日出郎さん伝説のテレビ番組『風雲たけし城』が34年ぶりに復活。同じくビートたけしがMCを務め、復活してほしいバラエティー番組といえば、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』。数多くの人気者を輩出したが、その中でも、注目の存在だった日出郎さんを直撃!当時のエピソード、そして日出郎さんの“今”を聞いた。今では考えられない、ハードすぎる企画現在バラエティー界で活躍が目立つ“オネエタレント”の大量キャスティングを行った番組の先駆けが『元テレ』だ。中でも注目を浴びた存在だったのが日出郎さんだ。「最初に私が話題になったのは、競歩大会のときだったかと思います。『一生懸命やってるけどさ、こいつ、“日出郎”って名前なんだぜ!?』と、たけしさんが私の名前を連呼して笑ってくださって。リアクションというより名前が先に出ちゃった感じでした(笑)」(日出郎さん、以下同)その後、大砲に詰められて飛ばされたり、東尋坊でダイビングなど、現在ではとてもできないハードな人気企画のオネエ枠として欠かせない人物になっていく。「出川(哲朗)くんより前に、出川くん以上のことを仕掛けられていましたからね。ハードな収録後に用意された宿で寝ていたら、朝方にバズーカとかヘビメタとかで起こされて。なぜか(レポーターをしていた)ルー大柴さんとかがいるんですよ。なにが嫌だったかって、すっぴんを全国にさらされること(笑)。そんな収録後はショーパブでお仕事でしたからね。大学にも通ってましたし。人気アイドルみたいな忙しさでした」最盛期には週10本以上のレギュラー番組を抱えていたことも。そんな10年間休みなしの状態を続け、突如“燃え尽きた”という日出郎さん。「アメリカに移住したんです。有名なドラァグクイーンの方にお会いするなど、自分を見つめ直すいい機会となりました」テリー伊藤と再会充電期間を経た現在は、落語家や舞台俳優もしており、活動の幅を広げている。「オネエタレントって、ツッコミが強い人が一般的でしょう。でも私は、誰かにいじってもらってなんとかなるタイプだったと思います。たけしさんだけじゃなくて、タモリさんや明石家さんまさんにもいじってもらって人気が出た。なんですけど、私自身は本来、練習を積み重ねたものをお客様に見せるほうが好きなんですよね。だから舞台とか落語は合っているんです」自分のしたいことをやれている今、改めて『元テレ』時代を思い返す。「初期の演出をしていたテリー伊藤さんの企画は特につらいことばかりだったなあと(苦笑)。この前テリーさんにお会いしまして、『いいおじいちゃんになったね!』って言ったら『おまえもな!』と言われちゃいました。ああ、あたしもおじいちゃんなんだ〜って(笑)」鬼才の信じられない要求も、今となればいとおしい思い出に変わった?「番組の同窓会企画があったらうれしいですよね。今はコンプライアンス的にできない企画ばっかりでしょうけど、私はやりたいですね」当時の視聴者なら覚えているはず。日出郎さんたちが登場する企画は、爆笑の後に感動の涙が待っていたことを……。日出郎さんひでろう1964年生まれ。ショーパブダンサーとしてデビュー以後、バブル景気時代を代表するオネエタレントに。現在は歌手、俳優、落語家(天狗連志ん進名義)など幅広い芸能活動の傍ら、新宿二丁目でバーの経営も(お店はコロナ禍により休業中)。8/3(水)〜7(日)シアターサンモール『オネェミュージカルLaki★Laki Hipster〜真夏の夜の悪夢〜』出演。そのほかにも……元気が出るテレビ有名人「あの人は、今!」●三上大和「平成口ゲンカ王決定戦」で青森弁が印象的だった高校生。父親は政治活動家として知られた故・羽柴誠三秀吉さん。現在は父が経営していた建設会社の代表取締役。●演歌好き小学生の「篠原君」憧れの女性歌手のもとに駆け寄る際に坂から転げ落ちて爆笑をさらった。現在はテレビ東京の政治部官邸キャップで、選挙特番の際は池上彰のサポート役。●川崎徹人気CMディレクターとして活動する傍ら、レギュラー陣の中でもユニークな存在だった。現在はおもに小説家として作品を発表している。●元気美佐恵女子プロ予備校出身。リングネームは番組名から。全日本女子プロレスのオーディションに唯一合格した。2008年にプロレスを引退し、現在は居酒屋を経営している。●オープニングテーマの歌手ノリのいいオープニングのテーマ曲を歌っていたのは、ジャズ歌手の奥土居美可さん。CMやアニソン歌手としても知られ「ペットフードはドギーマン!」なども彼女。取材・文/高松孟晋
2022年08月01日LLBROTHERS(右・兄TAKANORI左・弟MASAYA)伝説のテレビ番組『風雲たけし城』が34年ぶりに復活。同じくビートたけしがMCを務め、復活してほしいバラエティー番組といえば、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』。その中の「高校生制服対抗ダンス甲子園」で人気を博した実力派・LL BROTHERSが、当時受けたというテレビの洗礼とは……?最初は乗り気ではなかった 『元気が出るテレビ』といえば「高校生制服対抗ダンス甲子園」を思い出す人は多いはず。現在は政党「れいわ新選組」代表である山本太郎のメロリンQなども話題だったが、実力派として人気を博したのがL.L BROTHERS(現:LL BROTHERS)だ。第1回、第2回と連覇を果たし、テレビドラマにも出演、歌手デビューまで果たすなど、まさに番組が生んだスターである2人。今回は兄のTAKANORIさんを中心に話を聞くことができた。「僕とMASAYAは、『ダンス甲子園』はもちろん、番組も見たことがなかったんです。同級生から『ダンスの番組やってるよ!出なよ!』と言われたのがきっかけでしたが、真剣に取り組んでいたので、お笑いの番組に出るのは嫌で、全然乗り気ではありませんでした」(TAKANORIさん、以下同)結局、福岡のダンサーの先輩に声をかけられ、断りきれずオーディションに連れていかれたところ、既にオーディションは終わっていた。踊りを一応見せたところ、出演をオファーされたが、当初は辞退した。「番組を見てから決めてくれ、と言われ、その後番組を見て、全国に同じように踊っている人たちがいるって知れたのはうれしかったし、僕たちのダンスを全国の人に見てもらえるチャンスだと思い、一度だけのつもりで出ることにしました。無駄にプライドが高かったんでしょうね(笑)」もっとも、ビジュアル・実力・体格とどれをとっても頭ひとつふたつ抜きん出ていた。「初めて出た九州大会の当日、実は『学生服を着て踊る』っていうルールを初めて聞かされて、僕はもう高校を卒業していたし、仕方なく、会場に用意されていた学生服の上着だけを借りて、シルエットが気に入らないから裾を切って短くしました(笑)」MCハマーを前に……人気が出るにつれて「むちゃ振り」を受けることも多くなっていった。MCハマーの来日時、ダンス甲子園メンバーが面会をするという企画の際も、そんなテレビの洗礼を受けた。「僕たちは行かないつもりでした。どうしても来てほしいと言われ、絶対に踊らないという約束で参加したのにその場で『やっぱりMCハマーの前で踊れ』と言われまして。急きょ作らされた振りだったから、MASAYAが途中で間違えてしまって、撮り直しもできず。オンエアではそれを緊張して踊れなくなったことにされてしまって。当時は子どもでしたから、あのオンエアの内容はショックでしたね」パフォーマンスの質に対して妥協をしなかった2人。歌手としてデビューした後、人前で歌うことに自信をつけるのは一筋縄ではいかなかった。「いきなり歌えと言われてもはじめは本当にヘタクソで(笑)。でも、ダンスが好きなのも、突き詰めれば音楽が好きってことなので。目的はバックダンサーではなくフロントに立つことでしたから、いろいろな方に力を借りてなんとか続けてこられましたね」EXILEファミリーなど、『元テレ』で見た彼らに憧れてダンスを始めたダンサーやシンガーは多いという。現在LL BROTHERSは自身の楽曲制作やアパレルのデザインを手がけるほか、TAKANORIさんはメジャーアーティストへの楽曲提供や自らのブランド立ち上げの準備中、MASAYAさんは地元福岡県でボーカル指導を行うなどソロでも活動の場を広げている。「今MASAYAと振り返っても、大変なこともあったけどダンス甲子園に出たことは100%よかったと思う。やはりあの経験がなかったら今の僕たちはいないので感謝しています」昨年デビュー30周年を迎えたという2人。コロナ禍でライブやイベントは無期延期になったというが、落ち着くころにはうれしいお知らせも届くだろう。LL BROTHERSエルエルブラザーズ兄TAKANORI・弟MASAYAからなる福岡・久留米市出身の兄弟ダンスボーカルユニット。ユニット名の由来は兄弟どちらも高身長からなる体格から。1991年『L.L BROTHERSのテーマ』でメジャーデビュー。自身の音楽活動のほか、EXILE、安室奈美恵、CHEMISTRYなどへの楽曲提供も行っている。TAKANORIさんソロでは、三代目J Soul Brothers、GENERATIONS、THE RAMPAGEなどへの楽曲提供も。そのほかにも……元気が出るテレビ有名人「あの人は、今!」●三上大和「平成口ゲンカ王決定戦」で青森弁が印象的だった高校生。父親は政治活動家として知られた故・羽柴誠三秀吉さん。現在は父が経営していた建設会社の代表取締役。●演歌好き小学生の「篠原君」憧れの女性歌手のもとに駆け寄る際に坂から転げ落ちて爆笑をさらった。現在はテレビ東京の政治部官邸キャップで、選挙特番の際は池上彰のサポート役。●川崎徹人気CMディレクターとして活動する傍ら、レギュラー陣の中でもユニークな存在だった。現在はおもに小説家として作品を発表している。●元気美佐恵女子プロ予備校出身。リングネームは番組名から。全日本女子プロレスのオーディションに唯一合格した。2008年にプロレスを引退し、現在は居酒屋を経営している。●オープニングテーマの歌手ノリのいいオープニングのテーマ曲を歌っていたのは、ジャズ歌手の奥土居美可さん。CMやアニソン歌手としても知られ「ペットフードはドギーマン!」なども彼女。取材・文/高松孟晋
2022年07月31日飯田覚士さん撮影/佐藤靖彦伝説のテレビ番組『風雲たけし城』が34年ぶりに復活。同じくビートたけしがMCを務め、復活してほしいバラエティー番組といえば、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』。その中の人気コーナー「ボクシング予備校」の中心メンバーでプロデビューも果たした飯田覚士さんが明かした、番組の“裏側”とはーー。「アイドル扱いに悩んだこともありました」全国から集められたアマチュアボクサーがプロを目指すという人気企画だったのが「ボクシング予備校」。その中心メンバーとしてアイドル的な人気を誇っていたのが飯田覚士さんだ。番組出身で素人からプロデビュー、世界の頂点まで上り詰めた奇跡の存在であるが、ボクシングを始めたのは大学時代からで、当時は典型的な「地方の大学生」だったという。「日曜の夜は遊んでいることが多かったので、あまり番組を見ていませんでした。久しぶりに家で番組を見たら、募集告知があって応募したんです」(飯田さん、以下同)見事採用されたが、当時の将来の夢はツアーコンダクター。番組は思い出づくりという気持ちが強かったという。「当初の撮影は、『ロッキー』の有名なシーンみたいに生卵を一気飲みするとか、バラエティーっぽいことをしていたんです。でも、テリー伊藤さんがもっと本気のものを作りたいと言い出したそうで、その手の収録は全部お蔵入りになりました(笑)」 「ボクシング予備校」第1回の放送後から飯田さんの生活は激変したという。通学路には待ちぶせする人が続出し、飲食店に入ればサインや握手を求める行列ができる。まだプロにもなっていない、ただの一介の大学生である自分が注目の存在になってしまったことに違和感を覚え、番組出演をやめることを考えた。「急に世間から“芸能人”扱いされて騒がれるようになったのが本当に嫌で。やめたいとディレクターに相談したら、それをカメラの前で(レギュラー出演者の)兵藤ゆきさんに語ってくれと言われまして。やめるって話をしたのに、編集された映像では『これからも飯田覚士はがんばります』っていう結びになっていて(笑)。これが大人の世界なんだな、とそのときから吹っ切れましたね」公式ライバル、松島二郎さんとの思い出忘れてはいけないのが、公式ライバルとして登場した松島二郎さんの存在だ。コーナーの大きな盛り上がりのひとつが、江の島で行われた飯田さんと松島さんの初の練習試合だった。「僕は結局負けたんですけども、オンエアされた次の日から、世間の人がものすごく哀れんでくるんです。試合形式のスパーリングなのに。世界戦に負けてもこんなふうになりませんよ(笑)」松島さんの当時の印象は?「すごくおしゃれで、横浜出身の都会っ子という感じでした。仲はよかったんですが、田舎育ちの僕には『かなわないなあ』という思いのほうが強かったです(笑)」現在は治療院を営んでいる松島さんとは今でも時折連絡を取る仲だという飯田さん。番組に対しては今、どのように思っているのだろうか。「嫌なことも多かったので……番組に感謝するまでには時間がかかりました。正直、引退した直後はボクシングには関わりたくないと考えていたぐらい。でも、やっぱり好きなんですね(笑)。世界チャンピオンになれたのも番組があったからこそだし、今の自分があるのも番組のおかげだと感謝しています」番組が生んだ世界王者は、ジム経営とともに、ビートたけしとの会話にも大いに影響されたという視覚能力を高める科学的トレーニング「ビジョントレーニング」の普及にも力を入れている。飯田覚士さんいいだ・さとし1969年生まれ。元WBAスーパーフライ級王者。現在は子どもから大人まで通えるボクシング塾「ボックスファイ」を主宰。著書に『見る力も脳も10歳若返る!!ビジョントレーニング』(コスミックムック)、『人生を変える「見る力」』(マキノ出版)など。そのほかにも……元気が出るテレビ有名人「あの人は、今!」●三上大和「平成口ゲンカ王決定戦」で青森弁が印象的だった高校生。父親は政治活動家として知られた故・羽柴誠三秀吉さん。現在は父が経営していた建設会社の代表取締役。●演歌好き小学生の「篠原君」憧れの女性歌手のもとに駆け寄る際に坂から転げ落ちて爆笑をさらった。現在はテレビ東京の政治部官邸キャップで、選挙特番の際は池上彰のサポート役。●川崎徹人気CMディレクターとして活動する傍ら、レギュラー陣の中でもユニークな存在だった。現在はおもに小説家として作品を発表している。●元気美佐恵女子プロ予備校出身。リングネームは番組名から。全日本女子プロレスのオーディションに唯一合格した。2008年にプロレスを引退し、現在は居酒屋を経営している。●オープニングテーマの歌手ノリのいいオープニングのテーマ曲を歌っていたのは、ジャズ歌手の奥土居美可さん。CMやアニソン歌手としても知られ「ペットフードはドギーマン!」なども彼女。取材・文/高松孟晋
2022年07月30日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「バラエティ番組」です。最近、ドラマの番宣などもあり、バラエティ番組に呼んでいただく機会が多くありました。ありがたいことです。あらためて出演して感じることは、バラエティ番組って難しいな、ということ。なぜなら何も準備ができないからです。音楽のライブは楽曲を用意したり、セットリストを事前に自分で決めることができる。お芝居の仕事は台本があるから練習することができます。でも、バラエティ番組は台本があるといっても番組の流れが決まっているだけで、VTRを見てどういうコメントをするのか、どういう会話がありそれにどう返しをするかは、いつも本番一発です。必要とされるのは瞬発力。これは毎日毎日バラエティの現場をこなしていないと身につかない特別なもの、限られた人たちにしか培われない筋力なんじゃないかと思います。僕のようにたまに呼ばれて出演するようなタイプのミュージシャンでは、とても太刀打ちができないと感じてしまいます。それでも、ここ最近は『おはスタ』や『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』などのレギュラー番組のほか、地元の京都では『岡崎体育の京の観察日記』という街ブラ番組もしています。なので、昔よりはバラエティ番組での立ち回りはスムーズにできるようになったと思います。逆に、オンエアを見て反省することも増えました。出演した番組は必ずオンエアを見るのですが、良かった点と悪かった点が明確にあります。ダメだったなと思うのは、自分のカラーが出せてないなと感じたとき。また、これは使われるだろうと思った会心のコメントが見事にカットされているとけっこうショックを受けます。テレビ番組は制作者の意図があり、時間の制約もあります。ライブのDVDならここのコメントは使って、ここは切ってと自分で指示が出せますが、バラエティ番組はそうはいきません。オンエアまでどう使われているかわからない。なので、自分の言葉がテロップになっていたり、いい感じで使われているとめちゃくちゃうれしいです。良かったと思うのはそういうときです。バラエティの演出では、“ここぞ”というワードに入るときに後ろで流れているBGMの音が切れるんです。言葉を引き立たせるためにあえて無音にする。僕の発言のときにBGMが切れていると「やった!」となる。これからもBGMを切ってもらえるようにいいコメントを連発したいです。おかざきたいいくEテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3(土曜21:00~)に出演中。昨年11月に横浜アリーナで行われたライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。※『anan』2022年4月27日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年04月22日日本テレビ先日、毎週月曜深夜23時59分からの約10年にわたる放送が終了した、日本テレビ系の『月曜から夜ふかし』。4月からは月曜22時へ枠を移動しての放送となる。日本テレビは22年4月期の改編について、ゴールデン・プライム帯の、特に21時以降を強化することを発表している。これまで月曜22時に放送していた『しゃべくり007』が1時間繰り上がって21時からの放送となり、21時から放送していた『人生が変わる1分間の深イイ話』は終了となる。日テレのバラエティーは安定しているほかにも毎週水曜21時からの『今夜くらべてみました』もその歴史に幕を下ろし、日テレの夜が大きく変わる印象を受ける。「日テレは、なんだかんだ『強い』人気番組が各曜日に揃っていて、他局が大型改編を行うなかでもほぼ変更することもなくずっと安定している印象はありましたね」と、あるテレビ関係者。現在ゴールデン・プライム帯で放送されているバラエティーの番組名を列挙するだけでも人気番組の数と充実ぶりを実感する。・月曜……『有吉ゼミ』『世界まる見え!テレビ特捜部』『人生が変わる1分間の深イイ話』『しゃべくり007』・火曜……『ヒューマングルメンタリーオモウマい店』『踊る!さんま御殿!!』『ザ!世界仰天ニュース』『一撃解明バラエティ ひと目でわかる!!』・水曜……『有吉の壁』『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』・木曜……『THE突破ファイル』『ぐるぐるナインティナイン』『ディスカバリーエンターテインメント秘密のケンミンSHOW』『ダウンタウンDX』・金曜……『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』『沸騰ワード10』・土曜……『I LOVE みんなのどうぶつ園』『世界一受けたい授業』『1億3000万人のSHOW チャンネル』・日曜……『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』『行列のできる相談所』『おしゃれクリップ』「それぞれ視聴率が安定しているから多くの番組が10年超えの長寿番組となっていますね。今回終了する『深イイ』や『今くら』は人気番組でしたが、全体としてみたときにマンネリ化しないよう、そして飽きられないため、という意味合いがあっての改編だと思います」と、前出のテレビ関係者が言えば、ある放送作家も、「どの番組も安定した人気があり、終わらせたり移動する理由もありません。下手に新しい番組を始めるよりも継続したほうがいいと思うのですが……」と、番組終了を惜しんだ。とは言え日テレのバラエティー番組は強い。その理由について放送作家は「ものすごく特徴があるわけじゃないが、“なんとなく見られる”強さがある」と言う。続けて、「日テレは安心なブランド、『とりあえず日テレつけてみるか』と、視聴者がチャンネルを合わせやすい局となっています。だからこそヒット番組も生まれやすく、似たような企画の番組でも日テレのほうが人気が高いという現象が生まれやすい。ただ、長い目でみたときに、変化をしていかないといけないですからね。それがこのタイミングなのかもしれません」枠が変わっても見逃し配信で視聴人気番組を移動させるときによく問題視されるのが、いわゆる「視聴習慣」。何曜日の何時にこのチャンネルを見るという習慣が、枠を移動したときに外れてしまうという現象だが、そこも近年は以前ほど重要視されなくなってきている傾向もあると、前出の放送作家は言う。「見逃し配信などで見る人がすごく増えたことが大きいです。以前は枠移動は大きな賭けでしたが、いつ放送していても関係ないという人が増え、ハードルが下がった部分はあります。いっぽうで、『夜ふかし』のような番組は、どの時間帯で放送してもついていくよというコアなファンも多いです。枠の時間帯が昇格すればスポンサーもよりつきますし、メリットのほうが大きいという考えかただと思います」『夜ふかし』の番組内でも、22時からの放送ということで、極端な下ネタはやれなくなるとマツコ・デラックスも言っていた。深夜に放送していたからよかった、深夜だから面白かったという声も、深夜番組の昇格にはつきまとう。「ネタの選び方などは、グルメ企画や人気チェーンなど、深夜に比べてファミリー向けのものは増えると思います。ただ、深夜で続けていても、番組の収益が上がるわけではありませんし、お金にならない状態で続くよりもいいスポンサーがつくならつくほうがいい。今は『深夜だからOK』『深夜だから制約がない』という部分は相当減っていますし、むしろゴールデンのほうが攻めていることもあったり、深夜との違いは実際なくなりつつあるという気がします」『夜ふかし』も月曜深夜に配信で視聴すれば解決(ただし下ネタ少なめ)、ということだろうか。〈取材・文/渋谷恭太郎〉
