女優でモデルの中村アンが12日、自身のXを更新。【画像】中村アン 最新スタイルを公開!「ファンクラブオープンしました よろしくお願いします!」と綴り、1枚の写真をアップ。この日中村はOFFICIAL FANCLUB「アンチャンネル」をオープンさせた。ファンクラブの限定コンテンツでは、ファンクラブ限定デザインのデジタル会員証や、プライベートショットを含めたBLOGを更新するなど豪華内容となっている。今後も中村の活躍に目が離せない。ファンクラブオープンしました㊗️よろしくお願いします! pic.twitter.com/CPqyHQl7ZZ — 中村 アン (@AnneNakamura) September 12, 2024 この投稿にファンからは「アンちゃん㊗️ ファンクラブオープン㊗️おめでとうございます♂️ 嬉しすぎてテンパりましたよ〜㊗️無理せずにやってね楽しみにしてまーす❤️」「ファンクラブ開設おめでとうございます開設とっても嬉しいです 12時過ぎに早々と入会させていただきました」「アンちゃん❤️嬉しい〜入会しました❗️配信楽しみです」などのコメントが寄せられた。
2024年09月12日東京・歌舞伎座にて、6月1日(土) に開幕する『六月大歌舞伎』は、中村時蔵が初代中村萬壽、時蔵の長男・中村梅枝が六代目中村時蔵をそれぞれ襲名し、梅枝の長男・小川大晴が五代目中村梅枝として初舞台に臨む。加えて、中村獅童の長男・小川陽喜が初代中村陽喜、次男・小川夏幹が初代中村夏幹として初舞台を踏む。萬屋一門が揃い、ファンに襲名を披露するとともに、一門の未来を担う若き3人が、歌舞伎俳優としての一歩を踏み出すおめでたい公演だ。これに先立ち、襲名・初舞台を彩る特別な引幕「祝幕(いわいまく)」のお披露目会見が行われ、萬壽、時蔵、梅枝に提供された日本画家・千住博氏デザインによる祝幕、陽喜と夏幹に贈られたビートたけし原画を用いた祝幕が公開された。それぞれ、高さ約7メートル、幅は30メートル近い大きさで、前者は紅白の色合いで描かれたダイナミックな滝の絵、後者は風神雷神をモチーフに、陽喜と夏幹の名前が踊っている。力強く流れる滝が描かれた、日本画家・千住博デザインによる初代中村萬壽・ 六代目中村時蔵襲名披露・五代目中村梅枝初舞台「祝幕」お披露目には、萬壽と旧知の仲でもある千住氏が駆けつけ、「光が当たると同時に、自らも発光する。そんな萬壽さんにふさわしいものは、何かと考えた」と振り返り、「滝が力強く流れ続けるように、ますますの繁栄を願ってこの絵を描いた」と滝に込めた思いを語った。この日、初めて祝幕全体を目にしたという萬壽は「壮観でございます」と感無量の面持ちだった。初代中村萬壽左から)六代目中村時蔵、五代目中村梅枝、初代中村萬壽、日本画家の千住博孫の大晴が五代目中村梅枝として、初舞台に立つことについて、萬壽は「この(女形の)家系に生まれた割には、立ち回りが好きでございますので、今回は、孫の好きなものをすべて要素として、取り入れた」と期待を寄せる。当の五代目梅枝は、会見中、終始緊張した様子だったが、それでも、萬壽は「本番が始まると、結構楽しくやってくれるんじゃないかなと思っております」と心配はしていない様子で、「ここまで来たら腹を据えて、3人で力を合わせて、一生懸命に舞台を勤めることが何より」と意気込んでいた。中村獅童一方、獅童は、ビートたけしが原画を提供した経緯について、自身が出演した“北野武”監督名義の映画『首』での縁だと説明し、「ずっとたけしさんのファンでしたし、ぜひにとお願いしたら、すぐに『やる』と言ってくださった」と感謝の意。画家としても活動するたけしから、描きためた数点が提供されたといい、陽喜と夏幹の意見も聞きながら、祝幕のモチーフに風神雷神が選ばれ「こんなに素敵な祝幕を送ってくださり、胸がいっぱいです」と感激しきり。たけしからは「この度の初舞台、誠におめでとうございます。これからの歌舞伎界を担っていくお二人及び皆さまの輝かしい未来を、心よりお慶び申し上げます」とお祝いのメッセージが届けられた。中村獅童(中央)と中村陽喜(右)、中村夏幹また、獅童は「正直な話、6演目中4演目が初役で、子どもたちの襲名も、自分にとって初体験ですから、もう何が何だかわかりません」と苦笑いを浮かべながら、切実な思いを告白。初舞台を控える陽喜と夏幹に対しては、「兄弟で助け合っているように見えますけど、ライバルなんですかね。とにかく舞台が大好きなので、元気よく最後まで精一杯楽しくやってくれたら」としみじみ。同時に「舞台の上に立てば、私と子どもたちも、家族ではなくライバル。負けたくないです!」と対抗心を燃やしていた。取材・文・撮影:内田涼※歌舞伎座では、黒・柿・萌葱の「定式幕(じょうしきまく)」を引幕(ひきまく)として用いているが、今回のような襲名披露・初舞台の際には、後援会や御贔屓の方から俳優に提供される特別な引幕として、「祝幕(いわいまく)」を定式幕の替わりに用いることもある。<公演情報>歌舞伎座「六月大歌舞伎」【昼の部】11:00~川村花菱 作齋藤雅文 演出一、『上州土産百両首』二、『義経千本桜』所作事 時鳥花有里六代目中村時蔵 襲名披露狂言三、『妹背山婦女庭訓』三笠山御殿劇中にて襲名口上申し上げ候【夜の部】16:30~曲亭馬琴 原作一、『南総里見八犬伝』円塚山の場初代中村萬壽 襲名披露狂言二、『山姥』五代目中村梅枝 初舞台劇中にて襲名口上申し上げ候河竹黙阿弥 作新皿屋舗月雨暈三、『魚屋宗五郎』初代中村陽喜初代中村夏幹初舞台2024年6月1日(土)~6月24日(月) ※11日(火)、17日(月) 休演会場:東京・歌舞伎座チケット情報()公式サイト
2024年05月28日6月歌舞伎座『六月大歌舞伎』に出演する歌舞伎俳優の中村時蔵、中村梅枝、小川大晴が取材に応じた。同公演にて、時蔵が初代中村萬壽(まんじゅ)、時蔵の長男である梅枝が六代目時蔵をそれぞれ襲名。また、梅枝の長男・大晴が五代目中村梅枝として初舞台を踏む。昼の部は、六代目時蔵襲名披露狂言として、時代物の傑作『妹背山婦女庭訓』の「三笠山御殿」を上演し、祖父や父も襲名披露として勤めた女方の大役・お三輪を、新時蔵が初役で勤める。夜の部では、初代萬壽襲名披露、五代目梅枝初舞台として情趣溢れる舞踊『山姥』で新たな門出を祝う。ゆかりの出演者がそろい、いずれの演目も出演者による劇中口上が行われるおめでたい雰囲気溢れる公演になる予定だ。『妹背山婦女庭訓』杉酒屋娘お三輪=梅枝改め六代目中村時蔵(C)松竹襲名を控える心境を問われた時蔵は「まだまだやり残したことがあるのではと、不安にかられるが、お稽古が始まると、没頭できるので、そういう不安も忘れられますね」と穏やかな表情。同じ質問に、梅枝は「数日前にいただいた台本の宛名が、『時蔵様』になっていて、それで実感しましたね。いつから“時蔵”って呼んだらいいのと聞かれることもある」と笑顔を見せた。昼の部『妹背山婦女庭訓』の「三笠山御殿」について、時蔵は「私も時蔵襲名で、やらせていただいた、我が家には縁がある演目。梅枝がどう演じてくれるのか楽しみ」と期待を寄せる。祖父、父に続き、お三輪を演じる梅枝は「お三輪は女形なら、誰もが憧れる役。初役で演じられるのも、めぐり合わせだと思いますし、ファンタジックな世界観を存分にお客様に届けられるのが目標。父からいろいろなダメ出しをいただきながら、少しでも近づけたら」と背筋を伸ばした。『山姥』山姥=時蔵改め初代中村萬壽(C)松竹『山姥』怪童丸後に坂田金時=五代目中村梅枝(C)松竹夜の部『山姥』では、大晴が怪童丸(後の坂田金時)を勤めることに。時蔵は「彼は女役が嫌いみたいで、見得がしたいって言うものですから(笑)。怪童丸は、金太郎ですからね。ちょうどいいと思いますし、ひと月の間、風邪をひかずに元気に勤めてくれれば」と目を細める。また、梅枝は「幸い、子役として舞台を積んできたので、改めて梅枝になるからといって、気負わずに」と親心。当の大晴は「カッコよく演じたい!」と怪童丸役に意気込みを示した。改めて、大晴の成長ぶりが話題にあがると、時蔵は「度胸が座っていて、本番に強い。ダメ出ししても、必ず克服する。それは誰もができることじゃないですし、意見を聞いて直せるのは大切なこと」と感心しきりで太鼓判。父の言葉を受けて、梅枝も「同じ役者として、本番に強いのは、うらやましいですね。お子さんはみんな、そうかもしれませんが、舞台上でも物怖じせずに、冷静」と誇らしげだった。歌舞伎座「六月大歌舞伎」『妹背山婦女庭訓』特別ポスター歌舞伎座「六月大歌舞伎」『山姥』特別ポスター取材・文・撮影:内田涼<公演情報>歌舞伎座「六月大歌舞伎」【昼の部】川村花菱 作齋藤雅文 演出一、『上州土産百両首』二、『義経千本桜』所作事 時鳥花有里六代目中村時蔵 襲名披露狂言三、『妹背山婦女庭訓』三笠山御殿劇中にて襲名口上申し上げ候【夜の部】曲亭馬琴 原作一、『南総里見八犬伝』円塚山の場初代中村萬壽 襲名披露狂言二、『山姥』五代目中村梅枝 初舞台劇中にて襲名口上申し上げ候河竹黙阿弥 作新皿屋舗月雨暈三、『魚屋宗五郎』初代中村陽喜初代中村夏幹初舞台2024年6月1日(土)~6月24日(月) ※11日(火)、17日(月) 休演会場:東京・歌舞伎座チケット情報()公式サイト
2024年05月15日歌舞伎俳優の中村時蔵が1月22日(月)、都内で行われた「歌舞伎座六月大歌舞伎」記者発表会見に出席し、同公演で初代中村萬壽(まんじゅ)を襲名すると発表した。併せて、時蔵の長男・中村梅枝が6代目中村時蔵を襲名し、梅枝の長男・小川大晴が5代目中村梅枝として初舞台を踏むことも発表された。会見で、時蔵は「目が黒いうちに時蔵を継がせ、もっと指導しなければ」という思いから、息子に名跡を譲ることを決断したと説明。「日頃から、彼の舞台を見ていて、すごく良くなっている」と梅枝への思いを語るとともに、「引退する気も、隠居する気もありません。今後もバリバリ初役も勤めて、指導もしていきたい」と現役として意欲を燃やした。なお、萬壽とは、平安時代の元号(万寿)に由来しており「元年が1024年で、ちょうど1000年前。それも因縁めいている」と話していた。中村時蔵一方、梅枝は襲名を打診された際を振り返り、「さすがにまだ無理ですという思いだった」と明かしながら、父・時蔵との話し合いや周囲への相談を重ねるうちに「自分の中で気持ちが高まったので、お受けしますよとお返事した」と経緯を説明。「父が亡くなるまで、自分は梅枝だと思っていたし、皆さんも了承しないと思っていた」と本音も語り、「襲名はありがたいこと。代々の時蔵さんに恥ずかしくないよう、今まで以上に責任感を持って、芸道にまい進していきたい」と意気込んだ。また、初舞台を踏む孫の大晴について、時蔵は「彼は女形が嫌いなんです。見得が好きみたいで。その思いをどこかで女形も面白いぞと導きたい」と目を細める場面も。当の大晴は、将来の夢は「プロ野球選手」だと答え、会場を沸かせていた。中村梅枝小川大晴会見には、中村獅童とともに、長男・小川陽喜と次男・小川夏幹も出席。同じく6月興行で初代中村陽喜、初代中村夏幹として初舞台を勤めることになった。萬屋一門が揃い、ファンに襲名を披露するとともに、一門の未来を担う若き3人が、歌舞伎俳優としての一歩を踏み出すことが決まった。中村獅童左から)小川夏幹、小川陽喜獅童は「もともと私の思いとして、またいつか6月の萬屋興行を復活させたいという気持ちがあった」と振り返り、時蔵と梅枝の襲名のタイミングで、陽喜と夏幹の出演プランも固まったと明かした。最近の息子たちの様子については、「最近はすっかり暴れん坊になりまして(笑)。毎日、芝居や立ち回りで戦いごっこをしながら、やんちゃに成長している」と頬を緩め、初舞台決定を知らせると「イエ~イって喜んでいました」と笑顔を見せた。取材・文・撮影:内田涼<公演情報>歌舞伎座『六月大歌舞伎』【昼の部】『妹背山婦女庭訓三笠山御殿』(いもせやまおんなていきん みかさやまごてん)お三輪中村梅枝 改め 六代目中村時蔵【夜の部】『山姥』(やまんば)※常磐津の舞踊です。山姥中村時蔵 改め 初代中村萬壽怪童丸五代目中村梅枝(初舞台)『新皿屋舗月雨暈魚屋宗五郎』(しんさらやしきつきのあまがささかなやそうごろう )魚屋宗五郎中村獅童丁稚初代中村陽喜(初舞台)丁稚初代中村夏幹(初舞台)2024年6月会場:東京・歌舞伎座
