離れて暮らす母親を探すため、はるか500キロの冒険に出た一人の少年の成長と家族の深い絆を描き、ベストセラーとなった新堂冬樹著の感動作「僕の行く道」。この小説を原作とした待望の映画化作品『ぼくとママの黄色い自転車』が8月22日(土)、公開初日を迎え、メガホンを取った河野圭太監督に主演の武井証、阿部サダヲ、鈴木京香、そして原作者の新堂さんによる舞台挨拶が行われた。会場は夏休み中の子供の姿もたくさん見られ、満員の客席の前で一同は初日を迎えた喜びを語った。主人公・大志を演じた武井くんは、「たくさんの人が来てくれて、ありがとうございます。どう感じてもらえるか不安でドキドキしています。昨日は緊張してよく眠れなかったけど、嬉しいです。大志はとても勇気のある子だと思います」と満面の笑みを見せた。弱冠11歳の武井くんだが、「演じることとは?」と尋ねると、「もう一人の自分を見つけることができます。(将来は)また共演したいと思われる役者になりたいです」と大人顔負けのコメント、「この映画を観て、身近な人に優しくしてくれたら嬉しいです」としっかりと映画をアピールした。そんな証くんに対し、河野監督は「一番信頼できる俳優でした。何も言わなくてもパーフェクトに表現してくれて、こんなに楽をさせてもらっていいのかなと思いました。彼の演技には泣かされると思います」と大絶賛。父親役の阿部さんは、優秀な愛息に「武井くんの後だとコメントのクオリティが下がります」と平伏しつつ、映画俳優として先輩の武井さんに「またご一緒できたらいいと思います(笑)。この役を演じて、役者として新しい面ができました」とコメント。隣の、真っ黒に日焼けした新堂さんとは対照的なビジュアルとなったが、「僕はあまり日焼けしないタイプなので、ちょっとびっくりしてます」と恐縮気味に語り、笑いを誘った。これに乗じて(?)、母親役の鈴木さんも「夏真っ盛りの方にお会いして、もっと日焼けすればよかったと思いました」と一笑。観客に向けて「子供のために大きな選択をするところを、みなさんがどう感じるか興味があります。夏が子供を成長させるところに注目して見てもらいたいです。観てないお友達にも勧めてください!」と優しい表情で語りかけた。一際黒さが目を引いた新堂さんはというと、「アットホームな客層だと聞いて、僕が出ていいのかなと思いました(笑)」と挨拶。待望の映画化に「この作品には思い入れがあり、2回観て、2回とも号泣しました。自分の書いたものを超える演技で感動しました。愛の形は一つじゃないというところを見てほしいです」と太鼓判を押した。『ぼくとママの黄色い自転車』は新宿バルト9ほか全国にて公開中。■関連作品:ぼくとママの黄色い自転車 2009年8月22日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2009「ぼくとママの黄色い自転車」製作委員会■関連記事:阿部サダヲが新たに見せる“父”の顔「自分の子供にも冒険させてやりたいと思った」阿部サダヲ、自分よりも大人っぽい“息子”に脱帽!鈴木京香と親子3人浴衣で登場温かくて強い、家族愛を描く『ぼくとママの黄色い自転車』試写会に5組10名様ご招待阿部サダヲ、鈴木京香とのアンバランス夫婦に「お前とそれか?みたいなパターン…」
2009年08月24日あるときはパンクコントバンド「グループ魂」のフロントマン“破壊”として、またあるときは個性派俳優として舞台上、スクリーンを、俊足と超ハイテンションで所狭しと駆け巡り、異彩を放つ阿部サダヲ。天性のコメディアンとも言うべき彼が、どの作品でも見せてこなかった顔とは――?現在、39歳。“不惑”と言われる40歳を目前にして、『ぼくとママの黄色い自転車』で、父親役という新境地に挑んだ彼に話を聞いた。「明るく淡々とした、愛情表現に心打たれた」これまで見せてきた、“飛び抜けた”役とは一線を画す今回の役。いたって普通の父親を演じたが、オファーを受けたとき、阿部さんは素直に「うれしかった」と話す。「みなさんの印象として、阿部サダヲという俳優は“突き抜けてる”と思われてることが多いと思うのですが、こういう役もやりたかったし、普段からテンションがずっと高いように思われたりするので(笑)。俳優として、だんだん年を取ってきて、子供がいる役や家族の話もやりたいと思ってた時期だったので、うれしかったですね」。記憶を失う病を患い離れて暮らす妻と、その理由を知らない幼い息子の間で苦悩しながらも明るくふるまう父親、一志。演じる上で気をつけた点は?「子供のことはちゃんと考えてる父親なんですけど、表向きは普通に見えるようにつらい部分はあまり出さないようにしてました。