舞台『人形の家 Part2』が8月9日より紀伊國屋サザンシアターで開幕した。米劇作家ルーカス・ナスが、ノルウェーの作家ヘンリク・イプセンによる名作『人形の家』を、その15年後を“続編”という形で描いた話題作。日本初演版では、栗山民也が演出を務め、永作博美、山崎一、那須凛、梅沢昌代が出演する。【そのほかの画像はこちら】15年ぶりに突然帰ってきた女流作家のノラ(永作博美)は、乳母(梅沢昌代)と再会する。夫のトルヴァル(山崎一)は仕事で留守中。乳母は死んだと思っていたノラの帰還を喜び、トルヴァルとの和解を勧めるが、ノラは断る。ノラが帰ってきた理由は別にあった。そこに、トラヴァルが帰ってきて、ノラと予期せぬ再会をして……という物語。本作は、2017年4月にブロードウェイで初演され、同年のトニー賞8部門にノミネートされた。4人芝居ではあるが、2人芝居が連続した形で進行するという斬新な物語構成で、特に永作が演じるノラは舞台上に出突っ張りだ。初日前に取材に応じた永作は「本当に難しいお芝居。難解さも含めて、とにかく素直に、みなさんにしっかり伝われば。人間と人間のぶつかりあいを楽しんでもらえればと思います」とコメントした。とにかくセリフの量が膨大な芝居だ。乳母役で出演する梅沢は「演じる側にとって、とても集中力が必要で、しんどい芝居。受験生のように、稽古場に早く来て、居残って、それぞれの予習復習をやり続けてまいりました。私も50年近くお芝居やってきましたが、1番頭を使っているような気がします」と苦労を明かす。永作も「何度も嫌になりましたけど、やらないと終わらないから、みんなのためにも、自分のためにも頑張りました。今は掛け合いが楽しいです」と語っていた。本作の見どころについて、永作は「本当に新しい演劇をしているなという印象があります。ぜひこの新しい思い、底に眠っているような感情を見にきていただけたらなと思います。損はしないと思います」と話し、梅沢は「恋愛観や結婚観、社会観などそれぞれに焦点を当ててご覧いただくと面白い」とコメント。ノラの夫・トラヴァル役の山崎は「人と人との対話が少なくなってきた今だからこそ、家族やご夫婦などで観にきていただくとすごく面白いと思う。ひとりでもいいけれど、見終わったあと、必ず会話が生まれると思うから」。ノラの娘・エミー役の那須は「15年間会ったことのない母と娘がどういうやり取りをするか、想像しながらみていただけたら、うれしいです。頑張ります」と話していた。東京公演は9月1日(金)まで。そのほか、北九州、富山、京都、宮崎、豊橋、仙台公演あり。チケット発売中。取材・文・写真:五月女菜穂
2019年08月09日エロティックコメディミュージカル『50Shades!(フィフティシェイズ!)~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』(演出:河原雅彦)が2019年11月から12月にかけて、東京、大阪、福岡の3都市で再演される。2016年に上演された日本初演版に引き続き、主人公のクリスチャン・グレイ役を演じる浜中文一と、今回が初のミュージカル出演で、ヒロインのアナ役を演じる水崎綾女に、舞台への意気込みを聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、全世界で1億冊が売れた大ベストセラー官能小説「50Shades of Grey」のパロディ作品。若く有能だが心から人を愛せないサディストの青年実業家・グレイと、純真無垢な大学生・アナとの歪んだ愛の形を刺激的かつユーモアたっぷりの性描写で描く。再演について、浜中は「早く再演したいなと思っていたので、すごくうれしいです。キャストが全員集まらないのではないかと思っていたけど、みなさん出て下さってよかった。(自分以外は)新キャストでどういう感じになっていくのか、今から楽しみです」と素直に語る。初演時には演出の河原が「文ちゃん以外にこの役をやれる人がいるのかなと思うくらい。森光子さんの『放浪記』くらい文ちゃんが何回もやればいいのに」と褒めていたが、浜中は「そういう風に言ってもらえる役があるのはうれしいですね。でも、この役がはまっているのがいいことなのか、分からないですけど」と笑う。そして、「稽古場では河原さんからいろいろと“お題”が出されます。無茶振りに対応して頑張っていきたいと思います」と話した。今回が初参加となる水崎は「楽曲も良くて、面白い作品だったので、すぐにやりたいと思いました。再演なので、プレッシャーはありますが、楽しみです」と話す。“エロティックコメディ”で過激なシーンも多い舞台ゆえ「河原さんや浜中さんに“(出演して)本当に大丈夫?”と聞かれる」というが、「楽しみの方が勝っています」。そして、「初めてのミュージカルなので、しっかり歌が届けられたら。浜中さんのファンの方もたくさん見にこられると思うので、私が演じるアナに、ご自身を投影していていただいて、浜中さんにいろいろされている姿を想像してもらえるいい機会かなと思っています。ぜひ見に来てください」と意気込んでいた。東京公演は11月15日(金)から24日(日)、新宿FACE。大阪公演は11月29日(金)~12月1日(日)、Zepp Namba。福岡公演は12月3日(火)・4日(水)、ももちパレス。出演者は、浜中文一、水崎綾女、シルビア・グラブ、野口かおる、青木さやか、福田転球、レディビアード、カイル・カードほか。取材・文:五月女菜穂
2019年08月07日白洲迅、加藤諒、木戸邑弥、川原一馬、永田崇人など映像や舞台で活躍中の若手俳優が多く所属する、キューブ若手俳優のサポーターズクラブ「C.I.A.(Cube Infinity Artists)」が令和最初のイベントとして8月26日(月)と27日(火)に“運動会”を開催する。イベントに参加する金井成大(29)、阿久津仁愛(18)、林勇輝(24)の3人に活動の意気込みや、運動会の思い出を聞いた。【チケット情報はこちら】『MISSION IN SUMMER 2019~令和もよろしくC.I.A的?夏の運動会~』と題した今回のイベントでは、C.I.A.のメンバーがチーム対抗戦で運動競技をする。また、C.I.A.の新曲『ドドドどんまい!』(8月26日(月・リリース予定)のお披露目も予定されており、熱いステージになりそうだ。詳細は当日のお楽しみということなので、イベントでどんな種目をやってみたいかを問うと、金井は「パン食い競争をやってみたい。盛り上がりそうだから」と答え、阿久津は「“台風の目”(4~5人を1組として、全員が長い棒を持って走る競技で、コースの途中にあるコーンを1回転しながら走るルールがある)をして、帰ってきたチームから、1アイテムずつコスプレをする競技。中学校の時に実際にやった競技ですが、面白いんですよ」と提案してくれた。また、学生時代の運動会の思い出を聞くと、林は「高校生のころ、すごく目立ちたがり屋で、個人種目の走り高跳びをやっていました。陸上競技大会で1位になれると思っていたんですが、スーパールーキーの1年生に負けて、2位でした…」とほろ苦い過去を明かした。2017年12月に発足したばかりのC.I.A.は、今回の“運動会”のようなイベントやライブなどを開催し、ファンとの交流を積極的に行っている。こうした活動について、阿久津は「僕たちも探り探りな面もあるけれど、フォトタイムやハイタッチなどでお客様と直接絡める機会があるので、うれしい。より身近な存在になれたらと思います」と話し、金井は「一見何をやっているのかよく分からない“攻め”の企画でも、ファンの皆様は前のめりになって楽しんでくださる。僕たちも楽しい。一緒に企画を盛り上げていけたら」。そして、林は「イベントやライブに足を運んでくださるのがまずありがたい。いつも応援してくれるファンの皆様と楽しい時間を共有させていただくのが何よりも幸せなことだと思います」と語った。昨年と同様、今年も年末にC.I.Aによる「SUPER LIVE」の開催が決定している。見どころについて、金井は「去年よりパワーアップしたものをやりたい。個人的にはもう5ネタぐらい仕込んでいます(笑)」と早くもやる気十分だった。『MISSION IN SUMMER 2019~令和もよろしくC.I.A的?夏の運動会~』のチケットはチケットぴあにて現在、先行抽選プレリザーブを実施中。取材・文:五月女菜穂
2019年07月09日朗読劇『いつもポケットにショパン』が6月11日より新国立劇場小劇場で始まった。1980~1981年に「別冊マーガレット」(集英社)で連載された、くらもちふさこによるコミックが原作で、ピアノの生演奏を交えながら、日替わりキャストによる朗読劇として上演する。【チケット情報はこちら】本作は、ピアニストを目指す主人公・須江麻子と、彼女の幼馴染である緒方季晋のすれ違いと交流を軸に、ふたりの両親の問題や交友関係などを複雑に絡ませながら、甘酸っぱい青春模様やふたりが成長していく様子を丁寧に描いている。連載から40年近く経った今でも強く人々の心に残り、2018年にNHK連続テレビ小説『半分、青い。』に劇中マンガとして登場して、反響を呼んだ。そんな本作が、今回、男女ふたりの朗読劇として蘇った。アニメ『けいおん!!』などのヒット作を手掛けてきた吉田玲子が脚本を担当し、ファンタジックな世界観を描くことが得意な映画監督・酒井麻衣が演出を担当。キャストは日替わりで、愛原実花×下野紘、北原里英×藤田富、三戸なつめ×小早川俊輔、工藤遥×北川尚弥、内田真礼×小南光司の計5組が演じる。本記事では、初日の愛原と下野による上演をレポート。舞台上には1台のピアノ、そのほかいくつかの箱が置かれ、左右の天井からは淡い色の布が垂れ下がる。透け感のある黄色いワンピースを着た愛原と、茶色のジャケットを着た下野が、大きなボールを投げ合い、子どものように戯れるというやや抽象的なシーンから始まる。そして、ふたりは本を手にし、麻子と季晋の物語を情感たっぷりに語っていく。それぞれの配役のほかに、麻子の母である須江愛子や、麻子の指導教官である松苗先生などの登場人物もふたりが朗読するのだが、その役幅の広さには驚かされた。本作の見どころのひとつは、ピアノが生で演奏されること。生演奏ならではの迫力ももちろん感じられたが、幾何学的なイメージ映像や照明の変化も相まって、より世界観が広がる演出となっていた。単なる朗読劇というカテゴリーを超えて、ぜひショパンの美しい旋律に酔いしれてほしい。公式パンフレットで、脚本の吉田は「5組10名の役者の方々の声と個性と解釈の違いもまた、作品に豊かな彩りを加えてくれるのではないでしょうか。愛も幸せも忘れていた思い出もポケットの隅っこに隠れているかもしれません。ぜひ、この朗読劇を通して、探してみてください」。演出の酒井は「世代を渡って語り継がれる名作を、今、この瞬間に皆様にお届けできる事を光栄に思います」とコメントしている。上演時間はおよそ1時間40分(休憩なし)。公演は6月16日(日)まで。チケット発売中。文・写真:五月女菜穂
