『愛のむきだし』『ヒミズ』『新宿スワン』シリーズなどを手掛ける、園子温監督初の完全オリジナル脚本ドラマ「東京ヴァンパイアホテル」が、夏帆と満島真之介共演で6月16日(金)よりAmazonプライム・ビデオにて見放題独占配信されることが決定。本作は、地球と人類の滅亡を図る吸血族と人類の戦いが描かれ、激しいアクションパートのほか、シリアスから洒脱な演出まで園監督の全てが込められている。22歳の誕生日を迎えるマナミ(冨手麻妙)。彼女をつけ狙う謎の吸血鬼たちから、強力な力を持つK(夏帆)は彼女を怒涛の戦いの中で救おうとする。吸血族から狙われるマナミ、そして不思議な力を持つKは一体何者なのか?物語は怒涛のアクションと銃撃戦で幕を開ける…。その日、若い男女ばかりがホテル・レクイエムに招待される。山田(満島真之介)という謎の男と、奇怪な女帝(安達祐実)とエリザベス・バートリ(神楽坂恵)が、このどぎつく美しい宮殿のようなホテルに住み、ホテルを取り仕切っている。招待された人々は、ホテル内で山田が主宰する全国合コン大会に参加する若い男女たちだ。突如、山田が明日世界は滅び、このホテル内に居る人間だけが助かる道が残されていると宣言。「ここにいる者たちが生き残る!我々の餌となって!」ホテルの下には広大な地下空間が広がり、人間はそこで愛を営み、人類を繁栄させ、女帝と山田ら吸血鬼コルビン族から永遠に食らわれ続けるしか存続の道がないのだという。集められた若者一同は、完璧なシェルターであるホテルで地球と人類が滅亡するのを目の当たりにする。ホテルの外は死の灰で覆われた。絶望する者、ホテルの外へ出ようとする者、コルビン族の支配を覆そうとする者、そしてその支配に甘んじる者。そこへマナミを奪取しようとするKが、コルビン族を滅亡させるべく乗り込んでくる。かくして、人類そして吸血鬼たちの存在をかけた戦いが始まる。人類は生き残り続けることができるのか。マナミはなぜコルビン族とドラキュラ族から狙われるのか?そして、Kの運命は――。園監督が総監督・脚本を務める「東京ヴァンパイアホテル」は、Amazonプライム・ビデオの新たな日本オリジナル番組。主演を務めるのは、『砂時計』『海街diary』などに出演する演技派女優の夏帆さん。不思議な力を持つK役で、初の本格アクションに挑戦!そして、近年アニメーション作品で声の演技も高く評価され、各方面で活躍を見せる満島さんが“謎の男”山田役を演じる。夏帆さんは、「園さんのアイディアで変わっていく現場に食らいついていくのに必死で、毎日混乱状態。驚きの連続でした。こんな現場はいままで経験したことがありません」と撮影をふり返り、「ドラマ、映画の枠を超え、いまだかつて誰もみたことのない、衝撃的な作品が出来上がったと思います」とコメント。満島さんは、「“園子温×ヴァンパイア”このワードで興奮しないわけがありませんでした。いままでのヴァンパイア作品からは想像がつかないような園ワールドを、思う存分感じてほしいです」と期待を煽る。さらに、以前からオリジナルのヴァンパイア映画を作りたいと考えていたという園監督は、「念願が叶って今回アマゾンさんでオリジナルドラマが制作できることとなり、私としては映画を作るのだというマインドで挑みました。いままでのどんな長編映画にもテレビドラマにもなかったものが出来上がったと自負していますので、お楽しみいただければと思います」と自信を見せている。夏帆さんと満島さんのほかにも、新人発掘の名手、園監督が育て上げる注目女優・冨手麻妙、2役の怪役を演じきる安達祐実、園監督夫人であり常連の神楽坂恵ら実力派キャスト陣が脇を固める。本作の撮影は、日本では日活撮影所にて3ステージをベースとして撮影されたほか、ヴァンパイアの故郷ルーマニア・トランシルヴァニア地方の古代の地下道や、ドラキュラ伝説にまつわる城、地下の広大な空間サリーナ・トゥルダなどでロケが敢行された。「東京ヴァンパイアホテル」は6月16日(金)よりAmazonプライム・ビデオにて見放題独占配信(全9話)。(cinemacafe.net)
2017年04月23日鬼才・園子温監督が完全オリジナル脚本で挑んだ最新作『ANTIPORNO(アンチポルノ)』。このほど、主演の新星女優・冨手麻妙が、物憂げに横たわるエロティックなポスタービジュアルが解禁。さらに、浅野忠信主演『淵に立つ』での演技が絶賛されている実力派女優・筒井真理子が、本作で初の本格ヌードを披露していることが分かった。小説家兼アーティストとして時代の寵児となった京子(冨手さん)。極彩色の部屋に籠もり、マネージャーの典子(筒井さん)が伝えるスケジュールを分刻みでこなす毎日。現実と虚構、サディズムとマゾヒズム、自由と不寛容、カリスマと奴隷…寝ても覚めても終わらない悪夢。私は京子なのか?京子を演じているのか?虚構と現実の狭間で、京子の過去の秘密が暴かれていく――。園監督が自身のオリジナル脚本で挑んだ最新作は、製作開始45周年を迎える“日活ロマンポルノ”リブートプロジェクトの一環。そのほか、塩田明彦監督、白石和彌監督、中田秀夫監督、行定勲監督ら第一線で活躍する監督陣が、完全オリジナル新作のロマンポルノを28年ぶりに撮りおろすことでも注目されている。これまで、『愛のむきだし』の満島ひかり、『ヒミズ』の二階堂ふみをはじめ、起用した若手女優や俳優が次々とブレイクしている園監督が、新たに見初めたのは、本作が長編映画の単独初主演となる女優・冨手さん。『新宿スワン』『リアル鬼ごっこ』などにも出演しており、「園監督の作品のためなら脱ぐ」と“裸上等”で難しい役どころに挑戦している。そして、冨手さんが演じる京子のサディスティックな振る舞いを受け止めるマネージャー・典子を演じているのが、本年度カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員賞を受賞した『淵に立つ』での熱演が絶賛されている、実力派・筒井さん。冨手さんと同様、本作で初めて本格ヌードを披露しており、美しく過激な問題作で真の女優魂を見せつける。もちろんカメレオン女優と評されるだけに、幅の広い演技力で本作に堂々たる存在感を残し、物語中盤の“ある仕掛け”にも最大限の効果を発揮。園監督からの信頼も厚く、これまでも多くの園作品に出演。海外資本で製作され日本での公開は未定のオムニバス映画『Madly』の中で、園監督が手がけた短編『Love of Love』では、主演を筒井さんが務め、冨手さんが共演を果たしている。今回、本作から解禁されたビジュルでは、劇中にも登場する絵画(画家・篠原愛による)が使用され、物憂げに横たわる少女・京子が夢みる虚構の世界を表現。新作ロマンポルノに適用されているルール「10分に1回の濡れ場」がしっかりと守られつつも、園流の映画表現が爆発した作品を匂わせている。さらに、本作は12月8日から開催される第1回マカオ国際映画祭へ招待され、冨手さんが参加することが決定。マカオ国際映画祭は、世界3大映画祭であるベネチア国際映画祭など数々の国際映画祭ディレクターをつとめたマルコ・ミュラーが作品を選定し、今年が立ち上げとなる世界の映画関係者が注目する映画祭。本作は“いま”を表現するアジア映画が対象となるガラ部門「Hidden Dragons」に出品される。『ANTIPORNO』は2017年1月28日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年11月15日園子温監督作・映画『新宿スワン』の続編『新宿スワンⅡ』が、2017年1月21日(土)に公開される。原作は、新宿歌舞伎町を舞台に主人公のスカウトマンの成長と、歌舞伎町の裏社会を描いた同盟の人気コミック。『新宿スワンⅡ』は、綾野剛を主演に、伊勢谷友介、山田孝之、沢尻エリカなどのキャストを迎え、園子温監督が実写化した前作『新宿スワン』の続編となる。綾野剛演じる主人公・龍彦と対峙する滝正樹を演じるのは、日本映画界のみならずハリウッドはじめ海外でも強烈な存在感を放つ浅野忠信。『新宿スワンⅡ』では、新たな舞台となる横浜に君臨し、龍彦らと壮絶なバトルを繰り広げる最恐の敵を怪演する。もちろん、新宿バーストのお馴染みのメンバーも続投。真虎役の伊勢谷友介、葉山豊役の金子ノブアキ、関玄介役の深水元基、時正役の村上淳、そして山城神役の豊原功補が引き続き出演する。さらに、自身のキャリアで初となるキャバクラ嬢・小沢マユミ役として広瀬アリスが新たに参戦するほか、映画オリジナルのキャラクターとして全日本酒販売連合会会長・住友役の椎名桔平、上地雄輔、高橋メアリージュン、要潤ら、アクの強い個性派俳優が名を連ねる。【作品情報】映画『新宿スワンⅡ』公開日:2017年1月21日(土)脚本:水島力也監督:園子温原作:和久井健『新宿スワン』(講談社「ヤンマガKCスペシャル」所載)キャスト:綾野剛、浅野忠信、伊勢谷友介、深水元基、金子ノブアキ、村上淳、久保田悠来、上地雄輔、広瀬アリス、高橋メアリージュン、桐山漣、中野裕太/中野英雄、笹野高史、要潤、神尾佑、山田優、豊原功補、吉田鋼太郎/椎名桔平主題歌:MAN WITH A MISSION「Dead End in Tokyo」挿入歌:UVERworld「エミュー」、MY FIRST STORY「Smash Out!!」【ストーリー】スカウト会社・新宿バーストのエース格となった白鳥龍彦は、勢力拡大を目論む社長・山城の命により、幹部の関玄介と共に横浜へと送り込まれる。しかしそこは、タキと呼ばれる男が支配する難攻不落の王国だった。早々に手荒い洗礼を受ける龍彦たち。警察やヤクザとも裏取引をするタキの謀略によって窮地に陥った新宿バーストは、龍彦を破門することで事態を回避しようとするが…。「オレは歌舞伎町の番犬だ。この街守るためだったら何でもすんだよ!」新宿と横浜は全面戦争へと突入。龍彦は逆襲の狼煙をあげる!■巨大龍彦像展示期間:1月11日(水)~17日(火)場所:大阪・道頓堀グリコサイン前■『新宿スワンⅡ』道頓堀イベント開催日時:1月15日(日)13:10~13:30終了予定場所:道頓堀とんぼりウォーク登壇者:綾野剛©2017「新宿スワンⅡ」製作委員会
2016年11月12日オーガニックを五感で感じるライフスタイルストア「ジョンマスターオーガニック トーキョー(john masters organics TOKYO)」にて、「シャリマ・ドゥ・ラ・テフテフ」監修の「1day グリーンスムージークレンズプログラム」第2弾が、7月31日(日)までの期間限定で展開中だ。「1day グリーンスムージークレンズプログラム」(オリジナルクーラーバッグ付きで価格は、5,832円)は、スムージーとローフードのスペシャリスト「シャリマ・ドゥ・ラ・テフテフ」の仲里園子さんと山口蝶子さんが、今の季節にぴったりの3種のスムージーレシピを提案。朝、昼、晩の3回に分けて300mL×6本を摂取し、合計1,800mLのグリーンスムージーのみで1日を過ごすプログラム。オーガニックで旬の野菜やフルーツを種や皮ごとミキサーで混ぜ合わせたスムージーは、ジューサーで搾ったジュースと違い、食物繊維をたっぷり摂取できることから腹持ちがよいのが特徴。1月~3月まで実施された第一弾では、初心者でも無理なくクレンズプログラムを実践できると大好評。今回のレシピは、カルシウム&鉄分豊富でストレスケアにもおすすめのパセリや、夏バテ防止のためのモロヘイヤやマンゴーといった旬の素材、日焼け対策に適したブルーベリーやキウイなどのフルーツがたっぷり摂取できる。初心者には飲みやすく、上級者にもしっかり飲み応えを感じることができるバランスの取れたレシピとなっている。おすすめの摂取方法は、ランチタイムの12時に、夏バテ防止のモロヘイヤやビタミンEが豊富なマンゴーにライムやオレンジといった柑橘系フルーツを加えた「マンゴーライム」をまず摂取。夕方18時ごろには、カリウムが豊富なサラダほうれん草に、ブルーベリーやキウイなどのフルーツをたっぷり加えた「サンシャインベリー」を。翌朝8時には、カルシウム&鉄分が豊富なパセリに、バジルやミント、レモングラスなどの香草系グリーンを加え、グレープフルーツやパイナップルで爽やかに仕上げた目覚めの一杯「サマーハーバルグリーン」を摂取。朝のエネルギーをしっかりチャージ!さらに上級者には、グリーンスムージークレンズ、ジュースクレンズ、グリーンスムージークレンズと3日間、グリーンスムージーとコールドプレスジュースのみで過ごす“3daysクレンズ”もおすすめ。本格的な夏が到来する前に、「1day グリーンスムージークレンズプログラム」にトライして身体の中からすっきりリセットしてみてはいかが?(※効果の体感には個人差があります)(text:cinemacafe.net)
