在任期間中に何が何でも!ーーという安倍総理の鼻息が聞こえてきそうな憲法改正議論。とくにそのターゲットとなっているのが“9条”だが、何がそんなに問題なのか。きちんと理解しておこう! 「現行の日本国憲法は、世界で類を見ない“平和憲法”といわれています。とくに第9条で書かれているのは『戦争を永久に放棄する』『戦争する権利も認めない』という誓い。これは『日本国民は、恒久の平和を念願し……』という前文と直結する、最も重要で、有名な条文のひとつであるといえるのです」 こう話すのは、大阪国際大学准教授で、フェイスブック上のグループ・全日本おばちゃん党代表代行の谷口真由美さん。最新刊にピーコさん、佐高信さんとの共著『お笑い自民党改憲案』(金曜日刊)がある谷口さんに、9条に書かれている内容を詳しく説明してもらった。 「9条は、全11章103条ある日本国憲法のなかの第2章『戦争の放棄』の最初の条文で、『1項』と『2項』に分かれています。1項は、わかりやすくいうと、次のようになります。『私たち国民は、国や政府が権限をふりかざして戦争を始めたり、武力を使うことを、永久に棄てました』。つづいて2項は、『戦争放棄という目的を達するために、軍隊や戦力は持ちません。国が戦争する権利も認めません』となります」 そしてこの9条のポイントを、次のように説く。 「ここで大事なのは、『永久に放棄する』のみならず『軍隊や戦力を持たない』『国が戦争する権利も認めない』と誓ったこと。この部分こそが、世界で類を見ない“平和憲法”といわれるゆえんなのです」 今年5月3日で「施行70年」を迎えた日本国憲法。「その条文を熟読するのと同じくらい重要なのは、『どうやってできたのか』を知ることです」と谷口さん。 「第二次世界大戦で日本の敗戦が濃厚だった’45年7月、連合国から日本の降伏条件を示す『ポツダム宣言』が発表されました。それは『天皇制の廃止』に加え、『民主主義や基本的人権の尊重』『平和的政府の樹立』=『軍隊の解散』を要求する内容でした。日本政府はこれをすぐに受け入れず、広島、長崎に原爆が投下されたのです。そして、昭和天皇に近い中枢部が宣言の受け入れを決定し、8月15日に『敗戦』となりました」 天皇制を残し、国民が主権者となる日本国憲法は、GHQに『機会を与えてもらった』ものなのだとつづける。 「『軍隊の解散』を要求されたポツダム宣言から、日本の“現代”は始まったのです。そして成立した『国民主権』『基本的人権の尊重』『平和主義』という三大原理が書かれた日本国憲法は、現代の一部の政治家や思想家たちが主張するような『押しつけられた』ものでは決してありません。子どもや孫を兵隊に取られ、戦後『自分たちは政府に情報をコントロールされ、だまされていた』と気づいた国民が『軍隊はイヤだ』と願い、『こんな人たちに支配されるのはイヤだ』と判断した結果にほかならないと、私は思います。それは国民の『祈り』に近いもの。70年もの間、1文字も憲法が変わっていないのは、条文の理想を変えたくない、守っていきたいという人が多いからではないでしょうか」
2017年06月16日在任期間中に何が何でも!ーーという安倍総理の鼻息が聞こえてきそうな憲法改正議論。とくにそのターゲットとなっているのが“9条”だが、何がそんなに問題なのか。きちんと理解しておこう! 「国民の“祈り”と“願い”により、一度も変わっていない日本国憲法ですが、とくに議論が別れるのが、9条の解釈について。そのときどきの政府によって、何度も“解釈”を変えられてきたという歴史があるのです」 こう話すのは、大阪国際大学准教授で、フェイスブック上のグループ・全日本おばちゃん党代表代行の谷口真由美さん。最新刊にピーコさん、佐高信さんとの共著『お笑い自民党改憲案』(金曜日刊)がある谷口さんに、憲法学の観点から9条を読み解いてもらった。 「9条は1項は『武力の行使は……永久にこれを放棄する』というものですが、その『……』部分に入っている『国際紛争を解決する手段としては』という一節を巡って、2つの学説があります。1つは『自衛のための戦争は放棄していない』と捉える『限定放棄説』。