【おとな向け映画ガイド】志村けんから沢田研二へ『キネマの神様』、金と夢を取り戻せ!『明日に向かって笑え!』をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/8/1(日)植草信和さんの水先案内をもっと見る()平辻哲也さん(映画ジャーナリスト)「……沢田研二は、そのバトンを受け取り、志村さんの思いをまといながらの演技を見せる。……沢田なしに、この映画は成立しなかった。その決断には拍手を送りたい。……」平辻哲也さんの水先案内をもっと見る()笠井信輔さん(フリーアナウンサー)「……涙なしには観られないクライマックスに、これは山田監督の今は亡き奥様に対するラブレターなのではないかと強く感じた。」笠井信輔さんの水先案内をもっと見る()(C)2020「キネマの神様」製作委員会正直者たちがリベンジ!『明日に向かって笑え!』「アルゼンチン版“オーシャンズ11”」と紹介されることもありますが、そんなにカッコよくありません。ごく普通のおじさんおばさんによる金庫強盗です。でも、だからこそ痛快! 本国アルゼンチンで公開年1位の大ヒットとなった、実に楽しいエンタテインメント映画なのです。2001年。元サッカー選手、いまは細々とガソリンスタンドを経営する主人公フェルミンが、友人たちと農業協同組合を作ろうと、なけなしの金をかき集め、銀行に預けるのですが、国が金融危機に陥り口座が凍結してしまいます。ところが、事態に便乗した銀行の支店長と悪徳弁護士がその預金を奪い取ったことを知り、リベンジ大作戦を企てるのです。脚本を担当したエドゥアルド・サチェリの原作小説を映画化。監督はセバスティアン・ボレンステインです。主人公のフェルミン役はアルゼンチンを代表する名優でプロデューサーでもあるリカルド・ダリン。彼をはじめ、ほとんどのキャストが60〜70代の実力派です。それぞれの積み重ねてきた“知恵”や“技術”がこの大作戦に結集します。あんがい陽気に、まるでサッカーのゲームのように、金庫奪還に挑む、というコメディタッチの展開が、確かに、ちょっと荒削りな『オーシャンズ11』を観ているようです。【ぴあ水先案内から】野村正昭さん(映画評論家)「……アテにならない政府や悪徳エリートを叩きのめす、ストレス解消に最適」野村正昭さんの水先案内をもっと見る()(C)2019 CAPITAL INTELECTUAL S.A./KENYA FILMS/MOD Pictures S.L.
2021年08月01日主婦に力を貸してくれる優秀グルメが集まる業務スーパー。今回はそんな業スーでGETできるおとなの麻婆豆腐をご紹介していきますよ♪おいしすぎて食べる手が止まらなくなること間違いなしです♡業務スーパーのおとなの麻婆豆腐が優秀なんです♡出典: Instagram今回ご紹介していくのは「おとなの麻婆豆腐」です。価格は税込み212円となっていますよ。なんとこの商品、安心感のある国内品♡レストラン仕様ということで、かなり期待が高まります。ここからはさらに詳しくご紹介していきますよ。中はこんな感じ…!出典: Instagram袋の中身を確認してみるとこんな感じ…!ドロドロとした液体ではなく、しっかりと具材なども入っていることが分かります。一般的な麻婆豆腐の素はひき肉を別途用意しなければならない場合が多いですが、この素は必要ありません!豆腐と素、ネギを入れて煮込むだけ♡出典: Instagram業務スーパーの麻婆豆腐を作るのに必要なものは豆腐とネギだけ。全部の具材をいれたら、弱火から中火でひと煮立ちさせるだけで完成しちゃいますよ。あっという間にメインが完成♡出典: Instagram出来上がった麻婆豆腐はこんな感じで、とってもおいしそう♡「おとな」と書いてあることから辛いのでは?と思った人もいるかもしれませんが、程よい辛さで食べやすいですよ♪白いご飯がすすむこと間違いなしのおいしさです。パパっと作れるので忙しいときのメイン料理としても活躍してくれますよ!業務スーパーのおとなの麻婆豆腐、一度は食べておきたい♡業務スーパーで販売されているおとなの麻婆豆腐は一度食べたらストックしておきたくなるおいしさなんです♡気になっていたけど買ったことがない!なんて人は、ぜひ業務スーパーでチェックしてみてくださいね。本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※こちらの記事ではきり業務スーパーおすすめレポ&購入品(業スー)(@gyousu_kirin)様の投稿をご紹介しております。記事内の情報は執筆時のものになります。価格変更や、販売終了の可能性もございますので、ご了承くださいませ。また、店舗ごとに在庫が異なるため、お立ち寄りの店舗へお問い合わせください。"
2021年07月30日【おとな向け映画ガイド】待望の映画化、ブロードウェイミュージカル『イン・ザ・ハイツ』と、台湾の大ヒットホラー『返校言葉が消えた日』をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/7/25(日)渡辺祥子さんの水先案内をもっと見る()(C)2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved台湾のホラーゲームが原作『返校言葉が消えた日』このところ台湾映画に傑作が多く、目が離せません。2019年、台湾最大のヒットになったこの『返校』も、サイコホラーなのですが、盛り込まれた内容がとても奥深く、怖いだけにとどまりません。他の国ではなかなか真似できない独特の世界を作りだしています。台湾で流行ったホラーゲームが原作だそうです。時は1962年、’’白色テロ時代"と呼ばれ、まだ台湾が言論の自由を制限されていたころ。国民党政権の統制下で、反抗する者は次々と逮捕され、処刑も行われていました。密告の奨励など、人間不信が極限に達していた暗い時代が舞台です。学校にも国民党の軍服をきた教官が常駐し、生徒や教師に反政府分子がいないか目を光らせています。そんな中で、自由を求め、禁制本を読む"読書会"を開くグループがいました。主人公の女学生ファン・レイシン(ワン・ジン)もそのひとり。ある放課後、読書をしたまま眠り込んでしまった彼女が目を覚ますと、あたりは暗く、空気がいつもと違う。なぜか廊下にでても出口が見えない。彼女は学校に閉じ込められてしまったのです。校内をさまよううちに、荒らされた読書会の残骸や、会を開いて逮捕された教師たちの悪夢のような姿に遭遇し……。ホウ・シャオシェンの『悲情城市』、エドワード・ヤンの『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』という台湾ニューウェイブを代表する作品で描かれたのが、まさにこの白色テロの時代。時を経て、ジョン・スー監督がふたたびテーマとしてとりあげました。その背景には、やはり、昨今の中国による台湾への圧力など、嫌な時代に向かうのではという警戒心もあるのでしょう。【ぴあ水先案内から】立川直樹さん(プロデューサー、ディレクター)「……かなりスタイリッシュでシュールな映像で描いた衝撃的なダーク・ミステリー……」立川直樹さんの水先案内をもっと見る()佐々木俊尚さん(フリー・ジャーナリスト)「……その結末のあまりのものがなしさに言葉を失う。台湾映画にまた傑作が登場した。」佐々木俊尚さんの水先案内をもっと見る()高橋諭治さん(映画ライター)「……怪奇幻想が渦巻く異次元的な世界観は台湾版『サイレントヒル』と言うべきか。フラッシュバックを多用し、パズルのように哀しい真実を浮かび上がらせていく展開はドラマ性も高い。……」高橋諭治さんの水先案内をもっと見る()春日太一さん(映画史・時代劇研究家)「……時代と権力に翻弄された人間模様を追った重厚な社会派ドラマなので、ホラーが苦手な人も堪能できるはず……」春日太一さんの水先案内をもっと見る()(C)1 Production Film Co. ALL RIGHTS RESERVED.
2021年07月25日【おとな向け映画ガイド】捨てられた犬猫の命を救う『犬部!』と、ユダヤ人がナチスにリベンジ『復讐者たち』をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/7/18(日)「犬部!」製作委員会ドイツ人600万人暗殺計画『復讐者たち』第二次世界大戦中、ナチスが強制収容所で600万人におよぶユダヤ人を大量虐殺した、いわゆるホロコーストの惨劇は知っています。けれども、この映画で描かれた、被害者のユダヤ人に、その復讐でドイツ人を大量殺戮する計画があった、ということは知りませんでした。「プランA」と名付けられたこの計画を、真正面からテーマにし、映画化したのは初めてです。戦後80年近くになるというのに、まだ「驚きの実話」が映画で登場するとは…。強制収容所から解放された主人公マックスは、難民キャンプで、離れ離れになった妻と息子を捜します。ふたりが虐殺されたことを知り、ナチスへの復讐を誓います。彼はパレスチナのユダヤ人によって編成された過激派「ユダヤ旅団」に接触し、さらに“ドイツ人を600万人殺す”計画をもつ「復讐(ナカム)」の活動にも加わっていきます。映画は、秘密組織にマックスが加わっていく過程と、着々と進められる恐怖の復讐計画、彼らを阻止しようとするユダヤ人軍事組織「ハガナー」の動きなどが、サスペンスフルに同時進行していきます。監督と脚本はイスラエル出身のドロン・パズ、ヨアヴ・パズ兄弟。スリラー、ホラー作品の経験はありますが、ここまでの大作は初めて。マックス役は、昨年公開された『名もなき生涯』で、ナチスへの忠誠を拒み続ける農夫の役を演じたドイツの名優、アウグスト・ディールです。ナカムの女性メンバー役に、『蜘蛛の巣を払う女』のシルヴィア・フークスも出演しています。この映画制作のきっかけとなったのは、監督の友人からきいた祖父の実話だそうです。「祖父が収容所からなんとか解放され、我が家にもどったところ、隣人が我が物顔に住んでいた。その隣人こそ、祖父一家が隠れていた場所をナチス兵に密告した本人だった。家族が惨殺されひとり残った祖父はその隣人を復讐のため殺した。この秘密を、祖父は亡くなる数年前まで家族に話さなかった。」このエピソードは映画にも描かれています。【ぴあ水先案内から】池上彰さん(ジャーナリスト)「……妻子をナチスに殺され、復讐を誓いながらも両者の間にあって揺れ動く男の目から戦後ドイツの知られざるユダヤ人たちの姿を描きます。……」佐々木俊尚さん(フリー・ジャーナリスト)「……ある登場人物が「いい人生を送ることこそが復讐だ」というセリフを吐く。この言葉が、わたしにはいちばん刺さった。……」植草信和さん(フリー編集者、元キネマ旬報編集長)「……“憎しみの連鎖は断てるのか”という人類の永遠のテーマに挑んだ……」 Getaway Pictures GmbH & Jooyaa Film GmbH, UCM United Channels Movies, Phiphen Pictures, cineplus, Bayerischer Rundfunk, Sky, ARTE
2021年07月18日【おとな向け映画ガイド】リーアム・ニーソンがまたキレる『ファイナル・プラン』、米アカデミー賞候補になった中国の純愛映画『少年の君』をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/7/11(日)高松啓ニさん(イラストレーター)「……普通に自首しないでアニーと結婚すればいいのにという疑問も残るが、そこは原題となる“正直泥棒”たる所以かな? 触らぬリーアムに祟りナシだね。」 Honest Thief Productions, LLCガリ勉女子高生と街のチンピラの愛『少年の君』純愛映画です。ガリ勉の女子高生と街のチンピラ、およそ関係を持ちそうもないふたりが主人公。とくれば、許されぬ階級違いの恋でまわりの無理解に苦しむ…という涙、涙の悲恋ものか、と思いますが、そうではありません。不器用だけど、精一杯、自分たちが信じた愛に誠実にあろうとする恋人たちの「純愛映画」なのです。ガリ勉と書きましたが、中国の受験戦争は生半可ではありません。6月に行われる「高考(全国統一大学入試)」に人生の全てがかかっています。この得点で大学の合否が決まります。主人公のチェン・ニェンがめざすのは中国でもトップの北京大学、清華大学クラス。描かれる受験校の姿は、日本の我々でも信じられない風景です。高度成長の裏にある壮絶な競争社会、それが現代の中国です。そんななかで、陰湿ないじめがはびこり、チェン・ニェンはある優しい行動をしたためにグループの標的となります。彼女の母はシングルマザーで、娘の学費稼ぎのためにあやしげな美容商品のセールスで出稼ぎにでています。それもいじめの材料です。誰も味方にはなってくれません。そんなとき、下校の途中の街なかでチンピラ同士の小競り合いに遭遇し、シャオベイと出逢います。彼はストリートでその日ぐらしをする不良少年ですが、ふたりは惹かれあいます。しかし、事件が起き……。チェン・ニェンを演じているのはチョウ・ドンユィ。チャン・イーモウの『サンザシの樹の下で』(2010)がデビュー作ですが、女子高生役でも全然不自然ではありません。さすが「13億人の妹」です。シャオベイ役はトップアイドルグループ、TFBOYSのイー・ヤンチェンシーです。香港の名優エリック・ツァンを父に持つデレク・ツァンの監督第2作目。中国本土での公開は大した宣伝もされなかったにもかかわらず日本円にして興収280億円を超える大ヒット。香港アカデミー賞(香港電影金像奨)で作品賞ほか8部門を受賞するという最大級の評価を受けたうえ、米アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートされました。受験の直前から始まり、息詰まる展開が続きます。が、ミア・ファローの名作『フォロー・ミー』のようなこころ和むシーンもあり、とてもよい後味。青春映画の名作と思います。【ぴあ水先案内から】佐々木俊尚さん(フリー・ジャーナリスト)「……すべてのシーン、すべてのセリフ、すべての映像が鮮烈で胸に突き刺さってくる。終盤、笑顔が交わされるシーンにはただただ万感胸に迫る。」伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……キャスティングも絶妙で、一番見て欲しい思春期の若者に「人を傷つけないで」と伝える為に作られた気がしてならないです。大傑作!」高崎俊夫さん(フリー編集者、映画評論家)「……今の中国が抱える、容易に解消するのは不可能な、根深い格差や暴力、貧困の問題を、初々しくも鮮烈な青春映画というフォームを使って、見事に浮かび上がらせているのだ。」紀平重成さん(コラムニスト、元毎日新聞記者)「……中国の進学校に通う優等生の少女チェン・ニェンと不良シャオベイとの純愛物語ともいえるし、二人が巻き込まれる殺人事件の謎を解いていくサスペンスとしても堪能できる第1級の娯楽作……」 Shooting Pictures Ltd., China (Shenzhen) Wit Media. Co., Ltd., Tianjin XIRON Entertainment Co., Ltd., We Pictures Ltd., Kashi J.Q. Culture and Media Company Limited, The Alliance of Gods Pictures (Tianjin) Co., Ltd. ALL Rights reserved.