2019年06月13日松下優也と平間壮一がW主演する舞台『黒白珠』が6月7日、Bunkamuraシアターコクーンで開幕した。青木豪が書き下ろした新作で、河原雅彦が演出を担当する。1990年代の長崎を舞台に、双子の兄弟とその家族の憎愛を描いた人間ドラマ。開幕前には出演者らが会見取材に応じ、心境を語った。【チケット情報はこちら】主人公の双子の兄弟を演じる松下と平間。松下は「緊張しきれていない感じ。僕らが稽古場でやってきたことを、どうお客様が感じてくれるかのか。1番楽しみです」と話し、平間は「いろいろありまして、ここまで来て、やっと初日を開けられるようになって、よかったと思います」。ふたりは、河原が演出した『THE ALUCARD SHOW』(2014年)以来の共演となる。松下は「すごく仲のいい、本当に仲間というか友達みたいな感覚でやれる。双子の役なのに見た目は似ていないのですが(笑)、稽古場で芝居のことをいっぱい話しました」と充実した稽古期間を振り返り、平間も「特に双子だからこうしなくては…という気負いはなく、自然とやっていました」と語った。ともに1990年生まれで、どちらかというとミュージカルで歌って踊るイメージも強いふたりだが、今回は河原の演出のもと、ストレートプレイへの挑戦となる。松下は「お芝居、楽しいです。踊ったり歌ったりはしませんが、結構動く役柄なので、ダンスをやっていてちょっとだけ良かったかな(笑)」と述べる一方、平間は「あんまり苦手意識はないのですが、芝居だけを一生懸命やらなくてはという思いで稽古場に入りました。これだけのベテランの方々と一緒にやらせていただけるので、安心感はありました。下手なら下手で全力でやって、あとは先輩たちに助けてもらおうという気持ちになりました」と話した。それに対して、双子の父親役を演じる風間杜夫と母親役の高橋惠子は「ふたりは役について、いつも語り合っていて、熱心だった」と振り返り、同じく共演する村井國夫も「本当にふたりはね、よくやっています。感心するぐらい。とても素敵なふたりだと思います」と褒めていた。東京公演は23日(日)まで。兵庫公演は6月28日(金)から30日(日)まで、兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、愛知公演は7月6日(土)・7日(日)刈谷市総合文化センター 大ホール、長崎公演は7月10日(水)長崎ブリックホール 大ホール、久留米公演は7月13日(土)・14日(日)久留米シティプラザ ザ・グランドホールにて。各公演ともチケット発売中。文・写真:五月女菜穂
2019年06月12日六月花形新派公演『夜の蝶』が6月6日より三越劇場で開幕した。昭和30年代、銀座で人気を二分していた実在のクラブのマダムをモデルに描いた本作。新派の女方・河合雪之丞に対し、現代演劇の女方である篠井英介が新派に初参加して、華やかな世界の裏にある意地の張り合いを舞台上で繰り広げる。出演する雪之丞と篠井に公演の見どころや意気込みを聞いた。【チケット情報はこちら】原作は1957年に発表された川口松太郎の小説で、同年7月映画化。同年10月には花柳章太郎と初代水谷八重子により舞台化され、さらに坂東玉三郎と当代水谷八重子によって再演された。今回の公演では、銀座随一の高級クラブ“リスボン”のマダムである葉子を雪之丞が、京都で舞妓あがりのお菊を篠井がそれぞれ演じ、ふたりの女方対決が見どころとなっている。雪之丞は「せっかく女方同士でやるのだから、女同士のバトルをしっかりご覧いただきたい。これまでの『夜の蝶』とは少しニュアンスが違う作品に仕上がったと思う」と話す。一方の篠井は、今回が新派初参加。「100年以上の歴史があり、日本の郷愁を誘う芝居を作り続けてきた新派。若い頃から憧れを持って観てきたので、本公演に呼ばれた時は、ちょっと怖かった。歴史と格式ある劇団に飛び込むというのはなかなか勇気のいることなので」と思いを語りつつ、「雪之丞さんや(喜多村)緑郎さんとご一緒なら助けてもらえるかなと甘えた気持ちがあった」とも。本作の見どころについては「女の戦いといっても殴り合うわけではなく、独特の皮肉や嫌味から火花が見えるところが面白い。ネタバレになるので詳しくは言えないが、映画とはまた違う、素敵なエンディングを迎える」と教えてくれた。篠井の女方としての魅力について、雪之丞は「花組芝居や翻訳劇で女方をされていることは存じ上げていた。実は公演前から、篠井さんは新派に向いているのではないかなと思っていた。日本舞踊の基礎もあるし、現代的な要素もお持ちなので。一緒に稽古をして、私の目に狂いはなかったなと思う」と話した。それに対して篠井は「そういう風にご覧になってくださっていたなら、本当に幸せ。うれしい理解者であられてくださったなと思う」と照れ、「雪之丞さんは粋で洒落ていて格好いい。葉子というこれぞ新派の女方が演じるべきお役を演じられる姿を、自分が出ていないところでは見惚れています」と返していた。ほかに喜多村緑郎、瀬戸摩純、山村紅葉らが出演する。公演は28日(金)まで。10日(月)と18日(火)の公演終了後にアフタートークあり。チケット発売中。文・取材:五月女菜穂
2019年06月07日乙女ゲームシリーズ『Starry☆Sky』が誕生10周年を迎えて舞台化され、2019年7月に品川プリンスホテル クラブeX(東京都港区)にて上演される。七海哉太役を演じる田中尚輝と、東月錫也役を演じる國島直希に本作への意気込みを聞いた。【チケット情報はこちら】『Starry☆Sky』はドラマCDや乙女ゲームなどからなる女性向けメディアミックス作品シリーズ。天文に関する知識を教える「星月学園」を舞台に、唯一の女子生徒が主人公となり、十三星座の性格特徴を持つ男性キャラクターたちとの恋愛を描く作品だ。本作は、原作シリーズに倣い、公演日によってエンディングが変わるという。田中は「日によってエンディングが違うと、毎回新鮮な気持ちで芝居ができるし、楽しい」と話し、國島は「どういう風になるのか分からない部分も多いけれど、何度も見られるので、お客様にも楽しんでいただけると思う」。初共演となる田中と國島。お互いの第1印象について、田中は「素から優しそうなオーラが漂っていた」、國島は「(実際の年齢はひとつ下だが)年上だと思っていた。すごくしっかりしている」と話す。“2.5次元”の舞台に初挑戦する國島は「最初は不安が大きく、セリフや動きも2次元だから成立するのかな、本当に整合性がとれるのかなと心配した。でも、この衣装やカツラを身につけて、これなら受け入れてもらえるかもしれないと思って」と率直な思いを話す。アニメが好きで100作品以上鑑賞してきたという國島は「アニメ好きという点では誰にも負けないと思う。『Starry☆Sky』が好きな方も納得してくださるよう、自分ならではのことができたらいいなと思っています」。一方、“2.5次元”の舞台出演経験も多い田中は「毎回どうキャラクターと寄り添うか、とても悩む。2.5次元舞台の魅力は、ゲームやアニメでは見えなかったキャラクターの関係性などを生で見られること。原作の裏で俺たちはこうやって時間を生きてきたということを表現できるのが素敵だと思う」と語ってくれた。そして、「たくさんの方が愛している作品なので、その期待を上回るような作品にしたい」と思いを述べた。公演は7月10日(水)から15日(月)までの全10公演。脚本・錦織伊代、演出・松崎史也。出演は田中と國島のほか、糸川耀士郎、越智友己、古谷大和、橘りょう、青木一馬、輝山立、丸山ナオ、杉江優篤、高本学、桜庭大翔、榊原徹士、竹井未来望、阿瀬川健太、佐藤和斗、瑞野史人、高橋凌。チケットぴあでは現在先行先着販売を実施中。チケット一般発売は6月8日(土)10時より。取材・文:五月女菜穂
