劇作家兼演出家のG2が、新作ミュージカル『スワンキング』を書き下ろし。自ら演出も手がける。そこでG2に、本作に寄せる想いを語ってもらった。芸術に傾倒するあまり浪費を繰り返し、“狂王”と呼ばれたバイエルンの国王ルートヴィヒ二世と、“天才”と言われつつ、借金と女性問題に苦しんだ作曲家リヒャルト・ワーグナー。G2はワーグナーの妻に関して書かれた本との出会いから、彼らを中心に据えたミュージカルの創作を思いついたと言う。「その本がまんまお芝居にしたいくらい面白くて、もともと興味のあったふたりの関係に、コージマというワーグナーの妻を絡ませた芝居を作りたい、という直感が働きました。なにより惹かれたのが、僕にも似たふたりの男のダメさ加減(笑)。でも夢を追い求める彼らのピュアさというのは、そのダメなところを補って余りあるのではないかと思ったんです」核となるふたりを描く上で、G2が特にこだわったのが…。「このふたりって仲が良かったのは最初だけで、後はずっと喧嘩しているんですよね。そんな男ふたりが憎んだり、愛したりする姿勢。特に僕は、彼らが格闘している姿がすごく好きで。そういった部分を抽出して描きたいと思いました」A.B.C-Zの橋本良亮がルートヴィヒを、別所哲也がワーグナーを演じる。「橋本くんとは去年、全公演中止になってしまった音楽劇でご一緒し、その時からルートヴィヒにいいんじゃないかと思っていました。感受性が強過ぎる、あまりオープンじゃない王様の役がとても合いそうだなと。別所さんのワーグナーは、これハマり役だと思いますね。先日一曲だけ歌ってもらう機会がありましたが、いきなりイメージ通りで。憎たらしい、嫌な感じの男をうまく演じてもらえそうです」音楽もすべて書き下ろし。三谷幸喜作品でもおなじみの荻野清子が手がける。「僕の演出意図を汲んでもらい、演出代行なくらいの気持ちで曲を作ってもらわないと出来ない芝居なので、荻野さんに参加してもらえたのは本当に嬉しいです。自分でもこれは理不尽だなと思ったオーダーが、芝居の流れ的に、『最初は楽しくて最後が絶望的というのを一曲の中でやって欲しい』というもの。言うは易し、ですよね(笑)。でもそれが見事に出来上がってきて。今回の僕の目標が、『どこから輸入したの?』と言われる作品に必ずすること。ミュージカルが輸入産業になってしまっている、今の日本の演劇界を変えたい。そのために一石を投じるような作品にしたいなと思います」取材・文:野上瑠美子
2022年05月10日昨年8月に宝塚歌劇団を退団した元月組トップスターの珠城りょうが、退団後初のソロコンサート『CUORE』を開催。大阪公演を盛況に終え、5月13日(金)より東京国際フォーラム ホールCでの幕が上がる。珠城りょう1stコンサート『CUORE』チケット情報入団9年目に異例の速さでトップ就任。温かみのある歌声、スラリと伸びた手脚から繰り出されるダイナミックなダンス、繊細な演技、そして包容力と真っ直ぐさで組を牽引してきた珠城。川崎悦子が構成・演出・振付を手掛ける今回のステージは、チーフパーサーに扮した珠城とともにタイムマシン「CUORE号」に乗車し、時間旅行を楽しむというストーリー仕立てのコンサートとなっている。開演アナウンスは、珠城による搭乗案内。観客を『CUORE』の世界へといざなっていく。黒のサングラスをつけ、グレーのロングコートをまとった珠城がクールに登場するや、Official髭男dismの楽曲『Amazing』で幕開け。珠城が宝塚歌劇団在団中に発売されたSpecial Blu-ray BOX内でカバーした楽曲で、今回が初の生パフォーマンスとなる。温かみのある伸びやかな歌声とキレのあるダイナミックなダンスは健在。髪も伸び、従来のカッコよさに加えて柔らかさが増した印象だ。ロングコートを脱いだ珠城は、一転、上下ともに白、ノースリーブにパンツスタイルの爽やかな衣装や、黄色のブラウスと緑のパンツといったレトロポップな衣装をまとったりと、シーンによってさまざまに表情を変えていく。近未来からスタートし、1930年のアメリカ、宝塚歌劇団時代、1950年代のパリ、現代…と、時空を超えてさまざまな場所へと移るこの時間旅行。その中で、珠城のオリジナル曲や、往年のスウィングジャズの名曲、宝塚時代の印象深い楽曲、ミュージカルナンバーなどを披露していく。観客も一緒に踊り、盛り上がれるシーンもあり、一体感が味わえるのもうれしい。曲の合間には、珠城をはじめ、パーサーに扮したダンサーたちとのコミカルなやり取りも。珠城と上口耕平をはじめとするパフォーマーたちの息もぴったり。カンパニーのムードの良さも伺え、そこにも珠城のおおらかさと求心力が垣間見える。パフォーマンス中は元男役らしいスタイリッシュさも感じさせながら、トークでは肩の力が抜けたような朗らかな表情を見せる珠城。観ている側も思わず笑顔になれる温かいステージ。東京公演は元星組男役スター・愛月ひかるがゲスト出演する回も。ふたりがどんなコラボレーションをするのかお楽しみに。東京公演は5月13日(金)から15日(日)まで、東京国際フォーラム ホールC。愛月ひかる出演は5月13日(金)17:00、14日(土)13:30、17:00公演。PIA LIVE STREAMでは愛月がゲスト出演する5月14日(土)13:30回をライブ配信(アーカイブ配信なし)。チケット発売中。取材・文:黒石悦子
2022年05月06日©Choi Na Rang4月30日、ディオールはフォール 2022 ウィメンズ コレクションのショーを梨花女子大学校で開催しました。韓国で初の開催となったこのファッションショーは、ダイナミックな都市であるソウルの創造性にスポットライトを当てるというメゾンの想いから生まれたイベントです。© Lee Hyun Junマリア・グラツィア・キウリにとって、コレクションとは視覚で紡ぐ詩であり、ディオールの歴史と変わり続ける星座、つまり現代世界との対話でもあります。プリーツスカートに、ブラックとホワイトのキルト、そしてジャケットはメンズのワードローブから取り入れ、アイコニックな「バー」ジャケットを再解釈。メンズのロングコート、極めて短い丈のスカート、バイカーショートパンツは、ホワイトのブラウスやブラックのタイとスタイリングされています。他にも、3Dの刺繍がニットウエアにあしらわれ、ピクセルで表現された幻想的な星座のモチーフは、ビデオゲームのようなスタイルで登場します。このショーのために特別にデザインされたイブニングガウンの数々は、「ジュノン」ドレスのようなメゾンのアイコニックなシルエットのボリューム感と共鳴し、アシンメトリーなカットでこのうえなく大胆に生まれ変わっています。ルックの数々が連想させるのは、関わり合い、交流、共有といった力強いコンセプトです。@Dior #ディオール #Dior #DiorFall22【お問合せ先】クリスチャン ディオールTEL:0120-02-1947企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2022年05月02日ミュージカル『EDGES―エッジズ―2022』が2022年4月27日(水)に東京・有楽町よみうりホールにて開幕。本作は、トニー賞6部門に輝きグラミー賞・エミー賞など受賞多数、映画化もされたミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』や、『ラ・ラ・ランド』の作詞、『グレイテスト・ショーマン』の楽曲などを手がけ世界中から注目を集める作詞作曲デュオ、パセック&ポールが、学生時代に生み出した、彼らのデビュー作。“ソングサイクル・ミュージカル”と呼ばれる、1曲で 1つの物語として完結する楽曲がオムニバス形式に連なる、新しい形のミュージカル作品。元吉庸泰の演出のもと、次世代を担うクリエイター陣が集結。世界的ヒットメイカーの若書きを、ダンスパフォーマンスをふんだんに盛り込んだ、クリエイティビティ溢れるステージングで贈る。キャストには屋良朝幸、成河、草間リチャード敬太(Aぇ! group/関西ジャニーズ Jr.)、豊原江理佳、ダンドイ舞莉花、そして植木 豪と、ミュージカル&ダンスのスペシャリストが集結。さらには振付を屋良朝幸×植木 豪の強力タッグが手がける作品。1曲の中で物語が完結するミュージカルではあるが取材会でも植木はただのオムニバスにしたくないと話した通り、「なりたい自分になる」という1つのテーマのものとキャスト全員にスポットが当たる一瞬も見逃せない物語となっている。ゲネプロ後の取材会では、主演の屋良は初日を終えた感想を「これまで2回やってきているが初の6人でのパフォーマンス。個性的なメンバーが揃って新しいEDGESを皆様にみていただけるのが楽しみ」と述べた。今回振付を担当した屋良と植木は苦労したことはあるかと問われると、屋良はいっぱいありますと即答し会場は笑いに包まれた。「自分が作っているのはショーケースだが、それぞれに設定があり演じるものをどう見せていくかというのをみんなと話し合いながら作ったのでパフォーマンスとしてかなり見ごたえがあると思います」と意気込んだ。後輩にあたるリチャードの頑張りをみてどう思うかという質問には「めちゃくちゃいい素材をもっている。いい声を出すし、ダンスもうまい。これを期にミュージカルの世界に羽ばたいてほしい」と回答した。東京公演は5月5日まで。5月8、9日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールでも上演される。