2016年06月16日園子温監督が設立したシオンプロダクションの第1作目『ひそひそ星』と、大島新監督が園監督を追ったドキュメンタリー『園子温という生きもの』が現在公開中で、トークイベントがシネマカリテで連日開催されている。そこで園監督を直撃し、20代の時に手掛けたオリジナル脚本を映画化した『ひそひそ星』について、あふれる思いを聞いた。その他の画像『ひそひそ星』は、静謐なモノクロームの映像で綴ったSF作品。宇宙宅配便の配達員をするアンドロイド(神楽坂恵)が、宇宙船で、人間たちの思い出の品を配送していく。福島県の富岡町・南相馬市・浪江町でロケを敢行した。本作を自主制作の映画として撮った理由について園監督は「商業映画として撮るには、特に困難な映画だったから。『地獄でなぜ悪い』(13)や『ラブ&ピース』(15)は、いつか映画化できるかなと思っていたけど、『ひそひそ星』は、無理かなと思っていた」と述懐する。実際に制作が決まった時も、園監督自身、半信半疑だったようだ。「それは初恋の人の思い出みたいなもの。もう1回会いたいかと言えばどうなのかと。僕にとって『ひそひそ星』はジョーカーというか、最後の切り札みたいなもので。作らないことでモチベーションを保っていた。でも作っちゃったから、今は憑きものが落ちたみたいになってしまった。またゼロから映画を作っていきたい」。さらに「これで、ネクストステージに入った。日本で撮るものについては、慎重に撮っていきたい。そして、次は海外で撮りたい。その理由は、制作費が違うから」と今後の展望を述べる。その一方で、自主映画については「他ではひっかからない映画を撮っていきたい」と宣言。また、今後オリジナルのものしか撮らないと宣言した園監督だが「原作ものは、どうしてもやりたいと思えるものがあれば、やりたくなるかもしれない」と語った。この日のトークショーに登壇した水道橋博士は、『ひそひそ星』について「園子温監督のキャリアの中で、1000年という時を超えた時、この1本となっているかも。園監督は元々詩人で、その適性が生きている」と絶賛。また、『園子温という生きもの』の回では、大島新監督も交え、園監督のプライベートな素顔についてのクロストークで会場を沸かせた。『ひそひそ星』『園子温という生きもの』公開中取材・文・写真:山崎伸子
2016年05月25日2015年には『新宿スワン』『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』『映画 みんな!エスパーだよ!』と4本の新作が公開された、日本でいま最も多忙な園子温監督の最新作『ひそひそ星』、そして、376日に渡って彼を追い続けたドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』が、先週末5月14日より公開となり、それぞれの初日舞台挨拶が新宿シネマカリテにて開催された。『ひそひそ星』は、映画監督・園子温が、本当に撮りたかった“むきだしの作家性”をぶつけた全編モノクロームの野心作。この日、園監督と本作の主演とプロデューサーを務めた神楽坂恵が揃って登場。「今日はこんなに沢山の方に観に来ていただけてすごく嬉しいです」と園監督は喜びをあらわにし、神楽坂さんは「あっという間に公開を迎えた気分です。今日はどうもありがとうございます」とそれぞれ挨拶して、始まった。園監督が本作の絵コンテを作ったのは、いまから25年も前。それを実際に映画化しようとした理由について、監督は「当時、もともとこの映画で商業映画デビューをしようと考えていました。でも、地味でちょっと変わった内容で、自主映画として自分でお金を集めて作ろうと思ったけど、うまくいきませんでした」とふり返る。「ずっと家の机の奥にしまっている状態になってしまっていたんだけど、全ページ全カット、そのとき書き上げていたものをもとに作ったから、製作に25年かかったということではないんです。それが、自分の制作会社として立ちあげたシオンプロダクションの第1作として何を作ろうかと考えたときに、『これにしよう!』と」と、その経緯を語った。実生活でも監督のパートナーである神楽坂さんは、「『ひそひそ星』の絵コンテのことはずっと知っていて、家を引っ越すたび、スゴい量の絵コンテが入った段ボールを大切に持っていたんです」とコメント。「いつ、この映画を撮れるんだろう…と思っていたから、今回、主人公の鈴木洋子役をやれるのはすごく光栄でした」と、伴侶だからこそ知り得るエピソードと自身の想いを明かしてくれた。また、ロケ地が福島であることについて、「『希望の国』でも福島で撮りましたが、今回は風景論として、風景に物語を語らせたいと思っていました。そのことに風景をずっと撮っていて、“こういうものはどうすれば映画になるんだろう?”とずっと思ってたんです。そのきっかけがなかなかなかったけれど、『ひそひそ星』の台本を読み返してみたら、“これは僕のやりたかった福島にぴったり当てはまるじゃないか”と気付いたんです。福島の風景に語らせるということがこの台本ならできるな、と」と、そのきっかけを明かす。本作では、日本家屋スタイルの宇宙船も非常に印象的だが、「スタジオにセットを作ったんですが、100年の映画の歴史の中で、いままでに絶対にない宇宙船を作りたかったんです。25年前の当時はお金もなかったから絵コンテに外観までは書かれていないんですが、今回は日本家屋の宇宙船として徹底してやりました」とこだわりに触れた。さらに、「当時はすごく野心的で、とにかくそれまでに映画でやられていないことを探しまくって、それを中に入れたいと思っていました。観たこともない映画を作りたいという当時の“彼”(25年前の園監督自身のこと)の熱い想いで、なるべく彼の意向に基づいて、絵コンテもほぼ忠実にやっていこうという想いで再現しています」と、当時の自身に寄り添った映画づくりであったことを語る園監督。続けて、登場人物の声が“ひそひそ声”であることについては、「意味というよりも、音楽的な映画にしたかったという想いもあるんです。それから、大きな声で物事を言えなくなるんじゃないかと当時感じていたこと、“ひそひそ”としか話すことができなくなった世相という意味合いもあります」と、この世界観の裏側にあるテーマにも言及した。最後に、園監督は「こんな地味な映画にでも人は沢山来てくれるんだぞと証明したい気持ちもあります」と挨拶。神楽坂さんも「思い入れがあって、撮影後の編集も含めてすごく時間を使ってきた作品なので、公開を迎えた実感がないんですが、本当にありがとうございます」と感激の面持ちで締めくくった。一方、そんな園監督の姿を追ったドキュメンタリー『園子温という生きもの』初日舞台挨拶には、大島新監督が晴れやかな表情で登場、「1年以上にわたって変な珍種の生きものを追い続けました。ほとほと疲れましたが、ここまでたどり着くことができました。本日はありがとうございます」と挨拶をして観客を迎えた。本作はTBS「情熱大陸 園子温」を手掛けた後、改めてドキュメンタリー映画として園子温監督を取り上げたもので、「この“おっさん”はもうちょっと面白いんじゃないかと思ったんです。番組ではスポンサーの兼ね合いでお酒をたしなむぐらいであればよくても、泥酔しているシーンまでは出すことができません。もっとはっちゃけたシーンが撮れるはずだと思ったんです。実際始まってみるとたしなむどころか大暴れで“しめしめ”と思いました(笑)」と、手応えをふり返って語った。この日は、映画を鑑賞した観客から質問も次々と寄せられたが、「TVでも映画でも出せなかったものはあるのか」という問いには、「自主規制したり、何かに遠慮して出さなかったものはありません」と胸を張って応じた大島監督。そして、一番外せなかった場面を聞かれると、園監督の妻でもある神楽坂さんが、本作にも証言者として登場する場面を挙げ、「こういう瞬間ってあるんだなと。普通のインタビューとして始めたつもりのものが…。あの場面はすごく大事にしているし、あえて長く使っています」と見どころを紹介した。最後に、本作と『ひそひそ星』を「どちらを先に観るべきか?」という究極の質問が投げかけられると、「僕はこの映画(『ひそひそ星』)の方が先の方がいいと思ってるんですが、すでにフィルメックスで『ひそひそ星』を観ていた学生がこの映画を観て、『ひそひそ星』の方が先の方がいいのではないかと言われたんです」と反響を紹介。舞台挨拶にかけつけた回の観客は、本作を先に観てしまったことになるが、「『ひそひそ星』の後にもう1回この映画をご覧いただくといいんじゃないかと思います」と、茶目っ気を見せつつアピールしていた。『ひそひそ星』『園子温という生きもの』は新宿シネマカリテほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月16日国内外で絶大な支持を集め続ける園子温監督が、自身の独立プロダクション=シオンプロダクションの第一作目として撮り上げた野心作『ひそひそ星』が、晴れて公開になる。妻・神楽坂恵を主演に迎えた同作は、自身が20代のときに書き留めたオリジナルの物語の映像化で、人間たちに届け物をするために宇宙を旅するアンドロイドの女性が主人公だ。「奥さんを使う作品は、今回で最後(笑)」と照れる園監督、そして神楽坂恵、いまの想いを尋ねた。園監督が“むきだし”の作家性をぶつけた本作は、構想25年を経て完成したモノクロームのSF作品。「第40回トロント国際映画祭」でワールドプレミアが行なわれ、過去の監督作とは異なる趣のミニマルSFの誕生と歓待を受け、「NETPAC賞」を受賞。シネフィルとしても知られる俳優の斎藤工、岩井俊二など各界の著名人が絶賛を惜しまない注目の一作だ。シオンプロダクションの第一作目という記念作だけに、伴侶である神楽坂さんが主演を務め、その門出を祝い、決意を表明することはごく自然なことだと素人は思うが、「神楽坂を出すと、少しは照れるんですよ(笑)。普通の女優さんにお願いした方がいい」と園監督。しかし、ある想いがあって神楽坂さんに決めたそうだ。「そういう個人的な感情みたいなことを越えて、神楽坂じゃないとダメでした。毎回毎回、最後と言っていますが、今回こそ本当に最後かなという感じです」。一方の神楽坂さんは、「最初は事務作業などの裏方で携わっていたんです。途中から出ることになって驚いて(笑)」と経緯を明かす。「シオンプロは少人数なので、運営もしながら撮影に入りました。撮影の準備をしながら、クラインクインの前日は振込をしていましたね(笑)」と自主映画ならではの苦労エピソードも。神楽坂さん演じる主人公・鈴木洋子“マシンナンバー722”は、アンドロイドの女性だ。昭和風のレトロフューチャーな宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、広大な宇宙空間を果てしなく旅する。それは、彼女がいくつもの寂しい星に降り立っては、人間たち一人一人にかけがいのないものを届けるため。すでに滅びゆく絶滅種と認定されている、人間たちのために届けるのだ。なるほど確かに、神楽坂さんが演じる姿を観ていてしっくりくる。なぜなら園監督の身内が演じることで、観客へ映画そのものを届けていることになるから。「実際、何人かの女優さんが手をあげていたけれど、自主映画でセールスポイントを求めてもおかしな話なんです。どこかの映画会社の仕事なら、ともかくですが、この映画の芸術性としては好きなものを撮ることなわけだから、ドライな関係の人が一人でもいると嫌じゃないですか。簡単に言っちゃうと、好きな人で撮るということなんです(笑)。それは恥ずかしいことでもあるので、それを乗り越えていく必要もあったわけです」と園監督。こうしてお金目的でなく始まった映画『ひそひそ星』の撮影は、東日本大震災の傷跡が残る福島県の富岡町・南相馬・浪江町などでロケを敢行。記憶と時間、距離への焦燥などを“ひそひそ”と声のトーンを落とした特異なセリフ回しで描く撮影は、未だ仮設住宅で生活する地元の人々たちなどの協力を得て完遂した。園監督にとって、『希望の国』に続くモチーフではあるものの、「そこに政治的なメッセージは一切ないですよ」と想いを明かす。「福島の風景の映画にしたかったんです。けれども『希望の国』の後、どうしていいかわからなかった。やがて自分のプロダクションの第一作目というときに、これがあるぞと。でも、第一作目にしては実験的すぎるけれども、逆にいろいろと今しかないんですよね。色気を出したエンタメ映画を撮る案などもあったけれど(笑)、これで良かったです。本当に。ロケ地など次に行ったときに、なかったりしますよ。きれいな更地になっていて、何もないの。そういう意味でもメモリアル、記録のためにも撮っておいて良かったと思います」。こうして完成した『ひそひそ星』は、園監督の新たな一面を観ることになるという絶賛意見が飛び交うが、大型の商業映画から先鋭的なインディペンデント作品まで縦横無尽にスクリーンを駆け回る園監督が<本当に描きたかったテーマの作品>となった様相を呈していて、興行収入を第一に考えない作家性と実験性が炸裂した内容は、必見と言えそうだ。ちなみに神楽坂さんの起用は、どうして今回で最後なのか?ご本人も、「最後にしようと何度も思っているみたいですが、私は何度も登場していますよね(笑)」と不思議がる。この点について園監督は「ただ、恥ずかしいということですね(笑)」とうつむくばかりだが、これが本当に最後の作品となると、それはそれで大変なことに!シオンプロダクションの第一作目の『ひそひそ星』は、園子温監督ファンにとって見逃し厳禁の一本だ。(text/photo:Takashi Tokita)