撮影に入る前に、記憶障害の方のドキュメントを見たときに、明るく淡々と生活をしている、(記憶を)忘れているということを笑いとばしてしまうくらいの明るさ、その愛情表現に胸を打たれて、そういう所が出せたらという気持ちで演じました」。今回、阿部さんと夫婦を演じるのは、鈴木京香。一見、異色の組み合わせとも思えるのだが、阿部さんはそのアンバランスさを敢えて前面に出していった。「見た目的に、京香さんと僕のアンバランスさがうまい具合に出せればいいかなとは思ってました。この人間にこの綺麗な女性が惹かれたワケというのを、何となく納得してもらいたいなって。お客さんが観て、何でこいつ?っていうよりは、しょうがないなという感じに思ってもらえたらと。完璧な人じゃない方がいい気がして、ちょっと抜けた感じにしたいなと思いました。上から物が落ちてきて頭にぶつかるとか、パンに醤油かけちゃうとか、そういうところでちょっとずつ出していけたかなと思います」。息子・大志に扮する天才子役、武井証は奇しくも自身のお子さんと同年代という。撮影が行われたのはちょうど1年前、真夏の小豆島。武井さんとの撮影での思い出について尋ねると、頬をゆるませた。「こんな子供がいたらいいなと思いますけど、本当にしっかりしてるんですよ、武井くん(笑)。相当暑かったと思うんですけど、文句も言わないですし、犬(愛犬アン役)も文句を言わないですし、ただ頭が下がる思いです。かわいい一面もあるんですけどね。証くんが自動販売機でジュースを買おうとして、お金を入れたら出てこなくなっちゃって、みんなして悔しくなっちゃってね。何とかしたくなって業者さんを呼ぶまでになったんです。僕が120円出そうか?と言ってもそれは出来ないと言う男ですから、かっこいいです」。夏の冒険を通して育まれる子供の“成長”に共感母親に会うため、ひとり自転車で、犬を供に横浜からはるか500キロ先の小豆島へと旅に出る、息子の大志。親の知らないところで育まれる、子供の成長というのも、本作のひとつのテーマである。“かわいい子には旅をさせよ”と言うが、阿部さんも自身のお子さんについて近頃、変化を感じているという。「9歳になってどんどん成長していく感じがしますね。家の中より外で教わってくることが増えるじゃないですか。習い事だったり、遊んできたりして、自分の家にずっといた人が外に出ていってすごい勢いで成長してくるのでびっくりします。でも、映画(の大志)みたいに関西の人と喋って変わったり、家族以外の人と接するのはいいことだと思うので、自分の子供にも冒険させてやりたいなと思いましたね。僕も小学生のとき、学校に『ガキ大将行進曲』という映画が来て、それを観てすっげーかっこいいなと思って山を登ったりしてすごくいい経験になったので、大志くんと同じくらいの子にも、冒険に憧れてほしい。外で家族で一緒にいてもずっとゲームばかりやってるのとかを見るとゾクっとするんですよね。ゲームを1時間やってもいいけど、1時間は外で自転車を漕いでほしいですね」。ちなみに、阿部さんが子供の頃の夏休みの“冒険”の思い出はというと…?「いま思うと、野球ばっかりやってたので、一人で冒険に行ったりはなかったですけど、夏休みにトラックの荷台に勝手に乗ってどこまで行けるか、というのはやったことがありました。でも、2個目の信号で怖くなって降りました(笑)。大人になってからは、道に迷うのが好きなので、よく知らない道を歩きます。すごい小さい冒険ですけど、行ったことのない所で、散歩ばっかりしてますね」。本作について「家族で観て、一緒に話し合える映画」と語る阿部さん。「犬を飼おうか話し合うこともできるでしょうし、犬を飼ってほしいんですよね。動物を飼うのはいいと思うので、この映画も家族会議をするのにちょうどいいんじゃないかと。と言いながらうちは猫を飼ってるんですが(笑)」。“阿部サダヲ”の代名詞とも言うべきハチキレぶりとは裏腹に、とても穏やかな笑顔を浮かべて言葉を連ねる阿部さん。これまでに見せたことのない、彼の新たな顔を本作では発見することができる。(photo:HIRAROCK)■関連作品:ぼくとママの黄色い自転車 2009年8月22日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2009「ぼくとママの黄色い自転車」製作委員会■関連記事:阿部サダヲ、自分よりも大人っぽい“息子”に脱帽!鈴木京香と親子3人浴衣で登場温かくて強い、家族愛を描く『ぼくとママの黄色い自転車』試写会に5組10名様ご招待阿部サダヲ、鈴木京香とのアンバランス夫婦に「お前とそれか?みたいなパターン…」