2024年01月23日尾上菊五郎、菊之助、中村時蔵らが出演する「令和6年初春歌舞伎公演」が国立劇場の建て替えに伴う閉場のため、ところ変わって東京・初台の新国立劇場にて1月5日(金)に開幕。初日の終演後に菊五郎、時蔵、菊之助、丑之助、眞秀らが報道陣の取材に応じた。まず菊五郎は、いまなお救助活動が続く能登半島地震に触れ「春早々、大きな地震があり、私どもはよく北陸地方にお招きいただき興行いたしますが……。亡くなられた方には心よりご冥福を申し上げます。一日も早くまた風光明媚な能登地方になっていただきたく、それにはみなさま、頑張り過ぎないように頑張って、私どもも及ばずながら、応援いたしますので、どうかみなさま、気を落とさずに復旧に臨んでいただきたいと思います」と見舞いの言葉を口にした。尾上菊五郎今回、初めての新国立劇場での初春公演となるが、慣れ親しんだ国立劇場から新国立劇場に移っての感想を尋ねると菊五郎は「あっち(国立劇場)は何しろつくりが古いんで、楽屋が使いにくいんですけど、こっちはいいですよ」とニッコリ。「勢獅子門出初台(きおいじしかどでのはつだい)」では、息子の菊之助、孫の丑之助、眞秀と一緒ににぎやかな舞を披露しているが、三世代での競演に菊五郎は「嬉しいですねぇ、こうやって孫たちが元気で踊ってくれているのが。『負けちゃいられない』と思っています」と笑顔で力強く語る。孫たちへのお年玉について尋ねられると「みんなやりとりして大変!」と苦笑を浮かべつつも嬉しそう。丑之助、眞秀はお年玉の使い道について「いまは保管してます」(丑之助)、「貯金します」(眞秀)と手堅いコメントで、場は和やかな笑いに包まれた。尾上丑之助左から)尾上眞秀、片岡亀蔵新たな年を迎え、菊五郎は「少しでも舞台に出たい。腰を痛めちゃっているんですけど、何とか役を探して潜り込もうと思っています」と意欲をのぞかせ、菊之助は「辰年ですのでね。一座勢ぞろいで勢獅子のようにスタートが切れたと思うので、父や時蔵の兄さんに教えをいただきながら、前に進んでいきたいと思っております」と語った。尾上菊之助雑誌「演劇界」(2022年4月号で休刊)の表紙の写真を長く手がけるなど、歌舞伎の世界にも関わりの深かった写真家の篠山紀信が83歳で亡くなったが、菊五郎は「いろいろと撮っていただきました。楽しい方だったので残念です」と語り、菊之助も「大変お世話になりました。楽屋にも来ていただいて、化粧のところを撮っていただいたりもしました。非常に丁寧に接してくださって、『演劇界』の表紙に出た方はみなさん、大変お世話になったので、ご冥福をお祈りしたいと思います」と故人を偲んだ。「初春歌舞伎公演」の演目は『勢獅子門出初台』のほか、『梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場』、『芦屋道満大内鑑 -葛の葉-』。1月27日(土)まで新国立劇場中劇場にて上演中。取材・文・撮影:黒豆直樹<公演情報>「初春歌舞伎公演」『梶原平三誉石切』一幕鶴ヶ岡八幡社頭の場出演:梶原平三景時:尾上菊之助大庭三郎景親:坂東彦三郎六郎太夫娘梢:中村梅枝俣野五郎景久:中村萬太郎梶原方大名:市村竹松梶原方大名:市村光青貝師六郎太夫:嵐橘三郎囚人剣菱吞助:片岡亀蔵ほか『芦屋道満大内鑑』一幕三場-葛の葉-出演:女房葛の葉/葛の葉姫:中村梅枝信田庄司:河原崎権十郎庄司妻柵:市村萬次郎安倍保名:中村時蔵ほか『勢獅子門出初台』常磐津連中出演:鳶頭 音羽の菊五郎:尾上菊五郎鳶頭 鶴吉:尾上菊之助鳶頭亀吉:坂東彦三郎芸者 お梅:中村梅枝鳶頭 萬吉:中村萬太郎手古舞 おゆう/若い者 勇吉:坂東亀三郎手古舞 おふみ/若い者 文吉:尾上丑之助手古舞 おひで/若い者 新吉:尾上眞秀手古舞 おせい/若い者 清吉:小川大晴世話人 松島屋亀蔵:片岡亀蔵世話人 山崎屋権十郎:河原崎権十郎芸者 お橘:市村萬次郎芸者 お時:中村時蔵ほか2024年1月5日(金)~2024年1月27日(土)13:00開演、16:55終演予定会場:東京・新国立劇場中劇場チケット情報:()公式サイト:
2024年01月06日2024(令和6)年2月東京・歌舞伎座、3月名古屋平成中村座で上演される「十八世中村勘三郎十三回忌追善興行」の合同取材会が11月28日、都内で行われ、中村勘九郎、中村七之助が出席した。時代物から世話物、新歌舞伎に新作歌舞伎、舞踊に至るまで、幅広い分野で当り役を持ち、人々を魅了し続けた十八世中村勘三郎。その十三回忌追善では、勘三郎の長男・勘九郎、次男・七之助をはじめ、由縁の出演者と演目が揃い、名優を偲ぶ。1987(昭和62)年1月歌舞伎座『猿若江戸の初櫓』猿若=十八世中村勘三郎(当時 五代目勘九郎)©松竹1992(平成4)年10月南座『青砥稿花紅彩画 白浪五人男』弁天小僧菊之助=十八世中村勘三郎(当時 五代目勘九郎)©松竹2月歌舞伎座では、寛政元(1624)年に初代猿若(中村)勘三郎が、後の中村座である猿若座の櫓をあげ、江戸で初めて歌舞伎興行を創始したことを記念して始まった「猿若祭」を開催。続く3月名古屋平成中村座では、初代勘三郎生誕の地とされる愛知県名古屋市中村区で、十八代目中村勘三郎襲名披露として、平成18(2006)年以来となる同朋高校体育館での公演が実現する。勘九郎は歳月の流れに思いをはせながら、「祖父が父に『追善興行ができるような役者になっておくれ』と言っていた通り、追善興行ができるのは本当にうれしい」としみじみ挨拶し、「親孝行は何ひとつできていなかったと思うが、これで少しは親孝行ができるのかなと思う」と安どの表情。七之助も「1年を通して、父の追善興行を行えるということは息子として本当にうれしく、身の引き締まる思いです」と背筋を伸ばした。2010(平成22)年4月歌舞伎座『連獅子』狂言師後に親獅子の精=十八世中村勘三郎、狂言師後に仔獅子の精=中村勘九郎(当時 二代目勘太郎)、狂言師後に仔獅子の精=中村七之助©松竹2月歌舞伎座夜の部では、初代勘三郎が、江戸で芝居小屋建立を幕府に認められるまでを描いた中村屋由縁の舞踊劇「猿若江戸の初櫓」を上演。勘九郎の長男・中村勘太郎が初役で猿若を勤め、出雲の阿国で七之助が華を添える。17代目と18代目の伝説的な共演以来、中村屋を語る上で欠かすことができない舞踊の大曲「連獅子」では、親獅子に勘九郎、仔獅子には10歳となる次男の中村長三郎が初めて挑むことになった。猿若を勤めることを知った勘太郎の様子について、勘九郎は「マスク越しに笑みがこぼれるのが見えて、愛おしかった」と目を細め、「連獅子」に初挑戦する長三郎には「火の玉のような子獅子を演じてくれるはず」と期待を寄せた。2010(平成22)年2月歌舞伎座『籠釣瓶花街酔醒』佐野次郎左衛門=十八世中村勘三郎©松竹昼の部では、勘三郎が当り役にした「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」の佐野次郎左衛門を、勘九郎が初役で勤め、女方の大役・兵庫屋八ツ橋を七之助が同じく初役で勤める。「いつかやりたいとタイミングを模索していた。兄弟ふたりでできるので、父も喜んでいるはず」(勘九郎)、「八ツ橋は、女方あこがれのお役。初役はありがたい」(七之助)と声を弾ませた。さらに、各地の芝居小屋やホールをめぐる「陽春・春暁・錦秋歌舞伎特別公演2024」、10月には「俊寛」の舞台である鹿児島県三島村・硫黄島で13年ぶりの開催となる「三島村歌舞伎」も決定した。勘九郎は「2011年に2回目の『俊寛』を三島村で演じた時、私が14歳で千鳥をやらせていただいた」と回想。勘太郎(当時は七緒八)が誕生した頃で、「父が『七緒八が14歳になるのはいつだ?俺が70歳になるから、その記念でまたやろう』と決めていた」と秘話を披露。「それが見られなかったのは悔しいんですが、父の遺志を継いで、三島村で俊寛を勤められるのも、本当に楽しみ」と追善興行ラインナップに奔走する2024年に闘志を燃やしていた。取材・文・撮影(会見写真):内田涼<公演情報>十八世中村勘三郎十三回忌追善■「猿若祭二月大歌舞伎」【昼の部】11:00~一、新版歌祭文野崎村二、釣女三、籠釣瓶花街酔醒【夜の部】16:30~一、猿若江戸の初櫓二、義経千本桜すし屋三、連獅子2024年2月2日(金)~2月26日(月)※13日(火)、20日(火)休演※9日(金)昼の部は貸切(幕見席は営業)会場:東京・歌舞伎座■「名古屋平成中村座 同朋高校公演」【昼の部】11:00~一、弁天娘女男白浪二、身替座禅【夜の部】15:30~一、義経千本桜川連法眼館二、二人藤娘2024年3月6日(水)~3月18日(月)※12日(火)休演会場:平成中村座(学校法人 同朋学園 同朋高等学校 体育館)公式サイト:
2023年11月29日東京・歌舞伎座の11月公演は、「吉例顔見世大歌舞伎」(11月2日初日~25日千穐楽)が開催される。夜の部では、大坂夏の陣を題材にした義太夫狂言の名作『鎌倉三代記』を上演。人形浄瑠璃で上演されたのち、歌舞伎では1818(文政1)年2月の江戸・中村座で初演された時代物の傑作だ。『鎌倉三代記』より佐々木高綱役:中村芝翫©松竹『鎌倉三代記』より左から、時姫役:中村梅枝、三浦之助義村役:中村時蔵©松竹今回は、爽やかさと哀愁が漂う若武者・三浦之助(みうらのすけ)を中村時蔵、“三姫”と呼ばれる大役のひとつである時姫(ときひめ)を中村梅枝、知略に優れた武将・佐々木高綱(ささきたかつな)を中村芝翫が勤め、時蔵・梅枝親子が揃って初役で勤めることも話題を集めている。都内で3人が取材に応じ、意気込みを語った。同演目については、約50年前に3日間だけ時姫を演じたことあると明かす時蔵は、「また時姫を、思っていたところ、まさか三浦之助の役が来るとはと驚きました」と初役に驚きの表情。人間国宝の中村梅玉に教えを請うといい、「忠実に守っていきたい」と強い思いを明かした。大役に挑むことになった梅枝は、「この歳でやらせていただけるとは思っておらず、光栄で、ありがたいと同時に戦々恐々としております。命の限り燃え尽きたい」と緊張した面持ち。「若造だからこそできる時姫を追い求めていきたい。父や芝翫のお兄さんの胸を借りてお客様の心に残るものにしていきたい」と背筋を伸ばした。取材会では「最近、父も年のせいか、足腰が弱ってまいりまして、非常に心配」(梅枝)、「憎らしいでしょ?」(時蔵)と微笑ましいやりとりも。その様子に、芝翫は「以前のうちの親子を見ているよう。私も父のことを思い出しながら、舞台に立つことが多いので、懐かしくいつも見ています」と目を細めた。その芝翫にとって、佐々木高綱を演じるのは3度目となり、「初演は、阪神大震災があったこともあり、思い出深い作品。ドラマの深さを重視して、観ていただければ」とアピール。梅枝に対し、「昨今は本当に女形さんが少ない。お父さんのように大立者の女形になってほしい」と期待を寄せた。【『鎌倉三代記』あらすじ】北條時政と源頼家との戦の最中。劣勢を余儀なくされた源頼家に仕える三浦之助は、病床の母長門のもとへ、別れを告げに現れる。出迎えたのは、敵方時政の娘ながら三浦之助の許嫁・時姫。長門は気丈に息子との対面を拒み、時姫は三浦之助を恋い慕う心を打ち明けるが、三浦之助は、時姫に心を許さない。そこへ、百姓の藤三郎が時政の命により、時姫を呼び戻そうとやってくる。しつこく時姫に言い寄るも、逆に斬りつけられて井戸へと逃げ込む藤三郎。しかし、藤三郎の正体は三浦之助と共謀する佐々木高綱だった。<公演情報>歌舞伎座新開場10周年「吉例顔見世大歌舞伎」<夜の部>二、『鎌倉三代記』出演:三浦之助義村:中村時蔵時姫:中村梅枝おくる:市川高麗蔵阿波の局:中村歌女之丞讃岐の局:中村梅花富田六郎:中村松江母長門:中村東蔵佐々木高綱:中村芝翫2023年11月2日(木)~25日(土)会場:東京・歌舞伎座チケット情報:公式サイト:
