を予約しようとしたところ、「今季分は受付終了」との答えが返ってきました。▼前回のお話 予約激戦!? インフルエンザワクチンの予約が取れなくて焦った話(前編)【ムスメちゃんとオコメちゃん 第94話】 いや、完全に甘くみてました…、リサーチ不足でした。焦って電話するも、すでに受付終了している病院がほとんど。小児科以外の病院は、通院している人限定や、大人のみというところも多かったです。そりゃそうだ…。姉に助けを求めて、穴場の病院を発見! なんとか娘たちの分を確保できました。あぁよかった!その間もずっとぶつぶつ言って落ち込んでいた娘たちでしたが、あと1回、何とか頑張ってもらおうと思います!ちなみに、私もその後無事、違う病院で接種できたのですが、私はなぜか「予防接種を受けた年に限ってインフルエンザにかかる」という法則(ジンクス?)を持っているので、今年は必ず回避して、ジンクスを断ち切りたい! 決意でこの冬を乗り切りたいと思っています! 皆さまもどうかお大事に!!
2020年12月12日コロナのワクチンに大きな期待が寄せられる中、開発競争の舞台裏を描くドキュメンタリーが進行していることがわかった。タイトルは『Race for the Vaccine』。製作するのはCNNフィルムズとBBC。監督は、元ウィルス学者でフィルムメーカーのイギリス人キャサリン・ゲールと、医療ジャーナリストでフィルムメーカーのアメリカ人ケイレブ・ヘラーマンが共同で行う。ナレーションは、CNNの医療コレスポンダントで医師のサンジェイ・グプタが担当する。来年春、アメリカではCNN、イギリスではBBC Twoが放映する予定。文=猿渡由紀
2020年12月11日ウーマンエキサイト読者の皆さま、こんにちは。暖かい秋だなぁと思っていたら急に寒さが厳しくなったりして、なんだかんだ冬になったことを実感しております。さて、冬といえば風邪やインフルエンザがはやる季節。わが家にはワクチンを打ってもなぜか毎年のようにインフルエンザにかかってしまう長女ムスメがいるので、重症化しないためにもワクチン接種が必須だと思っているのですが…。(ちなみに次女オコメは感染せず毎回陰性。不思議です)かかりつけ医は、予防接種類は全て専用の予約サイトを使っての予約方法でして…。まぁ予想通り、ちょっと大変でした。でも電話で戦うよりは楽かもしれないですね。(余談ですが、接種履歴や各子供たちの、現在予約可能な予防接種の一覧も見られたりします。便利な時代になりました…)娘たち…というか、長女ムスメは予防接種の予定を聞いてしまうと、いくら先でももうずっと気になってしまう性格で。これまでもなるべく前日または当日に伝えるようにしていたのですが、今回は速攻バレてしまいました。もうそこからは本当、毎日のようにため息をついていて…、いや~ごめん!(でもちょっとは忘れてもいいと思うよ!?)母、やらかしました。続きます。
2020年12月05日コロナから日常を取り戻すために、もっとも期待されているのがワクチンの開発。米国では12月中には接種が始まるという。日本にはいつ入ってくるの?最新事情を聞いたーー。「ファイザー が12月にも米国で承認されれば、年内は流行が深刻な米国と欧州に優先的に供給されるでしょう。海外で良好なデータが得られれば、年明け早々にでも日本国内での手続きが進むと思います」そう語るのは、米国国立研究機関の病理専門医・峰宗太郎さん。日本に供給される予定のワクチンは、米国の製薬会社であるファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカのワクチンで、3社から合計1億4,000万人ぶんを調達する予定だ。現在、日本国内ではファイザー、アストラゼネカが、第3相試験まである治験の第1、2相試験中、モデルナは準備段階だ。「今回は緊急性も要しているので、日本国内の治験は簡略化されるでしょう。新型コロナ治療薬として、抗ウイルス薬のレムデシビルがスピード承認されたように、海外の治験データが参考にされることになるはず。最短であれば、1月後半から2月前半くらいに承認されるのではないかと予想します。2月初めくらいから、まずは医療従事者や重症化リスクのある高齢者から摂取開始されるのではないでしょうか。ワクチン接種は公費負担される見通しなので、無料となる予定です」菅義偉首相(71)は「来年前半に国民全員の数量を確保」と語った。五輪前の6月ごろには国民に行き渡る見通しだ。ただ、注意したいのは接種開始となっても、直ちに日常が戻るわけではないということ。