草木染作家・坪倉優介の著書『記憶喪失になったぼくが見た世界』を原作とした新作オリジナルミュージカル『COLOR』の公演を記念して、8月1日、都内「文喫 六本木」にて、“ぼく”を演じる浦井健治と、坪倉優介によるスペシャルトークショーが開催された。当初の予定では、同じく“ぼく”を演じる成河も参加し、3人で行われる予定だったが、成河の新型コロナウィルス陽性が確認されたため出演を見合わせ、同作品担当の井川荃芬(ホリプロ・プロデューサー)が進行を務めた。また、新型コロナウィルスの感染状況を鑑み、有観客での開催を中止して、ライブ配信トークショーとして行われた。「僕の想像しきれない僕」を見てみたくてワクワク配信開始の数分前に初めて顔を合わせたふたり。文喫のゆったりとした空間と、ふたりの優しい空気が合わさって、温かい癒しの空間が広がっていた。自身の半生がミュージカルになることについて坪倉は、「芸術を仕事にする者として、違う芸術であるミュージカルに興味はありましたが、自分の普段の生活が、音になり演じられる。率直にワクワクする気持ちでいっぱい」と喜んだ。出演のオファーを受けてすぐに原作を読んだという浦井は、「すごく勇気をいただきました。いろんなことを考えたり、自分の中でもビジョンが変わったりする昨今、本の言葉達から、人間の強さや優しさを感じました。坪倉さんは優しい空気で包まれていて。責任も感じつつ、幸せな出会いををさせていただいています」と丁寧に答えた。坪倉が本書を執筆することになった理由は、テレビ出演がきっかけで出会った担当編集者の「文章で気持ち生き方を伝えてみないか」という言葉ひとつだったという。大阪芸大を卒業した坪倉は絵は得意だったが、長い文章を書いたことはなかった。ぜひと快諾したものの、事故後の苦労を思い出しながら自分の気持ちを表現するのには時間がかかった。この本をミュージカルにすることも挑戦ならば、この役を演じることも挑戦。浦井は、稽古を通して坪倉のこれまでの経験を味わいながら「稽古場で何度も声がつまるぐらい泣きそうになっている」と明かし、「周りの人たちも成長したり、変化の中で強くなっていったり、一緒に歩んでいるというのがこの本から感じられたので、何よりも人として大切なことを学ばせていいただいている。ひとりじゃないということ、そしてよくぞ色に辿り着いて(言葉や喜怒哀楽の感覚を失った時、坪倉は物事を色につなげて考えるようになった)、その経験をみんなにギフトすることを選ばれたなと。リスペクトしてこの作品に望ませていただきます」と覚悟の想いを口にした。浦井と成河は役替わりで、”ぼく”と”大切な人たち”を演じる。”大切な人たち”とは友人や編集者などの周囲の人々。浦井は、彼らの人生を懸けた熱意を、稽古場で体を通すことで実体験している感覚になるという。「今日、目の前にいてくださる坪倉さんを見た瞬間に泣きそうになる感触がありました」と、幸せを噛み締めた。常に自然体で穏やかな空気を纏った坪倉は「大切にしてきたことは何ですか?」との問いに、「心」と答えた。「今こうして笑っていける自分になるのに、30年以上かかりました。人の考えを理解できなくて、辛くて悲しいこともたくさんありました。居心地のいい素敵な心でいっぱいになると、すごく幸せな自分の好きな色が広がって、包まれた瞬間にワクワクして楽しい。こんな風に心の色が変わるんだと。今回もどんな色が見られるんだろう、どんなミュージカルになるんだろう、いろんな人達の想いが色となり、形になっていくんだろう。僕の想像しきれない僕を見てみたくて、めちゃくちゃワクワクするんです。きっとどんどん進化するんじゃないか」というと、井川は今の稽古でも日々変わっていると感じていると話した。浦井は、「ミュージカルでは歌声を色で表現する。同じようなニュアンスを体現しようとしていて、染色という染め物に歌が似ていると感じました。植村花菜さん(音楽・歌詞)のフレージングも台本に寄り添っています」と話した。草木染も演劇も、繋いでいくものここからは、「表現をする」という共通点にフォーカスを当て、ふたりの活動について語り合った。表現するうえでの核や大切にしていることは、ふたり共に「自分自身が楽しむこと」。坪倉は「何もかも忘れて、植物人間のようになっていた。自分が共通する色は何だろうと意識してみると、どんどん面白くなり未だに膨らむ一方。色を作るために楽しまなくっちゃと」楽しそうな笑顔。浦井は「初舞台を踏ませていただいたときから、プロデューサーさんや演出家の方に『楽しんでください』と言われました。自分でもすごく肝だと思っています。やはり、お客様も人間だから、言霊、感情は伝わる。まずは楽しんで、アグレッシブに、やれることの幸せを噛み締めていないといけない」と襟を正した。ここで、坪倉が持参した反物を紹介。桜の木の皮部分を使って染めた、繊細で美しい反物だ。普通に染めると茶色になるそうだが、花が咲く前の皮部分を使うと、優しいピンクがかった微妙な色合いになることもあるという。では、その染めの材料はどうしているのか。自然災害が多い昨今、生活を守るための整備で伐採せざるを得ない樹木などを使うそうだ。そこから生まれた反物が着物となり、人々に受け継がれていく。自然と人間との共生を感じさせる。坪倉の着物の話を聞いて、浦井が考えたのは“繋がる”ということ。「着物を通して命を繋げて受け継がれていくことは、演劇も同様で、何百年先の人たちに何かを残して伝えられたら」と。また、成河が常に言っている言葉として紹介したのは、「近所の老夫婦がふと観に来て、良かったねと言って帰っていくのが理想」というもの。浦井は「その状態にすごく近しいのではないか。繋がるって素敵」と優しい表情で語った。坪倉が染色に魅せられたきっかけは、大阪芸術大学在学中。記憶をなくし途方にくれていたが、草木染を通じて色と出会い、その後、旅を通して海や山の色の変化を目の当たりにし、自然の持つ色の魅力に感銘を受けたという。一方、「演じる」という仕事について井川から改めて尋ねられた浦井は、「プレイヤーは使われて、ひとつの駒として存在することで、エネルギーを発散し体現していくのがお仕事。演出家の方に様々な作品で使っていただいて色がついていったり、逆に色を削ぎ落として、まっさらな状態でゼロから作っていただく作業だと思っている」と回答。では、“表現者”として探求・挑戦を続ける坪倉が心の支えにしているものはあるのだろうか? 「僕は自信の事を言う前に、事故前の記憶がない。失くしてしまった事を悩むよりも今を楽しんで、結果的に人を楽しませたい。夢中になって寝ることも食べることもせずに、3〜4日やり続けてしまって、1日24時間では足りないのが最近の悩み!」と笑う。表現するうえで「自分自身が楽しむこと」を大切にしていると答えたふたりに、最近一番ワクワクしたことについて尋ねると、浦井は「まさに今ですね」と即答。続けて「もちろん舞台に立たせていただいて、お客様と一緒にその瞬間を味わえる生のライブは、生きている証拠で、自分の中でも在りどころ。今回の台本には『新しい過去』という単語が出てきて、坪倉さんが大切にされている言葉だと思うのですが、ルールなんかないんじゃないか、というのをすごく学ばせていただいています。坪倉さんは詩的なことをわかりやすく優しく伝えてくださっていて、エンタテインメントは本当に無限だなと。どんな表現も、文字にする、本にすることは大変だと台本でも感じましたが、それが皆の財産になっていて、同じ時代に知り合えたことはすごく幸せだと感じています」と語った。坪倉は、「僕じゃないところで、僕を創造する人に会えるなんて、ワクワクして仕方ない。台本を拝見して、稿を重ねるごとに、自分と自分じゃない自分が同化していくような、手応えを感じていた。今日お会いして嬉しくて、これが今日まで眠れなかった理由なのかと」と納得した様子。浦井が今は何を染めているのか尋ねると、4人のキャストをイメージした色の着物を製作しているそう。企画を初めて聞いた浦井は驚いて喜んだ。この着物は、公演期間中、本ミュージカルが上演される新国立劇場小劇場ロビーに展示されるそうだ。坪倉は「皆さんが演じる、ぼくとお母さんのお芝居、ミュージカル、歌、着物の色、目から耳から入ってくる色を感じてもらいたい」と想いを込めた。染めの素材について、母役の濱田めぐみと柚希礼音の着物には桜の木を用いていて、お母さんの優しさを表現するという。「皆さんが持っている、お母さんという存在に感じた色を、おふたりそれぞれに表現する」とその一端を明かした。「色って素敵だな」と思ってもらえたら次に、創作の過程においての第一歩目について。浦井は「そのキャラクターの色を意識します。成河と僕が演じる”ぼく”の色がかなり違う。そういう意味でも色を明確にしておいた方が、面白い相乗効果が生まれるかな」と話した。坪倉は「自分の考えを人に塗り変えられたくない。同じように、人それぞれの生き方に自分の考えを押し付けたくない。植物に対しても同じで、手に入った、言葉も持たない染めの材料を、素直な色に染める事」と語った。常にポジティブな言葉が出てくる坪倉だが「自分のすることが毎日楽しくて仕方ないと思えたきっかけは悲しみ」と明かす。元の自分に戻りたいと悩んでいたとき、何度も家出をして困らせた。お母さんが全力で止めてくれて、流した涙に胸を締め付けられた。「お母さんが笑っていてくれると僕はすごく幸せ。僕が笑わなければ母さんを笑わせられない、もう絶対にあんな顔はさせない。毎日楽しむしかないじゃないですか」と笑った。そして、行き詰まった時に乗り越える方法について浦井は「坪倉さんのお話を聞いて、確かに両親の存在は大きいと思いました。お母様のお話をされていましたが、包み込むお父様の存在も台本には書かれていて。一番大切なのは家族だなと。終わったら、すぐ母親に電話しようかな」と心を動かされていた。最後に、今一番大切にしてお客様に届けたいことは。浦井は「いろんな覚悟がいる状況ですが、板の上に立っていて、坪倉さんと同じ気持ち。明るい気持ちで笑顔になってもらえたら。エンタテインメントの力は人間に必要な心の豊かさや、明日も頑張ろうという気持ちにさせる。中止という文字が並ぶ状況で、お客様に何ができるんだろうと。このミュージカルで感じたことを、自分にも還元できるように、色って素敵だなと思っていただけるように頑張ります」と決意した。坪倉は「お母さんの優しさの色って何でしょう。その感じる、色、音、空間で、演じる側と観る側の空間で、その会場に素敵な色ができるように、ただ観るだけじゃなく、演じ終わるときには、会場その時その時の優しい色合いで、心の染めをしてみたいなと思います」とメッセージを送った。取材・文・撮影:岩村美佳新作オリジナルミュージカル『COLOR』2022年9月5日(月) ~9月25日(日)会場:東京・新国立劇場 小劇場ほか、大阪・愛知公演あり★チケット情報はこちら:
2022年08月25日大学生のドロシーが音楽の都「OZの王国」に飛ばされて、かかしやブリキ、西の魔女たちと出会う――。世界中で愛されてきたライマン・フランク・ボーム作の『オズの魔法使い』を現代にリメイクした新作ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』が初演を迎える。今作で、西の魔女に扮する凰稀かなめが話してくれた。ミュージカル「DOROTHY~オズの魔法使い~」チケット情報『オズの魔法使い』が昔から大好きで、絵本をはじめ、ジュディ・ガーランド主演の同名映画や、ディズニー制作の映画『オズ』などを観てきたという凰稀。「レンタルビデオ店で、ビデオを借りては戻し、借りては戻ししていましたね。特にドロシーがオズの国でかかしやブリキ、ライオンと出会うシーンがすごく好きで、その後一緒に冒険していく物語にも強くひかれていました」。今作の物語の設定は、とある大学のオーケストラ部。コンサートマスターでプロのヴァイオリニストとしても活躍するドロシー(桜井玲香)は、部内をまとめ、上に立とうとするあまり皆とうまくいかない。不満が噴出する楽団員との不協和音で、彼女は音楽の都「OZの王国」へと飛ばされてしまう。映画『オズの魔法使』の西の魔女は緑色の顔とその不気味さが特徴だ。今回、オファーを受け「まず、顔を緑に塗りますか?」と聞いたと笑う。「それはないということでした(笑)。原作では西の魔女はドロシーたちをしもべにしようとする悪役ですが、今回は、悪いだけではないというところを描くんです」。西の魔女はオズの国を統一し、支配しようとしている。「なぜ、そうなったのか。物語では語られない彼女のバックボーンを考え、ドロシーの思いを聞いて変化していく様を演じるのが難しいですね。どう見せるか稽古場で悩んで試行錯誤している状態です」と話す。元宝塚歌劇団宙組トップスターだったこともあり、今作のドロシーには共感する部分が多いという。「宝塚時代を思い出しましたね。ドロシーと部員の心のすれ違いが描かれていて、対人関係は難しいなと。上には上の思いもあるんです。お客様も、自分が今置かれている状況によって、共感する部分や、見えてくるものが違うと思います。でも、最後にはほっこりできる。音楽もすばらしいですし、何回でも観ていただきたいですね」。自宅にいると、演じる人物が降りてきて、その人と対話することが今までの凰稀の役作りの仕方だった。西の魔女とはどんな会話を交わしているのかと尋ねると、「それが、ワンちゃんを飼い始めて、犬が怖がるからやめたんです(笑)。今はワンちゃんとは違う別の部屋で稽古をしています」と明かす。その何ともいえないチャーミングさも彼女の魅力。どんな西の魔女になるのか、OZの王国で確かめてほしい。公演は、東京・日本青年会館ホールを皮切りに全10都市を巡演(8月20日(土)から26日(金)の東京公演は中止)。兵庫公演は9月16日(金)から19日(月・祝)まで、兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて。チケット発売中。取材・文:米満ゆう子
2022年08月24日生まれつき両目がなく、知的障害がある女の子・千璃とその家族を描いたミュージカル『SERI~ひとつのいのち』が上演される。家族を演じる山口乃々華、奥村佳恵、和田琢磨が大阪市内で開かれた取材会で、それぞれの思いを実体験も交えて語った。conSept Musical Drama #7 SERI~ひとつのいのち」チケット情報同作はニューヨークで会社を経営する倉本美香氏の手記『未完の贈り物』を元にミュージカル化。両眼性無眼球症で知的障害を抱え、言葉が話せない千璃(山口)を、母親の美香(奥村)と父親の丈晴(和田)が悩み苦悩しながらも育て、家族が再生していく姿を綴る。実在人物を演じることについて山口は、「責任もあるし、嘘のないように演じたい。誕生から主に6歳までの千璃ちゃんを、魂と実体に分けて歌やダンスで表現しますが、彼女のピュアで豊かな感情を目一杯表せたらと思います」と話す。奥村は「実在人物を演じるのは圧ではありませんが、ドキドキします。作品には家族の苦悩や喜びが描かれていて、私の役割は私の声や体を使ってそれをお届けすること。たくさんある素敵な要素も皆で見つけて表現していきたいです」と語る。和田も「ご本人たちとお会いしたわけではないですが、台本を信じて真摯に向き合うことが役者の務め。いい作品にしたいという出演者の思いがご家族に届いて、観客にも何か与えられると信じて頑張ります」と意気込んだ。障害と共にどう生きるかが物語のテーマ。「普段、生活していても分からない、目に見えない障害もある。障害がある人は、こういう場合はしんどいんだとか、自分の中に持っていなかった新たな視点が生まれ、他人事ではないと感じてもらえれば」と奥村。山口は「もう亡くなりましたが、私の祖父は目が見えなくて障害は身近でした。でも、身近すぎて、祖父が何を感じているのか聞いたことがなかったんです。足音で私が来たことがいつも分かり、『なんで分かるの?』ということすら当たり前すぎて聞けなかった。今回は、障害と生きていくのがどういうことかを向き合って学べる機会だと。より深く知り発信することでつながっていきたいです」と打ち明ける。和田は「今はひとりで生活できるぐらいに回復したんですけど、4年前に僕の父親が100万人に一人という脳の病気になって働けなくなった。『和田さん一家は美男美女でうらやましいね』と言っていた周りが急にコロッと変わったり、家族とも距離ができたりして、状況が急変することを実感しました。『SERI』は家族や周りの人間に対して、思ってはいたけれど言葉にできなかったことを話す勇気を与える作品。お客様にもそのきっかけになればいいなと思います」と力を込めた。公演は10月6日(木)から16日(日)まで東京・博品館劇場、10月22日(土)・23日(日)大阪・松下IMPホールにて。チケットは8月27日(土)一般発売開始。一般発売に先駆け、8月13日(土)11:00から17日(水)11:00まで大阪公演のチケット先行抽選プレリザーブ受付実施。取材・文:米満ゆう子
2022年08月24日『シュレック・ザ・ミュージカル』トライアウト公演が、8月15日のプレビュー公演を経て開幕した。観劇と初日会見の模様をレポートする。ドリームワークス制作によるアドベンチャーコメディ映画『シュレック』シリーズの第1作(2001年)を、デヴィッド・リンゼイ=アベアーの脚本・作詞、ジニーン・テソーリの作曲でミュージカル化した本作。米ブロードウェイ初演版(2008年)を凝縮した90分のトライアウト公演として日本へ初上陸するにあたって、翻訳・訳詞・音楽監督を小島良太、演出・振付を岸本功喜が手がける。人里離れた森の沼地で気ままに暮らしていた怪物シュレック(spi)は、領主ファークアード卿(泉見洋平)から追放されたおとぎ話のキャラクターたちと遭遇する。静かな生活を取り戻したいシュレックは追放令を取り消すよう交渉。すると、彼が結婚を望む囚われのフィオナ姫(福田えり)を城から助け出すことを交換条件に出される。軽妙に喋るロバ・ドンキー(吉田純也)を道連れに仕方なく救出の旅へ出たシュレックは、やがて“真実の愛”を見つける。シュレックやフィオナ姫の置かれた境遇の背後には、いま社会全体で警鐘が鳴らされているルッキズムの弊害が見え隠れする。だがこうした世相を、キャスト・スタッフが生み出す“笑い”でコーティングしているのが本作の魅力といえるだろう。spiは卑屈ながら心の奥底に優しさを秘めたシュレック像を実現するだけでなく、緩急自在の“間”を使い分け抜群のコメディセンスを発揮。特殊メイクで表情はわかりづらいものの、繊細かつ力強い歌声から伝わるキャラクター像は非常に雄弁だった。福田が打ち出す強烈なヒロイン像にも笑わされた。救出の瞬間をロマンチックな出逢いの場にしようと目論む、シュレックとの不幸自慢をオナラ&ゲップ合戦(=子どもの観客に大ウケ)に発展させるなど枚挙に暇はないが、次々と繰り出されるコミカルな立ち居振る舞いが作品の明るさを支える。お喋りが止まらない陽気な吉田ドンキー、出オチ感に満ちた泉見ファークアード卿も劇世界のキャラクターになりきり、実力派揃いの“歌うまモンスター”が客席の爆笑をかっさらっていた。閉幕後には初日会見が実施され、spiと応援サポーターを務めるハリセンボンの近藤春菜が出席。長年「シュレックじゃねーよ!」と否定し続けてきたからこそ「作品との縁が生まれた」と持ちネタを交えてコメントした近藤は、「特殊メイクをした姿であれほどの歌唱力と演技力、感動しました!」とspiを絶賛する。spiの「差し入れにクッキーやラーメンを頂戴して」というボケに、近藤はステラおばさんや角野卓造といったおなじみの名前を出して応戦。報道陣を和ませた。上演時間は約115分(20分休憩を含む2幕)。公演は8月28日(日)まで、東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年08月18日2022年秋、ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』日本版が東京と大阪で再再演される。経営不振に陥った靴工場の跡取り息子チャーリーと、ドラァグクイーンのローラが出会い、ブーツ作りに奮闘する物語だ。初演・再演に引き続き出演する小池徹平と、新たにローラ役に決まった城田優は、高校の同級生同士で初共演となる。だからこそ小池は「頼もしい。夢のよう。気心が知れている。彼(城田)ならやってくれる」と信頼を寄せる。一方の城田は、日本版オリジナルメンバーの中に飛び込むプレッシャーから「不安しかないけど、頑張ります」と少し小声になる。しかし、小池が「大丈夫か!弱気じゃない!?」と明るく声をかけると、城田はほぐれた声で「弱気よ、弱気~」と素直に返す。互いへの安心感が感じられる2人だ。城田がローラ役のオーディションを受けるにあたり、小池からは「やってほしいな」と連絡をしたという。「気心が知れてかつローラをやれる実力を兼ね備えた人じゃないと無理だなと思って、優しか浮かばなかった。今、いろんな思いを乗り越えて、優がローラにチャレンジしてくれて、一緒に挑戦できるのは非常に嬉しい。優のおかげでより楽しみになった」(小池)。また2人は、初演からローラを演じていた三浦春馬への思いを丁寧に語る。小池は「最初は「できない」って思った。でも『キンキーブーツ』のプロデューサーの思いが強く、(自分も)やると決めたのでブレることはない」と言い切る。城田もまた「彼(三浦)への思いはすごく強い」と語る。「でもコピーするわけでなく、しっかりと自分なりのローラを演じないと。ぽっかり開いてしまった穴は、誰がやるにしても大きなプレッシャーがかかる。彼の素晴らしい才能と努力をふくめ完成したローラ、その舞台が本当に素晴らしかった。他の作品とは話や気持ちがまったく違うので、まっとうしないといけない。やるからには楽しまないと。ローラは自分を肯定することが大切な要素だから、体現しないといけない」(城田)。本格的な稽古を前に、城田は「既に本番を経験しているカンパニーの中に新しく入っていく。本稽古の初日にどこまであげられるか」と意気込む。その様子を微笑んで見ていた小池は「優を含めたニューカンパニーをどう楽しんでいただけるか。緊張や萎縮をしている時間はもったいない。このカンパニーにきたら楽しいよと思ってほしいから」と、力強く語った。取材・文河野桃子