2023年10月26日歌舞伎座新開場十周年「『秀山祭九月大歌舞伎』二世 中村吉右衛門三回忌追善」が、9月2日から25日まで東京・歌舞伎座で上演される。2021年に逝去した中村吉右衛門の三回忌追善として行われ、数々の当り役を持ち、多くの人々を魅了してきた歌舞伎界屈指の名立役をゆかりの演目、出演者で偲ぶ。夜の部では、歌舞伎三大名作のひとつ、『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』より、原作の三段目にあたる『車引』が上演されることになり、中村又五郎、歌昇、種之助が出演する。松王丸、梅王丸、桜丸という三つ子の兄弟の争いを描き、歌舞伎の様式美を凝縮した華やかな演目。又五郎の松王丸、歌昇の梅王丸、種之助の桜丸という配役で、豪快な荒事の魅力を披露する。『菅原伝授手習鑑 車引』平成30(2018)年7月大阪松竹座公演より、松王丸=中村又五郎(c)松竹『菅原伝授手習鑑車引』平成26(2014)年4月金丸座より、梅王丸=中村歌昇(c)松竹『菅原伝授手習鑑車引』2023年「秀山祭九月大歌舞伎」オフィシャルビジュアルより、桜丸=中村種之助(c)松竹又五郎、歌昇、種之助の親子3人で『車引』の三兄弟を勤めるのは、今回が初めて。このたび、都内で行われた取材会に顔を揃え、それぞれの意気込みを語るとともに、在りし日の吉右衛門の思い出話も披露した。「古典中の古典ですし、播磨屋の一員として、お兄さんにお稽古で教えていただいた“核の部分”をしっかり噛みしめながら、舞台に挑めたら」。そう語る又五郎は、「大きなお役を、ここにいる3人で勤められるのは、なかなかない機会で親としてはとてもうれしいこと。子どもたちは嫌だと言うかもしれませんが(笑)」と親子共演に喜びを示し、演じる松王丸については「梅王丸、桜丸を痛めつけるのではなく、体から出てくるパワーで抑えつける感じが出せれば」と語った。梅王丸を勤める歌昇は「播磨屋として、おじさまの舞台に対する姿勢を近くで見てきました。教えていただいたことをしっかりと継承し、おじさまに近づけるように精進することで恩返ししたい。親子3人での共演もうれしいですし、梅王丸は金丸座以来、だいぶ時間が経っているので、成長した姿をお見せしなければ」と決意表明。桜丸を勤める種之助は初役となり、「(尾上)菊之助のお兄さんに教えていただきます。教えをしっかりと自分のものにして、歌舞伎座という舞台に見合う桜丸を目指していければと思います」とこちらも闘志を燃やした。吉右衛門との思い出を問われると、又五郎は「スパルタという意味ではなく、『あそこはこう』とお厳しい指導をいただいた。こちらが進歩をすれば、『そうだ、あれでいいんだよ』と褒めてくださった」としみじみ。「お言葉すべてが財産。舞台に対する姿勢の厳しさは常々でしたが、映画を観たり、絵画を鑑賞したり、そういった体験や経験が自分の豊かさにつながるとも教えていただいた」(歌昇)、「とにかく死ぬ気でやれと言われました。生前には『これからの歌舞伎はどうなるんだろうね』とも。時代が変わり、お客様の求めるものも変わるなかで、古典以外に新作や昔の古典の再演など、工夫をこらしているが、それには驚いていると思うし、どんな歌舞伎を望んでいらっしゃったのか分かりませんが、私たちが教わったことを守っていきたい」(種之助)と話していた。<『菅原伝授手習鑑 車引』あらすじ>三つ子の兄弟、松王丸(又五郎)、梅王丸(歌昇)、桜丸(種之助)は、それぞれ藤原時平、菅丞相、斎世親王に奉公しています。主人たちの対立により、今は敵味方となった三人。ある日、梅王丸と桜丸は主人の無念を晴らそうと、敵である時平が乗る牛車の行く手を阻みます。それを止めに入ったのが松王丸。三人が争う内に牛車より時平(中村歌六)が現れ……。取材・文:内田涼<公演情報>歌舞伎座新開場十周年「秀山祭九月大歌舞伎」二世中村吉右衛門三回忌追善【昼の部】11:00~一、祇園祭礼信仰記金閣寺二、土蜘三、二條城の清正【夜の部】16:30~一、菅原伝授手習鑑車引二、連獅子三、一本刀土俵入取手宿安孫子屋よりお蔦の家 軒の山桜まで2023年9月2日(土)~9月25日(月) ※11日(月)、19日(火) 休演会場:東京:歌舞伎座
2023年08月22日2023年3月に全国12カ所で行われる『中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2023』のオンライン合同取材会を12月14日(水) に実施。毎年恒例となった巡業への思い、そして各演目の解説、見どころを中村勘九郎、中村七之助が語った。2005年からスタートした〈春暁特別公演〉は、時期によって〈錦秋〉〈新緑〉〈陽春〉と銘打ち回を重ねながら、来春で18回目を迎える。これまでに行った公演を含めて、2022年の春には全国47都道府県を制覇するという偉業も成し遂げた。始まった当初は「こんなに長く続くとは思っていなかった」という勘九郎は、「過去の芸談コーナーで〈継続は力なり〉という話をしたこの巡業ですが、私たちはもちろん、中村屋の弟子たちも含め、みんなの力になっていますし、特別公演をきっかけに、歌舞伎座や中村座、他の劇場に足を運んで下さる新たなお客様が増えたことも、続けてきたおかげだと感じています。コロナがまだ不安定な状況ではありますが、来年も全国を巡業ができることは、本当にありがたいことだと思っております」。七之助は「今回も含めてコロナ禍で巡業を行うこと自体が難しかったり、歌舞伎座や東京、大阪といった大都市に行きづらいという地方のお客様も多いなか、私たちがいろいろな場所へ伺い、歌舞伎を見る機会を作ることできるのが、本当に嬉しいです。中村屋一丸となって、一生懸命良い舞台をみなさまにお見せできたら」と、思いを語る。中村勘九郎今回の『中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2023』は、「トークコーナー」「元禄花見踊」「仲蔵狂乱」「相生獅子」で構成。勘九郎、七之助、鶴松が参加するトークコーナーについて、勘九郎は「全国どこに行っても歌舞伎に縁があったり、史跡があったりするので、地元の方たちとお話できることが和気藹々として楽しいですね。歌舞伎は伝統芸能で、堅苦しくて敷居の高いイメージがあるので、まずはお客様の心の壁を取っ払って演目を見ていただきたいという気持ちがあります。ですので、できるだけ素の部分というか、飾らないことを意識してお話をするように努めています」。七之助は「兄が言った通りで、地元のお客様と出会えることはもちろん、何度か伺った土地には、馴染みの店や必ず行く場所があります。私事ではありますが、私がMCを務めているラジオ番組のInstagramのために、劇場の近くの名所や神社、歌舞伎に縁のある場所に行くようにしてるので、トークの幅は広がったと思います。事前に頂いたお客様の質問を通じていろいろなコミュニケーションが取れるのがいいですね」とコメント。以前のように手を挙げた方と直接話すことは叶わない時期ながら、その土地ならではの話題が飛び出すトークコーナーを楽しみにしている様子だった。中村七之助「元禄花見踊」は春にぴったりの華やかな演目となる。七之助は「トークコーナーを経て〈春暁特別公演〉の歌舞伎、その踊りの一発目なので、何も考えずに綺麗なものを見ていただいて、その歌舞伎の世界観に入っていただこうかなと思うような踊りです。一緒に花見をするような気分でご覧いただければ幸いです」、勘九郎は「元禄期の男と女が華やかに踊るので、まずビジュアルが見どころ。衣装の美しさや当時の頭のかつらのゆい方を、目で楽しんで頂ける演目です」と紹介した。「仲蔵狂乱」の上演は、本興行では昭和35年の歌舞伎座以来。2021年にNHKで放送された「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」で中村仲蔵を演じた勘九郎にとっても縁のある演目と言える。出演する勘九郎は「なかなか本興行で出ない珍しい踊りを披露するのも、この特別公演のいい部分。仲蔵さんが出世をしていくサクセスストーリーは、落語や講談でも有名ですが、彼は志賀山流の養子になった踊りの名手です。いまでも〈仲蔵振り〉は受け継がれている、なかなかいない歌舞伎役者の一人でもあります。〈狂乱雲井袖〉という本外題ですが、中村仲蔵さんが出てくるわけではなく、でも仲蔵さんが有名だから仲蔵狂乱という名前が入ってしまうぐらいの狂言なんですね。とてもしっとりとした、私もあまり手掛けたことのないような踊りだと思います。気が狂っていると偽っている役なので、踊りの中でその部分と正常な部分を踊り分けて見せるのが見どころのひとつなのですが、すごい細かいんです(笑)。この難しい踊りを、現代のお客様にどれだけ楽しんで頂けるかが、踊り手の腕の見せ所。久しぶりの演目、そして仲蔵さんという私たちにとっても縁のある人物が演じた役ということで、楽しんでいただければと思います」と意気込んだ。ラストを飾る「相生獅子」は、七之助と鶴松が二人の美しい姫を演じる。七之助は「石橋物のなかでも古い作品で、前半はお姫様が二人出てきて華やかに女心だったり、口説きを見せる、品良く綺麗な格式高い踊りをご覧いただき、最後は獅子になって出てきます。お姫様の恰好で毛を振るという珍しい形の踊りなので、一つの相生獅子という演目のなかで、いろんなバージョンの二人が見れる作品です」と説明。「鶴松と二人でがっつり踊ることもなかなかないんじゃないかと思います」とのことで、そこも見どころとなりそうだ。公演を楽しみにしている方へのメッセージを求められた勘九郎は「コロナという流行り病が出てから早三年、日頃から何かに気を付けなければいけなかったり、これまでと勝手が違ったりするなかで、鬱々とした気分を持たれている方もいらっしゃると思います。本当に短い時間ではございますが、劇場で芝居を見ている間だけは、その気分を忘れて頂けるよう美しい世界に誘いたいですし、一生懸命私たちも切磋琢磨しようと思っています。春爛漫のひとときを楽しんで頂ければ嬉しいです」。七之助は「毎年恒例の巡業が今回もできる喜びを噛みしめながら、私たちの体調面やスタッフもコロナ対策バッチリで、安全安心に見ていただけるよう気を引き締めて参りたいと思います。全国12カ所24公演、一つ一つの公演を一生懸命踊りたいと思っておりますので、ぜひ足をお運びください。よろしくお願いします」と締めくくった。取材・文=長澤香奈撮影=福岡諒祠(株式会社GEKKO)<公演情報>『中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2023』『中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演 2023』ビジュアル【演目】※上演時間約2時間予定1. トークコーナー中村勘九郎/中村七之助/中村鶴松2. 元禄花見踊 長唄囃子連中門弟 一同3. 仲蔵狂乱 長唄囃子連中小野良実(おのよしざね) 中村 勘九郎4. 相生獅子 長唄囃子連中姫 中村七之助姫 中村鶴松【日程・開催地】■2023年3月6日(月) 東京・北とぴあ さくらホール3月9日(木) 千葉・千葉市民会館 大ホール3月10日(金) 埼玉・川口総合文化センター・リリア メインホール3月11日(土) 東京・ティアラこうとう 大ホール3月12日(日) 長野・まつもと市民芸術館 主ホール3月13日(月) 神奈川・相模原女子大学グリーンホール 大ホール3月15日(水) 大阪・サンケイホールブリーゼ3月18日(土) 岩手・盛岡市民文化ホール 大ホール3月19日(日) 宮城・名取市文化会館 大ホール3月21日(火) 福岡・キャナルシティ劇場3月22日(水) 広島・広島文化学園HBGホール3月23日(木) 愛媛・松山市民会館 大ホール公式HP:
2022年12月24日猿若町発祥180年記念『平成中村座 十一月大歌舞伎』が、11月3日に平成中村座(浅草寺境内・仮設劇場)で初日を迎えた。「江戸時代の芝居小屋を現代に復活させ、多くの方々に歌舞伎を楽しんでいただきたい」という十八世中村勘三郎の思いから、2000年に誕生した平成中村座。2カ月連続公演のふた月目となる今月の第一部は、『寿曽我対面』『舞妓の花宴』『魚屋宗五郎』の古典作品が並び、江戸の芝居小屋を模した平成中村座でしか味わえない舞台となっている。そして第二部では、先月から引き続き、平成中村座で初となる新作歌舞伎、宮藤官九郎が平成中村座のために書き下ろした『唐茄子屋~不思議国之若旦那』と、華やかな舞踊『乗合船恵方萬歳』が上演される。『平成中村座 十一月大歌舞伎』は11月27日まで。なお新型コロナウイルス感染症の影響により、本日11月4日・5日公演は第一部・第二部ともに中止となっている。■中村勘九郎 コメント10月5日、浅草で4年ぶりとなる平成中村座の幕が開きました。初日の幕が開いたとき、お客様の拍手がすごくて、我々役者やスタッフだけではなく、皆さまも平成中村座を待っていてくださったんだと感じられて、とても幸せな気持ちになりました。連日、大勢のお客様に平成中村座へお越しいただき、小屋も喜んでいるように感じましたし、何より毎日平成中村座で芝居ができて嬉しかったです!そして、おかげさまで無事に千穐楽まで完走できたことに感謝です。稽古を経て、いよいよ、11月公演が始まりました。ふた月連続でご覧いただく『唐茄子屋』は、宮藤官九郎さんが今回の二か月連続公演のために書いてくださった新作、宝物のような作品です。幕が開くまでは、どんな反応なのかドキドキでしたが、大いに笑って楽しんでいただけているようで、本当に嬉しいです!11月にも古典作品が並びます。江戸の芝居小屋を模した平成中村座の空間で、古典の持つ魅力も合わせてご堪能いただきたいと思います。さて、すっかり寒さも増してまいりました。是非、11月は防寒対策をして浅草へ足をお運びください。平成中村座に一歩踏み入れれば、関係者一丸となって、熱い舞台空間をお届けします!皆様のご来場を心よりお待ちしております。<公演情報>猿若町発祥180年記念『平成中村座 十一月大歌舞伎』11月3日(木・祝)~27日(日) 平成中村座猿若町発祥180年記念『平成中村座 十一月大歌舞伎』ビジュアル【演目】■第一部一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)出演工藤祐経:中村橋之助曽我五郎:中村福之助曽我十郎:中村歌之助化粧坂少将:中村鶴松小林朝比奈:中村虎之介大磯の虎:坂東新悟鬼王新左衛門:中村勘九郎二、舞妓の花宴(しらびょうしのはなのえん)出演白拍子和歌妙:中村七之助三、新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)出演魚屋宗五郎:中村勘九郎召使おなぎ:坂東新悟磯部主計之助:中村橋之助小奴三吉:中村歌之助菊茶屋娘おしげ:中村鶴松菊茶屋女房おみつ:中村歌女之丞父太兵衛:片岡亀蔵女房おはま:中村扇雀■第二部一、唐茄子屋(とうなすや)不思議国之若旦那作・演出:宮藤官九郎出演若旦那徳三郎:中村勘九郎傾城桜坂/お仲:中村七之助第二太夫/源六倅源助:坂東新悟大工の熊:中村橋之助半公:中村福之助眠 善治郎:中村虎之介若旦那(小):中村勘太郎お仲倅イチ:中村長三郎丹生林/海苔屋のおたね:中村鶴松山崎屋おりき:中村歌女之丞達磨町の八百八/吉原田んぼのあめんぼ:荒川良々番頭小辰/吉原田んぼの蛙ゲゲコ:片岡亀蔵大家源六:坂東彌十郎八百八女房よし/吉原田んぼの蛙ゲコミ:中村扇雀二、乗合船恵方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)出演萬歳:中村扇雀才造:中村勘九郎白酒売:中村七之助大工:中村橋之助若旦那:中村虎之介芸者:中村鶴松角兵衛獅子:中村歌之助角兵衛獅子:中村福之助女船頭:坂東新悟田舎侍:片岡亀蔵通人:坂東彌十郎チケット情報はこちら:※新型コロナウイルス感染症の影響により、11月4日(金)・5日(土) の公演は第一部・第二部ともに中止。最新の情報は公演公式サイトにてご確認ください。
2022年11月04日次世代の歌舞伎俳優たちが更なる活躍ができるよう、未来へ繋ぐ新しい挑戦として企画された「いぶき、特別公演」。2021年6月の京都・南座での初めての公演では、中村児太郎、市川九團次、大谷廣松らによって、『妹背山婦女庭訓』『乗合船恵方万歳』の二つの演目が上演された。好評につき、第二回が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響に鑑み、残念ながら全公演が中止となった。しかし、コロナ禍ではあるが、その土地の多くの若い世代にも歌舞伎の魅力を繋いでいこうという考えから仕切り直しと言える、次回の公演が東京・観世能楽堂、神奈川・横浜能楽堂ほか各地で開催される。今作の出演者は、第一回にも出演した中村児太郎と、初参加となる中村隼人である。そして、中村隼人と中村児太郎が上演演目『二人椀久』の椀屋久兵衛と遊女の松山太夫にそれぞれ扮した「いぶき、特別公演」の本ビジュアルが解禁となった。今回の本ビジュアルは世界的写真家のレスリー・キー氏が撮影したものである。勇ましく、美しく、儚く、そして何より次世代を担う若い二人の瑞々しさをも感じ取れるような仕上がりが印象的なビジュアルとなった。撮影を担当したレスリー・キー氏より、コメントが到着。写真家レスリー・キーコメント「日本の伝統文化である歌舞伎とコラボレーションできた事は、私の日本での約30年間のフォトグラファー人生の中で、最も特別な出来事のひとつになりました。この企画に参加できた事をとても光栄に思います。これからも海外の地から歌舞伎の世界を全力で応援していきます。観にきて頂いたお客様には、ぜひ私の撮影したビジュアルと共に、この素晴らしい舞台を楽しんでいただきたいです。」演目は『雨の五郎』『藤娘』『二人椀久』の三つ。『雨の五郎』は、春雨の夜、蛇の目の傘を差した曽我五郎が大磯の廓の遊女・化粧坂の少将のもとへ向かう道中を描いたお話。亡き父のために敵討を誓って勇壮さを見せる反面、恋仲である少将からの文を手にした姿からは和事風の柔らかみを感じさせる。『藤娘』は、藤の精が愛らしい娘の姿で現れ、移り気な男心を名所“近江八景”になぞらえて踊り、恋心を艶やかに表現する物語。『二人椀久』は、大阪の豪商・椀屋久兵衛が遊女の松山太夫に入れ上げて放蕩の限りを尽くし、周りの者から座敷牢に閉じ込められてしまう。いつの間にか牢を抜け出し、さまよい歩く久兵衛は松山と再会するが、それは全て幻だったという幻想的な逢瀬が描かれている。趣の異なる三つの演目、そして二人の息の合った舞踊など、お見逃しなく。公演の詳細は公式サイト( )にて。【公演概要】いぶき、特別公演〈演目〉一、『雨の五郎』長唄囃子連中中村隼人二、『藤娘』長唄囃子連中中村児太郎三、『二人椀久』長唄囃子連中中村児太郎中村隼人主な日時・会場:東京公演2022年6月1日(水)観世能楽堂 ①12:00開演②15:00開演横浜公演2022年6月4日(土)横浜能楽堂 ①12:00開演②15:00開演チケット: 一般発売 2022年3月26日(土)10:00〜全席指定7,500円(税込)※未就学児童の入場はご遠慮ください。★レスリー・キー監修公演パンフレット付き★※お一人様に一部ずつパンフレットが付きます。 当日会場にてお渡し致します。その他、上演日程(お問い合わせ先などの詳細はホームページでご確認ください)千葉 6月3日(金)成田市文化芸術センター スカイタウンホール石川6月11日(土)こまつ芸術劇場うらら 大ホール京都6月17日(金)京都・観世会館愛知6月18日(土)名古屋能楽堂大阪6月19日(日)大槻能楽堂郡山6月21日(火)けんしん郡山文化センター中ホール熊本6月25日(土)八千代座福岡6月26日(日)大濠公園能楽堂<ご来場のお客様へ>本公演は新型コロナウイルス感染拡大予防のため、できる限りの対策を講じた上で開催いたします。ご不便をおかけすることもございますが、安全に公演をお楽しみいただくため、ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。今後の感染拡大の状況によって緩和される場合がございますので、感染予防対策が変更になる場合がございます。最新情報は公式HP( をご確認ください。制作: 三響会企画 制作協力:全栄企画株式会社 / 株式会社ちあふる 協力:松竹株式会社総合問合せ:Zen-A [ゼンエイ] TEL: 03-3538-2300 (平日11:00~19:00) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月25日今年で17年目を迎える中村屋一門恒例の全国巡業公演。歌舞伎俳優の中村勘九郎、中村七之助がリモート会見で見どころを語った。2022年春は『春暁特別公演』に加え、勘太郎、長三郎の子役を交えた『陽春特別公演』の2公演を上演する。生の歌舞伎の楽しさに触れ「元気になってお帰りいただきたい」と声を揃えるふたり。歌舞伎のいろはを解く「歌舞伎塾」や素顔が垣間見られる人気の「トークコーナー」を交えた構成で、演目にも趣向を凝らす。「中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2022」「中村勘九郎 中村七之助 中村勘太郎 中村長三郎 陽春特別公演2022」チケット情報『春暁特別公演』で勘九郎はお家芸「高坏(たかつき)」に出演する。花見の席で大名から高坏を買うよう命じられた次郎冠者(勘九郎)。しかし、それが何か分からず「高坏買いましょう」と声を張り上げて歩き出すと、そこへ高足売が現れて……。下駄でタップという趣向が楽しい軽妙洒脱な舞踊劇だ。「祖父の十七代目中村勘三郎が今の演出、振りにしたもので、中村屋にとっても大切な演目のひとつ。華やかな作品でお花見気分を味わって」と勘九郎が陽気に盛り上げる。七之助が勤めるのは心中物「隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)」。四世鶴屋南北作「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」(通称「お染の七役」)の大詰めを長唄の舞踊劇に仕立てたオリジナル演目で、七之助はお染、久松、お光、土手のお六の4役を踊る。「歌舞伎のエンターテインメント性を生でご覧いただける絶好の機会」であると同時に、男女の演じ分けや早替りなど役者、七之助の魅力を存分に堪能できる。続く『陽春特別公演』は勘太郎、長三郎の幼い兄弟が清元で踊る「玉兎」で幕が開く。息子の成長を見守る勘九郎は「何より芝居好きなのが嬉しい」と目を細める。ふたりともすでに踊りは入っているが、「今回はひとりで踊るものをふたり用に変える構成」につき、ブラッシュアップした内容でお届けする。また、今公演では勘太郎、長三郎がイラストを担当した手ぬぐいなどの公演記念グッズを初めて販売することも明かされた。打って変わり、勘九郎と七之助は清元を代表する名作怪談舞踊劇「かさね」を。腰元かさね(七之助)が最愛の与右衛門(勘九郎)に鎌で殺されたことに始まる因果因縁の物語。「男女のドロドロした部分や清元の名文句、名調子、その美しさも見せる。現代の女性にもドラマティックに観ていただけます」と勘九郎。最終的には顔が醜くなり足が折れどん底に突き落とされるかさね。七之助は「女性としてすべてが崩れる様を見せられたら」と語り、踊りでは勘九郎と阿吽の呼吸で魅了する。「互いが磁石のようにべったり引っ付いたり、拒絶し合ったり関係性にメリハリを付けるのが効果的で、そこが踊りの面白さ、深さになってくる。『玉兎』とはガラッと違う踊りを楽しんでいただきたい」とアピールした。『春暁特別公演』は3月6日(日)から26日(土)まで奈良、滋賀、兵庫ほか全国16か所にて、続く『陽春特別公演』は3月30日(水)から4月4日(月)まで大阪・フェニーチェ堺大ホールほか全国5か所にて。チケットは両公演、1月15日(土)10時よりプリセールを実施。取材・文:石橋法子