「接種者はある程度自由な行動が可能になると思われますが、未接種者はしっかりと感染対策をしなければなりません。日々の感染対策を行いながら、ワクチンによって地固めをしていくイメージです」また、開発されて間もないために、抗体がどれほど長く維持できるかも未知数だという。「1年に1回の接種なのか、数年に1回なのか、数カ月に1回接種する必要があるのかは、今後の経緯を見る必要があります」安全面、有効性を見ても、ワクチンがコロナ禍終息への希望の光であることは間違いない。しかし、現在の“第3波”はワクチンなしに乗り切らなくてはならない。「重症者数の推移を見ると、医療崩壊が現実的になってきました。個々の徹底した感染対策が求められます」「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月03日コロナから日常を取り戻すために、もっとも期待されているのがワクチンの開発。米国では12月中には接種が始まるという。その有効性は?日本にはいつ入ってくるの?最新事情を聞いたーー。「米国製薬大手ファイザーが、FDA(米国食品医薬品局)に新型コロナワクチンの緊急承認申請を提出しました。順調にいけば、12月中に米国で接種が開始される見通し。これで良好なデータが示されれば、来年の東京五輪までに日本でワクチンが行き渡る可能性が高くなります」期待を込めて語るのは、米国国立研究機関の病理専門医・峰宗太郎さんだ。ただ、通常10年かかるといわれるワクチン開発が、わずか1年弱で承認されるとなれば、安全性が気になるところ。まずは日本に供給される予定の3つのワクチンの仕組みから、峰さんに解説してもらおう。米国の製薬会社であるファイザーとモデルナが採用したのはmRNAワクチン。「従来型のワクチンは、ウイルスの毒性を弱めた生ワクチン、“死んだ”ウイルスを利用した、不活化ワクチンなどを注射し、体内に抗体を作るという仕組みです。一方、mRNAワクチンは新型コロナウイルスの一部のゲノム情報を持った化学物質のみを注射して、体内で抗体を作り、本物のウイルスがやってきたときに戦ってくれるという仕組み。これまで、一部の研究分野でしか存在しなかった、新タイプのワクチンです」そのため、開発当初から安全性に関して不安視する専門家も多くいた。峰さんもその一人だった。「しかし両社で行われた4万人の治験者の中で、死亡者は1人も出ませんでした。副反応も軽い発熱、頭痛、倦怠感が主体で、従来のインフルエンザワクチンなどと大差ありません」一方、英国のアストラゼネカが採用したのはウイルスベクターワクチンだ。「まったく別のウイルスに、新型コロナウイルスのゲノム情報を埋め込み、体内で抗体を獲得するタイプです。ウイルスそのものを体内に入れるので、強く副反応が出ることが懸念されていましたが、治験データを見る限り、副反応はファイザーとモデルナのものと変わらず、現段階では大きな問題は見つかっておりません。個人的な感想ですが、どちらのタイプも、安全性は高いと考えています。もちろん、接種が開始されれば、大規模なデータを注視しなければなりません」安全性の次に気になるのは、その効果だ。「ワクチンの効果は有効率で表します。たとえばワクチンを打たない場合、100人中10人が発症するとします。一方、ワクチンを接種した100人だと1人しか発症しなかった。この場合、90%発症が減ったので、ワクチンの有効率は90%ということになります。ファイザー、モデルナのワクチンは有効率が約95%で、アストラゼネカは70〜90%と報告されています。インフルエンザワクチンが30〜60%なので、極めて高い有効性を示しています。また、ファイザー、モデルナの試験では、ワクチン投与群では重症者がいないことも確認されました。つまり、ワクチンを接種していれば、仮に感染をしても、重症化を抑制する効果があるのではないかと考えられているのです」数量に関しても、従来型のワクチンと異なり、合成が簡単で大量生産できるという。政府はファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社から合計1億4,000万人ぶんのワクチンを調達する予定だ。3社のワクチンとも2回接種しなければならない。ファイザーは1回目から3週間、モデルナは1回目から1カ月後に2回目を摂取することになるという。