2022年04月28日サン=テグジュペリの名作『星の王子さま』が音楽劇として2022年4月~5月に上演される。王子さま役に、舞台初主演となる河下楽(AmBitious/関西ジャニーズJr)が決定した。河下は「王子さま役に決まった時は、『僕でいいんですか?』と信じられない気持ちでした。でも選んでもらったからには絶対に結果を残そうという気持ちでいます」と意欲十分だ。すでに稽古はスタートしているが、「とにかく新しいことだらけなんです。僕は歌が得意だと言い続けてきたんですが、今回は『景色が見えるように歌いなさい』と言われるなど、技術面の課題がたくさんあります。芝居に関して、演出のKAZOOさんは『自由に自分が思ったとおりに動いていいよ』とおっしゃってくださるので、毎日新鮮でめちゃくちゃ楽しいです」と試行錯誤しながらも、新たな挑戦を楽しんでいる様子がうかがえた。役づくりについては「最初に台本を読んだ時、王子さまは飛行士を怖がっているのかなというイメージがありました。でも立ち稽古に入って『天真爛漫に演じたほうがいいんじゃない?』とアドバイスをいただき、それがしっくりきたので、今のところ無邪気な王子さまになるのかなと思っています」芝居で多くの絡みがある飛行士役の山本一慶の印象を尋ねると「一慶さんはほんまに優しいです。僕は人見知りなんですが、一慶さんから話しかけてくださったり、二人で発声の練習をしている時もアドバイスをしてくださったり、めちゃくちゃお世話になっています。飛行士と王子さまは絡みが多いので心強いですし、お芝居はもちろんのこと学ぶところばかりですから、参考にさせていただいています」とのこと。プライベートで王子さまっぽいところはあるかと質問すると「椅子に座っているときは、王子さま風に足を組んでいるので王子っぽいかなと思いますが、僕はどちらかというと王子さまのお付きの人のほうが身の丈に合っているかなと思っています」と答え、笑いを誘った。公演への意気込みを聞くと「一慶さんと一緒に歌うシーンがあるんです。今はついていくのに精いっぱいですが、本番までには対等に上手く歌えるように頑張ります。日々努力しているので、ステップアップした姿を皆さんにお見せしたいし『観に来てよかった』と思ってもらえる作品になるよう頑張ります!」と力強い答えが返ってきた。文:咲田真菜
2022年04月28日1981年の日本初演から今年で42年目を迎えるブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』。森新太郎が昨年に続いて演出を務める本作に、壮一帆がダーリング夫人役で初参戦を果たす。すっかり夏の風物詩となったこの魅惑のミュージカルへの意気込みを語ってくれた。「ピーター・パンに恋していました!」――。誇張でもプロモーション用の宣伝文句でもなく、少女時代の壮一帆にとって、ピーター・パンはまぎれもなく憧れの存在であり、夢の国へと連れて行ってくれる特別な存在だったという。「よく遊びに行ってたお友達の家にディズニーアニメ版のVHSがあって見せてもらって、ピーター・パンのことが大好きになったんです。他人の家で繰り返し見て(笑)、夢の世界に連れてってくれる頼りがいのあるところに惹かれて、冒険にワクワクして…画も音楽もセリフも全部覚えてます」ダーリング夫人は、ウェンディ、ジョン、マイケルらの母親。「家族にとって、絶対的に安心できる包容力を持った存在だなと思います。光で全ての人を包み、救う“菩薩様”のようなイメージですね。私とは正反対のキャラクターですが(笑)、だからこそ演じがいがあります。この作品に関しては、役を私に近づけるのではなく、私自身がどこまでダーリング夫人に近づけるかが大事。多くのみなさんが抱いているイメージを壊さないようにしっかりと演じ切りたいです」。夢の国に足を踏み入れることができるのに加えて、もうひとつ、壮が本作のオファーを喜んだ理由が演出を務める森新太郎の存在。2020年、森演出による『佐渡島他吉の生涯』に出演することになっていたが、コロナ禍で上演中止に。壮にとっては2年越しの夢が叶うことになる。「玄人向けの舞台ではなく、全世代が楽しめるこのミュージカルの夢の世界で、森さんがどんな演出をされるのか楽しみです。みなさん、『(森の演出は)細かいよ』とおっしゃるんですが、全てに応えたいです」本作が人生初の観劇体験の子もいるだろう。そんな子どもたち、そして子どもたちと一緒に劇場に足を運ぶ大人たちに向かって壮はこう語る。「映像作品と違って、その場の空気感や呼吸を生で感じられるのが演劇の最大の魅力。あの空間で俳優と夢の世界を共有してほしいし、親御さんにも一緒に感動して帰ってもらいたいです。私自身、演じながら『ピーター・パン』で描かれるように、大人になって気づかなくなってしまった感覚を感じられるのを楽しみにしています!」
2022年04月26日これまで大阪・静岡を巡演した「2022年劇団☆新感線42周年興行・春公演 いのうえ歌舞伎『神州無頼街』」。東京公演開幕の前日に行われたオンライン取材会に、衣裳姿の福士蒼汰と宮野真守が登壇した。中島かずきが脚本を、いのうえひでのりが演出を手がける本作は“いのうえ歌舞伎”の最新作となる伝奇時代劇。2020年に上演予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になっていた。念願のリベンジに、福士は「すでに20公演を終えて、カンパニーが自信にあふれてきました」と胸を張り、宮野も「座組み全員で高め合って東京に来られたのが嬉しい。かなり仕上がっているので楽しんでもらえたら」と続く。Wチーム制を敷いた「劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月」(2017〜18年)でともに捨之介を演じ、「ヴィレッヂプロデュース 2020 Series Another Style『浦島さん』『カチカチ山』」(2020年)のステージに立った福士と宮野は、本作が初共演となる。福士が「同じプロジェクトに携わる期間が長く、互いの距離がどんどん縮まりました」と話すと、宮野も「オフの時間も互いや作品について話が尽きず、常に前向きな言葉を交わしながら進んで来ましたね」とここにいたる道のりを振り返る。この二人をよく知る中島が登場人物に当て書きしたのが本作で、福士は清水次郎長の怪我を治した博識の若き町医者・秋津永流(あきつながる)を、宮野は陽気でお調子者の口出し屋・草臥(そうが)を演じる。宮野は「キャラクターの裏にどんな想いがあるのか、二人で話し合って細かい設定をつくりました。表情から感じ取ってもらえたら」と舞台裏を明かし、福士も「舞台が終わっても、バディの行く末に想像を膨らませてもらえるようなラストになっています」と微笑む。華麗に舞う“棒術”をはじめ、各種アクションに挑む福士は「心残りだった『髑髏城』から早乙女太一くんに弟子入りして稽古を続けて来ました。教わったことが発揮できているんじゃないかな」とコメント。実物のギターをかき鳴らす豊富な歌唱シーンを“マモライ”と呼ばれ、照れ笑いを浮かべた宮野は「ロック、ジャズ、ミュージカル調、いろんなジャンルの楽曲が聴きどころでもあります」と述べ、最後に二人で「にぎやかで大迫力の“お祭り騒ぎ”をぜひ楽しんでください」とメッセージを送った。大千秋楽は5月28日(土)、東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて。なお5月14日(土)12:00 / 17:30開演回では、全国の映画館でライブビューイングが上映される。ぴあでは、 劇場公演チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年04月26日昨年8月に宝塚歌劇団を卒業した珠城りょうの1stコンサート『CUORE』が2022年4月30日(土)から梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで開幕する。開幕を目前に控えた4月下旬、都内で行われている稽古場を取材した(※取材に際して、筆者はPCR検査での陰性を確認し、手指消毒の徹底など、感染予防対策を講じている)。この日は、最初にスタッフから舞台装置の説明がなされた。そのあとはオープニングから、細かく振付や立ち位置を順次確認する稽古だった。構成・演出・振付は川崎悦子。第三舞台、キャラメルボックス、劇団☆新感線、宝塚歌劇団など第一線で数多くの舞台の振付を担ってきた川崎だからこそ、特に踊りに関しては一切の妥協がない。確かにコンサートではあるのだが、珠城はもちろん、出演する上口耕平、アンサンブルもガンガンに踊るので、目でも耳でも思い切り楽しめるステージになりそうだ。珠城が在団中に発売したSpecial Blu-ray BOXに収録されて好評を博した、Official髭男dismの『Amazing』の生パフォーマンスは見応えがあったし、楽しみにしているファンも多いだろう。そのほか印象的だったのは『ミュージックブレイク』。川崎が珠城にリクエストした曲だというが、歌詞も振付も非常にインパクトが大きく、未だに映像が脳裏に焼きついている。また王道の『Sing Sing Sing』も本格的なダンスナンバーとして披露される予定だ。稽古場での珠城は、気さくに他の出演者に話しかけたり、気になった点をコメントしたり。オン/オフをつけながら、創作を楽しんでいるように見えた。ちなみに、タイトルの『CUORE』はイタリア語で「心」の意味だそう。きっと珠城ら出演者たちの心がこもったステージになるだろう。開幕が待ち遠しい。大阪公演は5月3日(火・祝)まで。東京公演は5月13日(金)から5月15日(日)まで、東京国際フォーラム ホールC。