2022年08月17日8月15日から8月28日にわたって、東京建物 Brillia HALLにて上演される『シュレック・ザ・ミュージカル』トライアウト公演がライブ配信されることが決定し、併せてアフタートークショーの開催が発表された。ライブ配信されるのは、8月15日(月) 18時に上演されるプレビュー公演。視聴チケットの発売期間は8月10日(水) 10時から8月15日(月) 20時までとなっている。『シュレック』は、『マダガスカル』『カンフー・パンダ』など数多くの子供向けアニメ映画を手掛けてきた、ドリームワークスが2001年に制作したアドベンチャーコメディ映画。「仲間との絆」や「真実の愛」、「困難に立ち向かう」という普遍的テーマをジョークやパロディ満載で描いた作品で、2008年にブロードウェイにてミュージカル化され大好評を博した本作が、日本初上陸する。キャストは、オーディションによって選出されたspi、福田えり、吉田純也、泉見洋平など、歌と演技を兼ね備えた面々に加え、次世代のミュージカルを担う若き俳優たち出演する。<公演情報>『シュレック・ザ・ミュージカル』トライアウト公演2022年8月15日(月) ~28日(日) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)※15日(月) はプレビュー公演『シュレック・ザ・ミュージカル』ロゴ【スタッフ】原作:ドリームワークスアニメーション『シュレック』/ ウィリアム・スタイグ『みにくいシュレック』脚本・作詞:デヴィッド・リンゼイ=アベアー作曲:ジニーン・テソーリ翻訳・訳詞・音楽監督:小島良太演出:岸本功喜振付:岸本功喜振付:中塚晧平美術:松生紘子照明:日下靖順(ASG)音響:遠藤宏志(アコルト)映像:O-beron inc.衣裳:永橋康朗(はせがわ工房)ヘアメイク:小竹珠代特殊造型:林屋陽二歌唱指導:小島良太稽古ピアノ:森本夏生演出助手:坂本聖子 / 加藤由紀子舞台監督:辻 泰平(DDR)技術監督:堀 吉行(DDR)制作:S-SIZE主催・企画・製作:フジテレビジョン / アークスインターナショナル / サンライズプロモーション東京【出演】spi:シュレック福田えり:フィオナ吉田純也:ドンキー岡村さやか:ジンジャーブレッドマン ほか須藤香菜:ドラゴン ほか新里宏太:ピノキオ泉見洋平:ファークアード卿鎌田誠樹 / 鈴木たけゆき / 熊澤沙穂 / 岩﨑巧馬 / 大井新生 / 澤田真里愛 / 石田彩夏 / 大村真佑 / 小金花奈・矢山花(Wキャスト)【チケット情報】S席(大人):8,800円(全席指定・税込)S席(子供):4,000円(全席指定・税込)A席:6,000円(全席指定・税込)※4歳未満のお子様のご入場はできません。チケットはお一人様一枚必要です。(膝上不可)※S席(こども)の対象年齢は4歳以上12歳以下です。【日時】8月15日(月) プレビュー公演8月16日(火) 13:008月17日(水) 13:008月18日(木) 13:00 / 18:008月19日(金) 13:008月20日(土) 12:00 / 16:308月21日(日) 12:00 / 16:308月22日(月) 休演8月23日(火) 13:00 / 18:008月24日(水) 13:008月25日(木) 13:008月26日(金) 13:008月27日(土) 12:00 / 16:308月28日(日) 12:00※開場時間は、開演45分前となります。※15日(月) はプレビュー公演公演・チケットに関するお問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日 12:00~15:00 ※土日祝休業)【ライブ配信】配信公演:8月15日(月) 18:00視聴チケット料金:3,500円(税込)販売期間:8月10日(水) 10:00~8月15日(月) 20:00まで※アーカイブ配信(見逃し配信)は権利の都合上ございません。配信プラットフォーム:ZAIKO【アフタートーク】■8月15日(月) 18:00テーマ:演出・音楽監督と主演による見どころ / 聴きどころ、プレビュー公演後の感想出演:spi / 岸本功喜 / 小島良太(司会:吉田純也)■8月21日(日) 16:30テーマ:特殊衣装の裏話出演:岡村さやか / 須藤香菜 / 新里宏太 / 岸本功喜 / 小島良太(司会:吉田純也)■8月26日(金) 13:00テーマ:メインキャストによる秘蔵トーク出演:spi / 福田えり / 泉見洋平(司会:吉田純也)アフタートークのみ参加できるアフタートークチケットも販売致します。料金:500円(税込)発売日:8月10日(水) 10:00~チケットはこちら:公式HP:
2022年08月09日2016年、19年と日本中を熱狂の渦に巻き込んだブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』が2022年秋、東京・東急シアターオーブ 、大阪・オリックス劇場で上演される。三浦春馬が日本初演から2度にわたって演じたローラ役を、今回は三浦とも親交が深く、オーディションに自ら参加した城田優(36)が演じる。2月某日、都内で行われたビジュアル撮影の現場を取材した。撮影現場を盛り上げるため、繰り返し流れていたのは、本作の代表曲『Raise You Up』。そこにローラの扮装ーーロングヘアーのウィッグとドラァグクイーンメイクをまとい、赤いスパンコールのドレスと、ハイヒールの赤いロングブーツで現れた城田。個人的な第一印象を言えば「あぁローラがいる」という一言に尽きる。さまざまな期待と思いを背負っている城田ローラだが、その美しさと覚悟に見惚れた。最初はやや表情が硬かった城田。しかし、「もっと自由奔放に!」「目を見開いて!」「きれいよ!」などと、カメラマンの下村一喜氏の盛り上げもあって、一気に表情豊かなローラに変貌を遂げる。本人もモニターに映し出される写真を見て「一瞬、自分の母ちゃんに見える」などと笑う余裕も。首の角度から足の組み方まで、何通りも試して、その中からベストショットを選んでいく。ビジュアルは想像以上の仕上がりで、スタジオにいたスタッフたちも大絶賛していた。続いて、初演からチャーリー・プライス役を演じる小池徹平(36)と城田の2ショット撮影。小池は3回目のチャーリー役ということもあり、カメラの前では、とびきりのスマイルで応えた。高校の同級生だった二人の息はぴったり。城田が「当時の自分たちに20年後はこんなことやっているよと見せてやりたいよな」と話す場面や、小池が本作の振付をさり気なくレクチャーする場面も見られた。12cmを超えるヒールを履きこなすのはなかなか難しそうだが、城田は「春馬も家で履いてたもんな」とぽつり。城田と小池をはじめ、カンパニー一同がどんな新生『キンキーブーツ』を私たちに見せてくれるのか。楽しみにしていたい。取材・文:五月女菜穂撮影:石阪大輔
2022年08月08日8月にトライアウト公演が行われる『シュレック・ザ・ミュージカル』。全役オーディションで1300人を超える応募者から見事タイトルロールを射止めたspiが、7月中旬に行われた取材会で胸中を語った。ドリームワークス製作によるアドベンチャーコメディ映画『シュレック』シリーズの第1作(2001年)を、デヴィッド・リンゼイ=アベアーの脚本・作詞、ジニーン・テソーリの作曲でミュージカル化した本作。米ブロードウェイ初演版(2008年)を凝縮した90分のトライアウト公演として日本へ初上陸するにあたって、翻訳・訳詞・音楽監督を小島良太、演出を岸本功喜が手がける。「自分の考える“シュレックらしさ”はいったん脇に置いて、この音楽を楽しんじゃえ!と突き抜けた瞬間がありました」とオーディションのハイライトともいえる二次審査を振り返ったspi。「審査員も自分も恥ずかしくなるくらい弾ける笑顔で歌って踊って、時にはフェイクまでかましちゃって。自分の殻を破れたことを評価していただいたのかもしれません」とシュレックを掴み取るまでの手応えを語る。シュレックはどんなキャラクターか、改めてspiに尋ねてみた。すると「世間から汚いと忌み嫌われているものを愛する審美眼の持ち主で、周りとズレているコンプレックスから社会に馴染めない」「だからあえて孤独を選び一人で暮らしている」とコメント。同時に「個人的に好きで毎日買っていた自動販売機のドリンクが、売れ筋じゃないからといって突然別の商品に入れ替わってしまった。これも世の中とのズレ。僕をはじめ30~40代男性がよく苛まれる小さな絶望の究極体みたいな存在が、シュレック」と自身の境遇に置き換えて例え、報道陣を笑わせることも忘れない。劇中ではそのシュレックが、囚われの身である姫・フィオナ(福田えり)を救い出す冒険に出る。道中で出会う喋りが達者なロバ・ドンキー(吉田純也)の「一人で大丈夫なやつなんていない」という意見に同意しつつも強がってしまうシュレックに、spiは「共感する」という。「一般的な価値観とのズレにコンプレックスを感じつつも、どこかでみんなと繋がっていたい気持ちがあるんです。なので僕の中にある感情のボリュームを上げるイメージでシュレックと向き合えたら」と率直に胸の内を明かし、インタビューを結んだ。公演は8月15日(月)~28日(日)に、東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年08月05日ミュージカル『東京ラブストーリー』の製作発表会見が2022年8月2日(火)、東京都内で行われた。原作は、日本のみならず、アジア諸国で今もなお絶大なる人気を誇る漫画『東京ラブストーリー』(作:柴門ふみ、小学館『ビッグスピリッツコミックス』刊)。原作はバブル時代の東京を舞台としているが、ミュージカル版では設定を2018年春から19年春という設定に置き換え、オリジナルのキャラクターも登場する。コロナ禍前、希望を持って東京で暮らす完治、リカ、三上、さとみの4人を中心とした恋愛模様を描いていく。本作は〈空キャスト〉と〈海キャスト〉の2チームで上演される。〈空キャスト〉として永尾完治役を演じる柿澤勇人は「ミュージカル化すると聞いたときに、不安とかそういうことではなく、どうなっちゃうんだろうというワクワクがあった」と話す。柿澤は、自身が出演した『デスノート THE MUSICAL』での成功を引き合いに出しながら、「この『東京ラブストーリー』をまずは日本で成功させて、いつか海外に進出できるような作品にしたい」と気合を見せていた。〈海キャスト〉として同じく完治役を演じる濱田龍臣は「本当に緊張してて、今も頭が真っ白」と話すなど、会見では終始緊張していた様子だったが、「令和の今の時代だからこそ見せられる『東京ラブストーリー』になっていると思う。自分自身まだまだ未熟な部分が多いので、完治と一緒に歩んで成長していきたい」。和賀夏樹役の高島礼子は、原作漫画やドラマがヒットした頃を振り返りつつ、「デビューして間もない頃で、仕事にも恋愛にも何か思い悩んでいたときだったが、この『東京ラブストーリー』にすごく力をもらった記憶がある」。そして「年齢問わず絶対に楽しんでいただける作品。多くの人に当時私が受けた感動を伝えられたら」と語っていた。音楽はジェイソン・ハウランド、脚本・歌詞は佐藤万里、演出は豊田めぐみ。そのほか、笹本玲奈、廣瀬友祐、夢咲ねね(以上、空キャスト)、唯月ふうか、増子敦貴、熊谷彩春(以上、海キャスト)、綺咲愛里らが出演する。東京公演は2022年11月27日(日)~12月18日(日)、東京建物BrilliaHALL。大阪公演は12月23日(金)~25日(日)、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ。愛知公演と広島公演の詳細は今後発表される。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年08月04日8月末にかけて3チーム制で上演される二人芝居のミュージカル『ダブル・トラブル』が、7月28日に開幕した。同日昼に公開されたゲネプロと、3チームのキャスト全員が揃った取材会の模様をレポートする。『ダブル・トラブル』は、ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン兄弟が脚本・作詞・作曲を手がけたコメディ。たった数時間でハリウッド映画の楽曲を完成させることになった作詞・作曲家兄弟の奮闘がおもしろおかしく描かれる。次々と舞い込むトラブルを乗り越え、彼らは仕事と恋を成就させることができるのか──。