2022年03月28日山之内すず(公式インスタグラムより)司会の島田紳助が優しく出演者に言葉をかける。「我々スタッフが一生懸命、一生懸命捜しました。お母さん……見つかりましたよ」’94年から’01年にかけて放送された番組『嗚呼!バラ色の珍生!!』(日本テレビ系)のハイライトといえる場面だ。生き別れや行方不明になった家族、または大切な人の“捜索”を一般視聴者が番組に依頼。番組スタッフが探し、見つかった場合、感動の対面……というかつてテレビ業界で流行した“人探し・公開捜査バラエティー”。テレビ史を振り返れば、’68年から’87年まで放送された『お昼のワイドショー』の“テレビ公開捜査”(日本テレビ系)、『バラ色の珍生!!』と同時期に放送スタートの『目撃!ドキュン』の“ご対面”(テレビ朝日系)や『完全特捜宣言!あなたに逢いたい!』(同)など、古くは昭和そして平成と、このような“人探し”系の番組が流行った時代があった。それと似たようなスタイルの番組が令和に復活するようなのだが……。芸能人のSNSで「この人知りませんか?」《テレビ朝日さんの特番です(手を合わせた謝罪の絵文字)SNSを使って、名前と写真しか知らない人を探し出せるかというものです(手を合わせた謝罪の絵文字)》そうツイートしたのは山之内すず。「そのツイートの前に、40代から50代くらいの一般人と思われる女性の写真とともに、その人の名前を記し、“この人知りませんか?”と呼びかけるツイートをしていました。このツイートにはさまざまなリプライが付いていましたが、中には“誰々ではないか”というようなリプライもありました」(ウェブライター)当該ツイートはしばらくして削除された。《リプ欄に書いた通り、テレビ朝日さんの特番での企画でした(手を合わせた謝罪の絵文字)情報集まりましたので、消させていただきます(頭を下げた謝罪の絵文字)オンエアの情報公開をお待ちください(手を合わせた謝罪の絵文字)》(山之内すずのツイッターより)コンプライアンス、人を傷つけない笑い……現代のテレビ界、芸能界は強く“モラル”が求められている。「“SNSを使って、名前と写真だけで知らない人を探し出せるか”という番組の企画ですが、ただでさえ拡散力の強いSNSという媒体を使って、しかもそのアカウントはより不特定多数の人が目にする“芸能人アカウント”を使って企画を行うのは、少し現代的な個人情報保護、プライバシー保護の感覚が希薄すぎるのではないかと思います」(ITジャーナリスト) “番組の企画”、であればなんでも良いのか。《情報を拡散することで知らず知らずのうちに犯罪に加担してしまう場合もあるので自分自身も普段から注意していますが、今回は企画として本人の許可を得て拡散させて頂いています》山之内はこのようにもツイートしている。この件に関する彼女のツイートの文面には謝罪を示す絵文字が多用されていた。しかし、本来それを示すべきなのは……。「写真と名前を投稿された人はあらかじめ番組が許可を取った人物でしょうが、SNS上で本当に特定されることで、さらには個人情報が不当に拡散されてしまったら、番組側はどうするつもりだったのか……。コンプライアンスを遵守するために面白い番組が作りづらくなっているなどとも言われますが、配慮がなさ過ぎるのではないでしょうか。過去の“捜索番組”でも、視聴者に情報を呼びかけるものもありましたが、それは“番組宛て”に送られるもので、SNSのような誰でも閲覧できる場所で公開されるようなシステムではなかったはずです」(前出・ITジャーナリスト)テレビ朝日に問い合わせると…事実、山之内のツイートについてはSNS上で以下のような声が一部で上がった。《芸能人とテレビ局の名を使って、名前と写真しか知らない方の個人情報を集めることにどういう意味があるのでしょうか》《すずさんは番組側に言われるがままにツイートしただけだと思いますので、こういう企画を番組にしようとするテレビ局の浮世離れというか、無知さにより、フォロワーに誤解を生んだって感じですね》《思わずRTしてしまいましたが善にも悪にもなり得るものですからそこら辺は強調して伝えてもらいたいです》雑誌に芸能人の自宅住所が掲載されるなど、昭和や平成初期のような、“個人情報”や“プライバシー”というような言葉もなかった時代は今では考えられないようなこともあった。しかし時代は令和である。「“想定外が重なって出演者が怪我をしてしまった”というようなケースは、少なからずテレビ業界では起こってきたことです。当然ながら起こってはいけないことではありますが、それらはあくまで“事故”です。今回のケースはSNSを利用すること、またその拡散力を想定できなかったのであれば、それは番組作りの上で考えが浅はかであるし、想定したうえで行っていたのなら個人情報やプライバシーへの配慮の気持ちが希薄すぎるのではないでしょうか」(芸能ジャーナリスト)テレビ朝日広報部に今回の件を問い合わせると、ひと言のみ回答があった。「複数のご指摘を受けており、内容を精査いたします」番組名及び放送予定日、番組のために投稿した山之内自身にも批判の声が上がっていること、また番組制作スタッフらの本企画におけるプライバシー意識についても問い合わせたが、回答はなかった。しかし問い合わせたその後、この企画については再検討されているようだ。「各所の指摘を受け、企画の放送自体をイチから見直しているようです」(テレビ局関係者)バラエティー番組を生んだ昭和、最大のメディアとして高視聴率争いとなった平成、そして時代は令和。テレビ制作陣の“意識”は果たしてどこにあるのだろうか。
2022年03月26日広瀬アリス《びよーーーーーーーーーーん!!》と、広瀬アリスが自身のTwitterで喜びの声をあげたのは、ある情報解禁を受けてのことだ。「4月から始まる日本テレビ系の連続ドラマ『探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~』で滝藤賢一さんとダブル主演を務めることが発表されました。フジテレビ系の『恋なんて、本気でやってどうするの?』でも主演を務めることが先に発表されており、同クールに2本のドラマで主演というのは異例のことです」(スポーツ紙記者)これまでのアリスには、どうしても妹・広瀬すずのイメージがつきまとった。「’15年に『オリコン』が実施した“広瀬アリスと聞いて、思い浮かべることは?”という調査では、“広瀬すずの姉”という声が大多数でした。実際、当時のすずさんは、日本テレビ系の『学校のカイダン』ではドラマ初主演を務め、メインキャストのひとりとして出演した映画『海街diary』は日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞するなど、まさに売れっ子そのものでした」(同・スポーツ紙記者)ただ、芸能界デビューはアリスが先。もちろん、ドラマ初主演もアリスが先だった。その作品は、’10年に放送されたフジテレビ系の昼ドラマ『明日の光をつかめ』だ。脚本を務めた清水有生さんによると、当時15歳だったアリスは、ひときわ目を引く存在だった。大きな女優になるという“期待感”「第一印象は“アリス”という名前や、ぱっちりとした目から、お人形のような感じ。15歳らしい若さは感じましたが、話してみると芯がしっかりしていて驚きましたね。今のようにカメラ前でなんでもできる子ではなかったですが、今までにない子が登場してきたようなオーラを感じました。経験も少なかったのでお芝居はまずまずでしたが、それでも感情に合わせた表情がパッとつくれる、まさに求めていたキャラクターでした」(清水さん、以下同)しかし、要求されたのはかなり難しい演技。「物語は、問題を抱えながらも農業を通じて更生していく子どもたちと、アリスさんが演じる地域の名士の家庭で苦労なく育ったお嬢様の交流を描いています。ただカワイイとか、ただ感情が豊かなだけの演技ではダメ。不良少年、不良少女たちに対して、どこか“自分とは違う”と感じているようなお芝居や、自分の常識が通じずに泣きながら帰り、次の日ににっこり笑って施設の前に現れる図太さなど、多岐にわたる演技を彼女に求めました」アリスはそれを見事に演じきった。「大変な役だったと思いますが、つらい思いをした後にニコッと笑う表情などは、教えてできるものではなく“天性”のもの。それを見て、大きな女優さんになるだろうという期待感が生まれました」仕事が途切れない理由は“休憩中”にあり?しかし、その後の10代後半から20代にかけての数年はつらい時期が続いた。「どんどん活躍していく周囲と自分を比べて、足踏みしているように感じて落ち込んでいたそうです。それもあり、日常生活でも悩むことが増えていったようです」(芸能プロ関係者)そんなときに出会ったのが、アリス自身も転機になったと話す、’17年のNHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』。後藤高久プロデューサーは唯一無二の存在だったと話す。「広瀬さんが演じたリリコは娘義太夫をやっていた女性芸人で、時流に乗って漫才をやるようになり、世に出ていくという役。ヒロインと対立する立場から、最後には戦友になるという重要な立ち位置でした。彼女の明るくて強くて芯があるところに、リリコ役はこの人をおいてほかにいないと思いましたね」(後藤プロデューサー、以下同)未経験のお笑いにも、“芸人魂”を見せたという。「娘義太夫という芸は、三味線を弾きながら歌うのでかなり難しい。当初は、指導する先生の演奏に広瀬さんがバチを合わせるなど、撮り方の工夫で対応する予定でしたが、本人の努力によって、自身の演奏で撮影したシーンもあります。広瀬さんは“まだまだです”と言っていましたが、根性を感じましたね」劇中以外でも周囲を楽しませていて……。「休憩中は共演者の方とずっと話していた印象があります。そのおかげで、現場の雰囲気が明るくなりますよね。すると、一度お仕事をした人が“また次も”と思うようになります。広瀬さんの出演作が途切れないのは、そんな理由もあるのではないでしょうか。私もまたぜひお仕事をしたいですが、スケジュールがなかなか合わず……。撮影期間が長いお仕事をお願いしようとすると“2、3年先”となる場合もあるんです」『アメトーーク!』の現場ではバラエティー番組でもその明るさを遺憾なく発揮し、キャラクターがお茶の間にもすっかり定着。『アメトーーク!』など、人気番組のエグゼクティブプロデューサーを務める加地倫三さんが、その魅力を明かしてくれた。「有吉(弘行)やケンコバ(ケンドーコバヤシ)などと“本屋でマンガ大好き芸人”という企画でロケをしたことがありました。マンガにはセクシーなシーンが描かれた作品もあるので、流れ上、どうしても下ネタになることも。そういった場面で、アリスちゃんはちゃんと“嫌がる顔”をしてくれるんですよね。それが、バラエティー的にはちょうど“嫌じゃない顔”なんです。その顔に気づいて、謝ることで笑いが生まれ、その後も“なに、もう~”としっかりリアクションをしてくれるところも抜群にうまいんです」(加地プロデューサー、以下同)芸人たちからの信頼も。「特にケンコバは、アリスちゃんの返しがきちんとしているとわかっているからこそ、やりやすそうに見えます。変なことを言って怒られるくだりや、“エロ”や“グロ”のマンガが好きだという彼女を、遠慮なくいじれるんです」もはや、番宣ゲストの域を出た“いちプレーヤー”だ。「アリスちゃんは、“出たからにはちゃんと貢献しなくちゃ!”という気持ちが人一倍強いと思います。あまり活躍できなかったら、すごく悲しそうに、芸人さんが落ち込むのと同じような表情で、肩を小さくして帰っていきますからね(笑)。そんな女優さん、なかなかいないです」“バラエティーなんて、本気でやってどうするの?”とは言わせない!
2022年03月22日『マジカル頭脳パワー!!』司会者だった板東英二(左上)をはじめ、出演者としておなじみだった所ジョージ、加藤紀子、今田耕司数々の人気番組を生み出してきた日テレだが、その“黄金期”の幕開けを作ったとされる伝説のバラエティー番組があった。「マジカルバナナ♪」のフレーズなど、社会現象も巻き起こした『マジカル頭脳パワー!!』だ。しかし、視聴率低迷を前に番組は終了。復活を望む声も多いが、それが実現しないのには理由があった。放送コラムニストの高堀冬彦さんが解説する。「マジカルバナナ」で珍回答が続々民放のリーディングカンパニーといえば日本テレビ。視聴率もそれと連動する売上高もトップだ。日テレを王者に押し上げた番組を1つ選ぶとすると、局内外のテレビマンたちは『マジカル頭脳パワー!!』(1990月10月~1999年9月)と口をそろえるはずである。9年間の放送の平均視聴率は19・3%。1996年5月2日放送では31・6%という驚異的な最高値をマークした。放送終了直前まで合格ラインを超える11%前後の視聴率を維持していた(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。1980年代までのクイズ番組は知識を問うものばかりだったが、『マジカル』は違った。ひらめきや頭の回転の早さが問われた。だから子どもからお年寄りまで楽しめ、番組が独自に考案したユニークなクイズにタレントたちが真剣に取り組む姿を観るのも面白かった。番組を観ていた方なら誰でも覚えているコーナーは「マジカルバナナ」だろう。前の回答者が口にした言葉と関連するモノをラップのリズムに乗って答えるクイズだった。例えば「おサルさんといったらバナナ」「バナナといったら滑る」「滑るといったら氷」「氷といったらスケート」といった具合である。前の回答者の言葉と関連しないモノを答えたらアウト。ラップのリズムに乗って回答しないと、やはり失格。「東京といったらコワイ」といった本人の思いこみに過ぎない答えもダメ。7人前後の回答者のうち、最後まで間違えなかった1人が勝者となった。「砂糖は白い」「白いは雪」などと、関連するモノをつないでいく言葉遊びは古くからあった。 「マジカルバナナ」が画期的だったのは、前の回答者の言葉と直結しないモノでもよかったこと。例えば「砂糖といえばぜんざい」でもよかった。言葉をつなぐ助詞が「は」ではなく、「といったら」だったのがミソ。可能性が大きく膨らんだ。ラップに乗りながら瞬時に答えるのは難しく、珍回答が次々と生まれた。番組開始とほぼ同時にレギュラー回答者になり、以来6年間にわたって出演し、番組の人気を支えた所ジョージ(67)の場合、「髪の毛といったら」の次に「ない」と答えた。もちろん失格した。1991年から最終回まで出た同じくレギュラー回答者の間寛平(72)は「首といったら」の次に「締める」と言った。当然、失格に。普段はにこやかに番組を進行させる司会の板東英二(81)がえらく怒った。珍回答はまだあった。回答者が4人1組となり、出される問題から連想する言葉が一致したらOKとなる「マジカルインスピレーション」でのこと。問題は「頭に『う』の付く長いモノ」だった。3人は「うどん」と答えて一致したものの、もう1人の回答は「うんこ」。いや、長いかどうかには個人差や体調の違いがある訳で……。答えたのは加藤紀子(49)。スタジオは大爆笑の渦に包まれた。9年間に登場したコーナーは実に250以上。口の動きとポーズだけで言葉を伝えていく「マジカル伝言バトル」や2つの映像の中の違いを見つける「エラーを探せ!」などが人気だった。すべて番組が独自に考えたものだ。番組が終わった“きっかけ”クイズを考える中心にいたのは総合演出担当の五味一男氏(65)=日テレ系制作会社の日テレアックスオン執行役員・ジェネラルクリエイターだ。CM界から中途入社した人で、この番組に限らず、『投稿!特ホウ王国』(1994年~1996年)『エンタの神様』(2003年~2010年)など数々のヒット番組をつくり上げた。『マジカル』が視聴率低迷を前に終わったのは五味氏の意向だった。「五味君が『もう出し尽くしました』と言ったので、その言葉を尊重し、終わらせました。日テレは昔から、そうなんです。番組をつくり上げた人の意向を最大限に酌む」(元日テレ幹部)だから視聴者から復活を望む声が上がっても実現せず、スペシャル版すら2001年12月に1度放送されただけなのである。フジテレビの『クイズ・ドレミファドン!』(1976年10月~1988年4月)のスペシャル版が今も改編期に放送されているのとは対象的だ。2012年10月から『マジカル』のコンセプトの一部を受け継いだ『快脳!マジかるハテナ』が放送されたものの、『新マジカル』などのタイトルにはならなかった。これも五味氏への敬意から。番組内容も似て非なるもので、ヒットには至らなかった。 『マジカル』は今田耕司(56)、田中律子(50)ら、レギュラー回答者たちの個性も魅力だった。SMAPも準レギュラーだったのだから、豪華だった。1990年から1995年までレギュラーで出演した俵孝太郎氏(91)は所と並ぶ人気者となった。表情も口調も硬いものの、発想は柔らかく、難問・奇問をズバズバと解いた。その日の放送で一番の成績優秀者には「トップ頭脳賞」が贈られたが、これが所に次いで多かった。所はあまりに成績がいいため、心ないヤラセ説まで流された。だが、所が頭の回転が早い人なのは今では誰もが知るところ。それが生かされ、現時点でMCを務める番組は5本もある。『マジカル』での活躍は造作もなかっただろう。今、クイズ番組は学歴を前面に出し、知識を問うものばかりになった。ソニーなどが学歴不問採用を定着させ、学歴フィルターへの批判も高まる中、日本で最も学歴を重んじる場はクイズ番組ではないか。だが、視聴率はというと……■テレビ朝日『クイズプレゼンバラエティーQさま!! 3時間スペシャル』(2月14日放送)世帯7・5%(個人4・4%)■TBS『東大王スペシャル』(2月16日)世帯8・2%(個人5・1%)。時代が違うとはいえ、『マジカル』の半分にも達していない。高堀冬彦(放送コラムニスト、ジャーナリスト)1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立