スペシャルゲストは彩凪翔(4月30日13:30回、17:00回出演)、愛月ひかる(5月13日17:00回、14日13:30回、17:00回出演)。また、PIA LIVE STREAMでは公演初日の4月30日13:30回をライブ配信する(アーカイブ配信なし)。チケット発売中。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年04月26日鄭義信が結成し、大鶴佐助が座長を務める劇団ヒトハダの旗揚げ公演『僕は歌う、青空とコーラと君のために』が、4月21日に開幕。前日に行われたゲネプロの様子をレポートする。戦後の米軍御用達キャバレーに集う人々の切なくもおかしい人間模様が、1940年代のアメリカンポップスに乗せて綴られる本作。いつか日劇アーニーパイルの舞台に立つことを夢見るロッキー、ファッティー、ハッピーによる3人組のコーラスグループに、キャバレーのママが連れてきたゴールドが加わる。順調に活動するも、ハワイの日系二世であるハッピーの朝鮮戦争出兵によって、ルーツの異なる4人の絆は大きく揺らいでいく──。作・演出を鄭が手がけ、キャストは大鶴のほか、団員の浅野雅博、尾上寛之、櫻井章喜、梅沢昌代が名を連ねている。事前のインタビューで、鄭が「キャスト一人ずつソロ歌唱シーンを設けた」と話していた通り、群像劇の見せ場をヒット曲が彩る。中でもハッピー役の大鶴は、言葉と音の数が膨大な「Boogie Woogie Bugle Boy」(The Andrews Sisters:1941年)を英語詞で披露し、序盤から客席を湧かせた。朝鮮戦争から戻ったあと、心身ともに満身創痍の状態でこの陽気なナンバーをどうリプライズするか、鮮やかに揺れ動く感情の行方をぜひ見届けて欲しい。浅野は、太平洋戦争の特攻帰りである罪悪感を拭えずにいるロッキー役。これに加え、さらなる十字架を背負っている。その重さを仲間に打ち明け、懺悔する場面で見せる表情に注目だ。そんなロッキーを優しく見守るキャバレーのママ・ジーナには梅沢。コーラスグループの新人・ゴールドは朝鮮人。戦地へ向かうハッピーは敵国のアメリカ人にあたるが、これまでに育んだ友情が脳裏をよぎる。「それでも生きていて欲しい」というジレンマを、演じる尾上はハッピーに直情的にぶつけ、確かな存在感を残した。豊かな体躯で喧嘩シーンを圧倒するファッティーには櫻井。シリアスな展開の中に笑いをもたらすコメディリリーフ的な役割をまっとうしていた。上演時間は約120分(休憩なし)。公演は5月1日(日)まで、東京・浅草九劇にて。感染症対策を講じて上演される劇場公演のほか、PIA LIVE STREAMでは4月23日(土)17:00開演回の「オンライン生配信」を実施。48時間後の25日(月)16:59までアーカイブ視聴できる。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年04月22日タイトルを聞いただけで、宇宙空間を駆けていくレトロな列車、長い金髪の謎の美女メーテルの姿が目に浮かぶ人も多いだろう。松本零士の国民的漫画を原作にしたミュージカル『銀河鉄道999 THE MUSICAL』が4月8日、東京・日本青年館ホールで開幕した。人類が肉体を機械に変えることで永遠の命を手にしている未来が舞台。しかしそうして裕福な人々が永遠の命を謳歌する一方で、高価な機械の体を買えない貧しい者たちとの社会格差は広がっている。そんな中、母親を機械伯爵に殺された少年・星野鉄郎は、謎の美女メーテルに出会い、機械の身体をタダでくれる星を目指し銀河鉄道999号に乗車する……。主人公・星野鉄郎を演じるのは中川晃教。2018年、2019年に続き3度目の鉄郎役だが、今回はこれまでの“舞台版”ではなく、初の“ミュージカル版”。音楽監督にはゴダイゴのミッキー吉野を迎え、劇中ではゴダイゴが歌ったあの名曲「銀河鉄道999」も初めて使われる。同時に、各キャラクターが葛藤や決意といった心情を歌に乗せて吐露する場面も多く、過去の舞台版に比べて、よりキャラクターの深みが増した印象だ。さらに、原作にはない鉄郎の父親のエピソードを盛り込むことで「思いを繋ぐ」という大きなテーマを浮き上がらせた。中川の鉄郎は透明感がありつつも鋭い強さのある歌声を武器に、少年らしい真っ直ぐな純粋さと、どこか影のある達観した視点、子どもらしからぬ紳士的なふるまいを自然と同居させ、“星野鉄郎だからこその強さ”で、父から繋がる思いをしっかり受け止める。そしてキャプテン・ハーロック役の三浦涼介、クイーン・エメラルダス役の北翔海莉、大山トチロー役の藤岡正明らが、原作を抜け出したかのような造形で魅せるとともに、限りある命を生きることの尊さをその姿で体現し、鉄郎へ続く“思い”を渡していく。同時に、メーテルの葛藤や罪といった面も丁寧に描かれる。演じる花總まりはこの人らしい浮世離れした美しさで、体温の低そうな“謎めいた女性”として登場するも、母・プロメシュームとの邂逅前後から見せる葛藤は生々しく、新鮮。ラスボス感たっぷりに演じるプロメシューム役の松本梨香の迫力とともに、この母子の宿命はこのミュージカル版の見どころのひとつになっている。鉄郎の敵役の機械伯爵も、知られざる悲しい過去が描かれ、切ない存在に。佐藤流司が二面性のある役柄を熱演した。ほか、車掌役の徳永ゆうき、ガラスのクレア役の梅田彩佳、リューズ役の矢沢洋子らも好演していた。初日に際し中川は「登場人物たちに共通する命尽きるまで終わらない人生とお客様ご自身の人生を重ねながら観ていただけたら」とコメント。公演は4月18日(月)まで同劇場にて上演される。取材・文:平野祥恵
2022年04月13日“ダンス×演劇×J-POP”を掛け合わせ、セリフを使わず身体表現をメインに物語を立ち上げるダンスエンタテインメント集団・梅棒。彼らの最新作、14th WONDER『おどんろ』が東京・サンシャイン劇場にて現在上演中だ。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全公演中止となった昨夏のリベンジとなる本作。劇中では、NEO妖怪のイタズラで生活が一変するブラック企業の会社員を中心とした“トンデモ絵巻”が綴られ、梅澤裕介(梅棒)がサラリーマン・萬代を、ゲストの小越勇輝がNEO妖怪のリーダー格・妖太郎を、同じくゲストの大西桃香(AKB48)が 不可解な事件の原因究明に奔走する新米刑事・那夢子を演じる。人々の暮らしがNEO妖怪に脅かされつつあるトーキョー都タイトー区の製薬会社で働く萬代。演じる梅沢は、事前の取材会で「激しいアクトで表現することが多い梅棒の中で最もエネルギー消費量が少ない」と笑っていた通り、うだつの上がらないポンコツ社員を巧みな表情と着古したスーツ姿で体現する。一方でオープニングと終盤ではキレのあるダンスを披露し、通常運転ぶりを覗かせるひと幕も。小越が扮する NEO妖怪は、ルーズソックス・たまごっち・フィンガースピナーなど流行アイテムをまとったポップな出立ち。大きく華々しいアクションで劇世界に貢献するシーンは昨夏行っていた稽古の賜物なのか、「再集結し、より良い作品になるよう妥協なしで作っては壊す再構築もしていき何倍にもパワーアップした」とコメントした通りの出来栄えだった。今回のリベンジ公演からキャスティングされた大西は、NEO妖怪の逮捕に燃える刑事役。凛としたたたずまいと俊敏なダンスで、ひたむきな那夢子像を立ち上げる。開幕に際して「座組の皆様に沢山助けていただいて全てのお稽古を終えることが出来ました」と報告。「お稽古を重ね、毎日がとっても楽しくて、那夢子として走り回っている瞬間がとても幸せです」と述べている。作・総合演出を務める伊藤今人いわく、本作は梅棒 10th Anniversary『OFF THE WALL』 (2020年)以来の完全新作。昨夏の中止分と合わせて「2作品分の稽古期間を経てついに完成しました。我々がかける想いも倍、完成度も倍、感動も倍。お待たせした分、期待値も倍だとしても十分にお応えできる自信作になりました」と開幕に際して胸を張った。キャストは他に、梅棒メンバーの鶴野輝一、遠山晶司、塩野拓矢、櫻井竜彦、天野一輝、野田裕貴、多和田任益に加えて、Q-TARO、YOU、パイレーツオブマチョビアン、NANOI、Kurumi Shiina、RiNnAが名を連ねている。東京公演は4月17日(日)まで。その後、5月にかけて三重・大阪・高知・愛知と巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年04月11日舞台「THE 39 STEPSザ・サーティーナイン・ステップス」の製作会見が4月8日に開催され、平方元基、ソニン、あべこうじ、小松利昌がそろって出席し、本作への思いを語った。平方、ソニン、あべ、小松の4人は、会見に下着姿で登壇!これはクラウン役のあべと小松が劇中で135もの役を演じ、ソニンも3役を演じるため、どの役の衣装で出席すべきか?と悩んだ挙句に至った決断だという。ソニンは「下着姿で制作発表って初めてですよ。どういうこと?女優が下着姿でメディアの前に出るって…(苦笑)」と困惑し、3人に付き合わされる形になった主人公・ハネイ役の平方も苦笑を浮かべる。ジョン・バカンの小説「三十九階段」と同作を原作にアルフレッド・ヒッチコック監督が作り上げた映画『三十九夜』を大胆に脚色して舞台化した本作。ロンドンのミュージックホールでとある事件に巻き込まれてしまった男の大逃亡劇を描き出す。出演者は4名だけで、平方以外の3人は複数の役をこなし、さらに舞台袖が存在せず、常に4人がはけることなく舞台上にいるという、一風変わった演出が施されるが、「舞台上で生着替えします」(ソニン)、「たまにポロリもあります(笑)」(あべ)と俳優陣はこうしたシチュエーションを楽しんでいるよう。