損害保険ジャパン日本興亜(以下損保ジャパン日本興亜)と一般財団法人リモート・センシング技術センター(以下RESTEC(人工衛星等を利用して、地球の現状を探査するリモートセンシングに関する総合的研究開発、サービス提供を行う一般財団法人))はこのたび、ミャンマーの農家を対象にした『天候インデックス保険』を共同開発した。今後、ミャンマーの保険会社を通じ、2015年度からの販売開始を目指すと発表した。天候インデックス保険とは、天候指標(降水量、気温など)が、あらかじめ定めた条件を満たした場合に、契約上定められた保険金を支払う保険のこと。「アジア最後のフロンティア」として、世界的な注目を浴びているミャンマーは、GDPの約4割を農業が占めているが、近年の気候変動によって、干ばつや洪水などの自然災害が多発しており、農家に多大な被害をもたらしているという。損保ジャパン日本興亜は、気候変動に対する適応策として、ミャンマーの隣国であるタイの稲作農家向けに『天候インデックス保険』を2010年から提供。ミャンマーにおいては、2014年9月に両国大臣が出席する「日緬農林水産業・食品協力対話ハイレベル会合」で、同社『天候インデックス保険』が同国の農業分野に対して貢献できることを紹介し評価を得るなど、これまでミャンマー政府と連携しながら同商品の開発を進めてきたという。しかし、ミャンマーは気象観測のためのインフラと過去からの気象データが十分ではなく、『天候インデックス保険』の開発に大きな障害となっていた。そこで、損保ジャパン日本興亜は、衛星リモートセンシング技術(人工衛星に搭載した観測機器(センサ)を使い、離れた位置から地球表面等を観測する技術)について豊富な知見を有するRESTECとともに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提供する衛星全球降水マップ(GSMaP)(JAXAが提供する全球降水マップの名称。日米欧などの人工衛星データから1時間ごとに作成)等の人工衛星データを活用することで、ミャンマーにおいても、『天候インデックス保険』を共同開発することに至った。人工衛星から推定された雨量を活用した『天候インデックス保険』の開発は、日本初だという。○『天候インデックス保険』の概要保険対象者(被保険者):対象地域の農家対象作物:米、ゴマ対象地域:マグェ管区、ザガイン管区を含むミャンマーの中央乾燥地帯対象リスク:干ばつ(雨季の少雨リスク)補償内容:人工衛星から推定された雨量が事前に定めた値を下回った場合に、事前に定めた金額を保険金として支払う損保ジャパン日本興亜とRESTECは、このたびの対象リスクとなっている干ばつ以外にも、サイクロンや多雨のリスクを対象にした『天候インデックス保険』の開発に着手しており、今後もミャンマーにおける気候変動に適応する商品やサービスの開発を強化していくとしている。
2015年01月06日遺伝子研究への協力者を募集女性の健康情報サイト「ルナルナ」が遺伝子研究を開始する。研究を開始するに伴い、スマートフォンアプリ「ルナルナ」、「ルナルナ ファミリー」の会員を対象に、同研究に協力してくれる人を募集している。「ルナルナ」は、女性専用の健康情報サイトで、株式会社エムティーアイが運営している。この遺伝子研究は、同社の子会社、株式会社エバージーンと医療法人社団薬善会つくば国際臨床薬理クリニックが共同でおこなう。つくば国際臨床薬理クリニックは、20年の伝統を持つ観音台クリニックから引き継ぎ、2010年3月に新たに先進技術を加えて開設された臨床試験受託専門医療機関だ。女性の健康情報サイトを運営する株式会社エムティーアイとは株式会社エムティーアイは、ルナルナシリーズを運営している企業だ。このルナルナシリーズは、「ルナルナ」「ルナルナ ファミリー」があり、女性が携帯で体調管理が簡単にできるサイトになっており、登録者は既に600万人を超えている。サイト登録者は、生理日を毎月入力すれば、具体的にダイエットや美容などの役立つ情報を提供してくれる。同サイトは、妊活・出産・育児までをトータルでサポートをでき、ライフステージにあわせて活用することができる。「ルナルナ」は、今回の遺伝子研究の成果を活かして、女性が今よりも元気でキラキラと輝くことができるように健康情報サイト充実させていくようだ。(画像はルナルナHPより)【参考】・ルナルナ・医療法人社団薬善会つくば国際臨床薬理クリニック
2014年12月29日東芝とIHIは12月25日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「海洋エネルギー技術研究開発 - 海洋エネルギー発電システム実証研究」の共同研究先に採択され、水中浮遊式海流発電システムの実証研究に着手すると発表した。水中浮遊式海流発電システムは、対向回転する双発式のタービンを装備した発電設備を海底から係留して海中に凧のように浮遊させる仕組み。共同研究では、IHIがタービン、浮体などの製造を行い、東芝が発電機や変圧器などの電気機器を製造する。両社は2017年度までに実海域における発電実証に取り組み、近い将来に海洋エネルギー発電技術を実現し、ゆくゆくは海洋エネルギー産業の新規創出と、エネルギーセキュリティの向上に貢献することを目指すとしている。