2021年07月11日【おとな向け映画ガイド】気分が晴れる2本。韓国OL奮闘劇『サムジンカンパニー 1995』、世界大会に挑むゲイの水球チーム『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/7/4(日)植草信和さん(フリー編集者、元キネマ旬報編集長)「……爆笑、苦笑、失笑の渦のなかから、恐怖と怒りがせり上がる。…観る者を慄然とさせるシリアスなコメディ映画だ。……」夏目深雪さん(著述業、編集業)「……このうえない感動を呼ぶだけでなく、韓国の近現代史を肌で感じることのできる作品となっている。」紀平重成さん(コラムニスト、元毎日新聞記者)「……(最近の韓国映画は)どちらかと言えばシリアスな作品が目立ちます。そんな中で本作はエンタメ色を意識して90年代を回顧する作品なのかもしれません。」高松啓ニさん(イラストレーター)「……舞台となる1990年代の肩パットの入ったスーツやバカでかいPCなど時代のムードを出しており……」 LOTTE ENTERTAINMENT & THE LAMP All Rights Reserved.これも実在の水球チームのお話『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』ゲイの弱小水球チームが世界大会をめざす、という最近ありがちなパターンの映画、ではあるのですが、これがケッサク!50メートル自由形の銀メダリストが、同性愛差別発言で世界水泳の出場資格を失ってしまいます。フランスの水連(のような組織)が彼に提示した挽回策は、世界大会をめざす水球チーム「シャイニー・シュリンプス」のコーチ役をつとめること、でした。世界大会といっても「ゲイゲームズ」というLGBTQ+スポーツの祭典。水連がゲイの水球チームに力を貸すという設定が、すごいというか、日本ではありえない。しかも、このチーム、実在するんです。刈り上げた頭、タトゥーありのいかついゲイ嫌いのコーチが、ゲイに何の偏見もない現代的な娘の後押しもあって、次第にチームのみんなと心を交わしていき、クロアチアで行われるゲイゲームズの大会まで遠征、という展開になるのですが……。それにしてもチームのメンバーがそれぞれ個性的で、ユーモアセンスも抜群。みんな悩みを抱えながらも、愉しむことを忘れません。強豪レズビアンチームと予選で戦ったり、水球リーグのことや、ゲイゲームズの仕組みについては、観ていてもよくわかりませんが、まぁ、固いことはいいっこなし。2019年、フランスでの公開時は初週動員NO1のヒットだったといいます。「シャイニー・シュリンプス」に7年間所属したことのある、セドリック・ル・ギャロが、体験したこと、見聞きしたエピソードをもとに脚本化し、マキシム・ゴヴァールと共同監督しています。性的結合手術をしてチームに帰ってきた、つまり女性の体になったメンバーの役は、リアリティを追求する監督の執念で、パリの歓楽街ピガールのキャバレー「マダム・アーサー」の踊り子だったロマン・ブローを探し出したそうです。ゲイであることへの世の中の偏見にもちらっとふれますが、全体を通して、とても明るく、あけっ広げで、人生ってこれだから楽しいじゃない!という気分になれる映画です。【ぴあ水先案内から】伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……当事者だからこそリアリティある感情の揺れを演技で見せ、観客の私たちにも伝わった……」野村正昭さん(映画評論家)「……メンバーそれぞれが抱える苦悩を繊細に描き、笑って泣かせる好篇……」 LES IMPRODUCTIBLES, KALY PRODUCTIONS et CHARADES PRODUCTIONS
2021年07月04日【おとな向け映画ガイド】ゲイカップルの旅路の先に-『スーパーノヴァ』、津軽・メイドカフェの青春『いとみち』をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/6/27(日) British Broadcasting Corporation, The British Film Institute, Supernova Film Ltd.けっぱれ!三味線少女『いとみち』全編、津軽弁が飛び交い、字幕があれば助かると思うのですが、展開が理解できないわけでなく、観ているうちに、そのフランス語のような語感がかえって魅力的に聞こえてきます。横浜聡子監督は、安田顕が主演した『俳優 亀岡拓次』を観て、注目するようになりました。テレビドラマの『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』の演出も担当。次回作を楽しみにしていました。青森出身。『ウルトラミラクルラブストーリー』(松山ケンイチ主演)などを含め、これが4度目のオール青森ロケ作品です。いと、という名の女子高生が主人公。津軽方言を研究する学者で東京出身の父と、津軽三味線の名手でもあるおばあちゃんと三人暮らし。青森は早くに亡くなった母の郷里です。このおばあちゃんの影響で、いとは三味線の腕も確かですが、津軽弁もこてこて。「ご飯だよ、食べなさい」を「まま、けーっ」と言うのですから。クラスのみんなからあきれられるほど。そのいとが、なんと、人見知り解消とでも思ったのか、青森市のメイドカフェでアルバイトを始めるという、ある夏のドラマです。いと役の駒井蓮を見ているだけで、幸せな気持ちになれる映画です。彼女も青森出身。発音は確かです。おばあちゃん役の西川洋子は、『竹山ひとり旅』などで知られる津軽三味線の巨星、高橋竹山の最初の弟子とのこと。この人のセリフがまたすごい。よくわからないのだが、ハートにびんびん響きます。父親役は豊川悦司。宇野祥平、古坂大魔王といったくせの強い役者さんも活躍します。「め」という一文字、その意味を、映画を観た翌日に調べました。娘のことを心配して店を訪れた父親が、帰りしなに書いて残したメッセージです。わたしの映画の感想も、こんな感じ。【ぴあ水先案内から】野村正昭さん(映画評論家)「……『竹山ひとり旅』(77) や『夢の祭り』(89)『オーバードライヴ』(04) などの系譜に連なる津軽三味線の映画でもある。……」『いとみち』製作委員会
2021年06月27日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「こども庁」です。組織の一元化にとどまらず、官民協力体制で実現を。子どもに関する諸問題に一元的に取り組む「こども庁」の創設を、与党は次の衆議院選挙の公約の目玉にしようとしています。これまで、案件が複数の省庁にまたがるため、速やかに解決できないという問題がありました。たとえばコロナ禍のオンライン授業も、厚労省、文科省、経産省が関わります。経産省は、ベンチャーIT企業とつながりがあり、エドテック(エデュケーション×テクノロジー)を産業政策に掲げ、「未来の教室」というサイトを作っています。文科省は文科省で別のプログラムを持っており、こちらはテクノロジーにはあまり強くありません。こども庁創設の議論がなされるようになったきっかけは少子化です。子どもの貧困や教育格差などの問題に注目が集まり、もっと速やかに政策を打てるようにするべきだという機運が高まりました。さらにコロナ禍になり、その動きはいっそう加速しました。日本はもとより、「シルバー民主主義」といわれており、高齢化が大きな課題です。そのため、どうしても高齢者の医療サポートや年金問題、社会福祉政策に目が向きがちでした。予算配分もそちらのほうに重きがおかれていました。GDPに占める子育て支援策の比率は、先進国のなかでも日本は低水準といわれています。人口の違いもありますが、イギリスが3%台半ばなのに対して、日本はたった1%台半ばくらいしかないんですね。ただ、「こども庁」が創設されても、単に組織を作るだけで終わってはいけません。東日本大震災のときには復興庁が作られ、その存在は大きいですが、まだ使われずに眠っている予算もあるといわれています。きちんとした実態把握をし、それに適した予算を投下する実働部隊が必要です。子どもの貧困や教育、テクノロジーなどは、ソーシャルセクターといわれるベンチャー企業やNPO、NGOに任されてきた分野。彼らが積極的にこども庁のなかに入って構成されるような、官民の協力体制が欠かせないのではないかと思います。チルドレン・ファーストな国を作ることが、結果的に国民全体の利益につながります。さまざまな社会資源をここに投入していただきたいですね。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX 平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月30日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年06月26日【おとな向け映画ガイド】時空を超えるファンタジー2本、あの世界的SF小説を初映画化『夏への扉』、消えたバレンタインデー『1秒先の彼女』をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/6/20(日)波多野健さん(TVプロデューサー)「……山下達郎さんのために吉田美奈子さんが書いた『夏への扉』の中に出てくる「そしてピートと永遠の夏への扉開け放とう」というところではいつもグッと来てしまう。その映画化なのだが、これがいいのだ。……」目覚めたら昨日が消えていた!『1秒先の彼女』交番に飛び込んできた若い女性と警察官の会話。「どうしました?」「なくし物を」「何をなくしました?」「1日を。今朝起きたら昨日の記憶がないんです。昨日1日が私の中から消えてしまったんです」シュールなコントのような始まりです。映画の原題は「消失的情人節」、訳すと“消えたバレンタイン・デー“。大ヒットし、台湾アカデミー賞(金馬奨)で最優秀作品賞など5部門を受賞した作品です。台湾では、2月14日と七夕7月7日の両日をバレンタインデーと言います。その7月7日に起きた珍事。時にまつわる、ファンタジックなラブコメです。丸1日をなくしたという主人公、シャオチーさんのキャラクターが笑えます。子どものころからせっかちというか、ダンスも水泳も、映画を観て笑うタイミングも、人よりワンテンポ早い。記念写真は目をつむったものしかありません。職場は郵便局の窓口。30歳を前にした彼女のまわりはセクハラでいっぱいです。郵便局にやってくるお客もさまざま。なかには、毎日のようにやってきて、切手を1枚だけ買い、彼女の目の前で封筒に貼って差し出す風変りな青年とか。そんな客のなかで、バレンタインデーを前に彼女をデートに誘う男性が現れますが……。シャオチーを演じているリー・ペイユーがなんとも魅力的です。物語が進むうちにどんどん素敵にみえてくる女優さん。役柄もそれが活きています。明るいキャラクターでMCとしても人気だそうです。ストーリーは台湾 チェン・ユーシュン監督のオリジナル。金馬奨では、作品賞の他に、監督、脚本、編集、視覚効果賞も獲得しています。多くは説明しませんが、「視覚効果賞」はものすごく納得できます。『TENET テネット』とか、いくつかのファンタジックな映像を思い出します。ホントどうやって撮ったのでしょう。【ぴあ水先案内から】笠井信輔さん(フリーアナウンサー)「……前半は女性の視点から、後半は男性の視点から描かれるのがミソ。謎がだんだん紐解かれる過程、これが実に面白い。……」春日太一さん(映画史・時代劇研究家)「……ヒロインを演じるリー・ベイユーの一挙一動、細かい表情に至るまで全てが実にキュート。作品全体を包む優しい空気とあいまって、彼女自身の奮闘と、彼女に惹かれ続ける男性と、その双方を温かく見守りたくなる……」紀平重成さん(コラムニスト、元毎日新聞記者)「……終わりに向けさまざまな伏線を回収していく展開により、楽しさも倍増です……」
