柿澤勇人とウエンツ瑛士が“双子”に扮するミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。初日を約1ヵ月後に控える稽古場では、マスク姿のキャスト・スタッフによる気迫のこもった一幕の立ち稽古が行われた。1983年に英ロンドン・ウエストエンドで初演され、ローレンス・オリヴィエ賞を獲得した本作。日本でも1991年以降に繰り返し上演されている。二卵性双生児として生まれたミッキー(柿澤)は実の母親と貧しさの中で暮らし、エドワード(ウエンツ)は裕福な家庭に引き取られた。正反対の環境で育った二人は互いに双子であることを知らないまま幼少期に出会い、厚い友情を育む。成長した両者を待ち受ける運命とは──。カンパニーを率いるのは、ミュージカル初演出の吉田鋼太郎。1991年の日本初演を含め、3度サミー(ミッキーの兄)役として参加していた彼は、当時をヒントにしながらも決して過去にとらわれることなく、この数奇な人間ドラマをより魅力的に立ち上げようとキャストに熱く語りかける。最たる例が、ミッキーとエドワードが出会うシーンに表れていた。野生味あふれる“悪ガキ”に成長した柿澤ミッキーに対して、育ちのよいウエンツエドワードはどこまでも素直で行儀正しい。こう受け止めている二人に、吉田は「エディを一瞥したミッキーは“俺の方が強えぞ”って感じで前に出るの」「エディも意に介さずミッキーに近づいて」と指示。「人見知りしないのがジョンストン家の血だよ」と二人のルーツを改めて認識させる。すると次のターンで柿澤とウエンツは人物造形を磨き上げ、緩急あふれた魅力あるシーンに仕上がった。こうした説得力ある芝居の積み重ねが、引っ越してしまうエドワードを思い浮かべ、喪失感まじりにミッキーが歌うM18〈長い長い日曜日〉に活きる。互いに欠けているものを挙げ、「ミッキーになりたい」「エディになれたら」と憧れる両者の想いを知ると、彼らを待ち受ける二幕ラストが切ない。母親同士の“芝居合戦”も注目だ。夫に捨てられ生活に困窮し、楽な暮らしをしたい一心のミセス・ジョンストン(堀内敬子)と、子宝に恵まれないミセス・ライオンズ(一路真輝)は、M6〈我が子〉でそれぞれの思惑を見せる。堀内は「こんなお屋敷で育てばご飯の心配はいらない」と子どもを手放すことで生まれる可能性をしたたかに歌い、一路は「おもちゃは独り占め」と環境のよさをアピール。煩悩の根底に母性愛を覗かせるのも、結局はエゴなのか。議論したくなった。公演は3月21日(月・祝)~4月3日(日)に、東京・東京国際フォーラム ホールCにて。その後、愛知・福岡・大阪と巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年03月02日4月開幕の舞台『銀河鉄道999 THE MUSICAL』の制作発表が、オンラインにて開催された。漫画家・松本零士が生んだ大ヒット作品、その劇場版(79年公開)をベースにオリジナルストーリーを加えた新たな物語で、スリーナインの世界がミュージカルとなって再誕する。会見では脚本・歌詞を手がける高橋亜子のコメント紹介、演出を担う小山ゆうなの挨拶に続いて、音楽監督を務めるミッキー吉野と主人公・星野鉄郎を演じる中川晃教が登場。吉野のキーボード演奏で、中川が美声を響かせて本作のメインテーマとなる楽曲『マイ・ディグニティ』を披露した。爽快なメロディの高揚感を残したまま、あらためて中川と、メーテル役の花總まり、機械伯爵役の佐藤流司、クレア役の梅田彩佳の主要キャストが登場し、本作への思いを語った。2018年、19年上演の舞台に続き、三度目の鉄郎役に挑む中川は「僕自身は39歳だけど(笑)、16歳を精一杯生きていきたいです」と朗らかに宣言。「素晴らしい出会いの中で、気づきを得ていく。そして未来へとまた旅を進めていく、希望に満ちた、人間臭さもあるキャラクターをミュージカルで精一杯お見せしたい」(中川)当初メーテル役に予定されていた神田沙也加の逝去により、本役を引き受けた花總は「とても複雑な気持ちでしたが、神田さんが演じるのを楽しみにしていた役。彼女の分も一生懸命にやりたい、今はただ、それだけです」と丁寧に言葉を紡いだ。「謎の美女でミステリアスといったイメージのメーテルですが、そこには母性があったり、内に秘めた悲しみがあったり。稽古を進めるうちに、想像を遥かに超えたメーテル像が頭に浮かんでくるのではと思います。今までは一人で役に向かって悩んでいたけど、今回の私は一人じゃないので、それが支えになってくれるかなと」(花總)佐藤は、機械伯爵の人間であった頃の姿を「大きな夢があって、平和を愛していて、本当に頭が良くて優しい人間だった」と分析する。「そんな誰にも愛される人間が変わっていくさま、心が機械になって侵されていく自分との葛藤みたいなところが、現代の人々の心を打つのではないかなと思います」(佐藤)ガラスの体のクレアを演じる梅田は「お家で一回、ガラスをつかんでみようかなと」と語り、周りから微笑みを引き出した。「最初は冷たかったけど、私の体温が伝わって暖かくなってくれた。寄り添ってくれるものなのかも…と思ったので、クレア自身の強さにプラス、寄り添える暖かさを出せるように頑張りたいです」(梅田)開幕を前に、3月15日には中川と花總によるラジオの特別番組もオンエアされる予定。実力者たちが集まったミュージカルの舞台で新たに展開する宇宙への旅、その進化形をぜひ劇場で体感したい。取材・文上野紀子
2022年03月02日ミュージカル『カーテンズ』が2月26日、幕を開けた。会見で城田は演出・主演を務めることについて「日々後悔(笑)。新作で両方を手がけるのは実に大変でした。台本も10回くらい直し、美術や演出の打ち合わせと並行しながら膨大な台詞量との戦いで、帰宅したらヘロヘロ。1月3日と今朝の体重を比べたら9キロ減りました。でもやり甲斐がありますし、新たな挑戦をすることでこの先もミュージカルシーンを盛り上げていきたいです」と意気込みを語った。ミュージカル初挑戦の菅井は「ついに挑戦できるという気持ち。今も夢じゃないかと思うくらいです。自分の実力の足りなさを痛感してトレーニングしてきましたが、お稽古では心を解放することすら難しいと思いました。皆さんを信じてスポンジになったつもりで日々吸収してきました。素敵なニキ・ハリスになれるよう全力で挑みます」、同じく初挑戦の三浦は「ワクワクとドキドキが止まりません。正直こんなに大変なんだなと。台詞をきっかけに音楽が始まる、音に合わせての振付などミュージカルならではの新しい刺激を勉強しました。先輩キャストは本当に上手くて化け物だなと思いますし、まだ自分は実力が足りないと実感していますが、一生懸命取り組みます」。城田はそんな二人を「本当によく頑張ってくれて、彼らは僕のモチベーションでもありました。公演中でも成長するでしょうから、千秋楽が楽しみです」とエールを送った。【公演概要】ミュージカル「カーテンズ」原作:ピーター・ストーン脚本:ルパート・ホームズ作曲:ジョン・カンダ―作詞:フレッド・エッブ追加歌詞:ジョン・カンダ―&ルパート・ホームズ演出:城田優翻訳・訳詞:福田響志出演:城田優、菅井友香(櫻坂46)、三浦翔平、原田薫、岸祐二、中嶋紗希、宮川浩、瀬奈じゅん/中西勝之米本学仁高橋卓士/井上花菜、小山侑紀、坂元宏旬、竹内真里、茶谷健太、常住富大、伯鞘麗名、福田えり、堀江慎也、横山達夫日程:<東京公演>2022年2月26日(土)~3月13日(日) 東京国際フォーラムホールC<大阪公演>2022年3月18日(金)~3月22日(火) 新歌舞伎座<愛知公演>2022年3月26日(土)・27日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール(文・三浦真紀/撮影・伊藤智美)
2022年02月28日河原雅彦演出、古田新太主演の伝説のロックミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』東京公演が、2月12日よりPARCO劇場にて開幕した。1973年の舞台初演から間も無く50年。未だカルト的⼈気を誇りファンを熱狂させるロックミュージカルの⾦字塔『ロッキー・ホラー・ショー』(RHS)。2017年上演版では2011年版から6年ぶりに古⽥新太のフランク・フルターが復活。いのうえひでのりからバトンを受け取った演劇界きってのロック狂、河原雅彦が演出を手掛ける。振付をMIKEY(from 東京ゲゲゲイ)が⼿がけ、演奏には⽇本版RHSの伝説“ROLLY”を中⼼に、武⽥真治が参加するなど、新たな要素を盛り込んだライブ感溢れる演出で熱狂を呼んだ“河原版RHS”が、大阪公演、広島公演、北九州公演を経て、ついにラスト東京公演が始まった。マッドサイエンティストのフランク・フルターを演じるのは、もちろん、古⽥新太。5年ぶりのパーティーに、小池徹平、ISSA、ROLLY、武田真治、さらに岡本健一と、これまでのRHSを支えたユニークな実力派キャストたちが集結。加えて昆夏美、フランク莉奈、峯岸みなみとフレッシュな女優陣が初参加と、2022年初頭、清濁合わせ呑むようなキャスト陣で、舞台と客席が一体となる演出もそのままに、新たな「ロッキー・ホラー・ショー」を誕⽣させた。2020年にリニューアルオープンした新⽣・PARCO劇場の、舞台と客席が緊密な空間でさらなる熱狂を呼んでいる。さらに、はまり役でもあった古⽥新太のフランク・フルターは三度⽬にしてなんと今回がラスト。過去の「RHS」キャスト、また今回新たにパーティーに加わるニューキャストが⼊り混じり、フランク・古⽥̶の東京ラストランをめちゃくちゃに盛り上げていく。【東京公演初日オフィシャルレポート】ついに『ロッキー・ホラー・ショー』(RHS)が始まった。1973年から上演されてきたこの作品は観客参加型として有名だ。マスクをして、声出せないコロナ禍の今だが、ペンライトはもちろん、歓声やブーイング、光線銃などの音をボタン一つで鳴らせるボイスストラップなど、参加グッズも工夫されていて、みんなが、思いっきり楽しみながらも“感染症対策に余念がない”…新しい『RHS』の世界を見せてくれた。ピカピカ光るビスチェ姿で登場したフランク・フルター役の古田新太の圧倒的な存在感にワクワク感が止まらない。