2022年01月14日歌舞伎俳優の中村勘九郎、中村七之助が9月24日、オンライン発表会見を行い、TBS赤坂ACTシアターで上演されるTBS開局70周年記念「赤坂大歌舞伎」(11月11日~)への意気込みを語った。十八代目中村勘三郎が2008年にスタートさせた名物シリーズ「赤坂大歌舞伎」。2013年からは中村勘九郎、中村七之助兄弟が亡き父の遺志を継ぎ、公演を重ねてきたが、昨年5月に予定されていた6回目の上演は、コロナ禍の影響で中止を余儀なくされ、演目も新たに今秋の上演が改めて決定した。今回上演される演目は『廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと』、『越後獅子(えちごじし)』、『宵赤坂俄廓景色(よいのあかさかにわかのさとげしき)』の3作。『廓噺山名屋浦里』は笑福亭鶴瓶の落語をもとに、「この落語を歌舞伎にしたい」と熱望した勘九郎が七之助らとともに舞台化し、今回が5年ぶりの再上演となる。勘九郎は初演を振り返り、「ラストは大団円というより、美しさと幻想の中で終わるので、カーテンコールが起こる演目ではないが、実際にはカーテンコールが起こって、拍手も鳴りやまなかった。鶴瓶さんとタモリさんがいらっしゃっていて、おふたりも舞台にあがって一緒にご挨拶してくださった」としみじみ。昨年の中止については「あとは稽古に入るだけという段階だったので、とても残念でしたし、悔しい思いをした。去年の分も今年にかけている」と闘志を燃やしていた。七之助も「花魁浦里は女形の後輩に人気があって、終わった後、ここぞとばかりに『やりたい、やりたい』とみんな楽屋にやって来た」と初演での印象的なエピソードを回想。「女形は一生懸命汗水たらしても、途中で出なくなって幕切れもあるが、花魁浦里はとってもメインで、いろんな色を見せながら、最後まで残るので“得”なんですよね(笑)」とやりがいを熱弁していた。『越後獅子』は長唄にのせて、手おどり、足拍子、布さらしと、様々な踊りの表現を披露。舞台を締めくくる『宵赤坂俄廓景色』は、赤坂がかつて花街だった時代を想起させるような華やかな作品で、勘九郎の長男・勘太郎、次男・長三郎が初登場することも話題を集める。勘九郎は「父が遺してくれたものですし、僕としても出てほしい思いがある」といい、「大人になって、どれくらい覚えているかはわかりませんが、『出た』という記憶や劇場の空気を味わうのと、そうでないかは全然違いますから、ありがたいですね。堂々と踊ってほしい」と目を細めていた。劇場は大規模な改修工事に入ることが決定しており、その大きな節目の作品として「赤坂大歌舞伎」が華を添える形になる。加えて、コロナ禍での上演となるが、勘九郎は「まだ探り探りの状況が続くと思うが、お客様が満席になっている風景を子どもたちに伝えたいですね」と希望を示し、「以前の熱狂を味わえる日は来ると思うので、需要がある役者として、需要がある作品を積極的にやっていきたいです」と決意を新たにしていた。チケット発売は9月25日(土)より。取材・文:内田涼▼公演概要TBS開局70周年記念「赤坂大歌舞伎」日程:2021年11月11日(木)~11月26日(金)会場:TBS赤坂ACTシアター(東京都港区赤坂5-3-2 赤坂サカス内)一、『廓噺山名屋浦里』出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀原作:くまざわあかね脚本:小佐田定雄演出:今井豊茂美術:中嶋正留二、『越後獅子』長唄囃子連中出演:中村勘太郎『宵赤坂俄廓景色』長唄囃子連中出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村長三郎 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀
2021年09月24日中村勘九郎、中村七之助を中心に、中村屋一門が2005年より毎年行う全国巡業公演『錦秋特別公演』が10月より全国15カ所で開催される。昨年はコロナ禍によりやむなく中止。今年の巡業は中村勘太郎、中村長三郎が初めて参加した春公演に次いで2度目となる。「昨年伺えなかった土地に春と秋、2回に分けて伺えるのがうれしい」と勘九郎。七之助は「待っていてくださる方がいることがありがたい。春公演ではたくさんの拍手に、役者は居てもいいんだと思えた」と振り返る。それぞれ感謝の思いを胸に、合同取材会で秋公演への想いを語った。「中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演 2021」チケット情報演目は『浦島』『甦大宝春日龍神(よみがえるたいほうかすがりゅうじん)』『トークコーナー』の全3つ。昔ばなしの後日談を舞踊化した『浦島』は成長株の鶴松が勤める。勘九郎は「歌舞伎を初めて観る方にはストーリー性も分かりやすく曲調も華やか。二枚扇というお扇子を使って踊るテクニカルな踊りは目にも楽しい」と解説。生前、父である中村勘三郎(18代目)が勘九郎の浦島をひどく気に入っていたと言い「鶴松にもしっかり継承できれば」と語る。『甦大宝春日龍神』は春日大社「第六十次式年造替記念」として2014年に創作された奉納舞踊。前半は春日の野の四季折々の素晴らしさを芝居仕立てで踊り、後半は龍神、龍女が荒々しく舞い踊る。「神がかったものに触れることによって、神秘的な思いになっていただければ」と勘九郎。七之助も奉納当日に、龍神の存在を感じるような出来事があったと明かす。「水の神様なので当日は雨だろうと話していたら、踊っている間は降らなかったのに踊り終えた瞬間に土砂降りの雨が降ってきた。野外だったので、兄と二人で『願いが通じたね』と。そういう摩訶不思議な現象が起こったりする。今回はとくに世の中が平穏無事であることを強く思いながら踊りたい」。最後の「トークコーナー」はスーツ姿の2人が等身大の素顔を垣間見せる人気コーナー。2年ほど前から定番だった七之助への結婚に関する質問がパタリと止んだ。「お客様も諦めたのかな」と勘九郎。当の本人は、結婚願望はないと言うが「こればっかりは分からないですよね。理想? 考えたこともないですけど、芝居が好きってことかな。同じものを楽しめる人だったらいいなと思います」。芝居は「心の栄養」とは勘九郎。「辛い状況が続くなかで、歌舞伎という非現実の世界へ飛び込むことによって、少しでもお客様を癒すことができればうれしい。感染対策を徹底して安心安全にご覧いただくというのが私たちの想いです」。七之助も「舞台で得た感動を明日への希望につなげていただければ幸いですし、僕らがやる意味もそこにある」と決意を語った。公演は、10月5日(火)東京・品川きゅりあん大ホールを皮切りに、全国を巡演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2021年09月01日江戸時代の伝説の歌舞伎役者・初代 中村仲蔵の下克上物語を、忠臣蔵を軸にドラマ化した「忠臣蔵狂詩曲 No.5 中村仲蔵 出世階段」が今年12月に放送決定。主演は中村勘九郎が務め、上白石萌音、中村七之助、尾上松也、藤原竜也、段田安則、市村正親ら豪華キャストが共演する。落語や講談で人気の「中村仲蔵」は、初代 中村仲蔵(1736ー1790)が裸一貫からはい上がる実話をベースとした下克上物語。今回、その物語を国民的人気を誇る「忠臣蔵」を軸にドラマ化。大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」以来の映像作品主役となる勘九郎さんが、その傑出した身体表現力で天才俳優の一代記を演じる。また、もうひとつの主役ともいえるのが、江戸の芝居小屋。初代 中村勘三郎が興した中村座(猿若座)に始まるとされる芝居小屋は、江戸時代を通じて庶民最大の娯楽場となった。日の出から日没まで熱気に満ちていたという当時の芝居小屋を巨大セットで再現。小屋に生きる裏方や地方(歌舞伎音楽の演奏家)、稲荷町(いなりまち)と呼ばれた大部屋役者たちなど、芝居小屋を取り巻く人々も生き生きと描き、江戸歌舞伎の熱狂と魅力を伝えていく。超人気演目「仮名手本忠臣蔵」の五段目で、全く見せ場のない地味な役を割り当てられた仲蔵に一発大逆転はあるのか?厳しい階級制度で縛られた当時の歌舞伎界で、貧困やいじめに苦しみながらも、血の滲むような努力と才智でスターの座をつかんだ仲蔵の痛快な出世物語を、年末にエンターテインメント巨編として放送する。仲蔵の才能を見抜いて抜擢をする当時の大スター・四代目 市川團十郎、それを妬んで敵対する人気歌舞伎役者や座付き作者など、ひと癖もふた癖もある実在の江戸の演劇人たちを演じるのは現代の演劇界のオールスター。今回、勘九郎さんら5名のキャスト陣からコメントが到着した。中村勘九郎/初代 中村仲蔵 役「不思議な縁を感じます」中村仲蔵のことは父(十八代目中村勘三郎)が三代目仲蔵の伝記「手前味噌」に大変感銘を受け愛読していたので、よく聞いていました。仲蔵ゆかりの志賀山三番叟を踊ったこともあります。江戸時代、初代勘三郎が興した中村座に出演し、中村座を救った人でもあるので、その役を演じられることに不思議な縁を感じます。今回とても素晴らしい芝居小屋のセットに足を踏み入れ、思わず泣きました。持って帰りたい!仲蔵は差別を受け大変苦労した人ですが、芝居が好きという情熱に支えられていたと思います。「好き」こそ人を奮い立たせ、上達させ、信念を与えるものです。そんな情熱を感じていただけたら本望です。上白石萌音/仲蔵の妻・お岸 役「朗らかに務めたい」「令和元年版 怪談牡丹燈籠」以来、再び源(孝志)監督のもとでお芝居ができることが心底うれしいです。脚本はやはり本当に面白く、夢中で読んでしまいました。お岸は、こんな女房が家で待っていたら愉 しいだろうな、というような女性です。三味線と唄で仲蔵さんを癒やし、励まし、勇気づけられるよう、朗らかに務めたいと思います。これ以上ないほど豪華な出演者の皆様による「芝居」の真髄。もうすでに完成が待ち遠しいです。ぜひご期待ください。藤原竜也/謎の侍 役「もっと一緒に演っていたい」僕の撮影は2日間だけでしたが、内容の濃い2日間でした。勘九郎さんと空気を合わせて、芝居を作っていく感じがとても楽しかったです。「もっともっと一緒に演っていたいな」って思わせてくれるような人ですね。刀や傘のさばき方は非常に難しかったですが子供のころから厳しく作法を仕込まれている歌舞伎俳優さんから直接教えてもらえたのは貴重な経験でした。最初から最後まで楽しめる贅沢な作品になると思います。段田安則/狂言作者・金井三笑 役「演じがいがあります」勘九郎さんが仲蔵を演じられるのは、ピッタリだと思いますが、その仲蔵をいじめる狂言作者の役ということで演じがいがあります。今も昔も嫌味な演出家やプロデューサーはいて、大人の事情で配役が決まったりとかあったのでしょうね。みんな芝居が心底好きでそのためなら命がけというのも一緒でしょう。ヒエラルキーの厳しい世界で成り上がっていくサクセスストーリーですが、そうそう簡単に成功はさせませんよ。大きな障害として立ちはだかって仲蔵をいじめたいです。(笑)市村正親/四代目 市川團十郎(二代目 松本幸四郎)役「歌舞伎役者を演じられるのは役者人生のごほうび」歌舞伎は昔から演技の勉強のために拝見していました。勘三郎さん(十八代目)の芝居に感激してファンレターを送ったこともあります。今回歌舞伎役者を演じられるのは役者人生のごほうび。天国で勘三郎さんもびっくりしていることでしょう。歌舞伎は見るとやるとでは大違い!ミュージカルでも「歌いすぎるな、芝居しろ」と言いますが、歌舞伎独特の語調の心地よさを感じさせながら、ぐっと 芝居心を入れるのにはどうすればいいのか、悩みながら一生懸命演じています。ドラマ「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」は12月、NHK BSプレミアム・BS4Kにて前・後編放送(各89分)。(text:cinemacafe.net)