2021年06月20日【おとな向け映画ガイド】強欲で傲慢で悪趣味『グリード ファストファッション王国の真実』、アクションスター岡田准一が光る『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』の2本をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/6/13(日)超ネコ舌のヒットマン『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』このアクション、日本映画の枠を超えている!と大興奮させてくれる作品です。コミック原作の大ヒットシリーズ2作目。肉弾合い撃つバトルだけでなく、建物をつかった大掛かりな追走シーンなどで、ハラハラドキドキ具合は前作以上といえます。パワーアップの「首謀者」は、ファイトコレオグラファーをも務めた俳優、岡田准一です。どんな相手も6秒で仕留めるという、天才的な”技術”を持つ、殺人マシーン、通称ファブル(寓話)が岡田の役。師と仰ぐボス(佐藤浩市)から1年間殺人を禁じられ、いまは「殺さない殺し屋」です。彼の生い立ち、ボスとの関係などは第一作で描かれていますが、相棒のヨウコ(木村文乃)と兄妹を装って、大阪の下町でひっそりと暮らしているという設定。殺し屋といえば、ストイックで寄るべない存在、がふつうですが、このファブルが面白いのは、なんか、この男、人づきあいがよく、実に愛すべきキャラの持ち主で、どこか浮世ばなれしたところがあることです。極端なネコ舌、変なコメディアンに夢中で、しかもワンテンポおくれてバカウケする。妙にかわいいイラストを描いたり……。今回の悪役は、表の顔は子どもを守るNPO団体の代表、裏の顔は犯罪組織の親玉・堤真一。彼の腹心の部下が安藤政信です。車椅子の少女ヒナコ(平手友梨奈)との再会がこの悪役たちとのバトルを呼ぶことになり……。ファブルが務めるデザイン会社のスタッフはおとぼけ担当・佐藤二朗以下前作と同じで、これが相変わらずおかしい。大阪でのファブルの協力者・安田顕はカメオ出演。登場すると「おお!」と声がでてしまうくらいのインパクト。相棒・木村文乃は岡田指導によるアクションシーンもあり、さらに存在感増してます。そんなふうに、前作を観た方たちへのめくばせもしつつ、観ていなくても十分に楽しめるように作られています。きっと配信などで前作を後追いしたくなるはず。【ぴあ水先案内から】野村正昭さん(映画評論家)「……彼が駆けぬけるシーンは、全盛期のジャッキー・チェン作品を彷彿とさせる……」
2021年06月13日【おとな向け映画ガイド】ダメ親父が突然変異!『Mr.ノーバディ』、オーダーメイドの時間旅行『ベル・エポックでもう一度』の2本をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/6/6(日)高松啓二さん(イラストレーター)「……ボブ・オデンカークの特徴の無い顔が本作にピッタリで、後の派手なアクションのギャップにも効果的に作用している……」h あの日に帰りたい!『ベル・エポックでもう一度』タイムトラベル、といってもSFの世界ではありません。なるほどこれは実現不可能ではない……、と思える「時間旅行」のお話です。思い出の、あの場所、あの日に帰りたい、誰もがふと考えますよね。“時の旅人社”が経営する「タイムトラベルサービス」は、行きたい時代と場所を再現する、いわば究極の体験型エンタテインメント。広大な敷地に映画の撮影所のような巨大セットを作り、当時の衣装を身にまとったエキストラや、希望する人物を用意してくれます。もちろん、時代考証や記憶のインタビューも念入りに、その場にいる人物のセリフ、行動など、すべてを再現するのです。デジタル化時代の流れに乗れず、仕事も妻も失いつつある初老のイラストレーター、ヴィクトルは、配信ビジネスで羽振りのいい息子にそのトラベルサービスをプレゼントされ、利用することになりました。オファーしたのは、「日時:1974年5月16日、場所:フランス・リヨンの街のカフェ」です。その日そこで、彼は人生を変える運命の女性と出会ったのです。時の旅人社の社長で旅の演出家でもあるアントワーヌは、息子の友人。ヴィクトルのため、出会う運命の女性役に自分の恋人で一番魅力的な女優マルゴをキャスティング、こころをこめて過去の“ひとコマ”を再現します。舞台となるカフェの名は、「ラ・ベル・エポック」。あの日は帰ってくるでしょうか、あの熱い感情は戻ってくるでしょうか……。この映画、「時間旅行」という仕掛けの魅力もさることながら、フランス映画界の至宝と言われるダニエル・オートゥイユ(ヴィクトル役)とファニー・アルダン(妻マリアンヌ役)が演じる、珠玉のラブコメディ。フランス本国でも大ヒットした作品です。観終わっていろいろ話題はつきません。しゃれたエンディングのこと、どの時代どの場所に行きたいか、とか、日本でやるとしたらこのサービス、いったいいくらかかるんだろう?とか。【ぴあ水先案内から】波多野健さん(TVプロデューサー)「……仕掛けがなかなかよくできていて、舞台裏からインカムで監督が指示を出したりと、あたかも『スパイ大作戦』を観ているような気分になり楽しい……」夏目深雪さん(著述・編集業)「…リアリティある展開で、70年代のレトロな美術も豪華、懐メロも気が利いているとなれば、2019年の仏の興行収入1位を『ジョーカー』から奪ったというのも頷ける……」首都圏は、6/12(土) からシネスイッチ銀座他で公開。中部は、6/12(土)から伏見ミリオン座で公開。関西は、6/25(金)からシネ・リーブル梅田で公開。
2021年06月06日世田谷パブリックシアターが今年の夏も、こども対象の幅広いジャンルの舞台芸術を届ける「せたがやこどもプロジェクト2021」を開催する。落語・ジャズライブ・現代サーカス・ダンス・朗読から成る《ステージ編》と、小学生・中学生・高校生のこどもたちが参加できる《ワークショップ編》で構成されたる「せたがやこどもプロジェクト2021」。《ステージ編》では、7月から『西遊記』に登場するおなじみ“孫悟空”が、石から生まれ三蔵法師に出会うまでの物語を、アクロバットやエアリアル(空中芸)などのサーカステクニックと台湾の伝統音楽を交えて大胆に表現した『悟空~冒険の幕開け~』にはじまり、8月は春風亭一之輔がプロデュースを務める「せたがや 夏いちらくご」と、世界的トランぺッター日野皓正と、日野に縁のある日本有数のジャズミュージシャンによる夢のライブ「日野皓正 presents “Jazz for Kids” Final Live」などを開催。《ワークショップ編》では、演劇デザインギルドのすずきこーたや、俳優・有吉宣人らが進行役を務める小学生・中学生・高校生を対象とした演劇ワークショップ、『悟空~冒険の幕開け~』の関連企画である「やってみよう! サーカスワークショップ」や、ステージ編で8月に上演されるキネティックアート『TANGLE/タングル』のダンスワークショップが行われる。■世田谷パブリックシアター芸術監督 野村萬斎コメント世田谷パブリックシアターでは1997年の開館から、こどもたちにとって身近な劇場、遊べる劇場、楽しい劇場となることを目的に、さまざまな取り組みを行ってきました。日本の文化を発展させていくためには、長い目で教育をとらえ、おとなとこどもが協力することが大切です。作り手、演じ手、観客の三位一体がうまく機能しない限り、良い劇場は成り立たないでしょう。まだ劇場にいらしたことがないかたは、どうぞ、勇気を出して足を踏み入れてください。お待ちしています!2021年のラインナップは以下の通り《ステージ編》■『悟空~冒険の幕開け~』映像上映+パフォーマンス(主催公演)日程:7月28日(水)18:30 / 7月29日(木)14:00会場:世田谷パブリックシアター<映像上演出演>出演:フォルモサ・サーカス・アート(FOCA)<パフォーマンス>演出・振付:目黒陽介 / 作曲:イーガル / 振付・出演:吉田亜希、油布直輝、安岡あこ■「せたがや 夏いちらくご(主催公演)」日程:8 月 8 日(日・祝) 昼の部:13:00 / 夜の部 17:00会場:世田谷パブリックシアター<プロデュース>春風亭一之輔<出演>昼の部:春風亭一之輔、翁家社中(太神楽曲芸) / 夜の部:春風亭一之輔、林家正楽(紙切り)■「日野皓正 presents “Jazz for Kids” Final Live(主催公演)」日程:8月15日(日) 15:00会場:世田谷パブリックシアター<出演>日野皓正(Tp) 西尾健一(Tp) 篠崎ケン(Tp) 多田誠司(Sax) 守谷美由貴(Sax)後藤篤(Tb) 渡辺菜月(Tb) 小山道之(Gt) 金澤健太(Gt) 石井彰(Pf) 高橋佑成(Pf)金澤英明(B) 吉木稔(B) 金澤力哉(B) 力武誠(Ds) 吉良創太(Ds)高橋直希(Ds) グレース・マーヤ(Vo)■キネティックアート『TANGLE/タングル』(提携公演)日程:7月30日(金)19:00 / 7月31日(土)18:30 / 8月1日(日)14:30会場:シアタートラム<作>Kinetic Art<演出>戸沢直子、杉本峻<作曲>ジョナス・デュフレン<出演>戸沢直子、杉本峻、ジョナス・デュフレン■朗読劇『この子たちの夏』 1945・ヒロシマ ナガサキ(提携公演)日程:8月7日(土)13:00 / 17:00・8月8日(日・祝)14:00会場:シアタートラム<構成・演出>木村光一<演出補>シライケイタ<出演>旺なつき(7日 17:00) かとうかず子 古村比呂(7日 13:00) 高橋紀恵(7日 17:00 / 8日 14:00)床嶋佳子(7日 13:00 / 8日 14:00) 西山水木 