稽古場でも、演出のウォーリー木下の求めに応じて俳優陣からどんどん新しいアイディアを出し合い、新たな役が生まれ続けているという。たった4人で全てをこなすということで、相当ハードなようで「歌ったり、踊ったり、大変です…。『生きてる』って感じがします。ドタバタで窒息しそう」と平方が言えば、小松も「稽古中にのどが腫れるって初めてでビックリしています」とうなずく。あべは、2011年の喜劇「ハムレット」&悲劇?「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」以来の舞台出演となるが「(前作は)妻(高橋愛)と出会った芝居で、そのまま『ごちそうさま(笑)』!」とノリノリで語りつつ「この芝居を受けるにあたって、『新喜劇に近い』と聞いてたら、全然違ったので今はちょっと怖いです」とも。平方にとっては本作が初の単独主演舞台となるが「ありがたいですが、4人で作っていくことに正直、ホッとしています。それぞれが主演のようですが、その中で“単独主演”と言っていただけるように、みなさんが表現しないことを表現したい」と意気込みを口にする。「ダンス オブ ヴァンパイア」以来の平方との共演となるソニンも「いままで観たことない平方元基の顔が見られると思う」と平方の新たな境地に太鼓判を押す。そのソニンは、平方演じるハネイを惑わす3人の女を演じ分けるが、平方はソニンに「リアルにゾクゾクしました。セクシーだなって」と持ち上げ、これにはソニンも「元基を持ち上げようと思ったら、辱めに遭ってる(苦笑)」と照れた表情を浮かべていた。「THE 39 STEPSザ・サーティーナイン・ステップス」はシアタークリエにて5月1日より上演。取材・文:黒豆直樹
2022年04月11日ブルーマンの生誕30周年を記念した『ブルーマンワールドツアー IN JAPAN 2022』東京公演が4月6日に開幕した。本公演は彼らにとって約3年ぶりとなるワールドツアー。仙台に続いて開幕した東京公演は、920席という本ツアーで最も小さい会場で、ステージと観客の距離感が最も近い。入念な感染対策を講じながらも、濃密なコミュニケーションをとり、ブルーマングループのショー特有の一体感を味わうことができる内容となった。ブルーマンを代表するオリジナル楽器PVCで、東京公演でもお馴染みの日本の楽曲を演奏すると、観客全員がマスクをしていながらも、どよめきと笑いが起きたという。東京公演は5月8日(日)まで、残り40公演。VIPシートとポンチョ席は完売しているが、S席とステージビュー席は公演日程により購入可能。5月11日(水)からは名古屋、5月18日(水)から大阪、5月27日(金)から九州初上陸の福岡公演とツアーは5月29日(日)まで予定されている。■公演情報『ブルーマンワールドツアー IN JAPAN 2022』<東京公演>4月6日(水)~5月8日(日)会場:EXシアター六本木<名古屋公演>5月11日(水)~5月15日(日)会場:愛知県芸術劇場大ホール<大阪公演>5月18日(水)~5月22日(日)会場:オリックス劇場<福岡公演>5月27日(金)~5月29日(日)会場:福岡サンパレス
2022年04月11日1993年から市村正親の当たり役のひとつとして上演を重ねてきたミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール籠の中の道化たち』。2008年からはジョルジュ役に市村の劇団四季時代からの盟友・鹿賀丈史を迎え上演を続け、(鹿賀・市村ペアとしては)今回は5度目の再演となる。見どころは、何といっても“『ラ・カージュ』史上最高のコンビ”と名高い、市村と鹿賀の息の合った名演技。かれこれ50年来の仲という盟友2人が、本作の魅力を語ってくれた。2人が演じるのは、南仏のゲイクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のオーナー、ジョルジュ(鹿賀丈史)と、看板スターの“ザザ”ことアルバン(市村正親)。2人は、20年間同棲している事実上の夫婦でもある。ジョルジュには24年前の過ち(?)から生まれた実の息子がいて、アルバンは彼を母親のように愛している。そんなある日、息子が結婚を宣言。その相手がゲイクラブの取り締まりを主張する政治家ダンドン議員夫妻の娘だったことから家族に波乱が…というストーリー。「アルバンは少しわがままなところはありますが、ジョルジュにとってはそれさえも愛すべき存在。そんなアルバンを思う気持ちを前面に押し出して演じてきたのですが、今回は長年一緒に暮らし、深く知り合った間柄だからこそ生まれるルーズさも表現できればと思っています。一見、いい加減に見えるけれども、仕草や言葉の端々にアルバンへの愛や思いやりがにじみ出ている、そんなジョルジュを演じられれば」と役づくりについて語る鹿賀。市村も「初演のときは40代半ばで、僕が演じたアルバンも非常に元気で、華やいでいました。でも年を重ねた今では、年をとることは役を“よりリアル”にしてくれるものだと感じています。そして今鹿賀くんと夫婦役をやれることも運命的です。ジョルジュとアルバンには俳優としての僕らがダブってみえる場面もあるので、そのあたりも楽しんでいただきたいですね」と笑顔で応えた。“いっちゃん”“丈史”と呼び合う2人は、「いっちゃんの強い舞台愛と、表現することへの貪欲さは出会ったころからずっと変わらない。役者として、何ごとも“太く”進化している」、「丈史は昔から色気があって、華があって、大柄で、まるでステーキのような存在感」と、役者としても尊敬しあう仲。「ジョルジュとアルバンは20年一緒に暮らしてきた仲ですが、僕らは50年付き合ってきた仲。そんな2人にしか表現できない夫婦愛や、家族の絆をお見せしたい」と締めくくった。日本のミュージカル界を代表する2人が魅せる、華麗で楽しく愛にあふれるミュージカル。人を思いやる優しさが全編に詰まっていて、観れば元気になれること間違いなしだ。公演は、4月22日(金)~25日(月)福岡・博多座、4月29日(金・祝)~5月1日(日)大阪。梅田芸術劇場メインホールにて。その他、愛知、富山、埼玉を巡る。チケットは発売中。 ※博多座公演中の4月22日(金)・23日(土)17時公演は来場者イベントあり(詳細は博多座HP参照)。
2022年04月07日“昭和”という時代と“戦争の悲劇”に真正面から向き合った『ミュージカル李香蘭』が、4月23日(土)から5月8日(日)まで自由劇場(東京・浜松町)で上演される。“日中戦争”“満州国”を巡る史実を背景に、日本人でありながら、中国の歌姫として数奇な運命を辿った“李香蘭”こと山口淑子の半生を描いた本作は、1991年の初演以来、900回以上という日本のオリジナルミュージカルとしては圧倒的な公演回数を誇る人気作。1992年には日中国交回復20周年記念公演として中国4都市(北京 / 長春 / 瀋陽 / 大連)を巡演し、1997年にはシンガポール公演も行われるなど、国際的にも高い評価を得ている。本作の見どころのひとつは、劇中に溢れている、人々の心に響くメロディーだ。ポップス界のヒットメーカーにして、ミュージカル作曲家としても評価の高い、故・三木たかしによるオリジナルナンバー20曲の他、「夜来香」「蘇州夜曲」など李香蘭のヒット曲、「月月火水木金金」「海ゆかば」といった昭和の時代を象徴する楽曲が全編を彩っている。本作を企画・製作した演出家、故・浅利慶太は「悲劇が繰り返された“昭和”という時代を、決して風化させてはいけない」と語っていたという。戦後77年が経過し、戦争が遠い過去の出来事となり、さらに戦争体験の語り部が失われつつある今だからこそ、本作は必見の作品である。【公演概要】『ミュージカル李香蘭』■公演期間 / 劇場:2022年4月23日(土)~5月8日(日)自由劇場■発売日:3月13日(日) 一般発売開始現在好評発売中■料金:8,800円(全席指定/税込)※2歳以下入場不可
2022年04月05日ミュージカル『EDGESーエッジズー2022』が2022年4月27日(水)から有楽町よみうりホールほかで上演される。『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』『ディア・エヴァン・ハンセン』『ドッグファイト』など数々の名楽曲を生み出したコンビ、パセック&ポールの処女作で、誰もが経験した青春の“エッジ(大人と子ども境界)”を描く本作。一つのテーマのもとに、一曲一話完結の楽曲をオムニバス形式で綴るソングサイクル・ミュージカルとなっている。今回、出演する成河は「ソングサイクルということも含めて完成形が想像ができないことが面白みだと思う。正解もなければモデルもないところで物づくりができたら面白いだろうなと思う反面、非常にそれはハードルが高いと思うんです。若者の、本当に自分たちのすぐ横にある感性を描いているにも関わらず、日本ではない地域性が匂ってくると冷めてしまうというか。言語以外の部分をどう埋めていけるかが勝負だと思っています」と話す。成河自身、ソングサイクル・ミュージカルは『35MM: A MUSICAL EXHIBITON』(2020)ぶりで2回目の挑戦。「一つの作品や役を立ち上げていくことに比べて、よっぽど大変ということではないんです。ただ正直、個人的には企画としては素晴らしいと思うんですけど、問題点や課題点はいろいろ見つかって。楽しんでいただいた方は多いと思うんですけど、ソングサイクル自体、まだ“好きな人だけくればいい”という域を出ない気がしていて。もう少し新しいアイディアがないと日本では難しい気がする。よかったところは、僕自身ちょっと歌がうまくなったことかな(笑)」。今回は成河ほか、屋良朝幸、植木豪、草間リチャード敬太、豊原江理佳、ダンドイ舞莉花らが出演。成河は「それぞれの畑で耕してきたものを持ち寄って、みんなで鍋を作る感覚」と印象を語り、「皆それぞれ畑が違うけれども、積極的に物を作っていくぞという感性を感じ取れて。作っては壊し、作っては壊し、という過程を一緒に楽しめる気がしますね」。観客へのメッセージを尋ねると、「ソングサイクルが美味しいかまずいか、好きか嫌いかマジで分からないです。けど、そういうことは一回忘れてもらって。僕らが本気で喋ったり歌ったりして『大人になるとはどういうことか』を見つめている姿を見て、何かが伝わる時間になっていけばいいなと思っています」と話した。東京公演は5月5日(木・祝)まで。大阪公演は5月8日(日)、9日(月)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール。取材・文:五月女菜穂
