こんにちは、恋愛デトックスカウンセラーの下村さきです。偶然、素敵な人と出会って紆余曲折ありながら付き合うことになり幸せな結婚をする・・・これが『運命の恋』だと思っていませんか?しかし、あまり思い込みが強いと、本当に自分の人生で大きな影響を与える「運命の恋」を取り逃してしまうかも。そこで今回は、『運命の恋』をしたと思う女子たちから『運命の恋』とはどんなものなのかを聞いてきました!■『運命の恋』は、ひとつじゃない「別れたあとに、『この人は運命の人じゃなかったんだ!』とか言う人いるけど、運命の恋ってひとつじゃないから、やりようによっては、別れた彼とも運命の恋だったのかも。たとえば死別して再婚した人にとっては、最初の結婚も二度目の結婚も運命の恋じゃない?」(30代/主婦)別れたあとや付き合いに至らなかった男性に対して「この人は違ったんだ!」と思ってしまいがちですが、そもそも運命の恋はひとつとは限りません。「これは違う!」と切り捨てずに、出会った全てを『運命の恋』ととらえて真剣に向き合うことで、その相手が「運命の相手」と思える恋愛になるかもしれません。そして、そうやって一生懸命恋愛をすることで、恋愛力が上がるのかもしれませんね。■『運命の恋』は、必ずしも結ばれるとは限らない「すごく好きだった男友達がいたけど、想いを告げずに友達を貫いて別の人と結婚した。結婚決まったって報告したときに『おまえのことずっと好きだったから複雑な気持ちだけど、幸せになれよ』と言われて号泣。こんな恋もあるのかと思った」(20代/教育)『運命の恋』というと、その相手と幸せな恋愛・結婚をするイメージを持ちがちですが、必ずしも結ばれるとは限りません。それを含めて『運命の恋』。結ばれなかった相手に執着しすぎず、「あの人と私はこういう運命だったんだな」と思って気持ちを切り替えることも大事です。■『運命の恋』は、最初からわかるわけじゃない「大好きだった彼にフラれて傷心しているときに出会った人と勢いで交際・結婚。流されたことに周囲はかなり心配してたけど、いま私はとても幸せです。主人が運命のひとだったんだと思えます」(30代/主婦)『運命の恋』だと気づくタイミングは、人によって様々。終わったあとに気づくことも、結婚してから気づくこともあるのです。「この人とはうまくいかない」と思い込まずに、まずはいま隣にいてくれる彼との恋愛を楽しむ努力をしてみてはいかがでしょうか。■『運命の恋』は、ふたりで決めるもの「厳しいことを言うと、恋愛はふたりでするもの。いくら自分が『私たちは運命なの!』と主張しても、相手がそう思ってくれるとは限らない。追いかける恋が悪いとは言わないけど、ある程度現実を見ないと他の大切な恋のチャンスを見失うと思う」(30代/IT)ひとりの男性を追い続けるのも良いですが、それによって他の恋のチャンスを逃してしまうのはもったいないことです。「運命の恋」というのは、自分が「運命の人だ」と思った相手との恋、という意味ではありません。お互いに「運命だ」と思えるぐらい大切にできてこそです。自分自身が人を大切に思う気持ちもちろん大事ですが、「互いに思い合う気持ち」が運命の恋には重要ですよ。■おわりに『運命の恋』は、追い求めて手に入れられるものではありません。紹介したことを頭に入れて、もっと柔軟に恋愛を楽しんでみてくださいね!(下村さき/ライター)(ハウコレ編集部)
2017年03月05日「運命の人に出会いたいなぁ~」「運命の人ってどんな人かなぁ~」などと口にする女性は多いですよね。でも、冷静に考えてみると「運命の人」っていったいどういう人?何を基準にしているのでしょうか?今回は「運命の人」に出会うためには、どうしたらいいのか?という部分に的を絞ってお伝えしていきます。■運命の人って本当に見つかるの?実は運命の人は待っていても来ないし、出会おうと思っていても出会えるものではありません。そう聞くとちょっと信じられない気もするし、なんとなくショックですよね。運命の人は待つものではなく「自分で作るもの」なのです。例をふたつ挙げましょう。ある男性と出会いデートに誘われたとします。彼はやさしく、何でも言うことを聞いてくれて、あなたに対して怒ったりイヤな顔をしたりしません。もうひとつはこちら。ある偶然がきっかけで、顔やファッションが自分の好みにピッタリの男性と出会いました。彼は、今は恋人もいないし家も近くなのでいつも家まで送ってくれます。おそらく、どちらのパターンもあなたは「運命の人にやっと出会った!」と思い込み、彼以外は見えなくなるでしょう。しかし残念ながら、この後お付き合いが始まっても、すぐに破局し「運命の人だ!」と大騒ぎをしていたこともすっかり忘れてしまう可能性が高いのです。■あなたにとっての運命の人の意味を知るいくら最初に親切にされて運命の人だと思ったとしても、時が過ぎれば彼は言いなりにはなってはくれなくなるし、やさしさも薄れていきます。誰だって、付き合い初めはやさしくて愛想が良いのが普通です。でも、時間が経つにつれて、最初の頃に感じていた「運命の人だ!」という気持ちは消えていくもの。これにはいろいろな理由がありますが、実は根本的に大きな勘違いがあるのです。ほとんどの女性が「運命の人は、私のことをやさしく扱ってくれて、幸せにしてくれる人」と思っています。きっと、あなたもそう思っているのではないでしょうか?このような考え方を持っていると、彼が少しでも冷たくなったり、自分以外の人にやさしくしたりしたら、彼に対する好きという気持ちはすぐに冷めてしまいます。しかし、彼にしてみれば、彼女にやさしくするのは相手に愛されたいと思うからであり、彼女の態度次第では、冷たくしたり怒ったりするのはごく自然なことです。つまり、やさしくなくなったのは彼だけのせいではなく、あなた自身にも原因があるということなのですね。■お互いの気持ちが一番大切私だけにやさしいから運命の人だと感じたけど、彼の態度が変わったので運命の人ではないと思い、別れてしまった…このような経験をした人は、本当にたくさんいるでしょう。彼だって彼女にやさしくされたいし、愛されたいと思っています。それに、彼女がやさしさや愛をくれるからやさしくできるのです。よく考えれば当たり前のことなのですが、人を好きになったり恋をしたりした時は、周りが見えなくなって、物事をあまり冷静に判断できません。もし、本当に運命の人に出会いたい…この人こそが運命の人って思いたいのなら、「彼に愛されたい」「やさしくされたい」「大切にされたい」と願うのではなく、「彼を愛したい」「やさしくしたい」「大切にしたい」という考え方に切り替えなければいけないのです。この気持ちを男女ともに持てたら、その出会いは「運命の出会い」となり、お互いが「運命の人」となるでしょう。■最後に運命の人は待っていても来ないという意味、わかりましたか?当たり前の話ですが、愛をふくらませることの基本中の基本なんですよ。ほとんどの人は相手に愛されたいと思いがちですが、自分から「愛したい」と強く意識して行動することで、運命の人はきっと見つかるでしょう。もしかしたら、最高の出会いはすぐ近くにあるかもしれませんね。ライタープロフィールバニラ美容業界に30年近く関わり、エステテティシャン、カウンセラー、サロンオーナーなど常に第一線でお客様と接する。現在は美容系、メンタル系の資格や経験を活かし、講師やコンサルティング業の他に、美容スペシャリスト&ライターバニラとして活動中!
