●オスカーに輝くのはどの作品?2月23日、世界最高峰の映画の祭典、アカデミー賞が2月23日(日本時間)、米・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催される。果たして最高の栄誉はどの作品に与えられるのか? WOWOWプライムでは当日朝9時から「生中継!第87回アカデミー賞授賞式WOWOWプライム」を完全独占生中継。今回はその放送を記念し、すでに発表されているノミネート作品から主要賞を大予想すると共に、映画の祭典を隅々まで楽しむコツを伝授しよう。○主要6部門のノミネート作品をピックアップ!!オスカーに輝くのはどの作品?まず第87回アカデミー作品賞ノミネート作品はコチラ。○作品賞ノミネート作品『アメリカン・スナイパー』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『6才のボクが、大人になるまで。』『グランド・ブダペスト・ホテル』『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』『セルマ(原題)』『博士と彼女のセオリー』『セッション』映画界最高の栄誉とも言うべき作品賞。前哨戦では、6歳の少年とその家族の12年を追ったヒューマン・ドラマ『6才のボクが、大人になるまで。』がほぼ独走状態。主人公を含む家族4人を同じ俳優が12年間演じるという、前人未到とも言うべき演出が評価され、ゴールデン・グローブ賞最多3部門を受賞したほか、今回のアカデミー賞では主要6部門にノミネートされており、作品賞の大本命と言える。だがここにきて、対抗馬に『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が急浮上。というのも、前哨戦の中でもとりわけアカデミー賞作品賞とのマッチングが多いアメリカ製作者組合(PGA)賞で、作品賞を制したのが『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』なのだ。実力派俳優たちの見事なアンサンブル、最初から最後までワンカットで撮られたかのような流麗なカメラワークに興奮必至の120分。撮影賞は確実だと思われるが、作品賞受賞なるか!? こうしたアートハウス系作品が有力視される中、全米ボックスオフィスで記録的な興行収入をあげたクリント・イーストウッド監督の戦争映画『アメリカン・スナイパー』が大穴か。○監督賞ノミネートアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)リチャード・リンクレイター(『6才のボクが、大人になるまで。』)ベネット・ミラー(『フォックスキャッチャー』)ウェス・アンダーソン(『グランド・ブダペスト・ホテル』)モルテン・ティルドゥム(『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』)『21グラム』『バベル』などのシリアス路線から一転、ファンタジーかつコメディに挑戦したアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの“新境地"も特筆ポイントだが、やはり大本命は『6才のボクが、大人になるまで。』のリチャード・リンクレイター。代表作『ビフォア』シリーズ3部作では、1組の男女の恋を9年ごとに同じ俳優で撮影したが、本作は同じ俳優に12年間同じ役を演じさせ、少しずつ撮りためた映像を1作品にまとめるという離れワザをやってのけた。監督賞とは“その年にハリウッドで最も認められた監督に与えられる賞"だが、リンクレイターの1年、いや12年間の挑戦は映画史に残る偉業として評価されるはずだ。○主演男優賞ノミネートスティーヴ・カレル(『フォックスキャッチャー』)ブラッドリー・クーパー(『アメリカン・スナイパー』)ベネディクト・カンバーバッチ(『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』)マイケル・キートン(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)エディ・レッドメイン(『博士と彼女のセオリー』)俳優賞のポイントとして、オスカー会員は“実在の人物"を演じた俳優を評価する傾向にある。しかも肉体改造や特殊メイクなど、役柄本人とのギャップが大きければ大きいほど、だ。ノミネート5人のうち、実在の人物を演じたのはマイケル・キートン以外の4人。中でも、車いすの天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士を演じたイケメン俳優エディ・レッドメインの渾身の演技は鳥肌モノだ。ALSが発症し、身体の自由が奪われていく過程を繊細に演じ、最後に見せる“瞳"の演技には涙腺を刺激される。オスカー受賞は確実かと思われるが、もうひとりの有力候補とされるのがマイケル・キートンだ。かつてヒーロー映画で一世を風靡した冴えない中年俳優という役どころは、ティム・バートン版『バットマン』で主演するも賞レースとは無縁だったキートン本人のキャリアを連想させる。つまり自分をセルフパロディしたような役で、役作りをこえた妙なリアリティがある。若手レッドメインの初オスカーか、それとも中年キートンの復活か、注目したい。○主演女優賞ノミネートマリオン・コティヤール(『サンドラの週末』)フェリシティ・ジョーンズ(『博士と彼女のセオリー』)ジュリアン・ムーア(『アリスのままで』)ロザムンド・パイク(『ゴーン・ガール』)リース・ウィザースプーン(『ワイルド(原題)』)マリオン・コティヤールやリース・ウィザースプーンなどオスカー女優もノミネートされる中、最有力候補は『アリスのままで』で若年性アルツハイマーを患った50歳の言語学者の葛藤を体現したジュリアン・ムーア。「これまでのキャリアで最高の演技である」とメディアの評価も高く、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)ほか映画賞レースを席巻中。12年ぶり5回目のノミネートで、ついに念願のオスカーに王手!?あえて対抗馬をあげるなら、映画史に残るファムファタールを怪演した『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイク。作品賞ノミネートからもれてしまったのが衝撃なのだが、その分、作品の支持票がパイクに集中すれば、大ドンデン返しもあり得るかも。5人のうち唯一の“悪役"というのも有利なポイントか。○助演男優賞ノミネートロバート・デュヴァル(『ジャッジ 裁かれる判事』)イーサン・ホーク(『6才のボクが、大人になるまで。』)エドワード・ノートン(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)マーク・ラファロ(『フォックスキャッチャー』)J・K・シモンズ(『セッション』)中年俳優を脅かすワガママな実力派俳優を演じたエドワード・ノートンや、父親になりきれない父親を演じたイーサン・ホークなど演技派が出揃った助演男優賞。台風の目となるのが『セッション』のJ・K・シモンズだ。シモンズは名門音楽大学の伝説の鬼教師として、ジャズドラマーを目指す主人公に狂気のレッスンを行うのだが、その圧倒的な凄味たるや! 見たらトラウマ必至のモンスターを演じたシモンズの一人勝ちか!?○助演女優賞ノミネートパトリシア・アークェット(『6才のボクが、大人になるまで。』)ローラ・ダーン(『ワイルド(原題)』)キーラ・ナイトレイ(『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』)エマ・ストーン(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)メリル・ストリープ(『イントゥ・ザ・ウッズ』)オスカー常連メリル・ストリープや勢いにのっているエマ・ストーンも注目だが、前哨戦で快進撃を続ける『6才のボクが、大人になるまで。』のパトリシア・アークエットに死角なし。子育てに疲れたシングルマザーが、大学で教鞭を取り、自立していく12年間を演じたアークエット。キャリアアップの一方で私生活では男運がなく難儀する母親にどこか共感してしまうのは、彼女の演技力(と見事な体型の変化!)によるところが大きい。●お楽しみは授賞式の演出にも?○賞の行方だけじゃない!お楽しみは授賞式の演出にあり!【その1】パフォーマンスを楽しもうアカデミー賞授賞式は、ひとつのエンターテイメントショーとしても楽しめるお祭り。そのパフォーマンスは、ひとえに司会者の存在感が大きい。第81回ではブロードウェイ俳優としても活躍するヒュー・ジャックマンが冒頭から歌い踊り、会場から大喝采を浴びた。また、第86回ではエレン・デジェネレスの注文により、会場に突然宅配ピザ屋が乱入。ブラッド・ピットにジュリア・ロバーツ、メリル・ストリープといった蒼々たる俳優たちが自撮りで記念撮影をし、TwitterにアップされたRT数は世界記録にもなった。そして気になる第87回の司会は、舞台経験も豊富で、トニー賞授賞式の司会を4度経験している俳優ニール・パトリック・ハリス。巧みな進行で定評のある彼の司会により、笑いあり歌ありの楽しい授賞式になりそうだ。ちなみに『ゴーン・ガール』ではロザムンド・パイク演じる妻の元カレを演じたニール。ぜひ舞台上で“戦慄の共演"を見てみたい。【その2】生中継ならではのハプニングも!生中継ゆえのハプニングもつきもののアカデミー賞授賞式では、過去に様々な“事件"が起きている。第85回、『世界にひとつのプレイブック』で主演女優賞を受賞したジェニファー・ローレンスがステージに上がろうとしたところ、階段でドレスに足を取られてコケるハプニングが。すかさず手を差し伸べたヒュー・ジャックマンの紳士ぶりも含め、微笑ましい一場面となった。そして感動的なスピーチの瞬間にも数々のドラマが。例えば第74回、『チョコレート』で主演女優賞を受賞し、感極まるハル・ベリー。その姿に感動したのか、プレゼンターのエイドリアン・ブロディがなぜかベリーに突然のキス! 果たして今年はどんな事件が起こるのか? すべての映画人にとっての憧れの舞台だからこそのハプニングは、感動と笑いを誘うこと間違いナシだ。いかがだっただろうか? ハプニング込みで楽しめてしまう第87回アカデミー賞。「生中継! 第87回アカデミー賞授賞式WOWOWプライム」は、2015年2月23日(月曜9:00~[同時通訳] ※字幕版は同日21:00~)放送だ。日本のスタジオで案内役を務めるのは、9回目の出演となるフリーキャスターのジョン・カビラと出産後2年ぶりに当番組に復帰する高島彩。さらに現地でのレッドカーペットの中継を人気俳優の斎藤工がナビゲート。俳優業のみならず、映画雑誌のコラム執筆やWOWOWの映画情報番組「映画工房」にレギュラー出演するなど生粋のシネフィルとしても知られる斎藤からどんな興奮のコメントが飛び出すかも大いに期待したいところだ。ぜひ歴史的瞬間を見逃さないでほしい。なお、特設サイトも用意されているのでチェックしよう!