2019年06月07日青木豪の書き下ろした新作を河原雅彦が演出する、舞台『黒白珠』が6月、Bunkamuraシアターコクーンで開幕する。双子の兄弟とその家族が、逃れられない運命にもがきながら、愛と葛藤の中で描かれていく人間ドラマだ。5月中旬、都内で行われている稽古の様子を取材した。【チケット情報はこちら】物語の舞台は1994年の長崎。信谷大地(風間杜夫)は、真珠の加工・販売会社を経営していた。長男の勇(松下優也)は高校卒業後、職を転々とし、父を心配させていた。勇には花苗(清水くるみ)という恋人がいる。勇の双子の弟である光(平間壮一)は、東京の大学に進学し、そんな光に父は期待を寄せていた。勇は、周囲から叔父に似ていると度々言われることから、いつの頃からか、自分の出自に疑念を抱き始める。実際、勇と光は、母・純子(高橋惠子)のことをほとんど知らない。まだふたりが幼い頃、母は叔父と不倫の末、駆け落ちして家を出て行ったらしいが、消息は聞かされていなかった。出自への疑念をさらに深める勇。一方、光はある出来事から母と再会することになって…というあらすじ。『エデンの東』をモチーフにして、家族の愛憎を描く作品だ。この日は1幕が通しで稽古された。約1時間。ド派手な演出はなく、淡々と日常的な会話が繰り広げられるなかで、家族の“秘密”が徐々に解き明かされていくのだが、想像していたよりもくすりと笑えるシーンが多く、シリアスになりすぎない。観客を飽きさせないとてもテンポのよい演出で、俳優陣の自然体な演技にも好感を抱く。物語の軸となる双子を演じる、松下と平間。ともに1990年生まれで、どちらかというとミュージカルで歌って踊るイメージも強いふたりだが、今回は河原演出のもと、ストレートプレイで俳優としての魅力を発揮している。以前『THE ALUCARD SHOW』(2014年)で共演し、プライベートでも交流があるふたり。休憩中も脚本を一緒に見たり、役について話し込んだりと、互いを信頼し、切磋琢磨している様子が稽古中も見てとれた。その双子の父を風間杜夫、母を高橋惠子、そして信谷家の親戚でもある須崎を村井國夫が演じるという豪華な顔ぶれ。また、植本純米や平田敦子といった個性派俳優もしっかりと観客の注目を集める。20代から70代まで幅広い年齢差に関係なく、真摯に作品づくりに取り組んでいることがよく分かる稽古場だった。東京公演は6月7日(金)から23日(日)まで。その後、兵庫、愛知、長崎、久留米で公演が予定されている。チケット発売中。文・写真:五月女菜穂
2019年05月28日平田オリザが脚本を手がけた舞台『転校生』が、本広克行による演出で、8月に紀伊國屋ホールで上演される。本公演はパルコプロデュースの若手俳優発掘プロジェクトとして、キャストは全員オーディションによって選出される。18歳から25歳までの男女を対象としたオーディションで、2128人の応募の中から一次審査を通過したのは201人。そこから男子校版・女子校版各21人の出演者が決定する。5月上旬に東京都内で行われた、最終選考となる実技審査の様子を取材した。【チケットの詳細はこちら】本作品は1994年青山演劇フェスティバルで初演されて以来、高校演劇のバイブル的戯曲として知られている。ある高校生たちの1日が、平田戯曲特有の同時多発会話で繰り広げられる。他愛のない日々の会話の中に、彼/彼女らの日常と社会への好奇心、将来への不安などを垣間見る戯曲となっている。15年以来の再演で、今回初めて男子校版が上演されることになった。この日は、組に分けて行われたオーディションのうち、ある1組を見学。簡単に互いの自己紹介をした後は、いくつかの体を動かすゲームが行われた。例えば、自分以外の誰か1人を“爆弾”と見立て、気づかれないように、その人を避ける。そして、また別の誰か1人を自分を守ってくれる“シールド(盾)”として心の中で決め、“爆弾”と自分との間に常に“シールド”がいるような環境をつくるというゲームだ。最初はただ歩いていた参加者たちが、「まもなく爆発するから必死になって」という指示が出ると、ほとんどがなりふり構わず走り出した。戦略を立てて生き残った人もいれば、ルールを十分に理解できず脱落した人も。なかなかスリリングなゲームで、協調性と身体性、そして計画性が問われていると感じた。次は、9人ずつのグループに分かれて、ひとつのシチュエーションを静止画で表現するゲームだ。お題は“悪い知らせ”。話し合いの時間が5分ほどあり、各チームが発表する。発想力もさることながら、それをいかに分かりやすく表現するかが試される。合格発表を表現しているチームや、「部活のエースが怪我をして試合が出場できなくなった」という難しい設定を表すチームがあった。女子のオーディションの時も同様の課題が行われたが、男子オーディションの方がいい意味で盛り上がりがあり、部活動のような妙な“一体感”を感じた。ゲームを終えた後は、最後は自己PRタイム。ただし、1本の綱を渡るように歩きながら、話すという設定だった。各々声を震わせたり、足元を見たり、綱を渡るような工夫をしながら、自分の舞台経験や強みを思い思いにアピールしていた。初の男子校版に出演するのはどんな21人なのだろうか。開幕が待ち遠しい。文・写真:五月女菜穂
2019年05月21日平田オリザが脚本を手がけた舞台『転校生』が、本広克行による演出で、8月に紀伊國屋ホールで上演される。2015年以来の再演で、本公演はパルコプロデュースの若手俳優発掘プロジェクトとして、キャストは全員オーディションによって選出される。18歳から25歳までの男女を対象としたオーディションで、2128人の応募の中から一次審査を通過したのは男性73人、女性128人の計201人。そこから男子校版・女子校版各21人の出演者が決定する。5月上旬に東京都内で行われた、最終選考となる実技審査の様子を取材した。【チケットの詳細はこちら】本作品は94年青山演劇フェスティバルで初演されて以来、高校演劇のバイブル的戯曲として知られている。ある高校生たちの一日が、平田戯曲特有の同時多発会話で繰り広げられる。他愛のない日々の会話の中に、彼/彼女らの日常と社会への好奇心、将来への不安などを垣間見る戯曲となっている。この日は、組に分けて行われたオーディションのうち、ある1組を見学した。緊張を和らげるため、出来るだけ多くの人の名前と顔を覚え、相手にも覚えてもらうことからオーディションが始まる。互いに自己紹介をした後、2人組になって、それぞれの片手を重ねる。手が離れないように注意しながら、相手を無言で押したり、引いたりして、体と空気を動かすゲームだ。本広はこのゲームを通じて、参加者の身体性と協調性をみているようだった。次は、8~9人のグループに分かれて、ひとつのシチュエーションを静止画で表現するゲームだ。お題は“危機”。話し合いの時間が5分ほどあり、各チームが発表する。発想力もさることながら、それをいかに分かりやすく表現するかが問われている。交通事故の衝突の瞬間を表現しているチームや、パーティーゲームの“黒ひげ危機一発”を表すチームなどがあり、それぞれの個性がよく活かされていた。トータルで40分ほどのゲームを終え、最後はひとりひとりのアピールタイムと、演出の本広による質疑応答が行われた。参加者の中には、舞台経験が豊富にある人もいれば、今回が初舞台となる人もいた。ダンスやスポーツ経験をアピールする人もいれば、自分の性格を強調する人、緊張のせいか涙声になる人もいた。全体的に穏やかな雰囲気で、笑いに包まれる場面も多かったが、本広の眼差しは鋭かった。最終的にどんな21人がオーディションに合格し、どんな舞台を見せてくれるのか。期待したい。文・写真:五月女菜穂
2019年05月21日今年旗揚げ39周年を迎える劇団☆新感線。感謝の気持ちを込めた“39(サンキュー)興行”の夏秋公演として、舞台『けむりの軍団』が2019年7月からTBS赤坂ACTシアターで上演される。13日、東京都内で製作発表会見が行われ、主演の古田新太や早乙女太一をはじめとする出演者、脚本の倉持裕、演出のいのうえひでのりが出席した。【チケット情報はこちら】物語の舞台は戦国時代。頭が切れる軍配士(古田新太)とずる賢い謎の浪人(池田成志)がひょんなことから嫁ぎ先から逃げ出した姫(清野菜名)を実家に送り届ける羽目になり、巻き起こる珍道中を描く。脚本を担当した倉持は、演出のいのうえから提案された当初のお題が、「黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』と太宰治の『走れメロス』を合わせたような話」だったことを明かす。その分、黒澤明監督の映画を彷彿とさせるオマージュを盛り込んだといい、倉持は「前回(※2016年『乱鶯』)はシリアスな話だったが、今回はもう少し軽めで笑えるものにしようと心がけた」。「電話帳ぐらいの厚さがある」(池田成志談)というが、倉持作品らしい会話の妙が織り込まれていることだろう。また、演出のいのうえは「劇団員の“高齢化”が進んでいるので、年相応のものを作ろうと。最近のテレビでも映像でもなかなか見ることのできない、ちゃんとした時代劇をやりたい。骨太な人間ドラマが僕らなりに描けたら」と語った。これまでのケレン味溢れた“いのうえ歌舞伎”とはまたひと味違う、王道路線の娯楽時代劇になりそうだ。主演の古田は会見で「劇団員なので出ざるを得なかった」と話して会場の笑いを取りつつも、「これが自分の代表作になればいいと思う。ほぼ劇団員フルメンバーで出演をするので、劇団ファンの皆様にはぜひ見にきてほしい」と気合い十分なコメントをした。一方、新感線には6度目の出演となる早乙女だが、古田との共演は今回が初めて。「17歳の頃に初めて立たせてもらって10年。やっと古田さんと共演できるということが何よりもうれしい」と素直に共演を喜ぶ。「子どもの頃からの憧れ。古田さんと新感線からいろいろなことを学んだ。勝手に師匠だと思っている」と話していた。出演者は古田と早乙女のほか、清野菜名、須賀健太、高田聖子、粟根まこと、池田成志ほか。東京公演は7月15日(月・祝)から8月24日(土)まで。福岡公演は9月6日(金)から博多座で、大阪公演は10月8日(火)からフェスティバルホールで行われる。チケットは5月19日(日)午前10時より発売。ぴあでは東京公演の先着先行を5月14日(火)10時より受付予定。文・写真:五月女菜穂