2017年03月02日20世紀の幕開けとともに彗星のごとく現われ、スキャンダラスな逸話と挑発的な名画の数々を残して、28歳の若さで早世した異端の天才画家エゴン・シーレ。その愛の物語を描く『エゴン・シーレ死と乙女』から、複雑に入り組んだ彼の恋愛模様を象徴する本編映像がシネマカフェに到着した。第一次世界大戦末期のウィーン。表現主義を代表する天才画家エゴン・シーレはスペイン風邪の流行によって、妻エディットとともに瀕死の床にいた――。時を遡ること、1910年。美術アカデミーを退学したシーレは、同世代の画家仲間と“新芸術集団”を結成、16歳の妹ゲルティをモデルにした裸体画で頭角を現していた。そんなとき、ヌードモデルのモアと出逢う。褐色の肌を持つエキゾチックな彼女をモデルにした大胆な作品で一躍、脚光を浴びるシーレ。その後、敬愛するグスタフ・クリムトから赤毛のモデル、ヴァリを紹介されたシーレは、彼女を生涯のミューズとして数多くの名画を発表。幼児性愛者という誹謗中傷を浴びながらも、2人の信頼関係は、文字通りシーレを時代の寵児へとのし上げていく。しかし、第一次世界大戦が勃発。シーレとヴァリの関係も、時代の運命に翻弄されてしまう――。16歳でヌードモデルを務め、敬愛する兄を献身的に支え続けた妹ゲルティ、そしてクリムトのモデルを経て、シーレとは公私にわたるパートナーとなった赤毛のヴァリ。数多くのモデルと浮名を流したシーレにとって、とりわけ大きな存在となった2人の女性との濃密な愛の日々を通じて、芸術を追求し続けるシーレの姿を、本作では赤裸々に描き出す。シーレ役には、モデル出身で本作が長編映画デビューとなる新星ノア・サーベトラが大抜擢。プレイボーイで非情、野心的なシーレを、その儚げな美貌とともに説得力たっぷりに息づかせた。今回解禁となった本編映像は、シーレの最高傑作といわれる「死と乙女」が中央に飾られた展示会の様子を収めた1シーン。幼い子どもの手を引き、建物に足を踏み入れるのは、シーレの妹ゲルティ。彼女は兄シーレへの当てつけのように、兄の友人と結婚した。また、ゲルティが挨拶を交わしている女性は、シーレの妻エディット。その一方で、展示会の中心に飾られた「死と乙女」のモデルは、公私にわたるパートナーとして彼の美のミューズであり続けたヴァリだ。実は、超絶イケメンであり非情なプレイボーイでもあったシーレの複雑な愛の模様を描いている象徴的なこのシーン。撮影されたのは、実際にウィーンにある「セセッション館」というウィーン分離派の展示施設。「死と乙女」の上にあるクリムトのベートーベン・フリーズという絵画は、いまでもそこに飾られている。本シーンでは、壁一面にシーレの絵が展示されているので、目を凝らしてみてほしい。『エゴン・シーレ死と乙女』は1月28日(土)より Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月21日奇想の画家とも呼ばれるジュゼッペ・アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo)作品を集めた「アルチンボルド展」が、6月20日から9月24日まで東京・上野の国立西洋美術館で開催される。ジュゼッペ・アルチンボルドは、16世紀後半にウィーンとプラハのハプスブルク家の宮廷で活躍した画家。果物や野菜、魚や書物といったモチーフを思いがけないかたちで組み合わせた、寓意的な肖像画を多く手掛け、自然科学に深い関心を示したマクシミリアン2世や、稀代の芸術愛好家として知られるルドルフ2世といった神聖ローマ皇帝たちにも寵愛されていた。今回開催される「アルチンボルド展」では、世界各地の主要美術館が所蔵するアルチンボルドの油彩約10点を中心に、アルチンボルドのイメージ世界の生成の秘密に迫る。
2017年01月17日クリムトと並び世紀末ウィーン美術史に燦然と輝く天才画家エゴン・シーレのわずか28年の生涯と、彼が遺した名画「死と乙女」に秘められた女性との愛の物語を描く『エゴン・シーレ死と乙女』。このほど、さまざまな性的指向を疑われたエゴン・シーレが愛した2人の女性との“未公開写真”が、シネマカフェにて解禁となった。20世紀の幕開けとともに彗星のごとく現われ、スキャンダラスな逸話と挑発的な名画の数々を残しながら、わずか28歳で早逝した異端の天才画家エゴン・シーレ。演じるのは、モデル出身の新人イケメン俳優ノア・サーベトラ。プレイボーイで非情、野心的なシーレを、眼を奪う白皙の美貌とともに説得力たっぷりに息づかせている。数多くのモデルと浮名を流したシーレにとって、とりわけ大きな存在となった2人の女性――16歳で兄の絵のヌードモデルを務め、敬愛する兄を献身的に支え続けた妹ゲルティ、そしてクリムトのモデルを経て、シーレとは公私にわたるパートナーとなって彼の美のミューズであり続けたヴァリ。今回到着したのは、シーレの実妹のゲルティが裸で横たわるカットをはじめ、2人が絵のモデルとしてエロティックなポージングをとっている未公開写真だ。本作の脚本家のヒルデ・ベルガーは、妹ゲルティについて「シーレとゲルティの関係は、互いに相手を所有しようとする関係でした」と明かす。「ゲルティはシーレの最初の裸体モデルで現在でも、たくさんの有名な絵に彼女の姿を見ることができます。シーレが描いた『腕を組んで立つ少女の裸像 』――この絵の彼女は、薄い、両性具有的な肉体をしていて、まだ胸の膨らみもありません。これはシーレが理想とする女性の姿でもあり、いつもこのようなやせた少女の体を探していました。子どもから大人へと変わっていく過程にある女性たちに、シーレはとりわけ強い関心を抱きました」と語っている。そして、ヴァリについては「シーレの生涯で、最も大切な女性の1人でした」とコメント。「ヴァリは全面的にシーレを支えて、彼のためにモデルも探したり、イレングバッハの小さな家に住んでいたころ、彼女はシーレの絵を客に売るために本屋も開きました。彼女は全てに耐えます。シーレに別のガールフレンドがいても、彼女は耐えました。大事なことは彼のそばにいることだったからです」と、彼女の愛を讃えている。エゴン・シーレ没後、約100年。ヴァリをモデルにした彼の最期の作品にして、最高傑作「死と乙女」に秘められた愛の伝説を映し出す本作。時代の寵児へとのし上がっていくシーレを支えた2人の女性を、これらの写真からも見つめてみて。『エゴン・シーレ死と乙女』は1月28日(土)より Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月07日イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)が、画家の山口歴とコラボレーション。全国に先駆けて1月6日、エルトブ テップ イッセイ ミヤケ / ギンザ(ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE / GINZA)にてアイテムを先行発売する。また同日から31日まで、同店のメイン・ウィンドウを山口が今回のために特別に描き下ろした新作が飾る。山口歴(やまぐちめぐる)は、“筆跡/ブラシストローク”を現代の表現に昇華した作品を発表し続けるニューヨーク・ブルックリン在住のアーティスト。今回の特別展示では、山口が筆跡をカットしてコラージュを制作する独自の手法「カット&ペースト」で生み出した、四角という枠組みを越えてキャンバスから浮き出した立体作品「OUT OF BOUNDS」と、イッセイ ミヤケ メンがコラボレーションしたアイテムが展開される。アイテムラインアップは、シルクスクリーンを幾版も使用して刷り重ね、染料と顔料を組み合わせて凹凸感と光沢を出したシャツ(半袖/5万円、長袖/5万2,000円)や、軽やかなレーヨン生地にインクジェットプリントで「OUT OF BOUNDS」の作品を落とし込んだ大判ストール(2万8,000円)、「OUT OF BOUNDS」の作品を全体に転写プリントしたデニム(4万8,000円)など。薄手のコットンジャージー素材に、花をモチーフにした「ALL SOUL」シリーズをプリントしたカットソー(3万円)も登場する。さらに、エルトブ テップ イッセイ ミヤケ / ギンザのメイン・ウィンドウには、山口が今回のために特別に描き下ろした新作を展示する他、店内にはシリーズ作品「OUT OF BOUNDS」も見ることが出来る。なお、同コレクションはエルトブ テップ イッセイ ミヤケ / ギンザで先行発売された後、2月1日より全国展開される。
2017年01月06日COS(コス)は、アメリカ人画家アグネス・マーティン(Agnes Martin)の作品からインスパイアされたカプセルコレクションを2016年10月7日(金)よりCOS青山店で発売する。20世紀を代表する画家の一人アグネス・マーティン。鉛筆による繊細なラインを活かした作品制作を得意とする彼の美学は、同時代のアーティストだけでなく、現代にも多大な影響を与えている。今回は、彼の作品から象徴的な幾何学的構成にヒントを受け、メンズとウィメンズそれぞれに12ピースのユニークなコレクションを作り上げた。メンズラインからは、スタンドカラーのシャツや胸ポケット付きのジャケット、ウィメンズラインからは、膝下丈のラップスカートやウエストリボンがポイントのブラウスなどが展開される。いずれも柄(パターン)やシルエットに、グラフィカルな遊びをプラス。アーティスティックな印象でありばがらも、シーンやシーズンを問わず着用できるミニマルなピースに仕上がっている。【アイテム詳細】COS×アグネス・マーティン カプセルコレクション発売日:2016年10月7日(金)取扱い店舗:COS青山店■メンズ・ジャケット 27,778円・ニット 21,296円■ウィメンズ・スカート 12,963円・ブラウス 12,037円