2015年02月13日映画・テレビのスターが一堂に会して開催され、“アカデミー賞前哨戦”とも言われる祭典「ゴールデン・グローブ賞」。第72回を数える今年の受賞式に登場するプレゼンターたちの名前が発表された。注目は、昨年度の同賞で見事「女優賞」を獲得し、今年度もコメディ/ミュージカル部門の「女優賞」に映画『ビッグ・アイズ』でノミネートされているエイミー・アダムス。さらに、ロバート・ダウニーJr、グウィネス・パルトロー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズと豪華絢爛な俳優陣が選出。この他にもエイドリアン・ブロディ、ケイト・ハドソン、サルマ・ハエック、クリス・プラット、チャニング・テイタム、オーウェン・ウィルソンなど、名だたる俳優陣が続々とプレゼンターとして登場することが決定した。「パーティ・オブ・ザ・イヤー」とも称される同賞の華やかな授賞式。今年はどんなドラマが繰り広げられるのか注目が集まる。<「第72回ゴールデン・グローブ賞 授賞式」放送情報>■AXN 海外ドラマ presents「生中継!第72回ゴールデン・グローブ賞 授賞式」放送日時:1月12日(月・祝)8:30~14:00(日本時間)BSスカパー!(BS241ch/CS585ch)で無料放送。※「AXN 海外ドラマ」では、1月12日(月・祝)21:00~同時通訳版、1月18日(日)21:00~HD字幕版を放送。(text:cinemacafe.net)
2015年01月07日本年度ベルリン国際映画祭「銀熊賞(審査員グランプリ)」を受賞し、公開するやいなや各国で次々と記録を更新、ウェス・アンダーソン監督最高の大ヒットとなり、世界中で大旋風を巻き起こしている『グランド・ブダペスト・ホテル』。先日、一般の方を抽選で募った『グランド・ブダペスト・ホテル』リレー試写会が行われ、上映後のトークショーには、かねてからアンダーソン監督と親交の深いファッションライター・エディターの野村訓市氏が登壇したが、なんと、そこに『her/世界でひとつの彼女』のプロモーションで来日していたスパイク・ジョーンズ監督が、飛び入りで参加していたことが分かった。世界大戦前夜の1932年、美しい山々を背に優雅に佇む、ヨーロッパ随一のグランド・ブダペスト・ホテル。エレガントな宿泊客たちのお目当ては、“伝説のコンシェルジュ”グスタヴ・H(レイフ・ファインズ)だ。ある日、グスタヴの長年のお得意様である伯爵夫人のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺され、遺言で貴重な絵画「少年と林檎」を贈られたグスタヴが容疑者にされてしまう! グスタヴは自らの潔白を証明するため、そして命より大切なホテルの威信を守るために、愛弟子のベルボーイ・ゼロ(トニー・レヴォロリ)と共に、ヨーロッパ大陸を逃飛行しながら謎に挑む──。一般試写会後のトークショーに登壇したのは、数々のファッション誌、カルチャー誌にてライター・編集者をしている野村さんと、そのこだわりとセンスから圧倒的支持を得ている男性誌「POPEYE」編集長の木下孝浩氏。実は野村さんは、アンダーソン監督初期の作品から出演し続けているビル・マーレイやエイドリアン・ブロディ、エドワード・ノートン、ティルダ・スウィントン、さらにウィレム・デフォー、ジュード・ロウ、シアーシャ・ローナン、レア・セドゥら超豪華なキャストに混じって、日本人ツーリスト役として出演を果たしていたのだ。「撮影が行われたのは一昨年の1月で、少し会うつもりだったのに、急にウェスのスタッフからメールがガンガン届くんです。身長は何センチだ、髪型はどんなだ、髭は生えているか?とか」と、ふり返る野村さん。本作は現代、1960年代、そして大戦前夜の3つの時代が描かれているが、ジュード・ロウも出演する60年代のシーンで出演することになったという。仕事で事前のフィッティングが出来ず、衣装を自前で用意することになったのだが、アンダーソン監督独特のこだわりから、持っていったパンツの裾を有無を言わさずバッサリ切られてしまったという野村さん。それを受け、木下さんは「この作品に限らずですが、とにかくファッション、セット、スタイルが洒落ていますよね。N.Y.のテイラーで自分のスーツを作り続けていたり、こだわりが普通じゃなくて、ほかのニューヨーカーとは違う」と監督のセンスを絶賛。「あとは彼が取材嫌いっていうのも編集者としてはそそられます」と話した。また、野村さんは「現場での夕食は必ずみんなで食べるのが決まり(笑)。僕は数日でしたが、ほぼずっといたレイフ(・ファインズ)は『たまには外でひとりで食べたい』と言っていたが、ウェスに『だめだ』と言われたそうです」と、アットホームな雰囲気を感じさせる撮影中のエピソードも明かしてくれた。すると、質疑応答でサプライズが!野村さんとやはり親交があり、飛び入り参加していたスパイク・ジョーンズ監督がなんと挙手!野村さんに役作りについて質問し、会場は一気にヒートアップした。最後は、野村さんが「『グランド・ブダペスト・ホテル』が豪華キャストによるミステリー仕立てのエンターテイメントだとしたら、『her』は主役のホアキン・フェニックスと声だけの出演だけどスカーレット・ヨハンソンの感情の揺れ動きを描いたエモーショナルな作品。同世代のふたりの監督が互いに違ったアプローチで作ったこの2作品を、ぜひみなさん観てください!」と締めくくった。『グランド・ブダペスト・ホテル』は6月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:グランド・ブダペスト・ホテル 2014年6月6日よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテほか全国にて公開(C) 2013 Twentieth Century Foxher/世界でひとつの彼女 2014年6月28日より新宿ピカデリーほか全国にて公開(C) 2013 Untitled Rick Howard Company LLC All rights reserved.