根岸季衣 原日出子短歌・俳句の朗読=髙安智実《ワークショップ編》■小学生のためのえんげきワークショップ・小学1・2年生対象Aコース:7⽉28⽇(⽔)〜30⽇(⾦) 10:30〜12:30 / 進⾏役:すずきこーたBコース:8⽉1⽇(⽇)〜3⽇(⽕) 10:30〜12:30 / 進⾏役:有吉宣⼈Cコース:8⽉5⽇(⽊)〜7⽇(⼟) 10:30〜12:30 / 進⾏役:富永圭⼀Dコース:8⽉17⽇(⽕)〜19⽇(⽊) 10:30〜12:30 / 進⾏役:⽥崎葵Eコース:8⽉25⽇(⽔)〜27⽇(⾦) 10:30〜12:30 / 進⾏役:とみやまあゆみ・小学3・4年生対象Fコース:7⽉28⽇(⽔)〜30⽇(⾦) 14:30〜16:30 / 進⾏役:⼤道朋奈Gコース:8⽉9⽇(⽉・休)〜11⽇(⽔) 10:30〜12:30 / 進⾏役:⻘⼭公美嘉Hコース:8⽉21⽇(⼟)〜23⽇(⽉) 10:30〜12:30 / 進⾏役:すずきこーたIコース:8⽉25⽇(⽔)〜27⽇(⾦) 14:30〜16:30 / 進⾏役:富永圭⼀・小学5・6年生対象Jコース:8⽉1⽇(⽇)〜3⽇(⽕) 14:30〜17:30 / 進⾏役:⻘⼭公美嘉Kコース:8⽉17⽇(⽕)〜19⽇(⽊) 14:30〜17:30 / 進⾏役:柏⽊陽■中学生のための演劇ワークショップAコース:8⽉5⽇(⽊)〜7⽇(⼟) 14:30〜17:30 / 進⾏役:有吉宣⼈Bコース:8⽉21⽇(⼟)〜23⽇(⽉) 14:30〜17:30 / 進⾏役:とみやまあゆみ■高校生のための演劇ワークショップ8⽉9⽇(⽉・休)〜11⽇(⽔) 14:30〜17:30 / 進⾏役:柏⽊陽■公演関連企画ワークショップ・『悟空~冒険の幕開け~』関連企画 やってみよう! サーカスワークショップ<7⽉25⽇(日)>10:30 エアリアル / 講師:吉田亜希 / 対象:小学校4年生~6年生14:00 ジャグリング / 講師:目黒陽介 / 対象:中学生17:00 シルホイール / 講師:油布直輝 / 対象:高校生~大人(身長制限あり)・『TANGLE/タングル』関連企画 ダンスワークショップ<8⽉7⽇(土)>10:30~12:30 小学生クラス / 対象:小学校4年生~6年生14:30~16:30 中学生クラス / 対象:中学生※各公演関連企画ワークショップの詳細は決まり次第劇場ホームページに掲載いたします■夏休み大学生インターン募集活動日:7~8 月 ※コース・対象事業により異なります対象:世田谷パブリックシアターの活動に興味があり、舞台芸術をとりまく仕事に触れてみたいと考えている4年制大学もしくは大学院に在学の学生締切:6月30日(水)18:00 ※選考あり※詳細・お申込みはホームページをご覧ください。
2021年06月04日【おとな向け映画ガイド】ロバート・デ・ニーロはじめ、レジェンド三俳優による爆笑コメディ『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』と、難民から五輪へ『戦火のランナー』の2本をご紹介。ぴあ編集部 坂口英明21/5/30(日)春日太一さん(映画史・時代劇研究家)「……既に確固たる地位を築いたレジェンド級のベテランが過去の名声に胡座をかくことなく、“現役”として奮闘して新たな魅力を見せてくれる姿に出会うのは至極の喜びだ。」植草信和さん(フリー編集者、元キネマ旬報編集長)「……ドタバタ騒動の中に、出資者、製作者、主演者三人三様の屈折した“映画愛”をにじませて映画ファンの心をくすぐる。……」高松啓二さん(イラストレーター)「……メル・ブルックスの『プロデューサーズ』に似ているが、本作の最大のギャグはキャスティングにある。……」ひたすら走って、生き延びる『戦火のランナー』本来なら、公開はドンピシャのタイミングなのですが、今やビミューな雰囲気です。内戦を生き延び、マラソンランナーとして東京オリンピックを目指している、グオル・マリアルという青年を追ったドキュメンタリー。監督はアメリカのビル・ギャラガーです。彼の母国は、北アフリカの南スーダン共和国。2011年に、23年に及ぶ内戦を経てスーダンから独立した「世界で最も新しい国」。国はできたものの、2016年には再び紛争が勃発しています。その紛争に、日本の自衛隊が国連平和維持活動、いわゆるPKOに参加したこともあり、日本では比較的聞いたことのある国でしょう。想像を絶する半生です。内戦の戦禍を避けるため、両親は8歳のグオル君をたった一人で村から逃がしました。頼る人はいません。途中で武装勢力に捕らえられてしまうのですが、なんとか逃げ延び、難民としてアメリカに渡ります。高校はアメリカ。ここで陸上選手、マラソンランナーとしての天分に気づきます。少年にとって戦場の攻撃から生き延びる手段は“ひたすら走って逃げる”しかなく、彼は皮肉にも辛い戦場でランナーとしての基礎を築いていたのです。目指すはオリンピック、です。となると気になるのは、兄弟をはじめ多くの犠牲の上で独立した母国のこと。彼がランナーとして活躍をはじめたころ、南スーダンが独立します。国のために走る…、我々にとっては、今や、やや時代遅れのように感じますが、母国が大変な苦難のうえ誕生したばかりとなれば、その気持ち、わからなくはありません。建国1年後の2012年に行われたロンドン五輪や2016年のリオ五輪で、彼の参加が実現するまでの騒ぎと結末、同郷人たちの応援、映画で語られるすべてがドラマチックです。が、ドラマはまだ終わりとはなりません。さて、グオル君は東京五輪の舞台に立てる、のでしょうか?【ぴあ水先案内から】池上彰さん(ジャーナリスト)「……「南スーダンの選手たちは東京オリンピックを目指して走り続けます」という最後の字幕を見ると、開催が危ぶまれているだけに涙腺が緩みます。」村山匡一郎さん(映画評論家、大学講師)「……内戦下で彼は敵側の兵士に捕らえられるが、走って逃げることで生き延びる。その思い出は、マリアル選手にとって、走ることが生きることにつながるまさに象徴といえる。……」堀晃和さん(ライター、エディター)「……独立後も貧しく紛争が絶えない祖国の環境を少しでも変えようと、走り続けるグオルの姿が胸を打つ。」首都圏は、6/5(土) から渋谷 シアター・イメージフォーラムで公開。中部は、6/19(土)から名古屋シネマテークで公開。関西は、6/11(金)からアップリンク京都で公開。
2021年05月30日私には現在、2歳と4歳の子どもがおり、長女は「幼稚園型認定こども園」、次女は保育園に通わせています。この長女が通う幼稚園型認定こども園が、私にとっては想像以上にキツく、大変だったと感じたことをお伝えします。 子どもたちが保育園・幼稚園に分かれたワケそもそも長女が「幼稚園型認定こども園」、そして次女が「保育園」に、それぞれ別の園へ通わせるようになった経緯をお伝えします。 まず長女は、2歳クラスまでは小規模保育園に通わせていました。そして、3歳児クラスからの受け入れ先(=連携園)が、現在通わせている幼稚園型認定こども園だったので、そのまま現在の幼稚園へ通わせる運びとなったのです。 しかし、その幼稚園は3歳児クラス(年少)からの受け入れがなかったので、必然的に次女はまったく別の保育園を探さなくてはならず……。就労している私にとって、姉妹それぞれ別の園へ行かせるのもやむを得ない経緯でしたが、少しオーバーワーク気味だったと思っています。 想定外の負担! それは手紙の多さ姉妹それぞれを別の園へ毎日送迎するだけでも、私にとっては負担が大きかったところに、想定外の出来事が起こりました。それは「長女の幼稚園の手紙の多さ」です。長女の園は、次女が通う保育園と比較すると圧倒的に手紙の量が多く、平均すると月10枚程。元々整理整頓が苦手な私は「今度ある、行事の持ち物ってなんだっけ?」と、過去にもらったさまざまな手紙や入園時にもらった手引などを探し出し、やっと見つかる……と言ったように、欲しい情報を得るまでに大変な手間がかかっていたのです。 コロナ禍で左右される行事! 1週間前に中止が決定し…昨今はコロナ禍ということもあって、園の行事の開催の変更が多かったことも大変でした。 例を挙げると、私の住んでいる自治体には独自の「コロナ警戒レベル」という指標があり、信号機の青・黃・赤に例えて、住民に警戒を呼びかけるのですが、「黄色なら〇〇の行事は開催します」と、あらかじめ手紙で通達されていたのに、行事1週間前に「黄色だけれども、感染者が増えているので、安全の観点から中止になりました」と、また通達されたり……。さまざまな予定を立て直さないといけなくなるといった出来事が何回かあり、頭では仕方がないとわかりながらも、やきもきしてしまいました。 行事のほとんどが平日昼間の開催さらに、幼稚園なので行事のほとんどが平日の昼間に開催されることが多く、就労している私にとっては突発的な予定変更があると、すぐに都合をつけることが難しく……。せっかくの行事なので参加したいという意思はあっても、平日昼間の開催だと結局都合をつけられず、歯がゆい思いをしたことも……。 ただ、幼稚園の入園説明会の際に「当園は就労している方にも対応していますが、行事の参加については、お仕事に都合をつけていただくこともあります」と言われた上で私たちも入園を決めたので、もちろん誰のせいでもありません。しかし、今回はコロナ禍という急激な環境変化も相まって疲労困憊しており、私たちのケースでは幼稚園型認定こども園は向いていなかったのかな……と感じました。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日なりますように!著者:石塚みよ2児の母。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2021年05月20日【おとな向け映画ガイド】女性の生きづらさを描いた2作品。コロナ禍の『女たち』、北マケドニアの『ペトルーニャに祝福を』。ぴあ編集部 坂口英明21/5/16(日)平辻哲也さん(映画ジャーナリスト)「……コロナ禍前にあった企画をブラッシュアップし、コロナ禍の日常を盛り込むことで、ヒロインのギリギリ感が、より切実になった。……」野村正昭さん(映画評論家)「……内田伸輝監督は、余分な贅肉を削りとり、ひたすら登場人物の心理を注視し、美しい自然との対比の中で、それはさらに浮き彫りにされる。……」首都圏は、6/1(火)からTOHOシネマズシャンテで公開。中部は、伏見ミリオン座他で近日公開。関西は、大阪ステーションシティシネマ他で近日公開。私は幸せになりたい!『ペトルーニャに祝福を』同調圧力、女性蔑視…、こめられたテーマはシリアスなものですが、独特の東欧的ユーモアと言いますか、のんびりとしている割には皮肉も効いている、まさにおとな向きの映画です。マケドニア、といえば世界史で習ったアレクサンドロス大王の大帝国をイメージしますが、あれは2300年も前の話。