2016年09月08日画家であるゴッホと彼を支え続けた弟テオの半生を描く『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』の上演にあたり、韓国発のこのミュージカルを日本版として創作していく3人が顔を揃えた。上演台本・演出の河原雅彦、ヴィンセント役の橋本さとし、弟テオ役の岸祐二である。韓国では、キャストふたりだけで濃密な物語を紡いでいくこと、さらに、プロジェクション・マッピングを駆使し、ゴッホの絵画がそのまま美術の一部になったりする舞台美術が話題を集めたこの舞台。さて、日本版が目指すものは。ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』チケット情報韓国での公演を目にしてきた河原は、やはりプロジェクション・マッピングの使い方が印象に残ったそうだ。「今はマッピングと芝居が連動する舞台も珍しくないんですけども、より細かく複雑な使い方をしていて、面白いアイデアがいっぱい詰まっていた。ここでの映像は、すでに作品の一部として内包されていて、細部まで仕上がっているので、それは構造上外せない。その分じゃあ、演出として何ができるのかと思いヴィンセントとテオの関係を調べていくうちに気が付いたのは、ふたりはただ狂った兄とやさしい弟ではなく、もっと人間っぽかったということ。いびつで生々しいふたりを提示することで、韓国版とはまた違うエンターテインメントを作れるんじゃないかと思ってるんです」。橋本も言う。「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホといえば狂人的なイメージがあるけど、おそらく彼としてはただ普通に生きてるだけだったと思うんです。それが周りの常識からはみ出していただけで。だから、僕としてはどこかのほほーんと存在していたいなと思うんですね」。そのヴィンセント本人が無意識に放つものを信じ続けたテオを岸は、「兄を助けることが自分の救いになるという共依存の関係だったんじゃないか」と分析し、「そういう根底にあるいびつな感情とか、感情のぶつかり合いを、この作品では音楽に乗せることで見やすく変換しているんです」と付け加える。「あの爽やかな曲のなかにいびつさをどう出していくか。陽のメロディのなかに陰な部分を組み入れることで、ヴィンセントとテオのエキセントリックで複雑なものが出たらいいなと思いますね」と橋本も意欲的だ。「韓国版のように『こんな兄弟愛、素敵でしょ?』というシンプルな手触りにはならないと思います(笑)。でも、ふたりのこの過剰さは、ピュアだから生まれたものだし、過剰さは時にファンタジーにも似た感動を覚える。ゴッホって色々な切り口で語れる面白い題材だなと改めて思います」と河原が最後に語る。どこまでも突き抜けて生きた人間を観ることは、それが叶わない現状を少しでも打破する力になるかもしれない。公演は9月2日(金)東京・かめありリリオホール、9月7日(水)から24日(土)まで東京・紀伊國屋サザンシアターにて。チケットの一般発売は7月23日(土)午前10時より。取材・文:大内弓子
2016年07月04日ダイアナ・ガバルドンのベストセラー小説を原作に、18世紀のスコットランドにタイムスリップしたヒロイン、クレアの数奇な運命を描く「アウトランダー」。今秋Blu-ray&DVDのリリースも予定されている同作のシーズン2突入を記念し、クレアと恋に落ちるスコットランド戦士ジェイミーを演じるサム・ヒューアンが来日した。来日に合わせて開催されたファンイベントには、熱心な視聴者(特に女性!)の応募が殺到。演じる役柄共々、サム・ヒューアンは人気スターの仲間入りを果たした。何せサム演じるジェイミーは、好奇心旺盛で、肉体もたくましいスコットランド戦士。そんなジェイミーを演じるサム自身からも、役柄に通ずる魅力が感じられる。「ジェイミーは良くも悪くもアクティブだから、やたら戦いに巻き込まれるんだ(笑)。でも、彼のそういった面が僕は嫌いじゃないし、演じるのが楽しい。スタントもほとんど自分でこなしているよ。馬に乗り、剣を持って戦うのは大変だけれど、いい気分だね。僕自身、体を動かすのは大好き。ここのところ少し怠けた生活を送っているから、撮影中に僕を鍛えてくれたパーソナルトレーナーには怒られちゃうだろうけどね(笑)」。ジェイミーが、そしてサムが世の女性たちを夢中にさせるのは、もちろんアクティブな面からだけではない。劇中では、未来から来たクレアと18世紀を生きるジェイミーのロマンスが展開。未来の女性だけに進歩的で、知恵があり、意志も強固なクレアもさることながら、そんな彼女に偏見を抱かず、やがて秘密を知ってなお愛し抜くジェイミーが魅力的だ。「ジェイミーはありのままのクレアを受け入れる器の大きい男。未来から来たことを告白され、不思議な状況を理解し切ることはできなくても、彼はクレアを信頼し、受け入れるんだ。シーズン1の前半で、ジェイミーは彼女が何か秘密を抱えていると気づきつつも、彼自身が秘密を抱えていることもあり、訳ありな者同士として互いを尊重し合う。そんな彼らを運命の2人と言っていいかどうかは分からないけど、僕は運命の瞬間というものを意識して演じたかった。怪我をして、手当てをしてもらい、パッと目が覚めてクレアと目が合ったとき、彼女こそが運命の相手だとジェイミーは思ったのだと思う」。また、「ジェイミーのクレアに対する愛は高潔なもの」とも。2人の愛の軌跡に言及する。「僕たちの生きる現代に、彼らのような無条件の愛があるかどうかは分からない。でも、理想に思う人は多いんじゃないかな。僕自身もそんな風に人を愛せたらいいなと思う。シーズン1でも、シーズン2でも、ジェイミーとクレアの前には様々な壁が立ちはだかる。いろいろなトラブルに巻き込まれ、いろいろな衝突が起こるんだ。けれど、2人は互いを無条件に愛しているから、試練を乗り越えてより強固な関係を築いていく。どんなに邪魔が入ろうとね。それってある意味、むしろモダンな関係と言えるんじゃないかな」。「どんなに邪魔が入ろうと」。この一言で、シーズン1のクライマックスを思い起こした番組ファンは多いはず。イングランド軍の冷酷な将校であり、ジェイミーに異様な執着を見せる男・ランダルが、クレアとジェイミーの前に立ちはだかっていた。「ジェイミーとランダルの関係は、意志の戦いとも言える。ジェイミーは強固な意志を持つ男だから、ランダルに屈したりはしないんだ。そのせいで、ランダルは自分の思い通りにできないジェイミーに固執する。彼は人を支配して操るのが好きだからね。シーズン1のクライマックスでは、そんな2人の関係が顕著になる。ジェイミーを支えているのがクレアへの愛だと知り、ランダルは彼の中のクレア像を壊そうとするんだ。でも、体を支配することはできても、心を支配することはできない。本当に壮大なバトルだと思うよ」。さらに、ジェイミーとクレアの愛を揺るがすのは、ランダルだけではない。クレアが元いた世界で愛情を育んでいた夫であり、実はランダルの子孫にあたるフランクの存在も、クレアの心を引き裂く。「よくできたストーリーだよね。僕たちのドラマは原作以上に、クレアがジェイミーを愛するように、夫であるフランクを愛していたのだとしっかり描いている。だからこそ、クレアはジェイミーへの愛とフランクへの愛の狭間でものすごい葛藤を抱えるんだ。実を言うと、シーズン2の第1話は、これまでジェイミーを応援してくれていた人も、フランクを応援したくなる内容になっている。困ったことにね(笑)」。話の及んだシーズン2は、「よりスケールの大きい、緊迫した展開になる」とのこと。ジェイミーを演じ始めてから、すでに2シーズン。サム自身を取り巻く状況も激変した。「2000年に演劇学校を卒業して以来、僕はずっと俳優として活動してきたのだけど、だからこそ俳優という仕事の不安定さも感じているんだ。どんなに素晴らしい作品に巡り合えても、それが永遠に続くわけじゃないからね。『アウトランダー』のような作品に出演できて、こうして東京に招いてもらえるのが毎年続けばいいけど、そういうわけにもいかないだろうし(笑)。だから、僕はどんな仕事をするときも、初心に返ることを忘れないようにしている。そして、自分自身に関して学ぶ機会だと捉えるようにしている。そうすることで、恵まれた立場にある自分と適度な距離を保つことができていると思うんだ」。では、ジェイミーをあと何シーズン演じ続けたい?最後にこう尋ねると、地に足のついた彼らしい答えが返ってきた。「ジェイミーという男がどんな変化を遂げていくのか。それはもちろん原作を読めば分かることだけど、シーズン1と2だけを比べてみても彼は随分と変わった。だから、この先のジェイミー、そして自分が2~3年後、どうなるのかすごく楽しみなんだ。誰かに肩を叩かれて番組が終わるような状況は嫌だし、人気のあるうちに終わるのが理想だとは思うけど、できるだけ長く、変わりゆくジェイミーを演じ続けたいな」。(text:Hikaru Watanabe/photo:Nahoko Suzuki)