もう1つが『いかなる戦争も放棄する』と捉える『全面放棄説』です」 しかし、2項の内容を吟味すれば、憲法学者のあいだでは、「おおむねひとつの解釈にまとめられる」という。 「2項では、『……戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』の前提に『前項の目的を達成するため』とされていますので、『全面的な戦力不保持』を定めたものだという解釈が妥当です。それにより『自衛のための戦争』を『不可能』としている。さらに別の解釈もありますが、議論を重ねたうえで、憲法学者の多くが、『自衛隊は違憲である』という考えです」 では、9条の条文にある「武力行使」「戦力」についての政府による解釈は、どのように変わってきたのだろう? ’50年、警察予備隊の発足において、「政府解釈」で最初に変更になったという。 「このとき吉田茂首相は『武力によらざる自衛権は持つ』と発言し、『軍隊以外の形での国家の自衛権』の存在が共有されることになりました。その後、警察予備隊が保安隊となり軍隊の要素を備え始めると、吉田内閣は’52年、『憲法で禁じられた戦力とは、近代戦争遂行能力だ』という解釈を持ち出した。『近代戦に至らないものは戦力ではない』という方便に聞こえます。『近代戦かどうか』の区別なんか、どこにあるっちゅうねん!」 これが「無理のある解釈の始まり」だと谷口さんは話す。そして’54年に自衛隊設置。 「自衛隊法では『わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる』と定めています。これが『個別的自衛権』の考え方ですが、憲法では『自衛権を放棄』していると、当初、政府も解釈していたはず。そこで、鳩山一郎内閣が『日本に対して武力攻撃された場合、国土を防衛する手段として武力を行使することは、憲法に違反しない』という趣旨の統一見解を発表し『国家には固有の自衛権がある』という前提から、『戦力』に至らない『必要最小限の自衛力』は持てると導きだしている。憲法を変えずに『自衛隊は合憲』と解釈したのです」 さらに’57年、岸信介首相は国会で「自衛のための核兵器の保有は合憲」という趣旨の発言をしている。この一連の「憲法を変えずに軍備化、武力行使可能」という政府解釈は、最近になってもまかり通っている。 「’14年に安倍晋三首相が従来の政府解釈を変更し、『集団的自衛権による武力行使も現行憲法下で可能』として、安保法案を可決させ、『解釈改憲』といわれましたよね」 政治家たちの“解釈”の歴史から見えるものについて、谷口さんが嘆きの表情で言う。 「岸信介は安倍首相の、吉田茂は麻生太郎副首相のおじいちゃん。つまり、現政権のツートップの先祖が解釈で自衛隊を『合憲』としてきて、いま、孫たちがとうとう『憲法改正を』と言いだしている。手を替え品を替え、亡霊のように名前も看板も変えて、憲法を変えようとしている“権力者たち”。ほんまにしつこいなあって思います」
2017年06月16日俳優・山崎賢人主演で実写化される映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017年8月4日公開)に登場する空条承太郎のビジュアルが1日、公開された。同作は荒木飛呂彦原作、1987年に連載を開始した人気コミックで、現在はPart8(第8部)を集英社「ウルトラジャンプ」(集英社)で展開している。今回実写化されるのはPart4(第4部)「ダイヤモンドは砕けない」で、山崎演じる主人公・東方仗助が杜王町に潜むスタンド使いと戦いを繰り広げる。伊勢谷友介が演じる空条承太郎は、ジョースター家の血を引く人間で、山崎が演じる仗助よりも年上だが血縁上は甥にあたる。今回実写化されるPart4の前のシリーズにあたるPart3(第3部)「スターダストクルセイダース」では主人公として活躍していた重要な役どころで、仗助を導いていく。原作のファンだという伊勢谷は「空条承太郎には、中学のころから恐ろしいほど憧れていた」という。「承太郎と伊勢谷友介は全く別人格なのでそのギャップを埋めるのが難しかった」と苦労を明かしながらも、「三池監督のアイディアが随所に溢れてくる撮影は凄く刺激的で、楽しませて頂いた」と語った。