エロくてキュートな小池徹平(ブラッド)と昆夏美(ジャネット)のバカップルぶりをはじめ、ISSA、峯岸みなみ、フランク莉奈の振り切った変態ぶり。そして、出演者の歌のうまさがあるからこそ、『RHS』のバカバカしい世界がきらめくのだ。とにかく生バンドの音楽がカッコよく、ライブ感がハンパなく盛り上がる。エディ役の岡本健一のロックなシャウト、ROLLYのギターと武田真治のサックスのセッション、東京ゲゲゲイのMIKEYの振り付けの手の動きが特徴的なダンス、全員が入り乱れるフォーメーションダンス……ステージを見ていると自然に体が動き、笑顔になってしまう。心のなかでなら、思いっきり騒いでいい、自由に楽しめるんだということを、劇場にいたみんなが感じたに違いない。「楽しんでるかー」古田新太の声にみんながうなずき、ラストはステージも客席も一体になって名曲『タイムワープ』を踊りまくる。その光景は変態パーティーそのもの!そんなパンキッシュでキッチュなパーティーに巻き込まれ、とにかく元気がでる時間をもらった。この大騒ぎのパーティーがずっと続いてほしいと思う。【ストーリー】友人の結婚式の勢いに乗せられ、自分たちも婚約してしまったブラッド(小池徹平)とジャネット(昆夏美)。ふたりは恩師に報告しようと、嵐の夜、車を走らせていた。しかしタイヤがパンク。助けを求めた彼らは、人里離れた荒野に建つ古い城にたどり着く。困り果てた二人の前に現れたのは、不気味な執事リフラフ(ISSA)と使用人のマジェンタ(フランク莉奈)やコロンビア(峯岸みなみ)たち。その異様な雰囲気に呑まれて戸惑う二人をそっちのけに、城の中ではノリノリのパーティーが始まる。さらに、黒いガーター&ストッキング姿も妖艶な城の主・フランク “N”・フルター(古田新太)が登場。いかにも性倒錯者然の彼は、この城で秘密の実験を行っている科学者であると言う。その実験とは、人造人間を創り出すこと。まさにこの夜は、彼の輝かしい実験が最終段階を迎えようとしていたのだった。困惑する二人にフランクは、人造人間誕生の瞬間に立ち会うよう強要する。誕生したのは…フランク好みの美形の筋肉マン・ロッキー(武田真治)。城の住人たちが成功を喜んでいるところに、今度はつぎはぎだらけの謎の男・エディ(岡本健一)が乗り込んで来る。50年代のロッカー・スタイルでキメたエディだったが、身長が足りないため、あえなくフランクに始末されてしまう。邪魔者は消した。フランクはロッキーに抱かれ、新婚のカップルのように寝室へと消えていく。夜は静かにふけてゆく…はずだったが、ロッキーと寝室に消えたはずのフランクは、いつの間にかジャネットの寝室に押し入り…かと思うと今度はブラッドのベッドに現れ…。混乱したジャネットが城の中をさまよい歩くうちに、フランクから逃げ出したロッキーに出会い…そんなこんなで城の中は愛と欲望の大混戦。ドタバタの騒ぎの中、リフラフが城への侵入者を発見する。広間に誘導されてきたのはスコット博士(岡本健一)。彼はブラッドとジャネットの恩師であり、UFOを研究する科学者であり、なおかつエディの叔父でもあるというサービスぶり。だが、ロッキーをジャネットに盗られて怒り狂ったフランクは、スコット博士をブラッド&ジャネットもろとも捕らえてしまう。3人の運命は?フランクの目的とは?そして執事にしては何か一癖ありそうな、リフラフの正体とは?■公演概要パルコ・プロデュース2022『ロッキー・ホラー・ショー』脚本・作詞・作曲:リチャード・オブライエン演出:河原雅彦翻訳:高橋ヨシキ訳詞・音楽監督:ROLLY振付:MIKEY(from 東京ゲゲゲイ)出演:古田新太小池徹平ISSA昆夏美フランク莉奈峯岸みなみ東京ゲゲゲイTACCHIGENTAP→★UFO武田真治ROLLY岡本健一バンド:Gt:ROLLY吉本匡孝Ba:HOTORIDs:小畑ポンプKey:おおくぼけい(アーバンギャルド)Cho:原田千栄 高仲尚子/ Pf:大塚茜企画・製作:パルコ公式サイト: 東京公演公演日程:2月12日(土)~2月28日(月)会場:PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)入場料金: 13,500円(全席指定・税込)U-25チケット:6,500円(観劇時25歳以下対象、要身分証明書、当日指定席券引換 / 「パルステ!」、チケットぴあにて前売販売のみ取扱い)チケットに関するお問合せ:サンライズプロモーション東京0570-00-3337(月~金12:00~15:00)公演についてのお問合せ:パルコステージ03-3477-5858(時間短縮営業中)
2022年02月14日アダム・クーパー主演の海外ミュージカル『SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~』。ジーン・ケリー主演の不朽の名作映画を舞台化したもので、2012年にロンドンで誕生した“決定版”が東京公演を経て、2月18日(金)、遂に大阪初上陸を果たす。連日14トンもの雨をステージ上に降らせるダイナミックなステージ。有名なタイトル曲を口ずさみながら雨の中歌い踊り、恋をするアダム・クーパーがこの度、リモート取材に応じてくれた。コロナ禍での延期を乗り越え開幕した喜びと、大阪公演を待ちわびる観客に向けメッセージを送る。ミュージカル「SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~」チケット情報アダム・クーパーと言えば、英国ロイヤルバレエのプリンシパルとして活躍し、映画『リトル・ダンサー』やマシュー・ボーンの衝撃作『白鳥の湖』の主人公役などで一世を風靡したバレエダンサー。だが、子どもの頃の夢は意外にも「タップダンサー」だったと明かす。「6歳でタップを習い始めたのが最初で、その後バレエをやり、またこの作品でタップに戻ってきました」。子供の頃から、ジーン・ケリーやフレッド・アステアがヒーローというのもうなずける。「今作が僕にとって特別なのはジーン・ケリーの役を演じられること、それも彼のコピーではなく自分自身のバージョンとして。これはとても光栄なことです」。物語の舞台は1920年代のハリウッド。隆盛を誇るサイレント映画だが、次第にトーキー(音声付き)映画の波が押し寄せる。スター俳優のドン(アダム・クーパー)は、表向きはカップルを装う大女優リナが悪声だったため、新作のトーキー映画は大不評。起死回生を狙い親友の作曲家コズモ、若手女優キャシーとの3人でミュージカル化を思いつくが、リナの声をどうするかが問題となって……。コロナ禍の影響で来日や開幕の延期が続いただけに、いま観客を前に踊れることが何よりも嬉しいと語る。「来日できないかもしれないと思った時は沈んだ気持ちにもなりましたが、こうして開幕できて胸がいっぱい。スタッフ、キャスト含め感謝の気持ちでいっぱいです」。アダム自身は何度も大阪の地で公演しているだけに、今作も「きっと喜んで貰えるはず」と自信を見せる。「人生に光と(恵みの)雨を与えてくれるので、僕自身演じていて嬉しいですし、観る人に喜びを与えてくれる作品です」と笑顔で語る。気付けば初演から公演回数は700回を超え、彼のキャリアの中でもっとも長く務める主演作となった。そんなドン役も、今回のツアーが見納めと聞けば、見届けずにはいられなくなるはず。大阪公演は2月18日(金)から21日(月)までオリックス劇場にて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年02月10日2022年4月8日(金)~4月18日(月)日本青年館ホールにて上演する『銀河鉄道999 THE MUSICAL』のメーテル役に、花總まりの出演が決定した。今なお世界中で愛される松本零士原作の不朽の名作『銀河鉄道999』を、本格ミュージカル作品として上演。「ジャージー・ボーイズ」で第24回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞するなど数々の作品で主演をつとめる中川晃教が、2018年・2019年の舞台『銀河鉄道999』より星野鉄郎役を続投。花總まりは、「この度、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』に神田沙也加さんの代役としてメーテル役で出演させていただく事となりました。お話を頂いた時、どうしたら良いのか判断がつかず、とても悩みました。けれども、もしこの公演が中止になってしまったらさーやの舞台への想いも一緒に消えてしまいそうな気がしました。また、このコロナ禍という状況の中で、公演ができなくなるという辛さは私も経験してきました。もし少しでも、誰かのため、何かのために自分が力になれるのであればと思い、とても悩みましたがこのお話をお受けする事にいたしました。沢山の方に愛されたさーや。大好きなさーや、いつも舞台に誠実に向き合っていたさーや。まだ現実として受け止めることが出来ない方も沢山いらっしゃると思います。私も同じです。でも前を向いて進んでいくために。さーやと一緒に、心を込めて精一杯メーテルを生きたいと思います。」とコメントを寄せている。脚本・作詞は高橋亜子、演出には小山ゆうなを迎えるほか、今作のエンディング曲にも決定している名曲「銀河鉄道999」の編曲を担当したゴダイゴのミッキー吉野が音楽監督を務める。ミュージカルオリジナルのエピソードも加えて、宇宙への旅立ちから別れまでを完全版として描く。