2022年03月21日左上から時計回りでタモリ、久米宏と黒柳徹子、島田紳助、飯島愛さん今春の番組改編に向けて、多くの長寿番組が終了を発表。27年続いた『ガッテン』(NHK総合・水曜19時半)や『アウト×デラックス』(フジテレビ系、木曜23時)など、惜しまれつつ終了となる番組が多い。そこで、過去に“大人気の中”終了し、いま復活してほしいバラエティー番組を30代〜60代の男女1200人に徹底調査。あなたの好きだった番組は入っていますか?◆◆◆第1位『笑っていいとも!』圧倒的に多くの票を集めたのは『笑っていいとも!』(フジテレビ系)。終了から8年たつが人気は根強い。「平日はいいとも、日曜日は増刊号を見るのが日課だった。テレフォンショッキングのゲストや誰から花輪が届いているのかも楽しみに見ていた」(40代、女性)「ダウンタウンやウッチャンナンチャン、さんまが同時にレギュラーだった時期の年末特大号とかは本当に楽しかった」(50代、女性)「学校を休んだときに見ることができるのが楽しみだった。毎日あんな豪華メンバーで生放送していたのがすごい。一度は観覧したかった」(30代、女性)「お昼休みはウキウキウォッチング♪のあの歌を知らない世代が増えてきているのが悲しい」(40代、女性)惜しまれながら終了した『いいとも!』の最終回には、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、とんねるずなどが一堂に会したことも大きな話題に。香取慎吾が最終回に放った言葉「なんでいいとも終わっちゃうんですか?」に共感した人は多い。第2位『SMAP×SMAP』続く2位は、今でも毎週月曜になるとツイッターでトレンド入りする『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)。「マー坊、カツケン、ゴロ美とか今でも思い出せるキャラクターがいっぱい。アイドルがやるコントを面白いと初めて思えた」(40代、女性)「『スマスマ』からの『あいのり』(月曜23時)が月曜夜の定番だった。あのころのテレビ面白かったなー」(40代、男性)「今のジャニーズの番組はすべてスマスマがフォーマットを作ったといっても過言ではない」(50代、女性)「ビストロスマップの料理を1度食べてみたかった」(40代、女性)「最後に聞いた『世界に一つだけの花』が悲しすぎた。もう一度明るく楽しい姿を見せてほしい」(40代、女性)寂しい最終回を華麗に塗り替えたい、と願うファンは後を絶たない。第3位『ねるとん紅鯨団』3位は、バブル時代の恋愛バラエティー『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)。とんねるずが司会する集団お見合い番組だ。ねるとんパーティーなる商売も生まれるほど人気に。「大人になったら応募しようと思っていたのに終わってしまって残念!」(40代、女性)「誰からも選ばれなかったらどうしよう、などと想像しながら楽しんだ」(40代、女性)「スタジオゲストの好みの有名人を聞くのが楽しみだった」(50代、男性)「中森明菜さんがゲストの回のユーチューブを見てゾッとした」(40代、女性)それは’89年6月、ゲストの中森明菜が好みの男性芸能人「山崎努」を間違えて「みやざきつとむ」(東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の犯人。この当時はまだ未解決事件)と言ってしまい、さらにこの回に約10分間映像と音声が乱れる事故が発生。いまだに謎の現象として多くのオカルトマニアからも再放送を要望されているとか。3位までを見て「気になることがあります」とは、番組制作会社のプロデューサー。「1位から3位まですべてフジテレビの番組なんですよね。この春、人気があるのに終わってしまう『アウト×デラックス』などを見ても、編成側は視聴者のニーズを読めていないのでは?と思ってしまいました」と、フジの編成局に苦言を呈した。第4位『あなたの知らない世界』『ザ・ベストテン』4位以下にはフジ以外の局の番組がようやくランクイン。「今は子どもたちが心霊を学ぶ番組がないので、ぜひ新倉イワオ先生に霊とはなんたるかを教えていただきたい!」(50代、女性)など、男女問わず復活の声が多かったのは『あなたの知らない世界』(日本テレビ系)をはじめとした“心霊番組”。「殺伐とした世の中だからこそ現実逃避したいんでしょうか。不景気や天災などのニュースが続くと、心霊モノが流行るといわれています」とは、前出のプロデューサー。続けて、「心霊が求められる一方で、5位の『知ってるつもり?!』や6位の『目撃!ドキュン』などのヒューマン番組が入っているのも面白いですね。自分よりも大変な思いをしている人を見て励まされたいのかもしれません。人を救うのは人だと教えられた感じがしますね」みな“知らない世界”に連れていってもらいたいのだろうか─。コント番組は「再放送」の希望が多い令和の今では考えられない“お色気番組”が放送されていた昭和・平成のテレビから『トゥナイト2』(テレビ朝日系)と『ギルガメッシュないと』(テレビ東京系)がそろってランクイン。男性4割、女性が6割の得票数だったのが驚き。「『トゥナイト2』はジャーナリストの石川次郎さんがお下劣な内容の番組に節度をもたせていました。レポーター陣も青木愛や、せがわきりちゃんなど、ショートカットでボーイッシュな女の子を出していたのが女性にも受け入れられた理由でしょう。ギャル文化を頻繁に特集していて社会問題にも取り組み、ナンパと硬派をうまく使い分けていましたね。飯島愛さん(享年35)がサブ司会を務めた『ギルガメッシュないと』は実は女性も楽しめる番組をコンセプトに始まったんです。愛ちゃんがTバックをはいたお尻を見せたりしていましたが、下品に感じなかったからこそ愛ちゃんは全国区の存在になれた。イジリー岡田さんもこの番組で知名度がうなぎ上りになりましたよね」(前出のプロデューサー)10位『ギルガメ』とわずか23票差で『クイズ100人に聞きました』(TBS系:毎週月曜19時’79年~’92年出演:関口宏ほか)がランクインならず。ほかにも多くの番組が挙がったが、疑問を口にするのは『週刊女性』テレビドラマ座談会でもおなじみ、テレビウォッチャーの神無月ららさん。「ダウンタウンの『ごっつえぇ感じ』(フジテレビ系)などのお笑いコント番組が入っていないのが意外でした」コント番組を挙げた人の多くがつけ足したのが“復活ではなく再放送を見たい”というワード。テレビリサーチスタッフが解説する。「ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、清水ミチコ、野沢直子が出演した『夢で逢えたら』(フジテレビ系)やビートたけし、明石家さんまなどが競演した『オレたち!ひょうきん族』などを見たいけれど、今の彼らやスタッフがやったら面白いかどうかわからない。だから再放送をやってほしい、という声が多かった。確かに昔とても面白かったものを復活させて晩節を汚すのもね……」復活もいいけれど、美しい思い出はそのままにしておきたい!?復活してほしいテレビ番組ランキング1位『森田一義アワー笑っていいとも!』(フジテレビ系:平日お昼12時から)’82年~’14年245票出演者:タモリほか毎週平日の12時から13時まで放送されていたバラエティー番組。新宿スタジオアルタから一般観客を入れて毎日生放送を行っていた。お笑い芸人にとっていいともレギュラーは売れっ子の切符とも言われ、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、ナインティナインなどがレギュラーを務めた。2位『SMAP×SMAP』(フジテレビ系:月曜夜10時から)’96年~’16年201票出演者:SMAPほか番組前半は「BISTRO SMAP」、後半はコントや音楽コーナーなどで構成されていた。番組終了から6年たつが、いまだに月曜夜は番組名がトレンドに。3位『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系:土曜夜11時から)’87年~’94年147票出演者:とんねるずほかとんねるず司会の一般人による集団お見合い番組。深夜枠ながら平均視聴率は17.3%と高視聴率をマークした。石橋貴明による「タカさんチェック」「大どんでん返し」などが流行語に。4位『あなたの知らない世界』(『お昼のワイドショー』、『午後は○○おもいッきりテレビ』内のコーナー)96票出演者:新倉イワオほか『お昼のワイドショー』『おもいッきりテレビ』内で、夏休みなど子どもの長期休暇になると放映された心霊コーナー。一般視聴者らが体験した恐怖・心霊体験を再現ドラマや取材などを交えて検証し、霊能者が分析する。心霊写真コーナーなどもあり、子どもたちを十分に怖がらせる内容だった。「夏休みの楽しみだった!」(40代、男性)、「おどろおどろしいナレーションや映し出されるみの(もんた)さんの黒光りした顔が今でも耳に、目に焼きついています」(40代、女性)、「心霊写真コーナー、今もトラウマになっています」(40代、女性)4位『ザ・ベストテン』(TBS系)’78年~’89年96票出演:黒柳徹子、久米宏ほか毎週生放送で独自の邦楽ランキング上位10曲をカウントダウン形式で発表し、ランキングされた歌手が披露する音楽番組。“追いかけます、お出かけならばどこまでも”を売りに、アイドルや歌手がいる現地から中継披露するスタイルが話題を呼んだ。新幹線での移動中継は伝説に。「自分の番が終わったアイドルが後ろのソファでどんな話をしているのか気になっていた。好きなアイドルが女性アイドルと話しているのを見てヤキモキしていた(笑)」(50代、女性)、「セットなども意味不明なものがあって面白かった。今はあまり見ないスモークに憧れた」(40代、男性)5位『知ってるつもり?!』(日本テレビ系:日曜夜9時から)’89年~’02年84票出演者:関口宏、水野真紀ほか毎回歴史上の人物を紹介。その人物の生涯を振り返る内容だった。「いつかこの番組に取り上げられたかった(笑)」(50代、男性)、「中国の楊貴妃や西太后などの世界の悪女シリーズが好きだった」(40代、女性)、「江利チエミさんが死ぬ間際酒に溺れていく再現ドラマがなぜかすごく印象に残っています」(40代、女性)6位ヒューマンバラエティー番組『目撃!ドキュン』(テレビ朝日系:水曜夜7時から)’94年~’02年82票出演者:田中律子、ラサール石井ほか『嗚呼!バラ色の珍生!!』(日本テレビ系:毎週木曜夜7時)’94年~’01年は同票。出演者:島田紳助、篠原涼子など人探しバラエティー・公開捜査番組。毎回、生き別れになった肉親や家族、大事な人を探してほしいという視聴者が番組に依頼し、スタッフが探し出した末に感動のご対面が行われた。また『目撃!ドキュン』から「DQN」という言葉が生まれた。「他人の人生をのぞき見した気分でした」(40代、女性)、「世の中にはいろんな人がいるなー、と毎回思っていた」(50代、男性)、「徳光さんが毎回泣くのがうそくさかった(笑)」(50代、男性)7位『トリビアの泉~素晴らしきムダ知識~』(フジテレビ系:水曜夜9時から※深夜番組時代は火曜日1時40分から)’02年~’06年74票出演者:タモリ、高橋克実、八嶋智人ほか“生きていくうえで何の役にも立たないムダな知識、しかしつい人に教えたくなってしまうようなトリビア(雑学・知識)”を視聴者からの一般公募によりトリビアプレゼンターを務める高橋と八嶋がVTRにて紹介し、品評会会長のタモリを筆頭にゲストが品評していく。「当時まだ学生だった安藤美姫選手が“フィギュアスケート選手は目が回らない”というトリビアに挑戦させられていて、可愛いと思った」(40代、男性)8位『どうーなってるの?!』(フジテレビ系:平日9時55分から※10時半からの時期も)’93年~’01年64票出演者:小倉智昭、中村江里子ほか(前番組の『ジョーダンじゃない!?』(’92年~’93年)、後番組の『こたえてちょーだい!』も含む)主婦目線で毎日テーマを掲げ、そのテーマに沿った内容を視聴者から募集し、再現VTRを紹介した。この番組から“再現女優”が有名に。また、番組の後半11時ごろから始まる『夕食ばんざい』(出演:結城貢、佐藤里佳)も結城先生の辛口発言が人気に。「小倉さんの下世話な感じや、当時フジアナだった中村江里子さんの世間知らずな感じがはまっていた」(50代、女性)9位『トゥナイト2』(テレビ朝日系:月曜〜木曜夜11時55分から)’94年~’02年56票出演者:石川次郎、斎藤陽子、乱一世、山本晋也ほかレポーター陣がお色気系の企画を中心にレポート。時には社会派な企画も取り上げた情報番組。レポーター陣の中には国会議員の青木愛も“愛ちゃん”として親しまれていた。乱一世が「トイレはCM中に」と発言したことでスポンサーが激怒するという出来事も有名。「フー、フウフッフー、という番組のテーマソングをもう一度聞きたい」(50代、男性)、「山本監督のラブホテルめぐりが好きでした」(40代、女性)、「『ワンダフル』(TBS系)とよくザッピングしてた」(40代、男性)10位『ギルガメッシュないと』(テレビ東京系)’91年~’98年49票出演者:岩本恭生、細川ふみえ、飯島愛、イジリー岡田ほか“男も楽しめる、女の子のためのエッチ番組”というコンセプトのもとに番組スタート。飯島愛が発掘され、セクシー女優の登竜門的な番組に。平成最後のお色気番組としても有名。「ギルガーメッシュ、という言葉をよくまねしていたけど、いまだに意味がわからない」(40代、男性)、「当時学生だったから見ちゃいけないような気がして大人になった今ちゃんと見たい」(40代、男性)※『Freeasy』にて、’22年2月27日から3月2日に調査実施集計対象者全国30〜60代の男女1200人上位10番組を抽出しています。この春終了する主な番組NHK『ガッテン!』(ためしてガッテン)(’95年~)出演:立川志の輔、小野文惠日本テレビ『今夜くらべてみました』 (’12年~毎週水曜日)出演:徳井義実、後藤輝基、SHELLY、指原莉乃『人生が変わる1分間の深イイ話』 (’08年~毎週月曜21時から)出演:羽鳥慎一、今田耕司※もともとは島田紳助フジテレビ『アウト×デラックス』 (毎週木曜23時から)出演:マツコデラックス、矢部浩之(ナインティナイン)ほか『バイキングMORE』(バイキング) (’14年~:毎週月曜〜金曜11時55分から)出演:坂上忍、ヒロミほかテレビ朝日『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』 (’95年~:毎週月曜〜金曜)出演:上沼恵美子
2022年03月14日『世界の果てまでイッテQ!』MCの内村光良と『ポツンと一軒家』MCの所ジョージ大河ドラマなどが放送される激戦区『日曜8時』の枠で、高視聴率を叩き出していた2番組が失速している。「コロナ禍前は視聴率20%をマークすることも多かった日テレ系『世界の果てまでイッテQ!』とテレ朝系『ポツンと一軒家』の視聴率が、全盛期から10%近く落ちているんですよ。『イッテQ!』は今年の正月特番でも9・6%と2ケタに届かず、同時間帯で4位と惨敗してしまい、テレビ業界では衝撃が走りました」(テレビ誌編集者)2番組の魅力とは?日本テレビの視聴率三冠王にも貢献してきた『イッテQ!』の失速の背景には、新型コロナウイルスの感染拡大が大きく関係している。「同番組の売りは“世界の果てまで”行くスケール感の大きいロケ企画でした。しかし海外ロケが難しくなり、業界でも同情の声が上がっています」(テレビ局関係者)『ポツンと一軒家』に関しては、コロナ禍前からロケは国内限定だったが……。「『人生で大事なことは○○から学んだ』の1コーナーから派生して生まれた番組ですが、業界では“こんなニッチな企画で高視聴率を取るとは!”と絶賛されていました。ただ、辺鄙な場所に住む方はメディア出演を嫌がるケースも多く、“撮影許可が下りるだけありがたい”状態で、最近は面白い住民を探すのに苦労しているそうです」(制作会社関係者)テレビ事情に詳しいコラムニストのペリー荻野さんは、2番組の魅力をこう語る。「『イッテQ!』は『電波少年』など、日テレ得意の悪ノリをよい意味で引き継いでいますよね。イモトアヤコさんをブレイクさせた『珍獣ハンター』など、面白いものを作るためには何でもやろうという勢いがあります。『ポツンと~』は、こんな不便な場所に住んでいる住民はどんな人なんだろう?という視聴者の好奇心を掻き立てるコンセプトや、作りものでは描けない人間ドラマが魅力ですね」お笑い評論家の江戸川大学西条昇教授は、『イッテQ!』が失速した理由を「新スターの不在」と語る。「オセロの中島知子さんやベッキーさん、手越祐也さんがそれぞれの事情で番組から卒業。番組発のスターであるイモトアヤコさんも昨年11月に産休に入ってしまいました。コロナ禍でロケに制限が生じたこともありますが、番組を盛り上げたメンバーたちに代わるスターや人気企画が出てきていないのは痛いですよね」コロナ禍とコンプライアンス問題が『ポツンと~』に関しては、「安定期に入っただけ」と前出のペリーさんはこう続ける。「ひとつひとつの人間ドラマは違いますが、“本当に人が住んでいるの?”と山道を登っていき、“本当に住んでいた!”という流れは、フォーマット化してきていますよね。テレビ朝日は『相棒』など安定して数字を取れるドラマをシリーズ化するのもうまいですし、『ポツンと~』に関しても、“よいマンネリ化”の時期に入ったということだと思います。何だかんだ言って、激戦区である日曜8時で、2ケタの視聴率をキープしているのはすごいことですから」前出の西条さんは、2番組の視聴率低下の背景に「裏番組や新メディアの台頭」があると分析する。「現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、三谷幸喜さんのコメディータッチの脚本や若い世代に人気の役者陣などが、13歳から49歳の視聴者を指す“コア層”にもウケています。放送後は、SNSでも大河に関するワードが毎週トレンド入りしていますしね。またコロナ禍以降、中高齢者にもNetflixやYouTubeなどの動画配信サービスが定着したので、これまで2番組を視聴していた層が、少しずついろんなメディアに流れているのでは」コロナ禍に加え、昨今のコンプライアンスの強化の影響があるとの声も。「『イッテQ!』は宮川大輔さんが世界各国のお祭りに参加する人気企画『お祭り男』にヤラセ疑惑報道が出て、1年以上も同企画の放送を自粛していました。コンプラが緩い時代であれば、ヤラセ疑惑を逆手にとったようなパロディーなどもできたと思いますが、今の時代は無理。『ポツンと~』も、昔であれば、エピソードを面白おかしく“演出”できましたが、過度な演出をして発覚すると、大問題になってしまうため、どうしても地味な回も出てきてしまう」(前出・制作会社関係者)各局が力を入れる『日曜8時』枠視聴率急落の原因となった裏番組や新メディアの台頭、コンプラ強化などの立ちふさがる障害。しかし『イッテQ!』に関しては、コロナの収束後に復活が期待できそうだ。「イモトさんやみやぞんさんなど、ネタ番組や賞レースではチャンスをつかめなかったようなタイプを発掘して、育てるのがうまいですからね。コロナが収束すれば、“第2のイモトオーディション”など、新展開を仕掛けてくると思いますし、同番組ならヒット企画を必ず生み出してくれると思います」(ペリーさん)西条さんも今後にこう期待を寄せる。「苦戦の理由となっている、海外ロケが再開できれば復活は期待できます。『ポツンと~』に関しては番組名がコンセプトになっているので大幅なテコ入れは難しく、今後は今の安定した視聴率をいかにキープしていくかという方向になるのでは」在宅率の高い『日曜8時』は、テレビ業界を盛り上げる鍵になると、前出のテレビ局関係者は語る。「昭和の時代にはTBS系『8時だョ!全員集合』とフジ系の『オレたちひょうきん族』が“土曜8時”枠でしのぎを削り、ブームを巻き起こしてきました。民放では『イッテQ!』の一人勝ち状態だった“日曜8時”枠で、『ポツンと~』が逆転する健闘を見せたことで、TBSは今年の正月特番で『イッテQ!』など人気番組を抑えて、同時間帯トップに輝いた『バナナマンのせっかくグルメ!!』を放送するなど、各局とも同時間帯に力を入れた番組を放送しています」前出の西条さんも今後の“日曜8時”にこう期待する。「数年前までは中高年の視聴者を意識した番組ばかりでしたが、最近は各局若い視聴者を狙った“コア視聴率”対策で、いろいろ試している印象です。フジテレビも’90年代には『ダウンタウンのごっつええ感じ』などお笑い色の強いバラエティーも放送していましたし、他局からも人気番組が出てくるかもしれません」日曜日の夜に起きていた異変が、テレビ業界が盛り返すきっかけになるかも?ペリー荻野時代劇研究家、コラムニスト、ラジオパーソナリティー、放送作家。愛知教育大学在学中に中部日本放送でラジオパーソナリティー兼放送作家として活動を開始西条昇江戸川大学教授。『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』(TBS系)など放送作家として活躍。お笑い雑誌監修を手がけたほか、お笑い評論家として活動