2014年05月29日『ミリオンダラー・ベイビー』、『クラッシュ』のポール・ハギスが、豪華キャストを迎えて贈る極上の愛のミステリー『サード・パーソン』。本作は、NY、ローマ、パリを舞台に3組の男女が織り成す、愛と信頼、そして裏切りの物語だ。今回注目したいのは、2002年『戦場のピアニスト』で、アカデミー賞「主演男優賞」に史上最年少で輝いた実力派エイドリアン・ブロディ。シリアスな演技で絶賛された彼だが、そのときの授賞式では舞い上がる気持ちを抑えきれず、プレゼンターのハル・ベリーにアツーいキスをするなど情熱的な一面も。その後もキャリアは順調。個性派俳優としてウディ・アレン、ピーター・ジャクソン、ウェス・アンダーソンら名立たる有名監督の作品に立て続けに出演し、作品ごとにまったく違った顔を見せている。本作でエイドリアン演じるのは、出張でローマに訪れたアメリカ人ビジネスマンのスコット。高級デザイナーズスーツに身を包み、“デキる男”風にニヒルな笑顔を浮かべているが、実はそれはうわべだけの姿。イタリアのファッションブランドからデザイン画を盗むことが仕事で、着ているスーツもただのコピー商品なのだ。イタリアのすべてを嫌悪し、早く帰国したがっている彼の目に入ったのは、“バー・アメリカーノ”の看板の文字。故郷アメリカのビールやハンバーガーを期待して店内に入るが、店員は英語を話せず、出されたのもぬるいビールという始末。しかし、そこに美しいロマ族の女性モニカ(モラン・アティアス)が現れ、一瞬にして目を奪われる。お互いの子どもの話で打ち解け、モニカが娘との再会を楽しみにしていることを知るが、彼女は1本の電話を受けて慌てて店を出て行ってしまった。スコットは彼女がバッグを忘れていったことに気づき追いかけるが、もうその姿はなかった。仕方なくバッグをバーに預けてホテルに戻るスコット。その後、モニカはバッグを受け取るが、そこに入っていたはずの金が消えていた。スコットは、それが密輸業者から娘を取り戻す金だったと聞き、彼女を助けたい衝動に駆られる。スコットはお金を用立て、モニカとともに治安の悪い危険地帯へと出発するが――。今回公開されたのは、そんなスコットとモニカのロマンティックなラブシーン。一瞬で心引かれ、彼女の助けになりたいと思うスコットと、自分に近づいてくる男性を信用できないモニカ。行動を共にするうちに恋愛感情が生まれつつあったが、お互いに一歩踏み出せない。お金も寝る場所もないモニカを放っておけないスコットは、自分の宿泊するホテルに呼ぶ。ホテル側はロマ族のモニカの宿泊を拒否するが、スコットは「彼女は僕の妻だ」と言い放って黙らせた。最初はソファーで寝ようとするスコットだが、結局はモニカの足側に頭を預けてベッドで横になる。「あなたは泥棒?」「いや、ビジネスマンさ」「初めて呼ばれたわ、“妻”って」とオトナの会話を楽しむ2人。そのうち会話が途切れ、お互いの感情を確かめるかのように、スコットはモニカに足に触れ、身も心も距離を縮めていく…。「ずっとポール・ハギスと仕事がしたかった」と話すエイドリアン。「彼には、僕が監督に求める知的で芸術的な繊細さがある。彼は経験も豊富だし、頭もよく、才能豊かな人だ。そんな彼の作品に出演できて嬉しい。僕は常に、心に語りかけてくる作品を探し求めていた。簡単に出合えるわけじゃないんだ。この作品では、俳優としてだけでなく、人間としても多くを学ぶことができた」と、ハギス監督を絶賛した。さらにモニカ役のモランは、2人のキャラクターを分析する。「モニカにとってスコットは、これまでの人生で出会ったどの男性とも違う。彼は彼女がずっと避けてきた問いを、遠慮なく投げかけてくるの。彼女には男性を信用しない理由があるし、スコットにはモニカと彼女の娘を助けずにはいられない秘密と理由がある。誰かを信頼するには、自分をさらけ出して、自分を守るために作った壁を取り払わなくてはいけないわ。モニカにとっては、肉体的に裸になるほうが簡単。心を開くことは挑戦なのよ」。果たしてスコットは、本当にモニカの傷ついた心を溶かすことができたのか。モニカの正体とは?超セクシーなエイドリアンのラブシーンを含め、人間の本質をえぐるハギスの最高傑作を劇場で堪能してほしい。『サード・パーソン』は6月20日(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:サード・パーソン 2014年6月20日よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国にて公開(C) Corsan 2013 all rights reserved
2014年05月23日ジョセフ・ゴードン=レヴィットとブルース・ウィリスが共演するSF大作『LOOPER/ルーパー』が来年1月に日本公開される。アメリカをはじめ、すでに多くの国で高評価を集めている本作だが、その誕生の裏側にはライアン・ジョンソン監督とレヴィットの10年に渡る堅い絆があったようだ。その他の画像本作は、未来からタイムループしてきた標的を抹殺する暗殺者“ルーパー”のジョー(レヴィット)が、ターゲットとして“30年後”の自分(ウィリス)に出会ったことから始まるSFアクション。強烈な個性をもつ主演ふたりの激突や、物語の背後に潜む数々の謎が物語の進行と共に明かされていく巧みな語り口が高い評価を集めている。そもそも本作の構想が生まれたのは2003年。ジョンソンがレヴィットと初タッグを組んだ長編デビュー作『BRICK〈ブリック〉』の撮影中だったという。レヴィットは「彼から構想を聞いたのは撮影の直後。普通、俳優というのは、撮影開始の数か月前に脚本をもらうものだから、発展の過程にずっと関われるのはまれなんだ。これは特別なことだと思うし、パーソナルに感じるよ」と振り返る。しかし、完成した『BRICK』はなかなか公開されず、劇場公開を迎えたのは2006年。肝心の構想もなかなか実現しなかった。それでもジョンソン監督は「ジョーの役は、最初からジョセフ・ゴードン=レヴィットをイメージして書いた。この企画はジョセフなくしては成り立たない、と思ったんだ」という。その後、レヴィットは俳優として着実にキャリアを積み、『(500)日のサマー』や『インセプション』で人気を集め、一躍スター俳優に。一方のジョンソン監督も、エイドリアン・ブロディを主演に迎えた映画『ブラザーズ・ブルーム』や、アメリカで大人気のドラマシリーズ『ブレイキング・バッド』の演出を手がけ、高い評価を集めた。そして、ふたりは約10年の時を経て『LOOPER/ルーパー』に着手。レヴィットはキャリアの中で初めて出演だけでなく製作総指揮も務めている。実際に執筆された脚本でさえ、宝くじほどの確率でしか映画化されないハリウッドで、駆け出しだった俳優と監督の“約束”が10年の時を経て実現した映画『LOOPER/ルーパー』。ちなみにジョンソン監督は「キャスティングで一番に考えたのはブルース・ウィリスだった。問題は、ジョセフとブルースが全然似ていないことだったが(笑)、ジョセフの演技のおかげで説得力をもつものになった」と笑顔でコメント。約10年もの間、お互いを信じて待ち続けた監督&主演がどんな作品を見せてくれるのか期待したいところだ。『LOOPER/ルーパー』2013年1月12日(土)公開
2012年11月09日第25回東京国際映画祭(以下、TIFF)の開幕を前に実現した、映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦とモデルの雅子による対談<後編>をお届け!今年で創設5年目を迎え、雅子さんが審査員を務めることになった「natural TIFF」の魅力、さらに矢田部さんを毎年、刺激しつつも苦しめるコンペティション作品15本の選定のプロセスとは――?雅子:矢田部さんがTIFFに関わるようになったのは第何回からですか?矢田部:15回目からですね。トム・クルーズが『マイノリティ・リポート』(’02)のプレミアで渋谷の街を歩きました。その年はエイドリアン・ブロディも来日しました。選定に関わるようになったのは18回目からですが、最初は日本映画でした。徐々に海外作品にも携わるようになり、コンペティションに関わるのは今回で6回目です。雅子:作品選びは慣れていくものですか?矢田部:慣れませんねぇ…。でも作品の選び方は変わってきたと思います。初めて選んだコンペ作品と見比べてみると、良い作品だと思いつつもいまだったら選ばないかもというものもありますね。――矢田部さんの中では選ぶ上での基準などはあるんですか?観客層を想定したり、あるいはとことん作品の質を重視したり…。矢田部:そこは両方意識してます。