2022年02月07日ミュージカル『新テニスの王子様』The Second Stageが、1月28日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉にて開幕した。許斐 剛のマンガ『テニスの王子様』の続編である『新テニスの王子様』を原作とした「ミュージカル『新テニスの王子様』」シリーズ。U-17(アンダーセブンティーン)日本代表合宿への参加を許された主人公・越前リョーマら中学生が強者揃いの高校生に立ち向かう様子が綴られる。2020年12月より上演された「The First Stage」に続く今回の「The Second Stage」では、U-17(アンダーセブンティーン)1軍上位の選抜メンバー“Genius10”との激闘が繰り広げられた。第1試合では、跡部景吾(高橋怜也)とイリュージョンによって手塚国光(山田健登)の姿と化した仁王雅治(蔵田尚樹)・跡部景吾(高橋怜也)ペアが、越知月光(楚南 慧)・毛利寿三郎(丸山龍星)ペアに挑んだ。その後、“波動球”を繰り出す石田 銀を“デュークホームラン”で圧倒するデューク渡邊(大久保圭介)の対決や、丸井ブン太(川本光貴)・木手永四郎(長塚拓海)ペアが、“コート上の交渉人”こと君島育斗(樫澤優太)・遠野篤京(輝馬)ペアに翻弄される姿も。また“天衣無縫の極み”を発動した遠山金太郎(平松來馬)と鬼 十次郎(岡本悠紀)によるシングルス、亜久津 仁(益永拓弥)・真田弦一郎(吉田共朗)ペアの必殺ショットを“無”にして返球する種ヶ島修二(秋沢健太朗)・ラケットを両手にした“二刀流”の大曲竜次(畠山 遼)ペアによるダブルスも展開された。超人級のゲームが次々と行われる中で一服の清涼剤となるのが、リョーマ(今牧輝琉)とその兄・越前リョーガ(井澤勇貴)の掛け合いだろう。幼い頃に別れ別れとなった二人が、「テニスを極め互いに強くなればまた会える」と歌うさまは、今牧自身も「井澤さんとのやり取りや歌をぜひ見て欲しいです」とコメントを寄せている通り、見どころのひとつだ。鬼や入江奏多(相葉裕樹)が見守る中で行われた、徳川カズヤ(小野健斗)と平等院鳳凰(佐々木 崇)による迫力の最終試合にも注目したい。なお、入江役は泰江和明とのWキャストだ。これら試合の行方を、三ツ矢雄二が作詞、兼松 衆が作曲を手がけた26曲の多様なナンバーが彩る。神奈川公演は2月6日(日)まで。その後、2月11日(金・祝)~20日(日)に東京・TOKYO DOME CITY HALL、2月25日(金)~27日(日)に大阪・メルパルク大阪 ホールと巡演する。取材・文:岡山朋代(c)許斐 剛/集英社・新テニミュ製作委員会
2022年01月31日日本初上演となるミュージカル『The View Upstairs -君が見た、あの日-』が2022年2月1日から日本青年館ホール(東京都新宿区)ほかで上演される。ニューオリンズに実在した「アップステアーズ・ラウンジ」という同性愛者クラブで1973年に実際に起きた放火事件を題材に、ブロードウェイ新進気鋭の若手作家、マックス・ヴァーノンが作・作詞・作曲を手掛けた本作。2017年に米オフブロードウェイで初演され、今回が日本初上演となる。開幕を前に、マックス・ヴァーノンにオンラインでインタビューを実施した。マックスは「日本での上演は、月にも昇るような気持ち」と喜ぶ。学生の時に4年近く日本語を学び、さらに日本でホームステイ経験があるというマックスは「(日本での上演は)自分にとって素晴らしいギフトのような出来事でした。海外でも本作は上演されていますが、日本のお客様はまた違った反応を示してくださるのではないかと思っています」。改めて『The View Upstairs』が誕生した経緯を尋ねた。マックスは大学時代にジェンダーとセクシュアリティを専攻し、「世界中からやってきた専門家たちのセオリーを聴いたり、自分たちも20ページにわたるエッセイを書いたり、深く学んでいました」。ある日、32名が亡くなったニューオリンズで起きたアップステアーズ・ラウンジ放火事件をインターネット上の情報で知ったマックス。教授らに事件のことを尋ねるも、誰も知らなかったという。「今アメリカではLGBTQが大きなムーブメントになっているけれど、この事件のことは誰も知らなかった。自分がそこに光を当ててみたいと思いました。悲劇的に描くのではなく、そこにいた人々にもそれぞれに背景があって、笑ったり、情熱を持ったり、人生に喜びを持って生きていたのだと思いながら、追悼の意味を込めて、作品化しました」。コロナ禍はまだ終息していない。マックスにブロードウェイの現状を尋ねると、「何も確実なことがない時代。プロデューサーたちがリスクをとることを恐れなくなっている」と話し、「自分も30代ですが、50歳以下の若い才能が次々と出てきているように感じます」。マックス自身、今年の秋にK-POPを題材にしたミュージカルを上演する予定で「今まで誰も観たことがない、聴いたことがない、そんな作品を手掛けていきたいです」と意気込んでいた。今回日本版で主演する平間壮一と小関裕太については「2人とも才能があるし、全く心配していないです。自分がこの作品を生み出しましたが、ぜひ彼ら自身には日本の観客に向けて、また新たな作品づくりをしてほしい。リスクを犯すことを恐れずに、目一杯楽しんで演じて欲しい」と語り、日本の観客に対しては「この作品を通して、いつも自分自身に正直に、本当の自分でいることを大切にしてほしいと伝えたい。そして、過去から学び直して、この世界をより美しいものにしてほしいと願っています」とメッセージを送った。取材・文:五月女菜穂
2022年01月26日ミュージカル『ボディガード』が今月21日、大阪で初日を迎える。主演の大谷亮平、ヒロインのレイチェル役をトリプルキャストで務める柚希礼音、新妻聖子、May J.、そしてマネージャー役の内場勝則が前日の囲み取材に応じた。本作は90年代にケビン・コスナー&ホイットニー・ヒューストン主演で大ヒットした映画の舞台化。グラミー賞受賞曲『I Will Always Love You』をはじめ、数々の映画挿入歌を日本語歌詞で上演するスリリングな愛の物語だ。ミュージカル「ボディガード」チケット情報2020年の初演はコロナ禍に見舞われ、大阪での5回の上演にとどまった。初日が開くのを前に「感謝の気持ちしかない!」と揃って再演の喜びを口にする登壇者たち。初演メンバーが再集結し、May J.という新メンバーも加わり「新たな『ボディガード』になっております」と柚希。新妻も「少しの幸せと素敵な明日に繋がるような観劇になると思うので、楽しみに待っていてください」と自信を見せる。再演から参加のMay J.は劇場入り後、初めてマスク姿ではない共演者の姿を見たといい「皆さん『こんなお顔をされてたんだ!』って思いました」と笑顔で語った。本格的なライブシーンにも挑むスター歌手役の3人。柚希は「レイチェルは命の危険があっても待っていてくださるお客様がいる限り、絶対にお客様と歌には背を向けない。その姿勢は本当に尊敬する」と語り、「自分自身も長い間舞台に立ってきたので、その思いを重ねながら演じたい」と元宝塚歌劇団星組トップスターの片鱗がキラリ。圧倒的な歌唱力と芝居心に長けた新妻は再演では「物語を伝える」役作りに注力した。その上で「お客様が期待されている華やかなショーや熱唱のシーンを織り交ぜ、いろんな意味で満足度の高い公演にしたい」と意欲を見せる。舞台初主演でもあるMay J.は「とても厳しく稽古していただいた」とし、歌声の変化にも注目してほしいと話す。本作の代名詞ともいえる名曲『I Will Always Love You』に触れ、「May J.としても歌ってきましたが、役を演じる中で歌うとまた全然違ってくる。気持ちも変わるので、その変化を感じていただけたら嬉しいなと思います」。ボディガード役の大谷は「“レイチェル三姉妹”を命がけで守るシーンは格好良く見せたい」と理想の身体作りも上々の仕上がりをアピール。一方、身体は張れないが「違う側面からレイチェル守って行きたい」と内場。役作りでは吉本新喜劇で見せる表情とは真逆の方向性を示唆し「人の命を守るんですからシリアスに、ギャグもおちゃらけも一切なし。大阪弁もダメです」と、神妙に語れば語るほど笑いを誘うさすがの空気感で場を沸かせた。果たして、内場が本当に笑いを封印するのかも観てのお楽しみだ。公演は1月21日(金)から31日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、2月8日(火)から19日(土)まで東京・東京国際フォーラムホールCにて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年01月21日国内の人気ミュージカル俳優が一堂に会して開催される「Japan Musical Festival 2022」にて「ジャージー・ボーイズ」メドレーを披露する同ミュージカルキャストの中川晃教、花村想太、藤岡正明、東啓介、コーラスで参加する山野靖博がリハーサルの模様を公開し、同フェスティバルへの意気込みを語った。「ジャージー・ボーイズ」は、数々の名曲を生み出した「フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ」の実話を描いた作品で、日本では2016年より上演。今秋の公演ではフランキー・ヴァリを中川と花村がWキャストで演じる。この日のリハーサルでは「Sherry(シェリー)」、「Big Girls Don’t Cry(恋のヤセがまん)」、「Walk Like a Man(恋のハリキリ・ボーイ)」などのヒット曲のメドレーを披露。さらに中川と花村という“2人のヴァリ”が「Can’t Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」を歌い上げた。国内のミュージカルスターが集うミュージカルファンにとってはたまらないコンサートとなるが中川は、韓国で開催され、日本人として初めて出演した「スターライト・ミュージカル・フェスティバル」に触れ「ミュージカルひとつでこんなにたくさんの人たちが楽しむことできるというのが衝撃的で『いつか日本でも、こういうフェスできたら…』と思っていたんですが、それが今回、叶います!」と興奮を抑えきれない様子で語る。「ジャージー・ボーイズ」初参戦となる花村はこの日の歌稽古が初めてメンバーと一緒に歌う機会となったが、振り付けも含めて息の合った様子を見せた。今回のコンサートがフランキー・ヴァリ役として「みなさんに観ていただく初めての場所となるので頑張って歌いたい」と意気込みを語る。初めてとは思えない花村のパフォーマンスにはメンバーも驚いたようで藤岡は「ハンパない!」と称賛し「まだ3週間あるので、ブラッシュアップして最高のメドレーが披露できると思う」と心強い仲間を得て自信を深めた様子。初演からヴァリ役をひとりで務めてきた中川も、新たに加わった花村について「いま、まっさらな状態で、このフレッシュな力、情熱に満ちた花村さんの輝きが、この『ジャージー・ボーイズ』になくてはいけないと感じながら、いままでとはまた違うハーモニーが生まれる予感がしました」とうなずいた。『Japan Musical Festival 2022』は1月28日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催(ライブ配信も実施)。