2019年05月13日演出家の西田大輔が描く本格派ミステリーの舞台『+GOLD FISH(プラス ゴールドフィッシュ)』が5月10日(金)より東京・紀伊國屋ホールで上演される。本作は、2018年に上演され、映画も公開された『ONLY SILVER FISH』シリーズの第2弾。ミステリー仕立ての音楽劇だった舞台を、今回は新たなワンシチュエーション会話劇として上演するという。出演する伊万里有に意気込みを聞いた。【チケット情報はこちら】ミュージカル『刀剣乱舞』の長曽祢虎徹役をはじめ、俳優としてキャリアを重ねる伊万里。今回の出演について「前回の舞台のフライヤーが格好良くて印象に残っていました。まさか作品に携われるとは思っていなかったです」と素直な感想を言う。伊万里が演じるのは、物静かで人前に出ることを嫌がる内気なベントーという男性。「自分とベントーはタイプが真逆な気がしますが、もしかしたらベントーなりの事情があるのかもしれない。どんな役になるのか楽しみですね」と話した。初めて共演するメンバーばかりだが「末っ子なので、先輩が多い現場は嬉しいですね。舞台はみんなでひとつの作品を作るので、周囲の温度感や空気感に合わせながら役を作っていけたら」と意気込んでいた。伊万里は、昨年からアーティストとしても活動を開始。今年4月3日にはセカンドEP『My Love Is ...』をリリースしている。彼に言わせれば、俳優としての伊万里とアーティストとしての伊万里は「全く別だ」という。「俳優の仕事は、人と人とがチームで積み木を積み上げるような、神経を研ぎ澄ませるような感覚で、アーティストの仕事は、チームではあるけれどひとりひとりが自立して別の方向を見ているような、出来上がった考えをぶち壊すような感覚」と違いを語る。「ふたつの仕事は天秤。どちらもやっていて楽しいし、なくてはならないものです」と話していた。最後に今回の舞台をどんな人に見て欲しいか尋ねた。すると伊万里は「ミステリーだから誰が犯人かと推測しながら見てしまうかもしれないけれど、心をまっさらにして見て欲しい舞台です。あと、舞台が好きなら、ぜひ舞台にあまり興味がない人を呼んできて欲しいですね。この記事を読んでいるあなたが広報担当です(笑)」と語った。公演は5月19日(日)まで全14公演。出演は清水葉月、松田凌、樋口日奈(乃木坂46)、神永圭佑、粟根まこと(劇団☆新感線)ほか。チケット発売中。文・撮影:五月女菜穂
2019年05月07日2017年に解散したアイドルグループ・℃-uteでリーダーを務めた矢島舞美と、AKB48およびSKE48の元メンバーの木崎ゆりあが、現在上演中のつかこうへい原作の舞台『銀幕の果てに』(演出:岡村俊一)で初共演を果たした。アイドルを卒業後、女優としての一歩を踏み出したふたりに話を聞いた。【チケット情報はこちら】原作は1994年に発表されたつかこうへいによる長編小説。映画撮影所を舞台に、映画界の裏側を描く告発サスペンスだ。どこからどこまでが撮影している映画なのか、どれが現実でどれが物語なのかが錯綜する展開。1989年に発表された戯曲『今日子』をベースに着想されたが、より設定が複雑化している。矢島は、伝説の女優・玲子という主人公を演じる。矢島は「玲子は大女優なので、どっしり構えていて、揺らがない存在。脚本を読んでいても、格好いい女性だと思うし、心に刺さるようなセリフがたくさん出てくる」と話す。一方、木崎が演じるのは、玲子に虐げられ女優としての限界に悩む脇役女優・涼子。「もうスターにはなれないと言われている女優を演じるので、すごく心苦しいけれど、逆に燃えるものもある。時代設定の違いは確かにあるが、根本にある“女優魂”は自分と似ている気がする」と木崎。今回が初共演となるふたり。互いの印象を尋ねると、矢島は「気さくな感じだけど、とてもしっかりしていて、強い芯を持っている人」、木崎は「とにかく綺麗。一見高嶺の花のようで話しかけづらそうなのに、実際はふわふわしていて、いい人」と語った。ともにアイドル出身の同世代女優だが、「バチバチをするのは、この本の中だけ」と木崎は笑う。「今回の芝居は、玲子が主人公。できる限りのことをして、しっかり支えていきたい」。矢島は「アイドルから新たな世界に入ってきて、まだまだ戸惑うことがいっぱいある。悩みや共感できる部分はあると思うので、これからたくさん話が出来たら」最後に、木崎は「作品自体が難しいし、それぞれ思うことはたくさんあると思うので、1度ではなく何度も足を運んでいただきたい。私たちも本番が始まってからも成長していくと思うので、最後まで勉強しながらやっていきたい」とコメント。矢島は「つかさんのファンはもちろん、この時代に私たちの世代がやるお芝居なので、つかさんの作品に触れてこなかった若い人たちにも伝えていきたい。受け取り方は人ぞれぞれで、いろんな意見が出ると思うが、私たちは常に全力をぶつけていきたい」と語った。東京公演は4月29日(月・祝)まで紀伊國屋ホールにて。大阪公演は5月8日(水)・9日(木)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて。取材・文:五月女菜穂※木崎ゆりあの「崎」は立つ崎
2019年04月26日堤真一と橋本良亮(A.B.C-Z)がW主演する舞台『良い子はみんなご褒美がもらえる』が東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕した。初日を前にした4月19日、会見と公開舞台稽古が行われた。舞台はソビエトと思われる独裁国家の精神病院の一室。誹謗罪で捕まった政治犯の男(堤真一)と、自分はオーケストラを連れているという妄想に囚われた男(橋本良亮)を中心に物語が展開していく。映画『恋におちたシェイクスピア』などで知られる英国劇作家のトム・ストッパードが、俳優とオーケストラのために書き下ろした本作は、1977年に初演。言葉遊びと明瞭なユーモア、哲学的概念がふんだんに盛り込まれ、35人のオーケストラが舞台上に配置されるという斬新な作品である。音楽劇でもなく、ミュージカルでもない。男の頭の中にだけ存在しているはずのオーケストラが、観客にも見えているという奇妙な設定。難解なセリフも多いが、ユーモアも確かに感じられる舞台だった。初日前会見には、堤と橋本ら出演者と演出のウィル・タケットが出席した。タケットは「本作が上演されるのは世界でもまだ3回目。それはこの作品が野心的な作品だからだ」と説明し、「さまざまなジャンルのパフォーマンスが、トム・ストッパードの戯曲やアンドレ・プレヴィンの音楽と組み合わさり、政治的でありながらも、面白くユーモアがある作品だ」と語った。作品のタイトルに因んで、どんなご褒美が欲しいか尋ねられると、橋本は「舞台が終わったら、(演出の)ウィルさんのお褒めの言葉」と答えた。一方の堤は、稽古期間中に“炭水化物抜きダイエット”をしていたことを明かした上で、「大量の米を食う」と話し、笑いを誘った。今年11月に公開される映画『決算!忠臣蔵』でも共演している堤と橋本。ふたりは映画撮影中の2月に飲みに行ったといい、堤は「(舞台は)難しい役で大変やけど頑張れよと言ったら、なんか泣き出して。僕のホテルの部屋に入ってきて、“頑張りますからぁ”って」と橋本の様子を明かした。すると、橋本は「やめて!」と照れて、「ご迷惑おかけしました。この舞台で巻き返したいと思います」と話す場面もあった。堤、橋本のほか、小手伸也、シム・ウンギョン、外山誠二、斉藤由貴らが出演する。上演時間は約1時間15分(休憩なし)。東京公演は5月7日(火)まで。大阪公演は5月11日(土)・12日(日)、フェスティバルホールにて。チケット発売中。文・写真:五月女菜穂
2019年04月22日映画『恋におちたシェイクスピア』などで知られる英国劇作家のトム・ストッパードが書き下ろした舞台『良い子はみんなご褒美がもらえる』が4月20日(土)からTBS赤坂ACTシアターほかで上演される。開幕を前に稽古場を取材した。本作品は、1977年に初演。言葉遊びと明瞭なユーモア、哲学的概念がふんだんに盛り込まれ、35人のオーケストラが劇中に登場するという斬新な作品だ。英国演出家のウィル・タケットのもと、この異色作に挑むのは、舞台だけでなく映画やテレビと幅広い活躍を続ける堤真一と、『A.B.C-Z』で活動する一方、俳優としての表現力に注目が集まる橋本良亮だ。舞台は、とある独裁国家の精神病院。誹謗罪で捕まった政治犯(堤)と、自分はオーケストラを連れているという妄想にとらわれている精神病患者(橋本)を中心に物語は展開していく。稽古が公開されたのは、堤がこれまでの過去を独白で語るシーンや、橋本が医師と対話するシーン、そしてアンサンブルも含めて抽象的な“ダンス”で精神病院の日常を描いたシーンなどだ。難解で非常に長い独白を自分ごとのように語る堤。堤は、演出のタケットと積極的に言葉を交わして、作品や役についての理解を深めつつ、時に冗談を言って稽古場の雰囲気を和らげていた。一方の橋本は、いい意味でつかみどころがない雰囲気。じっと話を聞いている場面もあれば、体を大きく動かす場面もあるのだが、いずれにせよタケットからの提案をすぐに実践できる表現力があった。堤と橋本の芝居が最終的にどんな風に組み合わさるのか、楽しみだ。本作の特徴のひとつでもあるのが、35人のオーケストラの存在。この日の稽古ではピアノ伴奏のみで進行したが、ステージの奥にはオーケストラの席が丸見えで、本番は生演奏で披露されるという。この日の稽古でも、演出のタケットは、指揮のヤニック・パジェとコミュニケーションをよくとっていた。役者の芝居と、オーケストラが合わさった時、この作品の魅力は何倍にも増幅される予感がした。三谷幸喜『子供の事情』などで個性豊かなキャラクターを演じて注目される小手伸也が医師を演じるほか、今回が日本での初舞台となるシム・ウンギョンが堤の息子・サーシャを、斉藤由貴がサーシャの教師を、そして外山誠二がこの舞台の最後の登場人物となる大佐役を演じる。東京公演は5月7日(火)まで。5月11(土)、12日(日)は大阪・フェスティバルホールで上演される。上演時間は約1時間20分。文・写真:五月女菜穂