2022年04月01日漫画を原作に、テレビアニメ化や実写映画化された『四月は君の嘘』がミュージカルとして初上演される。ダブルキャストで主役を担うのはNHK連続テレビ小説『半分、青い。』で注目を集め、映像や舞台で活躍する小関裕太。「言葉一つ一つに感動して背中を押され、音楽の力にも元気をもらえる前向きな作品」という小関が取材会で語った。ミュージカル『四月は君の嘘』チケット情報ピアノコンクールで優勝したかつての神童の有馬公生(小関/木村達成)は、ピアニストの母の死をきっかけにピアノの音が聞こえなくなり、音楽から遠ざかる日々を送っていた。高校生になった公生は自由闊達に演奏するヴァイオリニストの宮園かをり(生田絵梨花)と出会い、彼女の影響で次第に変わっていく。小関は「ピアノを弾きたくない公生と、彼に弾いてほしい周りとの関係性が描かれています。弾いてほしいと言われるのは、役者の僕としてはすごくうらやましいこと」と役に憧れをにじませる。楽曲はブロードウェイで活躍する音楽家フランク・ワイルドホーンが手掛けた。彼のかかわった日本上演ミュージカルは今作で20本目。「ワイルドホーンさんはJ-POPもお好きで、今回面白いのは、クラシックやJ-POP、アメリカのポップスなどいろんな文化やジャンルが混じっていること。クラシックの伴奏から気が付いたら日本語歌詞がのって心地よく歌っている。なめらかで魔法のよう。新しい感覚ですね」。ワイルドホーンの楽曲を歌った経験のある役者たちは、皆、喉を酷使して大変だったと口を揃えるが、小関はどうだろう?「やっぱりそうなんですか(笑)。僕は今回が初めてですが、キーがとても高くて感情的な歌が続くので、それに耐えうる体力と精神力を作らなければいけないなと。ピアノに対しての苦悩だけではなく、単なるラブストーリーだけでもない。人の生と死にかかわる嘆きや喜び、悲しみが表現されているので、心して歌いたいです。高いと言っていますが、まずは楽しみたいです」と頼もしい。楽曲に加え、クラシックの演奏シーンも。「僕もコンサートを聴きに行ったことがありますが、指揮者やピアニストがフッと呼吸を整えて演奏が始まるという、独特の緊張感があります。生の舞台だからこそ、映画版やアニメ版には出せない、その日ならではの雰囲気や緊張感が伝わるのではと思います」と期待を寄せる。今作は2020年に上演予定だったが、コロナ禍で全公演が中止になった。「当時はあまりにもこの作品にエネルギーを投じて、成功させることを生きがいにしていたので、生きている意味みたいなことも考えた。そのぐらい喪失感がありました」と振り返る。今は「久々の主演作品なので、自分が大きく変われるチャンス」だと意気込む。無事に幕が開く日を見届けてほしい。取材・文:米満ゆう子
2022年03月31日4月8日から全国5都市ツアーを行う、ダンスエンターテインメント集団・梅棒の『おどんろ』。メンバーの梅澤裕介は「今回は、妖怪と人間の物語。“NEO妖怪”という現代の妖怪を、みんなのところにお届けできるのが楽しみ。はやく会ってほしい」と意気込む。『おどんろ』は2021年7〜8月に全公演中止となったが、出演予定だった小越勇輝の続投が決まった。梅棒の舞台に衝撃を受けて「このステージに立ちたい」という思いで参加したという小越。「去年は上演手前まで行ったけど、残念ながら上演できなかった。再びお届けできる可能性ができたのが幸せ」と喜ぶ。「梅棒は、皆が妥協なく、誰も残さず、納得いかないことはしっかり話し合って前に進んでいく。良いものができても「それで本当にいいのか」と突き詰めながら、壊してでも新しいものを作って前に進んでいく姿勢がすごい」(小越)。そんな小越の印象を、梅澤は「自分に厳しい。しっくりこないところは納得いくまでやる」と信頼を寄せる。新たに参加する大西桃香(AKB48)は「せりふのない舞台も、ダンスで表現する舞台も初めて」と緊張の様子。ダンスに苦手意識があるが「いろんなジャンルのプロの方が集まっていて『スマブラ』(大乱闘スマッシュブラザーズ)みたいな現場。私もいろんなダンスにチャレンジしたい」と意欲を見せる。そんな大西に、梅棒に参加するにあたって2人に質問したいことを聞くと「私の第一印象は……?」とのこと。小越は「すごく人見知りだと言っていたけれどそんな印象はない。きっとすごくピュアな人。作品のプロットを読んで涙したそうで、すごく心が綺麗なんだろうな」と返すと、梅澤も「眩しくて目が潰れそう!」と盛り上げる。温かい2人のコメントに大西も「せっかくの機会なので聞いちゃいました、ありがとうございます!」と喜び、互いを思いやる和気あいあいとした雰囲気に包まれた。今回の梅棒が一味違うところは、これまで多かった学園ものやSFなどファンタジックな世界観ではなく、妖怪が出るとはいえ現代の都会が舞台になること。梅澤いわく「アルフォートでいえばビターチョコレート味。大人っぽく、ほろ苦い感じもある」とのこと。「本当に、本当に、騙されたと思って来てください!損はさせません!」と力強い梅澤に続き、小越も「とにかく観て!面白いから!と自信を持って言えるのが梅棒。ぜひいらしてください」と念押しした。文・取材河野桃子
2022年03月31日ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで創り上げるエンターテインメント集団「梅棒」による14th WONDER『おどんろ』が2022年4月8日(金)から東京・サンシャイン劇場での公演を皮切りに、全国5箇所で上演される。2021年7〜8月の上演が予定されていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で全公演中止となってしまった本作。一部キャストを変更してのリベンジ上演となる。物語の舞台は、トーキョー都タイトー区。人間の生活はNEO妖怪たちのイタズラによって脅かされていた。うだつの上がらないサラリーマン・萬代(ばんだい)はひょんなことから妖怪たちと接触するようになり、生活が一変。不思議な事件に翻弄されるタイトー警察署不思議犯罪課と、よからぬことを企むブラック企業をも巻き込んでーー。人間とNEO妖怪たちの不思議でハートウォーミングな物語となっている。初日までおよそ2週間と迫った3月下旬、適切な感染防止対策を講じた上で稽古場を1時間ほど見学した。この日の稽古は主にアクションシーンを確認すると聞いていた。初日も迫るし、てっきり既に振付やミザンス(役者の立ち位置)が決まっていて、その出来上がったシーンをなぞるのかと思っていたが、とんでもない。今まさに“クリエイション”していた。だいたいの芝居の流れが伝えられ、「ゆっくりと動いてみて」と早速実践へ。それぞれのキャストが自身のキャラクターを考えながら、どうしたらカウント内で動けるか計算し、まずは動いてみる。その場にいるキャストで、何度か合わせてみて、だんだんと噛み合ってきたら、スピードを上げていく。曲をかけてやってみて、また不都合が出てきたら修正し、試す。その繰り返しだ。梅棒の稽古場はこれまでも何度か取材させてもらっているが「壊しては創り、壊しては創り」をここまでしっかりと観たのは初めて。作品にとって何がベストなのか、ぎりぎりまで試行錯誤するのだなと思った。ちなみに、見学していたアクションシーンでは、主演の小越勇輝が大活躍。華麗なアクションを決めていた。また、そのアクションシーンを稽古している最中も、そのシーンに出演しないキャストたちがそれぞれ自主的な練習をしている姿が印象的だった。ヘッドホンをつけて振付をひたすら繰り返す者、小道具の扱いになれようとしているのか、何度も同じ動きをしてみる者。休憩時間はまるで部活のような空気感だが、やるときはやるメリハリあるカンパニー。無事に開幕することを願ってやまない。東京公演は4月17日(日)まで。三重公演は4月19日(火)、四日市市文化会館第2ホール。大阪公演は4月22日(金)~24日(日)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール。高知公演は4月27日(水)、県立県民文化ホール。愛知公演は5月7日(土)~8日(日)、ウインクあいち。取材・文:五月女菜穂