いまは、ユーゴスラビアから独立した人口200万人くらいの小国です。ギリシャとの国名本家争いがあり、2019年に「北マケドニア」を名乗ることで落ち着いた国。映画制作はそんなに活発ではなく、日本で公開されるマケドニア作品は20年ぶりだそうです。主人公のペトルーニャは32歳の女性。大学をオールAで卒業したものの、職はなく、その日も縫製工場の面接に出かけたのですが、年齢を誤魔化して「20歳です」といったら「42歳に見えるよ」と完全セクハラのイヤミを言われ、腐りながらの帰り道。偶然ある宗教行事に出くわして、彼女の人生が一変します。北マケドニアの主な宗教はキリスト教系の東方正教会。1月の「神現祭」では、司祭が十字架を川に投げ込み、それを男だけが競って奪い合うという行事があります。最初に掴み取ったものは、幸せになれる。目の前に飛んできたので、ペトルーニャは川に飛び込み、なんと十字架を手にしてしまいます…。大騒ぎとなり、彼女は警察に拘束されます。その様子を地元のテレビが報じ、話は社会問題化していくのです。監督のテオナ・ストゥルガル・ミテフスカは北マケドニアの出身。実際に2014年に起きた事件を下敷きにして映画化しています。幸せを求める人に向けて、投げ込まれた十字架。「幸せになる権利は私にもあるはず」、ペトルーニャの言葉は全く正しいと思えます。【ぴあ水先案内から】池上彰さん(ジャーナリスト)「……そういえば日本の相撲の土俵も女人禁制だったと思い出すのですが、きっとペトルーニャのような女性によって、『伝統』の名の下の女性差別は消えていくことになるのでしょう。」春日太一さん(映画史・時代劇研究家)「……寒々しく荒涼としたマケドニアの景色がヒロインを取り巻く過酷な状況にマッチ、その理不尽さを際立たせていた。」首都圏は、5/22(土)から岩波ホールで公開。中部は、6/12(土)から名演小劇場で公開。関西は、6/11(金)からテアトル梅田他で公開。
2021年05月16日【おとな向け映画ガイド】コロナなんかに負けてたまるか!『茜色に焼かれる』にこめた、石井裕也監督の力強いメッセージ。ぴあ編集部 坂口英明21/5/9(日)平辻哲也さん(映画ジャーナリスト)「……何より素晴らしいのは、尾野真千子だ。苦境に立たされても、決して生き方を曲げない肝っ玉母ちゃんぶりにしびれた。劇中、何度も出てくる「まぁ頑張りましょう」という言葉もいい。……」伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……辛い話ほど人にできない、自分の話なんて面白くもない、だから笑って取り繕って、そうすると一気に重圧がかかるのに、それでも人に負担をかけない存在を選んでいく主人公……」
2021年05月09日5月5日は端午の節句。子どもの健やかな成長を願う日です。鯉のぼりや五月人形を飾り、小さなお子さんもワクワクするちょっと特別な一日。「こどもの日、家族みんなで囲む食卓も少し変化をつけたい」そう思っても、ひな祭りと違ってどんなお料理を作ればいいのかは悩みどころ。そんな時におすすめなのが、鯉のぼりをモチーフとしたお料理。お子さんも思わずテンションが上がる楽しい一品です。いつものおかずを節句仕様に子どもたちが大好きな揚げ物料理。いつもの春巻きも鯉のぼりデコすれば、特別なおかずに早変わりです。チーズ、鶏肉などお好きな具材を入れて包んだら、端を尻尾の形にカットして揚げればOK。あんこやクリームチーズを入れればスイーツにも。春巻きを折り紙の兜と同じように折って揚げれば、可愛い兜のおかずに。中に詰めるのはポテトサラダなどお好みのものをどうぞ。【詳しいレシピはこちら】 ・鯉のぼり&兜の春巻き 初節句にも使えるフルーツサンド離乳食期で迎えることが多い初節句。そんな時は、ヨーグルト、食パン、バナナで作れるフルーツサンドを作ってみては?目を海苔で作れば小さなお子さんでも安心です。離乳食が終われば、チョコペンでのデコ、生クリームを使えばちょっと特別な一皿に。お子さんのテンションが上がること間違なし!のフルーツサンドです。、【詳しいレシピはこちら】 ・食パンで作れる「鯉のぼりフルーツサンド」 意外と簡単!GWのおうち時間に本格スイーツ今年のGWはおうちで過ごす時間が長くなりそうな気配。そんな時は本格スイーツに挑戦するのも楽しそうです。一見ハードルが高く感じるロールケーキですが、琺瑯バットで作れば意外と簡単。旬の苺をたっぷりとトッピングして。「作るのも、見るのも、食べるのも」楽しい、鯉のぼりロールケーキです。【詳しいレシピはこちら】 ・鯉のぼりロールケーキ 年に一度の端午の節句。家族で楽しい時間をお過ごしください。 大西佳葉アンジェ編集部。フードコーディネーター。夫と娘の3人暮らし。家族が笑顔になるレシピを考案中。今日も美味しく、楽しく過ごせますように。
2021年05月02日【おとな向け映画ガイド】圧倒的な演技、米アカデミー賞主演男優賞アンソニー・ホプキンスの『ファーザー』をおすすめ。ぴあ編集部 坂口英明21/5/2(日)紀平重成さん(コラムニスト、元毎日新聞記者)「……過去の記憶は失われても怒りや悲しみといった感情は豊かに持ち続けることができるという病気の基本をしっかり押さえました。……」高松啓二さん(イラストレーター)「……まるでサスペンスホラーのようだ。特に頻繁に映るドアとシンメトリーの室内が、恐怖を演出する。……」
2021年05月02日今年のゴールデンウイーク(以下、GW)は遠出せず自宅で過ごす人も多いのでは。そんなGW最終日のこどもの日には、自宅で子供と一緒に『柏餅』を作ってみてはいかがでしょうか。材料はたったの3つで、蒸さないので、子供と簡単に作ることができます。今回は、筆者の6歳と4歳の娘たちと一緒に10個作ったので紹介します。材料:・上新粉180g・あんこ300g・カシワの葉10枚・砂糖適量カシワの葉は、あく抜きして真空パックされたものが、通販サイトで40枚1000円以下で手に入るのでおすすめです。では、早速作ってみましょう。まずは、あんこをラップで包み、長方形に伸ばして10等分して、丸めておきます。次に、上新粉と砂糖に300ccのぬるま湯を少しずつ加え、滑らかになるまで混ぜます。ラップをふんわりとかけ600wのレンジで5分加熱しましょう。取り出してゴムベラで周りを削ぐように混ぜ、めん棒で15~20回程度つきます。もちとり粉にもちを出し、10等分し、丸めて平らにします。そして、あんこを包みます。最後にカシワの葉で包めば完成です。この時、もちとり粉をかしわの表面にしっかりつけておくと食べる時にはがしやすいですよ。あんこを丸めたり、もちを丸めたりする作業は、小さな子供でも簡単にできます。もちの熱さに注意して、ぜひ作ってみてくださいね。[文/AnyMama(エニママ)・構成/grape編集部]
2021年04月28日【おとな向け映画ガイド】今週は、ぶっとび人生!『ビーチ・バム』、恋のリブート?『ラブ・セカンド・サイト』をおすすめ。ぴあ編集部 坂口英明21/4/25(日)岡田秀則さん(国立映画アーカイブ主任研究員)「……ブノワ・デビエという撮影監督を引っぱってきたことで、ハーモニー・コリンの映画は「蛍光する映画」になった。時に毒々しい人工色で覆われるその世界は、この世の風景ではないようにも見え、それでいて人物たちの虚無もくっきり映し出している。……」細谷美香さん(映画ライター)「……彼に寄り添う白猫ちゃんが危険な目にあわないかちょっと心配になりますが、いつも超然としていてめちゃくちゃかわいいです。」恩田泰子さん(讀賣新聞記者)「……途中までは全然納得いかないが、だんだん愉快になってくるのは、私たちを縛る「常識」をラストの大花火に至るまで、徹頭徹尾ひっくり返してくれるから。たった一つ、「愛」だけは揺るがないけれど……」妻ともう一度『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』妻と喧嘩して、一夜明けたら別の人生になっていたー。昨日までは、人気SF作家だったはず。ところが、何かがちがう。妻はいないし、自分はどうやら普通の中学校教師のようだ。状況が飲み込めないまま、街にでると、バスの広告に妻の華々しい写真が。どうなっているのだ!最初の15分で、カップルのなれそめから危機までを実にコンパクトに描きます。高校時代にピアニスト志望だった妻と出会い、恋におち、やがて結婚。妻はしがないピアノの教師、勉強そっちのけでSFを書いていた自分は売れっ子小説家になった。ふたりの関係には亀裂が入りはじめ…。そして、パリが吹雪に見舞われた夜、アクシデントがおきます。迷い込んだ別の世界では、妻は自分を知らない、しかもスターになっている、この試練のなかで、彼は愛をとりもどせる?フランスで大ヒットとなった『あしたは最高のはじまり』のユーゴ・ジェラン監督によるオリジナル・ストーリー。映画サイトでは、2010年代公開のロマコメ映画ランキングで1位に選ばれた作品です。主人公ラファエル役はカンヌ国際映画祭でショパール・トロフィーを受賞し、フランスでいま注目されるひとり、フランソワ・シビル。妻オリヴィアを演じるジョセフィーヌ・ジャピがチャーミングです。ノートルダム大聖堂やエッフェル塔、オデオン座、と舞台となるパリの美しさも絶品。役者、シチュエーション、使われるクラシックの名曲、ロマンティック・コメディはこうでなくちゃ、夢見ごこちになれる映画です。【ぴあ水先案内から】春日太一さん(映画史・時代劇研究家)「……何より、新たな世界で再び二人が出会い、関係を築いていく姿にはハラハラさせられるのと同時に、その多幸感には尊さすら感じた。……」波多野健さん(TVプロデューサー)「……主人公ラファエルの親友フェリックス役のバンジャマン・ラヴェルネがすごくうまくて笑わせてくれた。この人のおかげでこの映画の楽しさが2段階くらいアップした感じ……」中川右介さん(作家、編集者)「……タイトルバックの数分で主人公夫婦の10年間を描いてしまう。これだけで一本の映画になりそうな密度で、見事だ。惹き込まれた……伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……フランソワ・シビルとジョセフィーヌ・ジャピはずっと見ていたいと思えるほど魅力的で、彼らの表情に一喜一憂しながら自分の人生と照らし合わせてしまう摩訶不思議な説得力は、ふたりが共演をきっかけに交際をスタートさせた互いへの吸引力のせいかもしれない……」