今回の上演版も昨年同様に、翻訳・訳詞を高橋亜子、演出をウォーリー木下が続投する。ゲネプロには「2022夏 Season A」チームから、浜中文一(作詞家の弟ボビー)×相葉裕樹(作曲家の兄ジミー)ペアが出演した。彼らは自身の役だけでなく社長秘書、兄弟のアシスタント、音響エンジニア、振付師といった10種のキャラクターを代わる代わる務め上げる。出ハケや衣裳替えの手数が圧倒的に多く舞台裏の奮闘がイメージされる中、二人が共通で演じる艶っぽいスター女優の存在感がことさら笑いを誘った。常に真顔でガニ股気味の浜中、セクシーを意識しすぎるあまりトゥーマッチな言動に陥ってしまう相葉の対比が何ともおかしい。取材会には浜中・相葉のほか、「2022夏 Season A」の回替わりWキャストでもある日野真一郎(LE VELVETS)に横山賀三、「2022夏 Season B」の林翔太×寺西拓人ペア、「2022夏 Season C」の原田優一×太田基裕ペアも燕尾服姿で登壇した。浜中は「記者の皆さん必死に撮影しているから客席が静まり返っていて……コメディなのに笑ってもらえず心が折れました」と冗談を交えながらゲネプロを振り返り、相葉も「自信を持てる点・改善すべき点が明確になりましたよね」と続く。日野の「歌も芝居もごまかしがきかない、役者が丸裸にされる作品」というコメントに反応したのは、昨年も本作に登板した原田×太田ペア。原田が「スタッフから本当に“丸裸”にされます」と舞台裏を語ると、太田が「帽子が被れていなかったりボロが漏れ出てしまう僕たちの悪戦苦闘ぶりもどうか笑っていただけたら」と呼びかける。そんな二人を作品の“師匠”と呼ぶ林は「やっとお会いできました!」と笑顔を見せ、寺西も「師匠やSeasonAキャストの奮闘を引き継いで走り抜けたい」と決意を語っていた。上演時間は約150分(20分休憩を含む2幕)。「2022夏 Season A」は8月14日(日)まで、東京・オルタナティブシアターにて。「2022夏 Season B」は8月16日(火)~30日(火)に東京・よみうりホール、「2022夏 Season C」は東京・自由劇場で上演される。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年07月29日大ヒットミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』の世界を体験できる『ハリウッド版 ラ・ラ・ランド ザ・ステージ 初来日公演』が8月18日(木)から21日(日)まで東京国際フォーラムホールAにて開催される。既存のフィルム・コンサートにはなかった、ダンサーたちのライブ・パフォーマンスをはじめ、華やかな花火や特殊効果、60名の大合唱団、88名編成のフルオーケストラとジャズ・バンドの生演奏、そして映画本編の映像。すべてが融合し、スケールアップした規格外の究極のステージ・エンターテイメントだ。公演のオフィシャルPRアンバサダーを務めるのは「3時のヒロイン」だ。メンバーのかなでは「映画がすごく好き。映画館で観た後も、何回も家で観ましたし、サウンドトラックも何度も聞いています」と語り、特に楽曲の「Someone In The Crowd」が好きで「洗濯物を干しながらよく聞いている」という。さらにハリウッドで上演された本ステージを資料映像で観たそうで「遠くからの映像だったんですけど、それでも音がすごくて!これを生で観たら大変なことになると思いました」。同じく福田麻貴も公開時からの『ラ・ラ・ランド』好きを公言。その理由を「主人公ふたりは夢を追いかける役。当時はまだ私も芸人として全然食べれていない時期で。夢を追うのか、生活を大事にするのか。すごく現実的な物語なんですけど、演出はファンタジーで、夢の世界に誘ってくれるような演出だった。そこまで傷つけずロマンチックに夢を見させてくれるバランスが好きでした」と話す。本ステージについても「『ラ・ラ・ランド』の世界観を、肌で感じられるし、なんなら心臓にまで響いてくるはず。普段イヤホンで音楽を聞いているよりも、何十倍もその世界観を体験できる空間だと思うので、とても楽しみ」と期待を寄せる。作曲者のジャスティン・ハーウィッツが1985年生まれと告げると、福田は「そんな若いの!だからあんなセンスいいんや」と一言。「ちょっと普通のミュージカルと質が違うし、全体的に洗練された空気感が漂っている。それは音楽によるところが大きいと思うので、どんなセンスで生きてきたのか聞いてみたいですね」(福田)。また公演について福田は「コロナ禍になったからこそ余計に思うのが、生ほど突き動かされるものないなと。生でしか体験できないことってあるし、生の舞台を観にいくと、次の日から何かが変わるんですね。絶対に自分を変える体験があると信じて、行ってみてほしいです」とコメント。かなでも「こんなに大ヒットしている映画のステージが過去に1回だけハリウッドで上演されて、それがここ東京に来てくれるということがすごい。本当に今しかないと思うんですよね。この夏絶対に観た方がいいと思います!」とPRした。取材・文:五月女菜穂
2022年07月29日世界的な一大ブームを巻き起こした「ハイスクール・ミュージカル」のドラマシリーズ「ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル」のシーズン3が、7月27日(水)より「Disney+(ディズニープラス)」にて独占配信開始。その予告編が解禁となった。本作は、オリジナル作品の「ハイスクール・ミュージカル」が撮影されたイースト高校を舞台に、演劇部のメンバーがあの「ハイスクール・ミュージカル」を新作ミュージカルとして企画したところから始まった本シリーズ。シーズン3となる今回の舞台はサマーキャンプ。この夏、「ワイルドキャッツ」が挑むのは、大ヒットディズニー映画『アナと雪の女王』。お馴染みのメンバーが、学校を飛び出して、カリフォルニアのキャンプ場で音楽やダンス、演技でさらなる高みを目指すために練習に励む。大自然の中で、門限もなく、心も体も開放された彼らは、とっておきの“忘れられない夏”を過ごすことに。実力派キャスト陣による、さらにパワーアップした圧巻のパフォーマンスも披露される。オリジナルの「ハイスクール・ミュージカル」をはじめ、『アナと雪の女王』や『キャンプ・ロック』などの楽曲パフォーマンスは必見!今回解禁となった予告編映像では、「ワイルドキャッツ」のメンバーが歌やダンス、そして全米でも大人気のカープール・カラオケを披露する、キュートでエネルギッシュな姿が映されている。友情や恋愛、新たな出会いなど、盛りだくさんの夏休みを過ごす様子はまさに青春そのもの。キャストには、シーズン1、2に引き続き、グラミー受賞シンガーでもあるオリヴィア・ロドリゴ(ニニ役)ほか、ジョシュア・バセット(リッキー役)、ソフィア・ワイリー(ジーナ役)、マット・コーネット(EJ役)などが続投。そして、今シーズンでは、キャンプのゲストコーチ役として、オリジナルの「ハイスクール・ミュージカル」でチャド役を演じていたコービン・ブルーが本人役で登場する。さらに、「ゾンビーズ」シリーズに出演し、一気にディズニーの次世代スターの仲間入りを果たしたメグ・ドネリーや、「モダン・ファミリー」ミッチェル役でもお馴染みで、トニー賞受賞歴もあるジェシー・タイラー・ファーガソン、アメリカのティーンに絶大な人気を誇るインフルエンサー兼ダンサーで歌手のジョジョ・シワ、「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」で主人公の兄役を演じていたジェイソン・アールズなど、豪華ゲストが続々登場する。また、ディズニープラスでは、オリジナル作品からキャストを一新し、現代の高校生たちが「ハイスクール・ミュージカル」の舞台を上演するまでの物語を描いたシーズン1と、春のミュージカル公演で披露する『美女と野獣』や最も優れた演劇部に贈られる“アラン・メンケン賞”を目指すまでの熱いドラマや成長していく登場人物たちの姿を描いたシーズン2も配信中。なお、シーズン3本編配信に先駆けて、ディズニー・チャンネル オリジナル・ムービー『キャンプ・ロック2 ファイナル・ジャム』の「It’s On」を本作キャストがカバーした先行トラックも配信中となっている。「ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル」シーズン3は7月27日(水)よりディズニープラスにて独占配信。(text:cinemacafe.net)
2022年07月20日第1部の芝居『ケイト・シモンの舞踏会~時間旅行でボンジュール~』と第2部の『氷川きよしコンサート2022in博多座』2部構成で、『氷川きよし特別公演』が上演される。堤泰之が作・演出を手がける第1部は、氷川演じる歌手志望の子門慧音(しもんけいと)が18世紀のフランスにタイムスリッブするという、笑ってワクワクして気がつけば物語の世界に引き込まれてしまう作品。そして第2部は劇場版特別セットリストで氷川の魅力が余すところなく披露されるコンサート。満を持して、故郷の博多座初座長として本公演にかける想いを聞いた。「第1部のお芝居は、喜劇もありながら現代的。ひとりで何役も演じますし、ワクワクしています。演じるうえでは、私がこれまで出会ってきたさばさばしていて結構きつめにものを言う、けどすごく私のことを考えてくれていた心の温かい人たちのニュアンスも活かしたい。のびのびと楽しく表現できるのではないかと、自分自身に期待しています。第2部のコンサートもこれまでの自分をつくってきた曲、これからの自分を表現する曲、衣裳も曲目もどんどん変えて、新鮮な気持ちで楽しめるものにしたいと思っています」開□一番、本公演の見どころを笑顔で語ってくれた氷川。今回は、東京、大阪、愛知の他、ついに故郷福岡・博多座での座長公演が公演間近とあり、大きな話題となっている。「18歳で上京して、今年45歳。福岡よりも東京での生活の方が長くなリましたが、やっぱり故郷は大切な原点。自分が東京で一旗揚げて親を守らないと、という思いが上京のエネルギーになりました。去年行なった劇場コンサートは、コロナ禍でしたが、ほぼ満員のお客様にお越しいただきました。故郷で歌うと涙が出ますね。『無法松の一生』など、演歌の名曲を皆さんすごく喜ばれて。本当にあリがたいと思いました」そんな熱い想いも込めてはいるが、お客様にはとにかく楽しんで欲しいと続ける。「テーマパークに来るようなワクワク感をもって劇場に来てもらえれば嬉しいですね。生身の人間たちが創りあげる華やかで夢のある時間を満喫していただきたいし、エンターテインメントで心の栄養をプレゼントできたらと思っています」福岡・博多座公演は8月15日(月)~27日(土)にて上演。チケットは好評発売中。そのほか、大阪・新歌舞伎座7月23日(土)~8月5日(金)、愛知・御園座9月5日(月)~15日(木)にて上演。