2016年05月22日画家・ロベール・クートラス(Robert Coutelas)の画業を集成した2冊組の大型作品集『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』の出版を記念した展示会「小部屋のクートラス」が、東京・恵比寿にあるナディッフ ギャラリー(NADiff Gallery)でスタートした。ロベール・クートラスは、1930年にパリに生まれ1985年に急逝したフランス人画家。厚めのボール紙にゼラチンで下地を作り、お尻を突き出した子供や炎の中の聖母子、ギロチン場で断罪される人、股間からのぞく顔など奇怪でユーモラスな図像を描いた、“カルト”とも呼ばれる小作品群「僕の夜 “Mes Nuits”」をはじめ、頭部や動物を象ったテラコッタの彫刻、グァッシュで描かれた多くの肖像画作品「僕のご先祖さま “Mes Ancetres”」などの作品を発表している。3月12日に発売された作品集『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』では、カルト、グァッシュの他、ロベールが生前売ることも散逸させることも望まなかった油彩の“リザーブ”と呼ばれる作品群をすべて収録。膨大に残されたデッサンやドローイングなども網羅した他、1999年にジャンヌ・マトション財団に寄贈された作品など主要な作品がほぼ全て詰め込まれた。今回開催される展示会では、同作品集の紹介をするとともに、パリのヴォージラールの小部屋から生まれ出たカルト作品や、グァッシュ、テラコッタ作品の一部などを展示。また、ロベール・クートラスの作品を長きにわたり撮影してきた写真家の平地勲氏による写真も併せて展示される。期間は5月8日まで。【展覧会情報】ロベール・クートラス展「小部屋のクートラス」―『ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』刊行記念展―会場:NADiff Gallery 住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T B1F会期:4月1日~5月8日時間:12:00~20:00休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)※5月2日は営業入場無料【書籍情報】『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』寄稿:小川洋子発刊:ECRIT上製・函入・二冊組/600ページ/303×215mm発売日:2016年3月12日価格:3万円
2016年04月01日●諦めなければ夢は叶う米航空宇宙局(NASA)は1月14日、2019年からの2024年までの国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を任せる企業を選出した。そのうちの1社であるシエラ・ネヴァダは、「ドリーム・チェイサー」と名付けられた、小さなスペース・シャトルのような有翼の宇宙往還機を開発している。ドリーム・チェイサーは半世紀近くもの長きにわたり、ソヴィエトと米国という2つの大国の中で歴史に翻弄され、轗軻数奇なる運命を歩んできた。
2016年01月22日●夢追い人、ついに宇宙へ米航空宇宙局(NASA)は1月14日、2019年からの2024年までの国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を、米国の民間企業オービタルATKとシエラ・ネヴァダ、スペースXの3社に委託すると発表した。このうち、シエラ・ネヴァダは「ドリーム・チェイサー」と名付けられた、小さなスペース・シャトルのような有翼の宇宙往還機を開発し、補給を行うことを目指している。これまでドリーム・チェイサーは、そもそもの源流となった計画から数えると半世紀近くもの長きにわたり、ソヴィエトと米国という二つの大国の中で歴史に翻弄され、轗軻数奇なる運命を歩んできた。今回は「夢追人」こと、ドリーム・チェイサーが、宇宙飛行という夢に追いつくまでの歴史を見ていきたい。○翼もつ宇宙機がふたたび宇宙を飛ぶ米航空宇宙局(NASA)は1月14日、2019年からの2024年までの国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を、米国の民間企業オービタルATKとシエラ・ネヴァダ、スペースXの3社に委託すると発表した。NASAは数年前から、ISSへの物資や宇宙飛行士の輸送を民間企業に担わせる計画を進めており、スペースXとオービタルATKはすでに2012年からその任に当たっている。オービタルATKが運用する「シグナス」補給船は完全な使い捨て型の船で、一度打ち上げて補給した後は再使用ができない。スペースXの「ドラゴン」補給船はシグナスと異なり、大気圏に再突入する能力をもち、機体の再使用もできるが、後者についてはこれまで実施されたことはない。またカプセル型の補給船であるため、再突入時にかかるGが比較的大きい。一方、今回が初採用となったシエラ・ネヴァダの補給船は、これら2つとは大きく異なっている。「ドリーム・チェイサー」と名付けられたこの補給船は、小さいながらも翼をもち、飛行機のように滑走路に着陸することができる。また再突入時に掛かるGもカプセル型より小さいため、ISS内の実験で生み出された、繊細な研究成果を持ち帰るのに適している。さらに機体は再使用でき、何度も繰り返し飛ばすことができる。まるで「スペース・シャトル」のような宇宙船である。ドリーム・チェイサーはもともと宇宙飛行士を乗せて飛ぶ有人宇宙船として開発されていたが、現在では完全無人型となっている。しかし、滑走路への着陸能力や、また再使用能力はそのまま受け継がれている。現在はまだ開発中だが、数年以内に実際に宇宙へ飛ぶ姿が見られることだろう。2012年にスペース・シャトルが引退して以来、翼をもつ宇宙機は米空軍の「X-37B」など、小型の実験機ぐらいしかなかったが、ついに人が乗ることができるほどの大きさの有翼の宇宙船が復活しようとしている。しかし、今日に至るまでのドリーム・チェイサーは、決して順風満帆だったわけではない。そもそもの源流となった計画から数えると半世紀近くもの長きにわたり、ソヴィエトと米国という二つの大国の中で歴史に翻弄され、轗軻数奇なる運命を歩んできたのである。○翼をもつ宇宙機翼をもつ宇宙機という存在は、宇宙開発の黎明期から多くの人々の心を捉え続けてきた。その開発に熱心に取り組んだ国のひとつ米国では、最初の有人宇宙船「マーキュリー」が開発されるよりも前から、翼をもつ軍用の宇宙船X-20「ダイナソア」が開発されていたし、その後も米空軍や海軍、NASAがそれぞれ有翼の宇宙機、あるいは胴体そのものが翼となるような宇宙機、航空機の研究開発を続けられた。こうして長年育まれてきた技術は最終的に「スペース・シャトル」として結実し、数多くの宇宙飛行士を宇宙に送り込み、宇宙実験や国際宇宙ステーションの建設で活躍した。一方、米国と世界の覇権を競っていたソヴィエト連邦でもまた、翼をもつ宇宙機の研究は活発に行われていた。その発端は米国と同様に宇宙開発のかなり早い段階にあり、ガガーリンが乗ったことで知られる「ヴァストーク」宇宙船の開発時には、すでに翼をもった機体が検討されていたことが知られている。もっとも、当時の技術力などから、ヴァストークは最終的に球形のカプセルとなった。その後もソ連は翼をもった宇宙機の開発にいそしんだ。もちろん計画倒れに終わったものも数多いが、5機の「BOR」という試作機が造られ、1969年から1988年にかけて飛行試験を行ったことが知られている。BORとはロシア語で「無人の軌道ロケット飛行機」を意味する文の単語の頭文字から取られている。ソヴィエトでは当初「スピラーリ」と名付けられた、米国のスペース・シャトルよりも小型の宇宙船を開発することが計画されており、そのため一部を除くBORは、スピラーリを縮小したような格好をしていた。しかし、米国がスペース・シャトルを完成させたことで、軍部が同等の性能をもつ大型の宇宙船の開発を要求。その結果、スピラーリ計画は廃棄され、後に「ブラーン」として知られることになる、いわゆる「ソ連版スペース・シャトル」の開発が始まることになる。スピラーリは消えてもBORシリーズは生き残り、ブラーンの開発に必要な要素の実験機として活用されることになった。BORはシリーズを通して6種類が製造され、そのうちBOR-1からBOR-4までは、スピラーリを小さくしたような形状をしている。BOR-1はスピラーリの3分の1の大きさの機体で、1969年に軌道に乗らない飛行(サブオービタル飛行)で宇宙空間から大気圏に再突入してデータを収集。BOR-2は1959年から1972年にかけて4機が打ち上げられ、地上に帰還している。BOR-3は1973年と74年に2機が飛行したが、2機目は飛行中の事故で破壊されたという。そして1980年には、スピラーリの2分の1ほどの大きさをもつBOR-4が開発された。知られている限りでは7機が製造され、そのうち3機がサブオービタル飛行、4機が1982年から84年にかけて宇宙飛行を実施しているとされる。この中で、1982年6月4日に行われた、おそらく最初の宇宙飛行が、歴史が動く契機となった。●オーストラリア軍が姿を捉えた「謎の宇宙船」○ソ連からやってきたずんぐりむっくりな機体BOR-4の、おそらく4号機とされる機体は、1982年6月4日に「コースマス3」ロケットで宇宙に向けて打ち上げられた。