2014年12月25日ドワンゴは11月28日、社内研究機関として、人工知能に関わる研究を行う「ドワンゴ人工知能研究所」を発足し、人工知能学会理事および副編集委員長である山川宏氏を所長として迎えると発表した。同研究所は、教育、エネルギー、環境、水資源、食糧、貧困、セキュリティなどに対して大きく貢献しうる、高度な人工知能を日本発で早期実現することを目的とし、同社の社風と情報発信力を活用しながら、全脳アーキテクチャや汎用人工知能に関わる研究を、産学官を含む様々な機関と連携し行っていくとしている。また、実現に向けた最速の道筋として、脳の神経科学的知見を参考にしながら、機械学習の組み合わせとしての脳全体の計算機能の再現を目指す、「全脳アーキテクチャ」という研究アプローチを軸として研究を進めていくとのこと。同社は、「この研究活動では、社会と共有できる価値の創造を目指してまいりますので、今後の研究成果については、随時発表の機会を持ち、積極的な外部配信を行ってまいります」とコメントしている。
2014年11月28日PTCジャパンは11月18日、東京大学大学院医学系研究科の研究グループが設計ソフトウェア「PTC Creo」を活用して完全置換型人工心臓の開発を行っていると発表した。東京大学では2003年よりPTC Creoの前身であるPro/ENGINEER設計ソリューションを活用しており、2012年にPTC Creoを導入。PTCのCADソリューション導入の背景として、次世代の完全置換型人工心臓の開発においては回転型非接触血液ポンプを使用するが、動圧軸受の安定性向上に注力することでデバイス全体の性能・効率・耐久性を高め、血流を改善するポンプの形状を目指す上で視覚的な情報共有が必要であったことが挙げられる。また、PTC Creoの3Dモデリング機能は、切削加工や数値流体解析を用いたシミュレーションの実施時にも大きな役割を担っており、2014年10月には、PTC Creoを活用して導圧軸受の安定性の大幅な向上と、溶血や血栓の問題のさらなる改善を実現した。なお、PTC Creoは、日常的な議論においても3Dモデルの断面図や動画により、視覚的にわかりやすい資料の作成と共有が可能になっている。
2014年11月18日大日本印刷(DNP)は11月12日、人とロボットのハイレベルなコミュニケーションを支援する「知能コミュニケーションプラットフォーム」の構築を開始し、第1弾として「音声AIナビゲーションシステム」と「対話型AIシステム」を開発したと発表した。同プラットフォームは、AI(人工知能)を使い、ロボットがイノベーションにつながる知的創造や、人の意図を察した対話の実現など、人とハイレベルなコミュニケーションがとれる知能を実現することを目指すというもの。音声認識や、発想などの知能処理機能をクラウド型で提供し、対話を重ねることで情報が蓄積され、知能レベルや感情を察する精度が向上していく。「音声AIナビゲーションシステム」は、展示会やイベント会場に設置したデジタルサイネージなどに来場者が話しかけることによって、来場者が希望するイベント関連情報などを的確に表示するというもの。会場案内、展示内容、出演者などの情報を動画や静止画、音声で提供する。「対話型AIシステム」は音声によるロボットとの対話を通じて、その言葉に関連する新たな言葉を大量のWebページのデータから自動学習するシステム。その学習結果を蓄積することによって、関連用語や関連情報、意外な発見や気付きにつながるアイデアを提供するという。同社は今後、人とロボットのコミュニケーションに必要な機能を開発するとともに、今回開発したシステムの利便性の向上をはかり、2015年までに「知能コミュニケーションプラットフォーム」の実用化を目指すとのこと。
2014年11月12日NPO法人である日本ユニバーサルデザイン研究機構は11月7日、同日付で組織名を「実利用者研究機構」へ変更すると発表した。同機構は2003年に法人化して以来、通称「ユニ研」として活動を行ってきたが、「活動の中心が『実際の利用者(リアルユーザー)』であることを明確にするため」、組織名の変更を決めたという。8月の社員総会で名称変更を決定しており、10月に所轄官庁へ届け出、2015年2月までに登記も完了する予定としている。新しい略称は、「JITSUKEN(実研)」で、コンセプトコピーは「マジョリティ+マイノリティ。つかう人、ぜんいん。」。なお、組織名の変更にともなって「使いやすさ検証済」の認証マークも変更される。UDコーディネータ資格の認定カードについては、古い認定カードであってもそのまま利用できるとしている。
2014年11月10日日本にはいろいろな研究施設があり、自分が知らないだけで、ある特定の分野を徹底的に研究している人達というのは確かに存在します。睡眠科学もその1つ。今回はこの組織がどのような活動をしているのか紹介したいと思います。日本睡眠科学研究所という組織がある「日本睡眠科学研究所」という組織をご存知ですか?知っている! という方はかなりの睡眠マニアに違いありません。ほとんどの人はまだご存知ないかと思いますが、この研究所を運営する母体であれば知っているという方はたくさんいると思います。その母体とは西川産業株式会社。そうです、あの「ふとんの西川」が1984年に設立したのが日本睡眠科学研究所だったのです。西川産業の「睡眠への質」へのこだわりは当時から凄まじく、「健康は睡眠から、快適な睡眠を提供するのが寝具業界の使命である」という考えのもと徹底的に快適な睡眠を求めていったと言われています。母体は「ふとんの西川」当時、「睡眠を科学する」という発想は非常に前衛的だったそうです。そこで社員だけでなく、大学教授など外部スタッフも招き入れ、業界初の取り組みとしてスタートしました。