15本の中で、完全なアート映画で作家の個性が炸裂しているけど、万人受けしなくてもいいから入れようと思う作品もある。でも、15本全てそんな作品が揃うと偏ってしまうので、クオリティを重視しつつ、よりオープンな作品を入れてバランスを取ったりします。雅子:年ごとの全体のテーマがあるわけではないんですね?矢田部:ないです。結果的に、例えば昨年は移民問題を描いた作品が多かったりというのはありますし、今年は安楽死を扱った作品が多いですが、選んでる最中は意識してないですね。雅子:選ぶ際は候補作をふるいにかけていく感じですか?矢田部:そうですね。今年は1,000本以上あったんですが、それを50本くらいに絞って。30本くらいになれば、後はパズルのような感じですね。「この2本はどちらも良いけどカブっているのでこちら」とか。あとは国のバランスです。今年はチリ映画で面白いものがいくつもあったんです。でも東京の映画祭のコンペに3本もチリの作品が入ってるのも不自然でしょ?そのチリ映画には全く罪はないし、違う年や国だったら入ってもおかしくないけど泣く泣く外したり…。8月中はそんな感じでずっと胃が痛いです(苦笑)。夢の中でもとり憑かれてます。雅子:頭の中を覗いてみたいですね(笑)。一晩、考えに考えた末に外したりとか?矢田部:もちろんあります。雅子:夜中に書いたラブレターを朝になって読み返すような(笑)。矢田部:背負いきれなくなったら周りに観てもらって、「いいよね?」と背中を押してもらいます。非常に孤独な作業であると同時に共同作業なんです。ただ合議制で選べば全てが中途半端になってしまうので、最終的には誰かが個性を汲んで選ばないといけないとは思ってます。――先述の『最強のふたり』もそうですし、『アーティスト』で今年のアカデミー賞を制覇したミシェル・アザナヴィシウス監督の『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』(TIFF上映時の邦題は、『OSS 117 カイロ、スパイの巣窟』)が2006年のTIFF(第19回)でグランプリに輝いたり、TIFFで注目を浴びて、その後、世界的な飛躍を遂げる作品や監督、俳優も大勢います。矢田部さんが関わってきたこの10年ほどの中でもいろいろな思い出があるのでは?矢田部:アザナヴィシウス監督が受賞した際は、僕はまだ選定の責任者ではなかったのですが、『これがコンペ作品?』という声もある中で僕の前任のディレクターが選んだんです。その後の化けっぷりを見ると、その才能を見抜いていた前任者、そしてTIFFはそのことを誇っていいと思うし、オスカーを獲ったときは本当に嬉しかったです。雅子:『最強のふたり』は選ぶ過程でもこれまでと違う感触がありましたか?矢田部:正直、コンペに入れるかどうか1か月くらい悩んだんです。もっとアート寄りのフランス映画を入れるべきか?それとも観た後の爽快感を重視してこれを入れるか?コンペの性質が変わってくるので、そういう意味で最も悩んだ作品と言えるかもしれません。その後のヒットも含めて印象深いです。矢田部:さて、そんな我々が今年、これまで以上に強い思いで取り組んだのが「natural TIFF」部門です。エコロジーグリーンを映画祭のテーマカラーとして5年目になります。最初は「エコロジーと映画って相性がよくないかも…」という思いもあって、あまりガチガチなエコロジーにこだわらず、“自然と人間の共生”を描いた作品を幅広く選んできました。今年はもっとアピールしようと、どの部門よりも早めに選考に入ったんですが、観始めるとメチャクチャ面白いし、勉強にもなる。何より「このままじゃ地球がヤバい!」って思うようになりました。そこで中途半端なエコロジーではなく、ガチなエコ映画を入れて8本を揃えました。その審査員の一人を雅子さんに務めていただくことになりまして。雅子:コンペ、ワールド・シネマと同様に注目している部門で、昨年もいくつかの作品を観ています。審査員のお話をいただいたときは単純に嬉しかったし、とても光栄なことです。やはり昨年の震災以降、環境問題やエコに興味を持っている人が非常に多くなってきたと思います。特にファッション界とエコロジーは手を結ぼうという流れもありします。いまは正直、どんなに過酷な現状を見せられてもビックリしないんですよね。少し前なら「こんなのを見せるの?」と思われていたのが、実際に震災で惨憺たる現実を見せられましたから。矢田部:これをきっかけにファッションやライフスタイルなど映画とは違う世界にアピールできればと思います。いわばほかの映画、部門とは違う戦略で売り出していけたら。審査員という立場なので言えないことも多いと思いますが、ラインナップをご覧になっていかがですか?雅子:環境を扱ったもの、動物を描いたもの、それから夢を売るような作品と3つくらいのタイプに分かれてますね。エコロジーについて描く作品はすでに山ほどありますが、だからこそどんな切り口で来るのか、観るのが楽しみです。すんなりと心に入ってきたものを感じたい。全てドキュメンタリー作品ですが、映像の美しさにも期待しています。もうウソは見たくない、真実を知る発見がありますから。矢田部:こういう作品の難しさって扱っているテーマは重要だけど、作品としてつまらないことも多いということ。「この問題は伝えたいんだけど…」と思っちゃう。その点、今回はそういった部分で悩む必要のない作品が揃ってますので期待してください!雅子:はい、楽しみにしてます!(photo/interview:Naoki Kurozu)第25回東京国際映画祭は10月28日(日)までTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて開催中。特集「東京国際映画祭のススメ2012」■関連作品:アーティスト 2012年4月7日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開© La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine - JD Prod - France 3 Cinema - Jouror Productions - uFilmOSS 117カイロ、スパイの巣窟第25回東京国際映画祭 [映画祭] 2012年10月20日から10月28日まで東京にて開催最強のふたり 2012年9月1日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2011 SPLENDIDO/GAUMONT/TF1 FILMS PRODUCTION/TEN FILMS/CHAOCORP
2012年10月24日今年で記念すべき25回目を迎える、アジア最大の国際映画祭「東京国際映画祭」(以下、TIFF)が10月20日(土)より開幕する。例年以上に盛り上がりが期待される今年も、海外から多くの俳優や監督が来日の予定だが、このアニバーサリー・イヤーとなる今年、これまでに来日したゲストたちの貴重な写真を発見!レオナルド・ディカプリオやブラッド・ピット、まで豪華ゲストたちをふり返り。まずは、いまから27年前の1985年に開催された記念すべき第1回目のTIFFに参加した、ハリソン・フォード。何とも年代を感じさせるモノクロ写真だが、この時代のハリソンと言えば、『スター・ウォーズ』や『インディー・ジョーンズ』の人気シリーズでの成功、さらに『ブレード・ランナー』(’82)とまさにハリウッドのトップに上り詰めた頃の彼なのだ。この年の日本では、渋谷に16もの映画館がオープンし、世界有数の“映画の街”として大きなブームを巻き起こしていた年でもある。次にふり返るのは、第9回目(’96)に参加したウィル・スミ。代表作となった『インデペンデンス・デイ』(’96)を引っ提げての来日となったが、この当時のウィルはまだ20代後半!ファッションももちろん“B-BOY”スタイルでキメ、まだまだヤンチャ盛りといった様子の彼の若さがうかがえる写真だ。続くは、“絶世の美男子”と謳われ、世界中の女子の心を鷲掴みにしたレオナルド・ディカプリオ。1997年に行われた第10回目のTIFFに、ジェームズ・キャメロン監督と共に『『タイタニック』のワールド・プレミアのために来日したレオ。いまでこそ髭を生やし、骨太なイメージの役者となった彼だが、23歳当時の彼はまさに“美麗”の一言に尽きる。誰もが見惚れ、会場は女子たちの歓喜する声で騒然となっていたとのこと。さらに、もう一人、翌年に開催された第11回TIFFの特別招待作品となった『ジョー・ブラックによろしく』のPRのために来日していたブラッド・ピットだ。