2021年04月25日【おとな向け映画ガイド】本好きにはたまらない『ブックセラーズ』、ネット性犯罪の実態『SNS-少女たちの10日間-』、やばすぎるシリアルキラー『スプリー』の3本をおすすめ!ぴあ編集部 坂口英明21/4/18(日)渡辺祥子さん(映画評論家)「……本の素晴らしさを語る書店の主人やコレクター、書評家を見せる、本好きの人のためのドキュメンタリー……」伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……ブックセラーとは探検家。映画的に言うならインディアナ・ジョーンズってとこ。そしてその本の魅力を引き出す工夫もブックセラーのセンス次第…」植草信和さん(フリー編集者、元キネマ旬報編集長)「……登場する書店主いわく「本に正しい家を見つけてやるのは医者が患者を治すのに似ている」。そんな彼ら彼女らの本への愛情……」高松啓二さん(イラストレーター)「……。やっぱ古本屋はいいなあ!」村山匡一郎さん(映画評論家、大学講師)「……書籍の取引や書店をめぐる裏話や歴史的エピソードが次々と描かれ、本好きならワクワクするほど堪らない世界である。……」禁断のリアリティショー『SNS-少女たちの10日間-』おとり捜査風ドキュメンタリーというか、これはまた、すさまじい内容の映画です。10代の若者が、SNSにより、どれほど性犯罪の危険にさらされているかを告発しているのですが、その手法は大胆で、少女にむらがる大人たちの性欲も尋常なものではありません。2017年、チェコ。撮影スタッフは、12、13歳想定で少女3人の偽アカウントを巧妙に作り、接触してくる男性とのやりとりをカメラに収めていきます。少女役を演じるのは3人の女優(18歳以上)。らしく見えそうな女性をオーディションで選びます。さらにスタジオに、ディテールに気を使った3人の部屋をセットとして用意します。登録後たった5時間で、83名の成人男性がコンタクトしてきます。それから10日間。なんと2458人の男たちが、10代と知りながらアプローチ、その多くが性犯罪に近い行為に及んだのです。撮影には、精神科医、生化学者、弁護士など、バックアップスタッフを用意、興味本位でないことはわかります。映像にはぼかしが入っていますが、これを生で見せられたらと思うとぞっとします。【ぴあ水先案内から】池上彰さん(ジャーナリスト)「……この映画は、幼い娘を持つ親に対し、子どもがネットでどんなやりとりをしているかに無関心だと、どんな危険が待ち構えているかを警告しています……」村山匡一郎さん(映画評論家、大学講師)「……SNSが常態化した今日の子供たちの危機を訴える効果はあるとはいえ、その作為性は、隠し撮り手法の延長にある盗撮に似て、倫理的な問題を改めて浮上させないだろうか。……」ライドシェア・アプリ連続殺人鬼!?『スプリー』これはフィクションですが、SNS時代ならではの設定と内容、毒気のきいたアクション・スリラーです。「スプリー」というのはライドシェア(相乗り)アプリのこと。アプリで申し込むと近くを走る契約者がそれに応えて車に乗せてあげるというサービスです。そのスプリーのドライバー、名前はカート。みためは普通ですが、SNSにどハマりしていて、フォロワーを増やしたいがために、乗客の殺害現場をライブストリーミングで実況中継しようと思いつき、決行する、そんな内容です。狂っています。ドライバーもおかしいし、乗ってくるお客もへんなのばかり。映像は、カートがライブ中継用にセッティングした車載カメラのものから、客のスマホで撮った映像、SNS画面など入り乱れます。みんながみんな、どうしたらバズるかにいのちをかけていて、笑えます。アメリカ・インデペンデント映画シーンの晴れ舞台、サンダンス映画祭でのプレミアでバカウケ。小規模公開から始まり、バスりに成功したというやんちゃな作品です。監督はウクライナ出身のユージーン・コトリャレンコ。これまでもビデオチャットを使った野心的な作品で知られています。彼の作品が日本で上映されるのはこれが初めてです。カートを演じたジョー・キーリーはInstagramのフォロワー数が700万を超える人気者、次回作はディズニーの『フリー・ガイ』という注目の俳優です。首都圏は、4/23(金)からヒューマントラストシネマ渋谷他で公開。中部は、4/23(金)からセンチュリーシネマで公開。関西は、5/7(金)からシネ・リーブル梅田他で公開。【ぴあ水先案内から】佐々木俊尚さん(ジャーナリスト)「……「ああこういう人、日本のSNSにも確かにいるなあ」と思わせる妙な説得力がすごい。……」相馬 学(フリーライター)「SNSの普及により承認欲求なる言葉が、しばし聞かれるようになったが、本作が描くのはその暴走だ。……」
2021年04月18日【おとな向け映画ガイド】シングルマザーの挑戦と葛藤『約束の宇宙』、演劇とライブと恋の街・下北沢の『街の上で』、今週はこの2本をおすすめ。ぴあ編集部 坂口英明21/4/11(日)高松啓二さん(イラストレーター)「……見所は、彼女の強靭ながんばりではなく、挫けそうな弱さを感じながらも働くリアルな女性の姿……」伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……女の子に生まれたって、子供を産んだって、夢を叶えられる。『約束の宇宙』は、子供たちへ向けた未来へのメッセージなのだ。」シモキタのあそこもここも『街の上で』男子と女子がめぐりあい、会話をして、お互い、いろいろジャブいれながら、この人とひょっとして……と空想をめぐらす。『愛がなんだ』もそうだったのですが、そんなやりとりのシーンって、今泉力哉監督はうまいですよね。どこかにいそうな主人公、いつかおきそうなできごと。場所は下北沢の、ありそうなところ。古着屋の店員をしている青(あお)くんが、店番をしながらひまそうに本を読んでいるところが絵になると、自主映画の女性監督に気にいられ、出演依頼が舞い込みます。台本読んで、自分なりに稽古していったのですが、何テイクとってもうまくいかず、結局すべてカット、使われないことに。つきあわされた打ち上げの居酒屋で、隣りに座ったスタッフの女性と意気投合し、彼女の家へ。それでデキちゃうのかというと、ふたりはグダグダ話し続けるだけ。話題は青くんが最近フラれた彼女の話や相手の恋愛遍歴、たわいのないものです。古書ビビビ、古着のhickory、町中華・珉亭、ライブハウスTHREE、スズナリ、トリウッド……。シモキタの実在の場所を絶妙にとりこみながら、少しコミカルに進むラブストーリーは、あえていうなら初期のウディ・アレン作品の味わい。主人公はアレンのように神経質ではないし、のんびりしていて、好感がもてます。シモキタはマンハッタンみたいにリッチじゃないけど。青役は『愛がなんだ』にもでていた若葉竜也。同じく『愛が…』の成田凌が朝ドラにもでている役者という役どころで特別出演しています。この作品はコロナ禍で公開が1年ほど延期になりました。その間に、若葉君も『おちょやん』に抜てきされ、なんと、朝ドラのふたりが出演、という豪華キャストの映画になっちゃいました。【ぴあ水先案内から】笠井信輔さん(フリーアナウンサー)「……長回しのダラダラとした会話の中に、様々な人生のおかしみが含まれていて、セリフなのかアドリブなのかもわからなくなる魅力。ところがこのダラダラとした点描がクライマックスで一気に集約され大変な興奮を生み出すマジック。やっぱり今泉監督はノッている。」
2021年04月11日【おとな向け映画ガイド】女優たちの圧巻の演技、凛とした富司純子『椿の庭』、熱情を秘めたケイト・ウィンスレット『アンモナイトの目覚め』、今週はこの2本をおすすめ。ぴあ編集部 坂口英明21/4/4(日)植草信和さん(編集者・元キネマ旬報編集長)「……3世代の女性のそれぞれの屈託が、家と庭の映像を通してほのかに浮きあがってくる。……」首都圏は、4/9(金)からシネスイッチ銀座他で公開。中部は、4/17(土)から名演小劇場で公開。関西は、4/23(金)からテアトル梅田他で公開。不遇な女性古生物学者の秘めた恋『アンモナイトの目覚め』1840年代、女性の社会進出がまだ認められていなかったビクトリア朝のイギリス。独学で古生物を研究し、大英博物館に残るほどの化石を発見したものの、不遇な生活を送る古生物学者メアリーに訪れた転機、それはある女性との出会いでした…。メアリーは実在した人物です。死後に認められ、王立協会が「科学の歴史に最も影響を与えた英国女性10人」に選んだのは2010年。同時代の人が彼女について書いた書物はほとんどないそうです。そんなメアリーを主人公にして描くのにあたり、同性と関係を持っていたかもしれない、と想像をめぐらせたのは『ゴッズ・オウン・カントリー』のフランシス・リー。21世紀ゲイ映画の旗手、とよばれる監督です。監督が主演に起用したのはイギリスの名女優ケイト・ウィンスレット。ウディ・アレンの前作『女と男の観覧車』とはだいぶイメージが異なりますが、最初はうつうつとし、やがて内に秘めた熱情を爆発させる女性像を見事に演じています。彼女の心を開かせるシャーロット役には、今年で27歳、すでにアカデミー賞4度のノミネート、1度の受賞という演技派、シアーシャ・ローナン。超豪華な組み合わせです。【ぴあ水先案内から】春日太一さん(映画史・時代劇研究家)「……二人の女性が徐々に距離を縮めていく様が、壊れそうなまでに繊細なタッチで綴られる。……」波多野健さん(プロデューサー)「……この映画で一番感銘を受けたのは“音”だった。……ものすごく迫ってきて、ストーリーを一層奥深いものに見せてくれた。こんな経験は初めてだった。」植草信和さん(編集者・元キネマ旬報編集長)「……地の果てを彷徨するふたりの女性の魂と肉体が結ばれて昇華する描写が、素晴らしい。性愛描写の極致。……」
2021年04月04日東山紀之主演で、スマホの存在がおとなたちを翻弄するさまを描いた伊アカデミー賞受賞作を日本でリメイクした『おとなの事情 スマホをのぞいたら』ブルーレイ&DVDセットが4月30日(金)に発売。本作から、メイキング映像の一部が特別公開された。本作は、スマホに届くメールと電話の内容をパートナーや友人たちとさらし合う、というゲームをはじめてしまったおとなたちが、必死でウソをつき、言い訳を繰り返し、スマホが鳴らないようにと祈る予測不可能なコメディ。この度ブルーレイ&DVDリリースに先駆け到着したのは、映像特典として収録される<メイキング・オブ・『おとなの事情』>の一部。「OK」の声がかからないまま、スタッフが片付けを始める中、東山さん、常盤貴子、鈴木保奈美ら豪華キャスト陣がセットに放置されている貴重な映像。談笑し合う様子からは、和やかな撮影現場であったことがうかがえる。ブルーレイ&DVDセットには、キャストのインタビュー映像や撮影現場の裏側に迫るメイキングなど貴重な映像が約85分収録されている。『おとなの事情 スマホをのぞいたら』は4月30日(金)よりデジタル配信、ブルーレイ&DVDリリース。(text:cinemacafe.net)■関連作品:おとなの事情 スマホをのぞいたら 2021年1月8日より全国にて公開©︎ 2020 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.