そして軌道を1周した後、大気圏に再突入し、インド洋に浮かぶココス諸島から南に約560kmの海上に着水した。着水予定海域にはソヴィエト海軍の船が待っており、帰還したBOR-4を海から引き上げて回収し、本国に持ち帰ることになっていた。すべては秘密裏に行われるはずだったが、引き揚げ作業中に、彼らの上空にオーストラリア海軍の哨戒機がやってきて、BOR-4の姿が撮影されてしまったのである。ちなみに翌1983年にもBOR-4(3号機とされる)が打ち上げられ、同じ海域に着水したが、その際にも再びオーストラリア海軍による監視を受けることになった。これに懲りたのか、その後の2機では黒海に着水させている。オーストラリア海軍が撮影した「ソヴィエトの謎の宇宙船」の写真はすぐさま米国に送られ、中央情報局(CIA)で分析が行われた。当時、CIAはすでに「ソヴィエトがスペース・シャトルらしきものを開発しているらしい」という情報は握っていたというが、写っていた機体はどう見ても、スペース・シャトルとは似ても似つかない形状をしていた。スペース・シャトルは飛行機のような、ほっそりとした機首と大きな三角形の翼をもっている。しかしその機体はだんごっ鼻で、翼も小さなものが生えているだけの、ずんぐりむっくりとした形をしていた。そこでCIAは、NASAのラングレー研究センターに調査を依頼した。NASAでは胴体そのものが翼のように揚力を発生させる「リフティング・ボディ」という機体の研究開発が行われており、ラングレー研究センターもその研究の中核を担っていた。彼らならこの機体の正体がわかるのではと考えられたのである。彼らは映像を分析し、またその映像から模型を作って風洞試験にかけたところ、大気圏再突入直後の極超音速域から、滑走路着陸前の亜音速域に至るまで安定して飛行できる、高い飛行特性をもつ宇宙機であることが判明した。その性能は、かつて自身らが研究していた「HL-10」という機体よりも高いものであったという。この性能差は、まさにだんごっ鼻のおかげで生まれているものだった。一方で、随所にHL-10との類似点も見つかっており、おそらくソヴィエト側がHL-10の写真や資料を参考にしたものと考えられた。ソヴィエトのブラーンは、無人の試験機が1回飛んだだけで計画は中止され、BOR-4もまた試験機以上の役割を与えられることはなかった。一方NASAは、国際宇宙ステーション(当時はまだ「フリーダム」と呼ばれる、西側だけで造る宇宙ステーション計画だった)からの緊急帰還用の宇宙船、つまり脱出艇として、「HL-20」と呼ばれる宇宙船の開発を始めた。HL-20には明らかにBOR-4を分析した成果が盛り込まれており、実際他ならぬNASA自身が「HL-20のアイディアはBOR-4から来ている」と述べている。だが、高価な開発費が米国議会で問題視され、1990年にHL-20の開発は中止される。それまでに製作された実物大模型などは、ラングレーの格納庫に保管されることになった。しかし、HL-20の、そしてソヴィエトの夢の欠片でもあるこの機体の運命は、ここで終わりはしなかった。【参考】・BOR-4・・NASA - They’re Trying to Make a Dream Come True・HL-20 Model for Personnel Launch System Research: A Lifting-Body Concept | NASA・The Dream Chaser: Back to the Future | APPEL – Academy of Program/Project & Engineering Leadership
2016年01月20日西洋美術史上もっとも偉大でワイルドな天才画家、カラヴァッジョ(1571~1610)。彼の作品などを紹介する展覧会『カラヴァッジョ展』が、2016年3月1日から上野の国立西洋美術館ではじまります。カラヴァッジョの人生は、まさに波乱万丈。ミラノ近郊生まれのカラヴァッジョは、故郷で修業したあとローマに移り、教会や礼拝堂の祭壇画を描いて名声を高めます。しかし、気性が荒く暴力沙汰を繰り返し、ついに殺人事件を起こしてローマから逃亡。ナポリやマルタ、シチリアへと逃げ続け、38歳で亡くなりました。若くして没したため現存する真筆作品が60点強といわれるなか、本展ではカラヴァッジョの傑作約10点が集結。日本では15年ぶりとなる本格的な回顧展です。カラヴァッジョ作品の特徴は、光と影のコントラストを生かした写実性とドラマチックな構図。臨場感にあふれ、見る者の心をつかむ強い力をもっています。たとえば、本展のチラシにも使われている作品《トカゲに噛まれる少年》は、ガラスの花瓶や植物の描写が驚くほどリアル。目を見開いた表情や手のポーズなどが劇的に描かれ、少年の心理状態まで伝わってきます。破滅的な人生を送った殺人犯であり、イタリアが誇る芸術家でもあるカラヴァッジョ。彼のドラマチックな作品を味わえる刺激的な展覧会、ぜひ足を運んでみて。イベントデータ:日伊国交樹立150周年記念『カラヴァッジョ展』会期:2016年3月1日(火)~ 6月12日(日)※休館日は月曜日(ただし、3月21日、3月28日、5月2日は開館)、3月22日(火)時間:9:30 ~ 17:30(金曜日 9:30~20:00)※入館は閉館の30分前まで会場:国立西洋美術館料金:当日一般 1,600円/大学生 1,200円/高校生 800円/中学生以下無料
2016年01月03日東京都・渋谷のBunkamura Galleryは、「ドン・キホーテ」の舞台として知られるスペインのラ・マンチャ地方に移住した画家の個展「阿部 幸洋 展」を開催する。会期は12月2日~12月9日。開館時間は10:00~19:30。入場無料。同展は、阿部幸洋の新作を中心に、油彩と版画作品を展示販売するもの。阿部氏は、1980年に日本を離れ、セルバンテスの名作「ドン・キホーテ」の舞台として有名なスペイン中心部に位置する歴史的な地域、ラ・マンチャ地方に移住。一日のほとんどの時間をアトリエで過ごしているという。1951年福島県に生まれ、美術研究所にて油絵を学び、スペインに移り住んでからは銅版画も手掛けている阿部氏の作品にあるのは、「光」とそのキャンバス内に浮遊する「空気感」だという。阿部氏は、モチーフとなっている家や丘や空を、光の変化によって浮かび上がる情景としてとらえ、観る側の想像を掻き立てる叙情的な世界観を描き続けている。単調な色彩から見て取れる光の変化には、画材や技法、筆致の徹底した追求と共に、高度な美質を目指す職人的な仕事ぶりを垣間見る事が出来るということだ。また、2014年10月に開催された、スペイン・トメジョーソのアントニオ・ロペス・トーレス美術館での展覧会では、阿部氏の作品は表現こそ異なるものの、地元で敬愛される歴代の作家たちの作品のように、その土地と光を感じさせ相通じるものがあるという評価を得たということだ。
2015年11月05日東京都・渋谷のBunkamura Galleryは、花と本を作品制作の礎とする画家の個展「笹尾光彦展花のある風景」を開催する。会期は11月18日~11月29日。開館時間は10:00~19:30。入場無料。同展は、笹尾氏が昨年発表した「The Book」シリーズを進化させた、花と本を存分に描いた新作の数々を発表するもの。笹尾氏にとって、花と本は愛すべき存在であり、部屋に飾る色とりどりの季節の花々、そして自身の書棚にある長年愛読しているアートブックから小説まで、常に身近にあったそれらが作品制作の礎となってきたという。同展では、AからZまでの頭文字からはじまる花を描いたブック型の立体作品や、人気シリーズ「The Shelf」の様々なアートブックが並ぶ本棚を描いた新作も登場する予定となっている。ポップな色使いと洗練された構図の中に描かれた花と本の数々は、力強い存在感の中にも笹尾の温かい眼差しが感じられ、来場者は、花屋と本屋に迷いこんだかの様な会場で、好きな花と心に残る一冊を見つけるように作品を見ることができるということだ。
2015年10月22日京都府・中京区の京都文化博物館は、縦横無尽に生きた画家・小川千甕の特別展「小川千甕展 縦横無尽に生きる~彼は、仏画師・洋画家・漫画家・日本画家だった。」を開催する。会期は12月8日~2016年1月31日(12月28日~1月4日・月曜休館、ただし祝日の場合は開館し翌日休館)。開館時間は10:00~18:00(金曜は19:30まで)。入場料は一般1,000円、高校・大学生700円、小・中学生400円。同展は、個人コレクションを中心に、初期から晩年に至る千甕の代表作約140点、仏画、スケッチ、書簡などの資料類を展示、その芸術を紹介する回顧展。小川千甕(1882-1971 本名・多三郎)は、京都の書店「柳枝軒」の家に生まれ、15歳で仏画師に師事するかたわら、浅井忠に洋画を学び、同じ浅井門下の千種掃雲、芝千秋らと丙午画会に参加、新傾向の日本画を描いた。同時期に京都市立陶磁器試験場の絵付け技手となったことをきっかけに「千甕」(せんよう・ちかめ)と号している。その後「ホトトギス」、「太陽」誌等に挿絵や漫画を発表し、大正4年には日本画家として平福百穂、小川芋銭、森田恒友らと珊瑚会に参加、大正10年からは院展日本画部にも続けて入選を果たした。昭和期には個展も多く開催し、昭和46年に90歳で没するまで、精力的な活動を続けたという。千甕は、浅井塾での平明な鉛筆画・水彩画にはじまり、大正期には各地を旅しながら、柔らかな色調で田園風俗を日本画にした画家で、昭和期には、墨を生かした独自の風景画へと展開、戦後には自讃を配したダイナミックな文人画で知られている。これらの作品は、近代における洋画と日本画、美術と文芸などの問題を考える上で重要な位置にあるという。力みのない朗らかな作風は、個性重視の近代にあって異色であり、画壇にとらわれずに自由な立場を貫いた、千甕の独自の哲学を示すものだということだ。そのほか、関連イベントとして、レクチャー「よくわかる小川千甕入門」(12月12日10:30~12:00)、特別講演会「小川千甕の魅力」(2016年1月9日10:30~12:00)が開催される。いずれも申し込み不要、先着順となる。また、学芸員によるギャラリー・トークが開催される。開催日は12月18日、12月19日、2016年1月16日、1月22日、1月23日。金曜日は18:00から、土曜日は14:00から30分程度行われる。