スペイン・シッチェスでの撮影、および日本での撮影も終了し、現在編集に入っているという同作。伊勢谷は「スペインでは日本では味わえない爽やかな気分で撮影が出来た」と振り返り、上下真っ白で決めた衣装も「この街の中であるからこそ、ジョジョの衣装が馴染み、違和感がないと思うので期待している」と自信を見せた。同作にはほか、神木隆之介(広瀬康一役)、小松菜奈(山岸由花子役)、岡田将生(虹村形兆役)、真剣佑(虹村億泰役)、山田孝之(片桐安十郎役)、國村隼(東方良平役)、観月ありさ(東方朋子役)の出演が決定している。(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
2017年03月01日京都 元離宮二条城にて、世界の名車が集う展示会「競演 世界遺産と華麗なる名車たち (ARTISTIC CARS AT THE WORLD HERITAGE)」を開催。期間は、2016年10月28日(金)から12月11日(日)まで。本イベントでは、1970年代から2000年代までの世界中の名車が集結する。フェラーリや、ランボルギーニなど、格式高く今もなお愛され続ける車ばかりだ。展示会場は、元離宮二条城の中でも通常非公開の「二の丸御殿中庭」「台所前庭」「台所」。400年以上歴史を持ち、普段は誰も入ることができないその荘厳な雰囲気の空間にヴィンテージカーが並ぶという不思議な体験を提供する。さらに、12月3日(土)から6日(火)までの3日間はメインイベント「コンコルソ・デレガンツァ京都 2016」を開催。愛好家なら一度は目にしておきたい特に価値の高い名車、ヴィンテージカーがこの期間限定で展示される。さらに、6日には、城内を名車たちがパレードした後、美しさの頂点を競い合うコンクールも行われる。【詳細】競演 世界遺産と華麗なる名車たち (ARTISTIC CARS AT THE WORLD HERITAGE)期間:2016年10月28日(金)〜12月11日(日)時間:9:00〜17:00 (二条城の最終入城は16:00、会場の最終入場は16:30)場所:元離宮二条城 二の丸御殿中庭、台所前庭、台所住所:京都市中京区二条通堀川西入二条城町 541入場料:一般 600円 / 中学生・高校 350円 / 小学生 200円 / 小学生未満 無料※別途、二条城入城料が必要 (12月6日を除く)※12月3日(土)~6日(火)は特別展示・特別イベント実施のため、入場料が異なる。一般:1,200円 中学生・高校生:700円 小学生:400円 小学生未満:無料(6日分のみ後日発表)◼︎コンコルソ・デレガンツァ京都 2016期間:2016 年12月3日(土) 〜5日(月)※12月6日(火)は特別イベントを実施、開催時間は後日発表時間:9:00〜17:00会場:元離宮二条城 二の丸御殿中庭、台所前庭、台所※12月6日(火)は特別イベントを実施、場所は後日発表料金:特別入場料を設定、後日発表
2016年11月03日木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、写真家・石川竜一の作品集『okinawan portraits 2012-2016』。恵比寿の東京都写真美術館内にあるミュージアム・ショップ、NADiff BAITEN(東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内 東京都写真美術館2F)によるご紹介です。■『okinawan portraits 2012-2016』石川竜一 沖縄生まれの写真家・石川竜一が、沖縄中でバイクを走らせ3,000人のポートレートを撮影した中から生まれた『okinawan portraits 2010-2012』。それから、まだまだ続いていた沖縄での撮影が、『okinawan portraits 2012-2016』という1冊となり、今年9月に出版された。石川の写真には、シャッターが押された時、そこに、その人が、その景色が存在した、という事実だけがある。