2022年01月18日昨年12月に開幕し、全国12都市を巡演中の『劇団四季のアンドリュー・ロイド=ウェバー コンサート~アンマスクド~』。1月26日(水)、27日(木)には兵庫・神戸国際会館こくさいホールで上演される。劇団四季『劇団四季のアンドリュー・ロイド=ウェバー コンサート ~アンマスクド~』チケット情報『キャッツ』『オペラ座の怪人』など、数々の傑作ミュージカルを生み出してきた作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバー。劇団四季では、1973年に『ジーザス・クライスト=スーパースター』を初演して以来、ロイド=ウェバー作のミュージカルを半世紀にわたり上演し続けている。今作『劇団四季のアンドリュー・ロイド=ウェバー コンサート~アンマスクド~』は、ロイド=ウェバー楽曲を歌と生バンドの演奏でお届けする、2幕構成のショーコンサート。2018年にロンドンでワークショップ公演が行われ、2020年にアメリカで上演、そして今回、日本に初上陸を果たした。ステージ奥に配された生バンドの演奏をバックに、ロイド=ウェバーのこれまでの輝かしい歴史がダイジェスト映像で紹介されるオープニング。そして『ジーザス・クライスト=スーパースター』の「序曲」で高揚感を誘い、聴けば脳内リピート必至の「スーパースター」へ。幕開きからワクワクさせる構成で、観客をロイド=ウェバーの世界へと引き込む。劇団四季の上演作品からは『ジーザス』のほか、『エビータ』『アスペクツ オブ ラブ』『キャッツ』『オペラ座の怪人』より、選りすぐりの名曲を披露。さらに、ロイド=ウェバーのデビュー作『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』や、2021年にロンドンで初演された『シンデレラ』のナンバーほか、劇団四季未上演の作品からも楽曲がピックアップされている。作品の合間に挟まれる映像では、ロイド=ウェバー本人が、時には実際にピアノを弾きながら、それぞれの作品ができた経緯や背景などを、ユーモアを交えて解説してくれる。なかなか知ることのできない誕生秘話を聞くことで、観たことがない作品でも楽曲への理解が深まったり、知っている作品は新たな視点を持って観ることができるのも面白い。ロイド=ウェバーの名曲の数々と、それを客席へ届ける俳優たちの、確かな実力から生まれる圧倒的なパフォーマンス。さらに臨場感あふれる生バンドの演奏がステージを熱く盛り上げる。ロイド=ウェバーの世界にどっぷりと浸れる極上の空間で、ひとときの非日常を味わってほしい。神戸公演は1月26日(水)・27日(木)、神戸国際会館こくさいホールにて。チケット発売中。取材・文:黒石悦子
2022年01月18日城田優が演出・主演を務めるミュージカル『カーテンズ』が2022年2月・3月に上演される。城田に意気込みを聞いた。本作は、殺人事件が起きた劇場に駆け付けたミュージカルオタクの警部補チョーフィー(城田)が、事件だけでなく舞台の内容にまで首を突っ込み始め……と展開するコメディ・ミュージカル。2007年のトニー賞で主演男優賞を受賞したほか計8部門でノミネートした作品で、日本では2010年に東山紀之主演で上演された。今回は新演出、新カンパニーでの上演となり、城田のほか、ミュージカル初挑戦となる櫻坂46のキャプテン菅井友香と三浦翔平、瀬奈じゅん、原田薫、岸祐二、宮川浩らが出演する。本作について「こんなに不安なことはないです!(笑)」と明かした城田。というのも、シングルキャストで主演を務める作品に演出で参加するのは初めてとなるからだ。「演出のオファーをいただいた時は、ぜひ挑戦させていただきたいと思いました。だけど“主演も”という部分は正直悩んだと言いますか、今でも悩んでいるくらい。どうやるの!?と思っています」。そんな不安を吐露しながらも、既に思い描くものはあるようだ。「“殺人事件”と“ミュージカル”というふたつの要素が交わることで、非日常的な面白い空気ができあがると思っています。お客様には、誰が犯人かを捜しながらも、劇中でミュージカルの裏側も描かれるので、そこも楽しんでいただけたら。実際、僕らが普段からやっていることが描かれていたりもしますしね。そして、僕が演じるチョーフィーのミュージカルオタクぶりはやっぱりこの作品の見せ場です。殺人事件の捜査に来たはずの人が、『ちょっといいですか』と言って作品の内容について『こうしたらもっと良くなるんじゃないか』とアイデアを出していくっていう(笑)」。輸入作品となるが「海外の、特にこういうコメディ・ミュージカルを日本でやるのって本当に難しい。日本でウケるギャグ満載の作品を、海外に持っていっても誰も笑わないのと同じです。じゃあどうしたらこの脚本を面白くできるか。それは今回のポイントだと思います。全く笑えないコメディをつくっても仕方ないので、本国の許可を取って、脚本を見直しました」。さらに演出については、城田が常に大切にしている「歌とダンスとお芝居が乖離しないこと。そこに統一感がある物語になること」に今回もこだわっていく。「コメディ・ミュージカルとはいえ誇張しすぎず、しっかりとキャラクターをつくり、芝居劇を構築していきたいです」。城田の新たな挑戦となる『カーテンズ』は2022年2月26日から3月13日まで東京・東京国際フォーラムCにて上演後、大阪、愛知を巡演。
2022年01月14日1983年にロンドン・ウエストエンドでの初演以来、世界中で愛されているミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。片割れと知らずに友情を育んだ双子の男の子が、数奇な運命をたどる人間ドラマで、日本でも1991年以来繰り返し上演されてきた名作だ。今回、日本初演のプロダクションにも参加していた吉田鋼太郎が演出を務め、柿澤勇人とウエンツ瑛士が双子の兄弟・ミッキーとエディを演じる。柿澤は本作への出演をずっと熱望していたという。なんでも武田真治らが出演していた2009年版の『ブラッド・ブラザーズ』を観劇したことをきっかけにどハマりし、チケットを買い足して6回も観劇したそうだ。「1幕は大の大人が子どもを演じるのですが、恥を捨てて演じる姿はかわいくて、面白くて、美しかった。2幕は一転して、親友同士の双子が死んでしまう可哀想なストーリー。喜劇性と悲劇性が入り混じって、歌よりも芝居で見せるミュージカルですね。芝居が根底にあるのが好き」。一方のウエンツは、「歴史があって、お客様に愛されている作品だと思います。お芝居だからできることがふんだんにあって、役者として非常に技術が求められるし、勢いや体の使い方も問われる」と本作の印象を語る。その上で「僕はかっきー(※柿澤のこと)ほど作品を見ていないから、逆に先入観なく脚本を読んで、自分の想像から役を作り上げることができる気がする。かっきーといちから二人で作品を作っていける喜びがあるし、ステージ上でお互い役として目を合わせる瞬間が楽しみ」とも。改めてお互いのことをどう見ているか尋ねると、柿澤は「とにかく器用な役者。彼がロンドン留学後に出演した『わたしの耳』も『メリリー・ウィー・ロール・アロング』も素晴らしかったし、僕には絶対できないことも軽々できちゃう」と話すと、ウエンツは「危うさや色気を持ちつつ、可愛さやチャーミングさもある。面と向かって『あなたが羨ましい』とは言ったことがないけれど」と笑う。観客へのメッセージとして、ウエンツは「毎公演毎公演、ステージ上で起こる化学変化を見逃さずに!」と話し、柿澤は「こんなに笑えて泣ける要素が入っている作品はなかなかない。きっと、心の浄化や発散にもなると思います」。東京公演は2022年3月21日(月・祝)から4月3日(日)まで、東京国際フォーラムホールC。愛知、福岡、大阪公演もあり。その他の出演者は木南晴夏、鈴木壮麻、内田朝陽、伊礼彼方、一路真輝、堀内敬子。取材・文:五月女菜穂
2022年01月13日鹿賀丈史と市村正親が“夫婦”を演じるミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』が2022年3月、日生劇場で上演される。ゲイクラブオーナーのジョルジュ(鹿賀丈史)と看板スターのザザ(市村正親)は、事実上の“夫婦”として生活していた。ジョルジュには、過去の過ち(?)から生まれた最愛の息子ジャン・ミッシェルがおり、アルバンが母親代わりに育ててきた。そんな息子が突然結婚を宣言してーー。今回、ジャン・ミッシェルを初めて演じる内海啓貴に話を聞いた。「やはり緊張しましたが、今はそれを上回る楽しみの気持ちでいっぱいです。歴史ある作品に出演できること、偉大な先輩方と共演できることがとても楽しみ」と出演にあたっての思いを語る内海。2016年に上演された映像を観たことがあるといい「華やかで視覚的にも楽しめる作品。話が進めば進むほど、いろいろな愛の形が詰まっていて。メッセージ性がありつつも、明るく面白い作品だなと思いました」という。主演の鹿賀と市村は劇団四季からおよそ50年の付き合いで、本作では08年から共演し、“最高のコンビ”と称されている。内海は「セリフを喋らなくても、立っている佇まいだけでその役が存在するし、役の年輪を感じさせますよね。本当に素晴らしい。勉強になります」と2人の印象を語った上で「緊張はしますが、舞台上では“親子”なので。ジャン・ミッシェルとしての思いを素直にお芝居でぶつけたいです。お二人の掛け合いや仕草の一つひとつを間近で何度も観られるのは貴重な時間。たくさん学びたいですね」。ちなみに、内海にとっての“戦友”は、ミュージカル『GREASE』でも共演した三浦宏規だという。「ミュージカル『テニスの王子様』からの付き合いなので、もう5、6年になりますか。僕の芸歴の半分以上、一緒にいる(笑)」。1月16日で27歳。今後の俳優としての目標を尋ねると「本当にいろいろな役をできることが役者冥利だなと思っています。30歳に向けて、『ラ・カージュ〜』もそうですが、いろいろなことを、いろいろな人や作品から吸収していけたら」と話す。今までは「素直な好青年」の役柄が多かったが、今後は「舞台上に出た瞬間に緊張感が張り詰めるような役をやってみたい」とも。最後に観客へのメッセージとして、内海は「『ラ・カージュ〜』は僕も元気づけられたミュージカル。本当にハッピーな作品なので、楽しんで帰っていただけたら嬉しいです。ぜひ劇場の方へ足を運んでいただけらと思います観て頂きたいです!」と語った。東京公演は3月8日(火)〜30日(水)。そのほか愛知、富山、福岡、大阪、埼玉を巡る予定。取材・文:五月女菜穂