2021年07月20日2年ぶりの上演となる博多座恒例の『六月博多座大歌舞伎』。開幕を前に中村梅玉、中村時蔵、尾上菊之助が都内で合同取材会に臨んだ。今回は昼の部に『松廼羽衣』『与話情浮名横櫛』、夜の部に『傾城反魂香』、『身替座禅』を上演。14回目の『博多座大歌舞伎』出演となる梅玉は『与話情浮名横櫛』で和泉屋多左衛門を演じる。「先輩方をお手本に、大店の番頭らしい“大きさ”、全てを掌握している感じを出せればと思います。何と言っても菊之助くんの与三郎が演りやすい多左衛門になれば」と語る。一方、夜の部では『傾城反魂香』で又平を演じるが、「実直な人柄が出せれば。実直な自分に合っている(笑)」と話し、さらに梅枝演じるおとくとの夫婦関係について「親子ほども年齢が違うので梅枝くんはなかなか大変だと思うけど、こちらも“父親”に見えないようにせいぜい仲良く務めたいと思います」と笑顔。昼の部『松廼羽衣』で天女役を演じる時蔵は、「博多座の大道具さんと、いかに天に昇っていくように見せられるかを相談したい」と意気込む。夜の部の『身替座禅』について「六代目菊五郎と七代目三津五郎という、踊り上手な2人が作り上げた」と敬意を口にする。奥方・玉の井を演じるが「菊之助さんがよく承諾してくれたと感謝しております」とにっこり。玉の井は過去に團十郎や左団次といった「立役でもかなり勇猛」な役者が演じたこともあり、“怖い女”というイメージもあるが「原点はかわいい女。ただ、嫉妬で豹変するところはしっかりとやりたい」と語った。そして菊之助は「念願であった」という『身替座禅』右京役について「今回、時蔵兄さんが玉の井ということで、“怖い”ではなく“かわいい”奥さんであると。ただ、夫思いであるがゆえにそれが窮屈で浮気をしてしまう…。初演当時の原点を目指しつつ、父の指導を受けて務めたいと思います」と力強く語った。昼の『与話情浮名横櫛』では「しがねぇ恋の情けが仇」の名台詞で知られる与三郎を演じるが、こちらも「名台詞とともに、先人が残した型を大切にお届けしたいと思います」と締めくくった。昨年、コロナ禍で博多公演が叶わなかったこともあって、今回の上演に対しては3人とも並々ならぬ思いがあるよう。梅玉は「この状況下で舞台に立てることが本当に幸せ。満足して帰っていただけるいい舞台を一丸となって務めていきたいと思います」と思いを口にした。公演は6月5日(土)~19日(土)博多座で上演。チケットは発売中。
2021年05月17日皐月にふさわしく、時代物、世話物、舞踊と、薫風の吹きわたるような爽やかな演目が揃い、若手から花形、そして大看板まで俳優たちの顔ぶれも華やかな五月の歌舞伎座公演が5月12日、開幕する。第一部は『三人吉三巴白浪』と新古演劇十種の内『土蜘』。いずれも河竹黙阿弥作。奇しくも出会った吉三と名乗る三人の盗賊とその親たちが、百両の金と庚申丸という御家の重宝を軸にくり広げる物語。振り袖姿のお嬢吉三に浪人のお坊吉三、ふたりの争いに和尚吉三が割って入り、義兄弟の盃を交わすが、このことが因果の絡みに絡んだドラマへとつながっていく。三人が出会う「大川端」の場は、歌舞伎ならではの様式美がたっぷり。お嬢吉三の「月もおぼろに白魚の篝も霞む春の空」という台詞は歌舞伎の演目の中でも屈指の名台詞だ。お嬢に尾上右近、お坊に中村隼人、和尚に坂東巳之助というフレッシュな顔ぶれでの三人吉三だ。もう一本は松羽目ものの舞踊『土蜘』。病気療養中の源頼光を見舞う叡山の僧・智籌。実は土蜘の精。真っ白い蜘蛛の糸を投げつけ投げつけ四天王たちと大立廻りをくり広げる場面は迫力満点だ。叡山の僧智籌実は土蜘の精に尾上松緑、源頼光に市川猿之助。第二部は『仮名手本忠臣蔵』から浄瑠璃「道行旅路の花聟」と、六段目「与市兵衛内勘平腹切の場」。浄瑠璃「道行旅路の花聟」は通称「落人」とも呼ばれる清元の舞踊だ。塩冶判官の近習と、奥方の顔世御前の文使いにきた腰元のお軽は恋仲。だが逢い引き中に主の大事件となり、屋敷へ戻れなくなったふたりが、お軽の在所の山崎へと落ち延びる、その途中の道行を哀愁とともに華やかに描く。花四天を連れた鷺坂伴内と勘平との所作ダテも見どころたっぷり。早野勘平を中村錦之助、腰元お軽を中村梅枝、鷺坂伴内に中村萬太郎。もう一本は「勘平腹切」と呼ばれる忠臣蔵の六段目。浪人ものの遺体から五十両の入った縞の財布を手にした勘平。六段目はここから始まってしまったお軽と勘平、そしてその家族の悲劇を描く。お軽は勘平討ち入りの金を工面するため祇園へ売られることになり、若い夫婦は別れを惜しむ。そこへ舅・与市兵衛の遺体が運ばれ、義母からは舅殺しを疑われる。また仇討の一味にも加われず、絶望から切腹をする勘平。しかしその真相は……。「色にふけったばっかりに」という名台詞と共に、白塗りの頬に血で染まった手の痕を着ける場面が哀しく美しい。代々の菊五郎が洗練を重ねた音羽屋の勘平を尾上菊五郎が勤める。女房お軽を中村時蔵。第三部は『八陣守護城』と『新歌舞伎十八番の内春興鏡獅子』。『八陣守護城』は全十一段の義太夫狂言の八段目。小田春若(豊臣秀頼)の後見役である北畠春雄(徳川家康)は、春若の守り役の佐藤正清(加藤清正)を毒殺しようとしている。春若を病気に仕立て安土城へ戻し、代わって自ら勅使天盃の毒酒を受ける。血を吐きながら琵琶湖を御座船で帰る正清だったが……。船のへさきが客席へ巡り見得をする正清。そのスケールの大きさは正清の心根そのもののようで心揺さぶられる。佐藤正清は、休演の中村吉右衛門に代わって中村歌六が務める。もう一本は『鏡獅子』。千代田のお城のお広座敷で鏡開きの日、女小姓弥生が引き出されてきて、請われるままに踊り始める。祭壇の手獅子を手に取ると次第に獅子の精が弥生の体内に入り込んでしまう。愛らしい胡蝶の間狂言を挟み、後半では白い長い毛を垂らし、勇壮な隈取りの獅子の精が登場。巴、たすき、髪洗い、菖蒲たたきというさまざまな毛振を見せ豪快に踊る。小姓弥生、後に獅子の精に尾上菊之助。今月も座席は左右前後ひと席ずつ空いた千鳥型で、一部ふたり並びのブロックも用意されている。開演時間や終演時間が変更される場合もあるので確かめた上で劇場へ。文:五十川晶子公演情報歌舞伎座『五月大歌舞伎』演目【第一部】11:00開演一、『三人吉三巴白浪』二、『土蜘』【第二部】14:30開演『仮名手本忠臣蔵』【第三部】18:20開演一、『八陣守護城』二、『春興鏡獅子』2021年5月12日(水)~2021年5月28日(金)会場:東京・歌舞伎座
2021年05月12日女優の中村アンがブランドアンバサダーを務めるアンダーアーマーの新ムービー「THE ONLY WAY IS THROUGH 前へ -中村アン」が1日、公開された。今回の新ブランドムービーでは、現代の女性のNEW NORMALなライフスタイルシーンを等身大の姿で切り取り、スポーツやトレーニングを習慣化することで身体と心が強くなれるということを表現。不安定で目まぐるしく変化する現在の状況でも、逆境に負けずに進み続ける女性像を描いた。あわせて公開されたビジュアルでは、引き締まった美尻や背中が印象的なバックショットなど、中村がトレーニングに励む姿を披露している。
2021年04月01日女優の中村アンがブランドアンバサダーを務めるアンダーアーマーの新ムービー「THE ONLY WAY IS THROUGH 前へ -TRAINING 中村アン」が15日、公開された。今回のムービーでは、不安定で目まぐるしく変化する現在の状況でも体と心を強く持ち、逆境に負けず前に進み続ける女性を中村が表現。真剣な表情でトレーニングに打ち込み、鍛え抜かれた美ボディを披露した。「不安や悩み、葛藤があったとしても、トレーニングやスポーツのあるライフスタイルを通じて心は強くなり、自分と向き合うことでポジティブな気持ちが生まれる」そんなブランドメッセージを通じて、女性たちを勇気づけることを目的としたムービーに仕上がっている。
2021年02月15日2021年1月25日、歌舞伎役者の中村勘九郎さんと、息子である長男の勘太郎さん、次男の長三郎さんがトーク番組『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演しました。中村さん親子は、4年前にも同番組に3人で出演。2021年1月現在、9歳になった勘太郎さんと、7歳になった長三郎さんの成長ぶりに、MCを務めるタレントの黒柳徹子さんは頬を緩ませていました。歴史好きは隔世遺伝?中村勘太郎と亡き勘三郎の共通点2人の成長ぶりに触れながら、それぞれの好きなことについて黒柳さんが質問。すると、勘太郎さんは、「歴史が好きで、歴史博士になりたい」と回答しました。その後、勘太郎さんは黒柳さんに、オリジナルの武将クイズを出題。黒柳さんも答えが分からないほど難題なクイズを出題し、博識ぶりを見せつけたのです。父親の勘九郎さんによると、亡き十八代目中村勘三郎さんも歴史が大好きだったのだとか。(勘太郎さんは)本当に好きなんですよ、歴史が。これ、隔世遺伝で。うちの父が史学科出身で、歴史が大好きだったので。もし生きていたら彼と、とてもマニアックな話で盛り上がってるんだろうなと思いまして。徹子の部屋ーより引用中村勘太郎と長三郎、『BTS』にドハマり中また、勘太郎さんと長三郎さんは「歌とダンスも大好き」と話し、現在、韓国のアイドルグループ『BTS』に夢中になっていることを明かしました。勘太郎さんと長三郎さんは黒柳さんの前で、『BTS』の楽曲『Dynamite』の歌と踊りを披露。母親が歌うのを聞いて、英語の歌詞も完ぺきに覚えてしまったのだそうです。2人のなめらかな英語の発音と、勘太郎さんの完ぺきなダンスは視聴者を驚かせています。・何気なく見ていた『徹子の部屋』で勘太郎くんと長三郎くんの、英語の発音のよさにびっくり。・突然の『BTS』がかわいすぎて癒されましたー!さすが、歌もダンスも上手ですね。・勘九郎くん、長三郎くん、かわいすぎてもう胸がいっぱい!話し方から、所作から、本当に素敵だなあ。『BTS』の歌と踊りも、もっと見ていたかった。・勘太郎さんと長三郎さんの『BTS』が、インパクト強すぎて思わず目がくぎ付けになった!とっても上手!番組の最後に黒柳さんは、「今度は、勘太郎さんと長三郎さんの2人でいらしてね」とひと言。父親の勘九郎さんが「もう僕はいらないですか!?」と反応すると、「もうその頃には2人でお話しできるでしょうから」とスタジオを笑わせていました。これからの勘太郎さんと長三郎さんの成長ぶりが楽しみですね。[文・構成/grape編集部]
2021年01月25日中村憲剛の偉大さはイベント名を見ても理解できる。12月21日に行われた引退セレモニーの正式名称は『おフロの恋人! LOTTE presents 中村憲剛引退セレモニー&優勝報告会』である。勝点83、26勝、88得点、得失点差57、2位に勝点18差、最少敗戦3試合などなど、記録尽くめで史上最速優勝を果たした川崎フロンターレの優勝報告会の前に、引退セレモニーと謳われているのだ。名前だけではない。2時間半ほどのプログラムの中で、鬼木達監督や谷口彰悟主将のあいさつなど優勝報告セレモニーは15分ほど。時間配分も大半は引退セレモニーが占めた。福田紀彦川崎市市長より市民栄誉賞が授与された (C)J.LEAGUE等々力陸上競技場に1万3000人を集めるなどセレモニーは異例の規模で行われたが、決して華美ではなかった。中村がどれだけクラブ・川崎市に愛され、中村がどれほどクラブ・川崎市に愛されていたかわかるあたたかいイベントであった。式はホームタウン活動で親交が深かった中原消防署や中原警察署、河川協力団体のとどろき水辺の楽校、フロンターレ算数ドリルで関わった川崎市立有馬小学校の関係者が感謝の言葉を並べてスタート。キングカズこと三浦知良をはじめ、川島永嗣、ジュニーニョなど盟友・戦友たちもビデオメッセージを送った。福田紀彦川崎市市長から市民栄誉賞が授与され、36名ものクラブOBも登壇した。さらに本人も登場。チームメイトからのメッセージ、家族からの花束贈呈、スキマスイッチ常田真太郎、SHISHAMOからのあいさつ、川崎市の小学生からの手作りシャーレのプレゼントなど、涙あり、笑いあり、感動ありのラインナップとなった。中村憲剛引退セレモニーに1万3000人が集った (C)J.LEAGUEエース・小林悠は涙ながらに「苦楽をともにした憲剛さんと初めて優勝した時を超える感動はこの先も絶対にない。一緒に抱き合って喜び合えたことが本当にうれしかった。憲剛さんがいなかったら、今の僕は絶対にないと断言できます。僕にとって大きな存在でした」と感謝の念を表した。