2016年05月11日ワタリウム美術館(渋谷区神宮前)で7月10日まで開催中の「園子温展 ひそひそ星」では、映画本編では描ききれなかった思いを、異なる角度から空間作品へと発展させている。『ひそひそ星』の555枚にも及ぶ絵コンテのみならず、影絵によるプロジェクション作品、渋谷の忠犬ハチ公のオブジェを福島の被災地に置いたインスタレーションなど、その手法は多彩だ。映像、詩、小説、アート、音楽、パフォーマンスなど、ジャンルの垣根なく表現活動を行う園の目に、現代という時代、そこで暮らす人間像は、どのように映っているのだろう。■生の世界と死の世界は変わらないーー「園子温展 ひそひそ星」の影絵によるプロジェクション作品は、映画の最終シーンとも重なるのですが、映画とは違ったメタファーが含まれているのでしょうか?映画の方はセットですが、美術館で作品化する時に、障子紙というもののあり方を強調したいと思いました。あの世とこの世の橋渡し。そのふたつの世界が生命の糸でつながれている。しかし、どちらがこの世で、どちらがあの世なのかというのではなく、どっちも死後の世界であるという発想です。『ひそひそ星』のシナリオを書いた当時は、25年後に福島を舞台に、廃墟の町を撮影するなんて、想像もしなかった。映画に出てくれた福島の人たちだって、25年前は、無人化する前の町で、生き生きと暮らしていたはず。でもそうした福島の町は、いつか失われゆく町なんです。それは、福島だけに限らず、どの町でもそうで、今ここに存在しているこの瞬間だって、100年後には痕跡さえ残らず、われわれも全員死んで、この町も完全に変わっている。あらかじめ、なくなることが運命づけられている。つまり人間は、ある種の幻影の中で生きている。この瞬間もまた幻想、まぼろしであると。そうやって突き詰めると、今ここに存在する町、生きている僕たちと、死後の世界というのは、そんなに変わりないのではないのか。別に悲観的な考え方ではなくて、それが生命の灯火、命のつながりであり、ただ「命」というもののありようを表現してみたかった。ーー映画でも、生の世界なのか死の世界なのか、どちらかわからなくなる時があります。映画のエンディングセットも、影しかないですし、読みようによっては、黄泉の国と思えなくもない。人間の命って、陽炎みたいにおぼろげで、はかないもの。そういう表現として影絵を選んだ。アンドロイドは何百年も生きるけど、人間は100年くらい生きて滅んでいく。そういう刹那を生きている存在なんです。■地球だって宇宙である!ーーこれまでのSF映画では、見たことのない宇宙船が登場しましたね。長いSF映画の歴史があるけど、今までにない宇宙船にしたかった。畳敷きにして、古くさい家具を揃えて、外観もフツーの平屋の日本家屋(笑)。実は地球に暮らしていても、それは宇宙に暮らしていることだって、なかなか気づかないでしょう。月に移住したら、さすがに宇宙で暮らしていることになるけれど、「地球は、地球じゃん」って、大抵の人は思っている。でも、地球だって宇宙なんです。宇宙船の中を極めて日常化することで、地球も宇宙であることを実感できるようにしたかった。宇宙船というと、だいたいハイテクの装備で敵と戦ったりするけど、『ひそひそ星』の宇宙船はいたって平凡。中で爪を切ったり、歯を磨いたり……。■異なる震災・原発の描き方ーー『ヒミズ』(2011年)、『希望の国』に続き、『ひそひそ星』でも震災後の福島を取り上げていますが、前2作とは、また違った描き方をされていましたね。切り口を変えることが大事で、『ヒミズ』は震災・原発の物語の背景に埋め込み、『希望の国』ではジャーナリスティックな視点で取り組んだ。さらに震災直後と今後では風景も変わっていくから、次の機会があれば、違う角度から映画をつくると思います。もちろん、問題は終わらせたいし、続けたいという気持ちもないし、使命も義務もないけれど、今の日本の抱えている問題の大きな比喩になっていることは確かで、やっぱりそこに辿り着いてしまう。ーーありえない風景がこの地上に現れてしまったことへの衝撃はありましたか?ふとどきな考え方かもしれないけど、あの風景が美しいと思うところもあり、同時に陰惨な気持ちにもなる。その両方が福島には存在していて、切ないですね。例えば、無人の町では、最初の1時間くらいは、意外といいな、って思うくらい快適なんです。タバコ吸って、あー、すげー静かだな、いいなーと思って、しばらくすると、だんだんおかしくなって、気が変になってくる。でもまさか、ハリウッド映画に出てくるような風景が、この世に存在してしまう時が来るなんて思ってもみなかった。映画的には既視感のある風景で、世界の終末を描いた『ウォーキング・デッド』のままだし、いろんな意味で不思議な場所だと感じます。ーージャンルの垣根なく、さまざまな表現活動を行われていますが、今後、どのような展開を考えていらっしゃいますか。このところ、たまたま個展を何度もやる機会に恵まれたけれども、アートをずっとやっていこうとは思っていない。しばらくはガッツリ映画をやりたい!という欲求を、最近ひしひしと感じています。【映画情報】園子温監督作品『ひそひそ星』2016年5月14日新宿シネマカリテほかにてロードショー(大島新監督ドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』と同時期ロードショー)【展覧会情報】「園子温 展 ひそひそ星」会場:ワタリウム美術館住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6会期:4月3日~7月10日時間:11:00~19:00(毎週水曜日は21時まで延長)休館日:月曜日料金:大人1,000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円、70歳以上700円前編へ戻る
2016年05月07日世界を挑発し、世の常識に疑問符を投げかけてきた、日本映画界の鬼才・園子温が、25年前に書いたオリジナルの物語『ひそひそ星』を映画化、5月14日に公開する。同作の主人公はアンドロイド。昭和風のレトロな宇宙船に乗り、絶滅種と認定された人間たちに思い出の品々を届けるために、宇宙空間を旅するストーリーである。自主映画として公開されるこのモノクロのSF映画は、最近の園子温の動的なイメージを裏切るかのように、限りなく静かな映像と、独特のポエジーが特徴的だ。元来の詩人としての園子温が『ひそひそ星』に込めた思いとは?■最初は上映する気もなかったーー『ひそひそ星』を自主映画として公開された経緯とは?25年前にシナリオを書いた時は、すぐにでも映画化したいと思っていたのですが、なにぶん資金がなくて。同じく25年くらい前に書いたシナリオですが、『地獄でなぜ悪い』(2013年)や『ラブ&ピース』(2015年)でさえも、映画会社になかなか企画が通らなくて苦戦したのに、ましてや『ひそひそ星』はとてつもなく地味な映画ですから、通るわけがないと思って、あてもなくぼんやりとしていました。そんな中、2013年に自分で独立プロダクションを設立し、自主映画を一本撮ろうと決めました。だったらどの作品を選ぼうかという時に、他にもいくつか候補はあったのですが、やっぱり最初は『ひそひそ星』以外にないんじゃないかと。ーー独立プロダクションの設立は、商業映画界にある窮屈さゆえのことでしょうか?独立プロダクションの設立は、人生の中でやってみたかったことの一つでした。もちろん、映画を撮る体制としてベストですし、自分の会社で、もっとお金をかける映画が制作できるようになれば、それこそ最高ですよね。ーー主役に私生活のパートナーでもある女優の神楽坂恵さんを起用されたのは?『ひそひそ星』は、映画として売る気が全くなかったので、有名な俳優を起用する意味を感じなかった。最初は上映する気すらなかったので、「つくって、はい終わり」という気分で、エンドロールもつけなかった。セールスポイントをつくる必要もないし、関係者やスタッフはみんな知り合いでいい。つまりファミリー感、満載なんです。『希望の国』(2012年)で取材に応じてくれた福島の人たちに出演してもらったのも、個人的な思い入れがあったからです。明らかに一般の人で、台詞も淡々としていて(笑)。でも全然それでよかった。■実は静かな映画が出発点ーー『ひそひそ星』では、「距離と時間に対する憧れは、人間にとって心臓のときめきのようなものだろう」という言葉が、映画自体のキャッチフレーズにもなっていますが、この思いは、ずっと抱き続けてきたものですか?『ひそひそ星』は、25年前に書いたシナリオに、ほとんど変更を加えていません。いろいろなものがどんどん便利になることで、ときめきが消えてなくなる。遠いからこそ、憧れているけれども、それがメッチャ近くなったら、想像力が働かなくなり、どうでもよくなる。フランスが隣町にあったら、その途端、お洒落でも何でもなくなる。よく僕のアトリエにフランス人が1ヶ月くらい泊まるのですが、「下北沢はパリよりカッコイイ!」って(笑)。お互いにそういうものなんですかね。ーー編集とダビングに1年という長い歳月をかけたそうですね?思い残すことがないようにしたかったんです。このところ、ものすごいスピードで映画をつくってきて、それはそれでよいところもあるのだけれども、いろいろと目をつむるところも多かった。自主映画はそういうものがないようにしたいと思いました。ーーこれまで「動」的な映画を数多く撮られていますが、『ひそひそ星』で限りなく「静」の世界を描いた理由とは?そもそも僕は「静」的な映画を撮りたくて、映画の世界に入りました。25年前、デビューをした頃は、静かな映画でいこうと思っていたけれども、なかなか上手くいかない。それからはからずも動的な映画主体になったけど、実は静かな映画が出発点なんです。■いつも心の中に詩を忘れたことは一度もないーー園さんは高校生の頃から詩を書かれていて、『ひそひそ星』はとりわけ詩的な作品ですね?もし詩を書いてなかったら、いまの僕はないと思うくらい、詩は欠かせないものだし、これまでの映画の中にも詩がいっぱい散りばめられている。台詞一つとっても、あの頃、詩で勉強したことが、全部役に立っているな、と思う時がありますね。10代の頃、詩を読み漁っていましたからね。日本の現代詩はもちろんですが、世界中の詩人の作品を読んで、本当に勉強になった。それが根底にあり、いつ何をやっても心の中に詩があり、詩を忘れたことは一度もありません。ーー映画の世界観にも、詩の影響は大きいですか?25年前、僕にとってよい映画とは、オリジナリティー溢れるもので、オリジナルの刻印がない映画はダメだと思っていた。すごくよくできているけど、誰の作品だかよくわからない映画よりは、駄作でもいいから、パッと見ただけで、誰の映画かわかるような作品をつくるべきで、自分もそうありたいと願っていた。その時、僕に何ができるかといえば、映画に詩を取り込むことだった。それが一番、自分のオリジナリティーが出るのではないか。「映画詩」、つまり映画で詩をやりたい。そういう思いで『ひそひそ星』のシナリオを書きました。ーー25年の時空を超えて『ひそひそ星』と対峙する時、制作に対する思いや人生観など、変わった部分、変わらない部分はありますか?全く変わってないところもあるけれど、25年前、このシナリオを書いた本人からすれば、想像もつかないほど、変わったところもある。当時、女の裸が出てくるような映画を撮るなんて、思いもよらなかっただろうし、血が噴き出たり、ゲリラ的な映画をつくる発想はこれっぽっちもなかった。当時の彼からすれば、意表をついた展開になったでしょうね。フォークシンガーでデビューしようとしていたのに、キッスみたいなメイクしてロック歌っているみたいな(笑)。そのくらいの大変化があったと思いますね。後編へ続く
2016年05月06日5月14日公開の園子温による新作映画『ひそひそ星』をもとにした、映画監督・園子温による美術館初個展「ひそひそ星」が、4月3日から7月10日まで東京・神宮前のワタリウム美術館にて開催される。映画『ひそひそ星』は、2013年に設立したシオンプロダクションの第1回制作作品で、25年前に園子温がアパートの一室で描いた555枚の絵コンテを忠実に再現し、撮影された映画である。物語の主人公は、園子温の妻である女優・神楽坂恵が演じるアンドロイド。昭和レトロな宇宙船に乗って、絶滅種と認定された人間たちのために思い出の品を配達しながら広大な宇宙を旅する、静寂なモノクロームのSF作品だ。今回開催される個展では、映画では描ききれなかったイメージをインスタレーション作品として展示する。また、同映画のベースとなった全555枚の絵コンテや映画に使用された小道具の他、90年代に園が行ったストリートパフォーマンス「東京ガガガ」、そこから誕生した「忠犬ハチ公プロジェクト」の新作なども登場する。会期前日の2日には、園子温、同館のキュレーター・和多利浩一、Chim↑Pomのエリイ、卯城竜太によるトークイベントが行われた。実は今回の展示に先駆けて昨年、Chim↑Pomが運営する高円寺のギャラリー「ガーター」にて同展は開催されていたという。和多利氏はその際に「何の策略もなく自由に表現する園さんのアートに感銘を受け、声をかけたことから実現に至った」と、同展の経緯を話す。園監督は自身の作品について「4階に展示した絵コンテ555枚には、僕が未来に描く映画の全てが詰まっている。今回の新作『ひそひそ星』に使ったのは6割くらい」とコメント。「『ひそひそ星』は、(昔と比べて)商業に塗れた僕が、初心に立ち返ろうと決めて自主映画化したもの。25年前に描いたシナリオだから本当は誰にも観せたくなかった(笑)」と明かした。また、映画と個展の独創的な世界を濃縮し、園子温の規格外の魅力を収めた作品集・展覧会カタログ『ひそひそ星』も4月下旬に発売。2万字を超える本人書きおろしの文章と詩の他、映画の芸術的なスチール写真と絵コンテ、「ハチ公プロジェクト」の新作、エキストラとして参加した福島県の富岡町、南相馬市、浪江町の仮設住宅に住む地元の人々の声などが収録されている。なお、映画は5月14日より新宿シネマカリテ他にて上映開始。また、「情熱大陸」で園子温を追った大島新が監督を務め、1年間長期取材を行ったドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』も同時期に公開予定。【イベント情報】「園子温 展 ひそひそ星」会場:ワタリウム美術館住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6会期:4月3日~7月10日時間:11:00~19:00(毎週水曜日は21時まで延長)休館日:月曜日料金:大人1,000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円、70歳以上700円