2022年07月11日山口悟のライトノベルを原作に、アニメ化もされ話題を呼んだ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」、通称「はめふら」が初の舞台化、6月30日(木)に東京・サンシャイン劇場にて初日を迎えた。「はめふら」は公爵令嬢、カタリナ・クラエスが、頭を石にぶつけた拍子に前世の記憶を取り戻す。それは前世で夢中になっていた乙女ゲーム『FORTUNE LOVER』の世界であり、自分がゲームの主人公の恋路を邪魔する悪役令嬢であり、ゲームでカタリナに用意されている結末は、ハッピーエンドでも国外追放、バッドエンドならば殺されてしまうということ。そんな破滅フラグはなんとしても回避して、幸せな未来を掴み取ってみせる!とカタリナが決意し、様々な人物を巻き込んでいく勘違い?人たらしラブコメディだ。カタリナを演じるのは2.5次元舞台に初出演となる太田夢莉。明るく元気なキャラクターを生き生きと演じている。またカタリナの婚約者ジオルド・スティアート役はTAKA(CUBERS)、義弟のキース・クラエス役は三浦海里、ジオルドの双子の弟であるアラン・スティアート役は安里勇哉、魔性の魅力の持ち主であるニコル・アスカルト役は市川慶一郎(9bic)。さらに小泉萌香、高橋果鈴、本西彩希帆、椎名鯛造、中西彩加、春咲暖らが出演する。舞台ではTVアニメの第1期をもとにしたストーリーを展開。さらに、全10公演中、各2公演ずつ、ジオルド、キース、アラン、ニコル、シリウスと乙女ゲームさながらにルートが分かれており、ルートによって本編途中のエピソードとエンディングが異なる他、カタリナといえばの「脳内会議」も「議長」「弱気」「強気」「真面目」「ハッピー」の5人のカタリナが登場し再現されるなど、見どころが満載。また、angelaが歌う大人気のオープニング曲「乙女のルートはひとつじゃない!」に合わせてキャスト全員が踊るシーンと、原作、アニメファンにもたまらない演出になっている。公演は7月5日(火)まで東京・サンシャイン劇場にて。本編途中のエピソード、及びエンディングが公演回替わりとなるため、各ルートの詳細は公演公式ホームページにて。チケットぴあでは開演前まで購入が可能な当日引換券を販売中。(C)山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
2022年06月30日ミュージカル『ファッション フリーク ショー(FASHION FREAK SHOW)』の日本公演がスタート。東京公演が、2023年5⽉19⽇(⾦)から6⽉4⽇(⽇)まで東急シアターオーブにて開催され、⼤阪公演が6⽉7⽇(⽔)から6⽉11⽇(⽇)までフェスティバルホールにて上演される。ミュージカル『ファッション フリーク ショー』日本上陸『ファッション フリーク ショー』は、世界的ファッションデザイナーであるジャン・ポール・ゴルチエの生い立ちからデザイナーとしての生涯を描いたミュージカル作品。パリで約25万人を動員した2018年の初演以来、世界中からのラブコールを受け、今回ワールドツアーが実施されることとなった。ジャン・ポール・ゴルチエ自身が演出&衣装デザインミュージカルの演出・デザインはゴルチエ自身が手掛けており、登場する衣装の数はなんと200点以上。ゴルチエの貴重なコレクションから選りすぐりの代表作・人気作はもちろん、このショーのためにデザインした新作も見どころとなる。劇中のオリジナル楽曲は、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」、デヴィッド・ボウイ「レッツ・ダンス」など世界的ヒット曲を生み出した音楽プロデューサーのナイル・ロジャーズが制作。また、振り付けは、マドンナ、クリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズ、ストロマエ、ミュージカル「レジスト」などのダンスを手がけたフランスの振付師、マリオン・モーティンが担当。コンテンポラリーからストリート、ジャズまで多岐にわたるダンスで作品を彩る。⽇本公演スペシャルゲストに中川勝就、美弥るりか『ファッション・フリーク・ショー』日本公演スペシャルゲストとして、「PRODUCE 101 JAPAN」で注⽬を集めた4⼈により結成されたボーイズグループOWVの中川勝就と、宝塚歌劇団出身の美弥るりかが登場。中川勝就は大阪公演、美弥るりかは東京・大阪公演の中で、ゲスト出演し、招聘来⽇カンパニーキャストと共に、ジャンポール・ゴルチエの⾐裳を⾝に纏いウォーキングを披露する。また、江⼝拓也、城⽥優、ナジャ・グランディーバ、七海ひろきもスペシャルゲストに名を連ねている。各ゲスト登場回にて、それぞれどのようなパフォーマンスを披露してくれるのかに注目だ。『ファッション・フリー ク・ショー』アフタヌーンティーバスツアーもまた、⽇本で唯⼀のアフタヌーンティーバスツアーとコラボレーションした、『ファッション・フリーク・ショー』スペシャルアフタヌーンティーバスツアーを5月30日(火)までの期間開催。キングピンクを基調としたバスの中で、ブランド発祥のフランスをイメージしたスイーツやセイボリーを味わうことができる。バスツアー単体のチケットに加え、アフタヌーンティーバスツアーと『ファッション・フリーク・ショー』の両⽅を楽しめるチケットも販売される。【詳細】ミュージカル『ファッション フリーク ショー』作・演出・⾐裳︓ジャンポール・ゴルチエキャスト:招聘来⽇カンパニーキャスト⽇本公演スペシャルゲスト:江⼝拓也、城⽥優、中川勝就(OWV)、ナジャ・グランディーバ、七海ひろき、美弥るりか ※五⼗⾳順※⽇本公演スペシャルゲストの各キャスト登場回については、オフィシャルHPなどにて確認。・東京公演上演期間:2023年5⽉19⽇(⾦)〜6⽉4⽇(⽇)場所:東急シアターオーブ(渋⾕ヒカリエ11階)住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1チケット料⾦: VIP席30,000円(特典付)/S席︓13,500円/A席︓9,000円・⼤阪公演上演期間:2023年6⽉7⽇(⽔)〜6⽉11⽇(⽇)場所:フェスティバルホール住所:大阪府大阪市北区中之島2-3-18チケット料⾦:VIP席28,000円(特典付)/S席︓12,000円/A席︓7,000円※VIP特典については、オフィシャルHPにて確認。■『ファッション・フリーク・ショー』スペシャルアフタヌーンティーバスツアー概要運⾏スケジュール:5月11日(木)〜5月14日(日)、5月19日(金)〜5月24日(水)、5月26日(金)〜5月30日(火)運⾏時間:1便⽬︓11:00〜12:30/2便⽬︓13:00〜14:30/3便⽬︓15:00〜16:30乗⾞時間:90分発着地:表参道塩⽥ビル前(246号線) 東京都港区南⻘⼭5-10予約⽅法:WEB事前決済料⾦:・ジャンポール・ゴルチエ『ファッション・フリーク・ショーS席チケット』付き『ファッション・フリーク・ショー』スペシャルアフタヌーンティーバスツアー 21,000円・『ファッション・フリーク・ショー』スペシャルアフタヌーンティーバスツアー⼤⼈(中学⽣以上) 8,300円・『ファッション・フリーク・ショー』スペシャルアフタヌーンティーバスツアー⼩⼈(⼩学⽣以下) 5,000円
2022年06月26日東京・南町田グランベリーパークの「ひつじのショーンビレッジ ショップ カフェ」から、予約限定のパーティープランが登場する。「ひつじのショーン」の世界観を楽しめるパーティープランイギリス発のクレイ・アニメーション「ひつじのショーン」をモチーフにしたカフェから、パーティープランがお目見え。定番の人気メニューや、プラン限定メニューなど、見た目にも可愛らしい料理を取り揃えているので、友人との集まりや記念日の祝いにぴったりだ。メニューは、とろっとした濃厚チーズに、ひつじのショーンを模ったワッフルなどをディップして味わう「ショーンのチーズフォンデュ」や、ショーンの仲間である3匹の可愛らしいブタを並べた「3匹のいたずらブタのガーデンサラダ」、ひつじのショーンに登場するキャラクターを飾ったキュートなケーキなどがラインナップする。オリジナルパフェのワークショップもまた、2022年6月25日(土)には、「オリジナルパフェ」を製作するワークショップを開催。ゼリーや生クリーム、色とりどりのフルーツ、アイシングクッキーなどをトッピングして、自分だけのパフェを作ることができる。【詳細】「ショーンビレッジ パーティープラン」3,500円/1人 ※WEB予約限定※2022年6月中旬現在発売中。<内容>3匹のいたずらブタのガーデンサラダ、ポテトフライ・オーブンディッシュ、ショーンのチーズフォンデュ、好みのケーキ、コーヒーor紅茶(HOT/ICE)※ポテトフライ・オーブンディッシュと好みのケーキは、当日メニューより選択。※パーティープランは3名から。■ワークショップ情報「シャーリーのオリジナルパフェを作ろう!」開催日時:6月25日(土) 10:00~11:00参加方法:公式サイトより予約料金:2,750円 ドリンク付※内訳:大人1名(1,650円)+小人1名(1,100円)※料金には2名分の材料費込み。※大人のみでの参加は1人1,650円※予約は先着順。※1組最大人数は4名。■店舗情報場所:「ひつじのショーンビレッジ ショップ&カフェ」住所:東京都町田市鶴間3-4-1グランベリーパーク セントラルコート ワンダーシアター1F H105営業時間:10:00~22:00TEL:042-850-6940SHAUN THE SHEEP AND SHAUN’S IMAGE ARE TM AARDMAN ANIMATIONS LTD. 2022
2022年06月18日榛名由梨の舞台生活60周年記念公演が10月12日(水)から16日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて開催、ミュージカル『永遠物語』~岩下俊作・作『無法松の一生』より~を上演する。「ミュージカル 永遠物語」チケット情報本作は、榛名由梨が宝塚歌劇団に在団中の1982年に宝塚バウホールで初演し、大好評を博した作品。初演以降も再演を重ね、今回は50周年記念公演での上演から10年ぶりとなる。岩下俊作の小説『無法松の一生』をもとにミュージカル化した本作は、「無法松」と呼ばれる荒くれ者の人力車夫・富島松五郎の純愛を描いた物語。今作では、松五郎を榛名が演じるほか、吉岡夫人に麻乃佳世、吉岡敏雄に燁明、結城豊造に寿ひずる、富島よねに若葉ひろみを迎えるなど、宝塚OGを中心とする豪華共演でお届けする。チケットは7月30日(土)10:00より一般発売開始。