2022年03月13日『SASUKE』ホームページより抜粋。有名芸能人たちも出場する今年も12月28日に放送が決定した究極のサバイバルアタック『SASUKE』(TBS系)。’97年に『筋肉番付』のスペシャル企画としてスタートし、今ではすっかり“年末の風物詩”として定着した。「さまざまな障害物が設置された4つのステージを完全制覇すると、優勝賞金200万円がもらえるというもの。毎回100人が挑戦するスポーツエンターテイメント番組です」(テレビ誌記者)番組開始から20年以上、多くの人を引きつける魅力を探るべく、過去に出場した人や関係者たちに話を聞いた。■「人生でいちばん緊張した」‘18年放送の第36回大会に出場した人気ボートレーサーの下條雄太郎。ファン投票で選出される『SGボートレースオールスター』に6回出場。人気と実力を兼ね備えた長崎を代表するトップレーサーながら、番組には一般応募で参加したという。「30歳手前で体力が衰えないよう本格的に筋トレを始めたのですが、トレーニングをするなら明確な目標があったほうがモチベーションになるなと。そこで、小さなころから好きだった『SASUKE』への出場を目指すことにしました」運よく1回目の応募で本選に進めた下條。その理由については、番組のコンセプト“100人100職種の名もなき男たちのオリンピック”にあると分析する。「僕が参加したときは書類選考の後、横浜の緑山スタジオと大阪の2か所で地区予選が行われましたが、警察官や消防士、ガテン系の方が多かったですね。基本的には同じ職種の方は1人しか出さない方針なので、そういう方たちはまず同じ職業内で勝ち抜かないといかない。ボートレーサーで地区予選に来ているのは僕1人だったので、オーディションに合格しやすかったんだと思います」簡易版のクワッドステップと太鼓に合わせて行う100回の腕立て伏せの体力審査を無事にクリア。その後に行われた集団面接も見事にパスし、本選に進出。多くのビッグレースを経験してきた下條だが、「人生でいちばん緊張したかもしれません」と当日を振り返る。「ボートレースは6人で戦う競技なので、僕1人に全員の視線が集まることはありません。それにレースは最初でミスをしても何度か挽回できるチャンスはありますが、『SASUKE』は1度ミスした時点で終了。緊張感がハンパなかったですね。SG(ボートレースの最高峰のレース)の優勝戦よりも緊張しました」残念ながらファーストステージの5つ目のエリア『ドラゴングライダー』で脱落。その後は本業のスケジュールもあり応募はしていないというが、再挑戦を目指し400万円をかけてパーソナルトレーニングジムの器具をそろえたという。「ボートレースのパフォーマンス向上がいちばんの理由ですが、また『SASUKE』に出られたときのために、サードステージにあるクリフハンガー(3センチの突起にぶら下がりながら移動するエリア)は作りました(笑)。本格的に筋トレを始めてからは身体の故障もなくなりましたし、本業のボートにもいい効果が出ていると思います」■出場者が語る“魔城ぶり”一般出場者はノーギャラなのに加えて地区予選、本選含めて交通費も自己負担。それなのに、トレーニング器具などへの投資をしてまで出場したい理由を聞くと、笑顔でこう答える。「子どものころに遊んだアスレチックの延長線上にある競技なので、童心に帰ることができるんですよね。そして1つ1つは簡単そうに見えるけど、すべてをクリアするのは難しい。『筋肉番付』のモンスターボックス(とび箱)などは特殊なトレーニングを積んだ人でないとクリアできないけど、『SASUKE』の場合は頑張ればプロのアスリートでなくてもクリアできるかもと思わせる絶妙さがあります。そんなところが“SASUKE沼”にハマる理由だと思います」同じく、過去に出場経験のあるタレント・Aさんにも話を聞いた。「僕は運よく2度目で合格することができましたが、タレント枠でオーディションを受けた人でも何回受けたかわからない……というほど、落ち続けている方もたくさんいましたね。旬なタレントの方はわかりませんが、基本的には知名度よりも身体能力の高さで出場者を選んでいると聞きました」オーディション合格後は仕事の合間を縫って筋力トレーニングなどを行ったほか、過去の放送を見てイメージトレーニングに1時間以上費やすなど研究を重ねたというAさん。それでもファーストステージで脱落してしまったという。「運動ができる人であれば、何でファーストステージもクリアできないの?と不思議に思うかもしれませんが、“目に見えない罠”がたくさん仕掛けられている魔城でした。『SASUKE』は実際に体験しないとわからない難しさがあるので、どんなにすごいアスリートの方でも初挑戦で完全制覇するのはほぼ不可能だと思います。持ち前のフィジカルだけではクリアできないことがわかりましたね」再挑戦を目指し、現在もトレーニングを続けているAさん。下條同様、“SASUKE沼”にハマる理由をこう語る。「SASUKEのようなすごいセットを見ると、みんな“少年時代”に戻って無邪気になるんでしょうね。先日、ZOZO創業者の前澤友作さんが宇宙に行きましたが、『SASUKE』への挑戦はあれに近い感覚だと思います。可能性はゼロではない。いつか完全制覇という夢が叶えられるかも……と思わせてくれる魅力があるんです」■「日本でいちばん純粋な番組」今年の放送ではフワちゃんや人気ユーチューバーのHIKAKIN、『Snow Man』の岩本照など有名タレントも出演。過去に所属タレントが出演した芸能プロ関係者によると「有名人枠だとギャラが出る」のだそう。「通常のギャラよりは安いですね。でも出演するタレントは“ノーギャラでも出たい”という人ばかりなので、ギャラの金額を気にする人はいないと思います。一般参加者と同じように事前に体力テストが行われます」ジャニーズ所属の人気アイドルなども出演するが、一般参加者・有名タレントに関わらず、放送される時間は結果がすべて。「出演する際に“ファーストステージで脱落した場合は全カットの可能性もあります”と言われました。実際、うちのタレントは早い段階で脱落したのでナレーションベースで処理され、数秒ほどしか放送されませんでしたね(苦笑)。現場ではジャニーズの方や人気芸人でも1人のチャレンジャー扱い。A.B.C-Zの塚田僚一さんはマネージャーをつけずに一般参加者の挑戦を見学したり、意見交換をしていたのが印象的でした」(同・芸能プロ関係者)これまで多くの番組の収録に立ち会ってきたというが、「日本でいちばん純粋な番組では」と絶賛する。「収録現場では有名タレントよりも、番組のレジェンドたちのほうがスター扱い(笑)。一般参加者もタレントも関係なく、お互いアドバイスをしあっていますし、すごいパフォーマンスをした人にはみんなが拍手を送る。『SASUKE』をクリアするという1つの目標に向かって、性別や職種に関係なくみんなが真剣に取り組んでいます。素晴らしい番組を作りたいというスタッフの熱意を含めて、日本一純粋な番組だと思います」(同・芸能プロ関係者)今年も“名もなきアスリートたち”が、年末の日本を熱くする――。
2021年12月28日森口博子(左)と井森美幸(右)現在53歳。ともに’80年代半ばに歌手としてデビューし、今なお輝き、愛され続ける井森美幸と森口博子。時代とともにテレビ番組のメンツが入れ替わっていく中で、2人はいつまでも古くささを感じさせない。そんな彼女たちの魅力について、ライター・てれびのスキマさんが解説する。■“伝説”の井森ダンス「弊社と致しましてはあのVTRは、すごい大事な重要なコンテンツだと考えておりますので、一旦あのVTRはぜひちょっとみなさんには一度忘れていただければ幸いかと思っております」2015年4月29日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS)で、もはや“伝説”となっている井森美幸のホリプロスカウトキャラバン・オーディションでのダンス、通称「井森ダンス」が“封印”されているという噂の真相が事務所のマネージャーから語られた。そう、井森ダンスは封印されたのだ。今年放送された『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジテレビ)に井森が出演した際もこのダンスの話題になり、「改めて用意しました」とVTRを振ろうとすると「え、え?ちょっと待って!会社がいいって言った?会社が今は寝かせようって言って寝かせてる!」と慌てる井森。結局、VTRが始まると井森の格好をして踊っているのは島田珠代だったが、約7年間、封印されているため、もうひとりのゲストである17歳(当時)の俳優・藤原大祐は「井森ダンス」の存在を知らなかった。時間の流れ、というものを実感する。彼女を形容する「バラドル」という言葉も死語になって久しい。だが、井森美幸や森口博子といった“あの時代”を生きた「バラドル」たちはいまも変わらず元気だ。たとえば『有吉ぃぃeeeee!』(テレビ東京)に「紅一点ゲスト」として井森が出演。有吉と対等にわたりあえる女性ゲストは数少ないため貴重な存在だ。彼女は『桃太郎電鉄』に挑戦。操作方法すらおぼつかず、ゲーム知識も乏しい井森は、序盤からずっと貧乏神に取り憑かれ、可哀想なほど散々な仕打ちを受け続け、ダントツ最下位。他のメンバーからいいようにカモにされ、さらに貧乏神が「キングボンビー」にもなる不運が続く。やがて、貧乏神が2倍のお金でカードを勝手に買ってくる余計なお世話なことをするも、その結果「銀河鉄道カード」という超レアカードを手に入れる。井森はわけもわからないまま高額のプラス駅に止まり続け、一気に形勢逆転。そのまま、まさかの大大大逆転優勝を果たし、その類まれな強運で盛り上がりに一役買った。井森美幸は、アイドル全盛の’80年代半ば、「井森美幸16歳、まだ誰のものでもありません」という秀逸なキャッチコピーでデビューしたが、アイドル歌手としては鳴かず飛ばず。山瀬まみの後を追うようにバラエティーに活路を見出していった。井森がそれを実感していったのは「マイク」の種類によってだった。アイドルの仕事は歌うからハンドマイクが多い。だが、バラエティーになるとピンマイクになるのだ。「ハンドマイクの仕事、今月は4本か……」などと思い悩んでいたが、いつしかピンマイクをつけながら、「ああ、私はこれで生きていくんだ」と決心した。その芸風は、『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』(フジテレビ)で梅小鉢・高田が井森をモノマネした際のタイトルが端的に示している。「生放送終了まで残りわずか5秒にかかわらずしっかり爪痕を残す井森美幸」その場その場の最適解を常に叩き出している。マツコ・デラックスは事あるごとに彼女たちを評価しているひとりだ。たとえば山瀬まみが聞き手のラジオ番組に出演した際はこのように語っている。「アタシね、ピンクの河童の山瀬さんを見るたびに凄いなって思うの。あと、井森さんのモンダミンね。やっぱり続けるって大事よっていうね。今いる場所で精一杯のことをすればいいのよ。そしたらまた、それを見てたどなたかが、こういう流れもありますよって導いてくれたりするから。決めるのを否定はしないわよ。こうありたい、こうなりたいっていって、それに向かって努力するのもひとつのやり方だと思うけど、意外と流れに任せて、差し出された手に身を委ねるっていうのも意外とうまくいく」(『らじおと』’18年3月2日)その言葉どおり井森は「そんなに自分ができるやつだって思うのやめようと思った」と語っている。「確かに、自分で前の日シミュレーションするけど、全然できなかったって、あるわけ。でも、結局あの場に行ったら、あの日できたことはあれが最高だったんだ、おやすみなさい。そうやって寝るようにしてる」(『ボクらの時代』’19年6月16日)自分がその場でできることだけを一生懸命にやる。それをひたすら続けるだけだ。すると自分でも気づいていない自分の魅力が溢れ出てくるのだ。人は時にそれを「運」と呼ぶ。運は待っているだけではやってこない。自分で引き寄せるものなのだ。彼女は菊地亜美に「むやみやたらにMC目指すな」「私は一回も目指したことない」とアドバイスしたという。地に足がついている。いや、地に足つけざるを得ない道を歩み続けてきた。だからこそ、絶大な信頼を得ているのだ。■夢を現実にしてきた森口博子一方、森口博子に対してはマツコは「森口博子さんって聞くだけでなんかほっこりする」と語っている。それに対し「ほっこりするし、ちょっと寂しいよね」と有吉弘行が補足するとマツコは続けて言う。「でもその寂しさっていうのが、私に生きる勇気を与えてくれるのよ」(『怒り新党』’14年6月18日)デビュー曲である『機動戦士Ζガンダム』のOP曲「水の星へ愛をこめて」はスマッシュヒットを記録するもその後は鳴かず飛ばず。事務所からは「才能がないから福岡へ帰れ」とまで言われた。けれど、森口は諦めなかった。「なんでもやります」と言うと、顔と名前を売るためにバラエティー番組に進出。『鶴ちゃんのプッツン5』(日本テレビ)で「オスのロバを口説け」というムチャブリにも「ロバリン」と耳に息を吹きかける機転を見せ、一気に「バラドル」としての才能を開花させた。’90年代初頭にはレギュラー12本、毎日レギュラー番組が放送されるという絶頂期を迎えた。けれど、森口の夢はあくまでも歌手だった。その思いが届いたのか、23歳のとき『ガンダムF91』の主題歌を歌いオリコンチャートベスト10入り。以降『紅白歌合戦』(NHK)に6年連続出場を果たすこととなった。その後も『ガンダム』シリーズの歌を歌い続け「ガンダムの女神」と呼ばれるようになった。「4歳のときも、『歌手になりたい』じゃなくて、『絶対なる』って決めてたので、そうやって思っていた仕事は全部現実になってきているんです」(「LINE BLOG」’16年11月19日)森口にとって「夢」とは、願うことではなく、決めることなのだ。「生涯、発展途上の現役でありたい」(「Real Sound」’19年8月23日)とその不屈の精神は50歳を超えても衰えることを知らない。「日常に欠かせないのは、喉のためにマスクと、エゴサと。私にとってマスクとエゴサはブラジャーの感覚です」(『サワコの朝』’18年12月8日)と自らを客観視することも忘れない。森口博子の大ファンだという又吉直樹は彼女の魅力をこう語っている。「明るいだけの人はいっぱいるじゃないですか。暗い人もいるんですけど、明るいけど暗い人のことも置いていかない明るさ。暗い人にも優しい明るさ」(『モシモノふたり』’17年1月18日)がある、と。そんな部分が「勇気を与えてくれる」要因なのだろう。方向性は違えど、ブレずに地に足がついた活動をしている2人。だからこそ、いつの時代も「古さ」を感じさせないに違いない。〈文/てれびのスキマ〉
2021年12月01日亀梨和也《どんな感じになるのか、自分も緊張しながらも楽しみにしています》新たな挑戦に向けて期待を語ったのは、KAT-TUNの亀梨和也。「日本テレビ系で10月からスタートする新番組『一撃解明バラエティひと目でわかる!!』でMCを務めます。放送は毎週火曜夜10時で、9月に終了する『幸せ!ボンビーガール』の後継番組。同番組は放送開始当時、元TOKIOの山口達也さんがMCを務めていましたから、ある意味“ジャニーズ枠”のバトンを受け取ったともいえます」(テレビ誌ライター)新番組ではバイオリニストの高嶋ちさ子、お笑いコンビ・チョコレートプラネットとタッグを組み、“ひと目ナビゲーター”として時には自ら身体を張って写真や映像を撮影。「子どもでも直感的にわかる!」を合言葉に、気になる疑問やニュースを番組タイトルどおり“一撃”で解明していくという。■初のバラエティー司会は成功するのかこれまでドラマを中心に幅広く活躍してきた亀梨だが、バラエティーの司会を務めるのは今回が初めて。そのチャレンジの先に見えるのが、先輩でもある、あの“万能アイドル”の姿だった。「経歴において多くの共通点を持つのが、嵐の櫻井翔さんです。アイドルとしてデビューし、俳優、キャスター、そして番組MCと、亀梨さんにとっては同じ路線をたどってきた“モデル”ですね。ジャニーズとしては、多方面で活躍する櫻井さんのように、亀梨さんにもあらゆる場所で輝くタレントになってほしいという考えがあるのでしょう」(テレビ局関係者)ジャニーズいちの器用さを持つ櫻井を手本に活躍の舞台を広げていきたい亀梨だが、新番組ではどのような姿を見せるのか。コラムニストのペリー荻野さんは、期待を込めつつこう語る。「“ザ・司会”という感じではなく、視聴者目線で一緒に驚いたりリアクションするタイプの司会になると思います。高嶋さんが攻め、チョコプラの2人が受け、亀梨さんがまとめるという形で、安定感のあるトライアングルになるかと。1人がMCとしてどんどん回していくというよりは、それぞれがバランスよく回していけるように考えられた人選ですね」バラエティーのMC初挑戦にしてゴールデン帯の番組となると、ハードルも高くなる。「あえて心配な点をあげるとしたら、おしゃべりな人が前に出ていくときに、亀梨さんはちょっと遠慮してしまうんじゃないかなと。“番組内で自分をどう出すか”というのは、案外難しいと思います。とはいえ、彼の横には高嶋さんとチョコプラという強い味方がいますから、困ったときにはきっと助けてくれるでしょう」(ペリーさん)KAT-TUNとしてデビュー15周年を迎えた今でも挑戦を続ける亀梨。新天地でも“ひと目でわかる”輝きを放てるか。