2016年04月06日常に時代の先端から挑発を投げかける映画監督・園子温。このほど、構想25年を経てようやく結実したモノクロームのSF作品『ひそひそ星』と、“園子温”という人物の生態に迫るべく376日に渡って彼を追い続けたドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』の待望の予告編が、2作同時に解禁となった。映画『ひそひそ星』は、鬼才自ら2013年に設立したシオンプロダクションの第1回制作作品で、『地獄でなぜ悪い』『ラブ&ピース』と同じく、園監督が20代のときに書き留めていたオリジナルの物語を、“いま”を映す映画としてようやく昇華させた。主人公は、アンドロイド・鈴木洋子“マシンナンバー722”(神楽坂恵)。昭和風のレトロな内装の宇宙船に乗り、滅びゆく絶滅種と認定されている人間たちに、大切な思い出の品を届けるために、宇宙を何年も旅をしている。解禁となった予告編で描かれるのは、星から星へと移動する宇宙船の中の、蛇口の水滴やマッチの点火といったさまざまな“音”や、お茶をすすり、丁寧に掃除をし、ぼんやり外を見て過ごす鈴木洋子の宇宙空間での暮らし。彼女が人間たちに届けるのは、1枚の写真やフィルムの切れ端といったささやかなものばかりだ。いくつもの星に降り立っては、かつて人々でにぎわった街や海辺に荷物を届けていく。そして、次の星は、“30デシベル以上の音を立てると人間は死ぬおそれがあります”というナレーションで紹介される“ひそひそ星”だった…。昨年のトロント映画祭で「ミニマリスト・サイファイ(Minimalist Sci-Fi)が現れた」と絶賛された本作は、“ひそひそ”声の静けさの中にどこか終末的な深い哀切を映し出し、独特の詩的表現に満ちた映像となっている。また、映像中に斎藤工、岩井俊二監督らの絶賛コメントも盛り込まれていることにも注目だ。一方、『園子温という生きもの』は、2014年にMBS「情熱大陸」で園監督を追ったドキュメンタリー監督・大島新が、テレビには収まりきらない“規格外”のその人物に魅了され、放送後から1年にわたって撮影を敢行。これまでの園監督の密着ドキュメンタリーとは期間の長さ、濃密さも一線を画すものだ。解禁となった予告編でまず映されるのは、自身のアトリエで自由奔放な絵を手に「人間っていうものは “いい”とか“悪い”じゃないんです」と熱弁をふるう姿。そのほか、目を閉じ考え込む姿、ライブハウスでのパフォーマンス、渋谷駅のハチ公像前で警官に事情聴取される姿など、映画監督にとどまらない園の活動をつぶさにとらえていく。『ひそひそ星』の撮影の舞台裏にも迫り、「いい映画になるかな…」とスタッフに不安げにつぶやく様子も確認できる。また、「若いころの園子温役とか絶対やりたい」と熱く語る『ヒミズ』に主演した染谷将太、「自分のことをよくやったなと思う」と涙ながらに語る『ひそひそ星』の主演女優で妻の神楽坂恵といった貴重な証言も収められている。まさに、描かれるのは普段は見ることのできない、“園子温という生きもの”の記録。さらに、本作のポスタービジュアルも完成し、上方を強くにらみ付ける園監督本人を大きく捉えた、情熱たぎる力強いデザインとなっている。『ひそひそ星』『園子温という生きもの』は5月14日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月25日2014年サン・セバスチャン国際映画祭にて「グランプリ」と「監督賞」をダブル受賞し、スペインの名匠ペドロ・アルモドバルや園子温監督などが絶賛の声を贈る映画『マジカル・ガール』。日本のアニメやサブカルに大きな影響を受けたという新鋭監督カルロス・ベルムトが手がけた本作には、文字どおり2人の“マジカル・ガール”が登場し、男たちの運命を狂わせていく。まさに“魔性の女”ともいうべき女たちが登場する映画に注目した。本作は、独創的なストーリー、全編を貫くブラックユーモア、先読みできない巧みな構成、そして想像を絶するラストが絶賛され、サン・セバスチャン国際映画祭で17年ぶりとなる「グランプリ(作品賞)」「監督賞」W受賞の快挙を成し遂げたスペインの新鋭ベルムト監督のデビュー作。白血病で余命わずかな少女・アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。失業中の父・ルイスは、アリシアの願いをかなえるため、「魔法少女ユキコ」の高額なコスチュームを手に入れることを決意する。だが、この行動が、心に闇を抱える女性バルバラと、訳ありの元教師ダミアンをも巻き込み、悲劇的な結末へと向かうことに――。本作について、ベルムト監督は「脅迫をモチーフにしたフィルム・ノワールを作りたかった」と語る。フィルム・ノワールとは、虚無的・退廃的な志向性を持つ犯罪映画を指した総称で、主に1940年代から50年代にかけてアメリカで作られた犯罪映画のこと。“ノワール”とはフランス語で黒や闇などを意味し、人間心理の暗黒の部分や犯罪の闇をあぶり出していく。そして、多くのフィルム・ノワールには、必ずといってよいほど、男を破滅させる“ファム・ファタール”(運命の女・魔性の女)が登場する。本作におけるファム・ファタールの役割を果たすのは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」ファンの余命わずかな少女・アリシア。そして、謎の過去を持つ妖艶な女性・バルバラだ。ベルムト監督が「『マジカル・ガール』とは、物語を牽引する2人の女性の存在の象徴である」と語っているように、性質の全く違う2人の「マジカル・ガール」たちは、自らの望みを叶えるため、図らずとも男たちの運命を狂わせ、想像を超える衝撃的なエンディングへと導いていく。特に興味深いのは、本作は単なる金銭目当ての“脅迫”をモチーフにしたフィルム・ノワールではなく、「余命少ない娘が欲するアニメのコスチュームを手に入れる」という、ある父親の純粋かつ奇想天外な願いに端を発しているところだ。天真爛漫な12歳の少女アリシアはもちろん、娘の夢を叶えようとするルイスと関係を持ち、元教師ダミアンに人知れない過去を負わせるほどの“魔性っぷり”を発揮しているバルバラ。設定と構成の面白さ、何と言っても近年稀にみる(?)彼女たちのファム・ファタールっぷりは、新たなるフィルム・ノワールの金字塔が誕生したと言っても過言ではないだろう。◆ファム・ファタールたちが生き生き!見逃せない映画の数々ファム・ファタール(魔性の女)の代表的存在といえば、古くは新約聖書に登場する「サロメ」。舞踏の報償として、「何が欲しい?」と聞かれて「洗礼者ヨハネの斬首!」と答える悪女っぷり。また、文学の世界でも、男を振り回して死にまで導く情熱なジプシー女「カルメン」、“ナオミズム”という言葉も生まれるほど人気を博し、美少女ナオミに溺れる男を描いた谷崎潤一郎の「痴人の愛」など、いつの時代も“魔性の女”は人々を虜にする。映画にも、そんな女性たちが生き生きと存在する作品は数多い。●『エヴァの匂い』(’62/ジョゼフ・ロージー監督)『マジカル・ガール』のバルバラも舌を巻く、魔性の女・エヴァ。寒々としたヴェネチアを舞台に、幾人もの男の身を破滅させてきたジャンヌ・モロー演じるローマの高級娼婦エヴァの姿を描く。原作は、ハドリー・チェイスの「悪女イヴ」。フィルム・ノワールの傑作として知られている。●ロリータ(’62/スタンリー・キューブリック監督)『マジカル・ガール』アリシアといい勝負!?最年少のファム・ファタールといえば、彼女だろう。未亡人シャーロットの娘・ロリータは、夏を過ごそうと田舎町で下宿していた。そこで出会った大学教授ハンバートとシャーロットはしばらくして結婚するが、ハンバートは次第に娘のロリータに心奪われていく。母シャーロットは逆上のあまり事故死。ハンバートはロリータを連れて車で旅に出るが…。衝撃のラストが待つ問題作!●『誘う女』(’96/ガス・ヴァン・サント監督)ニコール・キッドマン主演。女の武器は最大限に使い、どんなことをしてでも夢を叶える、実在したコワい女がモデルの本作。天気番組のキャスターであるスザーンは、“テレビに出て有名になる”ことが人生で最も大切であると信じている。そのためにニュース・キャスターを目指していたが、夫は全く理解を示さない。そんな夫が邪魔になってきたスザーンは、ある高校生を色仕掛けでそそのかし夫を殺害させるが…。●『ゴーン・ガール』(’14/デヴィッド・フィンチャー監督)「こんな魔性の女は嫌だ!」ともいえる、『マジカル・ガール』の女性たちとは違った計算しまくりの本作の悪女は、記憶に新しいところ。幸福だと思われていた、とある夫婦。しかし、妻・エイミーが突然失踪。警察と過激化する報道によって、世間は夫・ニックに疑いの目を向け始める。しかし、実際は、全てエイミーの狂気に満ちた用意周到な計画によるものだった…。ちょっぴりコワいけれど、男たちを虜にしながら、自らの欲望を叶えてきたファム・ファタールたち。スペイン発の本作からも、そんなファム・ファタールの魅力に溺れてみるのもいいかもしれない…。『マジカル・ガール』はヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年03月15日『愛のむきだし』『ヒミズ』『新宿スワン』などを手掛ける鬼才・園子温監督が、構想25年を経て結実させたモノクロームのSF作品『ひそひそ星』。このほど、本作をいち早く鑑賞した映画監督の岩井俊二や俳優・斎藤工、作家・羽田圭介など、各界のトップランナーたちによる賞賛コメントが到着した。主人公はアンドロイドの女性。鈴木洋子“マシンナンバー 722”は、昭和風のレトロな内装の宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、静寂に包まれた宇宙を何年も旅している。いくつもの寂しい星に降り立っては、すでに滅びゆく絶滅種と認定されている人間たちに日用品などの荷物を届けるために…。2013年に園監督自らが設立したシオンプロダクションの第一回制作作品として公開される本作。『地獄でなぜ悪い』『ラブ&ピース』と同じく、監督が20代の時に書き留めていたオリジナルの物語をもとに、“いま”を映す映画として満を持して映画化された。主人公のアンドロイド・鈴木洋子“マシンナンバー 722”を、監督の伴侶である女優・神楽坂恵が好演。既に「第40回トロント国際映画祭」で最優秀アジア映画賞受賞し、「第16回東京フィルメックス」ではオープニング作品として日本初上映されるなど、本作への注目度の高さが伺える。このほど、いち早く本作を鑑賞した各界著名人から絶賛コメントが到着。本来ならアンドロイドがすべきでない人間的所作をするアンドロイド・鈴木洋子が劇中何度もする“くしゃみ”に着目するスタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫や詩人・谷川俊太郎をはじめ、福島県の富岡町・南相馬・浪江町にてロケが敢行された本作に、『ヒミズ』や『希望の国』と同様、監督の作品作りと切ってもきれない“被災地・福島”を見て取る美術家・会田誠や、『花とアリス』や近日公開される『リップヴァンウィンクルの花嫁』の岩井監督、アーティスト集団「Chim↑Pom」のリーダー卯城竜太、モデル・栗原類、画家・篠原愛がコメントを寄せている。さらに、感覚的な言葉で本作への賛辞を送る「Chim↑Pom」のエリィや俳優の斎藤さんのほか、写真家の齋藤陽道、「映画秘宝」(洋泉社)の田野邉尚人、「マジンガーZ」「キューティーハニー」を代表作に持つ漫画家・永井豪、作家・羽田圭介、ワタリウム美術館代表の和多利浩一が、それぞれの言葉で本作を絶賛している。また、あわせて本作のポスタービジュアルも解禁。アーティスティックな仕上がりのビジュアルからも、園監督渾身の本作への期待感が大いに高まる。