2022年01月13日“ダンス×演劇×J-POP”を掛け合わせ、セリフを使わず身体表現をメインに物語を立ち上げるダンスエンターテインメント集団・梅棒。彼らの最新作、13th“RE”WORK『風桶』が東京・本多劇場にて現在上演中だ。全公演満員札止めの好評を博したという梅棒 5th WORK sideB『風桶』(2016年)を再演する本作。行方不明の兄を捜す科学者の弟が現代と江戸時代にタイムスリップし、大ファンのバンド「夜桜前線」を巻き込みながら、気弱な傘売りや見習い芸者など個性豊かな町人たちと繰り広げる騒動が描かれる。兄弟やバンド、町人の間に生まれる絆の行方はいかに──。ゲネプロは、科学者の弟・吉田テスタロッサが観客に「兄を捜すタイムトラベルがてら、未来から令和の人気バンド“夜桜前線”のライブに参戦しに来た」と面白おかしく設定を伝える前説スタイルで始まった。弟は3択に挙手させるなど客席を巧みに劇世界へと誘いながら、舞台はいつしか300年前の江戸に。そこには街の荒くれ者と結託し、よからぬ策略を巡らす兄の姿が。江戸の民、未来の科学者、令和のバンドメンバーに共通するのは、時空を超えて出会えた喜びと別れの悲しさ。これらが舞台上をほとばしる圧倒的なエネルギーとなって、ストーリーは疾走感たっぷりに進んでいった。言葉を用いないにもかかわらず、全キャラクターの感情が伝わってくる演出やパフォーマンスに手に汗握り、心が揺さぶられるひと幕も。作・総合演出を務める伊藤今人は、開幕に際して「演劇を志すものにとって“本多劇場”がどういう場所か。我々がこの聖地にふさわしいと考えた作品がこの『風桶』でした」「梅棒らしさはそのままに、この作品だからこそ感じられる“演劇”が詰まった自信作です」とコメントを寄せる。この空間でしか味わえないライブ感に満ちたステージは、まさに演劇的。初進出の本多劇場で幕を開けたグレードアップ版『風桶』で、梅棒の門出を応援してみては。キャストには梅棒メンバーの梅澤裕介、鶴野輝一(Wキャスト)、遠山晶司、塩野拓矢、天野一輝、野田裕貴、多和田任益に加えて、渡辺みり愛、松浦司、まりゑ、松浦景子、YOU、正安寺悠造、長谷川敬タ、eat、Naoki、hirokoboogie、ひこひこ(Wキャスト)が名を連ねている。東京公演は12月30日(木)まで。その後、2022年1月7日(金)~10日(月・祝)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、1月20日(木)・21日(金)に愛知・名古屋市芸術創造センターと巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年12月21日2016年から開催されている、岡田浩暉プロデュースのミュージカルコンサート『I Love Musical』。シリーズ第7弾となる今回は、デビュー30周年を迎えた岡田の節目を祝う楽曲にキャストが勢揃いした。初日の約3週間前、発起人である岡田本人に現在の心境を尋ねてみる。1991年にデビューし、To Be Continued名義で発表したシングル「君だけを見ていた」が俳優として初出演したドラマ『もしも願いが叶うなら』(TBS系:1994年)の挿入歌として大ヒットを記録した岡田。コンサートにはこのドラマで共演したミュージシャンの浜崎貴司が初登場し、「彼とのデュエット含め、ブチ抜きで数曲歌うコーナーを設けています」と岡田の門出に華を添えるという。岡田は、浜崎に対する想いを「同い年でアーティストとしての活動時期も近く、親近感があるんですよね」と語る。続いて「過去・現在・未来にわたっていろんなことを話せる人で、ミュージカル俳優“ではない”僕の側面を引き出してくれる存在ではないでしょうか」と期待を寄せた。折しも今年は岡田がTo Be Continuedを再始動させたタイミングでもある。もちろん、本コンサートには「ミュージカルの敷居を下げ、老若男女たくさんの方に楽しんでもらいたい」という岡田の企画意図も根底に横たわっている。その面を担うのは『I Love Musical』シリーズに出演経験のある石井一孝、泉見洋平、今拓哉、戸井勝海、彩乃かなみ、紫吹淳、沼尾みゆき、林愛夏、北翔海莉(男女別五十音順)といったキャストの面々だ。日替わりで出演する彼らとは“即興”でミュージカルナンバーをつくる目玉企画が用意されている。これは「観客の皆さんにミュージカルを身近に感じてもらうためには“目の前で生まれる瞬間”をお見せすればよいのでは」「いま感じたことが歌になる、というミュージカルの原型を体感してもらいたい」という岡田の考えから。お題の提供方法や作詞・作曲術、歌唱順など鋭意検討中だそうだ。ライブ感あふれる取り組みに、普段とは異なるキャストの表情が垣間見られるだろう。ミュージカルや映像の俳優経験は、歌い手としての岡田にどんな影響を与えたか──。最後にそう尋ねると、「発声法や歌詞の解釈がアーティスト時代より豊かになった」と岡田は笑う。「演じて歌う時は自分を殺すのではなく、役との共通点を常に探しています」「いろんなキャラクターを演じたことで、僕自身の在り方が問われるアーティスト活動の引き出しが増えた気がします」と続き、相乗効果のありがたさを語った。「KOHKI OKADA PRESENTS『I Love Musical 2021』~岡田浩暉デビュー30周年記念~」は、12月24日(金)~26日(日)に東京・第一生命ホールにて。ぴあでは座席指定できるチケットを販売(12月20日まで)。12月21日以降は各公演前日23:59まで購入できる当日引換券を販売する。取材・文:岡山朋代
2021年12月15日“ダンス×演劇×J-POP”を掛け合わせ、セリフを使わず身体表現をメインに物語を立ち上げるダンスエンターテインメント集団・梅棒。彼らの最新作、梅棒 13th“RE”WORK『風桶』が12月17日(金)に東京・本多劇場にて開幕する。初日を約3週間後に控えたタイミングで、その稽古場に潜入した。全公演満員札止めの好評を博したという梅棒 5th WORK sideB『風桶』(2016年)をパワーアップし、再演する本作。行方不明の兄を捜す科学者の弟が現代と江戸時代にタイムスリップ、大ファンのバンド・「夜桜前線」を巻き込みながら、気弱な傘売りや見習い芸者など個性豊かな町人たちと繰り広げる騒動が描かれる。兄弟やバンドの運命はいかに──。梅棒作品において、ストーリーの行方やキャラクターの心象風景を打ち出すのに欠かせないのが“J-POP”の存在だ。シーンに合った絶妙な選曲にうなり、新作が上演される度にセットリストをつくって復習する常連ファンも少なくない。取材日はこの楽曲ごとに振付や段取りをかためていく稽古スタイルが取られていた。まず一度やってみて、作・総合演出を手がける伊藤今人のディレクションを経る。その前後を比べると、いずれもグッと魅力が高まるのだ。曲が終わると、伊藤は必ず演出席から離れてステージにいるキャストの間に分け入る。歌詞がすべて頭に入っているのか、メロディを口ずさみながら実演して踊ってみせると周りには自然とキャストの輪ができた。特に印象的だったのは、男性が女性の体を高く掲げるリフトを控えたキャスト二人に投げかけた「お待たせいたしました級に“ねっとり”入っていきましょう」という伊藤のワードセンス。その演出後、二人の動きはより粒立って精度が上がっていた。キャラクター紹介を兼ねるオープニングの稽古では、パフォーマンス前に「初めてお客さんの前に姿を現すわけだから、演じる役の人柄やキャラクターの関係性を伝えるつもりで自分を演出しながら踊ってみて」と伊藤からカンパニー全体に向けたアドバイスが送られた。すると、梅棒メンバーから「これ(劇中の重要アイテム)をオープニング段階から手にした方がよいか」と質問が。これを機に伊藤のもとには次々と提案が舞い込み、どんどんブラッシュアップされていく臨場感もうかがえた。キャストには梅棒メンバーの梅澤裕介、鶴野輝一(Wキャスト)、遠山晶司、塩野拓矢、天野一輝、野田裕貴、多和田任益に加えて、渡辺みり愛、松浦司、まりゑ、松浦景子、YOU、正安寺悠造、長谷川敬タ、eat、Naoki、hirokoboogie、ひこひこ(Wキャスト)が名を連ねている。東京公演は12月30日(木)まで。その後、2022年1月7日(金)~10日(月・祝)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、1月20日(木)・21日(金)に愛知・名古屋市芸術創造センターと巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年12月13日A.B.C-Zが主演を務める舞台、『ABC座 ジャニーズ伝説2021 at Imperial Theatre』が、12月7日(火)にABC座初の東京・帝国劇場にて開幕した。本作の演出は滝沢秀明氏の指名を受け、主演であるA.B.C-Zが務める。1幕では「初代ジャニーズ」の4名とジャニー喜多川氏のエピソードをA.B.C-Zが演じ、2幕では選曲は河合郁人が行ったという恒例のジャニーズメドレーを11月にデビューしたばかりのなにわ男子の曲も加えた全28曲披露した。今回は7 MEN 侍が現代と1960年代の世界を自由に行き来しながら、若いメンバーにもジャニーズの伝説とスピリッツが受け継がれていく過程を描く新演出も加わった。公開ゲネプロ後、演出・主演を努めたA.B.C-Z、出演した7 MEN 侍、今回特別出演する佐藤アツヒロが会見に応じ、塚田僚一は「思い出が詰まった劇場で座長ができることに感謝の気持ち。後輩たちにもこの舞台に立ってよかったと思ってもらえるように頑張りたい。」と意気込んだ。昨年ABC座では新型コロナ感染対策のためアクロバットを中止していたが、本作では帝国劇場の舞台機構を使用した「5STAR」のアクロバットが復活。河合は「12月に合わせてクリスマスツリーに見立て、おしゃれにした。」と言いつつも年々怖くなっていると本音も。会見では7 MEN 侍の中村嶺亜はこの舞台を通じて「CDデビュー、そしてその後のどんどん輝く夢を追いかけている中で天国からジャニーさんが背中を押してくれているようだ」と話し、矢花黎は「ジャニーズ伝説をこれまで家族で見に来ていた。そこに自分が立てることが嬉しい。」と喜んだ。今まで一緒に観ていた家族に客席から見てもらえるということで壮大な授業参観のようです、と話し会場の笑いを誘った。恒例の1年を振り返り今年を漢字一文字で表すと、と問われるとA.B.C-Zは「叶」と発表。このコロナ禍でもコンサートが一度も中止にならず、お客様の感染対策の上帝国劇場でも公演が叶ったと感謝した。『ABC座 ジャニーズ伝説2021 at Imperial Theatre』は7日から同21日まで帝国劇場にて上演中。チケットは全日程即完売となっている。