2021年09月09日長嶋一茂テレビ朝日のバラエティー『ザワつく!金曜日』(金曜午後6時45分)が5月21日の放送で歴代最高となる17・3%の世帯視聴率を記録した(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。同23日に放送された同じテレ朝系の『ポツンと一軒家』と並び、この週(同17日~23日)のバラエティー番組でトップの数字だった。その後も16.2%(28日放送)、16.8%(6月4日放送)と高視聴率が続いている。■目新しさがないのに、なぜウケる?深夜枠での放送開始から2年半。ゴールデンタイムへの昇格からは2年あまりが過ぎたが、これほどまでの成功を予想していた人はいただろうか。言っては悪いが、企画に目新しさはないのである。「工場で作られているモノを当てるクイズ」「全国ご当地カップ麺No.1決定戦」「スズメバチハンター24時」等々、ありがちな企画ばかりなのだ。おまけにMCの石原良純(59)、長嶋一茂(55)、高嶋ちさ子(52)はトークのプロではない。それなのに大ウケしているのは旧来のバラエティーのような予定調和がなく、個性の強い3人が自由気ままに振る舞っているからだろう。3人だけでは収拾がつかなくなるかもしれないが、司会を話芸のプロであるサバンナ・高橋茂雄(45)が務め、きっちり引き締めている。高橋は3人の持ち味を引き出すのもうまい。とはいえ、この番組を成功に導いた立役者は何と言っても一茂だ。お笑い芸人は計算して視聴者を笑わせるが、一茂は自然体なのに見ている人を笑顔にする。たとえば一茂は番組内で「クイズ王」を自称している。おそらく本気でそう思っている。ところが「工場で作られているモノを当てるクイズ」などで見事なまでにハズしまくる。すると、クイズ王を自負しているから、猛烈な勢いで悔しがる。「1から撮り直そう」などとムチャを言い始めることもある。そんな言動を高橋がたしなめると、今度は「高橋、テメー!」と本気で怒る。ここまでカメラの前で自分に正直になれる55歳がいるだろうか。思わず笑ってしまう。最高視聴率をマークした5月21日の放送では、一茂が夫人の手料理の筑前煮がどれかを当てるクイズをやった。夫人、一流料理人、番組スタッフがそれぞれ作った筑前煮の中から、夫人が作ったものを当てるというものだった。クイズに入る前の一茂は「ママの料理の中で一番おいしい」「ハズしたら(放送後に)どこで寝るのよ」などと余裕たっぷり。ところが、あっさりハズす。番組スタッフが作った筑前煮を選んでしまう。すると顔色を変え、いたずらがバレたときの子どものような情けない表情を浮かべた。ここまで邪気が感じられない55歳を画面で見ることもない。やはり笑ってしまう。番組内で一番話すのは一茂だ。6月5日放送の同局『徹子の部屋45周年スペシャル』(テレビ朝日系)で、ちさ子が語ったところによると、一茂が8、良純が2、ちさ子が1の割合で話す。しかし、これでは合計11。計算が合わない。それを良純が指摘すると、ちさ子は「(一茂から)バカがうつった!」と無茶苦茶な言い訳をした。ちさ子は一茂を舐めきっているのだ。ちなみに彼ら3人とさんまが出演した『徹子の部屋45周年スペシャル』も14.2%という高視聴率を記録した。■政権批判も厭わないもっとも一茂はタダ者ではない。それは金曜日のコメンテーターを務めている『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)のコメントを聞いていると、よく分かる。たとえば、ほかの芸能人コメンテーターなら嫌がる政治の問題もズバズバ発言する。印象深いのは森田健作・前千葉県知事(71)が、2019年9月に同県を台風が直撃した際、公用車で別荘に行っていたと報じられた時の発言である。会見で森田氏が「公用車から自分の車に乗り換え、視察していた」などと苦しい釈明をしたのに対し、一茂は「不謹慎かもしれないけど、会見を見て笑ってしまったね」とバッサリ。さらに「この方はトップとして適任なのか」などと容赦なく非難した。政権批判も厭わない。見ていてハラハラするほど。『モーニングショー』でも自然体であり、計算がないのだ。「(他人から)どう思われたっていい」(『家庭画報』2020年1月号より)日本は苦労人ばかりを讃える風潮が強いものの、一茂の場合は何不自由なく育ったからこそ、忖度しない人格が作り上げられたのだろう。好感度を得ようと視聴者に媚びを売る芸能人や上司にへつらうサラリーマンとは大違い。視聴者側としては新鮮だし痛快だ。一茂は格好を付けることもない。5月28日の『モーニングショー』で安さを売り物にする通信販売の危険性が特集されると、自らの失敗談を話し始め、警鐘を鳴らした。「僕も大学のとき、歌舞伎町で『飲み放題、遊び放題で2500円ポッキリ』という呼び込みに騙されたことがあります…おいしい話はないと思ったほうがいいです」ここまでリアルで説得力のある話をするコメンテーターはほかに知らない。奔放な発言を繰り返すと、敵を作りやすいが、一茂を嫌う声はまず聞かない。ミスタージャイアンツこと父親の長嶋茂雄氏(85)から、人に愛されるDNAを受け継いだのだ。プロ野球ファンの中には一茂が偉大な父親の野球的素質のすべてを受け継がなかったことを嘆く声があるものの、何をやっても愛されてしまう才能はしっかりと継承したのである。かつて茂雄氏は記者から「好きな番号は何ですか?」と問われた際、「ラッキーセブンの3」と、平然と答えた。どこか一茂のおおらかさと通じる。一茂の芸能界でのここまでの成功を予想していた人はいただろうか。もっとも、育った環境とDNAを考えると、不思議なことではない。高堀冬彦(放送コラムニスト、ジャーナリスト)1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立
2021年06月11日GLAY「GLAYパッケージで売ったら売れそうですよね。売っていいっすよ、全然」8日(火)に放送された『相席食堂』の2度目となるゴールデンSP『千鳥の相席食堂 ゴールデンスペシャルAiseki Music Fes 2021』(ABCテレビ・テレビ朝日系)。この日の“旅人”は全員がミュージシャン。そんななか、まさかの人選で登場したのはGLAYのHISASHI。冒頭の発言は、HISASHIが、旅人として滋賀県甲賀市のとあるお茶屋を訪れ、“GLAYをイメージしたお茶”を茶師に作ってもらったときのものだ。「売っていいっすよ」とはなんとも粋な対応だが、GLAYは20万人ライブを成功させるなど、一世を風靡したビッグバンド。そこはただの冗談……という空気で放送は終わったが、冗談では終わらず、本当にお茶の販売が実現していた!番組内で宣伝されることはなかったが、その情報がSNSで拡散されると、即完売。ファンや視聴者からは「本当に売ってるなんて」「買えなかった」という声が相次いだ。どのような反響があったのか。煎茶を販売した丸安茶業に聞いた。■たった15分で完売の大反響「放送中から反響があり、用意していた分は15分で完売、その後、7月製造分を追加で販売しましたが、こちらも1時間もたたないうちに売り切れになってしまいました」そう話すのは、HISASHIが訪れた丸安茶業で、番組内で実際にお茶を作っていた5代目茶師・前野安治さん。HISASHIからは、「ハードな曲もJ-POPも好きで相反する2つの面を表現できる」というGLAYの名の由来の一説から、“甘めだけど渋みもあるお茶を作って欲しい”とのリクエストが。独自の配分で茶葉をブレンドして作られたオリジナルの煎茶は、 ’96年にリリースされたGLAYの名曲から、その名も『グロリアス』と命名された。「売ってもいいと言ってもらったとはいえ、番組内では冗談半分みたいな感じだったので、みなさん、本当にグロリアスが売っているとは思わなかったみたいです。そのあと、改めて許可を得たのですが、快く許可をいただき、販売に至りました。僕の先輩とかはGLAYさんどハマり世代。反響あるんじゃない?とは言われていましたが、思っていた以上でとても驚きました」千鳥も「ロケめちゃくちゃうまいやん」と思わずツッコんでしまうほどのスムーズな進行で、放送後には「HISASHI」「グロリアス」がトレンド入りを果たした。■すべて完売、再販予定は?番組内でお茶を実際に飲んだHISASHIは、「美味しい!これからずっとこれでいいな、俺」と絶賛。事前にGLAYをイメージして、何度も試作を繰り返していたのかと思いきや、こんな回答が。「実は当日まで僕もどなたがいらっしゃるのか知らなくて。本当にあの場の流れでHISASHIさんのリクエストを聞いて、できたお茶なんです。オリジナルでお茶を作らせていただくのは私たち茶師の仕事の一環なので慣れてはいるのですが、イメージを聞いて作るのってなかなか難しい。でもすごくいいものができて、HISASHIさんにも喜んでいただけたのでよかったです」使用したお茶の原料は近江茶「玉露」と「煎茶」でランクは特級。滋賀県のお茶のわずか0.005%しか製造できない貴重な限定品で、値段は50g、3000円となっている。「生産量の少ない貴重なお茶を使っているので、数にどうしても限りがでてしまって。ファンの方からはゆっくりでもいいから再販をお願いしたいとの声をいただいています」再販の予定を聞いてみると、「8月製造分の販売を、6月13日にする予定です。それで今年分の“グロリアス”は終了です。もし売り切れてしまったら、また来年に期待していただければと思います」とのこと。そんな前野さん、大きな反響とともに、ファンからの温かいメッセージにも驚いたという。「ファンの方がみんな優しくて、僕の身体のことまで心配してくれるんです。インスタやメールで励ましのお言葉もたくさんいただいています。ファンの方や買いたいと言ってくださる方にもご迷惑をおかけしないように頑張りたいです」GLAYはメンバー同士仲がよく、とにかく“優しい”というのはファンの間でも有名な話。その“優しさ”をファンはしっかりと受け継いでいるのかもしれない。最後に、前野さんがおすすめの飲み方を教えてくれた。「氷出しで飲んでいただきたいです。氷出しってまだ浸透していないイメージがありますが、HISASHIさんも氷出しが1番わかりやすくて美味しいとおっしゃっていたので、ぜひ試していただければ」30〜50代のGLAY世代なら誰しもが口ずさめる“グロリアス”。いったい、どんな味がするのだろうか。一度、飲んでみたいものだ。
2021年06月10日(左から)『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』MCの中居正広、『全力!脱力タイムズ』MCの有田哲平スキャンダルは怖い。どんな芸能人も、ほとぼりが冷めるのを待ちたいわけだが、どこかのタイミングで復帰しなくてはならない。そんなとき、紙媒体なら『婦人公論』あたりがよく使われる。芸能人はもとより、STAP細胞騒動の小保方晴子さんもそうだった。瀬戸内寂聴という援軍も頼みつつ、グラビアまで披露していたものだ。■スキャンダルからの復帰にバラエティー番組テレビにおいて、この『婦人公論』的な存在といえるのが「金スマ」こと『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)だ。’16年に「ゲス不倫」で活動を自粛したベッキーも、この番組で復帰した。彼女自身がこの番組のレギュラーだったというのもあるが、スキャンダル救済MCとしての中居が誰よりも信頼できたからだろう。たとえば、ローラが父親の不祥事を報じられた際、中居は『笑っていいとも!』(フジテレビ系)でいきなり「元気?」と声をかけ、場を一気になごませたことがある。そんな天才的気配りと進行の能力に、ベッキーは賭けたのだ。中居は基本的には優しく接しながらも「罪」とか「裏切り」といった言葉を使って不倫発覚以来の曖昧な態度を問いただした。これにより、彼女は、「1月に行った記者会見はたくさんの間違いがありました。言葉を届けるお仕事をしているにも関わらず、事実と違うことをお伝えしてしまって、本当に深く反省しています」と、釈明。なんとか、復帰を果たせたわけだ。とはいえ、この手のシリアス路線には限界もある。中居は冗談をまじえるのも得意だが、多くの視聴者にとって、ベッキーの不倫は笑えるものではなかったからだ。■笑いに長けたMCが救済の手そこで、注目したいのがコミカル路線の救済バラエティー。その代表が大晦日恒例の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』絶対に笑ってはいけないシリーズ(日本テレビ系)だ。’19年には、ともに不倫で話題になった原田龍二と袴田吉彦がハダカ芸を披露。年の最後にイケメン俳優が裸になって笑いを提供するというのは、みそぎとしてよくできている。視聴者も「笑って許して」やろうという気分になりやすいのだろう。ただし、この番組は年1回しかないし、徐々に効力も薄れてきたのか、昨年「多目的トイレ不倫」で叩かれたアンジャッシュ・渡部建には効かなかった。出演の噂が流れた途端、批判の声があがり、復帰が立ち消えになったのは記憶に新しい。それでも、ダウンタウンの威光は絶大だ。NHK時代のセクハラを報じられた登坂淳一は『ワイドナショー』(フジテレビ系)で松本人志に突っ込まれることで持ち直したし、飲酒トラブルを松本にいじってもらった前園真聖はいま、この番組のレギュラーだったりする。不倫が発覚したばかりのコブクロ・黒田俊介にしても『HEY×HEY×HEY』(フジテレビ系)が毎週放送されていた時代なら、なんらかのフォローが得られたかもしれない。そんなコミカル路線の救済バラエティーには『有吉反省会』(日本テレビ系)や『アウト×デラックス』『全力!脱力タイムズ』(ともにフジテレビ系)といったものも。それぞれ、有吉弘行やマツコ・デラックス、有田哲平(くりぃむしちゅー)が達者なトークでスキャンダルを混ぜっ返し「人生いろいろ」的な空気をかもしだしてくれる。なかでも、ひときわ異彩を放っているのが『全力!脱力タイムズ』だろう。もともと、ニュース番組のフェイクというコンセプトで、虚実がないまぜとなった笑いが売り。ゲストにはドッキリ的ないじりが待ち受けている。そこであたふたとする姿が意外とにくめないものに映れば、しめたものだ。’18年には、矢口真里がアイドルの説明について間違いを指摘するという役割を担わされていた。「清潔感に溢れみんな大好き! テレビに出ずっぱりの矢口真里」という説明に、「いやぁ、もうね、不潔ですよね。清潔感なんて、一切ない。だいたい、嫌われてる。テレビはちょいちょい、ネットがメインです」と、自虐的なことを言わされ、笑いを生んでいたものだ。いわゆる「クローゼット不倫」のあと『ミヤネ屋』(日本テレビ系)の単独インタビューでの復帰を選んだ矢口だが、評判はいまいちだった。そんなシリアス路線より、コミカル路線のほうが合っているのではないか。■復活に一役買う『全力!脱力タイムズ』また『脱力』では一昨年、歴史的な復活劇も生まれた。アンタッチャブルの山崎弘也と柴田英嗣が10年ぶりに漫才をしたのだ。柴田が女性トラブルに見舞われて以来、別々に活動してきたが、山崎がコンビ復活を有田に相談。有田が「脱力」での復活を勧めたという。その理由は「うちの番組だったら伏線がある」というもの。じつはこれまでにも、柴田がゲストだったときに「アンタッチャブル復活」と思わせておいて、バービーやハリウッドザコシショウ、コウメ太夫が相方として出てくるというドッキリが行われてきた。また、狩野英孝のゲスト回では、まさかの加藤紗里登場かと見せかけて、柴田が登場したこともある。柴田の元妻がファンキー加藤と不倫していたことに引っ掛けた「加藤さん」つながりのドッキリだ。自分もドッキリに借り出されたことのある柴田は、フェイクだらけのこの番組でコンビ復活が実現するとは夢にも思わない。実際、この日もまずは小手伸也が登場。いつものパターンを装いつつ、本物が出てきたから、柴田はのけぞり、倒れこむほどの驚きを見せた。その「やらせ」ではない緊張感がふたりのテンションを高め、視聴者はそこにひきこまれたのである。ふたりの漫才は、キレも呼吸も、10年前と変わらない見事なものだった。ちなみに、番組では情報が漏れないよう、有田と山崎、小手以外の出演者やスタッフには極秘にされていたという。そんな用意周到さも、サプライズの成功につながった。こうして、スキャンダルはふたりの友情物語として完結し、感動的なエンタメとして受け入れられたわけだ。禍を転じて福と為す、とはまさにこのことだろう。みそぎや救済といっても、そのかたちはさまざま。そこから、笑いや感動が生まれることもある。そんなところに注目して、テレビを見るのも一興だ。PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。
2021年05月21日左からウエンツ瑛士、松本人志、マツコ・デラックス『ダウンタウンなう』『夜の巷を徘徊しない』『アナザースカイ』など、次々と発表される「ロケ番組」の終了or移動。だが一方で新番組も。民放各局のロケ番組に、いま、何が起きている?コラムニスト・テレビ解説者の木村隆志さんが解説する。連日、民放各局で春の改編説明会が行われ、終了する番組、新たにスタートする番組、リニューアルする番組の詳細が次々に報じられている。中でも目立つのは、ロケ番組の苦境。『火曜サプライズ』(日本テレビ系)、『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)、『夜の巷を徘徊しない』(テレビ朝日系)が終了し、『アナザースカイ』(日本テレビ系)は2時間も遅い深夜帯、『噂の!東京マガジン』(TBS系)はBS-TBSに事実上の降格となるなど、ネガティブな状況に追い込まれている。ただ、その一方で新番組の中には、『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(中京テレビ・日本テレビ系)のようなロケのウェートが高いグルメ番組がある。ここまでの報道を見る限り、ロケ番組の終了や移動は「コロナ禍の影響」と言われているが、本当にそれだけが原因なのだろうか。終了・移動する番組と、放送続行する番組や新番組との違いも含め、ロケ番組の現状を掘り下げていく。■コロナ禍は理由の1つに過ぎないまず終了・移動する番組にコロナ禍の影響があったのか?民放各局の改編説明会を見る限り、必ずしもそれだけとは言えない様子が伝わってきた。『ダウンタウンなう』は、「コロナ禍で店に行ってロケをする『本音でハシゴ酒』が難しくなった」と影響の大きさを認めつつ、「代替企画として放送されている『酒のツマミになる話』が好評」「6年間で500組以上のゲストに出演いただき一定の役割を終えた」という総合的な判断であることを強調していた。『夜の巷を徘徊しない』は、コロナ禍でマツコ・デラックスが深夜の街を歩くロケがしづらくなったことで、昨秋に『夜の巷を徘徊する』から番組名を変更。ただ、コロナ禍が「終了のきっかけの1つになったことは事実」としながらも、あくまで「4月改編に伴い総合的に判断した結果」とした。また、日本テレビも『火曜サプライズ』『アナザースカイ』の終了・移動理由にコロナ禍を挙げず、「総合的に判断」とコメントしている。どの番組も、「コロナ禍は理由の1つ」であり、「ほかにも理由はある」というスタンスに過ぎないのだ。これは特に意地を張っているわけではなく、偽らざる本音だろう。実際、『ぴったんこカン・カン』(TBS系)、『バナナマンのせっかくグルメ!!』(TBS系)のようなド真ん中のロケ番組でも続行するように、「やろうと思えばできないことはない」のだ。終了・移動するロケ番組には共通点があり、逆に続行するロケ番組にも放送を続けていく上でのポイントがある。■注目はリポーターの人気とやる気ロケ番組の命運を分ける最大のポイントは、「誰がどういうロケをする番組なのか」。タレントではなく主にスタッフがリポーターとなるロケ番組なら、「現場の人数を最小限にできる」「タレントにリスクを背負わせなくて済む」などの理由から放送のハードルが低くなる。つまり、コロナ禍でもレギュラー放送していく上での支障は少ない。また、タレントがリポーターとなるロケでも、「売れっ子なのか、若手なのか」の違いで放送のハードルは大きく変わる。 「若手に外のロケを担当させて、売れっ子はスタジオで見守る」というタイプの番組ならまだいいが、『ダウンタウンなう』のような大物芸能人がロケに出る番組はもともとハードルが高い企画のため、コロナ禍などのきっかけで「終了しよう」という話になりやすい。そもそもロケをするタレント本人が前向きでなければ、コロナ禍でのロケ番組は成立しないし、売れっ子や大物に無理してロケをさせることは各局にとって得策とは言えない。その意味で、売れっ子芸能人たちがリポーターを務める上に、アポなしロケが売りだった『火曜サプライズ』の放送続行が難しいのは当然だろう。コロナ禍の今、「アポなしロケをやりたい」という人気芸能人はほとんどいないからだ。さらに、ロケ番組が「ファミリー向けか、中高年層向けか」の違いも、終了・移動と続行・新番組の差を分けている。昨春の視聴率調査リニューアルによって民放各局がスポンサー受けのいい10~40代に向けた番組制作を進めはじめた。その点、視聴年齢層が高いと言われる『ダウンタウンなう』『アナザースカイ』『噂の!東京マガジン』は、無理して放送を続ける必然性はない。新たなロケ番組をスタートさせるケースでは、ファミリー向けの内容であることが前提条件となる。コロナ禍で広告収入減に悩まされる中、スポンサー受けのいいファミリー向けの番組なら、多少のリスクを承知で挑戦する価値があるからだ。「コロナ禍のロケ番組というリスクがあっても、ファミリー層の個人視聴率が獲れるのならやろう」が本音ではないか。■店員と客のリスクがあるロケはNGファミリー向けの番組制作を進める上で欠かせないのが、グルメ系の企画。グルメはファミリー最大の共通語として親子視聴をうながすジャンルであり、コロナ禍の真っ最中であるにもかかわらず、『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』がスタートすることからも、それがわかるだろう。また、このところ『ジョブチューン』(TBS系)や『ウワサのお客さま』(フジテレビ系)のようなグルメチェーン店の企画を目玉にした番組が多いことも、グルメ=ファミリー向けの図式を裏づけている。そのほかのポイントとしては、「店員や一般客のリスクが高いロケになっていないか」。『火曜サプライズ』『夜の巷を徘徊しない』のようなタレントと店員や一般客の接触シーンがあるロケ番組は、何かと批判を受けやすい。それを避けるために、お取り寄せ企画やクッキング企画で場をつなぐにしても限界があるだけに、「改編のタイミングで終了させられやすい番組だった」と言えるのではないか。木村隆志(コラムニスト、テレビ解説)ウェブを中心に月30本前後のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。各番組に情報提供を行うほか、取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。