<コメント一覧(五十音順)>■会田誠(美術家)美しい、というのは普通には憚られる、福島の無人になった被災地を、馬鹿っぽいくらい大袈裟なSF的設定によるロケ地にした、この捩れを、重く受け止めました。■岩井俊二(映画監督)アンドロイドも宇宙船もサイエンスフィクションだが、そこに映っている福島の風景だけはノンフィクションである。五感に染み渡る美しく残酷な映画だ。■「Chim↑Pom」卯城竜太初めて観たとき鳥肌が立った。何気ない時間がゆっくりと進むのに、ひと時も目が離せなかった。もしかして全ての日本映画を代表するような作品を目の当たりにしてしまっているのではと興奮したが、今になってその推測は自分の中では確信になっている。本当に凄い。園さんの底なしの表現への誠意と欲望に感動したし、何よりも「SF」であるにも関わらず、些細な生活音から荒れた福島の風景、登場する人々の仕草にいたるまで、そのあまりの「リアル」に驚いたのだ。人間が生活を営むささやかさと、現実が孕んでしまったスペクタクルの恐るべき共存。それはこの世界ではごく当たり前のことだけど、人類はいつもそれを切り離して政治的な物語を歩もうとする。とにかく僕にとって今後この作品は、ポスト3.11、近年の自粛・検閲・監視社会、そして戦後日本の社会と美術を考える上での大きなひとつの指針になるだろう。今でもトラウマのように全編を思い出す。顔が見える人間たちの静けさに対し、機械と影絵だけが笑うことを覚えていた、あのモノトーンの未来を。■「Chim↑Pom」エリィ語るものではない。観て、感じるものだ!一コマ一コマにそれぞれの「感覚」が付随していて、私たちが死んでからもずっと遠くの宇宙空間に共に漂うだろう。私は夫婦という単位を感じなかったが、フィルム全てに含有されていた。この映画の神楽坂恵さんは日本女性全ての象徴・憧れをもたらす。■栗原類(モデル)今作の最大のテーマ“福島”についての園さんの思いが伝わりました。物語は宇宙船に乗って様々な星に郵便物を届けると言う設定で全編モノクロと言うかなりSFっぽい部分があるのですが、福島で撮影したシーンになったら急にカラーに変わり、その瞬間に“これは映画ではなく現実だ”と感じさせられます。劇中に出てくる廃墟の中にいる人達は実際の福島の方々なので彼らが言う言葉の説得力はプロの人達の芝居では出せない力があります。深くは語らず、“どう感じる”かを自問自答させる、今までに無い園子温映画です。■斎藤工(俳優・監督)ひそひそ声は耳を傾けなくては聴こえないひそひそ星は心を傾けなくては観えてこない五感を捧げる事で他のどの園作品よりも園子温と言う作家の核に触れた気がした同じ宇宙を描いた大作映画もいいがこれも劇場で体感すべき凄まじい作品■齋藤陽道(写真家)「おはよう」と声をかけて「さよなら」と別れる。そのあいだで煌めくものは何もおこらない、劇的な日常だった。ぼくらには記憶がある。記憶は宇宙を越える。そのことを教えてくれる。■篠原愛(画家)「忘れないで。」「覚えているよ。」福島を撮り続ける監督の思いは時空をこえて、ひそひそと語り綴られる。■鈴木敏夫(スタジオジブリプロデューサー)クシャミをするのは男ではなくて女。この映画をみながらふと谷川俊太郎のことを思い出した。傑作です。■谷川俊太郎(詩人)二十億光年の孤独にアンドロイドもくしゃみをする■田野邉尚人(映画秘宝)『ひそひそ星』は科学ですらも永遠ではないという究極のSF映画だ。園子温は詩的創造力でこの映画の原型をイメージした。それから30年近い時間が経ち、文明が寂しく終わるビジョンがリアルになった。大声で世の終わりを叫ぶのではなく、ささやくようにアンドロイドがノーフューチャーの宇宙を旅する。とても静かなパンク。■永井豪(漫画家)人類の終焉に思い出の品を届けるアンドロイド。美しいモノクロ映像が描く、時が止まったような世界。心に染み入る“名作”の誕生!!■羽田圭介(作家)10年前、『紀子の食卓』『気球クラブ、その後』を観た時の衝撃が蘇った。あの頃よりもっと自由に作られているというエネルギー感と、そして洗練された技巧。タルコフスキーっぽさは表層的なもので、本作は近年公開された中で最も進化し洗練された園子温作品だ。■和多利浩一(ワタリウム美術館代表)正反対の要素が混在する映像未来と懐かしい過去身近と遥か彼方の星での出来事そして娯楽とアートの共鳴驚きの園子温映像でした。『ひそひそ星』は5月14日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年03月11日『冷たい熱帯魚』(11年)、『自殺サークル』(01年)などで知られる映画監督・園子温氏にスポットライトを当てるドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』が、5月14日に公開されることが15日、明らかになった。構想25年を経て結実したというモノクロームSFである最新作『ひそひそ星』の公開を本作と同日の5月14日に控える園子温監督。本作は、世間の"常識たるもの"に疑問を投げかけてきた園監督その人を捉える。メガホンを取るのは、2014年にMBS系で放送された『情熱大陸映画監督・園子温』を手掛けた大島新監督。地上波では園子温の面白さは伝えきれないと、映画化を決意したという。ニッチなカルト監督と見られていた園監督の生活は、50歳近くまで食うや食わずの状態だったが、『冷たい熱帯魚』、『ヒミズ』(12年)から『新宿スワン』(15年)までの5年間で大きく変容。国際映画祭での賞取りの常連にもなり、結婚も果たし、突然、メディアへの露出、小説の執筆、絵画、バンド活動をも始めるようになった。そんな生きざまを捉えながら、妻の神楽坂恵をはじめ、染谷将太、二階堂ふみ、田野邉尚人(映画誌『別冊 映画秘宝』編集長)、安岡卓治(映画プロデューサー)、エリイ(Chim↑Pom)など縁の深い人物らの証言も交えて、"生きもの"としての園監督を映し出す。大島監督は、2014年で園に迫った『情熱大陸』を「番組は園の映画への熱い思いや『俺の映画』を作っているという自負、そしていたずらっ子のような素顔を映し出し、視聴者や関係者から大きな反響を呼んだ。私としても内容的に満足のいくものだった」と回顧。しかし、同時に「テレビ番組という枠組み、正味24分という尺の中では、園という人物を充分に描き切れなかった」という思いもあったと打ち明ける。続けて、「そもそも『地上波でのテレビ放送は一度もない』」と園監督作品を振り返り、「人間としての園も、映画同様、テレビサイズには収まりきらない魅力(と、ハチャメチャさ)にあふれていた」と深い感慨を口にする。さらに、「いま、世界基準の日本人映画監督とは誰なのか」と疑問を提起しつつ「残念ながら、かつての黒澤明、小津安二郎、今村昌平、大島渚といった作家たちと同じような存在感で語られる日本人監督はいなくなってしまった」とさえ断言。その上で、「いや、ひとりいるではないか! 国内よりも海外での注目度が高い超個性派カルト監督」「毀誉褒貶(きよほうへん)も多く、時にボロクソに言われることも彼にとっては褒め言葉」「そう遠くない未来に、世界基準となる可能性」と矢継ぎ早に語りながら、園監督を形容する。その上で、本作を「稀有な才能を秘めた珍奇な生きものの記録である」と表現している。(C)2016「園子温という生きもの」製作委員会
2016年02月16日オーガニックを五感で感じるライフスタイルストア「ジョンマスターオーガニック トーキョー(john masters organics TOKYO)」に、日本におけるグリーンスムージーの第一人者である姉妹ユニット「シャリマ・ドゥ・ラ・テフテフ」監修のグリーンスムージークレンズプログラムが1月21日(木)から3月31日(木)まで限定発売される。春は、冬の間に溜め込んだ老廃物をデトックスするために、今話題の「クレンズプログラム」の効果を試すのにぴったりのシーズン。表参道にある「ジョンマスターオーガニック トーキョー インナーバー」では、四季折々の野菜や果物をふんだんに使ったオリジナルレシピのコールドプレスジュースやスムージーなどのドリンク類と、ヘルシースイーツを提供している。今回、「シャリマ・ドゥ・ラ・テフテフ」とのコラボレーションで誕生した「1day グリーンスムージークレンズプログラム」では、スムージーとローフードのスペシャリスト「シャリマ・ドゥ・ラ・テフテフ」の仲里園子さんと山口蝶子さんが提案する3種のスムージー300mL×6本、合計1,800mLで1日を過ごすプログラムとなっている。オリジナルクーラーバッグ付きで価格は、5,832円。春菊、ゆず、しょうが、みかん、りんごなど、冬が旬のフルーツをたっぷり摂取できる「ユズジンジャーグリーン」、小松菜、りんご、キウイ、バナナに、シナモンを配合した「スパイシーシナモン」、パセリ、ミックスベリー、オレンジ、バナナ、デーツで、女性に不足しがちな鉄分やポリフェノールも摂取できる「ビューティーベリー」の3種を用意。お正月の暴飲暴食や、度重なる新年会などで負担がかかった胃を休めるのにぴったり。ぜひこの機会に、話題のジュースクレンズを試してみてはいかが?(text:Miwa Ogata)
2016年01月20日モデルのトリンドル玲奈、元AKB48の篠田麻里子、女優の真野恵里菜がトリプルヒロインを務めた園子温監督作『リアル鬼ごっこ』(15年)が11月、スペイン・マラガ・ファンタスティック映画祭で"最優秀作品賞"と"特殊効果賞"を受賞した。同映画祭で日本映画が受賞に至ったのは、本作が初となる。映画祭は、スペイン・アンダルシア地方最大で、スペイン国内外問わず、多くのジャンル系映画を世界に広めることを目的として行われている。1990年、ジャンル映画の見本市として初開催され、今年が25周年目。カンヌ映画祭のマーケットで、本作を鑑賞したスタッフが「この映画をスペイン・マラガ・ファンタスティック映画祭でも上映しなくてはならない」という強い思いを抱いたことからエントリーが決まった。グランプリ受賞の背景は、漫画の美学が実写映画に取り込まれている点が高く評価されたことから。審査員であるマラガ在住の文化人らも、「オリジナル脚本を大変気に入った」と語っているという。2015年度の映画祭は本作のほか、"最優秀監督賞"に『黒衣の刺客』(15年)のホウ・シャオシェン監督、"最優秀女優賞"に『Office』(15年)のコ・アソン、"最優秀男優賞"に『Cop Car』(15年)のケビン・ベーコンなどのキャストやスタッフが受賞に至っている。原作は、2001年に発刊され発行部数200万部を突破した山田悠介氏による同名小説。"全国の佐藤さん"が鬼に殺されるという斬新な設定のホラーで、映画化もされ、中高生を中心にブームを巻き起こした。本作では、ターゲットが"全国の佐藤さん"から"全国のJK(女子高生)"に変わっている。映画は先月20日にBlu-ray・DVDが発売され、現在レンタル中。(C)2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会
2015年12月16日バイタミックス・コーポレーションはこのほど、ローフードのスペシャリストを招へいし、「 秋・冬の気軽なローフードライフ」を提案するセミナーを実施した。同社は今月から、日本の消費者が食生活に多くの野菜を取り入れる活動を推進するため、厚生労働省が実施する「Smart Life Project(スマート・ライフ・プロジェクト)」に参画している。同イベントはその一環として行ったもので、ローフードのスペシャリストである仲里園子氏、山口蝶子氏を招いて行った。ローフード(Raw Food: 生食主義)は健康的な食生活の一つとして、1990年代後半からアメリカの西海岸エリアを中心に始まった食事方法のこと。生もしくは48℃以下で低温調理した食品を中心に食べることにより、高温加熱によって失われがちな食材に含まれる栄養素や酵素を最大限に摂取することができるとされている。現代人が不足している多くの栄養素を補えるとのこと。日本では昔から漬物、納豆、焼き魚、大根おろしなど、酵素を取り入れる食生活が根付いている。しかし仲里氏によると、現在は食生活が欧米化し、生の野菜やフルーツの摂取量が不足しているという。「本当は日本人にも親しみがあるローフードというコンセプトを取り入れ、気軽に健康的な食生活を送ることをおすすめします」と仲里氏。日本人に合ったローフードの取り入れ方は、「国産の旬の食材を取り入れること」が大切とのこと。ローフードを取り入れると体が冷えるという意見もあるが、暖かい地域の食材は体を冷やすものが多いため、日本の冬にとれる食材をできるだけ取り入れることがいいという。また、生の食品は消化されやすいと言われており、グリーンスムージーであれば食後よりも食前、サラダであれば食事の初めの方に食べるのがおすすめとのこと。なお、会社員におすすめのローフードの摂取方法として、朝食の代わりにグリーンスムージーを取り入れることを挙げている。慣れてきたら、サラダを弁当に持って行くのもいいという。外食の夜は好きなものを食べ、たくさん食べ過ぎてしまった翌日は、午前中だけでも葉野菜とフルーツのグリーンスムージーで過ごすのもよいとのこと。さらに、甘いものが好きな人には、乳製品、小麦、卵や白砂糖を使わないロースイーツをすすめている。ナッツやフルーツ、ドライフルーツ、生はちみつなどの体にやさしい甘味料を使っているので、満足感が得やすいとのこと。秋はぶどうやなし、柿などの果物が旬を迎えるので、ローフードを取り入れるのに適した時期だという。一方、初心者へのアドバイスとして、難しく考えず、まずはグリーンスムージー1杯から気軽に試してみることを提案している。継続して楽しむには、無理をしないことが大切とのこと。1日1杯のグリーンスムージーや、サラダや漬物など生のものを1品用意するなど、取り入れやすい方法を見つけて「楽しむ」ことが継続の秘けつとしている。なおローフードの効果について、のがたクリニックの渡辺幸康医院長は、「ローフードが効果的なのは、便秘がひどい、おなかがはるといった胃腸症状を持った人です。その他には、骨粗しょう症や痛風の人にも効果が期待できます」と語っている。骨粗しょう症や痛風は、体が酸性になることによって起きる病気のため、体をアルカリ性にするローフードを摂取することによる効果が見込めるという。「わずか20年の間に、骨粗しょう症や痛風になっている人が2.5倍から4倍に増えている現実があります。ローフードの摂取で劇的に改善されるのではないかと思います」と期待を寄せた。