2015年10月21日デルヴォー(DELVAUX)が11月下旬より、15年ホリデーコレクションを発売する。ベルギー王国が誇る画家のルネ・マグリットへのオマージュとして製作された同コレクション。“雲”、“りんご”、“ボーラーハット”といったルネ・マグリットのアイコニックなモチーフに、デルヴォーならではの息が吹き込まれた。ブランドのシグネチャースタイル「タンペート GM」と「ブリヨン MM」には、インナーに雲プリントを採用。バックル部分のマグリットブルーで彩ったラッカー加工が、細部へのこだわりを感じさせる。「タンペート GM」のまるでリボンのようなハンドルにも、雲モチーフが採用された。その他、シルクスクリーンされたモチーフをキルト・ステッチで仕上げた小物も展開される。
2015年10月11日東京都・渋谷のBunkamura Galleryは、互いにリスペクトする画家と人形作家の展覧会「トレヴァー・ブラウン&三浦悦子 二つの聖餐 -闇から光へ-」を開催する。会期は11月6日~11月15日。開館時間は10:00~19:30。入場無料。同展は、互いにリスペクトする画家のトレヴァー・ブラウンと人形作家の三浦悦子の作品40余点を展覧販売するもの。ブラウン氏と三浦氏の作品で表現される少女たちは、皆傷を負ったもの、何かの理由で(あるいは自らの意志で)不完全な姿になったものが登場するが、痛々しい姿を淡々と誇らしくさらしている姿は不気味でもあり、愛おしくもある。彼女たちは、己の身体に傷や痣、縫い目など欠損があることを自ら美しいと確信しており、不完全故に完全な身体であることの優越性や、自己肯定の獲得により、屈折とは異なる自己愛が逆説的に他者への優しさに還元されてゆくことを伝えているという。世の中には、哀しく痛ましい過去や記憶から消去したい悲壮な思い出「心的外傷=トラウマ」をリセットをする為に自ら命を絶つものや、自傷に走るものが存在するが、それらは生きたいが故の生に対する逆説であると同展では分析されている。しかし、心の痛みや苦痛は臨界点に達すればその先にあるものは絶望や死ではなく、恐れから親しみへ、同展のタイトルにもあるように、「闇から光へ」コペルニクス的転回が起きると捉えているということだ。また、同展に合わせ、トレヴァー・ブラウンと三浦悦子の新刊画集をそれぞれ刊行。ふたりのサイン会が開催される。開催日時は11月14日16:00~。参加に際しては、作品・新刊画集の購入が必要となる。
2015年10月08日ハードコアチョコレートは、手塚プロダクションと、手塚治虫の漫画作品、アドルフという名前を持つ3人の男がたどった数奇な運命を描く不朽の名作『アドルフに告ぐ』(1983年~1985年)のコラボレーションTシャツを発売する。日本漫画界の巨匠・手塚治虫が描くアドルフの物語。第二次世界大戦前後のナチス・ドイツ、そして激動の日本を舞台に「ヒトラーがユダヤ人の血を引く」という機密文書を巡る壮絶な長編人間ドラマである本作では、アドルフ・ヒットラー、アドルフ・カウフマン、アドルフ・カミルという3人の「アドルフ」の運命が交錯し、哀しい未来へと進んでゆく。手塚治虫が描いた、ひときわシリアスでハードな社会派ドラマであり、手塚治虫晩年の最高傑作として高い人気を誇る『アドルフに告ぐ』がハードコアチョコレートよってTシャツ化。ストーリー終盤である、パレスチナ解放人民戦線で活躍するアドルフ・カウフマンの姿がデザイン化されている。Tシャツの価格は3,800円(税込)。「ハードコアチョコレート 東中野ヘッドショップ」や「ハードコアチョコレート オンラインストア」ほかにて販売されている。なお、ハードコアチョコレートでは、「手塚治虫×ハードコアチョコレート」シリーズとして、「ブラック・ジャック」「どろろ」「七色いんこ」「ドン・ドラキュラ」Tシャツも展開されているので、こちらもチェックしておきたい。
2015年10月07日軽井沢ブルワリーは、「THE軽井沢ビール」シリーズの冬季限定商品として、日本画家・千住博による雪景色デザインラベルビール「THE軽井沢ビール<浅間名水> 冬紀行(白ビール)」を発売する。販売開始は10月13日。価格は288円/本。同商品は、日本画家・千住博が2014年にオペラ「夕鶴」の背景として描いた、壮大な雪景色がデザインされた白ビール。これは「THE軽井沢ビール」シリーズの冬季限定商品として毎年販売されているもので、観る人を荘厳で静寂な雪の世界へと誘う芸術的な商品として好評を得ているという。今年からは冬のギフト商品限定で、千住博の絵本「星ふる夜に」のしおりがセットになった、お歳暮ギフト向けの冬紀行瓶ビールも用意されるということだ。また、ビールは選び抜いた小麦麦芽を用いた、上面発酵(エールビール)ならではの上品かつ繊細で、フルーティな香味が特長。酵母が入った淡い色調と柔らかな味わいは冬の温かい料理との相性が良い白ビールに仕上がっている。原材料は麦芽(大麦・小麦)、ホップ。アルコール分は5%。なお、千住博は1958年東京都生まれ、ニューヨーク在住の日本画家。1995年、代表作「ウォーターフォール」でヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門で名誉賞を受賞。1998年より大徳寺聚光院の襖絵制作にとりかかり、2002年の伊東別院完成に引き続き、2013年京都本院の襖絵も完成した。2007年~2013年3月まで京都造形芸術大学学長を務め、現在は東京藝術学舎学舎長。
2015年10月06日横浜美術館、 神奈川新聞社、 tvkは、横浜ゆかりの「変転の画家」・中島清之氏の回顧展「横浜発 おもしろい画家:中島清之―日本画の迷宮」を開催する。会期は11月3日~2016年1月11日(木曜、12月29日2016年1月2日休館)。開館時間は10:00~18:00(入館は17:30まで)。会場は横浜美術館。入館料は一般1,200円、 65歳以上1,100円、大学・高校生800円、中学生400円、小学生以下無料(すべて当日券の場合/前売り券あり)。同展は、画家・中島清之氏の16年ぶり(横浜では22年ぶり)の回顧展。初公開作品や画稿、スケッチを含む約130点を展観し、青年期から最晩年に至る清之の画業をたどり、主題や技法への関心のありようとその変遷を探っていく。また、 中島氏は一見すると同じ画家とは思われないほど、 常に新しい様式と手法に挑戦しつづけたことから、 「変転の画家」と評された。そのために「焦点が定まらない」といった厳しい批評を受けることもあったが、自由奔放で型にはまらない作品群は、 中島清之という作家像の焦点を絞り込もうとする鑑賞者を惑わせ、まるで「迷宮」に誘い込むかのような魅力を備えているという。なお、中島清之(なかじまきよし)[1899(明治32)年~1989(平成元)年]は、明治・大正・昭和の激動の時代に生きた画家。会社勤めをしながら休日は東京の松本(まつもと)楓(ふう)湖(こ)の画塾で伝統的な模写を学び、 早朝や深夜に制作に勤しみ、 25歳で日本美術院展覧会(院展)に初入選を果たす。以降4度、院展にて日本美術院賞を受賞。後に同人として活躍し、83歳で病に伏すまで、 生き生きとした作品世界を展開した。画家・片岡球子の師として、あるいは今日活躍する日本画家・中島千波(ちなみ)の父としても知られる。