2021年03月15日左から長嶋一茂、石原良純、高嶋ちさ子バラエティー番組の視聴率レースで常にトップ争いに加わっているのがテレビ朝日の『ザワつく!金曜日』(ザワ金)(金曜午後6時45分)。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)、『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)、『笑点』(日本テレビ系)と毎週デッドヒートを演じている。2月第2週(8日~14日)の場合、『笑点』が14・7%でトップで、以下は『イッテQ』と『一軒家』が14・2%、『ザワ金』が14・1%でという結果だった。わずか0・6%内に4番組がひしめき合った(数字は世帯視聴率、ビデオリサーチ調べ、関東地区)。もちろん『ザワ金』がナンバーワンになる週も珍しくない。この番組が長嶋一茂(55)、石原良純(59)、高嶋ちさ子(52)のトークを中心とした内容なのはご存じのとおり。2018年に深夜番組として始まり、昨年10月から現在の放送時間帯になった。3人はトークのプロではない。元プロ野球選手、役者で気象予報士、ヴァイオリニストなのだから。番組側が奇想天外な企画を用意しているわけでもない。それなのに大ウケとはどういうことなのか。■キーパーソンは長嶋一茂それは3人のキャラが格別だからにほかならない。また、3人がトークのプロでない分、それぞれの言葉が新鮮だ。高視聴率の背景には昨年10月以降、放送開始が午後6時45分になったこともあるだろう。数字がグンと伸びた。他局が午後7時から番組を始める中、15分先にスタートしているのは大きい。とはいえ、番組の人気を押し上げたのは何と言っても3人の面白さ。中でも抜きん出ているのは一茂だ。『ザワ金』のキーパーソンに違いない。一茂のタレントしての才能を早くから見抜いていた明石家さんま(65)はさすがである。一茂が巨人を最後に球界から去ったのは1996年。その1年前、さんまは一茂に「やめたらどうするんや?」と尋ねていた。さんまは「やめたら、俺の番組に来いや」と続けた。さんまは一茂が引退すると、実際に『さんまのSUPERからくりTV』(TBS系)など自分の番組に起用した。義理ではない。一茂の面白さが分かっていたからだ。では、一茂の何が面白いのかというと、1つは自分を正直にさらけ出すところ。例えば『ザワ金』のクイズコーナーでは「クイズ王」と自称しているが(本気でそう思っているらしい)、良純とちさ子が簡単に正解した問題をあっさりとハズす。すると、全力で悔しがる。冗談か本気か、一から撮り直しを要求することも。それを進行役のサバンナ高橋茂雄(45)がたしなめると、「高橋、てめー!」と体育会系のノリで怒る。こう書くと、面白いというより、困った人だが、実際に一茂を見ていると、大笑いしてしまう。不快にはならない。惚れ惚れするくらい天真爛漫だからだ。国民的スーパースター、父・長嶋茂雄氏(85)のDNAを強く感じさせる。茂雄氏は「長嶋語」を駆使し、それがファンには魅力の1つ。一例は「魂を込めて打てば、野手の正面をついたゴロでもイレギュラーする」。一方、一茂も独特の論理展開を行う。■評価を気にしないから忖度なし!1月29日放送で、あおり運転が話題になると、「あおる奴らはヨガをやれ!」と強い口調で提言した。見ていて「えっ?」と戸惑ったが、一茂によると「あおる奴らってのは精神的に余裕がなく、不安だから、あおる!」からなんだそうだ。確かにヨガは精神の安定にも役立つとも言われる。とはいえ、あおり運転防止とヨガを一足飛びに結び付けるのは一茂くらいだろう。それを熱弁するのだから、やっぱり面白い。ちさ子は同日放送で一茂に向かってこう言った。「普通なら、ろくでもない息子に育つのに、まともに育ったわねぇ」一茂の立教高校(現立教新座高校)時代、その銀行口座には残高が常に100万円あったと聞かされたからである。残高が減ると、その都度、母親の故・亜希子さんが100万円になるよう補填してくれた。つまり、お小遣いは青天井だったことになる。「おふくろが勝手に振り込んでいた。3か月、4か月家に帰らず、(野球部の)寮だったから」(一茂)それにしたって金額がデカイ。立教大を出るまで「ローン」と「税金」の存在を知らなかったそうだが、それも不思議ではない。茂雄氏のDNAに加え、スーパーお坊ちゃまだった過去が、一茂を並みのタレントとは異次元の存在にしている。その口からは平凡な人間では想像もつかない言葉が飛び出す。だから、引き付けられる。良純もお坊ちゃま。こちらもスーパーと付けて差し障りないだろう。なにしろ父は元東京都知事で作家の石原慎太郎氏(88)。慶応幼稚舎時代は神奈川県逗子市の自宅から東京・恵比寿の学校までタクシーで通っていたというのだから。誘拐などを防ぐためだろうが、逗子から恵比寿まで50キロ以上。並みのお坊ちゃまではマネできない。一茂とは共通点がある。2人とも他人の評価を全く気にしないと公言してはばからないところだ。日本中の誰もが知る著名人の父を持ち、子どものころから他人の視線を浴び、あれこれ言われ続けてきたので、いちいち評価を気にしないようになったのだろう。だから『ザワ金』での2人の発言には忖度が感じられないし、なんでも開けっ放しで話している。ちさ子は俳優の故・高島忠夫さんの姪で父は元キャニオン・レコード取締役の高嶋弘之氏(86)。番組内でのポジションは気丈な末娘といったところで、一茂や良純を「ボケ」などと罵倒する。だが、当の2人はニヤニヤしている。ちさ子の言葉には嫌味が感じられないからだ。番組を長く観ているとわかるが、ちさ子は相手が嫌がることは言わない。信頼関係が出来ている人にしか毒づかない。ちさ子は6歳年上の姉・未知子さんがダウン症ということもあり、共生の大切さを知っているのだろう。3人の組み合わせは50代最強と言って良いはず。『ザワ金』の人気は納得なのだ。高堀冬彦(放送コラムニスト、ジャーナリスト)1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立
2021年02月26日あだ名付けの天才・有吉弘行ここ最近、話題を集めている、小学校など教育現場での“あだ名禁止”問題。いじめにつながるおそれがある、というのが理由らしいが、あだ名やニックネームは、親しみを込めて名付けたり呼んだりする、プラスの要素も大きい。そのため、さまざまなメディアでこの“あだ名禁止”をめぐり、議論が繰り広げられている。■“見た目いじり”で命名された高木ブーところで、芸能界は古くからあだ名やニックネームが当たり前のように使用される世界である。最近でも、みちょぱやフワちゃんなど、ニックネーム的な芸名を使用する人気者も多数いる。今回の話題の発端は、クラスメートなどに、身体的特徴や不名誉なことなど、本人が嫌がるようなあだ名をつけてしまうことがあるという点だが、芸能界にはこういう例は昔から存在する。「高木ブーさんなんかは、ズバリその見た目で、クレージーキャッツのハナ肇さんが命名した、“見た目いじりの代表”のような名前ですし、たけし軍団も、ギリギリのラインの名前をノリでつけられています。ジャニーズのグループ名だって、ジャニーさんから最初に聞かされたとき、戸惑ったというエピソードは結構ありますしね。パワハラにつながる可能性もあるため、本人が嫌がれば無効になるようなことも今後は出てくるのでしょうが、そういう文化です」(芸能記者)「おしゃべりクソ野郎」(品川祐)「クソ煮込みうどん」(狩野英孝)「元気の押し売り」(ベッキー)「月9バカ」(木村拓哉)「昼メガネ」(タモリ)「迫りくる顔面」(高橋英樹)近年のテレビ界でのあだ名といえば、有吉弘行ではないだろうか。彼の再ブレイクのきっかけのひとつになったのが、共演者たちに数々のあだ名をつけていったことだった。「有吉さんの付けるあだ名は、ディスりの領域ではありますが、その人の本質を臆することなく発せられたものなので、多くの人にウケました」(前出・芸能記者)■教育現場であだ名禁止令が出たら…こういったあだ名が面白いとして、そのノリが学校に持ち込まれた場合、たしかに問題が生じる可能性は考えられる。大人の世界と子供の世界では大きな差はあれど、言う側と言われる側の信頼関係が必要だと言うのは、バラエティー番組などを手がけるある放送作家。「いじりやディスを盛り込んで笑いもとるというのは、相当高いセンスが必要です。つける側はもちろんですが、これを受けて返す側にもセンスが必要なんです。あだ名にかかわらず、いじりやディスりを、いじめやパワハラ的に見せないというのは、そこにたくみなセンスと技術があるからなんです」お笑いやバラエティーの世界では、“あだ名禁止”に繋がってしまう身体的特徴などをいじって笑いを取る、“容姿いじり”が問題視されたばかりだ。たんぽぽの川村エミコは、幼少時代に「粘土」というあだ名をつけられた過去をもち、容姿について自虐ネタを披露してきたが『わたしもかわいく生まれたかったな』というエッセイ集を発売している。アジアンの隅田美保は、大御所芸人らから横顔が“靴ベラ”と言われて笑われるのが実は嫌だったと告白したことも。「そこで笑いをとるのは違うんじゃないの、という流れができました。もちろん、自らの容姿をうまく活かして笑いをとる人もたくさんいます。それがいじめやパワハラに感じられるかどうか、行き過ぎないようなラインの見極めは大事ですね」(前出・放送作家)近年は、後輩芸人やスタッフを叩いたり蹴ったり、または過激なチャレンジをさせることで笑いを取るスタイルは減少し、マイルドなものに置き換えられたりしてきている。「食べ物を粗末にしたり、外国人いじりをしたりで笑いをとるなど、さまざまなことが問題視され、変化してきました。学校のあだ名問題も、今は全面的に禁止という流れにはならないと思いますが、これが世の中的に『あだ名で呼ぶのはどうか』という空気ができたとき、テレビ界でも対応をしていくことになるのではないでしょうか」センスあるいじりが見られなくなってしまうのは、できれば避けてほしいところだ。〈取材・文/渋谷恭太郎〉
2021年02月25日鈴木蘭々。トップ賞で獲得した賞品は今も大切にしている「“ルーマニア人のネタで出演を決めたんだよ~”と、プロデューサーに言われて。“何がどう転ぶかわからない世界だな”と、若いながらに思いました」こう話すのは、『どうぶつ奇想天外!』(TBS系、以下『奇想天外』)に出演していた鈴木蘭々。女優の萬田久子に初めて会ったときに「あなた、ルーマニア!?」と言われたエピソードを『笑っていいとも!』で披露したところ、スタジオがドっと沸いた。それで『奇想天外』の出演オファーがきたのだという。1993年開始の『奇想天外』は、世界中の動物の生態をクイズ形式で紹介する番組。みのもんたが司会を務め、鈴木のほかに、高田純次や渡辺満里奈らが主な解答者として出演していた。クイズは絵を描いて答える形式。鈴木は、個性的な絵の珍解答でたびたび注目を集めていたが……。「珍回答を求められるポジションだと勝手に思っていたので、正解がわかっても珍解答をしていたときがあります。誰かが教えてくれるわけでもないんですけど、自然とそうしている自分がいるんですよね。その方向性が合っていたかは別として、若いなりにいろいろキャッチして一生懸命やっていたんだと思います」そのさじ加減については難しいところもあった。「1度マネージャーに怒られたことがあります。“絵が過激で、最近やりすぎ”と。例えば、びっくりした動物を描くときに、びっくりしているだけじゃなくて口から血が出ているとか…(笑)」スタジオでの収録日は1日中、忙しかった。「毎週水曜日か木曜日だったかな。確か2本録りだったと思います。その日は収録で1日ほぼ埋まって、前後に取材が入ったりするような感じでした。誰に会ったかも、何の仕事をしたのか覚えていないこともたくさんあって。たまにYoutubeで過去の動画を見たら“こんな人に会ってたんだ!”“こんな仕事してたっけ?”と思うこともあります」■動物学者・千石先生とのロケそんな中『奇想天外』で行く海外ロケは、リフレッシュにもなっていたそう。「ニューカレドニアは自分の中で思い出深いロケ。保護地区みたいなところにミカドヤモリを探しに行ったのを覚えています」ニューカレドニアには、長髪・眼鏡という独特な風貌とユーモアたっぷりの語り口で、番組の名物キャラとして人気者になっていた動物学者の千石正一先生と一緒だった。「千石先生は主に爬虫類研究の先生だから、爬虫類を見ると子どもみたいにテンションが上がるんです。ヘビをつかまえたら“目がかわいいんだよ!”なんて。ミカドヤモリを見つけたときも、先生はハシャいでいて、こんなにハマれるものがあるってスゴイな、と」子どものような姿を見せる一方、ジャングルの中をひたすら歩く過酷なロケでは……。「熱中症みたいになることもあるんですけど、千石先生は時差とか寝不足とか、なぜこうなっているのかという状況を理解してくれるんです。だから、“二酸化炭素を吸えば大丈夫だよ”とか“糖分とったほうがいいね”といった対処が適切でしたね」心に刻まれた言葉も。「ニューカレドニアで聞いた千石先生のひと言がとても印象的です。“宇宙には数々の惑星が存在しているけれど、地球は宇宙船地球号という乗り物でその乗り物にすべての生き物が乗っているんだ”と。考えてみたらどんな生き物もこの地球で生きていくしか選択肢がないんですよ。その中であらゆる個性が混じり合って暮らしている。先生は生き物をネジに例えて“どのネジが欠けても食物連鎖のバランスが崩れて宇宙船地球号は墜落してしまう”とも言っていました」■私の中ではまだ生きています2012年、千石先生は62歳でこの世を去った。「私は本当に千石先生が大好きでした。お葬式にも呼ばれていたんですが、大好きすぎて先生が天国に行ってしまったことを認識したくなかったので、行かなかったんです。だから、私の中ではまだ生きてます(笑)」ほかの共演者とは、どんな感じだった?「あのころ私はまだ子どもで、大人の会話についていけない感はありました。でも、満里奈ちゃんは楽屋が一緒だったので、姉妹のように仲よくしてもらいました」現在は自身の化粧品ブランドの商品開発に携わりながら、舞台への出演を続けている。プライベートでは、猫2匹の飼い主だ。「わが家では今、風太くんとマロちゃんという猫を飼っています。猫ってマイペースといわれているけれど全然そんなことないな、と。むしろ人間に気を使ったり、合わせてくれているんじゃないかとさえ感じます」猫との暮らしで新たな発見もあったという鈴木だが、番組では今まで知らなかった動物の感情に触れる機会も多かった。「仕事であると同時に、カラフルなセットの中で楽しく学ぶ学校のようでもありました。本当にいい経験をさせてもらえた番組でした」
2021年02月19日明石家さんま、マツコ・デラックス「今春、明石家さんまさんとマツコ・デラックスさんが、TBSで新番組をスタートさせることが決定しました」(制作会社関係者)マツコといえば、昨年9月に10年間出演していた『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)から突然、降板したことで引退説が流れていた。「番組を立ち上げた総合演出を務めるスタッフが異動することになり、マツコさんは猛反対。しかし、その意見が受け入れられなかったことが不服で降板したそうです」(フジテレビ関係者)そんなマツコの動向を心配していたのが、同番組で共演していたさんまだった。「毒舌を活かしたMCやコメンテーターのような仕事が多いマツコさんですが、最近はバラエティー色の強い番組や舞台に興味を示しているそうです。仕事を減らしているのも、そういう仕事へシフトするためだとか。さんまさんは『ホンマでっか!?TV』を不本意な形で途中降板したのは、MCの自分にも責任があると思っているようで、旧知の仲のスタッフに掛け合い、マツコさんが希望する番組を始めさせてくれと頼んだそうです」(TBS関係者)2人の新番組は、日曜の午後6時30分から放送される関東限定のいわゆるローカル枠。「若い視聴者をターゲットにした『さんまマツコのテレビ遺産(仮)』というトーク番組です。全国放送ではないため予算が少なく、出演者のギャラも決して高くないはず。局内では、この枠でさんまさんとマツコさんをよく起用できたねと話題になっています」(同・TBS関係者)■ギャラよりもマツコに恩返し新型コロナウイルスの影響による広告費の削減で各局とも制作費が大幅ダウン。そのため、今春は大物タレントたちが続々とリストラの対象になっているが、さんまはその対象からはずれているという。「フジ系で放送されていた『さんまのまんま』は、終了の理由が高額なギャラだったことを本人がラジオで明かしていましたが、本来さんまさんはギャラに関してあまりこだわりがないんです。同じくフジ系の『さんまのお笑い向上委員会』も、さんまさんが“好きなことをやらせてもらえるなら”とギャラを度外視して始めたこともあり、通常より50万円も安い1本150万円で出演していますからね」(前出・制作会社関係者)新しく始まる番組はそれ以下になるのでは?との声も。「ローカル枠だとギャラはゴールデン帯の番組の5〜7割が目安ですからね。さんまさんは100万円ほどのギャラになるのでは?お金より長年番組でお世話になったマツコさんへ恩返しをしたいという思いが強いようです」(前出・TBS関係者)TBSに新番組のスタートが事実かを問い合わせたが、「番組の制作過程については従来お答えしておりません」大御所になっても、共演者やスタッフへ感謝の気持ちを忘れないさんまの心意気は、“世界遺産”級!?