睡眠の質を上げるためであれば睡眠環境(部屋や寝具)を改良することが頭に浮かびますが、この研究所の凄いところはそこにとどまらず、「寝床内(しんしょうない)」と呼ばれる身体と寝具の間にできる空間をも科学で分析し、研究したというところかもしれません。本当に徹底していますよね。この研究所の結果をもとに西川の寝具は開発され、ユーザーの手元に届けられているのだそうです。4つの研究活動現在、日本睡眠科学研究所の研究活動は下記の4つに定めています。1. 睡眠整理の研究2. 寝室環境の研究3. 寝床内の研究4. 寝具の研究開発1は科学の観点から眠りを解明する研究のこと。どうしたら人はより良い眠りを得ることができるのかを解き明かしているのだそうです。2は快適な寝室環境を解明する研究です。寝室環境といっても、広さや色、照明、湿度など条件はさまざま。それら一つひとつを解析しています。3は身体と寝具の間の温度や湿度などのベストな数値を研究するというもの。4は新しい技術や素材を用いた寝具開発の研究です。今後どのような最新研究が進められていくのか、睡眠に興味のある方は注目してみては?Photo by Nic McPhee
2014年11月09日情報・システム研究機構 国立情報学研究所とNTTは10月30日、人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」において、人工知能「東ロボくん」が代々木ゼミナールの大学入試センター試験の模試に挑戦した結果、英語の成績が平均点を超えたと発表した。同プロジェクトは、センター試験や東京大学の2次試験の問題を解くことで、人間が実際に解く問題を人工知能がどこまで解けるのかを明らかにしようとするもの。具体的に、2016年度までに大学入試センター試験で高得点をマークすること、2021年度に東京大学入試を突破することを目標としている。この中で、英語問題は、自然言語処理、知識処理の統合的な問題を多く含み、一般常識も必要とするため、コンピュータは苦手としているという。NTTの研究所では、同プロジェクトに参画し、英語問題をベンチマークの1つとして用いることで、自然言語処理、知識処理の基礎研究およびその統合技術を高めていくことを目指している。同社チームが取り組んだ英語では大きく点数を伸ばし、95点(200点満点、昨年度52点)、受験者中の偏差値は50.5(昨年度41.0)だった。他教科のチームと共同による全体成績では、国公立大学4校6学部について、合格可能性が80%以上(いわゆるA判定)を得るレベルに到達した。今回、同社研究所で培われてきた言語モデル構築の技術を、英語問題の文法・語法・語彙問題および語句整序完成問題に適用することにより、文法・語法・語彙問題では6問(10問中)、語句整序完成問題では2問(3問中)の問題に正答することができたという。また、話者の意図推定技術や話者の感情を推定する技術を適用することで、会話文完成問題において、1問(3問中)に正答することができ、話者同士の議論内容のまとめを問う意見要旨把握問題では、2問(3問中)に正答することができたという。同社は今後、より広い範囲の問題に対応するための基礎研究の推進とその統合を進めていくとしている。
2014年10月31日ユナイテッドはこのたび、同社の提供するSSP(Supply Side Platform)「AdStir」が、AppierJapanの提供するDSP(Demand Side Platform)「Appier」とRTB(Real Time Bidding)接続したことを発表した。同接続により、「AdStir」経由で広告を配信するメディアは、国内外16ものDSPから入札を受けることとなり、入札競争の活性化と収益の向上が期待できる。また、「AdStir」経由で広告を出稿する広告主は、同SSPが保有する月間350億アドインプレッション(6月時点)を超えるメディアへのリーチが可能となり、よりユーザーに適した広告枠への配信と広告効果の向上が可能となるという。同社は今後、国内外のDSPとのRTB接続を進め、RTBプラットフォームとしての拡大を目指す方針だ。なお、AppierJapanの提供する「Appier」とは、人工知能(AI)とビッグデータのテクノロジーにより、ユーザー使用端末を自動的に感知し、各端末に最適なフォーマットで情報を発信する「クロスデバイスターゲティング」プラットフォーム。開発元となるAppierは、ハーバード大学やスタンフォード大学の人工知能研究所に所属するシステムエンジニアのほか、デジタルマーケターやデータサイエンティストで構成され、本社となる台湾や東京、サンフランシスコ、シンガポール、シドニーに拠点を持つ。
2014年10月23日人工知能を活用したアプリ収益化支援を行うメタップスは9月29日、同社の提供する「metaps(メタップス)」において、スマートフォンアプリストアの分析データを用いたアプリストア最適化(ASO)サービスの提供を開始した。同社の提供するmetapsとは、スマートフォンアプリの集客・分析・収益化をワンストップで支援する開発者向けプラットフォーム。人工知能によるデータ分析を基に、適切なユーザに適切な広告を配信することでアプリ収益の最大化をサポートする。9月29日時点において、同サービスを導入するアプリのダウンロードは、世界で12億を超え、約1億人にリーチできる規模となるという。メタップスは2013年、スマートフォンアプリストアの調査・分析を行う「AppDataBank」を買収し、同社の保有する過去3年分のアプリストアデータを分析。今回提供を開始するサービスでは、同分析を基に、顧客アプリのマーケット内における改善点を提案するという。