2022年06月17日感情豊かでのびやかな美声と卓越したダンス力でミュージカル界の注目を集める小野田龍之介が、日本初演30周年記念公演のミュージカル『ミス・サイゴン』に出演する。一見、狂言回しのエンジニアやベトナムの少女キムに目が向く作品だが、小野田が海宝直人、チョ・サンウンと交互キャストで演じる米兵クリスもキーパーソンだ。小野田がその思いを熱く語ってくれた。ミュージカル「ミス・サイゴン」 チケット情報1970年代のベトナム戦争末期、戦争孤児のキムと米兵のクリスは恋に落ちる。しかし、陥落寸前のサイゴン混乱の中、キムと離ればなれになったクリスは、母国に戻り、後に米国人女性エレンと結婚する…。6年前にもクリスを演じた小野田は「演じる前から、クリスは世の女性やお客さまから、本当に嫌われる役だなという印象が強かったんです(笑)」と明かす。「“君だけだよ”と言っているのにアメリカに戻ったら別の女性と結婚し、今の時代なら非難を浴びそうですけど(笑)、演じてみるとあの時代だからこそ選択した道というのがある。僕は毎回、クリスの役の価値を上げたい、真意を伝えたいと思っています」と力を込める。『ミス・サイゴン』を作る過程で、キャストは様々な戦争映画やドキュメンタリーを見て参考にするそうだ。「軍人たちは戦争の目的とは別に、破壊行為に走ることがあります。クリスも自分でコントロールできなかった瞬間がたくさんあり、子どもや女性を間違えて撃ってしまい、深い自責の念を抱く中で、キムと出会ったことが自分の贖罪になった。背負った罪を彼女で浄化することができるかもしれない。キムを守り抜くのが使命だと思っていたんです」。『レ・ミゼラブル』のクリエイティブ・チームによる、心に染み入る楽曲も特徴だ。「クリスとキムが歌うシーンは、特にロマンティックですが、ふたりに課せられているのは、絶対に離れないという狂おしいほどのエネルギー。歌っていてこんなにも汗がこぼれる大変なシーンだとは思っていなくて。エネルギーが違った方向へ向くと、チャラチャラした男に見えてしまうので、互いを求める強い力を大切に歌いたいです」。クリスと結婚するエレンについてはどうだろう?「クリスは戦争のすべてを忘れたいと思っている。心にトラウマや傷を負った兵士や市民がたくさんいて、彼も例外ではない。クリスは聖母のような存在のエレンに心を救われた男なんですよね」。自身も年を重ねた今回は、「3人の愛の形」をより大切に演じたいという。2020年の再演はコロナ禍のため中止。世界では新たな戦争も勃発した。「改めて世界に対する祈り、生きるための祈りを深く描いた作品だと痛感しました。今まで以上の覚悟を持って、その祈りを届けたいです」。公演は7月24日(日)から8月31日(水)まで東京・帝国劇場(7月24日(日)から28日(木)はプレビュー公演)、9月9日(金)から19日(月・祝)まで梅田芸術劇場メインホール、その後、愛知、長野、北海道、富山、福岡、静岡、埼玉を巡演。大阪公演のチケットは6月19日(日)一般発売。取材・文:米満ゆう子
2022年06月13日2020年にコロナ禍で中止になり、今年再演されるミュージカル『ミス・サイゴン』は、奇しくも日本初演から30周年を迎える。エンジニア役の伊礼彼方と、キム役の昆夏美が大阪市内で開かれた取材会で思いを語った。ミュージカル「ミス・サイゴン」 チケット情報ベトナム戦争末期、エンジニア(伊礼のほか、市村正親、駒田一、東山義久の交互出演)が経営するキャバレーで働くベトナム人の少女キム(昆のほか、高畑充希、屋比久知奈の交互出演)は、アメリカ兵クリスと恋に落ちるが、サイゴン陥落の中、二人は引き離されてしまう…。社会の底辺から這い上がってきたエンジニアは、アメリカン・ドリームを夢見る貪欲なキャラクターだ。今回、初出演となる伊礼は、「オーディションのとき、今の僕は狼で、求めているのはハイエナだと言われた。この2年間で演じる引き出しも増え、ハイエナになる準備ができています」と語る。「エンジニアはフランス系ベトナム人で、僕はハーフ。僕も日本にきた時は、見た目や言語、文化が違い、自分だけが世界から取り残された気分で孤独を感じていた。その孤独を埋めるために悪ガキだった時期があり、エンジニアには同じような部分を感じる。彼は女の子を道具にし、人をモノとしか思わない。そういう接し方をしないと自分が保てないんじゃないかと僕は捉えていて、哀れな悲しい男だなと。その感情を隠し持った上で演じたいですね」と意欲的だ。一方、キムに扮するのは今回が3回目になる昆。「キムという役に出会ったころ私は20代で、パワーや前に向かっていく気持ちが強く、演じるにあたってそれがいい作用を及ぼしていた」と振り返る。若くして母親になるキムだが、「私に子どもはいませんが、友達に子どもが生まれたりして、年齢を重ねてきたぶん、変化が出てきました。少女が必死に生きてきただけではなく、母の面もプラスして見せられたらと思います」と話す。伊礼が、「昆さんが息子タムをどう抱くのか楽しみ。子どもの抱き方で愛情や役者がどこまで役を掘り下げているかが伝わってくるので」と言い、彼女を見つめると、昆は「顔を向けて言われたら怖い(笑)。頑張ります…」とうろたえ気味に応じ、会場は笑いに包まれた。また、お互いの役の印象については、「伊礼さんのエンジニアは本当にカッコよくて、華と色気がある」と昆が語れば、伊礼も「昆さんはキムを演じるのが3回目ですが、今もピュアさがあって素晴らしい」と昆を絶賛。本番でぜひ、確かめてほしい。7月24日(日)から28日(木)までプレビュー公演、7月29日(金)から8月31日(水)まで東京・帝国劇場、9月9日(金)から19日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。その後、愛知、長野、北海道、富山、福岡、静岡、埼玉を巡演。チケットは順次発売。6月11日(土)10:00より大阪公演のチケット先行先着プリセールを実施。取材・文:米満ゆう子
2022年06月10日音楽、才能、愛、裏切り、そして夢――。今、新たなオリジナルミュージカルが誕生しようとしている。都内スタジオで行われたミュージカル『スワンキング』の通し稽古。初日まで約2週間となったこの日、稽古場を見学する機会を得た。キャスト、スタッフともに全員不織布マスクを着用しての稽古だったが、そんな状況を軽々と飛び越えるカンパニーの熱量と劇世界の広がりに、胸の高まりが収まらない時間となった。舞台は19世紀のバイエルン王国。“狂王”とも呼ばれたルートヴィヒ二世と“天才”作曲家・ワーグナーとの関係を軸に、激動の時代を生きた人々の物語が紡がれる。白鳥王ことルートヴィヒ二世を演じる橋本良亮。立ち姿の美しさと全身からにじみ出る気品、その凛々しい佇まいで場をけん引する姿が頼もしい。音楽を愛し、芸術で諸国を平和に導こうとするも国民には理解されず、次第に孤独に苛まれる姿が胸に迫った。天才的な音楽家・ワーグナー役の別所哲也。天賦の才を宿す芸術家でありながら、プライベートでは欠落の多い人物を人間臭く、チャーミングに演じる。クセの強さと輝く才能とを手品のように切り替え見せるさまは流石のひとこと。この2人を取り巻くキャラクターも非常に魅力的だ。偉大な作曲家・リストの娘で夫を持つ身でありながら、ワーグナーのもとへ走って彼を支え、次第にプロデュースすらしていくコージマ(梅田彩佳)、敬愛するワーグナーに妻を奪われ苦悩する指揮者のビューロー(渡辺大輔)、その優しさゆえに心がむしばまれていくルートヴィヒ二世の弟・オットー(今江大地)、宰相として冷静な視点を持ち国王を支えるルッツ(牧田哲也)。さらに『スワンキング』にはミュージカルラバーに馴染み深い人物も登場する。その筆頭が夢咲ねね演じるエリザベート(シシィ)だ。じつはシシィ、史実でもルートヴィヒ二世にとっては姉のような存在で、この作品では特に冒頭とラストで重要な役割を果たす。シシィの妹・ソフィや母・ルドヴィカも作中に存在するので、ミュージカル『エリザベート』と同時代の物語という視点でも楽しめそうである。日本のオリジナルミュージカルのアキレス腱が音楽ともいわれるが、本作『スワンキング』においてそのロジックは通用しない。これまでおもに三谷幸喜と組み『ショーガール』や『日本の歴史』といった作品を成功させてきた荻野清子の楽曲は壮大かつ繊細で、一瞬のうちに私たちを19世紀のバイエルンへと連れ去ってくれる。歌詞は脚本と演出を手掛けるG2が担っており、非常に自然で面映ゆさを感じさせない。この日の稽古場ではピアノ演奏のみだったオリジナル楽曲が生のオーケストラで奏でられ、手練れの俳優たちが歌うさまを想像するだけで心が劇場へと飛んで行くようだ。通し稽古を取材して、本作のテーマのひとつが“夢”だと感じた。ワーグナーは荘厳なオペラを自身が願った劇場で上演する“夢”を叶えるが、彼の1番の理解者、信奉者と自負するルートヴィヒ二世の“夢”は潰える。芸術を愛し、音楽の力を信じたスワンキングの“夢”が白い衣とともに湖の奥へと消える姿はとても美しく、そしてせつない。彼は最後にどんな“夢”を見たのだろう。『スワンキング』は史実を基に脚本や楽曲が書き下ろされた完全オリジナルミュージカルだ。日本のオリジナルミュージカルに先入観がある人や、どこか気恥ずかしさを感じる人にこそ、この作品の世界観を体感してほしい。初演の客席にいたことを、後できっと自慢できるはずだから。美しき白鳥王と不完全な天才が織りなす物語の幕がもうじき上がる。新たなオリジナルミュージカルの扉が開くその時が楽しみでならない。取材・文=上村由紀子(演劇ライター)
2022年06月08日ブロードウェイミュージカル『ピピン』が2022年8月30日(火)から東急シアターオーブで開幕する。もともとミュージカル『シカゴ』や映画版『キャバレー』で知られる鬼才ボブ・フォッシーによる演出と振付で1972年に初演された本作は、2013年に新演出版がブロードウェイで上演され、同年のトニー賞でミュージカル部門・最優秀リバイバル作品賞を含む4部門を受賞。日本では2019年に城田優主演で新演出版が上演されているが、今回は主演のピピン役に森崎ウィン、キャサリン役に愛加あゆを迎えての上演となる。19年に引き続き、ピピン の祖母・バーサ役を演じる前田美波里に話を聞いた(※中尾ミエとのWキャスト)。「(再演を)待ちに待っていました」と語る前田。前回の公演をご覧になった方は鮮明に覚えていらっしゃる方も多いだろう。前田は作品の中で、空中ブランコのアクロバットに挑戦したり、美脚を大胆に露出したりと、観客にとにかく強烈なインパクトと感動を与える役を熱演。「見せ場はたった1つ。『No Time At All』という曲だけ。でもそれがこの作品のテーマの中でどれだけ大切か。良い仕事をさせていただけて、本当に幸せです」と振り返る。前田は1948年8月生まれ、現在73歳。「人間、年齢が来ると身体が言うことを聞かなくなったりしますが、なるべくそうならないように自分を鍛えて鍛えて、きょうまでやってきました」とプロの意地を見せるが、実際、前回は初めてのアクロバット経験で、稽古はなかなかに苦労した様子。「最後の3、4回ぐらいですけど、ようやく本番中のパフォーマンスで、相手に自然と身体を委ねることができたんです。すごく気持ちよかった。今回の公演では開幕からそういう風になれるように努力したいです。年齢も年齢だから怖いけれど、頑張ります」と意気込む。コロナ禍で公演中止も経験。「舞台がないと、何のために生きているか分からない。それぐらい舞台が好きなんだと再認識しました。舞台というまな板の上に立って、演出家にお料理されて、それをおいしそうにお客様が食べてくださる、観てくださる。それが何より幸せですね」。幼少の頃から励んでいたクラシックバレエや、ひょんなことで数年間習っていたという日舞、出演していたレビューといった経験が、回り回って今の俳優人生に活きていると感じている。「人間って、結局、損することはないの。この作品のテーマでもありますが、人生、待っていても仕方がないんです。こんな落ち込む時代だからこそ、明るくなれる『ピピン』を観て、ぜひピピンのように自分の人生を切り開いていってほしいですね」と話していた。今回はどんな驚きと感動を見せてくれるのか。心待ちにしていたい。公演は9月19日(月)まで。取材・文:五月女菜穂ヘア&メイク/矢野トシコ〈SASHU〉スタイリング/松田綾子〈オフィス・ドゥーエ〉赤ワンピース/DUEdeux ピアス、リング/ともにウノアエレ(ウノアエレ ジャパン)