2021年02月10日バナナマン今年もいよいよ残すところあと1日。毎年、『紅白歌合戦』に加え、『笑ってはいけない〜』や『RIZIN』で盛り上がりを見せる大晦日のテレビ番組だが、今年は新たな“刺客”が……!? コラムニスト・テレビ解説者の木村隆志さんが解説する。もともと在宅率の高い日であることに加えて、今年はコロナ禍でさらにその傾向が加速。あらためて大晦日に放送されるテレビ番組に注目が集まっている。大晦日の番組と言えば、やはり『第71回 NHK紅白歌合戦』(NHK)を軸に考える人が多いだろう。活動休止目前の嵐を筆頭に7組がそろうジャニーズ勢から(うちSnow Manはコロナの影響で出場取りやめ)、NiziU、YOASOBI、瑛人などネット上で話題を集めた初出場組、松任谷由実、GReeeeN、さだまさしなどの特別企画組まで、幅広い出場者がそろっている。近年との比較はさておき、今年も視聴率トップの座は揺るがないだろう。対抗馬となるのは、10年連続で民放1位を記録している『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日スペシャル 絶対に笑ってはいけない大貧民Go Toラスベガス24時』(日本テレビ)。さらに、『ザワつく!大晦日 一茂良純ちさ子の会』(テレビ朝日系)は昨年に続く2年連続、『格闘技RIZIN』(フジテレビ系)は6年連続、『第53回年忘れにっぽんの歌』(テレビ東京系)は53年連続の大晦日放送となる。よく言えば「定番」だが、悪く言えば「代わり映えしない」という番組が並ぶ中、唯一の新顔が『バナナマンのせっかくグルメ!!大晦日に豪華芸能人が超満腹・全国縦断食べまくり旅SP』(TBS系)。『バナナマンのせっかくグルメ!!』は日曜夜にレギュラー放送されている番組で、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)、『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)、大河ドラマ(NHK)の“3強”の対抗馬として結果を出しはじめている。新顔の登場によって、大晦日の勢力図が変わるのか。また、『笑ってはいけない』の視聴率民放1位に影響はあるのか。■あえて通常放送に近いムードで勝負あらためて民放各局の狙いを見ていくと、「笑いでファミリー層を狙う」日本テレビ、「中高年層を手堅くつかむ」テレビ朝日、「格闘技ファンに狙いを定める」フジテレビ、「ブレずにベテラン歌手の歌を届ける」テレビ東京と、各局の特色がはっきりと表れている。一方、「グルメ」「旅」というジャンルを選択したTBSは年齢や性別にとらわれず、「老若男女の視聴者を引きつけよう」という狙いが見て取れる。『紅白歌合戦』や『笑ってはいけない』のような年に一度の特別感は捨てて、「通常放送に近いムードでおいしい料理と美しい景色を楽しんでもらおう」としているのだ。たとえば、『紅白歌合戦』や『RIZIN』の視聴者が本当に見たい歌手や対戦でない時間帯は、『バナナマンのせっかくグルメ』が有力候補に浮上する。そもそも大晦日の番組は長時間のものばかりで、見ている途中で飽きてしまうことが多いだけに、TBSも「チャンスはある」と踏んでいるのだろう。また、『バナナマンのせっかくグルメ』には、もう1つ「底抜けの明るさ」という武器がある。全国各地を旅して名物料理を食べるバナナマン・日村勇紀は、他番組出演時をはるかに上回る“明るく、元気で、感じよく、かわいらしいキャラクター”を徹底。それを見守る相方・設楽統などのスタジオメンバーも日村に近いハイテンションのため、視聴者を明るく元気にしてしまうような魅力がある。初めての大晦日放送だけに、「裏番組からどれだけ視聴者を引っ張ってこられるか」は未知数だが、「一度引きつけてしまえば、ズルズルと長い時間見せられる」という可能性を持った番組と言えるだろう。■紅白歌合戦の出来が民放に影響を及ぼすでは、『笑ってはいけない』の視聴率民放1位が危ういかと言えば、それはほぼないだろう。同番組が初めて大晦日に放送されたのは2006年だが、世帯視聴率は10.2%に過ぎなかった。そこから毎年放送することでジワジワと数字を上げ、現在は10%台中盤に定着している。今年は渡部建の出演騒動でミソをつけたが、唯一のお笑い系である上に、これほどの長い歴史を持つ番組が急に視聴率を落とすことはまず考えづらい。一方、他番組は前述したように、特定の視聴者層を狙い撃ちした安全策であるため、世帯視聴率は「1桁台が濃厚で、よくてギリギリ2桁」といったところではないか。だからこそ視聴者層を限定せず、しかも「グルメ」という普遍的な人間の欲を押し出した『バナナマンのせっかくグルメ』の結果が気になってしまう。その結果を左右しそうなのは、民放の裏番組ではなく『紅白歌合戦』にほかならない。たとえば、桑田佳祐、松任谷由実、北島三郎らがステージにそろい踏みした2018年のような盛り上がりがあると番組を見続けるため、『バナナマンのせっかくグルメ』は厳しくなるだろう。しかし、近年は演出過多が批判されているだけに、今年も繰り返されるようであれば、チャンスが増えるのかもしれない。最後に1つあげておきたいのは、活動休止目前の嵐が行う配信ライブ。これが「テレビ番組の視聴にどれくらいの影響を及ぼすか」と注目を集めているのだ。嵐だけでなく、YouTubeやInstagramなどを含めて独自の配信ライブを行う芸能人も少なくないだけに、人々がどんなものを選んで見るのか興味深い。木村隆志(コラムニスト、テレビ解説者)ウェブを中心に月30本前後のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。各番組に情報提供を行うほか、取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。
2020年12月31日明石家さんまと土田晃之「この番組のレギュラーは、さんまさんだけなのに、(僕が)ずーっと出てるのもどうなのかな、と……」12月5日にオンエアされた人気番組『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)で突然、番組から卒業したい、と申し出たのはお笑い芸人・土田晃之だ。今田耕司、ネプチューン・堀内健、陣内智則といったベテラン勢からEXIT、ぺこぱ、ミルクボーイら“第7世代”の若手まで、人気芸人たちが毎週入れ替わり立ち替わり出演するこの番組で、番組開始から5年8か月もの間、唯一レギュラー出演を続けていた。「番組MCの明石家さんまさんが、土田さんのお笑いの腕をすごく買っているんです」(制作会社関係者)土田の口から自主降板が発表されると、さんまは「これからも出ててくれ」と嘆いたが、どうやらその裏ではひと悶着あったらしい。「表向きは土田さんから“辞めたい”という話があって……ということになっていますが、本当は番組サイドから肩を叩かれたんですよ」(前出・制作会社関係者)■「笑わない芸風」がアダに放送1回目から毎週休まず出続けた功労者をクビに?何か理由があったのか。「視聴者からの土田さんの評判がすこぶる悪かったんです。あまりにも“笑わなすぎる”って。“やる気ない置物”“ひとりだけ浮いてる”なんて毎回のように指摘されていて。収録中に1度もリアクションをとらないことも普通にあって、正直、スタッフも苦労していたんです」(前出・制作会社関係者)もともと、ほかの芸人たちとは一線を画す冷ややかな……冷静なコメントで笑いをとるのが、土田のお笑いスタイルだったはず。だが、「いくらそういう芸風だといっても、最近は度が過ぎていて。みんなで収録を盛り上げている中、ひとりふてくされた顔でソッポを向いているのは“さすがにどうなのか?”という声が局内でも出ていたんです」(フジテレビ関係者)新型コロナの影響で、局全体の広告収入が激減したことも影響したという。「制作費削減の締めつけが厳しくて。『向上委員会』は、さんまさんはじめ出演者のギャラにかなり金がかかっているんです。コストカットをせざるをえない中で“誰を切るか”という話になったときに土田さんの名前が挙がった、と。理解者のさんまさんもしぶしぶ受け入れたそうです」(前出・フジテレビ関係者)土田の所属事務所に降板の真相について尋ねた。「降板理由は、土田本人が語った言葉以上でも以下でもないんです。何かあったとか、ギャラで揉めたとか全然ありません」では、なぜ改編期でも満6周年でもない中途半端なタイミングでの卒業だったのか?「……それは、フジテレビさんに聞いてください」あれ!?“自ら降板”だったんじゃ─。
2020年12月22日左から森本毅郎、ビートたけし、和田アキ子、関口宏高齢化社会が進む中、それはテレビ業界も例外ではないようだ。このところ、長年放送されてきた“長寿番組”終了のニュースが続いている。その裏で囁かれる、出演陣の「高齢化問題」。テレビの世界でいったい何がーー。コラムニスト・テレビ解説者の木村隆志さんが解説する。■視聴率よりも視聴者層『火曜サプライズ』(日本テレビ系)、『爆報!THEフライデー』(TBS系)、『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)など、このところ長年放送され続けてきたバラエティーの終了を知らせるニュースが続いている。コロナ禍の長期化によってアポなしロケが不可能になった『火曜サプライズ』のような不運もあれば、裏番組の『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)との戦いに敗れた『爆報!THEフライデー』のような悲しい結末もあるが、最も業界内をザワつかせているのは、『噂の!東京マガジン』(TBS系)の終了。来年3月で約32年間にわたる歴史にピリオドを打つことになったのだが、視聴率は今なお日曜13時台の時間帯トップを叩き出しているだけにショックは大きい。ただ、業界内をザワつかせている最大の要因は、その理由にレギュラー陣の高齢化が挙げられていること。確かに森本毅郎(81歳)から、井崎脩五郎(73歳)、清水國明(70歳)、山口良一(65歳)、笑福亭笑瓶(64歳)、風見しんご(58歳)、深沢邦之(54歳)、さらにナレーターの乱一世(70歳)まで高齢者で固められている。芸能界のベテランであり、番組の功労者である彼らには、それなりの報酬が必要であり、しかも他番組と比べても明らかに人数が多い。コロナ禍で広告収入が激減する中、ベテランのリストラが最も手っ取り早い対処方法であることは、一般企業と同じ論理であり合点がいく。しかし、それでも民放各局は、かつてなら視聴率優先の方針を採ってきただけに、やはり「今春に視聴率調査がリニューアルされた影響が大きい」と見られている。これによって各年齢層の視聴動向がわかりようになり、各局は多くの広告主が求める13歳~49歳の視聴者層に向けた番組制作をはじめた。TBSはもう少し上限年齢が高く13歳~59歳を「ファミリーコア」と呼んでターゲット化しているが、高齢出演者の多い『噂の!東京マガジン』の視聴者層とは一致しないため、「高視聴率のメリットは限定的」「番組終了もやむなし」という声が聞こえてくる。同じTBSでは『爆報!THEフライデー』も高齢者の視聴者層がメインの番組。MCの太田光(55歳)、田中裕二(55歳)、田原俊彦(59歳)は『噂の!東京マガジン』ほど高齢ではないものの、視聴者層が「ファミリーコア」とは真逆の中高年層向けであることが終了する理由の1つと言われている。■『サタプラ』『ブランチ』の土曜を踏襲するかそんな流れがあるだけに、『噂の!東京マガジン』の前に放送しているTBSの日曜朝から昼の番組にも、終了やテコ入れの噂が絶えない。『サンデーモーニング』は関口宏(77歳)や張本勲(80歳)を筆頭にコメンテーターも高齢者ぞろい。『サンデージャポン』はレギュラーコメンテーターのテリー伊藤(70歳)、デーブ・スペクター(年齢非公表だが推定60代中盤)ら、『アッコにおまかせ!』はMCの和田アキ子(70歳)、峰竜太(68歳)と、高齢層の視聴者が好む人選となっている。ただTBS系列の番組でも、1日前の土曜朝から昼に目を向けるとムードが一変。今年3月で小堺一機(64歳)がMCを退き、丸山隆平(37歳)と小島瑠璃子(26歳)の2人体制になった『サタデープラス』(MBS制作)、佐藤栞里(30歳)がMCを務める『王様のブランチ』。どちらもファミリーコアにぴったりハマる情報番組であり、だからこそ日曜朝から昼も土曜にならった編成に切り換えても不思議ではないのだ。もちろん放送する番組のすべてがファミリーコア重視でなければいけないのではなく、実際に「報道番組は例外とみなすべき」という声もある。しかし、「そもそも報道番組が無駄に多すぎる」「ゴールデン・プライムタイムまで報道番組はいらない」「これは今まで視聴率偏重だった弊害だ」などの厳しい指摘もあるだけに、報道番組だから安泰というわけではないだろう。たとえば、常に時間帯トップの視聴率を叩き出している土曜夜の『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)も安泰とは言えない。中高年層向けのニュースが中心である上に、MCは高齢のビートたけし(73歳)。視聴率より視聴者層を重視する流れがあるだけに、安住紳一郎アナ(47歳)をさらに押し出す情報番組への移行も考えられる。他局でも、高齢出演者や高齢視聴者層の問題で終了や移動が噂される番組は少なくない。スポンサーの中にも収入減に悩まされている企業があり、広告宣伝費の見直しによって民放各局の営業スタッフは、軒並み苦戦を強いられているという。とりわけ高齢出演者と高齢視聴者層の番組は、「視聴率がよくても広告が取れないケースが増えた」という声をよく聞く。民放各局は営利事業である以上、収益の上がらない商品=番組をそのままにしておくことはできず、「大物MCや長年の功労者だから」という理由だけでは延命できなくなっているのだ。「視聴率」でも「技術や実績」でもなく、「高齢」が理由で番組が終了してしまうという現実に寂しさを覚える人は少なくないだろう。ましてや日本はさらなる高齢化社会に突き進んでいる真っ最中。たとえば、「低予算で高齢出演者の負担が少ない番組形式にリニューアルしつつ、BSなどで放送を続ける」などの落としどころがあってもいいのかもしれない。木村隆志(コラムニスト、テレビ解説者)ウェブを中心に月30本前後のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。各番組に情報提供を行うほか、取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。著書に「トップ・インタビュアーの「聴き技」84」「話しかけなくていい!会話術」など。
2020年12月20日坂本ちゃん「今から10年くらい前かな、新宿ゴールデン街にあるシャンソンバー『ソワレ』というところで働くようになったんです」こう話すのは、2000年から、『進ぬ!電波少年』の企画『電波少年的東大一直線』に出演し、一躍ブレイクしたお笑いタレントの坂本ちゃん。「お恥ずかしい話ですけど、芸能のお仕事がなくなったころから……」と“今”を語り始めた。■「見事に調子に乗っちゃいましたよね~」「今も金曜日に『ソワレ』で店番をしているのですが、そこにいらっしゃるお客さんのお顔をスマホで撮らさせていただいて、後日、似顔絵にするのが日課。5~6年ほど前から人様の似顔絵を書くのが趣味なんです」『電波少年的東大一直線』終了後には、いろいろな番組などに引っ張りだこ。最盛期は年収が8000万円程度にまでのぼり、月に食費として100万円程度を費やすなど、まさに“この世の春”状態だった。「『進ぬ!電波少年』の企画が終了したとき、当時のマネージャーさんから“お前がもし天狗になったら、すぐにお前の鼻をへし折ってやるからな”って言われてありがたいなって。私も30歳を過ぎていたので、調子に乗ることはないだろうって思っていたんですけど、見事に調子に乗っちゃいましたよね~(苦笑)」さらに、突然売れっ子になった彼は、母親や弟からお金を無心され、2000万円もの大金を渡したという。その後、家族とは絶縁状態になってしまう。■バーに来た客の似顔絵を描くのが心の支えそして今、バーに来た客の似顔絵を描くという趣味が彼の心の支えになっているという。「原色を塗るのがすごい快感で楽しい。似てないかもしれないけど、お客さんが喜んでくれることがすごくうれしいんですよ。せっかくだったら、売っちゃえ~みたいな(笑)」原色に彩られたイラストの数々は、ポップアート感にあふれ、独特な似顔絵を作り出している。SNSやお客さんの間で話題となり、2年前には『自宅で開催!坂本ちゃん個展新宿ゴールデン街の出会い+α』と題した個展を開いたほど。開催するための準備資金はクラウドファンディングで呼びかけ、見事、目標金額50万円を達成した──。というが、“自宅で開催”とは一体どういうことか!?「当時、私は立ち退き寸前のアパートに住んでおりまして、どうせ解体されるんだったら、思い出のわが家で個展を開いてしまおうと。おかげさまで、来場してくださった方々の多くが似顔絵を購入してくださり、とても生活が助かりました。自分の顔ですからね、やっぱり買ってくださるというか、ありがたいシステムを見つけてしまいましたね、ホホホ」■アパートの立ち退きを迫られて…そして立ち退きの際には、こんなひと幕があったそうだ。「私が住んでいた江戸川橋周辺は町工場が多くて、私以外は立ち退きが完了していました。つまり、私のボロボロのアパートだけが残っていたんです。ある日突然、“立ち退きをしてくれないか”という交渉役の人が訪問してきたんですけど、そんな体験は初めてだったので、戸惑うばかりで。そのおじさんが、“20万円で立ち退いてくれないか”って言うんですけど、相場がわからないじゃないですか。すると、おじさんが私を見て“坂本ちゃん?”と気づいてくれた。こっちもキャラで交渉できるなと思って、 “生活できないわ~”と、ごねてみたら、すぐに“25万円でどう?”と金額が増えたんです(笑)」それなら、と思った坂本ちゃんは、「私が所属する浅井企画にはコント55号さんという偉大な方がいらした事務所ですから、55号にかけて55万円でどうですか?」と、ギャグのつもりで言ったという。すると「ちょっと面白いですね」って話になって、55万円になった。「ひとつネタができたわラッキー♪と思って、55万円を受け取って立ち退きを承諾したんですけど、その話を周りにすると、“お前はバカか。最後に一軒残った立ち退きで55万円って安すぎるだろ!”って。私、小心者ですから、そんなに多くもらえるとは思ってもいなかったんですけど、考えてみたら最後の一軒ですもんねぇ。もっといただけましたよね~」ともあれ、立ち退き料を手にして引っ越した彼。今の家はというと、「新しく引っ越した部屋もボロボロなんですけど、好きなものに囲まれて、絵を書いているだけで幸せです。芸人としてのお仕事も、もちろんいただきたいし、苦しいことにかわりはないのですが、そういう空間があるだけで幸せに思えるのはありがたいことですよね」天国も地獄も味わった坂本ちゃん。自分の“幸せ”を手に入れた今、次は2度目のブレイクに一直線!?さかもとちゃん1966年山梨県生まれ。’99年、お笑いコンビ「アルカリ三世」結成。’00年、34歳のときに出演した『進ぬ!電波少年』の企画「東大一直線」でブレイクし、日本大学文理学部など8校に合格して日本大学に入学。おネエキャラでも知られており、現在は新宿ゴールデン街のシャンソンバー「ソワレ」に週一出勤&個展を開催するなど精力的に活動中。☆坂本ちゃん、岡元あつこ、荒木千恵の三人で、YouTubeチャンネル「熟女会議(仮)」を配信中。「基本、エロい話しかしてませんので、もし興味がある方はアクセスしてみてくださ~い! エロというのは誰も傷つきませんから。愛について語っている?いいえ、エロです。聴いてみて~♪」《取材・文/我妻アヅ子》