2021年03月29日【おとな向け映画ガイド】『天国と地獄』に似てる!? 連続殺人鬼が女子高生に『ザ・スイッチ』と、幸せの国『ブータン 山の教室』。今週はこの2本をオススメ。ぴあ編集部 坂口英明21/3/28(日)野村正昭さん(映画評論家)「……クリストファー・ランドン監督が手がけただけあって、さすがの出来栄え!……」世界で一番幸せな国で…『ブータン 山の教室』ブータン王国は10年ほど前、若き国王夫妻が来日し、ちょっとしたブームになったことがありました。GDPよりGNH(Gross National Happiness/国民総幸福量)の方が重要だという国です。そのブータンで作られた、まさに心洗われる映画です。首都のティンプーに暮らす、ipodを手放さない音楽好きな若い教師ウゲンが、上司の命令で僻地の学校に赴任します。学校は春から秋までの季節開校。冬までの約束です。ティンプーは標高2300メートル前後、赴任地のルナナ村は4800メートル。途中のガサまではバス、そこからはトレッキング、つまり山登りしか手段がなく、しかも8日もかかるのです。村に到着するやいなや「僕にはできません」と弱音をはいたウゲンですが、純朴そのものの生徒たちとの暮らしのなかで、何かが変わっていきます……。プロの俳優はウゲン役の新人シェラップ・ドルジと若い数人のみ。村人や生徒たちは実際にルナナに暮らす人々が自身を演じています。特に、クラス委員役を演じるペム・ザムは奇跡ともいえるかわいさ。観ているだけでなごみます。監督はパオ・チョニン・ドルジ。この作品が長篇デビュー作です。写真家でもある監督、ブータンの大自然をとらえた映像美は、やはり映画館のスクリーンで観てこそ、と思います。【ぴあ水先案内から】立川直樹さん(プロデューサー、ディレクター)「……ブータンから“幸せとは何なのだろうか”と考えさせてくれる映画が登場した。……」伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……ゆっくりと心が広がる感覚を映画で味わい、主人公の青年に自分をシンクロさせながら気づくもっとも大切なこと。」紀平重成さん(コラムニスト)「……最初は村の暮らしや人々の語らいがあまりにも純朴過ぎて少々居心地は悪かったのですが、突然理由もなく涙がこぼれ出し慌てました。」夏目深雪さん(著述、編集業)「……田舎の学校で子供たちを教えるという物語には想像以上のものはない気がするが、これが筆舌に尽くしがたい素晴らしさ。……」首都圏は、4/3(土)から神保町・岩波ホールで公開。中部は、4/24(土)から名演小劇場で公開。関西は、4/30(金)からシネ・リーブル梅田他で公開。
2021年03月28日【おとな向け映画ガイド】米アカデミー賞主要6部門ノミネート!『ノマドランド』など、ぴあ水先案内人がすすめる4本をご紹介ぴあ編集部 坂口英明21/3/21(日)笠井信輔さん(フリーアナウンサー)「……様々な人間模様が美しい大自然の中で描かれる本作。劇場の大画面で見てこそ、その良さがわかる作品だ。……」伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……老いた彼らの表情には人間関係からの苦しみだとか家族への愛よりも、もっと深い人類愛のようなシワが刻まれている。」佐々木俊尚さん(フリージャーナリスト)「……リアルにアメリカ人の苦境とそこで培われてるたくましさを描き出している。……」佐藤久理子さん(文化ジャーナリスト、パリ在住)「……主人公の旅路に瞠目するうちに、自分も彼女とともに新しい世界を発見していることに気付かされる傑作。」相馬学さん(フリーライター)「……混迷の2021年を生きる現代人にとって、ひとつの指針になるだろう。……」高松啓二さん(イラストレーター)「……圧倒されるのは、ノマドキャンプや国立公園のアメリカの大自然描写……」堀晃和さん(ライター、編集者)「……アメリカの新たな一面を見せられた気分になった。」渡辺祥子さん(映画評論家)「……雄大な景色の中で生きている孤独な自分。でも行きたい道を自分で選べる人生だ。……」大泉洋に「あてがき」したベストセラー小説を映画化『騙し絵の牙』大手老舗出版社を舞台にした業界内幕ドラマも、大泉洋主演だとこんなに軽快でスリリングなエンタテインメントになるのですね。『罪の声』の著者・塩田武士が大泉洋主演を想定し「あてがき」した評判の小説を映画化。一族経営の出版社にありがちな跡目争いに端を発した派閥抗争まっただなかに、外部から招かれた大泉扮する新編集長の活躍を描きます。現社長の息子・中村倫也の後見人である常務に佐野史郎。彼は会社の看板を背負う小説誌を配下に持ちます。一方、次期社長と目される専務の佐藤浩市は“スキャンダラスな話題だろうと売れれば正義”のカルチャーマガジン担当、この2誌の社内ヘゲモニー争い。そこへ社長が逝去。がたつく社内の混乱に油をそそいだのは大泉編集長がうちだした新手です。炎上覚悟のその秘策とは……。個性派の俳優たちが豪華に並びます。編集者役で松岡茉優、木村佳乃、小説家に國村隼、宮沢氷魚、文芸評論家に小林聡美、謎の男のリリー・フランキー、人気モデルの池田エライザなど。監督は『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八です。【ぴあ水先案内から】笠井信輔さん(フリーアナウンサー)「大満足! ほんと痛快。……ほんとに『出版業界の半沢直樹』だった。……」相田冬二さん(ライター、ノベライザー)「……大泉洋のダンディズムを、意外なかたちで炙り出した……」中川右介さん(作家、編集者)「……陰謀と裏切りの二転三転は、小説以上。……」伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……登場人物全員がしっかりと個性を輝かす場を与えられ、皆がワクワクしながら演じているのが伝わってくるから楽しいのなんの。」堀晃和さん(ライター、編集者)「……ぜひ『牙』に込められた意味も見逃さないでほしい。」“水の精・ウンディーネ”の神話が現代に『水を抱く女』「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という、水の精(ウンディーネ/オンディーヌ)の神話を現代によみがえらせた幻想的なラブストーリーです。ミステリアスでしかも妖艶なヒロイン、ウンディーネを演じているのはパウラ・ベーア。本作品で、ヨーロッパ映画賞女優賞やベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞しています。ウンディーネは歴史研究者。ベルリンにある都市開発模型を展示する博物館でガイドをしています。展示物や彼女が語るベルリンの歴史も興味をそそります。繰り返し使われる音楽はバッハの協奏曲ニ短調。細部にこだわりが感じられる、ヨーロッパ映画です。監督は名匠クリスティアン・ペッツォルト。【ぴあ水先案内から】佐藤久理子さん(文化ジャーナリスト、パリ在住)「……情熱的なラブストーリーとヒッチコック風のサスペンスが融合し、先の読めない面白さに引きずられる。」伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)「……驚きの連続が待ち受ける究極の愛情表現……」野村正昭さん(映画評論家)「……博物館にあるベルリン全体の模型や、大きな水槽などがミステリアスに絡みあい、やがて現実とも幻想ともつかない結末になだれ込む……」首都圏は、3/26(金)から新宿武蔵野館他で公開。中部は、4/16(金)から伏見ミリオン座で公開。関西は、4/16(金)からテアトル梅田他で公開。親子の逃避行、そして父の決意『旅立つ息子へ』自閉症スペクトラムを抱える息子と田舎町で暮らす父親。このまま自分が面倒をみられればよいのですが、定収入もなく、裁判所からは養育不適合と判断されてしまいます。このままだと全寮制の特別支援施設に預けることになります。入所の当日、いやがる息子をみて父は決意します。この場から逃げ、ふたりで旅に出ようと…。東京国際映画祭で『ブロークン・ウィング』『僕の心の奥の文法』と2度グランプリを受賞したイスラエルのニル・ベルグマン監督作品。実話を基にした映画です。息子がとても個性的。例えば、チャップリンの『キッド』が好きという設定なんて、とても好感が持てます。【ぴあ水先案内から】佐々木俊尚さん(フリージャーナリスト)「……単純な美しい物語にしておらず、地に足ついた現実を見据えながらつくられている……」渡辺祥子さん(映画評論家)「……いつの間にか愛する息子の世話をすることが生きる目的になっている父親の姿を描くドラマだ。しかし、そんな日々に新たな扉が開く時がくる。……」野村正昭さん(映画評論家)「……イスラエル出身のニル・ベルグマン監督は、文化や言葉の壁を越えて我々に率直に心情を伝えてくる……」
2021年03月21日50代を迎え、“おとな"には十分な年になった今だから思うこと、日々のことを、海辺の家に住む料理家・飛田和緒さんが「自分の言葉で伝えたい」と飾らない言葉で綴りました。著者にとっては10年ぶりのエッセイ集。読むほどに、年を重ねることが楽しく思えてきます。本書の一部をご紹介します【01:料理家という仕事をしていても】料理家という肩書ではあるが、料理をつくるのが根っから好きなのかと自問する。もし、いつも隣にわたし好みの味をつくってくれる人がいて、食べたいときにさっと料理が出来上がってくるとすれば、きっとわたしは台所に立たないのではないかと思うときがある。それが実際にはままならないから、自分でつくるしかないのだ。どちらかといえばつくるより、食べることが好き。おいしいものを食べたい一心。ただ食いしんぼなのだ。わたしの料理は18歳のときに親元を離れて自分の台所を持ったときから始まった。最初はテレビや雑誌で見かけたレシピをつくってみたり、バイトをしていた洋食屋さんのまかないや居酒屋のおいしかったメニューをまねしてみたり。お金もない学生だから、そんなにぜいたくなものを食べていたわけではないが、自分がおいしいと思ったものは、できる限りその味に近づくようつくってみたいと台所に立っていた。お店ではひと皿しか食べられないけれど、家で同じようにつくれば食べたいだけ食べられる、そんな食い意地が実験的な料理を生むこともあった。おいしいものを食べると台所仕事にも変化がある。わたしの母は歳で父のところへお嫁にきた。その当時はなんにも食べられない、なんにもつくれないただのやせっぽちだったと聞いている。父は食べる、飲むがとても好きな人だったので、母をあちこち付き合わせてせっせとおいしいものを食べさせたのだそう。いろんな味を食べた結果、母は少しずつ偏食がなくなり、料理への興味がわいてきて、わたしがもの心ついたときには、母は料理上手なお母さんになっていた。お客さんの多い家だったこともあり、母は家族以外の人にもごはんをつくり、酒の肴をこしらえるという毎日。相当鍛えられたんだろう。今ではわたしと争うようにして新しい料理にも果敢に挑戦している。わが夫もふたり暮らしが長かったこともあり、外食にはいろいろと連れていってくれた。外国へ旅しても中心は食べることばかり。若い頃はきっと情熱的な思いもあったんだろうが、もう知り合って四半世紀を過ぎようとしている今は食べることだけでつながっているのではとさえ思う。わが家はちょっと出遅れた子育ての真っ最中。そんな中でもなんとかやりくりしておいしいものを食べに出かける機会をつくるようにしているが、おかしいことに夫婦の外食事情が変わってきた。夫はせっかくだからおいしいお酒をゆっくり楽しみたい。わたしは食べることに真剣になりたい。お酒なら家でゆっくり飲んだほうがいいと思うように。子連れだから、外食の時間も限られるので、母親はそんな考えになるのかもしれない。