「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月03日肺炎のため、入院をしていたお笑いコンビ『極楽とんぼ』の加藤浩次さんは、2020年10月19日に朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)で久々に仕事復帰。病状の回復を報告しました。加藤浩次細菌性の肺炎だった加藤さんは同月8日、金曜日に発熱。熱以外の症状がなかったため病院でPCR検査を受けましたが陰性だったといいます。土日は家で様子を見ていましたが、熱が上がり、解熱剤を飲まないといけない状態になったとのこと。そのため、月曜日にかかりつけの病院を再度受診したところ「普通の風邪ではない」と医師が判断し、PCR検査を再度受けたそうです。その際に紹介状をもらい大学病院を受診。CTスキャンを撮ったところ、肺に影が見つかりそのまま入院になったといいます。加藤さんの肺炎は結果的に新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)ではなく、細菌性の肺炎という診断になったと説明していました。大学病院でCTスキャンを撮ったら肺に影があると。肺に影というのは新型コロナウイルス感染症でもあるんですって。でも影の出方が(コロナウイルス)とは全然違うんですって。新型コロナの場合は左右に出たりとか、てんてんと出たりとか。僕の場合は右側だけ影が出ている状態で、お医者さんは新型コロナウイルスじゃないと。PCRも陰性だし、肺炎だとなった。スッキリーより引用その後、抗生剤を投与し、同月16日の金曜日に退院することができたといいます。加藤さんは、今回のことを振り返って思うことを語りました。みなさん新型コロナってなっているかもいわれていますけど、違う病気の可能性もありますから。そこを僕は身をもって思った。病院の先生もまず、新型コロナウイルスを疑うんだけど、そこを疑っている間にほかの病気が進行する可能性もあるんだということを重々みなさん、本当に考えておかないと。新型コロナにばかり頭奪われちゃうじゃない。高齢者の方でも普通には肺炎になっている方もいらっしゃるでしょうし。スッキリーより引用病気で食欲が落ちたせいなのか、見た目も少しほっそりしていた加藤さん。「みんなに痩せた痩せたといわれて、妻にも『そんなに目が大きかったっけ?』といわれた」と話していました。ネット上では加藤さんの回復に安堵する声が多数寄せられています。・入院したって聞いて心配してたけどよかった。熱が続くってつらいですよね。・おかえりなさい!復帰した姿を見て、安心しました。無理はなさらずに。・本当によかったです。『スッキリ』に加藤さんがいないのはさびしい。コロナウイルスに気を取られるあまり、ほかの病に気付きにくくなってしまうケースは多いでしょう。体調が悪い時は油断せず、病院にかかって適切な診断を受けることが大切です。加藤さんのようなケースもあるということを、しっかり認識しておきたいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年10月19日まだまだ日本全国で感染者が増え続けている新型コロナウイルス。各地で重症者も増加するなか、待望されているのがワクチンだ。WHOによると、新型コロナウイルスに対するワクチンの候補は170品目以上あり、うち30以上が臨床試験に入っている。日本では、厚生労働省が8月7日に「英国のアストラゼネカ社が開発中のワクチンについて、1億2,000万回ぶん供給を受けることに基本合意した」と発表。早ければ、来年’21年初頭から、日本でも接種が開始されるというが……。「日本国内での治験を十分に行わず承認に踏み切った場合、重篤な副反応が問題になるケースも考えられます。アストラゼネカ社が開発中の『アデノウイルスベクターワクチン』は、“多少副反応が強くても、効果を重視する”というコンセプトワクチン。実際、公開されている治験結果を見ると、高い割合で副反応が出ているのです」そう警鐘を鳴らすのは、ナビタスクリニック川崎の医師で、『ワクチン診療入門』(金芳堂)の著書もある谷本哲也さん。拙速なワクチンの承認には、つねに安全性の問題がつきまとう。ロシアでは、国立研究所が「スプートニクV」という新型コロナへのワクチンを開発した。しかし、最終段階の臨床試験が終了して効果が証明されるのを待たず、接種を開始すると政府が発表。世界の専門家はワクチンの接種が、ウイルスの有害な変異を促す恐れがあると警告している。