2021年12月09日「KIRARI SHOW ACT☆PARADISE THEATER 夜想曲 ノクターン」が12月5日(日)に東京・博品館劇場にて開幕。初日に先駆けゲネプロが行われた。公演はDIAMOND☆DOGSならではのソング&ダンスで行われる「ショーアクト」。ダンス、歌唱ともに実力派が揃うDIAMOND☆DOGS、さらに元宝塚歌劇団の星組トップスター・北翔海莉を迎え、川原一馬、長澤風海、小寺利光、若松渓太と豪華出演者で送る今作。2.5次元作品、ストレートプレイ、ミュージカルなど様々な作品を手がける宇治川まさなりが脚本・演出を手掛けるオリジナル作品だ。舞台は架空の街・トーキョーにある闇カジノ「夜想曲」。その「裏」の世界に訳ありの男たちが集められたところから物語ははじまる。集められたのは「夜想曲」の客で、多額の借金を持つもの。そしてその「夜想曲」のオーナーら、また「夜想曲」の歌手、彼女につながりがあるものたち……様々な背景を持ちながらに、現在の状況を「やり直す」ために、ある大きな計画に協力することになる。DIAMOND☆DOGSとしてはもちろん、様々なミュージカル作品でも活躍する東山はこの計画の首謀者であり、ある復讐を果たそうとしているレオ役を好演。演技だけではない「ショーアクト」スタイルで、計画や過去に葛藤を抱える難役に挑んでいる。そして北翔が演じるのはミステリアスな雰囲気を持つ紅一点・アリエス役。劇中でも披露される美しい歌唱はもちろん、今回の出演メンバーとともに披露される群舞でのカッコよさは健在。北翔ならではの紅一点・歌姫役となっている。今回は「ショーアクト」と名付けられている通り、間に様々なジャンルの歌、ダンスが加わりストーリーを盛り上げていく。オープニングでの群舞からはじまり、フラメンコ、タップとジャンルレスなD☆Dならではのパフォーマンスは楽しめること請け合いだ。個性豊かな登場人物の名前は12星座から来ており、それぞれのキャラクターのバックグラウンドと関係性が交錯しあい、紡がれていく物語は宇治川ならでは。本作のキャッチコピーでもある「哀しき男達の欲望・嫉妬・裏切り…そして夢が降る」、男たちの行く末、そして物語の結末はぜひ劇場で確かめてほしい。公演は12月12日(日)まで、東京・博品館劇場にて。12月6日(月)、7日(火)、9日(木)の夜公演には、公演終了後にアフタートークも実施する。
2021年12月07日2020年初演のミュージカル『ボディガード』が新春公演として再演される。90年代にケビン・コスナー&ホイットニー・ヒューストン主演で大ヒットした映画の舞台化。グラミー賞受賞曲『I Will Always Love You』をはじめ、数々の挿入歌を日本語歌詞でお届けする。ヒロインの人気ポップシンガー、レイチェル役は柚希礼音、新妻聖子に、再演では新たにMay J.が加わりトリプルキャストに。ボディガード、フランク役は大谷亮平が続投する。初演はコロナ禍に見舞われ、大阪公演5回の上演にとどまった。前作が初舞台となった大谷亮平が取材会で再演への意気込みを語った。ミュージカル「ボディガード」チケット情報初舞台は「思ったより冷静だった」と振り返る大谷。「稽古では不安と緊張が頭を巡っていましたが、本番の舞台では結構お客さんの反応が見えるなとか。冷静にスタートが切れたと思います」。同時にミュージカルの醍醐味を感じる瞬間も。「芝居パートの合間に曲やダンスが入ることで自分が勝手に感化され、盛り上がっていることに非常に驚きました」と観客同様、柚希礼音や新妻聖子のダイナミックなパフォーマンスに圧倒された。「柚希さんは元宝塚トップスターらしく男性の圧にも引けを取らないパワーをイメージしていましたが、じつは女の子っぽくてキュートで可愛らしい。一方、小柄で女性らしいイメージだった新妻さんは、サバサバとしていてリーダーシップがあり、想像以上に強気なレイチェルでした」。ふたりのギャップに魅了され、「役として愛するうえでもすごくプラスになりました」と実感する。May J.にもまた違った魅力を感じるといい、「相手が変わることで僕も毎回刺激的に取り組めるので嬉しいです」と笑顔を見せる。フランク役として追求したのは「恋してもらえるカッコよさ」。「『世界中の女性が恋をした』という映画のフレーズに恥じないようにとの思いもありました。今回も素敵だなと思っていただけるように演じ切り、心に残る作品をお見せしたい」と語る。見せ場のひとつが、映画のポスターにもなったレイチェルを暴漢から救う“お姫様抱っこ”のシーンだ。「やはりキメのカッコいい場面なので、あそこでふらつくわけにはいかない。全30回公演で3人の女性それぞれに対応できるよう、スクワットで鍛えています(笑)」。再演の舞台は年明けに開幕する。「カンパニー一同、初演からの約2年間で積み上げたものを活かし、よりよい作品をお届けしたいという思いがすごく強い。とにかくそれを観て感じてほしいなと思います」。公演は2022年1月21日(金)から31日(月)まで梅田芸術劇場メインホール、2月8日(火)から19日(土)まで東京国際フォーラムホールCにて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2021年12月07日童話に新しい解釈を与え、大人向けファンタジーとして創り上げたミュージカル『INTO THE WOODS』が2022年1月に日生劇場、2月に梅田芸術劇場メインホールで開幕する。1986年に発表され、翌年ブロードウェイで初演されたミュージカルで、これまでに世界各国で上演されてきた本作。日本でも複数の演出家によって舞台化されてきたほか、2014年にはロブ・マーシャルが監督を務め、ディズニーにより実写映画化(日本公開は15年)されている。魔女に呪いをかけられたパン屋(夫)を演じるのは、渡辺大知。音楽活動と並行して、俳優としても活動を広げ、映像のみならず、舞台『ねじまき鳥クロニクル』(2020)で主演するなどしている。すでに本作の脚本の第一稿を読んだという渡辺に、その印象を尋ねると、「知っている寓話の裏側を見るような展開かと思っていたら、そうではなくて。寓話の登場人物たちが、いち人間になっていくというか。自分が演じるパン屋という役どころが、自分の意思とは反して、いろいろな登場人物をこのストーリーに迷い込ませてしまっているような感じもしました」と語る。真面目な性格なのだろう。演出の熊林弘高との会話の中で『ジャックと豆の木』のジャックを“大人”にしようと思っていると聞いたことを明かした上で、「自分の思い描いたストーリーではちょっと臨めないなと(笑)。登場人物をただのキャラクターとして理解するのではなくて、もっと物語の構造を考える必要がありそうです」と話した。本作の楽曲を担うのは、『ウエスト・サイド物語』や『スウィーニー・トッド』などを手掛け、“難解”な曲で知られるスティーヴン・ソンドハイム。渡辺に楽曲の印象を尋ねると、「難解って言われる人なんですか」と切り返しつつ、「なぜこういうメロディになっているのか。そのメロディが気持ちいいのか、気持ち悪いのかも分からない、不可思議さは感じました」と振り返る。そして、「正直歌いにくいと思ったけど、それが楽しかったです」とも。演劇作品は本作で4作目。「僕が今までの少ない経験で思う、舞台の素晴らしさは、明確なゴールがない中で、みんなで土ならしから、家を建てるところまでやりきる感覚があること。完成図がすぐに思いつくようなものを再現するのは、あまり楽しくないので、どうなるか想像がつかない方が、ワクワクします」という。観客へのメッセージを求めると、渡辺は「人との関係性が失われている時代だからこそ、いろいろなものを感じる時間や刺激を大切にしたいと思っています。舞台を見に来てくれた人にとって、この舞台が新しいものとの出会いの場になれば嬉しいです」と述べた。取材・文:五月女菜穂
2021年12月03日スケートボードをテーマにした青春オリジナルTVアニメーション「SK∞ エスケーエイト」を舞台化した、舞台「SK∞ The Stage」。12月2日の開幕に先駆けて公開ゲネプロが行われた。本作は「S(エス)」と呼ばれる、閉鎖された鉱山をスケートボードで滑り降りるという競技に熱狂する暦(レキ/演・木津つばさ)が、カナダからの転校生・ランガ(演・滝澤諒)と出会い、成長していく物語。第1部では、二人の前に立ちはだかるライバルたち、そして最大の敵となる愛抱夢(アダム/演・小波津亜廉)との出会い、勝負までを描く。劇場に入ってまず驚くのが、実際にスケートボード場のようなその舞台セット。高さを生かした舞台セットだけでなく、映像、そして役者自身の身体能力も活用して表現される「S」は迫力満点だ。さらに本作には、スペシャル・スケーターとして、様々なスケートボードの大会で優勝、入賞の経歴を持つ池慧野巨と、3名のスケーターが出演。先の五輪でも新種目として盛り上がりをみせたスケートボードだが、ステージセットの中を滑り、トリックを繰り出すパフォーマンスは圧巻。アニメを見ていた観客はその再現性はもちろん、技の多彩さにも魅了されること間違いなしだ。またゲネプロ前のフォトセッションでは、代表として暦役・木津、ランガ役・瀧澤がコメント。素人状態からその才能もありどんどん進化していくランガを、コミカルな姿も交え演じた滝澤は「暦が作中で『スケボーは無限大なんだ』と言ってくれているように、この作品も無限の可能性を秘めていると思っていますので、ぜひ劇場で楽しんでください」とコメント。そして「S」に魅了され、ランガを導きつつ、その明るさで物語を動かす主人公・暦を演じた木津は、「ここまでチーム一丸となって作品作りに徹してきました。原作ファンの方々が多い中で、すごく見どころの多い舞台になっていると思いますので、ぜひ最後まで応援よろしくお願いいたします!」と意気込んだ。公演は、第1部が12月2日(木)より12月12日(日)まで、東京・天王洲銀河劇場にて。第2部は1月15日より、東京・日本青年館で上演する。また12月11日(土)18:00、12月12日(日)12:00、16:00公演はPIA LIVE STREAMでの生配信も決定(アーカイブ付)。劇場にいけない方もぜひこの舞台をライブで楽しんでほしい。チケットぴあでは、公演前日23:59まで当日引換券を、また配信チケットを販売中。