2009年08月21日母親に会うために、愛犬を連れて横浜から自転車で、遠く香川県の小豆島を目指す少年の成長と、その地で彼が知る切ない真実――。新堂冬樹のベストセラー「僕の行く道」を映画化した『僕とママの黄色い自転車』が8月22日(土)に公開を迎える。8月12日(水)、映画に因んで本作の親子試写会が開催され、上映前には主演の武井証、阿部サダヲ、鈴木京香による舞台挨拶が行われた。親子を演じた3人は、浴衣姿で登場。また、武井くん演じる大志の旅の相棒である愛犬のアンも、武井くんに連れられて一緒に登壇し、会場は歓声に包まれた。撮影時、アンとどのように仲良くなっていったのか?という質問に武井くんは「(現場は)すごく暑かったので、アンはベロを出していて、かわいそうでした。氷をくっつけてやったり、うちわで扇いだりして自然と仲良くなりました。今日も、ちゃんと僕のことを覚えていてくれれて嬉しかったです!」と笑顔で語った。アンを自転車の前かごに乗せて漕ぐのは大変だったようで「アンが結構重くて、フラフラしちゃうんです。だから家で、10キロの米をかごに乗せて漕いだりして練習しました」と努力家の一面も見せた。大志は父親に黙って旅に出るが、武井くん自身、親に黙ってどこかに出かけた経験は?と尋ねると「まだそれはないです」とのこと。だが「かくれんぼやみんなを驚かせるのは好きですね。体が小さいので、机の下の狭い隙間に隠れてみんなをびっくりさせたりしたことはあります」と得意げに語った。阿部さんはなぜか、“机の下”というのが気になったらしく「ベッドの下じゃなくて机?」と尋ねたが、武井くん曰く「ベッドは見つかりやすい」とのこと。子供たちの事情に阿部さん「なるほどね…」と納得の様子。阿部さん自身は子供の頃を思い返し「秘密基地を作って、家の目覚まし時計を持ち込んだりしてました。でも、親って気づくものなんですね。いつのまにか時計は家に戻ってました(苦笑)」と懐かしむような口調で語った。そしていざ、自分が大人になって、父親になってみると、親に黙って旅に出る子供については「びっくりですね。親に黙って小豆島まで行く子供って…」と心配そうな顔も。「成長してくれたら嬉しいですが、少し怖くもありますね。でも、この映画は怖いことばかりじゃないって教えてくれます」と優しい表情で語った。鈴木さんは、この日の浴衣について「クレマチスの花の柄です。実家の母が育てていたので嬉しいです」と笑顔を見せた。「最近は、夏を感じることも少なくなってしまい、このイベントのおかげで今年初めての浴衣です。こんなことではいけないな、と思ってます」と苦笑交じりに語った。自転車で旅するならどこに行きたいか?という質問を3人にすると、武井くんは「空気がおいしいところがいいです。川とかがあって涼しいところで、アンと一緒に水遊びがしたいです」とコメント。一方、阿部さんと鈴木さんは共に「自転車を持ってない」そう。阿部さんは「まずは自転車が欲しい」と語り、さらに武井くんの浴衣を見て「自転車の柄の浴衣もほしいですね」と付け加えた。鈴木さんは「犬を2匹飼ってるんですが、若い方の犬をかごに乗せて走りたいですね」と答えたが、これに阿部さんは「若くない方の犬はダメなんですか?」と少し哀しげにツッコミを入れた。鈴木さんは笑いつつ、「おばあちゃん犬なんで、かごに乗せると負担がかかるかな、と思ったんですが、むしろ彼女をかごに乗せてやって、若い方の犬は、走って付いてきてもらいましょうか…」と想像を膨らませていた。最後に3人に、これから映画を観る観客に向けてのメッセージを求めると、武井くんは「この映画は、いろんな人と出会い、助けられながら旅をする物語なので、観た人がいろんな人に優しくしてあげられるようになると嬉しいです。夏の思い出にしてください!」と呼びかけた。11歳とは思えない完璧な挨拶に阿部さんも鈴木さんもタジタジ。阿部さんは「いや、もういいです。本当にその通りです。なんか、いいなぁ…(笑)」となぜか照れくさそう。鈴木さんも「全て武井くんが言ってくれました」と息子の姿に感動した様子だった。『僕とママの黄色い自転車』は8月22日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:ぼくとママの黄色い自転車 2009年8月22日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2009「ぼくとママの黄色い自転車」製作委員会■関連記事:温かくて強い、家族愛を描く『ぼくとママの黄色い自転車』試写会に5組10名様ご招待阿部サダヲ、鈴木京香とのアンバランス夫婦に「お前とそれか?みたいなパターン…」
2009年08月12日