写真を見る限りでは、短髪にスーツと、いまと雰囲気は変わらないものの、『セブン』での好演に続き、『12モンキーズ』ではアカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど、俳優として人気・実力ともに急成長を遂げ始めた頃の彼の貴重な一枚なのだ。さらに、この年は『アルマゲドン』を引っ提げて来日したブルース・ウィリスやベン・アフレック、マイケル・ベイ監督などハリウッドが誇るスターたちの参加が数多く見られた年でもある。また、世界に誇る日本の巨匠・黒澤清監督がこの世を去った年でもある。2000年代に入っても来日ゲストたちの豪華さは衰えず、第13回(’00)にはアーノルド・シュワルツェネッガーにエドワード・ノートン、第15回(’02)にはトム・クルーズ&スティーヴン・スピルバーグ監督を始めナオミ・ワッツにエイドリアン・ブロディと挙げていけば切りがないほど。果たして、25回目を迎えた今年はどんなゲストが観客を沸かせるのだろうか。開幕はもう目前!ぜひ、あなたも一度会場に足を運んでみて。「第25回東京国際映画祭」開催期間:10月20日(土)~28日(日)会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズ・シネマート六本木・TOHOシネマズシャンテほか公式サイト:特集「東京国際映画祭のススメ2012」■関連作品:第25回東京国際映画祭 [映画祭] 2012年10月20日から10月28日まで東京にて開催
2012年10月12日今月17日に撮影開始予定だったジェラルド・バトラー主演作『Motor City』の撮影が、一時的に停止状態に陥った。クルーも解散されたが、映画の製作自体は続行する形で努力が進められているという。『Motor City』は、アルバート・ヒューズが監督を務めるアクション映画。バトラーのほかに、ゲイリー・オールドマン、ミッキー・ローク、エイドリアン・ブロディ、アンバー・ハードらが出演する。バトラー演じる主人公は刑務所から出てきたばかりの男で、復讐しようとするリベンジの物語らしい。プロデューサーはジョエル・シルバー。今月17日の撮影開始を目指して準備が進められていたが、先週末、突然にしてクルーに帰宅命令がおりたという。理由は、北米の配給をするワーナー・ブラザースが、北米公開日を来年3月31日と決めたことにあるらしい。そうなると、ポスト・プロダクションの期間が12週間しかないことになる。プロデューサーたちは、スポークスパーソンを通じ、「複雑なビジュアルエフェクトも必要とされるにも関わらず、ポスト・プロダクションにこれほど短い期間しか与えられないことがわかったため、製作を延期するという決断に達した。クオリティを妥協することなく、この映画を3月31日までに届けることは不可能」とコメントしている。同作品はエメット/ファーラ・フィルムズ、エンヴィジョン・エンタテインメント、フォーサイト・エンタテインメントらが出資するインディーズ映画で、ワーナーは出資していない。文:猿渡由紀
2012年09月03日エイドリアン・ブロディが、ゲイリー・オールドマンの代役として新作『Motor City』(原題)で悪役を演じることになりそうだ。『フロム・ヘル』のアルバート・ヒューズ監督が手掛ける同作には、ジェラルド・バトラー、ドミニク・クーパー、ジェイク・ギレンホール、アンバー・ハードらが共演し、現在エイドリアンはゲイリーが演じる予定だった出獄後に自分を陥れた人間に復讐する元陸軍隊員として出演するための交渉に入っているという。チャド・セント・ジョンが脚本を担当する本作は、来年4月の全米公開を目指して9月にもジョージア州・アトランタで撮影を開始する予定。エイドリアンは近年では、ウッディ・アレン監督作品『ミッドナイト・イン・パリ』や昨年の東京国際映画祭に出品された『Detachment』(原題)などに出演し、最近では中国が舞台の作品『1942』(原題)の撮影を完了したばかりだ。■関連作品:ミッドナイト・イン・パリ 2012年5月26日より新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマほか全国にて公開Photo by Roger Arpajou -(C) 2011 Mediaproduccion, S.L.U., Versatil Cinema, S.L. and Gravier Productions, Inc.
2012年08月29日先週末、コミコン・インターナショナル・フェスティバルで最新主演作『The Lone Ranger』(原題)の一部映像が公開され、好評を博したジョニー・デップの次回作が、『ムーンライズ・キングダム』(原題)のウェス・アンダーソン監督の新作に決定した。アンダーソンが脚本も手がける新作はプロットなど詳細は明らかになっていないが、タイトルは『The Grand Budapest Hotel』(原題)になり、撮影はヨーロッパで行われる予定。ジョニーは当初予定されていた『The Thin Man』(原題)の撮影が延期になり、スケジュールが空いたところにこの企画が飛び込んだ。アンダーソン監督は『ムーンライズ・キングダム』(原題)が今年5月のカンヌ国際映画祭でオープニング上映されたが、同作にも出演したビル・マーレイ、エドワード・ノートンは本作にも続投の可能性アリと「The Hollywood Reporter」紙など複数のメディアが報じている。アンダーソン作品の常連俳優のオーウェン・ウィルソン、ジェフ・ゴールドブラム、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ほかにもジュード・ロウ、アンジェラ・ランズベリーと豪華な名前がキャスト候補として挙っている。オフビートなアンダーソンの世界で、ジョニーがまた新たな魅力を発揮してくれるのが楽しみだ。(text:Yuki Tominaga)© Rex Features/AFLO■関連作品:ムーンライズ・キングダム (原題) 2013年公開© Focus Features
2012年07月18日第24回東京国際映画祭が10月30日(日)に閉幕し、フランス映画『最強のふたり』が最高賞の「東京サクラグランプリ」を獲得。日本から出品された役所広司と小栗旬が共演している『キツツキと雨』は審査員特別賞に輝いた。東京・六本木のTOHOシネマズ 六本木ヒルズをメイン会場に9日間にわたって開催されてきた今年の映画祭。のべ315回の上映に41,000人超の観客が足を運んだ。15本のコンペティション作品の中から東京サクラグランプリの栄冠を手にしたのは、白人の富豪と黒人の介護者の交流をコミカルに描いた『最強のふたり』。W主演のフランソワ・クリュゼとオマール・シーが揃って最優秀男優賞を受賞し、2冠に輝いた。本国フランスでまもなく公開を迎えることから、監督、キャスト陣はプロモーション活動のため来日は叶わなかったが、「アリガトウゴザイマス!」とメッセージを寄せ、エリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュ両監督は日本公開時に来日することを約束した。最優秀女優賞は、19世紀のアイルランドを舞台に、性別を偽って男性の執事として生きる女性の姿を描いた『アルバート・ノッブス』主演のグレン・クローズが受賞。グレンも人気の主演海外ドラマ「ダメージ」の撮影でニューヨークに滞在中で、授賞式は欠席となったが、ビデオメッセージで受賞の喜びを語った。唯一の邦画コンペティション出品作となった『キツツキと雨』は「僅差の2位」(審査員キース・カサンダー)でグランプリ獲得はならずも、審査員特別賞に。受賞が発表されると会場は大きな拍手に包まれた。壇上に上がった沖田修一監督は「びっくりして上手くしゃべる自信がないです」と緊張した面持ち。「日本映画が1本ということでプレッシャーを感じていました。みなさんに『頑張って』と声をかけていただきましたが、『映画なので、もう出来てるから頑張れって言われてもな…』と思って(笑)」と語り会場の笑いを誘った。「本当に多くの人の力を借りて作った映画です。またここに帰って来られるように頑張りたい」とさらなる飛躍を誓った。最優秀監督賞に輝いたのは、スウェーデンにおける少年たちのいじめ事件を鋭い視点で描いた『プレイ』のリューベン・オストルンド。審査員のひとり、小林政広監督は「個人的には最高賞をあげたかった。素晴らしい作品」と絶賛。オストルンド監督は、家族同伴での初来日の喜びを語ると共に「子役たちに感謝したい。彼らは大人でさえも難しい役どころを見事に演じてくれた」と感謝の思いを口にした。