2015年10月10日『ラブ&ピース』『新宿スワン』など話題作が次ぐ鬼才・園子温監督が、自ら設立したシオンプロダクションの第一作目となる作品『ひそひそ星』が11月に開幕される「第16回東京フィルメックス」のオープニング作品として上映されることが決定した。主人公はアンドロイドの女性。鈴木洋子“マシンナンバー722”は、昭和風のレトロな内装の宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、静寂に包まれた広大な宇宙空間を果てしなく旅している。いくつもの寂しい星に降り立っては、すでに滅びゆく絶滅種と認定されている人間たち一人一人にかけがいのないものを届けるために――。本作は、構想25年を経て完成したモノクロームのSF作品。先月、「第40回トロント国際映画祭」でワールドプレミアを行い、『希望の国』『地獄でなぜ悪い』『TOKYO TRIBE』とはまったく異なる趣のミニマルSFが現れたと歓迎され、NETPAC賞を受賞したばかりの本作。主演を務めるのは園監督の伴侶であり、『みんな!エスパーだよ!』「警視庁捜査一課9係」(テレビ朝日)などに出演していた神楽坂恵。そのほかカリスマ・ミュージシャンの遠藤賢司、ベテラン女優の森康子らが数少ない“人類”の役で出演する。本作は国内外で絶大な支持を集める園監督が、20代のときに書き留めていたオリジナルの物語。東日本大震災の傷跡が残る福島県の富岡町・南相馬・浪江町に赴きロケを敢行し、未だ仮設住宅に住む地元の方らの協力を得て、記憶と時間、距離への焦燥を、“ひそひそ”と声のトーンを落とした特異なセリフ回しで描き出す。園監督自身の独立プロダクションで、むきだしの作家性をぶつけた珠玉の野心作。大型の商業映画から先鋭的なインディペンデント作品まで、縦横無尽にスクリーンを駆け回る園監督の新たな一面を見ることができそうだ。『ひそひそ星』は、2016年日本公開予定。(cinemacafe.net)
2015年10月07日『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』、『映画 みんな!エスパーだよ!』と公開作が続く園子温監督が2014年に自ら設立したシオンプロダクションの第一作目作品『ひそひそ星』が、現在開催中の第40回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映され、園監督と主演の神楽坂恵が舞台挨拶に登壇した。『地獄でなぜ悪い』(’13)『ラブ&ピース』(’15)に続き、園監督が20代の頃に書き溜めていた脚本と絵コンテをもとに制作され、構想25年を経て実現したモノクロームのSF作品『ひそひそ星』。2014年に撮影された本作は、園監督の妻である神楽坂恵を主演に迎え、馴染みのスタッフで作り上げられた初の独立プロダクション作品となっている。9月15日(現地時間)に行われたトロント国際映画祭でのワールドプレミア上映は、遅い時間だったにもかかわらず、客席450席はほぼ満席の大盛況!構想までの経緯を尋ねられた園監督は、「自分が常に抱いている孤独に関する、人間の孤独に関することがテーマでした」と当時をふり返り、「普段の映画では描かない、蛇口をひねるだったり、お茶を飲むという日常の詳細、常に我々が繰り返している動作をSF映画で強調するということに重点を置きました。普通のSF映画だと、すぐに敵が現れて、宇宙船は戦うのが常ですが、どんなものにも日常があり、宇宙にいながらも、地球にいるのと変わらない日常があるということを描きたかった」と語った。さらに会場からは、なぜ今回モノクロを選んだのかという質問が飛び、園監督は「色んなものをそぎ落としたかった。音の作業も一年間やっており、いらない音はどんどん削った。台本の段階でもセリフをどんどん削りました。いらないものはできるだけそぎ落とした結果、モノクロになりました」と明かした。最後に「これは記憶に関する映画です。人間というものは、他愛もないものに思い出を持つもので、空き缶や、写真や。ロボットには分からないけれど、少しずつ何かに思い入れがあって、それがこの映画のテーマでもあります」(園さん)「トロントの人たちはとっても暖かくて、ひそひそ星をここでプレミアできて本当に嬉しいです」(神楽坂さん)とそれぞれに観客にメッセージを送った2人。舞台挨拶は深夜に行われたにもかかわらず、ほとんどの人が残っており、現地での園監督の人気の高さが伺われた。『ひそひそ星』は2016年、日本公開予定。(text:cinemacafe.net)
2015年09月16日元AKB48で歌手の板野友美が、俳優・染谷将太主演の園子温監督作『映画 みんな!エスパーだよ!』(9月4日公開)にカメオ出演していることが30日、明らかになった。本作は、漫画家・若杉公徳の同名漫画を原作に、2013年4月よりテレビ東京で連続ドラマ化された『みんな!エスパーだよ!』の劇場版。映画では、主人公・鴨川嘉郎(染谷将太)らエスパーたちが能力に目覚めた理由が明らかになるとともに、チームエスパーが迫りくる世界危機に立ち向かう姿が妄想混じりで描かれる。嘉郎らチームエスパーの憩いの場、喫茶シーホースのご近所のスナック店員・エリ役で出演する板野。自分たちが世界を救うヒーローかもしれないことを知ったエスパーたちが開く"エスパー・パーティー"のシーンに登場する。本作は、池田エライザや高橋メアリージュンをはじめ、華やかな女性キャスト陣が着こなすセクシー衣装でも話題となっており、板野も大胆なミニスカート姿を披露し、チームエスパーの面々を魅了する。今回の板野の出演は、園監督からの直接オファーがきっかけ。園組初参加の板野は「監督の映画のファンだったので、今回作品に参加させていただき、とてもうれしく思います。ちょっと過激なところも多いですがすごく見応えある作品です!皆さんもたくさん笑って観てください」とコメントを寄せている。(C)若杉公徳/講談社(C)2015「映画 みんな!エスパーだよ!」製作委員会
2015年07月31日韓国で開催中の第19回ブチョン国際ファンタスティック映画祭(略称BiFan)で、22日(現地時間)に園子温監督が“I AM (NOT) SONO SION”と題したマスタークラスを行い、映画祭プログラマーのアリス・ユー氏の進行のもと自作について70分以上に渡り、熱く語った。ジャンル映画の祭典であるBiFanでは、園監督の人気はとても高く、過去には審査員を務めたことも。今回も500人以上入る富川市庁舎ホールは超満員だった。「園子温監督といえば?」というキーワード・ウォールには、「アブノーマル」、「暴力」、「SEX」といった数々の刺激的な言葉が並んでいたが、これを見た園監督は「ここに並んだ単語で映画を作ってみようかな」と語って観客を沸かせた。「実際、これらの言葉が今までの僕だとしたら、来年はまったく違う映画を作ってみたいし、一方でシンボル的にこれらのものをそのままぶつけて撮ってみるのも面白い」と語り、観客の反応を楽しんでいた。また、「血は大嫌い。指に一滴の血を見ても嫌だし、僕自身は暴力は嫌いです」と答えると、観客は大爆笑。「『自殺サークル』など映画の中で流れる大量の血は、傷ついたことや、道に迷っていることを表すための比喩なんです」と語った。今回上映された最新作『リアル鬼ごっこ』と『ラブ&ピース』のスタイルが正反対であることについて聞かれると、「僕はピカソが大好き。次から次へとタッチを変え、これが自分だと決めつけない彼のようなスタイルが好きなんです。常に前回と180度違うものを作りたいし、ちょっと実験的でありたい。これが自分のスタイルだ、と将来決めるかもしれないが、まだ僕はそこに達してはいない」と答えた。BiFanでは今年、園子温特集として『自殺サークル』、『愛のむき出し』他、全8作品を上映。24日の『恋の罪』の上映では、同作で知り合い結婚した園子温夫人の神楽坂恵と共に舞台挨拶を行った。神楽坂さんは韓国訪問が初めてで、その熱い歓迎ぶりに感激の面持ちだった。(photo / text:Ayako Ishizu)■関連作品:リアル鬼ごっこ 2015年7月11日(土)より全国にて公開(C) 2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会
2015年07月25日日本映画界の“劇薬”園子温の下、映画『ラブ&ピース』で主人公&ヒロインを演じた長谷川博己と麻生久美子。映画はいったいどんな凄まじいシロモノになっているのか…?完成した作品を鑑賞しての感想を尋ねると「ジーンとしてしまいました(笑)」(長谷川さん)、「なぜか泣けてきたし、子供に見せたい映画だなって感じました」(麻生さん)と、意外にも返ってきたのは感動コメントである。LOVEあり!ロックあり!初の特撮技術を用いた意欲作にして園版“トイ・ストーリー”!?なぜ泣ける?長谷川さんと麻生さんにたっぷりと話を聞いた。うだつの上がらない会社勤めの生活を送る鈴木。ある日、1匹のカメに惹かれるものを感じ“ピカドン”と名付けて可愛がるが、周囲の嘲りに耐え切れず思わずトイレに流してしまう。ピカドンは、捨てられたおもちゃたちと地下で暮らす謎の老人(西田敏行)に拾われるが、そこからピカドン、そして鈴木の運命が大きく動き出す…。サエないサラリーマンから、ロックミュージシャンとしてスターの階段を駆け上がり、自己を肥大させていく鈴木。長谷川さんは「やはり、誰もがうだつの上がらない時期というのがあり、そこから上がっていくことを夢見る――そういう願望はみんな、どこかしらで持っていると思うし、そういう意味で共感はありました」と語る。長谷川さんにとっては『地獄でなぜ悪い』に続く園組だが、園監督との関係はさらに数年をさかのぼる。「『紀子の食卓』(2006年公開)を見て、出演させてほしいとメールを送ったんです。まだ僕自身、映画にも全然、出ていない頃です。内側にある過剰な“何か”を発散しているような感じがして、その時、僕はまだ20代でしたが、そういうのがすごくやりたくて、園さんの映画に出たらそれができる!って気がしたんです。園さんの映画はどれも私小説的だと思いますが、そういう意味でも共感できるんですよね。前回もそうだったんですが、役に入り込むと負のオーラが出てきて、イヤな気持ちになってくることがあるんですよ(笑)。そこまで行っちゃうと『もうイヤだ!』ってなるんですけど、でもそれは実はすごくいい経験で、いいところに到達できているのかも…と思えるんです。そういう園さんの魔力のようなものを感じて、一緒にやりたいと思うんです(笑)」。麻生さんが「子供に見せたい」と強く感じたのは、自身が出演していない西田さん演じる老人と捨てられたおもちゃたちの地下のパート。「サラッと見ただけでも、子供にとっては何か感じるものがあると思う。個人的にいま、子供に『物を大切にする』とか『物にも感情はある』ということを伝えたいので(笑)」と語る。自身は、鈴木が密かに憧れる同僚であり、地味でダサいOLの裕子を演じているが、自らも関わる鈴木のパート――特に鈴木がスターへの道を歩み、自己を際限なく肥大させていくさまを見て、考えさせられる部分もあったという。「考えさせられたというか、反省させられましたね。人間の傲慢さや欲深さがすごく表現されていて、鈴木はスターになっていくけど、それはある犠牲の上に成り立っていて、見ていてつらくなりました。いま、私がここでこうしていられるのも、そうした積み重ねの結果なのかも…と思うと、いろいろ過去のことを考えちゃったりもしました」。本作が初共演となった2人。麻生さんは長谷川さんを「いい意味で無色透明」と評する。先述のように、己の内にある“願望”について「誰もが持っている」と語っている長谷川さんだが、一方で自分から「夢」を強く持つというよりは、園監督へのメールのエピソード然り、まさに無色のキャンバスとして立ち、出会った人々に染められ、思いもよらぬ何かを引き出されることを楽しんでいるようにも思える。「そうですね、僕が自分で欲を持つと、いつもそっちの方には行けないんです。自分から『これをやりたい』『あれがしたい』と思うと、絶対にかなわないんですよ(笑)。