2022年03月31日主人公の星野鉄郎を中川晃教が演じる舞台、『銀河鉄道999』。三度目となる今回は、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』として、念願のミュージカル版での上演となる。そこで新たにキャプテン・ハーロック役を担う、三浦涼介に話を訊いた。名作『銀河鉄道999』への出演が決まった時の心境について問うと、三浦はパッと顔を輝かせ、こう切り出す。「まずは作品うんぬんというよりも、中川さんと共演出来るってことが僕にとっては大きな喜びでした。実は僕、舞台のオーディションを初めて10代で受けた時、中川さんの曲を持っていったくらい大ファンなんです!歌声があんなにハートフルで、胸に刺さる人って他にいないですし、子供ながらにすごい人を見つけてしまった!と思っていて。それがまさか、このお仕事を始めて20年の節目で共演させていただけるなんて、こんなに嬉しいことはありません」そんな憧れの中川演じる鉄郎にとっての憧れの男が、三浦演じるキャプテン・ハーロック。「男の中の男というイメージが強いハーロックですが、そこは人間が演じる面白さとして、僕なりの解釈が出来たらいいなと思っています。それこそ優しさ、しなやかさみたいなものがあってこそ、彼の男らしさが引き立ってくるのではないかと思うので。例えば殺陣稽古の時、『ハーロックはあまり動かなくていい』というお言葉をいただいたんですが、僕としてはいいとこ取りが出来たらいいなと。単に動かないのではなく、そこに俊敏さであったり、スピード感をプラスしていく。そういった見せ方にもトライしていきたいと思います」絶大な人気を誇るキャラクター・メーテル役には、三浦とも『エリザベート』(19年)で共演済みの花總まり。「普段の花總さんは、さっきまであんなに光を浴びてセンターに立っていた人とは思えないくらい、普通に素敵に生きられている方なんですよね。本当に大好きな俳優さんですし、マスクがあって良かったなと思うくらい、中川さん、花總さんのお稽古を見ているとニヤニヤしちゃって(笑)。せっかくなので多くのことを学びたいですし、何気ない会話をたくさんしたいなと。はい、ただのファンです!(笑)」そして連載開始から45年を経た今もなお、本作が輝き続ける理由を三浦はこう語る。「SFではありますが、すごく人間くさい作品だと思います。この舞台でも忘れかけていたなにかを思い返していただけるのではないかと思いますので、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです」取材・文:野上瑠美子
2022年03月31日株式会社スーパーエキセントリックシアターによる“演歌ミュージカル”「明日に唄えば~清き一曲お願いします~」が3月26日より開幕する。初日を直前に控えた稽古場にて行われた通し稽古の模様をレポートする。人口減に悩む田舎の街を舞台に、商業施設の誘致の是非を焦点に行なわれる町議会議員選挙の模様を描く本作。冒頭、演歌歌手の夢破れて東京から故郷に帰ってきたヒロイン・千春が未練を漂わせつつ力強く歌う「ごめんね東京」で幕を開ける。“演歌ミュージカル”と銘打つだけあって、劇中の随所で登場人物たちがそれぞれの心情を乗せて演歌を歌い上げるが、オリジナル楽曲に加え、水前寺清子、新沼謙治、八代亜紀などの誰もが聞いたことのある名曲が次々と流れる。「どんとやれ男なら~♪」(「いっぽんどっこの唄」)、「嫁に来ないか ぼくのところに~♪」(「嫁にこないか」)などの“昭和”の香りのする歌詞と哀愁あふれる街の様子と絶妙にマッチし心地よく響く。物語の軸になるのは町会議員選挙。有力議員・根来川の下で働き始めた千春だったが、昔ながらの利益誘導、男社会の町政に疑問を抱き、自ら選挙に立候補する。千春が立候補を決意するきっかけになるのが、商業施設が誘致されたらなくなるかもしれない商店街主催の夏祭り。ここで美空ひばりの「お祭りマンボ」が流れると、一気に舞台全体のテンションがアップ! ちなみにその後、千春が飛び入りのカラオケ大会で観衆の心を掴むシーンでも、美空ひばりの楽曲が使われている。千春を演じるのはAKB48を卒業後、演歌歌手として着実にキャリアを積み重ねてきた岩佐美咲。彼女の前に立ちはだかる町会議員・根来川をモト冬樹が演じているが、自らの頭髪をネタにしたアドリブを挿入するなど、時にコミカルな面を見せつつ、“いかにも”な昭和のオジサン議員を体現し、さすがの存在感を見せつけている。“選挙”と“祭り”を組み合わせた構成も見事。「選挙とは、民主主義の根幹をなす制度であり、未来を選択するための…」という正論以前に「選挙とはお祭りである」という“真理”を我々は現実の世界でもたびたび目の当たりにしてきた。一方で、選挙が行われるたびに、投票率の低さが話題となるが、本作ではそうした社会的な問題にも触れつつ、大音量の演歌に乗せて、選挙というお祭りを一大エンタテインメントに仕上げている。
2022年03月24日梅棒 14th WONDER『おどんろ』が2022年4月8日(金)から東京・サンシャイン劇場での公演を皮切りに、全国5箇所で上演される。当初、2021年7〜8月の上演が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全公演中止となってしまった本作。一部キャストを変更してのリベンジ上演となる。開幕を前に、出演する小越勇輝、大西桃香(AKB48)、梅澤裕介(梅棒)が合同取材会に参加し、公演に向けての思いを語った。物語の舞台は、トーキョー都タイトー区。人間の生活はNEO妖怪たちのイタズラによって脅かされていた。うだつの上がらないサラリーマン・萬代(ばんだい)はひょんなことから妖怪たちと接触するようになり、生活が一変。不思議な事件に翻弄されるタイトー警察署不思議犯罪課と、よからぬことを企むブラック企業・天堂製薬も巻き込んでーー。人間とNEO妖怪たちの不思議でハートウォーミングな物語となっている。21年夏の公演でもキャスティングされていた小越は「前回は悔しくも一つの公演もできずに中止になってしまったが、こうしてリベンジできるのはすごく嬉しいです。また梅棒というチームに加わって、一からこの作品を作り上げることができる。ワクワクでいっぱいです」と話す。梅澤も「梅棒は記録をいつも残さないので、舞台でしか見ることができない団体。今回、早いタイミングで上演できなかった作品ができるのは嬉しいです。(前回は予定されていなかった)地方のみなさまにも作品をお届けしたい」と意気込む。一方、今回が初参加となる大西。AKB48の活動を通じて、梅棒のことは知っていたといい「めちゃくちゃ踊るすごい方々。私はダンスが苦手な部類なので、梅棒さんの舞台に出られるなんて」と驚いていたが、本番に向け、ストレッチや筋トレをしたり、“特訓”を重ねているという。観客へのメッセージを求めると、梅澤は「いつもの梅棒らしく、ドタバタあり、面白いところがありつつ、大人っぽい情緒的な雰囲気にあふれている素敵な舞台になっているので、楽しみに観に来ていただければ」。大西は「あらすじを読ませていただいたときに、泣いてしまって。期待値爆上げで楽しみにしていただけたら」と話し、小越は「みなさまの記憶の中に残る作品になれば嬉しい」。東京公演は4月17日(日)まで。三重公演は4月19日(火)、四日市市文化会館第2ホール。大阪公演は4月22日(金)〜24日(日)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール。高知公演は4月27日(水)、県立県民文化ホール。愛知公演は5月7日(土)〜8日(日)、ウインクあいち。取材・文:五月女菜穂
2022年03月15日壊れかけのロボットと、無気力に生きる主人公の再生の旅を描いた劇団四季のオリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が、4月16日(土)まで京都劇場で上演中だ。劇団四季「ロボット・イン・ザ・ガーデン」チケット情報本作は劇団四季が16年ぶりに手掛けた一般向けオリジナルミュージカルで、2020年に東京で開幕。雑誌「ミュージカル」の「2020年ミュージカル・ベストテン」で作品部門第1位に選出されるなど、注目を集める1作だ。原作は2015年に出版されたイギリスの同名小説。世界各国でロングセラーを記録し、日本では今年、映画版『TANG タング』も公開予定だ。舞台は、アンドロイドと人間が共生する近未来。どこか哀愁をまとう小さな四角い旧式ロボットが、ある家の庭へとたどり着く。家の中では、弁護士の妻エイミーが慌ただしく出勤準備をする一方で、張り合いなく過ごす夫ベンの姿。両親を事故で亡くして以来、獣医になる夢も諦めて無気力に日々を過ごしている。庭のロボットを見つけ、興味を持つベンだが、エイミーには「粗大ごみ」にしか見えない。前を向いて歩きたいエイミーと、いつまでも前を向けないベン。ふたりの生活も気持ちも、距離は広がるばかりだ。「タング」だと名乗るロボットは、人間の指示通りに動く“賢い”アンドロイドとは対照的。自由気ままに動き回り、時にはわがままを言ってベンを困らせるが、ベンはいつ停止するかもしれないタングを修理しようと、少しの手がかりを頼りにアメリカ、日本、そしてパラオと、国を超えた旅に出る。ふたりで修理の旅をしていく中で、さまざまな言葉や知識を吸収していくタング。タングを動かし、タングとして声を放ち、感情を表現しているのはふたりの俳優だ。操る姿は観客から見えている状態だが、観ているとその存在を忘れてしまうほど、タングの愛らしさに惹きこまれていく。ベンとタングの旅は紆余曲折しながら進み、後半、思いもよらぬ展開を迎える。タングに隠された秘密が次第に明かされていくのもスリリングで面白い。狭い世界にとどまり前を向けなかったベンが、タングとの出会いをきっかけに外に飛び出し、タングを守ろうと懸命に駆け回る。さまざまな人たちと出会うことで、知らず知らずのうちにベンの心はほどけ、見失っていた大切な人への思いに気付く。閉じこもってばかりでは見つからなかった心の鍵。人との関わりや、相手を思いやることの大切さ。ベンが気付かされたように、心にじわりと届くものがあるはずだ。京都公演は4月16日(土)まで、京都劇場にて上演中。チケット発売中。取材・文:黒石悦子