最優秀芸術貢献賞は急遽、2作品に贈られることになり、中国映画『転山』とエイドリアン・ブロディ主演の『デタッチメント』が獲得。『転山』のドゥ・ジャーイー監督は松葉づえをつきながらステージに上がり「全く映画の専門の勉強をしたことがない、ただ映画が好きで夢を持っていただけの私がこの賞をいただいてよろしいのでしょうか?みなさん、見る目がおありです(笑)」と挨拶し会場をわかせた。一方、来日が果たせなかった『デタッチメント』のトニー・ケイ監督は、撮影中に書いたという自作の曲の引き語りのビデオメッセージで喝采を浴びた。また、会場を訪れた観客の投票で最も多くの票を集めた観客賞には『ガザを飛ぶブタ』が受賞した。このほか、日本映画を対象にした「日本映画・ある視点」部門で最優秀作品に選ばれたのは小林啓一監督の『ももいろそらを』。「アジアの風」部門の最優秀アジア映画賞には『クリスマス・イブ』が選出。エコロジー、地球への関わり方、自然と人間の共生などをテーマに持つ作品の中から選ばれる「TOYOTA Earth Grand Prix」はインドネシアの海洋民族を描いた『鏡は嘘をつかない』が獲得したほか、同部門の審査員特別賞はシベリアを舞台にしたドキュメンタリー『ハッピー・ピープルタイガで暮らす一年』が受賞した。今年の審査員を務めたエドワード・R・プレスマン(映画プロデューサー)、キース・カサンダー(映画プロデューサー)、レイコ・クルック(特殊メイキャップアーティスト)、ファン・ビンビン(女優)、小林政広(映画監督)の5人は授賞式後に記者会見に出席。グランプリを始めとするコンペティション部門に関して審査員の意見が分かれ、議論は紛糾したそう。特に監督賞の『プレイ』、審査員特別賞の『キツツキと雨』、グランプリの『最強のふたり』に関して審査委員長のプレスマンは「『キツツキ』はグランプリを獲るにはあまりに軽すぎ、『プレイ』は逆にダークすぎる。相対的な評価で『最強のふたり』が選ばれました。一方で監督賞に関してはみんなが『プレイ』を推しました」と説明。小林監督からは「刺激的な作品、芸術性に富んだ作品がほとんどなかった。ウェルメイドな作品が多く、監督の立場から言うと決してハードルが高いとは感じなかった」という厳しい言葉も飛び出した。<受賞一覧>東京サクラグランプリ:『最強のふたり』最優秀監督賞:リューベン・オストルンド(『プレイ』)審査員特別賞:『キツツキと雨』最優秀男優賞:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー(『最強のふたり』)最優秀女優賞:グレン・クローズ(『アルバート・ノッブス』)最優秀芸術貢献賞:『転山』、『デタッチメント』観客賞:『ガザを飛ぶブタ』日本映画・ある視点(最優秀作品賞):『ももいろそらを』アジアの風(最優秀アジア映画賞):『クリスマス・イブ』アジアの風(スペシャルメンション):『ラジニカーントのロボット(仮)』、『鏡は嘘をつかない』、『TATSUMI』TOYOTA Earth Grand Prix:『鏡は嘘をつかない』TOYOTA Earth Grand Prix(審査員特別賞):『ハッピー・ピープルタイガで暮らす一年』特集「東京国際映画祭のススメ2011」■関連作品:第24回東京国際映画祭 [映画祭] 2011年10月22日から10月30日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2011 Tokyo International Film Festival All Rights Reserved.キツツキと雨 2012年2月11日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 2011「キツツキと雨」製作委員会アルバート・ノッブス© Morrison Films / Chrysalis Films 2011■関連記事:【TIFFレポート】新垣結衣、阿部寛と溝端淳平の“職務質問”に「興奮しました」【TIFFレポート】西島秀俊、“力石”伊勢谷友介も認める体脂肪ゼロの役作り!【TIFFレポート】仲里依紗、“妊婦パワー”で「日本を元気に!」宣言名匠が被災地に捧げる3分11秒の短編が東京初上映!ワークショップも開催決定【TIFFレポート】岡田将生&原田泰造通訳付き映画祭公式上映にハイテンション!
2011年10月30日ブラッドリー・クーパー主演の大ヒットコメディの続編『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』が全米で公開を迎え、先週1位の『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』を超えるロケットスタートで初登場1位を獲得。初日から3日間で8,600万ドル(約69億円)を突破し、コメディ映画史上最高のオープニング記録を樹立したほか、4日間で1億ドル突破(1億1,809万円)し、1館当たりの興行収入も23,923ドル(約191万円)と今年No.1となった。低予算ながらも異例の大ヒットを記録し、R指定映画の興行収入記録を塗り替え、ゴールデングローブ賞作品賞も受賞した『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』の続編として期待を集めてきた本作。公開にいたるまでには、出演するサルに喫煙させたことで動物愛護団体から抗議を受けたり、世界的なタトゥーアーティストのS・ビクター・ウィットミルからは、前作でマイク・タイソンの顔に入れたタトゥーのデザインに関して著作権侵害で公開差し止めを求める訴訟を起こされるなどトラブルが続出!1週前には『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』が公開され、同じ週には『カンフー・パンダ2』と3D作品がライバルとして立ちはだかったが、公開されてみたら、2位と4,000万ドル近く引き離しての大ヒットスタートとなった。先述の初日3日間での歴代興行収入記録、2011年の1館当たりの収入No.1に加え、2D映画として2011年最高のオープニング成績も樹立。前作は全世界で4億6,700万ドルを稼ぎ出したが、今後、日本を含め海外でどのように受け入れられるのか注目が集まる。2位以下では『カンフー・パンダ2』が4,800万ドルでスタート。『パイレーツ』は先週1週間でおよそ3,900万ドルと2週目にしてやや失速気味…。日本では大ヒットが続くが、北米でどこまで興行収入を伸ばすことができるか?浅野忠信の出演が話題の『マイティ・ソー』は今週5位で累計で1億5,971万ドルに到達!だが、それを上回るのが6位の『ワイルド・スピード MEGA MAX』で1億9602万ドル超で2億ドルの大台まであとわずかとなった。そのほか、カンヌ国際映画祭のオープニングを飾りウディ・アレンの新作で、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、マリオン・コティヤール、レイチェル・マクアダムスに、仏大統領夫人のカーラ・ブルーニも出演の『Midnight in Paris』(原題)が2週目で7位に浮上した。『パイレーツ』以外は日本でこれから公開される作品となるが、最も話題を呼び、観客を集めるのはどの作品になるか?期待して日本上陸を待ちたいところだ。『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』は7月1日(金)より丸の内ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える 2011年7月1日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURESカンフー・パンダ2 2011年8月19日より新宿ピカデリーほか全国にて公開KUNG FU PANDA 2™ & © 2010 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 2011年5月20日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.■関連記事:ジョニーも大満足の○○?『パイレーツ』コメント付きメイキング映像が到着!ペネロペ・クルス、母親になって仕事中毒から脱却「リラックスすることを覚えた」あいつらが再び帰ってきた!『ハングオーバー!!』試写会に15組30名様ご招待頼りになる“アネゴ女優”ランキングアンジーをおさえての1位は“BOSS”天海祐希!【ハリウッドより愛をこめて】夏休み注目映画続々!今年は“ヒーロー”が熱い!