2019年04月11日創立97周年を迎えたOSK日本歌劇団「レビュー春のおどり」が3月28日(木)から東京・新橋演舞場、4月13日(土)から大阪・大阪松竹座で上演される。今回、トップスターとしてお披露目される桐生麻耶(きりゅう・あさや)に、合同取材会で意気込みを語ってもらった。【チケット情報はこちら】本公演は、第1部が“祭り”を主題に日本のさまざまな和の踊りを見せる『春爛漫桐生祝祭(はるらんまん きりゅうのまつり)』。大阪の天神祭の天神囃子、沖縄全島エイサーまつり、青森のねぶた祭をミックスするなど、熱気あふれる和物のレビューだ。第2部が『STORM of APPLAUSE』と題した洋物のレビューで、桐生のオリジナルソロ曲から始まり、ベートーベンの「運命」をモチーフにした激しいダンスが見ものになっている。振付のKAORIaliveが初参加するなど、また新しいOSKレビューが見られそうだ。新トップスターの桐生は、1997年にOSKに入団。劇団解散の危機を乗り越えて、舞台に立ち続けてきた。「毎回ありがたいと思うが、それと同時にどこか怖いと感じる自分もいる。来年はどうなるのだろうか、今年が最後にならないようにしっかり頑張らないといけない」と気を引き締める桐生。2022年に劇団創立100周年を迎えるが、「今まで繋いできてくださった先輩方のことを思うと、何という時期に私たちは存在できたのだろうと。1日1日、自分たちの芸事に真摯に向き合って、結論として100周年を迎えることができたら一番いいと思っている」と語り、謙虚な姿勢を崩さなかった。楊琳(やん・りん)、虹架路万(にじかけ・ろまん)、愛瀬光(まなせ・ひかる)らを中心に後輩たちにも支えられているといい、桐生は「お父さんのような気持ち」と笑う。「みんな舞台が好きでOSKに入団したと思う。その気持ちを失わないように、いつでも原点に戻ることができるように、自戒も込めて、そうであってほしい」と期待を込めていた。本公演の見所について、桐生は「群舞の力を楽しみにしていただきたい。シックな場面よりもエネルギッシュな場面が得意な劇団だと思うので、そこは惜しみなく楽しんでほしい」と語り、「年に1度しかない『春のおどり』。劇団員一同、本当に心を込めてお届けしたいと思っているので、ひとりでも多くの方に見ていただけたら。精一杯頑張りますので、ぜひ見にいらしてください」と締めくくった。東京公演は3月28日(木)から31日(日)まで、東京・新橋演舞場にて。大阪公演は4月13日(土)から21日(日)まで大阪・大阪松竹座にて。チケットは現在発売中。文・五月女菜穂
2019年03月22日人気小説『ちょっと今から仕事やめてくる』が2019年6月、深作健太の演出、田村孝裕(劇団oneror8)の脚本で、初めて舞台化される。W主演をする飯島寛騎と鈴木勝吾に話を聞いた。【チケット情報はこちら】原作は、北川恵海による同名小説。70万部を超えるベストセラーとなり、第21回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”を受賞している。2017年には福士蒼汰と工藤阿須加のW主演で映画化もされた。ブラック企業で働く若手社員の青山隆(飯島寛騎)が疲労のあまりホームで意識を失い、危うく電車に跳ねられそうになってしまう。青山を救ったのは、幼馴染のヤマモト(鈴木勝吾)と名乗る男。青山の記憶にはヤマモトに関する記憶がなかったが、関西弁で爽やかな笑顔を見せる彼と出会ってから、青山は本来の明るさを取り戻し、大きな成果をあげるチャンスも巡ってくる。ある日、青山がヤマモトについて調べると、彼は3年前に激務で鬱になり自殺した男だということが分かり…というあらすじだ。作品について、飯島は「見る人によって違う印象を受けると思うし、色々な目線で見られる作品。見てもらうみなさんにも悩みがあると思うが、立ち向かっていく勇気を与えられるような作品になれば嬉しい」と語る。鈴木は「どちらが正義で、どちらが悪いと言い切ってしまうのではなく、このままではどちらもダメだということも等しく描いている。辛い環境にあっても、結局は自分の足で立たなくてはダメだと。そのバランスがすごく好き」と話した。今回初共演のふたり。稽古前ではあるが、互いの印象を尋ねると、飯島は「鈴木さんはとても考えがしっかりしている。お芝居に対しても、作品に対しても、自分自身に対しても、それぞれ軸を持っているので、勉強になることが多い」と語り、一方の鈴木は「8つ年が離れているが、すごく刺激的で、同じ作品を作る仲間として頼もしい」と語った。最後に、飯島は「映画化等もされていますが、舞台ならではの熱量でしっかり届けていきたいですし、会場で一体になれるようやっていきたい」と話した。鈴木は「演劇は、物語や事件の肌触りを感じることができるエンタメ。あえて演劇で届ける意味を噛み締めながら、責任を持ってやっていきたい。ぜひ何度でも劇場に足を運んでみていただけたら」とPRをした。公演は6月13日(木)から23日(日)まで、CBGKシブゲキ!!にて。飯島と鈴木のほか、中島早貴、葉山昴、田中健が出演する。文・五月女菜穂
2019年03月15日2017年に解散したアイドルグループ・℃-uteでリーダーを務め、現在は歌手や女優として活躍している矢島舞美。矢島が、4月に上演されるつかこうへい原作の舞台『銀幕の果てに』で主演することになった。矢島と、演出を担当する岡村俊一に舞台への意気込みなどを語ってもらった。【チケット情報はこちら】原作は1994年に発表されたつかこうへいによる長編小説。山中にある映画撮影所を舞台に、映画界の裏側を描く告発サスペンスだ。どこからどこまでが撮影している映画なのか、どれが現実でどれが物語なのかが錯綜する展開。1989年に発表された戯曲『今日子』をベースに着想されたが、より設定が複雑化している。矢島が演じるのは、伝説の女優「玲子」で、17歳から60歳までを演じる。役について、矢島は「コンプレックスを持ちながら、女優としての一線を歩んでいる人。堂々としているけれど、裏では自分に自信がない部分がある人だと思っているので、そういう部分をしっかりと演じられたら」と話す。つか作品の出演に関しては「つかさんの作品は初めて。女性が格好良く、力強く描かれるイメージがあるので、私も頑張らなくては」演出の岡村とは『LADY OUT LAW!』(2018年)以来2度目のタッグ。矢島は「前回は自分の中で葛藤があった。芝居に正解はないと思うが、やればやるほど分からなくなってしまった部分があり、正直、悔しさが残った。今回は葛藤を繰り返しながら、でも自分なりに納得していけるように、悩み抜いた先に何か見つけられるようにやりたい」と話す。そんな矢島について、演出の岡村は「迫力があって豪快だなと感じる部分がありながら、些細なところにこだわるという繊細さも兼ね備えている。日常感がない人なので、今回の作品のように、“女優”を戯画化した役はぴったりだと思っている」とコメントしている。アイドルを卒業して早くも1年半がすぎた。矢島は「アイドルはアイドルとして精一杯活動をしてきて、もう悔いはないと思ったから解散を決めた。これからは本当に甘えなしでやっていきたい」と覚悟を決めている様子。これからの意気込みを尋ねると、矢島は「大人な芝居を磨いていきたい。そして、いろんな年齢層の方に芝居をみてほしい」と語った。東京公演は4月24日(水)から29日(月・祝)まで紀伊國屋ホールにて。大阪公演は5月8日(水)、9日(木)、COOL JAPAN PARK TTホールにて。出演は矢島のほか、味方良介、木崎ゆりあ、石田明、佐久本宝、久保田創/岡田帆乃佳(劇団4ドル50セント)、黒川恭佑、磨世/松本利夫。取材・文:五月女菜穂
2019年03月04日鴻上尚史が作・演出の舞台『ピルグリム2019』が2月22日(金)より東京・シアターサンモールほかで上演される。本作品は、鴻上が1989年に劇団「第三舞台」の作品として手がけた作品で、2003年には新国立劇場にてシリーズ「現在へ、日本の劇」のオープニング公演を飾っている。今回、虚構の劇団第14回公演として上演することが決まった。出演する秋元龍太朗と、鴻上に話を聞いた。【チケット情報はこちら】秋元が演じるのは、主人公の売れない作家・六本木と同居している、ゲイの直太郎。初演は勝村政信、2003年は山本耕史が演じた役だ。秋元が初めて鴻上の演出を受けた舞台『もうひとつの地球の歩き方』(2018年)では、「普段の自分のイメージと割と近い役柄」だったが、今回の直太郎は違う。秋元は「今回、鴻上さんからガッツリ試練を与えられたと感じた一方で、役者としての次のステップを用意してくれたと思った」と話す。「鴻上さんの演出は、新しい自分を知っていくような感覚になる。前回は常にいっぱいいっぱいだったけれど、今回はふっと楽になれる瞬間がある。他の舞台に出ていても、鴻上さんの言葉を思い出すようなことがたくさんあった。ひとつひとつの言葉が少しずつ自分のものになっているような気がする」対して鴻上は「続けて一緒にやるということは、次に行きたいから。いろんな面の龍太朗と一緒に遊べたらすごくいいなと思っている。舞台で経験を積んで、自分の中の水準ができて、その上で、舞台上で遊べるようになると、鬼に金棒だと思う」と、秋元に期待を寄せる。およそ16年ぶりの上演。社会情勢も変化し、平成という時代が終わろうとしている。2019年版を上演するにあたって、鴻上は「16年前はまだ、人と人がつながること、目に見えないネットワークがあることが希望だった。けれど、今はインターネットとスマホによって、かつての希望から重荷や苦痛になった。つながることがかえって、孤独や寂しさをあぶり出すことになった」と話す。物語の枠組みは変わらないものの、きっと“2019年らしさ”が上手に入り混じった演出で、鴻上らしい作品になるのだろう。最後に鴻上は「龍太朗ファンの人から、昔の『ピルグリム』を見たことがある人、どうやって集団で生きていったらいいんだろうなと悩んでいる人も含めて、幅広い年齢の方に見てもらえたら」。秋元は「僕もいろんな人に見てほしい。例えば30年前の『ピルグリム』の初演を観ていた方にも、30年経った今、作品をもう1度見てもらいたい」と語った。東京公演は2月22日(金)~3月10日(日)、大阪公演は3月15日(金)~17日(日)に大阪・近鉄アート館、愛媛公演は3月23日(土)・24日(日)愛媛・あかがねミュージアム あかがね座にて。チケット発売中。文・写真:五月女菜穂