それは確かに沖縄の人々で、沖縄の景色なのだが、そこに写っているものたちは、私たちの中に知らず知らずのうちに培われた「沖縄らしさ」というイメージを拒否する。被写体は、特別こちらに笑いかけてくるわけでもなく、何かを訴えかけているわけでもない。しかしそこには、人間の「生」本来の強烈さがある。あとがきにはこう書かれる。「たくさんの情報が錯綜する中、欲だけが膨らみ、僕らはいま、僕ら自身をも消費してしまおうとしている。本当に必要なのは、お金そのものでも、経済システムそのものでもない。存在の証明であり、それを共有するための媒体やシステムだ」。経験や、常識によって作られた「らしさ」という先入観をそぎ落とし、ただ目の前のものを見つめる石川は、写っているものの存在をむき出しにする。それは、どこを開いても生々しくて、私たちにそれを「沖縄らしい写真」として消費させてくれない。『okinawan portraits 2010-2012』のあとがきにて、「本当はただ、その人と、その場所で、その時にしかない、写真との出会い。それだけだ。そんな中で写真はいつも話しかけてきてくれる。「お前が探しているのはこれじゃないのか」と。しかし、それも断定はできないのだ。多分、永遠に。」と書いていたように、「okinawan portraits」は途切れることがない。その人と、その場所で、その時にしかあり得なかった出会い。そうした偶然は、死ぬまで、毎日続いていく。写真は、そうした偶然の結果であることを思い出す。「あなたはここまで来て、ここから行くのです」という石川の言葉の通り、『okinawan portraits 2012-2016』の写真は、「彼、彼女たちは」「いま」「ここにいる」という被写体の存在証明に他ならない。それは同時に、それを撮影する石川自身の存在証明でもあるのである。【書籍情報】『okinawan portraits 2012-2016』著者:石川竜一発行:赤々舎判型:ソフトカバー/288ページ/245×255mm言語:日本語価格:5,000円
2016年10月20日朝日新聞社と朝日新聞出版は3月17日、第40回(2014年度)「木村伊兵衛写真賞」の受賞者に、石川竜一氏と川島小鳥氏の2名が選ばれたことを発表した。木村伊兵衛写真賞は1975年に創設され、各年ごとにすぐれた新人写真家を表彰する写真賞だ。石川竜一氏は「絶景のポリフォニー」「okinawan portraits 2010-2012」(赤々舎刊)が評価されての受賞となった。石川氏は1984年沖縄県生まれ。沖縄国際大学社会文化学科卒業。2010年、写真家 勇崎哲史に師事。2011年、東松照明デジタル写真ワークショップに参加。2012年『okinawan portraits』で第35回写真新世紀佳作受賞。川島小鳥氏は「明星」(ナナロク社刊)が評価されての受賞となった。川島氏は1980年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒業後、沼田元氣氏に師事。2006年、ひとりの少女を4年間撮り続けた作品で第10回新風舎平間至写真賞大賞受賞、2007年写真集『BABYBABY』を発売。11年『未来ちゃん』(ナナロク社)で第42回講談社出版文化賞写真賞を受賞。木村伊兵衛写真賞は、写真関係者へのアンケートにより候補者が推薦され、選考委員会で受賞者が決定される。今回の選考委員は写真家の岩合光昭氏、瀬戸正人氏、鷹野隆大氏、長島有里枝氏、アサヒカメラ編集長の佐々木広人が務めた。受賞賞金は50万円。また、受賞作品展が4月11日~20日、東京・新宿のコニカミノルタプラザ(ギャラリーC)で開催される。