2014年09月29日25の大学・研究機関で構成される「大学研究力強化ネットワーク」は9月3日、参加大学などの研究担当理事などが集う全体会議を開催し、これまで進めてきた研究力向上に向けたタスクフォースの概況などを話し合った。また、併せて、研究大学の課題、ネットワークの意義や役割についての記者向け説明会が行われた。同ネットワークは、日本の大学の研究力の向上によるイノベーションの加速や地域への貢献を実現するためには、一部のトップレベルの大学ではなく、科学技術の基盤を支える30程度の大学の研究群による全体の研究力の強化が不可欠という趣旨のもと、自然科学研究機構が世話役となって設立されたもので、参加研究機関が研究基盤を強固にすることを踏まえ、力を合わせて日本の研究力を高めていくことを責務とし、2014年3月5日に第1回の全体会議が開催されて以降、全体会議の下に運営委員会ならびに複数のテーマごとにタスクフォースを作り、運営を行ってきた。こうしたネットワークが形成された背景には、日本の大学に向けた研究開発資金の投資が諸外国に比べて低いということが挙げられる。特に対GDP比で見た場合の研究予算の伸びは海外に比べて低く、比率としては横ばい、ないしは若干の下降気味だが、その一方でアジア・太平洋地域、特に中国が急速に伸びており、アジア諸国が猛烈な勢いで研究・開発力を強化している。また、もう1つの指標として、論文数のシェアを見ると、直近では日本は以前の3位から5位に落としている一方、中国が2位に入ってきていることがあげられる。特に論文誌の格ともいえるインパクトファクターの値が高い論文誌への掲載数が相対的に低下しているという。こうした状況と、日本における研究資金の各大学や研究機関への配分比率はどうなっているかというと、トップクラスの大学などの比率が高く、トップである東京大学を100%とした場合、10位でその15%、20位になると6%とかなり低い額となる。では諸外国はどうか、というと、米国と英国を例にとると、10位では米国が36%、英国でも35%、20位になっても米国が26%、英国17%と、日本と傾斜配分に差が生じていることがわかる。ちなみに、米国はトップ研究機関が1400億円、英国が180億円、そして日本は220億円という金額であり、米国はともかく、予算規模が似通った英国であっても、英国の方がはるかに中堅層に手厚く配分が行われていることがある。この結果として、各大学の論文数シェアを見ると、トップ4の累計シェアの比率はほぼ英国と同じだが、それに次ぐ1%以上を占める大学の割合は日本が13、英国が27と、明らかに状況が異なっていることがわかる。こうした事実を踏まえ、日本全体として研究力を高めていくためには、ある程度の数の大学や研究機関が相応の支援を受ける必要性があるというのがネットワークとしての基本的な考え方となる。また、こうした提言などを行う組織的なものとして、RU11(学術研究懇談会)やURA(リサーチアドミニストレーター)ネットワークがあるが、同ネットワークでは、そうした既存のネットワークとの連携も今後、積極的に行い、大学・研究機関として、本当にどの程度の資金が何に必要なのか、といったことの情報共有などを図っていくとする。しかし、当然、大学や研究機関への資金の大半は税金であり、それを必要だから言い値で欲しい、というのは無理だということえ、行うべきところは共同して行うなど、相互の連携を強化していき、それでも必要となるところを行政に働きかけを行っていくための組織が同ネットワークということになる。同ネットワークでは、「決して国に予算をくれ、という話をするわけではなく、研究力を強化するために、何をするべきかということを問題として話し合う場。例えば、基盤的な光熱水料や消費税の増税、円高に伴う影響、そうした大学や研究機関で共通した問題などをシェアして、政策課題として掲げていくほか、若手の人材育成をどのように行っていくべきか、研究設備を効率よく整備するためにはどうするべきか、これについては、大型の研究設備を例え作ったとしても、その維持・運用にもランニングコストがかかるといった問題もある。そして個々の大学固有の問題などもあり、それらを具体的に話し合うのがこのネットワークという場の意義」とする。現在、同ネットワークにて動いているタスクフォースは以下の4つだという。国際連携国際情報発信キャリアパスコンプライアンス同ネットワークは、決して決定事項に強制力があるわけではなく、あくまで全体的なスキームなどを話し合う場であり、その内容を各研究機関ごとに持ち帰り、独自の運用に生かしていくというものとなっている。また、決して、現在のメンバーだけで運営を行っていく、というわけではなく、ネットワークが有用である、ということが見えてくれば、参加を表明する大学も増えてくると思っているとのことで、ネットワークとしては、そうした大学が増えることを期待したいとしている。なお、同ネットワークの会合に参加していた日本学術振興会の理事である渡邉淳平氏は、今回のネットワークについて「学術振興会は国側の組織だが、大学を中心とした研究の支援を行っている。日本は頭脳で勝負していく科学技術立国でなければいけない。そうした中で、研究力の中心となる大学という現場を見ていると、このままで大丈夫か、という心配があり、こうしたネットワークができ、それが研究力の強化に少しでもつながることになれば」と歓迎していることを表明。