2022年06月06日音楽劇の名作『三文オペラ』を、戦後の大阪へと舞台を置き換え、鄭義信が書き下ろした意欲作『てなもんや三文オペラ』。そこで演出も務める鄭と、ポール役のウエンツ瑛士に話を訊いた。逆境に生きる人々のたくましさを、時に切なく、時にユーモアたっぷりに描き出す鄭。その手腕は、古典的名作を題材にしたオールメール作品『泣くロミオと怒るジュリエット』(19年)でもいかんなく発揮された。本作はオールメールではないが、もともとポールはポリーという女性の役。その狙いを鄭はこう語る。「主人公のマックは、人たらしというか、男も女も魅了する人物。そういった意味で、ポリーが男性であってもいいんじゃないかなと。かといってLGBTQ問題をやろうというわけではなく、ただ原作よりも愛と希望のある作品にしたいとは思っています」生田斗真演じるマックは、大阪砲兵工廠跡地に残された屑鉄を売りさばく“アパッチ族”の親分。そのマックとウエンツ演じるポールが、結婚式を挙げるところから物語は幕を開ける。ポールについてウエンツは、「愛されるってことがそれまでほとんどなかったキャラクターだと思っていて」と切り出し、「そんな自分がマックに愛されて、しかも結婚出来る。それって時代背景も含めて、ポールにとっては一瞬も思い描くことが出来なかった、夢のようなことが起きているのかもしれないなと。その喜びの大きさを感じながら、今、役を作っている感じです」さらに自らの役どころから、こんなことも考えるそう。「ポールは親となかなか意見が相容れないわけですが、相容れない人と意見を交わすって、改めて大事なことだと思うんです。今って気が合わない人とは簡単に切れますが、その出会いに理由は絶対あるし、そういう人たちとのコミュニケーションこそ大事なんじゃないかと思わされていて。観た方がそんなことも感じてくれたら、とても嬉しいですね」生田、ウエンツのほか、笑いも熟知した手練れが多くキャスティングされており、コメディ要素もたっぷり。だが「戦争が深く影を落としている作品」と鄭が語るように、悲しくも“今”との共通点を痛感する舞台でもある。最後に鄭はこう語る。「僕たちのささやかな日常というのは、実はとてももろく、危ういものの上に成り立っています。だからこそ“愛”や“平和”というものが、生きていく上ではとても大切で。そういったことがビビットに感じられる作品になるといいなと思っています」公演日程は6月8日(水)~6月30日(木)に東京・PARCO劇場にて上演(※6月8日(水)18時~11日(土)13時公演は中止)。その後、福岡・大阪・新潟・長野と各地を巡る。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2022年06月03日新江ノ島水族館のイルカショーがリニューアル。2022年7月16日(土)から、新イルカショー「Wave ~きみの波になりたい~」がスタートする。新イルカショー「Wave ~きみの波になりたい~」スタート1957年のスタート以来、“イルカたちと出会える場”として、イルカショーを行ってきた新江ノ島水族館。2022年「イルカたちの刺激になりたい=波になりたい」そんな思いから、新ショー「Wave ~きみの波になりたい~」をスタートさせる。ショーは来場者にも参加して欲しいと願い、みんなで新しい遊びをつくりあげていこうとメッセージを発信。新イルカショーの開始に伴い、6月の毎週火曜、水曜、木曜日は、公開練習も行われるので、ショー誕生までの過程を楽しむことができる。また、11年に渡って行われてきたイルカ・アシカショー「きずな/kizuna」は、ファイナルに向けて、ラストイベントを実施。ショー中の臨場感あふれる写真を通して、11年間の軌跡を振り返る。【詳細】新江ノ島水族館「Wave ~きみの波になりたい~」開催日:2022年7月16日(土)~■「Wave ~きみの波になりたい~」公開練習6月1日(水)、6月2日(木)、6月7日(火)~6月9日(木)、6月14日(火)~6月16日(木)、6月21 日(火)~6月23日(木)、6月28日(火)~6月30日(木)※各日最後のイルカショーの時間に公開練習を実施。※開始時間はホームページのタイムスケジュールで案内。■「きずな/kizuna」 ファイナル ~11年間の軌跡~展示期間:6月25日(土)~7月15日(金)展示場所:イルカショースタジアム前 ブリッジ■ドルフィンサンデー テイクアウト 550円、イートイン 561円発売日:6月25日(土)~販売店舗:イルカショースタジアム2F「スタジアムカフェ」フレーバー:ストロベリー、ナタデココ、マンゴー<施設情報>新江ノ島水族館住所:神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1営業時間:9:00~17:00※7月16日~8月31日 ~19:00、8月11日~8月15日 8:00~一般入場料:大人 2,500円、高校生1,700円、中学生・小学生1,200円、幼児(3歳以上)800円
2022年06月02日氷川きよしが東京・大阪・福岡・愛知の4都市を巡る大規模な『氷川きよし特別公演』。その第一部で展開される芝居『ケイト・シモンの舞踏会 ~時間旅行でボンジュール~』に出演する彩輝なおが、公演や氷川に向けた想いを語った。堤泰之が作・演出を手がける本作は、氷川演じる歌手志望の子門慧音(しもん・けいと)を中心とする物語が繰り広げられる。病気の母に代わってアルバイトで家計を支える慧音のもとに、母の容体が悪化したという連絡が入る。駆けつけた慧音を前に、天国へ旅立つ母。落ち込んだ慧音が「時を戻せたら」と思いながら形見の砂時計をひっくり返すと時空が歪み、18世紀のフランスにタイムスリップしていて──。彩輝が扮するのは、慧音がタイムスリップ先で出会うブルボン公爵の娘・ショコラ。「この年齢でまさか“ご令嬢”の役を頂戴するとは」と笑顔を見せ、ビジュアル撮影で身につけ横に大きく張り出したボリュームあるドレスについて言及する。何でも宝塚歌劇に在団していた頃、トップスター就任前の『薔薇の封印~ヴァンパイア・レクイエム~』(2003〜04年)で一瞬だけ同じ種類のドレスを着用したことがあるらしいが、彩輝いわく「優雅に立ち居振る舞うのは初めて」──。(共演者で)トップ娘役だった「後輩の愛原実花ちゃんにノウハウを教えてもらおう」と背筋を伸ばす。自身のInstagramで「変装します」と予告している通り、ご令嬢の他にどんな姿でステージに現れるかにも注目だ。氷川とは、宝塚時代に参加したトークイベント以来の共演だそう。近年、アニメソングにロックナンバーと幅広い楽曲をのびのびと歌い上げる氷川の姿に「新しいことに挑戦しながら音域や声量もパワーアップされていて、ご活躍を楽しみに拝見していました」「よくぞこれまで大きなケガや病気もなく走り続け、私たちに素敵な歌声や姿を届けてくださいましたよね」と目を細める。「そんな氷川さんとご一緒できる日々が尊いですし、座長と過ごす空間を大切にしたいと思います」と語ってインタビューを結んだ。公演は、6月3日(金)~7月4日(月)に東京・明治座にて。その後、7月23日(土)~8月5日(金)に大阪・新歌舞伎座、8月15日(月)~27日(土)に福岡・博多座、9月5日(月)~15日(木)に愛知・御園座と巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年05月31日今年2月に東京・東京建物 Brillia HALLで上演され好評を博した稲垣吾郎が主演を務めるミュージカル・コメディ「恋のすべて」。この度6月9日(木)~6月19日(日)まで京都・京都劇場にて上演する。舞台は1930年代のアメリカ。稲垣演じる探偵のニック・テイラーは、事件に巻き込まれて亡くなった友人の妻に送金するような人のいい男。そんな彼のもとに「娘を恋に落としてくれ」という奇妙な依頼が届いたことから物語ははじまる。依頼主は手広く事業を展開する経営者のクラーク(羽場裕一)。クラークは娘・コニー(花乃まりあ)の周りをうろつく若者・テディ(松田凌)を追い払いたいが、実はその裏でテディの母・カミラ(北村岳子)の投資を当てにしているため、大っぴらにテディを邪険にすることができない。クラークから提示された高額なギャランティに、依頼を引き受けるニックだが、コニーと過ごすうちにロマンティックな雰囲気となっていく。しかしクラークはさらに自身の愛人ザラ(石田ニコル)をテディ誘惑に仕向けたことで更なる展開を迎える…。初演では歌、ダンスはもちろん、そのコメディセンスでショーマンぶりを発揮した稲垣。自身と同年代の役柄でもあり、今だからこそ演じられるとも感じられる役。少し間をあけての再演となるが、また新しい面を見せてくれるだろう、稲垣のニックに期待したい。作・演出には、稲垣主演で18年・19年と上演された『FREE TIME,SHOW TIME~君の輝く夜に』の記憶も新しい、劇団ラッパ屋主宰の鈴木聡。稲垣とは多くタッグを組んできたからこそ生まれた物語を、スウィングジャズの生バンドの演奏が彩る。稲垣にとっても久々となるという京都公演。豪華キャストで送る、笑い溢れた華やかな物語をぜひ劇場で体験してほしい。ミュージカル・コメディ「恋のすべて」は2022年6月9日(木)~6月19日(日)まで京都・京都劇場にて。プレイガイドでのチケット一般発売は5月28日(土)10時より。
2022年05月27日2009年、2011年に上演され、好評を博したDIMOND☆DOGS「SAMBA NIGHT 2022」が、東京・博品館劇場にて開幕、初日に先駆けてゲネプロが行われた。本作は3度目の再演となる人気演目。SHOW1、2の二部からなり、第一部は2つの盗賊団が「運命の宝石」を狙いカーニバルの一夜に起きる争奪戦を描く芝居仕立てのダンスショー。宇月颯率いる「サファイアムーン」と、中塚皓平率いる「サニールビー」、それぞれ性格の違うチームが、ダンスで物語を進行していく。さらに第二部はサンバ、ラテン、タンゴ、ジャズと様々なジャンルで魅せるショー。こちらもゲスト含めた全メンバーが踊り、歌う、気分が盛り上がるステージだ。DIAMOND☆DOGS中塚、咲山類が中心となり創り上げていく今作は、まさに「ダンス・ダンス・ ダンス、&ソング・ショー」。ゲストには宝塚歌劇団で屈指のダンサーと謳われた宇月颯、沙月愛奈が出演。宇月は男役時代を思わせるスタイリッシュな衣装で、ダンサーとしての魅力を遺憾なく発揮。咲山、小寺利光と披露するパワフルな歌声も見どころ。宝塚退団後、初の舞台出演となる沙月も、SHOW1では2チームから取り合われる可憐な魅力をもった宝石を、SHOW2ではキレのあるかっこいいパフォーマンスをみせた。さらにD☆D作品には常連となる、米原幸佑、木戸邑弥、小寺、常川藍里、穴沢裕介も出演。木戸、穴沢は、Homer、廣瀬真平と共に、第一部では宇月率いるチームで、よりスタイリッシュに揃ったダンスをみせる。米原は、和田泰右、新開理雄とともに中塚率いるチームに。コミカルなシーンもあるナンバーは、D☆D常連だからこそのチームワークにも注目だ。小寺、常川藍里は咲山とともに、ステージでの歌唱パートを担当。第1部では沙月とともに「人ではない」役となり、舞台をミステリアスに演出。第2部は打って変わってシンガーとしてステージを盛り上げた。難しいことを考えず、ダンサー、シンガーたちのパワフルなパフォーマンスを楽しむことができる「SAMBA NIGHT 2022」。DIAMOND☆DOGS流のカーニバルはぜひ劇場で体験してほしい。公演は5月29日(日)まで、東京・博品館劇場にて。5月25日(水)18:30、26日(木)18:30、27日(金)14:00公演はアフタートークも開催予定。詳しくは公式ホームページにて。