それ(=願望)を捨てた頃に、向こうからやって来るんですよね」と達観したように語る。麻生さんは子供の頃の夢が「アイドル歌手」だっただけあって、長谷川さんとは対照的に「夢見る少女」といった感が強いが…。そんなこちらの指摘に「そうですね(笑)。小さいころから夢見がちな子でしたし」と笑いつつ続ける。「実際、いまでも夢はたくさんあります。でも、いまの長谷川さんの話にもすごく共感できるんです。『こういう役がやりたい』『この監督と仕事がしたい』と言ってしまうと、かなわない気がするんです。だから夢がないわけではないし、想像はするけど、口にしないっていうのはありますね」。一方で「夢見がち」であると同時に、麻生さんはどこか現実への強い「耐性」を持っているようにも感じられるが…。「いろいろありましたからね(笑)。あるかも(笑)。私、目標は『強い女性』で、たくましく生きていきたいのでそうありたいですね」。そんな麻生さんは改めて、監督・園子温と『ラブ&ピース』についてこう語る。「出来上がった作品を見て『やっぱり園さんてすごいんだ!』って思いました(笑)。最近はお笑い芸人になったり、現場でも『今度、歌手としてデビューするんだ』なんて嬉しそうに話してましたけど、言ったことをちゃんと現実にしていく才能がある人なんですね。今回も脚本を読んだ時の3倍も4倍も膨れ上がった園さんの勢いみたいなものを見せられた気がします。パワフルすぎて若干、引くくらい…(笑)。園さんにしか作れない映画なんだなと感じてます」。長谷川さんは現場を経験して改めて、園監督だからこそ引き出せるものがあると強く感じたよう。「みんな、それぞれに心の奥にいろんな感情を持っているのだと思います。人間は1日で実は何千もの感情を経験しているとも言いますし。そこの部分は本当は出さなくてもいいところなんだけど、園さんの映画ってそういう感情をうつし出す作品なんです。見せなくていいはずの感情を、自分で引っ張り出して演じてる。しかも、そこで『もっと出していいよ』と背中を押してくれる(笑)。そこでアドレナリンが出るというか、我を忘れるような感覚になると気持ちいいんです」。“麻薬”のような園子温の魅力をまずはこの奇想天外なラブストーリーから感じてほしい。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ラブ&ピース 2015年6月27日よりTOHO シネマズ新宿ほか全国にて公開(C) 「ラブ&ピース」製作委員会
2015年06月26日大ヒットを記録した『新宿スワン』を皮切りに、現在ほぼ月一ペースで新作が公開されている鬼才・園子温監督。ただ、国内外からコアな支持を集める一方、「グロテスク」「敷居が高い」「理解できないと怒られそう…」と腰が引けている人も少なからずいるのでは?そんな園ワールド未体験者にこそ、最新作『ラブ&ピース』は“入門編”として触れてほしい作品だ。園監督が25年前に書き上げたオリジナル脚本を、いまや売れっ子となった自身のメガホンで映画化した本作。主人公のサエない会社員・鈴木良一はある日、デパートの屋上で偶然出会った不思議なミドリガメに導かれ、一度はあきらめたロックスターになる夢を現実のものにする。ときを同じくして、ナゾの巨大怪獣が東京を襲い始める…。周囲から「無価値」と蔑まされた主人公に巻き起こる奇跡と、ミドリガメの関係は?そして、スターの階段を駆けあがる男の顛末や淡い恋模様、怪獣が夜の新宿で暴れまわる特撮アクションが渾然一体となった『ラブ&ピース』には、25年前、あふれる創作意欲を形にしたいともがきながら、世間からチャンスを与えられずにいた青年・園子温の苦悩と葛藤がスパークしている。止まらぬ快進撃を見せる園監督の“原点”がここにあるのだ。さらに全編を通して、捨てられ、忘れられたモノへの温かなまなざしが注がれたファンタジーになっており、誤解を恐れずに言えば「とても見やすい」「誰もが楽しめる」作品に仕上がった。オタク気質全開だった80年代のティム・バートンの世界観に、『ベルベット・ゴールドマイン』や『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』といった「夢の残酷さ」を描く傑作ロック映画のテイストが加味されており、洋画ファンも受け入れやすいはずだ。最近、印象的だったのは園監督が綾野剛、沢尻エリカらを引き連れて、新宿・歌舞伎町のレッドカーペットを闊歩した瞬間だ。それだけでも、園監督がつかんだ成功の大きさがわかるが、その様子を完成したばかりの新宿東宝ビル8階のゴジラが見下ろしていて…まるで『ラブ&ピース』のワンシーンのようだった!25年前に思い描いたイメージが、こうして現実になると誰が想像できただろうか?園監督には“見えていた”かもしれないが。『ラブ&ピース』は6月27日(土)から全国にて公開。(text:Ryo Uchida)■関連作品:ラブ&ピース 2015年6月27日よりTOHO シネマズ新宿ほか全国にて公開(C) 「ラブ&ピース」製作委員会
2015年06月26日●25年前に実現したかった、自分らしい映画あの園子温監督が『ラブ&ピース』(6月27日公開)というタイトルで特撮を用いた映画を作った、というと驚かれる方も多いのではないだろうか。園監督といえば『冷たい熱帯魚』から『ヒミズ』『希望の国』、昨年は『地獄でなぜ悪い』など、観た者に強烈な印象を残すストーリーと役者の素材感をむき出しにする表現力で、映画界に衝撃を与えてきた。その人物が、なぜ"ラブでピース"で特撮なのか。しかし、実は同作の台本は25年前園監督自身によって書かれたものだという。"なぜ"と思ってしまったのなら、見ている我々の方が自分たちの思い描いた園監督像に囚われていたということに他ならない。ジャンルも作家性も、本当は結果でしかない。常に前作の成功を踏み倒すかのように新しいものを創り出すのが、園監督の個性だ。今、日本で最も多忙な映画監督にお話をうかがった。○25年前に実現したかった、自分らしい映画――園監督初の近年の作品とはガラッと印象が違いますが、実はこのイメージの方を先にお持ちだったんですね。そうですね。25年前に自分が商業映画のために書いた最初の台本なので。そういう意味では、自分がやりたかったことの原点が全部詰まっています。――25年経って、原点に戻ったということでしょうか。それとも、新たな挑戦だったのでしょうか?まあ、戻ったと言う気持ちの方が強いかもしれません。その時実現したかった本当の自分らしい作品を作れたことが大きいですね。――ご自身の若い頃に書かれた台本を、今の視点でご覧になっていかがでしたか?すごく細やかに書かれているというか、今の自分では書けないような感じで、きれいに書いてあったね。昔の自分と今とでは考え方が全然違うというところも多々ありましたけど、そこはあまりいじらずに、昔の自分=27歳の新人脚本家に抵抗せずにやってみようと。だからある意味、27歳が作った映画なんですよ。――昨年公開された『地獄でなぜ悪い』に引き続いて、監督ご自身をモデルにした主人公・鈴木良一役を長谷川博己さんが演じていらっしゃいます。何となく、流れでそうなりました。(役作りも)"園"の時の長谷川君という感じで。――何をやってもうまくいかない良一が、カメと出会ってから人生が変わり始めます。なぜカメだったのでしょうか?それは個人的な理由でしかないんですけど……。台本を書いた25年前、その頃の僕は20代後半で映画も撮れず、ずっとくすぶっていて。ペットショップの前を歩いていた時に、そこにいたカメと目が合っちゃったんです。それで、カメを買って帰ろうかと思ったんですよね。話し相手になってもらおうと。でもその時、そういうヤツを主人公にしたらどうかとふと思いついたんです。寂しくて、友達もいなくて、話し相手もいないからカメを飼って暮らしているうちに……と。それで、カメは買わずに家に帰ってその台本を書いたんです。●今のAKBどころじゃなく、テレビも映画もみんな特撮に飲まれていた――カメがあるきっかけで声を出すことになりますが、その役が大谷育江さんというのもインパクトがありました。アフレコではどのような演出をされたのですか?特に演出はしていないというか、僕がガイドを付けてあったので、その通りに演じてもらいました。現場で「ファァー」(カメ役の声で)と長谷川君と会話をしていたのは僕で、それをガイドにしたんです。本当はそのままでも良かったんですけど、どうしても地声が出てきてしまう部分があったので、やはり声優さんに頼もうということになりました。○サブカルになる以前、空気のように存在した特撮――今回、園監督初の特撮シーンも注目のポイントです。もともと怪獣映画がお好きだったとお聞きしました。僕は今53歳ですけど、小さい頃は特撮が空気のように存在していて、テレビを付ければ7時台には必ず特撮をやっていました。ウルトラマンとか、ウルトラセブンとか……。映画館に行っても特撮映画がかかるし、ある意味、特撮が好きというより好きにさせられていたんでしょう。今のAKBどころじゃなく、テレビも映画もみんな特撮に飲まれていたので。そういう、日本が本当の怪獣ブームに沸きたっていた時期の怪獣大好きな人たちは、今の特撮好きのような追っかけ的なものではないんですよ。その渦中にいたので、空気みたいなものなんです、怪獣は。――では、すごく思い入れがあって特撮にしたというわけではなく?そうそう。当時、当たり前にあったものをもう一度仕掛けてみようと。その上で、当時はドキドキしたものも、今ではある意味ちゃっちく見えてしまう部分もあるから、もう一度特撮映画をやるならそれは排除して、今出来得る可能な限りの方法論で、今の子供たちに笑われない、迫力のあるものにしよう! というのを合言葉にしたんです。――それで特撮パートは田口清隆監督が参加されたんですね。田口君は本当に手練れというか、技術もあるし依頼される仕事も多い中で、一種の"逃げ道"のようなものも持っているから、こんな(逃げ道的な)ものもどうかと言われたりもしたけど、そういうのはやめようと。カット数を減らしてでもいいから、良い絵しか作らないことにしようと話しました。――現実には無いものを撮る上で、イメージを共有するのは難しかったのでは?そんなことはないですよ。田口君も怪獣映画を撮っているから、ちゃんと怪獣のことを知っていればすぐに伝わる話なので。あるとしたら、たくさんのカットをどう積み重ねていくかという部分です。――"怪獣"と言ってもずいぶん可愛らしくて、これまでに見た怪獣とは違った印象でした。最初はやっぱり怪獣ということで、特殊造形のチームが凶悪な顔に作っていたんですけど、それは違うと。この映画を作る直前、奥さんの実家へ行った時に幼稚園から小学生くらいの甥っ子たちに会ったんです。僕が今度怪獣映画を作るといったら、どんな怪獣なのかと聞かれたので、紙にササッと描いて見せたらみんながそれを『かわいい!』と言うので、よしコレだと。それをそのまま造形チームに渡して『これを作ってくれ』と言ったのですが、なかなか理解されずに凶悪なものができてくるんです(笑)。その度に(紙を見せて)これだろうと、何度もやり取りをして。最終的には今までの怪獣の概念からするとちょっと違うものになりました。●この台本自体、25年前には過激に見えたけど、今見るとそうではない――最初の姿から、どんどん可愛くなっていきましたね。そういうコンセプトがあったんですよ。――過去にも数々の特撮映画において、いろいろな怪獣が東京で暴れてきました。そういったものへのオマージュという意志はないですね。僕らの世代は、後から来た人たちのような特撮へのリスペクトはないんです。こたつの上のミカンなんて、わざわざオマージュしないでしょう。当たり前のものだから、そういうのはないんです。作る側は革命的な事をやってくれていたと思いますよ。子供は(怪獣に破壊されるのが)本当の街だと思っていますからね。福島出身の西田敏行さん(謎の老人役)も、中学生の頃にゴジラを見て、僕の街が壊されると不安でしょうがなかったとおっしゃっていましたね。特撮はそれくらい切羽詰まった映画だったんです。○25年という時間が物語を優しくした――ある意味、現代日本のファンタジーのようなお話でした。寓話ですね。絵本のようなものです。でも、子供向けに書いたつもりは毛頭なくて、当時はかなり凶暴な気持ちで書いていました。――当時作っていたら、こういう作品ではなかったかもしれない?そう。『ゴジラ』みたいにいろんな社会批判を背負って、暴れまくって。今回は死傷者ゼロという話になっているけど、25年前だったらみんな死んじゃうくらいの勢いだったかもしれない。バブル期、夢の島の実景から始まるはずだったので、もっと"捨てられたもの"の方に(視点が)行っただろうね。――そこが25年経って大きく変わった部分なんですね。自分もさんざん、社会批判的なものや、過激なものや、いろんな映画を撮ってきたので。この台本自体、25年前には過激に見えたけど、今見るとそうではない。そういうところで、温かい方、ヒューマンドラマの方に寄ったのだと思います。でも本当に、25年前は精いっぱい過激なつもりで書いていたんです。――寓話的なお話の中でも、特に良一のあこがれの女性・寺島裕子さん(麻生久美子)はファンタジーな存在に見えました。寺島裕子には実はモデルがいまして。当時、寺島裕子という名前の人と付き合っていました。――どんな方だったか、お聞きしてもいいですか?うぅん……。優しい、人でしたよ。――良一も、良一にとってのカメの存在も、受け入れてくれていましたね。そうですね……。あこがれの女性像を、ちょっと架空というか、理想で描いたのかもしれません。それは僕も25年前、若かったから。『ラブ&ピース』は、劇中で主人公・鈴木良一が歌う曲のタイトルでもある。園監督自身の作詞・作曲によるこの曲は、アレンジを変え何度も何度も流れるうちに頭から離れなくなる。そして嵐のような『ラブ&ピース』の盛り上がりから、エンディングの『スローバラード』(RCサクセション)が流れ出すと、社会批判も怪獣も恋も夢物語も、いろいろと詰め込まれているけれど、最後は笑い泣きでスッキリ見終わればいいのだと思えてくる。「ありのままの自分がいる」と本人が語るこの作品は、数あるフィルモグラフィーの中でも園子温監督の持つ世界の広さを知るには外せない1本である。