2011年06月03日カンヌ国際映画祭が南仏のリゾート地カンヌで5月11日(現地時間)に開幕した。64回目となる今年のオープニング作品は、ウディ・アレンの『Midnight in Paris』(原題)。オーウェン・ウィルソン扮する脚本家・ギルが、婚約者(レイチェル・マクアダムス)と訪れたパリで夜毎に1920年代のパリにタイムスリップし、憧れのヘミングウェイやダリ(エイドリアン・ブロディ)らと交流するうち、ピカソの恋人(マリオン・コティヤール)に恋してしまう、という奇想天外なロマンティック・コメディ。公式記者会見には、ウディ、オーウェン、レイチェル、エイドリアンらが登場。ウディはかつて『マンハッタン』や『アニー・ホール』で自らが演じたような悩める物書き役にオーウェンを選んだ理由を、「オーウェンと僕は正反対なんだ。僕は東海岸の神経質なインテリで、オーウェンは西海岸のブロンドのサーファーといった感じ。だからこそ、この役は彼に演じてもらいたかった。オーウェンのおかげで、キャラクターに奥行きが加わった」と語り、オーウェンを手放しで絶賛した。ウディ作品には初登場となるオーウェンも、「ウディは演技に関しては簡単な打ち合わせだけで、あとは役者にまかせてくれるんだ。とてもやりやすかった」と語った。開幕式には審査委員長のロバート・デ・ニーロ率いるジュード・ロウ、ユマ・サーマン、ジョニー・トーら審査員団に加え、アントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック、コン・リーらが登場。さらにレディー・ガガがビーチでライヴを行うというサプライズもあり、大いに盛り上がった。華やかな映画の祭典は、22日まで続く。(photo/text:Ayako Ishizu)■関連作品:第64回カンヌ国際映画祭 [映画祭]■関連記事:ブラピ×ショーン・ペンの注目作の一部お目見え『ツリー・オブ・ライフ』予告編解禁!カンヌ国際映画祭で、禁固刑のパナヒ監督らの新作上映が決定海老蔵&瑛太出演の『一命』カンヌ出品!ブラピ主演作ほか強敵とコンペで激突別所哲也、独断でカンヌ映画祭史上最高の作品を選定!?
2011年05月12日日本でも人気の海外TVドラマ「プリズン・ブレイク」のスタッフが贈るシチュエーション・サイコムービー『エクスペリメント』に主演するエイドリアン・ブロディ。このたび彼のインタビュー映像が到着。監督との出会いや役柄について語ってくれた。アメリカで実際に行われた禁断の実験“スタンフォード大学監獄実験”を基に作られた本作。ある心理実験のため新聞広告で集められた24人の男たちが、無作為に「看守役」と「囚人役」に分けられ、2週間にわたって監視カメラ付きの模擬刑務所に収容される。その間、彼らはいくつかのルールに従い、与えられた役を全うしていく。だが時が経つにつれてある変化が…。やがて誰もが予想しなかった事件が起こってしまう。『戦場のピアニスト』でアカデミー主演男優賞を史上最年少(29歳)で受賞して話題を集めたエイドリアン。様々な役柄をこなしてきた彼が今回演じるのは、実験で“囚人役”に扮する一般の男。ごく普通の人間が“囚人”を演じる――少し変わった役柄をエイドリアンは客観的に分析し「平和主義者」と称し、このトラヴィスという男について淡々と語る。また、作品への出演のきっかけにも言及。ポール・シェアリング監督の出会いが大きかった様子で『ダージリン急行』の撮影中にインドで初めて打ち合わせをしたときの様子や、そのときに受けた印象やエピソードも明かしてくれている。エイドリアンと監督の強い絆も感じられ、「ポールはラブリーだ」と彼なりの(?)表現で称賛を送る一幕も。『エクスペリメント』はヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開中。※こちらのインタビュー動画はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:エクスペリメント 2010年12月4日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開© 2009 BY MANAGEMENT ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:禁断の心理実験、ついに始動『エクスペリメント』試写会に10組20名様ご招待
2010年12月09日TVドラマ『プリズン・ブレイク』の製作総指揮・脚本を手がけたポール・シェアリングが脚本・監督を務めた映画『エクスペリメント』の公開を前に2日、渋谷のアルカトラズERでイベントが行われ、横浜国立大学教育人間科学部出身の眞鍋かをりがゲストとして登場した。イベントの様子映画『エクスペリメント』は、スタンフォード大学が1971年に行なった監獄実験を基に製作された作品で、24人の男たちを看守役と囚人役に分けそれぞれの役割で振舞うことを条件に行われた心理実験の行方を描いた衝撃の心理スリラー。劇中に登場する心理学者をイメージした白衣姿で登場した眞鍋は、「普段はあまり怖い映画は観ないが、ジワジワとくる恐ろしさで、ホラー映画よりも怖かった。人間の怖さがリアルに出ているので、自分が囚人側だったら、看守側だったらと考えてしまった。この実験については噂で聞いたことがあったけど、具体的なことは知らなかったのでビックリした」とコメント。主人公トラヴィスを演じたエイドリアン・ブロディについては「この作品のために肉体改造をかなりしていて、もう本当にカッコよかった。囚人役なので服を脱がされるシーンもあるのですが、女性は美しい筋肉にも注目です」と話し、看守側に回るフォレスト・ウィテカーについては「微妙な変貌ぶりをリアルに演じていて引き込まれた」と絶賛した。最後に眞鍋は「ホラーが苦手な人も観られる怖い映画で、実際に起こった実験だと思って観るとさらに怖いです。ぜひ観てゾッとしていただきたいです」と作品をPRした。『エクスペリメント』12月4日(土) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
2010年12月02日大ヒットTVドラマ『プリズン・ブレイク』の製作総指揮・脚本を手がけたポール・シェアリングが脚本・監督を務める映画『エクスペリメント』の予告編動画が公開された。その他の写真『エクスペリメント』は、ドイツ映画『es[エス]』のモチーフにもなった実在の出来事“スタンフォード大学監獄実験”を基に描いた作品で、24人の男たちを看守役と囚人役に分けそれぞれの役割で振舞うことを条件に行われた実験の行方を描いた心理スリラー。14日間の予定で始まった実験はなぜ6日間で中止されたのか? 人間の本質が浮きぼりになる衝撃のドラマを描くという。予告編では、『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディ演じるトラヴィスと、『ラストキング・オブ・スコットランド』のフォレスト・ウィテカー演じるバリスらが実験に参加する場面で幕を開け、単なる“実験上の役割”のはずなのに分けられたグループ同士の間に緊迫感が高まっていく様子が描かれている。『プリズン・ブレイク』シリーズでは、次々と危機的状況を仕掛けて観客をスリリングな空間に導いたシェアリング監督は、本作では実在の実験結果に数々の劇的なアイデアを投入し、より緊迫のあるドラマを生み出しているという。『エクスペリメント』12月4日(土) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー(C)2010Experiment Film Holdings LLC.All Rights Reserved.