2021年12月03日現在、福岡で好評上演中の劇団四季ミュージカル『キャッツ』。本作は1983年11月11日、東京・西新宿のテント式仮設劇場で日本初のロングラン公演として初演。以来、計9都市(東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、静岡、広島、仙台、横浜)でのべ24公演が行なわれ、各地で“キャッツ・フィーバー”を巻き起こしてきた人気作。これまでの公演回数は10,700回以上、総入場者数は1,040万人(10月末時点)、そして現在も記録を伸ばし続けている。先日、日本上演38周年を迎え、本編終了後には特別カーテンコールを開催。出演者を代表してマンカストラップ役の俳優・金本泰潤が「1983年の日本初演以来、これほどの長きにわたり、日本各地で公演を続けて来られましたのはお客様おひとりおひとりがこの作品を愛し育んでくださったからこそ。出演者、スタッフ一同心より御礼申し上げます。これからも皆様に作品の感動をお届けできるよう、誠心誠意努めてまいります。今後とも変わらぬご声援を賜りますようお願い申し上げます。」と挨拶し、客席からは熱い拍手が沸き起こった。人気も記録もまだまだ上昇中の伝説のミュージカル、『キャッツ』福岡公演は4月17日(日)までキャナルシティ劇場にて上演。チケットは発売中。
2021年12月01日チャールズ・ディケンズの長編小説『オリバー・ツイスト』を原作にしたミュージカル『オリバー!』が、東京公演を経て関西に初登場する。初演は1960年。トニー賞とオリヴィエ賞を受賞した名作を、『レ・ミゼラブル』など多くの傑作を手掛けるプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュが超大作ミュージカルに仕立て上げた。舞台はビクトリア朝時代のロンドン。孤児のオリバーがスリ集団を束ねるフェイギンと出会い、仲間と共に数々の困難を乗り越えながら家族の愛を求めて生きる姿を描いた感動作。フェイギン役にはマッキントッシュ直々の指名で市村正親。そして市村とダブルキャストを務める武田真治が来阪、意気込みを語った。ミュージカル『オリバー!』チケット情報“みんなで筋肉体操”やサックス演奏など、多彩な活動で注目される武田。「紅白歌合戦のステージは望んでもできない本当に貴重な経験で、人生のご褒美のように思いました。今回こんな素晴らしい役に出会えたのも人生のご褒美です。舞台は自分にとって闘いのリングだと思っています。ここで行われることが自分の血や肉になるんだという意識でしょうか」。今回の役を、武田は慣れないオーディションで勝ち取った。「『スウィーニー・トッド』以来この15年、市村さんとの共演の度に多くを学ばせていただいたので、絶対に自分がオーディションを勝ち取って恩返しをするべきだと死に物狂いで取り組みました。合格の返事をいただいて涙が出るほどうれしかったです」。市村とは互いに“弟”“師匠”と慕う間柄だ。70歳の老人を演じるにあたり、市村は武田に「全然違うフェイギンになっていい」と伝えた。「偉大な先輩と同じ役を作っていく過程を見られるのは贅沢なことで、なるべくコピーしたいと思っていたのですが、おっしゃる通り全然違うフェイギンになっていきました」。東京公演は「子供たちと一緒に歌ったり踊ったり、お芝居するのがとても楽しく、あっという間に1か月が終わってしまいました。産業革命時代の最下層に生きる人々を少年オリバーの目線で描いた作品ですが、力強い登場人物たちなので演じるたびに自分が元気になります」。子役は東阪あわせて総勢66名。大阪公演では12人の関西の子供たちが出演する。「暗くて重い物語をイメージされるかもしれませんが、会話はどれもウィットなジョークにあふれていて、どんな怖い人物でも楽しかったりおもしろかったりする。そんな100年以上前に書かれた原作のユーモアを、大阪の方にはすごく楽しんでいただけるのではないかなと思っています」。大阪公演は12月4日(土)から14日(火)まで、梅田芸術劇場メインホールにて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2021年11月30日童話に新しい解釈を与え、大人向けファンタジーとして創り上げたミュージカル『INTO THE WOODS』が2022年1月に日生劇場、2月に梅田芸術劇場メインホールで開幕する。1986年に発表され、翌年ブロードウェイで初演されたミュージカルで、これまでに世界各国で上演されてきた本作。日本でも複数の演出家によって舞台化されてきたほか、2014年にはロブ・マーシャルが監督を務め、ディズニーにより実写映画化(日本公開は15年)されている。今回、「ジャックと豆の木」のジャック役として出演することが決まった福士誠治は「絵本の世界の登場人物たちがたくさん出てくるので、かわいくて、夢がある世界を想像していたが、かなりのブラックファンタジー。いい意味で裏切られましたね」と、作品の印象を語る。福士が本作への出演を決めた大きな理由は、演出家の熊林弘高の存在。『狂人なおもて往生をとぐ〜昔、僕達は愛した〜』でタッグを組んだが「またご一緒したいなと常々思っていた」という。前回のタッグから6年が経つも「自分にないものを刺激としてもらった気がして。具体的にこれとはなかなか言えないけれど、自分の中に新しい色を見た」と鮮明に記憶に残っている模様。「熊林さんにとって初のミュージカル演出。僕が思っているミュージカルをきっとぶち壊してくれるだろう。ついていけるか不安もあるが、ワクワクする未来がある」と期待を寄せる。たくさんのおとぎ話が出てくることに絡めて、福士にとっての思い出深いおとぎ話を尋ねると、幼稚園の学芸会で披露した『不思議の国のアリス』を挙げた。「配役を決める時に、僕だけ先生から『あなたはトランプの兵士』と決められた。みんなやりたい役に手を挙げるのに。いまだに人生の謎ですね」。子どもの頃に親しんだはずのおとぎ話も、大人になると物語がうろ覚えになることがある。福士も「余裕があれば『ジャックと豆の木』の原作とか、読み直してみたい」と話していた。本作が2022年1発目の舞台となる。「2021年を振り返ると、どうしてもコロナの話が出てくる。悲観的になったり、へこんだり、気休めでもいいからポジティブなことをいうことが大切なんだと気づいたり、行動を起こした人の強さを感じたり。否応なしに修行させられた1年だった」と話す。そして、「この作品をたくさんの方が観にきてくれたら嬉しい。決して演劇は不要不急ではないぞと言いたいし、人間にはこれも必要な時間なんだと思っていただけたら」とも語った。取材・文:五月女菜穂
2021年11月26日岡幸二郎ミュージカル・コンサート2021『ベスト・オブ・ミュージカル』が2021年12月10日(金) に大田区民ホール・アプリコ大ホール(東京都大田区)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 ⼤剛)にて11月24日(水)より発売開始です。カンフェティで11月24日(水)19:00よりチケット発売開始 公式ホームページ ■曲目《オペラ座の怪人》より「All I Ask of You(A.L ウェバー)」《ウエスト・サイド物語》より「Tonight(L.バーンスタイン)」他※曲目は変更になる場合もございます。予め、ご了承ください。■ 出演者岡幸二郎ゲスト:幸田浩子OKA Special Ensemble岡幸二郎(ミュージカル俳優、プロデューサー)福岡県出身。大学では中国語を専攻。後に劇団四季にシーズンメンバーとして参加。1994年『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス役をオーディションで射止め、その華やかな風貌と圧倒的な歌唱力で一躍ミュージカルスターへと躍進した。2003年からは同作品でジャベール役を演じ、17年にわたり『レ・ミゼラブル』に参加した。ミュージカルの他、ストレイトプレイやTV(NHK大河ドラマ『義経』他)、ラジオ、フルオーケストラからライブハウスまでのコンサート、トークショーなども精力的に行う。CDはソロアルバムとして、『Love Collection』『The Prayer』『Best of Musical』をリリース。また、ミス・サイゴンを機に『ミス・サイゴン基金』を立ち上げ、ボランティア活動にも熱を注ぐ。九州大谷短期大学客員教授。幸田 浩子(ソプラノ)東京藝術大学首席卒業。同大学院、文化庁オペラ研修所を経て渡伊。数々の国際コンクールで上位入賞後、ローマ歌劇場、シュトゥットガルト州立劇場等で活躍し、名門ウィーン・フォルクスオーパーと専属契約。帰国後は、新国立劇場『ホフマン物語』『鹿鳴館』、びわ湖ホール『リゴレット』、二期会『魔笛』『ばらの騎士』『清教徒』等多数出演。全国各地でのリサイタル、オーケストラコンサートに加え、NHK-FM「気ままにクラシック」のパーソナリティや、BSフジ「レシピ・アン」でのMC等多彩な活動を展開。2018年にはCDデビュー10周年を記念し「ARIA花から花へ~オペラ・アリア名曲集」を、2020年には「このみち~日本のうたⅡ~」をリリース。