2015年06月26日映画『ラブ&ピース』のジャパンプレミアが24日、東京・新宿明治安田生命ホールで行われ、キャストの長谷川博己、麻生久美子、西田敏行と園子温監督が出席した。本作は、園監督が怪獣特撮に初挑戦したオリジナルラブストーリー。平凡なサラリーマンの鈴木良一(長谷川)は、一匹のミドリガメに出会う。約半年後、夢だったロックスターになった良一の前に、巨大な怪獣が現れ――というストーリーで、映画は27日から全国公開する。主演の長谷川は、「最初は『やり過ぎちゃったな』と後悔しました(笑)。でも、冷静になって見たら、よく分からないけど最後にジーンと感動した」とあいさつ。その振り切れた演技を、「今までにないくらい殻を破り過ぎた長谷川くんをご覧頂きたい。凄まじい演技です」と大絶賛した園監督は、自身が25年前に書いた脚本の映像化に、「笑って泣けて、良い意味でトラウマを子どもに与えるような作品になった」と胸を張った。一方、良一が想いを寄せる裕子役の麻生は、初共演となった長谷川を、「ギターを弾いたり、歌ったり、演技の振り幅がスゴくて、なんかもう敵わない」と称賛。本作について、長谷川と飲みながら語り合ったという西田も、「一見、青白くてスラッとしてるけど、博己ちゃんは熱いものを持っている。ウマが合うから、しゃべってて楽しい」と笑顔で話していた。また、本作のテーマでもある愛について、「園監督は激しい。沈黙で厳しくしている。僕は強く言われることが多いんですが、厳しいことを言ってくれるのが愛情だと思う」と持論を語った長谷川。交際が噂されている女優の鈴木京香との“婚前旅行”が一部で報じられたばかりだったが、報道陣の声掛けには応じず、観客に手を振りながら会場を後にした。
2015年06月25日染谷将太を主演に迎えて贈る、奇才・園子温監督の新作映画『みんな!エスパーだよ!』。このほど、“岡村ちゃん”こと孤高のシンガーソングライター・岡村靖幸が本作の主題歌を担当することが発表された。本作は、ヤングマガジンで人気を博した若杉公徳の同名コミックの映画化作品。愛知県東三河を舞台に、突如として超能力に目覚めた平凡な高校生・鴨川嘉郎(染谷将太)と、彼を取り巻くエスパーたちとの戦いと友情をバカバカしく描いた青春SFコメディだ。今回、本作の主題歌を書き下ろすこととなった岡村靖幸。自身、映画の主題歌および楽曲書き下ろしは初めてのこととなる。今回の起用のきっかけは、園監督から直接オファーがあったことが始まりだったよう。そうして完成した新曲のタイトルは「ラブメッセージ」(※シングルリリースは9月2日)、記念すべき30枚目のシングルとなる。今回の起用について、岡村靖幸は「青春! 学園! ちょっぴりエッチ! まるで僕のような映画の主題歌が出来て楽しかったです。この曲を聴いて、トキメキを感じてくれたら、嬉しいです」と喜びのコメントを寄せている。今年の夏には「フジロックフェスティバル」にも出演が発表され、10月からはツアーも決定している岡村靖幸のさらなる活躍に注目だ。【リリース情報】岡村靖幸ニューシングル「ラブメッセージ」発売:9月2日価格:1,300円(税込)発売元:V4 Record販売元:スペースシャワーネットワーク
2015年06月24日今年、綾野剛主演で大ヒット中の『新宿スワン』を始め、『ラブ&ピース』、『リアル鬼ごっこ』など公開ラッシュが続く映画監督・園子温が、6月19日に詩集・エッセイ本『受け入れない』を発売した。暴力や性に切り込んだ『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』などで知られる園監督。これまでに同2作の他、原発にフォーカスした『ヒミズ』、『希望の国』などといった“問題作”と呼ばれる作品を続々と発表してきた。今年の5月から9月にかけては、短期間の間に『新宿スワン』、『ラブ&ピース』、『リアル鬼ごっこ』、『みんな!エスパーだよ!』の4作品が公開される。一方で、園監督は17歳で詩人としてもデビューしている。数々の詩が『現代詩手帖』、『ユリイカ』、『螢雪時代』などに掲載されており、当時は“ジーパンをはいた朔太郎”とも称されるほどの評価を得ていた。園監督はこれまでに自費出版では詩集を発売していたが、商業出版として出版する詩集は同書が初となる。同書に掲載されている詩は、園子温が17歳の時に『高3コース』に掲載された『別れ』を除いて、すべて今回のために書き下ろされた新作。『モヤモヤモラル』、『オレが17歳の頃は』など、世の常識を“受け入れない”園監督の姿勢が反映された作品が収録されている。エッセイの部分では、『映画という日常に飽きた』、『自粛ルールでみずから自由を殺してく日本』、『松本人志の映画があるべき姿』、『ブラックだらけのこの世界』といったタイトルが並ぶ。短期間に4本の映画を公開する理由や、創作活動において“勝手に”自粛してしまう日本に対する思いなどが赤裸々に綴られている。同書について、園子温は「ここに書かれた詩もどきこそが、詩以上に詩以前の詩になるはずのエキスがある。大便や小便やオナラやゲップでしかないと見限っていたものを文字通り吐き出し、垂れ流すことは、着飾ることよりも今は大事だと思ってこれを書いた。間違いだらけであってもたった1つだけでも真実があれば、美しいだけの絵画よりも価値があるはずだと思い、この本を書いた。あとは野となれ山となれだ」と語っている。<書籍情報>詩集・エッセイ本『受け入れない』著者:園子温出版社:KADOKAWA160ページ/四六変形判発酵日:2015年6月19日価格:1,100円
2015年06月21日染谷将太がドラマシリーズに続き、突如超能力に目覚めた男子高校生を演じる『映画 みんな!エスパーだよ!』。その主題歌を、園子温監督が“孤高のシンガーソングライターダンサー”岡村靖幸へ直々にオファー。映画主題歌として初の書き下ろしとなる新曲「ラブメッセージ」を手掛けたことが明らかになった。「みんな!エスパーだよ!」といえば、ヤングマガジンで連載された若杉公徳による人気コミックをテレビ東京「ドラマ24」枠にて連続ドラマ化。その“わかりやすいエロさ”とあまりのバカバカしさに世間を席巻した、大ヒットドラマシリーズ。その映画化となる本作では、染谷さん、真野恵里菜、マキタスポーツ、安田顕といったお馴染みのメンバーに加え、池田エライザ、高橋メアリージュン、冨手麻妙、サヘル・ローズ、篠崎愛といった新たな美女たちの出演が発表され、注目を集めたばかりだ。このたび、その主題歌が幅広い世代からの熱狂的支持を集める岡村靖幸が手掛けた。独創性あふれる楽曲と、エネルギッシュなパフォーマンスから築かれる世界観で、唯一無二の“シンガーソングライターダンサー”として知られる岡村さん。起用にあたっては園監督から、直々にオファーを受けたという。今回の楽曲は、岡村さんにとっても記念すべき30枚目のシングルリリースとなるが、意外にもこれまでの長いキャリアの中で、自身が映画の主題歌・楽曲の書き下ろしをするのは初めてだそう。「青春!学園!ちょっぴりエッチ!まるで僕のような映画の主題歌ができて楽しかったです。この曲を聴いて、トキメキを感じてくれたら、嬉しいです」とコメントを寄せ、刺激的な“初体験”に満足している様子だ。楽曲の世界観が、まるで『映画 みんな!エスパーだよ!』から生まれたアナザーストーリーのようにもなっているという「ラブメッセージ」は9月2日(水)にリリース。フジロックフェスティバル ’15への出演や、秋には東京・大阪・名古屋でのツアーも決定している岡村さんの新曲が、本編の最後を一体どんな歌詞とメロディーで彩っているのか、楽しみにしていて。『映画 みんな!エスパーだよ!』は9月4日(金)よりTOHOシネマズ 新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年06月19日ベストセラー小説を鬼才・園子温監督が新解釈で映画化した『リアル鬼ごっこ』の完成披露試写会が6月15日(月)、都内で行われ、鬼の標的となる女子高生を演じたトリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜のトリプルヒロインが劇中の制服姿で登場した。全国の「佐藤さん」が鬼に殺されるという設定で一大ブームを巻き起こした同名小説を原作に、今回は、その標的を全国のJK(女子高生)に変更。目的も正体も不明な鬼と女子高生の壮絶バトルが、女性キャストのみで描かれる。舞台挨拶には園監督も駆けつけ、「三者三様のヒロイン像。すごく壮絶な内容だが、彼女たちが死ぬ気で頑張る姿に圧倒されっぱなしだった」と健闘をたたえた。トリンドルさんは本作を見終わった後に、「涙があふれてしまった」のだとか。その理由は「園監督がすごく怖かった。初めて味わう怖さでした。映画を見ながら、それを思い出してしまった」からだと言う。それでも「走るシーンが多くて、大変でしたが頑張りました」と誇らしげに語っていた。「いままで、自分の中で抱いていた『演じる』ことのイメージが吹き飛んだ」とふり返る篠田さんは、「園監督の作品といえば、とにかくパワフルでエネルギッシュ。今回も考えるヒマがないほどの勢いで、演じるのではなく感じる現場だった」と園ワールドにどっぷり!自身の制服姿には「年甲斐もなく制服なんて、ふてぶてしいかな」と笑顔を見せていた。そして最近の園作品に立て続けに出演している真野さんは、「今回もとにかく園監督についていかないとなと思った」。鬼に追われて走り続けるという役どころで、「園監督を乗せたトラックを、いつまでも追い続ける日々。全然カットがかからず、心が折れないようにするのが大変だった」と苦労を打ち明けた。映画『リアル鬼ごっこ』は7月11日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:リアル鬼ごっこ 2015年7月11日(土)より全国にて公開(C) 2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会
2015年06月15日女優の冨手麻妙(とみて・あみ=21)が、園子温監督の映画『みんな!エスパーだよ!』(9月4日公開)に出演することが15日、発表された。園監督に憧れて女優業に励んでいた冨手は、『新宿スワン』(5月30日公開)で念願の園監督作デビューを果たした。本作は7月11日公開の『リアル鬼ごっこ』に続いての出演となり、今年だけで3本の同監督作品で抜てきたことになる。本作は漫画家・若杉公徳の同名漫画を原作に、2013年4月よりテレビ東京で連続ドラマ化された『みんな!エスパーだよ!』の劇場版。映画では主人公・嘉郎(染谷将太)らチームエスパー以外にも、超能力に目覚めた者が多数存在することが明らかとなる。冨手が本作で演じるのは、映画版オリジナルキャラクターの新エスパー・神谷秋子。公開された場面写真では、谷間もあらわなセクシーショットを披露している。冨手は2009年にAKB48の第8期研究生のオーディションに合格して芸能界デビューを果たすも、同年12月に卒業。翌年に再デビューして以降、グラビアを中心に活動しながら2011年ごろから小劇場の舞台で演技を磨き、2013年にはNHK大河ドラマ『八重の桜』、2014年には連続テレビ小説『花子とアン』、そして今年はNHK大河ドラマ『花燃ゆ』にも出演するなど、女優としてのキャリアを着実に重ねてきた。以前からブログでも、園子温監督に憧れていることを公言していた冨手。『新宿スワン』公開日前日となる5月29日には「映画館で、予告編を観ただけで、個人的にはなんだか懐かしさと感極まって泣きそうになるんです。園子温監督との初めての現場だから。ずっとずっとずっと憧れていた園さんの現場だったから」とその思いをつづっていた。そのほか、本作の追加キャストとして高橋メアリージュン(新任英語教師ポルナレフ愛子役)、サヘル・ローズ(エスパーのジュリー・バブコック役)、今野杏南(東三河署捜査一課刑事・三井ミツコ役)、星名美津紀(東三河新聞の記者・タエコ役)、篠崎愛(嘉郎の通う本屋の店長・ケイコ役)、清水あいり(東三河高校教師で嘉郎の担任・しずか役)、星名利華(町のスマートボール店バイト・サヤ役)の出演が同日、発表された。(C)若杉公徳/講談社 (C)2015「映画 みんな!エスパーだよ!」製作委員会
2015年06月15日