2015年03月17日京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、iPS細胞の初期化の過程として、ヒトの体細胞は、中胚葉や内胚葉の細胞のもととなる「原条」と呼ばれる構造の細胞に似た状態を経て初期化されることを明らかにしたと発表した。成果は、CiRAの高橋和利講師、同・山中伸弥教授、スタンフォード大学の田邊剛士研究員(元CiRA)らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間4月24日付けで英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。ほ乳類の発生過程で現れる溝の様な構造。マウスの場合、発生開始から6~7日目に見られ、この部分で細胞の形態が変化し、中胚葉や内胚葉の細胞のもとになる。山中因子ともいわれる、初期化因子因子「OSKM」こと「OCT3/4」、「SOX2」、「KLF4」、「c-MYC」を含む転写因子を発現させると、分化した体細胞が多能性を獲得するが、その効率は決して高くない。この効率の悪さの要因として、OSKMの添加に加えて、「初期化の障壁を取り除く」あるいは「未だに知られていない2次的なイベントが必要である」と考えられてきた。それらを明らかにすることで初期化効率の改善が期待されるわけだが、集団の中で大部分を占める初期化されそこなった細胞が各種解析結果において大きなノイズとなり、初期化の分子機構を研究する上で障壁となっていた。そのため、iPS細胞へと初期化される過程にある細胞の中で起きているイベントを捕まえることはとても難しいのが現状だったのである。昨年、高橋講師らは細胞表面の抗原(タンパク質)である「TRA-1-60」を指標に初期化途中の細胞を集めるという手法を開発。ヒトの細胞の内、OSKM誘導によって生じたTRA-1-60陽性細胞がiPS細胞へと初期化される途中段階の細胞であることを示すことに成功した。また、TRA-1-60陽性細胞の動態解析から、初期化の開始段階ではなく、その後の成熟過程がボトルネックとなって初期化の効率を決めていることも明らかにしている。しかし、実は初期化途中の細胞の特徴についてはまだほとんどわかっていないという。そこで今回の研究では、真正なiPS細胞の候補である途中段階の細胞としてTRA-1-60陽性細胞を集め、遺伝子発現についての解析を実施したのである。「ヒト線維芽細胞(HDF)」にOSKMを作用させてからさまざまな日数において、iPS細胞へと初期化される途中の段階であるTRA-1-60陽性の細胞(d3~d49)が回収され、それらの遺伝子発現が調べられた。比較として、もとのHDF細胞に加え、初期化が終わったiPS細胞(iPSC)やES細胞(ESC)、さらにiPS/ES細胞から少し分化させた細胞の「内胚葉(EN)」、「中胚葉(ME)」、「神経外胚葉(NE)」、「原条様中内胚葉(PSMN)」についての解析が行われた。すると、初期化途中の段階の細胞、特に20~49日目の細胞はPSMNにとても似ていることが明らかになった。また、初期化の途中にあるTRA-1-60陽性細胞ではPSMNに特徴的なマーカー遺伝子の「BRACHYURY(T)」、「MIXL1」、「CER1」、「LHX1」、「EOMES」などが一過的に活性化していることが確認されたとする。一方でほかの系統の細胞に特徴的なマーカー遺伝子は一時的に活性化することはなかったという。これらの結果から、TRA-1-60陽性細胞が初期化の後半でPSMNと似た遺伝子発現をしていることがわかったというわけだ(画像)。以上の結果から、iPS細胞へと初期化される際には、原条の様な状態を経ていると考えられるという。逆に原条の状態を誘導すると、初期化の効率が高くなることが予想されるとする。そこで原条に関連する転写因子をいくつかOSKMと同時に誘導したところ、FOXH1を利用した場合にできるiPS細胞のコロニー数が飛躍的に増加することが確認された。また、FOXH1の機能を「RNA干渉法」により抑制すると、iPS細胞のコロニー数も対応して減少。これらの結果からFOXH1が初期化を促進することがわかったのである。今回の成果により、TRA-1-60を目印として初期化の途中にある細胞を捕まえる戦略により、初期化途中の細胞がPSMNと似た状態を経ることが明らかにされた。このPSMNに似た状態が次第に変化して、iPS細胞へとさらに初期化されるというわけだ。初期化過程の研究を進めることで、iPS細胞のより強固な樹立を可能にすることができると考えられるとしている。
2014年04月25日