2019年02月15日芝居、ダンス、生演奏の3つの要素が融合された作品を作り続けている集団「サステナクリエーションファミリー」が、新作の『SINGULAR-シンギュラ-』を2月14日(木)より東京・全労済ホール/スペース・ゼロで上演する。本作品に出演する俳優の山口大地と山口賢人に、作品の見どころを聞いた。【チケット情報はこちら】AI(人工知能)が人間の能力を超え、今までは想像できなかったことが現実となってしまう時点のことを示す「シンギュラリティ」。タイトルの『シンギュラ』は、このシンギュラリティに因んでつけられおり、舞台では15体の人工知能たちが「人間は必要かどうか」というテーマについて、究極のディベートを交わしていく。今回、山口大地も山口賢人も、ともにAIの役を演じる。大地は「昔のロボットのように感情を全く出さなくてもいいのかと言えば、違う。感情表現ができるように学習していく知能が備わっているので、あえてロボットやAIらしくしなくていいという面もありつつ、人間の感情的な部分が理解できないという面もあって、その狭間にいる。バランスを保つのが難しい」と役づくりの苦労を語る。一方、賢人は「自分の体験をもとに役づくりをするのでなく、稽古場でつくりながら、あれこれ想像しながら、ゼロから作ることができる面白さがある」とも話す。脚本・演出・振付を担うのは、一ノ瀬京介。2017年にサステナクリエーションファミリーを立ち上げ、今回が5回目の本公演。一見、難解そうな物語だが、そこにダンスと生演奏が加わるのがサステナの特徴だ。賢人は「本自体は難解で情報量も多いが、作品を音楽や踊りの表現とともに紡いでいくので、エンタテインメント性は強い」と語り「難しいセリフをどれだけシンプルに分かりやすく伝えられるかは俳優の仕事」と意気込む。「役者、アーティスト、ダンサーというそれぞれのプロがしっかり物語を表現して、うまく交わって、より華やかになっていくサステナの作品は、今の演劇界にはない色だと思う。今回もすごく魅力的な作品なので、お客様も新しい感性を芽生えさせながら、作品を楽しんでもらえたら」と大地は話す。賢人は「深みのある社会派の作品だが、舞台の総合芸術としてレベル高いものを作りたい。稽古を積み重ねて、最終的に出来たものは、演劇界でも前衛的なものになるのではないかと思う。お芝居・演劇ファンの皆様はもちろん、普段あまり演劇を見たことないような人たちにも、こういう形の演劇があるということを届けられたら」公演は2月14日(木)から17日(日)まで、東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて。チケットは発売中。文・五月女菜穂
2019年02月06日昨年11月に人気アイドルグループ・欅坂46を卒業した今泉佑唯が、劇作家つかこうへいの代表作と言える舞台『熱海殺人事件』に出演することが分かった。今泉は本作で、女優として本格的な一歩を踏み出す。どんな思いなのか。今泉と、演出を手掛ける岡村俊一に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『熱海殺人事件』は1973年に初演され、映画やドラマにもなった。つかが2010年に亡くなってからも、つか作品を数多く手掛ける岡村の演出で上演され続けている。今年で46年目となり、春の風物詩とも言える舞台だ。2019年版では、昨年に引き続き、木村伝兵衛部長刑事を味方良介、富山から来た刑事熊田留吉をNON STYLEの石田明が演じ、今泉は過去に内田有紀や黒木メイサらが演じてきたヒロインの婦人警官・水野朋子役に挑む。今泉は「アイドルを卒業したら、絶対に演技をやりたいと思っていたので、やっとはじめの一歩を踏み出せます。長年愛されてきた作品で、平成最後となる上演に出演させていただけることがとても嬉しいです」と出演を喜ぶ。「タイトルに『殺人事件』とあるので怖い舞台なのかなと想像してしまっていたのですが……実際の過去の舞台映像を見たら、踊りのシーンがあったり面白いシーンがあったりしました。稽古が今から楽しみです」と期待に胸を膨らませた。そんな今泉を、演出の岡村は「堂々としているし、気が強そうだから大丈夫でしょう」と評価する。毎年脚本を書き変えているという岡村は、舞台の構想について「時代に即した『熱海殺人事件』にしたい。そのために、現代のヒロイン・今泉が必要。彼女のファン必見の作品にしたいですね」と答えた。「ひとつのことに縛られずにどんな役でも演じられる女優さんになりたいです」と夢を語る今泉。「きっと私のことを知らない方がたくさん見に来てくださると思うので、この作品をきっかけに私自身のことを知っていただきたいです。今まで応援してくださっていたファンの方にもぜひ見ていただけたら嬉しいなぁと思います」と話した。「『熱海殺人事件』LAST GENERATION46」は3月28日(木)から31日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、4月5日(金)から18日(木)まで東京・紀伊國屋ホールにて。ぴあでは、2月6日(水)19:00より先着先行受付開始。文:五月女菜穂
2019年02月06日直木賞作家・黒川博行の小説が原作の舞台『上代裂(じょうだいぎれ)』の東京公演が2月20日(水)より東京・赤坂RED/THEATERで開幕する。Team337の第3回公演で、阪神タイガースOBで俳優の嶋尾康史が演出を担当する。どんな舞台になるのか、出演者の柊子と田中大地に話を聞いた。【チケット情報はこちら】気ままなフリーター生活を送る玲美(柊子)が、絢也(田中大地)というイケメンホストに引っかかり、借金を背負う羽目に。困った玲美は、美術雑誌の副編集長をしている叔父・佐保(森崎正弘)に助けを求める。絢也がホストになる前は画廊に勤めていたと聞いた佐保は、玲美を騙したホストから金を取り返すべく、染織品である「上代裂」を使って一計を案じ、コンゲーム(信用詐欺)を仕掛けていく…という物語だ。すでに1月20日に大阪公演を終え、柊子は「満員御礼で千秋楽を迎えることができて、とても充実した公演期間になりました」と振り返る。原作にはいないキャラクターを追加するなど手を加えながら、全体的にコメディタッチの作品に仕上がっているといい、柊子は「黒川先生が大阪公演を観にきてくださって、面白かったよ!と仰ってくださって、その言葉を信じて、東京公演に臨みたいです」と意気込む。今回、Team337に初参加した田中大地は「キャストの皆さんも演出の嶋尾さんも素敵な方で、稽古場でも本番期間でも楽しく濃い時間を過ごさせていただきました」と感想を語る。イケメンホストという役柄については「今までに経験がない役で新鮮な気持ちで演じています」と話し、「Team337、一致団結して、東京のお客様にも喜んでいただきたいです。せっかく観ていただけるからには、感動したり、笑ったり、ちょっと突き刺さるものがあったり、何かお土産を渡せるようなお芝居にしたいと思っています」と抱負を語る。柊子は「私たちのTeamがつくるのは、お客様にほっこりして帰っていただけたり、クスッと笑えたり、幸せな気持ちになったりする作品。黒川先生のファンの方や、これまでTeam337の作品を見たことがない方にも、ぜひ劇場に足を運んでほしい」と話す。公演は2月24日(日)までの全6ステージ。チケット発売中。文・写真:五月女菜穂