現時点での参加大学が22校にとどまったのは、文部科学省の予算の問題なとの兼ね合いがあったためだろうとし、「RU11はトップの大学たちが先駆けて活動してきた組織。しかし、それらトップの11大学だけで、日本の先進的な科学技術を支えきれるということは難しく、それを支えるための組織として、このネットワークが活動していってもらえれば」とした。また、「将来的には30大学、40大学とどこまで参加大学が増加するかは不明だが、日本の科学技術を支えるという自負を持った大学たちが、新たな取り組みを開始させたことは、科学技術立国を標榜する日本が人材の面を含め、今後のテクノロジー・サイエンスの分野にとってプラスに作用するはずだ。特に現在の日本は、研究費用、人、そして研究設備、すべての問題が山積となっている。しかし、そうしたインプット部分がいかに成果物である論文というものにつながるか、というのを目で見えるようにすることは難しく、そこを根本的に見直しことを世に問うのであれば、今、現状、こういう状況で、これがこのまま進めば、こうなっていく、ということをわかりやすく、広く世間に示す必要があり、それがひいては政策にもつながってくる。同ネットワークはそうした大学の実情というところに突っ込んだエビデンスを実態を示していってもらいたい。このままでは本当に大学が駄目になるという危惧を学術振興会で仕事をしながら思っており、こうした組織で、そういった具体的な活動をしてもらうことには大きな意義があると思っている」とし、今後の活動にエールを送っていた。
2014年09月26日(画像はイメージです。Tomomarusan)人工甘味料の歴史1950年代の砂糖不足の時代には、人々は甘みを得るため人工甘味料を使っていました。その頃使われていた、「チクロ」、「ズルチン」は発がん性が見つかり、使用できなくなりました。「サッカリン」は発がん性の有無について論争になりましたが、最終的には認可を受けました。その後毒性試験では問題のない、人工甘味料が作られて、世の中に広まりました。現在は甘みが不足している時代ではありませんが、カロリーを抑えるために砂糖の代用品としての需要が増えています。ワイツマン科学研究所の発表イスラエルのワイツマン科学研究所は人工甘味料は低カロリーであることが安全で使用価値があると思われているが、それを支持する科学的データは少なく議論の余地があることから、人工甘味料の研究を行いました。2014年9月17日にNatureに発表した文献で、ワイツマン科学研究所の研究者たちは、広く使われている人工甘味料は腸内細菌叢の組成と機能に影響を与えることで耐糖能異常を引き起こすことを示しました。人工甘味料による有害な代謝に与える影響は抗生物質によって抑えられることから、腸内細菌叢の変化によると推定しています。代謝病に結びつく可能性がある、腸内細菌叢の代謝経路を人工甘味料が影響を与えることと、天然甘味料が腸内毒素を発生させ耐糖能異常を引き起こすことを健常成人で確認しました。この研究結果より、天然甘味料の大量消費に関しては再検討が必要と警告しています。【参考】・Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota.(人工甘味料は腸内細菌叢に影響を与えて耐糖能異常を引き起こす)Nature (2014) doi:10.1038/nature13793 Published online 17 September 2014
2014年09月26日日本ユニシスと大日本印刷(DNP)は、人間の知的創造活動をサポートすることを目的とした共同研究プロジェクトを開始したと発表した。第一弾として、集団でアイデアを出し合うブレーンストーミング形式の会議において、人工知能(AI:Artificial Intelligence)を活用して、アイデアの創出を支援するシステムを開発し、本年秋から実証実験を行うという。本プロジェクトは、日本ユニシスとDNPの協業の一つで、AIやテキスト情報から関連する言葉を抽出する言語処理技術、インタラクション技術など、両社のキーテクノロジーを融合させ、新規事業や新商品の開発といった知的創造活動を支援する新たなサービスを実現していくブレーンストーミングに代表される会議では、ある一定量にアイディアが達した段階で進行が停滞するケースが多く見られる。そこで本システムでは、ブレーンストーミング中に出された意見のキーワードや文章などを入力することによって、その言葉から連想される言葉や類似する言葉をヒントとして提示する。参加者は、会話をしながら、専用サイトの画面上に、付箋を使ってアイディアを書き出すようにアイデア(言葉)を記入していき、人工知能(AI)を利用したブレーンストーミング支援システムが、参加者の記入した言葉を認識、解釈して、連想される言葉や類似する言葉を提示する。類似する言葉は、日本ユニシスの研究成果として蓄積された86万件のデータベースを応用し、両社で開発した独自のアルゴリズムにより、連想語、類似語、反対語など、多様な観点でヒントを提示する会議で発想したアイデアは、ブレーンストーミングのテーマごとにサーバで保管し、関係者限定で共有することができるという。両者は、2014年秋から両社の社内会議で本システムを利用し、より高い効果を追究する研究開発を進めていく。また、知的創造ワークスタイルを目指す企業や官公庁、学校法人などを対象として、創造性を必要とする会議を、本システムを利用して開催するなどの実証実験を重ね、2015年初頭の製品化と販売を目指す。