2020年11月02日経営する『馬肉屋たけし』では、9月から馬肉セットのネット販売も開始かつて世間の注目を集めた有名人に「あのとき、何を思っていたか? 」を語ってもらうインタビュー連載。当事者だから見えた景色、聞こえた声、そして当時は言えなかった本音とは?第14回は、’97年に『進め! 電波少年』(日本テレビ系)で南北アメリカ大陸縦断ヒッチハイク企画に挑戦したドロンズ石本(46)。命がけの体当たりロケの舞台裏から、役者、飲食店オーナーとして奮闘する現在の思いとは……。■企画開始直後、相方がパスポートを紛失「『進め!電波少年』の前説を担当していたのですが、ある時期を境にスタッフさんが急に優しくなったんです。そこからしばらくして、ヒッチハイク旅に行くことになって、だからか……と(笑)」’92年から始まった同番組の『ユーラシア大陸横断ヒッチハイク』企画で大ブレイクした猿岩石に続き、『南北アメリカ大陸縦断ヒッチハイク』企画に挑戦したのが、お笑いコンビのドロンズ。ボケ担当だったドロンズ石本は、こう振り返る。「猿岩石が帰国してブレイクする前に、ヒッチハイク旅に出てしまったこともあり、やっているときはプレッシャーはなかったです。スタート地点に行ったときも、スタートと書いた棒が立っているだけで、誰にも応援されずにひっそりと始まったので(笑)」しかし、企画の開始後、いきなり事件が起こってしまう。「相方(大島直也)がパスポートを紛失したんです。相方は3歳年上だし、始まる前もアドバイスしていた側だったので、お前が紛失するのかよ!みたいな(笑)。でもパスポートを紛失したら日本大使館で手続きが必要とか、早い段階で海外旅行の基本を学べたのはよかったですね」■スペイン語のコントを、旅の合間に路上で披露海外に行くのも初めてだったという石本。企画開始から間もなく、親切なアルゼンチン人のご厚意でスペイン語を学ばせてもらったことが、大きな分岐点だったと振り返る。「最初のころは身振り手振りでどうにかコミュニケーションをとっていたので、精神的にもしんどかったですね。でも学校に通って言葉を覚えたおかげでうまく意思疎通がとれるようになってからは、旅も楽しくなって。言葉を覚えたおかげで、企画の方向性も決まった感じがしましたね」過酷な旅の中でも芸人であることを忘れず、いつ放送されるかわからないネタ動画も一緒に番組に送り続けていたという。そんな行動がペルーで役に立った。「芸人というプライドは捨てたくなかったので、スペイン語でコントを作って、旅の合間に路上で披露していたんです。最初はまったくウケなかったけど、少しずつウケ始め、ペルーでは多いときには1回300人ぐらい集まるようになって。そしたら、たまたま番組プロデューサーさんが見て声をかけてくれて、番組に出ることになりました」現地のバラエティー番組に約1か月間、出演したこともあり、たちまち人気者に。「あの時期は街を歩いたら声をかけられたりしましたね。手ごたえも感じていたので、一時は本気でヒッチハイク旅をやめて、このままペルーでスペイン語コントで食っていこうか悩んだほど。でも、ゴールするという目標があったし、1か月ぐらい快適な生活もさせてもらえたから、旅を再開させなきゃなとペルーを離れることにしました」当然、楽しいことばかりなはずもなく、企画中は何度も死を覚悟したそうだ。「ペルーではディレクターが暴行され、コロンビアでは僕らも暴行されそうに。あとは乗せてもらった車が横転したときは、さすがに車に乗るのが怖くなって旅を続ける自信がなくなりましたね」■猿岩石の二番煎じ命がけの旅を1年2か月続け、帰国。猿岩石のようにブレイクするかと思いきや、現実はそんなに甘くなかった。「帰国してからは“猿岩石の二番煎じ”と言われることが増えて……。帰国してから間もなく、『雷波少年』という番組でロシナンテというロバと旅する企画がスタートしたのですが、今度はロシナンテのほうが人気者になってしまい、僕らは飼育員に近い扱いでした(苦笑)。だから僕らは結局、人気が出ないまま終わってしまった感じですね」そんな悩みを、ある大物タレントが救ってくれたという。「やしきたかじんさんの番組に呼んでもらえるようになったとき、“お前らまったくブレイクしなかったなぁ”とかイジってくれて。それでウケたときに気持ちが楽になって、二番煎じと言われても吹っ切れるようになりました」フジテレビ発のアイドルグループ『チェキッ娘』出演の帯番組のMCを務めるなどコンビの仕事も増えたものの、’03年に解散する。「もともと相方は役者志望でコンビを組むときも、将来は俳優になりたいと伝えられていました。でも、いざ解散すると言われたときには反対したのですが、“二足のわらじははきたくない”と言われて、解散することに。でも1年ほどたったら、俳優業の傍ら、ちりとり鍋店をオープンし始めて、思いっきり二足のわらじをはいていました(笑)」そんな元相方に続く形で、石本も’07年に東京・恵比寿に『馬肉屋たけし』をオープンし、俳優活動もスタート。「上京後に劇団に入っていたことはあったのですが、芝居にちゃんと向き合ったのは、’11年に出演したTBS系のドラマ『南極大陸』です。木村拓哉さん、堺雅人さん……と主演級のすごい方々と北海道で1か月一緒に撮影させていただきました。そのときに、柴田恭兵さんに“共演者とコミュニケーションをとって演じると、本番では実力以上のものを引き出してくれる”と言われ、実際、一緒に演じたときに実感しました」■頼られる人間になりたい共演者たちとは、LINEグループで、今でもやりとりが続いている。「誰かが誕生日を迎えると、みんなで祝福メッセージを送りあう仲ですね。木村さんも番組で僕のお店に来てくれたことがあって、放送から1年は予約でいっぱいになったほど。共演者だけでなく、ロケでお世話になったお店の人も、東京に来てくれたときに寄ってくれるんです。今は新型コロナの影響で売り上げは厳しいけど、このお店は“みんなと会える場所”だからこそ、厳しい時期があっても、続けてこられたという感じです」事務所の先輩である南原清隆に言われた言葉を、今でも胸に刻んでいるという。「“スタッフは自分の番組が最高だと思って作っている。だから、仕事内容に関係なく全力で頑張れ”と言われて。それからは人としてもタレントとしても、頼られる人間になりたいなと思って活動していますね。だから、求められるならお笑いや俳優といったジャンルは関係なく、何足でもわらじをはいて頑張ろうと思います」
2020年10月05日徳井義実「ものすごいヒマです。よろしくお願いします」8月26日深夜に放送された『東野・岡村の旅猿17』(日本テレビ系)で、10か月ぶりに地上波復帰したチュートリアルの徳井義実。昨年10月、多額の申告漏れが発覚し、芸能活動を自粛していたが、いよいよ動き始めたようだ。「いきなりゴールデン帯の番組で復活させるのは視聴者からの反応が怖いということになり、所属する吉本興業が制作を担当、視聴者もそこまで多くない深夜帯の『旅猿』に出演させて、反応を見ることになったそうです」(日本テレビ関係者)9月2日には、日向坂46と共演するウェブCMがユーチューブで公開された。「会見で“想像を絶するだらしなさ、ルーズさによって……”と自身の性格について言及していた徳井さんですが、仕事のときは真摯に取り組んでくれるし、人当たりもいい。だから今でも徳井さんと仕事をしたいという関係者は多いですね」(制作会社関係者)レギュラー出演していた“あの番組”への復帰案も上がっているという。「レギュラー番組を多く放送している日本テレビの上層部は申告漏れが発覚した直後は、“番組内で徳井の名前を出すのも禁止”というほど怒り心頭でした。しかし、自粛期間中にまじめに過ごしてきた徳井さんを見て、気持ちが変わったようです。レギュラー番組の『しゃべくり007』で復帰させる案が出ています」(前出・日本テレビ関係者)■バッシング覚悟の起用だったが完全復活への道筋は整ったかと思いきや、意外にも地上波復帰となった『旅猿』がネックになっているようだ。「関係者はバッシングが殺到するのも覚悟のうえだったそうですが……よくも悪くも話題にならなかったんです。局内では“もしかして、需要ないの?”と、『しゃべくり』で復帰させる話が宙に浮いた状態になってしまいました」(前出・制作会社関係者)日本テレビに『しゃべくり』での復帰について問い合わせたが、期日までに返答はなかった。9月3日の『旅猿』では、霊が見える芸人・シークエンスはやともに、「数年前に見たときは、徳井さんを支持している霊がたくさんついていたけど、(今は)ほぼ離れている」と診断された徳井。出演する『旅猿』は3週続けて放送されるだけに、最後の放送までに話題になり、完全復活となればいいけど……。
2020年09月07日相葉雅紀7月4日、嵐の相葉雅紀がMCを務めるバラエティー番組『天才! 志村どうぶつ園』(日本テレビ系)が、9月末で終了することが発表された。同番組は2004年から放送されている。「3月29日に亡くなった志村けんさんがMCを務めていました。アシスタントを山瀬まみさんが務め、レギュラーパネリストとしてDAIGOさんやタカアンドトシらが出演。彼らが動物と触れ合う様子が人気を集めていますよ」(スポーツ紙記者)志村さんが亡くなったことを受け4月から相葉がMCに就任し、番組を存続する意向を見せていたのだが……。「番組が終わる理由について、日テレは、“志村さんの存在なしで続けることに限界を感じたため”と発表しました。10月からは、相葉さんが総合司会を務める番組が放送されます。『志村どうぶつ園』のスタッフを一新した、新しい動物番組になるそうです」(同・スポーツ紙記者)相葉は、この番組を通してお茶の間に広く認知されるようになった。「当初はひな壇に座っていましたが、彼のポテンシャルを見抜いたスタッフが、“飼育係”の役割を持たせました。カンガルーとボクシングをしたり、ライオンのお尻を触るなど、体当たりでロケに挑む姿で一躍、人気者になりました」(芸能プロ関係者)そんな思い出深い番組の現場では、MCが代わって以来、こんな問題が起きていた。「相葉さんとスタッフの意見がぶつかることが多くなったそうです。スタッフ側は番組の進行や編成に関して、彼に合わせたものに変えようとしたのですが、“志村さんが決めたルールは守りたい”と反対したそう。相葉さんはおもしろい番組を作りたいという思いが強く、自分が納得いかないと意地でも譲らない頑固なところがあるんですよ」(同・芸能プロ関係者)■「僕にできるかな」吐露した不安長年、自分を支えてくれた“師匠”がいないことへの不安もあったようだ。「“僕にできるかな……”と漏らすなど、交代した当初はかなりプレッシャーを感じていたそうです。また、4月から新型コロナウイルスの影響を受けて、ロケや収録が中止になるなど、思うようにいかない焦りもあったといいます」(日本テレビ関係者)ただ、時間をかけてスタッフと話し合いを重ねていくうちに、“確執”も解消されたという。「最終的には、スタッフ側も相葉さんの意見を尊重し、“志村流”のやり方にしたそうです。相葉さんとしても長年、苦楽をともにしたメンバーと新番組も一緒にやりたかったようですが、テレビ局側が“もっと自由にやらせてあげたい”と体制も一新することにしたといいます。のびのびとやってほしかったのではないでしょうか」(同・日本テレビ関係者)志村さんの教えを受けた相葉なら、新しい番組もきっとおもしろくしてくれるはず!
2020年07月18日織田無道「一昨年に“ステージ4”で余命1年を宣告されました。でも、まだ生きていますよ(笑)。最近も“7月までもたない”と言われましたが、別の医師からは“免疫性が上がって、回復しています”と。がんは本当にわからないことが多いので、あわてないことです」末期がんで闘病中だという織田無道だが、血色はよく意気軒昂。ニコニコしているが、時折、見せる鋭い眼差しは“怪僧”と呼ばれたころと変わらない迫力だ。「織田さんは1990年代に霊能者としてテレビに引っ張りだこでした。当時は宜保愛子さんもいてオカルトブームだったんです。水晶玉を使って霊視をするんですが、酒は飲むし女が好きという破天荒キャラ。神奈川県の円光寺住職で、信長の子孫を名乗っていましたね。2002年に虚偽登記で逮捕され、その後も給与トラブルがあり、テレビから消えました」(テレビ誌ライター)■「お祓いは気合」で住職稼業が一転最初から霊能者だったわけではなかったという。「1980年代にお昼の番組に出たとき、お墓の撤去についての議論をしているうちに、呼んでもいない霊がカメラに映ってしまったんですよ。司会の宮尾すすむさんが“悪い霊が来てしまったらどうすればいいの?”と聞いてきたのですが、私の宗派にお祓いはないから、“それは気合です”とアニマル浜口さんみたいなことを口走ってしまった(笑)。その場で霊との闘いが始まって、それが全国に放送され、住職ではなくて“除霊をする人間”になってしまった。それから、“ここを除霊してくれ”という依頼がたくさん来たんですよ。私はまだ30代で若かったし、頼まれたら断れない性分だった」多いときで週に10本の番組に出演する売れっ子に。「テレビを何百本もやっているとヤラセが出てくる。ある深夜番組で“あの木の下にこういう霊がいることにしましょう”と言われたことがあります。司会者から“織田さん、すごいですね。霊は本当にいるんですね”なんてふられて困りました。当時のテレビはヤラセだらけ。クイズ番組なんかはひどくて、最初から解答が渡されていたんです」バラエティー番組だからと割り切って出演していたという。バブルの余韻でテレビ業界はイケイケだった。「1回の制作費が5000万円なんてザラ。海外ロケにも行って大盤振る舞い。ギャラもすごくて、1回で500万~600万円なんて普通でしたね。アメリカでシカゴのテレビ番組に出たときは1本で2000万もらいました。当時は1000万円もらって、それをひと晩で飲み切るなんてことが当たり前の時代だったんですよ。視聴率さえ取れれば、何でも可能でした」金銭感覚がだんだんおかしくなっていく。「視聴率がよくなれば担当プロデューサーにボーナスが出るし、経費も上がる。だから、“今夜もどっと飲みましょう!”なんて言われる。楽しい時代でしたね。1万円札を見ても今の100円と同じ感覚でした。月に億単位の金を稼いでいましたね」テレビの黄金期の中で、もっとも輝いて見えたのが石橋貴明だったという。「すごく面白いし、私ら坊主にとっても参考になることがいっぱいありました。禅には『有溝無溝』という言葉があります。構えはあってないのと同じで、最終的には心の闘いが勝敗を決定するものだという意味ですが、まさに石橋さんはその言葉どおりの人。僧侶でも普通の悟りでは到達できない領域です。“お笑いの達人”というレベルを超越した本当にすごい人です」■石橋貴明の凄みと勝新の力日本テレビ系の『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』に出演していて、石橋のアドリブに驚かされた。「霊がとりついている人を呼んでスタジオ収録をしたんです。若い女性で、ミニスカート姿。そうしたら石橋さんが急に“霊がいる!”と、女性のひざを指さしました。カメラがひざのお皿をアップで映すと、人の顔のようにも見えますよね。彼女が出てきた一瞬で、ひらめきが芽生えたんです。いつも、よくそんな発想が出るなと感心していましたね」勝新太郎さんも、織田に強い印象を残した。「彼の死後のことです。心霊番組で、夜中にお墓に行きました。カメラが回った瞬間に照明がパッと消えたんです。かわりに静止画を撮ろうとシャッターを切っても、ストロボがつかない。勝新さんの“力”を感じましたよ。勝新さんが納得するスタッフ、カメラマンでないと映させてもらえない。“お前らなんだ勝手に来やがって、玉緒に金を払ったのか?”ということではないでしょうか」2002年に逮捕されて有罪判決を受けたことについては、今も納得していない。「まったくくだらない理由です。会ったこともない人間にテレパシーで虚偽登記などの文書偽造を指示したというバカげた判決。取り調べでは“織田よ、認めれば出られるんだよ。早く書類にサインしちゃえよ”と言われました。もっと重要な犯罪があるのに、私がテレビにバンバン出ていたから狙われたんでしょう」留置所には3か月ほど入っていたが、さほど苦痛ではなかったらしい。「うなぎでも天丼でも、好きな出前を頼んで食べていました。不自由さはありませんでしたね。留置所から出た後も普通にしていましたよ。別に大した罪でもあるまいし。沢尻エリカだって、堂々と出てくりゃあいいんだよ」沢尻は違法薬物所持という重い罪状だが……。「テレビはもともとデタラメな世界だから、デタラメなやつが出ていいんですよ。きれいごとなんか言っていられない。視聴率を取れなかったら番組がなくなっちゃうんですから、否応でもヤラセをやる。それで視聴率を取れているんだし、バラエティーだからいいじゃんということです。UFOや幽霊なんかはほとんどが合成写真のインチキ。でも、見ているほうが楽しければいいじゃないと思います」■死んだらどうなるわかっている相変わらずの怪気炎だが、体調がすぐれないことも。「長く座ったりしていると、脚が冷えて氷のようになってしまいます。すぐに疲れますが、夜にまったく眠れないんですよ。1日に2時間でも3時間でもいいから寝たい。1~2月は40度以上の高熱が出て、本当にキツかったんです。めまいがひどくて起きられなくなって、いよいよおしまいかなと思っていましたよ。食べ物も限定されて、体重も100キロあったのが、30キロ落ちて、今では70キロ。これからどうなるのかはわからないですね」それでも、死に対する不安はない。「私は仕事で葬式もたくさんやっていますし、死んだらどうなるかわかっていますから。人間はわからないことに対して恐怖心を抱くんです。私は坊主なので、自分の真意、本当の自分悟りを示したうえで人生の幕を閉じたいですね。できれば70歳まで生きたい。 “人類のために”とか大それたことを言える立場でもないですが、自分自身の答えを出したいですね」“怪僧”にとって死は恐れるに足らないものなのだ。
2020年06月14日写真はイメージです新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレビ界でもさまざまな番組でリモート出演が導入され、定着しつつある。「ニュースやワイドショーばかりでなく、5月に入ってからは、ドラマやバラエティーのリピート放送をする際に、出演者が冒頭やエンディングなどでリモートで出演。そして、紹介や本編の“フリ”を入れてカットを導入する取り組みも多く見られるようになってきました」と、あるテレビ誌記者は言う。「特に民法の場合はスポンサーの関係で純粋な再放送ではなく、“特別編”とか“傑作選”と銘打って、新規の放送という形をとることも多いため、出演者のリモートカットを入れるということが手段のひとつになったのでしょう」(同前)■リモートで生じる“ズレ”と視聴者の飽きこのリモート出演が本格的に導入されるようになってから1か月以上が経過したが、日々、最新の情報が更新される報道番組やワイドショーはともかく、バラエティーなどでは、そこまで無理に出演しなくてもいいのではという向きもある。「ロケに出られなかったり、ひな壇に座らせられないための苦肉の策でしょうが、番組のレギュラータレントが、今、何をして過ごしているかを語られても、視聴者もそれほど興味を持てないのではないでしょうか」(同前)リモートであることを逆手に取ったドラマの制作をNHKが手がけるなど、さまざまな可能性を探っていることは確だが、やはり限界があるのだろうか。ある放送作家は、「手法に関しては、まだ試行錯誤の途中なので限界とまではいえませんが、今の番組づくりではソーシャル・ディスタンシングによるテンポなどの限界は感じます」と言う。「同じスタジオで距離を取って放送する場合はまだ大丈夫なのですが、自宅や楽屋などとつないで放送する場合には、どうしてもテンポにある程度の“ズレ”が生じてしまいます。その場の空気がどうなっているかわからないため、盛り上がりにくくなってしまうということはあります」■急には「ひな壇復活」とはならないこうなると、本来の力を発揮しにくいタレントも出てくる。MCとは別に、ひな壇にいながらひな壇タレントのトークを広げ、場の空気を盛り上げていく、「裏回し」と呼ばれる役割のタレントがそのひとつだ。「この人がいてくれればひな壇がは盛り上がる、という存在なのですが、今のリモート形態ではなかなかその役割の出番はありません。さらに、ツッコミのタレントさんは、話がどうしても途切れることになるので、けっこう難しいですね」(同放送作家)先ほどの、レギュラータレントが自宅で何をして過ごしているかという放送も、自宅でやれることにも限りはあるため、2周目以降になると、視聴者を飽きさせることになる。前出の放送作家は語る。「リモート収録で最初に共演者とやり取りするときには、一般の人が会話するのと同じで、“今、世の中大変だけど、どうしてる?”という日常会話と同じで、“今こんなふうに過ごしている”というやり取りになるのが普通です。しかし、特に売れっ子のタレントは、いくつもの番組で同じような時期に同じようなことを語らなければならないため、どうしても“こないだも見たな”となってしまいす。まだしばらく、こういった収録スタイルが続く予定なので、各番組が飽きられないよう、考えているとこですね」5月14日、39県で緊急事態宣言が解除された。それにともない、名古屋や福岡のテレビ局が先陣を切って通常の収録スタイルで番組制作し、放送されるようになるのだろうか。「解除された県も、ソーシャル・ディスタンシングを保って、『新しい生活様式』にのっとった行動が必要とされているので、解除されたからといって、急にひな壇復活、街ロケ復活とはならないです。しかし、東京や大阪でロケができなくても番組の収録は行います。空間を取るなどの対応をしながら、近況報告以外の形でリモートでのやり取りも模索しながら、今後は進んでいくと思います」(同)前出の放送作家は、新たな番組づくりに期待するという。「先日、放送された『有吉の壁』(日本テレビ系)では、芸人がリモートでそれぞれおもしろいことをやって、有吉さんがそれを見るといったスタイルで放送されていました。トークや屋内でやれるものを工夫して、リモートであることを面白く活用できる手法が、これからいろいろ出てくるはずです」新しい生活様式準拠の、新時代のヒット番組も、生まれるにちがいない。<取材・文/渋谷恭太郎>
2020年05月18日