2015年09月28日運命の相手だと思って付き合っていても、「なんか違う」と別れを迎えてしまうこともあると思います。意中の相手と街中で偶然の出会いを果たすと「運命!」と思うこともあるでしょう。しかし、本当に彼こそが運命の相手なのでしょうか。今回は、相手を運命の相手か判断するポイントをまとめてみました!■1.幸せにしたいと思える「理想としては自分が愛するよりも何倍も愛してくれる彼なんだけどね。いざ付き合ってみたら、もっと愛したいとか尽くしてあげたいって思えるようになったの。彼もそれにこたえてくれるかのように、私のことを際限なく愛してくれるから丁度良いのかも」(25歳/広告)恋人には「幸せにしてもらいたい」と思ってしまいますよね。女性なら特に幸せにしてくれる恋人を探してしまうと思います。ですが、幸せになりたいのは彼も同じです。自分だけ受身の体勢では運命の相手にも逃げられてしまいます。まずは「彼を幸せにしたい」と思える相手を探してみましょう。■2.違和感がない「顔も好みだしすごく優しくて良い彼なの。でも、なんか引っかかるというか・・・。言い方とか、食べ方とかなんか「ちょっと嫌」って思う部分がちょくちょくあるんだよね。」(23歳/美容)友人でも「いい人なんだけど、私にはちょっと合わないかも」と思うことってありますよね。恋人に特に不満を抱えているわけではないけれど、なにか引っかかりを感じて別れてしまう人も少なくはないと思います。そう思ってしまう相手はきっと「運命の相手」ではなかったのでしょう。彼に欠点があって不満があっても、彼が相手なら気にならないし、上手くやっていける。そんな相手は運命の人かもしれません。■3.理解しようと思える「今までの彼とは喧嘩して無理と思ったらすぐに別れてきたの。でも、今の彼とはどんなに深刻なケンカをしても「仲直りしたい」って思うし「きっかけはケンカでももっと理解し合いたい」って言ってくれるの。だから別れることは考えたことないなあ」(22歳/学生)恋人と喧嘩をして「もういいや、疲れた」と立ち止まることがあっても、結局はお互いのことを理解しようと思える相手が運命の相手です。喧嘩やすれ違いによって別れを選んでしまってもいいと思える相手は、運命の相手ではなかったのかもしれません。二人でいくつもの障壁を乗り越えていける強さを築いていけると、相手を理解しようとする前に別れを迎えることはなくなるでしょう。■4.ビビッときた「会った瞬間に「この人だ」って思ったんだよね。それも、顔で(笑)でも、いままで見てきた男性よりも輝いて見えて、理想の王子様に会えた気がしたの。本当にあの時は衝撃的だったよ」(25歳/飲食)運命の相手には特別感じるものがあるようです。それは彼の顔かもしれないし、声かもしれません。心に正直に感じたことを受け止めてみてください「運命の相手だ!」と本能が叫んでいるのかもしれませんよ!■おわりに運命の相手だからと言ってはじめから阿吽の呼吸とはいきません。何か特別感じるものがあって、時間をかけて一緒に愛を育むことで「運命の相手だったんだな」と感じることが出来るでしょう。(佐久間優/ライター)(下薗なおこ/モデル)(柳内良仁/カメラマン)
2015年09月25日ノエビアは、東京都・銀座のノエビア銀座ギャラリーにて、銅版画家・山本容子が描いたポートレートを集めた作品展「山本容子のアーティスト図鑑」を開催している。会期は2015年8月24日~10月30日。入場は無料。本展は、1995年に創刊された小冊子『本の話』(文藝春秋刊)の表紙画として、銅版画家・山本容子が描き続けたアーティストの肖像画を集めた作品展。会場では、17年にわたって描かれた191名の銅版画のポートレートから、日本人アーティストをピックアップして展示するという。なお、展示される作品には、持ち主の印として蔵書に貼られる"蔵書票"を意味する「EX-LIBRIS」の文字が書き込まれるなど、すべてが蔵書票のスタイルで描かれている。古くは紋章や肖像画をあしらった図案が用いられた蔵書票だが、今回展示される作品は、山本が大切に考えたという「作家の人物としての空気感」に重点を置いて描かれているとのこと。
2015年08月24日東京都・西新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館は、20世紀初頭のパリで活躍し、親しみやすく甘美な作品を描いた画家たちの作品を展示する「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20′s Paris」を開催する。会期は9月5日~11月8日(月曜休館、ただし9月21日・10月12日は開館)。開館時間は10:00~18:00(金曜は20:00まで)。観覧料は一般1,200円、大・高校生800円、65歳以上1,000円、中学生以下無料。同展は、印象主義や新印象主義といった前世紀のスタイルを受け継ぎながら、親しみやすく甘美な作品を描いたカリエール、アマン=ジャン、ル・シダネルら、「画家彫刻家新協会」のメンバーから、約20名の作家による作品約80点を展示し、20世紀初頭のパリで活躍した芸術家たちの作品を紹介するもの。「画家彫刻家新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)」は、若い芸術家たちの作品を発表する目的で結成されたグループで、おもにサロン出身の芸術家たちで構成され、1900年から1922年まで、パリのジョ ルジュ・プティ画廊で毎春展覧会を開催していた。彼らはフォーヴィスムやキュビスム等の前衛的な芸術運動に加わらなかったため、モダニズムを主体とする美術史の視点からあまり取り上げられることが無かったという。しかし見たままに描きながらも自然や事物に潜む詩情を表現した彼らの作品は、商業的にも批評的にも成功を得、会員の多くが万国博覧会で賞を獲得するなど、20世紀初頭におけるフランス美術界の一端を担うようになった。また、関連企画として、休館日に貸切の美術館で、ボランティアガイドと対話しながら楽しむ参加型の作品鑑賞会「ギャラリー★で★トーク・アート」が開催される。開催日時は10月19日14:00から2時間程度。参加費は1,000円(観覧料不要)、中学生以下無料。参加に際しては10月5日までに同美術館ホームページより申込が必要となる(申込多数の場合は抽選)。そのほか、同美術館学芸員が展示室で作品解説を行うギャラリートークが開催される。開催日時は9月11日17:30および9月12日13:30から、いずれも30分程度。参加費無料(要観覧料)、申込不要。
2015年08月21日東京都・銀座の松屋銀座は、画家バルテュスの未亡人、節子・クロソフスカ・ド・ローラの暮らしを紹介する「ド・ローラ・節子の暮らし展バルテュス夫人、スイス グラン・シャレで活きる日々」を開催する。会期は9月25日~10月5日。会場時間は10:00~20:00(10月5日は17:00まで、入場は閉場の30分前まで)。入場料は一般1,000円、高大生700円、中学生500円、小学生300円。同展は、20世紀最後の巨匠と称えられた画家バルテュスの未亡人、ド・ローラ・節子の美しく豊かな暮らしぶりを紹介するもの。節子氏は、文化・芸術に造詣が深かったバルテュスとの約40年にわたる西欧での生活でも日本人の和の心を大切にし、現在は、バルテュスとともに過ごしたスイス最大の木造建築、250年以上の歴史を持つグラン・シャレで家族とともに暮らしている。その暮らしぶりは決して華美なものではなく、祖母らから受け継いだ着物を身につけ、ガーデニングをこよなく愛し、友人や来客には四季折々に趣向をこらして部屋をしつらえ、食器やお料理にこだわり、手作りのおもてなしをする。同展では、着物や手作りの品、テーブルコーディネートや、手芸の部屋の再現、絵画作品など約180件が展示されるということだ。展示されるテーブルコーディネートには、朝食やアフタヌーンティーなど日々の食事、クリスマスなど特別の日のおもてなし、手作りの品や和と洋を取り入れ、春夏秋冬それぞれの季節に、グラン・グランシャレでの生活を彩る節子氏のおもてなしの心が表れている。また、節子氏がデザイン・原型制作をしたフランス・パリのアスティエ・ド・ヴィラット社の器を使ったテーブルセッティングも紹介されるということだ。また、一方で、節子氏はバルテュス財団の名誉会長やユネスコ平和芸術家などの社会活動のみならず、画家、随筆家としても活躍している。節子氏は20世紀最後の巨匠と称された画家、バルテュスの創作活動を妻として支えるだけでなく、自身も画家として活動し、これまでジュネーブ、パリをはじめ、2012年には南仏エクサンプロヴァンスにあるセザンヌのアトリエで個展を開催してきた。同展では、グワッシュによる静物画、インク絵、絵本の原画などが展示される。そのほか、会場ではスイスのグラン・シャレの家の内部や、花が咲き乱れる美しい庭、ロシニエール村の風景などが映像や写真で紹介されるということだ。
2015年08月10日ジョージア(グルジア)を代表する画家、ニコ・ピロスマニの半生を描いた映画『ピロスマニ』が、デジタルリマスター版として37年ぶりに公開されることが決定した。パブロ・ピカソに「私の絵はジョージアには必要ない。なぜならピロスマニがいるからだ」とまで言わしめた独学の天才画家、ニコ・ピロスマニの半生を描いた同作。名匠ギオルギ・シェンゲラーヤ監督により、名も知られず清冽に生きたピロスマニの魂とジョージアの風土や民族の心を描いた作品だ。物語の舞台は、19世紀後半のジョージア・チフリス(現・トビリシ)。幼くして両親を亡くし、流浪生活を始めたピロスマニは、やがて店の看板や壁に飾る絵を描きながら生活をするようになる。庶民はそんな彼に一目置いていたが、酒場で見初めた踊り子・マルガリータへの報われない愛がピロスマニを孤独にしていく。ある日、ピロスマニの絵がこの地を訪れた芸術家の眼にとまり一躍されるようになるのだが…。69年の製作当時、同作は国際的に高い評価を受け、日本でも78年にロシア語吹き替え版が公開されたが、37年ぶりとなる今回は『放浪の画家ピロスマニ』を邦題としてデジタルリマスター・グルジア語オリジナル版が上映される。『放浪の画家ピロスマニ』は11月21日より岩波ホールほか全国にて順次公開。