そんなこともあって、最近わたしはひとりで大好きな味を食べに出かけるように。といっても3、4か月に一度くらいの割合。そこで食べる時間のために働いているといってもいいくらいに、熱をあげている味がいくつかある。軽井沢で食べるモロッコ料理(残念ながらこのお店はクローズした)、熊本の桜肉、長野で食べる江戸前寿司、山奥で食べるきのこづくしの料理。まったくジャンルは違うが、それぞれわたしの舌にどんぴしゃり。わざわざその料理を食べるだけのために飛行機に乗り、新幹線に乗って移動する。うまいものを食べたい気持ちになることも、たいへんなエネルギーがわいてくるものなのだ。そして、それらの料理は、まねしようとも思わない。あれこれと考えずに一心不乱に食べるのみ。そんな恋しい味があるって幸せだなとしみじみ思う。さて、おいしいものを食べて帰ってきたわたしの料理に変化が見られるかどうかは?......そんなわがままを許してくれる家族に感謝しなければならない。【本書のもくじ】storyI:仕事の話storyII:食いしんぼの話storyIII:家の話storyIV:おしゃれの話storyV:ものの話storyVI:日々の話著者プロフィール飛田和緒(ひだかずを)東京都生まれ。高校3年間を長野で過ごし、山の幸や保存食のおいしさに開眼する。現在は、神奈川県の海辺の町に夫と高校生の娘と3人で暮らす。近所の直売所の野菜や漁師の店の魚などで、シンプルでおいしい食事をつくるのが日課。気負わずつくれる、素材の旨味を生かしたレシピが人気の料理家。Instagram@hida_kazuo書誌情報タイトル:『おとなになってはみたけれど』発売:2021年3月2日定価:1650円(本体1500円+税)判型:四六判発売元:株式会社扶桑社ISBN:978-4-594-08738-8【購入リンク】Amazonへ楽天ブックスへ本書の内容、取材などについては下記へお問い合わせください株式会社扶桑社宣伝部PR担当fusoshapr@fusosha.co.jp企業プレスリリース詳細へ TIMESトップへ
2021年03月20日【おとな向け映画ガイド】米アカデミー賞有力候補『ミナリ』など、ぴあ水先案内人おすすめの4本をご紹介ぴあ編集部 坂口英明21/3/14(日)佐々木俊尚さん(フリージャーナリスト)「……おばあちゃん役の人の演技が絶品。ちょっと毒舌で過激で、でも憎めなくて、好人物っていうキャラクターって昔の日本映画にはよく登場してた。そういう懐かしさも含めて、日本人的な情緒でも共感できる物語。……」渡辺祥子さん(映画評論家)「……最悪の事態になってもきっと乗り越えられる、と思える温かみがあって胸をなでおろす。」紀平重成さん(コラムニスト/元毎日新聞記者)「……複数のルーツを持つカマラ・ハリスさんがアメリカ副大統領になったことも、語られるべき移民の歴史が無視できないほどに大きな潮流となっている」植草信和さん(編集者/元キネマ旬報編集長)「……主題歌が我が国のテレビドラマの名作『北の国から』に類似していることもあって、親子の情愛に感動させられる。」会話のテンポが抜群に楽しい!『まともじゃないのは君も一緒』数学一筋の予備校教師(成田凌)に、恋愛経験ゼロの教え子(清原果耶)が、いかにして女の子と付き合うか、をコーチする、そんなラブコメですが、傑作です。ちょっと小生意気な女子高生、とんちんかんでどこかまともじゃない独身男、ふたりの会話のやりとりは、おしゃれなハリウッド・スクリューボール・コメディのようです。いや、おおげさじゃなく。【水先案内人のコメントから】笠井信輔さん(フリーアナウンサー)「……またも清原果耶にやられてしまった。この人はどうしてこうも芝居がうまいのだろう。……」ダメサッカーチームを救ったのは?『クイーンズ・オブ・フィールド』フランスで90年の歴史を誇るサッカーのクラブチーム。試合中にまさかの大乱闘騒ぎを起こし、メンバー全員が出場停止になってしまいます。控えはなし。このまま行くとチーム存続の危機です。そこでたちあがったのは、選手の妻たち。ある奇策を思いつきますが……。肩のこらない、遊び心満載のコメディ作品です。【水先案内人のコメントから】夏目深雪さん(著述・編集業)「……女たちの疾走と反撃が加速しこのうえない爽快感を生む。……笑って感動できる大人のための作品。」ライブビューイング『メリー・ウィドウ』NYメトロポリタン・オペラの舞台を収録し、映画館で上映するMETライブビューイング。コロナ禍で公演がなく、新作はありませんが、過去の名作を集めた「プレミアム・コレクション2021」の連続上映が始まっています。2月の『椿姫』に続いて、19日からはレハールの『メリー・ウィドウ』を公開。古き良きパリを舞台にリッチで陽気な未亡人をめぐるロマンチック・コメディ。当代随一といわれるソプラノ、ルネ・フレミングが主演の舞台です。【水先案内人のコメントから】朝岡聡さん(コンサートソムリエ/フリーアナウンサー)「……歌も芝居も衣装もセットもMETならではの贅沢さいっぱいで届けられる。これぞ、究極のオペレッタの楽しみ!」
2021年03月14日スマホの存在がおとなたちを翻弄するさまを描いた伊アカデミー賞受賞作を、東山紀之主演でリメイクした日本版『おとなの事情 スマホをのぞいたら』のブルーレイ&DVDセットのリリースが決定した。スマホに届くメールと電話の内容をパートナーや友人たちとさらし合う、そんなゲームを始めてしまった大人たちは全員誰にも言えない秘密を抱えている。彼らは必死でウソをつき、言い訳を繰り返し、スマホが鳴らないように祈る緊張の夜を過ごすことに。そして、ついに決定的なメールが舞い降りる!本作は、衝撃と毒のある笑いが観客を魅了し、世界18か国でリメイクされたコメディの日本版。東山紀之が10年ぶりに映画主演。ストイックな役作りに定評のある彼が物語を牽引する“最大の秘密”を抱えた冴えない独身男性を熱演。そして、鈴木保奈美と常盤貴子が奇跡の初共演を果たし、益岡徹、田口浩正、木南晴夏、淵上泰史も加わり、火花を散らす。世界各国で人種・宗教を超えて支持された傑作コメディに日本独自のアイデアを加え、“誰もが他人事ではいられない”脚本に仕上げたのは、数々の名作ドラマを手掛けてきた岡田惠和。ブルーレイ&DVDにはキャストのインタビューや、撮影現場の裏側に迫るメイキングなど、約85分の貴重な映像特典を収録。リリース決定に合わせて、東山紀之、鈴木保奈美、常盤貴子のコメント動画も公開されている。『おとなの事情 スマホをのぞいたら』は4月30日(金)より デジタル配信、ブルーレイ&DVDリリース。(text:cinemacafe.net)■関連作品:おとなの事情 スマホをのぞいたら 2021年1月8日より全国にて公開©︎ 2020 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.
2021年03月07日【おとな向け映画ガイド】残された人生あと92分!『ワン・モア・ライフ!』と、新感覚のサスペンス・ホラー『ビバリウム』の2本をオススメぴあ編集部 坂口英明21/3/7(日)イラストレーション:高松啓二今週末(3/12・13)に公開される映画は11本(ライブビューイング、映画祭企画を除く)。全国100スクリーン以上で拡大公開されるのは『ブレイブ ‐群青戦記‐』『映画しまじろう「しまじろうと そらとぶふね」』の2本、中規模公開とミニシアター系の作品が9本です。そのなかから2本を厳選し、ご紹介します。『ワン・モア・ライフ!』交通事故に遭い、突然天国に召された中年男のパオロが、天国の入口で、「こんなに寿命が短いはずがない。野菜のスムージーだって飲んでいたのに!」と猛反発します。「野菜のスムージー?」、受付係の天使(でしょうか? 老人ですが)が、待てよ、と反応。調べてみると、スムージーのことは寿命の計算に入っていませんでした。申し訳ない、前代未聞のこちらのミスだ、とパオロはスムージーの分だけ、地上に戻されることになります。その時間は、92分!というわけで、人生があと1時間半、映画1本分にもみたないとしたら、自分なら何をする?てなことを考えながら、楽しんでいただきたいイタリアのコメディです。映画に天国の入口はよく登場します。『素晴らしき哉、人生!』や『天国から来たチャンピオン』といった名作が頭に浮かびます。死者を迎え入れてくれるのは大抵、人の良さそうな男性の天使。本作でも、メガネをかけ、白い顎髭を蓄えた天使がパオロに与えられた92分の地上生活を見張ることになります。演じているのはレナート・カルペンティエーリ。イタリアの名優です。『取るに足らない幸せの瞬間』と『取るに足らない不幸の瞬間』というイタリアでベストセラーになった短編集が原作です。人生において取るに足らないことだけれど「それ、あるある。私もある。」と共感するような瞬間をスケッチのように書き連ねたものだそうです。それをダニエーレ・ルケッティ監督は、著者のフランチェスコ・ピッコロとともに脚本化しました。主役のパオロ役に抜擢されたのは、俳優のみならず、脚本家、監督、テレビ司会者など多彩な活躍をするピエールフランチェスコ・ディリベルト。自分勝手で楽天的に生きてきたパオロが「死んでみて」初めて気づいた家族の大切さ、でも与えられた時間はごくわずか! 彼に何ができるのか?撮影の舞台になった、イタリア・シチリア島のパレルモという町がなんとも素敵です。1990年代までは犯罪組織コーザ・ノストラが牛耳る町だったそうです。『ゴッドファーザー』にもでてきましたね。今では人気の観光地です。こういう人生讃歌の映画に、ぴったりです。首都圏は、3/12(金)からヒューマントラストシネマ有楽町他で公開。中部は、3/12(金)からユナイテッドシネマ豊橋18、3/13(土)から名演小劇場で公開。関西は、3/12(金)からテアトル梅田他で公開。『ビバリウム』タイトルバックに、エサをせがむ鳥のひなが映し出されます。ところが、このひな、ちょっと変。実はカッコウのひなでして。カッコウは他の鳥の巣にそっと卵を産み落として、子育てを代行させるのです。托卵、という習性だそうです。あこがれの新居を求め、開発中の新興住宅地を訪れたカップル。案内してくれたのは、挙動がなんとなくおかしい不動産屋のセールスマン。しかし、内見の途中で彼が姿を消してしまいます。やむなく、カップルは車で分譲地を去ろうとするのですが、どうしてもここから外に出られない。どこまでも同じ住宅が並び、気づけば、内見した家の前にまた戻ってしまいます。いつの間にか、家には食料が届けられ、翌朝は、乳児の入った段ボールが玄関の前に置かれています。そこには「育てれば解放される」という謎のメッセージが! つまりこれは、托卵!?カップルには事情が飲み込めません。どうしたら良いのか。これは誰の陰謀なのか。なんとかここを抜け出そうと、ふたりは悪戦苦闘します。そして次第に精神が崩壊していくのです。それでも食料はきちんと届けられ、赤ちゃんは、驚くほど短い間に成長していき、「ママ」と呼び出し始めます。ベルギーとデンマーク、アイルランドの合作で、監督はアイルランド出身のロルカン・フィネガン。使われている言語は英語です。カンヌ国際映画祭の批評家週間でプレミア上映され、新しいクリエイター発掘を奨励するギャン・ファンデーション賞を受賞しています。主人公のカップルは、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグと『グリーンルーム』のイモージェン・プーツ。舞台は謎、ヨーロッパのどこかみたい。住宅地はライトグリーンを基調にして、おしゃれです。絶叫ホラーではなく、恐怖はさざなみのようにやってきます。バックにそら恐ろしい世界がひかえているような、不気味なサスペンス・ホラー。上品な作りですが、それだけに途中の、あっと驚く仕掛けは効果的です。
2021年03月07日