日本国内で採用される予定の「アデノウイルスベクターワクチン」についても、西村経済再生担当相が8月22日、《ワクチンの安全性、有効性は不明ですが、国民に必要なワクチン確保に全力を挙げる》とツイッターに投稿。これに対し、《国民相手に実験するつもり?》《“不明”ってどういうこと?》という声が寄せられているのだ。従来に比べ開発が早く、現在主流となっている“遺伝子組み換えワクチン”について、国立遺伝学研究所の教授・川上浩一さんはこう解説する。「遺伝子組み換え技術というのは従来のワクチンでも使われていました。従来のワクチンはウイルスの一部であるタンパク質を所定の製造工場で生み出し、それを人間に接種することで免疫を獲得するという仕組みです。しかし、アデノウイルスベクターワクチンは、人間の体自身をウイルスが持つタンパク質の製造工場に変えてしまうのです」同ワクチンが働く仕組みを、もう少しかみくだいて説明してもらおう。■アストラゼネカ社が開発「アデノウイルスベクターワクチン」の仕組み【1】新型コロナウイルスの表面にある「突起」(スパイク)のタンパク質から遺伝子を採取する。【2】チンパンジーから一般的な風邪のウイルス(アデノウイルス)の遺伝子を採取し、ヒトの体内で増殖しないように無害化する。【3】1で採取した遺伝子を再配列し、2のアデノウイルスに組み込むことでワクチンが完成する。このワクチンがヒトの細胞に入り込むと、抗体やT細胞などの免疫抗体が生成される。新型コロナウイルスに遭遇すると、抗体やキラーT細胞が召集されウイルスに取り付いて撃退する。「新型コロナウイルスが持つタンパク質の遺伝子を、『アデノウイルス』というチンパンジーの風邪のウイルスに組み込みます。それを人間に接種することで細胞内に取り込まれ、そこで新型コロナウイルスのタンパク質が作られるようになります。それによって、免疫を獲得しようという狙いがあるのです」(川上さん)大阪府の吉村洋文知事が治験に積極的になっているバイオベンチャー企業・アンジェス社と大阪大学が共同で開発中の「DNAワクチン」のほか、すでに日本が6,000万人分の供給を受けることで基本合意した米ファイザー社の「mRNAワクチン」なども、同じ遺伝子組み換えワクチンにあたる。川上さんは「短期間の治験で、億を超える数の人間に打つことは“壮大な遺伝子組み換え実験”に相当する」と警鐘を鳴らす。川上さんがとくに危惧するのは、一度人体に入ったウイルスやDNAが“どんな挙動を示すかわからない”という点だ。「アデノウイルスベクターワクチンとDNAワクチンは、遺伝物質であるDNAが私たちの細胞に取り込まれます。以前、難病患者に対して行われていた『レトロウイルスベクター』を用いた遺伝子治療では、白血病を高頻度で引き起こし、レトロウイルスベクターは使用されなくなったという事例がありました」川上さんは「可能性は低い」としながらも、アデノウイルスベクターの挙動によっては、がんやその他疾患のリスクもぬぐいきれないと話す。「今回のワクチンのように億単位の人が接種した場合、何が起こるかわかりません。人間の生殖細胞に入り込む可能性もまったくゼロとは言い切れない。そうなれば、次世代に引き継がれて生物の歴史に影響を与えてしまいます。ワクチンの安全性が高まるまで、まずは検査を拡大し、感染者を隔離することで感染拡大を止めるべきではないでしょうか」アストラゼネカ日本本社(大阪府)は本誌に対して「生殖細胞にウイルスベクターが侵入したりする懸念はないと考えている」と答えたが、“ゼロ”と言い切れないかぎり、そこにリスクはつきものだーー。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日辞意表明の会見時、「冬の到来を見据えたコロナ対策を決定した」と語った安倍首相。全国民ぶんのワクチンを確保するとも報道されたが、専門家からは安全面を懸念する声がーー。まだまだ日本全国で感染者が増え続けている新型コロナウイルス。各地で重症者も増加するなか、待望されているのがワクチンだ。WHOによると、新型コロナウイルスに対するワクチンの候補は170品目以上あり、うち30以上が臨床試験に入っている。日本では、厚生労働省が8月7日に「英国のアストラゼネカ社が開発中のワクチンについて、1億2,000万回ぶん供給を受けることに基本合意した」と発表。早ければ、来年’21年初頭から、日本でも接種が開始されるというが……。「日本国内での治験を十分に行わず承認に踏み切った場合、重篤な副反応が問題になるケースも考えられます。