2019年02月01日手塚治虫の生誕90周年を記念した舞台『悪魔と天使』が2019年1月19日からKAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉ほかで開幕する。開幕まで2週間を切ったある日、都内で行われている稽古を取材した。本作は、手塚治虫の幻の作品と呼ばれる『ダスト8』を原作にした、初の舞台作品。物語は、平成から元号が変わる時、豪華列車トワイライトエキスプレス号の大事故という惨事から生き延びた生還者の人生が中心に描かれる。彼らは事故を起こす直前に「生命(いのち)の山」に接触し、その破片である「生命の石」の力で再び生命を得ることができた。人間たちが死と向き合った時、どう生きるかの葛藤やどう対処するのかを問う形で展開していく舞台だ。この日は、2幕の3つのシーンを計3時間にわたって見学した。モトイキ シゲキの演出のもと、立ち位置やセリフの言い回しなどを丁寧に何度も同じシーンを繰り返す。海江田沙月役の観月ありさ、九條小百合役の高島礼子、柏木守役の野村宏伸による緊迫したシーンは、それぞれの思いをぐっと抑えた大人な芝居。視線ひとつで空気をつくることができるのはさすがだった。渋井新役の佐藤B作と、大前田十蔵役のぼんちおさむのシーンは、アドリブが飛び交う。楽しみながら稽古をしている様子がよく伝わり、笑いが絶えない現場だった。岬慎吾役の白石隼也と吉沢エリ子役の黒川智花が出演するシーンでは、白石が積極的にセリフの言い回しなどについて自身の意見を述べている姿が印象的だった。何しろ初の舞台化作品だ。脚本も芝居もまだまだこれから進化を遂げていくはず。どんな全体像になるのか、楽しみだ。出演は観月ありさ、白石隼也、野村宏伸、黒川、鍵本輝(Lead)、矢部昌暉(DISH//)、向山毅(SOLIDEMO)、木全寛幸(SOLIDEMO)、中島早貴、黒田こらん、ぼんちおさむ、松澤一之、佐藤B作、高島礼子ほか。1月19日(土)~2月3日(日)神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉、2月9日(土)・10日(日)大阪・梅田芸術劇場メインホール、3月1日(金)~3日(日)愛知・御園座にて上演する。なお、声の出演を予定していた女優の市原悦子が1月12日に亡くなった。代役は、本作品で“小坂徳子”役の黒田こらんが務める(2役)。取材・文・写真:五月女菜穂
2019年01月17日手塚治虫の生誕90周年を記念した舞台『悪魔と天使』が2019年1月19日(土)より神奈川・KAAT神奈川芸術劇場大ホールにて開幕。12月19日、東京都内で製作発表会が行われた。【チケット情報はこちら】本作は、手塚治虫の幻の作品と呼ばれる『ダスト8』を原作にした、初の舞台作品。物語は、大事故の惨事から生き延びた8人の人生が中心に描かれる。彼らは事故を起こす直前に「生命の山」に接触し、その破片である「生命の石」の力で再び生命を得ることができた。人間たちが死と向き合った時、どう生きるかの葛藤やどう対処するのかを問う形で展開していく舞台だ。主演の観月ありさは、精霊の悪魔キキモラと海江田沙月の2役を演じる。観月は「素晴らしい作品に出演させていただくことになり、本当にありがたいなぁと思っております。まだ稽古に入っていないので、これからどういう風になっていくのか、とても楽しみです」と語る。『ブラック・ジャック』や『鉄腕アトム』、『ジャングル大帝』など子どもの頃から手塚作品に触れてきたという観月は「ぜひ原作の『ダスト8』も、舞台版『悪魔と天使』も、みなさんの心に残るような作品に出来たらいいなと思っています。頑張って最後までやっていきたいと思います」と意気込んだ。精霊の天使キキモラと岬慎吾役の2役を演じる白石隼也は「原作を読んで、人間の欲望の恐ろしさ、そして心からの純粋さというものを感じました。これからみなさんといい舞台を作っていけるように、頑張りたいと思います」とコメントした。不死身の身体を手に入れたらどうしたいかと記者に問われた観月は「いろんな国に行って、生活をしてみたい。ヨーロッパなど、日本とは懸け離れた文化のところに行って生活をしてみたいです。今、いちから語学を勉強するのは大変ですが、これから50年も100年生きられるとなると、語学もイチから勉強できるので、夢が膨らみます」と話す。一方の白石は「暴飲暴食をしたいです。何を食べても、病気になったり死んだりしないと思うので。夜にラーメンを食べたいなと思った時に食べたいですね」と庶民的な願望を語り、笑いを誘った。出演は観月、白石のほか、野村宏伸、黒川智花、鍵本輝(Lead)、矢部昌暉(DISH//)、向山毅(SOLIDEMO)、木全寛幸(SOLIDEMO)、佐藤B作、高島礼子ら。1月19日(土)から2月3日(日)まで、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場、2月9日(土)・10日(日)大阪・梅田芸術劇場、3月1日(金)から3日(日)愛知・御園座にて上演する。取材・文・撮影:五月女菜穂
2018年12月25日「現代能『陰陽師 安倍晴明』~晴明 隠された謎…~」が、来年2019年1月9日(水)、10日(木)に東京・中野サンプラザホールで追加上演されることになった。2001年に初演され、これまで海外公演を含め20回以上の上演を重ねてきた本作。今年9月に野村萬斎の演出、藤間勘十郎の脚本補綴により新たな『陰陽師 安倍晴明』が誕生し、注目を集めたが、早くも再演が決まった。【チケット情報はこちら】12月に東京都内で行われた取材会では、葦屋道満役の梅若実玄祥、演出と安倍晴明役を務める野村萬斎が参加した。萬斎は本作について、「現代能というタイトルではあるが、能、狂言、宝塚、日本舞踊、そしてイリュージョンやプロジェクションマッピングなど現代のハイテクをも使っている。能や狂言の入り口になる作品でもあるし、能や狂言を基にしたエンターテイメントのあり方のひとつの指針となる作品だ」と話す。そして「仕掛けばかりではなくて、(梅若)実先生、(葛葉姫/榊の前を演じる)大空ゆうひさん、私も含めた3人が激突するという“技合戦”もご注目いただきたいし、能の囃子と歌舞伎の鳴物も含めた“演奏合戦”もある。本当に見応えもあるものかと思う」と語った。10月下旬から約3週間、十二指腸潰瘍で入院していた梅若実玄祥は「つい1か月前に退院して、12月9日の襲名披露も何とか無事に終えた。体力的にはまだ完璧に復活はしていないが、今回も萬斎さんの力を借りて、一生懸命やらせていただきたい」と意気込む。作品については「萬斎さんが安倍晴明、僕が葦屋道満というのは僕の念願でもあった。割と短い作品だが、内容が詰まっていて、楽しめる作品だと思うので期待してほしい」と話した。9月公演の観客の反応について問われた梅若実は「たくさんアンケートを頂いたが、つまらなかったというものはなかった」と話して笑いを誘い、「ご覧になった方が“これが能なんですか”と仰っていた。萬斎さんがうまく芝居と能の中間を演出してくれている。飽きの来ない作品だと思う」と語った。共演する大空ゆうひについて、萬斎は「宝塚のスターであるということは言わずもがなだが、ある意味道場破り的な、アウェイ感が強い環境で堂々と演じ切られているのはさすがだ。実力と技術がないとなかなかできない」と絶賛。梅若実は「宝塚時代からファンだが、男も女も超えたところで演じている人なので、僕としてはやりやすいし、だからこそ能に近くなっている感じがする」と話していた。公演は1月9日(水)14時、10日(木)18時30分の2公演。チケット発売中。文・写真:五月女菜穂
2018年12月20日2007年の日本初上陸以来、4年間のロングランで80万人の動員を記録したパフォーマンス・ショー『BLUE MAN GROUP IN TOKYO』。来年5月から6月まで、スケールアップした“ワールドツアー”が上演される。開幕に先立ち、『ブルーマングループ』のファンを自称する歌舞伎俳優の十代目松本幸四郎が、パフォーマーのアダム・エドッシーとともに、ショーの魅力や歌舞伎との共通点などを語った。【チケット情報はこちら】『ブルーマングループ』の東京公演を見たことがあるという幸四郎は「見るというよりも体験するというのが大きなインパクトだった。やっていることはひとつひとつ面白いし、楽しいけれど、とにかく“ハンパない”ことをやっていて、最終的には感動する。皆さんがプロフェッショナルなのだなと思った」と振り返る。それに対し、日本在住歴があり、歌舞伎座にもよく足を運んだブルーマンパフォーマーのアダムは「歌舞伎は会場のどこにいてもその力強さを感じることができて驚いた。音楽も所作も日本独特のショーで、時代をトリップしたような感覚を受けた。日本の伝統を経験するとともに、その伝統が現代でも息づいていることを感じた」と語る。それぞれ受け継がれるものを守りながらも、新しい挑戦を重ねていく。『ブルーマングループ』のショーと歌舞伎は、どこか通ずるものがあるのだろう。幸四郎は「歌舞伎は400年以上の歴史がある。傑作として残ってきた傑作を、傑作としてお見せできるように、自分の心身を鍛えていきたいと思う。新しいエンターテイメントが生まれ続けているので、それらにもアンテナを研ぎ澄ませ、歌舞伎の可能性に挑戦していきたい」。そして、アダムも「ブルーマンと歌舞伎で似ているところは、見に来てくださったお客さんを日常の外へ連れ出すこと、そしてお客さん同士のつながりを生むということだ。ショーは新しい素材を取り入れて、常に進化させている」と話した。米国ラスベガスで新作歌舞伎の公演をした経験がある幸四郎は「歌舞伎をしっかりとお見せすることが一番インターナショナルな、何物にも代えがたいことだと思って、歌舞伎を作った。何ができるかではなくて、何をしたいのかという夢に向かって突っ走っていくからこそ、とてつもないスケールのものができると感じた。目標や憧れ、夢を持つということはとても大事なことなんだなとラスベガスで感じた」と語る。そして、最後に幸四郎は『ブルーマン』の公演に向けて、「歌舞伎役者の僕から見ても、『ブルーマン』はかぶいていると思う。エンターテイメントであり、でもとてつもないテクニックを持っていて、メッセージも込められている。そこに感動する。『ブルーマン』はかぶき者だ」と称賛していた。公演は5月1日(水)~6月2日(日)東京・EXシアター六本木、6月5日(水)~9日(日)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、6月12日(水)~16日(日)大阪・オリックス劇場にて。東京、愛知公演は現在チケット発売中。大阪公演は1月26日(土)午前10時よりチケット一般発売。取材・文:五月女菜穂