第14回五島記念文化賞オペラ新人賞、第38回エクソンモービル音楽賞洋楽部門奨励賞受賞。第3代クルーズアンバサダー(クルーズ振興大使)。2021年11月二期会『こうもり』ロザリンデ、2022年1月びわ湖ホール『竹取物語』かぐや姫で主演予定。二期会会員。■ タイムテーブル2021年12月10日(金)17:30開場18:30開演■ チケット料金全席指定SS席8,500円S席7,500円A席6,000円B席4,500円C席3,000円※未就学児入場不可 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年11月24日2018年に上演され、朝夏まなと&神田沙也加がイライザ役、寺脇康文&別所哲也がヒギンズ役を演じ好評を博した『マイ・フェア・レディ』。オードリー・ヘップバーン主演の映画でも知られる本作は、1963年に日本で初めて上映されたブロードウェイ・ミュージカルとしても名高く、半世紀以上にわたり愛され続けている。朝夏と神田はミュージカル『王家の紋章』でのライバル役競演も記憶に新しいが、舞台を降りると「まぁちゃん(朝夏)」「さーちゃん(神田)」と呼び合う仲。息ぴったりのふたりに公演への意気込みを聴いた。『マイ・フェア・レディ』は、ロンドンの下町で暮らす花売り娘イライザが、言語学者ヒギンズ教授の猛特訓で、上流階級の貴婦人にも引けをとらないレディに変身していくというストーリー。本作が長年愛される理由を、朝夏は「ひとりの女性が夢を持って成長していく普遍的な物語。観て清々しい気分になれる」、神田は「単なるシンデレラストーリーではなく、イライザとヒギンズが対等に学び合い、人間として成長していく、時代を先取りした展開も魅力的」と語り、続けて互いのイライザ役について、「さーちゃんが演じるイライザは、大柄な別所さんに負けないくらいの迫力。持ち前の賢さも投影されていて素敵です」(朝夏)、「まぁちゃんは、可憐な役から怖い役、妖艶な役まで信じられるカメレオンみたいな女優さん。イライザ役は、まぁちゃんの幅広い演技を1作品で楽しめます」(神田)とお互いを見つめながら語ってくれた。今回の新たな見どころの1つは、2018年版の朝夏・寺脇、神田・別所コンビから、朝夏・別所、神田・寺脇コンビへとカップリングが変わること。「コンビの愛称が“てらまぁ”と“べっかん”から“てらかん”と“べつま”になる(笑)」と笑顔を浮かべ、「パートナーが入れ替わっての舞台はどんな化学反応が起こるか楽しみ」と口を揃える。本作は朝夏にとって、宝塚退団後初めて女優として立った舞台。「『階段を降りる時、肩で風を切っているよ』と先輩に言われたりして(笑)。すべてを模索した、女優としての原点ともいえる作品です」。一方、観客として全国遠征もした経験もある神田にとっては「バージョンごとの台詞や歌詞を言えるくらい」一番好きなミュージカル。「別の意味での原点」と言える作品だとか。「あれから3年間、互いにいろいろな舞台を経験したことで、また新たな発見があると思う」(朝夏)。「ダブルキャストでは同じ舞台に立つことができないが、直前の「王家の紋章」でまぁちゃん(朝夏)と舞台に立った経験がいい影響を与えてくれるのでは」(神田)というように、二者二様、それぞれに進化したイライザに出会えるのが楽しみだ。福岡公演は、2022年1月19日(水)~28日(金)博多座にて。チケットは12月4日(土)より発売開始。その他、全国各地で公演あり。
2021年11月24日2020年1月に演出家・白井晃が芸術監督就任中のプログラムとして創作され、再演を熱望されたドイツ演劇の巨匠ベルトルト・ブレヒトの大作『アルトゥロ・ウイの興隆』が、11月14日、KAAT神奈川芸術劇場にて開幕した。ヒトラーが独裁者として上り詰めていく過程を、シカゴのギャングの世界に置き換えて描き、ジェームス・ブラウンの楽曲を中心にファンク・ミュージックを散りばめた白井の意欲作。初演に続き、主演のアルトゥロ・ウイには草なぎ剛。共演には、神保悟志、渡部豪太、松尾諭、小林勝也などが続投し、新たに榎木孝明と七瀬なつみが座組に加わった。開幕前日には公開ゲネプロが開催され、「自分の積み上げてきた全てを出せる集大成となる舞台だと思っています」と語る草なぎは真っ赤なスーツに身を包み、ジェームス・ブラウンの『Get Up(I Feel Like Being A)Sex Machine』などを熱唱。オーサカ=モノレールの生演奏によるライブ会場さながらの舞台を駆け巡りながら、華麗なダンスも披露した。初演時には、齋藤茂男が手掛けた照明が読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞。ウイの欲望埋めく世界観を存分に引き立てるライティングも見どころの一つだ。本作では、シカゴギャング団のボスであるウイが自らの野心のために周囲の人々を次々と裏切り続ける。そんなウイに扇動されていく人々の姿は恐怖でもあり、不思議な高揚感すら覚えてしまうことも。『アルトゥロ・ウイの興隆』は2022年1月まで、横浜・京都・東京にて開催される。『アルトゥロ・ウイの興隆』横浜公演:2021年11月14日(日) 〜 12月3日(金) KAAT神奈川芸術劇場<ホール>京都公演:2021年12月18日(土) 〜 12月26日(日)ロームシアター京都 メインホール東京公演:2022年1月9日(日) 〜 1月16日(日)豊洲PIT
2021年11月18日童話に新しい解釈を与え、大人向けファンタジーとして創り上げたミュージカル『INTO THE WOODS』が2022年1月に日生劇場、2月に梅田芸術劇場メインホールで開幕する。1986年に発表され、翌年ブロードウェイで初演されたミュージカルで、これまでに世界各国で上演されてきた本作。日本でも複数の演出家によって舞台化されてきたほか、2014年にはロブ・マーシャルが監督を務め、ディズニーにより実写映画化(日本公開は15年)されている。今回、本作で赤ずきん役を務めるのは、羽野晶紀。劇団☆新感線やNODA・MAPなど数々の舞台経験を積んできた羽野は、2児の子育てに専念するため、10年ほど「タイムカプセルに入っていた」時期があった。仕事復帰後も、精力的な活動を続けているが「まだまだ素人みたいな者なので」と謙虚な姿勢を崩さない。赤ずきん役をオファーされた際、羽野は「心が踊った。純粋に楽しそうだな、ワクワクするなと思った」というが、実際に脚本を手にしてみると「掛け合いが多くて、文字も小さくて、読むのが大変。ミュージカルをやっている人は本当にすごい」と笑う。ただ、できないことを負担に感じている様子はなく「この年になっても初めてのことができるのは、ありがたいこと」と前向きだ。今回がミュージカル初演出となる熊林弘高について、羽野は「まだ数回しかお会いしていないけど、すごく濃い。ちょっとクラクラするぐらい」と印象を語る。理由は「言葉にしろ、内容にしろ、お話しされることが、私の知らないことばかり」だからだそう。「初めてあった時に、『この曲はハ長調です』と言われて。そんなこと、全く考えたことなかったから(笑)」と話していた。本作では、赤ずきんをはじめ、『シンデレラ』や『塔の上のラプンツェル』など数々のおとぎ話が出てくる。そのことにちなんで、お気に入りのおとぎ話はあるか尋ねた。羽野は『オオカミと七匹の子ヤギ』を挙げた。「お母さんになりすましたオオカミが家にやってくるお話。子どもがそれをすごく怖がって、私が家に帰ると、ハグの後に、私の匂いを嗅いで『本物のお母さんだ』と言う。それがかわいいなと思って」とほっこりするエピソードを明かす。2022年最初の舞台。コロナ禍の影響で配信される演劇作品も増えたが、羽野は「あんまり映像として残されたくない派」という。「劇場という同じ空間にいられる時間はとても儚い。その関係性が私は好き」とした上で、「ぜひ劇場でお会いしたい」と話した。取材・文:五月女菜穂
2021年11月12日中川晃教を星野鉄郎役、神田沙也加をメーテル役に迎え2022年4月、日本青年館ホールにて上演される『銀河鉄道999 THE MUSICAL』の追加キャストが発表された。ミュージカル「ジェイミー」や「笑ゥせぇるすまんTHE STAGE」等舞台を中心に俳優・歌手としても活躍する佐藤流司が、鉄郎の敵となる機械伯爵役を。AKB48グループ卒業後も女優として活動し「Endless SHOCK」等にも出演する梅田彩佳が、鉄郎に想いを寄せる999号のウエイトレス・ガラスのクレア役を演じる。そのほかにも、999号の車掌役に徳永ゆうき、ハーロックの親友で鉄郎に想いを託す天才造船技師・大山トチロー役には藤岡正明、2018年・2019年の舞台『銀河鉄道999』にも出演した歌手の矢沢洋子が機械伯爵を愛する酒場の女・リューズ役を続投するほか、声優として数々の有名作品で主役を演じ俳優としてミュージカル「新・オズの魔法使い」で圧巻の悪い魔女を演じた松本梨香がメーテルの母・プロメシューム役を、さらには、元宝塚歌劇団星組トップスターで退団後も舞台作品で輝き続ける北翔海莉が、宇宙海賊・クイーン・エメラルダス役を、歌手・俳優として活動しミュージカル「ロミオ&ジュリエット」「エリザベート」「マタ・ハリ」等に出演するなどミュージカル俳優としても進境著しい三浦涼介が、鉄郎を見守り導く存在であり鉄郎にとっては憧れの宇宙海賊・キャプテン・ハーロック役をそれぞれ演じるなど、実力が確かで個性的なキャスト達が集う。本作では、鉄郎の母を殺した機械伯爵が人間だった時代をオリジナルエピソードとして加え、主人公・鉄郎がメーテルをはじめ様々な人に出会い、それぞれの想いに触れて、葛藤し成長していく様を通して「限りある命だからこそ美しく尊い」という強いメッセージを描き出す。「銀河鉄道999 THE MUSICAL」日程:2022年4月8日(金)〜4月18日(月)出演:中川晃教(星野鉄郎)神田沙也加(メーテル)佐藤流司(機械伯爵)梅田彩佳(クレア)徳永ゆうき(車掌)/藤岡正明(大山トチロー)/矢沢洋子(リューズ)松本梨香(プロメシューム)/北翔海莉(クイーン・エメラルダス)/三浦涼介(キャプテン・ハーロック)会場:日本青年館ホール(東京都新宿区霞ヶ丘町4-1)公式サイト:
2021年11月08日