長男・龍剛くんは「中村憲剛選手の18年間のサッカー人生は出来すぎでした。悲しい時も悔しい時もともに乗り越えてきた家族として、ありがとうと伝えたいです。引退、おめでとう。そして、ありがとう」と12歳とは思えぬクオリティの手紙を披露した。中村は集まったゆかりのある人々、チームメイト、クラブ関係者、そしてファン・サポーターに感謝の言葉を並べた。「みんながありがとうと言ってくれたけど、ありがとうと言いたいのは僕の方。何でもない大学生を拾ってくれたフロンターレには感謝しかありません。僕はフロンターレで学んだ。それは地域密着、『川崎市のみなさんを笑顔に、元気にする』こと。自分がただサッカーをやっていればいいという発想の人間だったら、ここまでプレイヤーとして続けられなかったと思うし、フロンターレもここまで大きくなることはなかったと思っている。本当にそういった意味でフロンターレに拾ってもらって心からよかったと思っているし、この18年間、本当に感謝の気持ちしかない。頼もしい後輩たちにフロンターレは任せて、僕は先のステージに進みたい。今日の景色は一生忘れません。本当に感謝しています。フロンターレ、最高です」胴上げの回数はもちろん背番号にちなみ14回 (C)J.LEAGUE場内一周では神輿にものった (C)J.LEAGUEチームメイトたちによって背番号と同じ14回を2セット胴上げされた中村は場内を一周。ファン・サポーターとの別れを惜しんだ。セレモニーを終えた後、中村は記者会見に登場し、「もう何だろ。すごいことが起きたんだなと。感情が揺さぶられて、心地よい疲労感で気持ちよかった。一生忘れられない光景がまたひとつ増えました。本当に引退するんだなと」と率直な感想を語った。さらに「夢見心地。今もフワっとしている。本当に感謝しかない。本当に幸せ者だなと。入れてくれたのもそうだし、ここまで大きく育ててくれたのもそう。僕も還元していかないといけない」と続けた。泣いたことを指摘されると、「泣かない方がおかしい(笑)。感情を揺さぶられすぎて、わけがわからなくなかった。みんなの思いがありがたすぎて。基本泣き虫だから、案の定泣きました」と頬を緩めた。チームを代表してメッセージを送る小林悠(川崎フロンターレ) (C)J.LEAGUE小林からのメッセージについて質問されと、「いつ泣くかなと見ていたが、あいつにしか話せない話をしてくれたので、僕も感極まった。僕の方こそ感謝している。彼が優勝させてくれたんで」と言い、龍剛くんの手紙について問われると、「息子の文章力の高さにちょっと引いた(笑)。彼が息子であることを僕は誇りに思う。もちろん妻もふたりの娘もそう。4人がいなければ、僕はここまでがんばれなかった。心の底から感謝している」と振り返った。サッカーを志す子どもたちへメッセージも送った。「僕自身足が遅かったり、体が小さかったりと劣等感を持っていた。劣等感を武器に変えることで道が切り開けて、40歳までやれた。可能性に蓋をせずに、毎日毎日トレーニングしていけば誰でも必ず道は開ける。受け入れてくれる素晴らしいクラブが川崎にはあると伝えたかった」次なる夢の日本代表監督について、コメントを求められると、「過程を経て、タイミングが合って初めてなれるもの。そうなるには本当に勝たないといけないし、評価されないといけない。自分から目指しますなんて軽々しく口にできないが、目指すのは自由」と口にした。大いなる目標の前に、目の前に迫った目標がある。もうひとつのタイトル『天皇杯』である。次なる戦いに向けて、中村は「今日は感情を揺さぶられすぎたので、今日は切り替えられない。明日トレーニングがある。明日からしっかり切り替えていきたい。みんなとサッカーできるのもあと10日。まず準決勝に向けてしっかり準備をして全力で向かっていきたい。(国立での決勝については)正直そこまで考えていない。相手のあることなので、勝てる保証はどこにもない。準決勝、等々力でやるのは最後。そこで全力を尽くすことしか考えていない」とキッパリ。中村憲剛の勇姿が見られるのも最大あと2試合 (C)J.LEAGUE中村憲剛は、そして川崎フロンターレは12月27日(日)・等々力陸上競技場での『天皇杯』準決勝でブラウブリッツ秋田×福山シティFCの勝者と対峙し、1月1日(金・祝)・国立競技場での『天皇杯』決勝を目指す。準決勝のチケットは予定枚数終了、決勝のチケットは12月26日(土)午前10時より一般発売。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)チケット情報
2020年12月22日9月27 日(日)に浅草寺 五重塔 特設舞台にて、中村勘九郎 中村七之助歌舞伎生配信特別公演が開催されることが決定した。【チケット情報はこちら】中村勘九郎、中村七之助を中心に、中村勘太郎、中村長三郎、中村鶴松も加わり東京・浅草の浅草公会堂の舞台から歌舞伎を無観客ライブ配信する同公演。中村勘九郎、中村七之助による『連獅子』を浅草寺 五重塔 特設舞台にて披露する。チケットは9月11日(金)10時より発売。■中村勘九郎 中村七之助歌舞伎生配信特別公演9月27日(日)19 時 配信※見逃し配信10月4日(日)24時まで (期間内は何度でも視聴可)野外特設舞台のため、雨天の場合は中止いたします。当日9月27日(日)17 時に開催か中止かを決定いたします。中止の場合は、10月31日(土)19 時配信に、日程変更いたします。料金: 3,500 円(消費税込み)
2020年09月10日女優の中村アンが出演するアンダーアーマー新ブランドムービー「THE ONLY WAY IS THROUGH. 前へー中村アン」が、28日に公開された。今年4月からアンダーアーマーのブランドアンバサダーを務めている中村。2020年ブランドメッセージ「THE ONLY WAY IS THROUGH. 前へ」は目標達成のために努力を続ける人々の精神・宣言を表現し、“究極の美ボディ”を追い求め、キープし続ける姿を捉えた。今回の新ブランドムービーでは、中村がトレーニングに打ち込む姿勢と意志にフォーカス。常に変わり続ける環境下でも揺るがず、自分らしくありのままに進む中村の姿を通じて、「一歩が踏み出せない」という女性たちを勇気づけ、スポーツに対する壁が少しずつなくなっていくことを目指している。「トレーニングも仕事も人生全体的に挑戦し続ける。恐怖に勝って、前に進む姿勢はすごく共感できます」と語る中村。「ANNE’S STORY」ムービーでは、「フィットネスはちょっと怖い、できないかもみたいなのがあるじゃないですか」と問いかけ、「でも、その恐怖の“一歩前”に進むと景色が変わって、波に乗れる瞬間が来る。やっぱりその瞬間が楽しいし、その“恐怖に勝つ”ことはすべてのことに共通していると思います」と力強い言葉を残している。
2020年08月31日俳優・中村倫也の素顔にせまる「その素顔が知りたい。俳優・中村倫也」が5月14日(木)深夜に日本テレビでオンエア。中村さんの最新作『水曜日が消えた』の撮影現場に「zero」が密着、デビューからこれまでの日々と最新作の舞台裏などを紹介する。2005年に映画『七人の弔』で俳優デビューした中村さん。舞台初主演作となった「ヒストリーボーイズ」で第22回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。そのころを契機に大河ドラマ「軍師官兵衛」や『ピース オブ ケイク』、『3月のライオン』『孤狼の血』などで注目を集めるように。「ホリデイラブ」「崖っぷちホテル!」などを経て2019年1月クールの「初めて恋をした日に読む話」で演じた高校教師役、7月クールの「凪のお暇」で演じた自由すぎるイベントオーガナイザー役も好評で、この春クールの「美食探偵 明智五郎」では主演を務めるなど、いま最も熱い俳優の1人となった中村さん。今回は中村さんの映画最新作となる『水曜日が消えた』の撮影現場に「zero」が密着。2005年に俳優デビューしてから15年を経てブレークしたいま、中村さんが何を思い、何を感じているのか。またデビュー当時の赤裸々な思いなど、下積み時代の苦労なども語る。また『水曜日が消えた』で演じる、曜日ごとに入れ替わる7つの人格をもつ難役に挑む姿から、俳優・中村倫也の過去と現在に迫っていく。『水曜日が消えた』は、1人の人間の内側で曜日ごとに入れ替わって暮らしている7人の“僕”。ほかの“曜日”とは直接会うことはできず、日記を通してのみ間接的に互いを知っている。そのうちの最も地味でつまらない1人、通称“火曜日”の視点を通して描かれていく世界の物語――。同じ肉体のなかで7つの人格が入れ替わるという役柄の僕を中村さんが演じ、石橋菜津美、中島歩、休日課長、深川麻衣、きたろうらが脇をかためる。『水曜日が消えた』は近日公開。「その素顔が知りたい。俳優・中村倫也」が5月14日(木)深夜25時29分~日本テレビで放送。(笠緒)■関連作品:水曜日が消えた 近日公開©2020『水曜日が消えた』製作委員会
2020年05月14日4月スタートの中村倫也主演、東村アキコ原作ドラマ「美食探偵 明智五郎」に、小芝風花の出演が決定。中村さんと初共演を果たす。本作は、中村さん演じる探偵・明智五郎が類まれなグルメの知識を使って、殺人事件を解決しながら殺人鬼へと変貌する主婦と対決する“恋する毒殺サスペンス”。『魔女の宅急便』や『ガールズ・ステップ』の小芝さんが演じるのは、美食家・明智がこよなく愛する移動弁当屋「いちご・デリ」の店主・小林苺。いつも探偵に助手として駆り出されてしまう、明智の相棒だ。確かな味覚と料理の腕を持っており、それが事件解決の鍵になることも。今回、日本テレビドラマ初出演となる小芝さん。演じる苺役について「すごく喜怒哀楽がはっきりしている元気な女の子です。料理の腕も良くて、中村さん演じる明智五郎さんの探偵事務所の前で“いちご・デリ”という移動販売のワゴン車でお弁当を販売しています。明智さんが常連客なのですが、色々振り回されながら、明智さんの助手を頑張っています」と説明。また、デリカーを自ら運転し、弁当を販売する苺を演じるため、普通自動車運転免許を取得。「中村さんを横に乗せて運転するかもしれないと思って、必死に勉強して一発で合格!昨年末は免許取得に捧げました(笑)」と明かしている。そして今回中村さんとは初共演だそうで「すごく優しい方です。本読みで初めて顔を合わせた時から、優しく声を掛けて下さって。チャーミングな方で、カメラが回っている時もそうではないときも、ずっと笑わせて頂いています。だから、すごく楽しく和やかな現場です」と中村さんの印象や撮影現場での様子を報告。「この作品を見てくださった皆様に面白さと、ゾッとする恐怖と、続きが気になる!というワクワク感をお届けできるように頑張りますので是非、楽しみにしていてください」と意気込みも語っている。第1話ストーリー江戸川探偵事務所。ここで探偵業を営む明智五郎(中村倫也)は、三度の食に命をかける美食家にして変わり者の探偵。キッチンカーで移動弁当屋を営む小林苺(小芝風花)は、明智に料理の腕を買われたがために、明智の周りで次々と起こる厄介な事件に巻き込まれることに…。あるとき、明智の元へ夫の浮気に悩む主婦が依頼に訪れるが、明智はランチタイムを犠牲にして浮気調査をすることに気が進まない様子。浮気された主婦の気持ちに感情移入した苺は、尾行中の明智に弁当を届ける約束をしてしまう。明智は、主婦の夫が若い女性の家で毎日1時間、濃厚なランチタイムを過ごしていることを突き止めるものの、事態は思わぬ殺人事件に発展し――。「美食探偵 明智五郎」は4月期日本テレビ日曜ドラマにて放送予定。(cinemacafe.net)