2022年03月10日昨年8月に宝塚歌劇団を退団した元月組トップスターの珠城りょうが、1stコンサート『CUORE(クオーレ)』を開催する。「在団中含め、初めてのコンサートです。コンセプトは“新しい世界に飛び出す”。新しい球城りょうをお見せしたい」と意気込む珠城に話を訊いた。早くから注目を集め、近年では珍しい入団9年目という速さでトップ就任した珠城。人柄がにじむ温もりある舞台姿、ダイナミックなパフォーマンスに人気が高く、記憶に残る舞台を数々送り出してきた。「私はすべての表現は心がベースだと思い、心を一番大事にしてきました。その気持ちが伝わったらと思い、タイトルをイタリア語で心を意味するCUOREにしました」と、タイトルに込めた思いを明かす。内容も、珠城のやりたいことが詰まっている。「構成・演出・振付は私の希望で川崎悦子先生にお願いしました。宝塚でも振付なさっていますが在団中にご一緒できなかったのと、私は(川崎が多く振付として関わっている)劇団☆新感線がとても好きなのもあり、先生にお願いできたらと。選曲なども先生とご相談している最中ですが……在団中にOfficial髭男dismさんの『Amazing』のカバーをリリースしたのですが、それを初めて生パフォーマンスします! 宝塚の楽曲も何曲か歌います。それも自分が演じたものではなく、ファンの皆さんが「珠城さんでこの役が見てみたかった」と言ってくださっていたものの中からチョイスしようと思っています」と構成の一端を明かしてくれた。昨年退団したばかりの元雪組スター彩凪翔、元星組スターの愛月ひかるがスペシャルゲストとして出演するのも話題。一見、接点はなさそうに見えるが……?「意外と組が違っても生徒同士の交流はあるんですよ。愛月さんは一期上なのでお話する機会も多く、男役について、お芝居について熱く語ったことも。彩凪さんも、気付いたらよくお話しするようになっていました。意識し刺激も受ける関係です。お二方ともプライドを持って舞台に立つ姿がカッコよく、いつか一緒に芝居ができたらいいねというお話はしょっちゅうしていました。でもなかなか共演は難しく、最後はコロナ禍で『タカラヅカスペシャル』(年に一度、組を超えスターが一堂に会するイベント)もないまま卒業してしまったので、今回同じステージに立てたらいいなとご相談させていただきました」とのこと。夢の共演に期待が高まる。「在団中は毎日生きていくことに必死だった。今はのんびり生活しています」と穏やかに笑うその姿からは“新しい自分”を楽しんでいることが伝わってくる。今まで見たことのない珠城に出会えるに違いない。公演は4月30日(土)から5月3日(火・祝)に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、5月13日(金)から15日(日)に東京国際フォーラム ホールCにて。取材・文:平野祥恵
2022年03月08日宝塚歌劇団花組で男役スターとして活躍し、昨年7月に退団した瀬戸かずや。18年過ごした宝塚から新しい世界へ一歩踏み出した瀬戸によるファーストコンサート『The ALSTROEMERIA-アルストロメリア-』が2022年4月29日(祝・金)から東京・サンシャイン劇場、5月6日(金)から大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで開催される。コンサートの開催にあたり、瀬戸は「宝塚の男役としてこれまで歩んできたものがありつつ、卒業をして、これから自分がどんな風に変化していくのか、ちょうど境目のときだと思っています。今しかできない表現を探りながら、あらゆる面をお見せできたら」と心境を語る。タイトルにある「アルストロメリア」とは花の名前で、「未来への憧れ」や「凛々しさ」という花言葉を持つという。「私の愛称が『あきら』なので、「A」から始まるコンサート名がいいなと思っていました。花組出身ですし、アルストロメリアはいろいろな色がある花。コンサートでは自分もいろいろな色を表現できたら面白いと思って、選びました」と命名の由来を明かす。元花組トップスターのANJU(安寿ミラ)が構成・演出・振付を手掛けるほか、元月組トップスターの真琴つばさや、元花組トップスターの真飛聖らの出演も決定。瀬戸は「私が宝塚と出会うきっかけを作ってくださった憧れの真琴さんと、一緒に舞台をつくってきた真飛さん。このお二方がご出演を引き受けてくださったという事実だけでも幸せで胸がいっぱい。お二方と舞台をつくることができる時間を大切に、楽しんでいきたいです」と興奮した様子だった。退団後に感じる変化を尋ねると「時間の流れ方が変わった」と瀬戸。「朝起きて、お昼がきて、夕方が来て、夜が来て。当たり前のことかもしれないんですが、ちょっとした日々の変化や喜びを感じるようになったんです。そういう些細なことの積み重ねをいっぱいしていきたい」と話す。ジムに通ったり、マシーンを使ったピラティスやゴルフを始めたりしているそうで「いろいろなことに挑戦できる時間があって、嬉しい」。コンサートを楽しみにしている観客へのメッセージとして「宝塚を卒業して、男役ではなくなった瀬戸かずやとして、今、みなさまにどんな姿をお見せできるのか。私自身も楽しみです。『こんな一面もあったよ』とか『こんな姿も見せちゃうよ』とか、自分自身も挑みながら楽しみながら、みなさまのお力をお借りして素敵なコンサートをお届けしたいです」と話した。東京公演は4月29日(祝・金)~5月1日(日)。大阪公演は5月6日(金)~7日(土)。取材・文:五月女菜穂
2022年03月07日3月8日(火)の国際女性デーに開催される、「AMUSE PRESENTS SUPER HANDSOME W LIVE」。宝塚歌劇団退団後も広く活躍する柚希礼音、愛希れいか、ミュージカル女優として躍進を続けるソニン、映像の演技力も評価されている村川絵梨、清水くるみ。モデルだけならず女優としても活躍の場を広げる石田二コル、三吉彩花。ドラマ、映画の出演で注目を集める恒松祐里、堀田真由といった、「ハンサム」なアミューズ所属女性アーティストが勢ぞろいする本公演。本番を目前にした公演稽古場を取材した。この日は全員で披露する楽曲を中心に、各曲の通しを実施。稽古場に入ると通していたのが、2019年に上演したミュージカル『FACTORY GIRLS』より「自由の国の娘たち」。女性たちが自立を目指し、団結を歌うナンバーはソニンの力強い歌い出しから、清水、石田、島が続く。柚希も加わり、公演を観た人はもちろん、観ていない人にも聞きごたえのある一曲を仕上げていた。続く『ヘアスプレー』より「You Can‘t Stop the Beat」は稽古場でも盛り上がった一曲。清水のイキイキとした歌唱に続き、メンバー同士がペアで歌うパートは見どころだ。マスクの着用もあり1曲通した後は息切れする姿も出るほどのパワフルなナンバーだが、お互いに立ち位置や振り付けを細かくチェックし合う。続いて、ディズニー『アルティメット・プリンセス・セレブレーション』より「Starting Now」、映画『The Greatest Showman』から「This is Me」のドラマティックなナンバー。歌唱指導担当からのアドバイスの後も、愛希は不明点を積極的に確認したり、それぞれが歌いあってみたりと真剣な様子で向き合う姿に、ますます公演への期待が高まった。様々なバックグラウンドを持つ出演者が揃う稽古場では、柚希がダンスを、ソニンが歌唱を中心にメンバーを牽引。柚希は合間に、三吉にポージング、石田には体の使い方のコツを、一緒に動きながら教えていた様子が印象的。ソニンは曲ごとにバンドのアレンジについても積極的にディスカッション。若手メンバーへのアドバイスも行うなど、チームのまとめ役として頼りになる姿を見せた。ミュージカル楽曲からは他にも『WICKED』『Dream Girls』『PROM』『ファントム』、そしてBLACK PINK、Perfumeも披露予定。多彩なジャンルで活躍する彼女たちが挑戦する、新たなハンサムライブのステージをお見逃しなく。公演は3月8日(火)13時、18時の2回公演。Bunkamura オーチャードホールにて。また18時の回はPIA LIVE STREAMにてライブ配信も実施する。チケット発売中。