2018年11月16日“しょこたん”ことマルチタレントの中川翔子が、俳優の良知真次とともに、朗読劇『ラヴ・レターズ』に挑戦する。本作品は男と女が交互に手紙を朗読していく2人芝居で、1989年ニューヨークでの初演以来、世界中で上演され、日本でも繰り返し上演されている作品だ。【チケット情報はこちら】中川は「たくさんの方々に愛されてきた、歴史ある作品。私もその世界の中のひとりとして参加できるというのはとても名誉なことです。カップリングによって全然違った世界の色に染まる作品ですが、自分にしかない声の色があると信じて、全力で挑みたいです」と意気込む。彼女の初舞台『ブラック・メリーポピンズ』(2016年)でも共演した良知については「初舞台で色々と助けてくれた頼もしい方なので、良知さんの指示通りに動きたいなと思います」と信頼している様子だ。中川が演じるメリッサという役柄については「こんなに愛によって人生が翻弄されていくような、熱のある女性は演じたことがない。自分も20代の時は特に仕事を優先して、貴重な恋愛のチャンスをいっぱい逃してきて…。人生の中でずっとひとりの人を想い続けることができるのはとても素敵なことだと思います。だから、メリッサを演じられることがすごく楽しみです」と話す。声優としての活動もしている中川。今回初挑戦となる朗読劇という形式については「演技力と表現力と色々なスキルが兼ね備えられていないと成り立たないですよね。全てを言葉と心で表すというのは本当にすごい。声のお仕事で色々な役をやらせていただいたので、その経験が今回も生かせたら嬉しいです」と語る。『ラヴ・レターズ』を長年支えてきた翻訳・演出家の青井陽治が昨年9月に亡くなり、その跡を藤田俊太郎が継いだ。稽古1回、本番1回が原則というのがこの作品のお決まりなのだが、中川は「めちゃめちゃ不安ですが、試されているような気がしています。中川翔子という名前をお客さんが聞いた時に“え、大丈夫かな?”ではなくて“うん、大丈夫だね”と思っていただけるような人になりたいと思っているので、頑張りたいです」。余談だが、手紙にまつわるエピソードを聞いたところ、中川は「私が後悔しているのは、小学生を卒業する最後のバレンタインデーに、好きだった男の子に“忘れないでほしいでござるよ”という手紙をイラストとともに書いたこと。年に1回ぐらい思い出して消えたくなります…」と話した。中川翔子の出演回は11月14日(水)。そのほか、犬飼貴丈&大野いと(15日(木))、小池徹平&平野綾(16日(金))、寺脇康文&春野寿美礼(17日(土))、味方良介&内田真礼(18日(日))。東京・サンシャイン劇場にて。チケット好評発売中。取材・文:五月女菜穂
2018年11月01日畠中恵の人気小説を原作とした舞台『若様組まいる~若様とロマン~』が10月6日東京・三越劇場で開幕した。旗本出身の下っ端警官「若様組」や西洋菓子職人・皆川真次郎、勝気なお嬢様小泉沙羅を中心とした、明治時代の若者たちの恋模様や奮闘を描いている作品。初日を前にした5日、囲み取材と公開舞台稽古が行われた。【チケット情報はこちら】主人公の若様・長瀬健吾役を演じる入江甚儀は「稽古で培ってきたものをみんなそれぞれが全力を出して、素晴らしい初日を迎えられるようにカンパニー一同頑張りたいと思います」。ヒロインの小泉沙羅役を演じる宮崎香蓮も「稽古でみんなで積み上げてきたものがあるので、みんなのセリフを聞いて、一生懸命明治の時代を生き抜けたらいいなと思います」と意気込む。本作は『若様組まいる』(2016年、天王洲銀河劇場)、『若様組まいる~アイスクリン強し~』(2018年、サンシャイン劇場)と続き、シリーズ第3弾となる。明治24年の帝都東京を舞台に、若手からベテランまで20名を超える俳優たちが若様たちの恋模様を描き出す。芝居の中に時折織り込まれる殺陣やダンス、歌も華やかで楽しい作品だ。入江は「今回でラスト。第1弾、第2弾とみんな全力でやってきて、こうして第3弾を迎えることを本当に嬉しく思う。戦争が起きる前の明治という平和な時代をたっぷりと堪能して、楽しんでいただけたら」と話す。また、宮崎は「前回、前々回で得たものを持って次に行ける良さもあるが、前回を越えなくてはいけないというプレッシャーもある。すごく素敵な挑戦をさせてもらっている。私は小泉沙羅という役がすごく大好き。この時代で女性の地位が低いなか、自分の意見をはっきりと言って前に進む沙羅が、今の時代にも通ずるところがあって、大きな意味があることだなと思う」と語った。上演時間は約2時間(休憩なし)。脚本・演出は村上大樹。出演は入江甚儀、宮崎香蓮、原嶋元久、宇野結也、井澤巧麻、安川純平、伊崎龍次郎、森田桐矢、内藤大希、鎌苅健太、岡田達也ほか。10月21日(日)まで。出演者のトークを名店の洋菓子とともに楽しめるアフターティーパティーも開催。チケット発売中。文・写真:五月女菜穂※宮崎の「崎」は立つ崎が正式表記
2018年10月10日舞台『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』が8月24日東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕した。公演初日前、ゲネプロが公開され、出演するアイドルグループ「けやき坂46」のメンバー10人による取材が行われた。【そのほかの画像はコチラ】本作は、人気アニメ『魔法少女まどか☆マギカ外伝』の世界観を体感できるスマートフォンゲーム『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』の舞台版。主人公の環いろは(柿崎芽実)が、姿を消した妹・うい(國分亜沙妃)を追って新興都市の神浜市にて手がかりを探し始める。そこへ見滝原市の魔法少女・鹿目まどか(丹生明里)もやってきて…というストーリー。けやき坂46のメンバー10人が、芝居・歌・ダンスはもちろん、殺陣にも初挑戦し、メインキャラクターとなる魔法少女たちを演じている。環いろは役を演じる、けやき坂46の柿崎は「私はアニメの『魔法少女まどか☆マギカ外伝』が大好きだったので、今回『マギアレコード』のいろは役を演じるということはとても嬉しくあり、同時に不安もありながらの稽古でした。ゲームファンの皆様からも支持していただけるよう、いろはになりきって演じたいと思います」と意気込む。七海やちよ役の佐々木美玲は「素晴らしい作品に関わらせていただき、すごく光栄です。やちよ役は、いつもの私と真逆なのですが、千秋楽まで一生懸命演じられたらいいなと思います」とコメントした。けやき坂46のメンバーたちは、本物そっくりな本格的な衣装に身を包み、キャラクターの特徴を思い思いに体現。更に、実力派の出演者が脇を固めており、2.5次元ミュージカルとしてしっかりと成立していた。また、映像技術を多用した演出も斬新で、特に戦闘シーンは迫力があった。けやき坂46のファンはもちろん、原作ファンも満足出来る作品に仕上がっている。柿崎、佐々木のほか、富田鈴花(由比鶴乃役)、潮紗理菜(二葉さな役)、渡邉美穂(深月フェリシア役)、丹生明里(鹿目まどか役)、河田陽菜(暁美ほむら役)、齊藤京子(佐倉杏子役)、金村美玖(美樹さやか役)、加藤史帆(巴マミ役)らが出演。9月9日(日)まで。チケット発売中。文:五月女菜穂
2018年08月27日人気YouTuberの素顔に迫ったドキュメンタリー『NET STAR ー再生回数の向こう側ー』の完成披露イベントが2018年8月15日、ヒューリックホール東京(東京都千代田区)で行われた。出演者の「禁断ボーイズ」のメンバーによるトークイベントや握手会が開催され、YouTuberの「よきき」と「くぎけん」が映画のオープニング主題歌『NET STAR』を歌った。会場には多くのファンやYouTuberが駆けつけ、映画の完成を祝った。禁断ボーイズは、いっくん、田中、メサイア、モーリーの関西出身の男性4人組ユニット。2015年3月に前身の「近代ボーイズ」として活動をスタートし、16年4月に改名。2017年3月に動画配信サイト「Youtube」のチャンネル登録者数が100万人を突破し、現在の登録者数は180万人を超えている人気Youtuberだ。ネットの炎上で2017年9月、一時活動休止を余儀なくされるが、同年11月に活動を再開。この映画は、彼らのプライベートの様子、メンバーそれぞれの悩みや思い、次世代動画配信者に向けたメッセージなどが赤裸々に描かれている。この日のイベントで、リーダーのいっくんは「イベントするとすごく元気出るなぁと思いました。これだけ応援してくれている人がおるんやなと思うとすごい嬉しいし、改めて、ファンの皆さんの大切さに気づけるなぁと。これからも頑張っていこうと思います」とコメントした。メサイアは「お金を払ってありがとうございましゅ。ここに来てくださった皆様、ありがたいでしゅね」とファンへの感謝の気持ちを述べ、田中も「1年後2年後、またドキュメンタリー撮れたらいいなと思っています。こんな状況でも会いに来てくれるファンの方は、ありがたいなと本当に思うので、これからも応援していただけたら」と話す。モーリーは「僕らのいろいろが分かる映画やったと思います。俺らの裏側を知った上でこれからも応援していただけたらなと思います」と語った。今後の完成披露イベントは、8月18日(土)、香川県宇多津町のハーモニーホール(ユープラザうたづ内)で午後2時半から開演される予定。映画は9月15日(土)からシネマート新宿とシネマート心斎橋で一般公開される。文・写真:五月女菜穂
2018年08月17日