2015年08月02日運命の人に出会いたいという女子が多いからか、その手のコラムがWeb上で人気だそうです。どうやったら運命の人に出会えるのでしょうか。■運命の人の定義とは?そもそも、結婚してもすぐに離婚する人が多い世の中で、なにをもって運命の人と定義するのがベターなのか、すごく困りますよね。燃えるようなエッチをさせてくれる人?気持ちいいエッチと一緒にお金も持ってきてくれる男子と出会うこと?なにが「運命の人」なのでしょ~か?運命の人の定義、言えますか?おそらく多くの人が「運命の人」の定義を理路整然と言えないはずです。なぜか?結果論だからです。運命の人なんて言葉は、長年連れ添った夫婦が「まあいろんなことがあったけれど、この人が運命の人だったということね」(ずずずっと熱いお茶をすする)というふうに使うわけです。あるいは、幸せの絶頂にいる、これから結婚するふたりが「Oh!ロミオ!お前が運命の人だったのね」みたいに使うわけ。要するに結果論としての「運命の人」ということです。■運命の人との出会いかた勘のいい人はもうお分かりかと思いますが、あとから「この人が運命の人だったんだ」と思えるような人と出会おうと思えば、まずは一生懸命恋することです。運命の人とは結果論である、というのはそういうことです。テストで100点をとった、というのは、結果でしょう?それは、その人が一生懸命お勉強したから、そういう結果が生まれた、ということでしょう?恋もおなじです。まずは一生懸命恋することでしか、「いい結果」は得られない。■一生懸命な恋ってなに?いまどき、一生懸命なんて言葉、誰も信用していないかもしれないと思うので、過言しておきましょう。一生懸命恋するというのは、じぶんの感覚(感性)を磨きつつ、いっぱい失敗するということです。恋というのは、言ってみれば「ただの概念」です。だって「恋を100グラム下さい」とは言わないですよね。概念だから言えないのです。概念に対して真剣に一生懸命やるというのは、感性を磨くことであり、いっぱい失敗することにほかならない。音楽を一生懸命するというのに似ているかもしれません。音楽だって、「モノ」ではなく、ある種の概念です。だから感性を磨いて、いっぱい練習をして、いっぱい失敗して本番に臨むわけです。いっぱい失敗していれば、そのうち、ある日突然、感性が磨かれていることを自覚するにいたり、そのときには、これというパートナーがあなたのそばにいます。もっと平たく言えば、失敗しないと運命の人に出会えない。だから、後年、「(いろんな失敗もあったけど)この人が運命の人だったということね」・・・・・・ずずずっと熱いお茶をすする・・・・・・というふうになるわけです。()のところを言わないだけで、みんな恋の失敗をたくさんやらかして、やっとの思いで運命の人に出会うのです。恋には「楽しよう」なんてこと、通用しないのかもしれません。(ひとみしょう/ライター)(吉次玲奈/モデル)(柳内良仁/カメラマン)
2015年07月25日アイルランドに生まれ、19世紀末のヨーロッパで一世を風靡した作家オスカー・ワイルド。その唯一の長編小説で、究極の美青年ドリアン・グレイの数奇な運命を描いた『ドリアン・グレイの肖像』が今夏、G2脚本、グレン・ウォルフォード演出で舞台化される。中山優馬演じるドリアン・グレイと恋に落ち、やがて自殺に追い込まれる女優シビルを演じるのが、舞羽美海だ。舞台『ドリアン・グレイの肖像』チケット情報「シビルは小さな劇場でヒロインを演じている10代の女性。“芝居バカ”で、自分が生きる場所はここしかない!と思っているところは私自身とリンクします。そんなシビルが愛を知り、芝居ができなくなって死を選ぶところまで表現できるのは、女優として幸せなこと。これまでハッピーな役が多かったので、今回は大きな挑戦。自分の殻が破れるんじゃないかと思っています。原作を様々な翻訳で読みながら、イメージを膨らませています」。舞羽は役作りのため、稽古に入ると普段の生活も変えることがあるという。「舞台上でも、素の自分ってどこかに表れると思うんです。私は性格的に大雑把なところがあるので、いかに繊細に演技を作るかが生涯の課題。ドリアンの人生の歯車を最初に狂わせていく役なので、その意味でも繊細に、でも守りに入らず大胆に演じたいですね」と意気込む。舞台上に普段の自分が表れるとする彼女の考え方は、美と若さを保つドリアンの老いや醜さを肖像画が映し出すという本作の世界観に通じるかもしれない。「そうですよね。嘘をどれだけ本当にできるのかといったことも、この作品のテーマ。まず中山さんは、肖像画から出て来たように美しい方なので、それだけでこの作品の世界観の象徴のような存在。そんな中山さんとどんなキャッチボールができるか、私自身、楽しみにしています。オスカー・ワイルド特有の耽美な世界を感じつつ、舞台ならではのリアルさもあるものに仕上がるのではないでしょうか」。ドリアンは、『ロミオとジュリエット』のジュリエットを演じるシビルを観てひと目惚れする。既に宝塚歌劇団時代、ミュージカル版『ロミオとジュリエット』で同役は経験済み。「ミュージカル版では言葉も現代的でしたし、歌で感情表現できましたが、シェイクスピアの詩のような台詞をストレートプレイで表現するのは難しい」としながらも「シェイクスピアといえばお芝居の基本ですから、勉強し直すつもりで今、じっくりと読んでいます。女優として再スタートしたいんです」とする表情からは、決意の強さがうかがえた。今年はこの『ドリアン・グレイの肖像』、そして秋にはミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』ヒロイン・サラ役と、大役が続く。「この2作で、今年こそ、今までと違う自分に変わりたい。一生分を賭けるくらいの気持ちで、逃げずに自分をさらけ出して臨みたいです」。8月16日(日)から18日(火)・9月1日(火)から6日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場、8月22日(土)から26日(水)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、29日(土)・30日(日)福岡・キャナルシティ劇場にて。取材・文:高橋彩子
2015年07月24日「運命的な出会い」や「悲しい運命」…なんていう風によく使われる「運命」という言葉。でもこれってそもそもどういうもの?本当にあるの?心理占星術研究家の鏡リュウジさんは、こんなふうに考えているのだそう。***太古より、人々は運命を論じてきました。そして、それに深く関わってきたのが占星術。どちらも、時代とともに移り変わってきたものです。星の動きは運命を決める自然秩序であり、人間はそれに従うべきとされた中世。やがてルネッサンス以降は、人間の意思も運命に影響を及ぼせる、という考えが広がります。さらに20世紀の初頭になると、運命は自分の中にあり、自分を知ることが運を好転させるカギ、という思想が主流に。現在の、心理占星術の誕生です。運命は定められたフェイト(宿命)から、そこに向かって努力するためのデスティニー(目的地)へと変わり、人々はより積極的に運命と関わるようになります。けれど、こんなことを言ったら驚かれるかもしれませんが、個人的には、運命というものが本当に存在するかはわからないと考えています。なぜなら、たとえ何かで運命が変わったとしても、人はもうひとつの人生を生きることができないからです。でも一方で、確かに運命はある気がする。それはなかば与えられた感覚といえるもので、誰もがこんなふうに、運命を感じながら生きているのではないでしょうか。では、一体なぜそんな感覚を抱くのか。それは、私たち人間が他の動物と違い、唯一時間という概念を持つからだと考えられます。朝と夜が繰り返し訪れ、やがて自分たちは死ぬということを知っている。そしてそのいつかは終わる人生が、偶然の寄せ集めではないと、心の深い部分で信じているからだと思います。それを証明するために、人は常に、心のどこかでストーリーを紡ぎながら生きているのです。◇かがみ・りゅうじ心理占星術の第一人者として、多彩なフィールドで活躍。運命の概念史や、テクノロジー時代の占星術などにも関心を寄せる。京都文教大学の客員教授として教壇にも立つ。※『anan』2015年7月22日号より。写真・土佐麻理子(人物)、村上未知(風景) 文・新田草子
2015年07月16日1920年代よりフランスを中心に活躍した日本人画家の藤田嗣治(レオナール・フジタ)の半生を描いた、11月14日に全国公開となる映画『フジタ(FOUJITA)』のティザーポスターが公開された。1913年に単身フランスへ渡った藤田嗣治は、1919年に美術展覧会「サロン・ドートンヌ」に6点の作品を初出品し、すべて入選。「私の部屋、目覚まし時計のある静物」、「五人の裸婦」などの作品を発表し、高く評価された。1940年に戦時の日本に戻ると、「アッツ島玉砕」、「サイパン島同胞臣節を全うす」など数多くの戦争協力画を発表する。映画では、1920年に「乳白色の肌」で裸婦を描き、パリのモンパルナスを中心に活躍した芸術家たちの中で寵児となっていた藤田嗣治が、戦争を機に日本に戻り、数多くの「戦争協力画」を描いて日本美術界の重鎮に上りつめていく様が描かれている。主演の藤田嗣治役を演じるのはオダギリジョー。台詞の半分はフランス語という撮影に猛特訓で挑んだという。その他、5番目にして最愛の妻である君代役の中谷美紀を始め、加瀬亮、岸部一徳などのキャストが顔をそろえた。ティザーポスターでは、“パリが愛した日本人”というコピーとともに、画家として活躍するきっかけとなったと言われる「ジュイ布のある裸婦」と、「戦争協力画」の代表作でもある「アッツ島玉砕」の間に、アトリエでキャンバスに向かうオダギリジョー演じる藤田嗣治の写真を配置。フランスと日本、二つの国と時代に生きた藤田嗣治の二面性や複雑さが表現された。また、中谷美紀演じる君代との2ショット写真や、モンパルナスの女王と謳われたモデルのキキとのパーティシーンなども公開されている。
2015年07月02日