2020年01月30日京都の冬を彩る年中行事『吉例顔見世興行』が、本日11月30日に開幕。南座新開場一周年記念にふさわしい豪華な顔ぶれが出演する。昼の部は『信州川中島合戦』から『輝虎配膳(てるとらはいぜん)』、『戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)』、『祇園祭礼信仰記』から『金閣寺』、『仮名手本忠臣蔵』から『祇園一力茶屋の場』、夜の部は『堀川波の鼓』、『釣女』、『魚屋宗五郎』、『越後獅子』。昼夜いずれも4演目で名作揃い、義太夫狂言から舞踊まで、さまざまなジャンルの作品が楽しめる。昼の部の『輝虎配膳』は近松門左衛門作の時代物で、長尾輝虎(後の上杉謙信)に片岡愛之助、敵方武田に恩のある軍師・山本勘助の母・越路に愛之助の養父である片岡秀太郎。秀太郎は7月に“歌舞伎脇役”として重要無形文化財(人間国宝)の認定を受けた。顔見世出演は通算70回を迎える。『戻駕色相肩』は、常磐津の名作舞踊。今回は、中村梅玉の養子となった中村梅丸改め中村莟玉の披露を兼ねる。梅玉が浪花の次郎作(実は石川五右衛門)、中村時蔵が吾妻の与四郎(実は真柴久吉)、梅丸改め莟玉は禿(かむろ)に。『金閣寺』は松永大膳が中村鴈治郎、此下東吉(後に真柴久吉)は中村扇雀、雪姫を中村壱太郎、慶寿院尼に坂田藤十郎という配役。鴈治郎・扇雀は藤十郎の息子、壱太郎は鴈治郎の息子であり、親子孫三代総出演だ。初役となる壱太郎の雪姫に期待したい。『仮名手本忠臣蔵』七段目となる『祇園一力茶屋の場』。年の瀬に忠臣蔵、それも京都祇園の場面を南座で見るのは格別だ。片岡仁左衛門の大星由良之助、片岡孝太郎のお軽、片岡千之助の大星力弥で、こちらも親子孫三世代共演となる。夜の部最初の作品は、三大人妻不義物のひとつとされる近松門左衛門の『堀川波の鼓』。最愛の妻の一夜の過ちに、夫はどう始末をつけるのか。彦九郎を仁左衛門、妻お種を時蔵、宮地源右衛門を梅玉が演じる。続く『釣女』は狂言を基にした松羽目物で、ユーモアあふれる舞踊劇。愛之助の太郎冠者、鴈治郎の醜女、中村隼人の大名某、梅丸改め莟玉の上臈。『魚屋宗五郎』は河竹黙阿弥作で、江戸の下町風情漂う世話物だ。魚屋宗五郎を中村芝翫、女房おはまを中村雀右衛門が勤める。宗五郎が酔っ払う様子や周囲の慌てぶりが見どころ。最後は『越後獅子』。角兵衛獅子を隼人、橋之助、千之助、梅丸改め莟玉の若手4人で、年の瀬を賑やかに打ち出す。『當る子歳 吉例顔見世興行』〈東西合同大歌舞伎 南座新開場一周年記念〉は、南座で12月26日(木)まで。文:仲野マリ
2019年11月30日歌舞伎座の11月公演『吉例顔見世大歌舞伎』が、本日11月1日から25日(月)まで開催される。昼の部は『研辰の討たれ(とぎたつのうたれ)』『関三奴(せきさんやっこ)』『梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)』の3本。『研辰の討たれ』の舞台設定は江戸時代だが、作られたのは大正時代。江戸時代には最高の美徳とされていた敵討ちを、20世紀の感覚で問い直す異色作となっている。主人公・守山辰次(松本幸四郎)は仲間のことを告げ口したり「死にたくない」と逃げ回るような卑怯で鼻持ちならない男なのだが、人間的でどこか憎めない。コミカルな場面も多く、敵仇討ちロードムービーのようにしても楽しめる。『関三奴』は纏を操るふたりの奴(中村芝翫、尾上松緑)のダイナミックな舞踊。通称『髪結新三(かみゆいしんざ)』として知られる『梅雨小袖昔八丈』は河竹黙阿弥の名作で、小悪党・新三(尾上菊五郎)の切れ味鋭い啖呵がみどころだが、そんな威勢のよい新三なのに、一方で長屋の家主(市川左團次)の老獪さには丸め込まれてしまう市井の力関係も面白い。夜の部は『鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)』から『菊畑』『連獅子』『市松小僧の女(いちまつこぞうのおんな)』。『菊畑』は、一般家庭出身の中村梅丸が中村梅玉の芸養子となり初代中村莟玉(かんぎょく)を襲名する披露狂言となっている。源氏再興を目論む吉岡鬼三太(梅玉)が智恵内と名乗って奴に身をやつし、鬼一法眼(芝翫)の屋敷に潜入。同じく奴虎蔵となった牛若丸(梅丸改め莟玉)と共に、鬼一が秘蔵する兵法書「六韜三略」を手に入れようと画策する。主要な人物がそれぞれ「実は」「実は」の二重構造を持ち合わせる設定の中、美しく菊が咲き揃う中で互いの本心を探り合う緊迫の一幕。敵の虎蔵を愛してしまった鬼一法眼の娘・皆鶴姫(中村魁春)の嘆きが痛々しい。『連獅子』は勇壮な毛振りで有名。親獅子を松本幸四郎、仔獅子を市川染五郎と、実際の父子で演じる。中村時蔵、中村鴈治郎らによる『市松小僧の女』は時代小説の大家・池波正太郎の作で、42年ぶりの上演となる。文:仲野マリ
2019年11月01日本日10月2日に東京・歌舞伎座で初日を迎える『芸術祭十月大歌舞伎』は、昼の部が『廓三番叟(くるわさんばそう)』『御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)』『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』『江戸育お祭佐七(えどそだちおまつりさしち)』の4本立て。夜の部は、通し狂言『三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)』に加え、歌舞伎舞踊『二人静』が上演される。歌舞伎座の十月公演は毎年文化庁芸術祭に参加しているが、令和最初となる今回の昼の部で注目したいのは、久しぶりの上演となる『江戸育お祭佐七』だ。神田祭の祭礼を背景に、いなせな鳶・佐七(尾上菊五郎)と小粋な芸者・小糸(中村時蔵)が織りなす恋模様。キップのよい江戸っ子をやらせたら右に出る者のいない菊五郎と、その一門のアンサンブルを楽しめる。『蜘蛛絲梓弦』は、ひとりの俳優の早替りが楽しめる変化舞踊。今回は片岡愛之助が小姓・太鼓持・座頭・傾城・蜘蛛の精の5役を演じ分ける。クライマックスでは千筋の糸を繰り出しての迫力ある立廻りが豪快かつ美しい。『廓三番叟』は、天下泰平や五穀豊穣を祈念する厳かな『三番叟』の変形バージョンのひとつで、遊郭の吉原の座敷を舞台に傾城、新造、太鼓持が踊る趣向だ。一方『御摂勧進帳』は別名“芋洗い勧進帳”とも言われる大らかな荒事。弁慶が番卒の首を豪快に斬りまくって天水桶に投げ込み、金剛杖で芋を洗うような動きを見せる。ひとつひとつは短いがさまざまなジャンルの4作品が見られるので、昼の部は歌舞伎初観劇の人にもうってつけだ。対する夜の部は、通し狂言『三人吉三巴白浪』。3人の泥棒が出会う〈大川端庚申塚の場〉から、大詰〈本郷火の見櫓の場〉まで長編の物語をじっくり堪能できる。和尚吉三が尾上松緑、お坊吉三が片岡愛之助、お嬢吉三は尾上松也と中村梅枝のWキャストという若い顔合わせ。偶数日出演の松也と奇数日出演の梅枝がそれぞれどんなお嬢吉三を演じるか、比べてみたくなる。『二人静』は同名の能を題材とした舞踊で、吉野の神社で神事に仕える若い娘(中村児太郎)に静御前の霊(坂東玉三郎)が乗り移り、現し世と常世が交わってふたりの静御前が寄り添って舞を舞う作品。能に造詣が深く、これまでも能を題材の舞台をいくつも手がけてきた玉三郎が繰り広げる幻想的な世界を楽しみたい。文:仲野マリ
2019年10月02日NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』に出演している中村勘九郎が来阪。弟・中村七之助とふたりが中心となり、中村屋一門で行う毎年恒例の全国巡業公演「錦秋特別公演2019」の会見に臨んだ。今回、関西では堺、京都、神戸で上演、全国14か所を巡演する。歌舞伎を観る機会の少ない地方に「自分たちが全国各地に足を運び、たくさんの方に歌舞伎を観てもらおう」とスタート、15周年を迎えた今年で47都道府県制覇となった。「中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演 2019」チケット情報今回のプログラムは『芸談』から始まり3演目を上演。幕開きは、勘九郎と七之助がスーツ姿で登場し、素顔で語る人気のトークショー『芸談』だ。観客の質問コーナーもあり、芸談からプライベートな話まで楽しく盛り上がる。「初めて歌舞伎をご覧になる方の緊張を少しでも和らげ、リラックスした状態で後の演目をご覧いただきたい」。そして、まずは中村屋の門弟一同でにぎやかに踊る『艶紅曙接拙 紅翫(いろもみじつぎきのふつつか べにかん)』を上演。「江戸の風物詩を織り込み、物売りもたくさん出て来て、さまざまな役が登場する、ビジュアルで楽しんでいただける演目です」。次に『三ツ面子守(みつめんこもり)』。背負った子供をあやすため、子守の娘がおかめ・えびす・ひょっとこの3つのお面を素早くかけ替えて軽妙に踊る。「歌舞伎を代表する舞踊のひとつで、子守の役として踊り分けをするというテクニック的にも難しい踊りです」。この公演でおなじみの中村鶴松が修行を重ね、「うまくなってきました。大抜擢で踊ってもらいます」。最後は、羽衣伝説をもとにした『松廼羽衣(まつのはごろも)』。松の枝にかけられた天女(七之助)の羽衣を取った漁師の伯竜(勘九郎)が、羽衣を返す代わりに舞を所望し、天女は優美に舞いながら天へと帰って行く。「ファンタジーにあふれたお話を、常磐津でしっとり踊ります。常磐津舞踊の中でも本興行でかかることが少ない演目。この公演ではそういうものも大事にしていきたいと、チョイスしました。七之助とふたりでしっかり踊るのは約1年半ぶりなので、楽しみです」。錦秋特別公演をきっかけに、歌舞伎に興味を持ち、南座や大阪松竹座へ足を運ぶようになった人も増えている。「続けてきてよかった」と言いつつも「どの劇場でも、初めて生で歌舞伎を観る方が7割ぐらいいらっしゃるので、まだまだだな、と。今年、15周年を迎えましたけれど、やはり初心を忘れずにやってくことが一番ですね。マラソンランナーの役をやっていたので持久力がつき、体力的には結構上がったんじゃないかな。番組をきっかけに来てくださるお客様も多いと思いますので、いい意味で期待を裏切りたいと思っています」。公演は10月18日(金)大阪・フェニーチェ堺 大ホール、10月19日(土)京都・ロームシアター京都 メインホール、10月20日(日)兵庫・神戸国際会館 こくさいホールにて上演。その他、全国を巡演。取材・文:高橋晴代
2019年09月12日昭和50年から、多くの古典芸能ファンに親しまれてきた「第46回NHK古典芸能鑑賞会」が、今年も東京・渋谷のNHKホールで開催される。日本の伝統芸能の各ジャンルを代表する方々の出演で、一夜限りの贅沢な舞台が繰り広げられる。【チケット情報はこちら】幕開きは箏曲で宮城道雄作曲の「越天楽変奏曲」。昭和3年、昭和天皇即位の大典の奉祝曲として作られた大合奏曲だ。雅楽の「越天楽」を主題にしており、令和に改まった年に相ふさわしい作品を、牧瀨裕理子ほか宮城合奏団の演奏で堪能できる。続いて、舞踊・清元「四季三葉草」。「式三番叟」を「四季三葉草」ともじった題名にし、四季の草花を詞章に詠み込んだ曲で、歌詞は「とうとうたらり」や「おおさえおおさえ」など、「三番叟」の定型句に、さまざまな草花をあしらい、洒落のきいたものだが、舞踊としては、ほかの「三番叟物」同様、品格を保った御祝儀的色彩の濃い作品となっている。今回は、芸術院会員の花柳壽應の翁、花柳壽輔の三番叟、花柳ツルの千歳という配役にて、素踊りで演じられる。次は、大蔵流の狂言「髭櫓」。新天皇が即位した際に行われる大嘗会にまつわる、夫婦の喜劇だ。立派な髭ゆえに大嘗会の犀の鉾の役を任された夫だが、妻と夫婦喧嘩となり、怒った妻は近所の女たちに加勢を頼み、夫の髭を剃ってしまおうと計画する。人間国宝の山本東次郎演じる夫を中心に、おおらかな笑いが繰り広げられる。そして最後は、文楽座特別出演による歌舞伎「義経千本桜・川連法眼館の場」で締めくくる。狐が親を思う情愛を描いた名作「川連法眼館の場」は、人形浄瑠璃文楽を先行作品として歌舞伎で繰り返し上演されているが、今回は一夜限りの豪華な舞台として、歌舞伎俳優と文楽座の共演が行われるのが、大きな話題だ。次々と大役を勤め、芸域を広げる尾上菊之助の忠信、立役・女方ともに芸を極める中村時蔵の義経に、文楽太夫の最高峰、豊竹咲太夫の浄瑠璃、華麗な撥さばきをみせる鶴澤燕三の三味線という配役が見どころだ。取材・文:七海友信
2019年08月20日