2010年11月08日海外ドラマ界の美女として3人目に取り上げるのは、エミー賞受賞ドラマ「マッドメン」に出演中のジャニュアリー・ジョーンズ。いま、米ドラマ界で最も注目を集めている美人女優です。ジャニュアリーが「マッドメン」で演じているのは、ジョン・ハム扮する主人公ドン・ドレイパーの妻ベティ。敏腕広告マンのドンを支える妻として、幼い子供たちの母として、良妻賢母の鑑という役どころを担っているのがベティです。とは言え、目の離せない人間ドラマと共に虚構の裏にある真実や人間の深層心理をえぐり出していく「マッドメン」ですから、ベティも単なる良妻賢母にはとどまりません。傍から見れば美しく完璧な妻・ベティが抱える心の闇や夫であるドンとの危うい心理戦、それが転じて発生する泥沼劇にも容赦なく目が向けられていきます。そんなベティの複雑な内面を熱演したジャニュアリーが評価されないわけはなく、いまや各TV賞の常連女優に。ハリウッド黄金期の女優たちを思わせるクラシックな美貌から、ビューティアイコンとしても人気を集めています。今年32歳のジャニュアリーですが、「マッドメン」以前の知名度は低く、映画『アメリカン・パイ3:ウェディング大作戦』や『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』で印象を残すものの、ブレイクには至りませんでした。しかし、ベティ役での人気沸騰により、今や映画女優としても引っ張りだこ。「マッドメン」シーズン4の撮影を終えた現在は『X-MEN』シリーズ最新作、『X-Men:First Class』でミュータントのエマ・フロストを演じています。その他にも、ニコラス・ケイジの妻を演じた『The Hungry Rabbit Jumps』やリーアム・ニーソンの妻を演じた『Unknown White Male』(原題)が公開待機中。ちなみに、「マッドメン」の撮影の合間を縫って出演した映画には、日本でもすでにDVDが発売されている『パイレーツ・ロック』がありますが、こちらでも美しい彼女ならではのキャラクターに扮しています。また、女優としてのブレイク以前はアシュトン・カッチャーの元恋人として語られることも少なくなかったジャニュアリー。いまでは“○○の恋人”と言われることはなく、彼女自身のロマンスに注目が集まっています。少し前には「アントラージュ」のジェレミー・ピヴェンやオスカー俳優エイドリアン・ブロディとの熱愛報道が浮上。先頃のエミー賞授賞式には、ジェニファー・アニストンとも噂になったコメディ俳優ジェイソン・サダイキスと現れました。「マッドメン」ファンの勝手な希望としては、やはり彼女の隣にはドンのような風貌の男性に立っていてほしかったりも…。シーズンを重ねるにつれすったもんだ全開になっていくドンとベティの関係同様、ジャニュアリーの恋愛模様からも目が離せません!?(text:Hikaru Watanabe)「マッドメン シーズン3 DVD-BOX」価格:20,790円(税込)発売元:フジテレビジョン/ポニーキャニオン販売元:ポニーキャニオン発売日:10月6日(水)© MMIV Lions Gate Television Inc. All Rights Reserved■関連作品:マッドメン [海外TVドラマ]© MMVII Lions Gate Television Inc. All Rights Reserved■関連記事:ジョージ・クルーニー、エミー賞でボブ・ホープ・ヒューマニタリアン賞受賞ゴールデン・グローブ賞発表!『アバター』が2冠シネマカフェ的海外ドラマvol.1322009年総括!お薦めドラマベスト3!第67回ゴールデン・グローブ賞テレビ部門では注目作「Glee」3部門ノミネートシネマカフェ的海外ドラマvol.118胸キュン男のスマイル第2回「マッドメン」
2010年09月23日オスカー候補になったあの『バベル』への出演以降、菊地凛子の活躍は世界へ広がっている。ライアン・ジョンソン監督、エイドリアン・ブロディ共演の『The Brothers Bloom』、イザベル・コイシェ監督の『Map of the sounds of Tokyo』、マイケル・ハフストローム監督、渡辺謙共演の『Shanghai』、村上春樹のベストセラーを映画化するトラン・アン・ユン監督の『ノルウェイの森』──待機作のいずれも海外の監督との仕事だ。そして、国際女優として一歩、また一歩、前進していく彼女が新たに興味を示したのは、第77回アカデミー賞で脚本賞に輝いたアメリカ映画の名作『サイドウェイ』を日本人キャスト、外国人スタッフ、オール海外ロケで作った異色の日本映画である。「タフになるために作品を選んでいきたい」「海外だからという理由で作品を選んでいるわけではないんです。ただ、自分ができないなと思うものや、怖くてイヤだなと思うような演技に挑戦したい時期なんですよね。海外の作品は海外であるだけで大変な思いがあるから…タフになるために国内外問わずそういう作品を選んでいきたい。でも、個人的には日本食が好きなので、撮影が終わって美味しいものが食べられる日本が本当は一番いいんですけどね(笑)」と、穏やかな口調、やわらかな物腰で話すが、その志はかなり高い。今回の『サイドウェイズ』でももちろん挑戦はあった。彼女が演じるミナ・パーカーという役は、生まれも育ちもアメリカという設定。流暢な英語とたどたどしい日本語を会話に混ぜ込む演技は「すっごく大変でしたね」とふり返るが、そんな苦労を微塵も感じさせない演技はさすがだ。さらに、言葉だけでなく細かな動きも研究したのだという。「向こうの人の独特な動きがあるので、撮影現場にいたミナっぽい女性の動きを参考にしたり、ハーフの友達に『このセリフ言ってみて』と微妙なアクセントを聞いたりしました。難しい役柄ではあったけれど、ミナは前向きで明るい女の子。痛みや辛さがない分、楽しかったですね」。「大変だったけれど、楽しかった」と笑顔を見せる背景には、小日向文世、生瀬勝久、鈴木京香という実力ある俳優が共演陣に揃っていたこと、やり甲斐のある環境だったことも挙げられるだろう。「ほんとに。日本映画でこれだけ有名な俳優さんと仕事をするのは久々だったので、最初はちょっと緊張しましたけど、小日向さんが笑うとみんながフワ〜っとして心地いい気分になったり、生瀬さんは役柄通り英語もすぐに覚えて積極的に話していたし、京香さんはマイペースに生きている面倒見のいいお姉さんという感じで、すごくいい現場でした」。撮影は約1か月間カリフォルニアで行われ、「時間があるときはみんなでご飯を食べに行ったりしました」と、キャラクター同様に密な関係を築けたと語る。「毎日美味しいワインが飲めて、いい現場!」特に共演が多かった生瀬さんについては、彼のアドリブ力に「新鮮な気持ちになれた」と驚きを隠さない。「生瀬さんのアドリブはすごいんです。セリフは一緒なのに毎回動きとかちょっとしたことを変えてくる。『この人、すごいなぁ』って思っていました」。中でも笑えるのは、大介とミナの喧嘩シーンだ。「生瀬さんがお兄ちゃん的な優しい方だったので、遠慮なくブッていこうと思ってブッたら赤くなっちゃって。あっ、でも(打つ瞬間は)本当のフライパンじゃないですよ。あのシーンを本物のフライパンを使っていたら殺しかねないですからね(笑)」と、撮影時のエピソードを語ってくれた。「洋酒全般は何でも飲みますね」という菊地さん。今回の撮影を通してカリフォルニア・ワインの美味しさを知り「毎日美味しいワインが飲めて、いい現場でした!」と幸せな笑顔を見せる。そして、“菊地凛子”流の映画『サイドウェイズ』の見方をこう提案する。「この映画を観るとワインを飲みたくなると思うんです。だから、ワイン好きな人は夕方頃に映画を観て、その後に1本のワインを誰かと開ける…そういうのもひとつの見方かなって思います。あと、ナパ・バレーはワイナリー以外何もないところですけど、観たらナパに行きたくなる人、多いと思いますよ」。(text:Rie Shintani/photo:Hirarock/stylist:Yuta Kaji/hair & makeup:Yasushi Miyata)■関連作品:サイドウェイズ 2009年10月31日より全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Fuji Television Network, Inc.■関連記事:菊地凛子&鈴木京香、仲良くぶどう柄でペアルック?『サイドウェイズ』舞台挨拶菊地凛子、流暢な英語で「ワイン大好き」『サイドウェイズ』、本場ナパで大盛況舞台挨拶&生演奏付き!『サイドウェイズ』プレミア試写会に25組50名様ご招待ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!
2009年10月14日オーウェン・ウィルソンが8月26日、緊急入院した。同日昼、カリフォルニア州サンタモニカの自宅で手首を切って倒れている彼を家族が発見し、救急車で市内の病院に搬送された。抗うつ剤を大量に服用していたという説もあり、自殺を図ったとみられている。危険な状態を脱し、一命をとりとめた翌日には「困難な時期を静かに治療と回復に専念させてほしい」とメディアに配慮を求める声明を発表した。現在は兄のアンドリューと弟のルーク、そして両親が付き添っているという。オーウェンは盟友、ベン・スティラーの監督作『Tropic Thunder』(原題)の撮影を9月初旬に控えていたが、今回の騒動をうけて両者合意の上で中止になった。また最新作の『The Darjeeling Limited』(原題)は現在開催中のヴェネチア映画祭コンペティション部門に出品されているが、オーウェンの映画祭参加もキャンセルに。治療を受けている病院のスタッフによれば、幸い容体は良好とのことだ。写真は、ヴェネチア国際映画祭に出品されているウェス・アンダーソン監督の『The Darjeeling Limited』(原題)の一場面。左から、ジェイソン・シュワルツマン、オーウェン、エイドリアン・ブロディ。(C) Splash/AFLO(text:Yuki Tominaga)
2007年08月31日