アストラゼネカ社が開発中の『アデノウイルスベクターワクチン』は、“多少副反応が強くても、効果を重視する”というコンセプトワクチン。実際、公開されている治験結果を見ると、高い割合で副反応が出ているのです」そう警鐘を鳴らすのは、ナビタスクリニック川崎の医師で、『ワクチン診療入門』(金芳堂)の著書もある谷本哲也さん。拙速なワクチンの承認には、つねに安全性の問題がつきまとう。ロシアでは、国立研究所が「スプートニクV」という新型コロナへのワクチンを開発した。しかし、最終段階の臨床試験が終了して効果が証明されるのを待たず、接種を開始すると政府が発表。世界の専門家はワクチンの接種が、ウイルスの有害な変異を促す恐れがあると警告している。日本国内で採用される予定の「アデノウイルスベクターワクチン」についても、西村経済再生担当相が8月22日、《ワクチンの安全性、有効性は不明ですが、国民に必要なワクチン確保に全力を挙げる》とツイッターに投稿。これに対し、《国民相手に実験するつもり?》《“不明”ってどういうこと?》という声が寄せられているのだ。谷本さんによると、アデノウイルスベクターワクチンは、従来とはまったく異なるという。「従来のワクチンは、ウイルスの活性を奪って成分にする“不活化ワクチン”などが主流でした。いっぽうアストラゼネカ社が開発したワクチンは、最新のバイオテクノロジーを駆使し、遺伝子を操作したウイルスを成分に用いています。新型コロナについては、各社も新たな方法で遺伝子ワクチン開発に精を出している。ひとくちにワクチンといっても、従来型と遺伝子ワクチンは、ウーロン茶とコーラくらい大きな成分のちがいがあるんです」谷本さんはアデノウイルスベクターワクチンについて、「理論上安全とされているが、新しいワクチンなだけに未知数な部分が大きい」と語る。開発を急ぐあまり、本来の治験期間をかなり短縮しているという。「ワクチンは、接種してから約1週間以内でおもな副反応が生じますが、長期的な副反応もゼロではありません。ですから、治験では接種後も1年くらいかけて副反応に関するデータを集め確認するのが一般的なんです」アデノウイルスベクターワクチンは、短期的な副反応でさえ強く出ている。「公開されている論文を読むと、軽度から中程度の頭痛や発熱、筋肉痛、倦怠感などを訴える治験者が多数いる。こうした副反応を軽減するため、アセトアミノフェン(パラセタモール)という鎮痛剤を4,000ミリグラム(1日に投与できる最大量)も同時に投与しています。私もこの鎮痛剤を処方することがありますが、せいぜい3分の1の量を使う程度。欧米は、新型コロナの罹患率や死亡率が高いので、副反応が強くても効果を優先して治験を行っているのでしょう」厚労省は同ワクチンについて、海外で承認が下りれば国内での治験を省略できる“特例承認”も検討している。そうなると、日本での治験が行われない可能性も……。「たとえ欧米で重篤な副反応が出ていなくても、人種や体質の違いがある以上、国内でも数千人規模の治験は行うべきです。年齢層や基礎疾患の有無によっても副反応は異なる場合があります」とくに重篤な副反応が懸念されるのは、高齢者だという。新型コロナに罹患すると重症化しやすい高齢者ほど、ワクチンが必要に思われるのだが……。「いちばん心配されるのは『抗体依存性感染増強(ADE)』という事例です。これは、ワクチン接種によって得られた免疫が過剰に反応し、罹患したときにかえって重症化してしまうというケース。最悪の場合、死につながることさえあるのです」蚊が媒介する「デング熱」のワクチン接種プログラムを行っていたフィリピンでは、このADEによる感染の重症化が多発した疑いが強まり、ワクチンの認可が取り消された。アデノウイルスベクターワクチンにおけるADEの懸念について、本誌がアストラゼネカ日本本社(大阪府)に回答を求めたところ、「感染動物モデル(第1段階)において、ADEの兆候は認められていない」という返答が。「とはいえ、ワクチン開発は第1から第3段階まで、接種する量や回数、対象年齢などを変えて、早くても4〜5年、長い場合は10年以上かけて治験を行うのがふつう。デング熱ワクチンのように製造販売後に初めて重篤な副反応がわかるケースもあります。最終段階まで観察しても何が起こるかわからないからこそ、治験は慎重に進めるべきなのです」(谷本さん)取り返しがつかないことにならないよう、政府には慎重な見極めを求めたいところだ。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日