2014年06月06日大企業の経営者をはじめ、著名人や芸術家、一流と呼ばれる人には、じつは無邪気な人が多いということをご存じですか? その秘密は、「他人思い」の思考をもっているから。話術や戦略以前に、それは成功に繋がる道であると人工知能(AI)研究の第一人者である黒川伊保子さんは言います。■「他人思い」は人を惹き付けるパワーに「この人に幸せになってもらいたい」「この人を知りたい」と他人のことを無邪気に思っているとき、右脳と左脳の連携が良い状態に。すると、まなざしが深くなり、「この人にまた会いたい」「この人の商品を買いたい」と相手に思わせる磁力になります。悲しいことに、野心があって勉強を重ねた人ほど、数字や損得勘定を司る左脳に加重がかかり、自分のことしか考えられなくなる傾向があります。すると、世の中が思い通りに行きにくくなるのです。イギリスのオーディション番組で、素人だったスーザン・ボイルが最後の勝負に臨んだときのことです。インタビュアーに「これに勝ったらあなたはプロの歌手としてデビューできます。緊張していますか?」と聞かれたとき、彼女は「何で緊張するの? みんな私の友達じゃない」と会場に腕を拡げてそう答えました。すると、会場は割れんばかりの拍手喝采に。これこそが、無邪気さなのです。つまり、ここにいる人たちをみんな味方だと信じきれること。その無邪気な信頼が、本当に会場を味方に付けてしまいました。たとえ、わずかに敵が混じっていても気にすることはありません。要は、自分が最大限の力が発揮できることに意味があるのだから。スーザン・ボイルは、最終バトルには負けたけれど、世界中が知る歌姫になりました。私も2,000人の講演でも全く緊張しません。それは、わざわざ時間とお金を使って来てくれる人を「みんな味方」だと思う感覚があるから。私の話を聞いてつまらないと思われても全くひるみません。それは、私の失敗ではなく、自分に合わない人の講演に来たその人の失敗だから。相手に悪意を持ったり、あとから「ああ言われる、こう言われる」と思わないことが、無邪気な脳にとってすごく重要なのです。子育てをしているとき、こんなことがありました。息子が朝、お腹が痛くて遅刻したとき、これから登校するとちょうど調理実習の時間。「今から行ったら試食だけで心苦しいから行かない」と言うのに対して「あなたの分の食材も用意されていているんだから行きなさい。それで、美味しく食べて、後片付けを人の二倍やること」と言いました。それで人にとやかく言われてもいい、言いたい人には言わせてあげる。そのうち息子は、「そっか、失敗をしたときは相手のリスクを最小限にして、とやかく言いたい気持ちを吐き出させてあげればいいんだね」と理解するようになりました。悪口を言われたらどうしよう、ではなく、「色々言って向こうはスッキリするんだからいいじゃない」、と無邪気に考えていくべきなのです。とやかく言われるのが嫌で、なんとかいい子をし続けているとストレスになるし、人が無邪気に失敗するとめちゃくちゃ腹が立ってしまいます。人は、「失敗してごめんなさい」と言って、とやかく言われるくらいのほうが結局愛されるんだから気にしないことです。相手に悪意があっても信じきったほうが勝ちですから。そのうち相手も裏切れなくなってくるし、周りに味方しかいなくなる。人を信じられるから、結果「他人思い」になれるのです。 特集:黒川伊保子が教える、幸せを呼ぶ脳のつかい方 毎週金曜更新
2014年04月18日富士フイルムは4月7日、静岡県立静岡がんセンターと共同で開発した人工知能の技術を用いて、画像診断をサポートする類似症例検索システム「SYNAPSE Case Match」に、新たに肝臓がんの画像検索機能を加えたと発表した。同製品は、過去の症例データベースから、病変の画像の特徴が類似した症例を瞬時に検索し、似ている順に表示するシステムである。医師は、表示された画像やその診断結果を参考にして、CT画像の診断を行うことができる。富士フイルムは、2012年10月より肺がんを対象に同製品を展開してきたが、対象疾患を拡大して欲しいとの要望が多かった。そこで今回、類似症例検索の対象に肝臓がんを新たに追加した。肝臓がんは、がんの中でも罹患数、死亡数が多い疾患の1つで、肝臓がんの疑いがある患者には、造影剤を使用するCT検査が行われる。肝臓がんは早期発見が重要なため、画像診断医には、CT画像における腫瘤の濃染のパターンや形状などから、肝臓腫瘤を正確かつ迅速に診断することが求められる。今回の「SYNAPSE Case Match(Ver.2.4)」は、静岡がんセンターで蓄積された約1000の肺がんの症例データベースに加え、約300例の確定診断のついた肝臓腫瘤の症例データベースが搭載されている。さらに、導入施設ごとに自院の症例を追加登録して症例データをより充実させることができる。独自の画像解析技術を組み込んだ画像検索機能は、肝臓腫瘤の病変部の複雑かつ多様な画像を、濃染のパターンや形状などの特徴で分類して数値化し、医師が診断の際に留意する観点に基づいて画像の類似性を定量化している。また、画像診断医や臨床医が自院で診断した症例を登録し教育目的に使用できる「ティーチングファイル機能」の他、「電子医学書」などを標準搭載。充実した機能で幅広く医師をサポートする。加えて、同社の放射線読影レポーティングシステムと組み合わせて使うことで症例の管理、実症例を用いた学習への活用を効率的かつ効果的に行える機能を備えている。なお、同製品は、富士フイルムメディカルを通じて5月下旬より発売する。