2022年03月07日北村想の書き下ろしを、寺十吾が演出する舞台『奇蹟 miracle one-way ticket』が、3月18日(金)、東京・世田谷パブリックシアターで幕を開ける。「日本文学シアター」シリーズでおなじみのふたりによるこの話題作に出演するのが、乃木坂46を卒業後、俳優として活躍する井上小百合だ。深い森に迷い込んだ記憶喪失の探偵・法水連太郎(のりみずれんたろう)と、彼を探しに来た親友で医師の楯鉾寸心(たてほこすんしん)。なぜ法水はこの森にやって来たのか…というところから物語は始まる。本作の魅力を、井上はこう語る。「今までに出会ったことのないようなミステリーだなと思いました。脚本の想さんいわく、『エンターテインメントをミステリーで味つけしただけ』だと。ミステリーと言いつつ、笑える面白いシーンもありますし、法水役の井上芳雄さんが歌ったりもする(笑)。すごく新鮮で、斬新で、ちょっと前衛的な作品になるんじゃないかなと思います」井上演じるのは、法水、楯鉾の前に突如現れる女性マリモ。「彼女が善なのか悪なのか、それはきっと最後までわからないと思います。見方によって、本当にいろいろな受け取り方ができる役どころなので。そんなマリモがふたりに対して、どういう立場で接していくのか。それを今模索しているところです」演出の寺十とは、本作が初の顔合わせとなる。「寺十さんは俳優としての顔もお持ちなので、俳優目線で演出を考えてくださる方だと思います。『こうしてください』と振付のような演出をつけるのではなく、『こういう心持ちでいると、こういう行動が取れるかもしれないね』といった感じで、こちらの感情を引き出し、自然と動けるようにしてくださる。私にとってはとてもやりやすいですし、素晴らしい演出家さんだなと思います」とはいえ独特な文体と世界観を有する北村作品。それだけに苦戦もしているようで…。「本当に難しくて、役者への“挑戦状”みたいな感覚もあります。想さんから、『あなたはこの役、どうやって演じますか?』と言われているような…(苦笑)。ただ自分ひとりで、というよりかは、皆さんと一緒に、相手役がこう来るからマリモはこう、みたいな感じでお稽古を進めることが出来ている。しかもこのキャストですから!めちゃくちゃ頼りまくっていますし、とても贅沢で豊かな現場だなと。私自身、ここまで作品を深く追求したことがなかったので、本当に勉強になりますし、成長出来ているのではないかと思います」東京公演は3月18日(金)から4月10日(日)まで世田谷パブリックシアターにて上演(※3月12日(土)~17日(木)は公演中止)。その後、4月13日(水)から4月17日(日)まで森ノ宮ピロティホールにて大阪公演を開催する。両会場ともチケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2022年03月03日柿澤勇人とウエンツ瑛士が“双子”に扮するミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。初日を約1ヵ月後に控える稽古場では、マスク姿のキャスト・スタッフによる気迫のこもった一幕の立ち稽古が行われた。1983年に英ロンドン・ウエストエンドで初演され、ローレンス・オリヴィエ賞を獲得した本作。日本でも1991年以降に繰り返し上演されている。二卵性双生児として生まれたミッキー(柿澤)は実の母親と貧しさの中で暮らし、エドワード(ウエンツ)は裕福な家庭に引き取られた。正反対の環境で育った二人は互いに双子であることを知らないまま幼少期に出会い、厚い友情を育む。成長した両者を待ち受ける運命とは──。カンパニーを率いるのは、ミュージカル初演出の吉田鋼太郎。1991年の日本初演を含め、3度サミー(ミッキーの兄)役として参加していた彼は、当時をヒントにしながらも決して過去にとらわれることなく、この数奇な人間ドラマをより魅力的に立ち上げようとキャストに熱く語りかける。最たる例が、ミッキーとエドワードが出会うシーンに表れていた。野生味あふれる“悪ガキ”に成長した柿澤ミッキーに対して、育ちのよいウエンツエドワードはどこまでも素直で行儀正しい。こう受け止めている二人に、吉田は「エディを一瞥したミッキーは“俺の方が強えぞ”って感じで前に出るの」「エディも意に介さずミッキーに近づいて」と指示。「人見知りしないのがジョンストン家の血だよ」と二人のルーツを改めて認識させる。すると次のターンで柿澤とウエンツは人物造形を磨き上げ、緩急あふれた魅力あるシーンに仕上がった。こうした説得力ある芝居の積み重ねが、引っ越してしまうエドワードを思い浮かべ、喪失感まじりにミッキーが歌うM18〈長い長い日曜日〉に活きる。互いに欠けているものを挙げ、「ミッキーになりたい」「エディになれたら」と憧れる両者の想いを知ると、彼らを待ち受ける二幕ラストが切ない。母親同士の“芝居合戦”も注目だ。夫に捨てられ生活に困窮し、楽な暮らしをしたい一心のミセス・ジョンストン(堀内敬子)と、子宝に恵まれないミセス・ライオンズ(一路真輝)は、M6〈我が子〉でそれぞれの思惑を見せる。堀内は「こんなお屋敷で育てばご飯の心配はいらない」と子どもを手放すことで生まれる可能性をしたたかに歌い、一路は「おもちゃは独り占め」と環境のよさをアピール。煩悩の根底に母性愛を覗かせるのも、結局はエゴなのか。議論したくなった。公演は3月21日(月・祝)~4月3日(日)に、東京・東京国際フォーラム ホールCにて。その後、愛知・福岡・大阪と巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年03月02日4月開幕の舞台『銀河鉄道999 THE MUSICAL』の制作発表が、オンラインにて開催された。漫画家・松本零士が生んだ大ヒット作品、その劇場版(79年公開)をベースにオリジナルストーリーを加えた新たな物語で、スリーナインの世界がミュージカルとなって再誕する。会見では脚本・歌詞を手がける高橋亜子のコメント紹介、演出を担う小山ゆうなの挨拶に続いて、音楽監督を務めるミッキー吉野と主人公・星野鉄郎を演じる中川晃教が登場。吉野のキーボード演奏で、中川が美声を響かせて本作のメインテーマとなる楽曲『マイ・ディグニティ』を披露した。爽快なメロディの高揚感を残したまま、あらためて中川と、メーテル役の花總まり、機械伯爵役の佐藤流司、クレア役の梅田彩佳の主要キャストが登場し、本作への思いを語った。2018年、19年上演の舞台に続き、三度目の鉄郎役に挑む中川は「僕自身は39歳だけど(笑)、16歳を精一杯生きていきたいです」と朗らかに宣言。「素晴らしい出会いの中で、気づきを得ていく。そして未来へとまた旅を進めていく、希望に満ちた、人間臭さもあるキャラクターをミュージカルで精一杯お見せしたい」(中川)当初メーテル役に予定されていた神田沙也加の逝去により、本役を引き受けた花總は「とても複雑な気持ちでしたが、神田さんが演じるのを楽しみにしていた役。彼女の分も一生懸命にやりたい、今はただ、それだけです」と丁寧に言葉を紡いだ。「謎の美女でミステリアスといったイメージのメーテルですが、そこには母性があったり、内に秘めた悲しみがあったり。稽古を進めるうちに、想像を遥かに超えたメーテル像が頭に浮かんでくるのではと思います。今までは一人で役に向かって悩んでいたけど、今回の私は一人じゃないので、それが支えになってくれるかなと」(花總)佐藤は、機械伯爵の人間であった頃の姿を「大きな夢があって、平和を愛していて、本当に頭が良くて優しい人間だった」と分析する。「そんな誰にも愛される人間が変わっていくさま、心が機械になって侵されていく自分との葛藤みたいなところが、現代の人々の心を打つのではないかなと思います」(佐藤)ガラスの体のクレアを演じる梅田は「お家で一回、ガラスをつかんでみようかなと」と語り、周りから微笑みを引き出した。「最初は冷たかったけど、私の体温が伝わって暖かくなってくれた。寄り添ってくれるものなのかも…と思ったので、クレア自身の強さにプラス、寄り添える暖かさを出せるように頑張りたいです」(梅田)開幕を前に、3月15日には中川と花總によるラジオの特別番組もオンエアされる予定。実力者たちが集まったミュージカルの舞台で新たに展開する宇宙への旅、その進化形をぜひ劇場で体感したい。取材・文上野紀子
2022年03月02日ミュージカル『カーテンズ』が2月26日、幕を開けた。会見で城田は演出・主演を務めることについて「日々後悔(笑)。新作で両方を手がけるのは実に大変でした。台本も10回くらい直し、美術や演出の打ち合わせと並行しながら膨大な台詞量との戦いで、帰宅したらヘロヘロ。1月3日と今朝の体重を比べたら9キロ減りました。でもやり甲斐がありますし、新たな挑戦をすることでこの先もミュージカルシーンを盛り上げていきたいです」と意気込みを語った。ミュージカル初挑戦の菅井は「ついに挑戦できるという気持ち。今も夢じゃないかと思うくらいです。自分の実力の足りなさを痛感してトレーニングしてきましたが、お稽古では心を解放することすら難しいと思いました。皆さんを信じてスポンジになったつもりで日々吸収してきました。素敵なニキ・ハリスになれるよう全力で挑みます」、同じく初挑戦の三浦は「ワクワクとドキドキが止まりません。正直こんなに大変なんだなと。台詞をきっかけに音楽が始まる、音に合わせての振付などミュージカルならではの新しい刺激を勉強しました。先輩キャストは本当に上手くて化け物だなと思いますし、まだ自分は実力が足りないと実感していますが、一生懸命取り組みます」。城田はそんな二人を「本当によく頑張ってくれて、彼らは僕のモチベーションでもありました。公演中でも成長するでしょうから、千秋楽が楽しみです」とエールを送った。【公演概要】ミュージカル「カーテンズ」原作:ピーター・ストーン脚本:ルパート・ホームズ作曲:ジョン・カンダ―作詞:フレッド・エッブ追加歌詞:ジョン・カンダ―&ルパート・ホームズ演出:城田優翻訳・訳詞:福田響志出演:城田優、菅井友香(櫻坂46)、三浦翔平、原田薫、岸祐二、中嶋紗希、宮川浩、瀬奈じゅん/中西勝之米本学仁高橋卓士/井上花菜、小山侑紀、坂元宏旬、竹内真里、茶谷健太、常住富大、伯鞘麗名、福田えり、堀江慎也、横山達夫日程:<東京公演>2022年2月26日(土)~3月13日(日) 東京国際フォーラムホールC<大阪公演>2022年3月18日(金)~3月22日(火) 新歌舞伎座<愛知公演>2022年3月26日(土)・27日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール(文・三浦真紀/撮影・伊藤智美)
2022年02月28日