2022年05月26日世界的な童話『オズの魔法使い』が、新たな物語と音楽で新作ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』として上演される。ドロシーを演じるのは、本作が単独初主演となる桜井玲香。「カンパニーを引っ張っていけるように自信を持って頑張りたい」という桜井に話を聞いた。ミュージカル「DOROTHY~オズの魔法使い~」チケット情報『オズの魔法使い』はライマン・フランク・ボームが1900年に児童書で出版。1939年にはハリウッドで映画化され、ジュディ・ガーランドが演じた少女ドロシーは世界的なアイコンとなった。桜井は「大人でも楽しめる世界。まさか、この年でドロシーを演じることができるなんて」と微笑む。原作はアメリカ、カンザス州で暮らすドロシーが、臆病なライオンや心を持たないブリキ男らと共にオズの国を旅する物語だ。今作では、オペラから演劇、映像作品など幅広く手掛ける田尾下哲が演出・脚本を担当し、とある都会の大学オーケストラ部を舞台に展開。オケのコンサートマスターのドロシーは、学生最後の定期演奏会を前に他の楽団員たちと意見がすれ違う。ショックを受けたドロシーは、自らヴァイオリンを封印しようとすると音楽の都「OZの王国」に飛ばされる…。桜井演じるドロシーは気の強いお嬢様で、“バリバリ”のプロ志向だという。「バリキャリ志向でも意外とドジで、決して完璧ではない子だろうなと。今までのドロシーのイメージが変わると思います」。宮川彬良が手掛ける音楽にも注目で、桜井は「私やキャストの歌声を聴いてから曲を作られるとのことで、実際にお会いして歌わせていただきました。どうなるのかすごく楽しみです」と期待を膨らませる。2019年に乃木坂46を卒業後、数々のミュージカルに出演。「今思えば、知らないことは強いなと思うぐらい最初は突っ走れたんです。でも、ある作品で帝国劇場に立たせていただいて、帝劇のレベルの高さを肌で感じ、自分の無知や至らなさを痛感してトラウマになるぐらいにへこみました。それでも続けさせてもらえているのは、何か意味があるから。これからもしっかりと舞台に向き合っていきたいです」と熱を込める。『オズの魔法使い』の登場人物たちは、知識や勇気など、自分にはないと思い込んでいたものが、実はあったことに気づいていく。桜井がないと思っていて発見したことについて聞いてみると、「舞台でのハプニング対応力ですね。“出落ち”の逆をやってしまったんです。俳優さんがセリフを言っている最中に、私の出番でもないのに舞台に出て行ってしまって。皆、びっくりしていました(笑)。何事もなかったように笑顔ではけましたが、よくあんな大失敗をして、同じテンションでまた演じられたなと(笑)」。余裕とまではいかないが、今は、開き直ってハプニングも楽しめるようになったという。本作で、頼もしいドロシーを見せてくれそうだ。公演は8月20日(土)~28日(日)東京・日本青年館ホールを皮切りに、全国10都市を巡演。関西公演は、9月16日(金)~19日(月・祝)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて。取材・文:米満ゆう子
2022年05月23日「ブロードウェイミュージカル『RENT』25周年記念Farewellツアー来日公演」が、5月18日に東京・東急シアターオーブで開幕した。『RENT』は20世紀末の米ニューヨークを舞台に、HIV感染症や友人の死、ドラッグや同性愛といった社会的困難に直面しながらも懸命に生きる若き芸術家たちの姿を描いたミュージカル。オフ・ブロードウェイでの初演(1996年)を経て、ブロードウェイ進出後に約12年ものロングランを記録し、世界で上演されている青春群像劇だ。オリジナル演出版の来日公演はコロナ禍を超えた4年ぶりで、初演20周年を記念して立ち上がった全米ツアーの集大成となる。演出には、初演のマイケル・グライフ版が採用されている。固定セットかつ映像効果の活用は最低限で、それだけにキャストの肉体や歌声が際立った。2幕冒頭の名バラード「Seasons of Love」をはじめ、疾走感あふれるロックチューン「Rent」、自由を求める芸術家の大騒ぎ「La Vie Boehme」ではカンパニーの一体感を目の当たりに。中でも作品に通底する“No Day But Today(大切なのは今この瞬間)”のメッセージに集約されていく「Another Day」が聴かせる。ミミがロジャーにモーションをかける「Out Tonight」では、振り乱した髪からラメが舞う迫力のパフォーマンス。奔放なモーリーンの元カレ・マークと今カノ・ジョアンが不本意ながらも意気投合する「Tango: Maureen」では二人の踏むタンゴのステップが楽しい。エンジェルとコリンズが愛を誓う「I’ll Cover You」は悲しいリプライズに注目だ。一曲一曲が各キャラクターの抱える葛藤やドラマに満ちており、目と耳が離せない。キャストの躍動感で魅了するステージには、ドキュメンタリー作家を目指すマークが撮影した映像がリアルタイムでうつし出され、キャストを乗せた美術セットが動くなど劇効果にあふれた新演出版には見られない素朴なシンプルさがある。本作の作詞・作曲・脚本を手がけたジョナサン・ラーソンの半生を映画化した『tick, tick...BOOM!』(2021年)で彼が覗かせた初期衝動が形になっているようにも見受けられ、感じ入った。開幕に際して、ロジャー役のコールマン・カミングスは「コロナ禍でも劇場で待ってくれている皆さんの存在が自分の支えになりました」とコメント。2018年の来日公演にアンサンブルで出演したマーク役のJ.T.ウッドは「生きることの大切さを謳う『レント』で劇場に戻って来ることができて幸せです」と観客にメッセージを送った。オリジナル演出と本カンパニーにFarewell(お別れ)すべく、今この瞬間しかないラストチャンスを見届けてみては。上演時間は約155分(20分休憩を含む2幕)。公演は5月29日(日)まで。取材・文:岡山朋代
2022年05月20日2018年初演の日本キャスト版『メリー・ポピンズ』が新キャストを迎え待望の再演。初演同様、煙突掃除屋のバートを務めるのがダンサーで俳優の大貫勇輔(ダブルキャストは初役の小野田龍之介)。続投の知らせに大貫は「4年間で学んだことをプラスできる。ワクワクした気持ちが溢れてきました」と合同取材会で意気込みを語った。ミュージカル『メリー・ポピンズ』チケット情報舞台は1910年のロンドン。不思議な力を持つメリーが、子守が居つかないバンクス家に現れたことで騒動が巻き起こる。同名の児童文学が原作の愛と魔法に溢れたミュージカルだ。原作を映画化しアカデミー賞5部門を受賞したディズニーと『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』を手掛けるキャメロン・マッキントッシュがタッグを組み舞台化した。初演時、長期にわたるオーディションでバート役を射止めた大貫。実家のダンススタジオで10代の頃から講師を務めていた経験から「教室で子どもたちに伝える感覚とバートがバンクス家の子どもたちと接する感覚が近くて。本能的にバートはハマり役という感覚があった」。初演時、「初日の幕が上がった時、人生で初めて泣きそうになりました」と語る。初演から4年を経た今「選択肢が増えた」と自信をのぞかせる。弱点に感じていた歌唱はミュージカル『王家の紋章』のイズミル役で鍛えられた。憧れのシルヴェスター・リーヴァイの楽曲を前にダンスを封印、猛特訓の甲斐あり高音への苦手意識が薄まった。続くミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』では初のミュージカル作品での座長に大抜擢。約1年半かけて身体を作り込むと、コロナ禍にも公演を成功へ導いた経験が血肉となった。本作ではバートとしてメリーへの特別な想いを抱きつつ、バンクス家を良くしようと奔走する。「てんてこ舞いだった初演に比べ、再演の舞台ではちょっとした台詞が胸に突き刺さる」と一段深い視点から役作りに挑んでいる。メリー役は濱田めぐみ、笹本玲奈のダブルキャスト。「濱田メリーは隙の無いミス・パーフェクト。尊敬の思いが強いので子犬みたいに撫でてほしいという意識になる。笹本メリーはもう少し人間味があって、尊敬より恋心が大きい。だからかっこつけたくなっちゃう」と。ぜひ見比べてほしい。『チム・チム・チェリー』など耳馴染みのある楽曲、圧巻のダンスシーン、随所に盛り込まれた“魔法”の数々など見どころ満載の本作。「メリーが客席に飛んでいく場面では何度見ても泣けちゃうし、本当に魔法に思えてくる。トリックアートのようなセットや照明も美しく、そこに普遍的な家族の愛のテーマが描かれる。総合芸術として完成されたミュージカルです」と笑顔いっぱいに語った。大阪公演は5月20日(金)から6月6日(月)まで、梅田芸術劇場メインホールにて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年05月12日ミュージカル『モダン・ミリー』の製作発表会見が2022年5月10日、東京都内で行われた。本作は1967年公開のミュージカル映画を原作に、映画公開から約30年を経て舞台化したもの。2002年にトニー賞作品賞や主演女優賞などを受賞し、大ヒットしている。本来、2020年4月に上演を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の発出を受けて、開幕直前に公演中止に。今回は、およそ2年半の時を経て、9月7日(水)に初日を迎える予定。演出の小林香が中止決定時にキャスト・スタッフにあてた手紙の中の言葉を借りれば、“大幅な延期”を経て、満を持しての上演となる。モダンガールに憧れて田舎町から出てきたミリー・ディルモント役を演じる朝夏まなとは「お稽古をすべて終えて、やっと劇場に入れるというときに止まってしまいまして。やるせない気持ちと切ない気持ちと、でも仕方ない気持ちもどこかにあって、救いようのない想いでいっぱいだった」と公演中止のことを振り返りつつ、「(小林の)“大幅な延期”という言葉を信じて、2年越しに公演ができることが嬉しいです。2年間、他のいろいろな作品に携わってきて、自分自身が成長できていたらいいと思っています」などと意気込んでいた。ジミー・スミス役の中河内雅貴も「2年前は心が苦しかった時期でもありました。この作品はとてもハッピーな作品で、辛い時にもこの作品の楽曲を聞き直して、自分自身、救われた部分がありました。きっと観てくださるお客様の心もハッピーにしてくれる。ぜひとも劇場に足を運んでいただいて、明日への活力になるような存在でいたいなと思います」と熱弁をふるった。そんな中、ミリーの就職先の社長であるトレヴァー・グレイドン役の廣瀬友祐が「良いのか悪いのか、まったくこの作品の記憶がなくてですね......久々に台本を見たんですが、記憶はありませんでした」と正直に明かすと、会場からは笑い声が聞かれた。それに対し、ミセス・ミアーズ役の一路真輝は「(公演中止という)あの時のショックはかなりダメージとして残っておりまして、それもあってか、私は結構鮮明に覚えておりまして。朝夏さんのタップ、廣瀬くんの不思議な役作り、保坂さんの可愛らしい歩き方。全て忘れていないですよ」と話していた。本作の見どころについて、演出の小林は「金太郎飴のように、どこを切りとってもブロードウェイミュージカルの楽しさが詰まっている。とても明るく楽しいミュージカルで、疲れた心を癒すのにいい作品」。劇中のお気に入りシーンについて尋ねられると、「ふんだんにあるタップのシーン」(朝夏)という意見や「プロローグの場面がすごく好き」(実咲凜音)、「ミリーちゃんとジミーの純粋なラブストーリーが軸にあって、2人を応援したいなと思った」(保坂知寿)などと具体的な回答が寄せられていた。公演は2022年9月7日(水)〜26日(月)日比谷・シアタークリエ 、10月1日(土)、2日(日)大阪・新歌舞伎座で上演される。取材・文:五月女菜穂
2022年05月11日