2014年04月07日ネクスト21、東京大学、理化学研究所などで構成される研究チームは4月7日、3Dプリンタで成形するカスタムメイド人工骨を開発し、臨床試験の結果、ヒトでの有効性と安全性を確認したことから、医薬品医療機器総合機構(PMDA)への薬事承認(製造販売承認)申請を完了したと発表した。外傷などによる骨欠損などの治療としては、日本では自家骨移植が第一選択肢となり、外科的に患者の骨の一部を摘出し、それを移植部の形状に成形するといった作業が行われていた。また、熱処理により焼結した人工骨を成形して用いるという手法もあるが、癒合が難しいといった課題がある。今回研究チームが開発したカスタムメイド人工骨は、3Dプリンタで成形することで、骨内部の構造の設計や0.1mm単位での形状再現が可能なほか、熱処理が不要なため生理的な活性を持たせられることから自骨への癒合が早く、時間の経過とともに自骨へ変化(骨置換)するといった特徴もある。審査にかかる期間は約10カ月程度とのことで、研究チームでは、薬事承認(製造承認)の取得後、ネクスト21が2015年に実用化する予定としており、日本市場のみならずアジア市場への輸出も進めていくとするほか、オランダやカナダの企業とのライセンス契約に向けた交渉も進めているとしている。
2014年04月07日「Esquire」が選ぶ最もセクシーな女性スカーレット・ヨハンソンが、人工知能を有するオペレーション・システムとして“声”のみの出演を果たし、各映画賞で多くの注目を集めている映画『her』(原題)の邦題が、『her/世界でひとつの彼女』に正式決定。6月28日(土)より日本公開されることになった。近未来のロサンゼルス。長年一緒に暮らした妻・キャサリン(ルーニー・マーラ)と別れたセオドア(ホアキン・フェニックス)は、人工知能搭載OSの“サマンサ”(スカーレット・ヨハンソン)に恋してしまう。そうはいっても、“彼女”は実体などなく、コンピューターや携帯画面の奥から発せられる、ただ声だけの存在。けれど、“彼女”は驚くほど個性的で、繊細で、クレバー。それでいてセクシーだった。次第にセオドアは、“彼女”と一緒に過ごす時間だけを幸せに感じるようになり、“彼女“に魅了されていく――。脚本・監督は現代アメリカを代表する若手映画作家、スパイク・ジョーンズ。本作は、『かいじゅうたちのいるところ』(09)以来約4年ぶりの長編映画であり、初の単独脚本作品となる。本作は、去る12月にはナショナル・ボード・オブ・レビュー(米国批評会議賞)において「作品賞」&「監督賞」をW受賞。この「作品賞」に輝いた作品は13年連続でアカデミー賞「作品賞」ノミネートを果たしているだけに、オスカーへの出馬はほぼ確実となった。また、1月12日(現地時間)に授賞式が行われるゴールデン・グローブ賞では、主演のホアキン・フェニックスの「男優賞」始め3部門にノミネート。そのほか、米批評家協会賞で「作品賞」「監督賞」のノミネーション、そして、何と言ってもスカーレット・ヨハンソンが史上初、声だけの出演で第8回ローマ国際映画祭「最優秀女優賞」を受賞しており、オスカーでも各賞をにぎわせる可能性大。主人公セオドアを魅了し、ときに翻弄する “サマンサ”ことスカーレット・ヨハンソンは、人間よりも人間らしく、かつてない魅力を持ったガールフレンド=“彼女”を声だけで熱演。思わず恋に落ちてしまうセオドアの気持ちにリアリティを与えている。これまで誰も感じたことのない、愛おしさと切なさがぎゅっと詰まった、史上初のラブストーリーがついにお目見えする。『her/世界でひとつの彼女』は6月28日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(上原礼子(cinema名義))
2014年01月10日DHA(ドコサヘキサエン酸)は、生活習慣病予防や脳の活性化、知能の発達などに貢献することで知られている。このほど、英オックスフォード大学の最新の臨床研究により、藻由来のDHAを多く食べると、学校成績の標準以下である児童の読解力に向上がみられたことが発表された。12月13日、本研究の臨床試験の主任研究員を務めたポール・モントゴメリー博士が来日し、研究説明会が開催された。ポール・モントゴメリー博士によると、藻類や魚介類に多く含まれているDHAは、最適な細胞信号伝達に不可欠な細胞膜の流動性を高める働きがあるという。脳の発達に良いと認識されている理由として、DHAは脳の乾燥質量の6~10%を占めており、脳の成長や接続性に影響を与えることが挙げられている。また、DHAの欠乏によって視覚処理の初期段階における脳膜の信号が1,000倍以下に低下することがあり、暗視力の低下やその他の視覚、空間注意力関連の処理問題につながるという。今までのDHAに関する研究では、発達性協調運動障害を有する児童にDHAを多く食べさせると、行動・態度に緩和がみられ、読解力も向上するという結果が発表されていた。同大学が2009~2010年にかけて行った本研究は、普通学校に在籍し、読解力が標準以下の児童(読解力が33パーセンタイル以下の7~9歳児)を対象にして行った。対象児は英語を母語とする362人で、1週間に魚介類を2回以上食べていないことも条件としていた。試験期間は16週間で、固定用量600mgのDHA(藻由来)、500mgカプセル(1カプセルにつき、DHA200mgを含有)を1日3カプセルを180人に与えた。また比較研究として、プラセボ(偽薬)も同様に、1日3カプセルの投与を182人に行った。臨床試験の結果は、集団全体ではプラセボを上回るDHAの効果は十分にみられなかったが、読解能力の低い児童(20パーセンタイル以下)では有意な読解力改善が、最も読解力の低い児童(10パーセンタイル以下)ではさらに顕著な改善がみられたという。ただし、行動・態度に関しては、ともに正常範囲内(向上の余地が少ない)という結果となった。DHAを多く含む食物には、藻類の他に魚介類がある。本研究では藻由来のDHAを用いたが、魚介由来のDHAでも同様の結果が得られるだろうとポール・モントゴメリー博士は推測している。また、英国の児童に比べ、日本の児童は比較的魚介類を多く食べていると言えるだろうが、日本の児童においても、同様の結果が見込めるだろうとコメントした。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月17日菌やカビについて調査研究している衛生微生物研究センターは、生活者の多くが菌の増殖やニオイを気にしている「食卓やキッチンの台ふきん」について、雑菌の繁殖状態や菌の拭き取りに関する実態調査を行った。一般家庭13件の台ふきんを回収し、付着している雑菌の数を測定したところ、すべての台ふきんから大量の雑菌を検出した。約8割の台ふきんが10cm平方当たり1,000万個以上の雑菌で汚染されており、もっとも雑菌数が多かったものは、1cm四方になんと2億8,000万もの雑菌が付着していた。これらの台ふきんで食卓を普段通りに水拭きし、その直後の食卓表面上の菌数を調べたところ、水拭き後も約9割の食卓が雑菌まみれだった。しかも、約7割の水拭き後の食卓からは「水拭き前を上回る雑菌」を検出。水拭きだけでは菌を除去して清潔にできないばかりか、台ふきんで増殖した菌を塗り広げるだけだということが分かった。また、調理器具や野菜などをじかに置く調理台を調べたところ、半数の家庭の調理台が、水拭き前から100万個以上の雑菌で汚染されていた。さらに、9割の家庭は、水拭き後も雑菌が減少せず、3例は水拭き前より雑菌が多かった。昨年の調査では、食卓上が食中毒菌で汚染された状況でも、市販のアルコール除菌剤をしみ込ませた台ふきんで拭くだけで、ほぼ0の状態まで菌を除去することが確認されている。アルコールは、大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌のような食中毒菌に対して短時間で殺菌力を発揮するためと考えられる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月05日衆議院は13日、同日の本会議において、「北朝鮮による「人工衛星」打ち上げに抗議する決議案」(小平忠正氏ほか14人提出)を議題とし、佐藤勉氏が、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、新党きづな、みんなの党、国民新党、新党大地・真民主、たちあがれ日本を代表して趣旨弁明を行った後、全会一致で可決した。この決議に対し、野田内閣総理大臣は所見を述べた。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月13日京都府は、不妊治療のうち保険適用外となっている人工授精を受ける人に、年間10万円を上限として助成することを決めた。1月31日発表の11年度一般会計当初予算案に、約2億4千万円の費用を盛り込んだと毎日新聞が報じている。(画像はイメージ)保険適用される投薬や注射では効果がない場合に行う人工授精には、1回に数万円の自己負担が必要となるが、大抵は複数回受けることとなる。期限や回数制限のない助成制度は他になく人工授精への助成は大分県でも実施しているが、助成期間は5年間に限られており、期限や回数の制限を設けていない今回の府の制度は、他に例が見当たらないとのこと。府ではこれまで、保険適用される治療につき年間3万円を上限に助成してきたが、女性1人が産む子供の数が全国で最低レベルとなっていることなどを考慮し、大幅拡充を決めたもの。なお、体外受精などは国の助成制度があるため対象外という。府の「こども未来課」では、不妊治療の患者は府内に毎年3千人以上おり、このうち4割程度が人工授精を希望していると見込んでいる。
2011年02月06日高齢者福祉の研究助成日本興亜損害保険株式会社は4日、同社が1991年に設立した財団法人「日本興亜福祉財団」が行っている、高齢者福祉の研究助成事業の成果を冊子としてまとめ、発行したことを公表した。今回発行されるのは非売品の『ジェロントロジー研究報告 No.9』(B5判、149ページ)と題されるもので、2008年5月下旬から7月にかけて、全国の大学や研究所、高齢者福祉施設の現場関係者などを対象として行われた助成と、そのおよそ1年にわたる研究の結果がおさめられている。助成への応募は全部で51件あり、助成件数は16件。助成の総額は793万円で、平均助成金額は49万円であった。研究は共同のものが7件、個人研究が8件。※画像はイメージ身近で切実なテーマ個別の研究を見ると、目をひくものに富山福祉短期大学看護学科に所属する荒木晴美氏の共同研究「在宅療養者を介護している人の自分自身の終末期への思いへの影響」という切実なものがある。また山梨大学教育人間科学部に所属の岡林春雄氏による個人研究「認知症高齢者は、若者との関わりによってどのように変容するのか」など、全体的にきわめて興味深いテーマが並んだ。本格的な高齢化社会の中、誰もが身近に存在する問題への研究助成事業と言えるだろう。
2010年11月06日